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特許7036469給水サーバーの制御方法、制御装置、プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】給水サーバーの制御方法、制御装置、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
F25D11/00 102A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021029358
(22)【出願日】2021-02-26
(62)【分割の表示】P 2020077346の分割
【原出願日】2016-12-28
(65)【公開番号】P2021099216
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】桂谷 祥太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智人
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-032106(JP,A)
【文献】特開2009-073528(JP,A)
【文献】国際公開第2015/162631(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
B67D 1/08
B67D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定温度に制御される冷水を提供する給水サーバーの制御方法であって、
冷水の温度領域に第1の基準温度と、該第1の基準温度より高い第2の基準温度を設定する工程と、
冷却装置を動作させて前記冷水を生成し、該冷水温度が前記第1の基準温度に低下した時点から所定時間が経過したとき前記冷却装置の動作を停止させる工程と、
前記冷却装置の動作停止後、所定時間が経過しても、冷水温度が前記第2の基準温度に到達しないとき、前記冷却装置の動作停止を継続し、冷水温度が前記第2の基準温度に到達したとき、前記冷却装置を動作させる工程と、
を含むことを特徴とする、給水サーバーの制御方法。
【請求項2】
さらに、前記冷水温度に応じて表示手段の表示形態を第1表示または第2表示に変更する工程と、
前記冷水の温度領域に前記第2の基準温度より高い第3の基準温度が定められ、冷水温度が前記第3の基準温度以上に上昇したとき前記第1表示から前記第2表示に変更する工程と、
前記第3の基準温度以上に上昇した冷水温度が前記第2の基準温度に低下するとき、前記第3の基準温度未満から前記第2の基準温度に至る温度推移区間で前記第2表示を継続する工程と、
前記第2の基準温度以下に低下したとき前記第2表示を前記第1表示に変更する工程と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の給水サーバーの制御方法。
【請求項3】
所定温度に制御される冷水を提供する給水サーバーの制御装置であって、
冷水の温度領域に第1の基準温度と、該第1の基準温度より高い第2の基準温度を設定し、
冷却装置を動作させて前記冷水を生成し、該冷水温度が前記第1の基準温度に低下した時点から所定時間が経過したとき前記冷却装置の動作を停止させ、
前記冷却装置の動作停止後、所定時間が経過しても、冷水温度が前記第2の基準温度に到達しないとき、前記冷却装置の動作停止を継続し、冷水温度が前記第2の基準温度に到達したとき、前記冷却装置を動作させる制御部を備えることを特徴とする、給水サーバーの制御装置。
【請求項4】
さらに、前記冷水温度に応じて表示形態を第1表示または第2表示に変更する表示手段を備え、
前記制御部は、前記冷水の温度領域に前記第2の基準温度より高い第3の基準温度が定められ、冷水温度が前記第3の基準温度以上に上昇したとき前記第1表示から前記第2表示に変更し、前記第3の基準温度以上に上昇した冷水温度が前記第2の基準温度に低下するとき、前記第3の基準温度未満から前記第2の基準温度に至る温度推移区間で前記第2表示を継続し、前記第2の基準温度以下に低下したとき前記第2表示を前記第1表示に変更することを特徴とする、請求項3に記載の給水サーバーの制御装置。
【請求項5】
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
冷水の温度領域に第1の基準温度と、該第1の基準温度より高い第2の基準温度を設定する機能と、
冷却装置を動作させて前記冷水を生成し、該冷水温度が前記第1の基準温度に低下した時点から所定時間が経過したとき前記冷却装置の動作を停止させる機能と、
前記冷却装置の動作停止後、所定時間が経過しても、冷水温度が前記第2の基準温度に到達しないとき、前記冷却装置の動作停止を継続し、冷水温度が前記第2の基準温度に到達したとき、前記冷却装置を動作させる機能と、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
さらに、前記冷水温度に応じて表示手段の表示形態を第1表示または第2表示に変更する機能と、
