(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】電子装置、電子システム、経路探索方法および経路案内プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20220308BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20220308BHJP
【FI】
G01C21/34
B60L3/00 S
(21)【出願番号】P 2018042183
(22)【出願日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】青砥 秀和
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 元
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-015462(JP,A)
【文献】特開2000-205878(JP,A)
【文献】特開2010-170259(JP,A)
【文献】特開2013-242200(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0026512(US,A1)
【文献】特開2014-240757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション機能を有する電子装置であって、
ユーザからの指示に応じて目的地を設定する設定手段と、
前記設定手段により目的地が設定されたとき、目的地までの経路を探索する探索手段と、
前記探索手段により探索された経路上に充電道路を含む充電施設が存在しているか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段により充電施設が検出された場合に、
当該充電施設を回避した経路を前記探索手段に探索させる探索制御手段と、
経路上に充電施設が存在していることが検出されない場合、充電施設が存在しない経路を案内し、経路上に充電施設が存在していることが検出された場合、前記充電施設を回避した経路
を案内可能な案内手段
とを有し、
前記案内手段はさらに、前記充電施設を含む経路の経路コストが前記充電施設を回避した経路の経路コストよりも高いか否かを判定し、前記充電施設を回避した経路の経路コストが高くないと判定した場合に前記充電施設を回避した経路を案内する、電子装置。
【請求項2】
前記案内手段は、
経路のコストとして前記充電施設を回避した経路における走行時間が前記充電施設を含む経路の走行時間に比べて所定値以下の場合に、前記充電施設を回避した経路の案内を行う、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記案内手段は、
経路のコストとして前記充電施設を回避した経路を走行したときの電力消費量が前記充電施設を含む経路を走行したときの電力消費量に比べて所定値以下の場合に、前記充電施設を回避した経路の案内を行う、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
電子装置はさらに、
前記案内手段により前記充電施設を回避した経路の経路コストが高くないと判定されたことに応答してバッテリ残量を取得するバッテリ残量取得手段を含み、前記案内手段は、
取得されたバッテリ残量に基づき前記充電施設を回避した経路を走行
可能か否かを判定し、走行可能と判定した場合に前記充電施設を回避した経路
を案内する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記案内手段は、前記充電施設を回避した経路の経路コストが高いと判定した場合、探索した経路の充電車線情報を取得し、取得した充電車線情報に基づき探索した経路の充電車線を回避した経路を案内する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記案内手段は、走行可能でないと判定した場合、充電車線情報を取得し、取得した充電車線情報に基づき探索した経路の充電車線を回避した経路を案内する、請求項
4に記載の電子装置。
【請求項7】
前記充電施設は、前記電気自動車の走行中にバッテリへの非接触充電を可能にする充電道路を含む、請求項1ないし5いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項8】
