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特許7036554シート材、二次電池および二次電池の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】シート材、二次電池および二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/105 20210101AFI20220308BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220308BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20220308BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20220308BHJP
   H01M 50/131 20210101ALI20220308BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20220308BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20220308BHJP
【FI】
H01M50/105
B32B27/00 A
H01M10/04 Z
H01M50/121
H01M50/131
H01M50/184 C
H01M50/193
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017164569
(22)【出願日】2017-08-29
(65)【公開番号】P2019046535
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩
【審査官】松本 陶子
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第01/056097(JP,A1)
【文献】国際公開第2005/122294(WO,A1)
【文献】特開2016-143524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/105
B32B 27/00
H01M 10/04
H01M 50/121
H01M 50/131
H01M 50/184
H01M 50/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極およびセパレータを備える電極積層体を、内部に封入する外装体を作製するためのシート材であって、
樹脂材料で構成され、前記外装体を作製する際に融着される第1の部分と、
前記シート材の平面視において前記第1の部分より内側に位置し、前記外装体を作製する際に溶融した前記樹脂材料が前記外装体の内部へ流入するのを阻止する第2の部分とを有し、
前記第2の部分は、前記樹脂材料よりもメルトフローレートが小さい樹脂材料または前記樹脂材料よりも密度が大きい樹脂材料で構成されていることを特徴とするシート材。
【請求項2】
前記第1の部分を構成する前記樹脂材料の温度200℃、荷重98NにおけるメルトフローレートをF1[g/10min]とし、前記第2の部分を構成する前記樹脂材料の温度200℃、荷重98NにおけるメルトフローレートをF2[g/10min]としたとき、F1/F2が1.5~3.5である請求項に記載のシート材。
【請求項3】
前記第1の部分を構成する前記樹脂材料の密度をD1[g/cm]とし、前記第2の部分を構成する前記樹脂材料の密度をD2[g/cm]としたとき、D2-D1が0.015以下である請求項に記載のシート材。
【請求項4】
正極、負極およびセパレータを備える電極積層体と、
電解質と、
請求項1ないしのいずれかに記載のシート材の前記第1の部分を融着してなり、前記電極積層体および前記電解質を、内部に封入する外装体とを有することを特徴とする二次電池。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載のシート材とともに、正極、負極およびセパレータを備える電極積層体を用意する工程と、
前記第1の部分および前記第2の部分が存在する側の面を内側として前記シート材を折り曲げるか、または前記シート材の前記面に他のシート材を重ね合わせた後、前記シート材の前記第1の部分の一部を融着することにより、開口部側を備える外装体を作製する工程と、
前記開口部を介して、前記外装体内に前記電極積層体を収納するとともに、電解質を充填する工程と、
前記シート材の前記第1の部分の残りの部分を融着することにより、前記外装体の前記開口部を封止する工程とを有し、
前記第1の部分を融着する際に、溶融した前記樹脂材料が前記第2の部分の存在により、前記外装体の内部へ流入するのを阻止することを特徴とする二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材、二次電池および二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、リチウムイオン二次電池の開発が盛んに行われている。リチウムイオン二次電池は、一般に、正極、負極および電解質を有しており、これらが外装体に封入されている。また、リチウムイオン二次電池を軽量化し得ることから、外装体を、例えばアルミニウム層に樹脂層を積層した積層シートで構成することも行われている。
