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特許7036514テトラフルオロエチレン及び1つ以上のペルフルオロアルキルアリルエーテルコモノマーを含むフルオロポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】テトラフルオロエチレン及び1つ以上のペルフルオロアルキルアリルエーテルコモノマーを含むフルオロポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 214/26 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
C08F214/26
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019508833
(86)(22)【出願日】2017-08-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 US2017044951
(87)【国際公開番号】W WO2018034838
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】16184503.7
(32)【優先日】2016-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ヒンツァー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス エー.ヒルシュベルク
(72)【発明者】
【氏名】ヘルベルト ケーニヒスマン
(72)【発明者】
【氏名】ティルマン ツェー.ツィップリース
(72)【発明者】
【氏名】ハーラルト カスパル
【審査官】藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-244504(JP,A)
【文献】特表2013-532740(JP,A)
【文献】特開昭53-082713(JP,A)
【文献】特表2009-516005(JP,A)
【文献】特表2016-501311(JP,A)
【文献】特表2018-510235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 214/00 - 214/18
C08L 27/00 - 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
約250℃~約326℃の融点、0.5~50グラム/10分のメルトフローインデックス(372℃及び5kg荷重でのMFI)を有し、かつ
少なくとも90重量%のテトラフルオロエチレンから誘導された単位、及び
約0.5~約6重量%の少なくとも1つのペルフルオロアルキルアリルエーテル(PAAE)コモノマーから誘導された単位、及び
0~4重量%の、ペルフルオロαオレフィン、部分フッ素化αオレフィン、及び非フッ素化αオレフィンからなる群から選択される、1つ以上の共重合性である任意選択のコモノマーから誘導された単位、
を有するテトラフルオロエチレンコポリマー(前記ポリマーを構成する単位の総重量は100重量%になる)であって、前記少なくとも1つのPAAEは、一般式:
CF=CF-CF-O-Rf (I)
[式中、Rfは、ペルフルオロエチル(C )、ペルフルオロプロピル(C )及びペルフルオロブチル(C )からなる群から選択されるペルフルオロアルキル基である]に対応する、テトラフルオロエチレンコポリマー。
【請求項2】
Rfが直鎖状であり、C又はCから選択される、請求項1記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【請求項3】
286℃~326℃の融点を有する、請求項1又は2に記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【請求項4】
前記式(I)中の残基Rfがペルフルオロエチルである場合、0.5~5.0重量%の前記少なくとも1つのPAAEコモノマーから誘導された単位、又は
(ii前記式(I)中の残基Rfがペルフルオロプロピル若しくはペルフルオロブチルである場合、0.5~6.0重量%の前記少なくとも1つのPAAEコモノマーから誘導された単位、
有する、請求項1~のいずれか一項に記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【請求項5】
ペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)コモノマーから誘導された単位を有しない、請求項1~のいずれか一項に記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【請求項6】
94~99重量%のテトラフルオロエチレンから誘導された単位、及び、1~5重量%の前記少なくとも1つのPAAEから誘導された単位、及び、大4量%の、ヘキサフルオロプロペン(HFP)ら誘導された単位、を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載のテトラフルオロエチレンコポリマーを含む、水性分散体。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載のテトラフルオロエチレンコポリマーを含む、物品。
【請求項9】
約250℃~約326℃の融点、0.5~50グラム/10分のメルトフローインデックス(372℃及び5kg荷重でのMFI)を有し、かつ
94~99重量%のテトラフルオロエチレンから誘導された単位、及び
1~5重量%の少なくとも1つのペルフルオロアルキルアリルエーテル(PAAE)コモノマーから誘導された単位、及び
ヘキサフルオロプロペン(HFP)から誘導された単位、
を有し、前記ヘキサフルオロプロペン(HFP)の量が最大4重量%であるテトラフルオロエチレンコポリマー(前記ポリマーを構成する単位の総重量は100重量%になる)であって、前記少なくとも1つのPAAEは、一般式:
CF =CF-CF -O-Rf (I)
[式中、Rfは、1~10個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である]に対応する、テトラフルオロエチレンコポリマー。
【請求項10】
式(I)中のRfが、ペルフルオロメチル(CF )、ペルフルオロエチル(C )、ペルフルオロプロピル(C )及びペルフルオロブチル(C )からなる群から選択されるペルフルオロアルキル単位に対応する、請求項9に記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
テトラフルオロエチレン(TFE)のコポリマーが知られている。TFE及びペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル(PAVE)から製造されたコポリマーが市販されており、一般に「PFA」と呼ばれている。PFAポリマーの例としては、TFE及びPPVE-1から製造されたコポリマー(米国特第3635926(A)号)、並びにTFE/PPVE-1及びHFPから製造されたターポリマー(独国特許第2639109(A)号)及びPPVE-1の代わりにペルフルオロエチルビニルエーテル(国際公開第97/07147(A)号)又はペルフルオロメチルビニルエーテル(米国特第4864006(A)号)を含むコポリマー生成物が挙げられる。他の例としては、欧州特許第1328562(B1)号に記載されているポリマーが挙げられる。特開2004-244504(A1)号では、TFEとアルキルアリルエーテルとのコポリマーが開示されており、それは光透過性に関しては良好な特性を有すると報告されている。側部に更なるエーテル単位を有するペルフルオロアルキルビニル及びアリルエーテルの、変性PTFEを製造するためのテトラフルオロエチレンとのコモノマーとしての使用は、米国特許第7,060,772号(Hintzerら)に報告されている。