電子装置はさらに、充電施設の位置情報を少なくとも含む充電施設情報を取得する取得手段を含み、前記検出手段は、前記取得手段より取得した充電施設情報に基づいて充電施設の検出を行う、請求項1ないし6いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項9】
前記充電施設情報は、充電道路の利用によるバッテリへの充電量に関する情報を含み、前記探索制御手段は、前記充電施設情報によりバッテリの充電量が所定値以上になるような一部充電道路を経由する充電道路を回避した経路を探索させる、請求項4ないし7いずれか1つに記載の電子装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れかに記載の電子装置と、
前記電子装置に対し充電施設情報を配信するサーバを含み、
前記取得手段は、前記サーバから前記充電施設情報を取得する、電子システム。
【請求項11】
入力手段、制御手段および出力手段を備えた電子装置が実行する経路案内プログラムであって、
前記入力手段を介してユーザからの指示に応じて目的地を設定するステップと、
前記目的地が設定されたとき、前記制御手段により目的地までの経路を探索するステップと、
前記制御手段により探索された経路上に充電道路を含む充電施設が存在しているか検出するステップと、
前記充電施設が検出された場合に、前記制御
手段により充電施設を回避した経路を探索するステップと、
経路上に充電施設が存在していることが検出されない場合、前記出力手段により充電施設が存在しない索経路を案内し、経路上に充電施設が存在していることが検出された場合、前記出力手段により前記充電施設を回避した経路を案内
可能なステップと
を備え、
前記案内するステップはさらに、前記充電施設を含む経路の経路コストが前記充電施設を回避した経路の経路コストよりも高いか否かを判定し、前記充電施設を回避した経路の経路コストが高くないと判定した場合に前記充電施設を回避した経路を案内し、前記充電施設を回避した経路の経路コストが高いと判定した場合に探索した経路の充電車線情報を取得し、取得した充電車線情報に基づき探索した経路の充電車線を回避した経路を案内する、経路案内プログラム。
【請求項12】
入力手段、制御手段および出力手段を備えた電子装置における経路案内方法であって、
前記入力手段を介してユーザからの指示に応じて目的地を設定するステップと、
前記目的地が設定されたとき、前記制御手段により目的地までの経路を探索するステップと、
前記制御手段により探索された経路上に充電道路を含む充電施設が存在しているか検出するステップと、
前記充電施設が検出された場合に、前記制御
手段により充電施設を回避した経路を探索するステップと、
経路上に充電施設が存在していることが検出されない場合、前記出力手段により充電施設が存在しない経路を案内し、経路上に充電施設が存在していることが検出された場合、前記出力手段により前記充電施設を回避した経路を案内
可能なステップと
を備え、
前記案内するステップはさらに、前記充電施設を含む経路の経路コストが前記充電施設を回避した経路の経路コストよりも高いか否かを判定し、前記充電施設を回避した経路の経路コストが高くないと判定した場合に前記充電施設を回避した経路を案内し、前記充電施設を回避した経路の経路コストが高いと判定した場合に探索した経路の充電車線情報を取得し、取得した充電車線情報に基づき探索した経路の充電車線を回避した経路を案内する、経路案内方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション機能を備えた車載装置に関し、特に充電道路を考慮した誘導経路の案内に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車(EV)が実用化されるとともに徐々に普及し始めている。電気自動車は搭載されているバッテリが不足すると充電する必要があり、その場合は、充電スタンドなどの充電設備が設置された施設に立ち寄り充電を行っていた。また、最近では、道路の走行レーンに沿って充電道路を設け、この充電道路を走行することで電気自動車のバッテリを非接触で充電する技術が開示されており、交差点の手前付近、登板路などの特定区間や高速道路など、比較的に高い充電効率が望めかつインフラ設備に適した道路区画への設置が計画されている。この充電道路を用いることで、走行しながら効率的に充電をすることが可能になる。
【0003】
