(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】時計用モータの状態検出回路、時計、および時計用モータの状態検出方法
(51)【国際特許分類】
G04C 3/14 20060101AFI20220308BHJP
H02P 8/02 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G04C3/14 W
H02P8/02
(21)【出願番号】P 2018039726
(22)【出願日】2018-03-06
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一雄
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-219231(JP,A)
【文献】特開昭54-77169(JP,A)
【文献】特開昭54-77162(JP,A)
【文献】特開2001-307269(JP,A)
【文献】特開2009-156787(JP,A)
【文献】特開2015-23644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 3/14
H02P 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力部と第2入力部とに入力される電圧を比較する比較回路と、
状態検出期間は駆動パルス出力期間の後のモータの回転状態を検出する期間であり、前記駆動パルス出力期間において駆動パルスにより駆動される前記モータが有するロータの回転により生じる誘導起電圧を、前記状態検出期間に前記第1入力部に入力する検出回路と、
電圧を発生する電源回路からの電圧に基づいて前記駆動パルス出力期間に設定され前記第2入力部に入力される閾値電圧を、前記状態検出期間において保持する保持回路と、
を備え
、
前記電源回路は、少なくとも前記駆動パルス出力期間にオン状態に制御され、前記状態検出期間にオフ状態に制御される、
時計用モータの状態検出回路。
【請求項2】
前記保持回路は、前記駆動パルス出力期間に設定された前記閾値電圧を、前記状態検出期間において保持する容量素子と、前記状態検出期間において前記閾値電圧を保持するように切り替える第1スイッチと、により構成され、
前記容量素子は、前記第2入力部に接続される、請求項1に記載の時計用モータの状態検出回路。
【請求項3】
前記駆動パルス出力期間と前記状態検出期間とにおいて前記保持回路に入力される電圧を切り替える切替部を有し、前記切替部により切り替えられた前記電圧により前記閾値電圧が設定される電源回路を備える、請求項2に記載の時計用モータの状態検出回路。
【請求項4】
前記検出回路は、基準電圧回路を備え、
前記基準電圧回路は、前記電源回路から出力される電圧を分圧する直列に接続される第1抵抗と第2抵抗と、前記第2抵抗と接地との間に接続される第2スイッチと、を備え、
前記第1抵抗と前記第2抵抗とによって分圧された電圧が前記保持回路に入力され、
前記第2スイッチは、前記駆動パルス出力期間に前記第1抵抗と前記第2抵抗とによって分圧を行うように切り替わり、
前記第1スイッチは、前記駆動パルス出力期間に前記閾値電圧を前記容量素子に充電するように切り替わる、請求項2に記載の時計用モータの状態検出回路。
【請求項5】
前記切替部は、前記駆動パルス出力期間に前記保持回路に出力する電圧を第1電圧値の電圧に切り替え、前記駆動パルス出力期間と前記状態検出期間との間の電圧切替期間に前記保持回路に出力する電圧を第1電圧値より低い電圧値の第2電圧値の電圧に切り替え、
前記第1スイッチは、前記駆動パルス出力期間と前記電圧切替期間に前記電源回路が出力する電圧を前記容量素子に充電するように切り替わり、前記状態検出期間に前記第2電圧値の前記保持回路に出力する、請求項3に記載の時計用モータの状態検出回路。
【請求項6】
ロータを駆動する駆動パルスを出力する駆動パルス出力期間と、前記駆動パルス出力期間において前記駆動パルスにより駆動される前記ロータの回転により生じる誘導起電圧を検出することで前記ロータの回転状態を検出する状態検出期間と、を制御する制御部と、
前記駆動パルスを生成する電圧を供給する電源回路であって、前記駆動パルスの生成期間にオン状態に制御され、前記状態検出期間にオフ状態に制御される電源回路と、
を備える時計用モータの状態検出回路。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の時計用モータの状態検出回路と、指針と、を備える時計。