【0003】
かかる外装体は、シート材の外周部をヒートシールすることにより作製される。この際、ヒートバーの押圧力によっては、樹脂層の押圧部分に存在する溶融状態の樹脂材料が流出し、外装体の内部のシール部近傍に樹脂玉(樹脂の塊)が形成される場合がある。この樹脂玉は脆いため、外装体内でガスが発生してシート材が引っ張られると、樹脂層の樹脂玉との境界部にクッラクが発生することがある。
【0004】
発生したクラックがアルミニウム層にまで到達すると、アルミニウム層がリチウム合金化してしまい、アルミニウム層に孔が形成されることがある。この場合、シート材の機械的強度が低下し、外装体内で発生したガスの圧力によって、外装体が容易に破損してしまうことがある。
【0005】
このような樹脂玉が外装体内に形成されるのを防止する手段として、溶融状態の樹脂材料を受容する凹部(受け部)をシート材に形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載のシート材では、凹部を形成することから、その構成が複雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-229889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、その目的は、簡単な構成で外装体の内部に樹脂玉が形成されるのを防止し得るシート材、機械的強度の低下が生じ難い外装体を有する二次電池、およびかかる二次電池の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
[1]本発明のシート材は、正極、負極およびセパレータを備える電極積層体を、内部に封入する外装体を作製するためのシート材であって、
樹脂材料で構成され、前記外装体を作製する際に融着される第1の部分と、
前記シート材の平面視において前記第1の部分より内側に位置し、前記外装体を作製する際に溶融した前記樹脂材料が前記外装体の内部へ流入するのを阻止する第2の部分とを有し、
前記第2の部分は、前記樹脂材料よりもメルトフローレートが小さい樹脂材料または前記樹脂材料よりも密度が大きい樹脂材料で構成されていることを特徴とする。
【0010】
]本発明のシート材では、前記第1の部分を構成する前記樹脂材料の温度200℃、荷重98NにおけるメルトフローレートをF1[g/10min]とし、前記第2の部分を構成する前記樹脂材料の温度200℃、荷重98NにおけるメルトフローレートをF2[g/10min]としたとき、F1/F2が1.5~3.5であることが好ましい。
【0012】
]本発明のシート材では、前記第1の部分を構成する前記樹脂材料の密度をD1[g/cm]とし、前記第2の部分を構成する前記樹脂材料の密度をD2[g/cm]としたとき、D2-D1が0.015以下であることが好ましい。
【0021】
]本発明の二次電池は、正極、負極およびセパレータを備える電極積層体と、
電解質と、
前記シート材の前記第1の部分を融着してなり、前記電極積層体および前記電解質を、内部に封入する外装体とを有することを特徴とする。
【0022】
[5]本発明の二次電池の製造方法は、前記シート材とともに、正極、負極およびセパレータを備える電極積層体を用意する工程と、
前記第1の部分および前記第2の部分が存在する側の面を内側として前記シート材を折り曲げるか、または前記シート材の前記面に他のシート材を重ね合わせた後、前記シート材の前記第1の部分の一部を融着することにより、開口部側を備える外装体を作製する工程と、
前記開口部を介して、前記外装体内に前記電極積層体を収納するとともに、電解質を充填する工程と、
前記シート材の前記第1の部分の残りの部分を融着することにより、前記外装体の前記開口部を封止する工程とを有し、
前記第1の部分を融着する際に、溶融した前記樹脂材料が前記第2の部分の存在により、前記外装体の内部へ流入するのを阻止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、第2の部分の存在により、外装体の内部に樹脂玉が形成されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態のリチウムイオン二次電池を模式的に示す斜視図である。
図2図1中のA-A線断面図である。
図3図1に示すリチウムイオン二次電池を模式的に示す平面図である。
図4図1に示すリチウムイオン二次電池の外装体を作製する工程を示す断面図である。
図5】第2実施形態のリチウムイオン二次電池を模式的に示す平面図である。
図6図5中のB-B線断面図である。
図7図5に示すリチウムイオン二次電池の外装体を作製する工程を示す断面図である。
図8】シール部の他の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のシート材、二次電池および二次電池の製造方法について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、以下の実施形態では、本発明の二次電池をリチウムイオン二次電池に適用した場合について説明する。
【0026】
<第1実施形態>
