(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造
(51)【国際特許分類】
F16C 11/06 20060101AFI20220308BHJP
F16M 11/12 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
F16C11/06 Z
F16M11/12 Z
(21)【出願番号】P 2020560254
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(86)【国際出願番号】 CN2020087421
(87)【国際公開番号】W WO2021017552
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2020-10-21
(31)【優先権主張番号】201910682831.4
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520410851
【氏名又は名称】深▲セン▼聯合創達科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】UNI-WAY RESOURCE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】D205,2nd Floor,New City Commercial Plaza,Xinzhou South Road No.2008, Fubao Street,Futian District,Shenzhen,Guangdong,China.
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】班 兆明
【審査官】日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/094217(WO,A1)
【文献】特表2019-500550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/06
F16M 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造であって、
収容キャビティを有する外筐体(40)と、
前記収容キャビティ内において回転可能に前記外筐体(40)の収容キャビティに位置する中空球体(10)であって、前記球体(10)の下半球面に対称中心面が前記球体(10)の垂直中心平面に位置する溝体(11)が設けられる中空球体(10)と、
前記球体(10)の下方に位置し、軸心線が前記球体(10)の球心を通過するように前記外筐体(40)に垂直に挿設されるストップピン柱(20)と、
垂直方向における直線往復移動を行わせるように前記ストップピン柱(20)を駆動するために前記外筐体(40)に設けられる第1ウォームアセンブリ(30)と、を含み、
前記球体(10)の回転自由度の調整が実現されるように、前記第1ウォームアセンブリ(30)は、前記ストップピン柱(20)の頂部を前記溝体(11)に挿入又は退出させるように駆動
し、
前記ストップピン柱(20)の頂部と組み合わせられて前記球体(10)がリセットされるように前記球体(10)の中空キャビティに設けられるねじりばねアセンブリ(90)をさらに含み、
前記ねじりばねアセンブリ(90)は、前記球体(10)の中空キャビティに締着されるねじりばね座(91)と、枢着軸(93)を介して前記ねじりばね座(91)に枢着されるように第1支持アーム(921)及び第2支持アーム(922)を有するねじりばね(92)と、前記第1支持アーム(921)と前記第2支持アーム(922)との間に位置するように前記ねじりばね座(91)に締着されるリミットボルト(94)とを含み、前記ねじりばね(92)の枢着軸線は、前記溝体(11)が位置する垂直中心平面に直交し、前記ストップピン柱(20)の頂部が前記溝体(11)に挿入され、前記球体(10)が回転されるとき、前記ストップピン柱(20)は、前記溝体(11)の分布方向に沿って前記第1支持アーム(921)又は前記第2支持アーム(922)を押し動かす、
ことを特徴とする二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造。
【請求項2】