【請求項8】
電圧を発生する電源回路と、第1入力部と第2入力部とを有する比較回路と、を有する時計用モータの状態検出回路における時計用モータの状態検出方法であって、状態検出期間は、駆動パルス出力期間の後の前記時計用モータの回転状態を検出する期間であり、
検出回路が、前記駆動パルス出力期間において駆動パルスにより駆動される前記時計用モータが有するロータの回転により生じる誘導起電圧を、前記状態検出期間に前記第1入力部に入力する検出ステップと、
保持回路が、前記電源回路からの電圧に基づいて前記駆動パルス出力期間に設定され前記第2入力部に入力される閾値電圧を、前記状態検出期間において保持する保持ステップと、
比較回路が、
前記第1入力部と
前記第2入力部とに入力される電圧を比較する比較ステップと、
を含
み、
前記電源回路は、少なくとも前記駆動パルス出力期間にオン状態に制御され、前記状態検出期間にオフ状態に制御される、
時計用モータの状態検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計用モータの状態検出回路、時計、および時計用モータの状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログクオーツ時計では、モータが輪列を介して指針を駆動されている。なお、モータには、ステッピングモータが用いられている。
このような時計用モータのロータの回転検出では、モータの回転によって発生する誘導起電圧の検出判定をコンパレータで行う。このような場合は、コンパレータの閾値電圧に電源電圧を用いる場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、モータの回転検出では、モータの駆動エネルギーを下げて低消費化すると、モータの回転速度が遅くなり、回転時の誘導起電圧が小さくなるため、回転を検出する回転検出回路の閾値電圧を下げる必要がある。閾値電圧を電源電圧より低い電圧にするためには、例えば、基準電圧回路を追加する必要がある(例えば、特許文献2参照)。このような基準電圧回路としては、例えば、コンパレータの閾値電圧を、分圧抵抗を用いた回路によって生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-4872号公報
【文献】特公平1-27680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、回転検出回路の閾値電圧を下げて使用する場合に基準電圧回路を設けた場合、基準電圧回路による消費電流が増加する。このため、回転検出回路の閾値電圧を電源電圧から直接得ない場合は、基準電圧回路による消費電力の増加により、時計の消費電力の低消費化を十分に達成するのが困難となる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、時計用モータの回転状態を検出する基準となる閾値電圧の消費電流の増加を抑制することができる時計用モータの状態検出回路、時計、および時計用モータの状態検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る時計用モータの状態検出回路(10または10A)は、第1入力部(第1入力端子IN1または第2入力端子IN2)と第2入力部(第3入力端子IN3)とに入力される電圧を比較する比較回路(11または11A)と、状態検出期間(回転検出期間)は駆動パルス出力期間の後のモータ(30)の回転状態を検出する期間であり、前記駆動パルス出力期間において駆動パルスにより駆動される前記モータが有するロータ(31)の回転により生じる誘導起電圧を、前記状態検出期間に前記第1入力部に入力する検出回路(12または12A)と、電圧を発生する電源回路(15または15A)からの電圧に基づいて前記駆動パルス出力期間に設定され前記第2入力部に入力される閾値電圧を、前記状態検出期間において保持する保持回路(13または13A)と、を備え、前記電源回路は、少なくとも前記駆動パルス出力期間にオン状態に制御され、前記状態検出期間にオフ状態に制御される。
【0008】
