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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】電力供給システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 5/10 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
H02M5/10
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019506447
(86)(22)【出願日】2017-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 AU2017050832
(87)【国際公開番号】W WO2018023176
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-05-13
(31)【優先権主張番号】2016903095
(32)【優先日】2016-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520060678
【氏名又は名称】サード イクエーション リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Third Equation LTD
【住所又は居所原語表記】5 New Street Square,London,EC4A 3TW,UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】スコビー,アンドリュー
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-038986(JP,A)
【文献】特表2019-528031(JP,A)
【文献】国際公開第2016/089351(WO,A1)
【文献】中国特許第103532151(CN,B)
【文献】国際公開第2012/128882(WO,A2)
【文献】特開昭52-005422(JP,A)
【文献】米国特許第04684813(US,A)
【文献】Dale S.L. Dolan他1名,Finite element analysis of a Virtual Air Gap Variable Transformer,CCECE 2008,米国,IEEE,2008年,pp. 891-896
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F19/08,29/14,G05F1/32,H02M5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給システムであって、
少なくともひとつの一次巻き線、少なくともひとつの二次巻き線、および、前記一次および二次巻き線の間の電磁気結合を制御するひとつ以上の制御巻き線を含む、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器と、
時間変動する第1入力基本周波数および時間変動する第1入力電圧を有する第1入力信号を受信するように構成された入力ポートと、
制御コンポーネントであって、前記第1入力信号の時間変動する前記第1入力電圧および前記第1入力信号の時間変動する前記第1入力基本周波数を表す信号を受信し、かつ、目標出力周波数の目標出力電圧が前記二次巻き線で生成されるように、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の前記制御巻き線内の電流を決定する対応する仮想エアギャップ制御信号を動的に生成するように構成され、前記目標出力周波数および前記目標出力電圧が、前記電力供給システムの負荷の要求に一致する、制御コンポーネントと
を備え、
前記電力供給システムは、時間変動する前記第1入力基本周波数および時間変動する前記第1入力電圧を有する第1入力信号の形式で、入力電気エネルギーを受信し、前記目標出力周波数および前記目標出力電圧の対応する第1出力信号の形式で対応する出力電気エネルギーを生成する、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記システムは、当該システムが、時間変動する第2入力基本周波数および時間変動する第2入力電圧を有する第2入力信号の形式で、第2入力電気エネルギーを受信し、かつ、第2目標周波数および第2目標出力電圧の対応する第2出力信号の形式で、対応する出力電力エネルギーを生成するように、双方向で使用するように構成され、前記第2入力信号または前記第2入力信号から導出される対応する信号は、前記仮想エアギャップ変圧器の前記一次巻き線において前記第2目標出力電圧を有する対応する信号を生成するべく、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の前記二次巻き線に印加される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、エネルギーを格納するように構成されたひとつ以上の対応するループによって直列に接続された2つ以上の仮想エアギャップ変圧器を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
エネルギーを格納しかつ開放するためのひとつ以上のインダクタおよび/またはひとつ以上のキャパシタを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの単相仮想エアギャップ変圧器を含む、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの三相仮想エアギャップ変圧器を有する、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつのシェルタイプの仮想エアギャップ変圧器を含む、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、仮想エアギャップが磁気回路内に形成されるところの磁気コアの領域が、第1材料から形成され、磁気コアの他の領域は第2材料から形成されるように、それぞれ異なる磁気特性を有する異なる材料から形成される磁気コアを含む少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器を有し、前記第1材料の少なくともひとつの磁気特性は、前記第2材料の少なくともひとつの磁気特性の値と異なる値を有する、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、前記仮想エアギャップ変圧器のそれぞれの磁極片の対向する面の間に配置されたひとつ以上の制御巻き線を含む仮想エアギャップ変圧器を有する、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、その内部に形成された互いに離隔した開口部、前記開口部を通じて巻かれたひとつ以上の制御巻き線、および前記開口部の間に配置された磁気コアの周囲部を含む磁気コアを有する仮想エアギャップ変圧器を有する、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記磁気コアは、積層ラミネートによって形成され、前記開口部は前記積層ラミネート内のギャップによって画成される、ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
磁束を表す磁束信号を生成するように構成された磁束センサを有し、前記制御コンポーネントは、前記磁束信号に基づいて前記仮想エアギャップ制御信号を生成するように構成されている、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御コンポーネントは、前記第1入力信号内に存在する高調波を除去するのに十分に高い周波数で動作するように構成されている、ことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記仮想エアギャップ制御信号は、前記制御巻き線内の電流を決定するパルス幅変調(PWM)デジタル信号として生成される、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御コンポーネントは、前記第1入力信号内に存在する高調波信号を除去するのに十分に高い周波数で、前記PWMデジタル信号を生成するように構成されている、ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記PWMデジタル信号が生成される前記周波数は、少なくとも10kHzである、ことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記制御コンポーネントは、DC信号として前記仮想エアギャップ制御信号を生成するように構成されている、ことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御コンポーネントは、前記第1出力信号内の高調波を減少させるべく、高調波で変調されたDC信号として前記仮想エアギャップ制御信号を生成するように構成される、ことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記制御コンポーネントは、AC信号として前記仮想エアギャップ制御信号を生成するように構成される、ことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、前記少なくともひとつの二次巻き線を通じる反対方向の磁気経路を選択的に画成するように配置された複数の仮想エアギャップを有する、ことを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、前記少なくともひとつの二次巻き線を通じて流れる磁束の量の制御を可能にする複数の磁束経路を画成するよう配置された複数の仮想エアギャップを有する、ことを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
時間変動する前記第1入力基本周波数を有する信号を受信し、かつ、時間変動する前記第1入力基本周波数および可変基準周波数の和および差に対応する周波数成分を含む対応するヘテロダイン信号を生成するように構成されたヘテロダインコンポーネントと、
前記ヘテロダイン信号をフィルタリングして前記周波数成分の和および差のいずれかをそこから除去し、対応するフィルタリング済み信号を与えるよう構成された可変周波数フィルタリングコンポーネントと、
をさらに備えており、
前記制御コンポーネントが、前記第1入力信号の時間変動する前記第1入力基本周波数及び時間変動する前記第1入力電圧を表す信号を受信し、かつ、前記対応するフィルタリング済み信号が前記目標出力周波数を有するように前記ヘテロダインコンポーネントの前記可変基準周波数を決定する対応する周波数制御信号を生成するように構成されている、請求項1から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
電力供給方法であって、
電力供給システムの制御コンポーネントにおいて、第1入力信号の少なくとも時間変動する第1入力基本周波数および前記第1入力信号の時間変動する第1電圧を表す少なくともひとつの信号を受信する工程と、
受信した前記信号を処理する工程であって、前記電力供給システムの仮想エアギャップ変圧器に目標出力電圧および目標出力周波数を有する対応する信号を生成させる対応する制御信号を動的に生成するよう処理し、前記目標出力周波数および前記目標出力電圧が、前記電力供給システムの負荷の要求に一致する、工程と
を備え、
前記電力供給システムが、時間変動する前記第1入力基本周波数および時間変動する前記第1電圧を有する第1入力信号の形式の入力電気エネルギーを受け、前記少なくともひとつの信号が、前記仮想エアギャップ変圧器に目標出力周波数および目標出力電圧の対応する第1出力信号の形式で、対応する出力電気エネルギーを生成させるように処理される、ことを特徴とする方法。
【請求項24】
受信した前記信号を処理する工程が、
時間変動する前記第1入力基本周波数と可変基準周波数との和及び差に対応する周波数成分を含む対応するヘテロダイン信号を生成する前記電力供給システムのヘテロダインコンポーネントの対応する可変基準周波数を動的に決定して、前記周波数成分の一方が前記目標出力周波数を有するようにする、決定する工程と、
前記目標出力周波数を有さない前記周波数成分の他方を除去するように前記電力供給システムの可変フィルタリングコンポーネントを制御する工程と、
を含む、ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電力供給に関し、特に、電力供給システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球エネルギー問題
化石燃料を電気の形式で保存してエネルギーを利用することができれば、人類の生活に驚くべき進歩をもたらすことが可能である。しかし、地球の電力需要が増加し続けるに従い、環境に対するインパクトが最終的には、人類の生存を脅かすところにまで到達することが広く予想されている。したがって、擁護できない環境的結末を回避して、電気へのユニバーサルアクセスの制限を解決することは、社会的かつ経済的な最優先事項である。
【0003】
世界人口の増加および衝撃的貧困を満足するために、米国エネルギー情報局は、2040年までに地球エネルギー需要の50%以上の増加を見積もっている(国際エネルギー展望2016)。同時に、環境へのインパクトおよびエネルギーコストの大規模な削減が求められている。我々の伝統的な発電方法は、すべて制限された資源である化石燃料を使用している。現時点で、承認されたクリーン発電の選択肢は、水力発電、地熱発電、バイオマス発電、太陽光発電および風力発電のみである。これらのうち、太陽光発電および風力発電が、我々の未来のニーズに見合う最適な機会を与えるが、その他は非常に特定の地理的インプットおよび要件を有する。
【0004】
政治家のグローバルコンセンサスは、最近のパリ気候またはCOP21協定によって明らかなように、クリーンエネルギー発電を劇的に増加する必要があるということである。しかし、クリーン発電技術の現在および予想される進歩によれば、電気ネットワークの設計は、義務目標を達成することができるものではない。特に、統合することは周知かつ未解決の問題である。
【0005】
