IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大塚製薬工場の特許一覧 ▶ 大塚テクノ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図1
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図2
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図3
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図4
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図5
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図6
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図7
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図8
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図9
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図10
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図11
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図12
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図13
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図14
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図15
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図16
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図17
  • 特許-ポート、及び薬液バッグ 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】ポート、及び薬液バッグ
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
A61J1/05 315B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020099548
(22)【出願日】2020-06-08
(62)【分割の表示】P 2016564902の分割
【原出願日】2015-12-17
(65)【公開番号】P2020146510
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2020-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2014256410
(32)【優先日】2014-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000149435
【氏名又は名称】株式会社大塚製薬工場
(73)【特許権者】
【識別番号】591016334
【氏名又は名称】大塚テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】梶原 康幸
(72)【発明者】
【氏名】庄司 英生
(72)【発明者】
【氏名】奥畑 正道
(72)【発明者】
【氏名】上杉 文人
(72)【発明者】
【氏名】計盛 龍太
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/073643(WO,A1)
【文献】実開昭62-179944(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空針を刺通可能な封止栓と、該封止栓が内部に配置される中空のポート本体と、該ポート本体に取り付けられる抜止部材と、前記ポート本体に貼り付けられるピールシールと、を備え、
前記ポート本体は、その全体が一体に形成され、第一端と該第一端の反対側の第二端とを中心線方向に有する筒状の被封止部であって、前記封止栓が封入される被封止部と、該被封止部の前記第一端に繋がる筒状の接続部であって、薬液が充填されるバッグ本体に外周が接続される接続部と、前記被封止部の内周面に形成される被嵌合部とを有し、
前記抜止部材は、前記被封止部内で該被封止部の前記第一端側に向く第一面を有する本体部と、該本体部の前記第一面上に形成された規制部であって、前記封止栓における前記被封止部の前記第二端側への移動を規制する規制部と、前記ポート本体の被嵌合部に嵌合する嵌合部とを有し、
前記被封止部は、第一端と該第一端の反対側の第二端とを前記中心線方向に有する筒状に形成された外壁部を有し、
前記被嵌合部は、前記外壁部の第二端を含む第二端部の内周面に形成され、
前記外壁部の第二端の厚みは、前記外壁部の前記第一端側の厚みよりも厚く
前記外壁部の第二端には、前記ピールシールが剥離可能に貼り付けられている、ポート。
【請求項2】
前記被嵌合部は、凹部又は凸部の何れか一方であり、前記嵌合部は、凹部又は凸部の何れか他方である請求項1に記載のポート。
【請求項3】
前記抜止部材の前記嵌合部が、前記ポート本体の前記被嵌合部の一部に対して前記嵌合部の周方向の全周又は複数の位置において接触する請求項1又は請求項2に記載のポート。
【請求項4】