また、本発明の一態様に係る時計用モータの状態検出回路において、前記保持回路は、前記駆動パルス出力期間に設定された前記閾値電圧を、前記状態検出期間において保持する容量素子(コンデンサC11)と、前記状態検出期間において前記閾値電圧を保持するように切り替える第1スイッチ(スイッチSW)と、により構成され、前記容量素子は、前記第2入力部に接続されるようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様に係る時計用モータの状態検出回路は、前記駆動パルス出力期間と前記状態検出期間とにおいて前記保持回路に入力される電圧を切り替える切替部(151)を有し、前記切替部により切り替えられた前記電圧により前記閾値電圧が設定される電源回路(15または15A)、を備えるようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様に係る時計用モータの状態検出回路において、前記検出回路は、基準電圧回路(14)を備え、前記基準電圧回路は、前記電源回路から出力される電圧を分圧する直列に接続される第1抵抗(抵抗Rref1)と第2抵抗(抵抗Rref2)と、前記第2抵抗と接地との間に接続される第2スイッチ(スイッチング素子Q7)と、を備え、前記第1抵抗と前記第2抵抗とによって分圧された電圧が前記保持回路に入力され、前記第2スイッチは、前記駆動パルス出力期間に前記第1抵抗と前記第2抵抗とによって分圧を行うように切り替わり、前記第1スイッチは、前記駆動パルス出力期間に前記閾値電圧を前記容量素子に充電するように切り替わるようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様に係る時計用モータの状態検出回路において、前記切替部は、前記駆動パルス出力期間に前記保持回路に出力する電圧を第1電圧値の電圧に切り替え、前記駆動パルス出力期間と前記状態検出期間との間の電圧切替期間に前記保持回路に出力する電圧を第1電圧値より低い電圧値の第2電圧値の電圧に切り替え、前記第1スイッチは、前記駆動パルス出力期間と前記電圧切替期間に前記電源回路が出力する電圧を前記容量素子に充電するように切り替わり、前記状態検出期間に前記第2電圧値の前記保持回路に出力するようにしてもよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る時計用モータの状態検出回路(10または10A)は、ロータを駆動する駆動パルスを出力する駆動パルス出力期間と、前記駆動パルス出力期間において前記駆動パルスにより駆動される前記ロータの回転により生じる誘導起電圧を検出することで前記ロータの回転状態を検出する状態検出期間と、を制御する制御部(16、16A)と、前記駆動パルスを生成する電圧を供給する電源回路であって、前記駆動パルスの生成期間にオン状態に制御され、前記状態検出期間にオフ状態に制御される電源回路(15、15A)と、を備える。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る時計は、上記のいずれか1つの時計用モータの状態検出回路(10または10A)と、指針(50)と、を備える。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る時計用モータの状態検出方法は、電圧を発生する電源回路と、第1入力部と第2入力部とを有する比較回路と、を有する時計用モータの状態検出回路における時計用モータの状態検出方法であって、状態検出期間は、駆動パルス出力期間の後の前記時計用モータの回転状態を検出する期間であり、検出回路が、前記駆動パルス出力期間において駆動パルスにより駆動される前記時計用モータが有するロータの回転により生じる誘導起電圧を、前記状態検出期間に前記第1入力部に入力する検出ステップと、保持回路が、前記電源回路からの電圧に基づいて前記駆動パルス出力期間に設定され前記第2入力部に入力される閾値電圧を、前記状態検出期間において保持する保持ステップと、比較回路が、前記第1入力部と前記第2入力部とに入力される電圧を比較する比較ステップと、を含み、前記電源回路は、少なくとも前記駆動パルス出力期間にオン状態に制御され、前記状態検出期間にオフ状態に制御される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、時計用モータの回転状態を検出する基準となる閾値電圧の消費電流の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る時計の概略構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る時計用モータの状態検出回路の構成例を示すブロック図である。
【
図3】モータの回転による誘導起電圧を説明するための図である。
【
図4】第1実施形態に係る時計用モータの状態検出回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図5】第2実施形態に係る時計の概略構成例を示すブロック図である。