電気システム概観
全体の電気供給チェーンは、概して3つの領域にグループ化される。発電、分配、および、消費である。信頼できる電力供給を維持するために、エネルギー発電は、エンド・ツー・エンドネットワークを通じて消費と一致するように制御される。
【0006】
送配電ネットワークは、これまで作成された最も大きな人工物である。今日、それらのすべては、単一の設計回路図のもとで、非常に特定の動作状態用に考案されかつ建設されてきた。設計回路図は、比較的単純であり、過去の世代は消費と容易かつ適正に釣り合わせることが可能であった。少数の需給調整能力ソースは、一連の部分または集合消費者に供給された。電気ネットワークのトポロジーは、ラジアル(その回りにツリー構造で徐々に分化された消費者を有する単一の大型発電機)と、メッシュおよびリングトポロジーのようなより複雑かつ冗長な経路ネットワークとの組みあわせである傾向がある。これらのトポロジーは、少数の大型の安定かつ需給調整可能発電機および多くの消費者の現在のネットワーク需要に基づく信頼性およびコストの良好なバランスを与えるように設計されている。
【0007】
現在、主要な発電機は、化石燃料から生成されるので直接制御可能である。以下の表は、米国および英国における、現在の発電ソースの概要を示す。
【表1】
【0008】
再生可能エネルギー発電のレベルが増加するに従い、需要に一致する電気供給を制御する我々の能力は、より困難になる。この需要と供給のバランスが維持されないと、電気の安定性および有用性が脅かされる。
【0009】
発電ソースの割合が再生可能エネルギーの方向に変化するに従い、電気供給の特性は、ネットワークの物理的アーキテクチャーおよび発電レベルを制御する能力の両方を変更する。これは、我々の気候変動目標に一致する要求レベルからはほど遠い、現在の電気ネットワークアーキテクチャーの閾値能力が、安定性および効率の問題を増加させる。発電および/または消費の制御を通じて状況を解決する試みは、許容不能な、社会的、経済的および環境的効果を有する。もし、我々の電力供給チェーンが生き残り、かつ、社会的および経済的意図で分配するのであれば、送配電ネットワークの構成を適応させる必要がある。
【0010】
電気システムバランス要件
信頼できる電気供給を維持することは、グリッドの電圧および周波数を約+/-1%の狭い帯域内に維持することを要求する。現在入手可能な制限されたストレージオプション以外に、電気は、生成されたときに消費されなければならず、その結果需要と供給は、要求されたターゲット電圧および周波数を維持するようにバランスされなければならない。いままでこれは、粗い高レベルでグリッドをモニターし、その後、大規模な化石燃料、原子力または水力発電である制御可能能力ソースの出力を調節することによって達成されてきた。
【0011】
グリッドをバランスすることは、3つの応答時間に分類可能である。
・長期(数日から数週間)
・中期(数時間)
・短期(数ミリ秒から数分)
【0012】
国連レポート“再生可能エネルギー見通しのグローバルトレンド2016”には、現在4つの潜在的なバランスオプションが存在し、許容不能な第5のオプションも現在地球的に利用されていると記載されている。
【0013】
需要が供給を超えた場合
i.より速く応答する従来の発電機、すなわち、ガス、石炭または重油の量を増加される。
ii.ひとつのグリッドから他のグリッドへ電気を輸送するように相互接続する。
iii.供給が需要を下回る場合に、大規模な産業および商業的消費者に対して使用を控えるように金を払うことにより需要反応する。
【0014】
供給が需要を超えた場合
iv.入手可能である場合に過剰電気を格納し、必要なときにグリッドへそれを開放するためのエネルギーストレージを使用する。
v.供給を直接削減するべく再生可能エネルギー発電を削減する。
【0015】
これらの解決法の並列の組みあわせは、グリッドの長期および中期バランスを管理するための試みに妥当である。現在、各オプションは、禁止的コスト、許容不能な結果、またはその両方を有する。
【0016】
グリッドのバランスの短期応答(数ミリ秒から数秒および数分)に対して、これらのオプションのいずれもが、少なくとも以下で議論する理由で、信頼できる電力供給を維持しつつ、再生可能発電の浸透および消費の増加を可能にするものではない。
【0017】
短期グリッドバランス問題
以下は、グリッド内に再生可能エネルギーを統合することに関して、克服しなければならない問題の概要を示す。
【0018】
システム周波数
すべての発電機は、交流電流(AC)としてグリッドへ電力を送り、同じ周波数および位相で動作するように同期される。各発電機によって送られた電力の量は、均等に負荷を分配するために、システム内に電力を送る他のすべての発電機に対するその電力出力の比率を通じてバランスされる。これは、オペレータの制御によって修正されなければ自然に生じる。
【0019】
伝統的な化石燃料、原子力および水力発電は、この周波数の維持を助けるためのイナーシャを導入する全同期発電機であり、かつ、周波数応答および安定性を与えつつ制御可能である。これらは、その相互接続の自己調整特性により同期を維持する。ひとつの発電機がその同期速度から逸脱すれば、速度の逸脱を減少させるような方法で、システム内の他の発電機から電力が転送される。発電機の格納されたイナーシャのエネルギーは、周波数変化に対して短期の反作用を与え、数秒後にガバナーが引き継ぐ。
【0020】
対照的に、風力および太陽光発電は、大きく異なる技術を使用し、DC電力を生成し、かつ、コンバータを通じてそれをACグリッドに送る。これは、それらがグリッド周波数から外れ、イナーシャエネルギーが寄与しない状態の非同期動作を生じさせる。ガバナー類似のコントロールを取り付けたコンバータによって、周波数降下に応答することは可能であるが、これは、グリッドの安定性を適切に補償しかつ維持するのに十分に高速に生じない。これはまた、発電ソースが削減された条件で動作しているときにのみ生じる。
【0021】
グリッドアーキテクチャー
我々の電気グリッドは、分配ネットワークを介して、負荷センターへ長距離に渡る転送ネットワークを通じて、電力ソースからの信頼できる電力供給を分配するように特定的に設計されてきた。我々のグリッドの全オントロジーは、再生可能エネルギー発電の局所的かつ分散的性質のために変化している。我々の電流グリッドハードウエアは、これらの新しい電力ソースを、ネットワークを介して双方向かつ垂直および水平方向に適切に分配することができず、ネットワークのキャパシティの減少を含む無数の電力エンジニアリング問題を生じさせる。
【0022】
これらの問題を解決するための現在の方法は、不所望の効果を緩和するべく付加的なハードウエアおよびソフトウエアに主に関連する。これらの技術は、概して、ネットワークの脆弱性を増加させ、かつ、根本的な問題を解決することなくコストを増加させるとして概して受け止められている。
【0023】
制御
風力および太陽光のような再生可能エネルギーは、伝統的な化石燃料、原子力または水力発電のように需給調整可能でない。我々は、エネルギーインプット(すなわち、風力または太陽光)に対して制御を有しないので、我々はシステムをバランスするべく要求に従いランプアップまたはランプダウンすることができず、または、出力の安定状態を維持することができない。我々は、格納ソリューションを通じてまたは発電量を削減することにより、要求されるレベルを維持するよう出力をアクティブに管理するだけである。しかし、削減は純粋に無駄である。
【0024】
可変性
風力または太陽光のような再生可能エネルギーの電力出力が変化するところの速度は、従来の発電技術よりも非常に速い。これは、主に2つの形式で生じる。
・中断-再生可能エネルギーソースが、直接制御できない入力条件(すなわち、太陽光および風)により、長時間の間使用不能となること。
・変動性-再生可能エネルギー発電機からの出力が常に一定の変化で生じること。これの2つの主な構成要素は、出力発電機の変化の急速な速度、および、出力信号に固有のノイズである。
【0025】
平均する方法は、多数の太陽光および風力発電ソースに関して、変動性の瞬間的効果を緩和するのを部分的に助ける。しかし、短期(数ミリ秒から数分)で電圧および周波数を維持することは、有意な未解決の挑戦として残されている。現在有用な応答需給調整発電技術は、変動再生可能発電によって導入される変化速度よりさらに有意に遅く反応することである。この問題に対する解は現在存在しない。
【0026】
効率
電気グリッドは、特定の動作ポイントにおいて、消費要求のために狭い動作帯域を伴って動作するように設計されている。電圧または周波数が最適ポイントから逸脱したとき、グリッドおよびそのデバイスの効率は減少し、より大きなエネルギー損失が生じる。先進グリッドのエネルギー損失は、5%~10%であり、この損失の半分は未修正の非効率損失のためである。電圧または周波数が設定した動作境界の外側にある場合、システム保護動作が自動的に取られ、それは、ハードウエアの保護および安全のために、ブラウンアウトまたはブラックアウトに導く。
【0027】
既存の送配電ネットワークに対する新規なアプローチ
現在の送配電ネットワークが、風または太陽光からのクリーンエネルギーの閾値を超えて、使用可能な電力供給を与えることは不可能であることは、誰もが認めることである。この閾値ポイントは、物理的アーキテクチャー、発電および負荷プロファイル、および、他の多数のファクタに基づいて、ネットワークごとに変化する。
【0028】
我々の電気ネットワークが使用する設計アーキテクチャーおよび技術は、120年にわたってコストおよび効率を大きく改善させた。さらに、それは、19世紀に確立されたものと同じ基本的技術および設計アーキテクチャーを使用している。全電気システムの基本的アンダーピンニングのひとつである変圧器は、動作に晒されている可変性を効果的に扱うことができない受動デバイスである。例えば、変圧器は、その所望の動作ポイントにおいて極めて効果的であるが、その効率はこのポイントから離れると急速に劣化する。効率的動作条件のより広い範囲を許容する能力を有するデバイスが要求される。アクティブに動作を制御し、かつ、システムを通じて流れる電力に影響を与える付加的能力は、さらなる安定性および安全性を分配可能である。
【0029】
我々のネットワークをアップグレードする現在提案されているすべてのオプションは、既存の動作方法論、技術およびシステムに依存している。エネルギーストレージの場合、これを経済的に実行可能にする技術は、まだ発明されていない。これらすべてのオプションは、ネットワークに対して、有意なコスト、複雑さおよび脆弱性の増加をもたらし、その効率を減少させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
従来技術のひとつ以上の欠点を緩和するか、少なくとも、有用な代替案を与えることが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本願発明のひとつの態様に従い、電力供給システムが与えられ、当該システムは、
少なくともひとつの一次巻き線、少なくともひとつの二次巻き線、および、一次巻き線と二次巻き線との電磁気結合を制御するためのひとつ以上の制御巻き線を含む少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器と、
時間変動する第1入力基本周波数および時間変動する第1入力電圧を有する第1入力信号を受信するように構成された入力ポートと、
制御コンポーネントであって、第1入力信号の時間変動する第1入力電圧および第1入力信号の時間変動する第1入力基本周波数を表す信号を受信し、目標出力周波数の目標出力電圧が二次巻き線で生成され維持されるように、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の制御巻き線内の電流を決定する対応する仮想エアギャップ制御信号を動的に生成するように構成された制御コンポーネントと
を有し、
電力供給システムは、時間変動する第1入力基本周波数および時間変動する第1入力電圧を有する第1入力信号の形式で、入力電気エネルギーを受信し、目標出力周波数および目標出力電圧の対応する第1出力信号の形式で、対応する出力電力エネルギーを生成する、ことを特徴とする。
【0032】
ある実施形態において、システムは、当該システムが時間変動する第2入力基本周波数および時間変動する第2入力電圧を有する第2入力信号の形式で、第2入力電気エネルギーを受信するように、双方向で使用するように構成され、第2目標周波数および第2目標出力電圧の対応する第2出力信号の形式で対応する出力電気エネルギーを生成し、第2入力信号、または第2入力信号から導出された対応する信号が、仮想エアギャップ変圧器の一次巻き線において、第2目標出力電圧を有する対応する信号を生成するべく、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の二次巻き線に印加される、ことを特徴とする。
【0033】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、エネルギーを格納するように構成されたひとつ以上の対応するループによって直列に接続された2つ以上のエアギャップ変圧器を含む。
【0034】
ある実施形態において、電力供給システムは、エネルギーを格納および開放するように構成されたひとつ以上のインダクタおよび/または一つ以上のキャパシタを含む。
【0035】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの単相仮想エアギャップ変圧器を含む。
【0036】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの三相仮想エアギャップ変圧器を含む。
【0037】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつのシェルタイプ仮想エアギャップ変圧器を含む。
【0038】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、磁気回路内に仮想エアギャップが形成されるところの磁気コアの領域が第1材料から形成され、かつ、磁気コアの他の領域が第2材料から形成されるように、それぞれ異なる磁気特性を有する異なる材料から構成される磁気コアを有する少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器を含み、第1材料の少なくともひとつの磁気特性は、第2材料の少なくともひとつの磁気特性と異なる値を有する。
