IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人電気通信大学の特許一覧 ▶ 独立行政法人理化学研究所の特許一覧

<>
  • 特許-新規セレンテラジン誘導体 図1
  • 特許-新規セレンテラジン誘導体 図2
  • 特許-新規セレンテラジン誘導体 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】新規セレンテラジン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
C07D487/04 144
C07D487/04 CSP
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018060762
(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公開番号】P2018165265
(43)【公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2017063253
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(73)【特許権者】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】木山 正啓
(72)【発明者】
【氏名】牧 昌次郎
(72)【発明者】
【氏名】平野 誉
(72)【発明者】
【氏名】岩野 智
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 敦史
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/007314(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105968114(CN,A)
【文献】特開2016-050296(JP,A)
【文献】国際公開第2014/053605(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0246862(US,A1)
【文献】特開2018-158896(JP,A)
【文献】特表2020-510617(JP,A)
【文献】特表2019-524763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I):
【化1】
[式中、Rは、窒素を含み且つ芳香環を含む基であり、Rは、ベンゼン環、フラン環、ピロール環又はチオフェン環を含む基であり;nは、~3の整数である]で表されることを特徴とする、セレンテラジン誘導体。
【請求項2】
下記一般式(II):
【化2】
[式中、R及びRは、それぞれ独立して-H、又は炭素数1~3のアルキル基であり、R及びRは、互いに結合して環を形成してもよく;Rは、-H、-OH、又は-NRであり(但し、R及びRは、それぞれ独立して-H、又は炭素数1~3のアルキル基であり、R及びRは、互いに結合して環を形成してもよい);nは、~3の整数である]で表される、請求項1に記載のセレンテラジン誘導体。
【請求項3】
前記一般式(II)中のR及びRが、メチル基である、請求項2に記載のセレンテラジン誘導体。
【請求項4】
前記一般式(II)中のRが、-H、又は-OHである、請求項2又は3に記載のセレンテラジン誘導体。
【請求項5】
下記一般式(III)又は(IV):
【化3】
【化4】
[式(III)及び(IV)中、nは、~3の整数である]で表される、請求項2~4のいずれか一項に記載のセレンテラジン誘導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規セレンテラジン誘導体に関し、特には、天然型のセレンテラジン(CTZ)よりも長波長光を発することが可能なセレンテラジン誘導体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生物発光系の中でも、海洋動物由来の発光系は、発光輝度が高いことが知られている。該海洋動物由来の発光系においては、発光基質である天然型のセレンテラジン(CTZ)が、発光酵素の海洋動物発光酵素を触媒とした酸化反応により、波長が480nm程度の光を発する。
【0003】
一方、生体内深部の病巣を可視化するための標識材料として、生物発光系の発光基質を利用する研究が進められている。ここで、海洋動物由来の発光系は、上述の通り、発光輝度が高いため、生体内深部の病巣の可視化に有望である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Jiang, T.; Du, L.; Li, M. Photochem. Photobiol. Sci. 2016, 15 (4), 466-480.
【文献】Kaskova, Z. M.; Tsarkova, A. S.; Yampolsky, I. V. Chem. Soc. Rev. 2016, 45 (21), 6048-6077.