前記封止栓は、前記抜止部材と対向する面上に形成された溝部を有し、前記抜止部材の前記規制部は、前記本体部の前記第一面から前記溝部内に向けて突出する請求項1乃至3の何れか1項に記載のポート。
【請求項5】
内部に薬液が充填されるバッグ本体と、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のポートとを備え、該ポートの接続部が前記バッグ本体に接続される薬液バッグ。
【請求項6】
中空針を刺通可能な封止栓と、該封止栓が内部に配置される中空のポート本体と、該ポート本体に取り付けられる抜止部材と、前記ポート本体に貼り付けられるピールシールと、を備え、
前記ポート本体は、その全体が一体に形成され、第一端と該第一端の反対側の第二端とを中心線方向に有する筒状の被封止部であって、前記封止栓が封入される被封止部と、該被封止部の前記第一端に繋がる筒状の接続部であって、薬液が充填されるバッグ本体に外周が接続される接続部と、前記被封止部の内周面に形成される被嵌合部とを有し、
前記抜止部材は、前記被封止部内で該被封止部の前記第一端側に向く第一面を有する本体部と、該本体部の前記第一面上に形成された規制部であって、前記封止栓における前記被封止部の前記第二端側への移動を規制する規制部と、前記ポート本体の被嵌合部に嵌合する嵌合部とを有し、
前記被封止部は、筒状に形成された外壁部を有し、
前記中心線方向において、前記外壁部の厚みは、前記被嵌合部が形成された部位において厚くなっている、ポート。
【請求項7】
前記被嵌合部は、前記外壁部の内周面に形成され、前記封止栓の外周部より前記第二端側において前記封止栓の外周面より径方向の外側に凹となる凹部である、請求項1又は請求項6に記載のポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液を収容するバッグ本体に取り付けられるポート、及び該ポートを備える薬液バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、日本国特願2014-256410号の優先権を主張し、引用によって本願明細書の記載に組み込まれる。
【0003】
従来から、薬液(例えば、薬剤を含有する液や、栄養剤を含有する液等)を収容する薬液バッグが提供されている。図17に示すように、薬液バッグ4は、内部に薬液が充填されるバッグ本体40と、該バッグ本体40に取り付けられるポート41と、を備える(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
バッグ本体40は、互いに対向する一対のシート部材400を有する。一対のシート部材400の外周縁部は、互いに溶着されている。
【0005】
ポート41は、図18に示すように、中空針を刺通可能な封止栓410と、該封止栓410が内部に配置される中空のポート本体411とを備える。
【0006】
ポート本体411は、封止栓410が封入される筒状の被封止部411aと、該被封止部411aと連続し且つ自身の内部を被封止部411aの内部と連通させた筒状の接続部411bであって、一対のシート部材400の間に配置される接続部411bとを備える。接続部411bの外周には、一対のシート部材400が溶着される。
【0007】
薬液バッグ4は、中空針を封止栓410に刺通した状態で、ポート41の被封止部411aを下方に向けて(バッグ本体40よりも下方にして)配置される。この状態で、バッグ本体40内の薬液が中空針を介して患者に投与できる状態になる。
【0008】
ところで、上記構成の薬液バッグ4では、例えば、被封止部411aが下方に向けられると、封止栓410に対して薬液の重さによる液圧が加わる。すなわち、バッグ本体40内の薬液の重さが、封止栓410をポート本体411から脱落させる力として作用する。
【0009】
そのため、この種の薬液バッグ4において、ポート本体411からの封止栓410の脱落防止が求められる。これに伴い、ポート41は、例えば、被封止部411aに連続して形成される抜止部411cであって、封止栓410に当接する抜止部411cを備える。
【0010】
抜止部411cは、被封止部411aに接続された基端と、該基端の反対側の先端とを有する。抜止部411cは、先端側が封止栓410側に向かうように折り返され、先端を周方向全周に亘って封止栓410に当接させる。これにより、ポート本体411からの封止栓410の脱落が防止される。
【0011】
上記構成のポート41において、抜止部411cは、被封止部411aから真っ直ぐに延出する部分(以下、折代部という)411dが予熱された上で曲げ加工されることによって成形される。
【0012】
そのため、ポート41の製造には、抜止部411cを成形するための専用の設備が必要である。また、ポート41の製造は、熱をかけて加工を行うため、製造効率が悪くなる。また、ポート41の製造の方法では、抜止部411cの周方向の異なる位置で、形状にばらつきが生じる可能性がある。そのため、上記製造方法によって製造されたポート41では、抜止部411cの先端全周で封止栓410を均一に押さえることができない虞がある。
【0013】
従って、ポート41では、封止栓410に作用する外力によって、該封止栓410がポート本体411から脱落する虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】日本国 特開2014-36001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明は、ポート本体からの封止栓の脱落をより確実に防止できるポート、及び該ポートを備える薬液バッグを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のポートは、中空針を刺通可能な封止栓と、該封止栓が内部に配置される中空のポート本体と、該ポート本体に取り付けられる抜止部材とを備え、前記ポート本体は、第一端と該第一端の反対側の第二端とを有する筒状の被封止部であって、前記封止栓が封入される被封止部と、該被封止部の前記第一端に繋がる筒状の接続部であって、薬液が充填されるバッグ本体に外周が接続される接続部と、前記被封止部の内周面、前記被封止部の外周面、又は前記被封止部の前記第二端の何れかに形成される被嵌合部とを有し、前記抜止部材は、前記被封止部内で該被封止部の前記第一端側に向く第一面を有する本体部と、該本体部の前記第一面上に形成された規制部であって、前記封止栓における前記被封止部の前記第二端側への移動を規制する規制部と、前記ポート本体の被嵌合部に嵌合する嵌合部とを有する。