特許文献1は、目的地までの経路を探索可能なナビゲーション装置であって、目的地に向かう途中で車両を充電する経路を探索する際、充電道路を通過して目的地に至る経路を探索する車載機器を開示している。特許文献2は、地図情報と出発地におけるバッテリ残量と充電道路の位置に基づいて、車載バッテリが閾値を下回らない経路を推奨経路としてユーザに提示する車載機器を開示している。また、特許文献3は、現在の充電残量から算出した目的地までの到達可否で充電施設への案内を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-047670号公報
【文献】特開2013-228238号公報
【文献】特開2015-161604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電気自動車に対応したナビゲーション装置では、特許文献1に開示されるように、充電道路や充電スタンドなどの充電施設を経由するような経路を優先的に探索し、そのような経路を案内することで、バッテリが不足することなく、目的地まで到達できるように設計されている。しかし、今後、電気自動車が普及してその台数が多くなってくると、充電施設を有する道路が混雑しやすくなってしまうことが想定され、充電施設の利用を必ずしも必要としない車両(例えば、ガソリン車やディーゼル車などの電気自動車以外の自動車)であっても、充電施設を有する混雑した道路へ誘導されてしまう可能性がある。また、電気自動車であっても十分に充電されていれば、充電施設を有する道路を走行する必要はない。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、充電道路を含む充電施設の探索を制御することができる電子装置、電子システム、経路探索方法および経路案内プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子装置は、ナビゲーション機能を有するものであって、目的地までの経路を探索する探索手段と、前記探索手段により探索された経路上に少なくとも充電道路を含む充電施設が存在しているか否かを検出する検出手段と、前記検出手段により充電施設が検出された場合に、充電施設を回避した経路を前記探索手段に探索させる探索制御手段と、前記充電施設を含む経路または前記充電施設を回避した経路の案内を行う案内手段を備える。
【0008】
ある実施態様では、前記案内手段は、前記充電施設を回避した経路における走行時間が前記充電施設を含む経路の走行時間に比べて所定値以下の場合に、前記充電施設を回避した経路の案内を行う。ある実施態様では、前記案内手段は、前記充電施設を回避した経路を走行したときの電力消費量が前記充電施設を含む経路を走行したときの電力消費量に比べて所定値以下の場合に、前記充電施設を回避した経路の案内を行う。ある実施態様では、電子装置はさらに、バッテリ残量を取得するバッテリ残量取得手段を含み、前記案内手段は、前記充電施設を回避した経路を走行したときのバッテリ残量が所定値以上の場合に、前記充電施設を回避した経路の案内を行い、バッテリ残量が所定値未満の場合に、前記充電施設を含む経路案内を行う。ある実施態様では、前記探索制御手段はさらに、前記充電施設を含む経路を走行したときにバッテリの充電量が所定値以上になる場合に、前記充電施設を回避した経路を探索させる。ある実施態様では、前記充電施設は、前記電気自動車の走行中にバッテリへの非接触充電を可能にする充電道路を含む。ある実施態様では、電子装置はさらに、充電施設の位置情報を少なくとも含む充電施設情報を取得する取得手段を含み、前記検出手段は、前記取得手段より取得した充電施設情報に基づいて充電施設の検出を行う。ある実施態様では、前記充電施設情報は、充電道路の利用によるバッテリへの充電量に関する情報を含み、前記探索制御手段は、前記充電施設情報によりバッテリの充電量が所定値以上になるような一部充電道路を経由する充電道路を回避した経路を探索させる。ある実施態様では、前記案内手段は、充電車線情報を取得し、前記充電施設を含む経路を案内する場合に、前記充電車線情報に基づいて充電車線を回避する案内を行う。
【0009】
本発明に係る電子システムは、上記構成の電子装置と、前記電子装置に対し充電施設情報を配信するサーバとを含み、前記取得手段は、前記サーバから前記充電施設情報を取得する。
【0010】
本発明に係る経路案内プログラムは、記憶手段、制御手段および出力手段を備えた電子装置が実行するものであって、前記制御手段により目的地までの経路を探索するステップと、記記憶部に記憶されている充電施設が探索経路上に存在しているか検出するステップと、記検出手段により充電施設が検出された場合に、前記制御部は、充電施設を回避した経路を探索するステップと、前記充電施設を含む経路または前記充電施設を回避した経路を前記出力手段を介して案内するステップを備える。
