(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】除湿/蒸発冷却式100%屋外空調システムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/81 20180101AFI20220308BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20220308BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20220308BHJP
F24S 60/00 20180101ALI20220308BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20220308BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20220308BHJP
F24F 110/22 20180101ALN20220308BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20220308BHJP
【FI】
F24F11/81
F24F11/64
F24F7/08 101J
F24S60/00
F24F110:10
F24F110:20
F24F110:22
F24F110:12
(21)【出願番号】P 2019530126
(86)(22)【出願日】2017-12-26
(86)【国際出願番号】 KR2017015505
(87)【国際公開番号】W WO2018124709
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2019-08-01
(31)【優先権主張番号】10-2016-0180665
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507107394
【氏名又は名称】アイユーシーエフ-エイチワイユー(インダストリー-ユニバーシティー コーオペレイション ファウンデーション ハンヤン ユニバーシティー)
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジェ ウェオン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リー、スン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ドン ソブ
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-281143(JP,A)
【文献】特開2014-149118(JP,A)
【文献】特開2016-205642(JP,A)
【文献】国際公開第2015/173910(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0092567(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
F24F 7/08
F24S 60/00
F24F 110/10
F24F 110/20
F24F 110/22
F24F 110/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変更された第1の空気を空調スペースに提供するか、または前記空調スペースに滞留した第2の空気を前記空調スペースから排出口に排出するために、外気導入口から供給される外気の湿度、温度およびエンタルピーを変更する除湿および蒸発冷却式全外気空調システムであって、
前記外気、前記第1の空気と前記第2の空気の移送通路を提供するように構成された配管モジュールと、
前記外気の前記湿度を制御するように構成された湿度制御部であって、前記配管モジュール上に配置されている湿度制御部と、
前記第1の空気になるように、供給空気の温度、湿度およびエンタルピーを制御するように構成される温度制御部であって、前記配管モジュール上に配置される温度制御部と、
前記外気、前記第1の空気および前記第2の空気の移送経路を変更するように構成された経路設定部であって、前記配管モジュール上に配置される経路設定部と、
前記外気導入口から前記空調スペースへまたは前記空調スペースから前記排出口への空気の前記移送経路を決定し、前記決定された移送経路に空気を移送するように前記経路設定部を制御する制御部と、を備え、
第1の情報は前記外気の第1の湿度、第1の温度、および第1のエンタルピーに関する情報を含み、
第2の情報は前記第1の空気の第2の湿度、第2の温度および第2のエンタルピーに関する情報を含み、
前記制御部は、
前記第1の情報と前記第2の情報とを比較することにより算出される第3の情報に基づいて前記経路設定部を制御し、前記第3の情報は、第3の温度、第3の湿度および第3のエンタルピーを含み、
前記制御部は、前記第1の情報を、前記第2の情報または前記第3の情報のうち少なくとも一方と比較することにより前記経路設定部を制御し、
前記制御部は、前記第1の温度が前記第2の温度を上回る場合、前記第3の温度を前記第2の温度と等しく設定し、前記第2の温度が前記第1の温度を上回る場合、前記第3の温度を前記第2の温度を上回るように設定し、
前記制御部は、前記第3の温度および前記第3の湿度から算出された値により前記第3のエンタルピーを設定する、除湿および蒸発冷却式全外気空調システム。
【請求項2】
前記温度制御部は、
供給空気を顕熱冷却するように構成された間接蒸発冷却部と、供給空気を冷却し加湿するように構成された直接蒸発冷却部とを備える請求項1に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム。
【請求項3】
前記配管モジュールは、前記外気と前記第1の空気の移送通路である給気管と、前記第2の空気の移送通路である排気管を備え、
前記排出口は、第1の排出口と第2の排出口とを含み、
前記経路設定部は、
前記外気導入口と前記湿度制御部との間の給気管に設置されている第1のダンパ部であって、前記第1のダンパ部の開閉状態に応じて、空気を前記外気導入口から前記湿度制御部に移送できることを決定する第1のダンパ部と、
前記外気導入口と前記温度制御部との間の給気管上に設置される第2のダンパ部であって、前記第2のダンパ部の開閉状態に応じて、空気を前記外気導入口から前記温度制御部へ移送できると決定する第2のダンパ部と、
前記間接蒸発冷却部の入り口に位置する給気管に設置されている第3のダンパ部であって、前記第3のダンパ部の開閉状態に応じて、空気を前記間接蒸発冷却部に移送できると決定する第3のダンパ部と、
前記直接蒸発冷却部の入り口に位置する給気管に設置されている第4のダンパ部であって、前記第4のダンパ部の開閉状態に応じて、空気を前記直接蒸発冷却部に移送できると決定する第4のダンパ部と、
前記第2のダンパ部と前記第4のダンパ部との間の給気管に設置される第5のダンパ部であって、前記第5のダンパ部の開閉状態に応じて、空気を前記第2のダンパ部から前記第4のダンパ部へ移送できると決定する第5のダンパ部と、
前記第5のダンパ部と前記空調スペースとの間の給気管に設置される第6のダンパ部であって、前記第6のダンパ部の開閉状態に応じて、空気を前記第5のダンパ部から前記空調スペースへ移送できると決定する第6のダンパ部と、
前記空調スペースと前記第1の排出口との間の排気管に設置される第7のダンパ部であって、前記第7のダンパ部の開閉状態に応じて、空気を給気スペースから前記第1の排出口へ移送できると決定する第7のダンパ部とを備える、請求項2に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム。
【請求項4】
前記制御部は前記経路設定部を制御して、前記第1の温度が前記第3の温度より低い場合、前記外気は前記間接蒸発冷却部のみを通過し、
前記制御部は、前記経路設定部を制御して、前記第1のダンパ部を閉じ、前記第2のダンパ部を開き、前記第3のダンパ部を開き、前記第4のダンパ部を閉じ、前記第5のダンパ部を閉じ、前記第6のダンパ部を開き、前記第7のダンパ部を開く、請求項3に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム。
【請求項5】
前記制御部は前記経路設定部を制御し、前記第1の温度が前記第3の温度を上回り、前記第1のエンタルピーが前記第3のエンタルピーより小さい場合、前記外気は前記直接蒸発冷却部のみ通過し、
前記制御部は前記経路設定部を制御して、前記第1のダンパ部を閉じ、前記第2のダンパ部を開き、前記第3のダンパ部を閉じ、前記第4のダンパ部を開き、前記第5のダンパ部を開き、前記第6のダンパ部を閉じ、前記第7のダンパ部を閉じる、請求項3に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム。