【0039】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、仮想エアギャップ変圧器のそれぞれの磁極片の対向面の間に配置されたひとつ以上の制御巻き線を有する仮想エアギャップ変圧器を含む。
【0040】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、その内部に形成された互いに離隔した開口部を含む磁気コアを有し、ひとつ以上の制御巻き線は、開口部を通じてかつ開口部の間に配置された磁気コア部の周りに巻かれている。
【0041】
ある実施形態において、磁気コアは、積層ラミネートによって形成され、開口部は、積層ラミネート内のギャップによって画成される。
【0042】
ある実施形態において、電力供給システムは、磁束を表す磁束信号を生成するように構成された磁束センサを有し、制御コンポーネントは、磁束信号に基づいて仮想エアギャップ制御信号を生成するように構成されている。
【0043】
ある実施形態において、制御コンポーネントは、第1入力信号内に存在する高調波を除去するのに十分に高い周波数で動作するように構成されている。
【0044】
ある実施形態において、仮想エアギャップ制御信号は、制御巻き線内の電流を決定するパルス幅変調(PWM)デジタル信号として生成される。
【0045】
ある実施形態において、制御コンポーネントは、第1入力信号内に存在する高調波を除去することが可能な程度に十分に高い周波数でPWMデジタル信号を生成するように構成されている。ある実施形態において、PWM周波数は、少なくとも10kHzである。
【0046】
ある実施形態において、制御コンポーネントは、仮想エアギャップ制御信号をDC信号として生成するように構成される。
【0047】
ある実施形態において、制御コンポーネントは、仮想エアギャップ制御信号を、第1出力信号内の高調波を減少させるべく高調波によって変調されたDC信号として生成するように構成される。
【0048】
ある実施形態において、制御コンポーネントは、仮想エアギャップ制御信号を、AC信号として生成するように構成されている。
【0049】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの二次巻き線を通じて反対の磁束経路を選択可能に画成するように配置された複数の仮想エアギャップを有する。
【0050】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの二次巻き線を通じて流れる磁束の量の制御を可能にするべく、複数の磁束経路を画成するように配置された複数の仮想エアギャップを有する。
ある実施形態において、電力供給システムは、
時間変動する第1基本周波数を有する信号を受信し、かつ、時間変動する第1基本周波数および可変基準周波数の和および差に対応する周波数成分を含む対応するヘテロダイン信号を生成するように構成されたヘテロダインコンポーネントと、
ヘテロダイン信号をフィルタリングして周波数成分の和および差のいずれかをそこから除去し、対応するフィルタリング済み信号を与えるよう構成された可変周波数フィルタリングコンポーネントと、
をさらに備えており、
制御コンポーネントが、第1入力信号の時間変動する第1入力基本周波数及び時間変動する第1入力電圧を表す信号を受信し、かつ、対応するフィルタリング済み信号が目標出力周波数を有するようにヘテロダインコンポーネントの可変基準周波数を決定する対応する周波数制御信号を生成するように構成されている。
【0051】
本願発明の他の態様に従い、電力供給方法が与えられ、当該方法は、
電力供給システムの制御コンポーネントにおいて、第1入力信号の少なくともひとつの時間変動する第1基本周波数および当該第1入力信号の時間変動する第1電圧を表す少なくともひとつの信号を受信する工程と、
受信した信号を処理する工程であって、
電力供給システムの仮想エアギャップ変圧器に目標出力電圧および目標出力周波数を有する対応する信号を生成させる対応する制御信号を動的に生成するよう処理する工程とを有し、
電力供給システムが、時間変動する第1入力基本周波数および時間変動する第1電圧を有する第1入力信号の形式で入力電力エネルギーを受け少なくともひとつの信号が、仮想エアギャップ変圧器に目標出力周波数および目標出力電圧の対応する第1出力信号の形式で、対応する出力電力エネルギーを生成させるように処理される、ことを特徴とする。
ある実施形態において、受信した信号を処理する工程が、
時間変動する第1基本周波数と可変基準周波数との和及び差に対応する周波数成分を含む対応するヘテロダイン信号を生成する電力供給システムのヘテロダインコンポーネントの対応する可変基準周波数を動的に決定して、周波数成分の一方が目標出力周波数を有するようにする、決定する工程と、
目標出力周波数を有さない周波数成分の他方を除去するように電力供給システムの可変フィルタリングコンポーネントを制御する工程と、
を含む。
【0052】
本願発明の他の態様に従い、電力供給システムが与えられ、当該システムは、
少なくともひとつの一次巻き線、少なくともひとつの二次巻き線、および、一次巻き線と二次巻き線との間で電磁気結合を制御するためのひとつ以上の制御巻き線を含む少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器と、
第1基本周波数を有する信号を受信し、かつ、第1基本周波数および基準周波数の和および差に対応する周波数成分を有する対応するヘテロダイン信号を生成するよう構成されたヘテロダインコンポーネントと、
和および差の周波数成分のひとつをそこから除去し、かつ、対応するフィルタ済み信号を与えるべく、ヘテロダイン信号をフィルタリングするように構成されたフィルタリングコンポーネントと、
第1入力基本周波数および第1入力電圧を有する第1入力信号を受信するように構成された入力ポートと、
制御コンポーネントであって、
(i)第1入力信号の少なくとも第1入力基本周波数を表す信号を受信し、かつ、フィルタ済み信号が目標出力周波数を有するように、ヘテロダインコンポーネントの基本周波数を決定するべく対応する周波数制御信号を生成するように構成され、かつ
(ii)第1入力電圧を表す信号を受信し、かつ、目標出力電圧が二次巻き線で生成されるように、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の制御巻き線内の電流を決定するよう、対応する仮想エアギャップ制御信号を生成するように構成された制御コンポーネントと
を有し、
電力供給システムは、第1入力基本周波数および第1入力電圧を有する第1入力信号の形式で、入力電気エネルギーを受信し、かつ、目標周波数および目標出力電圧の対応する第1出力信号の形式で対応する出力電気エネルギーを生成することを特徴とする。
【0053】
ある実施形態において、システムは、当該システムが第2入力基本周波数および第2入力電圧を有する第2入力信号の形式で、第2入力電気エネルギーを受信するように、双方向で使用するように構成され、かつ、第2目標周波数および第2目標出力電圧の対応する第2出力信号の形式で、対応する出力電気エネルギーを生成し、仮想エアギャップ変圧器の一次巻き線において第2目標出力電圧を有する対応する信号を生成するよう、第2入力信号、または第2入力信号から導出された対応する信号が、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の二次巻き線に印加される、ことを特徴とする。
【0054】
ある実施形態において、第2入力信号または第2入力信号から導出された対応する信号が、第2基本周波数と基準周波数の和および差に対応する第2周波数コンポーネントを有する対応する第2ヘテロダイン信号を生成するようヘテロダインコンポーネントによって受信され、フィルタリングコンポーネントは、和および差の周波数成分のひとつをそこから除去しかつ対応する第2のフィルタ済み信号を与えるべく、第2ヘテロダイン信号をフィルタリングするように構成される。
【0055】
ある実施形態において、ヘテロダインコンポーネントは、第1ヘテロダインコンポーネントであり、フィルタリングコンポーネントは、第1フィルタリングコンポーネントであり、当該システムは、第2ヘテロダインコンポーネントおよび第2フィルタリングコンポーネントを有し、第1ヘテロダインコンポーネントおよび第1フィルタリングコンポーネントは第1経路に沿ってシステムを通じて流れる信号を処理するように構成され、第2ヘテロダインコンポーネントおよび第2フィルタリングコンポーネントは、第1経路と概して反対の第2経路に沿ってシステムを通じて流れる信号を処理するように構成されている。
【0056】
ある実施形態において、ヘテロダインコンポーネントは、第1ヘテロダインコンポーネントであり、フィルタリングコンポーネントは第1フィルタリングコンポーネントであり、当該システムは、第2ヘテロダインコンポーネントおよび第2フィルタリングコンポーネントを有し、ヘテロダインコンポーネントおよびフィルタリングコンポーネントは、当該システムによって受信される第1信号が少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器への入力として与えられる前に、第1ヘテロダインコンポーネントおよび第1フィルタリングコンポーネントによって、より高い周波数へアップコンバートされるように構成され、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の対応する出力は、第2ヘテロダインコンポーネントおよび第2フィルタリングコンポーネントによって目標周波数にダウンコンバートされ、より高い周波数の使用は、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の効率を改善する。
【0057】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、エネルギーを格納するように構成されたひとつ以上の対応するループによって直列に接続された2つ以上の仮想エアギャップ変圧器を有する。
【0058】
ある実施形態において、電力供給システムは、エネルギーを格納および開放するように構成されたひとつ以上のインダクタおよび/またはひとつ以上のキャパシタを有する。
【0059】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの単相仮想エアギャップ変圧器を含む。
【0060】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの三相仮想エアギャップ変圧器を含む。
【0061】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつのシェルタイプの仮想エアギャップ変圧器を有する。
【0062】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、仮想エアギャップが磁気回路内に形成されるところの磁気コアの領域が第1材料から形成され、かつ、磁気コアの他の領域が第2材料から形成されるように、それぞれ異なる磁気特性を有する異なる材料から形成される磁気コアを含む少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器を有し、第1材料の少なくともひとつの磁気特性は、第2材料の少なくともひとつの磁気特性の値と異なる値を有する、ことを特徴とする。
【0063】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、仮想エアギャップ変圧器のそれぞれの磁極片の対向する面の間に配置されたひとつ以上の制御巻き線を含む仮想エアギャップ変圧器を有する。
【0064】
ある実施形態において、各制御巻き線は、サーペンタイン平坦ループの形式である。
【0065】
ある実施形態において、各制御巻き線は、螺旋平坦ループの形式である。
【0066】
ある実施形態において、制御巻き線は、ひとつ以上のサーペンタイン平坦ループおよびひとつ以上の螺旋平坦ループを含む。
【0067】
ある実施形態において、制御巻き線は、コア部分の周囲に巻かれている。
【0068】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、互いに離隔してその内部に形成された開口部を有する磁気コアを含む仮想エアギャップ変圧器を有し、ひとつ以上の制御巻き線は、開口部を通じて、および、開口部の間に配置された磁気コアの周囲部分に巻かれている。
【0069】
ある実施形態において、磁気コアは、積層ラミネートによって形成され、開口部は、積層ラミネート内のギャップによって画成される。
【0070】
ある実施形態において、磁気コアは、固体形式であり、製造後にドリル加工により形成された開口部を有する。
【0071】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの二次巻き線を通じて反対の磁束経路を選択的に画成するように配置された複数の仮想エアギャップを有する。
【0072】
ある実施形態において、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの二次巻き線を通じて流れる磁束量を制御可能にする複数の磁束経路を画成するように配置された複数の仮想エアギャップを有する。
【0073】
本願発明のある態様に従い、電力供給方法が与えられ、当該方法は、
電力供給システムの制御コンポーネントにおいて、第1入力信号の時間変動する第1基本周波数および第1入力信号の時間変動する第1電圧を表す少なくともひとつの信号を受信する工程と、
受信した信号を処理する工程であって、
(i)電力供給システムのヘテロダインコンポーネントに、第1基本周波数および基周波数の和および差に対応する周波数成分を有する対応するヘテロダイン信号を生成させるべく、対応する周波数制御信号を生成し、
(ii)電力供給システムの仮想エアギャップ変圧器に、目標出力電圧を有する対応する信号を生成させるべく、対応する電圧制御信号を生成するよう処理する工程と
を有し、
第1入力基本周波数および第1電圧を有する第1入力信号の形式で受信した入力電気エネルギーは、目標周波数および目標出力電圧の対応する第1出力信号の形式で対応する出力電気エネルギーを生成するように処理される、ことを特徴とする。
【0074】