【0011】
本発明に係る経路案内方法は、記憶手段、制御手段および出力手段を備えた電子装置におけるものであって、前記制御手段により目的地までの経路を探索するステップと、前記記憶部に記憶されている充電施設が探索経路上に存在しているか検出するステップと、前記検出手段により充電施設が検出された場合に、前記制御部は、充電施設を回避した経路を探索するステップと、前記充電施設を含む経路または前記充電施設を回避した経路を前記出力手段を介して案内するステップを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、探索された経路上に充電道路を含む充電施設が存在しているか否かを検出し、充電施設が検出された場合には、充電施設を回避した経路を探索させるようにしたので、充電施設を利用することによる渋滞の発生を緩和でき、充電施設の利用を望まない車両利用者に対して渋滞を回避する経路を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ワイヤレス型充電による充電システムを説明する図である。
【
図2】充電道路の幾つかの態様を説明する図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る経路案内プログラム200の機能的な構成を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態による充電道路を回避した経路を推奨する表示例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態による充電車線を考慮した経路案内の表示例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態による一部充電道路を含んだ充電道路を回避した経路の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る電子装置は、自動車等の移動体上に固定的に搭載される車載装置、または移動体内に持ち込み可能なポータブルタイプのコンピュータ装置等であることができる。本発明の電子装置は、ナビゲーション機能を搭載するが、これ以外の機能、例えば、オーディオ・ビデオデータを再生する機能、テレビ・ラジオ放送を受信する機能、アプリケーションソフトウェアを実行する機能などを統合的に備えるものであってもよい。また、好ましい様態として、電子装置は、車内の通信バスあるいはそれと等価なバスに接続され、当該通信バスを介して車両に搭載された蓄電用電池のバッテリ残量や充電量などの情報を取得する機能を備える。
【0015】
本発明の電子装置は、ナビゲーション機能を有するものであり、当該ナビゲーション機能を実行するために地図データを用いる。この地図情報はDVD-ROM等の記憶媒体に記憶されている地図データを用いるものであってもよいし、データ通信手段を介して配信サイトもしくは配信サーバなどから必要な地図データを取得するものであってもよい。以下の説明では、電子装置の一例として、車両に搭載されたナビゲーション装置を例示する。
【0016】
まず、本発明に係るナビゲーション装置は、ガソリン自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車等の全車種に搭載可能であるが、ここでは一例として、蓄電用電池に蓄えられた電気エネルギーを走行時に利用する電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)と呼ばれる車両に搭載した場合を想定して以下の説明を行う。
【0017】
蓄電用電池の充電は、駐車場、宿泊施設、商業施設などのパブリックエリアや自宅などに設置される、車両の充電口に専用の充電ケーブルを接続することで行うことができる。また、ケーブルによる接続型の充電方式以外にも、ワイヤレスで充電を行うワイヤレス型充電がある。このワイヤレス型充電について、
図1および
図2を用いて説明する。
図1は、ワイヤレス型充電による充電システムを説明する図である。車両10には、電気エネルギーを蓄えることが可能な蓄電用電池(バッテリ)20が搭載されている。蓄電用電池20は、電気エネルギーを受電する受電部22から得られている電気エネルギーにより充電される。
【0018】
