(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】ガスタービンエンジン
(51)【国際特許分類】
F23R 3/58 20060101AFI20220308BHJP
F02C 3/05 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
F23R3/58
F02C3/05
(21)【出願番号】P 2019542811
(86)(22)【出願日】2017-10-24
(86)【国際出願番号】 GB2017053202
(87)【国際公開番号】W WO2018078350
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-02-25
(32)【優先日】2016-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519148817
【氏名又は名称】ジアン,カイル
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】ジアン,カイル
【審査官】小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第3010281(US,A)
【文献】米国特許第2567079(US,A)
【文献】米国特許第2792197(US,A)
【文献】米国特許第3238718(US,A)
【文献】米国特許第3626694(US,A)
【文献】米国特許第6155780(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0124569(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0216506(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0020500(US,A1)
【文献】特開昭50-113619(JP,A)
【文献】特表平03-505247(JP,A)
【文献】特開平08-246903(JP,A)
【文献】特開平09-133029(JP,A)
【文献】特開2000-134994(JP,A)
【文献】国際公開第2002/039045(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/00- 3/60
F02C 3/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心に回転可能なタービンシャフトと、前記軸線を中心に回転するように前記シャフトに取り付けられた遠心圧縮機及びラジアルタービンと、前記圧縮機と前記タービンとの間の空気/ガス流路の中の複数の燃焼室を含み;
前記複数の燃焼室は前記タービンシャフトの前記軸線を中心に周方向に間隔を置いて配置されており、前記各燃焼室は空気/ガス流が前記各燃焼室を通り抜ける方向に細長く、前記各燃焼室の長手方向軸線が前記タービンシャフトの前記軸線に対して概ね横方向にスキューされているガスタービンエンジンであって、
前記ガスタービンエンジンは、前記圧縮機の外径周りに周方向に配置されたディフューザを有しており、前記ディフューザは空気を径方向外側に導くように構成されており、
前記ガスタービンエンジンは、前記遠心圧縮機と前記燃焼室との間の流路の中に周方向に延びる空気流バッファチャネルを有しており、前記空気流バッファチャネルは前記複数の燃焼室に流体的に接続されており、
前記空気流バッファチャネルは複数のセクタに分割されて、各セクタは前記燃焼室の対応する1つに流体的に接続されており、
前記ガス流は、前記ディフューザから各セクタに入り、前記セクタに沿って対応する燃焼室の中に入
り、
前記エンジンは、環状の回収熱交換器を有し、該環状の回収熱交換器は前記遠心圧縮機からの圧縮空気を受け取る第1の組の複数の流通路と、前記第1の組の複数の流通路の間に交互に配置された第2の組の複数の流通路とを有し、前記第2の組の複数の流通路は前記タービンからの排気ガスを受け取るために前記タービンに流体的に接続され、
前記回収熱交換器は前記遠心圧縮機を取り囲んでおり、前記第1の組の複数の流通路は実質的に径方向に延び、
前記回収熱交換器中の前記第2の組の複数の流通路は前記タービンシャフトの前記軸線に対し径方向に延びているガスタービンエンジン。
【請求項2】
前記複数の燃焼室は前記長手方向に湾曲しており、前記各燃焼室の前記長手方向軸線は前記タービンシャフトの前記軸線を中心にして湾曲している請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項3】
前記複数の燃焼室は前記長手方向に真っ直ぐであり、各燃焼室の前記長手方向軸線は前記タービンシャフトの長手方向の平面に延びていない請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項4】
前記各燃焼室の前記長手方向軸線は、前記タービンシャフトの前記軸線に対して径方向にも傾いている請求項3に記載のガスタービンエンジン。
【請求項5】
前記複数の燃焼室の複数の前記長手方向軸線は、前記タービンシャフトの前記軸線に対して横方向に延びる共通平面中に実質的に含まれており;及び/又は前記複数の燃焼室の前記長手方向軸線は、前記タービンシャフトの前記軸線に対してそれぞれ90°横方向にスキューされている請求項1乃至4のいずれか1項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項6】
前記複数の燃焼室は前記タービンシャフトの前記軸線を中心として概ね同心状に配置されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項7】
前記複数の燃焼室は少なくとも全長の大部分にわたって実質的に円筒形である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項8】
前記複数の燃焼室は入口端及び出口端をそれぞれ有しており、前記複数の燃焼室の複数の前記出口端で先細りしている請求項7に記載のガスタービンエンジン。
【請求項9】
前記空気流バッファチャネルは前記第1の組の複数の流通路に流体的に接続されている請求項
1乃至
8のいずれか1項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項10】
前記エンジンは、前記タービンに排気ガスを導くために、前記タービンの外径周りに周方向に配置されたノズルを有しており、前記エンジンは前記ノズル周りに周方向に延びる排気ガス流バッファチャネルを画定し、前記排気ガス流バッファチャネルは前記複数の燃焼室及び前記ノズルに流体的に接続されている請求項1乃至
9のいずれか1項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項11】
前記エンジンは、前記空気流バッファチャネルから前記複数の燃焼室のそれぞれを通って前記排気ガス流バッファチャネルまでの空気/ガス流路を画定し、前記空気/ガス流路は前記タービンシャフトの前記軸線の周りを循環する請求項
10に記載のガスタービンエンジン。
【請求項12】
前記遠心圧縮機及び前記ラジアルタービンはいずれもそれらの複数の羽根が同じ軸線方向に面するように前記タービンシャフトに取り付けられている請求項1乃至