前記第1ウォームアセンブリ(30)は、第1ウォームホイール(31)及び第1ウォームスクリュ(32)を含み、前記外筐体(40)には、互いに連通する第1ウォームホイールキャビティ(412)及び第1ウォームスクリュキャビティ(413)が成形され、前記外筐体(40)には、前記ストップピン柱(20)を挿設するための回転防止孔(411)がさらに成形され、前記回転防止孔(411)は、その上方に位置する前記外筐体(40)の収容キャビティとその下方に位置する前記第1ウォームホイールキャビティ(412)とを連通し、前記ストップピン柱(20)は、前記回転防止孔(411)に挿設される柱体(21)と、前記球体(10)に挿入可能に前記柱体(21)の頂部に成形される短ピン(22)と、を含み、前記第1ウォームホイール(31)は、前記柱体(21)に螺接され、前記柱体(21)の外円周壁には、前記回転防止孔(411)と組み合わせられる回転止め面(211)がさらに成形される、
ことを特徴とする請求項1に記載の二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造。
【請求項3】
前記外筐体(40)は、前記収容キャビティが成形されるベース筐体(41)と、前記ベース筐体(41)の頂部開口端に係設されるトップリング(42)と、を含み、前記トップリング(42)と前記球体(10)の球面との間には、防塵パッド(50)が挟設され、前記防塵パッド(50)の内輪壁には、リング状溝(51)が成形され、前記防塵パッド(50)の内輪頂部の孔径値Mは、前記球体(10)における前記防塵パッド(50)の頂部に対応する箇所の球面の直径値Nよりも小さくすることにより、前記防塵パッド(50)の頂部が前記リング状溝(51)により前記球体(10)に緊張されるようになる、
ことを特徴とする請求項1に記載の二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造。
【請求項4】
前記球体(10)を支持するために前記外筐体(40)の収容キャビティに位置する球座(60)をさらに含み、前記球座(60)と前記球体(10)との間には、座金(70)がさらに挟設され、前記球座(60)及び前記座金(70)の底部には、いずれも前記ストップピン柱(20)が穿設される第1貫通孔が成形される、
ことを特徴とする請求項1に記載の二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造。
【請求項5】
前記球体(10)の係止及び位置決めが実現されるように前記球座(60)と前記座金(70)との間の隙間の大きさを調整するために前記外筐体(40)に設けられる第2ウォームアセンブリ(80)をさらに含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造。
【請求項6】
前記第2ウォームアセンブリ(80)は、前記外筐体(40)の収容キャビティのキャビティ底に設けられる第2ウォームホイール(81)と、前記第2ウォームホイール(81)に噛合するように前記外筐体(40)に位置する第2ウォームスクリュ(82)と、前記第2ウォームホイール(81)の頂部に締着される三螺旋面クッションブロック(84)とを含み、前記球座(60)の底部には、前記三螺旋面クッションブロック(84)に当接する三螺旋面凸リング(61)が成形され、前記三螺旋面クッションブロック(84)及び前記三螺旋面凸リング(61)は、上下に組み合わせて中空円柱体を形成し、前記第2ウォームホイール(81)が前記第2ウォームスクリュ(82)により前記三螺旋面クッションブロック(84)を回転させるように動かすとき、前記三螺旋面クッションブロック(84)は、前記三螺旋面凸リング(61)を強制的に上昇させることにより、前記球座(60)が前記球体(10)の下方にしっかりと当接するようになる、
ことを特徴とする請求項5に記載の二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造。
【請求項7】
前記球座(60)の頂部辺縁には、複数の案内開口(62)がさらに成形され、前記外筐体(40)の収容キャビティのキャビティ壁には、前記案内開口(62)に対応する複数の垂直案内柱(415)が成形される、
ことを特徴とする請求項6に記載の二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造。
【請求項8】