一方で、充電道路30には、電気エネルギーを送電するための送電装置32を備えた道路のことである。車両10が多数の送電装置32が配列された充電道路30を走行すると、送電装置32を通過する際に、受電部22を介して蓄電用電池20が充電される。このようなワイヤレス型充電には、電磁誘導方式、電解共鳴方式、マイクロ波方式などの給電方式が採用されているが、本発明は、いずれの給電方式を採用するワイヤレス型の充電システムに適用することが可能である。
【0019】
図2は、充電道路30の態様を示す平面図である。一般に、充電道路30は、
図2(a)のように道路の一定区間において、充電用の車線に設けられる場合が多い。また、別の例としては、
図2(b)のように道路の側部にさらに一定区間スペースを設けて、充電用の車線を配置するような道路も存在する。以下の説明では、充電システムを有する車線を充電車線と称し、充電車線を含む道路を充電道路と称す。また、充電道路や、車両の充電口に専用の充電ケーブルを接続するような充電装置を備えている施設などを総称して充電施設と称す。なお、蓄電用電池20とバッテリは同義である。
【0020】
図3は、本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置情報取得部110、入力部120、通信部130、外部I/F140、表示部150、音声出力部160、記憶部170および制御部180を含んで構成される。
【0021】
位置情報取得部110は、自車の現在位置を測定する。位置情報取得部110は、例えば、GPS測位による絶対位置検出、自律航法センサに基づく相対位置検出により自車位置を検出する。自律航法センサは、例えば、角速度センサや地磁気センサなどである方位センサや車速パルスセンサ等の車速センサなどを備える。なお、位置情報取得部110は、ネットワークを介して位置情報配信サイトや配信サーバにアクセスすることで、自車位置情報を取得するものであってもよい。その際のネットワークとの通信は通信部130を介して行われる。
【0022】
入力部120は、ユーザが車載装置に対して各種情報を入力することを可能にする。入力部120は、例えば、入力キーデバイス、音声入力認識装置、タッチパネル等を含み、ユーザは、入力部110を介してメニュー選択操作、地図スクロール、目的地の設定、ルート探索の指示などを入力することができる。
【0023】
通信部130は、外部機器や外部ネットワーク等との間で有線または無線によるデータの送受信を可能にする。通信部130は、例えば、ナビゲーション装置100自身が通信機能を内蔵するものであってもよいし、そのような通信機能を有する端末をナビゲーション装置100に接続するものであってもよい。通信部130は、ネットワークを介して、自車位置情報や地図データ、充電施設に関する詳細な情報を配信サイト(または配信サーバ)にアクセスし、取得することができる。また、WiFi、LAN、赤外線通信、電話回線などを利用した有線または無線によるデータ通信が可能である。
【0024】
外部インターフェース(I/F)140は、車両の走行状態に関する車両情報を取得するため車内バスとのの接続を可能にする。ある実施態様では、蓄電用電池(バッテリ)20と受電部22等にも接続し、ナビゲーション装置100が必要とするバッテリ残量等の情報を外部I/F140を介して取得することができる。
【0025】
表示部150は、ナビゲーション装置100が実行されたとき、誘導経路に基づく道路地図を表示する。表示部150は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、投射ディスプレイ等の表示装置を含み、地図の画像データを表示したり、利用者設定を行うための設定画面やメニュー画面を表示したりする。音声出力部160は、制御部によって算出された経路を案内する音声案内を出力したり、運転者に対して運転支援情報の音声案内を行ったりする。
【0026】
記憶部170は、ナビゲーション装置100にとって必要な各種情報を記憶する。ある実施態様では、記憶部170は、地
図DB171、充電施設DB172、経路データ保持部173を含む。地
図DB171は、地図データ(リンクデータおよびノードデータ等)を格納する。リンクデータは、ノードとノード間を結ぶ道路情報であり、一般道路や高速道路種別、リンクの始点および終点の座標、リンクの方位などを含む。ノードデータは、交差点や分岐点などの位置座標や交差点の属性などを表す情報である。充電施設DB172は、充電施設に関するデータを格納する。例えば、充電施設の位置情報、充電道路の区間、充電道路を走行したときに得られる充電量などの情報である。なお、地図データ、および充電施設データは、記憶部170が予め備えるものであってもよいし、制御部180が実行されるときに、ネットワークを介して配信サイト(配信サーバ)にアクセスし、必要なデータを取得するようにしてもよい。その際のネットワークとの通信は通信部130を介して行われる。