【
図6】第2実施形態に係る時計用モータの状態検出回路の構成例を示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態に係る時計用モータの状態検出回路の動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態では、モータを駆動する駆動回路に電源電圧を供給し、モータの回転検出を行う際に用いる基準電圧をモータの駆動時に電源電圧から生成し、保持した基準電圧と誘導起電圧とを比較して回転検出を行う例を説明する。
【0020】
[時計1の構成]
図1は、本実施形態に係る時計1の概略構成例を示すブロック図である。時計1は、指針50を備えるアナログ時計である。
図1に示すように、時計1は、時計用モータの状態検出回路10、電池20、発振回路25、操作部27、モータ30、輪列40、および指針50を備えている。なお、時計1は、不図示のケース、風防、ベルト等も備える。また、
図1の示す例では、時計用モータの状態検出回路10の構成を簡易に説明するために、モータ30と輪列40と指針50が1組の例を示したが、モータ30と輪列40と指針50の組は、時計1が備える指針50の数に応じた個数である。
【0021】
時計用モータの状態検出回路10は、比較回路11、検出回路12、保持回路13、基準電圧回路14、電源回路15、および制御部16を備える。なお、時計用モータの状態検出回路10の構成については、
図2を用いて後述する。時計用モータの状態検出回路10は、発振回路25が出力する分周された信号を用いて、モータ30の回転制御を行う。また、時計用モータの状態検出回路10は、主駆動パルスの出力の期間に基準電圧回路14が生成した基準電圧を保持し、モータ30の回転検出の期間{以下、回転検出期間(状態検出期間)ともいう}、保持した基準電圧と誘導起電圧とを比較してモータ30の回転状態の検出を行う。なお、主駆動パルス、基準電圧、回転検出期間、誘導起電圧等については後述する。
【0022】
電池20は、例えばボタン電池、二次電池である。電池20は、蓄電されている電力を時計用モータの状態検出回路10の各部へ供給する。なお、電池20は、太陽電池と二次電池であってもよい。
【0023】
発振回路25は、振動子、分周回路を含む。発振回路25は、所定の周波数(例えば32768Hz)の信号を生成し、生成した所定の周波数の信号を所望の周波数(例えば1Hz)に分周する。発振回路25は、分周した信号を時計用モータの状態検出回路10に出力する。
【0024】
操作部27は、例えば竜頭、プッシュスイッチである。操作部27は、利用者の操作を検出し、検出した操作結果を時計用モータの状態検出回路10に出力する。
【0025】
モータ30は、例えばステッピングモータであり、ロータ31を備える。
輪列40は、少なくとも1つの歯車を含んで構成される。
指針50は、時針、分針または秒針等であり、不図示の支持体に回転可能に支持されている。
【0026】
[時計用モータの状態検出回路10の構成例]
ここで、時計用モータの状態検出回路10の構成を説明する。
図2は、本実施形態に係る時計用モータの状態検出回路10の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、時計用モータの状態検出回路10には、電池20、コンデンサC1、モータ30が接続されている。なお、
図2では、発振回路25と操作部27を省略して示している。
【0027】
なお、コンデンサC1は、駆動パルス出力時に電源回路15の出力電圧を安定化させる目的の電源間コンデンサである。
【0028】
時計用モータの状態検出回路10は、端子Tp1~Tp5を備える。
端子Tp1には、電池20の正極が接続されている。電池20の負極は接地されている。端子Tp2には、コンデンサC1の一端が接続されている。コンデンサC1の他端は、接地されている。端子Tp3には、モータ30の一端が接続されている。端子Tp4には、モータ30の他端が接続されている。端子Tp5は、接地されている。
【0029】
時計用モータの状態検出回路10は、
図1の構成に加え、さらに、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q4、およびスイッチング素子Q5を備える。スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q4、およびスイッチング素子Q5は、モータ30を駆動する駆動回路の構成要素でもある。
