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  • 特許-スペーサジョー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】スペーサジョー
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/16 20060101AFI20220308BHJP
   B23Q 3/06 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B23B31/16 D
B23Q3/06 301L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021010033
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2021-11-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521038175
【氏名又は名称】株式会社河本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121795
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴亀 國康
(74)【代理人】
【識別番号】240000246
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人岡野法律事務所
(72)【発明者】
【氏名】河本 宏
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-185305(JP,A)
【文献】実開平6-3504(JP,U)
【文献】特開2000-198002(JP,A)
【文献】実開昭53-166185(JP,U)
【文献】米国特許第6264210(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/00 - 31/42
B23Q 3/06
B23Q 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体であって、表面にセレーション形チャックの把持爪として成形されたソフトジョーSが嵌着される取付面Tと、裏面にクロスキー形チャックのマスタジョーMに嵌着させる取付面Mとを有し、前記取付面Tに設けられたセレーションに直交する対称面Psを有するスペーサジョーであって、
前記対称面Ps上に中心を有するねじ穴Tと貫通穴Tが、前記ソフトジョーSが螺着されるジョーナットのねじ穴のボルトピッチTに設けられてなるスペーサジョー。
【請求項2】
取付面Tは、ソフトジョーSのジョーナット溝に嵌合するキーナットを有することを特徴とする請求項1に記載のスペーサジョー。
【請求項3】
キーナットは、対称面Ps上に中心を有する一対のねじ穴Kに螺着される一対のキーナットA、Bであって、そのキーナットAがねじ穴Tと貫通穴Tの間に設けられてなることを特徴とする請求項2に記載のスペーサジョー。
【請求項4】
ねじ穴Tは取付面Mの横キーに囲まれる範囲部Pにあり、貫通穴TはキーナットAとキーナットBの間を貫通するように設けられてなることを特徴とする請求項2又は3に記載のスペーサジョー。
【請求項5】
スペーサジョーをクロスキー形チャックのマスタジョーMに螺着するねじの挿通穴として、貫通穴TとボルトピッチMに設けられた貫通穴Mが、対称面Ps上に中心を有するように設けられてなることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のスペーサジョー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セレーション形チャックにおいて工作物の把持爪として使用したソフトジョーをあらためて成形加工をしないでそのまま取付け、クロスキー形チャックの把持爪として使用することができるスペーサジョーに関する。
【背景技術】
【0002】