【請求項6】
前記制御部は前記経路設定部を制御して、前記第1の温度が前記第3の温度より高く、前記第1のエンタルピーは前記第3のエンタルピーより大きく、前記第1の湿度が前記第2の湿度より低い場合、前記外気は前記間接蒸発冷却部および前記直接蒸発冷却部のみ通過し、
前記制御部は、前記経路設定部を制御して、前記第1のダンパ部を閉じ、前記第2のダンパ部を開き、前記第3のダンパ部を開き、前記第4のダンパ部を開き、前記第5のダンパ部を閉じ、前記第6のダンパ部を閉じ、前記第7のダンパ部を開く、請求項3に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム。
【請求項7】
前記制御部は前記経路設定部を制御して、前記第1の温度が前記第3の温度を上回り、前記第1のエンタルピーが前記第3のエンタルピーより大きく、前記第1の湿度が前記第2の湿度より高い場合、前記外気は前記湿度制御部、前記間接蒸発冷却部、および前記直接蒸発冷却部を通過し、
前記制御部は、前記経路設定部を制御して前記第1のダンパ部を開き、前記第2のダンパ部を閉じ、前記第3のダンパ部を開き、前記第4のダンパ部を開き、前記第5のダンパ部を閉じ、前記第6のダンパ部を閉じ、前記第7のダンパ部を開く、請求項3に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム。
【請求項8】
前記第2の情報は、乾湿計チャート(1気圧)の飽和曲線上の点に対応し、前記第1の情報は、前記乾湿計チャート(1気圧)上の点に対応し、
前記湿度制御部は前記第1の湿度を1-2の湿度に変更し、
前記間接蒸発冷却部は前記第1の温度を1-2の温度に変更し、前記直接蒸発冷却部は前記1-2の湿度を前記第2の湿度に変更し、前記1-2の温度を前記第2の温度に変更する、請求項2に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム。
【請求項9】
前記湿度制御部は前記乾湿計チャート(1気圧)上の点に対応する前記第1の情報をy軸方向(絶対湿度)に移動させ、前記間接蒸発冷却部は、前記乾湿計チャート(1気圧)上の点に対応する前記第1の情報をx軸方向(乾球温度)に移動させ、前記直接蒸発冷却部は、前記乾湿計チャート(1気圧)上の点に対応する前記第1の情報をy軸方向(絶対湿度)およびx軸方向(乾球温度)に移動させる、請求項8に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム。
【請求項10】
前記湿度制御部は、液式除湿部と、前記液式除湿部に用いられる除湿剤をリサイクルするために高温熱源を前記液式除湿部に提供する高温熱源供給部を備え、
低温熱源供給部は、リサイクルされた除湿剤の熱を伝達用空気に伝達しないように前記熱を交換し、
前記高温熱源供給部は、
太陽光集熱器と、
前記太陽光集熱器で熱交換された高温水を前記液式除湿部に循環させる循環部と、
前記循環部上に構成される、太陽熱集熱ユニットから収集された熱を蓄える蓄熱ユニットとを備え、
前記低温熱源供給部は冷却塔を含む水冷式フリークーリング装置を備える請求項1に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム。
【請求項11】
前記湿度制御部は
第1の液式除湿部および第2の液式除湿部を備え、
前記第1の液式除湿部は前記第1の湿度を1-3の湿度にし、
前記第2の液式除湿部は前記1-3の湿度を1-4の湿度にし、
前記配管モジュールは、前記外気と、第1の空気の移送通路である空気供給ユニットと、第2の空気の移送通路である空気供給ユニットとを備え、
前記経路設定部は、
前記第1の液式除湿部と前記第2の液式除湿部との間の給気管に設置される第8のダンパ部であって、前記第8のダンパ部の開閉状態に応じて、空気が前記第1の液式除湿部から前記第2の液式除湿部に移送できると決定する第8のダンパ部を備え、
前記制御部は、前記1-3の湿度が前記1-4の湿度以下である場合、前記第8のダンパ部を閉じるように前記経路設定部を制御し、
前記制御部は、前記1-3の湿度が前記1-4の湿度より高い場合、前記第8のダンパ部を開くように前記経路設定部を制御する請求項10に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム。
【請求項12】
前記温度制御部は、
供給空気を顕熱冷却するように構成された間接蒸発冷却部と、
供給空気を冷却し加湿するように構成された直接蒸発冷却部であって、前記1-4の湿度を前記第2の湿度にするように構成された直接蒸発冷却部とを備える、請求項11に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム。
【請求項13】
前記制御部は、前記第1の湿度が前記1-4の湿度より小さい場合、前記経路設定部を制御して、前記配管モジュールに前記第1の液式除湿部と前記第2の液式除湿部とを迂回させる、請求項11に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム。
【請求項14】
除湿および蒸発冷却式全外気空調システムを制御する除湿および蒸発冷却式全外気空調システム制御方法であって、前記除湿および蒸発冷却式全外気空調システムは、
外気、第1の空気および第2の空気の移送通路を提供するように構成された配管モジュールと、
前記外気の湿度を制御するように構成された湿度制御部であって、前記配管モジュール上に配置される湿度制御部と、
供給空気を顕熱冷却するように構成された間接蒸発冷却部とおよび供給空気を冷却し加湿するように構成された直接蒸発冷却部で構成された温度制御部であって、前記第1の空気になるように、供給空気の温度、湿度およびエンタルピーを制御するように構成され、前記配管モジュール上に配置される温度制御部と、
前記外気と、前記第1の空気と前記第2の空気の移送経路を変更するように構成された経路設定部であって、前記配管モジュール上に配置される経路設定部と、
外気導入口から空調スペースへまたは前記空調スペースから排出口への空気の前記移送経路を決定し、前記決定された移送経路に空気を伝達するための経路設定部を制御する制御部とを備え、
前記除湿および蒸発冷却式全外気空調システムは、変更された第1の空気を前記空調スペースに提供するまたは前記空調スペースに滞留した第2の空気を前記空調スペースから前記排出口に排出するために、前記外気導入口から供給される外気の湿度、温度およびエンタルピーを変更し、
前記除湿および蒸発冷却式全外気空調システム制御方法は、
前記外気の第1の湿度、第1の温度、および第1のエンタルピーを含む第1の情報と前記第1の空気の第2の湿度、第2の温度、および第2のエンタルピーを含む第2の情報とを比較し、第3の温度、第3の湿度および第3のエンタルピーを含む第3の情報を取得する第1の段階であって、
前記制御部は、前記第1の温度が前記第2の温度を上回る場合、前記第3の温度を前記第2の温度と等しく設定し、前記第2の温度が前記第1の温度を上回る場合、前記第3の温度を前記第2の温度を上回るように設定し、
前記制御部は、前記第3の温度および前記第3の湿度から算出された値により前記第3のエンタルピーを設定する、第1の段階と、
第1の温度と前記第3の温度とを比較する第2の段階と、
前記第2の段階の結果として前記第1の温度が前記第3の温度より高いと決定された場合、第1のエンタルピーと前記第3のエンタルピーを比較する第3の段階と、
前記第3の段階の結果として、前記第1のエンタルピーが前記第3のエンタルピーより大きい場合、第1の湿度と前記第2の湿度とを比較する第4の段階とを備える、除湿および蒸発冷却式全外気空調システム制御方法。
【請求項15】
前記外気は前記空調スペースに提供され、前記間接蒸発冷却部のみを通過する、請求項14に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム制御方法。
【請求項16】
前記第3の段階の結果として、前記第1のエンタルピーが前記第3のエンタルピーより小さい場合、前記外気は前記空調スペースに供給され、前記直接蒸発冷却部のみを通過する、請求項14または15に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム制御方法。
【請求項17】
前記第4の段階の結果として、前記第1の湿度が前記第2の湿度より低い場合、前記外気は前記空調スペースに供給され、前記間接蒸発冷却部および前記直接蒸発冷却部のみを通過する、請求項14から16のいずれか一項に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム制御方法。
【請求項18】