まず、リチウムイオン二次電池の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態のリチウムイオン二次電池を模式的に示す斜視図、図2は、図1中のA-A線断面図、図3は、図1に示すリチウムイオン二次電池を模式的に示す平面図、図4は、図1に示すリチウムイオン二次電池の外装体を作製する工程を示す断面図である。
【0027】
なお、各図では、その特徴を判り易くするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合がある。また、以下に例示される材料、寸法等は一例であって、本発明は、それらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0028】
図1および図2に示すように、リチウムイオン二次電池1は、正極2と、負極3と、これの間に介挿されたセパレータ6とを備える電極積層体10と、電解液7と、内部に電極積層体10および電解液7を封入するシート状の外装体8とを備えている。
【0029】
電極積層体10は、さらに、正極2に接合された端子用タブ4と、負極3に接合された端子用タブ5とを備えており、これらの端子用タブ4、5は、電極積層体10を外装体8内に封入した状態で、外装体8から突出している。
【0030】
本実施形態では、正極2に接合された端子用タブ4と、負極3に接合された端子用タブ5とは、電極積層体10の同じ端部、すなわちリチウムイオン二次電池1の同じ端部から同方向に突出している。
【0031】
正極2は、図示しないが、平面視で略矩形状をなすアルミニウム箔で構成された正極集電体と、正極集電体の両面にそれぞれ設けられた正極活物質層とを有している。リチウムイオン二次電池1の充電時には、正極集電体が電気を集電して、正極活物質層に供給する。
正極集電体の一部は、正極活物質層から露出しており、この露出部に端子用タブ4が接合されている。なお、端子用タブ4は、例えば、アルミニウム板等で構成することができる。
【0032】
正極活物質層は、例えば、正極活物質と、導電助剤と、結着剤とを含む正極用スラリーを、正極集電体に塗工することにより形成することができる。
正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、一般式「LiM(式中、Mは金属原子であり、xおよびyは、金属原子Mと酸素原子Oとの組成比である。)」で表される金属酸リチウム化合物が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
かかる金属酸リチウム化合物の具体例としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)等が挙げられる。
【0034】
また、前記一般式において、Mが複数種の金属原子で構成されてもよい。この場合、金属酸リチウム化合物は、例えば、一般式「LiM (式中、M、MおよびMは互いに異なる種類の金属原子であり、p、q、rおよびyは、金属原子M、MおよびMと酸素原子Oとの組成比である。)」で表される。なお、p+q+r=xである。かかる金属酸リチウム化合物の具体例としては、LiNi0.33Mn0.33Co0.33等が挙げられる。
【0035】
また、正極活物質には、類似の組成であるオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)を用いることもできる。
導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック等が用いられ、結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン等が用いられる。
【0036】
一方、負極3は、図示しないが、平面視で略矩形状をなす銅箔で構成された負極集電体と、負極集電体の両面にそれぞれ設けられた負極活物質層とを有している。リチウムイオン二次電池1の放電時に、負極集電体は、負極活物質層で発生した電子を効率よく取り出し外部機器に供給する。
負極集電体の一部は、負極活物質層から露出しており、この露出部に端子用タブ5が接合されている。なお、端子用タブ5は、例えば、ニッケルめっきを施したアルミニウム板等で構成することができる。
【0037】
負極活物質層は、例えば、負極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電助剤とを含む負極用スラリーを、負極集電体に塗工することにより形成することができる。
負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、炭素粉末、黒鉛粉末のような炭素材料、チタン酸リチウムのような金属酸化物等を用いることができる。
また、結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン等を用いることができ、導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等を用いることができる。
【0038】
各集電体の平面形状は、図示の構成では、正方形状をなしているが、例えば、長方形状、円形状、楕円形状等であってもよい。
各集電体の平面視での面積(平面積)は、製造すべきリチウムイオン二次電池1のサイズに応じて適宜設定されるため、特に限定されないが、500~2500mm程度であることが好ましく、750~2000mm程度であることがより好ましい。
