IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィコサ アダス,ソシエダッド リミタダ ユニペルソナルの特許一覧

特許7036592表示パネルの正常動作または誤動作の検出
<>
  • 特許-表示パネルの正常動作または誤動作の検出 図1
  • 特許-表示パネルの正常動作または誤動作の検出 図2
  • 特許-表示パネルの正常動作または誤動作の検出 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】表示パネルの正常動作または誤動作の検出
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20220308BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220308BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220308BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20220308BHJP
   H04N 17/00 20060101ALI20220308BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20220308BHJP
   G09G 3/3233 20160101ALI20220308BHJP
【FI】
G09G5/00 X
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/12 Z
H04N17/00 G
G09G3/20 670B
G09G3/3233
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017252746
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2018112738
(43)【公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】16382673.8
(32)【優先日】2016-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516284976
【氏名又は名称】フィコサ アダス,ソシエダッド リミタダ ユニペルソナル
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】イグレシアス ブロンテ, ビクトル
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス レケナ, ホセ アントニオ
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0217719(US,A1)
【文献】特表2011-508901(JP,A)
【文献】特開2013-167887(JP,A)
【文献】特表2015-520360(JP,A)
【文献】特開2016-102913(JP,A)
【文献】国際公開第2015/100490(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 5/42
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/12
H04N 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のセーフティクリティカル・システムであって、該セーフティクリティカル・システムは、コントローラ・システム(102-104)と、表示パネル(105)と、カメラ(100)と、を備え、前記コントローラ・システム(102-104)は、前記カメラ(100)からのビデオ信号の実時間での表示中に前記表示パネル(105)の正常動作または誤動作を検出するように構成され
前記表示パネルは、物理的に覆われた部分を含み
前記コントローラ・システム(102-104)は、
前記カメラからの前記ビデオ信号を受信して動的パターンを前記ビデオ信号のビデオ・フレームに追加(201)するように構成される動的パターン追加モジュールであって、前記動的パターンは、前記追加された動的パターンをもつ前記ビデオ信号を表示する前記表示パネルの電力消費の明確に検出可能であって予定される変化を誘発し前記動的パターン追加モジュールは、前記表示パネルによって前記追加された動的パターンをもつ前記ビデオ信号表示される際人間の視覚には前記動的パターンが知覚できないように、前記表示パネル(105)の前記物理的に覆われた部分に対応する位置に前記動的パターンを追加するように構成されている前記動的パターン追加モジュールと、
測定される電力消費特性変化を決定するために、前記追加された動的パターンをもつ前記ビデオ信号の前記表示中に、前記表示パネル(105)によって消費される電力を測定(202)するように構成される測定モジュールと、
前記測定された電力消費特性変化が定した電力消費特性変化に対応しているかどうかを、前記予定した電力消費特性変化と前記測定された電力消費特性変化との間の差が所定の差の閾値または所定の範囲内にあるかどうかを決定する(203)ことによって決定(203)するための検出器モジュールであって、前記所定の差の閾値または前記所定の範囲内にある前記差は、前記表示パネルの正常動作を示し、前記所定の差の閾値または前記所定の範囲内にない前記差は、前記表示パネルの誤動作を示す、前記検出器モジュールと、
を備える、セーフティクリティカル・システム。
【請求項2】