【0027】
また、記憶部170は、経路データ保持部173を含む。経路データ保持部173は、探索経路に関する情報を記録していく。ある実施態様では、後述する経路探索手段202により探索された経路の、経路情報、走行時間情報、電力消費量情報などの各種探索経路に関する情報を記憶する。なお、経路データ保持部173は、ナビゲーション装置100に内蔵している必要はなく、通信部130を介して、外部サーバに保存および取得するのでもよい。
【0028】
制御部180は、ROM/RAM等を備えたマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを含み、ROM、RAMに記憶された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、ナビゲーション装置100の各部の動作を制御する。本実施形態に係る制御プログラムには、経路案内プログラム200が含まれる。
【0029】
制御部180は、経路案内プログラム200を実行する。
図4は、本発明の実施形態に係る経路案内プログラム200の機能的な構成を示す図である。経路案内プログラム200は、経路探索部202、充電道路検出部204、経路再制御部206、経路コスト判定部208、バッテリ残量取得部210、バッテリ消費量算出部212、走行可能判定部214、充電車線情報取得部216、経路案内出力部218を備えている。
【0030】
経路探索部202は、現在地もしくは指定の地点から目的地までの経路を探索する。充電道路検出部204は、経路探索部202により探索された経路上に充電道路が含まれているか否かを検出する。充電道路の位置情報は充電施設DB172より取得する。再探索制御部206は、充電道路検出部204によって探索経路上に充電道路が検出された場合には、充電道路を回避した目的地までの経路を経路探索部202に再探索させる。
【0031】
経路コスト判定部208は、充電道路を回避した経路が充電道路を含む経路に比べて、走行時間や電力消費量などの経路コストが所定値以上にならないかを判定する。バッテリ残量取得部210は、外部I/F140を介してバッテリ20の残量情報を取得する。バッテリ消費量算出部212は、充電道路を回避した経路における、目的地までの走行に必要なバッテリ消費量を計算する。このバッテリ消費量の計算には、地図データに格納されている坂道やカーブなどのリンクデータも加味した消費量が算出される。
【0032】
走行可能判定部214は、現在のバッテリ残量で充電道路を回避した経路を利用して目的地まで走行可能か、または、充電道路を回避した経路を利用して目的地に到着した時の充電量が所定値以下にならないかを判定する。充電車線情報取得部216は、充電施設DB172より、充電道路に含まれている充電車線の車線位置と区間に関する情報を取得する。経路案内出力部218は、決定した経路についての案内を行う。
【0033】
本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の動作について
図5のフローチャートを参照して説明する。まず、ユーザからの指示に応じて目的地の設定を行う(S100)。この目的地が設定されると、経路案内プログラム200が起動する。まず、経路探索部202は、自車位置もしくは指定の地点から目的地までの経路探索を行う(S102)。経路探索とは、例えば、地
図DB171に格納されているリンクデータおよびノードデータを用いて、現在地もしくは指定の地点から目的地に至るまでの連続したリンクにおいて、各リンクのリンクコストの総和が最小となる経路を探索する。また、経路探索は、種々の条件(例えば、走行距離優先、高速道路優先、一般道路優先)を考慮して複数の経路を探索することも可能である。さらに、電気自動車に対応したナビゲーション装置の場合、経路探索は、充電施設を優先する経路を探索するものであってもよい。
【0034】
目的地までの経路が探索されると、次に、探索経路が充電道路を含んでいるか否かを、充電道路検出部204により検出する(S104)。充電道路の位置情報を充電施設DB172より取得して、探索経路上に充電道路があるか否かを検出する。但し、充電道路に関する情報は、通信部130を介して外部の配信サイト(配信サーバ)から取得してもよい。
【0035】