ある実施形態において、ヘテロダインコンポーネントは、第1ヘテロダインコンポーネントであり、フィルタリングコンポーネントは、第1フィルタリングコンポーネントであり、当該システムは、第2ヘテロダインコンポーネントおよび第2フィルタリングコンポーネントを有し、当該方法は、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の入力として与えられる前に、当該システムによって受信された第1信号が、第1ヘテロダインコンポーネントおよび第1フィルタリングコンポーネントによって、より高い周波数にアップコンバートされるように、ヘテロダインコンポーネントおよびフィルタリングコンポーネントを制御する工程を有し、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の対応する出力は、第2ヘテロダインコンポーネントおよび第2フィルタリングコンポーネントによって目標周波数にダウンコンバートされ、より高い周波数の使用により、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の効率が向上する。
【0075】
ここに記載する電力供給システムはまた、
少なくともひとつの一次巻き線、少なくともひとつの二次巻き線、および一次巻き線と二次巻き線との間の電磁結合を制御するための少なくともひとつの制御巻き線を含む、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器と、
第1基本周波数を有する信号を受信し、かつ、第1基本周波数および基準周波数の和および差に対応する周波数成分を有する対応するヘテロダイン信号を生成するように構成されたヘテロダインコンポーネントと、
周波数成分の和および差のひとつをそこから除去し、対応するフィルタ済み信号を与えるよう、ヘテロダイン信号をフィルタリングするように構成されたフィルタリングコンポーネントと、
第1入力基本周波数および第1電圧を有する第1入力信号を受信するように構成された入力ポートと、
制御コンポーネントであって、
(i)第1入力信号の少なくとも第1基本周波数を表す信号を受信し、かつ、フィルタ済み信号が目標出力周波数を有するように、ヘテロダインコンポーネントの基準周波数を決定するべく対応する周波数制御信号を生成し、
(ii)第1電圧を表す信号を受信し、かつ、二次巻き線において目標出力電圧が生成されるように、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の制御巻き線内の電流を決定するよう対応する仮想エアギャップ制御信号を生成するように構成された制御コンポーネントと
を有し、
電力供給システムは、第1入力基本周波数および第1電圧を有する第1入力信号の形式で入力電気エネルギーを受信し、かつ、目標周波数および目標出力電圧の対応する第1出力信号の形式で、対応する出力電気エネルギーを生成する、ことを特徴とする。
【0076】
ここで説明する電力供給方法はまた、
電力供給システムの制御コンポーネントにおいて、第1入力信号の第1基本周波数および第1入力信号の第1電圧を表す少なくともひとつの信号を受信する工程と、
受信した信号を処理する工程であって、
(i)ヘテロダインコンポーネントに、第1基本周波数および基準周波数の和および差に対応する周波数成分を有する対応するヘテロダイン信号を生成させるべく対応する周波数制御信号を生成し、
(ii)仮想エアギャップ変圧器に、目標出力電圧を有する対応する信号を生成させるべく対応する電圧制御信号を生成するよう処理する工程と
を有し、
第1入力基本周波数および第1電圧を有する第1入力信号形式で受信した入力電気エネルギーが、目標周波数および目標出力電圧の対応する第1出力信号の形式で対応する出力電気エネルギーを生成するよう処理される、ことを特徴とする。
【0077】
本願発明のいくつかの実施形態が、添付する図面を参照して例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1図1は、本願発明のある実施形態に従う電気エネルギー供給システムのブロック図である。
図2図2は、本願発明のある実施形態に従う電気エネルギー供給システムの仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の略示図であり、本例は、磁束経路内に仮想エアギャップを有する単相コアタイプの変圧器を有し、エネルギーは、一次的にエアギャップ内の磁場エネルギーとして格納される。
図3図3は、電気エネルギー供給システムの実装のVAGT、ヘテロダインコンポーネントおよびフィルタリングコンポーネントを通じる電気エネルギーの双方向の流れを示すブロック図である。
図4図4は、2つのヘテロダインコンポーネントおよび2つのフィルタリングコンポーネントを有する電気エネルギー供給システムの実装を通じる電気エネルギーの双方向の流れを示すブロック図である。
図5図5は、エネルギーを格納するのに使用可能な内部巻き線によって直列に相互接続された図1の2つの単相VAGTにより形成された複合仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の略示図である。
図6図6は、エアギャップ内で一次的に磁場エネルギーの形式でエネルギーを格納することが可能である、磁束経路内に仮想エアギャップを有する単相コアを含む仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の第2の形式の略示図である。
図7図7は、直列に相互接続された図6の2つの単相VAGTによって形成された複合仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の略示図である。
図8図8は、磁束経路内に仮想エアギャップを有する単相シェルタイプの変圧器によって形成された仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の第3形式の略示図である。
図9図9は、直列に相互接続された図8の2つの単相VAGTによって形成された仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の略示図である。
図10図10は、磁束経路内に仮想エアギャップを有する三相シェルタイプの変圧器によって形成された仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の第4形式の略示図である。
図11図11は、直列に相互接続された図10の2つの三相VAGTによって形成された複合仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の略示図である。
図12図12は、磁束経路内に仮想エアギャップを有する三相シェルタイプの変圧器によって形成された仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の第4の形式の略示図である。
図13図13は、直列に相互接続された図12の2つの三相VAGTによって形成された複合仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の略示図である。
図14図14は、ヘテロダインをサポートするように実装されたエネルギー供給システムのコンポーネント間の信号の流れを示すブロック図である。
図15図15は、デバイスのコアの周りの制御巻き線を使った仮想エアギャップ変圧器のひとつの実装の略示図である。
図16図16は、デバイス内に複数の仮想エアギャップを形成するべくデバイスのコアの周りに複数の制御巻き線を有する仮想エアギャップ変圧器の代替的実装の略示図である。
図17図17は、図18に示す仮想エアギャップ変圧器の実装を形成するべく、その間に制御巻き線と2つのコンポーネントを接続する前の変圧器コアの2つのコンポーネントを示す略示図である。
図18図18は、図17に示すコンポーネントから形成される仮想エアギャップ変圧器およびその間の制御巻き線の略示図である。
図19図19は、図17および図18の磁極コンポーネント間で使用される制御巻き線の多くの可能な構成のうちの3つの略示図である。
図20図20は、コアを通じて形成された穴を介してワイヤを巻くことにより、変圧器の磁気コア内に埋め込まれた制御巻き線を使用する仮想エアギャップ変圧器の実装の略示図である。
図21図21は、任意の方向(x、y、z軸)の円柱状開口の間で巻かれた、コア内に埋め込まれた制御巻き線を使った仮想エアギャップの実装の略示図である。
図22図22は、コアを通じて形成された円形開口部を介して供給することによりコア内に埋め込まれた制御巻き線を使った仮想エアギャップの実装の略示図である。
図23図23は、従来の変圧器と比較した、ここで説明する電気エネルギー供給システムの変換効率のグラフである(電気エネルギー供給システムは、デバイスを制御するために電力を使用するのでより低いピーク効率を有するが、デバイスはよりフレキシブルな非常に広い効率帯域を有する)。
図24図24は、制御巻き線のパルス幅変調を与えるための、整流器、DCリンク、および2つのブリッジ回路を有する回路図である。
図25図25は、仮想エアギャップ変圧器の制御を与えるための制御ループおよび機能ブロックの略示図である。
図26図26は、仮想エアギャップ制御内で使用するための位相ロックループの実装の略示図である。
図27図27は、一次巻き線および二次巻き線、コアリラクタンスおよび仮想エアギャップの制御されたリアクタンスを示す磁気回路の略示図である。
図28図28は、コア磁束を測定するための磁束検出巻き線を有する、単相コアタイプの仮想エアギャップ変圧器の略示図である。
図29図29は、制御巻き線内の電流と一次巻き線内の電流との間の関係、および、制御電流を最小化することによる形状の変化を示す図である。
図30図30は、曲線のひとつの部分から他の部分への電力の短期間シフトを示すべく、単一の軸線上で2つを比較した、デバイスを通じた変調の前後の波形の略示図である。
図31図31は、2つの部分が一次および二次巻き線を収容し、残りの2つの部分が3つのサブセクションを有し、中央部分が異なる材料によって形成されている、4つの部分から構成された単相タイプの変圧器の略示図である。
図32図32は、3つの独立の制御巻き線ループを有する、垂直構成の6個のホールからなる仮想エアギャップの略示図である。
図33図33は、ラミネートが破れており、スペーサとともに使用するとドリル加工の必要なく、コアの内部に制御巻き線のホールを与えることができる、変圧器用の標準的なラミネート積層プロセスの略示図である。
図34図34は、制御巻き線に印加される電流による、磁気コア内の交番磁束経路の略示図である。
図35図35は、磁気コアを通過する磁束を逆方向にし、かつ、二次巻き線を通じる磁束方向を変化させるべく、複数の仮想エアギャップによって制御される複数の磁束経路を有する複合仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の略示図である。
図36図36は、磁束が、異なる経路間で制御可能に分布し、二次巻き線を通じて流れる磁束の量を変化させることが可能であるように、複数の仮想エアギャップによって制御される複数の磁束経路を有する複合仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の略示図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本願発明の実施形態は、ある周波数および電圧を有する入力信号の形式で入力電気エネルギーを受信し、入力電気エネルギーを所望または目標周波数および所望または目標出力電圧を有する出力信号の形式で出力電気エネルギーへ変換することを含む電力供給システムおよび方法を有する。入力電気エネルギーは、典型的に時間にわたって変化し(すなわち、その周波数および/または電圧が時間依存性である)、出力電気エネルギーは、それ自身も時間にわたって変化してもよく、当該システムおよび方法は、所望の目標周波数および目標電圧を有するよう、変換を動的に制御するように動作する。
【0080】
本願発明の実施形態は、改良された効率および調整(および2つのシステムの電気的絶縁)を与えるべく、電気回路スイッチングの代わりに高速電磁気経路切替を使って、力率補正を同時に与えつつ周波数および電圧変換を与えることができる。
【0081】
本願発明の実施形態は、主に送配電の文脈で説明されるが、電気自動車、飛行機用の電気システム、および、他のアプリケーション用の可変周波数ドライブ(VFD)を含む、出力電圧および/または周波数の制御を要求する任意の電気システムアプリケーションでも使用可能であることは当業者の知るところである。ここで説明する電気エネルギー供給システムおよび方法の多くの他のアプリケーションは、本開示を参照して、当業者に明らかとなる。
【0082】
本明細書において、特に断らない限り、用語“信号”は、参照の便宜上使用されており、電圧および少なくともひとつの基本周波数(DC電圧の場合はゼロである)によって特徴づけられる電気エネルギー形式を参照するように広義に解釈されるべきであり、任意の形式の情報が信号により代表されるかまたは運ばれることは必ずしも必要ではない。それにも関わらず、本願発明のいくつかの実施形態は、信号内で符号化された情報の通信と関連してもよい。
【0083】
図1に示すように、電力供給システム100は、周波数制御コンポーネント102、電圧制御コンポーネント104、およびコントローラ106を有する。上述したように、周波数制御コンポーネント102は、ある特性の入力周波数の入力信号を受信し、入力周波数とは無関係の、選択されるかまたは所望の出力周波数を有する対応する出力信号を与える。同様に、電圧制御コンポーネント104は、ある特性の入力電圧の入力信号を受信し、かつ、入力電圧と無関係の、選択されるかまたは所望の出力電圧を有する対応する出力信号を与える。周波数制御コンポーネント102および電圧制御コンポーネント104の組みあわせが協働し、その結果システム100はある特性周波数fin(典型的に時間変動する)および電圧Vinを受信し、かつ、選択周波数foutおよび選択電圧Voutを有する対応する出力信号を生成する。例えば、電力供給システム100が、メイン電気分配システムの一部として使用される場合、システム100は、出力周波数foutが一定であり、かつ、50Hzまたは60Hzの適切なメイン電気周波数と等しく、かつ、出力電圧がシステム100の電気負荷と一致するように動的に調節されるように構成され得る。公称メイン周波数からの逸脱は、電気グリッド内の損失の主なソースである。
【0084】
コントローラ106は、入力周波数および電圧をモニターするステップダインデバイス(例えば、実施形態で説明されるバックコンバータ)を使用し、周波数制御コンポーネント102および電圧制御コンポーネント104の動作を制御するようそれぞれ使用される対応する周波数および電圧制御信号を生成する。