前記冷水の温度領域に前記第2の基準温度より高い第3の基準温度が定められ、冷水温度が前記第3の基準温度以上に上昇したとき前記第1表示から前記第2表示に変更する機能と、
前記第3の基準温度以上に上昇した冷水温度が前記第2の基準温度に低下するとき、前記第3の基準温度未満から前記第2の基準温度に至る温度推移区間で前記第2表示を継続する機能と、
前記第2の基準温度以下に低下したとき前記第2表示を前記第1表示に変更する機能と、
を前記コンピュータに実行させるための請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載されたプログラムを格納したことを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーターサーバーなど、給水サーバーの冷水の温度制御技術およびその表示に関する。
【背景技術】
【0002】
給水から温水や冷水を生成して提供するウォーターサーバーは、パック詰めの飲料水や水道水などの給水を冷水タンクに導き、この冷水タンクに巻き付けられたエバポレーターに循環する冷媒との熱交換により冷水を生成している。この冷水の温度制御は、冷水タンクに設置された温度センサーの検出温度に基づき、冷却装置の制御により所望の冷水温度を実現する。
この給水冷却に関し、比較的小容量の冷却装置を用いることにより、冷却装置の制御により過不足なく飲料を冷却することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-285429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ウォーターサーバーの冷水温度は、たとえば、6〔℃〕~12〔℃〕の温度範囲に制御する仕様が一般的である。冷水タンクの冷水が消費されると、冷水タンクに冷水の消費分だけ常温の給水が行われ、この給水により冷水タンクの冷水温度が上昇する。冷水消費が頻繁であれば、冷水の温度上昇が顕著となる。冷水温度を6〔℃〕~12〔℃〕の範囲に制御するには冷却装置の動作およびその停止が繰り返され、冷水の消費量に対して冷水タンクのタンク容量が小さければその動作と停止の繰り返しがより顕著となる。
【0005】
冷却装置の動作時間および休止時間は共に5〔分〕以上継続させることが冷却回路やコンプレッサーの保護のために不可欠であり、休止時間が短く頻繁に動作と停止の繰り返しを生じさせると、冷却装置や冷却回路の損耗、故障の原因となり、冷却装置の寿命が短くなる課題がある。冷水タンクではエバポレーター付近の水が凍結しやすく、静水状態であればその凍結はより顕著となるので、冷水タンク内が凍結しない温度範囲に冷却装置の動作を抑えなければならない。4〔℃〕の近傍で水の密度が最高になるため、冷水温度の下限側温度である6〔℃〕近傍での温度制御は困難になるという課題がある。家庭内に設置される給水サーバーでは、冷却装置の動作とその停止の繰り返しが頻繁になると、騒音になるという課題がある。
【0006】
この給水サーバーにおいて、同一の冷水表示であっても異なる温度の冷水が供給されるという課題がある。たとえば、7〔℃〕の冷水供給において、使用量が増加すると、給水によって冷水タンクの冷水温度が上昇する。冷水温度がたとえば、12〔℃〕を超えると、この温度上昇を表す冷水表示に切り替わり、ユーザーに温度上昇を告知する。12〔℃〕を超えた時点で冷却装置が動作を開始し、冷水温度は12〔℃〕を下回る温度に低下する。この時点で、冷水表示に切り替わっても、冷水が12〔℃〕を下回っているとはいえ、7〔℃〕の冷水供給時に比較して温い冷水が供給される。つまり、温い冷水に対して7〔℃〕と同一表示では冷水表示に違和感を生じさせるという課題がある。しかし、温度変化に応じた複数の冷水表示を設けることは利便性に欠けるという課題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は上記課題に鑑み、冷却に適正な休止時間を設定するとともに、冷水の供給制御能力を高めることにある。
また、本発明の他の目的は上記課題に鑑み、供給される冷水に対し違和感のない冷水表示を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の給水サーバーの制御方法の一側面によれば、所定温度に制御される冷水を提供する給水サーバーの制御方法であって、冷水の温度領域に第1の基準温度と、該第1の基準温度より高い第2の基準温度を設定する工程と、冷却装置を動作させて前記冷水を生成し、該冷水温度が前記第1の基準温度に低下した時点から所定時間が経過したとき前記冷却装置の動作を停止させる工程と、前記冷却装置の動作停止後、所定時間が経過しても、冷水温度が前記第2の基準温度に到達しないとき、前記冷却装置の動作停止を継続し、冷水温度が前記第2の基準温度に到達したとき、前記冷却装置を動作させる工程とを含む。
