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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】外側塊固定インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20220308BHJP
   A61B 17/80 20060101ALI20220308BHJP
   A61B 17/84 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/80
A61B17/84
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020041420
(22)【出願日】2020-03-10
(62)【分割の表示】P 2017515006の分割
【原出願日】2015-05-27
(65)【公開番号】P2020089773
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2020-03-31
(31)【優先権主張番号】62/003,443
(32)【優先日】2014-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/723,243
(32)【優先日】2015-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516356974
【氏名又は名称】プロビデンス メディカル テクノロジー インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】317006432
【氏名又は名称】ファン、 クリストファー ユー.
(73)【特許権者】
【識別番号】317006443
【氏名又は名称】スミス、 ジェニファー ディー.
(73)【特許権者】
【識別番号】317006454
【氏名又は名称】サンダース、 トッド シェパード
(73)【特許権者】
【識別番号】317006465
【氏名又は名称】シエミオノー、 クルジストフ
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ファン、 クリストファー ユー.
(72)【発明者】
【氏名】スミス、 ジェニファー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】サンダース、 トッド シェパード
(72)【発明者】
【氏名】シエミオノー、 クルジストフ
(72)【発明者】
【氏名】マコーマック、 ブルース エム.
(72)【発明者】
【氏名】リュー、 エドワード
(72)【発明者】
【氏名】タナカ、 シゲル
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0114415(US,A1)
【文献】特表2012-501234(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0238095(US,A1)
【文献】特表2004-523288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0306671(US,A1)
【文献】特表2008-522787(JP,A)
【文献】特表平11-508781(JP,A)
【文献】特表2008-509735(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0068976(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56-17/92
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎インプラントシステムであって、小関節面インプラント部材と、外側塊固定部材と、を備え、
前記小関節面インプラント部材は、2つの隣り合う頸椎によって画定される椎間関節に位置させるための長さ方向の軸を有するとともに、
前記2つの隣り合う頸椎のうちの上側の関節運動面に係合するように構成された1以上の歯が外側に向かって延在する第1の平面と、前記2つの隣り合う頸椎のうちの下側の関節運動面に係合するように構成された1以上の歯が外側に向かって延在する第2の平面と、前記頸椎の前面に対して遠位に位置する遠位端と、前記遠位端とは反対側に位置する近位端と、を含み、
前記近位端と遠位端とは、前記第1の平面と前記第2の平面との間に位置し、前記第1の平面及び第2の平面とともに中空空間を確定し、前記遠位端は少なくとも1つの開口部を有するとともに、
前記外側塊固定部材は、