【文献】Nishihara, R.; Suzuki, H.; Hoshino, E.; Suganuma, S.; Sato, M.; Saitoh, T.; Nishiyama, S.; Iwasawa, N.; Citterio, D.; Suzuki, K. Chem. Commun. (Camb). 2015, 51 (2), 391-394.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、生体内で発光した光は、生体を透過して、生体の外部で検出されることとなるが、生体内での透過率が低い光では、生体内深部の病巣を十分に可視化することができない。ここで、一般に、長波長光は生体内での透過率が高いため、生体内深部の病巣を可視化するための標識材料として有望であるといえる。
【0006】
しかしながら、上述の海洋動物由来の発光系から発せられる光は、波長が480nm程度と比較的短波長であり、生体内での透過率が高いとは言えない。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、天然型のセレンテラジンよりも長波長光を発することが可能で、海洋動物由来の発光系における発光基質として利用可能な新規セレンテラジン誘導体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定構造のセレンテラジン誘導体が、海洋動物由来の発光系における発光基質として機能する上、天然型のセレンテラジンよりも長波長光を発することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明のセレンテラジン誘導体は、下記一般式(I):
【化1】
[式中、Rは、窒素を含み且つ芳香環を含む基であり、Rは、ベンゼン環、フラン環、ピロール環又はチオフェン環を含む基であり;nは、0~3の整数である]で表されることを特徴とする。
かかる本発明のセレンテラジン誘導体は、天然型のセレンテラジンよりも長波長光を発することが可能であり、海洋動物由来の発光系における発光基質として利用できる。
【0010】
本発明のセレンテラジン誘導体は、下記一般式(II):
【化2】
[式中、R及びRは、それぞれ独立して-H、又は炭素数1~3のアルキル基であり、R及びRは、互いに結合して環を形成してもよく;Rは、-H、-OH、又は-NRであり(但し、R及びRは、それぞれ独立して-H、又は炭素数1~3のアルキル基であり、R及びRは、互いに結合して環を形成してもよい);nは、0~3の整数である]で表されることが好ましい。この場合、該セレンテラジン誘導体の合成が容易であることに加え、該セレンテラジン誘導体を用いた発光系からの発光強度が高い。
【0011】
本発明のセレンテラジン誘導体の好適例においては、前記一般式(II)中のR及びRが、メチル基である。この場合、該セレンテラジン誘導体の合成が更に容易であることに加え、該セレンテラジン誘導体を用いた発光系からの発光強度が高い。
【0012】
本発明のセレンテラジン誘導体の他の好適例においては、前記一般式(II)中のRが、-H、又は-OHである。この場合、該セレンテラジン誘導体の合成が更に容易であることに加え、該セレンテラジン誘導体を用いた発光系からの発光強度が高い。
【0013】
本発明のセレンテラジン誘導体の中でも、下記一般式(III)又は(IV):
【化3】
【化4】
[式(III)及び(IV)中、nは、0~3の整数である]で表されるセレンテラジン誘導体が特に好ましい。この場合、該セレンテラジン誘導体の合成が更に容易であることに加え、該セレンテラジン誘導体を用いた発光系からの発光強度が高い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、天然型のセレンテラジンよりも長波長光を発することが可能で、海洋動物由来の発光系における発光基質として利用可能な新規セレンテラジン誘導体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】酵素としてR-lucを用いた場合の、天然型セレンテラジン及び本発明に従うセレンテラジン誘導体の発光スペクトルである。
図2】酵素としてR-luc8を用いた場合の、天然型セレンテラジン及び本発明に従うセレンテラジン誘導体の発光スペクトルである。
図3】酵素としてR-luc8.6_547を用いた場合の、天然型セレンテラジン及び本発明に従うセレンテラジン誘導体の発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明のセレンテラジン誘導体を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
【0017】
本発明のセレンテラジン誘導体は、上記一般式(I)で表されることを特徴とする。本発明のセレンテラジン誘導体は、窒素を含み且つ芳香環を含む基を有する点で、天然型のセレンテラジンと相違し、該化学構造の相違に基づき、天然型のセレンテラジンよりも長波長光を発することが可能であり、海洋動物由来の発光系における発光基質として利用できる。
【0018】
上記一般式(I)中、Rは、窒素を含み且つ芳香環を含む基である。ここで、Rとしては、置換又は無置換のアミノフェニル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基等が挙げられ、これらの中でも、置換又は無置換のアミノフェニル基が好ましい。なお、該置換又は無置換のアミノフェニル基としては、アミノフェニル基、N,N-ジメチルアミノフェニル基、N,N-ジエチルアミノフェニル基、N-エチル-N-メチルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0019】
上記一般式(I)中、Rは、ベンゼン環、フラン環、ピロール環又はチオフェン環を含む基である。ここで、Rとしては、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、置換又は無置換のアミノフェニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基等が挙げられ、これらの中でも、フェニル基及びヒドロキシフェニル基が好ましい。
【0020】
上記一般式(I)中、nは、ビニレン単位(-CH=CH-)の繰り返し数を示し、0~3の整数である。ここで、nの数が大きい程、発光波長が長くなるため、生体内深部の可視化の観点から、nは1~3であることが好ましく、2又は3であることが更に好ましく、また、合成の容易性の観点から、nは2であることが好ましい。