また、各集電体の厚さも、特に限定されないが、1~75μm程度であることが好ましく、5~50μm程度であることがより好ましい。
【0039】
各電極活物質は、粒子状であることが好ましい。この場合、電極活物質の平均粒径は、1~30μm程度であることが好ましい。
また、各活物質層の厚さも、特に限定されないが、5~100μm程度であることが好ましく、10~75μm程度であることがより好ましい。
【0040】
正極2と負極3との間には、セパレータ6が介挿されている。このセパレータ6は、絶縁性を有し、正極2と負極3との短絡を防止する機能および電解液7を保持する機能を有する。
セパレータ6は、電解液7を保持または通過させることが可能であれば、特に限定されず、多孔質膜(粒子集合物)、不織布等で構成することができる。
【0041】
セパレータ6の構成材料(絶縁材料)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
また、セパレータ6の厚さは、1~75μm程度であることが好ましく、1~50μm程度であることがより好ましい。かかる厚さのセパレータ6であれば、絶縁性を十分に確保することができる。
【0042】
以上のような電極積層体10は、電解液7とともに外装体8内に封入されている。
電解液7は、電解質を溶媒に溶解してなる液体である。リチウムイオン二次電池1の充放電時には、この電解液7中をイオンが伝導する。
【0043】
溶媒には、水分を実質的に含まない(例えば、100ppm未満)非水系溶媒が好適に用いられる。非水系溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ-ブチロラクトン、酢酸メチル、蟻酸メチル、トルエン、ヘキサン等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
電解質としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウムのようなリチウム塩等を好適に使用することができる。
電解液7中の電解質の濃度は、特に限定されないが、0.01~1M程度であることが好ましく、0.05~0.75M程度であることがより好ましく、0.1~0.5M程度であることがさらに好ましい。
【0045】
なお、電解液7は、ゲル化剤の添加によりゲル状をなしていてもよい。ゲル化剤としては、例えば、アセトニトリルのようなニトリル系化合物、テトラヒドロフランのようなエーテル系化合物、ジメチルホルムアミドのようなアミド系化合物等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
外装体8は、図1に示すように、1枚の可撓性を有するシート材80を折り曲げ、その外周部をシールしてなる。
本実施形態のシート材80は、図2に示すように、基材層81と、基材層81の一方の面に設けられた樹脂層(表面層)82と、基材層81の他方の面(樹脂層82と反対側の面)に設けられた保護層83とを備える積層シートで構成されている。
【0047】
基材層81は、シート材80に強度を付与する機能および電解液7やガスの透過を阻止する機能を有する。基材層81の構成材料としては、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金、ステンレス鋼等が挙げられる。
基材層81の厚さは、特に限定されないが、9~60μm程度であることが好ましく、20~50μm程度であることがより好ましい。
【0048】
樹脂層82は、融着されることにより外装体8を封止する機能を有する。樹脂層82の構成材料(融着可能な材料)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、ポリメチルペンテン等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
また、樹脂層82は、前記材料で形成された無延伸のフィルムで構成されること、特に、後述する第1の部分821は、無延伸のポリプロピレンフィルムで構成されていることが好ましい。これにより、シール部8Sが電解液7により溶解または膨潤することを好適に防止することができる。
樹脂層82の厚さは、特に限定されないが、3~200μm程度であることが好ましく、3~80μm程度であることがより好ましい。
【0050】
保護層83は、外装体8の最外層を構成し、基材層81を保護する機能およびリチウムイオン二次電池1の機械的構造特性を確保する機能を有する。保護層83の構成材料には、比較的硬質な樹脂材料が用いられる。かかる硬質な樹脂材料としては、例えば、ポリアミド系樹脂(ナイロン)、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート)等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
保護層83の厚さは、特に限定されないが、5~50μm程度であることが好ましく、10~30μm程度であることがより好ましい。
【0051】
本実施形態の樹脂層82は、外装体8を作製する際に融着されることによりシール部8Sとなる第1の部分821と、シート材80の平面視において第1の部分821より内側に位置する第2の部分822とを有している。