この給水サーバーの制御方法において、さらに、前記冷水温度に応じて表示手段の表示形態を第1表示または第2表示に変更する工程と、前記冷水の温度領域に前記第2の基準温度より高い第3の基準温度が定められ、冷水温度が前記第3の基準温度以上に上昇したとき前記第1表示から前記第2表示に変更する工程と、前記第3の基準温度以上に上昇した冷水温度が前記第2の基準温度に低下するとき、前記第3の基準温度未満から前記第2の基準温度に至る温度推移区間で前記第2表示を継続する工程と、前記第2の基準温度以下に低下したとき前記第2表示を前記第1表示に変更する工程とを含んでよい。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の給水サーバーの制御装置の一側面によれば、所定温度に制御される冷水を提供する給水サーバーの制御装置であって、冷水の温度領域に第1の基準温度と、該第1の基準温度より高い第2の基準温度を設定し、冷却装置を動作させて前記冷水を生成し、該冷水温度が前記第1の基準温度に低下した時点から所定時間が経過したとき前記冷却装置の動作を停止させ、前記冷却装置の動作停止後、所定時間が経過しても、冷水温度が前記第2の基準温度に到達しないとき、前記冷却装置の動作停止を継続し、冷水温度が前記第2の基準温度に到達したとき、前記冷却装置を動作させる制御部を備える。
この給水サーバーの制御装置において、さらに、前記冷水温度に応じて表示形態を第1表示または第2表示に変更する表示手段を備え、前記制御部は、前記冷水の温度領域に前記第2の基準温度より高い第3の基準温度が定められ、冷水温度が前記第3の基準温度以上に上昇したとき前記第1表示から前記第2表示に変更し、前記第3の基準温度以上に上昇した冷水温度が前記第2の基準温度に低下するとき、前記第3の基準温度未満から前記第2の基準温度に至る温度推移区間で前記第2表示を継続し、前記第2の基準温度以下に低下したとき前記第2表示を前記第1表示に変更してよい。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のプログラムの一側面によれば、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、冷水の温度領域に第1の基準温度と、該第1の基準温度より高い第2の基準温度を設定する機能と、冷却装置を動作させて前記冷水を生成し、該冷水温度が前記第1の基準温度に低下した時点から所定時間が経過したとき前記冷却装置の動作を停止させる機能と、前記冷却装置の動作停止後、所定時間が経過しても、冷水温度が前記第2の基準温度に到達しないとき、前記冷却装置の動作停止を継続し、冷水温度が前記第2の基準温度に到達したとき、前記冷却装置を動作させる機能とを前記コンピュータに実行させる。
このプログラムにおいて、さらに、前記冷水温度に応じて表示手段の表示形態を第1表示または第2表示に変更する機能と、前記冷水の温度領域に前記第2の基準温度より高い第3の基準温度が定められ、冷水温度が前記第3の基準温度以上に上昇したとき前記第1表示から前記第2表示に変更する機能と、前記第3の基準温度以上に上昇した冷水温度が前記第2の基準温度に低下するとき、前記第3の基準温度未満から前記第2の基準温度に至る温度推移区間で前記第2表示を継続する機能と、前記第2の基準温度以下に低下したとき前記第2表示を前記第1表示に変更する機能とを前記コンピュータに実行させてよい。
上記目的を達成するため、本発明の記録媒体の一側面によれば、前記プログラムを格納した記録媒体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) 請求項1、請求項3、請求項5または請求項7に係る発明によれば、冷却装置の動作停止から所定時間が経過しても、冷水温度が上昇しないとき、冷却装置の動作停止を継続し、冷水温度が所定温度に上昇したとき、冷却装置を動作させるので、冷却装置や冷却回路が必要とする休止時間を確保でき、この休止時間により冷却装置や冷却回路を保護することができ、冷却装置や冷却回路を損耗や故障から防護し、その寿命を延ばすことができる。
(2) 冷却装置の動作を開始させると、冷水温度が所定温度に低下した時点から所定時間の経過後までその動作を延長するので、冷水タンクの冷水温度は所定温度以下に冷却されて過冷却とするので、冷水の供給能力を高めることができる。つまり、冷却装置の休止時間による冷水生成の低下を補填し、頻繁な冷水提供に備えることができる。
【0012】
(3) 冷却装置の休止時間の確保と、冷却装置の動作時間の延長により、冷水温度の変化に追従する頻繁な動作と停止の繰り返しを抑制でき、動作と停止の繰り返しによる騒音を抑制できる。
(4) 請求項2、請求項4、請求項6または請求項7に係る発明によれば、過剰な冷水供給により冷水温度が上昇すると、第1表示から第2表示に冷水表示を切り替えて冷水温度の状態を表示できる。
(5) 冷却装置の動作により冷水温度が低下しても、第1表示から第2表示に移行すると、第1表示から第2表示への切替えに用いられた基準温度を下回る基準温度を以て第2表示から第1表示に切り替えるので、ぬるい冷水の供給で第1表示となる不都合を回避でき、提供される冷水の温度と冷水表示の間に生じる違和感を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態に係るウォーターサーバーを示す図である。