前記三螺旋面クッションブロック(84)は、ベースリングを含み、前記ベースリングの上部は、三つの円弧ブロック体に均等に分割され、前記円弧ブロック体の頂部には、第1螺旋面が成形され、前記三螺旋面凸リング(61)は、凸リング本体を含み、前記凸リング本体の下部は、三つの円弧ブロック体に均等に分割され、前記円弧ブロック体の底部には、前記第1螺旋面に一致する第2螺旋面が成形される、
ことを特徴とする請求項6に記載の二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールジョイントの技術分野に関し、特に二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボールジョイントは、機械構造における非常に一般的な構造の一つであり、ステアリング連結、支持、空間調整などの機構に広く適用されている。最も一般的な適用の一つは、撮影(像)機を連結し方向付けるためのカメラ及び撮影機の雲台である。しかしながら、現在のボールジョイントの多くは三自由度のものであり、安定した空間的な位置決め制御を実現することはできず、例えば、球状の雲は、動的に撮影するときに画面における水平面の安定した制御を実現することはできない。したがって、二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造を検討する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
上記技術に存在する欠点に鑑みて、本発明によれば、構造が簡単であり、調整が便利である二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造が提供される。
【0004】
その技術的問題を解決するために、本発明によれば、二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造であって、収容キャビティを有する外筐体と、前記収容キャビティ内において回転可能に前記外筐体の収容キャビティに位置する中空球体であって、前記球体の下半球面に対称中心面が前記球体の垂直中心平面に位置する溝体が設けられる中空球体と、前記球体の下方に位置し、軸心線が前記球体の球心を通過するように前記外筐体に垂直に挿設されるストップピン柱と、垂直方向における直線往復移動を行わせるように前記ストップピン柱を駆動するために前記外筐体に設けられる第1ウォームアセンブリと、を含み、前記球体の回転自由度の調整が実現されるように、前記第1ウォームアセンブリは、前記ストップピン柱の頂部を前記溝体に挿入又は退出させるように駆動する二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造という技術的手段が採用される。
【0005】
前記第1ウォームアセンブリは、第1ウォームホイール及び第1ウォームスクリュを含み、前記外筐体には、互いに連通する第1ウォームホイールキャビティ及び第1ウォームスクリュキャビティが成形され、前記外筐体には、前記ストップピン柱を挿設するための回転防止孔がさらに成形され、前記回転防止孔は、その上方に位置する前記外筐体の収容キャビティとその下方に位置する前記第1ウォームホイールキャビティとを連通し、前記ストップピン柱は、前記回転防止孔に挿設される柱体と、前記球体に挿入可能に前記柱体の頂部に成形される短ピンと、を含み、前記第1ウォームホイールは、前記柱体に螺接され、前記柱体の外円周壁には、前記回転防止孔と組み合わせられる回転止め面がさらに成形されることが好ましい。
【0006】
前記外筐体は、前記収容キャビティが成形されるベース筐体と、前記ベース筐体の頂部開口端に係設されるトップリングと、を含み、前記トップリングと前記球体の球面との間には、防塵パッドが挟設され、前記防塵パッドの内輪壁には、リング状溝が成形され、前記防塵パッドの内輪頂部の孔径値Mは、前記球体における前記防塵パッドの頂部に対応する箇所の球面の直径値Nよりも小さくすることにより、前記防塵パッドの頂部が前記リング状溝により前記球体に緊張されるようになることが好ましい。
【0007】
前記球体を支持するために前記外筐体の収容キャビティに位置する球座をさらに含み、前記球座と前記球体との間には、座金がさらに挟設され、前記球座及び前記座金の底部には、いずれも前記ストップピン柱が穿設される第1貫通孔が成形されることが好ましい。