第2の部分822は、外装体8を作製する際に溶融した第1の部分821の樹脂材料が、外装体8の内部へ流入するのを阻止するよう機能する。これにより、外装体8の内部に樹脂玉が形成されるのを防止して、機械的強度の低下が生じ難い外装体8とすることができる。
【0052】
第2の部分822に、このような機能(流入阻止機能)を付与するためには、例えば、I:第2の部分822を、第1の部分821を構成する樹脂材料よりもメルトフローレートが小さい樹脂材料で構成すること、II:第2の部分822を、第1の部分821を構成する樹脂材料よりも密度が大きい樹脂材料で構成すること、III:第2の部分822を、第1の部分821を構成する樹脂材料よりも融点が高い樹脂材料で構成すること等のうちの少なくとも1つの方法により適切に行うことができる。
【0053】
このような方法によれば、第1の部分821を構成する樹脂材料(以下、「第1の樹脂材料」とも言う。)が溶融状態となっても、第2の部分822を構成する樹脂材料(以下、「第2の樹脂材料」とも言う。)が溶融状態に至らないか、または溶融状態となっても、その流動性が第1の樹脂材料より低くなる。このため、第2の部分822に流入阻止機能を確実に付与することができる。また、かかる機能は、シート材80の構成を複雑化することなく、すなわち比較的簡単な構成で実現することができる。
【0054】
Iの場合、第1の樹脂材料の温度200℃、荷重98NにおけるメルトフローレートをF1[g/10min]とし、第2の樹脂材料の温度200℃、荷重98NにおけるメルトフローレートをF2[g/10min]としたとき、F1/F2が1.5~3.5程度であることが好ましく、2~3程度であることがより好ましい。F1/F2が前記範囲であることにより、第2の部分822の流入阻止機能をより向上させることができる。
【0055】
第1の樹脂材料の温度200℃、荷重98NにおけるメルトフローレートF1は、0.05~5.0g/10min程度であることが好ましく、0.1~3.0g/10min程度であることがより好ましい。一方、第2の樹脂材料の温度200℃、荷重98NにおけるメルトフローレートF2は、0.03~3.3g/10min程度であることが好ましく、0.06~1.9g/10min程度であることがより好ましい。
なお、メルトフローレート(MFR)は、JIS K 6760で規定されたプラストメータを用いて、JIS K 7120に規定された測定方法に従って測定された値である。
【0056】
IIの場合、第1の樹脂材料の密度をD1[g/cm]とし、第2の樹脂材料の密度をD2[g/cm]としたとき、D2-D1が0.015以下であることが好ましく、0.005~0.015程度であることがより好ましい。D2-D1が前記範囲であることにより、第2の部分822の流入阻止機能をより向上させることができる。
【0057】
第1の樹脂材料の密度D1および第2の樹脂材料の密度D2は、0.900~0.965g/cm程度(好ましくは0.918~0.950g/cm程度)の範囲から適宜選択される。
【0058】
IIIの場合、第1の樹脂材料の融点をM1[℃]とし、第2の樹脂材料の融点をM2としたとき、M1-M2が10~30程度であることが好ましく、15~25程度であることがより好ましい。M1-M2が前記範囲であることにより、第2の部分822の流入阻止機能をより向上させることができる。
【0059】
以上のような条件を満足するように、第1の樹脂材料および第2の樹脂材料は、それぞれ前記融着可能な材料の中から適宜選択される。なお、第2の樹脂材料は、前記融着可能な材料以外の樹脂材料(例えば、フッ素系樹脂等)から選択してもよい。
【0060】
また、本実施形態のシート材80は、その外周部に全周にわたって帯状の第1の部分821が設けられ、第1の部分821の内側かつ第1の部分821に沿って帯状の第2の部分822が設けられている。
そして、外装体8は、このような1枚のシート材80を折り曲げ、対向配置された上側部分80aと下側部分80bとを、第1の部分821を融着(例えば、熱融着、超音波融着、高周波融着)することにより作製されている。
【0061】
図3に示すように、上側部分80aと下側部分80bとは、平面視において、それらの左側端部、右側端部および上側端部が融着されている。これにより、外装体8の3辺に沿って、シール部8Sが形成されている。
なお、必要に応じて、上側部分80aおよび下側部分80bの下側端部も融着して、シール部1Sを形成するようにしてもよい。
【0062】
また、第2の部分822は、融着されても融着されなくてもよい。第2の部分822は、第1の部分821に対して前述のような関係を有するため、融着された場合であっても、第2の部分822は、第1の部分821(シール部8S)の接着強度よりも接着強度が低い弱シール部を形成する。
【0063】
ここで、充放電の繰り返しや熱暴走によりリチウムイオン二次電池が異常に発熱すると、外装体内でガスが発生することにより内圧が上昇して外装体が膨れ上がり、内圧に耐え切れなくなると、終には勢いよく破裂(爆発)することがある。これは、外装体の内容量が一定で変化し得ないことを1つの要因とする。
【0064】