【0017】
前記被嵌合部は、凹部又は凸部の何れか一方であり、前記嵌合部は、凹部又は凸部の何れか他方であってもよい。
【0018】
前記抜止部材の前記嵌合部が、前記ポート本体の前記被嵌合部の一部に対して前記嵌合部の周方向の全周又は複数の位置において接触するようにしてもよい。
【0019】
また、前記封止栓は、前記抜止部材と対向する面上に形成された溝部を有し、前記抜止部材の前記規制部は、前記本体部の前記第一面から前記溝部内に向けて突出してもよい。
【0020】
本発明の薬液バッグは、内部に薬液が充填されるバッグ本体と、上記何れかのポートとを備え、該ポートの接続部が前記バッグ本体に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る薬液バッグの正面図である。
図2図2は、同実施形態に係るポートの縦断面図である。
図3図3は、同実施形態に係る封止栓の縦断面図である。
図4図4は、同実施形態に係るポート本体の縦断面図である。
図5図5は、同実施形態に係る抜止部材の縦断面図である。
図6図6は、同実施形態に係るポートの拡大図であって、図2の領域VIの拡大図である。
図7図7は、同実施形態に係るポートの縦断面図であって、封止栓に中空針を刺通させた状態の縦断面図である。
図8図8は、同実施形態に係るポートの縦断面図であって、封止栓に刺通している中空針を抜き取っている状態の縦断面図である。
図9図9は、本発明の他実施形態に係るポートの縦断面図である。
図10図10は、本発明の別の実施形態に係るポートの縦断面図である。
図11図11は、本発明のさらに別の実施形態に係るポートの部分的な縦断面図である。
図12図12は、本発明のさらに別の実施形態に係るポートの部分的な縦断面図である。
図13図13は、本発明のさらに別の実施形態に係るポートの部分的な縦断面図である。
図14図14は、本発明のさらに別の実施形態に係るポートの部分的な縦断面図である。
図15図15は、本発明のさらに別の実施形態に係るポートの部分的な縦断面図である。
図16図16は、本発明のさらに別の実施形態に係るポートの部分的な拡大縦断面図である。
図17図17は、従来の薬液バッグの正面図である。
図18図18は、従来のポートの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1に示すように、薬液バッグ1は、薬液(例えば、輸液用の薬剤を含有する液や、栄養剤を含有する液等)が充填されるバッグ本体2と、該バッグ本体2に取り付けられたポート3と、を備える。
【0024】
バッグ本体2は、重ね合わされた一対のシート部材20を含む。バッグ本体2は、一対のシート部材20の互いの外周縁部同士を溶着したシール部21を有する。バッグ本体2は、一対のシート部材20及びシール部21によって画定される収容室22を有する。
【0025】
本実施形態において、バッグ本体2は、一対のシート部材20を剥離可能に接合した弱シール部23を有する。
【0026】
弱シール部23は、収容室22を複数の空間に仕切るように形成される。本実施形態において、弱シール部23は、収容室22を二つの空間に仕切っている。すなわち、収容室22は、互いに連通させることが可能な二つの空間22a,22bを有する。なお、本実施形態では、収容室22の一方の空間22aを第一の収容室22aとし、収容室22の他方の空間22bを第二の収容室22bとして以下の説明を行う。
【0027】
第一の収容室22a及び第二の収容室22bのそれぞれには、異なる種類の薬液が収容される。バッグ本体2では、弱シール部23が剥離されると、第一の収容室22aと第二の収容室22bとが連通する。これにより、第一の収容室22a内の薬液と、第二の収容室22b内の薬液とが混合される。
【0028】
図2に示すように、ポート3は、中空針を刺通可能な封止栓30と、該封止栓30が内部に配置される中空のポート本体31と、該ポート本体31に取り付けられる抜止部材32とを備える。
【0029】
封止栓30は、抜止部材32側に位置する第一面と、該第一面の反対側の第二面とを有する。
【0030】
図3に示すように、封止栓30は、抜止部材32と対向する面上(本実施形態では、第一面上)に形成された環状の溝部300を有する。
【0031】
封止栓30の第一面における中央部(第一面における溝部300よりも内側の部分)の高さは、封止栓30の第一面における外周縁部(第一面における溝部300よりも外側の部分)の高さよりも高く設定される。すなわち、封止栓30の第一面における中央部は、ポート本体31の中心線方向において、封止栓30の第一面における外周縁部よりも抜止部材32側に位置している。
【0032】
これにより、封止栓30の第一面における中央部に対する作業(例えば、アルコール消毒等)がし易くなる。
【0033】
封止栓30は、抜止部材32側とは反対側に向けて開放する環状凹部301を有する。環状凹部301は、第二面上に形成されている。
【0034】
封止栓30は、第二面の中央部から抜止部材32側とは反対側に向けて延出する延出部302と、該延出部302の外周面を取り囲む環状突出部303と、を有する。
【0035】
延出部302の外周面は、周方向全周に亘って、環状突出部303側に膨らんでいる。