【0008】
前記球体の係止及び位置決めが実現されるように前記球座と前記座金との間の隙間の大きさを調整するために前記外筐体に設けられる第2ウォームアセンブリをさらに含むことが好ましい。
【0009】
前記第2ウォームアセンブリは、前記外筐体の収容キャビティのキャビティ底に設けられる第2ウォームホイールと、前記第2フォームホイールに噛合するように前記外筐体に位置する第2ウォームスクリュと、前記第2ウォームホイールの頂部に締着される三螺旋面クッションブロックとを含み、前記球座の底部には、前記三螺旋面クッションブロックに当接する三螺旋面凸リングが成形され、前記三螺旋面クッションブロック及び前記三螺旋面凸リングは、上下に組み合わせて中空円柱体を形成し、前記第2ウォームホイールが前記第2ウォームスクリュにより前記三螺旋面クッションブロックを回転させるように動かすとき、前記三螺旋面クッションブロックは、前記三螺旋面凸リングを強制的に上昇させることにより、前記球座が前記球体の下方にしっかりと当接するようになることが好ましい。
【0010】
前記球座の頂部辺縁には、複数の案内開口がさらに成形され、前記外筐体の収容キャビティのキャビティ壁には、前記案内開口に対応する複数の垂直案内柱が成形されることが好ましい。
【0011】
前記三螺旋面クッションブロックは、ベースリングを含み、前記ベースリングの上部は、三つの円弧ブロック体に均等に分割され、前記円弧ブロック体の頂部には、第1螺旋面が成形され、前記三螺旋面凸リングは、凸リング本体を含み、前記凸リング本体の下部は、三つの円弧ブロック体に均等に分割され、前記円弧ブロック体の底部には、前記第1螺旋面に一致する第2螺旋面が成形されることが好ましい。
【0012】
前記ストップピン柱の頂部と組み合わせられて前記球体がリセットされるように前記球体の中空キャビティに設けられるねじりばねアセンブリをさらに含むことが好ましい。
【0013】
前記ねじりばねアセンブリは、前記球体の中空キャビティに締着されるねじりばね座と、枢着軸を介して前記ねじりばね座に枢着されるように第1支持アーム及び第2支持アームを有するねじりばねと、前記第1支持アームと前記第2支持アームとの間に位置するように前記ねじりばね座に締着されるリミットボルトとを含み、前記ねじりばねの枢着軸線は、前記溝体が位置する垂直中心平面に直交し、前記ストップピン柱の頂部が前記溝体に挿入され、前記球体が回転されるとき、前記ストップピン柱は、前記溝体の分布方向に沿って前記第1支持アーム又は前記第2支持アームを押し動かすことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比較して、本発明に係る二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造は、第1ウォームアセンブリがストップピン柱を球体の溝体に挿入又は退出させるように駆動することにより球体の回転自由度の調整を実現することができる。ストップピン柱が溝体に挿入されるとき、球体は二つの回転自由度を有し、ストップピン柱が溝体から退出されるとき、球体は三つの回転自由度を有する。安定した空間位置決め制御を実現することができ、構造が簡単であり、調整が便利であるという利点を有する。
【0015】
第2ウォームアセンブリにより、球体の係止及び位置決めが実現されるように球座と座金との間の隙間の大きさを調整することができる。第2ウォームアセンブリは、三螺旋面クッションブロック及び三螺旋面凸リングを採用して支持構造を調整し、球体の定心回転を保証するとともに、連続的に変化する抵抗力及び強大な係止力を提供することができる。安定した空間位置決め制御を実現することができ、構造が簡単であり、調整が便利であるという利点を有する。
【0016】
ねじりばねアセンブリにより、球体が優れた動的平衡性能を具備するようにすることができる。
【0017】
防塵パッドにリング状溝を設けることにより、防塵パッドを球体によりよく緊張させることができ、優れた防塵密閉効果を具備することになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造を示す概略図である。
【
図2】本発明に係る二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造の分解構造を示す概略図である。
【
