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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】貨幣入金機及び会計システム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
G07G1/12 321K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017239031
(22)【出願日】2017-12-13
(65)【公開番号】P2019106073
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】西田 直之
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-020493(JP,A)
【文献】特開2011-238117(JP,A)
【文献】特開平08-161637(JP,A)
【文献】特開平09-062940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 1/14
G07D 1/00-13/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣の入金を受け付ける貨幣受付部と、
前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣を収納する貨幣収納部と、
前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣の金額に対応する有価価値を、商品の会計に利用される所定の媒体に関連付ける関連付処理部と
顧客により所持された記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部と
を備え、
前記関連付処理部は、
前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣の金額に対応する有価価値及び前記読取部により読み取られた情報を、商品の会計に利用される所定の媒体に関連付ける
とを特徴とする貨幣入金機。
【請求項2】
前記有価価値は、所定の貨幣処理装置を用いた商品の会計に利用可能な有価価値であることを特徴とする請求項1に記載の貨幣入金機。
【請求項3】
前記有価価値は、所定の貨幣処理装置を用いた商品の当日会計に利用可能な有価価値であることを特徴とする請求項1に記載の貨幣入金機。
【請求項4】
前記関連付処理部は、
前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣の金額に対応する有価価値のコードを生成するコード生成部と、
前記コード生成部により生成されたコードを商品の会計に利用される所定のレシートに印字する印字部と、
前記印字部により前記コードが印字されたレシートを発行するレシート発行部と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一つに記載の貨幣入金機。
【請求項5】
前記関連付処理部は、
前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣の金額に対応する有価価値のデータを生成するデータ生成部と、
前記データ生成部により生成された有価価値のデータを商品の会計に利用される所定の記憶媒体に格納するよう制御する制御部と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一つに記載の貨幣入金機。
【請求項6】
販売時点管理装置と、貨幣を識別及び計数して収納部に収納するとともに釣銭の払い出しを行う貨幣処理装置とを通信可能に接続した会計システムであって、
貨幣の入金を受け付ける貨幣受付部と、前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣を収納する貨幣収納部と、前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣の金額に対応する有価価値を、前記貨幣処理装置における商品の会計に利用される所定の媒体に関連付ける関連付処理部と、顧客により所持された記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部とを有し、前記関連付処理部は、前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣の金額に対応する有価価値及び前記読取部により読み取られた情報を、商品の会計に利用される所定の媒体に関連付ける貨幣入金機を備え、
前記販売時点管理装置は、
前記所定の媒体に関連付けられた有価価値に対応する貨幣の金額が前記商品の金額よりも大きい場合に、前記貨幣の金額と前記商品の金額との差分を釣銭として出金するよう前記貨幣処理装置に対して指示する
ことを特徴とする会計システム。
【請求項7】
前記貨幣入金機及び前記貨幣処理装置と通信可能に接続され、前記所定の媒体を一意に識別する識別情報と該所定の媒体に関連付けられた有価価値とを対応付けて記憶する記憶部を有する管理装置
をさらに備えたことを特徴とする請求項に記載の会計システム。
【請求項8】
前記貨幣入金機は、
前記関連付け処理部による関連付けが行われたことを条件として、前記所定の媒体を一意に識別する識別情報及び該所定の媒体に関連付けられた有価価値を含む関連付け情報を前記管理装置に通知する関連付け情報通知部をさらに備え、
前記貨幣処理装置は、
前記所定の媒体の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記識別情報取得部により取得された識別情報に対応する有価価値を前記管理装置に対して要求する有価価値要求部と、
前記管理装置から通知された所定の媒体の識別情報に対応する有価価値に対応する貨幣の金額が前記商品の金額よりも大きい場合に、前記貨幣の金額と前記商品の金額との差分を釣銭として出金するよう制御する制御部とを備えた
ことを特徴とする請求項に記載の会計システム。
【請求項9】
前記販売時点管理装置は、
前記所定の媒体に関連付けられた有価価値に対応する貨幣の金額が前記商品の金額よりも小さい場合に追加の貨幣の入金を受け付けるよう前記貨幣処理装置に対して指示し、前記貨幣処理装置が受け付けた追加の貨幣の金額と前記有価価値に対応する貨幣の金額とを合算して前記商品の会計を行う
ことを特徴とする請求項6~8のいずれか一つに記載の会計システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗のレジにおける迅速かつ効率的な会計処理を可能とする貨幣入金機及び会計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等の各種店舗のレジには、販売時点管理機能を有する金銭登録機(以下、「POSレジ」と言う)と、該POSレジと通信可能に接続された貨幣処理装置(以下、「釣銭機」と言う)とが配設されることが多い。例えば、レジ係員がPOSレジのバーコードリーダにより商品に付されたバーコードを読み取って商品の価格を特定するとともに、レジ係員が顧客から受け取った貨幣を釣銭機に投入すると、該釣銭機から釣銭が出金される。
【0003】
例えば、特許文献1には、釣銭機から釣銭を投出後にレジ係員が顧客から貨幣を受け付け、この貨幣を追金金額としてキー入力した場合に、キー入力された追金金額と既に投出した釣銭金額とを加算して新たな釣銭金額を算出し、算出された釣銭金額の貨幣を最小構成枚数で釣銭機から投出させる技術が開示されている。この特許文献1によれば、一旦釣銭機から釣銭(例えば、450円)が投出された後であっても、顧客が自らの財布を調べて該財布の中に50円が存在することが分かり、該顧客から端数の貨幣(例えば、50円)をレジ係員が受け取ったならば、新たな釣銭(例えば、500円硬貨1枚)を払い出すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-49751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1によれば、レジ係員による処理遅延を招くために、商品の会計を待つ顧客の待ち行列を誘発するという問題がある。そもそも、レジ担当者は、各商品に付されたコードをそれぞれスキャンして会計金額を確定するとともに、顧客から貨幣を受け取って釣銭機に入金し、該釣銭機から出金された釣銭を確認した後に該釣銭を顧客に受け渡すという一連の処理を行わねばならない。加えて、レジ係員は、顧客からポイントカードを受け取った場合には、該ポイントカードの処理を行った後に、ポイントカードを顧客に返却する等の対応を行わねばならない。レジ担当者は、このような一連の手順を行わなければならないため、顧客が集中する時間帯においては、レジに待ち行列が発生するという問題が生ずる。
【0006】