前記小関節面インプラント部材の前記開口部で受けられる少なくとも1つの取付装置であって前記長さ方向の軸に沿って前記小関節面インプラント部材の前記中空空間を前記小関節面インプラント部材の長手方向に延在する取付装置と、前記小関節面インプラント部材の前記遠位端に少なくとも部分的に係合する、少なくとも1つの長尺状の部材と、を有し、
前記外側塊固定部材の前記長尺状の部材は、前記2つの隣り合う各頸椎を橋渡しする
システム。
【請求項2】
前記小関節面インプラント部材及び前記外側塊固定部材は、その場で取り付け可能な2つの別々の装置である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記小関節面インプラント部材はペグを備え、前記外側塊固定部材は前記ペグを受けるための貫通形成された穴を備える、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ペグは、円形、四角形、及び多角形のうちの1つを有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記外側塊固定部材の長尺状の部材はプレートを備え、前記プレートは、
中間部と、
前記プレートを前記小関節面インプラント部材に接続するためのスクリューを通すように構成された、前記中間部内の開口と、
隣接する椎骨の外側塊に接続するための、前記中間部の両側から延伸する2つのタブと、を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記タブは、前記隣接する椎骨の外側塊に前記タブを固定するための、前記タブから延伸する1つまたは複数の表面形状を備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記タブは、前記タブを前記隣接する椎骨の外側塊に固定するように構成された1つまたは複数の固定部材を受けるための、貫通形成された1つまたは複数の穴を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記タブは、前記中間部の両側からヒンジを介して延伸し、かつ前記タブは前記中間部に対して前記ヒンジを中心に回転可能である、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記小関節面インプラント部材及び前記外側塊固定部材は、単一の結合された装置である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記長尺状の部材は、前記小関節面インプラント部材から延伸して隣接する椎骨の外側塊に接触する2つのタブを備え、前記タブは、システムを患者に移送するための収縮構成から、隣接椎骨の外側塊に取り付けるための拡張構成へ移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
脊椎に取り付けるために少なくとも1つの前記小関節面インプラント部材又は前記外側塊固定部材を脊椎へ案内するための案内部材をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記外側塊固定部材は、前記小関節面インプラント部材へ取り付くように構成された第1の部分と、前記第1の部分に連結されてある角度を成す第2の部分と、を備え、前記第2の部分は前記外側塊固定部材を隣接する椎骨の外側塊に固定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記長尺状の部材はロッドであって、且つ
前記外側塊固定部材は、
前記取付装置と、遠位端と反対側の近位端と前記遠位端に少なくとも部分的に画定されたスロットとを有するロッド受け部材と、を含むアンカーを備え、
前記ロッドは、前記アンカーにおける前記ロッド受け部材のスロットで支持されて、前記システムを隣接する椎骨の外側塊に固定する、
請求項1のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「外側塊固定インプラント」と称する2014年5月27日出願の米国特許仮出願第62/003,443号の優先権を主張する。上記特許出願の全開示は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
外側塊固定を伴う後頸椎融合は最も剛直な頸部器具である。これは、外科医が直接目視して安全に手術を遂行するために、後方脊椎の筋肉及び靭帯の広範囲な切開を必要とする。この切開は、急性及び慢性の軟部組織疼痛症候を起こす。急性の場合には、静脈内麻酔薬を必要とする疼痛管理のために患者は通常3~4日入院する。これは、筋肉や軟組織の切開を必要としない前方手術法の1日入院と対比される。後方手術法に伴う長期間患者は、切開が広範囲に及ぶことによる持続的疼痛をおこすことが多い。時には、後方アクセス頸椎融合手術の後、軟組織が解剖学的位置に戻らずに永久的な変形をすることがある。後方外科手術後の持続的な疼痛は、椎弓切除後症候群と称される。(図1は解剖学的構造を示す、C5及びC6頸椎の側面図である。)