図3】本発明に係る二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造の断面構造を示す概略図である。
【
図4】
図3におけるA領域の拡大構造を示す概略図である。
【
図5】本発明に係るストップピン柱と第1ウォームアセンブリとの位置関係を示す概略図である。
【
図6】本発明に係るトップリングの構造を示す概略図である。
【
図7】本発明に係る防塵パッドの断面構造を示す概略図である。
【
図8】本発明に係る球体の断面構造を示す概略図である。
【
図9】本発明に係る球体の構造を示す概略図である。
【
図10】本発明に係るベース筐体の平面視方向の構造を示す概略図である。
【
図11】本発明に係るベース筐体の底面視方向の構造を示す概略図である。
【
図12】本発明に係るベース筐体の断面構造を示す概略図である。
【
図13】本発明に係る球座、座金及び第2ウォームアセンブリ間の分解構造を示す概略図である。
【
図14】本発明に係る球座の構造を示す概略図である。
【
図15】本発明に係る三螺旋面クッションブロックの構造を示す概略図である。
【
図16】
図2におけるB領域の拡大構造を示す概略図である。
【
図17】本発明に係るねじりばねアセンブリの構造を示す概略図である。
【
図18】本発明に係るねじりばねアセンブリの分解構造を示す概略図である。
【
図19】本発明に係るねじりばねアセンブリとストップピン柱との位置関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、当業者が明細書のテキストを参照してそれを実施することができるように、添付の図面を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。
【0020】
図1~
図19に示すように、本発明によれば、二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造であって、収容キャビティを有する外筐体40と、前記収容キャビティ内において回転可能に前記外筐体40の収容キャビティに位置する中空球体10と、前記球体10の下方に位置し、軸心線が前記球体10の球心を通過するように前記外筐体40に垂直に挿設されるストップピン柱20と、垂直方向における直線往復移動を行わせるように前記ストップピン柱20を駆動するために前記外筐体40に設けられる第1ウォームアセンブリ30と、を含む二自由度と三自由度とを切り替え可能なボールジョイント構造が提供される。
図8及び
図9に示すように、前記球体10の球面の半分以上が前記外筐体40の収容キャビティに位置し、すなわち、前記球体10の大部分がいずれも前記外筐体40の収容キャビティに位置している。前記球体10の下半球面には、対称中心面が前記球体10の垂直中心平面に位置する溝体11が設けられる。前記溝体11は、前記球体10の球面に沿って設けられる細長い溝である。ここで、
図1~
図3に示すように、前記外筐体40は、前記球体10のX軸、Y軸及びZ軸の並進自由度を制限する。前記球体10の二回転自由度及び三回転自由度の調整が実現されるように、前記第1ウォームアセンブリ30は、前記ストップピン柱20の頂部を前記溝体11に挿入又は退出させるように駆動する。前記ストップピン柱20の頂部が前記溝体11に挿入されるとき、前記球体10は、前記溝体11に沿って、そして前記ストップピン柱20を中心として二自由度でのみ回転することができ、すなわち、前記球体10は、一つの軸方向における回転自由度が制限され、二回転自由度しか有さない。具体的には、
図9に示すように、前記溝体11の対称中心面がYZ平面である場合、このとき、前記ストップピン柱20は、Y軸に沿った前記球体10の回転自由度を制限する。前記溝体11の対称中心面がXZ平面である場合、このとき、前記ストップピン柱20は、X軸に沿った前記球体10の回転自由度を制限する。一方、ストップピン柱20の頂部が前記溝体11から退出されるとき、前記球体10は三回転自由度を有し、このとき、前記球体10は、X軸、Y軸及びZ軸に沿って回転することができる。
【0021】
本手段の一実施例として、
図5、
図10、
図11及び