このため、店舗に配設されたPOSレジと釣銭機とを用いて顧客が購入する商品の会計を行う場合に、いかに迅速かつ効率的な会計処理を可能とするかが重要な課題となっている。かかる課題は、レジ係員が商品の金銭登録だけを行い、顧客に商品の会計を行わせるセミセルフレジシステムや、顧客自身に商品の金銭登録及び会計を行わせるセルフレジシステムにおいても、同様に生ずる課題である。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、店舗のレジにおける迅速かつ効率的な会計処理を可能とする貨幣入金機及び会計システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、貨幣の入金を受け付ける貨幣受付部と、前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣を収納する貨幣収納部と、前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣の金額に対応する有価価値を、商品の会計に利用される所定の媒体に関連付ける関連付処理部と、顧客により所持された記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部とを備え、前記関連付処理部は、前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣の金額に対応する有価価値及び前記読取部により読み取られた情報を、商品の会計に利用される所定の媒体に関連付けることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記有価価値は、所定の貨幣処理装置を用いた商品の会計に利用可能な有価価値であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記有価価値は、所定の貨幣処理装置を用いた商品の当日会計に利用可能な有価価値であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記関連付処理部は、前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣の金額に対応する有価価値のコードを生成するコード生成部と、前記コード生成部により生成されたコードを商品の会計に利用される所定のレシートに印字する印字部と、前記印字部により前記コードが印字されたレシートを発行するレシート発行部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記関連付処理部は、前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣の金額に対応する有価価値のデータを生成するデータ生成部と、前記データ生成部により生成された有価価値のデータを商品の会計に利用される所定の記憶媒体に格納するよう制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、販売時点管理装置と、貨幣を識別及び計数して収納部に収納するとともに釣銭の払い出しを行う貨幣処理装置とを通信可能に接続した会計システムであって、貨幣の入金を受け付ける貨幣受付部と、前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣を収納する貨幣収納部と、前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣の金額に対応する有価価値を、前記貨幣処理装置における商品の会計に利用される所定の媒体に関連付ける関連付処理部と、顧客により所持された記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部とを有し、前記関連付処理部は、前記貨幣受付部により受け付けられた貨幣の金額に対応する有価価値及び前記読取部により読み取られた情報を、商品の会計に利用される所定の媒体に関連付ける貨幣入金機を備え、前記販売時点管理装置は、前記所定の媒体に関連付けられた有価価値に対応する貨幣の金額が前記商品の金額よりも大きい場合に、前記貨幣の金額と前記商品の金額との差分を釣銭として出金するよう前記貨幣処理装置に対して指示することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記貨幣入金機及び前記貨幣処理装置と通信可能に接続され、前記所定の媒体を一意に識別する識別情報と該所定の媒体に関連付けられた有価価値とを対応付けて記憶する記憶部を有する管理装置をさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記貨幣入金機は、前記関連付け処理部による関連付けが行われたことを条件として、前記所定の媒体を一意に識別する識別情報及び該所定の媒体に関連付けられた有価価値を含む関連付け情報を前記管理装置に通知する関連付け情報通知部をさらに備え、前記貨幣処理装置は、前記所定の媒体の識別情報を取得する識別情報取得部と、前記識別情報取得部により取得された識別情報に対応する有価価値を前記管理装置に対して要求する有価価値要求部と、前記管理装置から通知された所定の媒体の識別情報に対応する有価価値に対応する貨幣の金額が前記商品の金額よりも大きい場合に、前記貨幣の金額と前記商品の金額との差分を釣銭として出金するよう制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記販売時点管理装置は、前記所定の媒体に関連付けられた有価価値に対応する貨幣の金額が前記商品の金額よりも小さい場合に追加の貨幣の入金を受け付けるよう前記貨幣処理装置に対して指示し、前記貨幣処理装置が受け付けた追加の貨幣の金額と前記有価価値に対応する貨幣の金額とを合算して前記商品の会計を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、店舗のレジにおける迅速かつ効率的な会計処理が可能となり、レジでの顧客の待ち行列を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本実施例に係る会計システムの概念を説明するための説明図である。
図2図2は、店舗のレイアウトの具体例についての説明図である。
図3図3は、入金専用機の外観構成を示す外観構成図である。
図4図4は、図3に示した入金専用機の内部構成を示す機能ブロック図である。
図5図5は、紙幣処理ユニットの構成を示す構成図である。
図6図6は、入金専用機の処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、POSレジ及び釣銭機の外観構成を示す外観構成図である。
図8図8は、POSレジ及び釣銭機の機能構成を示す機能ブロック図である。
図9図9は、紙幣処理ユニットの構成を示す構成図である。
図10図10は、硬貨処理ユニットの構成を示す構成図である。
図11図11は、POSレジの処理手順を示すフローチャートである。
図12図12は、顧客が携行する媒体に事前入金金額を関連付ける場合の説明図である。
図13図13は、図12に示した管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
図14図14は、図13に示した事前入金テーブルの説明図である。
図15図15は、管理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図16図16は、事前入金金額を関連付けた媒体を複数の店舗で使用可能とする構成の説明図である。
図17図17は、セミセルフレジを採用したレイアウトの具体例についての説明図である。
図18図18は、図17に示したPOSレジの機能構成を示す機能ブロック図である。
図19図19は、図17に示したPOSレジの処理手順を示すフローチャートである。
図20図20は、図17に示した会計装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
図21図21は、図17に示した会計装置の処理手順を示すフローチャートである。
図22図22は、セルフレジに用いられる会計装置の外観構成を示す外観構成図である。
図23図23は、図22に示した会計装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る貨幣入金機及び会計システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0021】
<本実施例に係る会計システムの概念>
まず、本実施例に係る会計システムの概念について説明する。図1は、本実施例に係る会計システムの概念を説明するための説明図である。本実施例に係る会計システムでは、スーパーマーケット等の店舗に有人レジR1と、入金専用機10とを配設している。
【0022】
有人レジR1には、販売時点管理機能を有する金銭登録機であるPOSレジ20と、POSレジ20に通信可能に接続された貨幣処理装置である釣銭機30とが設置される。また、有人レジR1には、レジ係員Bが配置されている。
【0023】
入金専用機10は、例えば店舗の出入口の近傍に設置される貨幣入金機であり、顧客からの入金を受け付けると、入金額に対応する有価価値を関連付けた媒体の発行を行う。具体的には、入金専用機10は、入金金額を示すバーコードを印字した事前入金レシートRCを発行する。この事前入金レシートRCは、有人レジR1における会計に使用可能である。
【0024】
図1では、顧客Aが入金専用機10に10000円分の貨幣を入金し(S11)、入金専用機10は、10000円分の有価価値を関連付けた事前入金レシートRCを発行している(S12)。
【0025】
その後、顧客Aが店舗内で所望の商品Sを見つけ、有人レジR1でレジ係員Bに商品S及び事前入金レシートRCを渡すと、レジ係員BはPOSレジ20のバーコードリーダを操作し、商品Sに付されたバーコード及び事前入金レシートRCを読み取らせる。
【0026】
POSレジ20は、商品Sのバーコードをスキャンして(S13)、会計金額を算定する(S14)とともに、事前入金レシートRCを読み取って(S15)、事前入金金額を特定する(S16)。
【0027】
POSレジ20は、事前入金金額を用いて会計金額分の会計処理を行い(S17)、事前入金金額と会計金額との差分を釣銭として算定する(S18)。そして、釣銭分の貨幣を釣銭機30から出金させる(S19)。
【0028】
このように、本実施例にかかる会計システムでは、入金専用機10が貨幣の入金を受け付け、貨幣の金額に対応する有価価値を事前入金金額として関連付けた事前入金レシートRCを発行し、POSレジ20は事前入金レシートRCから事前入金金額を読み取って会計処理を行い、必要に応じて釣銭を払い出す。かかる構成により、有人レジR1においてレジ係員Bが顧客Aから貨幣を受け取って釣銭機30に入金する必要がなくなるため、迅速かつ効率的な会計処理が可能となる。