11のいずれか1項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項13】
前記エンジンは、前記各燃焼室における燃焼を独立して制御するように構成されたエンジン制御システムを有し、前記エンジン制御システムはエンジンの運転パラメータに応じてエンジンが作動している間に、燃焼が起きている前記燃焼室の数を変化させるように構成されている請求項1乃至
12のいずれか1項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項14】
軸線を中心として回転可能なタービンシャフトと、前記軸線を中心として前記シャフトと共に回転するように前記シャフトにそれぞれ取り付けられた遠心圧縮機及びラジアルタービンと、前記遠心圧縮機を周方向に取り囲む環状の回収熱交換器と、前記回収熱交換器と前記タービンとの間の空気/ガス流路中の少なくとも1つの燃焼室とを含み;
前記回収熱交換器は前記遠心圧縮機からの圧縮空気を受け取るための第1の組の複数の流通路を有し、前記第1の組の複数の流通路は径方向に延びており、前記回収熱交換器は前記第1の組の複数の流通路の間に交互に配置された第2の組の複数の流通路を有し、前記第2の組の複数の流通路は前記タービンからの排気ガスを受け取るために前記タービンに流体的に接続されており、
前記回収熱交換器中の前記第2の組の複数の流通路は前記タービンシャフトの前記軸線に対し径方向に延びており、使用時、前記圧縮空気は前記第1の組の複数の流通路を通って径方向外向きに流れ、前記排気ガスは前記第2の組の複数の流通路を通って径方向内向きに流れるガスタービンエンジン。
【請求項15】
前記少なくとも1つの燃焼室は、複数の燃焼室であり、
前記複数の燃焼室は前記回収熱交換器の内径の径方向外側であって、前記回収熱交換器の外径の径方向内側に位置していている請求項
14に記載のガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスタービンエンジン及びガスタービンエンジンの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジン(gas turbine engine)は、下流のタービンに連結した上流の回転式圧縮機(rotating compressor)と、その中間の流路(flow path)に配置された燃焼室(combustion chamber)を有するものとして知られている。ガスタービンの基本的な運転においては、空気が圧力を高める圧縮機を通って流れ、燃焼室内の圧縮空気の中に燃料を噴射して燃焼させ、タービンに流入する高温の排気ガス流を生成する。この高温の排気ガス流はタービンを通過するにつれ膨張して出口圧力(exhaust pressure)まで減圧し、この過程でタービンシャフト仕事出力(turbine shaft work output)を生成する。タービンシャフト仕事は圧縮機を駆動するために利用され、また軸に連結することのできる発電機のような他の装置を駆動するために利用することができる。シャフト仕事に使用されないエネルギーは、高い温度及び速度を有する排気ガス中に現れる。
【0003】
小型のガスタービンエンジンは、「ミニタービン(mini-turbines)」あるいは「マイクロタービン(micro-turbines)」と呼ばれることもあるが、近年、特に分散型発電(distributed electrical generation)及びコージェネレーション応用(combined heat and power applications)における使用のために発展しつつある。既知のミニ及びマイクロタービンは、いずれも単段の遠心圧縮機とラジアルタービンホイール(radial turbine wheel)を用いた簡単なエンジンになりやすい。既知のミニ及びマイクロタービンにおいては、排気ガスと圧縮空気は、熱エネルギーが排気ガスから燃焼室の上流の圧縮空気に移動する回収熱交換器として知られる熱交換器の形態を通過させて、エンジンの全効率を改善している。一般に、既知のミニ及びマイクロガスタービンエンジンは、30kWから1MW以上の範囲の電力定格を有する。発電に使用するために、小型のガスタービンエンジンに発電機を組み合わせて単一の組立体とすることが知られており、これは「タービン発電機(turbogenerator)」と呼ばれることも多い。
【0004】
従来のより大きな(lager)ガスタービンエンジンにおいては、圧縮機、燃焼室及びタービンは、空気がエンジンを通って一方から他方へと軸線方向に流れるように、順に直列に(in-line)配置されているものもある。軸流ターボファンジェットエンジン(axial-flow turbo fan jet engine)は、この構造の一例である。しかしながら、既知のミニ及びマイクロガスタービンエンジンにおいては、環状の回収熱交換器内に、圧縮機とタービンが相互に隣接して配置されているものもある。圧縮空気は圧縮機から回収熱交換器へ90°回転して径方向外側に導かれ、径方向内側に向けられる前に最初の軸線方向に沿って回収熱交換器を通って流れ、続いて逆の軸線方向に流れて燃焼室を通り抜け、タービンに戻される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知のエンジンは満足のいくものではあるが、既知のエンジンの欠点のいくつかを克服し、または少なくとも緩和するような代替的なガスタービンエンジンが必要とされている。
【0006】
特に、同等の動力出力を有しつつ、既知のミニ及びマイクロガスタービンエンジンよりも高効率である代替的なガスタービンエンジンが必要とされている。
【0007】
また、同等の動力出力を有する既知のガスタービンエンジンよりもコンパクトで、及び/又は異なる全体形状を有するガスタービンエンジンが必要とされている。
【0008】
さらにまた、運転条件の範囲で、より汎用性の高いガスタービンエンジンが必要とされている。
【0009】
また、向上したスケーラビリティ(scalability)を有する代替的なガスタービンエンジンが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、シャフトの長手方向の軸線を中心として回転可能なタービンシャフトと、この軸線を中心として回転するようにシャフトに取り付けられた遠心圧縮機及びラジアルタービンと、圧縮機とタービンとの間の空気/ガス流路の中に複数の燃焼室とを備えており;複数の燃焼室はタービンシャフトの長手方向の軸線を中心に周方向に間隔を置いて配置されており、各燃焼室は空気/ガス流が燃焼室を通り抜ける方向に細長い形で長手方向軸線を有しており、各燃焼室の長手方向軸線はタービンシャフトの軸線に対して概ね横方向に配置されているガスタービンエンジンを提供する。
【0011】
一つの実施形態においては、複数の燃焼室は長手方向に湾曲しており、各燃焼室の長手方向軸線はタービンシャフトの軸線を中心にして湾曲している。
【0012】
他の実施形態においては、複数の燃焼室は長手方向に真っ直ぐであり、各燃焼室の軸線はタービンシャフトの長手方向の平面の中に延びてはいない。
【0013】
また、各燃焼室の長手方向軸線は、タービンシャフトの軸線に対して径方向に傾いていてもよい。
【0014】