図12に示すように、前記第1ウォームアセンブリ30は、第1ウォームホイール31及び第1ウォームスクリュ32を含む。前記外筐体40には、互いに連通する第1ウォームホイールキャビティ412及び第1ウォームスクリュキャビティ413が成形される。前記外筐体40には、前記ストップピン柱20を挿設するための回転防止孔411がさらに成形される。前記回転防止孔411は、その上方に位置する前記外筐体40の収容キャビティとその下方に位置する前記第1ウォームホイールキャビティ412とを連通する。前記ストップピン柱20は、前記回転防止孔411に挿設される柱体21と、前記球体10に挿入可能に前記柱体21の頂部に成形される短ピン22と、を含む。ここで、前記第1ウォームホイール31は、前記柱体21に螺接される。前記第1ウォームホイール31の内壁には、めねじが設けられ、前記柱体21には、前記めねじと組み合わせられるおねじが設けられる。本手段において、前記第1ウォームホイールキャビティ412は、円柱キャビティである。前記第1ウォームホイール31は、前記第1ウォームホイールキャビティ412に制限される。前記第1ウォームスクリュ32の一端は、前記外筐体40の外側に延在し、前記外筐体40の外側に延在する前記第1ウォームスクリュ32の端部には、ハンドホイールが設けられる。前記柱体21の外円周壁には、前記回転防止孔411と組み合わせられる回転止め面211がさらに成形される。前記第1ウォームスクリュ32が回転されるとき、前記第1ウォームホイール31は前記第1ウォームスクリュ32の回転に伴って回転する。前記第1ウォームホイール31と前記柱体21は螺接され、前記第1ウォームホイール31が回転するとき、前記柱体21は、前記回転防止孔411において上下方向における昇降移動を行い、それにより前記短ピン22の前記球体10への挿入又は退出移動が実現される。
【0022】
本手段の一実施例として、
図3及び
図5に示すように、前記柱体21と前記短ピン22との間には、前記溝体11と組み合わせられる円錐台23がさらに成形される。前記短ピン22が前記球体10に挿入されるとき、前記円錐台23は、前記溝体11のV字型の断面に一致するように前記溝体11に押し込まれる。自由度の制限を達成するとともに、前記溝体11と前記円錐台23との間の隙間を調整及び補償することができる。
【0023】
本手段の一実施例として、
図1~
図3に示すように、前記外筐体40は、前記収容キャビティが成形されるベース筐体41と、前記ベース筐体41の頂部開口端に係設されるトップリング42と、を含む。ここで、
図3、
図4及び
図7に示すように、前記トップリング42と前記球体10の球面との間には、防塵パッド50が挟設され、前記防塵パッド50の内輪壁には、リング状溝51が成形される。
図7及び
図8に示すように、前記防塵パッド50の内輪頂部の孔径値Mは、前記球体10における前記防塵パッド50の頂部に対応する箇所の球面の直径値Nよりも小さくすることにより、前記防塵パッド50の頂部が前記リング状溝51により前記球体10に緊張されるようになる。本手段において、
図10、
図11及び
図12に示すように、前記第1ウォームホイールキャビティ412、前記第1ウォームスクリュキャビティ413及び前記回転防止孔411は、いずれも前記ベース筐体41に成形される。前記第1ウォームホイールキャビティ412は、前記ベース筐体41の底部に成形される。前記ベース筐体41の底端面には、前記第1ウォームホイール31を前記第1ウォームホイールキャビティ412に密閉するための底蓋43が取り外し可能に設けられる。前記第1ウォームスクリュ32が回転されるとき、前記第1ウォームホイール31は、前記第1ウォームスクリュ32の駆動により前記第1ウォームホイールキャビティ412において回転する。前記底蓋43を設ける目的は、前記第1ウォームホイール31の取り付けを便利にすることである。
【0024】
本手段の一実施例として、
図6に示すように、前記トップリング42の内輪壁には、前記防塵パッド50を係設するための係止肩421が成形される。前記トップリング42の内輪の頂部には、前記防塵パッド50の位置を制限するためのフランジ422が成形される。構造が簡単であり、取り付けが便利であるという利点を有する。
【0025】
本手段の一実施例として、
図13~
図16に示すように、前記球体10を支持するために前記外筐体40の収容キャビティに位置する球座60をさらに含む。前記球座60と前記球体10との間には、座金70がさらに挟設される。前記球座60及び前記座金70の底部には、いずれも前記ストップピン柱20が穿設される第1貫通孔が成形される。前記球座60及び前記座金70は、いずれもボウル状である。前記球座60の外壁には、底端面が平面であるリング柱体63が成形され、前記外筐体40の収容キャビティには、前記リング柱体63を支持するための複数の凸台416が成形される。位置決めが便利であるという利点を有する。
