(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】分散型支持フレームを有する光起電力パネル
(51)【国際特許分類】
H02S 30/10 20140101AFI20220308BHJP
H02S 20/24 20140101ALI20220308BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20220308BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20220308BHJP
【FI】
H02S30/10
H02S20/24
H01L31/04 560
E04D13/18
(21)【出願番号】P 2018563596
(86)(22)【出願日】2017-06-28
(86)【国際出願番号】 US2017039809
(87)【国際公開番号】W WO2018005681
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-12
(32)【優先日】2016-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505379467
【氏名又は名称】サンパワー コーポレイション
(73)【特許権者】
【識別番号】516255873
【氏名又は名称】トータル マーケティング サービスィズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブネア、ガブリエラ エレナ
(72)【発明者】
【氏名】ゴーニー、リー
(72)【発明者】
【氏名】ムセス、ジョージ ナディム
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-158186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0048349(US,A1)
【文献】国際公開第2011/141293(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0060649(US,A1)
【文献】国際公開第2008/136095(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/139609(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102009035644(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H02S 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面層と背面層との間に光起電力電池を有する光起電力モジュールであって、前記背面層が側周部を有する背面を含む、光起電力モジュールと、
分散型支持フレームであって、
前記光起電力モジュールの前記背面上に取り付けられた
複数の支持ハブであり、前記側周部から内側に取り付けられた少なくとも1つの第1の支持ハブ
及び前記第1の支持ハブに対してさらに内側に取り付けられた第2の支持ハブを含む前記複数の支持ハブ、及び
前記背面にわたって前記第1の支持ハブ
と前記側周部との間で横方向に延在する第1の支持部材
と、前記第1の支持ハブと前記第2の支持ハブと間で横方向に延在する第2の支持部材と、を有する複数の支持部材と、を含む、分散型支持フレームと
を備える
光起電力パネル。
【請求項2】
前記第1の支持ハブは、前記側周部から前記背面の内側に取り付けられた上端部と、下端部におけるハブコネクタとを含み、
前記第1の支持ハブの前記上端部と支持スタンドの基部との間で前記分散型支持フレームの前記ハブコネクタに連結されたスタンドコネクタを有する支持スタンドを更に備える、請求項1に記載の光起電力パネル。
【請求項3】
前記
少なくとも1つの第1の支持ハブは、支持スパンによって
互いに横方向にオフセットされ
た複数の第
1の支持ハ
ブを含む、請求項1または2に記載の光起電力パネル。
【請求項4】
前記支持スパンが前記背面のモジュール幅の半分になるように、前記
複数の第1の支持ハ
ブは、前記背面の各4分の1地点に取り付けられている、請求項3に記載の光起電力パネル。
【請求項5】
前記第1の支持部材は、前記背面に面する支持面を含み、
外部荷重によって前記前面層が押圧されたとき、前記支持面は、前記背面に接触する、請求項3または4に記載の光起電力パネル。
【請求項6】
前記支持面は、
前記光起電力モジュールに外部荷重が加えられていない場合に無荷重間隙
だけ前記背面から分離され、
前記無荷重間隙は、前記
外部荷重によって前記前面層が押圧された
場合の前記光起電力モジュールの最大偏向より小さい、請求項5に記載の光起電力パネル。
【請求項7】
前記複数の支持部材のそれぞれは、各支持ハブから各部材先端部に向かって漸減する部材高さを有し、前記複数の支持部材の前記各部材先端部に連結された支持連結部を更に備える、請求項3から6のいずれか一項に記載の光起電力パネル。
【請求項8】
前記第2の支持ハブは、前記複数の第1の支持ハブのそれぞれから前記支持スパンの2分の1だけ横方向にオフセットされる、請求項3から7のいずれか一項に記載の光起電力パネル。
【請求項9】
前記前面層と前記背面層は弾性係数が異なる、請求項1から
8のいずれか一項に記載の光起電力パネル。
【請求項10】
前記前面層は、ガラスシートを含み、前記背面層は、高分子シートを含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載の光起電力パネル。
【請求項11】
前記
第1の支持部材は、前記背面に直交する前記第1の支持ハブを通って延在する鉛直軸を中心に対称的に
複数配置される、請求項1から
10のいずれか一項に記載の光起電力パネル。
【請求項12】
複数の前記第1の支持部材は、前記鉛直軸を中心にクロス構造において前記第1の支持ハブから延在する4個の支持部材を含む、請求項11に記載の光起電力パネル。
【請求項13】
前記第1の支持ハブは、前記第2の支持ハブを中心に対称的に複数配置され、
前記
第2の支持部材
は、
前記第2の支持ハブを通って延在する鉛直軸を中心に対称的に
複数配置され
る、請求項1から12のいずれか一項に記載の光起電力パネル。
【請求項14】
前記
第2の支持ハブは、前記背面に取り付けられた上端部と、下端部におけるハブコネクタとを含み、前記
第2の支持ハブの上端部と支持スタンドの基部との間で前記分散型支持フレームの前記ハブコネクタに連結されたスタンドコネクタを有する