これに対して、第2の部分822において弱シール部を形成しておけば、外装体8の内圧が上昇した場合、弱シール部が破断することにより、外装体8の内容積が増大して、上昇した内圧を吸収することができる。このため、外装体8の破裂の危険性を低減することができる。
【0065】
第2の部分822の第2の幅は、第1の部分821の第1の幅より小さいことが好ましい。これにより、第2の部分822の流入阻止機能を十分に発揮させつつ、高い接着強度を有するシール部8Sを形成することができる。また、外装体8の破裂を低減し得る十分なサイズの弱シール部を確保することができる。
【0066】
第1の幅をL1[mm]とし、第2の幅をL2[mm]としたとき、L2/L1が0.1~0.8程度であることが好ましく、0.2~0.7程度であることがより好ましい。これにより、前記効果をより向上させることができる。
【0067】
以上説明したようなリチウムイオン二次電池1は、例えば、本発明の二次電池の製造方法に従って製造することができる。
[1] シート材80および電極積層体10を準備する工程
[1-1]
シート材80を準備する。
【0068】
まず、基材層81の一方の面に樹脂層82を、他方の面に保護層83をそれぞれ形成する。樹脂層82および保護層83は、それぞれ、例えば、前記樹脂材料で形成された樹脂シートを基材層81に貼着すること、前記樹脂材料を基材層81上に押し出し成形すること、前記樹脂材料を含む液体を基材層81上に供給した後、乾燥させること等により形成することができる。
【0069】
液体を供給する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
[1-2]
また、電極積層体10を準備する。
まず、正極2と、負極3と、これらの間に介挿されたセパレータ6とを備える積層体を作製する。
【0071】
この積層体は、例えば、I:いずれも帯状の正極2、負極3およびセパレータ6を、予めセル単位に切断した後に、これらを順次積層する方法、または、II:いずれも帯状の正極2、負極3およびセパレータ6を巻回してなるロールから連続的に引き出して順次積層した後、セル単位に分割する方法を用いて作製することができる。
次に、得られた積層体に、溶接等の方法により、正極2に端子用タブ4を、負極3に端子用タブ5を接合する。
【0072】
[2] 開口部を備える外装体8を作製する工程
次に、樹脂層82側の面が内側となるように、シート材80を長手方向の中央部で折り曲げる。
その後、折り曲げられたシート材80(上側部分80aおよび下側部分80b)の左側端部および右側端部の第1の部分821をそれぞれ融着して、シール部8Sを形成する。
【0073】
図4に示すように、シール部8Sは、例えば、真空ラミネータ、ローラー、真空包装機等を用いてシート材80を加圧しつつ、加熱、超音波照射または高周波照射することにより形成することができる。
この状態で、シート材80が開口部を備える袋状に形成される。
【0074】
[3] 外装体8内に電極積層体10および電解液7を収納する工程
次に、開口部を介して、外装体8(袋状のシート材80)内に電極積層体10を収納するとともに、電解液7を充填する。このとき、端子用タブ4、5が、外装体8から外部に突出した状態とする。
【0075】
[4] 外装体8の開口部を封止する工程
次に、外装体8の開口部(シート材80の第1の部分821の残りの部分)を封止するように、前記と同様にしてシール部8Sを形成する。
以上の工程を経て、リチウムイオン二次電池1が得られる。
【0076】
本発明では、第1の部分821を融着する際に、溶融した第1の樹脂材料が第2の部分822の存在により、外装体8の内部へ流入することが阻止される。このため、外装体8の内部のシール部8S近傍に樹脂玉(樹脂の塊)が形成されるのを防止することができる。
【0077】
ここで、樹脂玉が形成された場合、樹脂玉は脆いため、外装体8内でガスが発生してシート材80が引っ張られると、樹脂層82の樹脂玉との境界部にクッラクが発生することがある。発生したクラックが基材層81にまで到達すると、基材層81を構成する金属がリチウム合金化してしまい、基材層81に孔が形成されることがある。この場合、シート材80の機械的強度が低下し、外装体8内で発生したガスの圧力によって、外装体8が容易に破損してしまう。
【0078】
これに対して、本発明では、外装体8の内部に樹脂玉が形成されないため、前記不都合が生じず、外装体8の機械的強度の低下が防止され、不本意な破損を回避することができる。
【0079】
なお、シート材80は、その平面視において、第1の部分821より内側の位置に加えて、第1の部分821より外側の位置にも第2の部分822を有してもよい。これにより、溶融した第1の樹脂材料がシート80外に流出するのを防止することもできる。このため、外装体80の外側にバリ(樹脂玉)が形成するのを防止して、バリを除去する工程を省略することができる。
【0080】
また、樹脂層82の第1の部分821および第2の部分822以外の部分は、電解液7が基材層81に接触するのを防止することができれば、如何なる樹脂材料で構成されてもよいが、シート材80の作成が複雑になるのを防止し得ること、作成コストを低減し得ることから、第1の部分821と同様の樹脂材料(第1の樹脂材料)で構成することが好ましい。
【0081】
<第2実施形態>
次に、リチウムイオン二次電池の第2実施形態について説明する。