【0003】
したがって、前方頸椎融合手術が後方手術法に比べて患者への外傷が小さいと考えられるので、後方融合手術よりも一般的には好まれて来た。ただし同時に、頚椎への後方手術法は前方手術法に対していくつかの利点を持っている。
【0004】
外側塊又は椎弓根のスクリュー固定は、前部プレート、椎体間装置、及び棘突起間ワイヤリングよりも頸椎をより強固に固定できる。これは外傷性不安定性に対して最適であるが、変性状態に対しても利用されてきた。最適な固定であるにもかかわらず、上記のような軟組織切開による罹患率のために外側塊固定は回避されることが多い。(図2A図2Bは、後方固定装置を装着した頸椎の、それぞれ背面図と側面図である。)
【0005】
椎骨の外側塊へのドリル穿孔又はスクリュー挿入を、経皮的な手法を用いて開始することは今日では実行されない。これは、軟組織がドリルに捕捉されて、ドリルが骨から横滑りして制御不能となることがあるからである。外科医が軟組織を除去して直接目視しない限り、後方頸椎において直接目視なしで骨に錐やスクリューで強い圧力をかけることは危険である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、後方アクセス法により頸椎融合手術を行うための改良された装置、システム及び方法を取得できれば有利である。理想的には、これらの装置、システム及び方法では、最小侵襲性又はより小さい侵襲性のアクセス及び固定が可能となり、また固定装置の的確な配置を確保するのに役立つであろう。これらの目的の少なくとも一部は本明細書に記載の実施形態で実現される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載の様々な実施形態では、侵襲性が最小又はより小さい手法を利用して後方手術法により挿入及び装着される外側塊及び小関節面固定インプラントが提供される。以下で記述する実施形態は一般的に、小関節面間インプラント(すなわち「小関節面インプラント」)と、その小関節面インプラントに取り付けられた、又は取り付け可能な外側塊固定部材を含む。外側塊固定部材は、その中間部から延伸し、外側塊固定部材を隣接する椎骨の外側塊に固定するための一つ又は複数のタブを含むことができる。タブは、可撓性、半剛性又は剛性であってよく、部材挿入を容易にするために折りたたみ可能であってもよい。
【0008】
一態様において、脊椎インプラントシステムが開示される。脊椎インプラントシステムは、椎間関節に配置する小関節面インプラント部材と、小関節面インプラントに取り付けられているか取り付けることのできる外側塊固定部材とを含んでいる。小関節面インプラント部材及び外側塊固定部材は、その場で取り付け可能な2つの別々の装置又は構成部品であってもよいし、あるいは単一装置又は単一品又は一体構造のものであってもよい。ある実施形態では、小関節面インプラント部材にはペグが含まれ、かつ外側塊固定部材にはペグを受けるために貫通して形成された穴が含まれる。ペグは、円形、四角形、多角形のうちの1つの形状であってよい。
【0009】
ある態様では外側塊固定部材にはプレートがあり、そのプレートには中間部と、プレートを小関節面インプラント部材に接続するためのスクリューを通す中間部の開口と、隣接する椎骨の外側塊に接触するための中間部の両端から延伸する2つのタブとが含まれている。タブには、隣接する椎骨の外側塊にタブを固定するための、タブから延伸するスパイクのような一つ又は複数の表面形状があってもよい。タブには、隣接する椎骨の外側塊にタブを固定するように構成された1つ又は複数の固定装置を受けるための、貫通形成された1つ又は複数の穴が含まれていてもよい。タブは中間部の両側からヒンジを介して延在してもよい。またタブは中間部に対してヒンジを中心として回転可能である。外側塊固定部材は、隣接する椎骨の外側塊に接触するために、小関節面インプラント部材から延伸する2つのタブを備えてもよい。タブは、システムを患者に移送するための収縮構成から、隣接椎骨の外側塊に取り付けるための拡張構成へ移動可能であってもよい。
【0010】
ある態様ではシステムは、脊椎に取り付けるために少なくとも1つの小関節面インプラント部材又は外側塊固定部材を脊椎へ案内する案内部材をさらに含んでもよい。
【0011】
ある態様では、外側塊固定部材は、小関節面インプラント部材へ取り付くように構成された第1の面と、第1の面に連結されてある角度を成す第2の面と含み、この第2の面は外側塊固定部材を隣接する椎骨の外側塊に固定するように構成されている。
【0012】
ある態様では外側塊固定部材には、小関節面インプラントに取り付けるための取付装置とロッド受け部材とを含むアンカーが含まれている。固定部材にはさらに、隣接する椎骨の外側塊に接触できる長さを持ったロッドが含まれている。
【0013】