エンジンの第1の態様によるガスタービンエンジンにおいては、複数の燃焼室の複数の長手方向軸線は単一点に収束しておらず、特にタービンシャフトの長手方向の軸線に収束していない。複数の燃焼室の複数の長手方向軸線は、仮に延長しても、タービンシャフトの長手方向の軸線と交差することはない。複数の燃焼室の複数の長手方向軸線はタービンシャフトの軸線を通って長手方向に延びる平面に含まれてはいない。複数の燃焼室の複数の長手方向軸線はタービンシャフトの軸線を通って長手方向に延び、燃焼室の長手方向軸線を通過する平面に対して、接線方向にスキューされている(skewed tangentially)。
【0015】
各燃焼室の長手方向軸線は、タービンシャフトの軸線に対して、概ね横方向に、少なくとも30°、または少なくとも40°、または少なくとも45°、または少なくとも50°、または少なくとも55°、または少なくとも65°、または少なくとも70°、または少なくとも75°、または少なくとも80°、または少なくとも85°、または90°スキューされていてもよい。
【0016】
複数の燃焼室の複数の長手方向軸線は、タービンシャフトの軸線に対して横方向に実質的に90°それぞれスキューされていてもよい。
【0017】
一つの実施形態においては、複数の燃焼室の複数の長手方向軸線は全て、タービンシャフトの軸線に対して横方向に延びる共通平面中に実質的に含まれている。
【0018】
一つの実施形態においては、複数の燃焼室は、タービンシャフトの軸線を中心として概ね同心状に、長手方向に延びている。
【0019】
複数の燃焼室が長手方向に真っ直ぐである場合、複数の燃焼室の複数の長手方向軸線は、タービンシャフトの長手方向の軸線周りに同心状に描かれた円について、接線方向に整列されていてもよい。
【0020】
複数の燃焼室が長手方向について湾曲している場合、湾曲度は複数の燃焼室の全長にわたり一定でも、変化していてもよい。複数の燃焼室の長手方向軸線はタービンシャフトの軸線を中心にして概ね同心状に湾曲していてもよい。各燃焼室の長手方向軸線はタービンシャフトの軸線周りにらせん状になっていてもよい。
【0021】
複数の燃焼室はタービンシャフトの軸線を中心として環状に配列されていてもよい。
【0022】
複数の燃焼室は少なくともその全長の大部分にわたって実質的に円筒形であってもよい。複数の燃焼室は、入口端及び出口端をそれぞれ有し、複数の燃焼室の複数の出口端で先細りしてもよい。複数の燃焼室の複数の出口端で内向きに先細りになり、出口端に向かうに従って狭くなっていてもよい。複数の燃焼室が長手方向に湾曲している場合、少なくともその全長の大部分にわたって、湾曲した円筒形の形状であってもよい。
【0023】
燃焼室は缶形燃焼器でもよい。
【0024】
一つの実施形態においては、タービンシャフトの軸線を中心として周方向に間隔を置いて3つの燃焼室が備えられている。
【0025】
エンジンは、遠心圧縮機からの圧縮空気を受け取る第1の組の複数の流通路(flow passages)と、第1の組の複数の流通路の間に交互に配置された第2の組の複数の流通路とを有する環状の回収熱交換器を有していてもよい。第2の組の複数の流通路はタービンからの排気ガスを受け取るためにタービンに流体的に接続されている。一つの実施形態においては、第1の組の複数の流通路は実質的に径方向に延びている。一つの実施形態においては、回収熱交換器中の第2の組の複数の流通路は概ね軸線方向に延びている。他の実施形態においては、回収熱交換器中の第2の組の複数の流通路はタービンシャフトの軸線に対し概ね径方向に延びている。複数の燃焼室は回収熱交換器の内径の径方向外側であって、回収熱交換器の外径の径方向内側に位置していてもよい。
【0026】
エンジンは、遠心圧縮機と燃焼室との間の流路の中に周方向に延びる空気流バッファチャネル(air flow buffer channel)を有していてもよい。空気流バッファチャネルは、各燃焼室に管のような空気路によりそれぞれ流体的に接続することができる。空気流バッファチャネルは複数のセクタに分割されて、各セクタは燃焼室の一つにそれぞれ流体的に接続されていてもよい。あるいは、空気流バッファチャネルは実質的に継続的な環状の流路に画定されていてもよい。エンジンが回収熱交換器を有している場合、空気流バッファチャネルは第1の組の複数の流通路に流体的に接続している。この実施形態においては、燃焼室は空気流バッファチャネルの径方向内側に位置していてもよい。
【0027】
エンジンは、圧縮機の外径周りに周方向に配置されたディフューザを有していてもよい。ディフューザは、圧縮空気を径方向外向きに導くように構成することができる。ディフューザを通る空気流の方向は、実質的に軸線方向成分(axial component)を有していなくてもよい。エンジンが回収熱交換器を有する場合、ディフューザが環状の回収熱交換器の内径の中に配置されて、空気を径方向に回収熱交換器中の第1の組の複数の流通路中に導く。エンジンが回収熱交換器を有しない場合、ディフューザは上述のように周方向に延びる空気流バッファチャネルの中に周方向に配置されて、圧縮機からの圧縮空気がディフューザを通って空気流バッフチャネル内に向けられるようにしてもよい。
【0028】
エンジンは、タービンに排気ガスを導くために、タービンの外径周りに周方向に配置されたノズルを有していてもよく、エンジンはノズル周りに周方向に延びる排気ガス流バッファ経路を画定し、排気ガス流バッファチャネルは複数の燃焼室及びノズルに流体的に接続されている。またエンジンが周方向に延びる空気流バッファチャネルを有している場合、エンジンは空気流バッファチャネルから各燃焼室を通って排気ガス流バッファチャネルまでの空気/ガス流路を画定していてもよい。空気/ガス流路は、タービンシャフトの軸線周りを概ね周方向に巡る(circulate)。各空気/ガス流路は、空気流バッファチャネルから排気ガス流バッファチャネルまで、燃焼室の一つをそれぞれ通って、タービンシャフトの軸線周りにらせん状になっていてもよい。
【0029】
一つの実施形態においては、エンジンは、概ね周方向にタービンシャフトの軸線周りを巡る、ディフューザからタービンまでの空気/ガス流路を画定している。一つの実施形態においては、エンジンは、タービンシャフトの軸線周りにらせん状になった、ディフューザからタービンまでの空気/ガス流路を画定している。
【0030】
遠心圧縮機及びラジアルタービンはいずれも、特にエンジンが圧縮機の径方向外側に環状の回収熱交換器を有する場合に、それらの複数の羽根が同じ軸線方向に面するようにタービンシャフトに取り付けられていてもよい。
【0031】
ガスタービンエンジンは、概ね扁平球(flattened sphere)のように形成された外側ハウジングを有していてもよい。このハウジングは、タービンシャフトの軸線を径方向に取り囲む区域に、概ね平坦で相互に平行な対向する側壁を有していてもよい。
【0032】
エンジンは、各燃焼室における燃焼を独立して制御するように構成されたエンジン制御システムを有していてもよい。このエンジン制御システムは、エンジンの運転パラメータに応じてエンジンが作動している間に、燃焼が起きている燃焼室の数を変化させるように構成されている。この制御システムは、エンジンの要求される動力出力に応じて、燃焼が起きている燃焼室の数を変化させるように構成されていてもよい。
【0033】