【0002】
高含有量のTFEを有するフッ素化ポリマーは、典型的には水性乳化重合によって調製される。この種の反応では、重合は水相中で行われ、そして典型的にはフッ素化乳化剤の存在を必要とする。この効果を求めて、最大8個の炭素原子のアルカン鎖を有するペルフルオロアルカン酸が、当該技術分野において広く提案されている。これら乳化剤の生分解性が低いために、それらの使用を避けることが望まれている。得られたポリマー分散体から乳化剤を除去する方法が開発されてきた。フッ素化乳化剤を使用しない重合、又はより生分解性のフッ素化乳化剤を使用する重合もまた開発されている。
【0003】
ペルフルオロアルカン酸、特に6~12個の炭素原子を有するものは、ある種のフルオロポリマーの製造中に生成し得、そしてこのようなペルフルオロアルカン酸が乳化剤として使用されなくても、又はポリマーの製造中に添加されなくても、フルオロポリマーから抽出できることが確認されている。したがって、良好な機械的特性を有するが、極めて微量の抽出可能なペルフルオロアルカン酸を含有するフルオロポリマーを更に提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様では、約250℃~約326℃の融点、0.5~50グラム/10分のメルトフローインデックス(372℃及び5kg荷重でのMFI)を有し、かつテトラフルオロエチレンから誘導された少なくとも89重量%の単位、及び少なくとも1つのペルフルオロアルキルアリルエーテル(PAAE)コモノマーから誘導された約0.5~約6重量%の単位、及び1つ以上の共重合性である任意選択のコモノマーから誘導された0~4重量%の単位、を有するテトラフルオロエチレンコポリマー(ポリマーの単位の総量は100重量%になる。)であって、少なくとも1つのPAAEは、一般式:
CF=CF-CF-O-Rf (I)
[式中、Rfは、1~10個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である。]に相当する、テトラフルオロエチレンコポリマーが提供される。
【0005】
本開示の別の態様では、テトラフルオロエチレンコポリマーを含む水性分散体が提供される。
【0006】
更なる態様では、上記のテトラフルオロエチレンコポリマーの製造方法であって、(a)テトラフルオロエチレン、1つ以上のペルフルオロアルキルアリルエーテル、場合により、1つ以上の共重合性である任意選択のコモノマーを、適切な量で水性乳化重合を経て共重合し、テトラフルオロエチレンコポリマーを含有する反応混合物を得ること、ここで、重合は6~12個の炭素原子を有するペルフルオロアルカン酸乳化剤を添加せずに行われる、と、場合により(b)反応混合物を、1つ以上の非フッ素化乳化剤の存在下でアニオン交換処理にかけることと、場合により(c)コポリマーを単離することと、を含む、製造方法が提供される。
【0007】
更に別の態様では、上記のテトラフルオロエチレンコポリマーを溶融物にすることと、溶融したポリマーを成形することと、を含む、成形物品の製造方法が提供される。
【0008】
本開示の別の態様では、上記のテトラフルオロエチレンコポリマーを含む物品が提供される。
【0009】
コポリマーは溶融加工可能であり、6~12個の炭素原子を有する非常に少量の抽出可能なペルフルオロアルカン酸を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願において、「a」又は「an」などの用語は、「1つ以上」を包含することを意味し、用語「少なくとも1つ」と同義で用いられている。
【0011】
成分の量又は物理的/機械的特性を記述するパラメータの全ての数値範囲は、特に断らない限り、これらの範囲の端点と、端点間の非整数値とを含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3.80、4、5などを含む)。
【0012】
本開示のテトラフルオロエチレンコポリマーは、コモノマーとして少なくとも1つのペルフルオロアルキルアリルエーテル(PAAE)を含む。ポリマーは、典型的には、TFEから誘導された少なくとも89重量%の単位、好ましくは少なくとも94重量%(コポリマーの重量に基づいて)を含有する。
【0013】
一実施形態では、コポリマーは、TFE及び1つ以上のペルフルオロアルキルアリルエーテルから誘導された単位のみから本質的になる。本明細書で使用される「から本質的になる」とは、他のコモノマーが存在しないこと、又は1.0重量%未満、好ましくは0.1重量%未満の他のコモノマーから誘導された単位が存在することを指す。
【0014】
好適なペルフルオロアルキルアリルエーテル(PAAE)としては、次の一般式による不飽和エーテルが挙げられる:
CF=CF-CF-ORf (I)
式(I)中、Rfは直鎖状又は分枝状、環状又は非環状ペルフルオロアルキル残基を表す。Rfは、最大10個の炭素原子、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素原子を含んでいてもよい。好ましくは、Rfは最大8個、より好ましくは最大6個の炭素原子、最も好ましくは3又は4個の炭素原子を含む。Rfは直鎖状でも分枝状でもよく、環状単位を含んでいても含んでいなくてもよい。Rfの具体例としては、ペルフルオロメチル(CF)、ペルフルオロエチル(C)、ペルフルオロプロピル(C)及びペルフルオロブチル(C)、好ましくはC、C又はCが挙げられる。特定の実施形態では、Rfは直鎖状であり、C又はCから選択される。
【0015】
上記のようなペルフルオロアルキルアリルエーテルは、例えば、Anles Ltd.(St.Peterburg、Russia)から市販されているか、又は米国特許第4,349,650号(Krespan)に記載の方法に従って、若しくは当業者に知られているその改質によって調製することができる。
【0016】
1つのコモノマーを使用する代わりに、上記のコモノマーの組み合わせもまた使用され得る。
【0017】
テトラフルオロエチレンコポリマーは、典型的には、ポリマーの重量に基づいて約0.5~約6重量%、好ましくは約1.5~4.0重量%の量でPAAEコモノマーから誘導された単位を含有する。いくつかの実施形態では、本開示によるテトラフルオロエチレンコポリマーは、
(i)式(I)中の残基Rfがペルフルオロメチルである場合、少なくとも1つのPAAEコモノマーから誘導された0.5~4.0重量%の単位、又は
(ii)式(I)中の残基Rfがペルフルオロエチルである場合、少なくとも1つのPAAEコモノマーから誘導された0.5~5.0重量%の単位、又は
(iii)式(I)中の残基Rfがペルフルオロプロピル若しくはペルフルオロブチルである場合、少なくとも1つのPAAEコモノマーから誘導された0.5~6.0重量%の単位、又は
(iv)式(I)中の残基Rfが5~10個の炭素原子を含む場合、少なくとも1つのPAAEコモノマーから誘導された1.0~6.0重量%の単位、を有する。
【0018】
