(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】運用管理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/30 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
G06F11/30 165
G06F11/30 140A
(21)【出願番号】P 2018008506
(22)【出願日】2018-01-23
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相馬 昌秀
(72)【発明者】
【氏名】山形 昇之介
(72)【発明者】
【氏名】上甲 泰介
(72)【発明者】
【氏名】内田 信也
(72)【発明者】
【氏名】鷲野 晋也
【審査官】北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-025926(JP,A)
【文献】特開2004-362495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象装置を運用管理する運用管理システムであって、前記管理対象装置に対する運用管理に関する命令文を受けて命令を当該管理対象装置のユーザインターフェースに対して実行する自動実行部と、前記管理対象装置に対する複数命令文をジョブとして登録するジョブ登録部と、前記自動実行部がジョブの各命令文を実行した自動実行ログを対象ジョブに紐づけて記録する自動実行ログ記録部と、ユーザに選択されたジョブに紐づけられた自動実行ログをユーザに表示する表示部と
、前記管理対象装置が出力するログのうち、前記自動実行部による各命令の実行に係る関連ログを抽出し、対応するジョブの命令と共に記録する関連ログ記録部とを備える運用管理システム。
【請求項2】
前記自動実行ログは、前記自動実行部による各命令の実行によって出力される値を対応するジョブの命令と共に記録する
前記請求項1に記載の運用管理システム。
【請求項3】
前記自動実行ログは、前記自動実行部による各命令の実行に係る画面を対応するジョブの命令と共に記録する
前記請求項1に記載の運用管理システム。
【請求項4】
前記ジョブ登録部には、管理対象装置の異常を検出するジョブと、当該異常に対応するジョブとを登録している
前記請求項1に記載の運用管理システム。
【請求項5】
前記ジョブの複数の命令文と、対応する前記自動実行ログ及び前記管理対象装置が出力するログとが、それぞれ対応付けて管理され、
いずれか一つの前記ジョブの命令文が選択されると、対応する前記自動実行ログ及び前記管理対象装置が出力するログが顕示されて表示される
前記請求項1に記載の運用管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運用管理システムに関し、特に、多種のシステムを運用管理可能な運用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からの運用管理システムの機能としては、ハード、ソフトの障害を検出して復旧する障害対策機能、ハードの配置や記憶装置の空き容量を管理する構成管理機能、並びに、トラフィックやCPUの使用率を管理する性能管理機能などがあり、これらの機能を一つ以上有しているものが運用管理システムである。特許文献1には、障害対策機能を有するシステム管理装置が開示され、管理対象装置で生じるであろう障害に関する障害対応情報を記憶し、障害が発生すると対応する障害対応情報を取得して対応を実行することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の運用管理システムにおいても複数種類の装置を管理対象とすることができていた。これは、運用管理システムが管理対象装置に直接アクセスすることができ、ログ、ステータスなどの必要な情報を取得し、状況を把握して必要に応じて何らかの操作を管理対象装置に行うことできるように、例えば、API(Application Programming Interface)を介して管理対象装置と連携して情報の取得及び操作を実現しているからである。従って、インタフェースの仕様が明らかになっていない管理対象装置に対しては、各種情報の取得及び操作ができず、管理対象とすることができなかった。