以下、第2実施形態のリチウムイオン二次電池について説明するが、前記第1実施形態のリチウムイオン二次電池との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0082】
図5は、第2実施形態のリチウムイオン二次電池を模式的に示す平面図図6は、図5中のB-B線断面図、図7は、図5に示すリチウムイオン二次電池の外装体を作製する工程を示す断面図である。
図5および図6に示すように、第2実施形態のリチウムイオン二次電池1では、第2の部分822の構成および配置位置が異なること以外は、前記第1実施形態のリチウムイオン二次電池1と同様である。
【0083】
第2実施形態のシート材80では、第2の部分822が複数の粒子822aで構成され、複数の粒子822aが樹脂層82上に配置されている。また、樹脂層82は、その全体が第1の樹脂材料で形成され、複数の粒子822aより外側の部分が、融着によりシール部8Sを形成する第1の部分821を構成している。
【0084】
具体的には、複数の粒子822aは、ほぼ球状をなしており、第1の部分821より内側に位置し、右側および左側の第1の部分821に沿って設けられている。これにより、複数の粒子822aは、溶融した第1の樹脂材料に対して堰止部として機能して、外装体8の内部へ流入するのを阻止する。
【0085】
したがって、製造されるリチウムイオン二次電池1では、図5に示すように、シール部8Sの一部は、複数の粒子822aにより堰き止められ、平面視において、隣り合う2つの粒子822aの間に位置している。
【0086】
ここで、樹脂層82(第1の樹脂材料)の軟化温度をX[℃]とし、粒子822aの軟化温度をY[℃]としたとき、Y-Xが10~50程度であることが好ましく、15~35程度であることがより好ましい。これにより、粒子822aの変形を防止して、堰き止め効果を確実に発揮させつつ、十分な接着強度を有するシール部8Sを形成することができる。
【0087】
複数の粒子822aの平均粒径(粒径の平均値)R[μm]とし、第1の部分821(シール部8S)の平均幅(幅の平均値)W[μm]としたとき、R/Wの値を適宜設定することにより、シール部8Sの十分な接着強度を確保するとともに、溶融した第1の樹脂材料が外装体8の内部へ流入するのをより確実に阻止することができる。
【0088】
粒子822aの平均粒径Rの具体的な値は、10~100μm程度であることが好ましく、15~50μm程度であることがより好ましい。
また、第1の部分821の平均幅W、1~15μm程度であることが好ましく、3~10μm程度であることがより好ましい。
【0089】
本実施形態において、複数の粒子822aは、ほぼ等間隔で設けられている。これにより、粒子822a同士の間のそれぞれに流入する溶融状態の第1の樹脂材料の量を均一化することができる。このため、溶融した第1の樹脂材料が、外装体8の内部へ流入するのをより確実に阻止することができる。
【0090】
複数の粒子822aの平均間隔(間隔の平均値)Pは、特に限定されないが、2~50μm程度であることが好ましく、5~30μm程度であることがより好ましい。これにより、前記効果をより向上させることができる。
【0091】
このような粒子822aは、第1の部分821(シール部8S)との密着性が高い材料で構成されていることが好ましい。かかる材料としては、例えば、アクリロニトリル共重合体のようなアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0092】
なお、粒子822aの熱膨張係数をシール部8S(第1の部分821)の熱膨張係数より大きくなるよう設定することが好ましい。
ここで、前述したような内圧上昇による外装体の破裂は、シート材の溶着部(シール部)の接着強度が極めて高いことも1つの要因とする。
【0093】
これに対して、粒子822aの熱膨張係数をシール部8S(第1の部分821)の熱膨張係数より大きくなるよう設定することにより、外装体8の内圧が必要以上に高くなる前に、シール部8Sが破断して、外装体8の内外を連通する流路が形成されるように構成することができる。
【0094】
具体的には、リチウムイオン電池1が異常に発熱すると、粒子822aが熱膨張して容積が増大する。容積が増大した粒子822aにより、上側部分80aと下側部分80bとが互いに離間するように押し広げられて、シール部8Sの接着強度が低下する。ここに、上昇した内圧の押圧力が作用することにより、シール部8Sが破断され、外装体8が開封される。
【0095】
特に、各粒子822aは、融着された樹脂層82同士の界面近傍に位置するため、粒子822aの熱膨張による押圧力および外装体8の内圧による押圧力を、樹脂層82同士の界面の剥離(シール部8Sの破断)に効率よく利用することができる。
【0096】
なお、外装体8内で発生したガスを排出する手段として、外装体8にガス排出弁を設ける構成も考えられるが、粒子822aによる構成とすることが好ましい。かかる構成によれば、外装体8には、シート材80およびシール部8Sにより高い気密性が確保されている。このため、ガス排出弁を設ける場合に問題となる外装体8内への水分の浸入を十分に阻止することができ、通常使用時において、電極積層体10の劣化を確実に防止することができる。
【0097】
また、各粒子822aは、中空であっても中実であってもよいが、中空であることが好ましい。中空の粒子822aは、ガスを内包するため、熱膨張による容積変化をより大きくすることができる。