【0021】
上述した一般式(I)で表されるセレンテラジン誘導体の中でも、発光強度や合成の容易性の観点から、上記一般式(II)で表されるセレンテラジン誘導体が特に好ましい。
【0022】
上記一般式(II)中、R及びRは、それぞれ独立して-H、又は炭素数1~3のアルキル基であり、また、R及びRは、互いに結合して環を形成してもよい。ここで、炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。また、-NR中のR及びRが結合して形成される基としては、1-ピロリジニル基、1-ピペリジニル基、1-ヘキサメチレンイミノ基等の環状アミノ基が挙げられる。なお、R及びRが結合して形成する環は、5員環又は6員環であることが好ましい。これらの中でも、発光強度や合成の容易性の観点から、上記一般式(II)中のR及びRとしては、メチル基が好ましい。
【0023】
上記一般式(II)中、Rは、-H、-OH(ヒドロキシ基)、又は-NRである。ここで、R及びRは、それぞれ独立して-H、又は炭素数1~3のアルキル基であり、また、R及びRは、互いに結合して環を形成してもよい。なお、R及びRに関して、炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。また、-NR中のR及びRが結合して形成される基としては、1-ピロリジニル基、1-ピペリジニル基、1-ヘキサメチレンイミノ基等の環状アミノ基が挙げられる。なお、R及びRが結合して形成する環としては、5員環、6員環が好ましい。これらの中でも、発光強度や合成の容易性の観点から、上記一般式(II)中のRとしては、-H及び-OHが好ましい。
【0024】
上記一般式(II)中、nは、上記一般式(I)中のnと同義であり、生体内深部の可視化の観点から、nは1~3であることが好ましく、2又は3であることが更に好ましく、また、合成の容易性の観点から、nは2であることが好ましい。
【0025】
上述した一般式(II)で表されるセレンテラジン誘導体の中でも、発光強度や合成の容易性の観点から、上記一般式(III)又は(IV)で表されるセレンテラジン誘導体が特に好ましい。なお、上記一般式(III)及び(IV)中、nは、上記一般式(I)中のnと同義であり、生体内深部の可視化の観点から、nは1~3であることが好ましく、2又は3であることが更に好ましく、また、合成の容易性の観点から、nは2であることが好ましい。
【0026】
上記一般式(I)で表されるセレンテラジン誘導体は、特に限定されるものではないが、例えば、以下のようにして合成することができる。
(1)まず、オレフィン部分の数(即ち、ビニレン単位の繰り返し数)が異なる、ジメチルアミノフェニル基等の置換又は無置換のアミノフェニル基や、ピリジル基等の窒素を含み且つ芳香環を含む基を有するボラン誘導体を合成する。ここで、該ボラン誘導体の合成は、例えば、Markeneらの開発したBoron-Wittig反応で合成することができる。なお、nが0の場合は、市販のジメチルアミノフェニルボロン酸等のボラン誘導体を利用することもできる。
(2)次に、市販のジメチルアミノフェニルボロン酸や上記で合成したボラン誘導体を用いて、別途合成した2-アミノ-3-ベンジル-5-ブロモアミノピラジンと鈴木カップリングを行い、5位にオレフィン部分を有するアミノピラジン誘導体を合成する。
(3)次に、得られたアミノピラジン誘導体と、別途合成したケトアセタール体とを、塩酸条件下で縮合環化することにより、目的物質であるセレンテラジン誘導体を合成することができる。
【0027】
本発明のセレンテラジン誘導体は、海洋動物発光酵素を触媒とした酸化反応により、発光する。そのため、本発明のセレンテラジン誘導体は、生物学的測定/検出における発光標識として利用でき、例えば、アミノ酸、ポリペプチド、タンパク質、核酸等を標識するために使用できる。なお、本発明のセレンテラジン誘導体をこれらの物質に結合させる方法は、当業者に周知であり、例えば、当業者に周知の方法を使用して、目的の物質のカルボキシル基やアミノ基に対して本発明のセレンテラジン誘導体を結合させることができる。
【0028】
また、本発明のセレンテラジン誘導体は、発光基質の発光によって、海洋動物発光酵素活性を検出することを利用した測定/検出に利用することもできる。例えば、海洋動物発光酵素遺伝子を導入した細胞又は動物に対して、本発明のセレンテラジン誘導体を投与することにより、インビボにおける標的遺伝子又はタンパク質の発現等を測定/検出することができる。
【0029】
ここで、本発明のセレンテラジン誘導体は、天然型のセレンテラジンよりも長波長光を発することが可能であり、長波長光は生体内での透過率が高いため、生体内深部の病巣を可視化するための標識材料として有用である。
【0030】
海洋動物発光酵素を産生可能な遺伝子の生体内への組み込み方法は、特に限定されず、例えば、ベクターを用いた方法を利用することができる。かかる海洋動物発光酵素をコードするベクターの作製も、特に限定されず、公知の方法で作製することができる。また、かかるベクターとしては、市販品を使用することもでき、例えば、Promega社製の「R-luc」や、Stanford,Gambhir lab.製の「R-luc8」、「R-luc8.6_547」等を使用することもできる。
【0031】
なお、海洋動物発光酵素は、分子サイズが小さく、生体内に導入しても、生体への負荷が小さく、また、生体内に遺伝子を導入した場合の発現効率が高いという利点もある。なお、海洋動物発光酵素としては、ウミシイタケルシフェラーゼ、ウミサボテンルシフェラーゼ等が挙げられる。
【0032】
なお、本発明のセレンテラジン誘導体は、溶液として使用することが好ましい。ここで、溶液の調製に使用する溶媒としては、水の他、メタノール、エタノール等のアルコールが挙げられる。また、溶液中のセレンテラジン誘導体の濃度は、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、1mM~5mMの範囲が好ましい。
【実施例
【0033】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
<生成物の同定>
生成物の同定は、以下の方法で行った。
【0035】
(1)H核磁気共鳴スペクトル(H-NMR)