前記コントローラ・システムに含まれる前記動的パターン追加モジュール、前記測定モジュール及び前記検出器モジュールのうちの少なくとも1つが、電子手段によって実装される、請求項1記載のセーフティクリティカル・システム。
【請求項3】
前記コントローラ・システムに含まれる前記動的パターン追加モジュール、前記測定モジュール及び前記検出器モジュールのうちの少なくとも1つが計算手段により実装され、前記計算手段は、メモリとプロセッサとを含んで、前記メモリに記憶されており前記プロセッサによって実行可能である命令を具現し、前記命令は、前記動的パターン追加モジュール、前記測定モジュール及び前記検出器モジュールのうちの少なくとも1つの機能を含む、請求項1たはに記載のセーフティクリティカル・システム。
【請求項4】
前記表示パネル(105)が、発光ダイオード(LED)表示パネルまたは有機LED(OLED)表示パネルである、請求項1のいずれか1項に記載のセーフティクリティカル・システム。
【請求項5】
請求項1記載のセーフティクリティカル・システムを備える車両。
【請求項6】
請求項1に記載のセーフティクリティカル・システムの前記表示パネル(105)の正常動作または誤動作を検出するための方法であって、方法は、
前記動的パターン追加モジュールによって前記カメラからのビデオ信号を受信して動的パターンを受信した前記ビデオ信号のビデオ・フレームに追加(201)するステップであって、前記動的パターンは、前記追加された動的パターンをもつ前記ビデオ信号を表示する前記表示パネルの電力消費の明確に検出可能であって予定される変化を誘発し、前記追加された動的パターンは前記表示パネルによって前記追加された動的パターンをもつ前記ビデオ信号表示される際に人間の視覚には前記動的パターンが知覚できないように、前記表示パネル(105)の前記物理的に覆われた部分に対応する位置に追加されている、前記ステップと、
測定される電力消費特性変化を決定するために、前記追加された動的パターンをもつ前記ビデオ信号の前記表示中に、前記測定モジュールによって、前記表示パネル(105)により消費される電力を測定(202)するステップと、
前記検出器モジュールによって、前記測定された電力消費特性変化が前記予定した電力消費特性変化に対応しているかどうかを、前記予定した電力消費特性変化と前記測定された電力消費特性変化との間の差が所定の差の閾値または所定の範囲内にあるかどうかを決定することによって決定(203)するステップであって、前記所定の差の閾値または前記所定の範囲内にある前記差は、前記表示パネルの正常動作を示し、前記所定の差の閾値または前記所定の範囲内にない前記差は、前記表示パネルの誤動作を示す、前記ステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記ビデオ信号が、ビデオ・フレームの所与の周波数をもつビデオ・フレームのシーケンスを含、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記動的パターンは、1つまたは複数のパターン・フレームを含み、
前記動的パターンを前記ビデオ・フレームに追加(201)する前記ステップは、前記パターン・フレームを前記ビデオ・フレームに追加するステップを含み、
前記パターン・フレームを前記ビデオ・フレームに追加する前記ステップが、
前記ビデオ・フレームが前記パターン・フレームを含む別のビデオ・フレームと取り替えられるように、または、前記ビデオ・フレームの少なくとも一部が前記パターン・フレームによってオーバラップされるように、記パターン・フレームを前記ビデオ・フレームに追加(201)するステップを
含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記パターン・フレームを前記ビデオ・フレームに追加する前記ステップが、
高電力消費をもつパターン・フレームをビデオ・フレームに、および/または、低電力消費をもつパターン・フレームをビデオ・フレームに追加(201)するステップを
含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示パネルの正常動作または誤動作を検出するための方法、ならびに、このような方法を実行するのに好適なコンピュータ・プログラムおよびコントローラに関する。
【0002】
(背景)
表示パネルの動作をモニタする様々な方法が、例えば、表示パネルの正常動作または誤動作の検出を目的で従来技術において知られている。
【0003】
ほとんどの場合、表示パネルの状態/状況を決定するために基準性能値を前もって(すなわち、工場で、較正中に)記憶する必要がある。他の場合には、表示パネルの動作不良を検出するためにユーザの介入が考慮される。さらなる場合には、基準値が連続的に更新され、それらの値の決定は、目障りな動作(例えば、スクリーンの端から端までパターンを表示する)であり、表示スリーンの通常の使用と平行して実行することができない。
【0004】
米国特許出願公開第2016/0217719A1号は、車両のスクリーン(例えば、OLEDスクリーンなど)のための試験方法を開示しており、その試験方法は、スクリーンにラスタ画像を表示し、結果として流れる電流強度を測定するステップと、前記測定した電流強度を、記憶している基準電流強度と比較するステップと、を含む。ラスタ画像がエラーなしに発生されたかどうかがこの比較に依存して確認される。ここで、基準電流強度は、製造時または生産時に決定されている。この方法の精度は、スクリーンの動作寿命中の異なる時間に得られる強度測定値が互いに著しく異なることがあるので、スクリーンの経時変化に起因して時間とともに低下する可能性がある。
【0005】