【0085】
当業者に周知のように、変圧器は、相互インダクタンスを介して、ひとつの回路から他の回路へ電気エネルギーを転送する電磁気デバイスであり、典型的に一次巻き線、磁気コアおよび二次巻き線から作成される。交流電圧が一次巻き線に印加されるとき、交流電流が一次巻き線を通じて流れる。この磁化電流は、交番磁束を生成する。磁束が磁気コア内にほぼ制限され、リンクした二次巻き線内に電圧を誘導する。それがもし電気負荷に接続されていれば、交番電流が生成される。この二次負荷電流は、その後、それ自身交番磁束を生成し、それは一次巻き線と逆リンクする。
【0086】
二次電圧が、二次巻き線の巻数と一次巻き線の巻数の比率および一次電圧の積によって決定される。変圧器は、高電圧と低電圧の間の変換のために共通に使用されるが、それは必要な分布周波数によりかさばる。これは、高効率、単純な設計、および、双方向電力転送を提供する。しかし、この受動的性質は、転送される電力の調節を制限し、不十分な力率制御および電圧調整を与える。メイン給電周波数における物理的動作本体は、所与の出力定格に対して比較的大きくなり、材料コスト、製造および絶縁管理のコストが増加する。
【0087】
電圧変換
電圧変換は、ここで、仮想エアギャップ変圧器またはVAGT200として言及される変圧器構成の形式で電圧制御コンポーネント104を与えることにより達成される(図2参照)。磁気コアの局所領域208を制御可能に飽和するべく、少なくともひとつの制御巻き線202が変圧器の一次巻き線204と二次巻き線206との間の磁束経路内に配置され、それにより一次巻き線204と二次巻き線206との間の電磁結合が制御され、ひいては、二次巻き線206を横切って生成される電圧が決定される。磁束経路の局所領域208を飽和する効果は、磁束経路内の物理的エアギャップの効果と同等であり、任意の時間の飽和される領域208(および同等の仮想エアギャップ208)のサイズは、その時間の制御巻き線202を通じて流れる電流によって決定される。制御巻き線202を通じて流れるこの制御電流は、DCまたはACのいずれかであり、各実装の特定の要求により決定され、各電流タイプは異なる特性および複雑さを与える。例えば、DC電流は、制御を単純化するのに使用され、AC電流は、より複雑な制御のために使用され、かつより小さい漏電損失を与える。
【0088】
さまざまな制御電流実装に加え、デバイスのある実装は、複数の巻き線が実装されるとき、制御巻き線202、または制御巻き線のいくつかに対して短絡回路を適用することができる。短絡回路の適用中に、制御巻き線は、その時点でのシステムの状態への任意の変更に対応するような方法で、磁気コア磁束に影響を与える。磁気コアおよび磁気コア断面内の局所的ポイントでこの現象を利用し、磁束経路は交番されかつ飽和される。
【0089】
一次巻き線204を横切る入力電圧を動的にモニターすることにより、かつ、制御巻き線202を通じて流れる電流の関数として二次巻き線電圧および一次巻き線電圧の間の関係を知ることにより、制御巻き線202を通じて流れる電流は、二次巻き線206を横切って選択または所望の電圧を与えるように動的に調節可能となる。
【0090】
付加的に、デバイスのある実装において、一次巻き線204を横切る電圧だけでなく、二次巻き線206を横切る電圧も測定される。デバイスのある実装において、電圧および周波数は、一次巻き線、二次巻き線またはその両方で測定される。
【0091】
デバイスのある実装において、VAGTのコアを通じる磁束が測定される。磁束は、デバイスを通じて流れる電力に比例し、制御巻き線を使って磁気回路のリラクタンスを変更することにより制御可能なフォースである。実装の特定の要求に応じて、磁束はホール効果センサ(http://uk.rs-online.com/web/c/automation-control-gear/sensors-transducers/hall-effect-sensors/に記載されるような)または図28に示すような磁気コアの周りの巻き線によって測定される。任意の数の周知の構成および検出方法がこの測定を達成するのに使用可能であることは当業者の知るところである。
【0092】
AC磁束ソースによって駆動される磁気回路において、メイン磁束(Φ)は駆動電圧(Φ=∫vdt)によって決定可能である。コア内の磁束密度は、以下の式で計算可能はリラクタンスを有する。
【数1】

ここで、lは磁気経路長、Aはコア断面積、μμはコアの透磁率である。
【0093】
コア内の起磁力(mmf)は、磁束およびリラクタンスの関数である。仮想エアギャップ内の変化によるコアのリラクタンスの変化は、起磁力mmfの対応する変化を生成し、次に、VAGT200の一次インダクタンスの変化を生成する。
【0094】
コアは、磁束およびリラクタンスの関数として以下で表される関連する全起磁力mmfを有する。
【数2】

もし、エアギャップが磁気回路内に挿入されれば、エアギャップリラクタンス(R)の負荷によるリラクタンスが増加し、それにより、mmfが増加する。この単純な代表回路図が図27に与えられる。標準DC駆動電圧の場合は、mmfおよび電流が一定なので、異なり、リラクタンスを変更することによりフラックスが変化する。高調波によって変調されたDC駆動電圧は、ある動作条件のもとで高調波を削減することが可能である(http://ieeexplore.ieee.org/document/4595983/を参照)。変調されたAC駆動電圧は、エネルギー使用を削減し、正確に制御された場合、デバイスに対するエネルギー利用および出力電力を改善する。図29は、一次巻き線204内の電流がサイクルを通じて変化するに従い、制御巻き線202内で要求される電流の量が変化し、従って、目標出力信号を達成するのに必要な制御電流が減少し(曲線2902から曲線2904)、デバイスの効率が改善される。
【0095】
仮想エアギャップ208は、VAGTを通じて流れる電力の制御を与えるために、一次磁束経路内に与えられる。しかし、図2に示すように、第2の仮想エアギャップ210が回帰磁束経路内に与えられても良い。物理的構造(VAGTが単相か三相かを含む)に依存して、VAGTは、複数の仮想エアギャップを有してよく、最小値において、それぞれの相に対する一次磁束経路は直接的に制御可能となる。複数の仮想エアギャップは、局所的飽和のレベルを変化させる実施形態において利用可能である。
【0096】
最小の例として、仮想エアギャップは、反対方向の磁束を生成するように配置されたDCまたはAC巻き線によって形成され、その結果、それらは、VAGT全体に関して互いに打ち消し合うが、各対応する局所的飽和領域においてコアを飽和する。VAGTの特定の構成は(巻き線およびコア材料、構成、ラミネート等を含む)は、仮想エアギャップの数および位置に関して、当業者に周知の標準的な変圧器設計方法を使って決定可能であり、制御巻き線の構成は特定アプリケーションに対する電気的要求によって決定される。
【0097】
仮想エアギャップを含む変圧器の磁気コアは、限定しない強磁性体材料を含む任意の材料によって形成されてよく、その磁気リラクタンスは、制御巻き線を通じて流れる電流によって制御可能である。コア自身は、単一構造として形成されてよく、または、複数のコンポーネントから構成されてもよい。それは、磁気コアの異なる領域に対して、同じかまたは異なる材料で形成されてもよい。これにより、コアの局所的強磁性特性が与えられる。つまり、局所的領域の仮想エアギャップが、磁気コアの他の部分のエアギャップと異なる磁化曲線(磁気ヒステリシス曲線または一般にB-H曲線をして知られ、ここで、Bは磁束密度、Hは磁場強度、μは透磁率であり、B=μHである)を有するに形成される。
【0098】
VAGTを通じて流れる電力は、その仮想エアギャップ208、210を制御することによって調整される。入力電力および出力電力が定期的に変化するに従い、仮想エアギャップ208、210は、選択されたレベルのリラクタンスを与えるべく、制御巻き線202内のDCまたはAC電流を変化させることにより対応して調節される。制御電流は、電流レベルが直接変更されるところの直流アナログ信号か、または、等価平均電流を与えるようパルス幅変調(PWM)を使用するデジタル信号のいずれかの形式を取ってよい。PWMは、供給電力を制御するよう負荷に影響を与えるよりも非常に速い速度で切り替えられるデジタル信号を使用する。適切なデューティサイクルを有する負荷へ電圧を切り替えることで、所望の電圧レベルに近づけることができる。同様にして、デューティサイクルは、デジタルソースを使ってアナログ波形の近似を与えるように変更可能である。現在の半導体は、マイクロ秒でスイッチングを与えることが可能である。このことは、電力損失は非常に小さいが、あるアプリケーションにおいて、不完全な波形が有意な高調波および損失を生じさせることを意味する。
【0099】
制御巻き線202を通じて流れる電流のPWMは、図24に示すように、整流器、DCリンクおよび2つのブリッジからなる制御回路を通じて達成される。2つのブリッジは、4つのダイオードおよび4つの絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)から形成されている。4つのIGBTは、目標信号出力を分配するよう、制御巻き線202内の正しい電流レベルを与えるために、コントローラ106によってオンおよびオフを切り替えられる。これは、多くのさまざまな回路トポロジーで達成可能であることは当業者の知るところである。ステップダウンコンバータ(バックコンバータ)を使った制御回路トポロジーにより、電力の使用が大幅に削減され、仮想エアギャップ制御の所望の大きさおよび範囲を達成することができる。
【0100】
図30に示すように、10kHzの速度にPWMを制御することにより、出力信号の波形は、高調波を排除するためにVAGを使って変調される。制御速度は、任意の制御周波数が使用可能である状態で、アッパーエンドで技術を実装する実効性により制限される。より高速の制御は、高調波のより良い補償および補正を与える。
【0101】
平均電力フローが制御ポイントとして使用されるとき、時間を通じてVAGTを介する電圧の超過電圧および不足電圧の両方に対して電圧のほぼ等しい分散が存在する。少量の内部電力ストレージは、超過電圧のピークが切片された状態で、不足電圧時間を補償するべく、VAGT内で利用可能である。この超過電圧電力損失は、超過電圧を受動的に通過することによって作成される非効率および損失よりも有意に小さい。
【0102】
内部電力ストレージ要求を減少させるために、VAGTの電力レベルは、平均入力電圧以下に制御される。これは、超過電圧時間の品質を平均して増加させ、対応する損失を増加させるが、送配電ネットワークの他の損失に比べてまだ小さい。正確な制御電力レベルは、特定のアプリケーションの要求によって決定される。
【0103】
図36に示すように、ある実施形態において、磁気コアは、磁気コアを通じる2つの経路の間で磁束を分配するべく二次磁束経路を有し、安定状態条件のもとで、二次巻き線を通じて流れる磁束を変化させる。デバイスの電圧変換率は、一次巻き線の巻数および一次電流、並びに、二次巻き線の巻数および二次電流に正比例し、安定状態条件のもとで磁気回路リアクタンスと独立である。一次フラックス経路を制御する仮想エアギャップと組み合わせて、二次仮想エアギャップによって制御される第2磁束経路は、2つの経路の間で全磁束の相対的分配を与える。一次磁束経路の二次コイルは、一次経路を通じて流れるフラックスに対して誘導される電流を有するのみであり、一次または二次巻き線の巻数を変更することなく変更可能である。
【0104】
ある実施形態において、エネルギーリカバリ回路は、仮想エアギャップによってブロックされるか、そうでなければ損失となる超過エネルギーを格納するべく使用される。このエネルギーは、キャパシタ、インダクタまたは他のエネルギー格納デバイス内に格納可能であり、後に、デバイスを通じて直接、または、キャパシタ、インダクタまたは他のストレージから直接流れるメインパワーに再投入される。
【0105】
周波数変換
ここで説明する電力供給システムのある実施形態において、周波数制御コンポーネント102は、電圧変換と同じ方法で周波数変換を達成する。結合した電気システムの周波数は発電された電気の周波数に依存し、かつ、負荷とバランスされるので、発電と負荷との間のバランスが変化するに従い、システムの周波数は変化する。電力供給システム100の入力および出力周波数を測定することにより測定された差は不均衡を示す。したがって、制御巻き線電流、すなわち仮想エアギャップの変更は、回路のリアクタンスを変更し、エネルギーは以下で説明するように電力フロー内に投入されるかまたは電力フローから採取される。すなわち、図1の周波数制御コンポーネント102および電圧制御コンポーネント104の周りの点線で示すように、同じVAGTが電圧制御コンポーネント104および周波数制御コンポーネント102の両方を構成する。コントローラ106からVAGTへは単一の制御信号(電圧を表す)のみが存在するが、その信号は上述したように周波数を制御するのにも使用される。
【0106】
VAGは、局所的領域でコアを飽和するのに使用され、したがって磁束経路に影響を及ぼす。図35に示すコア構造を使って、出力信号の周波数は、二次巻き線を通じて流れる磁束経路を交番するよう複数のVAGを使うことで変換可能である。これにより、同じデバイスが、磁場中ですべてスイッチングする状態で、磁気回路の本来のフィルタリングを利用して、インバータおよび整流器の両方として機能することが可能になる。
【0107】
ここで説明する電力供給システムに対する多数の可能な構成は、この開示を考慮して当業者によって明らかである。そのひとつの構成として、コアタイプの変圧器が標準的なコアカットおよび積層技術を使って製造される(例えば、http://sites.ieee.org/gms-pes/files/2014/11/Transformer-Manufacturing-Processes.pdf参照)。図31に示すように、一次巻き線および二次巻き線を有しない2つのコア部分は、強磁性材料の直列の3つの部分、材料1、材料2および材料3からなる。材料1および2は異なるB-H曲線を有する。
【0108】
製造プロセス中に、コアの材料2の内部に6個のホールが形成され、図31から34に示すように、等間隔でコアの断面を通じて垂直方向にアライメントされている。この特定の例において、これらのホールは、単一の連続シートではなく、図33に示すような別個の断片から作成されたコアレイヤーを有することにより形成されている。これらの断片は、積層プロセス中にスペーサを使ってアライメントされ、それは、積層プロセスが完成した後除去される。