【0029】
次に、店舗のレイアウトの具体例について説明する。図2は、店舗のレイアウトの具体例についての説明図である。図2では、店舗1は2つの出入口を有し、それぞれの出入口の近傍に入金専用機10を配置している。また、店舗1の内部には、複数の陳列棚と、3つの有人レジR1~R3と、会計後の商品を袋詰めするためのサッカー台とが配置されている。
【0030】
図2に示した店舗では、顧客が入店した後、まず入金専用機10により事前の入金を行い、陳列棚で所望の商品を探し、有人レジR1~R3で会計処理を行い、サッカー台で袋詰めをして退店するよう動線を形成している。このように、最初に入金を行わせることで、有人レジR1~R3における待ち行列の発生を効果的に防ぐことができる。
【0031】
<入金専用機10の構成と動作>
次に、入金専用機10の外観構成について説明する。図3は、入金専用機10の外観構成を示す外観構成図である。図3に示すように、入金専用機10は、表示操作部11、音声出力部12、カードリーダ13、レシートプリンタ14、紙幣投入口18a及び紙幣払出口18bを有する。なお、ここでは紙幣のみを取り扱う入金専用機10を例に説明を行うが、入金専用機10は紙幣と硬貨の双方を取り扱い可能であってもよい。
【0032】
表示操作部11は、画面の表示と画面上に表示されたボタン等の操作によって入力操作を受け付けるタッチパネルディスプレイ等の入出力部である。音声出力部12は、音声による操作のガイドや注意メッセージなどを出力する出力部である。
【0033】
カードリーダ13は、ポイントカードなどから各種情報の読み取りを行うユニットである。レシートプリンタ14は、事前入金レシートRCの発行などに用いられる。紙幣投入口18aは、事前入金用の紙幣の投入に用いられる。紙幣払出口18bは、紙幣の投出に用いられる。紙幣の投出は、例えば、投入された紙幣の金額の一部のみを事前入金分とし、差分の紙幣を返却する場合に行われる。また、事前入金の取消による投入済の紙幣の返却や金種不明等の不適切な紙幣の返却を行う場合にも用いられる。
【0034】
ここで、投入された紙幣の金額の一部のみを事前入金分とする場合について説明する。例えば、顧客が一万円札などの高額紙幣しか所持していない場合に、投入した紙幣の金額を全て事前入金分とするのではなく、その一部のみを事前入金分としたいと希望するケースが考えられる。そこで、表示操作部11に「全額」、「10000円」、「5000円」、「3000円」、「1000円」などのように金額選択ボタンを表示させ、投入された紙幣の金額が選択された金額を上回る場合には、差分の紙幣を返却することで、顧客が所望の金額を事前入金できるようにすることが望ましい。
【0035】
次に、図3に示した入金専用機10の内部構成について説明する。図4は、図3に示した入金専用機10の内部構成を示す機能ブロック図である。図4に示すように、入金専用機10は、表示操作部11、音声出力部12、カードリーダ13、レシートプリンタ14、通信部15、記憶部16、制御部17及び紙幣処理ユニット18を有する。ここでは、既に説明した表示操作部11、音声出力部12、カードリーダ13及びレシートプリンタ14についての説明を省略する。また、紙幣を金種別に収納する紙幣処理ユニット18の詳細については後述する。
【0036】
通信部15は、所定の通信回線を経由して店内の管理装置等と通信するためのインタフェース部である。記憶部16は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ又はハードディスク装置等の二次記憶媒体等からなる記憶デバイスであり、入金履歴データ16aを記憶する。
【0037】
入金履歴データ16aは、入金専用機10における入金の履歴を示すデータである。入金履歴データ16aには、例えば、入金の日時、金額、発行した事前入金レシートRCの識別番号などが示される。また、ポイントカードの読み取りが行われていたならば、ポイントカードの識別情報(ID)等も対応付けて記憶される。
【0038】
制御部17は、入金専用機10の全体を制御する制御部であり、表示制御部17a、貨幣受付部17b、事前入金金額特定部17c、ポイントカード処理部17d及び関連付処理部17eを有する。
【0039】
表示制御部17aは、表示操作部11に表示する内容を制御する処理部である。例えば、表示制御部17aは、表示操作部11に「全額」、「10000円」、「5000円」、「3000円」、「1000円」などのように金額選択ボタンを表示する。また、貨幣受付部17bにより貨幣が受け付けられ、事前入金金額特定部17cにより事前入金金額が特定されたならば、事前入金の結果を表示操作部11に表示する。
【0040】
貨幣受付部17bは、紙幣投入口18aに投入された貨幣の受付を行う処理部である。具体的には、貨幣受付部17bは、紙幣処理ユニット18から投入された貨幣の金種及び枚数の通知を受けた場合に、その合計金額を投入金額とする。
【0041】
事前入金金額特定部17cは、事前入金金額の特定を行う処理部である。具体的には投入金額が金額選択ボタンの押下操作により指定された金額以上である場合に、金額選択ボタンに対応する金額を事前入金金額として特定する。ここで、投入金額が事前入金金額を上回る場合には、差分に対応する紙幣を紙幣処理ユニット18に払い出させる。
【0042】
ポイントカード処理部17dは、カードリーダ13にポイントカードが挿入された場合に、挿入されたポイントカードから識別情報であるIDやポイント残高等を読み取る処理を行う処理部である。
【0043】
関連付処理部17eは、事前入金金額に対応する有価価値を、商品の会計に利用される所定の媒体に関連付ける処理部である。具体的には、関連付処理部17eは、コード生成部17f及び事前入金レシート発行部17gを有する。
【0044】
コード生成部17fは、事前入金金額に対応する有価価値のコードを生成する処理を行う。このコードとしてはバーコードを用いることが好適である。POSレジ20は商品に付されたバーコードの読み取りのためにバーコードリーダを備えているからである。なお、2次元バーコードなど、他の形式のコードであってもよい。また、コード生成部17fは、ポイントカード処理部17dがポイントカードのIDやポイント残高を読み取っている場合には、ポイントカードのIDやポイントカード残高についてもコードの生成を行う。
【0045】
事前入金レシート発行部17gは、コード生成部17fにより生成されたコードをレシートプリンタ14に印字させる印字部としての機能と、コードが印字されたレシートである事前入金レシートRCを発行させるレシート発行部としての機能とを有する。事前入金レシートRCには、事前入金金額やポイントカードのID等を示すコードに加え、事前入金金額を示す文字列、発行日時、有効期限、事前入金レシートRC自体の識別情報、ポイントカードのIDなどを印字することができる。
【0046】
また、事前入金レシート発行部17gは、事前入金レシートRCの発行を行った場合に、入金履歴データ16aを更新する。具体的には、入金の日時、金額、発行した事前入金レシートRCの識別番号などを入金履歴データ16aに登録することになる。さらに、ポイントカードの読み取りが行われていたならば、ポイントカードのID報等も対応付けて登録する。
【0047】
次に、紙幣処理ユニット18の詳細について説明する。図5は、紙幣処理ユニット18の構成を示す構成図である。図5に示すように、紙幣処理ユニット18は、紙幣受入部18cと、紙幣払出部18dと、カセット装着部18eと、出金リジェクト部18fと、周回搬送部18gと、紙幣識別部18hと、金種別の紙幣収納部18iとを有する。
【0048】
紙幣受入部18cは、紙幣投入口18aに対する紙幣の投入を受け付け、1枚ずつ周回搬送部18gに繰り出す処理部である。紙幣払出部18dは、周回搬送部18gから1枚ずつ搬送された紙幣を一時的に貯留し、払い出すべき全ての紙幣が揃った場合に紙幣払出口18bから投出することで紙幣を払い出す処理部である。
【0049】
カセット装着部18eは、売上金の回収や釣銭の補充に用いる収納カセット19を着脱可能である。出金リジェクト部18fは、金種が識別できない等、出金に適さない紙幣を内部に集積する。例えば、出金処理時において紙幣収納部18iから繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により紙幣識別部18hで識別することができなかった紙幣は出金リジェクト部18fに搬送される。なお、紙幣受入部18cから取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により紙幣識別部18hで識別することができなかった紙幣は、入金リジェクト紙幣として紙幣払出部18dに返却される。
【0050】
複数の紙幣収納部18iは、それぞれ対応する金種が設定されており、設定された金種の紙幣を収納するとともに、収納されている紙幣を1枚ずつ繰出可能である。
【0051】
周回搬送部18gは、環状の周回搬送路を有しており、紙幣受入部18c、紙幣払出部18d、カセット装着部18e、出金リジェクト部18f及び複数の紙幣収納部18iと周回搬送路との間には接続搬送路が設けられている。また、周回搬送路には、紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う紙幣識別部18hが設けられている。
【0052】
周回搬送部18gは、図5における時計回りの方向及び反時計回りの方向に周回搬送路を回転駆動することで、紙幣を1枚ずつ搬送することができる。具体的には、紙幣を紙幣収納部18iに収納する場合には、周回搬送路を図5における時計回りに回転駆動し、紙幣を紙幣収納部18iから繰り出す場合には、周回搬送路を図5における反時計回りに回転駆動することになる。この回転駆動の制御に加え、周回搬送路と各接続搬送部との間で紙幣の搬送経路を切り換えることで、周回搬送部18gは、紙幣の搬送先を制御する。