または、この管理対象装置を開発した開発元に照会し、インタフェースの仕様を把握し、その仕様に合致した動作をシステム管理装置に組み込む必要があり、必要に応じて管理対象装置にも修正を行っていた。特に、メインフレーム、オフィスコンピュータなどの汎用機では仕様が外部に明らかにされていないものが多く、運用管理システムの対象とすることができなかった。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来管理対象とすることができなかった管理対象装置を管理対象とする運用管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る運用管理システムは、管理対象装置に対する運用管理に関する命令文を受けて命令を当該管理対象装置のユーザインターフェースに対して実行する自動実行部と、前記管理対象装置に対する複数命令文をジョブとして登録するジョブ登録部と、前記自動実行部がジョブの各命令文を実行した自動実行ログを対象ジョブに紐づけて記録する自動実行ログ記録部と、ユーザに選択されたジョブに紐づけられた自動実行ログをユーザに表示する表示部と、前記管理対象装置が出力するログのうち、前記自動実行部による各命令の実行に係る関連ログを抽出し、対応するジョブの命令と共に記録する関連ログ記録部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ジョブを構成する複数命令を順次、管理対象装置のユーザインターフェースに対して実行し、実行に伴い生じる自動実行ログを記録し、ジョブに紐づけて自動実行ログをユーザに表示するので、ユーザが直接操作することでしか管理することができなかった管理対象装置であっても管理対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る運用管理システム全体の構成を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係る運用管理システムに関する運用管理ジョブ画面である。
【
図3】本実施形態に係る運用管理システムに関するジョブ編集画面である。
【
図4】本実施形態に係る管理対象装置(メインフレーム)のユーザインターフェースである。
【
図5】本実施形態に係る運用管理システムに関するジョブ編集画面(自動実行用)である。
【
図6】本実施形態に係る運用管理システムのシーケンス図である。
【
図7】本実施形態に係る運用管理システムの統合ログ画面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面において説明上重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
本実施形態に係る運用管理システムは、
図1に示す通り、システム管理の対象となる複数の管理対象装置11・・・1nと、この管理対象装置をそれぞれ管理する運用管理サーバ21・・・2nと、運用管理サーバ21・・・2nを操作制御する端末装置31及び32とからなる。それぞれの装置は、ネットワーク40に接続されており、所定の権限によって相互にデータ通信可能となっている。ここで、本実施形態では
図1のシステムハードウェア構成としたが、各種様々なハードウエア構成を取ることができる。また、広義の運用管理システムとして管理対象装置11・・・1nを含んで説明しているが、狭義の運用管理システムとしては運用管理サーバ21、自動実行装置51及び端末装置31からなるものである。
【0011】
管理対象装置11・・・1nは様々なシステムが想定され、証券システムを構成する装置、銀行システムを構成する装置、流通システムを構成する装置などの各種業務装置が該当する。管理対象装置11・・・1nは相互に連携して一のシステムを構成する場合もある。
【0012】
