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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】管路の埋設構造及び埋設方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/028 20060101AFI20220308BHJP
   E03B 7/00 20060101ALI20220308BHJP
   F16L 1/036 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
F16L1/028 T
E03B7/00 Z
F16L1/036
F16L1/028 J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018023601
(22)【出願日】2018-02-13
(65)【公開番号】P2019138408
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】東 俊司
(72)【発明者】
【氏名】中村 臨
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-276853(JP,A)
【文献】実開昭51-146508(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/028
E03B 7/00
F16L 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設される管路の埋設構造であって、
曲管を含む曲管ユニットと、
前記曲管ユニットの両端部に連結される、一対の連結ユニットと、
前記連結ユニットの両端部に連結され、少なくとも一つの直管を含む、一対の直管ユニットと、
前記地中で前記曲管ユニットの周囲に充填される第1充填材と、
前記地中で前記連結ユニットの周囲に充填される第2充填材と、
を備え、
前記地中で前記直管ユニットの周囲には、前記第1充填材が充填され、
前記第1充填材は、前記各ユニットを前記地中に固定する材料で構成され、
前記第2充填材は、前記各ユニットの前記地中での移動を許容する材料で構成されている、管路の埋設構造。
【請求項2】
前記連結ユニットは、少なくとも一つの直管を含み、当該直管により、前記曲管ユニットと前記直管ユニットを連結する、請求項1に記載の管路構造。
【請求項3】
前記連結ユニットは、前記曲管ユニットと前記直管ユニットを連結する継手によって構成されている、請求項1に記載の管路の埋設構造。
【請求項4】
前記曲管ユニットは、前記曲管と、前記曲管の両側に連結された一対の直管と、を備えている、請求項1から3のいずれかに記載の管路の埋設構造。
【請求項5】
前記第1充填材は、流動化処理土及びソイルセメントの少なくとも一方を含んでいる、請求項1から4のいずれかに記載の管路の埋設構造。
【請求項6】
前記第2充填材は、砂、砕石、及び前記管路の埋設時に掘り出した土壌の少なくとも一つを含んでいる、請求項1から5のいずれかに記載の管路の埋設構造。
【請求項7】
前記第1充填材の単位体積当たりの重量は、1.2~2.1t/m3である、請求項1から6のいずれかに記載の管路の埋設構造。
【請求項8】
曲管を含む曲管ユニットを準備するステップと、
前記曲管ユニットの両端部に連結される、一対の連結ユニットを準備するステップと、
前記連結ユニットの両端部に連結され、少なくとも一つの直管を含む、一対の直管ユニットを準備するステップと、
前記曲管ユニットを地中に埋設する際に、当該曲管ユニットの周囲に第1充填材を充填するステップと、
前記連結ユニットを地中に埋設する際に、当該連結ユニットの周囲に第2充填材を充填するステップと、
前記直管ユニットを地中に埋設する際に、当該直管ユニットの周囲に前記第1充填材を充填するステップと、
を備え、
前記第1充填材は、前記各ユニットを前記地中に固定する材料で構成され、
前記第2充填材は、前記各ユニットの前記地中での移動を許容する材料で構成されている、管路の埋設方法。
【請求項9】
前記第1充填材は、流動化処理土及びソイルセメントの少なくとも一方を含んでいる、請求項8に記載の管路の埋設方法。
【請求項10】
前記第2充填材は、砂、砕石、及び前記管路の埋設時に掘り出した土壌の少なくとも一つを含んでいる、請求項8または9に記載の管路の埋設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路の埋設構造及び埋設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水道管などの圧力管は、曲管と直管とを組み合わせることで構成されているが、地震などの強い力を受けると、曲管部分にスラスト力が作用し、曲管が、その両側に接続された直管から抜け出るおそれがある。これにより、管内の水が漏れ、甚大な被害が発生することがある。特に、地震に伴う液状化現象が生じると、そのような被害が拡大するおそれがある。