脊椎固定インプラントを移植するための方法が開示される。この方法には、小関節面インプラント部材を椎間関節へ挿入し、外側塊固定部材を小関節面インプラント部材へ取り付けることが含まれる。ある実施形態では、外側塊固定部材を取り付けることが、外側塊固定部材を小関節面インプラント部材へ螺合することを含んでいる。この方法にはさらに、案内ロッドを小関節面インプラント部材に取り付けること、その案内ロッドを介して外側塊固定部材を小関節面インプラントに隣接して配置すること、そしてその案内ロッドを取り除くことが含まれてもよい。ある実施形態では小関節面インプラントを挿入することが、案内チューブを介して小関節面インプラントを移送することを含んでいる。
【0014】
脊椎固定インプラントを移植するための方法が開示される。一態様ではこの方法が、固定システムの小関節面インプラントを椎間関節に挿入することと、固定システムの外側塊固定部材を広げて隣接する椎骨の外側塊に接触させることとが含まれる。ある態様ではこの方法にはさらに、少なくとも1つのスクリューを用いて外側塊固定部材を外側塊に取り付けることが含まれる。
【0015】
これら及びその他の態様と実施形態を、以下において添付の図面を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】解剖学的構造を示す、C5及びC6頸椎の側面図である。
図2A】従来技術による後方固定装置を装着した頸椎の背面図である。
図2B】従来技術による後方固定装置を装着した頸椎の側面図である。
図3A】一実施形態による小関節面インプラント及び小関節面インプラントへの外側塊固定部材取付方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図3B】一実施形態による小関節面インプラント及び小関節面インプラントへの外側塊固定部材取付方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図3C】一実施形態による小関節面インプラント及び小関節面インプラントへの外側塊固定部材取付方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図3D】一実施形態による小関節面インプラント及び関節面インプラントへの外側塊固定部材取付方法を示す、頚椎の一部の断面図である。
図4】別の実施形態による、円筒取付柱のある小関節面インプラントとそこに取り付ける外側塊固定部材を示す、頚椎部の一部の斜視図である。
図5A】別の実施形態による、多角形取付柱のある小関節面インプラントとそこに取り付ける外側塊固定部材示す頚椎の一部の斜視図である。
図5B】別の実施形態による、多角形取付柱のある小関節面インプラントとそこに取り付ける外側塊固定部材示す頚椎の一部の背面図である。
図6A】一実施形態による結合された外側塊固定部材の斜視図である。
図6B】一実施形態による、図6Aの結合された外側塊固定部材の小関節面インプラントへの取付方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図6C】一実施形態による、図6Aの結合された外側塊固定部材の小関節面インプラントへの取付方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図7A】一実施形態による、外側塊固定部材が予め取り付けられた小関節面インプラントの斜視図である。
図7B】一実施形態による、図7の予め外側塊固定部材を取り付けられた小関節面インプラントを移植して取り付ける方法を示す、頚椎の一部の側面図である。
図7C】一実施形態による、図7の予め外側塊固定部材を取り付けられた小関節面インプラントを移植して取り付ける方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図7D】一実施形態による、図7の予め外側塊固定部材を取り付けられた小関節面インプラントを移植して取り付ける方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図8A】一実施形態による、外側塊固定部材が部分的に小関節面インプラント内に予め取り付けられた、小関節面インプラントの斜視図である。
図8B】一実施形態による、図8の予め外側塊固定部材を取り付けられた小関節面インプラントを移植して取り付ける方法を示す、あるものは頚椎の一部を含んだ様々な図である。
図8C】一実施形態による、図8の予め外側塊固定部材を取り付けられた小関節面インプラントを移植して取り付ける方法を示す、あるものは頚椎の一部を含んだ様々な図である。
図8D】一実施形態による、図8の予め外側塊固定部材を取り付けられた小関節面インプラントを移植して取り付ける方法を示す、あるものは頚椎の一部を含んだ様々な図である。
図8E】一実施形態による、図8の予め外側塊固定部材を取り付けられた小関節面インプラントを移植して取り付ける方法を示す、あるものは頚椎の一部を含んだ様々な図である。