第2の支持スタンドを更に備える、請求項
13に記載の光起電力パネル。
【請求項15】
複数の前記
第2の支持部材は、前記鉛直軸を中心にクロス構造において前記
第2の支持ハブから延在する4個の支持部材を含む、請求項
13又は14に記載の光起電力パネル。
【請求項16】
前面層と背面層との間に光起電力電池を有する光起電力モジュールであって、前記背面層が側周部を有する背面を含む、光起電力モジュールと、
分散型支持フレームであって、
前記光起電力モジュールの前記背面上に取り付けられた第1の支持ハブ、及び
前記背面にわたって前記第1の支持ハブから横方向に延在する第1の支持部材を含む、分散型支持フレームと、を備え、
前記第1の支持部材は、前記背面に面する支持面を含み、外部荷重によって前記前面層が押圧されたとき、前記支持面は、前記背面に接触し、
前記支持面は、前記光起電力モジュールに外部荷重が加えられていない場合に無荷重間隙だけ前記背面から分離され、前記無荷重間隙は、前記外部荷重によって前記前面層が押圧された場合の前記光起電力モジュールの最大偏向より小さい、
光起電力パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年7月1日に出願された先の同時係属中の米国特許仮出願第15/201,073号の優先権の利益を主張するものであり、その完全な開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
太陽電池として広く知られる光起電力(PV)セルは、太陽放射を電気エネルギーに変換するための周知の装置である。一般に、太陽電池は、半導体処理技術を用いて半導体ウェハ上又は基板上に作製され、基板の表面近くにp-n接合が形成される。基板の表面に当たる太陽放射線が、基板本体内に電子正孔対を作り、電子正孔対が基板内のpドープ領域及びnドープ領域に移動し、それによりドープ領域間に電圧差が生じる。ドープ領域は、太陽電池上の金属コンタクトに結合されて、電流がセルからセルに結合された外部回路に導かれる。一般に、相互接続された各太陽電池のアレイは、光起電力モジュールを提供するために、共通又は共用のプラットフォーム上に取り付けられる。光起電力モジュールは、光起電力積層体から構成され得る。複数の光起電力モジュール又はモジュール群は、光起電力システムを形成する電力分配ネットワークに電気的に結合されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】外縁部に沿って支持される光起電力モジュールを有する光起電力パネルを示す。
【0004】
【
図2】外縁部に沿って支持される光起電力モジュールを有する光起電力パネルの偏向分布を示す。
【0005】
【
図3】本開示の実施形態による、外部構造体に取り付けられた分散型支持フレームを有する光起電力パネルの斜視図を示す。
【0006】
【
図4】本開示の実施形態による、分散型支持フレームによって支持される光起電力モジュールの正面斜視図を示す。
【0007】
【
図5】本開示の実施形態による、
図4の線A-Aに関するモジュール積層体の断面図を示す。
【0008】
【
図6】本開示の実施形態による、分散型支持フレームによって支持される光起電力モジュールの背面斜視図を示す。
【0009】
【
図7】本開示の実施形態による、光起電力パネル、支持スタンド、及び外部構造体の分解図を示す。
【0010】
【
図8】本開示の実施形態による、外部構造体に取り付けられた支持スタンドに連結された光起電力パネルの側面図を示す。
【0011】
【
図9】本開示の実施形態による分散型支持フレームの正面斜視図を示す。
【0012】
【
図10】本開示の実施形態による、分散型支持フレームによって支持される光起電力モジュールの底面図を示す。
【0013】
【
図11】本開示の実施形態による、分散型支持フレームによって支持される光起電力モジュールの側面図を示す。
【0014】
【
図12】本開示の実施形態による、分散型支持フレームによって支持される光起電力モジュールを有する光起電力パネルの偏向分布を示す図を示す。
【0015】
【
図13】本開示の実施形態による、分散レールフレームによって支持される光起電力モジュールの背面斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は、本質的に単に例示的であり、主題の実施形態又はこのような実施形態の適用及び使用を限定することは意図されていない。本明細書で使用するとき、「例示的(exemplary)」という語は、「実施例、実例、又は例示としての役割を果たすこと」を意味する。本明細書で例示的として説明される実装はいずれも、必ずしも他の実装よりも好ましいか又は有利なものとして解釈されるべきではない。更には、前述の「技術分野」、「背景技術」、「発明の概要」、又は以下の「発明を実施するための形態」で提示される、明示又は暗示されるいずれの理論によっても、束縛されることを意図するものではない。
【0017】
本明細書は、「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」への言及を含む。「一実施形態では(in one embodiment)」又は「一実施形態では(in an embodiment)」という語句の出現は、必ずしも、同じ実施形態を指すものではない。特定の機能、構造、又は特性を、本開示と矛盾しない任意の好適な方式で組み合わせることができる。
【0018】
用語。 以下のパラグラフは、本開示(添付の「特許請求の範囲」を含む)で見出される用語に関する、定義及び/又はコンテキストを提供する。
【0019】
「備える」。この用語は、オープンエンド型である。添付の特許請求の範囲で用いられるように、この用語は、追加的な構造又は段階を排除するものではない。
【0020】
「~ように構成される」。 様々なユニット又は構成要素が、タスクを実行する「ように構成される」として説明又は請求されることがある。そのようなコンテキストでは、「~ように構成される」は、それらのユニット/構成要素が、動作中にそれらのタスクを実行する構造を含むことを示すことによって、その構造を含意するために使用される。それゆえ、ユニット/構成要素は、指定のユニット/構成要素が現時点で動作可能ではない(例えば、オン/アクティブではない)場合であっても、そのタスクを実行するように構成されていると言うことができる。ユニット/回路/構成要素が、1つ又はそれより多くのタスクを実行する「ように構成される」と記載することは、そのユニット/構成要素に関して、米国特許法第112条第6項が適用されないことを、明示的に意図するものである。