【0109】
一次および二次巻き線は、適当な部分の周りに巻かれている。図32に示すように、制御巻き線は、コア構成プロセス内で形成されたホール間で巻かれる。ホールは垂直方向に1から6の番号が付され、要求された数のループに対して、巻き線は、ホール1および2の間、続いてホール3および4の間、その後ホール5および6の間に形成される。
【0110】
図24から26に示すように、AC制御信号のパルス幅変調を使って、制御巻き線は、電気回路切替制御回路によって付勢される。高速マイクロプロセッサ(例えば、http://www.ti.com/product/TMS320F2808に記載の100MHzのテキサスインスツルメント社製のデバイス)は電圧および周波数を測定するべく、入力および出力(一次巻き線の直前でかつ二次巻き線の直後の回路)からセンサ入力を有し、ホール効果磁束センサ(例えばhttp://uk.rs-online.com/web/c/automation-control-gear/sensors-transducers/hall-effect-sensors/)が局所的磁束を測定するべく、コアの6つの制御巻き線ホール内に埋め込まれている。
【0111】
マイクロプロセッサは、図24に示すブリッジ回路内の4つのIGBTデバイスをPWMするべく制御処理を実行する。これは、各モニター位置で磁束の補正レベルを維持するために、制御コイルを通じたフローを変化させ、それは、測定された電圧および電流入力および出力と組み合わせて、出力において目標セットポイント分配する。磁束制御フィードバックループは1MHzで動作し、位相ロックループは100kHzで動作する。
【0112】
仮想エアギャップの結果として転換されたエネルギーを捕捉しかつ格納するためのエネルギーリカバリ回路が含まれる。このリカバリ回路は、短期ストレージおよびエネルギーフローのスムージングを可能にするためのキャパシタを有する。
【0113】
ヘテロダインを使った周波数変換
上記の代替例として、ここで説明する電力供給システムのある実装において、周波数制御コンポーネント102は、通信理論から周波数ヘテロダイン原理を使って周波数変換を達成する。ここで説明するヘテロダインの使用はエネルギー損失を不可避的に生じさせるが、それは特に、VAGTのサイズおよび重量が制限されるところの飛行機、鉄道および宇宙船などのアプリケーションにおいて有用である。このアプリケーションにおいて、運動効率ゲインは、付加的な電気的損失に勝る。
【0114】
当業者に周知なように、周波数ヘテロダインは、2つの入力周波数を組みあわせるか混合することによって新しい周波数を生成する方法である。周波数f1およびf2の2つの信号は、ヘテロダインと呼ばれる2つの新しい信号を作成するために混合され組み合わされる。ひとつは、2つの周波数の和f1+f2であり、もうひとつは差f1-f2である。典型的に、新しい周波数のひとつの信号のみが所望され、他の信号はフィルタリングで除去される。
【0115】
したがって、電力供給システムのこの実装において、周波数制御コンポーネント102は、可変周波数オシレータおよび可変周波数フィルタ(そのオシレーションおよびフィルタ周波数がコントローラ106によって生成される周波数制御信号によって決定される)を有し、混合信号は、出力信号がつねに所望の出力周波数であることを保証するように変更可能である。この周波数制御により、システム100は、コンバータ(インバータまたは整流器)の代わりに使用可能である。
【0116】
図1に戻って、図面の左から右方向へ流れる入力信号が示され、周波数は、VAGT104へ対応する信号を与える前に調節される。VAGT104が既知の周波数の信号で動作することが可能であるので、この構成は概して好適であるが、入力信号は、逆方向に流
れることも可能である。その結果、入力信号は、周波数制御コンポーネント102によって調節された周波数を有する前にVAGTを通じて流れる。
【0117】
また、図1に示す構成は、各方向に流れる信号を処理するように仕様可能である。それは、局所エネルギー生成ソース(例えば、住宅地の太陽光パネル)が、エネルギー分配ネットワークまたはグリッドから住宅地へ流れるエネルギーとは反対方向に、エネルギー分配ネットワークまたはグリッドへ流れるエネルギーを生成するところのエネルギー分配のようなアプリケーションに対して特に有用である。
【0118】
例えば、図4は、図1に基づく電気エネルギー供給システム400を示すブロック図であり、そこでは、周波数制御コンポーネント102は、ヘテロダインコンポーネント402および周波数フィルタリングコンポーネント404を有し、信号は適当な順序で、これらのコンポーネント402、404を通じて反対方向に流れる。
【0119】
図5は、他の電気エネルギー供給システム500のブロック図であり、VAGT104の反対側に配置された2つの周波数制御コンポーネントを有し、それにより、システム500を通じてそれぞれの方向に移動する入力信号がVAGT104へ与えられる前にその周波数が調節されることが可能となる。それは、VAGT104の効率を改善するのに仕様される。また、この構成により、入力信号の周波数は、VAGT104へ印加される前にステップアップされ(例えば、1kHzまで)、かつ、対応するVAGT出力がステップダインされ(例えば、適当なメイン供給周波数の50Hzまたは60Hzまで)、所望の出力周波数が与えられる。所与の磁束密度で変圧器の起電力(EMF)が周波数とともに増加するに従い、より高い周波数で動作させることにより、飽和に達することなくコアがより大きい電圧を移送することができるので変圧器は物理的に小さくすることが可能であり、同じインピーダンスを達成するために必要な巻数を減少する。
【0120】
より小さいデバイスを有することは、主な非効率の原因である変圧器巻き線のオーム抵抗による銅損失を削減できる。一次巻き線に対する損失は、I であり、二次巻き線の損失はI である。ここで、I1およびI2は、それぞれ一次および二次巻き線内の電流であり、R1およびR2は、それぞれ一次および二次巻き線の抵抗である。より小さいデバイスはまた、デバイス重量を減少させ、鉄道、飛行機および宇宙船のようなアプリケーションにおいて大きな利点であり、システム全体の効率が運動エネルギーゲインによって大幅に改善される。
【0121】
しかし、鉄損失(渦電流およびヒステリシス損失)は周波数に依存し、かつ、周波数とともに増加する。ヒステリシス損失(変圧器コア内の磁化の反転による)は以下のように計算される。
=ηBmax1.6fV(ワット)
ここで、ηは、シュタインメッツヒステリシス定数、Vは1m中のコアの体積、fは周波数である。
【0122】
上述したように、ここで説明する電気エネルギー供給システムは、電圧、周波数および力率を双方向で制御することが可能であり、電力フローを完全に制御しかつ負荷の電力要求と一致しながらシステムの供給側へ完璧な負荷のイメージを与える。これは、デバイス自身の効率を直接増加させるだけでなく、他のデバイスへのまたは他のデバイス自身の電力の移送および分配も増加させる。
【0123】
以下で説明するように、変調およびチャネルペアリング方法により、システムを通じて流れる電力は、損失および歪みを減少させるべく、相互接続電力システムとグリッド間での微細な制御および一致が可能になる。
【0124】
エネルギーストレージ
ここで説明される電気エネルギー供給システムは、3つの方法で瞬間的に電力を格納し、電力フロー調整が必要に応じて付加的電力を投入することにより最適化可能になる。電力は、キャパシタのような負荷的なエネルギーストレージ方法を使って磁場エネルギーとして各仮想エアギャップ内に格納され、瞬間的な電力を保持するべく、内部ループが以下で説明するような各システム内に与えられる。しかし、VAGTは、ひとつ以上のキャパシタが導入されるところの実施形態を除き、電力フローを調整する操作中でない任意の時間間隔にわたって電力を格納することできない。
【0125】
インダクタンス(L)およびピーク電流(I)を有するインダクタの格納されるエネルギー(W)は、以下のように決定可能である。
W=1/2LI
【0126】
このエネルギーは、フェライトコア内に磁場エネルギーとして格納される。要求される格納エネルギーが大きいほど、必要なコアは大きくなる。インダクタのサイズは、格納エネルギーにほぼ比例する。
【0127】
エアギャップがインダクタに付加されるとき、インダクタのリアクタンスは増加する。コアの透磁率は、エアギャップの透磁率よりも3桁のオーダーだけ大きい。これは、大部分のエネルギーがエアギャップ内に格納されることを意味する。したがって、格納可能なエネルギーの量は、エアギャップのサイズに関連して、以下のように示される。
【数3】

ここで、Bは、磁束密度、Aは断面積、δはエアギャップの幅、μはエアギャップの透磁率である。
【0128】
レンツの法則により、誘導電流の方向は常に、それを生成する回路または磁場内の変化に抵抗するような方向である。格納された磁場エネルギーは、二次巻き線上の小さい電力の振動をスムースにするのを助ける。
【0129】
ある実施形態において、電気エネルギー供給システムは、内部電流ループを有する単一の複合VAGTを生成するために、ひとつの二次巻き線と他の一次巻き線との間にワイヤループを含む、直列に垂直のエアギャップを有する一対の変圧器からなる複合仮想エアギャップ変圧器(VAGT)を有する。ループの仕様は、要求される瞬間的エネルギーの量によって決定される。仮想エアギャップを有する2つの変圧器は、単一のコントローラによって単一デバイスとして制御される。ある実施形態に対して、この内部ループは、少なくともひとつのキャパシタを有する。
【0130】
図2および図5から図13は、さまざまな実施形態で使用可能な仮想エアギャップ変圧器(VAGT)のさまざまな異なる形式を示す略示図である。それは、磁場の形式でエネルギーを格納することができる内部ループによって直列に相互接続されたVAGTによって形成された複合VAGTを有する。例えば、最も単純なVAGTの形式は、図2に示されており、それは、磁束経路内に仮想エアギャップを有する単相コアを含む。エネルギーはエアギャップ内に一次的に磁場エネルギーとして格納される。このタイプの2つのVAGTは、2つのVAGTを相互接続する内部巻き線によって、エネルギーを格納することが可能な複合VAGTを形成するために、直列に相互接続可能である。
【0131】
図6は、磁束経路内に仮想エアギャップを有する単相コアを含む第2の形式の仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の略示図であり、それは、エアギャップ内に一次的に磁場エネルギーの形式でエネルギーを格納することができる。この形式のVAGTは、変圧器の同じ側に一次巻き線および二次巻き線の両方を有し、一方が他方の外側の周りを被い、2つの間には電気的シールドが形成される。図2のVAGTに関して、図7に示すように複合仮想エアギャップ変圧器(VAGT)を形成するべく、第2の形式の2つの個別のVAGTが同様に直列に相互接続される。
【0132】
図8は、第3の形式の仮想エアギャップ変圧器(VAGT)を示し、それは、その磁束経路内に仮想エアギャップを有する単相シェルタイプの変圧器によって形成される。再び、これらの2つのVAGTは、図9に示すように複合VAGTを形成するように直列に相互接続されている。
【0133】
上述したような単相VAGTに加え、図10に示すように、VAGTはその磁束経路内に仮想エアギャップを有する三相シェルタイプの変圧器によって形成され、これの一対は図11に示す複合VAGTを形成するべく相互接続される。
【0134】
図12は、その磁束経路内に仮想エアギャップを有する三相シェルタイプの変圧器によって形成された第4の形式の仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の略示図である。再び、この形式の一対のVAGTが、図13に示すように、複合VAGTを与えるよう直列に相互接続される。
【0135】
図15から22は、単相のコアタイプ変圧器で示される、さまざまな異なるタイプの仮想エアギャップ構成の略示図である。これらの構成は、複数のVAGT、三相のデバイス、および、シェルタイプのデバイスに拡張可能であることは、当業者の知るところである。
【0136】
図15は、デバイスのコアの周りの制御巻き線を使った仮想エアギャップ変圧器(VAGT)の実装の略示図である。図16は、デバイス内に複数の仮想エアギャップを生成するべく、デバイスのコアの周りの制御巻き線を使った仮想エアギャップ変圧器の実装の略示図であり、物理的に形成または製造可能である任意の数の仮想エアギャップに拡張可能である。図18は、図17において別個に示された磁気コアの2つのコンポーネント間の制御巻き線を使った仮想エアギャップの実装の略示図である。巻き線は、要求されるオリエンテーションおよびループの任意の組みあわせのワイヤから成り、自立するか、または、巻き線が周囲、交差または内部に巻かれる材料によって補強される。図19は、図18のVAGTのさまざまな異なる実施形態における磁気コアの2つのコンポーネントの間で使用される制御巻き線のさまざまな構成を示す。この制御巻き線は、任意の角度および構成の任意の数の巻き線によって形成され、単独アイテムとして、または、フレームワークに巻かれて形成可能であることは当業者の知るところである。
【0137】
図20は、磁気コア内に埋め込まれた制御巻き線を使用する仮想エアギャップ変圧器の実装の略示図である。これは、任意の方向(x、y、z軸)に設けられる。図21は、コアの内部に埋め込まれた制御巻き線を使った仮想エアギャップの実装の略示図であり、巻き線はコア内に形成された柱状開口を通じて任意の方向(x、y、z軸)に巻かれている。図22は、コアを通じて形成された円形開口部を介して送ることによりコアの内部に埋め込まれた制御巻き線を使った仮想エアギャップ変圧器の実装の略示図である。
【0138】
コントローラ
上述したように、コントローラ106は、システムに印加される対応する入力信号の周波数および電圧を表す信号を受信し、ヘテロダインが使用されるところの実装において、対応する出力信号が所望の目標出力周波数および出力電圧を有することを保証するべく、コンポーネントの各々の動作を制御するために、周波数制御コンポーネント102および電圧制御コンポーネント104にそれぞれ与えられる対応する周波数および電圧制御信号を生成する。
【0139】