本発明の第2の態様によると、軸線を中心として回転可能なタービンシャフトと、軸線を中心としてシャフトと共に回転するようにシャフトにそれぞれ取り付けられた遠心圧縮機及びラジアルタービンと、遠心圧縮機を周方向に取り囲む環状の回収熱交換器と、回収熱交換器及びタービンの間の空気/ガス流路中の少なくとも1つの燃焼室とを含み;回収熱交換器は遠心圧縮機からの圧縮空気を受け取るための第1の組の複数の流通路を有し、第1の組の複数の流通路は径方向に延びており、回収熱交換器は第1の組の複数の流通路の間に交互に配置された第2の組の複数の流通路を有し、第2の組の複数の流通路はタービンからの排気ガスを受け取るためにタービンに流体的に接続されているガスタービンエンジンが提供される。
【0034】
本発明の第3の態様によると、軸線を中心として回転可能なタービンシャフトと、軸線を中心としてシャフトと共に回転するようにシャフトにそれぞれ取り付けられた遠心圧縮機及びラジアルタービンと、圧縮機を周方向に取り囲む環状の回収熱交換器と、回収熱交換器の軸線方向後方且つタービンの径方向外側に配置された複数の缶形燃焼器とを含み、遠心圧縮機はシャフトの前端に向かってタービンシャフトに取り付けられ、ラジアルタービンは遠心圧縮機の軸線方向後方でシャフトに取り付けられ、回収熱交換器は遠心圧縮機からの圧縮空気を受け取るための第1の組の複数の流通路及びタービンからの排気ガスを受け取るための第2の組の複数の流通路を有し、第1の組の複数の流通路は概ね径方向に延びており、燃焼器はタービンシャフトの軸線に対して横方向にスキューされた長手方向の軸線をそれぞれ有するガスタービンエンジンが提供される。
【0035】
本発明の第4の態様によると、軸線を中心として回転可能なタービンシャフトと、軸線を中心としてシャフトと共に回転するようにシャフトに取り付けられた遠心圧縮機及びラジアルタービンと、遠心圧縮機を周方向に取り囲む環状の回収熱交換器と、回収熱交換器とタービンの間の空気/ガス流路の中に少なくとも1つの燃焼室とを含み;回収熱交換器は遠心圧縮機からの圧縮空気を受け取るための第1の組の複数の流通路を有し、第1の組の複数の流通路は概ね径方向に延びており、回収熱交換器はタービンからの排気ガスを受け取るための第2の組の複数の流通路を有し、少なくとも1つの燃焼室は細長く且つタービンシャフトの軸線に対して角度のある長手方向の軸線を有し、少なくとも1つの燃焼室はタービンの径方向外側に位置するガスタービンエンジンが提供される。
【0036】
本発明のさらに他の態様によると、軸線を中心として回転可能なタービンシャフトと、軸線を中心としてシャフトと共に回転するようにシャフトに取り付けられた遠心圧縮機及びラジアルタービンと、遠心圧縮機を周方向に取り囲む環状の回収熱交換器と、回収熱交換器の軸線方向後方且つタービンの径方向外側に配置された複数の缶形燃焼器(can type combustors)とを含み、ラジアルタービンは遠心圧縮機の軸線方向後方にタービンシャフトに取り付けられ、回収熱交換器は遠心圧縮機からの圧縮空気を受け取るための第1の組の複数の流通路及びタービンからの排気ガスを受け取るための第2の組の複数の流通路を有し、第1の組の複数の流通路は概ね径方向外側に延びており、複数の燃焼器は長手方向の軸線をそれぞれ有し、複数の燃焼器の複数の軸線はタービンシャフトの軸線に対し直角に延びる共通横方向平面に含まれるガスタービンエンジンが提供される。
【0037】
複数の燃焼器はタービンシャフトの軸線周りに湾曲し、及び/又は複数の燃焼器は出口端で先細りしていてもよい。
【0038】
ラジアルタービンは、使用時に、タービンを出る排気ガスが、回収熱交換器中の第2の組の複数の流通路に向かって軸線方向前方の向きになるように、複数の羽根が圧縮機及び回収熱交換器の方に前方に面するように取り付けられていてもよい。
【0039】
エンジンは、概ね扁平球のように形成された外側ハウジングを有していてもよい。このハウジングは、タービンシャフトの軸線を径方向に取り囲む区域に、概ね平坦で、相互に平行な対向する側壁を有していてもよい。このハウジングは、後方の側部(reward side)に1以上の出口ノズルが画定されていてもよい。
【0040】
回収熱交換器中の第2の組の複数の流通路は、概ね径方向あるいは概ね軸線方向に延びていてもよい。
【0041】
本発明のさらに他の態様によると、複数の燃焼室を有するガスタービンエンジンの運転方法であって、各燃焼室中での燃焼は、少なくとも1つのエンジンの運転パラメータに応じて独立して制御する運転方法が提供される。
【0042】
一つの実施形態においては、少なくとも1つのエンジンの運転パラメータに応じてエンジンが作動している間に、燃焼が起きている燃焼室の数を変化させる。この方法は、エンジンをフルパワー未満で運転する際に、燃焼室の一つ、あるいはいくつかのみで燃焼が起きているエンジンの運転を含む。
【0043】
この方法は、上に概説された前掲の本発明の態様のいずれかに従ったエンジンにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1は、本発明の一つの態様に従ったガスタービンエンジンの一つの実施形態の平面図である。
【
図2】
図2は、
図1のエンジンの前方から一側部への斜視図であり、エンジンの外部ケーシングの一部を透過して(ghosted)、内部の詳細を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1のエンジンの背面図であり、エンジンの外部ケーシングの一部を透過して、内部の詳細を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1のエンジンのやや模式的な横断面図である。
【
図6】
図6は、
図1のエンジンの一部を形成する回収熱交換器の一部の斜視図である。
【
図7】
図7は、エンジンの燃料噴射機と火花点火器の部分を示す別の斜視図である。
【
図8】
図8は、燃料噴射機と火花点火器を付加的に示す
図4と同様の図である。
【
図9】
図9は、回収熱交換器を有しない本発明の態様に従うガスタービンエンジンの他の実施形態を図説する
図4と同様の図である。
【
図10】
図10は、
図9のエンジンの圧縮機段の正面図であり、エンジンのディフューザと圧縮機ホイールの外側に(outboard)周方向に配置された環状の空気流バッファ経路の提供を模式的に図説し、及び空気流バッファチャネルの燃焼室への流体的な接続を模式的に説明する図である。
【
図11】
図11は、
図10の圧縮機段を通る模式的な、長手方向断面図であって、空気流バッファチャネルの位置を縮小して図説する図である。
【
図12】
図12は、
図9のエンジンのタービン段の模式的な背面図であり、燃焼室がどのようにしてノズル及びタービンの外側に配置された環状の排気ガス流バッファチャネルと流体的に接続されているかを図説する図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明をより明確に理解できるように、単なる一例として、その実施形態について、添付の図面を参照しつつ以下説明する。
【0046】
本発明の一つの態様に従うガスタービンエンジン1の第1の実施形態を、添付の図面の
図1から
図8に示す。
【0047】
エンジン1は、タービンシャフト2、遠心圧縮機ホイール4(しばしばラジアル圧縮機とも呼ばれる)、環状のディフューザ6、回収熱交換器8、3つの燃焼室10、環状のノズル12及びラジアルタービンホイール14を含む。遠心圧縮機ホイール4及びタービンホイール14は、長手方向の軸線Z周りにシャフトと共に回転するように、いずれもシャフト2に取り付けられている。