【0021】
「第1の」、「第2の」等。本明細書で使用するとき、これらの用語は、それらが前に置かれる名詞に関する指標として使用されるものであり、いずれの種類の(例えば、空間的、時間的、論理的等の)順序付けも暗示するものではない。例えば、「第1の」縁部への言及は、この縁部が、順序として第1の縁部であることを必ずしも暗示するものではなく、その代わりに、「第1の」という用語は、この縁部を別の縁部(例えば、「第2の」縁部)から差異化するために使用される。
【0022】
「結合される」-以下の説明は、要素若しくはノード又は機能が一体に「結合される」ことについて言及する。本明細書で使用するとき、明示的に別段の定めがある場合を除き、「結合される」とは、1つの要素/ノード/機能が、別の要素/ノード/機能に、直接的又は間接的に連結される(又は、それと直接的若しくは間接的に連通する)ことを意味するものであり、これは、必ずしも機械的なものではない。
【0023】
更には、特定の語法はまた、以下の説明において参照目的のためにのみ使用される場合があり、それゆえ、限定的であることを意図されていない。例えば、「上側」、「下側」、「より上」、「より下」、「の前に」及び「背後に」等の用語は、参照される図面内での方向を指す。「表側」、「裏側」、「後方」、「側面」、「外側」、「内側」、「左側」及び「右側」等の用語は、議論されている構成要素について説明する本文及び関連図面への参照によって明らかにされる一貫性はあるが任意である基準枠内での、構成要素間の部分の向き及び/又は位置を説明するか、あるいは構成要素間の相対的な向き及び/又は位置を説明するものである。そのような語法は、具体的に上述された語、それらの派生語、及び類似の意味の語を含み得る。
【0024】
「抑制する」-本明細書で使用するとき、抑制する、とは、効果を低減又は最小化することを説明するために使用される。構成要素又は機能が、作用、動作、若しくは条件を抑制するものとして説明される場合、それは、完全に、その結果若しくは成果又は将来の状態を完全に阻止し得るものである。更に、「抑制する」はまた、さもなければ生じ得るであろう成果、性能、及び/又は効果を低減又は減少させることに言及することができる。したがって、構成要素、要素、又は機能が、結果又は状態を抑制するとして言及される場合、これらの構成要素、要素、又は機能は、その結果若しくは状態を完全に阻止又は排除する必要はない。
【0025】
PVモジュールは、フロントシートとバックシートの間に封入されたPVセルを有するモジュール積層体を含み得る。例えば、PVセルは、一般にフロントガラスシートとバックガラスシートの間に封入される。支持フレームが一般にPVモジュールの外縁部に装着され、PVパネルが形成される。支持フレームは、外縁部に沿ってPVモジュールを支持する。それゆえ、外部荷重、例えば風荷重又は雪荷重によって、フロントガラスシートが下方へ押圧された場合、外部荷重全体が外縁部に沿って上向きの反発力によって相殺される。
【0026】
図1を参照すると、外縁部に沿って支持される光起電力モジュールを有する光起電力パネルが示されている。既存の光起電力(PV)パネルは、外縁部104に沿ってPVモジュール106を支持する支持フレーム102を含む。支持フレーム102は、外部構造体108、例えば屋上に取り付けられ得る。それゆえ、例えばPVモジュール106が下方へ押圧されたことによって、環境負荷がPVモジュール106に加えられた場合、外部構造体108によって上向きの反発力が支持フレーム102を通じて外縁部104に伝達される。したがって、環境負荷が外縁部104に沿って分散された反発力によって打ち消され、外縁部間のPVモジュール106は端部を支持された梁として機能する。すなわち、PVモジュール106は、環境負荷によって加えられた下向きの力を受けて垂下する。
【0027】
図2を参照すると、外縁部104に沿って支持される光起電力モジュールを有する光起電力パネルの偏向分布が示されている。PVパネル100に外部荷重が加えられた場合、PVモジュール106は向かい合った外縁部104の間でたわむ。より具体的には、PVモジュール106は、外縁部104の支持部間で様々な角度に偏向し得る。 例えば、PVモジュール106は、外縁部104の近くで、最小偏向面積である支持偏向202を有し得る。 外縁部104から離れて、PVモジュール106は設計偏向204を有し得る。 設計偏向204は、PVモジュール106にクラックを生じる前に生じ得る最大偏向206と比べて、所定の安全係数を有する偏向であってよい。外縁部104からさらに離れた位置で、PVモジュール106は最大偏向206を有し得る。 最大偏向206は、PVモジュール106にクラックが生じる統計上の可能性が高い偏向であってよい。 最大偏向206は、PVモジュール106を押圧する設計荷重に対応し得る。 例として、設計荷重は、PVモジュール106の表面にわたって6,000パスカルの圧力であってよい。設計荷重は、均一な降雪に対応し得る。しかしながら、実世界の荷重は設計荷重と異なる可能性があり、それゆえ、PVモジュール106は外縁部104間の1つ又はそれより多くの位置で過偏向208に偏向し得る。 過偏向208は、PVモジュール106にクラックが生じる偏向であり得る。
【0028】
PVモジュール106は、環境負荷の下でクラックの発生を抑制するために十分な厚さを有するガラス-ガラス積層体を含み得る。例えば、PVモジュール106に過偏向208が生じる可能性を低減するべく、ガラス-ガラス積層体は3mmを超える厚さを有するガラスシートを用いて形成され得る。しかしながら、そのようなPVモジュール106は、製造すること、および設置場所へ輸送することの両方に費用がかかる可能性がある。更には、ガラス-ガラス積層体モジュールは、取り扱い上の損傷が生じる可能性がより高くなり得るので、設置が特に困難である可能性がある。それゆえ、環境負荷の下でクラックの発生を抑制することができるより軽量なPVパネルは、従来技術に対する改善を提供することができる。
【0029】
1つの態様では、PVパネルは、提供されるPVモジュールの背面にわたって延在する支持部材を有する分散型支持フレームを含む。より具体的には、PVパネルは、ガラス-ガラス積層体と比べて製造および輸送により費用がかからないフロントガラスシート並びに後部高分子シートを有するPVモジュールを含み得る。 更には、PVパネルは、PVモジュールを後部高分子シートの背面に亘って支持するための分散型支持フレームを含み得る。それゆえ、PV積層体がガラス-ガラス積層体より可撓性が高い場合でも、外部荷重がPVモジュールの幅にわたって分散され得るので、PVモジュールは外部荷重の下での偏向がより少ない可能性がある。したがって、支持スパンは、向かい合った外縁部の間の支持スパンと比べて短くしてよく、モジュール偏向がこれに対応して低減し得る。したがって、背面にわたって支持されるPVモジュール内のPVセルは、クラックの発生による影響をより受けにくい可能性がある。