WO2008120143A2は、LED/OLEDデバイスの状況および/または状態を決定するための方法を開示しており、この方法は、少なくとも1つの時変信号をLED/OLEDデバイスに印加するステップと、前記少なくとも1つの時変信号に対する応答を取得するステップと、前記応答を所定の値と相関させるステップと、相関結果に基づいて状況/状態を決定するステップと、を含む。時変信号は、正弦波信号、チャープ信号、広帯域信号、小帯域信号、単一周波数信号、多周波数信号、ステップ信号、またはランプ信号を含む群から選択することができる。LED/OLEDユニットのユーザは、印加される時変信号が非常に小さく、したがって、LED/OLEDユニットの照明をもたらさないので、診断デバイスの動作を認識しないことになる。時変信号は、OLEDに印加される電源電圧に、追加されるかまたは重畳される。
【0006】
DE102014220373は、ASIL要件によって設定された制限内にとどまりながら重要な情報(警告灯など)を表示するために自動車用途のディスプレイを実装することの難しさを記載している。ユーザが頻繁にチェックするスクリーンの区域に重要な情報を表示するためにスクリーンが使用され、その結果、ユーザ自身がディスプレイの動作不良に気が付く。したがって、この方法は、自動車用途で使用される表示パネルの安全性の向上を期待しているが、パネルの動作不良を検出するためにユーザを頼りにしている。
【0007】
米国特許出願公開第2007013693A1号は、アビオニクス(avionics)の分野におけるディスプレイの重要な用途に関する。航空機コックピット・ディスプレイのためのインテグリティ・チェック方法が、前記先行技術文献に論じられており、コックピット・ディスプレイに提示されるべき画像をレンダリングするために、航空機センサ情報がグラフィックス・レンダリング・プロセッサに送られる。並行して、第2のプロセッサは、画像のサブセットのいくつかの点(「光点」)を計算し、それは次いで完全レンダリング画像と比較される。サブセットの点(「光点」)が完全レンダリング画像と一致する場合、インテグリティ・チェックは合格する。それゆえに、この先行技術の方法は、パネルに送られるデータに関係なく、表示パネルの適格な機能または不完全な機能を決定することではなく、パネルに送られる機密データの破損を避けることに焦点を当てている。
【0008】
米国特許出願公開第20110227964A1号は、OLED不均一性テスト・パターンのシーケンスを導き出すためのシステムおよび方法を開示している。パターン発生器は、離散余弦変換またはウェーブレット変換などの変換関数に従って表示パターンの完全なシーケンスを発生する。ドライバは、そのシーケンスのパターンの各々を用いてディスプレイを駆動する。センサは、そのシーケンスのパターンの各々に対して、ディスプレイの合計電流などのディスプレイの特性を感知する。抽出ユニットは、感知された特性と変換関数の逆関数とを使用して、画素不均一性モデルを導き出す。閾値量未満しか不均一性モデルに寄与しないパターンを識別および除去して、パターンの疎なシーケンスを導き出し、それをメモリに記憶することができる。パターンの疎なシーケンスを使用して、ディスプレイを試験し、1組の画素不均一性値を抽出することができる。画素不均一性値を使用して、ディスプレイのための訂正信号を発生することができる。提案されているシステムおよび方法では、したがって、基準値は、表示スクリーンの通常の使用と平行して実行することができない目障りな動作を実行する(スクリーンの端から端までパターンを表示する)ことによって連続的に確立(および更新)される。
【0009】
本開示の目的は、表示パネルの正常動作または誤動作の検出のための先行技術の方法、コンピュータ・プログラム、およびコントローラ(システム)を改善することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(概要)
第1の態様では、ビデオ信号の表示中に表示パネルの正常動作または誤動作を検出するための方法が提供され、表示パネルは、コントローラ・システムと関連づけ可能である(接続可能である)。
【0011】
この方法は、コントローラ・システムによって動的パターンをビデオ信号に追加するステップであって、表示パネルに、人間の視覚には実質的に知覚不能である追加された動的パターンをもつビデオ信号を表示させて、追加された動的パターンをもつビデオ信号の表示中に、予定した電力消費特性変化を引き起こさせるための追加するステップを、含む。
【0012】
この方法は、実際の電力消費特性変化を決定するために、追加された動的パターンをもつビデオ信号の表示中に、コントローラ・システムによって、表示パネルにより消費される電力を測定するステップを、さらに含む。
【0013】
この方法は、コントローラ・システムによって、実際の電力消費特性変化が、予定した電力消費特性変化に対応しているかどうかを決定するステップを、さらに含む。
【0014】
表示パネルは、例えば、液晶表示(LCD)パネル、発光ダイオード(LED)表示パネル、有機LED(OLED)表示パネル、または任意の表示パネルとすることができ、ここで、電力消費は、表示される画像と関係がある(またはそれに依存する)。
【0015】
提案する方法は、表示パネルに表示されるべきビデオ信号を処理して、処理がユーザにとって透明であり(ユーザによって観察可能でなく)、さらに、電力消費の予定した特性変化(変動)が前記処理により生じることが見込まれるように処理された信号の表示を生じさせることに基づく。表示パネルによって消費される電力が、処理された信号の表示中に測定され、測定された電力消費の特性変化が決定される。表示パネルの正常機能または誤機能は、電力消費の予定した特性変化が、電力消費の測定されたまたは実際の特性変化と同様であるかどうかに応じて決定される。ビデオ信号の処理は、動的パターンをビデオ信号に含めることを含む。ビデオ信号は、前記処理が人間の視覚には知覚不能になるように多様な方法で処理することができる。