図8F】一実施形態による、図8の予め外側塊固定部材を取り付けられた小関節面インプラントを移植して取り付ける方法を示す、あるものは頚椎の一部を含んだ様々な図である。
図8G】一実施形態による、図8の予め外側塊固定部材を取り付けられた小関節面インプラントを移植して取り付ける方法を示す、あるものは頚椎の一部を含んだ様々な図である。
図9A】一実施形態による、小関節面インプラントへ取り付けるために折り畳まれた外側塊固定部材を案内ロッドにより送り出す方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図9B】一実施形態による、小関節面インプラントへ取り付けるために折り畳まれた外側塊固定部材を案内ロッドにより送り出す方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図9C】一実施形態による、小関節面インプラントへ取り付けるために折り畳まれた外側塊固定部材を案内ロッドにより送り出す方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図9D】一実施形態による、小関節面インプラントへ取り付けるために折り畳まれた外側塊固定部材を案内ロッドにより送り出す方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図10A】一実施形態による外側塊固定部材の斜視図である。
図10B】一実施形態による外側塊固定部材の斜視図である。
図10C】一実施形態による、図10A図10Bの外側塊固定部材を小関節面インプラントへ取り付けるための方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図10D】一実施形態による、図10A図10Bの外側塊固定部材を小関節面インプラントへ取り付けるための方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図10E】一実施形態による、図10A図10Bの外側塊固定部材を小関節面インプラントへ取り付けるための方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図10F】一実施形態による、図10A図10Bの外側塊固定部材を小関節面インプラントへ取り付けるための方法を示す、頚椎の一部の斜視図である。
図11A】小関節面インプラントと外側塊固定部材を含むシステム、及び外側塊固定部材の小関節面インプラントへの取付方法を示す、頚椎の一部の様々な図である。
図11B】小関節面インプラントと外側塊固定部材を含むシステム、及び外側塊固定部材の小関節面インプラントへの取付方法を示す、頚椎の一部の様々な図である。
図11C】小関節面インプラントと外側塊固定部材を含むシステム、及び外側塊固定部材の小関節面インプラントへの取付方法を示す、頚椎の一部の様々な図である。
図11D】小関節面インプラントと外側塊固定部材を含むシステム、及び外側塊固定部材の小関節面インプラントへの取付方法を示す、頚椎の一部の様々な図である。
図11E】小関節面インプラントと外側塊固定部材を含むシステム、及び外側塊固定部材の小関節面インプラントへの取付方法を示す、頚椎の一部の様々な図である。
図11F】小関節面インプラントと外側塊固定部材を含むシステム、及び外側塊固定部材の小関節面インプラントへの取付方法を示す、頚椎の一部の様々な図である。
図11G】小関節面インプラントと外側塊固定部材を含むシステム、及び外側塊固定部材の小関節面インプラントへの取付方法を示す、頚椎の一部の様々な図である。
図11H】小関節面インプラントと外側塊固定部材を含むシステム、及び外側塊固定部材の小関節面インプラントへの取付方法を示す、頚椎の一部の様々な図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に記載の様々な実施形態には、後方アクセスによる侵襲性の小さいか又は侵襲性が最小の挿入方法を利用した、頚椎における外側塊固定を提供するシステムが含まれる。それぞれのシステムには一般的に小関節面部品と外側塊固定部品が含まれる。ある実施形態では、小関節面部品と外側塊固定部品は、患者の体内にその場で取り付けられるまでは個別の装置である。別の実施形態では、小関節面部品と外側塊固定部品は、1つの装置に結合されてもよい。ある実施形態では、単純に小関節面インプラントそのものを含み、これが一つ又は複数の外側塊固定装置又は部材に取り付けられてもよい。同様に、外側塊固定装置又は部材は単体で提供されて、一つ又は複数の小関節面インプラント装置に適合するようになっていてもよい。本明細書に記載の実施形態には、ここに記載の小関節面部品と外側塊固定部品を挿入、移植して、取り付けるための方法もまた含まれる。
【0018】