穴、ねじ又は溝などを有する円板や円筒などを加工するときは、例えば、NC旋盤により旋削加工を、マシニングセンタにより穴、ねじ、溝又は平面加工が行われる。かかる加工においては、NC旋盤やマシニングセンタに装着されたチャックのマスタジョーに応じ工作物を把持するためのソフトジョーが成形される。同一形状の加工物に対してはその成形済みのソフトジョーを再使用したいところ、高精度の加工を行うためにはチャックから取り外したソフトジョーは、再成形しなければならないという問題があった。このため、ソフトジョーのチャックへの取付け位置精度を向上してソフトジョーの再使用を可能にするための提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1に、ソフトジョーとマスタジョーがセレーションにより嵌合するセレーション形チャックにおいて、保持爪を取り付けるためのTナットにY軸方向の位置決めを目的としたレバーを具備したTナットが提案されている。このTナットによれば、ソフトジョーのX方向(チャックの半径方向)の取付け位置精度はセレーション嵌合により確保され、Y方向(チャックの周方向)の取付け位置精度はレバーにより確保されるので、成型したソフトジョーの再成形が不要になるとされる。
【0004】
特許文献2には、セレーション形チャックにおいて、連結部材(Tナット)は、マスタージョーの第1鍵溝部から突出し、トップジョーの第2鍵溝部に嵌合する鍵部を有し、前記第1鍵溝部及び前記第2鍵溝部の各々と前記鍵部との間には、隙間が存在し、前記当接面と前記被当接面とが密着することにより、前記第1鍵溝部及び前記第2鍵溝部の双方に対して、前記鍵部が傾くか捩られるように構成されているチャックが提案されている。このチャックは、第1鍵溝部及び第2鍵溝部の各々と鍵部との間に存在する隙間が小さくなるから、トップジョーがマスタージョーに対して周方向に位置ずれを生じるスペースが小さくなり、芯出し後にトップジョーを着脱しても、芯出し精度を高精度に維持できるとされる。そして、このチャックにおいて、トップジョーが前記連結部材よりも変形し易い軟質材からなる場合には、前記当接面と前記被当接面とが密着することにより、前記第2鍵溝部に前記鍵部が捩られて食い込むように構成されている、としてもよい。また、チャックは、前記第1鍵溝部及び前記第2鍵溝部の少なくともいずれか1つが、前記セレーションに対して傾いた方向に延びている、としてもよいとされる。
【0005】
特許文献3に、ワークを把握するチャック機構であって、チャック本体と、前記チャック本体の端面に設置され、所定のセレーションが形成された第1係合面を有する複数のマスタージョーと、前記マスタージョーの各々に設置され、前記第1係合面とは異なる所定のセレーションが形成された第2係合面を有する複数の生爪と、前記第1係合面に係合可能な第1対向係合面を一方の面に有し、前記第2係合面に係合可能な第2対向係合面を前記一方の面とは反対側の他方の面に有する複数の爪装着アダプタと、を有するチャック機構が提案されている。このチャック機構は、既存のマスタージョーやチャック機構を使用しながら、ワークの芯出し、あるいは一度取り外したワークを再現性よく取付け時間を短縮し、効率よくワークの加工を行うことができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-217752号公報
【文献】特許第6345375号公報
【文献】特開2020-62710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1又は2に記載の発明は、Tナット(ジョーナット)がマスタジョーに嵌挿されていることから生ずるソフトジョー(トップジョー)のマスタジョーに対する周方向の位置ずれを防止するための発明である。これらの発明によれば、芯出し後にソフトジョーを着脱しても、芯出し精度を高精度に維持でき、成形したソフトジョーの再成形加工が不要になるので好ましい。しかしながら、特許文献1~3に記載の発明は、いずれも同一のチャックに使用されるソフトジョーの繰り返し再使用を可能にすることを目的とする発明である。しかし、加工装置が異なるもの間の、例えば、NC旋盤とマシニングセンタのチャック間でソフトジョーをあらためて成形加工をしないでそのまま取付け(以下そのまま)、再使用を可能にする提案は見当たらない。
【0008】