前記第4の段階の結果として、前記第1の湿度が前記第2の湿度より高い場合、前記外気は前記空調スペースに供給され、前記湿度制御部、前記間接蒸発冷却部および前記直接蒸発冷却部を通過する請求項14から17のいずれか一項に記載の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿および蒸発冷却式全外気空調システムおよびシステムの制御方法に関し、より詳細には、季節別の外気条件に応じた外気の除湿および冷却を調整し、事前設定された空気を空調空間に供給するための除湿および蒸発冷却式全外気空調システムならびに当該システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2007年12月に国連(UN)気候変動会議の第13回締約国会議(COP)で採択されたバリロードマップによれば、温室効果ガスの排出が9番目に大きい韓国は、温室効果ガスの全国規模の削減量を2009年に設定しなければならず、実際に2013年から削減を開始した。したがって、ほとんどすべての産業分野で、人々はエネルギーを節約し、炭素排出を減らすための技術を開発し、実際に使用することに専念している。特に、韓国の総エネルギー消費量の3割以上を占める建築分野では、換気、冷房、暖房で消費されるエネルギーを大幅に削減することで、建築分野における温室効果ガス排出量を大幅に削減するための高効率で高性能なシステムを開発する努力が行われている。
【0003】
そのような努力の一環として、最近、北米やヨーロッパのいくつかの先進国では、水の気化潜熱のみを用いて空調を行う無公害冷却システムの研究がさかんに行われている。これに伴い、最近では蒸発冷却による環境保全と省エネを両立させた環境にやさしい冷却システムが韓国において注目を集めている。
【0004】
水の気化潜熱を用いる冷却システムは、外気が高温であるが夏または乾燥した気候では湿度が比較的低いヨーロッパでのみ用いることができるシステムとみなされている。
【0005】
しかしながら、蒸発冷却のために吹き付ける水と給気側の空気とが直接接触しない間接蒸発冷却を用いる場合、韓国など夏に高温多湿な地域でも、経済的な冷却効果が得られないこととが開示されている(Maheshwariet他、2001年;Gasparella他、2003年、Jeong Youngho、2008年)。したがって、蒸発冷却を用いた冷却システムが新たに関心を集めている。
【0006】
また、除湿ローターなどを併用する場合(Zhang他、2005年、Jang Youngsoo他、2004年)、冷却効果が改善し、エネルギー消費量の削減により、炭素排出量を低減することができる。また、既存の冷媒とは異なり環境を破壊する心配のない水を使用するという環境に優しいすぐれた特性があるため、将来的には蒸発潜熱を利用した冷却システムの研究開発がさらに奨励されるであろう。
【0007】
しかしながら、上述したこれまでの研究に基づいて開発されてきた蒸発冷却システムの大多数において、供給空気の温度は夏には23℃から26℃の範囲内で決定される。したがって、供給空気の量が非常に多くなければ一般の建物において十分な冷却効果を期待することは困難である。この制限のために、蒸発冷却システムは、室内温度に近い中立温度で快適な室内空気品質を維持するのに必要な最小量の換気空気のみを供給する室外空気処理装置または室内顕熱負荷が大きくない場合に使用可能な小型エアコンとして開発されている。上記の欠点を克服するために、除湿ローターと組み合わせて蒸発冷却効果を改善する除湿蒸発冷却システムに関する研究が行われているが、システムの性能を実装可能かつ実用的にするためには広範囲の実証的研究が必要である。
【0008】
その一方で、主に先進国において、室内空気質を改善するために、100%の外気のみで室内環境を調整する100%屋外空気システムに関する研究がさかんに行われている。これは、既存の空調システムが汚染された室内空気の70%以上を省エネルギーのために内部に再循環させるときに引き起こされるシックビルディング症候群または相互汚染などの空気品質に関連する深刻な問題から生じている。すなわち、この技術が全ての汚染された室内空気を外部に出し、新鮮な外気のみで空調を行うことにより快適で健康的な室内空気品質を保証するため、100%屋外空気システムへの期待が高まっている。しかしながら、蒸発冷却システムを用いるこれまで提案されてきた空調方法は、100%屋外空気システム開発の国際的傾向から逸脱しており、今だに既存の空調システムと同様に屋内空気の再循環に基づいている。したがって、室内の空気環境において注目に値する改善が期待できないという基本的な問題がある。
【0009】
これらの既存の問題を解決するための努力の一環として、本発明者は、韓国未審査特許出願第10-2010-0028820号(2010年3月30日に出願)(特許出願公開第10-2011-0109209号(2011年10月6日))および韓国未審査特許出願第10-2010-0028814号(2010年3月30日出願)((特許出願公開第10-2011-0109204号(2011年10月6日))において、100%屋外空気システムを使用する空調方法を提案した。
【0010】
しかしながら、そのような空調システムの空調方法でさえ、高温多湿の環境(特に夏季)の外気で冷却すると、間接蒸発冷却器や直接蒸発冷却器の効率が著しく低下するので、エネルギーの節約が困難であるという点で問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の従来の問題を解決するために、本発明者によって以前に特許出願されている空調方法をさらに改善することにより本発明は提案されている。本発明の目的は、夏などの高温多湿の環境においてで外気が用いられる場合であっても、外気が供給される空気供給側の効率を向上させる構造を有することにより、間接蒸発冷却器及び直接蒸発冷却器の効率を著しく改善でき、それに応じて省エネルギー効果を最大化できる、除湿および蒸発冷却式全外気空調システムと、当該システムの制御方法とを提供することである。
【0012】
本発明の目的は上述の目的に限定されず、言及されていない他の目的は以下の説明から当業者には明らかに理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムは、変更された第1の空気を空調スペースに提供するまたは空調スペースに滞留した第2の空気を空調スペースから排出口に排出するために外気導入口から供給される外気の湿度、温度およびエンタルピーを変更する除湿および蒸発冷却式全外気空調システムを提供し、除湿および蒸発冷却式全外気空調システムは外気、第1の空気および第2の空気の移送通路を提供するように構成された配管モジュールと、外気の湿度を制御するように構成された湿度制御部であって、配管モジュール上に配置される湿度制御部と、第1の空気になるように、供給空気の温度、湿度およびエンタルピーを制御するように構成される温度制御部であって、配管モジュール上に配置される温度制御部と、外気、第1の空気および第2の空気の移送経路を変更するように構成された経路設定部であって、配管モジュール上に配置される経路設定部と、外気導入口から空調スペースへまたは空調スペースから排出口への空気の移送経路を決定し、外気の湿度、温度およびエンタルピーに関連する第1の情報に基づいて、決定された移送経路に空気を伝達するために経路設定部を制御する制御部とを備える。
【0014】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、第1の情報は外気の第1の湿度、第1の温度、および第1のエンタルピーに関する情報を含み、第3の情報は第3の温度、第3の湿度および第3のエンタルピーに関する情報を含み、制御部は第1の空気の第2の湿度、第2の温度および第2のエンタルピーに関する第2の情報と第1の情報を比較し、制御部は経路設定部を制御し、制御部は、経路設定部を制御するために第1の情報と第2の情報とを比較することにより第3の情報を算出し、算出された第3の情報に基づいて制御部は経路設定部を制御する。
【0015】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、温度制御部は、供給空気を顕熱冷却するように構成された間接蒸発冷却部と、供給空気を冷却および加湿するように構成された直接蒸発冷却部を備える。
【0016】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、制御部は、第1の温度が第2の温度を上回る場合、第3の温度を第2の温度と等しく設定し、第1の温度が第2の温度を上回る場合、第3の温度を第2の温度を上回るように設定し、制御部は、第3の温度および第3の湿度から算出された値で第3のエンタルピーを設定する。