【0036】
図4に示すように、ポート本体31は、第一端と該第一端の反対側の第二端とを中心線方向に有する筒状の被封止部310であって、封止栓30が封入される被封止部310と、該被封止部310の第一端に繋がる筒状の接続部311であって、バッグ本体2に外周が溶着される接続部311と、被封止部310の内周面、被封止部310の外周面、又は被封止部310の第二端の何れかに形成される被嵌合部312とを有する。
【0037】
本実施形態に係る被封止部310は、筒状に形成された外壁部310aと、該外壁部310aと接続部311とを繋ぐ連続部310bとを有する。
【0038】
外壁部310aは、第一端と該第一端の反対側の第二端とを中心線方向に有する。外壁部310aの第一端は、連続部310bを介して接続部311に繋がっている。
【0039】
外壁部310aは、周方向全周に亘って封止栓30の外周面に接する内周面を有する。外壁部310aの第二端側の内周面には、被嵌合部312としての凹部(溝)が周方向に連続して形成されている。なお、本実施形態に係る被封止部310(外壁部310a)の第二端には、ピールシールPが剥離可能に貼り付けられている(図2参照)。
【0040】
外壁部310aの第二端の厚みは、外壁部310aの第一端の厚みよりも厚く設定される。これにより、外壁部310aの第二端の剛性は、外壁部310aの第一端側の剛性よりも高くなっている。
【0041】
連続部310bは、外壁部310aの第一端の周方向全周から径方向内方向に向けて延出する。連続部310bの内周縁は、接続部311に繋がる。
【0042】
被封止部310は、連続部310bから外壁部310aの第二端側に向けて延出する環状の支持部310cをさらに有する。被封止部310において、支持部310cの外周面及び外壁部310aの内周面は、間隔をあけて互いに対向する。すなわち、被封止部310において、支持部310cの外周面と、外壁部310aの内周面との間に隙間が形成されている。
【0043】
本実施形態に係るポート3において、図2に示す如く、支持部310cの内側に封止栓30の延出部302が封入又は配置される。これに伴い、封止栓30の環状凹部301内には、支持部310cが封入又は配置される。
【0044】
上述のように、延出部302の外周面は、周方向全周に亘って、環状突出部303側に膨らんでいる。これにより、封止栓30の延出部302と支持部310cとの密着性が高められている。
【0045】
接続部311は、図4に示す如く、被封止部310の第一端から延出している。具体的には、接続部311は、第一開口端と、該第一開口端の反対側の第二開口端とを中心線方向に有する。本実施形態において、接続部311の第一開口端は、被封止部310に連続している。接続部311の第二端側の外周面に対して一対のシート部材20のそれぞれが溶着される(図1参照)。
【0046】
被嵌合部312は、被封止部310の内周面に形成された凹部である。本実施形態に係る被嵌合部(凹部)312は、被封止部310の内周面に対して周方向全周に亘って連続している。すなわち、被嵌合部(凹部)312は、無端環状に形成される。なお、本実施形態において、被嵌合部(凹部)312は、外壁部310aの第二端側の内周面に形成される。
【0047】
図5に示すように、抜止部材32は、円環状に形成される。図2に示す如く、抜止部材32は、被封止部310内で外側に向く封止栓30の第一面に重ね合わされる。抜止部材32は、被封止部310の第一端側(本実施形態においては、封止栓30側)に向いた第一面を有する環状の本体部320と、該本体部320の第一面上に形成された環状の規制部321であって、封止栓30における被封止部310の第二端側への移動を規制する環状の規制部321と、ポート本体31の被嵌合部312に嵌合する嵌合部322とを有する。
【0048】
本体部320の第一面は、被封止部310内に配置された封止栓30の外側を向く面(封止栓30の第一面)と対向する対向領域を含む。当該抜止部材32が円環状に形成されるに伴い、対向領域は、当該本体部320の外周によって外周の画定された円環状の領域である。本体部320は、第一面の反対側の第二面を有する。本体部320の第二面は、被封止部310内で外側を向く外面を構成し、封止栓30の第一面(本実施形態では、封止栓30の第一面の中央部)と同一平面上、又は略同一平面上に位置する。より具体的に説明する。本体部320の第二面(外面)は、平面状に形成される。本体部320の第二面(外面)は、ポート本体31の中心線方向において、封止栓30の第一面(本実施形態では、封止栓30の第一面の中央部)と対応又は略対応する位置にある。
【0049】
規制部321は、本体部320の第一面から突出する。本実施形態において、規制部321は、本体部320の第一面から封止栓30側に突出している。規制部321は、本体部320の第一面のうちの封止栓30と対向する対向領域を避けた領域から封止栓30側に突出している。本実施形態において、規制部321は、本体部320の第一面のうちの対向領域よりも内周側にある円環状の領域から封止栓30側に突出している。規制部321は、封止栓30の溝部300内に配置されている。本実施形態に係る抜止部材32では、規制部321が封止栓30に当接している。
【0050】
なお、本実施形態に係る抜止部材32では、上述の如く、本体部320の第一面から突出する規制部321が封止栓30の溝部300内に配置される。これに伴い、抜止部材32は、規制部321に加えて本体部320の第一面のうちの対向領域を封止栓30に当接させる。
【0051】
規制部321は、本体部320の内周縁部側に形成されている。そのため、抜止部材32では、本体部320の内周縁部側の厚みが、本体部320の外周縁部側の厚みよりも厚い。これにより、抜止部材32の内周縁部側の剛性が高められる。
【0052】