【0030】
上述された態様は、本明細書に開示する分散型支持フレームによって支持されるPVモジュールを有するPVパネルによって実現され得る。以下の説明では、本開示の実施形態の完全な理解を提供すべく、具体的な材料の管理体制及び構成要素の構造等の多くの具体的な詳細が述べられる。これらの具体的な詳細なしに、本開示の実施形態を実践することができる点が、当業者には明らかとなるであろう。他の例では、PVモジュールの構成要素を積層するための機械的連結器又は技術の具体的な種類等の周知の製作技術又は構成要素の構造は、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないために詳細には説明されない。更には、図に示される様々な実施形態は、例示的な表現であって、必ずしも原寸に比例して描写されるものではないことを理解されたい。
【0031】
一例として、分散型支持フレームによって支持されるPVモジュールを有するPVパネルが本明細書で開示される。一実施形態では、PVモジュールは積層構造を有してよく、例えば、ガラスフロントシートと高分子バックシートの間にPVセルが封入され得る。分散型支持フレームは、バックシートの背面上に取り付けられた支持ハブを含んでよく、支持部材は支持ハブからPVモジュールの背面にわたって横方向に延在し得る。例えば、分散型支持フレームは、支持ハブから放射状に広がる複数の支持部材を含んでよく、支持部材は支持ハブを通って延在する鉛直軸を中心に対称的に配置され得る。したがって、分散型支持フレームは支持位置間のPVモジュールのスパン長を短くしてよく、それゆえ、モジュール積層体が環境負荷を受けてクラックを生じる可能性を低減し得る。
【0032】
一実施形態では、支持ハブは、支持スタンドのスタンドコネクタと相互連結させることができるハブコネクタを含み得る。更には、支持スタンドは、外部構造体、例えば屋根に取り付けられ得る。それゆえ、設置中にPVパネルを支持スタンドに迅速に接続することができ、外部構造体は上向きの反発力を支持スタンドを通じてPVパネルに伝達させることができ、PVモジュールにかけられた下向きの環境負荷、例えば雪荷重が打ち消される。
【0033】
図3を参照すると、本開示の実施形態による、外部構造体に取り付けられた分散型支持フレームを有する光起電力パネルの斜視図が示されている。PVパネル300は、下層の分散型支持フレーム304に取り付けられた1つ又はそれより多くのPVモジュール302を含み得る。 より具体的には、PVモジュール302のそれぞれは、各分散型支持フレーム304がモジュールの下面を上方へ押圧されるように、各分散型支持フレーム304に装着することができる。分散型支持フレーム304は、外部構造体306によって順に支持され得る。 例えば、分散型支持フレーム304は、設置場所のレール、梁、及び/又は屋根構造に取り付けられ得る。したがって、分散型支持フレーム304は、外部構造体306より上にPVモジュール302を保持し得る。
【0034】
図4を参照すると、本開示の実施形態による分散型支持フレームによって支持される光起電力モジュールの正面斜視図が示されている。PVパネル300の代表的なPVモジュール302が示されているが、PVパネル300は複数のPVモジュール302を含み得る。PVモデルモジュールのそれぞれは、1つ又はそれより多くのPVセル402を有し得る。例えば、PVセル402は、PVモジュール302の外縁部から内側に格子状に、すなわち複数の行又は列において配置され得る。より具体的には、PVセル402は、PVモジュール302の外縁部から横方向内側に1つ又はそれより多くのPVセルストリング内に電気的に接続され得る。外縁部はPVモジュール302のPVセル402の周りに側周部404が画定され得る。PVパネル300のPVモジュール302は、PVセル402のストリングより下に隠れている分散型支持フレーム304によって保持され得る。
【0035】
図5を参照すると、本開示の実施形態による、
図4の線A-Aに関するモジュール積層体の断面図が示されている。PVモジュール302は、モジュール積層体502を含み得る。より具体的には、モジュール積層体502は、前面層504と背面層506の間に複数のPVセル402を含む積層化構造体を含み得る。例えば、前面層504と背面層506の間にPVセル402を封入してよく、PVセル402にわたって前面層504と背面層506との両方の間に封入材508を積層化し得る。封入材508は、優れた粘着特性及び光透過特性を有し得る。例えば、封入材508は、熱可塑性オレフィン、例えばポリエチレンを含み得る。したがって、封入材508はPVセル402を前面層504及び背面層506に接着することができ、光を前面層504又は背面層506に透過させて、エネルギー変換のためにPVセル402に取り込ませ得る。
【0036】
前面層504及び背面層506は、平行な横断面に沿って同一の広がりを有し得る。例えば、前面層504は側周部404の向かい合った縁部の間を横断して延在する前面510を有してよく、背面層506は側周部404の向かい合った縁部の間を横断して延在する背面512を有してよい。
【0037】
一実施形態では、フロントシートは透明素材のシートを含む。例として、前面層504はガラスシートを含み得る。更には、PVセル402は、前面層504を通じて太陽光を受けるために上向きのセル面を有し得る。したがって、エネルギー変換のため、太陽光が前面層504を通ってPVセル402に伝達され得る。
【0038】
一実施形態では、前面層504と背面層506は異なる材料から形成される。例として、前面層504はガラスシートを含んでよく、背面層506は高分子シートを含んでよい。そのようなものとして、前面層504と背面層506は弾性係数が異なり得る。より具体的には、前面層504は第1の係数を有する第1の材料から形成されてよく、背面層506は第2の係数を有する第2の材料から形成されてよい。そのような積層構造体は非対称積層構造体として言及され得る。一実施形態では、非対称積層構造体の層は外部荷重の下で異なる様々な仕方で偏向する傾向がある。例えば、非対称積層構造体は応力を積層体断面の全体にわたって不均衡に分散する場合があり、それゆえ、非対称積層構造体は所与の荷重の下で典型的なガラス-ガラスモジュールより大きく屈曲し得る。したがって、非対称積層構造体は、側周部404間で分散された方式で背面層512を支持する分散型支持フレーム304から恩恵を受け得る。