【0017】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、配管モジュールは、外気と第1の空気の移送通路である給気管と、第2の空気の移送通路である排気管とを備え、排出口は、第1の排出口と第2の排出口とを含み、経路設定部は、外気導入口と湿度制御部との間の給気管上に設置され、第1ダンパ部の開閉状態に応じて、空気を外気導入口から湿度制御部に移送できることを決定する第1のダンパ部と、外気導入口と温度制御部との間の給気管上に設置され、第2のダンパ部の開閉状態に応じて、空気を外気導入口から温度制御部へ移送できると決定する第2のダンパ部と、間接蒸発冷却部の入り口に位置する給気管に設置され、第3のダンパ部の開閉状態に応じて、空気を間接蒸発冷却部に移送できると決定する第3のダンパ部と、直接蒸発冷却部の入り口に位置する給気管に設置され、第4のダンパ部の開閉状態に応じて、空気を直接蒸発冷却部に移送できると決定する第4のダンパ部と、第2のダンパ部と第4のダンパ部との間の給気管上に設置され、第5のダンパ部の開閉状態に応じて、空気を第2のダンパ部から第4のダンパ部へ移送できると決定する第5のダンパ部と、第5のダンパ部と空調スペースとの間の給気管上に設置され、第6のダンパ部の開閉状態に応じて、空気を第5のダンパ部から空調スペースへ移送できると決定する第6のダンパ部と、空調スペースと第1の排気口との間の排気管に設置され、第7のダンパ部の開閉状態に応じて、空気を給気スペースから第1の排出口へ移送できると決定する第7のダンパ部とを備える。
【0018】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、制御部は経路設定部を制御し、第1の温度が第3の温度未満の場合、外気は間接蒸発冷却部のみを通過し、制御部は第1のダンパ部を閉じ、第2のダンパ部を開き、第3のダンパ部を開き、第4のダンパ部を閉じ、第5のダンパ部を閉じ、第6のダンパ部を開き、第7のダンパ部を開く。
【0019】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、制御部は経路設定部を制御し、第1の温度が第3の温度を上回り、第1のエンタルピーが第3のエンタルピーより小さい場合、外気は直接蒸発冷却部のみを通過し、制御部は第1のダンパ部を閉じ、第2のダンパ部を開き、第3のダンパ部を閉じ、第4のダンパ部を開き、第5のダンパ部を開き、第6のダンパ部を閉じ、第7のダンパ部を閉じる。
【0020】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、制御部は経路設定部を制御し、第1の温度が第3の温度より高く、第1のエンタルピーは第3のエンタルピーより大きく、第1の湿度が第2の湿度より低い場合、外気は間接蒸発冷却部および直接蒸発冷却部のみ通過し、制御部は第1のダンパ部を閉じ、第2のダンパ部を開き、第3のダンパ部を開き、第4のダンパ部を開き、第5のダンパ部を閉じ、第6のダンパ部を閉じ、第7のダンパ部を開く。
【0021】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、制御部は経路設定部を制御し、第1の温度が第3の温度を上回り、第1のエンタルピーが第3のエンタルピーより大きく、第1の湿度が第2の湿度より高い場合、外気は、湿度制御部、間接蒸発冷却部、および直接蒸発冷却部を通過し、制御部は第1のダンパ部を開き、第2のダンパ部を閉じ、第3のダンパ部を開き、第4のダンパ部を開き、第5のダンパ部を閉じ、第6のダンパ部を閉じ、第7のダンパ部を開く。
【0022】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、第2の情報は、乾湿計チャートの飽和曲線上の点(1気圧)に対応し、第1の情報は、乾湿計チャート上の点(1気圧)に対応し、湿度制御部は第1の湿度を1-2の湿度に変更し、間接蒸発冷却部は第1の温度を1-2の温度に変更し、直接蒸発冷却部は1-2の湿度を第2の湿度に変更し1-2の温度を第2の温度に変更する。
【0023】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、湿度制御部は乾湿計チャート上の点(1気圧)に対応する第1の情報をy軸方向(絶対湿度)に移動させ、間接蒸発冷却部は乾湿計チャート上の点(1気圧)に対応する第1の情報をx軸方向(乾球温度)に移動させ、直接蒸発冷却部は乾湿計チャート上の点(1気圧)に対応する第1の情報をy軸方向(絶対湿度)およびx軸方向(乾球温度)に移動させる。
【0024】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、湿度制御部は液式除湿部と、液式除湿に用いられる除湿剤をリサイクルするために高温熱源を液式除湿部に提供する高温熱源供給部と、リサイクルされた除湿剤の熱を伝達用空気に伝達しないように熱を交換する低温熱源供給部を備え、高温熱源供給部は、太陽光集熱器と、太陽光集熱器で熱交換された高温水を液式除湿部に循環させる循環部と、循環部上に構成される、太陽光集熱部から収集された熱を蓄える蓄熱部とを備え、低温熱源供給部は冷却塔を含む水冷式フリークーリング装置を備える。
【0025】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、湿度制御部は、第1の液式除湿部および第2の液式除湿部を備え、第1の液式除湿部は第1の湿度を1-3の湿度にし、第2の液式除湿部は1-3の湿度を1-4の湿度にし、配管モジュールは、外気と、第1の空気の移送通路である空気供給ユニットと、第2の空気の移送通路である空気供給ユニットとを備え、経路設定部は第1の液式除湿部と第2の液式除湿部との間の給気管に設置され、第8のダンパの開閉状態に応じて、空気が第1の液式除湿部から第2の液式除湿部に移送できると決定する第8のダンパ部を備え、1-3の湿度が1-4の湿度以下である場合、制御部は第8のダンパ部を閉じるように経路設定部を制御し、1-3の湿度が1-4の湿度より高い場合、制御部は第8のダンパ部を開くように経路設定部を制御する。
【0026】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、温度制御部は、供給空気を顕熱冷却するように構成された間接蒸発冷却部と、供給空気を冷却し、加湿するように構成された直接蒸発冷却部であって、1-4の湿度を第2の湿度にするように構成される直接蒸発冷却部を備える。
【0027】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、第1の湿度が1-4の湿度以下の場合、制御部は、経路設定部を制御し、配管モジュールに第1の液式除湿部と第2の液式除湿部とを迂回させる。
【0028】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの製造方法において、除湿および蒸発冷却式全外気空調システム制御方法は除湿および蒸発冷却式全外気空調システムを制御し、除湿および蒸発冷却式全外気空調システムは、外気、第1の空気および第2の空気の移送通路を提供するように構成された配管モジュールと、配管モジュール上に配置される湿度制御部であって、外気の湿度を制御するように構成される湿度制御部と、供給空気を顕熱冷却するように構成された間接蒸発冷却部および供給空気を冷却し、加湿するように構成された直接蒸発冷却部で構成された温度制御部であって、第1の空気になるように、供給空気の温度、湿度およびエンタルピーを制御するように構成され、配管モジュール上に配置される温度制御部と、外気、第1の空気および第2の空気の移送経路を変更するように構成された経路設定部であって、配管モジュール上に配置される経路設定部と、外気導入口から空調スペースへまたは空調スペースから排出口への空気の移送経路を決定し、外気の湿度、温度およびエンタルピーに関連した第1の情報に基づいて、決定された移送経路に空気を伝達するために経路設定部を制御する制御部を備え、除湿および蒸発冷却式全外気空調システムは変更された第1の空気を空調スペースに提供するためまたは空調スペースに滞留した第2の空気を空調スペースから排出口に排出するために、外気導入口から供給される外気の湿度、温度およびエンタルピーを変更し、除湿および蒸発冷却式全外気空調システム制御方法は、第1の情報と、第1の空気の第2の湿度、第2の温度、および第2のエンタルピーに関する第2の情報を比較し、第3の温度、第3の湿度および第3のエンタルピーに関連する第3の情報を算出する第1の段階と、第1の温度と第3の温度とを比較する第2の段階と、第2の段階の結果として第1の温度が第3の温度より高いと決定された場合、第1のエンタルピーと第3のエンタルピーを比較する第3の段階と、第3の段階の結果として、第1のエンタルピーが第3のエンタルピーより大きい場合、第1の湿度と第2の湿度とを比較する第4の段階を備える。
【0029】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの製造方法において、第2の段階の結果として第1の温度が第3の温度より低い場合、外気は空調スペースに供給され、間接蒸発冷却部のみを通過する。