上述のように、ポート本体31の被嵌合部312は、被封止部310の内周面に形成された凹部であって、被封止部310の内周面の周方向全周に亘って連続する凹部である。これに伴い、嵌合部322は、本体部320の外周面から径方向外方向に延出し、本体部320の外周面の周方向全周に亘って連続している。
【0053】
嵌合部322の周方向の全周が、ポート本体31の被嵌合部312に当接している。
【0054】
本実施形態において、抜止部材32の嵌合部322の周方向の全周が、ポート本体31の被嵌合部312に対して線接触又は部分的に面接触している。より具体的に説明する。図6に示すように、ポート本体31の被嵌合部312と、嵌合部322(外周面)とは、円弧状に形成される。ポート本体31の被嵌合部312の曲率は、抜止部材32の嵌合部322の外周面の曲率よりも小さい。これに伴い、嵌合部322の周方向の全周が、ポート本体31の被嵌合部312に線接触又は部分的に面接触する。
【0055】
これにより、抜止部材32の脱落が効果的に防止され、かつ、ポート本体31の被嵌合部312に対する抜止部材32の嵌合部322の嵌め込みが容易になる。
【0056】
本実施形態に係る薬液バッグ1は、以上の通りである。続いて、薬液バッグ1の使い方について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0057】
薬液バッグ1を使用する場合(例えば、バッグ本体2内の薬液を患者に注入する場合)、まず、バッグ本体2における第一の収容室22aもしくは第二の収容室22bが押圧される。これにより、弱シール部23が剥離され、第一の収容室22aと、第二の収容室22bとが連通する。これに伴い、第一の収容室22a内の薬液と、第二の収容室22b内の薬液とが混合される。
【0058】
その後、被封止部310の第二端からピールシールPが剥がされ、図7に示すように、ポート本体31(被封止部310)が下方に向けられた状態で、薬液バッグ1が点滴スタンド(図示しない)等に吊り下げられる。そして、封止栓30に中空針Nが刺通される。これにより、薬液がバッグ本体2から中空針Nを介して取り出される。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る薬液バッグ1のポート3によれば、ポート本体31の被嵌合部312と、抜止部材32の嵌合部322とが嵌り合うことによって、抜止部材32がポート本体31に固定される。
【0060】
この状態において、抜止部材32の規制部321が周方向全周に亘って封止栓30に当接するため、抜止部材32は、規制部321の周方向の全周で封止栓30を均一に押さえる。従って、ポート本体31からの封止栓30の脱落がより確実に防止される。
【0061】
また、本実施形態において、ポート本体31の被嵌合部312に対して抜止部材32の嵌合部322が嵌め合わされるため、従来のように予熱や曲げ加工が必要となるポートに比べて、効率的に組み立てることができる。
【0062】
抜止部材32の嵌合部322の周方向の全周が、ポート本体31の被嵌合部312に対して線接触又は部分的に面接触しているため、抜止部材32の嵌合部322と、ポート本体31の被嵌合部312との間には接触部分の上下に隙間が形成される。
【0063】
これにより、抜止部材32は、嵌合部322の被嵌合部312に対する接触位置を変えることができ、封止栓30の傾きや位置ずれに応じた状態でポート本体31に固定される。これに伴い、抜止部材32は、封止栓30をより好適に押さえる。
【0064】
また、従来のポートでは、封止栓がポート本体内部に封入された後に、該ポート本体に曲げ加工を行うことによって抜止部が形成される。そのため、従来のポートでは、封止栓が傾いた姿勢でポート本体内部に封入されると、ポート本体の形状が一定にならず、封止栓が脱落するおそれがある。
【0065】
しかしながら、本実施形態に係るポート3は、ポート本体31と抜止部材32とが別体であるため、封止栓30をポート本体31の内部に封入するのに併せて、抜止部材32をポート本体31に取り付けることができる。従って、本実施形態に係るポート3では、ポート本体31の周方向の異なる位置における形状にばらつきが生じることを好適に抑え、封止栓30の脱落がより効果的に防止される。
【0066】
さらに、被封止部310の外壁部310aの第二端の剛性が該被封止部310の外壁部310aの第一端側の剛性よりも高くなっている。すなわち、ポート3において、ポート本体31における抜止部材32の嵌め合わされる部分の剛性が高められている。これにより、ポート本体31からの抜止部材32の脱落がより確実に防止される。
【0067】
そして、ポート3では、抜止部材32の規制部321が封止栓30の溝部300内に配置されているため、封止栓30が被封止部310の第二端側の開口から引き抜かれる方向に作用する外力を受けると、封止栓30が抜止部材32に押し付けられる。これに伴い、封止栓30には、抜止部材32からの反力が作用する。すなわち、封止栓30における溝部300を画定する部分が、抜止部材32の規制部321によって支えられる。従って、本実施形態に係る薬液バッグ(ポート3)によれば、ポート本体31からの封止栓30の脱落が防止される。
【0068】
より具体的に説明する。本実施形態に係る薬液バッグ1では、上述のように、弱シール部23を剥離させるべく、バッグ本体2における第一の収容室22aが押圧される。この場合、封止栓30には、収容室22(第一の収容室22a)内の薬液の液圧が加わる。
【0069】
しかしながら、ポート3は、ポート本体31に固定されている抜止部材32によって封止栓30が押さえ込まれているため、封止栓30がポート本体31から脱落することを防止できる。
【0070】
また、本実施形態に係る薬液バッグ1では、被封止部310を下方に向けた場合においても、封止栓30には収容室22内の薬液の液圧が加わる。しかしながら、ポート3において、ポート本体31に固定された抜止部材32によって封止栓30が押さえ込まれているため、ポート本体31からの封止栓30の脱落が防止される。