日本電子社製ECA500(500MHz)を使用して測定し、“H-NMR(測定周波数,測定溶媒):ケミカルシフト値(水素の数,多重度,スピン結合定数)”と記載した。ケミカルシフト値(δ)はテトラメチルシラン(δ=0)を内部基準とし、ppmで表記した。多重度は、s(単一線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線あるいは複雑に重なったシグナル)で表示し、幅広いシグナルについては、brと付記した。スピン結合定数(J)は、Hzで記載した。
【0036】
(2)13C核磁気共鳴スペクトル(13C-NMR)
日本電子社製ECA 500(125MHz)を使用して測定し、“13C-NMR(測定周波数,測定溶媒):ケミカルシフト値(多重度)”と記載した。ケミカルシフト値(δ)はテトラメチルシラン(δ=0)を内部基準とし、ppmで表記した。
【0037】
(3)質量スペクトル(MS):エレクトロンスプレーイオン法(ESI)
日本電子社製JMS-T100LC型TOF質量分析計AccuTOFを用い、エレクトロンスプレーイオン化法(ESI)により測定した。なお、装置の設定は、脱溶媒ガス250℃、オリフィス1温度80℃、ニードル電圧2000V、リングレンズ電圧10V、オリフィス1電圧85V、オリフィス2電圧5Vとした。サンプル送液は、インフュージョン法で行い、流速30μl/minとした。“HR-MS(ESI):m/z 質量数(M+付加イオン)”と記載した。
【0038】
<CTZ誘導体1の合成>
3-ベンジル-5-ブロモピラジン-2-アミン(0.3mmol)、ジメチルアミノフェニルボロン酸(0.45mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.0015mmol)を1,4-ジオキサン(1mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、1Mの炭酸ナトリウム水溶液(1mL)を加えて、90℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮を行った。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)にて分取し、3-ベンジル-5-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ピラジン-2-アミン(73mg、0.24mmol、収率80%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化5】
【0039】
H-NMR(500 MHz, クロロホルム-D):δ 8.31 (s, 1H), 7.84 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.24-7.32 (m, 5H), 6.80 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 4.30 (s, 2H), 4.16 (s, 2H), 2.99 (d, J = 4.6 Hz, 6H)
HR-MS(ESI): m/z C1921の計算値 [M+H]+:305.17662、実測値:305.17697
【0040】
3-ベンジル-5-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ピラジン-2-アミン(0.1mmol)、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジエトキシ-2-プロパノン(0.15mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO=1/9-9/1)で分取し、8-ベンジル-6-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(CTZ誘導体1)(26mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化6】
【0041】
H-NMR(500 MHz, メタノール-D3):δ 7.91 (s, 1H), 7.44 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.38 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.28-7.31 (m, 2H), 7.23 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.79 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 6.69 (dd, J = 8.9, 2.6 Hz, 2H), 4.40 (s, 2H), 4.06 (s, 2H), 2.97 (d, J = 12.0 Hz, 6H)
13C-NMR(126 MHz, メタノール-D3):δ 155.66, 151.51, 136.76, 129.47, 129.28, 128.45, 128.39, 127.26, 126.86, 114.85, 112.05, 105.63, 72.19, 60.92, 39.07
HR-MS(ESI): m/z C2826Naの計算値 [M+Na]+:473.19534、実測値:473.19480
【0042】
<CTZ誘導体2の合成>
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TMP)(3.0mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で、1.6Mのn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(3.0mmol)を加え、5分撹拌した。この反応混合溶液に、ビス[(ピナコラト)ボリル]メタン(3.0mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液を加え、5分撹拌した。続いて、この反応混合物を-78℃に冷却し、4-ジメチルアミノベンズアルデヒド(2.0mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液をゆっくり加え、4時間撹拌した。その後、室温に昇温し、トルエンを加えて減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて分取し、(E)-N,N-ジメチル-4-(2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ビニル)アニリン(268mg、0.98mmol、収率49%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化7】