図2】冷水の温度制御の処理手順を示すフローチャートである。
図3】Aは第2の実施の形態に係るウォーターサーバーを示す図、Bは冷水表示制御の処理手順を示すフローチャートである。
図4】実施例1に係るウォーターサーバーを示す図である。
図5】Aは冷水タンクを示す図、Bは冷水タンクを示す断面図である。
図6】操作パネル部を示す図である。
図7】制御部のハードウェアを示す図である。
図8】冷水制御の処理手順を示すフローチャートである。
図9】基本的な動作タイミングを示す図である。
図10】冷却装置の停止時間内で冷水温度が基準温度以上に上昇しない場合の動作タイミングを示す図である。
図11】冷却装置の休止時間内で冷水温度が基準温度以上に上昇した場合の動作タイミングを示す図である。
図12】冷却装置の動作時間中で過剰な冷水消費が生じた場合の動作タイミングを示す図である。
図13】冷水表示が第2表示から第1表示に切り替えられる場合の表示動作を含む動作タイミングを示す図である。
図14】実施例2に係る高温循環後の過冷却制御の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1の実施の形態〕
図1は第1の実施の形態に係るウォーターサーバーを示している。図1に示す構成は一例であり、係る構成に本発明が限定されるものではない。
このウォーターサーバー2は温水や冷水を供給する給水サーバーの一例であり、以下「サーバー2」と称する。このサーバー2には、少なくとも冷水タンク4、冷却装置6、温度センサー8および制御部10が備えられる。
冷水タンク4には給水機構12から給水Wが供給され、冷却装置6で冷却される冷水LWが溜められる。給水機構12は飲料水の給水パックの他、水道を用いてもよい。冷却装置6は冷水タンク4に設置されて冷媒を循環するたとえば、エバポレーターやコンプレッサーを含み、冷却装置6の駆動または停止はコンプレッサーの駆動、停止により行えばよい。
この冷水タンク4の冷水LWは、冷水供給機構14から供給されて消費される。このとき、冷水タンク4には冷水LWの消費分の給水Wが給水機構12を通じて補填される。給水Wは通常、常温であり、冷水タンク4内の冷水温度Tsは冷水LWの消費などにより変化する。この冷水温度Tsは温度センサー8で検出され、その検出温度が制御部10に提供され、冷却装置6の制御などに用いられる。
【0015】
制御部10は少なくとも冷却装置6の制御手段であって、たとえば、コンピュータで構成される。この制御部10は制御情報として、タイマー16から時間情報、温度センサー8で検出された冷水温度Tsを取り込み、冷却装置6の動作時間とその停止時間を制御する。この制御部10の設定情報および制御は次の通りである。
a.冷水LWの温度領域に第1の基準温度Tr1と、この第1の基準温度Tr1より高い第2の基準温度Tr2が定められる。
b.タイマー16で計時される所定時間を表す時間情報として、第1の時間taおよび第2の時間tbが定められる。時間taは、冷却装置6の動作中に、冷水温度Tsが基準温度Tr1に低下した時点から計測される一定時間であり、時間tbは、冷却装置6の停止時点から計測される一定時間である。時間ta、tbの長短はたとえば、ta≧tbとすればよい。
c.冷水温度Tsが基準温度Tr1に低下した時点から時間taが経過したとき冷却装置6を停止させる。
d.冷水温度Tsが基準温度Tr2以上に上昇しかつ冷却装置6の停止から時間tbが経過したとき冷却装置6を動作させる。
【0016】
<冷水の温度制御>
図2は、冷水の温度制御の処理手順を示している。この処理手順では初期設定において、冷水LWの温度領域に基準温度Tr1、Tr2(>Tr1)が設定される。この処理手順の開始により、温度センサー8の温度検出により冷水温度Tsの取込みが行われる(S101)。この冷水温度Tsについて、Ts≧Tr2であるかが判断される(S102)。Ts≧Tr2でなければ(S102のNO)、リターンし、Ts≧Tr2であれば(S102のYES)、冷却装置6の動作停止から時間tbが経過したかを判断する(S103)。
Ts≧Tr2であっても、冷却装置6の動作停止から時間tbが経過していなければ(S103のNO)、リターンする。Ts≧Tr2であって、冷却装置6の動作停止から時間tbが経過すれば(S103のYES)、冷却装置6を起動する(S104)。
【0017】
この時点から冷水温度Ts取込みを行い(S105)、Ts≦Tr1であるかを判断し(S106)、Ts≦Tr1でなければ(S106のNO)、冷却装置6の動作を継続し(S107)、S105に戻る。Ts≦Tr1であれば(S106のYES)、Tsが基準温度Tr1に低下した時点から時間taが経過したかを判断する(S108)。Ts=Tr1に低下した時点から時間taが経過していなければ(S108のNO)、冷却装置6の動作を継続し、Ts=Tr1に低下した時点から時間taが経過していれば(S108のYES)、冷却装置6の動作を停止し(S109)、リターンする。
【0018】
<第1の実施の形態の効果>
このサーバー2によれば以下の効果が得られる。