また、マシニングセンタなどの加工装置はクロスキー形チャック(JIS B 6006-1、6006-2、6151)が用いられ、NC旋盤など大きな遠心力が作用するチャックにはセレーション形チャック(JIS B 6006-3)が用いられることが多い。クロスキー形チャックは、ソフトジョーとマスタジョーの嵌合面が、トングとグルーブ(キー及びキー溝)とがそれぞれ直交して形成する取付方式(JIS B 6151)になっている。このため、ソフトジョーをマスタジョーに螺結するボルトのボルトピッチは、セレーション形チャックに比較してクロスキー形チャックの方が長くなっており、ソフトジョーをセレーション形チャックとクロスキー形チャックとの間で共用するのは困難である。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、セレーション形チャックにおいて工作物の把持爪として使用したソフトジョーをそのままクロスキー形チャックの把持爪として使用し、高精度の旋削加工、穴、ねじ、溝又は平面加工等をすることができるスペーサジョーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るスペーサジョーは、板状体で対称面Psに対し左右対称で、表面にセレーション形チャックの把持爪として成形されたソフトジョーSが嵌着される取付面Tと、裏面にクロスキー形チャックのマスタジョーMに嵌着させる取付面Mとを有し、前記取付面Tは、前記対称面Psに直交するセレーションを有し、その対称面Ps上に中心を有するねじ穴Tと貫通穴Tが、前記ソフトジョーSが螺着されるジョーナットのねじ穴のボルトピッチTに設けられてなる。
【0011】
上記発明において、取付面Tは、ソフトジョーSのジョーナット溝に嵌合するキーナットを有するのがよい。そして、キーナットは、対称面Ps上に中心を有する一対のねじ穴Kに螺着される一対のキーナットA、Bであって、そのキーナットAがねじ穴Tと貫通穴Tの間に設けられてなるものがよい。
【0012】
また、ねじ穴Tは取付面Mの横キーに囲まれる範囲部Pにあり、貫通穴TはキーナットAとキーナットBの間を貫通するように設けられてなるのがよい。
【0013】
スペーサジョーをクロスキー形チャックのマスタジョーMに螺着するねじの挿通穴として、貫通穴TとボルトピッチMに設けられた貫通穴Mが、対称面Ps上に中心を有するように設けられてなるのがよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるスペーサジョーによれば、セレーション形チャックにおいて工作物の把持爪として使用したソフトジョーをそのままクロスキー形チャックの把持爪として使用し、高精度の旋削加工、穴、ねじ、溝又は平面加工等をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るスペーサジョーの構成を示す説明図である。
図2】セレーション形チャックの把持爪として成形されたソフトジョーSが本発明に係るスペーサジョーを介してクロスキー形チャックのマスタジョーMに螺着された状態を示す説明図である。
図3】セレーション形チャックと、そのマスタジョーTにソフトジョーを螺結した状態を示す説明図である。
図4】クロスキー形チャックと、そのマスタジョーMにソフトジョーを螺結した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について図面を基に説明する。本発明に係るスペーサジョーは、セレーション形チャックにおいて工作物の把持爪として成形及び使用したソフトジョーをそのままクロスキー形チャックの把持爪として使用し、高精度の旋削加工、穴、ねじ、溝又は平面加工等をすることができる。図1に、本発明に係るスペーサジョーの構成を示す。図2に、セレーション形チャックの把持爪として成形されたソフトジョーSが本発明に係るスペーサジョーを介してクロスキー形チャックのマスタジョーMに螺着された状態を示す。図3は、セレーション形チャックと、そのマスタジョーTにソフトジョーを螺着した状態を示す。図4は、クロスキー形チャックと、そのマスタジョーMにソフトジョーを螺着した状態を示す。
【0017】
先ず、一般的に行われるセレーション形チャック用のソフトジョーを成形し加工物の旋削加工を行う場合について説明する。図3に示すように、セレーション形チャック30は、マスタジョーT32とジョーナット33を有しており、ソフトジョー21はジョーナット33を介してマスタジョーT32に嵌着されるようになっている。マスタジョーT32はセレーション322を有し、ジョーナット33はボルトピッチTの一対のねじ穴335を有している。ソフトジョー21は、上記セレーション322に嵌合するセレーション212、ジョーナット33の頭部が嵌合するジョーナット溝214を有している。ソフトジョー21は、ねじ35によりジョーナット33に螺着されてマスタジョーT32に嵌着される。ジョーナット33は、マスタジョーT32に嵌挿されるようになっている。
【0018】