【0053】
次に、入金専用機10による処理手順について説明する。図6は、入金専用機10の処理手順を示すフローチャートである。入金専用機10は、表示操作部11に表示した金額選択ボタンの押下操作を受け付ける(ステップS101)とともに、紙幣の投入を受け付ける(ステップS102)と、事前入金金額特定部17cにより事前入金金額を特定する(ステップS103)。また、カードリーダ13にポイントカードが挿入されたならば、ポイントカード処理部17dがポイントカードからIDを取得する(ステップS104)。なお、ポイントカードからIDを取得するタイミングはあくまで一例であり、ステップS103の後に限定されるものではない。例えば、ステップS101よりも前の段階で予めポイントカードからIDを取得する処理手順で実施することも可能である。
【0054】
その後、関連付処理部17eのコード生成部17fが事前入金金額とIDからコードを生成し(ステップS105)、事前入金レシート発行部17gがコードをレシートプリンタ14に印字させて事前入金レシートを発行する(ステップS106)。そして、投入金額が事前入金金額を超える場合には差分を釣銭として出金し(ステップS107)、処理を終了する。
【0055】
<POSレジ20及び釣銭機30の構成と動作>
次に、有人レジに設置されるPOSレジ20及び釣銭機30の構成について説明する。図7は、POSレジ20及び釣銭機30の外観構成を示す外観構成図である。図7に示すように、POSレジ20は、操作者用の表示部21a、顧客用の表示部21b、操作キー等の操作部21c及びバーコードリーダ22を有する。
【0056】
釣銭機30は、紙幣処理ユニット40と、紙幣処理ユニット40の隣に並ぶよう配置された硬貨処理ユニット50とを備えており、紙幣処理ユニット40及び硬貨処理ユニット50の上方にPOSレジ20を載置することができる。
【0057】
紙幣処理ユニット40は、紙幣の入出金処理を行うユニットであり、紙幣投入口41a及び紙幣払出口42aを有する。また、紙幣処理ユニット40は、後述する出金リジェクト部43及びカセット装着部44を有する。
【0058】
硬貨処理ユニット50は、硬貨の入出金処理を行うユニットであり、硬貨投入口51及び硬貨払出口55を有する。さらに、硬貨処理ユニット50は、釣銭機30の表示操作部56が設けられている。
【0059】
図8は、POSレジ20及び釣銭機30の機能構成を示す機能ブロック図である。図8に示すように、POSレジ20は、表示操作部21、バーコードリーダ22、カードリーダ23、レシートプリンタ24、通信部25及びPOS制御部26を有する。
【0060】
表示操作部21は、表示部21a、表示部21b及び操作部21cによって操作者や顧客に対する情報出力と、操作者からの入力受付とを行う。バーコードリーダ22は、商品に付されたバーコードを読み取ることで商品の名称や価格等の情報を取得することができる。また、バーコードリーダ22は、事前入金レシートからのコードの読み取りにも用いられる。カードリーダ23は、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード等のペイメントカードによる会計時に用いられる。
【0061】
レシートプリンタ24は、取引内容を印字した会計レシートの発行に用いられる。会計レシートに印字される取引内容は、例えば日時、登録された商品の名称、価格、投入された貨幣の金額や事前入金金額、釣銭の金額、ポイント残高などである。通信部25は、釣銭機30や外部のサーバとの通信を行う通信インタフェースである。
【0062】
POS制御部26は、POSレジ20を全体制御する制御部であり、購入商品登録部26a、事前入金金額取得部26b、会計金額算定部26c、会計処理部26d及び会計レシート発行部26eを有する。
【0063】
購入商品登録部26aは、購入対象となる商品の登録を行う処理部である。具体的には、バーコードリーダ22が商品に付されたバーコードを読み取って商品の名称や価格等の情報を取得した場合に、購入商品登録部26aは、取得された情報を用いて商品の登録を行い、登録した商品を表示部21aなどに表示する。
【0064】
事前入金金額取得部26bは、バーコードリーダ22により事前入金レシートに印字されたコードを読み取って事前入金金額を取得する処理を行う。また、事前入金レシートに印字されたコードにポイントカードのIDが含まれている場合には、ポイントカードのIDの取得をさらに行う。
【0065】
会計金額算定部26cは、購入商品登録部26aにより登録された全ての商品の価格を合計することで会計金額を算定し、表示部21aなどに表示する処理を行う。
【0066】
会計処理部26dは、会計金額算定部26cにより算定された会計金額の決済を行って取引を完了する会計処理を行う処理部である。会計金額の決済は、事前入金金額を用いて行うことができる。事前入金金額を用いて会計処理を行う場合に、事前入金金額が不足しているならば、釣銭機30に対する追加入金を受け付けて、入金された金額を事前入金金額に加算し、会計処理を行うことが可能である。また、事前入金金額を用いて会計処理を行う場合に、事前入金金額が会計金額を超えているならば、その差分を釣銭として釣銭機30に払い出させる。
【0067】
なお、会計処理はペイメントカードや現金により行うこともできる。ペイメントカードによる決済が選択された場合には、会計処理部26dは、カードリーダ23に挿入されたペイメントカードからカードID等の情報を取得し、会計金額とともに外部のサーバに送信することで決済を行う。また、現金による決済が選択された場合には、会計処理部26dは、釣銭機30に会計金額を送信し、釣銭機30から会計完了通知を受信した場合に決済を完了する。
【0068】
会計レシート発行部26eは、会計処理が完了した場合に、レシートプリンタ24により会計レシートの発行を行う処理部である。会計レシートには、既に説明したように、日時、登録された商品の名称、価格、投入された貨幣の金額や事前入金金額、釣銭の金額、ポイント残高などが印字される。
【0069】
釣銭機30は、紙幣処理ユニット40及び硬貨処理ユニット50で構成されている。紙幣処理ユニット40は、紙幣を金種別に収納するユニットであり、硬貨処理ユニット50は硬貨を金種別に収納するユニットである。
【0070】
紙幣処理ユニット40は、通信部49a、紙幣受入部41、周回搬送部45、紙幣識別部46、紙幣収納部47、出金リジェクト部43、紙幣払出部42、カセット装着部44、紙幣記憶部48及び紙幣釣銭制御部49を備えている。通信部49aは、通信線を通して硬貨処理ユニット50とのデータ通信を行うためのインタフェース部である。紙幣処理ユニット40はPOSレジ20と直接通信線で接続されていないが、硬貨処理ユニット50を経由することによってPOSレジ20と通信することができるよう構成されている。
【0071】
紙幣記憶部48は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ又はハードディスク装置等の二次記憶媒体等からなる記憶デバイスであり、紙幣在高データ48aなどを記憶する。紙幣在高データ48aは、紙幣処理ユニット40に収納されている紙幣の金種別の在高を示すデータである。
【0072】
紙幣釣銭制御部49は、紙幣処理ユニット40を制御する制御部であり、入金処理部49b及び出金処理部49cを有する。
【0073】
入金処理部49bは、紙幣の入金処理を行う処理部である。入金処理部49bは、POSレジ20から会計金額を受信した場合や、追加入金の受付指示を受信した場合に、紙幣処理ユニット40に対する紙幣の挿入を許可する。
【0074】
その後、入金処理部49bは、紙幣処理ユニット40から挿入された紙幣の金種別の枚数を取得し、挿入された紙幣の合計金額を算定し、硬貨処理ユニット50の通信部を介してPOSレジ20に通知を送信する。
【0075】
出金処理部49cは、紙幣の出金処理を行う処理部である。具体的には、出金処理部49cは、硬貨処理ユニット50の通信部59aを介してPOSレジ20から釣銭の出金指示を受けた場合に、釣銭の金額に応じて払い出すべき金種と枚数を決定し、紙幣の出金処理を行う。そして、釣銭の出金が正常に終了した場合には、硬貨処理ユニット50の通信部59aを介してPOSレジ20に通知する。
【0076】
硬貨処理ユニット50は、通信部59a、硬貨投入口51、入金硬貨搬送部52、硬貨識別部52a、硬貨収納部53、出金硬貨搬送部54、硬貨払出口55、表示操作部56、硬貨記憶部58及び硬貨釣銭制御部59を備えている。通信部59aは、通信線を通してPOSレジ20及び紙幣処理ユニット40とのデータ通信を行うためのインタフェース部である。
【0077】
硬貨記憶部58は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ又はハードディスク装置等の二次記憶媒体等からなる記憶デバイスであり、硬貨在高データ58aなどを記憶する。硬貨在高データ58aは、硬貨処理ユニット50に収納されている硬貨の金種別の在高を示すデータである。
【0078】
硬貨釣銭制御部59は、硬貨処理ユニット50を制御する制御部であり、入金処理部59b及び出金処理部59cを有する。
【0079】
入金処理部59bは、硬貨の入金処理を行う処理部である。入金処理部59bは、POSレジ20から会計金額を受信した場合や追加入金の受付指示を受信した場合に、硬貨処理ユニット50に対する硬貨の投入を許可する。
【0080】
その後、入金処理部59bは、硬貨処理ユニット50に投入された硬貨の金種別の枚数を取得し、投入された硬貨の合計金額を算定し、POSレジ20に通知を送信する。
【0081】