【0026】
本手段の一実施例として、
図13~
図16に示すように、前記球体10の係止及び位置決めが実現されるように前記球座60と前記座金70との間の隙間の大きさを調整するために前記外筐体40に設けられる第2ウォームアセンブリ80をさらに含む。
【0027】
本手段の一実施例として、
図11~
図13に示すように、前記第2ウォームアセンブリ80は、前記外筐体40の収容キャビティのキャビティ底に設けられる第2ウォームホイール81と、前記第2ウォームホイール81に噛合するように前記外筐体40に位置する第2ウォームスクリュ82と、前記第2ウォームホイール81の頂部に締着される三螺旋面クッションブロック84とを含む。前記外筐体40には、前記第2ウォームスクリュ82を収容するための第2ウォームスクリュキャビティ414が成形される。前記第2ウォームスクリュ82の一端は、前記外筐体40の外側に延在し、前記外筐体40の外側に延在する前記第2ウォームスクリュ82の端部には、ハンドホイールが設けられる。前記第2ウォームスクリュキャビティ414には、前記第2ウォームスクリュキャビティ414における前記第2ウォームスクリュ82の位置を制限するために第2リミット柱85が挿設される。前記第2ウォームスクリュ82には、前記第2リミット柱85を係設するための第2リミット溝が設けられる。同様に、前記第1ウォームスクリュキャビティ413には、前記第1ウォームスクリュキャビティ413における前記第1ウォームスクリュ32の位置を制限するために第1リミット柱(不図示)が挿設される。前記第1ウォームスクリュ32には、前記第1リミット柱を係設するための第1リミット溝(不図示)が設けられる。前記球座60の底部には、前記三螺旋面クッションブロック84に当接する三螺旋面凸リング61が成形される。前記三螺旋面クッションブロック84及び前記三螺旋面凸リング61は、上下に組み合わせて中空円柱体を形成する。前記第2ウォームホイール81は、前記第2ウォームスクリュ82によって動かされて、前記外筐体40の収容キャビティにおいて回転する。前記第2ウォームホイール81が前記第2ウォームスクリュ82により前記三螺旋面クッションブロック84を回転させるように動かすとき、前記三螺旋面クッションブロック84は、前記三螺旋面凸リング61を強制的に上昇させることにより、前記球座60が前記球体10の下方にしっかりと当接するようになり、前記球体10を係止する目的が実現される。本手段において、前記球座60は、前記球体10が定心回転するキャリアである。前記第2ウォームアセンブリ80は、前記三螺旋面クッションブロック84及び前記三螺旋面凸リング61を採用して支持構造を調整し、前記球体10の定心回転を保証するとともに、連続的に変化する抵抗力及び強大な係止力を提供することができる。
【0028】
本手段の一実施例として、
図10及び
図14に示すように、前記球座60の頂部辺縁には、複数の案内開口62がさらに成形される。前記外筐体40の収容キャビティのキャビティ壁には、前記案内開口62に対応する複数の垂直案内柱415が成形される。移動が安定し信頼性が高いという利点を有する。
【0029】
本手段の一実施例として、
図15に示すように、前記三螺旋面クッションブロック84は、ベースリングを含む。前記ベースリングの上部は、三つの円弧ブロック体に均等に分割される。前記円弧ブロック体の頂部には、第1螺旋面が成形される。
図14に示すように、前記三螺旋面凸リング61は、凸リング本体を含む。前記凸リング本体の下部は、三つの円弧ブロック体に均等に分割される。前記円弧ブロック体の底部には、前記第1螺旋面に一致する第2螺旋面が成形される。本手段において、前記第1螺旋面及び前記第2螺旋面の数をそれぞれ三つに設定する目的は、前記球座60の上下の昇降移動をより平面的で信頼性の高いものにし、上昇又は下降過程において前記球座60の水平方向における左右の傾きの発生を回避することである。
【0030】
本手段の一実施例として、
図3に示すように、前記ストップピン柱20の頂部と組み合わせられて前記球体10がリセットされるように前記球体10の中空キャビティに設けられるねじりばねアセンブリ90をさらに含む。前記ねじりばねアセンブリ90により、前記球体10が優れた動的平衡性能を具備するようにすることができる。