【0048】
エンジン1は外部ケーシング18を含むハウジング16を有する。外部ケーシング18は、軸線Z周りの中央領域に、概ね平面状で相互に平行な入口側壁20と排気側壁22を備えた中空な扁平球の全体形状を有する。軸線Zは扁平球の短軸線と完全に一致している。ハウジング16は、入口側の軸線Zを中心として、中心に配置された空気入口ノズル24と、排気側の軸線Zから径方向に間隔を置いた一組の円形出口ノズル26とを含む。
【0049】
シャフト2の長手方向の軸線Zは、エンジンの長手方向の軸線を画定する。詳細な説明及び請求の範囲を通じて、方向に関する用語「軸線」、「軸線方向」、「半径」、「径方向」、「周」及び「周方向」等は、文脈上他に要求されない限り、タービンシャフトの軸線Zを基準にして画定されるものと理解されるべきである。シャフトの軸線Zに対し「横」方向というときには、シャフトの長手方向の軸線Zに直角(垂直)な横断面中を延びる方向を指すものと理解されなければならない。
【0050】
説明の便宜上、エンジン1の入口側は、エンジンの前面あるいは正面と呼ばれ、一方排気側は、エンジンの後面あるいは背面と呼ばれることになる。しかしながら、これらの用語の使用は、エンジン1が利用可能な向きについてのいかなる限定も暗示するものではないということは理解されなければならない。エンジン1は、いかなる所望の向きでも利用することができ、例えば、軸線Zが垂直に配向されて、入口側壁20が上下いずれになった向きでもよい。さらに、乗物に使用する場合には、エンジン1は、入口側壁20が乗物の背面、又は側面、あるいは乗物に対するいずれかの他の向きに面するように取り付けることができる。
【0051】
シャフト2は、軸受28を用いて、軸線Zを中心として回転可能にハウジングに取り付けられている。いかなる適当な軸受28も使用可能だが、本実施形態においては軸受28は空気軸受である。空気軸受を使用する場合、静圧又は動圧型軸受のいずれでもよい。一つの実施例においては、少なくともいくつかの軸受は、空気力学的に空気のクッションを生じさせることができ、しかし低速度で回転しているときには加圧空気が供給源から軸受中に導入されるハイブリッド軸受である。外部の供給源からの空気の供給は、軸受の回転速度が、軸受の空力効果が必要な負荷を支持する空気のクッションが生じるのに十分になった場合に、減少しあるいは完全に停止する。このタイプのハイブリッド空気軸受の配置にあっては、供給源からの加圧空気は、エンジンの運転の開始及び停止の間のみ、軸受への導入が必要になる。これは、静圧軸受を使用したエンジンに比較してエンジンの全効率を改善し、しかし静圧軸受を使用したエンジンに比較すると低速度で運転した際の損傷の危険を軽減する。
【0052】
シャフト2は、補助装置へのアタッチメントを駆動するために、排気側壁22を通ってハウジング16の外部に突出している。他の実施形態においては、シャフト2は、補助装置へのアタッチメントを駆動するために、前面の入口側においてハウジング16の外部に突出しており、あるいはエンジンはシャフト2により駆動される補助装置に結合されて単一の組立体になっている。
【0053】
遠心圧縮機ホイール4は、前方のシャフト2の入口端に向かって配置されており、エンジンの入口又は前面に向いた複数の羽根32を有している。遠心圧縮機ホイールの径方向外側の周りに周方向に取り付けられているのは環状のディフューザ6であり、これもエンジンの入口又は前面に向いた複数の羽根33を有している。遠心圧縮機ホイール4とディフューザ6は、共に圧縮機段ハウジング(compressor stage housing)を形成する、第1の圧縮機ハウジング部材34と第2の圧縮機ハウジング部材36との間に配置されている。第1の圧縮機ハウジング部材34は圧縮機ホイール4及びディフューザ6の前方の入口側のあたりに配置され、一方第2の圧縮機ハウジング部材36は圧縮機ホイール4及びディフューザ6の後方側のあたりに配置されている。第1の圧縮機ハウジング部材34は、圧縮機ホイール4とディフューザ6の入口側を包み、ケーシング18の入口側壁20の開口40を通って延びて空気入口ノズル24を画定する管状壁38を有する。管状壁38は、ケーシング18の外側に開いた空気入口を形成する第1の端42を有する。管状壁38は第1の端42から径方向内側に湾曲して、圧縮機ホイール4の真向かいに狭い通路(narrow throat)を画定し、続いて径方向外側に延びて遠心圧縮機ホイール4及びディフューザ6の入口(前方)側を包む。管状壁38の内端は、ケーシング18の入口側壁20の内面に向かい、開口40の径方向外側を保護する円筒状部分44を有している。管状壁38の内側に湾曲した区域は、遠心圧縮機4の中に空気を導く収束導管を画定する。第1の圧縮機ハウジング部材34は、管状壁38の収束導管の区域の内側の中心に配置された円筒状体46を有する。円筒状体46は、その中にシャフト2の前方の入口端が支持される中心穴を有し、また複数の径方向のリブ又はスパー47により外側の管状壁38に接続されている。空気は、リブ又はスパーの間の間隙を抜けて、外側の管状壁38と円筒状体46との間の入口ノズル24を通って流れ、遠心圧縮機ホイール4に到達することができる。
【0054】
ラジアルタービンホイール14は、第2の圧縮機ハウジング部材36の軸方向後方で、シャフト2に取り付けられている。タービンホイール14は、エンジンの前面又は入口側を向いている複数の羽根48を有する。そのためタービンホイール14は、圧縮機ホイール4と同じ軸方向を向くようにシャフト2に取り付けられている。環状のノズル12は、タービンホイール14の外径周りに配置され、タービンホイール14の複数の羽根48に排気ガスを導くためのノズルを画定する複数の羽根52を有する。ノズル12の複数の羽根52も、エンジンの前面の入口側を向いている。
【0055】
回収熱交換器8は環状であり、ケーシング18中の、ディフューザ6及び第1と第2の圧縮機ハウジング部材34、36の径方向外側に配置されている。第1と第2の圧縮機ハウジング部材34、36はケーシング18及びシャフト2と結合して、エンクロージャ又はプレナム(enclosure or plenum)を画定する。これを通って、周囲の空気Aがエンジン1の外部から遠心圧縮機ホイール4に引き入れられ、そして矢印Bで示すように、ディフューザ6を通って径方向外側に、圧縮機段ハウジングにおける1以上の出口を通って回収熱交換器8に向けられる。
【0056】
回収熱交換器8の構造の一部は
図6に見ることができる。回収熱交換器8は、複数のプレート56を備えている。複数のプレート56は、互いに離間して隣接する対で互いに接続されて2つの組の交互配置された複数の流
通路58、60を画定する。ディフューザ6から圧縮された入口空気を受け取るための第1の組の複数の流通路58は、回収熱交換器の内周から、回収熱交換器の外周領域周りに延びる空気流バッファチャネル62まで、径方向外側に延びている。排気ガスのための第2の組の複数の流通路60は、エンジンの軸方向に、回収熱交換器を通って延びている。
図6に見えるように、各プレート56は、第1の対の対向する縁部に沿って一方側で隣接するプレートに気密に接合され、第2の対の対向する縁部に沿って反対側で隣接するプレートに気密に接合されている。回収熱交換器8の複数のプレート56は、排気ガスから入口空気に効率的に熱伝達するのに適当な材料から作られている。適当な材料は、例えばステンレス鋼のような金属を含む。
【0057】