本開示の一実施形態では、PAAEコモノマーは、コポリマーの総量に基づいて、0.02~1.9モルパーセント、好ましくは0.2~1.9モルパーセントの総量で使用される。
【0019】
本開示のコポリマーは、場合により、更なるコモノマーから誘導された単位を含有してもよく、それらは本明細書では「共重合性である任意選択のコモノマー」と呼ばれる。共重合性である任意選択のコモノマーから誘導された単位は、本開示によるポリマー中に、コポリマーの重量に基づいて、0~5重量%の量で存在してもよい。そのようなコモノマーは、フッ素化でも非フッ素化でもよいが、好ましくは、フッ素化、塩素化、又は塩素化及びフッ素化である。共重合性である任意選択のコモノマーは、αオレフィン官能性、すなわちCX=CX-基[式中、X、X及びXは、互いに独立してF、Cl又はHであり、ただし、少なくとも1つがH又はFである。]を含む。好ましくは、全てのX、X及びXは、Fである。これらの任意選択のコモノマーは官能性コモノマーであり得、例えばそれらは、例えば分枝部位(「分枝改質剤」)又は極性基若しくは末端基(「極性改質剤」)を導入するための追加の官能基を含み得る。分枝改質剤は、典型的には、第2のαオレフィン基又は分枝状分子それ自体を有する。極性改質剤には、極性基、例えば追加の官能基としての酸基を有するオレフィンが挙げられる。任意選択のコモノマーとしては、他のペルフルオロαオレフィン(ヘキサフルオロプロペン(HFP)等)、又は、部分フッ素化αオレフィン(ビニリデンフルオライド、ビニルフルオライド、若しくはクロロトリフルオロエチレンなどのF及びCl含有オレフィン等)、又は、非フッ素化αオレフィン(エタン若しくはプロペン等)が挙げられる。好ましくは、共重合性である任意選択のコモノマーは使用されていない。共重合性である任意選択のコモノマーが使用される場合、これらのコモノマーは、好ましくはビニルエーテル単位、すなわちCX=CX-O-単位を含まず、X、X及びXは上記のように定義され、そして特にペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、又は、それらは、ポリマーの総重量に基づいて1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満の量でそれらを含有する。
【0020】
本開示の一実施形態では、テトラフルオロエチレンコポリマーは、テトラフルオロエチレンから誘導された94~99重量%の単位、及び、少なくとも1つのPAAEから誘導された1~5重量%の単位、及び、ヘキサフルオロプロペン(HFP)から選択される1つ以上の共重合性である任意選択のコモノマーから誘導された最大6重量%、好ましくは最大4.4重量%の単位、を有する。ポリマー単位の総量は100.0重量%になり、好ましくは、コポリマーはPAVEから誘導されたいかなる単位も含まない。
【0021】
本開示の一実施形態では、コポリマーはTFE及び1つ以上のPAAEから本質的になり、共重合性である任意選択のコモノマーの量は1.0重量%未満又は0重量%である。
【0022】
本開示のコポリマーは、典型的には、約250℃~約326℃の融点を有する。一実施形態では、コポリマーは高融点である。それらは、270℃~326℃、好ましくは286℃~316℃の融点を有し得る。
【0023】
本開示のコポリマーは溶融加工可能である。それらは、典型的には、約0.5~100グラム/10分、好ましくは約0.5グラム/10分~50グラム/10分のメルトフローインデックス(温度372℃及び5kg荷重でのMFI)を有する。本開示の一実施形態では、コポリマーは高融点であり、270℃~326℃の融点及び0.5~19グラム/10分のメルトフローインデックス(372℃及び5kg荷重でのMFI)を有する。本開示の別の実施形態では、コポリマーは低融点であり、250℃~290℃の融点を有し、31グラム/10分~50グラム/10分のメルトフローインデックス(372℃及び5kg荷重でのMFI)を有する。
【0024】
本開示によるポリマーは、抽出可能なペルフルオロアルカン酸を本質的に含まず、特に6~12個の炭素原子を有するような酸は含まない。この文脈における「本質的に含まない」とは、1,000ppb未満、好ましくは500ppb未満、より好ましくは200ppb未満(ポリマーの重量に基づいて)の量を指す。好ましくは、ポリマーはペルフルオロオクタン酸を本質的に含まない。これは、それらが抽出可能なペルフルオロオクタン酸を100ppb未満、好ましくは50ppb未満(ポリマーの重量に基づいて)、例えば2~20ppb(ポリマーの重量に基づいて)の量で含有することを意味する。
【0025】
ペルフルオロアルカン酸は、一般式:
C-(CF)n-COOM (II)
[式中、nは4~10の整数である。]で表すことができる。Mは、遊離酸の場合、Hであり、又は酸が塩として存在する場合、カチオンである。ペルフルオロオクタン酸の場合、nは6であり、炭素原子の合計は8となる(「C-酸」)。
【0026】
抽出は、典型的には、ポリマー試料をメタノールで処理し(50℃で16時間)、液相からポリマーを分離し、分離された(抽出された)液相中の酸の量を求めることによって行われる。
【0027】
したがって、本開示の利点として、良好な機械的特性を有するが、抽出可能なアルカン酸、特にC-酸を本質的に含まないポリマーが提供される。このようなペルフルオロアルカン酸は生分解性が非常に低いので、フルオロポリマー生成物からこれらの材料を除去すること、又はそれらの使用及び形成を完全に回避することが望まれている。ペルフルオロアルカン酸はポリマーの製造に使用されていないが、代替のフッ素化乳化剤が使用されている場合又は乳化剤が使用されていない場合、ペルフルオロアルカン酸(特にペルフルオロC~C12酸)は、一定のテトラフルオロエチレンコポリマーの製造において生成され得ることが見出された。したがって、本開示の利点は、溶融加工可能なTFEコポリマーが、これらの酸の生成を回避することによって調製することができ、かつ製造されたコポリマーがこれらの酸を本質的に含まないことである。
【0028】
コポリマーは、有効量でコモノマーを使用することによって調製することができ、それにより得られたコポリマーは23℃で少なくとも18MPa、例えば20~60MPa(DIN EN ISO527-1)の引張強度を有する。コポリマーは、本明細書に記載の範囲の成分及びその有効量で使用することによって重合することができ、それにより得られたコポリマーは23℃で少なくとも250%(長さ/長さ)、いくつかの実施形態では250~400%(DIN EN ISO527-1)の破断点伸びを有する。コポリマーは、本明細書に記載の範囲の成分及びそれらの有効量を使用することによって重合することができ、それにより得られたコポリマーは23℃で少なくとも520MPa、いくつかの実施形態では520~600MPa(ASTM D790;射出成形バー、127×12.7×3.2mm)の曲げ弾性率を有する。コポリマーが高い耐応力亀裂性を必要とする用途に使用される場合、高い耐応力亀裂性が必要とされない用途に使用されるコポリマーと比較して、ポリマー中へのPAAEコモノマーのより多くの組み込みが必要とされ得る。環境耐応力亀裂性は、ASTM D2176によるMIT耐折性試験における200μmフィルム上の二重折りの回数によって決定することができる。
【0029】
ポリマーの調製方法及びその用途