【0071】
さらに、本実施形態に係る薬液バッグ1では、上述のように、封止栓30に中空針Nが差し込まれる。このとき、封止栓30は、バッグ本体2の内部側に向けて作用する外力を受ける。
【0072】
これにより、封止栓30の環状突出部303がポート本体31の中心部側に引き込まれるため、被封止部310の支持部310cが環状突出部303によって押圧される。そして、封止栓30の環状突出部303は、被封止部310の支持部310cから反力を受ける。
【0073】
従って、封止栓30の環状突出部303が被封止部310の支持部310cによって支えられるため、ポート本体31内にある封止栓30のバッグ本体2内への脱落(入り込み)が防止される。
【0074】
本実施形態に係る薬液バッグ1では、図8に示すように、封止栓30に刺通された中空針Nが抜き取られることがある。この場合、封止栓30は、バッグ本体2とは反対側に向けて作用する外力を受ける。
【0075】
これにより、封止栓30の外周縁部(第一面側の外周縁部)がポート本体31の中心部側に向けて引き込まれるため、抜止部材32の規制部321が該封止栓30の外周縁部によって押圧される。そして、封止栓30の外周縁部は、抜止部材32の規制部321から反力を受ける。
【0076】
従って、封止栓30の外周縁部が抜止部材32の規制部321によって支えられ、ポート本体31からの封止栓30の脱落が防止される。
【0077】
上述のように、外壁部310aの第二端の剛性が外壁部310aの第一端側の剛性よりも高くなっているため、ポート本体31(被封止部310の第二端)に対して、ピールシールPを好適に貼り付け易くすることができる。
【0078】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0079】
上記実施形態において、ポート本体31が被封止部310を一つ有したが、これに限定されない。例えば、ポート本体31は、被封止部310を二つ以上有していてもよい。この場合、各被封止部320に対し、封止栓30が封入されるとともに、抜止部材32が取り付けられることは勿論である。
【0080】
上記実施形態において、バッグ本体2は、重ね合わされた一対のシート部材20の外周縁部同士が溶着されることで形成されたが、これに限定されない。例えば、バッグ本体2は、筒状に形成されたシート(或いはフィルム)の両端開口部を閉じる(例えば、溶着する)ことで形成されてもよい。
【0081】
上記実施形態において、バッグ本体2及びポート3が溶着により接続されたが、これに限定されない。例えば、バッグ本体2及びポート3は、接着剤等を介して接続されてもよい。
【0082】
上記実施形態において、バッグ本体2の内部には、二つの空間(第一の収容室22a、第二の収容室22b)が形成されていたが、これに限定されない。例えば、バッグ本体2の内部に、一つの空間のみが形成されたり、三つ以上の空間が形成されたりしてもよい。
【0083】
上記実施形態において、薬液バッグ1は、バッグ本体2に一つのポート3が取り付けられていたが、これに限定されない。例えば、薬液バッグ1は、バッグ本体2に二つ以上のポート3が取り付けられていてもよい。
【0084】
上記実施形態において、封止栓30の第一面における中央部は、本体部320の第二面と同一平面上、又は略同一平面上に位置していたが、これに限定されない。例えば、封止栓30の第一面における中央部は、本体部320の第二面からさらに突出していてもよい。このようにしても、封止栓30の第一面における中央部に対する作業(例えば、アルコール消毒等)がし易くなる。
【0085】
上記実施形態において、封止栓30の溝部300が環状に形成されたが、これに限定されない。溝部300は、本体部320の第一面から突出した規制部321の形態に即して形成されればよい。
【0086】
上記実施形態において、ポート本体31では、接続部311と被封止部310とが一体的に形成されていたが、これに限定されない。例えば、ポート本体31では、接続部311と被封止部310とが別体になっていてもよい。
【0087】
上記実施形態において、被嵌合部312は、被封止部310の第二端側の内周面に形成されていたが、これに限定されない。例えば、被嵌合部312は、図9に示す如く、被封止部310の外周面に形成されていてもよい。
【0088】
この場合、抜止部材32が被封止部310の第二端側を覆うように形成され、嵌合部322が被封止部310の外周面に形成された被嵌合部312と対応する位置(嵌合可能な位置)に配置されればよい。
【0089】
また、被嵌合部312は、図10に示す如く、被封止部310の第二端に形成されてもよい。この場合、本体部320が被封止部310の第二端に乗る(第二端を部分的に覆う)ように形成され、嵌合部322が被封止部310の第二端に形成された被嵌合部312と対応する位置(嵌合可能な位置)に配置されればよい。
【0090】
上記実施形態において、被嵌合部312は、被封止部310(外壁部310a)の内周面の周方向全周に亘って連続する凹部(溝)によって構成されていたが、これに限定されない。例えば、被嵌合部312は、被封止部310(外壁部310a)の内周面の周方向において断続的に形成される複数の凹部によって構成されていてもよい。この場合、抜止部材32の嵌合部322は、被嵌合部312の各凹部に対応する位置に形成される複数の凸部によって構成されていればよい。
【0091】
上記実施形態において、抜止部材32の規制部321は、本体部320の第一面から封止栓30側に突出したが、これに限定されない。抜止部材32の規制部321は、本体部320の第一面上にあればよく、例えば、封止栓30と当接できれば、本体部320の第一面の少なくとも一部で構成されてもよい。この場合、規制部321は、第一面における封止栓30と対向する対向領域と並ぶ領域、或いは、対向領域そのものによって構成される。また、規制部321は、周方向に連続したもの(環状に形成されたもの)に限定されない。例えば、規制部321は、本体部320の第一面上の複数箇所に設けられてもよい。