【0039】
前面層504及び背面層506は異なる弾性係数を含み得るが、層は代替的に同じ弾性係数を含み得る。例えば、前面層504及び背面層506は、同じ材料、例えばガラス-ガラス又は高分子-高分子から形成され得る。高分子前面層504と高分子背面層506とを有するPVモジュール302の場合では、PVモジュール102は可撓性を有するパネルであってよい。PVモジュール302は、それにもかかわらず、分散型支持フレーム304によって適切に支持することができ、軽量かつ堅牢なPVパネル300が提供される。
【0040】
図6を参照すると、本開示の実施形態による、分散型支持フレームによって支持される光起電力モジュールの背面斜視図が示されている。PVパネル300の分散型支持フレーム304は、PVモジュール302の背面512上に取り付けられた1つ又はそれより多くの支持ハブ602を含む。以下に説明するように、支持ハブ602のそれぞれは、外部構造体306に取り付けることができ、上向きの反発力が背面512に伝達される。 支持ハブ602は、側周部404から内側に背面512上に取り付けられ得る。したがって、モジュール積層体502は中心鉛直軸604のより近くで支持され得る。例えば、制御鉛直軸604は、PVモジュール302の中心で背面512に直交する中心支持ハブ602を通って延在し得る。同様に、支持ハブ602のそれぞれは各鉛直軸604に沿って配置することができ、この軸に沿って外部構造体306から支持ハブ602及びPVモジュール302に反発力が伝達される。それゆえ、スパン部、すなわちPVモジュール302の非支持部は、鉛直軸604間のスパン長を有してよく、スパン長は
図1に示されるPVパネル100のスパン長と比べて短くしてよい。すなわち、支持ハブ602間の非支持部は、外縁部104間の非支持部より小さくし得る。
【0041】
一実施形態では、分散型支持フレーム304は、支持ハブ602から背面512にわたって横方向に延在する支持部材606を含む。より具体的には、背面512上の各支持ハブ602は、支持ハブ602と側周部404の間で横断方向又は横方向に放射状に広がる少なくとも1つの支持部材606を含み得る。支持部材606は支持ハブ602に装着された固定結合体であってよく、それゆえ、支持ハブ602と支持部材606は単一支持構造体として機能し得る。例えば、支持部材606は支持ハブ602より外側に延在する片持ち梁として機能してよく、それゆえ、外部構造体306から支持ハブ602へと伝達された上向きの力が支持ハブ602及び支持部材606によってモジュール積層体502に伝達され得る。すなわち、PVモジュール302が外部荷重の加重を受けて屈曲した場合、そのモジュールは支持部材606に接触する可能性があり、それゆえ、支持ハブ602及び支持部材606にわたっての、並びに支持ハブ602と支持部材606との間のスパン長にわたっての、モジュール積層体502の屈曲は限定的であり得る。
【0042】
複数の支持部材606が各支持ハブ602から横方向に延在してよい。例として、
図6に示された鉛直軸604に沿って配置された中心支持ハブ602は、鉛直軸604を中心に対称的に配置された複数の支持部材606を含み得る。一実施形態では、支持ハブ602から横方向に3つの支持部材606が延在し、支持部材606のそれぞれが120°の角度で他の支持部材606から分離される。同様に、支持ハブ602から横方向に4つの支持部材606が延在してよく、支持部材606のそれぞれが90°の角度で別の支持部材606から分離され得る。言うまでもなく、本説明の範囲内で、より多い又はより少ない、支持部材606が、対称若しくは非対称の配置において支持ハブ602から扇形に広がり得る。
【0043】
図7を参照すると、本開示の実施形態による光起電力パネル、支持スタンド、及び外部構造体の分解図が示されている。支持ハブ602のそれぞれは、モジュール積層体502の背面512上に、例えば側周部404から内側に取り付けられた上端部702を含み得る。更には、上端部702から、取り付け面により近い下端部704にかけて、支持ハブ602が鉛直に延在し得る。より具体的には、鉛直軸604に沿って下端部704が上端部702から鉛直にオフセットされ得る。 したがって、支持ハブ602はPVモジュール302を取り付け面より上に保持することができ、設置後、空気をPVモジュール302の下に、すなわちPVモジュール302と外部構造体306の間に、流すことができる。そのような気流は、鉛直オフセットが1cmの小ささであっても、PVモジュール302に有益な冷却を提供することができる。
【0044】
支持ハブ602は、外部構造体306への装着を容易にするために、機械的連結器を含んでよい。 より具体的には、支持ハブ602は下端部704におけるハブコネクタ706を含んでよい。ハブコネクタ706は、様々な相互連結機構のいずれかであってよい。例えば、ハブコネクタ706は、雄又は雌の固定具機能であってよく、これによってハブコネクタ706を支持スタンド710の嵌合スタンドコネクタ708に装着することが可能となる。例として、ハブコネクタ706及びスタンドコネクタ708は、留め金機能の嵌合構成要素であってよい。例えば、ハブコネクタ706は、スタンドコネクタ708のへりが係合して支持スタンド710が支持ハブ602に相互連結される溝を含み得る。但し、ハブコネクタ706及びスタンドコネクタ708は、他の相互連結機構によって具現化されてよい。例えば、コネクタは、ねじ付き固定具、掛合及び溝による固定具、クレビス固定具等の嵌合構成要素であってよい。
【0045】
一実施形態では、支持スタンド710は、外部構造体306、例えば屋根と、分散型支持フレーム304の支持ハブ602の間の中間物である。より具体的には、上向きの反発力が支持スタンド710を通じて支持ハブ602に伝達され得る。したがって、支持スタンド710を外部構造体306に直接、取り付けてよい。例えば、支持スタンド710は、外部構造体306に固定又は装着することができる基部712、例えばフランジを含み得る。したがって、スタンドコネクタ708が支持ハブ602の上端部702と支持スタンド710の基部712との間でハブコネクタ706に連結され得る。より具体的には、スタンドコネクタ708がPVモジュール302と外部構造体306との間でハブコネクタ706に鉛直の位置に連結され得る。
【0046】