【0030】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの製造方法において、第3の段階の結果として第1のエンタルピーが第3のエンタルピーより小さい場合、外気は空調スペースに供給され直接蒸発冷却部のみを通過する。
【0031】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの製造方法において、第4の段階の結果として、第1の湿度が第2の湿度より低い場合、外気は空調スペースに供給され、間接蒸発冷却部および直接蒸発冷却部のみを通過する。
【0032】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの製造方法において、第4の段階の結果として第1の湿度が第2の湿度より高い場合、外気は空調スペースに供給され、湿度制御部、間接蒸発冷却部および直接蒸発冷却部を通過する。本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの製造方法において、外気は空調スペースに供給され、第4の段階の結果として第1の湿度が第2の湿度より高い場合、湿度制御部、間接蒸発冷却部および直接蒸発冷却部のみを通過する。
【発明の効果】
【0033】
本発明による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムおよびその制御方法は、外気のみを用いる全外気空調システムの運転性能を改善することにより、高温多湿の環境、例えば、韓国の夏のモンスーンの季節でさえ冷却効果を著しく改善し、それに応じて、省エネルギー効果が最大化することができる。
【0034】
また、本発明は、室内温度制御と湿度制御を別々に行う分離システムの概念を効果的に実行することにより、どのような運転条件の下でも常に快適な室内環境を提供することができる。
【0035】
さらに、本発明によれば、1つの空調ユニットを用いたとしても、各空調空間の冷房、暖房、および換気の異なる要求に応じて供給空気の量および温度を別々に制御することを可能にする。したがって、本発明は、それぞれに様々な機能またはまったく異なるタイプの空間が共存している単一のビル群である大型の建物複合体が増加する傾向に非常に適している。
【0036】
さらに、本発明は、システム運転に必要な熱源および電力が今後、地熱、太陽熱、太陽光、風力などの再生可能なエネルギーを介して供給される場合、実質的に炭素排出量ゼロを達成することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの構造を示す概略図である。
【0038】
【
図2】本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの空気の流れを示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの空気の流れを示す概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの空気の流れを示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの空気の流れを示す概略図である。
【0039】
【
図6】本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムのそれぞれのモードを示す乾湿計チャートである。
【0040】
【
図7】本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムのそれぞれのモードを示す概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムのそれぞれのモードを示す概略図である。
【0041】
【
図9】本発明の他の実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの部分構造を示す図である。
【
図10】本発明の他の実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの部分構造を示す図である。
【
図11】本発明の他の実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの部分構造を示す図である。
【0042】
【
図12】本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムを制御する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおいて、除湿および蒸発冷却式全外気空調システムは、変更された第1の空気を空調スペースに提供したり、空調スペースに滞留した第2の空気を空調スペースから排出口に排出したりするために、外気導入口から供給される外気の湿度、温度およびエンタルピーを変更し、除湿および蒸発冷却式全外気空調システムは、外気、第1の空気および第2の空気の移送通路を提供するように構成された配管モジュールと、外気の湿度を制御するように構成された湿度制御部であって、配管モジュール上に配置される湿度制御部と、第1の空気になるように、供給空気の温度、湿度およびエンタルピーを制御するように構成される温度制御部であって、配管モジュール上に配置される温度制御部と、外気、第1の空気および第2の空気の移送経路を変更するように構成された経路設定部であって、配管モジュール上に配置される経路設定部と、外気導入口から空調スペースへまたは空調スペースから排出口への空気の移送経路を決定し、外気の湿度、温度およびエンタルピーに関連する第1の情報に基づいて、決定された移送経路に空気を伝達するために経路設定部を制御する制御部とを備える。
【0044】
以下、図面を参照して、本発明の複数の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明の精神は、本明細書に記載の実施形態に限定されない。当業者は、同じ精神の範囲内で他の要素を追加、修正または削除することによって、本発明の精神に含まれるその他の発明または他の実施形態を容易に提案することができるが、本発明の範囲はその発明または実施形態を包含する。
【0045】
実施形態の各々の図面において、同一の趣旨の範囲内で同一の機能を有する要素には同一の参照符号が付される。
【0046】
図1は、本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの構造を示す概略図である。
【0047】
図1を参照すると、本発明の除湿および蒸発冷却式全外気空調システム1(以下「空調システム」と称する)は、集合住宅やオフィスビルを含むあらゆる建物の空調システムに適用できる空調システムであり、空調システム1は、建物内で活動するユーザが滞在する空調スペースに、ユーザの活動に適した空気を供給する。
【0048】
このため、本発明の空調システム1は、建物の外の空気の湿度、温度、およびエンタルピーなどを変更することができ、変更された第1の空気を空調スペースに供給したり、または、空調スペースに滞留する第2の空気を空調スペースから排出口へ排出することができる。
【0049】
第1の空気は、空調スペースで活動を行うユーザの活動にとって適した空気であり、例えば、1気圧の下で、第1の空気は15℃の乾球温度、0.010kg/kgから0.015kg/kgの絶対湿度、および乾球温度および絶対湿度に対応するエンタルピーを持つことができる。
【0050】
第2の空気は、空調スペースでのユーザによる活動プロセスで変化した(汚染された)供給された第1の空気であり得る。
【0051】
空調システム1は、配管モジュール、湿度制御部10、温度制御部、経路設定部30、および制御部を含む。
【0052】
配管モジュールは、外気、第1の空気と第2の空気の移送通路を提供することができ、具体的には、配管モジュールは、外気と第1の空気の移送通路である給気管と、第2の空気の移送通路である排気管を有することができる。
【0053】
給気管は、外気導入口Pから空調スペースへの外気の流路を形成することができ、排気管は空調スペースから排出口への流路を形成することができる。
【0054】
外気導入口Pから空調スペースに空気を流す給気ファンF1を給気管上に配置することができ、空調スペースから排気口へ空気を流す排気ファンF2を排気管の上に配置することができる。外気または第2の空気を、給気ファンF1が動作するかまたは排気ファンF2が動作するかに応じて、給気管または排気管へ動かすことができる。
【0055】
排気口は、第2の空気を外部に排出するための通路であり得、第1の排気口E1と第2の排気口E2を含むことができる。
【0056】