すべてのソフトジョー21がマスタジョーT32に嵌着されると、その中心側先端部の所定の旋削加工がされ、ソフトジョーの成形が行われる。そして、芯出しが行われたそのソフトジョーにより工作物を把持し、所定の旋削加工が行われる。ソフトソフトジョーの成形加工及び工作物の把持は、一般に、セレーション形チャックを装着する加工装置の取扱説明書等に基づいて行われる。
【0019】
図4に、クロスキー形チャック用のソフトジョーを成形し、加工物の穴、ねじ、溝又は平面加工を行う場合について説明する。クロスキー形チャック40は、図4に示すようにキー及びキー溝が直交して形成される取付面を有しており、そのマスタジョーM42は直交する縦キー424及び横キー溝422を有している。このマスタジョーM42にソフトジョー22が嵌着されるようになっている。ソフトジョー22は、縦キー424に嵌合する縦キー溝224と、横キー溝422に嵌合する横キー222を有する。一対のねじ45の中間部分に互いに嵌合する横キー222及び横キー溝422が存在するために、ボルトピッチMはボルトピッチTより大きくなっている。ソフトジョー22の成形は、上記セレーション形チャック用のソフトジョー21の成形と同様に行われる。そして、その成形されたソフトジョーにより加工物を把持して加工物の穴、ねじ、溝又は平面加工が行われる。
【0020】
上述のように、一般に、加工装置のチャックごとこれに合ったソフトジョーを成形しなければならないところ、成形したソフトジョーをマスタジョーから取り外し、再使用するときはそのソフトジョーのマスタジョーへの装着位置精度が必ずしも良くないという問題がある。本発明に係るスペーサジョーによれば、セレーション形チャック用に成形したソフトジョーをそのままクロスキー形チャックの把持爪として使用し、高精度の旋削加工、穴、ねじ、溝又は平面加工等をすることができる。
【0021】
本発明に係るスペーサジョー10は、図1に示すように、板状体であって、表面にセレーション形チャックの把持爪として成形されたソフトジョーS20(図2)が嵌着される取付面T100と、裏面にクロスキー形チャックのマスタジョーM42(図4)に嵌着させる取付面M110とを有している。スペーサジョー10の形状は対称面Psに対して対称であり、セレーション102は対称面Psに対して直交している。そして、スペーサジョー10は、対称面Ps上に中心を有するねじ穴T105と貫通穴T107が、ジョーナット33(図3)のねじ穴のボルトピッチTに設けられている。ジョーナット33は、上述のように、セレーション形チャック30のマスタジョーT32に装着されており、市販のソフトジョー21又はソフトジョーS20(図2)がジョーナット33を介してマスタジョーT32に嵌着されるようになっている。なお、スペーサジョー10のボルトピッチTは、上述のジョーナット33(ソフトジョー21)のボルトピッチTと同寸である。ソフトジョー21から成形されたソフトジョーS20は、工作物の把持爪として使用され、NC旋盤等により加工物の所定の旋削加工が行われる。
【0022】
所定の旋削加工が行われた後、ソフトジョーS20は、セレーション形チャックから取り外され、図2に示すように本スペーサジョー10を介してクロスキー形チャック40のマスタジョーM42に嵌着されて、加工物を把持しその穴、ねじ、溝又は平面加工が行われる。ソフトジョーS20は、図2に示すように、スペーサジョー10のセレーション102とソフトジョーS20のセレーション202が嵌合した状態で、スペーサジョー10にねじ15により嵌着される。ソフトジョーS20は、ジョーナット溝204を有し、成形・芯出しが行われた把持面205を有する。
【0023】
本発明に係るスペーサジョー10は、マスタジョーT32のセレーション322に所定の嵌合(JIB B6006-3)をするセレーション102を有している。そして、スペーサジョー10は、図2に示すように、セレーション形チャックの把持爪として成形されたソフトジョーS20をねじ15により螺着することができるようになっている。すなわち、ソフトジョーS20の取付位置は、取付面T100のセレーション102がなす直線と、対称面Ps上のねじ15の軸線と取付面T100との交点により特定されるようになっている。従って、マスタジョーT32にソフトジョー21を嵌着させて成形されたソフトジョーS20は、同等の位置精度でスペーサジョー10に嵌着させることができる。
【0024】