図8を参照すると、本開示の実施形態による、外部構造体に取り付けられた支持スタンドに連結された光起電力パネルの側面図が示されている。ハブコネクタ706はスタンドコネクタ708と相互連結させることができ、支持ハブ602と支持スタンド710を組み合わせることによって単一支持体が形成される。一実施形態では、支持スタンド710の基部712がレール802に取り付けられる。レール802は、支持スタンド710を保持するために使用されるクロス部材であってよい。例えば、レール802は支持スタンド710(
図8)と一体であってよく、又は代替的に、レール802は基部712より下に、及び支持スタンド710と外部構造体306との間に配置されてよい。それゆえ、支持スタンド710は、任意でレール802の上部に置いてよい。 一実施形態では、支持スタンド710の基部712は外部構造体306、例えば屋根に直接、装着される。いずれの場合でも、外部構造体306はPVモジュール302に鉛直の支持を提供することができ、支持が1つ又はそれより多くの支持スタンド710又は支持ハブ602を通じてPVモジュール302に伝達され得る。
【0047】
支持ハブ602と支持スタンド710との間の相互連結機構、すなわちハブコネクタ706とスタンドコネクタ708との相互連結動作は、迅速な取り外しが可能な、2つの部分からなる、外部構造体306への装着部が提供される。例えば、ハブコネクタ706とスタンドコネクタ708を相互接続するために使用されるスナップ機能の場合では、支持スタンド710をレール802又は外部構造体306に取り付けることができ、構成要素を所定の位置にスナップさせることによって支持ハブ602を支持スタンド710に迅速に接続することができる。そのような迅速接続機構によって、PVパネル300を外部構造体306に設置するために必要となる時間が有利に短縮される。
【0048】
図9を参照すると、本開示の実施形態による分散型支持フレームの正面斜視図が示されている。分散型支持フレーム304は、単一支持構造体を形成するために一体に繋がれた複数の別個の構成要素を含み得る。例えば、分散型支持フレーム304は、1つ又はそれより多くの支持連結部904によって一体結合された複数のクロス構造体902を含み得る。例えば、分散型支持フレーム304は、4つのクロス構造体902を含み得る。クロス構造体902のそれぞれは、鉛直軸604を中心に十字模様に各支持ハブ602から延在する4つの支持部材606を含み得る。更には、各クロス構造体902の少なくとも1つの支持部材606を、中心支持連結部904によって他のクロス構造体902の対応する支持部材606に連結することができる。同様に、クロス構造体902のそれぞれは、横向き中心支持連結部904によってペリメータフレーム906に結合された支持部材606を含み得る。より具体的には、分散型支持フレーム304の支持部材606は、各部材先端部908を有してよく、その先端部は、例えばねじ付き固定具によって、対応する支持連結部904に固定することができる。したがって、分散型支持フレーム304は、相互接続された支持下部構造体を含んでよく、その構造体は一体結合されて、PVモジュール302に局部的な支持を背面512にわたって、及びPVモジュール302の側周部404から内側に分散された位置で、提供するための骨格を形成する。
【0049】
分散型支持フレーム304上でPVモジュール302に外部荷重が加えられた場合、その力は支持ハブ602及び支持部材606に亘って分散される。より具体的には、支持ハブ602及び/又は支持部材606は、PVモジュール302の背面512に面する支持面912を含み得る。例えば、支持面912は、PVモジュール302の下面に支持面912による切り傷がつかないようにPVモジュール302の加重を受けてその荷重を分散させるべく、平面、例えば矩形平坦部分又は環状平坦部分を含み得る。 すなわち、荷重は、PVモジュール302の背面512に沿って分散型支持フレーム304の上面に亘って分散され得る。 以下に説明するように、荷重を分散型支持フレーム304の支持面912に亘って分散させることによって、PVモジュール302内の局部的な応力を減少させることができ、PVモジュール302が環境負荷を受けてクラックを生じる可能性を低減し得る。
【0050】
図10を参照すると、本開示の実施形態による、分散型支持フレームによって支持される光起電力モジュールの底面図が示されている。分散型支持フレーム304のペリメータフレーム906は、PVモジュール302に対応する形状を有し得る。例えば、PVモジュール302は四角形であってよく、それゆえ、ペリメータフレーム906はPVモジュール302の矩形輪郭に一致する4つの角及び4つの辺を含み得る。それゆえ、分散型支持フレーム304は、PVモジュール302のモジュール幅1002に等しい幅を含み得る。
【0051】
一実施形態では、分散型支持フレーム304は、側周部404より内側の背面512に取り付けられた複数の支持ハブ602を含む。更には、支持ハブ602は、背面512に沿って互いから横方向にオフセットされ得る。より具体的には、支持ハブ602のそれぞれは別の支持ハブ602から支持スパン1004によって分離され得る。支持スパン1004は、各支持ハブ602を貫通する鉛直軸間の距離であり得る。したがって、支持ハブ602の異なる対同士の間の支持スパン1004は同じである場合もあれば異なる場合もある。すなわち、支持ハブ602の第1の対を分離している距離は、支持ハブ602の第2の対を分離している距離と異なり得る。
【0052】
支持ハブ602は、PVモジュール302からの外部荷重を均一に分散させる方式で、背面512に亘って分散され得る。例えば、分散型支持フレーム304の支持ハブ602は、背面512の各4分の1点1006に取り付けられ得る。4分の1点1006は、背面512の象限の中心として定義され得る。より具体的には、4分の1点1006は、側周部404の第1の縁部(
図10に鉛直に示す)から、モジュール幅1002を4で割った値に等しい距離を隔てて分離され得る。同様に、4分の1点1006は、側周部404の第2の縁部(
図10に水平に示す)から、モジュール高さ(モジュール幅1002に直交する)を4で割った値に等しい距離を隔てて分離され得る。したがって、支持スパン1004は、モジュール幅1002及び/又はモジュール高さの半分であってもよい。分散型支持フレーム304はまた、背面512の中心に、すなわち背面512のハーフポイント1010に、配置された支持ハブ602を含み得る。4分の1点1006及びハーフポイント1010の説明は例として提示されるものであること、及び支持ハブ602は費用及び環境負荷に関する考慮事項に応じて背面512の任意の位置に取り付けられ得ることが理解されるであろう。それゆえ、PVモジュール302からの荷重は、支持ハブ602における複数の点荷重の近くで、及び支持ハブ602を支持するために接続された複数の支持部材606に亘って、分散され得る。