【0016】
動的パターンは、表示パネルに表示されるべきビデオ信号の1つまたは複数のビデオ・フレームに追加されるべき1つまたは複数の予め定義された画像(またはパターン・フレーム)として規定することができ、その結果、表示パネルによって消費される電力の1つまたは複数の顕著な変化が、「処理された」ビデオ信号におけるパターン・フレームの表示中に引き起こされる。
【0017】
ビデオ・フレームは、表示パネルの電力消費の完全に検出可能な特性変化(変動)が引き起こされるように、十分な範囲まで処理することができる。これは、先行技術の方法と比較して、例えば、表示ユニットに印加される電源電圧に時変信号を追加するかまたは重畳することに基づく改善を意味する。前記時変信号は、表示ユニットの「正常な」照明への外乱を避けるために非常に小さくなければならないので、評価されるべき対応する影響(または結果)は、少なくともいくつかの状況では、検出可能とならないかまたは不確実な精度で検出可能となり得る。それゆえに、本方法の利点は、表示パネルの正常機能または誤機能が、前記先行技術の方法と比較してより明確な(またはより信頼できる)方法で検出できることである。
【0018】
示唆する方法の精度は、表示パネルの正常機能または誤機能が、電力消費の予定した特性変化と測定した/実際の特性変化とが同様であるか否かに応じて決定されるので、ある期間にわたって低下しない。すなわち、正常機能の場合には、前記特性変化は、表示パネルが経年変化要因に起因して劣化を受けたかどうかに関係なく互いに非常に類似していると予想される。予定した特性変化と実際の/測定された特性変化との間の著しい相違は、表示パネルの動作不良を示すことができる。したがって、経年変化(および温度)に無関係な検出方法が提供される。
【0019】
開示する方法の別の利点は、それが、ユーザ(表示パネルの)には透明であり、パネルの正常機能または誤機能を検出するのにユーザを頼りにしないことである。これは、表示パネルが正しくまたは誤って動作しているかどうかを決定するのにユーザの参加を必要とする先行技術の方法と比較して改善を意味する。
【0020】
提案する方法の別の利益は、表示パネルの正常機能または誤機能がビデオ信号(表示されるべき)の内容に関係なく決定されることである。電力消費(表示パネルによる)の予定した特性変化と実際の/測定された特性変化のみが、例えば、ビデオ信号(表示されるべき)が破損された(敏感な)データを含んでいるか否かに依拠することの代わりに考慮される。したがって、提案する検出方法は、簡単さと精度との間のバランスを提示することができる。
【0021】
本明細書において、「電力消費の実際の/測定された特性変化」という表現は、「実際の/測定された電力消費の特性変化」と実質的に等価であると考えることができる。すなわち、これらの2つの表現または類似の表現は、同じ原理または概念を実質的に参照すると理解することができる。
【0022】
示唆する方法のさらなる興味ある寄与は、表示パネルのひどく目立つ動作(例えば、スクリーンの端から端までのパターンの表示)が避けられ、それにより、表示パネルの正常な使用と平行してパネルの正常機能または誤機能の検出を可能にすることができることである。本明細書の他の部分で詳細にコメントするように、表示パネルにビデオ・フレームを表示している間に人間の視覚には知覚不能なビデオ・フレームの処理を行うために、様々な手法を適用することができる。
【0023】
電力消費の予定した特性変化と実際の/測定された特性変化との間の類似度は、電力消費の予定した特性変化と実際の/測定された特性変化との間の偏りが所定の偏り閾値または範囲内にあるかどうかに応じて決定することができる。この予め定義された偏り閾値または範囲は、例えば、表示パネルの技術的特徴、表示パネルの用途などに応じて確立することができる。例えば、偏り閾値/範囲は、表示パネルのタイプに応じて大きいこともあり、小さいこともある。電力消費の変化は、LCDパネルではOLEDパネルよりも少ないので、偏り閾値/範囲は、第1の場合には第2の場合よりも小さくなり得る。
【0024】
いくつかの例では、ビデオ・フレームは、ビデオ・フレームの歪んだ部分(パターン・フレーム)が表示パネルの物理的に覆われた部分に表示可能にされ、その結果、前記処理された部分の表示が人間の視覚には実質的に知覚不能になるように、変更するかまたは取り替えることができる。この物理的な覆い(physical coverage)は、例えば、例えば表示パネルを装飾する、保護する、固定するなどの主要な機能を有する表示パネルのスクリーン・フレームによって実現することができる。すなわち、既存のスクリーン・フレームは、ビデオ信号の処理を人間の視覚には知覚不能にするために再利用することができる。
【0025】
ビデオ信号が、例えばビデオ・フレーム/秒に関して比較的高い周波数を有する例では、ビデオ・フレームは、ビデオ信号の周波数を考慮に入れて前記処理/歪みが含められ、その結果、処理/歪みが人間の視覚には知覚不能になるように処理され得る。この周波数依存手法に関する詳細は、本明細書の他の部分で提供される。
【0026】
ビデオ・フレームの処理は、いくつかの例では、ビデオ・フレームを対応するパターン・フレームと取り替えるかまたはオーバラップさせることを含むことができる。「取り替える」という用語は、(オリジナル)ビデオ・フレーム全体が、パターン・フレーム(例えば、歪んだ像点または画素をもつ)を含む新しいビデオ・フレームと、オプションとしてオリジナル・ビデオ・フレームから得られた一部分とで置き換えられることを意味する。「オーバラップする」という用語は、ビデオ・フレームの一部が保持されながら、別の部分がパターン・フレーム(例えば、歪んだ像点または画素をもつ)によって置き換えられることを意味する。