出金処理部59cは、硬貨の出金処理を行う処理部である。具体的には、出金処理部59cは、POSレジ20から釣銭の出金指示を受けた場合に、釣銭の金額に応じて払い出すべき金種と枚数を決定し、硬貨の出金処理を行う。そして、釣銭の出金が正常に終了した場合には、POSレジ20に通知する。
【0082】
次に、紙幣処理ユニット40及び硬貨処理ユニット50の詳細について説明する。図9は、紙幣処理ユニット40の構成を示す構成図である。図9に示すように、紙幣処理ユニット40は、紙幣受入部41と、紙幣払出部42と、出金リジェクト部43と、カセット装着部44と、周回搬送部45と、紙幣識別部46と、金種別の紙幣収納部47とを有する。
【0083】
紙幣受入部41は、紙幣投入口41aに対する紙幣の投入を受け付け、1枚ずつ周回搬送部45に繰り出す処理部である。紙幣払出部42は、周回搬送部45から1枚ずつ搬送された紙幣を一時的に貯留し、払い出すべき全ての紙幣が揃った場合に紙幣払出口42aから投出することで紙幣を払い出す処理部である。
【0084】
出金リジェクト部43は、金種が識別できない等、出金に適さない紙幣を内部に集積する。例えば、出金処理時において紙幣収納部47から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により紙幣識別部46で識別することができなかった紙幣は出金リジェクト部43に搬送される。なお、紙幣受入部41から取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により紙幣識別部46で識別することができなかった紙幣は、入金リジェクト紙幣として紙幣払出部42に返却される。
【0085】
カセット装着部44は、売上金の回収や釣銭の補充に用いる紙幣カセット60を着脱可能である。
【0086】
複数の紙幣収納部47は、それぞれ対応する金種が設定されており、設定された金種の紙幣を収納するとともに、収納されている紙幣を1枚ずつ繰出可能である。
【0087】
周回搬送部45は、中央に周回搬送路を有しており、紙幣受入部41、紙幣払出部42、出金リジェクト部43、カセット装着部44及び複数の紙幣収納部47と周回搬送路との間には接続搬送路が設けられている。また、周回搬送路には、紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う紙幣識別部46が設けられている。
【0088】
周回搬送部45は、図4における時計回りの方向及び反時計回りの方向に周回搬送路を回転駆動することで、紙幣を1枚ずつ搬送することができる。具体的には、紙幣を紙幣収納部47に収納する場合には、周回搬送路を図9における時計回りに回転駆動し、紙幣を紙幣収納部47から繰り出す場合には、周回搬送路を図9における反時計回りに回転駆動することになる。この回転駆動の制御に加え、周回搬送路と各接続搬送部との間で紙幣の搬送経路を切り換えることで、周回搬送部45は、紙幣の搬送先を制御する。
【0089】
図10は、硬貨処理ユニット50の構成を示す構成図である。図10に示すように、硬貨処理ユニット50は、硬貨投入口51、入金硬貨搬送部52、金種別の硬貨収納部53、出金硬貨搬送部54及び硬貨払出口55を有する。また、入金硬貨搬送部52には硬貨識別部52aが設けられている。
【0090】
入金硬貨搬送部52は、硬貨投入口51に投入された硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体内に取り込む。具体的には、入金硬貨搬送部52には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構が設けられており、硬貨投入口51に対する硬貨の投入を検知すると、硬貨繰出機構が駆動されることにより硬貨が1枚ずつ繰り出される。
【0091】
硬貨識別部52aは、入金硬貨搬送部52に繰り出された硬貨の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う。入金硬貨搬送部52は、硬貨識別部52aの識別結果に基づいて、硬貨の搬送先を決定する。このとき、真正と識別できない、汚損があるなど、硬貨収納部53での収納に適さない硬貨は、リジェクト硬貨として硬貨払出口55が搬送先となる。硬貨収納部53での収納に適する硬貨であれば、金種の識別結果に対応する硬貨収納部53が搬送先となる。
【0092】
複数の硬貨収納部53は、それぞれ対応する金種が設定されており、設定された金種の紙幣を収納するとともに、収納されている硬貨を1枚ずつ出金硬貨搬送部54に繰り出することができる。出金硬貨搬送部54は、硬貨収納部53から繰り出された硬貨を搬送して硬貨払出口55に投出する。
【0093】
次に、POSレジ20による処理手順について説明する。図11は、POSレジ20の処理手順を示すフローチャートである。まず、購入商品登録部26aは、バーコードリーダ22により商品に付されたバーコードを読み取る(ステップS201)。その後、他の商品があるならば(ステップS202;Yes)、ステップS201に移行し、次の商品に付されたバーコードを読み取る。
【0094】
全ての商品からバーコードを読み取ったならば(ステップS202;No)、会計金額算定部26cは、全ての商品の価格を合計することで会計金額を算定する(ステップS203)。また、事前入金金額取得部26bは、バーコードリーダ22により事前入金レシートに印字されたコードを読み取って(ステップS204)、事前入金金額を取得する(ステップS205)。
【0095】
入金金額が会計金額に満たない場合(ステップS206;Yes)、会計処理部26dは、追加入金の受付を行う(ステップS207)。そして、事前入金金額と追加入金額を含めた入金額が会計金額以上となったならば(ステップS206;No)、会計処理部26dは、会計金額の決済を行うことで会計処理を実行し(ステップS208)、釣銭金額を算定し(ステップS209)、釣銭機30に釣銭を出金させる(ステップS210)。その後、会計レシート発行部26eがレシートプリンタ24により会計レシートを発行し(ステップS211)、処理を終了する。
【0096】
なお、事前入金レシートを用いて会計処理を行った場合には、事前入金レシートを特定する情報(例えば事前入金レシート自体の識別情報)を使用済事前入金レシート情報として管理し、1の事前入金レシートが複数回使用される事態を防止するよう構成してもよい。かかる構成では、ステップS204で事前入金レシートを読み取った場合に、当該事前入金レシートが有効であるか、すなわち使用済事前入金レシートとして管理されていないかを判定し、有効である場合にステップS205以降の処理を行うことになる。ここで、事前入金レシートを使用可能なレジが複数存在する場合には、使用済事前入金レシートに関する情報を全てのレジが共有するよう管理する。
【0097】
<変形例>
これまでの説明では、事前入金金額を印字した事前入金レシートを発行する構成を例示したが、事前入金金額は顧客が携行する媒体に関連付けることも可能である。事前入金金額を関連付ける媒体としては、例えば免許証、保険証など、個人を識別可能なものを用いることができる。また、携帯端末を一意に識別可能な識別情報を取得できる場合には、携帯端末を媒体として用いることもできる。
【0098】
図12は、顧客が携行する媒体に事前入金金額を関連付ける場合の説明図である。図12に示した構成では、入金専用機10及びPOSレジ20は、それぞれ管理装置70と通信可能である。
【0099】
入金専用機10は、貨幣の入金を受け付けて事前入金金額を特定し、事前入金金額を関連付ける媒体から識別情報を取得したならば、管理装置70に対して関連付け情報を送信する。この関連付け情報には、取得した媒体の識別情報と、事前入金金額と、入金専用機10を識別するための処理装置IDとが含まれる。管理装置70は、入金専用機10から受信した関連付け情報を事前入金テーブルに登録して保持する。
【0100】
POSレジ20は、顧客が提示した媒体から識別情報を取得することができる。POSレジ20が取得した媒体の識別情報を管理装置70に送信すると、管理装置70は事前入金テーブルを参照し、識別情報に関連付けられた事前入金金額を読み出してPOSレジ20に送信する。POSレジ20は、管理装置70から受信した事前入金金額を用いて会計処理を行い、事前入金金額が会計金額を超えている場合には、釣銭機30から釣銭分の貨幣を出金する。
【0101】
このように、顧客が携行する媒体に事前入金金額を関連付けて管理装置70が管理することで、事前入金レシートを用いることなく事前入金による会計が可能となり、迅速かつ効率的な会計処理を実現できる。
【0102】
図13は、図12に示した管理装置70の構成を示す機能ブロック図である。図13に示すように、管理装置70は、表示部71、操作部72、通信部73、記憶部74及び制御部75を有する。
【0103】
表示部71は、液晶パネルなどの表示デバイスで構成され、操作者である店員に対する表示出力に用いられる。操作部72は、キーボードやボタン等の操作デバイスで構成され、操作者である店員からの操作の受付けに用いられる。また、タッチパネルディスプレイなどを用い、表示部71と操作部72とを一体に構成してもよい。通信部73は、入金専用機10やPOSレジ20との通信を行う通信インタフェースである。
【0104】
記憶部74は、ハードディスク装置又は不揮発性メモリなどからなる記憶デバイスであり、事前入金テーブル74aを記憶する。事前入金テーブル74aには、既に説明したように、入金専用機10から受信した関連付け情報が登録される。
【0105】
制御部75は、管理装置70の全体制御を行う制御部であり、関連付け情報受信部75a及び事前入金金額通知部75bを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、関連付け情報受信部75a及び事前入金金額通知部75bにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0106】