【0053】
PVモジュール302及び分散型支持フレーム304は、矩形及び/又は四角形として例示され説明されてきた。しかしながら、PVモジュール302及び分散型支持フレーム304は任意の形状を有し得ることが理解されるであろう。例えば、PVパネル300の構成要素は、円形、三角形、五角形等の輪郭を有するペリメータフレーム906及び/又は側周部404を含み得る。
【0054】
図11を参照すると、本開示の実施形態による、分散型支持フレームによって支持される光起電力モジュールの側面図が示されている。横方向に延在する、分散型支持フレーム304の支持部材606は、部材高さ1102、すなわち上述したように上端部702と下端部704との間の鉛直距離を含み得る。一実施形態では、部材高さ1102は支持ハブ602から部材先端部908に向かって横方向に漸減する。例えば、支持ハブ602における支持部材606の部材高さ1102が部材先端部908における支持部材606の部材高さ1102より大きい場合がある。支持部材606の輪郭が徐々に小さくなることによって、PVパネル300の側面から、すなわちPVモジュール302と外部構造体306との間の間隙を通じて、PVモジュール302の下面により接近し易くなり得る。 容易に接近可能な間隙を設けることによって、PVモジュール302の下面に取り付けられた電子回路、例えばマイクロインバーター(図示せず)の、挿入及び/又はそれへの接近が可能になり得る。
【0055】
分散型支持フレーム304、及びPVモジュール302と外部構造体306との間の容易に接近可能な間隙を設けることによって、従来型の支持フレームと比べて、冷却を増強するためにPVモジュール302から離れて熱放散及び/又は熱伝導を増強させることができるという付加的な利点が生まれ得る。例えば、分散型支持フレーム304とPVモジュール302との間の表面接触が増えると、PVモジュール302のPVセルから離れて伝導性熱伝達が増強され得る。更には、容易に接近可能な間隙を設けることによって、PVモジュール302の下の気流が増加し、分散型支持フレーム304の部材を対流によって冷却することが可能になり得る。それゆえ、PVモジュール302に提供されている機械的支持が向上していることに加え、分散型支持フレーム304がヒートシンクとして機能し、PVモジュール302から離れて熱伝導を向上させ、PVモジュール302の動作温度を下げることができる。
【0056】
分散型支持フレーム304の構成要素は、様々な材料から作製され得る。例えば、支持ハブ602及び/又は支持部材606は、プラスチック製又は金属製のいずれかであり得る。分散型支持フレーム304をプラスチックから作製することは有利であり得る。それは、例えば
図1に示したアルミニウム製支持フレーム102と比べて、分散型支持フレーム304の重量がそうすることでより軽くなるからである。一実施形態では、分散型支持フレーム304は、低強度ポリプロピレン、例えば高密度ポリエチレンと少なくとも同程度に高い強度を有するプラスチックから作製される。プラスチック製分散型支持フレーム304は外部荷重を受けても不具合を生じない場合があるが、支持フレーム102はそのフレームがプラスチックから作製された場合は不具合を生じ得ることが理解されるであろう。分散型支持フレーム304では荷重が支持フレーム102より広い表面積に亘って広がり、それゆえ、分散型支持フレーム304の構成要素にかかる局部的な応力が支持フレーム102の構成要素にかかる局部的な応力より比較的小さくなり得るので、プラスチック製分散型支持フレーム304は不具合を生じない場合がある。しかしながら、分散型支持フレーム304は、金属又は炭素繊維複合材等の複合材料を含む任意の材料から形成され得る。
【0057】
一実施形態では、分散型支持フレーム304を軽量の絶縁材から作製することにより、システムの安全性が強化され得る。例えば、上述したように環境負荷がフレームシステムに亘って分散され得ることを考えると、分散型支持フレーム304を作製すべく、比較的低い材料強度を有する絶縁材、例えば高分子材又はガラス材を使用してもよい。絶縁材を使用すると、分散型支持フレームは、PVシステムの作業を行う設置者又は技術者を感電させ得る電荷を帯びないため、フレームを接地する必要がなくなり得る。したがって、絶縁材から作製された分散型支持フレーム304を使用することによって、電気ショックが生じる可能性が低減され得る。
【0058】
支持部材606の上面が、PVモジュール302に直接隣接して示されている。より具体的には、PVモジュール302の背面512が支持部材606の支持面912に接触して表示されている。しかしながら、一実施形態では、PVモジュール302の背面512が無荷重間隙(図示せず)によって支持部材606の支持面912から分離されている。無荷重間隙は、PVモジュール302に外部荷重が加えられていない場合の背面512と支持面912との間の間隙又は空隙として定義され得る。より具体的には、無荷重間隙は、PVモジュール302が環境負荷を受けずに支持ハブ602によって支持されている場合の支持面912と背面512との間の距離であり得る。無荷重間隙は、設計荷重によって前面層504が押圧された場合のPVモジュール302の最大偏向より小さくてよい。例えば、PVモジュール302は、6,000パスカルの外部荷重が前面層504に加えられたときに分散型支持フレーム304の支持スパン1004にわたって10mmより小さく、例えば5mmで、偏向するように設計され得る。したがって、無荷重間隙は、PVモジュール302が、外部荷重が加えられていない場合に支持ハブ602間でぶら下がり、その後、外部荷重が加えられた場合に屈曲して支持部材606と接触することを可能にするため、5mmより小さく、例えば3mmであってよい。同様に、支持スパン1004は、設計荷重によって前面層504が押圧された場合のPVモジュール302の屈曲を所定偏向より小さく、例えば10mmより小さく限定するための所定距離であり得る。それゆえ、PVモジュール302は、外部荷重が加えられていない場合には側周部404より内側の支持ハブ602のみによって支持されることができ、外部荷重が加えられた場合には比較的より広い分散表面積にわたって支持ハブ602及び支持部材606の両方によって支持され得る。更には、PVモジュール302の偏向は、分散型支持フレーム304より上の位置の両方、及び、分散型支持フレーム304の構成要素間の支持スパン1004内で、所定の最大偏向より小さくてよい。