ソフトジョーS20は、スペーサジョー10における上記特定された位置が維持されるようになっているのがよい。ソフトジョーS20の半径方向の位置はセレーション結合(セレーション102、202)により確保される。このため、ソフトジョーS20の周方向の位置を維持するために、図2又は3に示すように、ソフトジョーS20のジョーナット溝204に嵌合するキーナット13を設けるのがよい。本例のキーナットは、対称面Ps上に中心を有する一対のねじ穴K106にねじ14により螺着される一対のキーナットA13A及びキーナットB13Bとして設けられている。キーナット13は、対称面Ps上に中心を有するため、マスタジョーT32に嵌挿されるジョーナット33より同等以上の高精度でソフトジョーS20の位置を特定することができる。そして、所定間隔で離隔した一対のキーナットA13A及びキーナットA13BによりソフトジョーS20の周方向の位置をそれぞれに特定することができるので好ましい。すなわち、簡単な構造及び形状を有するキーナットA13A及びキーナットB13Bにより、特許文献1又は2に記載のTナットと同等の効果を得ることができる。なお、上記キーナットA13Aは、ボルトピッチTの中間部分、すなわち、ねじ穴T105と貫通穴T107の間に設けるのがよい。キーナットA13Aをスペーサジョー10の基準位置であるねじ穴105の近くに設けることができ、コンパクトなスペーサジョー10を構成することができる。また、本例のスペーサジョー10は、キーナット13を嵌合させる縦溝104が設けられているが、キーナットはスペーサジョーと一体に設けることができる。ただし、本例のスペーサジョー10は、その取付面TがマスタジョーT32と同様の加工法で成形できる利点がある。
【0025】
スペーサジョー10の裏面は、図1(c)及び図2に示す様に、クロスキー形チャック40のマスタジョーM42に嵌着させる取付面M110を有している。この取付面M110は、横キー111とこれに直交する縦キー溝112を有しており、マスタジョーM42の縦キー424及び横キー溝422が嵌合するようになっている。スペーサジョー10は、ボルトピッチMのねじ17とねじ16によりマスタジョーM42に螺着される。ねじ16は、ソフトジョーS20及びスペーサジョー10を貫通し、マスタジョーM42に螺結されるようになっている。ねじ16が貫通する貫通穴T107及びねじ17が貫通する貫通穴M108は、対称面Ps上に中心を有し、ボルトピッチMになっている。このボルトピッチMは、マスタジョーM42のボルトピッチMと同寸である。これにより、コンパクトなスペーサジョー10を構成することができる。横キー111の対称線は、ボルトピッチMの中間点を通るようになっている。このため、スペーサジョー10の基準位置であるねじ穴105は、横キー111に囲まれる範囲部Pにあるように設けるのがよい。なお、横キー111の根元部にごみが堆積するのを防止するため、ぬすみ溝115が設けられている。
【符号の説明】
【0026】
10 スペーサジョー
100 取付面T
102 セレーション
104 縦溝
105 ねじ穴T
106 ねじ穴K
107 貫通穴T
108 貫通穴M
110 取付面M
111 横キー
112 縦キー溝
115 ぬすみ溝
13 キーナット
13A キーナットA
13B キーナットB
14、15、16、17 ねじ
20 ソフトジョーS
21、22 ソフトジョー
202 セレーション
204 ジョーナット溝
205 把持面
212 セレーション
214 ジョーナット溝
222 横キー
224 縦キー溝
30 セレーション形チャック
32 マスタジョーT
322 セレーション
33 ジョーナット
335 ねじ穴
35 ねじ
40 クロスキー形チャック
42 マスタジョーM
422 横キー溝
424 縦キー
45 ねじ
【要約】
【課題】セレーション形チャックにおいて工作物の把持爪として使用したソフトジョーをあらためて成形加工をしないでそのまま取付け(そのまま)、クロスキー形チャックの把持爪として使用し、高精度の旋削加工、穴、ねじ、溝又は平面加工等をすることができるスペーサジョーを提供する。
【解決手段】本発明に係るスペーサジョーは、板状体で対称面Psに対し左右対称で、表面にセレーション形チャックの把持爪として成形されたソフトジョーSが嵌着される取付面Tと、裏面にクロスキー形チャックのマスタジョーMに嵌着させる取付面Mとを有し、前記取付面Tは、前記対称面Psに直交するセレーションを有し、その対称面Ps上に中心を有するねじ穴Tと貫通穴Tが、前記ソフトジョーSが螺着されるジョーナットのねじ穴のボルトピッチTに設けられてなる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4