運用管理サーバ21・・・2nは、それぞれ、管理対象装置11・・・1nのいずれかを少なくとも管理しており、一の運用管理サーバが複数の管理対象装置11・・・1nを運用管理してもよいし、複数の運用管理サーバが一又は複数の管理対象装置を運用管理してもよい。運用管理サーバ21・・・2nは、管理対象装置11・・・1nを運用管理しており、管理対象装置11・・・1nの状態(正常/異常)、パフォーマンスをモニタリングしたり(モニタリング結果は管理対象装置11・・・1n毎に記録)、異常検出時/パフォーマンスが所定閾値を超えた場合に運用管理者に通知したりする。運用管理サーバ21・・・2nによっては、異常検出した際にその異常に対応する対応を自動で行うものもある。一般化すると、ハード、ソフトの障害を検出して復旧する障害対策機能、ハードの配置や記憶装置の空き容量を管理する構成管理機能、並びに、トラフィックやCPUの使用率を管理する性能管理機能などの機能を提供している。
【0013】
端末装置31は運用管理者が使用する装置であり、この端末装置31を介して運用管理サーバ21・・・2nにアクセスし、必要な操作を行う。端末装置32は運用管理者を補助する補助者が使用する装置であり、運用管理者からの指示を受け、必要な作業を端末装置32を介して管理対象装置11・・・1nに対して行う。補助的な位置付けのため端末装置32は必ずしも必要なシステム構成要素ではない。
【0014】
ネットワーク40は、有線ネットワークまたは無線ネットワークもしくはそれらの組み合わせを含み、インターネット、イントラネット、LAN、WAN、WiFi、Bluetooth(登録商標)、無線電話網などを含んでもよい。
【0015】
端末装置31は運用管理者からジョブ管理指示を受けると、運用管理サーバ21・・・2nにアクセスし、必要な情報を取得して運用管理ジョブ画面を表示する。
図2に示す通り、運用管理ジョブ画面では、ジョブ管理を設定している管理対象装置の装置一覧が左側に表示され、左側の装置一覧から一の装置を選択すると右側に選択された装置に設定されているジョブの一覧が表示される。ジョブの操作内容としては、前記した、運用管理のためのモニタリング、異常通知及び異常対応を対象とすることもできるし、管理対象装置11・・・1nへの制御を対象とすることもできる。
図2では説明の便宜上簡易なジョブを示しているが、「ノード生死監視」、「システム情報監視」、「プロセス稼働状況監視」、「システム詳細情報監視」、「ログ監視」もジョブ登録することもできる。
【0016】
いずれか一つのジョブを選択して編集モードにすると、ジョブ編集画面に、ジョブ名称、管理対象装置11・・・1nのノード名、ジョブを管理している運用管理者ID及び管理対象装置11・・・1nに実行する操作内容が表示される。操作内容は、管理対象装置11・・・1nに渡すコマンド(引数を伴うこともある)であってもよいし、そのコマンドを利用者に分かり易いようにリネームしたものであってもよい。このジョブ編集画面で表示されている各種情報を編集することもできるし、運用管理ジョブ画面から新規ジョブ登録を指示するとジョブ編集画面と同様の画面が表示され、各種内容を新規設定することができる。ここで、
図2のジョブの一覧から運用管理者が任意のジョブを選択して実行することができるのに加え、日時指定や定期指定を設定することで、指定された日時や指定された定期日時にジョブを実行する設定を受けつけてもよい。なお、運用管理者は端末装置31を用いて運用管理ジョブ画面及びジョブ編集画面にて運用管理サーバ21・・・2nを設定しているものの、運用管理サーバ21・・・2nが構築されているコンピュータを操作して直接運用管理サーバ21・・・2nを設定してもよい。
【0017】
運用管理サーバ21・・・2nは、端末装置31により設定されたジョブをジョブ対象の管理対象装置11・・・1nに対して実行する。
図1では、管理対象装置11・・・1nとそれを管理対象とする運用管理サーバ21・・・2nが同一のLAN(LOCAL Area Network)に接続されており、運用管理サーバ21・・・2nは対象ジョブに設定されているコマンドをLANを介して管理対象装置11・・・1nに送信する。管理対象装置11・・・1nと運用管理サーバ21・・・2nを同一のコンピュータ上に構築することもでき、その場合には、ネットワークを介することなく、自マシン内の相互のプロセス同士でコマンドを受け渡すことになる。ネットワークを介してコマンドを送信する場合には、事前にログイン処理を実行しないといけない場合もある。
図3のジョブ編集画面は、