【0003】
これに対して、曲管にスラスト力が作用した場合でも、曲管が抜け出ないような種々の管路構造が提案されている。例えば、特許文献1には、網目状またはシート状の面状補強材で、曲管の周囲の土質材料を囲み、曲管の周囲を強化した構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4488724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、特別な面状補強材が必要であるため、コストが高くなり、また免状補強材を設置するために施工に時間を要するという問題もある。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、低コストで施工することができる管路の埋設構造及び埋設方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、地中に埋設される管路の埋設構造であって、曲管を含む曲管ユニットと、前記曲管ユニットの両端部に連結される、一対の連結ユニットと、前記連結ユニットの両端部に連結され、少なくとも一つの直管を含む、一対の直管ユニットと、前記地中で前記曲管ユニットの周囲に充填される第1充填材と、前記地中で前記連結ユニットの周囲に充填される第2充填材と、を備え、前記地中で前記直管ユニットの周囲には、第1充填材または第2充填材が充填され、前記第1充填材は、前記各ユニットを前記地中に固定する材料で構成され、前記第2充填材は、前記各ユニットの前記地中での移動を許容する材料で構成されている。
【0007】
上記管路の埋設構造において、前記連結ユニットは、少なくとも一つの直管を含み、当該直管により、前記曲管ユニットと前記直管ユニットを連結することができる。
【0008】
上記各管路の埋設構造において、前記連結ユニットは、前記曲管ユニットと前記直管ユニットを連結する継手によって構成することができる。
【0009】
上記各管路の埋設構造において、前記曲管ユニットは、前記曲管と、前記曲管の両側に連結された一対の直管と、を備えることができる。
【0010】
上記各管路の埋設構造において、前記第1充填材は、流動化処理土及びソイルセメントの少なくとも一方を含むことができる。
【0011】
上記管路の埋設構造において、前記第2充填材は、砂、砕石、及び前記管路の埋設時に掘り出した土壌の少なくとも一つを含むことができる。
【0012】
上記管路の埋設構造において、前記第1充填材の単位体積当たりの重量は、1.2~2.1t/m3とすることができる。
【0013】
本発明に係る管路の埋設方法は、曲管を含む曲管ユニットを準備するステップと、前記曲管ユニットの両端部に連結される、一対の連結ユニットを準備するステップと、前記連結ユニットの両端部に連結され、少なくとも一つの直管を含む、一対の直管ユニットを準備するステップと、前記曲管ユニットを地中に埋設する際に、当該曲管ユニットの周囲に第1充填材を充填するステップと、前記連結ユニットを地中に埋設する際に、当該連結ユニットの周囲に第2充填材を充填するステップと、前記直管ユニットを地中に埋設する際に、当該直管ユニットの周囲に第1充填材または第2充填材を充填するステップと、を備え、前記第1充填材は、前記各ユニットを前記地中に固定する材料で構成され、前記第2充填材は、前記各ユニットの前記地中での移動を許容する材料で構成されている。
【0014】
上記管路の埋設方法において、前記第1充填材は、流動化処理土及びソイルセメントの少なくとも一方を含むことができる。
【0015】
上記管路の埋設方法において、前記第2充填材は、砂、砕石、及び前記管路の埋設時に掘り出した土壌の少なくとも一つを含むことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、低コストで施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る管路の一部(対象管路)を示す平面図である。
図2図1の対象管路分割平面図である。
図3】管路を埋設するために地盤に掘削された通路の平面図である。
図4図3の断面図である。
図5】管路の埋設を説明する断面図である。
図6図5の平面図である。
図7】管路の埋設を説明する断面図である。
図8】対象管路にスラスト力が作用した場合の挙動を説明する平面図である。
図9】対象管路の他の例を示す平面図である。
図10】本発明の実施例に係るモデル図である。
図11】本発明の実施例に係るモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る管路の埋設構造の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態の埋設構造の対象となる管路を示す平面図、図2図1の分解図である。
【0019】