【0059】
図12を参照すると、本開示の実施形態による、分散型支持フレームによって支持される光起電力モジュールを有する光起電力パネルの偏向分布が示されている。PVパネル300の分散型支持フレーム304は、PVモジュール302の偏向を限定するように設計され得る。より具体的には、最大支持スパン1004、すなわちPVモジュール302が支持される任意の2つの位置間の最大距離、を提供してPVモジュール302の偏向を所定の範囲内で維持すべく、支持ハブ602及び支持部材606がPVモジュール302の背面512にわたって分散され得る。一実施形態では、PVモジュール302は分散型支持フレーム304にわたっての領域内で支持偏向202を有し得る。すなわち、支持部材606にわたってのPVモジュール302の偏向は、PVモジュール302がクラックの発生によって不具合を生じるまで許容される最大偏向の範囲内に十分に収まり得る。PVモジュール302は、分散型支持フレーム304から横方向に離間した領域内で設計偏向204を有し得る。 例えば、支持スパン1004の中間の位置、すなわち、対になっている支持部材606及び/又は対になっている支持ハブ602の中間は、設計荷重、例えば6,000パスカルの雪荷重がPVモジュール302に加えられた場合、所定の量だけ偏向し得る。したがって、PVパネル300に生じる偏向の最大量は、同じ外部荷重下のPVパネル100に生じる偏向の最大量より小さくてよい。そのようなものとして、分散型支持フレーム304では、環境負荷下のPVモジュール302の偏向を限定することによって、PVパネル300に耐クラック特性がもたらされ得る。それゆえ、PVモジュール302は、フィールドに不具合を生じるリスクなしに、薄くすることができる。例えば、
図12に示されたPVパネル300は2.0mm厚のガラスシートを含む前面層504を有する場合があり、
図1に示されたPVパネル100は3.2mm厚のフロントガラスシートを有し得る。PVパネル100は、比較的より厚いにもかかわらず、所与の荷重の下でPVパネル300より大きな偏向を生じる場合があり、それゆえ、PVパネル300は所与の荷重の下でPVパネル100よりクラックを生じる可能性が少ないことがある。PVパネル300のガラスシートを薄くすることによって、また、パネル重量が減少するという利点が提供され、そのことが製造費並びに輸送費の低減、及び設置し易さの向上につながり得ることが理解されるであろう。
【0060】
図13を参照すると、本開示の実施形態による、分散レールフレームによって支持される光起電力モジュールの背面斜視図が示されている。PVパネル300は、PVモジュール302の背面512上に取り付けられた分散レールフレーム1300を含み得る。分散レールフレーム1300は、分散型支持フレーム304の一実施形態であってもよく、PVモジュール302に加えられた環境負荷を支持するために、背面512に亘って延在する複数の細長いレール1302を有する。細長いレール1302は、上述された支持部材606に類似し、同じ効果を達成するよう同様の方式で分散され得る。例えば、分散レールフレーム1300は、側周部404から内側に背面512にわたって直交方向で延在する、少なくとも1つのx軸レール1304と少なくとも1つのy軸レール1306とを含み得る。横断方向に延在するレールは、1つ又はそれより多くのレール交差点1308で交差してもよい。その交差点は上述された支持ハブ602に類似する。レール交差点1308は、それゆえ、同じ効果を達成するよう同様の方式で分散され得る。
【0061】
図示されていないが、分散レールフレーム1300は1つ又はそれより多くの支持スタンド710を用いて外部構造体306に取り付けられ得る。例えば、相互接続点1308で分散レールフレーム1300に鉛直支持を提供すべく、支持スタンド710をレール交差点1308で対応するコネクタに装着することができる。支持スタンド710はまた、x軸レール1304又はy軸レール1306の全長に沿って取り付けることができ、レール長に沿ってPVモジュール302の重量が支持される。
【0062】
x軸レール1304及びy軸レール1306は、様々な材料及び形状のレールを含んでよい。例えば、レールは、レール軸に沿った全長であって、レール軸を中心とした矩形断面図の幅又は高さの少なくとも5倍の全長、を有する押し出しアルミニウムレール、例えばT溝付きアルミニウムレールであってよい。同様に、細長いレールは、機械的固定具による方法又は熱溶接を含む様々な方式で、レール交差点1308で連結し得る。分散レールフレーム1300のレールが、同じ横断面内にあるものとして、及び、同じ数のx軸レール1304及びy軸レール1306を有するとして示されているが、他の実施形態は異なり得る。例えば、分散レールフレーム1300はy軸レール1306よりx軸レール1304をより多く含んでよく、x軸レール1304は、PVモジュール302の偏向を限定するよう、所定のスパン長を隔てて分離され得る。y軸レール1306は、主として、密集したx軸レール1304を支持するために機能してもよく、それゆえ、スパン長より大きい距離を隔てて互いに離間されたy軸レール1306の数はより少なくてよい。
【0063】
分散型支持フレームによって支持されるPVモジュールを有するPVパネルが説明される。具体的な実施形態が上述されてきたが、これらの実施形態は、特定の機能に関して単一の実施形態のみが説明される場合であっても、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本開示で提供される機能の例は、別段の定めがある場合を除き、制約的であることよりも、むしろ例示的であることを意図するものである。上記の説明は、本開示の利益を有する当業者には明らかとなるような、変更、修正、及び均等物を包含することを意図するものである。
【0064】
本開示の範囲は、本明細書で対処される問題のいずれか又は全てを軽減するか否かにかかわらず、本明細書で(明示的又は暗示的に)開示される、あらゆる機能若しくは機能の組み合わせ、又はそれらのあらゆる一般化を含む。したがって、本出願(又は、本出願に対する優先権を主張する出願)の実施の間に、任意のそのような機能の組み合わせに対して、新たな請求項を形式化することができる。具体的には、添付の特許請求の範囲を参照して、従属請求項からの機能を、独立請求項の機能と組み合わせることができ、それぞれの独立請求項からの機能を、任意の適切な方式で、単に添付の請求項で列挙される特定の組み合わせのみではなく、組み合わせることができる。