湿度制御部10は配管モジュールに配置され、外気の湿度を制御することができる。
【0057】
湿度制御部10は、液式除湿部と、高温熱源を液式除湿部分に供給して、液式除湿ユニットに用いられる除湿剤が再生されるようにする高温熱源供給部と、液式除湿部で再生された除湿剤の熱が移動する空気に伝達されないように熱交換を行う低温熱源供給部とを含むことができる。
【0058】
高温熱源供給部は、液式除湿部内で湿度を吸収した除湿剤を再生するための熱交換用の温風または温水を供給する高温熱源供給部を含むことができる。
【0059】
また高温熱源供給部は、太陽光集熱部と、太陽光集熱部の熱交換により加熱された温水を液式除湿部に循環させる循環部と、循環部に設けられ、太陽光集熱部により収集した熱を蓄える蓄熱部とを含むことができる。
【0060】
湿度制御部10は、液式除湿部で再生された除湿剤の熱が供給空気に伝達されないように熱を交換する低温熱源供給部を含むことができる。
【0061】
また、低温熱源供給部は、冷却塔を含む水冷式フリークーリング装置として構成され得る。
【0062】
温度制御部は、配管モジュールに配置され、供給空気の温度、湿度、およびエンタルピーを制御することにより第1の空気を生成することができる。
【0063】
温度制御部に供給される空気は、外気導入口Pから流入する調湿外気であってもよい。すなわち、供給される空気は、湿度が湿度制御部10によって制御されている空気であってもよい。
【0064】
温度制御部は、供給される空気の顕熱を冷却するように構成される間接蒸発冷却部22と、供給される空気を冷却し加湿するように構成される直接蒸発冷却部24を含むことができる。
【0065】
間接蒸発冷却部22は、供給される空気が通過するドライチャンネルと、水が噴霧されるウェットチャンネルから構成され、間接蒸発冷却部22を通過する供給空気の顕熱が冷却される。
【0066】
直接蒸発冷却部24は、供給される空気の設定条件、すなわち、第1の空気の状態が満たされるように、通過する供給される空気を冷却して加湿するように構成される。
【0067】
直接蒸発冷却部24は、供給される空気が通過するドライチャンネルと、水が噴霧されるウェットチャンネルとから構成される。
【0068】
経路設定部30は配管モジュールに配置され、外気、第1の空気、および第2の空気の移送経路を変更することができる。経路設定部30は、配管モジュールの給気管または排気管の一部を開閉するダンパまたはバルブであってもよい。
【0069】
経路設定部30によって開閉される給気管または排気管が他の可動経路の管に沿って移動するため、空気の移送経路は経路設定部30によって変更可能である。
【0070】
具体的には、経路設定部30は、外気導入口Pと湿度制御部10との間の給気管に設置され、第1のダンパ部31の開閉状態に応じて空気を外気導入口Pから湿度制御部10に移動させることができるかを決定する第1のダンパ部31と、外気導入口Pと温度制御部との間の給気管に設置され、第2のダンパ部32の開閉状態に応じて、空気を外気導入口Pから温度制御部に移動させることができるかを決定する第2のダンパ部32と、間接蒸発冷却部22の入口側の給気管に設置され、第3のダンパ部33の開閉状態に応じて、空気を間接蒸発冷却部22に移動させることができるかを決定する第3のダンパ部33と、直接蒸発冷却部24の入口側の給気管に設置され、第4のダンパ部34の開閉状態に応じて、空気を直接蒸発冷却部に移動させることができるかを決定する第4のダンパ部34と、第2のダンパ部32と第4のダンパ部34との間の給気管に設置され、第5のダンパ部35の開閉状態に応じて、空気を第2のダンパ部32から第4のダンパ部34へ移動させることができるかを決定する第5のダンパ部35と、第5のダンパ部35と空調スペースとの間の給気管に設置され、第6のダンパ部36の開閉状態に応じて、空気を第5のダンパ部35から空調スペースへ移動させることができるかを決定する第6のダンパ部36と、空調スペースと第1の排気口E1との間の給気管に設置され、第7のダンパ部37の開閉状態に応じて、空気を空調スペースから第1の排気口E1へ移動させることができるかを決定する第7のダンパ部37とを備えることができる。
【0071】
制御部は、外気の湿度、温度、およびエンタルピーに関する第1の情報に基づいて、外気導入口Pから空調スペース、または空調スペースから排出口への空気の移送経路を決定し、空気を決定された移送経路へ移動させるように経路設定部30を制御することができる。
【0072】
第1の情報は、外気の第1の湿度、第1の温度、および第1のエンタルピーに関する情報を含んでもよい。
【0073】
制御部は、第1の空気の第2の湿度、第2の温度、および第2のエンタルピーに関する第2の情報を第1の情報と比較して、経路設定部30を制御することができる。
【0074】
また、制御部は第1の情報を第2の情報と比較して、経路設定部30を制御するための第3の情報を算出して、算出された第3の情報に基づいて経路設定部30を制御することができる。
【0075】
第3の情報は、第3の温度、第3の湿度、および第3のエンタルピーに関する情報を含むことができる。
【0076】
第1の温度が第2の温度を上回る場合、制御部は第3の温度を第2の温度と等しく設定して、第1の温度が第2の温度を上回る場合、第3の温度を第2の温度より高く設定することができる。
【0077】
例えば、外気の第1の温度が20℃であり、空調スペースに供給される空気用に設定された温度である第2の温度が15℃である場合、制御部は第3の温度を15℃に設定して、空調システム1を作動させることができ、外気の第1の温度が10℃であり第2の温度が15℃である場合、制御部は第3の温度を20℃に設定して、空調システム1を作動させることができる。
【0078】
第3のエンタルピーは、第3の温度および第3の湿度から算出される値に設定することができる。上記の例によると、第3の温度が15℃に設定される場合、第3のエンタルピーは、乾球温度15℃および相対湿度1から算出された値になり得、第3の温度が20℃に設定される場合、第3のエンタルピーは乾球温度20℃および相対湿度1から算出された値になり得る。
【0079】
要約すると、
図6から
図8を参照して以下に説明する制御部の第1の温度は、外気の乾球温度であり得、第3の温度は、第1の温度と第2の温度との間の比較にしたがって設定された温度であり得、第1のエンタルピーは、外気の第1の温度(乾球温度)および第1の湿度(相対湿度)の値にしたがって算出されたエンタルピー値であり得、第3のエンタルピーは、第3の温度および相対湿度1から算出された値であり得る。
【0080】
図2、
図3、
図4および
図5は本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムにおける空気の流れを示す概略図である。
【0081】
図2を参照して、第1の温度が第3の温度より低い場合(以下、第1のモードと称する)、制御部は、外気が間接蒸発冷却部22のみを通過するよう経路設定部30を制御してもよい。
【0082】
具体的には、制御部は経路設定部30を制御して、第1のダンパ部31を閉じ、第2のダンパ部32を開き、第3のダンパ部33を開き、第4のダンパ部34を閉じ、第5のダンパ部35を閉じ、第6のダンパ部36を開き、第7のダンパ部37を開くことができる。
【0083】
給気管が配置される形態および仕切空間での実施の利便性のために、第2のダンパ部32は、2-1ダンパ部321および2-2ダンパ部322から構成されてもよいが、第2のダンパ部32はその構成に限定されず、この理由のため、第2のダンパ部32を構成しているダンパ部の数は増えても減ってもよい。
【0084】
同じ理由により、第5のダンパ部35は5-1ダンパ部、5-2ダンパ部、および5-3ダンパ部から構成されてもよい。
【0085】
1つのダンパ部を構成する複数のダンパ部は、給気管が配置される形態および仕切空間での実施の利便性のための一例にすぎないため、ダンパ部はこの例に限定されない。
【0086】
第1の温度が第3の温度より低いケースは、例えば、韓国の冬の外気の状態に対応し、この場合、空調システム1は冬用の運転モードで動作することができる。
【0087】
具体的には、外気導入口Pから流入する外気が給気管を介して移動する場合、外気は、第2のダンパ部32および第3のダンパ部33を介して間接蒸発冷却部22に供給される。このとき、外気は湿度制御部10および直接蒸発冷却部24を通過しなくてもよい。
【0088】
また、間接蒸発冷却部22に供給空気は、間接蒸発冷却部22によって冷却されなくてもよい。すなわち、供給外気を冷却しないように、間接蒸発冷却部22には水が供給されず、供給される空気および空調スペースから流入する第2の空気とが、互いに熱を交換するような空間を提供するために間接蒸発冷却部22が使用されてよい。
【0089】
簡潔に述べると、間接蒸発冷却部22を使用して、供給される空気が第2の空気から熱を奪う空間を供給することができる。