関連付け情報受信部75aは、入金専用機10から関連付け情報を受信し、事前入金テーブル74aに登録する処理を行う。事前入金金額通知部75bは、POSレジ20から媒体の識別情報を受信した場合に、事前入金テーブル74aを参照し、識別情報に関連付けられた事前入金金額を読み出してPOSレジ20に通知する処理を行う。
【0107】
図14は、図13に示した事前入金テーブル74aの説明図である。図14に示す事前入金テーブル74aは、媒体の識別情報に事前入金金額、日時、種別、処理装置ID等を対応付けたテーブルである。媒体の識別情報としては、免許番号、保険証番号、携帯IDmなどを用いることができる。また、処理装置IDは入金専用機10を識別する情報である。この他、会計に使用済みであるか否かのフラグ、ポイントカードID、ポイント残高等、任意のデータを対応付けることができる。
【0108】
図14では、識別情報「A0001」に対し、事前入金金額「5000円」、日時「2017/7/27 09:03」、種別「現金」、処理装置ID「T0322」などを対応付けた状態を示している。また、識別情報「B1234」に対し、事前入金金額「10000円」、日時「2017/7/27 13:27」、種別「現金」、処理装置ID「T0055」などを対応付けた状態を示している。
【0109】
次に、管理装置70による処理手順について説明する。図15は、管理装置70の処理手順を示すフローチャートである。管理装置70の関連付け情報受信部75aは、入金専用機10から関連付け情報を受信したか否かを判定し(ステップS301)、入金専用機10から関連情報を受信したならば(ステップS301;Yes)、事前入金テーブル74aに登録して(ステップS302)、ステップS301に移行する。
【0110】
一方、関連付け情報を受信していなければ(ステップS301;No)、事前入金金額通知部75bは、POSレジ20から媒体の識別情報を受信したか否かを判定する(ステップS303)。識別情報を受信していなければ(ステップS303;No)、ステップS301に移行し、識別情報を受信したならば(ステップS303;Yes)、事前入金金額通知部75bは、事前入金テーブル74aに識別情報が登録済みであるか否かを判定する(ステップS304)。
【0111】
識別情報が事前入金テーブル74aに登録されていれば(ステップS304;Yes)、事前入金金額通知部75bは、識別情報に関連付けられた事前入金金額を読み出してPOSレジ20に通知する(ステップS305)。一方、識別情報が事前入金テーブル74aに登録されていなければ(ステップS304;No)、事前入金金額通知部75bは、POSレジ20にエラー通知を行う(ステップS306)。
【0112】
ステップS305又はステップS306の後、事前入金金額通知部75bは、処理を終了するか否かを判定し(ステップS307)、処理を終了しない場合には(ステップS307;No)、ステップS301に移行する。そして、処理を終了するとの判定を行った場合に(ステップS307;Yes)、一連の処理を終了する。
【0113】
なお、会計処理を行った場合には、事前入金テーブル74aにおいて会計に使用済みであることを示すフラグをセットし、1の事前入金金額が複数回使用される事態を防止するよう構成してもよい。かかる構成では、ステップS304において識別情報が登録済みであるか否かを判定するとともに、会計に使用済みであるか否かを判定し、未使用であることを条件にステップS305に移行し、使用済みであればステップS306に移行することになる。
【0114】
これまでの説明では、店舗1に有人レジと入金専用機10を設置する場合を例示したが、複数の店舗がテナントとしてはいる商業施設などでは、必ずしも各店舗に入金専用機10を設置する必要は無い。すなわち、事前入金金額を関連付けた媒体を複数の店舗で使用可能とすることができる。
【0115】
図16は、事前入金金額を関連付けた媒体を複数の店舗で使用可能とする構成の説明図である。図16では、商業施設に店舗1~5がテナントとして入っており、各店舗に有人レジが設けられている。そして、商業施設の出入口近傍の共有部分に入出金端末が設置されている。
【0116】
入出金端末は、入金専用機10としての機能を有する装置であり、事前入金金額の媒体への関連付け、例えば事前入金レシートの発行を行うことができる。各店舗の有人レジでは、この事前入金レシートから事前入金金額を取得し、会計処理を行うことができる。
【0117】
ここで、会計処理において釣銭を払い出す必要が生じた場合に、会計処理を行った有人レジで釣銭を出金することとしてもよいが、釣銭の出金は入出金端末で行うこととしてもよい。入金を共用の装置で行い、出金を各店舗で行うこととすると、店舗では現金の入金がないまま出金のみが行われることになり、現金の適正な管理が煩雑となるためである。
【0118】
入出金端末で釣銭の出金を行う場合には、会計処理を行った有人レジで釣銭金額を指定した釣銭出金レシートを発行し、入出金端末に釣銭出金レシートを読み取らせて、釣銭金額分の出金処理を行わせればよい。
【0119】
上述してきたように、本実施例1に係る会計システムでは、入金専用機10が貨幣の入金を受け付けて収納するとともに、受け付けた貨幣の金額に対応する有価価値を、商品の会計に利用される所定の媒体に事前入金金額として関連付ける。そして、POSレジ20は媒体に関連付けられた事前入金金額を取得して会計処理を行い、必要に応じて釣銭機30から釣銭を払い出す。かかる構成により、顧客から受け取った貨幣を釣銭機30に入金する必要がなくなるため、迅速かつ効率的な会計処理が可能となる。
【0120】
事前入金金額を関連付ける媒体としては、事前入金金額を示すコードを印字した事前入金レシートを用いればよい。このように事前入金金額をコード化すれば、POSレジ20では商品に付されたバーコードの読取に用いるバーコードリーダで事前入金金額を読み取ることができるためである。なお、バーコードを印字したレシートに限らず、ICカードなどに事前入金金額を記憶させて発行する構成であっても同様に用いることができる。
【0121】
また、事前入金金額を関連付ける媒体としては、免許証などを用いることもできる。この場合には、入金専用機10は免許証などの媒体から識別情報を読みとって事前入金金額とともに管理装置70に送信し、管理装置70が媒体の識別情報と事前入金金額とを関連付けて記憶し、POSレジ20から媒体の識別情報を受信した場合に関連付けた事前入金金額を通知すればよい。
【0122】
なお、事前入金金額には、使用期限を設定することが望ましい。具体的には、事前入金金額の利用は当日のみに限定し、退店前に使用又は払い戻しを行わせればよい。事前入金金額の払い戻しは、POSレジ20及び釣銭機30によって行うことができるほか、入金専用機10で行うことも可能とすることが好適である。
【実施例2】
【0123】
上述した実施例1では、レジ係員が商品の登録と会計に係る操作を行う場合について説明を行った。本実施例2では、セミセルフレジ及びセルフレジに本発明を適用する場合について説明する。セミセルフレジでは、商品の登録を行うPOSレジと会計を行う会計装置とを分離して設置し、レジ係員がPOSレジを操作して商品の登録を行い、顧客が会計装置を操作して会計を行う。また、セルフレジでは、商品の登録に係る操作と会計に係る操作を顧客自身が行う。
【0124】
<セミセルフレジの構成と動作>
図17は、セミセルフレジを採用したレイアウトの具体例についての説明図である。図17では、店舗の出入口近傍に入金専用機10を設置している。また、店舗内にチェックアウトエリアとサッカーエリアを設け、チェックアウトエリアとサッカーエリアとの間にエリア出入口を設けている。
【0125】
チェックアウトエリアには、商品の登録を行う登録エリアと、会計を行う会計エリアとが含まれる。登録エリアには、POSレジ120が複数設置され、操作を行うレジ係員Bがそれぞれ配置される。会計エリアには、複数の会計装置130が設置され、顧客による操作が可能である。
【0126】
図17に示した構成では、店舗に入店した顧客は、まず入金専用機10により事前の入金を行って事前入金レシートを受け取る。その後、店舗内で所望の商品を買い物カゴに入れて登録エリアに進み、買い物カゴをレジ係員Bに渡す。レジ係員Bは、POSレジ120を操作して、買い物カゴ内に所在する商品の登録を行う。全ての商品を登録した後、POSレジ120は、購入商品レシートを発行する。この購入商品レシートは、購入した商品に係る情報が印字されるとともに、会計金額を示すコードが印字されている。会計金額は、商品が一つの場合には該商品の価格となり、商品が複数の場合には複数の商品の価格の合計となる。
【0127】
その後、顧客は、登録を終えた商品が内在する買い物カゴと購入商品レシートとを持参して、会計装置130に移動する。顧客が会計装置130に購入商品レシート及び事前入金レシートを読み取らせると、会計装置130は、それぞれのレシートから会計金額と事前入金金額を取得して会計処理を行い、必要に応じて釣銭を払い出す。会計処理の後、顧客はチェックアウトエリアを出て、サッカーエリアに設けられたサッカー台で商品の袋詰めを行なう。
【0128】
次に、図17に示したPOSレジ120の機能構成について説明する。図18は、図17に示したPOSレジ120の機能構成を示す機能ブロック図である。図18に示すように、POSレジ120は、表示操作部21、バーコードリーダ22、カードリーダ23、レシートプリンタ24、通信部25、POS制御部126及び記憶部127を有する。
【0129】
表示操作部21、バーコードリーダ22、カードリーダ23、レシートプリンタ24、通信部25については、実施例1に示したPOSレジ20と同様であるので、説明を省略する。
【0130】