図2に示す値参照のジョブを選択して開いた画面である。このジョブでは、運用管理者「openmanager01」として管理対象ノード「Finace_node01」にアクセスしてログイン処理する。操作内容には、管理対象ノード「Finace_node01」に送信するコマンドが入力されている。「Login(openmanager01, ****)」は、アカウント「openmanager01」でパスワード「****」でログインすることを意味する。「Get(id0123, value)」は、ユーザ「id0123」の保有資産「value」を取得することを意味し、「Logout(opemanager01)」はログアウトを意味する。これらのコマンドは、Finace_node01が外部からの制御を受けるためのコマンドであるが、別のシステムのノードであれば別のコマンド体系であり同一の動作でも別のコマンドが必要となる。例えば、運用管理サーバ21はユーザが理解し易いコマンド体系を用意し、運用管理サーバ21が管理対象装置11にコマンドを送信する際に管理対象装置11のコマンド体系に変換して送信する構成であってもよい。
【0018】
メインフレーム(以降、メインフレームを対象に説明するが、メインフレームに限らず、オフィスコンピュータ等を含めた汎用機についても同様である)によっては、メインフレームのUI(User Interface)以外からの外部操作を受けない直接制御不可装置があり、このような装置を管理対象とすると、その装置に送信する又は渡すコマンドがないため、そのままではジョブ登録を行うことができない。運用管理者は、これまで、直接制御不可装置に対して何らかのジョブを実行したい場合には、直接メインフレームのUIを起動して操作実行していた。特に、コンピュータルーム又はデータセンター内に配置されたメインフレームでリモートのUIも用意されていない場合、運用管理者が直に直接制御不可装置が構築されているコンピュータの配置場所まで訪問し、そのコンピュータのキーボードを用いて操作を行っており、非常に手間が生じる作業であった。これに対し、運用管理サーバ21・・・2nには自動実行機能が具備されており、運用管理サーバ21・・・2n自身若しくはそれが生成した別プロセスがユーザの操作をそのまま代理で自動実行する。例えば、メインフレームのUIを特定のアイコンを押下して起動させ、起動したメインフレームのUIに対してクリック、データ入力等の動作をユーザに代わり行う。コンピュータにはOS(Operating System)が構築されており、運用管理サーバ21・・・2nからのユーザ操作をOSを介してメインフレームのUIが操作を受けつける。これらの動作は運用管理者が操作端末31を介して運用管理サーバ21に、メインフレームのUIへの操作内容を設定することで可能となる。具体的な方法としては、ここでは、2つの方法を示す(1つめの方法を録画型操作設定といい、2つめの方法を関数一覧型操作設定という)。録画型操作設定は、運用管理者のメインフレームのUIへの操作内容をユーザに1度サンプル操作して貰い、運用管理サーバ21が記憶するというものである。運用管理サーバ21は運用管理者の操作をモニタリングしており、メインフレームのUIへの操作内容を記憶している。具体的には、GUIの場合、メインフレームのUIのどのオブジェクトをクリックしたり、値入力したりしたか等を記憶している。
図4の示すメインフレームのUIは、ログイン画面及び検索結果画面であり、それぞれの画面には、テキストラベル、テキストボックス、OKボタンのオブジェクトが複数配置されている。例えば、「USERID」のテキストラベルの横にあるテキストボックスには「obj001」のオブジェクト識別情報が付与されており、これにより、一意にオブジェクトを識別できる。運用管理サーバ21は記憶した操作内容を運用管理サーバ21が理解可能な関数及び引数に置き換え、ジョブ編集画面の操作内容として記録する。この関数及び引数は、運用管理サーバ21独自のプログラム言語又はスクリプト言語体系でもよいし、例えば、汎用的なプログラム言語又はスクリプト言語体系のものであってもよい。
【0019】