本明細書に記載のテトラフルオロエチレンコポリマーは、水相中での乳化重合又は懸濁重合によって調製することができる。乳化重合の場合、乳化剤が使用される。懸濁重合の場合、乳化剤は使用されない。乳化重合は、安定な分散体が得られるので好ましい。TFEは、上記の開始剤及びペルフルオロコモノマーの存在下で共重合される。コモノマーは、本明細書に記載の特性を有するコポリマーを製造するために有効量で使用される。有効量は、本明細書に記載され例示された量の範囲内である。
【0030】
典型的には、水性乳化重合ではフッ素化乳化剤が使用されるが、重合はペルフルオロアルカン酸、すなわち式(II)の化合物を全く添加することなく行われ、特に重合はペルフルオロオクタン酸を添加せずに行われる。
【0031】
代替のフッ素化乳化剤又は非フッ素化乳化剤を代わりに使用してもよい。使用時には、フッ素化された代替の乳化剤は、典型的に、達成されるべき固形分(ポリマー含有量)に基づいて0.01重量%~1重量%の量で使用される。好適な代替のフッ素化乳化剤には、一般式:
[R-O-L-COO (III)
[式中、Lは、直鎖状若しくは分枝状又は環状の、部分フッ素化又は完全フッ素化アルキレン基又は脂肪族炭化水素基を表し、Rは、直鎖状又は分枝状の部分フッ素化若しくは完全フッ素化脂肪族基、又はエーテル酸素原子が1回以上介在した直鎖状又は分枝状の部分フッ素化又は完全フッ素化基を表し、X は、価数iを有するカチオンを表し、iは、1、2及び3である。]に相当するものが挙げられる。乳化剤が部分フッ素化脂肪族基を含有する場合、それは部分フッ素化乳化剤と呼ばれる。好ましくは、乳化剤の分子量は1,500g/モル未満である。具体例は、例えば、米国特許公開第2007/0015937号(Hintzerら)に記載されている。例示的な乳化剤としては、CFCFOCFCFOCFCOOH、CHF(CFCOOH、CF(CFCOOH、CFO(CFOCF(CF)COOH、CFCFCHOCFCHOCFCOOH、CFO(CFOCHFCFCOOH、CFO(CFOCFCOOH、CF(CF(CHCFCFCFCFCOOH、CF(CFCH(CFCOOH、CF(CFCOOH、CF(CF(OCF(CF)CF)OCF(CF)COOH、CF(CF(OCFCFOCF(CF)COOH、CFCFO(CFCFO)CFCOOH、及びこれらの塩が挙げられる。
【0032】
一実施形態では、乳化剤、好ましくは部分フッ素化乳化剤の分子量は、1500、1000、又は更には500グラム/モル未満である。
【0033】
水性エマルジョンの安定性を更に改善するために、重合中又は重合後に1つ以上の乳化剤を添加することが好ましい場合がある。
【0034】
乳化剤は、米国特許公開第2008/0015304号(Hintzerら)、国際公開第2008/073251号(Hintzerら)、及び欧州特許第1245596(Kaulbachら)に記載されているように、フッ素化液体を有するマイクロエマルジョンとして添加することができる。
【0035】
代替の乳化剤を使用する代わりに、非フッ素化乳化剤の使用も考えられる。低融点又は高MFIのポリマーが製造される場合、それらは有用であり得る。フルオロポリマーの非フッ素化乳化剤を用いた重合の例は、米国特許公開第2007/0149733号に記載されている。
【0036】
水性乳化重合は、フリーラジカル開始剤又はレドックス型開始剤を用いて開始することができる。TFEの水性乳化重合を開始するための、公知の開始剤又は好適な開始剤のいずれかを使用することができる。好適な開始剤としては、有機開始剤及び無機開始剤が挙げられる。例示的な無機開始剤としては、過硫酸、過マンガン酸又はマンガン酸の、アンモニウム-アルカリ-塩又はアルカリ土類塩が挙げられ、過マンガン酸カリウムが好ましい。過硫酸塩開始剤、例えば過硫酸アンモニウム(APS)を単独で使用してもよく、又は還元剤と組み合わせて使用してもよい。還元剤は、典型的には、過硫酸塩開始剤の半減期を短縮する。更に、例えば銅、鉄、又は銀塩などの金属塩触媒を添加することができる。
【0037】
重合開始剤の量は適宜選択できるが、通常、重合に用いられる水の質量に基づいて、2~600ppmである。テトラフルオロエチレンコポリマーのMFIを調整するための量の、重合開始剤を使用することができる。少量の開始剤を使用する場合、低いMFIが得られる場合がある。MFIは、連鎖移動剤を使用することによって、調整することも、追加的に調整することもできる。典型的な連鎖移動剤には、エタン、プロパン、ブタン、エタノール若しくはメタノールなどのアルコール、又はジメチルエーテル、第三級ブチルエーテル、メチル第三級ブチルエーテルなどの、ただしこれらに限定されないエーテルが挙げられる。ペルフルオロコモノマーの量及び種類もまた、得られるポリマーの融点に影響を及ぼし得る。
【0038】
水性乳化重合系は、いくつかの開始剤が特定のpH範囲内で最も効果的ということから緩衝剤、及び錯形成剤などの補助剤を更に含んでもよい。ポリマーラテックスのより高いコロイド安定性を確保するために、補助剤の量をできるだけ少なく保つことが好ましい。
【0039】
重合は、TFEとコモノマーとを同時に重合することによって実施することが好ましい。典型的には、反応容器に成分を仕込んで、開始剤を活性化することにより反応を開始する。一実施形態では、TFE及びコモノマーは、その後、反応が開始した後に反応容器に連続的に供給される。それらは、一定のTFE:コモノマー比で又は変動するTFE:コモノマー比で連続的に供給することができる。
【0040】
別の実施形態では、シード重合を使用して、テトラフルオロエチレンコポリマーを製造することができる。シード粒子の組成がシード粒子上に形成されるポリマーと異なる場合、コアシェルポリマーが形成される。すなわち、重合は、フルオロポリマーの小粒子、典型的には、TFEと単独重合されているか、又はTFEを1つ以上のペルフルオロコモノマーと上述のように共重合することによって製造された小さなPTFE粒子の存在下で開始される。これらのシード粒子は、典型的には、50~100nm又は50~150nm(ナノメートル)の平均直径(D50)を有する。そのようなシード粒子は、例えば、別々の水性乳化重合において製造することができる。それらは、水性乳化重合における水の重量に基づいて20~50重量%の量で使用されてもよい。したがって、このようにして製造された粒子は、TFEのホモポリマーのコア又はTFEのコポリマーのコアと、TFEのホモポリマー又はTFEのコポリマーのいずれかを含む外側シェルと、を含み得る。ポリマー組成が状況に応じて変化する場合、ポリマーはまた1つ以上の中間シェルを有してもよい。シード粒子を使用することで、得られる粒子サイズ及びコア又はシェル中のTFEの量を変える能力に対するより良い制御を可能にし得る。シード粒子を用いたこのようなTFEの重合は、例えば、米国特許第4,391,940号(Kuhlsら)又は国際公開第03/059992(A1)号に記載されている。
【0041】
水性乳化重合は、シード粒子の有無にかかわらず、少なくとも65℃、好ましくは少なくとも70℃の温度で行われることが好ましい。温度をより低くすると、必要なコモノマー含有量に達するのに十分な量のPAAEをポリマーに導入することができない場合がある。上限温度としては、典型的には、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、又は更には150℃の温度を挙げることができる。
【0042】
重合は、少なくとも0.5、1.0、1.5、1.75、2.0、又は更には2.5MPa(メガパスカル);最大で2.25、2.5、3.0、3.5、3.75、4.0、又は更には4.5MPaの圧力で行われることが好ましい。