記憶部127は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ又はハードディスク装置等の二次記憶媒体等からなる記憶デバイスであり、購入商品ログデータ127aを記憶する。購入商品ログデータ127aは、登録した商品に係る情報(商品名、数量、価格など)、会計金額、日時、POSレジ120の識別情報、レジ係員Bの識別情報などが登録される。
【0131】
POS制御部126は、POSレジ120を全体制御する制御部であり、購入商品登録部26a、会計金額算定部26c及び購入商品レシート発行部126aを有する。
【0132】
購入商品登録部26aは、購入対象となる商品の登録を行う処理部である。具体的には、バーコードリーダ22が商品に付されたバーコードを読み取って商品の名称や価格等の情報を取得した場合に、購入商品登録部26aは、取得された情報を用いて商品の登録を行い、登録した商品を表示する。会計金額算定部26cは、購入商品登録部26aにより登録された全ての商品の価格を合計することで会計金額を算定し、表示する処理を行う。
【0133】
購入商品レシート発行部126aは、購入商品レシートの発行を行う処理部である。具体的には、購入商品レシート発行部126aは、会計金額算定部26cにより算定された会計金額を示すコードを生成し、生成したコードをレシートプリンタ24に印字させることで購入商品レシートを発行する。また、購入商品レシートには、登録した商品に係る情報(商品名、数量、価格など)、会計金額、日時、POSレジ120の識別情報、レジ係員Bの識別情報などをさらに印字してもよい。また、これらの情報の一部又は全てをコード化し、購入商品レシートに印字することもできる。
【0134】
購入商品レシート発行部126aは、購入商品レシートの発行を行った場合に、登録した商品に係る情報(商品名、数量、価格など)、会計金額、日時、POSレジ120の識別情報、レジ係員Bの識別情報などを購入商品ログデータ127aに登録する。
【0135】
次に、POSレジ120による処理手順について説明する。図19は、POSレジ120の処理手順を示すフローチャートである。まず、購入商品登録部26aは、バーコードリーダ22により商品に付されたバーコードを読み取る(ステップS401)。その後、他の商品があるならば(ステップS402;Yes)、ステップS401に移行し、次の商品に付されたバーコードを読み取る。
【0136】
全ての商品からバーコードを読み取ったならば(ステップS402;No)、会計金額算定部26cは、全ての商品の価格を合計することで会計金額を算定する(ステップS403)。その後、購入商品レシート発行部126aが購入商品ログデータ127aへの登録(ステップS404)と、購入商品レシートの発行を行って(ステップS405)、処理を終了する。
【0137】
次に、図17に示した会計装置130の機能構成について説明する。図20は、図17に示した会計装置130の機能構成を示す機能ブロック図である。図20に示すように、会計装置130は、表示操作部131、バーコードリーダ132、カードリーダ133、レシートプリンタ134、通信部135及び会計制御部136を有するとともに、釣銭機30を内蔵する。釣銭機30の構成及び動作は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0138】
表示操作部131は、操作者である顧客に対する情報出力と、操作者である顧客からの入力受付とを行う。バーコードリーダ132は、事前入金レシート及び購入商品レシートのコードの読み取りに用いられる。カードリーダ133は、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード等のペイメントカードによる会計時に用いられる。
【0139】
レシートプリンタ134は、取引内容を印字した会計レシートの発行に用いられる。レシートに印字される取引内容は、例えば日時、登録された商品の名称、価格、投入された貨幣の金額や事前入金金額、釣銭の金額、ポイント残高などである。通信部135は、釣銭機30や外部のサーバとの通信を行う通信インタフェースである。
【0140】
会計制御部136は、会計装置130を全体制御する制御部であり、購入商品データ取得部136a、事前入金金額取得部136b、会計処理部136c及び会計レシート発行部136dを有する。
【0141】
購入商品データ取得部136aは、バーコードリーダ132により購入商品レシートに印字されたコードを読み取って会計金額や商品に関する情報を取得する処理を行う。
【0142】
事前入金金額取得部136bは、バーコードリーダ132により事前入金レシートに印字されたコードを読み取って事前入金金額を取得する処理を行う。また、事前入金レシートに印字されたコードにポイントカードのIDが含まれている場合には、ポイントカードのIDの取得をさらに行う。
【0143】
会計処理部136cは、購入商品データ取得部136aにより取得された会計金額の決済を行って取引を完了する会計処理を行う処理部である。会計金額の決済は、事前入金金額を用いて行うことができる。事前入金金額を用いて会計処理を行う場合に、事前入金金額が不足しているならば、釣銭機30に対する追加入金を受け付けて、入金された金額を事前入金金額に加算し、会計処理を行うことが可能である。また、事前入金金額を用いて会計処理を行う場合に、事前入金金額が会計金額を超えているならば、その差分を釣銭として釣銭機30に払い出させる。
【0144】
なお、会計処理はペイメントカードや現金により行うこともできる。ペイメントカードによる決済が選択された場合には、会計処理部136cは、カードリーダ133に挿入されたペイメントカードからカードID等の情報を取得し、会計金額とともに外部のサーバに送信することで決済を行う。また、現金による決済が選択された場合には、会計処理部136cは、釣銭機30に会計金額を送信し、釣銭機30から会計完了通知を受信した場合に決済を完了する。
【0145】
会計レシート発行部136dは、会計処理が完了した場合に、レシートプリンタ134により会計レシートの発行を行う処理部である。会計レシートには、既に説明したように、日時、登録された商品の名称、価格、投入された貨幣の金額や事前入金金額、釣銭の金額、ポイント残高などが印字される。
【0146】
次に、会計装置130による処理手順について説明する。図21は、会計装置130の処理手順を示すフローチャートである。まず、購入商品データ取得部136aは、バーコードリーダ132により購入商品レシートに印字されたコードを読み取って(ステップS501)、会計金額を取得する(ステップS502)。また、事前入金金額取得部136bは、バーコードリーダ132により事前入金レシートに印字されたコードを読み取って(ステップS503)、事前入金金額を取得する(ステップS504)。
【0147】
入金金額が会計金額に満たない場合(ステップS505;Yes)、会計処理部136cは、追加入金の受付を行う(ステップS506)。そして、事前入金金額と追加入金額を含めた入金額が会計金額以上となったならば(ステップS505;No)、会計処理部136cは、会計金額の決済を行うことで会計処理を実行し(ステップS507)、釣銭金額を算定し(ステップS508)、釣銭機30に釣銭を出金させる(ステップS509)。その後、会計レシート発行部136dがレシートプリンタ134により会計レシートを発行し(ステップS510)、処理を終了する。
【0148】
なお、事前入金レシートを用いて会計処理を行った場合には、事前入金レシートを特定する情報(例えば事前入金レシート自体の識別情報)を使用済事前入金レシート情報として管理し、1の事前入金レシートが複数回使用される事態を防止するよう構成してもよい。かかる構成では、ステップS503で事前入金レシートを読み取った場合に、当該事前入金レシートが有効であるか、すなわち使用済事前入金レシートとして記憶されていないかを判定し、有効である場合にステップS504以降の処理を行うことになる。ここで、事前入金レシートを使用可能なレジが複数存在する場合には、使用済事前入金レシートに関する情報を全てのレジが共有するよう管理する。
【0149】
<セルフレジの構成>
次に、セルフレジに用いられる会計装置について説明する。図22は、セルフレジに用いられる会計装置200の外観構成を示す外観構成図である。会計装置200は、POSレジ220と釣銭機30を内蔵しており、POSレジ220の表示操作部221、バーコードリーダ222、カードリーダ223、釣銭機30の表示操作部56、紙幣投入口41a、紙幣払出口42a、硬貨投入口51、硬貨払出口55を有する。
【0150】
また、会計装置200には、商品台211及び商品台212が併設されている。商品台211と商品台212の一方は、未登録の商品を載置する台であり、他方は登録済の商品を載置する台である。例えば、商品台211を未登録の商品の載置に用い、商品台212を登録済の商品の載置に用いる場合には、商品台211に買い物カゴのイラストを付し、商品台212に買い物袋のイラストを付しておく。
【0151】
顧客は、購入対象の商品を買い物カゴに入れたままの状態で商品台211に載置し、商品をとりだしてバーコードリーダ222に翳して登録し、商品台212に移す操作を繰り返すことになる。なお、バーコードリーダ222は、商品に付されたバーコードを読み取ることで商品の名称や価格等の情報を取得することができ、会計装置200はバーコードから取得された情報を用いて商品の登録を行う。また、バーコードリーダ222は、事前購入レシートの読み取りにも用いることができる。
【0152】
POSレジ220の表示操作部221は、液晶タッチパネルディスプレイなどであり、操作の案内表示や登録された商品の表示を行う他、各種操作入力を受け付けることができる。カードリーダ223は、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード等のペイメントカードによる会計時に用いられる。
【0153】