【0090】
また、空調スペースの第2の空気は開いた第7のダンパを介して間接蒸発冷却部22に供給することができ、間接蒸発冷却部22から外部へ、第1の排気口E1を介して排出される。この場合、排気ファンF2によって、第2の空気は空調スペースから間接蒸発冷却部22に流れ得る。
【0091】
間接蒸発冷却部22の第2の空気と熱交換された空気は、給気ファンF1を介し第1の空気の状態で空調スペースに流入することができる。
【0092】
図3を参照すると、第1の温度が第3の温度を上回り、第1のエンタルピーが第3のエンタルピーより小さい場合(以下、第2のモードと称する)、制御部は、外気が直接蒸発冷却部24のみを通過するように経路設定部30を制御することができる。
【0093】
具体的には、制御部は経路設定部30を制御して、第1のダンパ部31を閉じ、第2のダンパ部32を開き、第3のダンパ部33を閉じ、第4のダンパ部34を開き、第5のダンパ部35を開き、第6のダンパ部36を閉じ、第7のダンパ部37を閉じることができる。
【0094】
第1の温度が第3の温度を上回り、第1のエンタルピーが第3のエンタルピーより小さいケースは、例えば、韓国の中間期(春か秋)の外気条件に類似する空気状態に対応し得る。空調システム1は、春か秋の動作モードで動作してもよい。
【0095】
外気導入口Pから流入する外気は、開いた第2のダンパ部32、開いた第5のダンパ部35、および開いた第4のダンパ部34を介して直接蒸発冷却部24に供給され得、外気が第1の空気の状態で空調スペースへ直接蒸発冷却部24により提供され得る。
【0096】
この場合、給気ファンF1によって、第1の空気は直接蒸発冷却部24から空調スペースへ流れ得る。
【0097】
第5のダンパ部35が閉じているので、空調スペースに滞留する第2の空気は、第2の排気口E2を介して空調スペースから排出され得る。
【0098】
図4を参照すると、第1の温度が第3の温度を上回り、第1のエンタルピーが第3のエンタルピーより大きく、第1の湿度が第2の湿度より低い場合(以下、第3のモードと称する)、制御部は、外気が間接蒸発冷却部22および直接蒸発冷却部24のみを通過するように経路設定部30を制御することができる。
【0099】
具体的には、制御部は経路設定部30を制御して、第1のダンパ部31を閉じ、第2のダンパ部32を開き、第3のダンパ部33を開き、第4のダンパ部34を開き、第5のダンパ部35を閉じ、第6のダンパ部36を閉じ、第7のダンパ部37を開くことができる。
【0100】
第1の温度が第3の温度を上回り、第1のエンタルピーが第3のエンタルピーより大きく、第1の湿度が第2の湿度より低いケースは、例えば、韓国の中間期(春か秋)の外気条件に類似する空気状態に対応する。
【0101】
外気導入口Pから流入する外気は、開いた第2のダンパ部32および開いた第3のダンパ部33を介して間接蒸発冷却部22に供給することができ、この場合、空調スペース内の第2の空気は、開いた第7のダンパ部37を介して間接蒸発冷却部22に供給することができる。
【0102】
また、第3のダンパ部33を介して供給空気および第2の空気は、間接蒸発冷却部22内で互いに、顕熱を交換することができ、同時に空気は間接蒸発冷却部22により冷却されてもよい。
【0103】
間接蒸発冷却部22により冷却された空気は、直接蒸発冷却部24に、開いた第4のダンパ部34を介して供給され、直接蒸発冷却部24により冷却され、第1の空気の状態で空調スペースに流れてよい。
【0104】
図5を参照すると、第1の温度が第3の温度を上回り、第1のエンタルピーが第3のエンタルピーより大きく、第1の湿度が第2の湿度より高い場合(以下、第4のモードと称する)、制御部は、外気が湿度制御部10、間接蒸発冷却部22、および直接蒸発冷却部24を通過するよう経路設定部30を制御し得る。
【0105】
具体的には、制御部は経路設定部30を制御し、第1のダンパ部31を開き、第2のダンパ部32を閉じ、第3のダンパ部33を開き、第4のダンパ部34を開き、第5のダンパ部35を閉じ、第6のダンパ部36を閉じ36、第7のダンパ部37を開くことができる。
【0106】
第1の温度が第3の温度を上回り、第1のエンタルピーが第3のエンタルピーより大きく、第1の湿度が第2の湿度より高いケースは、例えば、韓国の夏の高温多湿な外気条件に対応する。
【0107】
外気導入口Pから流入する外気は湿度制御部10に、開いた第1のダンパ部31を介して供給され得、湿度が湿度制御部10を介して制御されている空気は間接蒸発冷却部22に第3のダンパ部33を介して供給されて、冷却され得る。
【0108】
空調スペース内の第2の空気は、開いた第7のダンパを介して間接蒸発冷却部22に供給され得、第1の排気口E1を介して外部へ排出され得る。
【0109】
この場合、第3のダンパ部33を介して供給空気および第2の空気は、間接蒸発冷却部22において互いに、顕熱を交換することができ、同時に、間接蒸発冷却部22によって空気を冷却することができる。
【0110】
間接蒸発冷却部22によって冷却された空気は、開いた第4のダンパ部34を介して直接蒸発冷却部24に供給され得、直接蒸発冷却部24により冷却され得、第1の空気の状態で空調スペースに流れることができる。
【0111】
図6は、本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムのそれぞれのモードを示す乾湿計チャートである。
【0112】
図6を参照すると、第2の情報に基づく第2の湿度および第2の温度を有する第1の空気の状態が、乾湿計チャート(1気圧)の飽和曲線上の点として示されており、第1の情報に基づく第1の湿度および第1の温度を有する外気の状態が乾湿計チャート(1気圧)の飽和曲線上の点として示されている。
【0113】
本発明の空調システム1は、外気の状態を示す点を第1の空気の状態を示す点に移動させて、第1の空気を空調スペースへ供給するための空気処理システムであり得る。
【0114】
湿度制御部10は第1の湿度を1-2の湿度に変化させ、これは上記の液式除湿ユニット、高温熱源供給部、および低温熱源供給部によって実現することができる。
【0115】
湿度制御部10は、乾湿計チャート(1気圧)上の点に対応する第1の情報をy軸方向(絶対湿度)へ移動させ、この場合、点が移動する経路は直線である、すなわち、第1の情報に対応する点は、y軸方向に直線的に移動することができる。すなわち、湿度制御部10は空気の乾球温度を変えなくてもよく、絶対湿度の変化にのみ関与することができる。
【0116】
1-2の湿度は第2の湿度より低くてもよい。これは、後述する直接蒸発冷却部24の加湿による湿度制御を意図している。
【0117】
間接蒸発冷却部22は、第1の温度を、1-2の温度に変化させることができ、1-2の温度は第1の温度と第2の温度との間の温度であってよい。これは、後述する直接蒸発冷却部24の2次冷却による温度制御を意図している。
【0118】
間接蒸発冷却部22は、乾湿計チャート(1気圧)上の点に対応する第1の情報をx軸方向(乾球温度)へ移動させ、この場合、点が移動する経路は直線であり得る、すなわち、第1の情報に対応する点はx軸方向にまっすぐ移動し得る。すなわち、間接蒸発冷却部22は、空気の絶対湿度を変えなくてもよく、乾球温度の変更にのみ関与することができる。
【0119】
直接蒸発冷却部24は、1-2の湿度を第2の湿度に、1-2の温度を第2の温度に変えることができる。
【0120】
直接蒸発冷却部24は、乾湿計チャート上の点(1気圧)に対応する第1の情報を、y軸方向(絶対湿度)およびx軸方向(乾球温度)に移動させることができ、この場合、点が移動する経路は曲線でも直線でもよい、すなわち、1-2の温度および1-2の湿度に対応する点はx軸方向(乾球温度)およびy軸方向(絶対湿度)に同時に動かすことができ、こうして、曲線運動または直線運動を引き起こすことができる。すなわち、直接蒸発冷却部24は絶対湿度および乾球温度の変化に同時に関与することができる。
【0121】
図7および
図8は本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムのそれぞれのモードを示す概略図である。
【0122】
図7の(a)は、外気の状態が第1のモードに対応するケースを示す。第1のモードでは、外気が間接蒸発冷却部22のみを通過するよう空気の流路を設定できる。
【0123】
この場合、上記のように、間接蒸発冷却部22を使用して、供給される空気が第2の空気から熱を奪う空間が供給され、第1のモードに対応する外気は、第1の情報に対応する乾湿計チャート上の点から第2の情報に対応する乾湿計チャート上の点に移動することができ、つまり空調スペースから流入する第2の空気との顕熱交換によって、状態(温度、湿度、およびエンタルピー)が変化し得る。
【0124】