3つの燃焼室10は、以後燃焼器とも呼ぶが、回収熱交換器8の軸方向後方の、タービンホイール14及びノズル12の径方向外側に配置される。本実施形態においては、燃焼器10は空気流バッファチャネル62の外周を超えて径方向に延びてはいない。本実施形態における燃焼室10は全て、軸線Zに直角(垂直)に延びる共通横断面中に実質的に配置されている。各燃焼器10は自給式缶形燃焼器(self-contained can type combustor)で、その全長の大部分にわたって概ね円筒形だが、出口に向かって狭くなるように出口端で先細りになった形状を有する。各燃焼器10は細長く(すなわちその径よりも大きい長さを有する)、燃焼室を通る流れの方向に延びる長手方向軸線Yを有する。この実施の形態においては、燃焼室は、軸線Zの周りを長手方向に沿って周方向に湾曲している。すなわち、各燃焼器10の長手方向軸線Yは、軸線Zの周りを周方向に湾曲している。各燃焼器10は、外管72と、外管72の内側に位置する内管74とを有する。内外の管の間に環状の隙間73が存在するように、内管74の外径は外管72の内径よりも小さくなっている。内管74は、空気が環状の隙間73から内管74内に流れるように、穿孔処理されている。
【0058】
エンジンは、燃焼を生じさせる場合に、各燃焼室10の内管74内に燃料を噴射するため、及び内管74の内側の混合気(fuel/air mixture)を発火させるための燃料噴射・点火システムを有する。燃料噴射・点火システムは、各燃焼器10ごとに、燃料噴射器75aと火花点火器75bを含む。
図7及び8に図説するように、各噴射器75a及び点火器75bは、適当なシール配置(sealing arrangements)を伴ってそれぞれ燃焼器10内に延びるように、適当な開口部を通ってケーシング内に取り付けられる。燃料噴射
器75aは燃料源に接続され、且つそれぞれの燃焼部内に燃料を導くように構成されている。火花点火器75bは電源に接続されて、火花を生成し、それぞれの燃焼部内の燃料を発火させる。エンジンは、各燃料噴射
器75a及び火花点火器75bに接続されてエンジンの運転を調整する電子制御システム(75cで模式的に示す)を有している。制御システムにはICUあるいはその他のプログラマブルプロセッサを用いることができる。
【0059】
各燃焼器10は入口端76と出口端78とを有する。入口端76において外管72は、回収熱交換器から内外の管72、74の間の環状の隙間73内に空気を導く管80により、バッファチャネル62に流体的に接続されている。管80は主として軸線Zを中心として周方向に、バッファチャネル62から燃焼器10内へ空気を導く。空気流バッファチャネル62は、個別のセクタに分離されて各セクタが複数の燃焼器の一つの燃焼器に流体的に接続されていてもよく、又は回収熱交換器の周方向の周りを連続的に延びていてもよい。この後者の配置においては、バッファチャネルは回収熱交換器の外径区域の周りを延びる連続的な流路を画定する。環状の隙間73から、空気は内管74内に流れて、燃料と混合される。各燃焼室10の出口端において内管74は先細りになっており、矢印Cにより模式的に示されるように、そこを通ってノズル12を周方向に取り囲む環状の排気ガス流バッファチャネル82内に排気ガスが導かれる出口を画定する。
【0060】
環状の排気ガス流バッファチャネル82は、タービンホイール14を収納するタービンハウジング84の中に画定されていて、各燃焼室のために個別のセクタに分離していても、ノズル12の周りに周方向に延びる単一の連続する流路であってもよい。タービンハウジング84はタービンホイール14及びノズル12の前方側の周りに配置された第1のタービンハウジング部材86と、タービンホイール14及びノズル12の後方側の周りに配置された第2のタービンハウジング部材88とを含む。タービンハウジング84は、排気ガスが通ってノズル12に流入し、排気ガスをタービンホイール14の複数の羽根に導く環状の排気ガス流バッファチャネル82からの環状の出口開口89を画定する。第1のタービンハウジング部材86は、外側の周方向領域の周りに、3つの周方向に間隔が空けられたソケット90を画定する。各ソケット90は、それぞれ燃焼部10の出口端を受け入れて、排気ガス流バッファチャネル82と出口開口89内へ排気ガスを周方向に導くための流路を画定する。第1のタービンハウジング部材86は、タービンホイール14の複数の羽根を包む一部ドーム形状部分92を有する径方向前方壁91を有している。径方向前方壁(radial front wall)91は、一部ドーム形状部分92中に、矢印Dにより示すように、タービンホイール14を出た排気ガスが通り抜けて、排気ガスが流れて回収熱交換器8の第2の組の複数の流通路60に入り、そこからタービンハウジング84と第2の圧縮機ハウジング部材36との間の空間へと入る中心開口94を有する。一部ドーム形状部分92の径方向外側には、前方壁91が一部ドーム形状部分92に対向する方向に湾曲して、排気ガスを円滑に回収熱交換器へと案内する。第1及び第2のタービンハウジング部材86、88はケーシング18及びシャフト2と結合して、燃焼器10からの排気ガスがノズル及びタービンホイールにここを通って導かれるエンクロージャ又はプレナムを画定する。
【0061】
第2の組の複数の流通路60に流入する排気ガスは、外部ケーシング18の入口側壁20に向かって前方向の軸方向に導かれる。排気ガスは回収熱交換器8を出ると、矢印Eで示すように、径方向外向きに、燃焼部10周りの外部ケーシング18の内面の湾曲に追従して軸線方向後方に流れ、出口ノズル26を通って出る。
【0062】
定常状態で作動している間のエンジンの運転について、以下説明する。
【0063】
エンジンの外部からの周囲の空気Aは、ディフューザ6を通って空気を径方向外向きに導く(矢印B)圧縮機ホイール4を回転することにより、入口ノズル24を通じて引き入れられる。この空気は、圧縮機ホイール4及びディフューザ6を通過するに従って圧縮される。ディフューザ6を出た圧縮空気は第1及び第2の圧縮機ハウジング部材34、36の間の出口を通り抜け、回収熱交換器8を通って第1の組の複数の流通路58に流入する。圧縮空気は第1の組の複数の流通路58を通って径方向外向きに流れ、空気流バッファチャネル62に入る。熱は、回収熱交換器中の第2の組の複数の流通路60を通り抜ける排気ガスから、回収熱交換器を通り抜けるにつれて圧縮空気に移動し、そのため圧縮空気の温度はバッファチャネル62に到達するときまで上昇する。
【0064】
バッファチャネル62から、予熱された圧縮空気は燃焼室10内へ導かれ、そこで燃料と混合される。混合気は燃焼室の内管74の内部で発火され、燃焼が起きて、排気ガス流バッファチャネル82及びノズル12を通ってタービンホイール14に導かれる高温、高速の排気ガス流が生成される(矢印C)。
【0065】
高温、高速のガス流はタービンホイール14を通り抜けるにつれて膨張し、この過程でシャフト2を駆動するタービンシャフト仕事出力を生じる。タービンシャフトワークは圧縮機ホイール4を駆動するために使用され、またシャフト2に連結可能な、発電機のような他の補助装置を駆動するために使用することもできる。
【0066】
タービンホイール14を出た排気ガスは(矢印D)、回収熱交換器8中の第2の組の複数の流通路60を通って導かれ、熱エネルギーが排気ガスから第1の組の複数の流通路58を通り抜ける圧縮空気に移動する。回収熱交換器の第2の組の複数の流通路60の出口では、排気ガスは径方向外向きに導かれて、ケーシングの湾曲した内面近くを排気ノズル26に向かって流れ、エンジンを出て行く(矢印E)。