<1.対象管路の概要>
この管路の埋設構造で用いられる管路は、例えば、水道管などの圧力の作用する流体が通過する圧力管である。そして、本実施形態に係る管路の埋設構造は、管路のうち、曲管を含む部分の埋設構造である。まずは、本実施形態に係る埋設構造に含まれる部分の管路について説明する。以下では、管路のうち、本実施形態に係る埋設構造に含まれる部分を、対象管路10と称することとする。
【0020】
図1及び図2に示すように、対象管路10は、曲管11を有する曲管ユニット1と、この曲管ユニット1の両端に接続された一対の連結ユニット2と、各連結ユニット2にそれぞれ接続された一対の直管ユニット3と、を備えている。すなわち、曲管ユニット1の両端と各直管ユニット3との間に連結ユニット2がそれぞれ連結されている。また、直管ユニット3には、図示を省略するが、管路の他の部分、つまり直管または他の曲管が接続されている。
【0021】
曲管ユニット1は、曲管11と、その両端にそれぞれ連結された一対の第1直管12と、を備えている。曲管11は、円筒状に形成され、軸線が一定の曲率半径を有する円弧状に形成された本体部111と、その両端に一体的に形成された一対の円筒状の受け口部112とを備えている。受け口部112の内径は、本体部111の内径よりも大きくなっている。
【0022】
一方、第1直管12は、円筒状に形成され、軸線が直線状に延びる本体部121を備えている。ここでは、本体部121の両端部を第1端部及び第2端部と称することとし、第1端部に受け口部122が一体的に形成されている。この受け口部122の内径は、本体部121の内径よりも大きくなっている。また、本体部121の第2端部1212は、曲管11の受け口部112に挿入可能な大きさとなっている。
【0023】
そして、曲管11の受け口部121と、第1直管12の第2端部1212とを連結するため、曲管11の受け口部121の内周面には、公知のシールゴム材(図示省略)が取り付けられており、受け口部121に挿入された第1直管12の外周面と受け口部121の内周面との間を液密にシールするようになっている。また、第1直管12の受け口部122の内周面にもシールゴム材が取り付けられている。
【0024】
次に、一対の連結ユニット2について説明する。両連結ユニット2は、同じ構成であり、それぞれ、上述した第1直管12と同様の構成を有する第2直管21を備えている。すなわち、第2直管21は、円筒状の本体部211と、その第1端部に一体的に形成された受け口部212とを有している。そして、本体部211の第2端部2112は、第1直管12の受け口部122に挿入され、液密に連結されるようになっている。また、第2直管21の受け口部212の内周面にも、シールゴム材が取り付けられている。
【0025】
続いて、一対の直管ユニット3について説明する。両直管ユニット3は、同じ構成であり、それぞれ、上述した第1直管12と同様の構成を有する第3直管31を備えている。すなわち、第3直管31は、円筒状の本体部311と、その第1端部に一体的に形成された受け口部312とを有している。そして、本体部311の第2端部3112は、第2直管21の受け口部212に挿入され、液密に連結されるようになっている。また、第3直管31の受け口部312の内周面にも、シールゴム材が取り付けられている。そして、第3直管31の受け口部312には、図示を省略する他の直管や曲管が連結される。
【0026】
以上のように構成された曲管11、第1~第3直管12,21,31は種々の材料で形成することができるが、例えば、FRP管、FRPM管、その他の樹脂材料により形成された管で形成することができる。なお、FRP管は、繊維強化プラスチックによって形成された管である。一方、FRPM管は、少なくとも、樹脂モルタル層の内周面および外周面にFRPの内層およびFRPの外層をそれぞれ積層し、これらを一体的に形成した管であるが、層の数は特には限定されない。
【0027】
<2.対象管路の埋設方法>
以上のように構成された対象管路10は、次のように地中に埋設される。この点について、図3図4は、対象管路の埋設方法を説明する図である。
【0028】
まず、図3及び図4に示すように、地盤に対象管路10を配置するための通路5を掘削する。この通路5は、断面が台形状に形成されており、底面51の幅が、通路5の上部開口の幅よりも狭くなっている。但し、底面51の幅は、対象管路10の外径よりも広くなっている。続いて、この通路5に対象管路10を配置する。このとき、対象管路10を通路5の底面51に直接配置してもよいし、必要に応じて受け台を介して対象管路10を配置することもできる。また、必要に応じて、公知の浮上防止部材を設けることもできる。これは、次に説明する充填材を通路5に充填する際に、対象管路10が浮上するのを防止するためである。浮上防止部材としては、例えば、対象管路10を底面51または受け台に固定するバンド、対象管路10を通路5に固定するためのアンカー、あるいは、対象管路10に取り付けられる重量物などがある。
【0029】