【0027】
ビデオ・フレームは、表示パネルによる電力消費の著しい差が少なくとも2つの処理されたビデオ・フレームの表示の間に引き起こされ、その結果、電力消費の必要とされる特性変化が明確に検出可能になるように処理することができる。例えば、例えばOLEDパネルの場合には、ビデオ・フレームのあるものは、主色として白色(高電力消費)をもつパターン・フレームを追加することによって処理することができ、ビデオ・フレームの別のものは、主色として黒色(低電力消費)をもつパターン・フレームを追加することによって処理することができる。このように、高い消費(白色)から低い消費(黒色)までまたは低い消費(黒色)から高い消費(白色)までの明確に検出できる特性変化が保証される。
【0028】
第2の態様では、表示パネルの正常動作または誤動作を検出するための上述の方法のうちの任意のものをコントローラ・システム(例えば、コンピューティング・システム)に実行させるためのプログラム命令を含むコンピュータ・プログラム製品が提供される。
【0029】
第3の態様では、ビデオ信号の表示中に表示パネルの正常動作または誤動作を検出するためのコントローラ・システムが提供され、表示パネルはコントローラ・システムと関連づけられる(例えば、接続可能である)。
【0030】
コントローラ・システムは、動的パターンをビデオ信号に追加して、表示パネルに、人間の視覚には実質的に知覚不能である追加された動的パターンをもつビデオ信号を表示させ、追加された動的パターンをもつビデオ信号の表示中に、予定した電力消費特性変化を引き起こさせるための動的パターン追加モジュールを含む。
【0031】
コントローラ・システムは、実際の電力消費特性変化を決定するために、追加された動的パターンをもつビデオ信号の表示中に、表示パネルによって消費される電力を測定するための測定モジュールをさらに含む。
【0032】
コントローラ・システムは、実際の電力消費特性変化が、予定した電力消費特性変化に対応しているかどうかを決定するための検出器モジュールをさらに含む。
【0033】
コントローラ・システム(すなわち、そこに含まれるモジュール)は、本開示の他の部分でより詳細に説明するように、計算手段、電子手段、またはそれらの組合せで実現することができる。
【0034】
本明細書で使用する「モジュール」という用語は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、および/またはそれらの様々な組合せを参照すると理解することができる。モジュールは例示であることに留意されたい。モジュールは、様々な用途をサポートするために、組み合わされる、統合される、分離される、および/または二重にされてもよい。さらに、特定のモジュールで実行されるように本明細書で説明される機能は、1つまたは複数の他のモジュールで実行され、および/または説明する特定のモジュールで実行される機能の代わりにまたはそれに加えて1つまたは複数の他のデバイスによって実行されてもよい。
【0035】
さらに、モジュールは、互いに近くにあるかまたは遠隔にある多数のデバイスおよび/または構成要素にわたって実装されてもよい。追加として、モジュールは、あるデバイスから移動され別のデバイスに追加されてもよく、および/または両方のデバイスに含まれてもよい。いかなるソフトウェア実施態様も、例えば、メモリ・デバイス、フロッピ・ディスク、コンパクト・ディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、またはコンピュータ・コードを記憶する他のデバイスなどの1つまたは複数の記憶媒体で有形に具現することができる。
【0036】
いくつかの例では、上述のコントローラ・システムおよび表示パネルのいずれをも含む表示システムを含むセーフティクリティカル・システムを提供することができる。そのようなセーフティクリティカル・システムを含む車両も提供することができる。
これらのおよび他の利点および特徴は、詳細な説明および図面に照らして明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
(図面の簡単な説明)
本開示の非限定の例が、添付図面を参照して、以下で説明される。
図1】例によるコントローラ・システムを含むセーフティクリティカル・システムを概略的に表すブロック図である。
図2】OLED表示パネルの正常動作または誤動作を検出するための例による方法を概略的に示す流れ図である。
図3図3aおよび図3bは、前の図で示したものと同様の検出方法との関連においてビデオ・フレームを処理する異なる方法を概略的に表し、前記処理は、処理されたビデオ・フレームの表示の間人間の視覚には知覚不能になる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(例の詳細な説明)
図1は、例によるコントローラ・システムを含むセーフティクリティカル(safety-critical)・システムを概略的に表すブロック図である。セーフティクリティカル・システムにおいて、表示パネル105は、カメラ100が捕捉しているものを表示パネル105が実時間で示すという意味で、カメラ100に関連づけることができる。そのようなシステムの特定の例は、任意のタイプの車両のための、および例えば道路、鉄道、ボート、飛行機などのような任意の手段で移動可能なビデオ監視カメラまたはビジョン・システムをもつセキュリティ・システムを含むことができる。
【0039】