【0067】
上に示し説明した実施形態に対する変更例としては、回収熱交換器8の構造が変更され、第2の組の複数の流通路60が概ね径方向に、あるいは部分的に径方向で部分的に軸方向に延びるようにしている。排気ガスはタービン14から回収熱交換器の径方向外側の縁領域に案内され、第2の組の複数の流通路に流入し、第2の組の複数の流通路を通って、第1の組の複数の流通路58を通る圧縮空気の流れとは逆方向に、径方向内向きに流れる。これは、第2の組の複数の流通路が軸線方向に延びる直交流(cross flow)の配置内よりも多い排気ガスから圧縮空気へのエネルギーの移動を可能にする。なお回収熱交換器は、空気とガスが逆方向か、概ね逆方向だが角度が付いているか、直交流方向に回収熱交換器を通って流れるように構成され得ると思われる。
【0068】
さらなる変更例としては、排気ガスがエンジンから出る位置を上述の場所と変え得る。例えば、1以上の排気ガス出口ノズル26は、エンジンの前部に、入口ノズル24と同じ側に配置することができるが、実のところいかなる適当な場所でもよい。このさらなる変更は、回収熱交換器8中の第2の組の複数の流通路60の方向に拘わらず適用することができる。
【0069】
本発明の一つの態様に従うエンジン1の構造は、同程度の大きさのいずれかの既知のガスタービンエンジンと比較して、効率の向上をもたらす。
【0070】
エンジン1の特徴は、エンジンを通る空気と排気ガスの流れが、タービンシャフトの軸線Zを中心とするほとんど円形の進路に追従することであり、圧縮機とタービンとの間の概ね90°以下のなめらかな方向の変化を伴う。空気/排気ガス流は、軸線方向、径方向及び周方向の構成部分の混合であるエンジンを通るコア流路(core flow path)に追従する。例えば、圧縮機ホイール4及びディフューザ6からの圧縮空気は、多くの既知のマイクロタービンの場合のように90°曲げられて回収熱交換器を軸方向に通って流れるよりもむしろ、径方向外向きに回収熱交換器8を通って流れている。空気/排気ガス流路の特徴は、空気バッファチャネル62から、燃焼部10を通り、ラジアルタービンホイール14に入る、概ね円形で、らせん状の流路である。燃焼器をその軸線Yが軸線Zの横方向に延びるように整列したことと共に、ノズル12の径方向外側の燃焼器10の配置は、空気/ガスを周方向に、概ねらせん状の流路中を、空気バッファチャネル62から管80を通り燃焼器10内に入り、及び燃焼器の出口端78からソケット90を通って環状の排気ガス流バッファチャネル82内に入れて、導くことを可能にする。燃焼器10は空気流バッファチャネル62の径方向内側に配置し、あるいは少なくとも入口端を軸線Zから概ね半径と同じ距離が空くようにして、バッファチャネル62から燃焼部10に入る流れが円滑になるようにしてもよい。流れは完全に同一平面内にあるわけではないが、流れの軸方向成分は最小限であり、タービンシャフト2の軸線Zを横断する平面中の流れが主である。またエンジン1の構造は、回収熱交換器8に流入する前にタービン14を出る際に、排気ガスが流れる距離を最小限にする。このことは、エンジン1の全効率にも貢献し、少なくともタービン14の一部について、それらの羽根が、圧縮機ホイール4と同じ方向に面して取り付けられ、そのため排気ガスを前方に回収熱交換器8に向かって導く結果となる。
【0071】
さらにまた、エンジン1の構造は、エンジン全体のコンパクトさを維持しつつ効率を向上させるための、相対的に大型の回収熱交換器の利用を可能にする。加えて、ディフューザ6及びノズル12のサイズは、既知の多くのマイクロタービンにおけるように回収熱交換器の構造により制約を受けるということがない。異なるサイズのディフューザ6が、例えば回収熱交換器8の内径を変化させることにより、収容可能である。
【0072】
湾曲した円筒状の複数の燃焼室10は、より良好な効率のために、相対的に長く設けられている。出口端が先細りしている複数の燃焼器10の形状も、この形状が炎の形状を反映するので有益であり、炎が平らになりがちな環状の燃焼室と比較して、効率が改善することも見出された。湾曲した複数の燃焼器10が、燃焼器の長さの増大、及び回収熱交換器8からタービンホイール14への円滑な環状のガスの流れをもたらすという点で有利である一方、複数の燃焼器10は真っ直ぐでもよく、あるいは部分的に湾曲していてもよい。この場合、燃焼器10の長手方向の軸線は、エンジンの軸線Zに対し横方向に、エンジンの軸線Zに対して90°未満曲げられ/傾斜されて、燃焼室10は軸線Zに対し直角に整列されるようにしている。特に燃焼室が真っ直ぐな場合、出口端78が入口端76よりも径方向内側に(軸線Zのより近くに)なるように傾けることができる。真っ直ぐな燃焼室は、それらの長手方向の軸線が、タービンシャフトの軸線Zを中心として同心状に描かれた円形の接線方向に延びるように配列されてもよい。
【0073】
エンジン1の構造は、比較的薄くて平らなエンジンを提供するが、既知のマイクロ及びミニタービンよりも軸方向によりコンパクトでもある。エンジン1のこの形状は、限られた空間中に収容することを容易にし、例えば自動車の中など、空間が限定されている応用において使用するのに特に有利である。軸線Zに対し直角(垂直)に整列した軸線Yを有する複数の缶形燃焼器10の使用は、軸線方向におけるエンジンの長さ又は深さを最小限にし、且つタービンシャフト2の長さも最小限にするにも拘わらず、比較的長い複数の燃焼器を提供する。このことは、燃焼器10も軸線Z周りに湾曲している場合に、特に当て嵌まる。しかしながら、燃焼器が軸線Zに直角に整列していなくても、燃焼室がタービンシャフトの軸線と平行な長手方向の軸線を有するエンジンに比較して、エンジンの軸線方向における全長/奥行きが縮小するように、これらが少なくてもある程度、軸線Zに対して横方向にスキューされているか又は曲がっていれば(skewed or angled)、いくらかの利益が得られるだろう。各燃焼室の長手方向軸線は、タービンシャフトの軸線に対して、概ね横方向に、少なくとも30°、または少なくとも40°、または少なくとも45°、または少なくとも50°、または少なくとも55°、または少なくとも65°、または少なくとも70°、または少なくとも75°、または少なくとも80°、または少なくとも85°、または90°スキューされていてもよい。湾曲した燃焼室に関し、本明細書でなされたさまざまな説明における軸線それ自体よりもむしろ、タービンシャフトの軸線に対し概ね横方向にスキューされた燃焼室の長手方向の平面について言及されるだろう。この場合、長手方向の平面は、燃焼室を半分に分割する平面であり、且つ平面はタービンシャフトも通り抜ける。
【0074】
なお、本実施形態におけるガスタービン中の複数の燃焼室の複数の長手方向軸線は単一点に収束してはおらず、特にタービンシャフトの長手方向の軸線に収束していない。実際には、複数の燃焼室の複数の長手方向軸線は、仮に延長しても、タービンシャフトの長手方向の軸線と交差することはない。なお、複数の燃焼室の複数の長手方向軸線はタービンシャフトの軸線を通って長手方向に延びる平面にも含まれてはいない。換言すれば、複数の燃焼室の複数の長手方向軸線は、エンジンの軸線方向には全く整列していない。各燃焼室の長手方向軸線は、タービンシャフトの軸線を通って長手方向に延び、燃焼室の長手方向軸線を通過するいずれかの平面に対してスキューされている。