【0043】
H-NMR(500 MHz, クロロホルム-D):δ 7.36 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.34 (d, J = 17.8 Hz, 1H), 6.61 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 5.91 (d, J = 18.3 Hz, 1H), 2.91 (s, 6H), 1.28 (d, J = 3.7 Hz, 12H)
13C-NMR(126 MHz, クロロホルム-D):δ 151.05, 149.99, 128.49, 125.94, 112.04, 83.06, 40.34, 24.96
HR-MS(ESI): m/z C1625BNONaの計算値 [M+Na]+:274.19783、実測値:274.19916
【0044】
2-アミノ-3-ベンジル-5-ブロモピラジン(0.5mmol)、(E)-N,N-ジメチル-4-(2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ビニル)アニリン(0.6mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.0025mmol)を1,4-ジオキサン(1mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、1Mの炭酸ナトリウム水溶液(1mL)を加えて、90℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を合わせ硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮を行った。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)にて分取し、(E)-3-ベンジル-5-(4-(ジメチルアミノ)スチリル)ピラジン-2-アミン(140mg、0.42mmol、収率84%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化8】
【0045】
H-NMR(500 MHz, クロロホルム-D):δ 7.99 (s, 1H), 7.45 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.42 (d, 16.0 Hz, 1H), 7.23-7.33 (m, 5H), 6.91 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 6.71 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 4.29 (s, 2H), 4.15 (s, 2H), 3.00 (s, 6H)
HR-MS(ESI): m/z C2123の計算値 [M+H]+:331.19227、実測値:331.19267
【0046】
(E)-3-ベンジル-5-(4-(ジメチルアミノ)スチリル)ピラジン-2-アミン(0.1mmol)、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジエトキシ-2-プロパノン(0.15mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO=1/9-9/1)で分取し、(E)-8-ベンジル-6-(4-(ジメチルアミノ)スチリル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(CTZ誘導体2)(37mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化9】
【0047】
H-NMR(500 MHz, メタノール-D3):δ 7.51 (s, 1H), 7.37 (t, J = 7.7 Hz, 4H), 7.30 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.23 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.14 (t, J = 8.3 Hz, 3H), 6.68-6.73 (m, 5H), 4.40 (s, 2H), 4.04 (s, 2H), 2.97 (s, 6H)
HR-MS(ESI): m/z C3028Naの計算値 [M+Na]+:499.21099、実測値:499.20943
【0048】
<CTZ誘導体3の合成>
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TMP)(1.5mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で1.6Mのn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.5mmol)を加え、5分撹拌した。この反応混合溶液に、ビス[(ピナコラト)ボリル]メタン(1.5mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液を加え、5分撹拌した。続いて、この反応混合物を-78℃に冷却し、4-ジメチルアミノシンナムアルデヒド(1.0mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液をゆっくり加え、4時間撹拌した。その後、室温に昇温し、トルエンを加えて減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて分取し、N,N-ジメチル-4-((1E,3E)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ブタ-1,3-ジエン-1-イル)アニリン(110mg、0.37mmol、収率37%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化10】
【0049】
H-NMR(500 MHz, クロロホルム-D):δ 7.30 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.16 (dd, J = 9.0 Hz, 1H), 6.60-6.67 (m, 4H), 5.54 (d, J = 17.8 Hz, 1H), 5.25 (s, 1H), 2.94 (t, J = 4.6 Hz, 6H), 1.27 (dd, J = 26.3, 16.0 Hz, 13H)