上述した実施形態において、制御巻き線が磁気コア内の磁束と相互作用しかつ影響を与えるところの特定のポイントに配置されたホール効果磁束センサが使用される。これらの測定は、要求される制御信号を決定するべく、入力および出力電圧および周波数との関連で使用される。しかし、他の測定センサおよび技術が、磁束に基づいて誘導される電流を有する磁気コアの周りの巻き線のような、磁束をモニターするのに使用可能であることは当業者に周知である。
【0140】
コントローラ106の動作速度は、システムによって制御される電力フローの周波数に依存する。周波数ヘテロダイン後にkHz範囲(電力分配のアプリケーション用の50Hzまたは60Hzではなく)の周波数が与えられると、システム内での使用アプリケーションによって要求されれば高速制御が利用可能である。50Hzまたは60Hzの電気グリッド内で、MHz範囲の比較的低いクロック周波数を有するマイクロプロセッサで十分である。
【0141】
コントローラ106は、できるだけ1に近い力率を維持するために、電圧および周波数制御信号によって可変エアギャップおよび(任意で)周波数ヘテロダインを直接制御するべく、入力信号の電圧および周波数、および、ある実施形態において(通常、直列に接続された2つのVAGTを有する実施形態において)出力信号の電圧および周波数も定期的に測定する。
【0142】
入力が、出力で要求されるより高い電力を与えている状況において、コントローラは、VAGTのリアクタンスを増加することによりVAGTを通じた電力フローを減少させ、したがって磁束を削減する。VAGTのリアクタンスを増加することは、付加的電力がVAGTの磁場内に格納されることを意味する。
【0143】
入力が、出力で要求されるより低い電力を与えている状況において、コントローラは入力および出力信号をモニターすることによりこれを判定し、その制御巻き線内の制御電流を減少させることにより、VAGTを通じる電力フローを増加させるよう対応する制御信号を生成する。これは、VAGT内のリアクタンスを減少させ、かつ、VAGT内の磁束を増加させ、VAGT内に格納された磁場エネルギーを放出し、それにより、入力される電力より大きい本質的に瞬間的な電力出力をVAGTへ分配する。もし、VAGTがすでにリラクタンスの最小レベルにあれば(すなわち、DC制御電流がすでにゼロであり、従ってこれ以上削減できない)、ある実施形態において、内部ループ(およびキャパシタまたは任意の他のエネルギーストレージ)内に格納されたエネルギーが短期の電力欠損を補償するために使用可能である。
【0144】
電力供給システム用の交番制御方法は、遅れコントロールである(上述したような先頭コントロールではなく)。この構成において、入力および出力が、要求されたようにおよび瞬間的な入力および出力電力レベルに基づいて磁場へエネルギーを投入しそこからエネルギーを吸収して、システムは同期して動作する。これは、その後、磁気回路のリラクタンス、および、一次巻き線と二次巻き線との間のエネルギー効率のバランスを変更する。コントローラは、入力および出力をモニターし、システムにバランスを取り戻すように、この不均衡の効果に反応する。
【0145】
VAGT巻き線、制御巻き線、並びに、内部ループおよびキャパシタのサイズ比率は、電力状態を補償するべく効率および容量の最適なバランスを与えるようにすべて選択可能である。
【0146】
上述した実施形態において、コントローラ106は、デバイスを通じて流れる電力から付勢された、フィールドプログラマブルゲートウエイ(FPGA)として実装可能であり、電力供給プロセスは、不揮発性メモリ内に格納された構成データとして実装される。しかし、他の実施形態において、コントローラ106は、特定用途向け集積回路(ASIC)として、または、不揮発性メモリ内に格納されるインストラクションを実行するようにプログラムされたマイクロプロセッサとして実装可能であることは当業者の知るところである。他の実施形態において、コントローラは、配電盤からの局所制御電力のような、任意の分離した局所電力によって付勢されてよいことも当業者の知るところである。
【0147】
上述したPWM制御実装を拡張して、測定した磁束は、図25に示すように、FPGA(または、任意の他の制御デバイス)を有する制御フィードバックループ用に使用される。この制御の基準信号は、測定磁束によって駆動される位相ロックループ(PLL)によって与えられる。位相ロックループは、図26に示すように、互いに対して入力および出力周波数をロックするべく、位相検出器、フィルタ、および、フィードバックループを有する電圧制御オシレータを使用する。上述した実施形態において、位相ロックループは1kHzの速度で制御されるが、異なる制御速度が他の実施形態において使用可能であることは当業者の知るところである。
【0148】
図14の略示図を参照して、以下の表2は、電圧制御コンポーネントまたはVAGTにいずれかに機能的に配置された、2つの周波数制御コンポーネント102を有する電気エネルギー供給システムの動作を制御するべく、コントローラ106によって使用される入力、出力、および内部変数を示す。
【表2】
【0149】
制御図
PDF、VAGTおよびSHFの各々は、アナログ信号の形式で、コントローラ106から制御入力を受信する。コントローラ106は、その制御出力が何かを判定するために、入力および出力信号上で、標準位相および電圧測定を使って、デバイスを通じて流れる電力からのアナログ入力を受信する。適当なデバイスは、以下の記載されるものを含む(http://www.ni.com/white-paper/8198/en/#toc3、https://www.pce-instruments.com/english/measuring-instruments/test-meters/3-phase-power-meter-kat_155415_1.htm,http://w3.siemens.com/powerdistribution/global/en/lv/portfolio/pages/7km-pac-measuring-devices.aspx,http://www.schneider-electric.com/en/product-category/4100-power---energy-monitoring-system)。
【0150】
ここで説明する電力供給システムの一般的動作を示すために、以下で、例示的に電力供給方法のステップを説明する。電力供給システムは、一次から二次へ、すなわち、一次側のソースおよび二次側の負荷へ流れる電流とともに、入力信号の形式で信号位相電力を受信する。
1.デバイスへの入力は、PFおよびPVである。
2.PHFへの入力としてPFおよびPVを測定する。
3.VAGTに対して要求された周波数を作成するべく、要求されたPOFを計算する。
4.POFをPHF内に投入し、不所望のヘテロダインをフィルタリングする。
5.PHFが、PFより非常に高いレベルで、電圧PVおよび周波数IFを有する電力を出力する。
6.PVとともにVAGT内への入力としてIFを測定する。
7.SVSを分配するようVAGT内に投入するべく、PVおよびSVに基づいて、供給されるDCCを計算する。
8.VAGTのリアクタンスを変化させることにより、mmf(起磁力)を制御するべくVAGT内にDCCを投入し、それによって、固定した巻数比率を有する出力に影響を及ぼす。
9.VAGTが電圧SVSおよび周波数IFを有する電力を出力する。
10.SFSを作成するべく、要求されたSOFを計算する。
11.SHF内にSOFを投入し、不所望のヘテロダインをフィルタリングする。
12.SHFが電圧SVSおよび周波数SFSを有する電力を出力する。
13.デバイスの出力は、SVおよびSFをアライメントした、SVSおよびSFSである。
【0151】
同じプロセスが、一次および二次入力、出力およびセットポイントを交換することによって逆方向の電力フロー用に適応される。同じプロセスが各位相に適応することにより、三相電力に対して使用可能である。
【0152】
上述した電力供給システムおよびプロセスは、それらが、目標電圧および目標周波数を有する対応する出力エネルギーを生成するために、システムによって受信される入力エネルギー内の変化に動的かつ急速に応答することができるので、特に有利である。特に、この能力により、説明したシステムおよびプロセスは、システム上の負荷によって要求されるエネルギーに対して、出力エネルギーを一致させることができる。また、システムおよびプロセスは双方向であり、これは、エネルギーグリッドから供給され、一方向に流れるエネルギーに対して実行可能であるとともに、例えば、システム中を反対方向に流れる再生可能エネルギーソースから供給されるエネルギーに対しても実行可能であることを意味する。例えば、風の変化および/または利用可能な太陽光の変化から生じる、局所的エネルギー発電の変化は、固定した負荷に対して比較的一定の出力を与えるべく、システムおよびプロセスによって緩和され得る。同様に、システム上の負荷の変化は、対応する仮想エアギャップ変圧器の能力によって補償されることが可能であり、それはもちろん、各VAGTの構成によって決定される、個々のVAGTの磁気コア内のゼロのリミットおよび完全な局所的飽和によって決定される電圧範囲内に動作するよう制限される。異なる仮想エアギャップ構成を有するVAGTの範囲は、所与の電圧および電力変動のそれぞれの要求に一致するように製造され得る。
【0153】
本願発明の態様から離れることなく、多くの修正が可能であることは当業者の知るところである。
[発明の項目]
[項目1]
電力供給システムであって、
少なくともひとつの一次巻き線、少なくともひとつの二次巻き線、および、前記一次および二次巻き線の間の電磁気結合を制御するひとつ以上の制御巻き線を含む、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器と、
第1入力基本周波数および第1入力電圧を有する第1入力信号を受信するように構成された入力ポートと、
制御コンポーネントであって、前記第1入力電圧および前記第1入力信号の前記第1入力基本周波数を表す信号を受信し、かつ、目標出力周波数の目標出力電圧が前記第2巻き線で生成されるように、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の前記制御巻き線内の電流を決定する対応する仮想エアギャップ制御信号を生成するように構成された制御コンポーネントと
を備え、
前記電力供給システムは、第1入力基本周波数および第1入力電圧を有する第1入力信号の形式で、入力電気エネルギーを受信し、目標周波数および目標出力電圧の対応する第1出力信号の形式で対応する出力電気エネルギーを生成する、ことを特徴とするシステム。
[項目2]
前記システムは、当該システムが、第2の入力基本エネルギーおよび第2入力電圧を有する第2入力信号の形式で、第2入力電気エネルギーを受信し、かつ、第2目標周波数および第2目標出力電圧の対応する第2出力信号の形式で、対応する出力電力エネルギーを生成するように、双方向で使用するように構成され、前記第2入力信号または前記第2入力信号から導出される対応する信号は、前記仮想エアギャップ変圧器の前記一次巻き線において前記第2目標出力電圧を有する対応する信号を生成するべく、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の前記二次巻き線に印加される、ことを特徴とする項目1に記載のシステム。
[項目3]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、エネルギーを格納するように構成されたひとつ以上の対応するループによって直列に接続された2つ以上の仮想エアギャップ変圧器を有する、ことを特徴とする項目1または2に記載のシステム。
[項目4]
エネルギーを格納しかつ開放するためのひとつ以上のインダクタおよび/またはひとつ以上のキャパシタを含む、項目1から3のいずれか一項に記載のシステム。
[項目5]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの単相仮想エアギャップ変圧器を含む、ことを特徴とする項目1から4のいずれか一項に記載のシステム。
[項目6]
少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの三相仮想エアギャップ変圧器を有する、ことを特徴とする項目1から5のいずれか一項に記載のシステム。
[項目7]
少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつのシェルタイプの仮想エアギャップ変圧器を含む、ことを特徴とする項目1から6のいずれか一項に記載のシステム。
[項目8]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、仮想エアギャップが磁気回路内に形成されるところの磁気コアの領域が、第1材料から形成され、磁気コアの他の領域は第2材料から形成されるように、それぞれ異なる磁気特性を有する異なる材料から形成される磁気コアを含む少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器を有し、前記第1材料の少なくともひとつの磁気特性は、前記第2材料の少なくともひとつの磁気特性の値と異なる値を有する、ことを特徴とする項目1から7のいずれか一項に記載のシステム。
[項目9]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、前記仮想エアギャップ変圧器のそれぞれの磁極片の対向する面の間に配置されたひとつ以上の制御巻き線を含む仮想エアギャップ変圧器を有する、ことを特徴とする項目1から8のいずれか一項に記載のシステム。
[項目10]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、その内部に形成された互いに離隔した開口部、前記開口部を通じて巻かれたひとつ以上の制御巻き線、および前記開口部の間に配置された磁気コアの周囲部を含む磁気コアを有する仮想エアギャップ変圧器を有する、ことを特徴とする項目1から9のいずれか一項に記載のシステム。
[項目11]
前記磁気コアは、積層ラミネートによって形成され、前記開口部は前記積層ラミネート内のギャップによって画成される、ことを特徴とする項目10に記載のシステム。
[項目12]
磁束を表す磁束信号を生成するように構成された磁束センサを有し、前記制御コンポーネントは、前記磁束信号に基づいて前記仮想エアギャップ制御信号を生成するように構成されている、ことを特徴とする項目1から11のいずれか一項に記載のシステム。
[項目13]
前記制御コンポーネントは、前記第1入力信号内に存在する高調波を除去するのに十分に高い周波数で動作するように構成されている、ことを特徴とする項目1から12のいずれか一項に記載のシステム。