【0030】
制御部16は、端子Tp11~Tp21を備える。
検出回路12は、比較回路11、保持回路13、抵抗Rs00、抵抗Rs01、スイッチング素子Q3、およびスイッチング素子Q6を備える。
保持回路13は、スイッチSW(第1スイッチ)およびコンデンサC11(容量素子)を備える。
基準電圧回路14は、抵抗Rref1、抵抗Rref2、およびスイッチング素子Q7(第2スイッチ)を備える。
【0031】
電源回路15は、入力端子が端子Tp1に接続され、制御端子が制御部16の端子TP11に接続され、出力端子が端子Tp2とスイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q4のソースと抵抗Rref1の一端に接続されている。
【0032】
スイッチング素子Q1は、ゲートが制御部16の端子Tp13に接続され、ドレインが端子Tp3とスイッチング素子Q2のドレインと抵抗Rs00の一端と比較回路11の第1入力端子IN1(第1入力部)に接続されている。
【0033】
スイッチング素子Q2は、ゲートが制御部16の端子Tp14に接続され、ソースが接地されている。
【0034】
スイッチング素子Q4は、ゲートが制御部16の端子Tp12が接続され、ドレインが端子Tp4とスイッチング素子Q5のドレインと抵抗Rs01の一端と比較回路11の第2入力端子IN2(第1入力部)に接続されている。
【0035】
スイッチング素子Q5は、ゲートが制御部16の端子Tp15に接続され、ソースが接地されている。
【0036】
抵抗Rs00は、他端がスイッチング素子Q3のドレインに接続されている。
スイッチング素子Q3は、ゲートが制御部16の端子Tp21に接続され、ソースが接地されている。
【0037】
抵抗Rs01は、他端がスイッチング素子Q6のドレインに接続されている。
スイッチング素子Q6は、ゲートが制御部16の端子Tp19に接続され、ソースが接地されている。
【0038】
抵抗Rref1は、他端が抵抗Rref2の一端とスイッチSWの入力端に接続されている。
抵抗Rref2は、他端がスイッチング素子Q7のドレインに接続されている。
【0039】
スイッチング素子Q7は、ゲートが制御部16の端子Tp20に接続され、ソースが接地されている。
スイッチSWは、制御端子が制御部16の端子Tp18に接続され、出力端がコンデンサC11の一端と比較回路11の第3入力端子IN3(第2入力部)に接続されている。
コンデンサC11は、他端が接地されている。
【0040】
比較回路11は、制御端子が制御部16の端子Tp16に接続され、出力端子が制御部16の端子Tp17に接続されている。なお、比較回路11の第1入力端子IN1と第2入力端子IN2が第1入力部であり、比較回路11の第3入力端子IN3が第2入力部である。そして、比較回路11は、第1入力部に回転検出期間における誘導起電圧が入力され、第2入力部に保持回路13によって保持されている基準電圧が入力される。
【0041】
[時計用モータの状態検出回路10の動作]
まず、時計用モータの状態検出回路10が出力する制御信号と、入力される信号について説明する。
制御部16は、端子Tp11から電源回路15の動作を制御する制御信号VddmENを出力する。
【0042】
制御部16は、端子Tp12からスイッチング素子Q4のオン状態とオフ状態を制御する制御信号M01Pを出力する。
制御部16は、端子Tp13からスイッチング素子Q1のオン状態とオフ状態を制御する制御信号M00Pを出力する。
【0043】
制御部16は、端子Tp14からスイッチング素子Q2のオン状態とオフ状態を制御する制御信号M00Nを出力する。
制御部16は、端子Tp15からスイッチング素子Q5のオン状態とオフ状態を制御する制御信号M01Nを出力する。
【0044】
制御部16は、端子Tp16から比較回路11のオン状態とオフ状態を制御する制御信号CmpENを出力する。
制御部16の端子Tp17には、比較回路11から比較した結果の比較信号Vrが入力される。
【0045】
制御部16は、端子Tp18からスイッチSWのオン状態とオフ状態を制御する制御信号SH_ENを出力する。
制御部16は、端子Tp19からスイッチング素子Q6のオン状態とオフ状態を制御する制御信号RS01ENを出力する。
【0046】
制御部16は、端子Tp20からスイッチング素子Q7のオン状態とオフ状態を制御する制御信号Vref_ENを出力する。
制御部16は、端子Tp21からスイッチング素子Q3のオン状態とオフ状態を制御する制御信号RS00ENを出力する。
【0047】