13C-NMR(126 MHz, クロロホルム-D):δ 150.96, 150.56, 136.90, 128.22, 127.62, 126.52, 125.59, 125.10, 112.31, 83.13, 83.02, 53.56, 40.43, 25.07, 24.91
HR-MS(ESI): m/z C1827BNOの計算値 [M+H]+:300.21348、実測値:300.21389
【0050】
2-アミノ-3-ベンジル-5-ブロモピラジン(0.2mmol)、N,N-ジメチル-4-((1E,3E)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ブタ-1,3-ジエン-1-イル)アニリン(0.24mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.001mmol)を1,4-ジオキサン(1mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、1Mの炭酸ナトリウム水溶液(1mL)を加えて、90℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を合わせ硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮を行った。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)にて分取し、3-ベンジル-5-((1E,3E)-4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ブタ-1,3-ジエン-1-イル)ピラジン-2-アミン(61mg、0.17mmol、収率85%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化11】
【0051】
H-NMR(500 MHz, クロロホルム-D):δ 7.90 (s, 1H), 7.23-7.35 (m, 8H), 6.80 (dd, J = 15.5, 10.9 Hz, 1H), 6.65-6.69 (m, 3H), 6.55 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.40 (s, 2H), 4.11 (s, 2H), 2.96 (s, 6H)
13C-NMR(126 MHz, クロロホルム-D):δ 151.25, 150.25, 142.05, 141.06, 139.05, 136.86, 134.38, 131.31, 129.10, 128.65, 127.76, 127.15, 126.38, 125.90, 124.92, 112.50, 41.43, 40.53
HR-MS(ESI): m/z C2325の計算値 [M+H]+:357.20792、実測値:357.20733
【0052】
3-ベンジル-5-((1E,3E)-4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ブタ-1,3-ジエン-1-イル)ピラジン-2-アミン(0.1mmol)、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジエトキシ-2-プロパノン(0.15mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO=1/9-9/1)で分取し、8-ベンジル-6-((1E,3E)-4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ブタ-1,3-ジエン-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(CTZ誘導体3)(20mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化12】
【0053】
H-NMR(500 MHz, メタノール-D3):δ 7.47 (s, 1H), 7.36 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.27-7.33 (m, 4H), 7.23 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.02-7.09 (m, 1H), 6.77 (dd, J = 15.2, 10.6 Hz, 1H), 6.62-6.71 (m, 5H), 6.33 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.38 (s, 2H), 4.03 (s, 2H), 3.87 (d, J = 14.9 Hz, 0H), 2.95 (s, 6H)
HR-MS(ESI): m/z C3230Naの計算値 [M+Na]+:525.22664、実測値:525.22449
【0054】
<CTZ誘導体4の合成>
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TMP)(1.5mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で1.6Mのn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.5mmol)を加え、5分撹拌した。この反応混合溶液に、ビス[(ピナコラト)ボリル]メタン(1.5mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液を加え、5分撹拌した。続いて、この反応混合物を-78℃に冷却し、(2E,4E)-5-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ペンタ-2,4-ジエナール(1.0mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(1mL)溶液をゆっくり加え、4時間撹拌した。その後、室温に昇温し、トルエンを加えて減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて分取し、N,N-ジメチル-4-((1E,3E,5E)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサ-1,3,5-トリエン-1-イル)アニリン(68mg、0.21mmol、収率21%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化13】