【0092】
上記実施形態において、抜止部材32の規制部321が封止栓30に当接したが、これに限定されない。例えば、規制部321は、封止栓30との間に隙間を形成するように配置されてもよい。但し、この場合、封止栓30が被封止部310内で該被封止部310の第二端側に移動したときに、規制部321が封止栓30と干渉(当接)し、抜止部材32(規制部321)が封止栓30を被封止部310内に維持させることは勿論である。
【0093】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、抜止部材32及び封止栓30は、互いに分離していてもよいし、互いに接続(例えば、接着)されて一体化していてもよい。抜止部材32及び封止栓30が互いに分離している場合、被封止部310に対し、封止栓30が封入された後、抜止部材32が取り付けられる。これに対し、抜止部材32及び封止栓30が互いに接続(例えば、接着)されている場合、被封止部310に対し、封止栓30が封入されるのに併せて抜止部材32が取り付けられる。
【0094】
上記実施形態において、抜止部材32の本体部320が封止栓30の第一面に重ね合わされるに伴い、規制部321も封止栓30の第一面側に重ね合わされたが、これに限定されない。規制部321が封止栓30における第一面と第二面との間に埋め込まれ、抜止部材32と封止栓30とが一体的に形成されてもよい。このようにすれば、抜止部材32の規制部321と封止栓30とが干渉(当接)した状態になり、規制部321は封止栓30における被封止部310の第二端側への移動を規制する。なお、この場合、抜止部材32の嵌合部322が封止栓30の外周から外方に延出した鍔状に形成され得る。
【0095】
上記実施形態において、本体部320の第二面側の全域が平面状に形成されたが、これに限定されない。例えば、図11に示すように、抜止部材32は、本体部320の第二面から突出する突出部323を備えていてもよい。
【0096】
この場合、突出部323は、本体部320の孔中心と直交し且つ本体部320を通る仮想線(仮想面)を基準として、規制部321と対称的な配置及び形状とされることが好ましい。
【0097】
このようにすれば、抜止部材32の裏表が無くなり、突出部323を封止栓30側に向けて抜止部材32が被封止部310内に配置された場合、突出部323が規制部321として機能する。従って、ポート3の組み立て時に、抜止部材32の裏表を確認する必要がなくなるため、生産性が向上する。
【0098】
上記実施形態において、被嵌合部312は、外壁部310aの内周面に形成された凹部で構成されていたが、これに限定されない。例えば、図12に示す如く、被嵌合部312は、被封止部310(外壁部310a)の内周面に形成された凸部であってもよい。また、凸部で構成された被嵌合部312は、外壁部310aの内周面の周方向全周に連続されてもよい。この場合、嵌合部322は、被嵌合部312を構成する凸部を嵌め込み可能な凹部であればよい。
【0099】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、被嵌合部312が被封止部310(外壁部310a)の内周面に形成された凹部又は凸部の何れか一方で構成されるとともに、嵌合部322が凹部又は凸部の何れか他方で構成される場合、被嵌合部312又は嵌合部322の何れか一方を構成する凸部の突出量を凹部の凹み量と比較して多くすることが好ましい。このようにすれば、凸部が相手方を押すため、被嵌合部312と嵌合部322との圧接力が高まる。これにより、抜止部材32が被封止部310からより外れ難くなる。
【0100】
また、被嵌合部312又は嵌合部322の何れか一方を構成する凸部と被嵌合部312又は嵌合部322の何れか他方を構成する凹部との嵌合量(重なり量)が可能な限り多くなるように、凸部の突出量及び凹部の深さが設定されてもよい。このようにすれば、嵌合部322と被嵌合部312とが確実に引っ掛かり、抜止部材32が被封止部310からより外れ難くなる。
【0101】
さらには、第三者による悪戯を防止するために、ポート3に対し、抜止部材32が被封止部310から強引に取り外されることを阻止するための構成が付加されてもよい。
【0102】
例えば、図13に示す如く、ポート3は、被封止部310の少なくとも一部と該被封止部310内に配置された抜止部材32の少なくとも一部とを一体化させた連結部324を備えてもよい。
【0103】
この場合、抜止部材32及びポート本体31の少なくとも被封止部310は、溶融した状態で互い混ざり合う相溶性のある樹脂で構成される。抜止部材32は、被封止部310内に配置された状態で、被封止部310の内周面、外周面、或いは端面の何れか(図13においては、被封止部310の端面)と同一レベルになる面を有する被連結部325を備える。連結部324は、被封止部310の内周面、外周面、或いは端面の何れか(図13においては、被封止部310の端面)の少なくとも一部と、これと同一レベルにある被連結部325の面の少なくとも一部とが溶融固化させることで形成される。
【0104】
このようにすれば、被封止部310と、該被封止部310に嵌め込まれた抜止部材32とが一体となるため、抜止部材32が取り外されることが阻止される。
【0105】
また、図14に示す如く、抜止部材32は、本体部320の第一面における対向領域と規制部321の形成される領域との境界で本体部320を破断させるための破断予定部326を備えてもよい。
【0106】