【0031】
本手段の一実施例として、
図17~
図19に示すように、前記ねじりばねアセンブリ90は、前記球体10の中空キャビティに締着されるねじりばね座91と、枢着軸93を介して前記ねじりばね座91に枢着されるように第1支持アーム921及び第2支持アーム922を有するねじりばね92と、前記第1支持アーム921と前記第2支持アーム922との間に位置するように前記ねじりばね座91に締着されるリミットボルト94とを含む。ここで、前記球体10の頂部には、取り付け口が成形される。前記取り付け口及び前記溝体11は、前記球体10の対向する両側に位置する。前記ねじりばね座91は、前記取り付け口を通過して前記球体10の中空キャビティに挿入される。前記ねじりばね座91の頂部は、ボルトによって前記取り付け口に締着される。前記枢着軸93は、ねじりばねボルト95によって前記ねじりばね座91に設けられる。前記ねじりばね92の枢着軸線は、前記溝体11が位置する垂直中心平面に直交する。前記ストップピン柱20の頂部が前記溝体11に挿入され、前記球体10が回転されるとき、前記ストップピン柱20は、前記溝体11の分布方向に沿って前記第1支持アーム921又は前記第2支持アーム922を押し動かすことにより、逆平衡弾性力が形成される。具体的には、前記第1支持アーム921又は前記第2支持アーム922は、押し動かれた後の変形により弾性復元力が発生する。当該弾性復元力は前記逆平衡弾性力である。前記球体10は、当該逆平衡弾性力により中心平衡位置に戻されてリセットされる。当該逆平衡弾性力は、前記第1支持アーム921又は第2支持アーム922の回転角の増加とともに増加し、動的平衡性能が優れるという利点を有する。前記リミットボルト94は、前記第1支持アーム921及び前記第2支持アーム922をその対向する両側に位置させ、それにより、前記第1支持アーム921及び前記第2支持アーム922の回転範囲が制限される。前記リミットボルト94が設けられない場合、前記ストップピン柱20が前記第1支持アーム921を押し動かすとき、前記第2支持アーム922は前記第1支持アーム921に従って回転することになり、前記第1支持アーム921は、前記球体10のリセットを促進する弾性復元力を生成することができない。前記第1支持アーム921及び前記第2支持アーム922の底部が前記ストップピン柱20に接触する箇所には、前記ストップピン柱20が前記第1支持アーム921及び前記第2支持アーム922をよりよく押し動かすようにすることができる円弧湾曲部が成形される。前記ストップピン柱20の頂部が前記溝体11に挿入され、前記球体10が回転されるとき、前記第1支持アーム921及び前記第2支持アーム922は、前記ストップピン柱20の短ピン22の対向する両側にそれぞれ位置し、前記円錐台23は、前記溝体11に位置する。
【0032】
本発明の実施手段は上記のように開示されているが、明細書及び実施形態に記載の用途に限定されるものではなく、本発明に適した様々な分野に適用することができる。当業者にとって、追加の修正は容易に実現することができるので、特許請求の範囲及び同等の範囲によって限定される一般的な概念から逸脱することなく、本発明は、特定の細部及びここに示され、説明される図の例に限定されない。
【符号の説明】
【0033】
10、球体
11、溝体
20、ストップピン柱
22、柱体
211、回転止め平面
22、短ピン
23、円錐台
30、第1ウォームアセンブリ
31、第1ウォームホイール
32、第1ウォームスクリュ
40、外筐体
41、ベース筐体
411、回転防止孔
412、第1ウォームホイールキャビティ
413、第1ウォームスクリュキャビティ
414、第2ウォームスクリュキャビティ
415、案内柱
416、凸台
42、トップリング
421、係合肩
422、フランジ
43、底蓋
50、防塵パッド
51、リング状溝
60、球座
61、三螺旋面凸リング
62、案内開口
63、リング柱体
70、座金
80、第2ウォームアセンブリ
81、第2ウォームホイール
82、第2ウォームスクリュ
83、平面軸受
84、三螺旋面クッションブロック
85、第2リミット柱
90、ねじりばねアセンブリ
91、ねじりばね座
92、ねじりばね
921、第1支持アーム
922、第2支持アーム
93、枢着軸
94、リミットボルト
95、ねじりばねボルト