【0075】
さらなる改良においては、制御システム75cは、エンジンの運転パラメータのいずれかに応じて、各燃焼室10の燃焼を独立に制御するように運転することができる。例えば、エンジン制御システムは、エンジンの運転中に、複数の燃焼室10を選択的に使用できるようにして、一定の運転条件の下では、複数の燃焼室10の全ては使用しないように構成してもよい。これにより、フルパワー未満で運転する際に、燃焼が1つのみ、又は2つの燃焼室で起きるように、あるいは同じ又は全ての燃焼室10で異なる燃焼割合となるようにエンジン1を運転し、さらに効率を改善するようにしてもよい。これは、各燃焼器について独立に導入される燃料の量を変化させることにより達成できる。利用可能な燃焼器の1つのみ、又は一部が使用される場合、使用されない燃焼室には燃料が導入されないようにしてもよい。燃焼室10の数は変えることができ、所望に応じて、エンジン1は1つ、2つ又は3つ以上の燃焼室10を備えることができるということは理解されなければならない。
【0076】
上述の実施態様における回収熱交換器8の使用は、ガスタービンエンジンの全効率の向上に有利である一方、本発明の多数の有利な点を、回収熱交換器を組み入れていないガスタービンエンジンにおいても得ることができる。
図9から12は、回収熱交換器を有しない本発明に従うガスタービンエンジン101の実施形態を図説する。
【0077】
以下の説明において、同じだが100を足された符号は、前掲の実施形態に関して先述されたものと同一の、あるいは類似の機能を実行する特徴(feature)を示すために使用される。
【0078】
ガスタービンエンジン101は、前述された前掲の実施形態1と実質的に同様の方法で構築され、運転されるので、大きな相違点についてのみ説明する。読者は、さらなる詳細については前掲の実施形態の上述の説明を参照すること。
【0079】
上記のように、エンジン101は回収熱交換器を有しない簡略化されたエンジンである。それ故に、遠心圧縮機ホイール104及びディフューザ106からの空気流は、環状の空気バッファチャネル162の中に導かれ、そこから複数の燃焼器110の中に導かれる。前掲の実施形態におけるのと同様に、ノズル124及びタービンホイール114の周りの環に沿って周方向に配置された3つの湾曲した缶形燃焼器110がある。本実施形態における燃焼器110は、上述した前掲の実施形態と実質的に同じく構築され、運転されうるが、次に述べるようにいくらかの変形を含んでいる。
【0080】
図10及び11に図説するように、圧縮空気流バッファチャネル162はディフューザ106の周方向外側に延びている。ディフューザからの空気は、チャネルの壁の内周の環状のスロット又は一連の開口を通って、空気流バッファチャネル162に流入する。各燃焼器110の入口端は、それぞれ管180あるいは他の流体接続により、空気流バッファチャネル162と流体的に接続されている。線196で示すように、空気流バッファチャネルは個別のセクタに分離されて、各セクタがそれぞれ管180及び燃焼器110に流体的に接続されていてもよい。この配置においては、圧縮空気は一つのセクタから他へ流れることはないが、ディフューザから各セクタへ入り、セクタに沿ってそれぞれ管180及び燃焼器110の中に流れる。あるいは、空気流バッファチャネル162は、個別のセクタに分離されておらず、空気が流れていろいろな管180及び複数の燃焼器110のいずれかに入る、周方向に連続する流路を画定していてもよい。第1の実施形態における空気流バッファチャネル162は、同様に、個別のセクタに分離されていてもいなくてもよい。なお複数の燃焼器110は
図11に示されていない。
【0081】
図12は、タービン段において、複数の燃焼室110がどのようにしてノズル112及びタービンホイール114の周りに周方向に延びる環状の
排気ガス流
バッファチャネル182に流体的に接続されているかを模式的に図示する。排気ガス流
バッファチャネル182は、第1の実施形態における
排気ガス流バッファチャネル82と同様の方法で形成されており、タービン段のハウジング184の中に画定されている。各燃焼器110の出口端は、それぞれ管状のソケット190又は他の適当な流体接続により、排気ガス流
バッファチャネル182に流体的に接続されている。なおソケット190は、第1の実施形態におけるソケット90と同様に、周方向に湾曲しており、これにより各燃焼室110と、タービンシャフトの軸線X周りにらせん状である排気ガス流チャネルとの間のなめらかな流路を提供することができるようにしている。空気流バッファチャネル162を複数の燃焼器110と接続する複数の管180は、同様にタービンシャフトの軸線周りに周方向に湾曲しており、複数の管180、複数の燃焼器110及び複数のソケット190が、各燃焼器110を通って空気流バッファチャネル162から排気ガス流
バッファチャネル182までの、タービンシャフトの軸線X周りにらせん状になった、なめらかな周方向に延びる流路を画定するようにしている。
【0082】
排気ガスをタービンホイール114から回収熱交換器に向けて導く必要がないため、タービンホイール114及びノズル112は、それらの複数の羽根がエンジンの後方に面するように、すなわち圧縮機ホイール104とは逆方向にタービンシャフト102に取り付けられており、これにより排気ガスが、タービン段のハウジング184により画定される中央出口/排気ノズル126を通って、ハウジング16の中から外へと直接送られるようにしている。
【0083】
ガスタービンエンジン101は、シャフト102の軸線Z周りの概ね円形のなめらかな空気/ガス流路及び既知のマイクロ及びミニガスタービンエンジンの円筒形と比較して平たい円形の全体形状を含む前掲の実施形態の多数の有利な点から利益を得ている。
【0084】
本発明の複数の態様によるガスタービンエンジン1、101は、限定するものではないが、以下を含む広範囲の応用を有することが期待される。
・電気モーター乗物、特に自動車用のレンジエクステンダー(range extender)として。発電機と共に、このエンジンは車内用の電力を生成して、電気自動車の走行範囲を大幅に拡大することができる。
・このエンジンは、効率をあまり損なうことなく規模を拡大又は縮小することができ、ボートやバイク、さらには電動自転車のような範囲の乗物に適合する。
・高負荷マルチロータリー(multi-rotary)有翼UAV(無人飛行機)用のバッテリに代わる電源として。
・分散型発電機として。
・バックアップ電源として。
【0085】
分散型発電であろうが発電に使用するために、又は乗物の部品として、あるいは他の応用において、エンジン1、101は発電機と組み合わせて単一の組立体とすることができる。
【0086】
本発明によるエンジンは、例えば15kWから1MWの範囲内の、比較的低い電力出力が要求される場合の特定の応用を有することを期待されている一方、エンジン構造のスケーラビリティの故に、本発明の一つの態様によるエンジンは、10ワットから2.5ギガワットに至るまでの範囲内の電力出力を発電可能であると思われる。
【0087】
上述の実施態様は、単なる一例として説明されたものである。添付の特許請求の範囲に定義され、及び上記の発明の要約における発明のさまざまな説明の中において述べられたような種々の態様の中で、本発明の範囲から逸脱することのない多くの変化が可能である。