図5は、運用管理サーバ21独自のスクリプト言語による操作内容の記載である。「Run(finance_ui)」はメインフレームのUI「finance_ui」を起動する命令であり、管理対象装置11が構築されているコンピュータに対してこの命令を実行することで、メインフレームのUI「finance_ui」が起動され、まず、ログイン画面が表示されることになる。「Setvalue(obj001,opemanager01)」、「Setvalue(obj002,****)」はそれぞれ、ログイン画面のテキストラベル「USERID」横のテキストボックス「obj001」にID「opemanager01」を入力し、テキストラベル「PASSWORD」横のテキストボックス「obj002」にパスワード「****」を入力する命令であり、「Click(obj003)」はOKボタン「obj003」を押下する命令である。「Setvalue(obj004,id0123)」は不図示の検索画面のテキストボックス「obj004」に「id0123」を入力する命令で、「Click(obj005)」はこの検索画面のOKボタンを押下する命令である。
図4(b)は検索画面による検索によって検索された検索結果を示す検索結果画面であり、「Copy(obj006, var001)」は画面中の「value」というテキストラベルの横に配置された価値「obj006」に入力されている値「50」を変数「var001」に入力する命令である。「Send(var001)」は変数「var001」を運用管理サーバ21に送信する命令である。「Click(obj007)」は閉じるボタン「obj007」を押下する命令である。
図3のジョブ編集画面では管理対象装置11に対するAPI用コマンドであるため短い命令文となっているのに対し、
図5のジョブ編集画面(自動)ではメインフレームのUIに対してインタプリター及びOSを介して命令するために長い命令文となっている。
【0020】
関数一覧型操作設定は、操作対象のメインフレームのUIを特定し、このメインフレームのUIのオブジェクト一覧情報と、操作関数一覧、条件式とから、運用管理者の操作内容と同一内容を設定していく方法である。録画型操作設定と関数一覧型操作設定は組み合わせることもでき、関数一覧型操作設定は簡易的なコーディングに該当するため、録画型操作設定で簡単にサンプル操作して細かい動作は関数一覧型操作設定により操作関数一覧及び条件式から設定するという方法も取り得る。なお、操作内容の設定による自動実行は、直接制御不可装置以外である直接制御可装置を対象にも適用することができる。直接制御可装置に対して、API用コマンド又はAPI用コマンドの組み合わせでは実現できない操作を実行したい場合には有効である。
【0021】
運用管理サーバ21・・・2nによるジョブを実行した場合には、操作対象装置によってはその実行に対して実行結果を返すものもあり、運用管理サーバ21・・・2nはその実行結果をジョブ毎に記憶し、運用管理者の操作に応じてその実行結果を表示する。
【0022】
ここで、運用管理サーバ21・・・2nによる自動実行の機能を独立した装置である自動実行装置51・・・5nを、操作対象装置11・・・1nが構築されているコンピュータ、運用管理サーバ21・・・2nが構築されているコンピュータ、または、別の新たなコンピュータに構築することもでき、この内容、運用管理サーバ21・・・2nからジョブの操作内容又は操作内容の識別情報を取得して自動実行装置51・・・5nが実行する。操作対象装置11・・・1nが構築されているコンピュータに自動実行装置51・・・5nが構築されている場合には自装置での操作になる一方、自装置以外のコンピュータに自動実行装置51・・・5nが構築されている場合には外部からの操作実行となるためリモート操作になる。この構成の場合、運用管理サーバ21・・・2nにジョブの操作内容を設定するのではなく、直接、自動実行装置51・・・5nに設定することでもよい。また、ジョブは自動実行装置51・・・5nが実行するため、実行結果も自動実行装置51・・・5nが取得し、自動実行装置51・・・5nが運用管理サーバ21・・・2nに返すことになる。
【0023】
エラーが生じた場合には管理対象装置11・・・1nで生じたエラーを運用管理サーバ21・・・2nに通知する必要がある。直接制御可装置に対してコマンド実行する場合には、コマンド実行による結果(エラーの結果を含む)が通知されるので、その内容を対応するジョブ若しくは履歴に登録することで運用管理者が登録されたエラーを含む結果を確認することができる。
【0024】