セーフティクリティカル・システムは、カメラ100と、カメラ・インタフェース101と、OLED表示パネル105と、ビデオ信号の表示中にOLED表示パネル105の正常動作または誤動作を少なくとも検出するためのコントローラ・システム102~104と、を含むことができる。カメラ100は、一般に、それゆえにビデオ情報を送出するように構成された任意の種類の汎用画像発生器とすることができる。カメラ・インタフェース101は、カメラ100とコントローラ・システム102~104とをインタフェースする(すなわち、適切なプロトコルにより接続する)ソフトウェア/ハードウェア・モジュールとすることができる。
【0040】
コントローラ・システムは、グラフィック・プロセッサ102と、表示制御ユニット103と、メイン・プロセッサ104と、を含むことができ、それらは、別個の処理ブロックとしてまたは単一の処理ブロックとして実装することができる。例えば、メイン・プロセッサ104およびグラフィック・プロセッサ102は同じブロックに実装されてもよく、グラフィック・プロセッサ102はカメラ・インタフェース101および/または表示制御ユニット103などに統合されてもよい。
【0041】
図示の特定の例では、コントローラ・システムは、3つの別個の処理ブロック102~104によって形成されるように示されている。グラフィック・プロセッサ102は、カメラ100およびインタフェース101からのビデオ情報を受け取り、受け取ったビデオ情報に基づいて、OLED表示パネルに表示されるべきビデオ信号を取得または発生するように構成することができる。
【0042】
表示制御ユニット103は、動的パターン追加モジュールを実装することができる。前記モジュールは、OLED表示パネル105が特定の方法で動作するように仕向けるために、動的パターンをビデオ信号に追加するように構成することができる。OLED表示パネル105の前記動作は、人間の視覚には実質的に知覚不能である追加された動的パターンをもつビデオ信号を表示することと、追加された動的パターンをもつビデオ信号の表示中に、予定した電力消費特性変化(表示パネルによる)を引き起こすこととを含むことができる。
【0043】
メイン・プロセッサ104は、測定モジュールと検出器モジュールとを実装することができる。測定モジュールは、実際の電力消費特性変化を決定するために、処理されたビデオ信号(追加された動的パターンをもつ)の表示中にOLED表示パネル105の電力消費を測定するように構成することができる。電力消費測定値は、OLEDパネル105の内部にあってもよくまたはその外部にあってもよい電力消費センサから受け取ったセンサ信号106に基づいて、測定モジュールで決定することができる。前記「測定」の役割に好適なセンサは、動作パラメータの特性変化を計算するように構成されたもの、例えば、電流計、電圧計、電力計などのようなものとすることができる。この種のセンサは最新技術においてよく知られており、そのため、それらおよび対応する機能に関する詳細は本明細書では提供しない。
【0044】
検出器モジュールは、実際の電力消費特性変化が、予定した電力消費特性変化に対応しているかどうかを決定するように構成することができる。電力消費の予定した特性変化と測定された/実際の特性変化との間の偏りが受容性閾値または範囲内にない場合、OLEDパネルの動作不良のインジケータが生成され得る。予定した電力消費特性変化を表すデータは、検出器モジュールによって表から得られてもよく、検出器モジュールによって表示制御ユニット103などから受け取られてもよい。
【0045】
コントローラ・システム102~104は、計算手段、電子手段、またはそれらの組合せで実装することができる。計算手段は命令のセット(すなわち、コンピュータ・プログラム)とすることができ、それゆえ、コントローラ・システム102~104は、メモリとプロセッサとを含み、メモリに記憶されておりプロセッサによって実行可能である前記命令のセットを具現することができる。命令は、ビデオ信号の表示中にOLED表示パネル105の正常動作または誤動作を検出するための方法を実行する機能を含むことができる。
【0046】
コントローラ・システム102~104が電子手段によってのみ実装される場合、コントローラは、例えば、CPLD(コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス)、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)、またはASIC(特定用途向け集積回路)とすることができる。
【0047】
コントローラ・システム102~104が電子手段と計算手段の組合せである場合、計算手段は命令のセット(例えば、コンピュータ・プログラム)とすることができ、電子手段は、ビデオ信号の表示中にOLED表示パネル105の正常動作または誤動作を検出するための言及した方法の1つまたは複数の対応ステップを実施することができる任意の電子回路とすることができる。
【0048】
コンピュータ・プログラムは、記憶媒体(例えば、CD-ROM、DVD、USBドライブ、コンピュータ・メモリ、または読取り専用メモリ)で具現することができ、またはキャリア信号で(例えば、電気キャリア信号または光キャリア信号で)搬送することができる。
【0049】
コンピュータ・プログラムは、ソース・コード、オブジェクト・コード、部分的にコンパイルされた形態などのコード中間ソースおよびオブジェクト・コードの形態とすることができ、またはビデオ信号の表示中にOLED表示パネル105の正常動作または誤動作を検出するための方法を実施する際に使用するのに好適な任意の他の形態とすることができる。キャリアは、コンピュータ・プログラムを搬送することができる任意のエンティティまたはデバイスとすることができる。
【0050】