外側塊器具には、外側塊におけるスクリュー、ステープル又はポストが含まれてよい。ロッドやプレートのような追加的な器具が吻側小関節面と尾側小関節面とを接続する張力帯として使用されてもよい。この追加器具は、屈曲、伸展及び側傾を制限する役目をしてもよい。小関節面インプラントは固定部材(又は張力帯)の接続、及び/又は所定位置への案内を助ける。張力帯装置(例えば、プレート、ロッドやその他の吻側外側塊と尾側外側塊を橋渡しする材料)はモジュール式であってもよい。それは一つ又は複数の可動セグメントを横切るのに使用可能である。それは小関節面移植の前または後に装着してもよい。小関節面インプラントと外側塊固定部材とを組み合わせることにより、屈曲と伸展の両方向における非常に優れた関節の固定と安定性が提供される。
【0019】
外科医は、これに限らないが例えばプロビデンスメディカルテクノロジーズ社(Providence Medical Technology, Inc.) (www.providencemt.com)のDTRAX(登録商標)などの挿入システムの使用により、最小のアクセス用切開部を介して小関節面インプラントを挿入してもよい。ここで記述する実施形態に使用され得る小関節面インプラントには、プロビデンスメディカルテクノロジーズ社(Providence Medical Technology, Inc.) (www.providencemt.com)のDTRAX(登録商標)頸椎ケージが含まれる。小関節面インプラントによって付与される脊柱奥の固定点を利用して、直接の目視なしの経皮的手法により後方頸椎に器具を装着できる。これにより脊柱の軟組織をすべて剥がすことが回避される。患者の脊柱奥の固定点により器具が脊柱から滑って外れることが防止され、固定器具の配置、整列及び固定が可能となる。またすべての患者に一貫して、頚椎小関節面は外側塊に対して一定の解剖学的関係を持っている。固定器具装置は直接の目視なしで、小関節面インプラントから外れた外側塊上の信頼できる標識点へ配置することが可能である。
【0020】
次に図3A図3Dを参照すると、一実施形態において外側塊固定システムには小関節面インプラント10、プレート12などの外側塊固定部材、及びプレート12を小関節面インプラント10に取り付けるための1つ以上のスクリュー14が含まれてよい。プレート12(又は「バー」)は吻側外側塊と尾側外側塊に跨って延在し、小関節面インプラント10の背面にスクリュー14で取り付けられてもよい。このスクリューがプレート12を外側塊骨にぴったりと引き寄せて、更なる固定を与える。以下でさらに詳細に述べるように、プレート12には中間部12aとその中間部12aから延伸する2つの延長部12b、12cがあってもよい。中間部12aには、プレート12を小関節面インプラント10に取り付けるためのスクリュー14を受けるように構成された開口13が含まれている。プレート12は固定形状であってもよいし、又は例えば中間部12aと延長部12b、12cの間のヒンジにより調節可能となっていてもよい。ある実施形態では、延長部12b、12cには可撓性があって、プレート12を外側塊骨の形状に倣わせることができてもよい。小関節面インプラント10には、1つ以上のスクリュー14を受けるための、遠位端を貫通するねじ穴10aが含まれていてもよい。様々な実施形態において、スクリューを所望の張力に締めてプレート12が小関節面インプラント10と外側塊骨に確実に取り付けられるようにしてもよい。図3Dを参照すると、プレート12が1つ以上の表面形状すなわちスパイク16(あるいはそれに代わってスクリュー又は他の取付け部材)をプレート12の吻側端と尾側端に含んでもよい。これは外側塊の中に差し込まれて、プレート12の外側塊への固定に役立つ。小関節面インプラント10、プレート12及びスクリュー14は、典型的には金属又は複数金属の組合せによる、任意の好適な生体適合材料で作られてよい。
【0021】
図4を参照すると、一実施形態において外側塊固定システムには円筒ペグ24(すなわち「ポスト」)を有する小関節面インプラント20と、ペグ24の周りに嵌合する対応の円形開口26を有するプレート22のような外側塊固定部材が含まれてもよい。様々な実施形態では、ペグ24は小関節面インプラント20の近位端に配置されていてもよい。円筒ペグ24には貫通穴があって、スクリュー(例えばスクリュー14)を受けるねじが切られていてプレート22を小関節面インプラント20に固定するようになっていてもよい。この実施形態及び他の実施形態に示すように、プレート22には中間部22aと、その中間部から斜めに延在する2つの延長部22b、22cが含まれていてもよい。延長部の角度は隣接する外側塊に適合するようになっていてもよい。ある実施形態では、延長部22b、22cは、外科医が中間部22aに対して調節できるようになっていてもよい。
【0022】