(1) 冷却装置6は動作停止から時間tbの経過後、動作を開始させるので、冷却装置6や冷媒回路を保護するに必要な休止時間が確保され、冷却装置6や冷媒回路を損耗や故障から防護でき、冷却装置6や冷媒回路の寿命を延ばすことができる。
(2) 冷却装置6は、動作を開始すると、冷水温度Tsが基準温度Tr1以下に低下した時点から時間taの経過後、動作を停止する。この結果、冷却装置6の動作時間が時間taだけ延長されるので、冷水LWは過冷却となる。これにより、頻繁な冷水LWの提供に備えることができ、冷水タンク4が小容量であっても冷水LWの供給能力を高めることができ、冷水タンク4の小容量化を図ることができる。
【0019】
(3) 冷却装置6の休止時間で冷水LWの生成機能が低下しても、時間taにおける冷却装置6の動作延長による冷水LWの過冷却により冷水LWの生成機能が補填され、頻繁な冷水LWの供給に充分に対応することができる。
(4) 時間ta、tbについて、ta≧tbに設定すれば、冷却装置6の休止時間より、冷水LWの冷却時間が長くなり、冷水LWの過冷却が進むので、冷水LWの供給能力を高めることができる。
【0020】
〔第2の実施の形態〕
図3のAは、第2の実施の形態に係るサーバー2を示している。図3のAにおいて、図1と同一部分には同一符号を付してある。
このサーバー2では少なくとも冷水タンク4、冷却装置6、温度センサー8、制御部10および冷水表示部18が備えられる。冷水タンク4、冷却装置6、温度センサー8、制御部10について、冷水制御は第1の実施の形態と同一であるので、その説明を割愛する。
【0021】
制御部10は少なくとも冷却装置6の制御および冷水表示部18の表示制御の制御手段であって、タイマー16の時間情報、温度センサー8の検出温度を制御情報に用いて冷却装置6の制御および冷水表示制御を実行する。制御部10で制御される冷水表示部18には、第1表示xを表示する冷水表示ランプ18-1、第2表示yを表示する冷水表示ランプ18-2が備えられる。冷水表示ランプ18-1にはたとえば、緑発光のLED(Light Emitting Diode)、冷水表示ランプ18-2にはたとえば、橙発光のLEDを用いればよい。
【0022】
制御部10の設定情報および制御は次の通りである。
e.第2の基準温度Tr2より高い第3の基準温度Tr3が定められる。
f.冷水温度Tsが基準温度Tr3以上に上昇したとき第1表示xから第2表示yに変更する。
g.基準温度Tr3以上に上昇した冷水温度Tsが基準温度Tr2に低下するとき、基準温度Tr3未満から基準温度Tr2に至る温度推移区間で第2表示yを維持し、基準温度Tr2以下に低下したとき第2表示yから第1表示xに変更する。
【0023】
<冷水表示制御>
図3のBは、冷水表示制御の処理手順を示している。この処理手順では初期設定において、冷水LWの温度制御領域に基準温度Tr1、Tr2(>Tr1)、Tr3(>Tr2)が設定される。この処理手順の開始により、温度センサー8の温度検出により冷水温度Tsの取込みが行われる(S201)。この冷水温度Tsについて、Ts≧Tr3であるかが判断される(S202)。
【0024】
Ts≧Tr3でなければ(S202のNO)、第1表示xを行い(S203)、リターンする。Ts≧Tr3になれば(S202のYES)、第1表示xから第2表示yに変更する(S204)。冷水温度Tsの取込みが行われ(S205)、Ts≧Tr3から冷水温度TsがTs≦Tr2に低下したかを判断する(S206)。Ts≦Tr2であれば(S206のYES)、S203に移行し、表示を第2表示yから第1表示xに切り替える(S203)。Ts≦Tr2でなければ(S206のNO)、第2表示yを維持し(S207)、S205に戻る。
【0025】
<第2の実施の形態の効果>
このサーバー2によれば以下の効果が得られる。
(1) 冷水LWの頻繁な提供により冷水温度Tsが基準温度Tr3以上に上昇すると、冷水表示が第1表示xから第2表示yに変更されるので、ぬるい冷水LWが提供されても、ユーザーは第2表示yから冷水LWが頻繁に予想を超えて供給され、冷水タンク4内の冷水温度Tsが上昇したことが告知される。
【0026】
(2) 冷却装置6は第1の実施の形態で述べた通り、動作停止から時間tbが経過すれば動作状態に入るので、冷水温度Tsは基準温度Tr3以下に低下する。しかし、冷水温度Tsが基準温度Tr3以下に低下しても基準温度Tr2を超えていれば、第2表示yが継続して表示され、第1表示xに変更されない。つまり、冷水温度Tsが基準温度Tr3以下であっても、基準温度Tr2を超えていれば、ぬるい冷水LWが提供されることになり、この時点で第1表示xに変更すると、表示と冷水温度Tsとの関係に違和感が生じさせ、冷水LWの通常消費であっても、基準温度Tr3を超える場合に違和感を生じさせる。そこで、一旦冷水温度Tsが基準温度Tr3を超えた場合には、基準温度Tr2以下に低下するまで第2表示yを維持し、基準温度Tr2以下に低下した時点で第2表示yから第1表示xに切替えるので、冷水表示と提供される冷水温度Tsの間の違和感を解消できる。つまり、冷水表示に期待される冷水温度Tsの違和感を解消し、表示の信頼性を高めることができる。
【実施例1】
【0027】