例えば、キャリアは、ROM、例えばCD ROMもしくは半導体ROM、または磁気記録媒体、例えばハード・ディスクなどの記憶媒体を含むことができる。さらに、キャリアは、電気信号または光信号などの伝達可能なキャリアとすることができ、伝達可能なキャリアは、電気ケーブルもしくは光ケーブルを介してまたは無線もしくは他の手段で伝えることができる。
【0051】
コンピュータ・プログラムが、ケーブルまたは他のデバイスもしくは手段で直接伝えることができる信号で具現される場合、キャリアは、そのようなケーブルまたは他のデバイスもしくは手段で構成することができる。
【0052】
代替として、キャリアは、コンピュータ・プログラムが埋め込まれた集積回路とすることができ、集積回路は、関連する方法を実行するように、または関連する方法の実行で使用されるように構成される。
【0053】
図2は、OLED表示パネルの正常動作または誤動作を検出するための例による方法を概略的に示す流れ図である。これらの検出方法は、前の図に対して説明したものなどのコントローラ・システムで実行することができる。したがって、図1からの参照番号は、図2に関する以下の説明で使用されることがある。
【0054】
ブロック200において、方法は、例えば、OLED表示パネル105の正常動作または誤動作を検出する要請をコントローラ・システム102~104で受け取ることの結果として開始することができる。
【0055】
ブロック201において、動的パターンをコントローラ・システム102~104によってビデオ信号に追加して、OLED表示パネルに、人間の視覚には実質的に知覚不能である追加された動的パターンをもつビデオ信号を表示させ、追加された動的パターンをもつビデオ信号の表示中に、予定した電力消費特性変化を引き起こさせることができる。この予定した電力消費特性変化は、OLEDパネルによって全体として消費されるまたはOLEDパネルによってRGBチャネルごとに消費されるように予定した電力を参照することができる。
【0056】
ブロック202において、OLED表示パネルの電力消費の測定値を、追加された動的パターンをもつビデオ信号の表示中にコントローラ・システム102~104で決定することができる。これらの測定値は、OLEDパネルによって全体として消費されるまたはOLEDパネルによってRGBチャネルごとに消費される電力を参照することができる。実際の電力消費特性変化は、得られた電力消費測定値に基づいてコントローラ・システム102~104で決定することができる。
【0057】
ブロック203において、コントローラ・システム102~104は、実際の電力消費特性変化が電力消費(OLEDパネルの全体としてのまたはRGBチャネルごとの)の予定した特性変化に対応しているかどうかを決定することができる。前記対応は、電力消費(OLEDパネルの全体としてのまたはRGBチャネルごとの)の予定した特性変化と実際の/測定された特性変化との間の偏りが、予め定義された受容性閾値または範囲内にあるかどうかに応じて決定することができる。
【0058】
予定した電力消費特性変化と実際の電力消費特性変化との前記対応は、所与の測定値(実際の電力消費特性変化の)が1つまたは複数の以前の測定値(実際の電力消費特性変化の)よりも実質的に高いか、それに等しいか、またはそれよりも低いかどうかを検証することによって評価することもできる。所与の測定値が、以前の測定値よりも高いか、それに等しいか、またはそれよりも低いことを示す前記検証の結果は、予定した電力消費特性変化に応じて受容可能であるかまたは受容不可能であるとして決定され得る。
【0059】
これらの評価ステップは、実際の電力消費特性変化を構成する測定値の各々(または選択されたもの)に対して実行することができる。予め定義された数の受容不可能な結果(上述で定義したような)は、電力消費(OLEDパネルの全体としてのまたはRGBチャネルごとの)の予定した特性変化と実際の/測定された特性変化との間の受容不可能な偏りが検出されたことを示すことができる。前記受容不可能な偏りを表すデータは、決定ブロック204に提供することができる。
【0060】
1つまたは複数の以前の測定値は、実際の電力消費特性変化における所与の測定値に(直接)先立つ予め定義された数の直前の測定値を含むことができる。いくつかのフィルタ処理が、例えばいくつかの電力消費測定値におけるパンクチュアル・エラー(punctual error)を除去または減衰させるために前記以前の測定値に実行され得る。例えば、所与の測定値に先立つ直前のN個の測定値(例えば、N=10、20、または30など)を平均することができ、前記平均を所与の測定値と比較して、所与の測定値が、以前の測定値を表す前記平均よりも高いか、それと等しいか、またはそれよりも低いかどうかを決定することができる。
【0061】
決定ブロック204において、電力消費(OLEDパネルの全体としてのまたはRGBチャネルごとの)の予定した特性変化と実際の/測定された特性変化との間の偏りが受容可能でない場合、方法はブロック205へと続くことができ、OLEDパネルの動作不良の表示を発生することができる。他の場合には、方法はブロック206に進むことができ、終了状態の受入れまたは存在が検証される。終了状態は、例えば、OLEDパネルが使用されている車両がオフにされていることを示すことができる。
【0062】
決定ブロック206において、終了状態(例えば、車両がオフにされている)の受入れまたは存在の場合には、最終ブロック207への移行が、方法の実行を終了するために実行され得る。他の場合には、方法は、前に説明したブロック201~206の新しい繰返しを実行するためにブロック201に折り返して戻ることができる。
【0063】
いくつかの例では、Y/UV(またはYのみの)測定値および/またはYcb/CR(またはYcbのみの)測定値を、代替として、または前述のRGB測定値に加えて考慮することができる。
【0064】