次に図5A図5Bに示すように代替実施形態において、外側塊固定システムが、多角形ペグ34(すなわち「ポスト」、この実施形態では正方形であるが、他の実施形態では違う形状であってもよい)を有する小関節面インプラント30と、ペグ34の周りに嵌合するか又はペグを受けるための対応する多角形開口36を有するプレート32のような外側塊固定部材とを含んでもよい。多角形ペグ34はプレート32を小関節面インプラント30の軸に対して所定の方向に向けることができ、これによりプレートと外側塊骨とが適切な接触を確保することができる。この実施形態及び他の実施形態に示すように、プレート32には中間部32aと、その中間部から斜めに延伸する2つの延長部32b、32cが含まれていてもよい。延長部の角度は隣接する外側塊に適合するようになっていてもよい。ある実施形態では、延長部32b、32cは、外科医が中間部32aに対して調節できるようになっていてもよい。
【0023】
次に図6A図6Cを参照する。別の実施形態では、外側塊固定システムには、中央開口44のある中間部42と、2つのヒンジ46を介してその中間部42の両端に取り付けられた2つの延長部48とを含むプレート40のような、外側塊固定部材が含まれてもよい。ヒンジ46を中心に延長部48が関節接合することで、プレート40を小関節面表面の様々な解剖学的角度に合うように調節することができる。
【0024】
図6B図6Cは、スクリュー43を利用したプレート40の小関節面インプラント41への取付けを示す。図6Bからわかるように、小関節面インプラント41は後方アクセスポイントから椎間関節39内へ挿入されてもよい。プレート40も、小関節面インプラント41の挿入と同時又はその後に、後方アクセスポイント経由で挿入されてもよい。図6Bに示すようにプレート40には、ヒンジ46を中心に回転または関節接合できる2つの延長部48があってもよい。様々な実施形態では、プレート40は図6Bに示すように実質的に直線的な構成で挿入されてもよい。プレート40に開いている中央開口すなわち穴44を、プレート40を小関節面インプラント41に取り付けるスクリュー43のための小関節面インプラント41にある相補的な穴41aに整列させることができる。プレート40を外側塊へ固定するために、延長部48を中間部42に対してヒンジ46で回転させてもよい。様々な実施形態において、延長部48は挿入前に予め回転させておいてもよいし、挿入後に調節してもよい。
【0025】
次に図7A図7Dを参照する。別の実施形態では外側塊固定システムに一体型の小関節面インプラント/外側塊固定装置50が含まれてもよい。この装置50には小関節面インプラント部52と外側塊固定部材又は外側塊固定部54とが含まれ、これらが患者への移植前に接続されている。小関節面インプラント部52には、小関節面インプラント部52を椎間関節に固定するための複数の歯53があってもよい。この実施形態では外側塊固定部54には、小関節面インプラント部52の近位端から突き出るか又は延伸した2つの可撓性又は半剛性又は剛性の部材(すなわち「タブ」)55がある。外側塊固定部には、外側塊固定部52を外側塊に固定するスクリューなどの固定装置を受けるための、部材55を貫通して形成された1つ以上の穴57が含まれてもよい。
【0026】
一実施形態では図7Bに示すように、固定装置50は導入装置56(すなわち「案内チューブ」)を介して患者の体内の椎間関節58に送り出されてもよい。図7C図7Dに示すように、小関節面インプラント部52が椎間関節58に移植されると、外側塊固定部54のタブ55を曲げるかそれ以外の移動をさせて尾側外側塊と吻側外側塊の上に延伸させてもよい。様々な代替実施形態においては、タブ55は導入装置56から解放されるとばね力によって自動的に移動してもよいし、手動又は機械操作によって曲げられてもよい。外側塊固定部54を小関節面インプラント部52に取り付けることにより、タブ55を外側塊上の所望位置に展開することが可能となる。
【0027】
次に図8A図8Gの別の代替実施形態において、外側塊固定装置60が小関節面インプラント部62と外側塊固定部材又は外側塊固定部64を含んでもよく、これらは患者への移植前に接続されている。この実施形態では外側塊固定部64には、2つの可撓性又は半剛性又は剛性の部材(すなわち「タブ」)65があり、これらは患者への移送時には小関節面インプラント部52の外径内部に少なくとも部分的に収納されている。タブ65はスクリュー又はその他の固定装置を受けるためにそこに画定された開口又は穴67を含んでもよい。図8A図8Bは、タブ65を小関節面インプラント部62に収納した移送構成の固定装置60を示す。図8C図8Dは、小関節面インプラント部62からタブ65の1つが外(近位方向)へ延びた状態の固定装置60を示している。この延伸運動は、例えば小関節面インプラント部62のスロットに沿ってタブ65をスライドさせることで行われる。
【0028】
図8Eは外側塊固定部64の両方のタブ65が延伸した状態の固定装置60を示す。図8Fは尾側と吻側の外側塊に接触するように曲げられた構成のタブ65を示す。図8Gは開口67で受けたねじ66によって外側塊に取り付けられたタブ65を示す。