次に、図5及び図6に示すように、通路5に充填材6、7を充填する。すなわち、対象管路10と通路5の壁面との間に充填材6,7を充填する。ここでは、2種類の充填材を用いる。すなわち、図3及び図6に示すように、曲管ユニット1が配置されている領域(以下、第1領域100)、及び直管ユニット3が配置されている領域(第2領域200)には、第1充填材6を充填する。一方、連結ユニット2が配置されている領域(第3領域300)には、第2充填材7を充填する。このように、第1または第2充填材6,7を通路5の各領域100~300に充填し、対象管路10の上方を覆うようにする。
【0030】
第1充填材6は、曲管ユニット1及び直管ユニット3を地中に拘束するためのものであり、例えば、公知の流動化処理土、ソイルセメント、改良砕石(セメントと砕石を混合したもの)、安定液固化体(例えば、ベンナイトを主成分とする安定液にて土や砂が固められたもの)、エアーモルタル、気泡材入りコンクリートなどを用いることができる。なお、流動化処理土は、土砂と水分と固化材とを混合することによって製造される埋戻し材料である。土砂には、砂礫質土などが使用され、固化材にはセメントやセメント系固化材が使用される。また、第1充填材6は、周辺地盤と同等の比重を有することが好ましく、例えば、単位体積当たりの重量が1.2~2.1t/m3であることが好ましい。また、第1充填材6として、コンクリートを用いることもできるが、概ね上記のような範囲の比重に調整されているものであれば、用いることができる。
【0031】
第2充填材7は、連結ユニット2の地中での移動を許容できるものである。すなわち、連結ユニット2に対して一定以上の拘束力を有さず、例えば、地震などの極端な力が第2直管21に作用した場合、管周辺の摩擦抵抗力は発生するものの、摩擦抵抗値以上の力に対しては、管自体の移動、管の曲げ、管の連結先の受け口から抜けなどの移動を許容するものである。このような機能を有する第2充填材7としては、例えば、砂、砕石、管路の埋設時に掘り出した土壌などを用いることができる。
【0032】
続いて、図7に示すように、各充填材6,7の上方を、通路掘削時に掘り出した土壌8で充填し、作業を完了する。なお、対象管路10は、各ユニット1~3を別個に通路内に配置した後、通路5内で連結することもできる。あるいは、各領域100~300ごとに、ユニット1~3を配置して充填材6,7を充填することもできる。例えば、曲管ユニット1を第1領域100に配置し、第1充填材6を充填した後、第2領域200に配置した連結ユニット2を接続して第2充填材7を充填する。そして、連結ユニット2に、第3領域300に配置した直管ユニット3を連結した後、第1充填材6を充填する、といった施工を行うこともできる。なお、第1充填材6、第2充填材7の土被りは、1~2mとすることが好ましい。
【0033】
<3.特徴>
以上のように構成された埋設構造では、次のような効果を奏する。例えば、図8に示すように、地震やそれに伴う液状化現象が生じ、曲管ユニット1にスラスト方向の力(径方向外方に向かう力)Fが作用した場合、曲管ユニット1は、第1充填材6に拘束されているため、曲管ユニット1が変形するのを防止することができる。例えば、曲管11の中心角が変化するように曲がるのを防止でき、これによって曲管11が損傷するのを防止することができる。但し、スラスト力Fによって、曲管ユニット1は、第1充填材6とともに移動する。
【0034】
一方、曲管ユニット1に接続された連結ユニット2の周囲には、第2充填材7が充填されているが、第2充填材7は、連結ユニット2を拘束するものではないため、連結ユニット2は、スラスト力Fによって移動する曲管ユニット1に引っ張られて移動する。但し、直管ユニット3は、第1充填材6に拘束されているため、移動しがたく、これによって、連結ユニット2は、曲管ユニット1と直管ユニット3との間で角度を変えるように、曲管ユニット1に引っ張られる。
【0035】
このとき、連結ユニット2の第2直管21は、第1直管12の受け口部122から多少抜け出たり、あるいは、第3直管31が、第2直管21の受け口部212から多少抜け出ることがある。但し、受け口部122,212に対する挿入代を、長くしておけば、完全に抜け出ることはなく、連結状態は保持されたままになる。
【0036】
このように、連結ユニット2が第2充填材7に拘束されていないため、曲管ユニット1にスラスト力Fが作用した場合には、連結ユニット2の角度が変化することで、スラスト力Fを吸収することができ、各ユニット1~3の連結状態を保持することができる。また、上記のように曲管11が損傷するのを防止することができる。
【0037】
以上の埋設構造は、公知の曲管及び直管を用いることができ、これらを埋設するための充填材を変えるだけで実現することができるため、低コストで施工することができる。
【0038】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は、適宜組み合わせることができる。