【0055】
H-NMR(500 MHz, クロロホルム-D):δ 7.31 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.09 (dd, J = 17.5, 10.6 Hz, 1H), 6.74-6.44 (comp., 5H), 6.34 (dd, J = 14.9, 10.9 Hz, 1H), 5.53 (d, J = 17.2 Hz, 1H), 2.98 (s, 6H), 1.28 (s, 12H)
HR-MS(ESI): m/z C2029BNOの計算値 [M+H]+:326.2291、実測値:326.2297
【0056】
2-アミノ-3-ベンジル-5-ブロモピラジン(0.5mmol)、N,N-ジメチル-4-((1E,3E,5E)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサ-1,3,5-トリエン-1-イル)アニリン(0.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.002mmol)を1,4-ジオキサン(1mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、1Mの炭酸ナトリウム水溶液(1mL)を加えて、90℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を合わせ硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮を行った。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)にて分取し、3-ベンジル-5-((1E,3E,5E)-6-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ヘキサ-1,3,5-トリエン-1-イル)ピラジン-2-アミン(170mg、0.45mmol、収率89%)を黄色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化14】
【0057】
H-NMR(500 MHz, クロロホルム-D):δ 7.90 (s, 1H), 7.33-7.22 (comp., 8H), 6.73 (dd, 15.5, 10.9 Hz, 1H), 6.67 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.61-6.41 (m, 4H), 4.48-4.35 (2H), 4.17-4.06 (2H), 2.96 (s, 6H)
HR-MS(ESI): m/z C2527の計算値 [M+H]+:383.2236、実測値:383.2229
【0058】
3-ベンジル-5-((1E,3E,5E)-6-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ヘキサ-1,3,5-トリエン-1-イル)ピラジン-2-アミン(0.05mmol)、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジエトキシ-2-プロパノン(0.1mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO=1/9-9/1)で分取し、8-ベンジル-6-((1E,3E,5E)-6-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ヘキサ-1,3,5-トリエン-1-イル)-2-(4-ヒドロキシベンジル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(CTZ誘導体4)(21mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化15】
【0059】
H-NMR(500 MHz, メタノール-D3):δ 7.47 (s, 1H), 7.27-7.37 (comp., 7H), 7.23 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.02-7.09 (m, 2H), 6.77 (dd, J = 15.2, 10.6 Hz, 1H), 6.62-6.71 (m, 6H), 6.33 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.38 (s, 2H), 4.03 (s, 2H), 2.95 (s, 6H)
HR-MS(ESI): m/z C3433の計算値 [M+H]+:529.2604、実測値:529.2637、C3432Naの計算値 [M+Na]+:551.2423、実測値:551.2409、C3432Kの計算値[M+K]+:567.2162、実測値:567.2144
【0060】
<CTZ誘導体5の合成>
<CTZ誘導体2の合成>の項に記載の方法で、(E)-3-ベンジル-5-(4-(ジメチルアミノ)スチリル)ピラジン-2-アミンを得た。
(E)-3-ベンジル-5-(4-(ジメチルアミノ)スチリル)ピラジン-2-アミン(0.1mmol)、1-フェニル-3,3-ジエトキシ-2-プロパノン(0.15mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO=1/9-9/1)で分取し、(E)-2,8-ジベンジル-6-(4-(ジメチルアミノ)スチリル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(CTZ誘導体5)(37mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化16】
【0061】
H-NMR(500 MHz, メタノール-D3):δ 7.15-7.40 (comp., 14H), 6.70-6.75 (comp., 3H), 4.40 (s, 2H), 4.15 (s, 2H), 2.96 (q, J = 2.9 Hz, 6H)
HR-MS(ESI): m/z C3029Oの計算値 [M+H]+:461.2341、実測値:461.2351
【0062】
<CTZ誘導体6の合成>