【0043】
水性乳化重合は、通常、水性エマルジョン中のポリマー粒子の濃度が、少なくとも15、20、25、又は更には30重量%;最大で20、30、35、40、又は更には50重量%(「固形分」とも呼ばれる)になるまで行われる。
【0044】
得られた分散体において、ポリマー粒子(すなわち一次粒子)の平均粒子サイズは少なくとも50、100、又は更には150nm;最大で250、275、300、又は更には350nm(D50)である。分散体の粒子サイズは、非弾性光散乱によって求めることができる。
【0045】
本開示の一実施形態では、コポリマーは、例えばコーティング用途において、水性分散体の形態で提供される。
【0046】
ポリマー分散体はまた、例えば異なる分散体を混合することによって、例えば1つ以上のPTFE分散体と混合することによって、二峰性及び多峰性の粒子サイズ分布を有する分散体を調製するために使用することができる。これらの分布は、例えば、米国特許第5,576,381号、欧州特許第0990009(B1)号及び同第969055(A1)号に開示されているように20nm~1000nmの範囲の粒子サイズなどの広い分布を有することができる。多峰性フルオロポリマー粒子分散体は、基材へのより良好な接着性及びより高密度のフィルム形成など、コーティングにおいて有利な特性を示し得る。
【0047】
重合反応終了後、分散体をアニオン交換により処理して、所望の場合に代替のフッ素化乳化剤を除去することができる。アニオン交換及びノニオン性乳化剤の添加により分散体から乳化剤を除去する方法が、例えば欧州特許第1155055(B1)号に開示されており、高分子電解質の添加による方法が、国際公開第2007/142888号に開示されており、又は、ノニオン性安定剤(ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル等)の添加による方法が、開示されている。
【0048】
分散体中のフルオロポリマー含有量は、例えば米国特許第4,369,266号に記載されているような限外濾過の使用により、又は(例えば米国特許第3,037,953号に記載されている)熱デカンテーションにより、若しくは電気デカンテーションにより濃縮することで増加させることができる。高濃縮させた(upconcentrated)分散体の固形分は、典型的には約50~約70重量%である。
【0049】
典型的には、代替のフッ素化乳化剤の量を低減する処理を受けた分散体は、例えば分散体の総重量に基づいて約1~約500ppm(又は2~200ppm)の量など、その低減した量を含む。代替のフッ素化乳化剤の量の低減は、個々の分散体又は組み合わせた分散体(例えば、二峰性分散体又は多峰性分散体)に対して行うことができる。典型的には、分散体はイオン交換された分散体であり、これは、分散体からフッ素化乳化剤又は他の化合物を除去するために、それらをアニオン交換プロセスにかけていることを意味する。この処理によりペルフルオロアルカン酸を含むフッ素化乳化剤が除去されるが、この処理は、コポリマーの重量に基づいて1,000又は500ppb未満、又は更には100ppb未満、又は更には30ppb未満の抽出可能なアルカン酸のレベルまでポリマーの製造中に生成するペルフルオロアルカン酸を除去するのに有効ではないと考えられる。それ故、低量の抽出可能なペルフルオロアルカン酸を有するポリマーを提供することで、大きな利点がもたらされる。
【0050】
特に分散体がコーティング用途に使用される場合、塩又はイオン性乳化剤を分散体に添加して、それらの特性を調整することができる。例えば、伝導性のレベルは、国際公開第03/020836号に開示されているように、アニオン性非フッ素化界面活性剤を分散体に添加することによって調整することができる。例えば国際公開第2006/069101号に記載されているように、分散体にカチオン性乳化剤を添加することも可能である。
【0051】
使用され得る典型的なアニオン性非フッ素化界面活性剤としては、酸性基、特にスルホン酸基又はカルボン酸基を有する界面活性剤が挙げられる。
【0052】
非フッ素化ノニオン性界面活性剤も、例えば、フッ素化乳化剤を除去するためのイオン交換プロセスの結果として、又は分散体の安定性を高めるためにノニオン性乳化剤が添加されている場合の濃縮プロセスの結果として分散体中に存在し得る。ノニオン性界面活性剤の例は、アルキルアリールポリエトキシアルコール(好ましくはないが)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル界面活性剤、及びアルコキシル化アセチレンジオール、好ましくはエトキシル化アセチレンジオール、並びにそのような界面活性剤の混合物の群から選択することができる。
【0053】
特定の実施形態では、ノニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤の混合物は、次の一般式:
O-X-R (IV)
[式中、Rは、直鎖状又は分枝状の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、1つ以上のカテナリー酸素原子を含有し得、少なくとも8個の炭素原子、好ましくは8個~18個の炭素原子を有する。]に対応する。好ましい実施形態では、残基Rは、残基(R’)(R’’)C-[式中、R’及びR’’は、同一であっても異なっていてもよい、直鎖状、分枝状又は環状アルキル基である。]に対応する。Rは、水素又はC~Cアルキル基を表す。Xは、1個以上のプロポキシ単位もまた含有し得る、複数のエトキシ単位を表す。例えば、Xは-[CHCHO]-[RO]-Rを表し得る。Rは3個の炭素原子を有するアルキレンを表す。nは、0~40の値を有し、mは、0~40の値を有し、n+mの合計は、少なくとも2である。上記一般式が、混合物を表す場合、n及びmは、対応する基の平均量を表す。また、上記式が混合物を表す場合、脂肪族基R中の炭素原子の表示量は、界面活性剤混合物中の炭化水素基の平均長を表す平均数であり得る。市販のノニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤の混合物としては、Clariant GmbHから商品名GENAPOL、例えばGENAPOL X-080及びGENAPOL PF40等で入手可能なものが挙げられる。市販されている更なる好適なノニオン性界面活性剤としては、Dow Chemical Companyの商品名Tergitol TMN6、Tergitol TMN100X、及びTergitol TMN10のものが挙げられる。エトキシル化アミン及びアミンオキサイドも乳化剤として使用することができる。
【0054】
典型的な量は分散体の重量に基づいて1~12重量%である。
【0055】
ノニオン性界面活性剤の他の例としては、例えば国際公開第2011/014715(A2)号(Zippliesら)に記載されているような、グリコシド界面活性剤などの糖界面活性剤が挙げられる。
【0056】