かかるガスとしては、例えば、空気、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n-ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n-へキサン、ヘプタン、石油エーテルのような低分子量炭化水素(低沸点炭化水素)、CClF、CCl、CClFのようなクロロフルオロカーボン、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシランのようなテトラアルキルシラン等が挙げられる。
【0098】
さらに、中空の粒子822aは、例えば、消火剤、吸水性ポリマーのような物質のうちの少なくとも1種を内包してもよい。中空の粒子822aが熱膨張して破泡(破裂)した場合には、これらの物質をシール部8Sに形成された流路内に放出することができる。
例えば、消火剤が放出されれば、リチウムイオン二次電池1が発火するのを未然に防止することができる。また、吸水性ポリマーが放出されれば、電解液7が吸水性ポリマーに吸収されることにより、リチウムイオン二次電池1(外装体8)外に流出するのを防止することができる。
【0099】
第2実施形態のリチウムイオン二次電池1は、前記工程[1-1]において粒子822aを備えるシート材80を用意し、図7に示すように、第1の部分821を融着することにより、前記第1実施形態のリチウムイオン二次電池1と同様にして製造することができる。
かかる粒子822aを備えるシート材80は、長方形のシート材80を用意し、このシート材80の一方の面(樹脂層82)の2つの長辺の所定位置に、複数の粒子822aを配置することで作製される。
【0100】
複数の粒子822aは、例えば、粒子822aを含む液剤を、例えば、液滴吐出ノズル、ディスペンサ等から吐出して樹脂層82上に供給した後、乾燥すること、あるいは、粒子822aが所定位置に配置された離型紙を貼着して転写することにより配置することができる。
【0101】
なお、シール部8Sは、図8に示すような構成とすることもできる。図8に示すシール部8Sは、粒子882a(第2の部分882)の外側であって、上側部分80aと上側部分80bとの間に接着性シート9(第1の部分821)を介在させ、この融着シート9と2つの樹脂層82とを融着することにより形成されている。かかる融着シート9は、樹脂層82と同様の材料で構成することが好ましい。
【0102】
このような第2実施形態のリチウムイオン二次電池1においても、前記第1実施形態のリチウムイオン二次電池1と同様の作用・効果が得られる。
なお、粒子822aは、外装体8の開口部(上側端部)にも配置して、第1の部分821を融着するようにしてもよい。
また、複数の粒子822aは、互いに接触していてもよい。
さらに、第2の部分822は、複数の粒子822aに代えて、第1の部分821に沿って連続して延在する帯状体または線状体で構成することもできる。
【0103】
以上説明した各実施形態では、リチウムイオン二次電池1は、1つの電極積層体10を備える構成であったが、積層された複数の電極積層体10を備える構成であってもよく、正極2が内側に位置するように巻回した帯状の電極積層体10を備える構成であってもよい。
【0104】
また、各前記実施形態の外装体8は、1枚のシート材80を折り曲げることにより作製したが、外装体8は、シート材80の第1の部分821および第2の部分822が存在する側の面に、他のシート材を積層した後、これらの全周において第1の部分821を融着することにより作製してもよい。
【0105】
電解質には、電解液7に代えて、固体電解質を用いることもできる。
また、第2の部分822は、樹脂材料に代えて、例えば、セラミックス材料で構成することもできる。
また、シート材80は、基材層81と樹脂層82との間、および基材層81と保護層83との間には、1以上の任意の目的(例えば、密着性の向上)の層が設けられてもよい。
【0106】
以上、本発明のシート材、二次電池および二次電池の製造方法について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明の二次電池は、リチウムイオン二次電池の他、例えば、銀イオン二次電池等の二次電池に適用することもできる。
【0107】
また、本発明のシート材および二次電池は、それぞれ他の任意の構成を有していてもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよく、本発明の二次電池の製造方法は、1以上の任意の目的の工程を有していてもよい。
さらに、本発明では、前記第1および第2の実施形態における任意の構成を組み合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 リチウムイオン二次電池
10 電極積層体
2 正極
3 負極
4、5 端子用タブ
6 セパレータ
7 電解液
8 外装体
80 シート材
80a 上側部分
80b 下側部分
81 基材層
82 樹脂層
821 第1の部分
822 第2の部分
822a 粒子
83 保護層
8S シール部
9 融着シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8