電源回路15は、制御部16が出力する制御信号VddmENに応じて、電池20から供給された電圧VDDを用いて生成した電圧VDDMを生成し、生成した電圧VDDMをスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q4と基準電圧回路14に供給する。
【0048】
スイッチング素子Q2、Q3、Q5、Q6、Q7は、例えばNチャネルのFET(Field effect transistor;電界効果トランジスタ)である。また、スイッチング素子Q1、Q4は、例えばPチャネルのFETである。
【0049】
基準電圧回路14は、電源回路15から供給される電圧値がVDDMの電圧を抵抗Rref1と抵抗Rref2によって分圧することで、比較回路11が比較に用いる基準電圧を生成する。なお、基準電圧の電圧値は、電源回路15が出力する電圧を抵抗Rref1と抵抗Rref2によって分圧した電圧値であり、電池20の電圧の電圧値VDDより低い電圧値である。
【0050】
保持回路13は、例えばサンプル&ホールド回路である。保持回路13は、基準電圧回路14から供給された基準電圧をスイッチSWがオン状態の期間にコンデンサC11に充電し、回転検出期間にコンデンサC11によって基準電圧を保持する。
【0051】
比較回路11は、第1入力端子(+)の電圧値と、第3入力端子(-)に入力される基準電圧の電圧値とを比較し、比較した比較信号Vrを生成する。または、比較回路11は、第2入力端子(+)の電圧値と、第3入力端子(-)に入力される基準電圧の電圧値とを比較し、比較した比較信号Vrを生成する。比較回路11は、生成した比較信号Vrを制御部16の端子Tp17に出力する。
【0052】
検出回路12は、モータ30の回転状態を検出し、検出した結果を示す比較信号Vrを制御部16の端子Tp17に出力する。なお、モータ30の回転状態とは、回転が正常に行われた回転状態、回転が正常に行われたが負荷が小さかった回転状態(駆動に余裕が有る回転状態)、回転が正常に行われたが負荷が大きかった回転状態(駆動に余裕が少ない回転状態)、回転が正常に行われなかった状態(非回転状態)等である。
【0053】
[モータ30の回転状態の検出]
次に、モータ30の回転状態の検出手法の一例を説明する。
図3は、モータ30の回転による誘導起電圧を説明するための図である。なお、
図3において、符号P1は主駆動パルスP1(駆動パルス)を示す。符号T1は、検出区間における1番目の区間T1を示す。符号T2は、検出区間における2番目の区間T2を示す。符号T3は、検出区間における3番目の区間T3を示す。なお、波形g201~g204は、モータ30に供給される駆動信号M00がパルス信号の例であり、この駆動信号と比較回路11の第1入力端子または第2入力端子に入力される信号とを模式的に合わせて示した波形である。また、符号Vcompは、基準電圧である。また、
図3において、回転起動に示す図は、モータ30が備えるロータ31の回転状態を模式的に表している。なお、
図3は、VssをGND基準として示している。なお、制御部16は、符号g211で囲んだ領域の区間T1~T3のスイッチング素子Q7の出力と、符号g211で囲んだ領域の負荷の状態や回転状態を対応付けて記憶している。
【0054】
モータ30にかかっている負荷が通常の場合(通常負荷)、波形g201に示すように、区間T2のときに、誘導起電圧信号VRsが基準電圧Vcomp以上である。このため、比較回路11の出力は、区間T1のときが「0」、区間T2のときが「1」、区間T3のときが「-」である。なお、「-」は、「0」であっても「1」であってもよいことを表している。
【0055】
モータ30にかかっている負荷が通常負荷よりも小さい場合(負荷小)、波形g202に示すように、区間T1と区間T2のときに、誘導起電圧信号VRsが基準電圧Vcomp以上である。このため、比較回路11の出力は、区間T1のときが「1」、区間T2のときが「1」、区間T3のときが「-」である。
【0056】
モータ30にかかっている負荷が通常負荷よりも大きい場合(負荷大)、波形g203に示すように、区間T1と区間T3のときに、誘導起電圧信号VRsが基準電圧Vcomp以上である。このため、比較回路11の出力は、区間T1のときが「-」、区間T2のときが「0」、区間T3のときが「1」である。
【0057】
モータ30が回転できていない場合(非回転)、波形g204に示すように、区間T1のときに、誘導起電圧信号VRsが基準電圧Vcomp以上である。このため、比較回路11の出力は、区間T1のときが「-」、区間T2のときが「0」、区間T3のときが「0」である。