紙幣投入口41aと硬貨投入口51は、それぞれ紙幣と硬貨の投入に用いられ、紙幣払出口42aと硬貨払出口55は、それぞれ紙幣と硬貨の投出に用いられる。例えば、顧客は、商品の登録後、表示操作部21に表示された価格を確認し、商品の対価となる貨幣を紙幣投入口41aや硬貨投入口51に投入する。そして、釣銭の出金処理が必要であれば、会計装置200は紙幣払出口42aや硬貨払出口55へ釣銭としての貨幣を出金処理する。
【0154】
釣銭機30の表示操作部56は、液晶タッチパネルディスプレイ等であり、釣銭機30に収納された貨幣の金種別在高の表示や検知した障害に係る表示など、釣銭機30に係る表示を行うとともに、釣銭機30に係る操作の受付を行う。
【0155】
図23は、会計装置200の機能構成を示す機能ブロック図である。図23に示すように、会計装置200は、商品の登録を行うPOSレジ220と貨幣の入出金を行う釣銭機30とを内蔵している。釣銭機30の構成及び動作は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0156】
POSレジ220は、既に説明した表示操作部221、バーコードリーダ222及びカードリーダ223に加え、レシートプリンタ224、通信部225及びPOS制御部226を有する。レシートプリンタ224は、取引内容を印字した会計レシートの発行に用いられる。会計レシートに印字される取引内容は、例えば日時、登録された商品の名称、価格、投入された貨幣の金額や事前入金金額、釣銭の金額、ポイント残高などである。通信部25は、釣銭機30や外部のサーバとの通信を行う通信インタフェースである。
【0157】
POS制御部226は、POSレジ220を全体制御する制御部であり、購入商品登録部226a、事前入金金額取得部226b、会計金額算定部226c、会計処理部226d及び会計レシート発行部226eを有する。また、POS制御部226は、商品台211及び商品台212にそれぞれ設けられた重量センサ227a及び重量センサ227bから重量の計測結果を取得することができる。ここでは、重量センサ227aを未登録の商品の載置に用いる商品台211に設け、重量センサ227bを登録済の商品の載置に用いる商品台212に設けた構成を例に説明する。
【0158】
購入商品登録部226aは、購入対象となる商品の登録を行う処理部である。具体的には、バーコードリーダ222が商品に付されたバーコードを読み取って商品の名称や価格等の情報を取得した場合に、購入商品登録部226aは、取得された情報を用いて商品の登録を行い、登録した商品を表示操作部221に表示する。
【0159】
購入商品登録部226aは、重量センサ227a及び重量センサ227bの計測結果を用いて登録した商品が商品台212に置かれたか否かを判定し、登録した商品が商品台212に置かれた場合に次の商品を登録可能な状態となる。
【0160】
すなわち、商品の登録前に生じた重量センサ227aの計測結果の減少が商品の重量に対応するので、重量センサ227bの計測結果が商品の重量分増加したときに「登録した商品が商品台212に置かれた」と判定し、次の商品の登録を可能とするのである。
【0161】
また、購入商品登録部226aは、重量センサ227aの計測結果が買い物カゴの重量相当となり、最後に登録された商品が商品台212に置かれたと判定した場合に、商品の登録を終了する。
【0162】
事前入金金額取得部226bは、バーコードリーダ222により事前入金レシートに印字されたコードを読み取って事前入金金額を取得する処理を行う。また、事前入金レシートに印字されたコードにポイントカードのIDが含まれている場合には、ポイントカードのIDの取得をさらに行う。
【0163】
会計金額算定部226cは、購入商品登録部226aにより登録された全ての商品の価格を合計することで会計金額を算定し、表示操作部221に表示する処理を行う。
【0164】
会計処理部226dは、会計金額算定部226cにより算定された会計金額の決済を行って取引を完了する会計処理を行う処理部である。会計金額の決済は、事前入金金額を用いて行うことができる。事前入金金額を用いて会計処理を行う場合に、事前入金金額が不足しているならば、釣銭機30に対する追加入金を受け付けて、入金された金額を事前入金金額に加算し、会計処理を行うことが可能である。また、事前入金金額を用いて会計処理を行う場合に、事前入金金額が会計金額を超えているならば、その差分を釣銭として釣銭機30に払い出させる。
【0165】
なお、会計処理はペイメントカードや現金により行うこともできる。ペイメントカードによる決済が選択された場合には、会計処理部226dは、カードリーダ223に挿入されたペイメントカードからカードID等の情報を取得し、会計金額とともに外部のサーバに送信することで決済を行う。また、現金による決済が選択された場合には、会計処理部226dは、釣銭機30に会計金額を送信し、釣銭機30から会計完了通知を受信した場合に決済を完了する。
【0166】
会計レシート発行部226eは、会計処理が完了した場合に、レシートプリンタ224により会計レシートの発行を行う処理部である。会計レシートには、既に説明したように、日時、登録された商品の名称、価格、投入された貨幣の金額や事前入金金額、釣銭の金額、ポイント残高などが印字される。
【0167】
上述したように、セミセルフレジやセルフレジを用いる場合であっても、実施例1と同様に、入金専用機10が受け付けた貨幣の金額に対応する有価価値を所定の媒体に関連付け、事前入金金額を用いて会計処理を行い、必要に応じて釣銭機30から釣銭を払い出すことができる。このため、顧客から受け取った貨幣を釣銭機30に入金する必要がなくなり、迅速かつ効率的な会計処理が可能となる。
【0168】
また、事前入金金額を関連付ける媒体として、事前入金レシート、ICカード、免許証などを用いることもできる点についても実施例1と同様である。さらに、事前入金金額に、使用期限を設定可能である点についても実施例1と同様である。
【0169】
なお、上記の実施例1及び実施例2では、入金専用機10が紙幣のみを取り扱う場合を例に説明を行ったが、入金専用機10が紙幣と硬貨の双方を取り扱うことができるように構成してもよい。
【0170】
また、上記の実施例1及び実施例2では、事前入金レシート自体の識別番号を印字して発行する構成を例示したが、事前入金レシート自体の識別情報は必ずしも付与する必要は無い。例えば、使用した事前入金レシートを回収したり、使用した事前入金レシートに使用済みであることを示す印字などを行ってもよい。
【0171】
また、上記の実施例1及び実施例2では、詳細な説明を省略したが、事前入金レシート自体の識別番号を管理して使用済みの事前入金の消し込みを行うことも可能である。同様に、事前入金テーブル74aにおいて使用済みであるか否かをフラグにより管理し、消し込みを行うこともできる。
【0172】
また、事前入金レシートは単独での使用に限定されるものでなく、複数枚の事前入金レシートを合算して使用可能としてもよい。同様に、免許証などの識別情報に関連付けて複数回の事前入金を行った場合には、事前入金テーブル74aにおいて同一の識別情報に関連付けられた複数の事前入金金額を合算して使用可能としてもよい。
【0173】
また、上記の実施例1及び2では、本発明をスーパーマーケット等の会計システムに適用した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の会計システムに適用することができる。
【0174】
また、上記の実施例及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0175】
以上のように、本発明に係る貨幣入金機及び会計システムは、店舗のレジにおける迅速かつ効率的な会計処理を可能とする場合に適している。
【符号の説明】
【0176】
1~5 店舗
10 入金専用機
11、21、56、131、221 表示操作部
12 音声出力部
13、23、133、223 カードリーダ
14、24、134、224 レシートプリンタ
15、25、49a、59a、73、135、225 通信部
16、74、127 記憶部
16a 入金履歴データ
17、75 制御部
17a 表示制御部
17b 貨幣受付部
17c 事前入金金額特定部
17d ポイントカード処理部
17e 関連付処理部
17f コード生成部
17g 事前入金レシート発行部
18、40 紙幣処理ユニット
18a、41a 紙幣投入口
18b、42a 紙幣払出口
18c、41 紙幣受入部
18d、42 紙幣払出部
18e、44 カセット装着部
18f、43 出金リジェクト部
18g、45 周回搬送部
18h、46 紙幣識別部
18i、47 紙幣収納部
19 収納カセット
20、120、220 POSレジ
21a、21b、71 表示部
21c、72 操作部
22、132,222 バーコードリーダ
26、126、226 POS制御部
26a、226a 購入商品登録部
26b、136b、226b 事前入金金額取得部
26c、226c 会計金額算定部
26d、136c、226d 会計処理部
26e、136d、226e 会計レシート発行部
30 釣銭機
48 紙幣記憶部
48a 紙幣在高データ
49 紙幣釣銭制御部
49b、59b 入金処理部
49c、59c 出金処理部
50 硬貨処理ユニット
51 硬貨投入口
52 入金硬貨搬送部
52a 硬貨識別部
53 硬貨収納部
54 出金硬貨搬送部
55 硬貨払出口
58 硬貨記憶部
58a 硬貨在高データ
59 硬貨釣銭制御部
60 紙幣カセット
70 管理装置
74a 事前入金テーブル
75a 関連付け情報受信部
75b 事前入金金額通知部
126a 購入商品レシート発行部
127a 購入商品ログデータ
130、200 会計装置
136 会計制御部
136a 購入商品データ取得部
211、212 商品台
227a、227b 重量センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23