探索経路が充電道路を含んでいない場合には、経路案内出力部218は、探索経路をそのまま誘導経路として決定し、利用者にこの経路を案内する(S106)。探索経路が充電道路を含んでいる場合は、その検出結果に応答して、再探索制御部206は、目的地までの経路に充電道路を含まない経路を経路探索部202に再探索させる(S108)。そして、この時に、充電道路を含む経路に関する経路、走行時間、電力消費量等のデータを経路データ保持部173に記録する。
【0036】
充電道路を回避した経路を探索する場合は、位置情報を含む充電道路に関する情報を充電施設DB172より取得して、充電道路の位置に重なるリンクの位置を経由せず、最もリンクコストの総和が最小となる経路を算出する。または、地図データのリンクデータに充電道路情報が格納されている場合は、充電道路を含んでいるリンクデータを経由しない、最もリンクコストの総和が最小となる経路を算出するのでもよい。充電道路に関する情報は、通信部130を介して外部の配信サイト(配信サーバ)から取得してもよい。
【0037】
次に、経路コスト判定部208により、充電道路を回避した経路の経路コストに関する判定を行う(S110)。まず、充電道路を回避した経路における目的地までの予測走行時間を算出し、経路データ保持部173に記録してある充電道路を含む経路における目的地までの予測走行時間との比較判定を行う。充電道路を回避した経路における予測走行時間が充電道路を含む経路における予測走行時間と比べて、所定時間以上長いと判定された場合は経路コスト上問題ありと判定し、S118へ進む。なお、所定時間は、例えば、30分など予め設定しても、利用者により設定するのでもよい。
【0038】
次に、充電道路を回避した経路における目的地までの予測電力消費量を算出し、経路データ保持部173に記録したある充電道路を含む経路における目的地までの予測電力消費量との比較判定を行う。充電道路を回避した経路における予測電力消費量が充電道路を含む経路における予測電力消費量と比べて所定量以上多かった場合は経路コスト上問題ありと判定し、S118へ進む。なお、所定量は、例えば、30%など予め設定しても、利用者により設定するのでもよい。
【0039】
他の実施態様において、経路コスト判定部208は、上述の走行時間と電力消費量を両方比較するものでも、どちらか一方を比較するものであってもよい。さらに、上述した判定対象以外のものから経路コスト上問題ないかを判定するようにしてもよい。問題ないと判定した場合に次のステップへ進む。
【0040】
S110にて、充電道路を回避した経路が経路コスト上問題なしと判定されたことに応答して、バッテリ残量取得部210により、バッテリ20の残量が取得される(S112)。次に、走行可能判定部214は、取得されたバッテリ残量および充電道路を回避した経路に基づき、現在のバッテリ残量から充電道路を回避した経路を使って目的地までの走行が可能であるか否かを判定する(S114)。
【0041】
好ましくは、取得したバッテリ残量と、バッテリ消費量算出部212により算出された充電道路を回避した経路を走行するのに必要なバッテリ消費量とを比較し、充電道路を回避した経路を走行して目的地に到着した時点に予想されるバッテリ残量が所定値を下回らないと判定された場合は、走行が可能であると判定して次のステップに移行する。予想されるバッテリ残量の所定値は、例えば、70%以上など、予め設定されているものであってもよいし、利用者により設定するようにしてもよい。
【0042】
なお、本実施形態では、充電道路を回避した経路走行におけるバッテリ消費量を算出していたが、これに変えて、現在のバッテリ残量における航続可能距離を算出し、この航続可能距離と充電道路を回避した経路の総距離を比較して、目的地までの到達が可能であるか否かを判定するのでもよい。
【0043】
S114にて、充電道路を回避した経路を走行可能と判定された場合は、経路案内出力部218により充電道路を回避した経路を誘導経路として利用者に案内する(S116)。こうして、目的地までの経路上に充電道路が含まれている場合には、自動的に、充電道路を回避した経路が探索される。
【0044】
ある実施態様では、経路案内出力部218は、充電道路を含む経路と、充電道路を回避する経路とを候補経路として同時に表示させ、最終的に、ユーザにより経路を選択させるようにしてもよい。
図6に充電道路を含む経路と充電道路を回避した経路の表示例を示す充電道路を含む経路がAであり、充電道路を回避した経路がBである。同図のように、充電道路を含む経路Aおよび充電道路を回避した経路B、そして、経路上に存在する充電道路30も同時に表示すると一見してどちらが充電道路を回避した経路なのかわかりやすくなる。また、充電道路を回避した経路Bが選択可能であることを提示し、ユーザによる最終決定が行われるようにしてもよい。