ノニオン性界面活性剤の別のクラスとしては、ポリソルベートが挙げられる。ポリソルベートとしては、エトキシル化、プロポキシル化、又はアルコキシル化ソルビタンが挙げられ、直鎖状、環状、又は分枝状アルキル残基、例えば限定されるものではないが脂肪族アルコール又は脂肪酸残基などを更に含み得る。有用なポリソルベートとしては、商品名Polysorbate20、Polysorbate40、Polysorbate60、及びPolysorbate80で入手可能なものが挙げられる。Polysorbate20は、ソルビトール及びソルビトール無水物1モル当たりおよそ20モルのエチレンオキサイドを有する、ソルビトール及びその無水物のラウリン酸エステルである。Polysorbate40は、ソルビトール及びソルビトール無水物1モル当たりおよそ20モルのエチレンオキサイドを有する、ソルビトール及びその無水物のパルミチン酸エステルである。Polysorbate60は、ソルビトール及びソルビトール無水物1モル当たりおよそ20モルのエチレンオキサイドを有する、ソルビトール及びその無水物の、ステアリン酸エステルとパルミチン酸エステルとの混合物である。
【0057】
ポリアニオン性化合物(例えば、ポリアニオン性ポリアクリレート)などの高分子電解質もまた、上記の界面活性剤に加えて又はその代わりに分散体に添加することができる。
【0058】
分散体は、分散体を基材上にコーティング又は含浸するときに、有益であり得る成分、例えば接着促進剤、摩擦低減剤、顔料などを更に含み得る。任意選択の構成成分としては、例えば、様々な用途に必要とされる又は望まれることがあるような、緩衝剤及び酸化剤が挙げられる。
【0059】
本開示によるコポリマーを含む分散体は、金属、フルオロポリマー層などの様々な基材をコーティングするためのコーティング組成物を製造するために使用することができる。それらはまた、例えばガラス繊維ベースの布地などの布地をコーティングするために使用されてもよい。そのような布地は建築用布地として使用することができる。概ね、フルオロポリマー分散体は、最終コーティング組成物を製造するために典型的に使用される更なる構成成分とブレンドすることができる。そのような更なる構成成分は、トルエン、キシレンなどの有機溶媒中に溶解又は分散させることができる。最終コーティング組成物に使用される典型的な構成成分としては、ポリアミドイミド、ポリイミド又はポリアリーレンサルファイドなどのポリマー、又は炭化ケイ素などの無機炭化物、及び金属酸化物が挙げられる。それらは、典型的には、耐熱接着促進剤又はプライマーとして使用される。最終コーティング組成物を得るために、顔料及び雲母粒子などのなおも更なる成分を同様に添加することができる。フルオロポリマー分散体は、典型的には、最終組成物の約10~80重量%を占める。金属コーティングのためのコーティング組成物及びそれに使用される構成成分についての詳細は、例えば、国際公開第02/78862号、同第94/14904号、欧州特許第1016466(A1)号、独国特許第2714593(A1)号、欧州特許第0329154(A1)号、国際公開第0044576号、及び米国特許第3,489,595号に記載されている。
【0060】
フルオロポリマー分散体は、例えば、基材を積層、コーティング及び/又は含浸するために使用することができる。基材又はその処理された表面は、無機材料でも有機材料でもよい。基材は、例えば、繊維、布地、顆粒又は層であり得る。典型的な基材としては、有機繊維又は無機繊維、好ましくはガラス繊維、有機布地又は無機布地、顆粒(ポリマービーズなど)、及び、例えばフルオロポリマーをはじめとする1つ以上の有機ポリマーを含有する層が挙げられる。布地は織布でも不織布でもよい。基材はまた、金属表面又はフルオロポリマー表面若しくはフルオロポリマー層を含有する金属又は物品でもよく、限定はしないがPTFE表面又はPTFE層などであり得る。好ましい実施形態では、コポリマーは、コーティング、例えば金属表面の防食コーティング又は低摩擦コーティングを提供するためのPTFE分散体用の添加剤として使用される。
【0061】
フルオロポリマーは溶融加工にも使用することができ、固体として加工される。溶融加工及び成形物品の製造のためには、テトラフルオロエチレンコポリマーは乾燥形態で使用されるため、分散体から分離されなければならない。本明細書に記載のテトラフルオロエチレンコポリマーは、当技術分野で公知の方法によって水性分散体からそれらを意図的に凝固させることによって収集することができる。一実施形態では、水性エマルジョンを高剪断速度で撹拌して、ポリマーを意図的に凝固させる。他の塩を含まない方法としては、鉱酸の添加が挙げられる。塩含有量が問題にならない場合は、例えば塩化物塩又は炭酸アンモニウムなどの塩を凝固剤として添加することができる。トルエン、キシレン等のような炭化水素などの凝集剤を添加して粒子サイズを大きくし、粒塊を形成することができる。凝集により、約0.5~1.5mmのサイズを有する粒子(二次粒子)が生じ得る。
【0062】
凝固したポリマー粒子及び/又は凝集したポリマー粒子の乾燥は、例えば100℃~300℃の温度で実施することができる。凝固粒子の粒子サイズは電子顕微鏡によって求めることができる。平均粒子サイズは、標準粒子サイズ測定ソフトウェアによる数平均として表すことができる。溶融ペレット化することによって粒子サイズを更に大きくすることができる。溶融ペレットは、少なくとも2mm、典型的には約2~約10mmの粒子サイズ(最長直径)を有することができる。
【0063】
凝固したフルオロポリマー又は溶融ペレットは、熱的に不安定な末端基を除去するために、当該技術分野で知られているフッ素化処理にかけられてもよい。不安定な末端基としては、-CONH、-COF及び-COOH基が挙げられる。フッ素化は、これらの末端基の総数を、ポリマー主鎖中の10個の炭素原子当たり100個未満又は50個未満に減少させるように行われてもよい。好適なフッ素化の方法は、例えば、米国特許第4,743,658号又は独国特許第19547909(A1)号に記載されている。末端基の量は、例えば、欧州特許第226668(A1)号に記載されているようにIR分光法によって求めることができる。本開示の別の利点は、重合によって得られたポリマーが、主に-COOH末端基及び少量の-COF末端基を有することである。これにより、-COOH末端基が-COF末端基よりも迅速に変換されるため、より容易で効果的なフッ素化が可能になる。
【0064】
成形物品を製造するために、テトラフルオロエチレンコポリマーを(場合によりペレット化した後に)溶融させ、次いで例えば射出成形、ブロー成形、溶融押出し、溶融紡糸、トランスファー成形等によって、溶融体から成形物品に加工する。添加剤は溶融加工の前又は溶融加工中に添加することができる。そのような物品としては、例えば、繊維、フィルム、Oリング、容器、チューブ、ホース若しくは容器の内側ライニング又はワイヤの外側ライニング、ケーブル、ポンプの構成部品、ハウジングなどが挙げられる。コポリマーは、典型的には良好な離型特性を示す。すなわち、加工装置(例えば金型)から容易にそれらを取り出すことができる。
【0065】
本発明の利点及び実施形態を実施例で更に例示する。しかしながら実施例は、本開示を提示された実施例に限定することを意味しない。本開示は、特許請求の範囲内の他の材料、範囲及び実施形態で実施することができる。
【0066】
特記しない限り、全ての部分及び百分率は、他に指示がない限り、重量基準であり、100重量%である組成物の総重量に基づく。その組成物の全成分の量は合計で100重量%になる。
【実施例
【0067】
方法
方法の説明がDIN、ASTM、ISOなどの規格を参照している場合、及び規格が発行された年が示されていない場合は、2015年に施行されたバージョンを意味する。例えば、規格が更新されていないか又は失効しているという理由で2015年に施行されていたバージョンがすでに存在しない場合は、2015年に最も近い日付で施行されたバージョンを使用するものとする。
【0068】