この場合、破断予定部326は、抜止部材32の本体部320における他の領域よりも脆弱に形成される。例えば、破断予定部326は、抜止部材32の本体部320における他の領域よりも薄肉に形成される。
【0107】
このようにすれば、悪意のある第三者が抜止部材32を取り外そうとして、例えば、突出部323が工具(例えば、ペンチ)を用いて外方に引っ張られたり、抜止部材32の本体部320の内周側に工具等が押し込まれたりすることで、抜止部材32の本体部320の内周側に力が加えられた場合、抜止部材32が脆弱な破断予定部326で破断する。
【0108】
このように、抜止部材32が部分的に破断することで、第三者の悪戯の形跡が残るため、悪戯された疑いのある薬液バッグ1を事前に排除することができる。
【0109】
また、図15に示す如く、抜止部材32は、被封止部310(外壁部310a)に沿って配置される延長部327であって、抜止部材32の本体部320の外周端部に接続された基端と該基端の反対側の先端とを被封止部310の中心線方向に有し、嵌合部322が先端に接続された延長部327を備えてもよい。
【0110】
このようにすれば、延長部327と該延長部327の先端に接続された嵌合部322とが、封止栓30と被封止部310(外壁部310a)とに挟まれた状態になる。これにより、嵌合部322は、被嵌合部312から脱落する方向(被封止部310の中心線に対して直交する方向)での移動が規制される。
【0111】
従って、悪意のある第三者が抜止部材32を取り外そうとしても、嵌合部322が被嵌合部312から外れることが阻止される。
【0112】
すなわち、悪意のある第三者が抜止部材32を取り外そうとして、例えば、抜止部材32の本体部320の内周側が工具を用いて外方に引っ張られたり、抜止部材32の本体部320の内周側に工具等が押し込まれたりすることで、抜止部材32の本体部320の内周側に力が加えられた場合、抜止部材32の本体部320の外周端近傍が作用点となり、延長部327の先端に接続された嵌合部322が被嵌合部312から脱落する方向(被封止部310の中心線に対して直交する方向)に移動しようとする。
【0113】
しかし、上述の如く、嵌合部322は、被嵌合部312から脱落する方向(被封止部310の中心線に対して直交する方向)での移動が規制されているため、嵌合部322が被嵌合部312から外れることが阻止される。
【0114】
また、延長部327の先端に接続された嵌合部322は、被封止部310(外壁部310a)の第一端と第二端との間の位置であって、抜止部材32の本体部320よりも被封止部310の第一端側の位置に配置される。すなわち、嵌合部322は、被封止部310内の奥まった位置に配置される。これにより、嵌合部322に対して直接アクセスすることが困難となり、抜止部材32が被封止部310から取り外されるといった、第三者の悪戯が確実に防止される。
【0115】
上記実施形態において、抜止部材32の本体部320は、外周形状の中心と内周形状の中心とが一致した円環状に形成されたが、これに限定されない。例えば、外周形状の中心と内周形状の中心とが不一致の環状に形成されたり、外周形状と内周形状とが異形の環状に形成されたりしてもよい。また、抜止部材32の本体部320は、貫通孔を画定した環状のものに限定されない。例えば、抜止部材32の本体部320は、貫通孔に代えて切欠き部を有していてもよい。すなわち、抜止部材32の本体部320は、封止栓30を外部に露出させる針挿通部であって、封止栓30に中空針Nがアクセス可能な針挿通部を有していればよい。
【0116】
上記実施形態において、ポート本体31の被嵌合部312の曲率が、嵌合部322の外周面の曲率よりも小さく設定されたが、これに限定されるものではない。例えば、図16に示すように、ポート本体31の被嵌合部312の曲率は、嵌合部322の外周面の曲率と同一又は略同一に設定されてもよい。
【0117】
上記実施形態において、抜止部材32の嵌合部322の周方向の全周が、ポート本体31の被嵌合部312に対して線接触又は部分的に面接触したが、これに限定されない。例えば、抜止部材32の嵌合部322の周方向の複数位置が、ポート本体31の被嵌合部312に対して部分的に接触してもよい。すなわち、ポート本体31の被嵌合部312及び抜止部材32の嵌合部322は、嵌合した状態で、周方向に間隔をあけた複数位置(箇所)で互いに接触するように形成されてもよい。
【0118】
また、被嵌合部312及び嵌合部322は、凹部又は凸部に限定されない。被嵌合部312及び嵌合部322は、嵌合した状態で被封止部310の中心線方向の力を伝達可能に形成されればよい。すなわち、被嵌合部312及び嵌合部322が互いに嵌合可能であることを条件に、被嵌合部312が被封止部310の第一端側を向く係合面(平面又は曲面)を有し、嵌合部322が被封止部310の第二端側を向き、且つ被嵌合部312における係合面(平面又は曲面)と対向する係合面(平面又は曲面)を有すればよい。
【0119】
なお、上記の各部材は、ポリエチレンやポリプロピレン等の各種公知の材料で成形することができる。また、上記の各部材は、射出成形法等の公知の方法によって成形することができる。
【符号の説明】
【0120】
1…薬液バッグ、2…バッグ本体、3…ポート、20…シート部材、21…シール部、22…収容室、22a…第一の収容室(空間)、22b…第二の収容室(空間)、23…弱シール部、30…封止栓、31…ポート本体、32…抜止部材、300…溝部、301…環状凹部、302…延出部、303…環状突出部、310…被封止部、310a…外壁部、310b…連続部、310c…支持部、311…接続部、312…被嵌合部、320…本体部、321…規制部、322…嵌合部、323…突出部、324…連結部、325…被連結部、326…破断予定部、327…延長部、N…中空針、P…ピールシール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18