<CTZ誘導体3の合成>の項に記載の方法で、3-ベンジル-5-((1E,3E)-4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ブタ-1,3-ジエン-1-イル)ピラジン-2-アミンを得た。
3-ベンジル-5-((1E,3E)-4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ブタ-1,3-ジエン-1-イル)ピラジン-2-アミン(0.1mmol)、1-フェニル-3,3-ジエトキシ-2-プロパノン(0.15mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO=1/9-9/1)で分取し、2,8-ジベンジル-6-((1E,3E)-4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ブタ-1,3-ジエン-1-イル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(CTZ誘導体6)(20mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化17】
【0063】
H-NMR(500 MHz, メタノール-D3):δ 7.18-7.36 (comp., 16H), 6.65-6.71 (comp., 3H), 4.36 (s, 2H), 4.12 (s, 2H), 2.94 (s, 6H)
HR-MS(ESI): m/z C3231Oの計算値 [M+H]+:487.2498、実測値:487.2504
【0064】
<CTZ誘導体7の合成>
<CTZ誘導体4の合成>の項に記載の方法で、3-ベンジル-5-((1E,3E,5E)-6-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ヘキサ-1,3,5-トリエン-1-イル)ピラジン-2-アミンを得た。
3-ベンジル-5-((1E,3E,5E)-6-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ヘキサ-1,3,5-トリエン-1-イル)ピラジン-2-アミン(0.05mmol)、1-フェニル-3,3-ジエトキシ-2-プロパノン(0.1mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、12Mの塩酸(100μL)を加え、60℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮した。得られた残渣をODSカラムクロマトグラフィー(MeOH/HO=1/9-9/1)で分取し、2,8-ジベンジル-6-((1E,3E,5E)-6-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)ヘキサ-1,3,5-トリエン-1-イル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3(7H)-オン(CTZ誘導体7)(21mg)を赤色固体として得た。反応スキーム及び生成物の同定結果を以下に示す。
【化18】
【0065】
H-NMR(500 MHz, メタノール-D3):δ 7.06-7.36 (comp., 18H), 6.61-6.73 (comp., 3H), 4.36 (s, 2H), 4.12 (s, 2H), 2.95 (s, 6H)
HR-MS(ESI): m/z C3433Oの計算値 [M+H]+:513.2654、実測値:513.2682
【0066】
<基質溶液の調製>
上記のようにして合成したCTZ誘導体を、メタノール(MeOH)に加え、2.5mMの基質溶液を調製した。また、比較のために、下記化学式:
【化19】
で表わされる天然型のセレンテラジン(天然型CTZ、Promega社製)を用いた基質溶液も調製した。
【0067】
<使用したルシフェラーゼ>
ルシフェラーゼ(酵素)としては、R-luc(Promega社製のベクター)、R-luc8(Stanford,Gambhir lab.製のベクター)、R-luc8.6_547(Stanford,Gambhir lab.製のベクター)を用いた。
【0068】
<ルシフェラーゼの調製>
哺乳細胞へのトランスフェクションは、HeLaS3細胞を用いた。D-MEM(低グルコース、含10%FBS、含1%ペニシリンストレプトマイシン、和光純薬工業)で培養したHela細胞を、80%コンフレントの状態でトランスフェクション試薬Polyethylenimine,Linear(MW25,000、Polysciences,Inc)と各種ルシフェラーゼが挿入されたDNA(0.3μg)を混合し、トランスフェクションを行った。
トランスフェクションから24時間後、細胞をトリプシン処理し、細胞剥離し、DMEM/F12(10%FBS、gibco)に懸濁した後、遠心分離を行い、上清を取り除いた後に、500μLのDMEM/F12で再度懸濁し、各種ルシフェラーゼ発現細胞として使用した。
【0069】
<発光測定法>
以下の方法で、発光系の発光強度と発光波長を測定した。
【0070】
(1)発光強度
発光強度の測定には、アトー株式会社製のルミノメーターAB-2280を用いた。
1.5mLのエッペンチューブに、作製したルシフェラーゼ発現細胞18μLと、2.5mMの基質溶液(MeOHで調製)2μLを混合し、その発光を20秒間測定し、その20秒間の積算値を発光強度とした。結果は、天然型CTZを使用した例の発光強度を基準とし、該基準に対する割合を百分率で表示した。天然型CTZ及びCTZ誘導体1~3に対する結果を表1~3に示す。
【0071】
(2)発光波長
発光波長の測定には、アトー株式会社製の微弱発光スペクトロメーターAB-1850を用いた。
200μLのPCRチューブに、作製したルシフェラーゼ発現細胞18μLと、2.5mMの基質溶液(MeOHで調製)2μLを混合し、その発光スペクトルとピーク波長を測定した。天然型CTZ及びCTZ誘導体1~3に対する結果を表1~3、図1~3に示す。また、CTZ誘導体4~7に対する結果を表4に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
表1~4及び図1~3から、本発明のセレンテラジン誘導体は、天然型のセレンテラジンよりも長波長光を発することが可能であり、海洋動物由来の発光系における発光基質として有用であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のセレンテラジン誘導体は、海洋動物由来の発光系における発光基質として利用できる。
図1
図2
図3