一方、直接制御不可装置に対して操作内容の命令を実行する場合、そのままでは、管理対象装置11・・・1nから運用管理サーバ21・・・2nにエラーを含む結果が通知されない。メインフレームのUIを操作しており、エラーが生じるとエラー画面が起動するため、そのエラー画面若しくはエラー画面のエラー文面を運用管理サーバ21・・・2nに通知して対応するジョブに関連付けて登録することで運用管理者がエラー画面若しくはエラー文面を参照してエラー内容を把握することができる。なお、エラー画面のみを通知する例を説明したが、各命令文の実行の度に操作対象画面をハードコピーして画面画像を送信することで、運用管理者は正常処理、エラー処理に依らず処理の実体を把握することができる。仮に、エラーが生じた場合にそれよりも前の処理の操作対象画面を参照することで、エラーの解決につながる場合もある。
【0025】
次に、
図6を用いて本実施形態に係るシステム管理装置を含むシステム全体の動作を説明する。この動作説明においては、説明の便宜上、管理対象装置11、運用管理サーバ21、端末装置31及び自動実行装置51を用いて説明し、管理対象装置11・・・1nのうち管理対象装置11以外の管理対象装置、並びに、運用管理サーバ21・・・2nのうち運用管理サーバ21以外の運用管理サーバは説明に用いない。運用管理者は操作端末31から運用管理サーバ21にアクセスし、運用管理者としてログインすると、対象の運用管理者が管理すべきノード及びジョブを示す運用管理ジョブ画面が操作端末31に表示される。運用管理者は、必要に応じて、ジョブの新規登録、既に登録されているジョブの編集を行う。ジョブの設定では、実行すべき日時を設定することができ、運用管理サーバ21は設定された日時になった場合にはジョブの実行処理に移行する。ジョブの予約実行以外に、運用管理者が選択したジョブをリアルタイムに実行指示することもできる。ここでは、リアルタイム実行の動作について説明する。
【0026】
操作端末31がジョブを指定した実行を運用管理サーバ21に指示し、運用管理サーバ21は指定されたジョブを特定し、特定されたジョブの操作内容である命令群を取得する(S110)。運用管理サーバ21はジョブで指定された管理対象装置11が構築されているコンピュータ上に待機している自動実行装置51に対し、取得した命令群を含めてジョブ実行依頼を行う(S115)。ここでは、自動実行装置51が命令群を取得する動作として説明するが、予め対象の自動実行装置51が実行すべき命令群を運用管理サーバ21から取得して記録し、命令群を識別するIDを管理対象装置11から受領することで、受領したIDに対応する命令群を記憶領域から読み出す動作であってもよい。命令群を受領した自動実行装置51は、随時命令を実行する(S120)。命令は原則管理対象装置11のUIに対する操作制御であり、管理対象装置11はOSを介して操作制御を受けて操作実行する(S125)。操作内容によっては各種データが出力されることもあり、その出力値は自動実行装置51側で取得して記録し(S130)、同時に、操作実行後にアクティブになっている画面をハードコピーする(S135)。次に、全命令を実行したかどうかを判別し、全命令を実行していない場合にはS120に戻る。全命令を実行した場合には、記録している各種出力値、各画面のハードコピーを各命令と関連付けて自動実行ログとして運用管理サーバ21にデータ送信する(S145)。運用管理サーバ21は受信した自動実行ログをジョブに紐づけて記録する(S150)。操作端末31を用いて運用管理者は実行が完了したジョブの自動実行ログを参照可能となる(S155)。
【0027】
この動作を用いた典型例としては、定期的に異常検出のモニタリングジョブを行い、異常検出がなければ何もせず、異常検出があればその異常検出に対応する対応ジョブを行う運用管理が挙げられる。また同様に、定期的に管理対象装置11のログを参照し、所定キーワードが含まれる場合に運用管理サーバ21に報告するログ参照ジョブを行う運用管理を行うこともできる。
【0028】
本実施形態に係るシステム管理装置によれば、インタフェース仕様は分からず、直接制御不可装置である管理対象装置を、ユーザによりこの管理対象装置をユーザインターフェースで操作することなく、運用管理の対象とすることができる。
【0029】