図4は、実施例1に係るサーバー2を示している。図4において、図1または図3と同一部分には同一符号を付してある。
このサーバー2の筐体20の上部には給水機構12が備えられる。この給水機構12に設置された給水パック22からの給水Wが給水口24より冷水タンク4に導かれる。給水口24に設置された給水弁26には、冷水タンク4の水位によるフロート部28の昇降で開閉する開閉機構30が備えられる。冷水タンク4の水位が上限水位に到達したとき、給水弁26が閉じられ、冷水LWの供給で水位が低下すると、フロート部28の下降で給水弁26が開かれて給水Wが冷水LWの消費分だけ冷水タンク4に供給される。これにより、冷水タンク4の水位は、給水弁26が閉じられて一定水位(上限水位)に維持される。 冷水タンク4には冷却装置6のエバポレーター34が設置され、このエバポレーター34には冷却時、コンプレッサー36により圧送される冷媒が循環する。この冷媒との熱交換により給水Wを冷却し、冷水LWが生成される。冷水温度Tsは温度センサー8により検出される。冷水温度Tsが温度センサー8から制御部10に取り込まれる。
【0028】
この冷水タンク4の冷水LWは冷水供給機構14により提供される。この例では、冷水タンク4の底部に接続された冷水供給路38に冷水電磁弁40が備えられ、制御部10により冷水電磁弁40を動作させて冷水口42から冷水LWが提供される。
この冷水タンク4の下側には給水Wを加熱して温水HWを提供する温水タンク44が備えられている。この温水タンク44には冷水タンク4に配置された分離板46の中央部から給水管48が配設され、冷水タンク4に導かれた給水Wが給水管48より温水タンク44に供給される。
この温水タンク44と冷水タンク4には高温殺菌時、冷水タンク4から温水HWを冷水タンク4に導くための管路としてバイパス管50が備えられる。このバイパス管50には高温水循環時、制御部10により開状態に制御されるバイパス弁52が備えられる。
【0029】
<冷水タンク4>
冷水タンク4には図5のAに示すように、エバポレーター34が巻き付けられている。このエバポレーター34には冷却回路の冷媒回路54から冷媒が循環し、給水Wが冷水タンク4内で冷却され、冷水タンク4内に冷水LWが生成される。
冷水タンク4には図5のBに示すように、温度センサー8が冷水タンク4のエバポレーター34の設置位置との間に間隔dを設けることにより、エバポレーター34を避けて設置されている。このように温度センサー8を設置すれば、エバポレーター34の冷却機能の直接的な影響がなく、温度センサー8の凍結が回避され、冷水温度Tsの検出精度の低下を防止できる。
【0030】
<操作パネル部56>
図6はサーバー2の操作パネル部56を示している。この操作パネル部56には中央にロック解除スイッチ58が備えられ、このロック解除スイッチ58を挟んで冷水スイッチ60および温水スイッチ62などが備えられる。冷水スイッチ60の押下により冷水供給モードが実行され、温水スイッチ62の押下により温水供給モードが実行される。
冷水スイッチ60の上側には、冷水表示部18および弱冷表示部66が備えられる。冷水表示部18には第1表示xに用いる冷水表示ランプ18-1、第2表示yに用いる冷水表示ランプ18-2が備えられている。弱冷表示部66は弱冷表示ランプ67を備え、弱冷時に点灯する。
【0031】
<制御部10>
制御部10にはコンピュータが用いられ、図7に示すように、プロセッサ68、メモリ部70、タイマーとしてマルチタイマー72、入出力部(I/O)74が備えられる。プロセッサ68はメモリ部70に格納されているOS(Operating System)や水冷制御などを行うプログラムを実行する。メモリ部70はOSや水冷制御などを行うプログラムを格納する記憶手段であって、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )などの記憶素子で構成される。
【0032】
マルチタイマー72は複数の計時情報を提供し、この計時情報には制御部10の制御に基づき、冷却装置6の停止から所定時間の時間情報や、冷水温度Tsが基準温度Tr1に低下した時点からの所定時間を表す時間情報などを制御部10に提供する。
I/O74は制御部10の制御に基づき、温度センサー8などの検出情報や、冷水スイッチ60などの操作情報の取込み、制御部10の制御情報や駆動情報を冷水表示ランプ18-1、18-2やコンプレッサー36などの機能手段に出力する。
【0033】
<冷水制御および表示制御の処理手順>
図8は冷水モードの処理手順を示している。この冷水モードには、冷水温度Tsに基づく冷水表示ランプ制御およびコンプレッサー制御が含まれる。温度センサー8から冷水温度Tsを取り込み(S301)、冷水表示ランプ18-1、18-2の表示制御を行う。先ず、冷水表示ランプ18-1が点灯中(緑)かを判断する(S302)。緑点灯中であれば(S302のYES)、冷水温度Tsが基準温度Tr3(=12〔℃〕)を超えているかを判断する(S303)。Ts>12〔℃〕であれば(S303のYES)、冷水表示ランプ18-1を消灯し、冷水表示ランプ18-2の点灯(橙)に切り替え(S304)、S305に移行する。Ts>12〔℃〕でなければ(S303のNO)、冷水表示ランプ18-1の点灯(緑)を維持し、S305に移行する。