メルトフローインデックス:
DIN53735、ISO12086又はASTM D-1238に従って5.0kgの支持重量で、g/10分で報告されるメルトフローインデックス(MFI)を測定した。MFIを、直径2.1mm、長さ8.0mmの標準化された押出ダイを用いて得た。特記しない限り、372℃の温度を適用した。
【0069】
融解ピーク:
ASTM4591に従って、窒素流下及び10℃/分の加熱速度で、Perkin-Elmer DSC7.0を用いて、フッ素樹脂の融解ピークを測定した。示された融点は最大融解ピークに関連する。
【0070】
粒子サイズ測定:
ラテックス粒子サイズの測定は、ISO/DIS13321に従って、Malvern Zetazizer1000HSAを用いた動的光散乱によって行うことができる。粒子サイズは、体積平均として求められ、D50として表される。測定前に、重合から得られるポリマーラテックスを0.001mol/LのKCl溶液で希釈し、測定温度は全ての場合において20℃とした。
【0071】
ペルフルオロアルカン酸の抽出:
分散体の固形分に基づいて25ppbの濃度で、サロゲート回収標準(surrogate recovery standard、SRS)13-PFOA(13C同位体で置換した4個の炭素原子を有するペルフルオロオクタン酸;Campro Scientific GmbH(Berlin,Germany)から市販されている)を加えた後、ポリマーラテックス(重合後に得られた分散体)を、凍結乾燥して水分を除去した。1gの凍結乾燥ポリマー材料を、バイアル中で3mLのメタノールと共に、250rpmの撹拌速度及び50℃の温度にて16時間処理し、ペルフルオロアルカン酸を抽出した。混合物を遠心分離し(4400rpmで約10分)、上清のアリコートを2mLオートサンプラーバイアルに移した。
【0072】
分析物の典型的なトランジション(例えばPFOAの場合はm/z413→369)を使用して、負の多重反応モード(Multiple Reaction Mode、MRM)にて、三連四重極質量分析計(例えば、Agilent6460又はABSciex API4000QQQ-MS)と組み合わせた逆相HPLCでペルフルオロカルボン酸について、抽出物を分析した。Agilent C18カラム(Zorbax Eclipse XDB-C18 4.6×50mm 1.8μm)を備えたHPLC(Agilent 1200又は1260)を、50℃で高純度の水及びメタノールを用いて、勾配モードで実施した。LC-MSグレードであった両方の溶媒を、10mmolアンモニウムアセテート(15%MeOH→100%MeOHの勾配)で修飾した。メタノール抽出物中0.5~200ng/mL分析物の較正範囲で、同等又は類似の同位体標識内部標準(例えば、Campro Scientific GmbH(Berlin,Germany)から入手可能なPFOAの内部標準としての13-PFOA)を使用して、分析物を定量した。その結果、ポリマーに関連した定量下限(lower level of quantification、LLOQ)は1.5ppb、そして定量上限(upper limit of quantification、ULOQ)は600ppbであった。ULOQよりも高い濃度の分析物を、メタノールで較正範囲に希釈し、分析を繰り返した。ペルフルオロC~C12-カルボン酸(CF-(CF)-COOH;n=4~10)の量をこのようにして求めた。
【0073】
分散体以外のポリマー試料、例えば溶融ペレットの場合、この方法は同様にして実施することができる(1gのポリマー試料及び3mLのメタノールを使用する)。必要に応じて、試料中のポリマーのサイズにより、試料を250μm未満の粒子サイズに粉砕することができる(例えば、DIN38414-14に準拠)。
【0074】
固形分:
分散体の固形分(フルオロポリマー含有量)は、ISO12086に従って、重量測定で決定できる。不揮発性無機塩の補正は行われていない。ポリマー分散体の固形分をポリマー含有量とする。
【0075】
コモノマー含有量:
固体状態NMR(実施例で使用される方法)によって、ポリマーのコモノマー含有量を測定した。クロスインテグレーション標準(cross-integration standard)として少量の2,2-ビス(4-メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いて、試料を3.2mmローターに詰めた。ローター中のフルオロポリマースペーサーの代わりにケイソウ土を使用した。スペクトルは、180℃、18kHz MASで、3.2mmのVarian HFXY MASプローブを備えたVarian400MHz NMRS固体状態NMR分光計で収集した。Hスペクトルは、19Fスペクトルの前後に収集した。
【0076】
あるいは、記載されているポリマー中のコモノマー含有量は、Thermo Nicolet Nexus FT-IR分光計を用いた赤外分光法によって求めることができる。次いで、コモノマー含有量は、0.343×(2365cm-1の吸光度に対する999cm-1の吸光度の比率)として計算することができる(米国特許第6,395,848号を比較のこと)。存在する場合、HFPコモノマー含有量は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,675,380号に記載されているように求めることができる。
【0077】
実施例1
インペラー撹拌システムを備えた全量48.5リットルの重合容器に、脱イオン水29リットルと、プロピオン酸2,2,3-トリフルオロ-3-[1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメトキシ)プロポキシ]-アンモニウム塩の30%水溶液210gとを仕込んだ。次いで、無酸素容器を63℃まで加熱し、撹拌システムを230rpmに設定した。容器に110ミリバールのエタン連鎖移動剤及び238gのCF=CF-CF-O-C(MA-3)を仕込んだ。次に反応器を、テトラフルオロエチレン(TFE)で13.0バールの絶対反応圧力まで加圧した。その後、1.3gの過硫酸アンモニウム(水に溶解)によって重合を開始した。反応が始まると、供給比MA-3(kg)/TFE(kg)を0.048として、気相中にTFE及びMA-3を供給することによって13.0バールの反応絶対圧力を維持し、また63℃の反応温度を維持した。277分の重合時間で12.2kgのTFEを供給した後、モノマー供給を中断し、モノマー弁を閉じた。圧力を解放し、反応器を窒素でパージし、そして29.8%の固形分を有するポリマー分散体を反応器の底部で取り出した。動的光散乱によると、ラテックス粒子は直径95nmを示した。ラテックスの試料を凍結乾燥し、分析したところ、アルカン酸について以下の結果が得られた:C 18ppb;C 約2ppb;C 約2ppb;C 約7ppb;C10 約3ppb;C11 約2ppb;C12 約2ppb。
【0078】
この分散体の別の量1000mLを、-18℃で、冷凍機中にて一晩凍結凝固した。解凍後、そのようにして得られた粒塊を、激しく撹拌しながら脱イオン水で5回洗浄し、次いでオーブン中130℃で12時間乾燥させた。このようにして得られたポリマーは、最高322℃の融点及び1.9g/10分のMFI(372/5)を示した。化学組成を19F固体状態NMRにより評価したところ、コポリマーは1.1重量%のMA-3を含有することが示された。
【0079】
実施例2