本実施形態においては、自動実行ログを参照することで不具合があればそれを解析し、解析結果に基づいてジョブの命令群を修正したり、管理対象装置11の保守を検討したりすることができる。ここで、自動実行ログに加え、自動実行装置51が管理対象装置11自体により出力されるログのうち、対象ジョブの命令群に関する部分のみを抽出して自動実行ログと共に送信することもできる。自動実行ログに加えて、管理対象装置11の該当箇所のログを参照することができることにより、より良い解析が可能となる。管理対象装置11のログに実行日時が付与されている場合、自動実行装置51が自動実行ログにも各命令の実行時間を付与し、相互のログの実行日時を照合することで、運用管理者は実行日時又はジョブのいずれかの命令を指定すると、指定された命令に関するログを特定した上で参照することができる。
図7はログを含む実行結果を示した統合ログ画面である。この統合ログ画面はジョブを選択した上でログ参照を指示することで起動する。ジョブに対して、複数回のジョブ実行等をして複数の実行結果が紐づいている場合にはいずれか一つを選択する必要がある(最新の実行結果のみを表示する動作でも良い)。この統合ログ画面では、対象ジョブの命令群、自動実行ログ、管理対象装置11が生成したログ及びテスト実行に関する画面が統合的に確認可能である。これに加え、命令群のいずれか一つを選択することで、対応する自動実行ログ中の対象ログ、管理対象装置ログ中の対象ログ及び画面ハードコピーの該当する画面が顕示されて表示される。これにより、運用管理者は、ログや画面に不具合があれば、そのまま命令文を修正することができる。また、修正した命令群をそのまま実行して再度統合ログ画面することで、修正後の命令群が適切に実行されたかを確認することもできる。ここで、命令群のいずれか一つを選択する例を説明したが、複数ある自動実行ログ、管理対象装置ログ又は画面ハードコピーから一の対象物を選択して対応する命令群を顕示して表示する動作であってもよく、例えば、エラー画面の画面ハードコピーをユーザが選択することで対応する命令、ログを確認することができる。ここで、命令群の命令と、自動実行ログとの対応付けは、自動実行装置51が自身で実行してログを生成しているので当然に可能となる。次に、管理対象装置ログとの対応付けは、自動実行ログの各実行日時と管理対象装置ログの各ログ日時を比較して行う。
【0030】
自動実行装置51が命令群を実行している場合に、想定と異なる動作を管理対象装置11が実行することもあり、その場合にタイムアウト等で自動実行装置51が正常処理できないことを判別すると、命令群の実行を中止し、中止した時点までの自動実行ログを運用管理サーバ21に送信する。
【0031】
操作端末31から運用管理サーバ21に対してジョブ新規登録又はジョブ編集する際に、値を入力する命令であれば引数に値を固定的に設定することになる。複数の値に対して同様の命令を繰り返す場合には、繰り返したい回数分の命令文を作成してもよいが、複数の値を外部ファイルに保存し、又は、データベースに複数の値を格納し、同一の命令をユーザが実行したい値数分、実行する繰り返し命令を設定することもできる。
本実施形態では運用管理サーバ21が自動実行装置51を用いて運用管理する動作を説明したが、直接制御不可装置に対して自動実行装置51を用いて運用管理し、直接制御可装置に対して運用管理サーバ21が直接運用管理に関する動作を管理対象装置11に行うこともできる。この際、運用管理サーバ21がリモートで管理対象装置11に対して運用管理動作を行ってもよいし、管理対象装置11が構築されているコンピュータに運用管理用のエージェントを構築し、この運用管理用エージェントに運用管理動作を行い、各種報告を運用管理サーバ21に行う構成であってもよい。
【0032】
本実施形態においては、端末装置31を用いて運用管理者が運用管理を行う例を説明したが、標準的には運用管理者が端末装置31で運用管理し、補助者が運用管理者からの指示を受けて端末装置32を用いて運用管理を補助してもよく、例えば、複数のジョブが実行された後に補助者が自動実行ログを参照して正常処理しているかどうかを確認し、異常処理しているジョブがある場合に運用管理者に報告し、指示を仰ぐワークフローであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、多種のシステムを運用管理可能な運用管理システムに好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
管理対象装置 11、1n
運用管理サーバ 21
端末装置 31、32
ネットワーク 40
自動実行装置 51、5n