【0034】
S302の判断で、緑点灯中でなければ(S302のNO)、つまり、冷水表示ランプ18-2の橙点灯であれば、冷水温度Tsが基準温度Tr2(=7〔℃〕)未満であるかを判断する(S306)。Ts<7〔℃〕であれば(S306のYES)、冷水表示ランプ18-2を消灯し、冷水表示ランプ18-1の点灯(緑)に切り替え(S307)、S305に移行する。Ts<7〔℃〕でなければ(S306のNO)、冷水表示ランプ18-2の橙点灯を維持し、S305に移行する。
S305では、安全確保のため、冷水温度Tsが安全確保に必要な第4の基準温度Tr4(=83〔℃〕)を超えているかを判断する。Ts>83〔℃〕であれば(S305のYES)、安全確保のためすべての処理を終了してリターンさせる。
【0035】
Ts>83〔℃〕でなければ(S305のNO)、つまりTs≦83〔℃〕であれば安全が確保されているので、冷却装置6の制御つまり、コンプレッサー制御に移行する。コンプレッサー制御では先ず、コンプレッサー36が停止中かを判断する(S308)。コンプレッサー36が停止中であれば(S308のYES)、コンプレッサー36の停止から時間tb(=5〔分〕)以上が経過したかを判断する(S309)。コンプレッサー36の停止から5〔分〕以上が経過していなければ(S309のNO)、リターンする。
コンプレッサー36の停止から5〔分〕以上が経過していれば(S309のYES)、Ts>Tr2(=7〔℃〕)であるかを判断する(S310)。Ts>7〔℃〕でなければリターンし、Ts>7〔℃〕であれば(S310のYES)、コンプレッサー36を起動し(S311)、その動作状態を表すコンプレッサー動作フラグ=1とし(S312)、リターンする。
【0036】
S308で、コンプレッサー36が停止中でなければ(S308のNO)、コンプレッサー動作フラグ=1であるかを判断する(S313)。コンプレッサー動作フラグ=1であれば(S313のYES)、冷水温度Tsが基準温度Tr1(=6.5〔℃〕)未満であるかを判断する(S314)。Ts<6.5〔℃〕であれば(S314のYES)、コンプレッサー動作フラグ=2とし(S315)、マルチタイマー72の計時をリセットして計時を開始し(S316)、コンプレッサー動作の継続状態で処理手順をリターンする。
【0037】
S313の判断の結果、コンプレッサー動作フラグ=1でなければ(=2であれば)(S313のNO)、冷水温度Ts=6.5〔℃〕の検知後、時間ta(=7〔分〕)以上が経過したかを判断する(S317)。Ts=6.5〔℃〕の検知時点から7〔分〕以上を経過していなければ(S317のNO)、コンプレッサー動作の継続状態で処理手順をリターンする。Ts=6.5〔℃〕の検知時点から7〔分〕以上を経過していれば(S317のYES)、コンプレッサー36の動作を停止し(S318)、マルチタイマー72の計時をリセットして計時を開始し(S319)、リターンする。
【0038】
<冷水制御および表示制御>
(1) 基本的な動作(図9
図9のAは冷水温度Tsの推移、図9のBは冷却装置6の動作および停止、図9のCは冷水表示ランプ18-1の動作を示している。時点t1で冷却装置6が停止状態から動作状態に移行すると、冷水温度Tsは下降状態となる。冷水温度Tsが基準温度Tr1(=6.5〔℃〕)を通過する時点t2から時点t3に至る時間taが経過するまで、冷却装置6の動作を継続する。この動作継続により、冷水LWは過冷却(6.5℃を下回る)状態となる。
【0039】
時間taが経過した時点t3で冷却装置6が停止し、この時点t3を境に冷水温度Tsは上昇傾向に転ずる。冷却装置6の停止時間は時点t3から時点t4に至る時間tbである。
時点t4に移行前に冷水温度Tsが基準温度Tr2を越えるが、時点t3から時間tbが経過していないため、時点t4で冷却装置6が動作を開始し、これにより冷水温度Tsは下降状態となる。
時点t1の前から時点t4が通過する期間、第1表示xを表す冷水表示ランプ18-1の緑点灯となる。
【0040】
(2) 冷却装置6の停止時間内で冷水温度Tsが基準温度Tr2以上に上昇しない場合(図10
図10において、図9と同一部分には同一符号を付し、その説明を割愛する。冷却装置6が動作を停止した時点t3から時間tbの間、冷水温度Tsが基準温度Tr2未満の状態である場合には、時間tbが経過した後、冷水温度Tsが基準温度Tr2に到達する時点t5まで冷却装置6の動作が遅延する。つまり、冷水温度Tsが基準温度Tr2未満であれば、冷却する必要はなく、冷却装置6の動作停止を継続し、省エネ効果が期待できる。
時点t1の前から時点t5を通過する期間、第1表示xを表す冷水表示ランプ18-1の緑点灯となる。
【0041】
(3) 冷却装置6の休止時間内で冷水温度Tsが基準温度Tr2以上に上昇した場合(図11
冷却装置6の休止時間内の時点t4~t5で冷水消費が発生し、冷却装置6の休止時間において、冷水温度Tsが基準温度Tr2以上に上昇する場合である。このような冷却装置6の休止時間内の時点t5で冷水温度Tsが基準温度Tr2以上に上昇しても冷却装置6は停止状態を維持し、動作停止時点から時間tbが経過する時点t6まで動作停止を維持し、時点t6で冷却装置6を動作させる。