[項目14]
前記仮想エアギャップ制御信号は、前記制御巻き線内の電流を決定するパルス幅変調(PWM)デジタル信号として生成される、ことを特徴とする項目1から13のいずれか一項に記載のシステム。
[項目15]
前記制御コンポーネントは、前記第1入力信号内に存在する高調波信号を除去するのに十分に高い周波数で、前記PWMデジタル信号を生成するように構成されている、ことを特徴とする項目14に記載のシステム。
[項目16]
前記PWM周波数は、少なくとも10kHzである、ことを特徴とする項目15に記載のシステム。
[項目17]
前記制御コンポーネントは、DC信号として前記仮想エアギャップ制御信号を生成するように構成されている、ことを特徴とする項目1から16のいずれか一項に記載のシステム。
[項目18]
前記制御コンポーネントは、前記第1出力信号内の高調波を減少させるべく、高調波で変調されたDC信号として前記仮想エアギャップ制御信号を生成するように構成される、ことを特徴とする項目1から16のいずれか一項に記載のシステム。
[項目19]
前記制御コンポーネントは、AC信号として前記仮想エアギャップ制御信号を生成するように構成される、ことを特徴とする項目1から16のいずれか一項に記載のシステム。
[項目20]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、前記少なくともひとつの二次巻き線を通じる反対方向の磁気経路を選択的に画成するように配置された複数の仮想エアギャップを有する、ことを特徴とする項目1から19のいずれか一項に記載のシステム。
[項目21]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、前記少なくともひとつの二次巻き線を通じて流れる磁束の量の制御を可能にする複数の磁束経路を画成するよう配置された複数の仮想エアギャップを有する、ことを特徴とする項目1から20のいずれか一項に記載のシステム。
[項目22]
電力供給方法であって、
電力供給システムの制御コンポーネントにおいて、第1入力信号の少なくとも時間変動する第1基本周波数および前記第1入力信号の時間変動する第1電圧を表す少なくともひとつの信号を受信する工程と、
受信した前記信号を処理する工程であって、電力供給システムの仮想エアギャップ変圧器に、目標出力電圧および目標出力周波数を有する対応する信号を生成させるべく、対応する制御信号を生成するよう処理する工程と
を備え、
第1入力基本周波数および第1電圧を有する第1入力信号の形式の受信した入力電気エネルギーが、目標周波数および目標電圧の対応する第1出力信号の形式で、対応する出力電気エネルギーを生成するように処理される、ことを特徴とする方法。
[項目23]
電力供給システムであって、
少なくともひとつの一次巻き線、少なくともひとつの二次巻き線、および、前記第1および二次巻き線の間の電磁結合を制御するためのひとつ以上の制御巻き線を含む、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器と、
第1基本周波数を有する信号を受信し、かつ、前記第1基本周波数および基準周波数の和および差に対応する周波数成分を含む対応するヘテロダイン信号を生成するように構成されたヘテロダインコンポーネントと、
周波数成分の和および差のいずれかをそこから除去し、対応するフィルタリング済み信号を与えるべく、ヘテロダイン信号をフィルタリングするよう構成されたフィルタリングコンポーネントと、
第1入力基本周波数および第1入力電圧を有する第1入力信号を受信するように構成された入力ポートと、
制御コンポーネントであって、
(i)前記第1入力信号の少なくとも第1入力基本周波数を表す信号を受信し、かつ、フィルタリング済みの信号が目標出力周波数を有するように前記ヘテロダインコンポーネントの基準周波数を決定するべく対応する周波数制御信号を生成するように構成され、かつ(ii)前記第1入力電圧を表す信号を受信し、目標出力電圧が前記二次巻き線で生成されるように、前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の前記制御巻き線内の電流を決定するべく対応する仮想エアギャップ制御信号を生成するように構成された制御コンポーネントと
を備え、
前記電力生成システムは、第1入力基本周波数および第1入力電圧を有する第1入力信号の形式で、入力電気エネルギーを受信し、目標周波数および目標出力電圧の対応する第1出力信号の形式で、対応する出力電気エネルギーを生成する、ことを特徴とするシステム。
[項目24]
前記システムは、当該システムが第2入力基本周波数および第2入力電圧を有する第2入力信号の形式で、第2入力電気エネルギーを受信し、かつ、第2目標周波数および第2目標出力電圧の対応する第2出力信号の形式で対応する出力電気エネルギーを生成するように、双方向で使用するように構成されており、前記第2入力信号または前記第2入力信号から導出された対応する信号が、少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の二次巻き線に印加され、前記仮想エアギャップ変圧器の一次巻き線において前記第2目標出力電圧を有する対応する信号を生成する、ことを特徴とする項目23に記載のシステム。
[項目25]
前記第2入力信号または前記第2入力信号から導出される対応する信号は、第2基本周波数および基準周波数の和および差に対応する第2周波数成分を有する対応する第2ヘテロダイン信号を生成するべく、ヘテロダインコンポーネントによって受信され、前記フィルタリングコンポーネントは、前記周波数成分の和および差のひとつをそこから除去し、対応する第2のフィルタイリング済み信号を与えるべく、前記第2のヘテロダイン信号をフィルタリングするように構成されている、ことを特徴とする項目24に記載のシステム。
[項目26]
前記ヘテロダインコンポーネントは、第1ヘテロダインコンポーネントであり、前記フィルタリングコンポーネントは第1フィルタリングコンポーネントであり、前記システムは第2ヘテロダインコンポーネントおよび第2フィルタリングコンポーネントを有し、前記第1ヘテロダインコンポーネントおよび前記第1フィルタリングコンポーネントは、第1経路に沿って前記システムを通じて流れる信号を処理するように構成され、前記第2ヘテロダインコンポーネントおよび第2フィルタリングコンポーネントは、前記第1経路と概して反対方向の第2経路に沿って前記システム内を流れる信号を処理するように構成されている、ことを特徴とする項目24に記載のシステム。
[項目27]
前記ヘテロダインコンポーネントは、第1ヘテロダインコンポーネントであり、前記フィルタリングコンポーネントは、第1フィルタリングコンポーネントであり、前記システムは第2ヘテロダインコンポーネントおよび第2フィルタリングコンポーネントを有し、前記ヘテロダインコンポーネントおよびフィルタリングコンポーネントは、前記システムによって受信される前記第1信号が、前記少なくもひとつの仮想エアギャップ変圧器へ入力として与えられる前に、前記第1ヘテロダインコンポーネントおよび前記第1フィルタリングコンポーネントによってより高い周波数にアップコンバートされ、前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の対応する出力は、前記第2ヘテロダインコンポーネントおよび前記第2フィルタリングコンポーネントによって前記目標周波数にダウンコンバートされ、より高い周波数の使用により、前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の効率が改善される、ことを特徴とする項目23または24に記載のシステム。
[項目28]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、エネルギーを格納するように構成された対応するひとつ以上のループによって直列に接続された2つ以上の仮想エアギャップ変圧器を有する、ことを特徴とする項目23から27のいずれか一項に記載のシステム。
[項目29]
エネルギーを格納しかつ開放するように構成されたひとつ以上のインダクタおよび/またはひとつ以上のキャパシタを有する、ことを特徴とする項目23から28のいずれか一項に記載のシステム。
[項目30]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの単相仮想エアギャップ変圧器を有する、ことを特徴とする項目23から29のいずれか一項に記載のシステム。
[項目31]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつの三相仮想エアギャップ変圧器を有する、ことを特徴とする項目23から30のいずれか一項に記載のシステム。
[項目32]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、少なくともひとつのシェルタイプの仮想エアギャップ変圧器を有する、ことを特徴とする項目23から31のいずれか一項に記載のシステム。
[項目33]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、仮想エアギャップが磁気回路内に形成されるところの磁気コアの領域は、第1の材料から形成され、かつ、磁気コアの他の領域は第2の材料から形成されるように、異なる磁気特性を有する異なる材料から形成される磁気コアを有する少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器を有し、前記第1材料の少なくともひとつの磁気特性は前記第2材料の少なくともひとつの磁気特性の値と異なる値を有する、ことを特徴とする項目23から32のいずれか一項に記載のシステム。
[項目34]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、前記仮想エアギャップ変圧器の各磁極片の対向する面の間に配置されたひとつ以上の制御巻き線を有する仮想エアギャップ変圧器を有する、ことを特徴とする項目23から33のいずれか一項に記載のシステム。
[項目35]
各制御巻き線は、サーペンタイン平面ループの形式である、ことを特徴とする項目34に記載のシステム。
[項目36]
各制御巻き線は、螺旋平面ループの形式である、ことを特徴とする項目34に記載のシステム。
[項目37]
前記制御巻き線は、ひとつ以上のサーペンタイン平面ループおよびひとつ以上の螺旋平面ループを有する、ことを特徴とする項目34に記載のシステム。
[項目38]
項目13から15のいずれか一項に記載の前記制御巻き線は、コア部分の周りに巻かれている、ことを特徴とする項目34に記載のシステム。
[項目39]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、その内部に形成された互いに離隔する開口部を含む磁気コアを有し、ひとつ以上の制御巻き線は、前記開口部を通じておよび前記開口部の間に配置された前記磁気コアの周囲部に巻かれている、ことを特徴とする項目23から38のいずれか一項に記載のシステム。
[項目40]
前記磁気コアは、積層ラミネートによって形成され、前記開口部は、前記積層ラミネート内のギャップによって画成される、ことを特徴とする項目39に記載のシステム。
[項目41]
前記磁気コアは、固体ボディ形式であり、前記開口部は製造後にドリル加工によって形成される、ことを特徴とする項目39に記載のシステム。
[項目42]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、前記少なくともひとつの二次巻き線を通じて反対方向の磁束経路を選択的に画成するように配置された複数の仮想エアギャップを有する、ことを特徴とする項目23から41のいずれか一項に記載のシステム。
[項目43]
前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器は、前記少なくともひとつの二次巻き線を通じて流れる電流の量を制御可能とするべく、複数の磁束経路を画成するように配置された複数の仮想エアギャップを有する、ことを特徴とする項目23から42のいずれか一項に記載のシステム。
[項目44]
電力供給方法であって、
電力供給システムの制御コンポーネントで、第1入力信号の少なくともひとつの時間変動する第1基本周波数および前記第1入力信号の時間変動する第1電圧を表す少なくともひとつの信号を受信する工程と、
受信した信号を処理する工程であって、
(i)電力供給システムのヘテロダインコンポーネントに、前記第1基本周波数および基準周波数の和および差に対応する周波数成分を有する対応するヘテロダイン信号を生成させるよう、対応する周波数制御信号を生成し、かつ
(ii)前記電力供給システムの仮想エアギャップ変圧器に、目標出力電圧を有する対応する信号を生成させるよう、対応する電圧制御信号を生成するように処理する工程と
を備え、
前記第1入力基本周波数および前記第1電圧を有する第1入力信号の形式で受信した前記入力電力エネルギーは、目標周波数および目標出力電圧の対応する第1出力信号の形式で対応する出力電気エネルギーを生成する、ことを特徴とする方法。
[項目45]
前記ヘテロダインコンポーネントは、第1のヘテロダインコンポーネントであり、前記フィルタリングコンポーネントは、第1のフィルタリングコンポーネントであり、前記システムは、第2のヘテロダインコンポーネントおよび第2のフィルタリングコンポーネントを有し、前記方法は、前記システムによって受信された前記第1信号が前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器への入力として与えられる前に、前記第1ヘテロダインコンポーネントおよび前記第1フィルタリングコンポーネントによってより高い周波数までアップコンバートされるように、前記ヘテロダインコンポーネントおよび前記フィルタリングコンポーネントを制御する工程を有し、前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の対応する出力は、前記第2ヘテロダインコンポーネントおよび前記第2フィルタリングコンポーネントによって前記目標周波数までダウンコンバートされ、前記より高い周波数の使用により、前記少なくともひとつの仮想エアギャップ変圧器の効率が改善される、ことを特徴とする項目44に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31-32】
図33
図34
図35
図36