図7の(b)は外気の状態が第2のモードに対応するケースを示す。第2のモードでは、外気が直接蒸発冷却部24のみを通過するように空気の流路を設定できる。
【0125】
上記のように、直接蒸発冷却部24は乾湿計チャート(1気圧)上の点に対応する第1の情報をy軸方向(絶対湿度)およびx軸方向(乾球温度)に移動させることができるので、第2のモードにおける第1の情報に対応する乾湿計チャート上の点は、第2の情報に対応する乾湿計チャート上の点に移動することができる、すなわち、直接蒸発冷却部24により状態(温度、湿度、およびエンタルピー)が変化し得る。
【0126】
図8の(a)は外気の状態が第3のモードに対応するケースを示す。第3のモードでは、外気は間接蒸発冷却部22および直接蒸発冷却部24のみを通過するよう空気の流路を設定することができる。
【0127】
上記のように、間接蒸発冷却部22は乾湿計チャート(1気圧)上の点に対応する第1の情報をx軸方向(乾球温度)に移動させることができ、直接蒸発冷却部24は乾湿計チャート(1気圧)上の点に対応する第1の情報をy軸方向(絶対湿度)およびx軸方向(乾球温度)に移動させることができるため、第3のモードにおける第1の情報に対応する乾湿計チャート上の点を第2の情報に対応する乾湿計チャート上の点に移動させることができ、すなわち、状態(温度、湿度、およびエンタルピー)が変わり得る。
【0128】
図8の(b)は外気の状態が第4のモードに対応するケースを示す。第4のモードでは、外気が湿度制御部10、間接蒸発冷却部22、および直接蒸発冷却部24を通過するよう空気の流路を設定できる。
【0129】
上記のように、湿度制御部10は乾湿計チャート(1気圧)上の点に対応する第1の情報をy軸方向(絶対湿度)に移動させることができ、間接蒸発冷却部22は乾湿計チャート(1気圧)上の点に対応する第1の情報をx軸方向(乾球温度)に移動させることができ、直接蒸発冷却部24は乾湿計チャート(1気圧)上の点に対応する第1の情報をy軸方向(絶対湿度)およびx軸方向(乾球温度)に移動させることができるため、第4のモードにおける第1の情報に対応する乾湿計チャート上の点を第2の情報に対応する乾湿計チャート上の点に移動させることができ、すなわち、状態(温度、湿度およびエンタルピー)が変わり得る。
【0130】
図9、
図10、および
図11は本発明の他の実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムの部分構造を示す図である。
【0131】
図9から
図11を参照すると、本発明の他の実施形態による空調システムは、湿度制御部110、制御部および経路設定部130以外は、
図1から
図8を参照して上述した空調システムと同じ構造および効果を有しているため、湿度制御部110、制御部および経路設定部130についてのみ説明する。
【0132】
湿度制御部110は、第1の液式除湿部112および第2の液式除湿部114を含み得る。
【0133】
第1の液式除湿部112は、第1の湿度が1-3の湿度となるよう除湿し、第2の液式除湿部114は、1-3の湿度が1-4の湿度となるよう除湿してもよい(
図9参照)。
【0134】
1-3の湿度が1-4の湿度以下の場合、制御部は、空気が、第2の液体型除湿ユニット114の周りの迂回路を通って配管モジュールに供給されるよう経路設定部を制御できる。
【0135】
要するに、湿度制御部110が第1の湿度を1-4の湿度にするプロセスにおいて、空気が第1の液式除湿部112によって十分に除湿されない場合、再除湿のために空気が第2の液式除湿部114に供給されてもよく、このため、二槽液式除湿部が利用される。要するに、湿度制御部110が第1の湿度を1-4の湿度にするプロセスにおいて、空気が第1の液式除湿部112によって十分に除湿されない場合、再除湿のために空気が第2の液式除湿部114に供給されてもよく、このため、二槽液式除湿部が採用される。
【0136】
また、空気が第1の液式除湿部112により十分に除湿されたと決定された場合(1-3の湿度が1-4の湿度以下の場合)、第2の液式除湿部114の周りの迂回路を通って、第2の液式除湿部114の後方に配置された温度制御部に空気を供給してもよい。
【0137】
1-4の湿度は、第1の空気が空調スペースに提供されるよう湿度制御部110により制御されるべき湿度であり、1-4の湿度は第1の空気の第1の湿度と等しくてもよく、あるいは湿度制御部110の後方に配置された直接蒸発冷却部により空気が加湿されると考慮して、第1の空気の第1の湿度より低く設定してもよい。
【0138】
経路設定部は、さらに第1の液式除湿部112と第2の液式除湿部114との間の給気管に設置され、第8のダンパ部38の開閉状態に応じて、空気を第1の液式除湿部112から第2の液式除湿部114に移動させることができるかを決定する第8のダンパ部38を含んでもよい。
【0139】
1-3の湿度が1-4の湿度を上回る場合、制御部は経路設定部を制御して、第8のダンパ部38を開くことができる。
【0140】
1-3の湿度が1-4の湿度以下の場合、制御部は経路設定部を制御して、第8のダンパ部38を閉じることができる。
【0141】
第1の湿度が1-4の湿度以下の場合、外気が第1の液式除湿部112および第2の液式除湿部114の両方の周りを迂回するよう第1のダンパ部を閉じて、第2のダンパ部を開くことができる(
図11参照)。
【0142】
湿度制御部110を通過するまたはその周りを迂回する空気は、温度制御部により冷却されてもよく、このとき、温度制御部に供給される空気の1-4湿度は、直接蒸発冷却部により第2の湿度とな得る。
【0143】
図12は、本発明の一実施形態による除湿および蒸発冷却式全外気空調システムを制御する方法を示すフローチャートである。
【0144】
図12を参照すると、除湿および蒸発冷却式全外気空調システムを制御する方法が提供されており、除湿および蒸発冷却式全外気空調システムは、外気と、第1の空気および第2の空気の移送通路を提供する配管モジュールと、配管モジュールに配置され、外気の湿度を制御する湿度制御部と、配管モジュール上配置され、供給される空気の温度、湿度、およびエンタルピーを制御することにより第1の空気を生成し、供給される空気の顕熱を冷却するように構成された間接蒸発冷却部と、供給される空気を冷却し加湿ように構成される直接蒸発冷却部とを含む温度制御部と、配管モジュールに配置され、外気、第1の空気、および第2の空気の移送経路を変更する経路設定部と、外気の第1の湿度、第1の温度、および第1のエンタルピーに関する第1の情報に基づいて、外気吸入口から空調スペースへ、または空調スペースから排気口への空気の移送経路を決定し、空気を決定された移送経路に移動させるために経路設定部を制御する制御部とを備え、システムは、外気の湿度、温度、およびエンタルピーを変更し、変更された第1の空気を空調スペースに供給するか、空調スペースにおいて滞留する第2の空気を空調スペースから排気口へ排出し、本発明の一実施形態による方法は、第1の情報と第1の空気の第2の湿度、第2の温度、および第2のエンタルピーに関する第2の情報とを比較することにより第3の温度、第3の湿度、および第3のエンタルピーに関する情報を計算する第1のステップと、第1の温度と第3の温度とを比較する第2のステップと、第2のステップで第1の温度が第3の温度を上回ると決定された場合、第1のエンタルピーと第3のエンタルピーとを比較する第3のステップと、第3のステップにおいて、第1のエンタルピーが第3のエンタルピーより大きいと決定された場合、第1の湿度と第2の湿度とを比較する第4のステップとを備える。
【0145】
第2のステップにおいて、第1の温度が第3の温度より低いと決定された場合、間接蒸発冷却部22のみを通って、外気は空調スペースに提供され得る(
図1参照)。
【0146】
第3のステップにおいて、第1のエンタルピーが第3のエンタルピーより小さいと決定された場合、外気は直接蒸発冷却部24のみを通って空調スペースに提供され得る(
図1参照)。
【0147】
第4のステップにおいて、第1の湿度が第2の湿度より低いと決定された場合、外気は間接蒸発冷却部および直接蒸発冷却部のみを通って空調スペースに提供され得る。
【0148】
第4のステップにおいて、第1の湿度が第2の湿度より高いと決定された場合、外気は、湿度制御部、間接蒸発冷却部、および直接蒸発冷却部を介して空調スペースへ提供され得る。
【0149】
除湿および蒸発冷却式全外気空調システムと関連して除湿および蒸発冷却式全外気空調システムを制御する方法を詳述したので、方法の詳細な説明を省略する。
【0150】
以上本発明の実施形態にしたがって本発明の構成および特徴を説明したが、本発明はこれに限定されない。当業者は、本発明の精神および範囲内で様々な方法で実施形態を変更または修正できることをはっきりと理解するはずである。したがって、そのような変更または修正は下記の特許請求の範囲に属することに留意されたい。