時点t1の前から時点t6に至る期間、第1表示xを表す冷水表示ランプ18-1は緑点灯となる。
【0042】
(4) 冷却装置6の動作時間中で過剰な冷水消費が生じた場合(図12
冷却装置6の動作中の時点t5から時点t6の間で過剰な冷水消費が生じ、冷水温度Tsが基準温度Tr3を超えると、時点t6で第1表示xの冷水表示ランプ18-1の緑点灯から第2表示yの冷水表示ランプ18-2の橙点灯に切り替わる。これにより、冷水タンク4内の冷水温度Tsが上昇し、基準温度Tr3を超えたため、ぬるい冷水LWが提供されることを告知することができる。
【0043】
(5) 冷水表示が第2表示yから第1表示xに切り替えられる場合(図13
図13に示すように、時点t5から時点t6で生じた過剰な冷水消費の結果、給水Wにより時点t6では基準温度Tr3を超えた冷水温度Tsは、冷水消費がなければ、冷却装置6の動作により下降状態となる。冷水温度Tsが基準温度Tr1を通過する時点t8から時点t9の時間taが経過するまで冷却装置6の動作が継続する。既述したように、この動作継続によって冷水LWは過冷却されて、冷水温度Tsが低下する。
【0044】
冷水温度Tsが基準温度Tr3以上に上昇した後に下降に転じても、時点t6~t7の冷却期間では、第1表示xから一旦第2表示yに移行した場合には、第2表示yを表す冷水表示ランプ18-2の橙点灯を継続する。これにより、冷水モードであってもぬるい冷水LWが供給される区間での冷水表示を第2表示yつまり冷水表示ランプ18-2の橙点灯とする。
冷水温度Tsが降下を続け、基準温度Tr2以下に低下した時点t7で第2表示yから第1表示xである冷水表示ランプ18-1の緑点灯に切り替わる。
【0045】
<実施例1の効果>
この実施例1によれば、以下の効果が得られる。
(1) 第1および第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
(2) 冷却装置6の動作中に冷水温度Tsが基準温度Tr1を下回っても、その時点から所定時間だけ動作を継続するので、冷水LWは過冷却となり、冷水LWの供給能力が高められる。
(3) 冷却装置6の休止中に冷水温度Tsが基準温度Tr2以上になっても、動作停止から所定時間が経過するまで冷却装置6の動作を停止し、冷却装置6に充分な休止時間を設定することができ、冷却装置6や冷媒回路54を防護でき、その寿命を延ばすことができる。
【実施例2】
【0046】
図14は、実施例2に係る高温循環後の過冷却制御の結果を示す図である。この実施例2では、実施例1に係る冷水タンク4を用いて、高温殺菌時の高温水循環後に過冷却制御つまり、時間taの冷却装置6の動作時間延長による過冷却状態を確認した。この結果によれば、図14において、Aは冷水タンク4の底部から70〔mm〕の高さでの冷水温度Tsの変化、Bは冷水タンク4の底部から40〔mm〕の高さでの冷水温度Tsの変化、Cは冷水タンク4の底部から10〔mm〕の高さでの冷水温度Tsの変化を示している。この結果から明らかなように、冷水温度Tsは、5〔℃〕~12〔℃〕の範囲に低下し、この範囲で変化していることが確認された。
【0047】
〔他の実施の形態〕
上記実施の形態および実施例では、温水および冷水を提供する給水サーバーを例示したが、本発明は、冷水のみを提供するウォーターサーバーでもよく、冷水供給機能を備えた冷蔵庫であってもよく、上記実施の形態や実施例に限定されない。
以上説明したように、給水サーバーの最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更は本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の給水サーバーによれば、冷却装置や冷媒回路の休止時間が充分に確保されるとともに、冷水温度の上昇に依存することなく、動作時間の延長によって冷水を過冷却にすることにより、冷水の供給能力を高めるので、利便性の高い給水制御を行うことができ、有益である。
【符号の説明】
【0049】
2 ウォーターサーバー
4 冷水タンク
6 冷却装置
8 温度センサー
10 制御部
12 給水機構
14 冷水供給機構
16 タイマー
18 冷水表示部
18-1 冷水表示ランプ
18-2 冷水表示ランプ
20 筐体
22 給水パック
24 給水口
26 給水弁
28 フロート部
30 開閉機構
34 エバポレーター
36 コンプレッサー
38 冷水供給路
40 冷水電磁弁
42 冷水口
44 温水タンク
46 分離板
48 給水管
50 バイパス管
52 バイパス弁
54 冷媒回路
56 操作パネル部
58 ロック解除スイッチ
60 冷水スイッチ
62 温水スイッチ
66 弱冷表示部
67 弱冷表示ランプ
68 プロセッサ
70 メモリ部
72 マルチタイマー
74 入出力部(I/O)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14