【0039】
<4-1>
上記実施形態では、曲管ユニット1を、1つの曲管11と2つの第1直管12により構成しているが、これに限定されるものではなく、曲管11のみ、あるいはその両端にそれぞれ2以上の直管を連結したものを曲管ユニット1とすることもできる。また、連結ユニット2は、1つの第2直管21で構成しているが、複数の直管を連結したものであってもよい。同様に、直管ユニット3も複数の直管で構成することもできる。
【0040】
<4-2>
上述した曲管11、第1~第3直管12,21,31においては、受け口部はいずれの位置に設けてもよく、隣接する管同士が連結できるように構成されていればよい。例えば、各管において、上記実施形態とは反対側に受け口部を設けたり、両端部に受け口部を設けることもできる。したがって、接続先に受け口部が設けられているのであれば、両端部に受け口部が設けられてない曲管、あるいは直管であってもよい。あるいは、継手によって管同士を接続することもできる。
【0041】
<4-3>
上記実施形態では、直管ユニット3が配置される第2領域200に第1充填材6を充填しているが、第2領域200には第2充填材7を充填することもできる。これにより、直管ユニット3も連結ユニット2のように移動可能となるため、曲管ユニット1の移動による力を吸収することができる。
【0042】
<4-4>
上記実施形態では、連結ユニット2として、直管21を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、図9に示すように、曲管ユニット1と直管ユニット3とを連結する継手2であってもよい。この場合でも、継手2の周囲を第2充填材7で充填すればよい。そして、曲管ユニット1の周囲は第1充填材6を充填し、直管ユニット3の周囲は第1または第2充填材6,7を充填すればよい。なお、連結ユニットが長い場合、例えば、4000mmを超えるような場合には、移動に際しての生じる曲げを考慮して、軸曲げ強度を強くした直管を採用することが好ましい。例えば、通常の1.5倍~2倍程度の軸曲げ強度を有する直管を採用することができる。なお、通常の4mの強化プラスチック複合管の軸曲げ強度は、例えば、以下の通りである。
【表1】
【0043】
なお、各充填材6,7を充填する範囲は厳密でなくてもよく、各ユニット1~3間の接続部分付近に、両充填材6,7の境界があればよい。より詳細には、各充填材6,7が充填されている長さは、各ユニット1~3の長さと一致するのが好ましいが、それぞれ1m程度までの誤差は許容される。例えば、第2領域200が連結ユニット2より短くなっても、あるいは長くなってもよい。また、連結ユニット2の動きを許容しやすくするため、連結ユニット2より第2領域200が長いほうが好ましい。この観点からすると、先に第2領域200を第2充填材6で充填し、しっかりと長さを確保した後に、第1充填材6を充填するほうが施工は容易になる。
【実施例
【0044】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0045】
まず、本実施例を示す対象管路のモデルとして、図10に示すようなモデルを作成した。このモデルは、曲管ユニットと連結ユニットとを有し、直管ユニットは省略している。したがって、連結ユニットにおける直管ユニット側の端部は固定されているものとする。その他、以下の通り、条件を設定した。
・曲管ユニットの口径: 500mm
・曲管ユニットの外径: 523mm
・曲管ユニットにおける長さL1:3000mm
・曲管ユニットにおける角度θ1:45度
・連結ユニットの口径: 500mm
・連結ユニットの外径: 523mm
・連結ユニットにおける長さL2:5000mm
・設定水圧:0.25MPa
・土被り:1.5m
【0046】
続いて、図11に示すように、スラスト力が作用したとして、曲管ユニットがX方向に400mm移動したとする。このとき、連結ユニットは、移動可能であるため、計算により、3.24度(θ2)揺動した。また、曲管ユニットからの抜け出し量L3は、306mmであった。
【0047】
一般的に、連結部分での許容曲げ角度が、4度であるとすると、上述したように、連結ユニットの揺動角度(曲げ角度)は、この許容曲げ角度以下となる。また、抜け出し量は306mmであったが、曲管ユニットと接続ユニットとの間で、これよりも大きい挿入代を有する連結構造を有していれば、曲管ユニットと接続ユニットとの連結状態が保持されることが分かった。
【0048】
したがって、本実施例により、連結ユニットが移動できるように構成されていれば、例えば、連結構造の挿入代を調整することで、曲管ユニットが、スラスト力を受けても、管路が分離するのを防止できることが分かった。
【符号の説明】
【0049】
1 曲管ユニット
11 曲管
2 連結ユニット
21 直管
3 直管ユニット
31 直管
6 第1充填材
7 第2充填材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11