本質的に参考とする実施例1の手順に従って、ただし63℃でなく90℃の反応温度を使用して、TFE及びMA-3(CF=CF-CF-O-C)を重合することによってPFAを調製した。重合が完了した後、ラテックスの試料を凍結乾燥し、単離したポリマーを分析した(MFI:2.2g/10分、融点305℃;2.8重量%のMA-3)。ペルフルオロアルカン酸の含有量は以下のとおりであった:C 20ppb,C 約3ppb,C <2ppb,C 約8ppb,C10 約3ppb,C11 約3ppb,C12 約3ppb。
【0080】
比較例
MA-3の代わりにPPVE(CF=CF-O-C)を使用する以外は本質的に実施例1の手順に従って、63℃、40Lケトル中でPFAポリマーを調製した。重合が完了した後、ラテックスの試料を凍結乾燥し分析した。ポリマーは、2.0g/10分のMFI、308℃の融点を有し、4.1重量%のPPVEを含有していた。ペルフルオロアルカン酸の含有量は以下のとおりであった:
470ppb;C 約510ppb;C 約30ppb;C 約2100ppb;C10 約320ppb;C11 約4000ppb;C12 約280ppb。
【0081】
例示的な実施形態は以下のものを含む。
【0082】
実施形態1.約250℃~約326℃の融点、0.5~50グラム/10分のメルトフローインデックス(372℃及び5kg荷重でのMFI)を有し、かつテトラフルオロエチレンから誘導された少なくとも89重量%の単位、及び少なくとも1つのペルフルオロアルキルアリルエーテル(PAAE)コモノマーから誘導された約0.5~約6重量%の単位、及び1つ以上の共重合性である任意選択のコモノマーから誘導された0~4重量%の単位、を有するテトラフルオロエチレンコポリマー(ポリマーの総重量は100重量%になる。)であって、少なくとも1つのPAAEは、一般式:
CF=CF-CF-O-Rf (I)
[式中、Rfは、1~10個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である。]に相当する、テトラフルオロエチレンコポリマー。
【0083】
実施形態2.式(I)中のRfが、ペルフルオロメチル(CF)、ペルフルオロエチル(C)、ペルフルオロプロピル(C)及びペルフルオロブチル(C)、好ましくはC、C又はCからなる群から選択されるペルフルオロアルキル単位、に相当する、実施形態1に記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【0084】
実施形態3.Rfが直鎖状であり、C又はCから選択される、実施形態1又は2に記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【0085】
実施形態4.286℃~326℃の融点を有する、実施形態1~3のいずれか1つに記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【0086】
実施形態5.250℃~290℃の融点及び31~50グラム/10分のメルトフローインデックス(372℃及び5kg荷重でのMFI)を有する、実施形態1~3のいずれか1つに記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【0087】
実施形態6.(i)式(I)中の残基Rfがペルフルオロメチルである場合、少なくとも1つのPAAEコモノマーから誘導された0.5~4.0重量%の単位、又は
(ii)式(I)中の残基Rfがペルフルオロエチルである場合、少なくとも1つのPAAEコモノマーから誘導された0.5~5.0重量%の単位、又は
(iii)式(I)中の残基Rfがペルフルオロプロピル若しくはペルフルオロブチルである場合、少なくとも1つのPAAEコモノマーから誘導された0.5~6.0重量%の単位、又は
(iv)式(I)中の残基Rfが5~10個の炭素原子を含む場合、少なくとも1つのPAAEコモノマーから誘導された1.0~6.0重量%の単位、
を有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【0088】
実施形態7.ペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)コモノマーから誘導された単位を有さない、実施形態1~6のいずれか1つに記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【0089】
実施形態8.テトラフルオロエチレンから誘導された94~99重量%の単位、及び、少なくとも1つのPAAEから誘導された1~5重量%の単位、及び、ヘキサフルオロプロペン(HFP)から選択される1つ以上の共重合性である任意選択のコモノマーから誘導された最大6重量%、好ましくは最大4.4重量%の単位、を有する、実施形態1~7のいずれか1つに記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【0090】
実施形態9.温度50℃で16時間、3mLのメタノールで1.0のコポリマーを抽出することによって求めたときのコポリマーの量に基づいて、500ppb未満の総抽出可能量のペルフルオロC~C12アルカンカルボン酸を有する、実施形態1~8のいずれか1つに記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【0091】
実施形態10.実施形態1~9のいずれか1つに記載のテトラフルオロエチレンコポリマーを含む、水性分散体。
【0092】
実施形態11.一般式:
[R-O-L-COOi+ (II)
[式中、Lは、直鎖状若しくは分枝状又は環状の、部分フッ素化又は完全フッ素化アルキレン基又は脂肪族炭化水素基を表し、Rは、部分フッ素化若しくは完全フッ素化脂肪族基、又は酸素エーテル原子が1回以上介在した部分フッ素化若しくは完全フッ素化脂肪族基を表し、Xi+は、価数iを有するカチオンを表し、iは、1、2及び3である。]に相当する1つ以上のフッ素化界面活性剤を更に含む、実施形態10に記載の水性分散体。
【0093】
実施形態12.溶融ペレット又は顆粒の形態である、実施形態1~9のいずれか1つに記載のテトラフルオロエチレンコポリマー。
【0094】
実施形態13.実施形態1~9のいずれか1つに記載のテトラフルオロエチレンコポリマーの製造方法であって、
(a)テトラフルオロエチレン、1つ以上のペルフルオロアルキルアリルエーテル、場合により、1つ以上の共重合性である任意選択のコモノマーを、適切な量で水性乳化重合を経て共重合し、テトラフルオロエチレンコポリマーを含有する反応混合物を得ること、ここで、重合は6~12個の炭素原子を有するペルフルオロアルカン酸乳化剤を添加せずに行われる、と、場合により(b)反応混合物を、1つ以上の非フッ素化乳化剤の存在下でアニオン交換処理にかけることと、場合により(c)コポリマーを単離することと、を含む、製造方法。
【0095】
実施形態14.実施形態1~9のいずれか1つに記載のテトラフルオロエチレンコポリマーを溶融物にすることと、溶融したポリマーを成形することと、を含む、成形物品の製造方法。
【0096】
実施形態15.実施形態1~9のいずれか1つに記載のテトラフルオロエチレンコポリマーを含む、物品。
【0097】
実施形態16.フィルム、チューブ、ホース、ケーブル、ポンプの構成部品及びトランスファー成形物品からなる群から選択される、実施形態15に記載の物品。
【0098】
実施形態17.物品がコーティングを含み、コーティングがテトラフルオロエチレンのポリマーを含む、実施形態15に記載の物品。