【0029】
次に図9A図9Dではさらに別の実施形態において、外側塊固定システムが、小関節面インプラント70、小関節面インプラント70の近位端70aに取り外し可能に取り付けられた案内ロッド72、及び案内ロッド72上をスライド可能な外側塊固定部材74を含んでもよい。図に示すように、外側塊固定部材74は収縮構成(図9A図9B)で案内ロッド72上を進んだのちに展開されて外側塊に接触してもよい(図9C)。次に案内ロッド72を取り外して(図9D)、小関節面インプラント70と外側塊固定部材74を所定位置に残してもよい。外側塊固定部材74の穴75を通してスクリュー(図示せず)を挿入して、外側塊固定部材74を外側塊に取り付けてもよい。
【0030】
次に図10A図10Fに示すように別の実施形態では、外側塊固定部材すなわちプレート80が、骨への取付け強化のためのスパイク86のような1つ以上の表面形状を含んでいてもよい。外側塊固定プレート80には、相互に実質的に直交して配置された2つの部分80a、80bがあってもよい。第1の部分80aには、スクリュー又はその他の取付装置を受ける、貫通形成された穴81があってもよい。第2の部分80bにはそこから延伸するスパイク86があってもよい。スパイク86は第1の部分80aに実質的に平行に延伸してもよい。図10C図10Fは、小関節面インプラント82を移植し、外側塊固定プレート80を小関節面インプラント82にスクリュー84を介して取り付けるための方法を示している。小関節面インプラント82は椎間関節85に挿入できる。プレート80は、第1の部分80aを貫通する穴81が小関節面インプラント82の穴82aに整列するようにして挿入されてよい。プレート80の第2の部分80bが外側塊に当接し、プレート80を介して小関節面インプラント82にスクリュー84を挿入したときにプレート80と小関節面インプラント82が固定されてよい。代替実施形態では、外側塊固定プレート80は、複数の異なる形状や寸法のスパイクや他の表面形状、及び/又はそれらに類似のものの任意のものを有していてもよい。さらに、様々な実施形態において、外側塊固定プレート80は、可撓性又は半剛性であってよいし、あるいは分割構成されたものであってもよい。
【0031】
図11A図11Cでは一実施形態において、外側塊固定システムが小関節面インプラント90と、アンカー94及びロッド96を含む外側塊固定部材92とを含んでもよい。図11Aやその他に示すように、アンカー94には、スクリューなどの取付装置94aとロッド受け部材94bが含まれている。ロッド受け部材94bには、近位端100aと遠位端100bを有する、ねじ山97付きの概略円筒形の本体があり、その本体の遠位端100bにはロッド96を受けられる大きさの開放端を持ったスロット98がある。ロッド96は椎間関節を横断して延在し、アンカー94を介して小関節面インプラント90に取り付けられてもよい。これはロッド96を外側塊骨に緊密に引き付けて更に固定を強める。図11Bは取付装置94aを介してアンカー94が、既に椎間関節に挿入済みのインプラント90に取り付けられた状態を示している。図11C図11Fからわかるように、ロッド96がロッド受け部材94bのスロット98内に導入されてそこに固定される。小関節面インプラント90と外側塊固定部材92の側面図と背面図である図11E図11Fに示すように、外側塊固定部材92をアンカー94の回転によって調節して、ロッド96を外側塊に固定するか又は嵌め込んでもよい。システムの背面図と背面等方図である図11G図11Hに示すように、ある実施形態では、複数の小関節面インプラント90がロッド96を保持して脊柱を安定化する。
【0032】
すべての相対的で方向性を持つ参照用語(上方、下方、上方向、下方向、左、右、左方向、右方向、上部、底部、側、上、下、前、中間、後、垂直、水平などを含む)は、本明細書で記述した特定の実施形態を読者が理解する助けとするための例として与えられるものである。これらは、特許請求の範囲に明記されない限りは、特に位置、方向、又は利用に関する要求または制限として理解されるべきではない。接続に関する参照用語(取り付ける、連結する、接続する、接合する、など)は、広義に理解されるべきであって、要素同士の接続、及び要素同士の相対運動の間に中間的な部材が含まれていてもよい。そのように、接続を表す参照用語は、特許請求の範囲に明記されない限り、必ずしも2つの要素が直接接続されていて相互に固定関係にあることを暗示するものではない。
【0033】
本発明を特定の実施形態及び実施例を用いて開示したが、本発明は特定の開示された実施形態を超えて、他の代替実施形態及び/又は発明の使用法、及びそれらの明らかな修正形態と等価物に及ぶ。したがって、ここに開示された本発明の範囲は、上記の特定の開示された実施形態によって制限されるものではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図11H