【0045】
また、充電道路を回避した経路を推奨する場合、充電道路を回避した道路を選択するための入力ボタンを他の道路を選択するための入力ボタンよりも目立つようにしたり、自動的に充電道路を回避した経路を選択するための入力ボタンが選択されるようにしてもよい。その際は、充電道路を回避した経路を走行できる旨を文や音声で出力するようにしてもよい。さらに、S110にて経費コスト上問題ありと判定された場合、または、S114にて走行不可能と判定された場合であっても、充電道路を回避した経路の選択はできるようにして、注釈として、推奨できない理由である、走行時間、電力消費量、バッテリ残量による航続距離不足などを文や音声より説明するようにしてもよい。
【0046】
次に、S110にて経費コスト上問題ありと判定された場合、または、S114にて走行不可能と判定された場合に、その判定結果に応答して、充電車線情報取得部216は、充電施設DB172から充電車線情報を取得する(S118)。なお、充電車線情報取得部216は通信部130を介して外部の配信サイト(配信サーバ)から充電車線情報を取得してもよい。そして、取得した充電車線情報に基づいた充電道路を含む経路における経路案内を行う(S120)。
図7に本発明の実施形態による充電車線を考慮した経路案内の表示例を示す。同図に示すように、充電車線以外の車線を強調表示したり、音声で報知するなどして、充電車線を回避させる経路案内を行う。
【0047】
なお、S114の充電道路を回避した経路を走行不可と判定された場合において、利用者により充電施設への立ち寄りや充電道路の走行などによる充電が行われ、目的地到着時に必要な所定の充電量に達した場合は、再探索制御部206は、バッテリ残量取得部210から所定値以上の充電を検知し、それに応答して、走行可能となるような充電道路を回避した経路を再探索させるようにしてもよい。
【0048】
または、充電道路を回避した経路探索時に、再探索制御部206は、充電施設DB172から各充電道路を走行することにより得られる充電量に関する情報を取得して、充電道路利用による充電量と、その後の充電道路を回避した経路走行による電力消費量から、充電道路を経由することで目的地到着時のバッテリ残量が所定値を下回らない、一部充電道路を含む充電道路を回避した経路を探索するようにしてもよい。
【0049】
一部充電道路を含んだ充電道路を回避した経路の表示例を
図8に示す。同図は、現在位置に最も近い充電経路30Aを利用した後に充電道路30Bを回避した経路を示しているが、目的地Gに近い充電道路30Bを走行させるようにしてもよく、目的地到達時のバッテリ残量が上述の所定値を下回らないようにすればよい。複数の経路を探索し、最も走行時間が短くなる経路を案内経路にするようにしてもよい。
【0050】
上記実施例では、充電道路のみの充電道路を回避した経路を算出していたが、充電道路だけでなく、充電スタンドなどの充電施設全てを回避する充電道路を回避した経路を算出するようにしてもよい。これにより、充電時間が長いことにより生じる充電施設付近の混雑を回避することも可能になる。
【0051】
なお、本発明は蓄電用電池20を備えない車両にも適応可能であり、その場合、バッテリ残量取得部210、バッテリ消費量算出部212、走行可能判定部214は実行しないか不要である。つまり、
図5のS110における充電道路を回避した経路が経路コスト上問題ないかの判定において、問題ないと判定された場合は、S112およびS114の処理を飛ばして、S116へ移行して充電道路を回避した経路を案内する。こうすることで、電気自動車以外にも適応させることができ、充電施設を回避した経路を提供できるようになる。
【0052】
本実施例では、車が搭載するナビゲーション装置100にて、上記経路案内プログラム200を実行したが、これに限らず、目的地と現在地の情報を外部の演算機能を備えたサーバに通信部130を介して送信し、当該外部サーバが経路案内プログラム200を実行して、探索した誘導経路を通信部130から受信し、それに基づいてナビゲーション装置100にて経路案内を行うようにしてもよい。
【0053】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 電気自動車
20 蓄電用電池(バッテリ)
22 受電部
30、30A、30B 充電道路(充電車線)
32 送電装置
100:ナビゲーション装置
200:経路案内プログラム