図3aおよび図3bは、前の図で示したものなどの検出方法との関連においてビデオ・フレームを処理する異なる方法を概略的に表し、前記処理は、処理されたビデオ・フレームの表示の間人間の視覚には知覚不能になる。
【0065】
本開示の他の部分に記載したように、ビデオ信号は、ビデオ・フレームの所与の周波数をもつビデオ・フレームのシーケンスを含むことができ、動的パターンは、対応するパターン・フレームを含むことができる。ビデオ・フレームは、ビデオ・フレームを対応するパターン・フレームと取り替えることおよび/またはビデオ・フレームの少なくとも一部を対応するパターン・フレームとオーバラップさせることによって処理することができ、その結果、OLEDパネルの電力消費の明確に検出できる変動または特性変化が引き起こされる。
【0066】
図3aは、処理されたビデオ・フレームを、処理が人間の視覚には知覚不能であるように表示するのに好適なOLEDベース・スクリーン300を概略的に示す。ビデオ・フレームは、処理がOLED表示パネル300の物理的に覆われた部分303に表示可能になるように、処理することができる(前述の取替えおよび/またはオーバラップにより)。この物理的な覆いは、例えば、OLEDパネル300のスクリーン・フレーム302を含むことができ、その結果、OLEDパネル300の知覚可能な(または観察可能な)領域301と知覚不能な(または隠された)領域303とが区別される。
【0067】
図3bは、周波数閾値よりも大きい周波数をもつビデオ・フレーム305~309のシーケンスを含む処理されたビデオ信号304を概略的に示し、その結果、単一のビデオ・フレーム306、308に含まれる歪んだパターン・フレームは人間の視覚には実質的に知覚不能になり得る。周波数閾値は、例えば、20ビデオ・フレーム/秒と40ビデオ・フレーム/秒との間とすることができる。ビデオ・フレームのシーケンスは、処理されたビデオ・フレーム306、308(すなわち、追加のパターン・フレームをもつ)と、処理されていないビデオ・フレーム305、307、309(すなわち、追加のパターン・フレームなしの)とを含むことができる。
【0068】
追加されたパターン・フレームをもつビデオ・フレーム306は、一連の処理されていないビデオ・フレーム305が先行してもよく、または一連の処理されていないビデオ・フレーム307が続いてもよく、追加されたパターン・フレームをもつビデオ・フレーム308は、一連の処理されていないビデオ・フレーム307が先行してもよく、または一連の処理されていないビデオ・フレーム309が続いてもよい。一連の処理されていないビデオ・フレーム305、307、309のいずれにおいても処理されていないビデオ・フレームの数は、ビデオ信号の周波数(フレーム/秒)に応じて規定することができ、その結果、処理されたビデオ・フレーム306、308に含まれる「歪んだ」パターン・フレームの表示は、人間の視覚には実質的に知覚不能になり得る。
【0069】
処理されたビデオ・フレーム306、308の一方に追加されたフレーム・パターンは主色として白色(高電力消費)を含むことができ、処理されたビデオ・フレーム306、308の他方に追加されたフレーム・パターンは主色として黒色(低電力消費)を含むことができる。他の色または色の組合せ(白色および/または黒色と異なる)が、処理されたビデオ信号304の表示中に明確に検出できるOLEDパネルの電力消費の変動または特性変化を引き起こす目的で考慮されてもよい。
【0070】
図3aおよび図3bに関して説明した原理の変形が、他の例では可能である。例えば、いくつかの用途では、単一のパターン・フレームが、表示パネルの電力消費の明確に検出できる変化を発生するのに十分であることがある。特に、表示パネルが、カメラによって捕捉された画像を実時間で発する用途では、主色として白色または黒色のいずれかをもつ単一のパターン・フレームを、ビデオ信号の対応するビデオ・フレームに追加することができる。
【0071】
一例では、表示パネルが主に暗画像(例えば、夜間の環境からの)を発していることが検出された場合、電力消費(OLEDパネルの)の顕著な変化が、主色として白色をもつ単一のパターン・フレームをビデオ信号に追加することによって引き起こされ得る。暗画像の前記検出は、時間帯(日照時間または夜間)、通信ネットワーク(例えば、インターネット)を介して受け取った気象条件、画像解析の任意の既知の方法などに基づいて実施することができる。
【0072】
別の例では、表示パネルが主に明画像(例えば、日のよく射す環境からの)を発していることが検出された場合、電力消費(OLEDパネルの)の著しい変化が、主色として黒色をもつ単一のパターン・フレームをビデオ信号に追加することによって引き起こされ得る。明画像の前記検出は、時間帯(日照時間または夜間)、通信ネットワーク(例えば、インターネット)を介して受け取った気象条件、画像解析の任意の既知の方法などに基づいて実施することができる。
【0073】
同じ検出方法は、処理されたビデオ信号が、人間の視覚には知覚不能な追加された動的パターンを用いて表示可能になるように、図3aおよび図3bに関して前に説明した手法のいずれか(またはそれらの任意の組合せ)を使用することができる。
【0074】
本開示による検出方法のいずれも、安全性重視用途(SILまたはASIL)で使用するために表示パネルの安全度水準を向上できるようにする機能安全に直接関係がある。
【0075】
単にいくつかの例が本明細書で開示されたが、それの他の代替、変形、使用法、および/または均等物が可能である。さらに、記載された例のすべての可能な組合せも包含される。したがって、本開示の範囲は、特定の例によって限定されるべきでなく、以下の特許請求範囲の公平な解釈によってのみ決定されるべきである。
図1
図2
図3