なお、制御部16は、主駆動パルスP1で駆動したとき、回転検出期間において非回転の状態が検出された場合、主駆動パルスP1と同極性の補正駆動パルスP2で回転駆動するように制御する。
【0058】
すなわち、
図3に示したように比較回路11の区間T1~T3の出力の組み合わせによって、モータ30の負荷の状態や、非回転状態を検出することができる。
なお、
図3に示した波形や検出区間T1~T3や基準電圧Vcomp等は一例であり、回転検出手法はこれに限らない。回転検出には、例えば、特許文献(特開2010-29057号公報、特開2011-155828号公報、特開2014-54107号公報、特開2016-187304号公報等)に記載されている手法を用いてもよい。
【0059】
[タイミングチャート]
次に、時計用モータの状態検出回路10の動作例を、
図2を参照しつつ
図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係る時計用モータの状態検出回路10の動作例を示すタイミングチャートである。
図3において、横軸は時刻、縦軸は各信号のレベルを表す。また、時刻t4~t5の期間は、モータ30の回転検出期間である。また、符号Hはハイレベルを表し、電圧値は例えば電池20から供給されるVDD(V)である。また、符号Lはローレベルを表し、0(V)である。
【0060】
また、波形g1は、時計用モータの状態検出回路10の端子Tp3からモータ30に供給される駆動信号M00を表す。なお、波形g1において、符号P1は、主駆動パルスを表し、符号P2は、補正駆動パルスを表す。なお、主駆動パルスP1や補正駆動パルスP2の生成およびこれらの駆動パルスによる効果については、例えば特公昭63-18148号公報、特公昭63-18149号公報や特公昭57-18440号公報に詳しく記載されているので、その説明は省略する。
【0061】
波形g2は、制御部16の端子Tp21からスイッチング素子Q3に出力される制御信号RS00ENを表す。
【0062】
波形g3は、制御部16の端子Tp14からスイッチング素子Q2に出力される制御信号M00Nを表す。
波形g4は、制御部16の端子Tp11から電源回路15に出力される制御信号VddmENを表す。
【0063】
波形g5は、制御部16の端子Tp18からスイッチSWに出力される制御信号SH_ENを表す。
波形g6は、制御部16の端子Tp20からスイッチング素子Q7に出力される本実施形態の制御信号Vref_ENを表す。
【0064】
波形g7は、スイッチング素子Q7に出力される比較例の制御信号Vref_EN(比較例)を表す。なお、波形g7の動作については、比較例で説明する。
波形g8は、制御部16の端子Tp16から比較回路11に出力される制御信号CmpENを表す。
【0065】
波形g9は、比較回路11の第1入力端子に入力される信号Cmp(+)を表す。なお、波形g9は、検出された信号の一例をしている。
波形g10は、比較回路11の第3入力端子に入力される信号Cmp(-)を表す。
【0066】
時刻t1のとき、制御部16は、電源回路15をオン状態に制御するように、制御信号VddmENをLレベルからHレベルに切り替える。これにより、時刻t1のとき電源回路15が起動する。なお、電源回路15をオン状態にするタイミングは、主駆動パルスP1を発生開始する前である。また、電源回路15をオフ状態にするタイミングは、主駆動パルスP1の発生を終了した時または終了した後である。
【0067】
時刻t2のとき、制御部16は、主駆動パルスP1の出力を開始する。具体的には、制御部16は、スイッチング素子Q4に出力する制御信号M01PをHレベルに制御し、スイッチング素子Q1に出力する制御信号M00PをLレベルに制御する。また、制御部16は、スイッチング素子Q2に出力する制御信号M00NをHレベルからLレベルに制御し、スイッチング素子Q5に出力する制御信号M01NをHレベルに制御する。これにより、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q5がオン状態になり、スイッチング素子Q4とスイッチング素子Q2がオフ状態になり、主駆動パルスP1が出力される。
【0068】
本実施形態では、時刻t3~t4の処理により、主駆動パルスP1の出力時に基準電圧回路14を動作させて保持回路13のコンデンサC11に閾値電圧を充電させている(保持させている)。これにより、波形g10に示すように、比較回路11の第3入力端子に入力される電圧は、0(V)から基準電圧値に達する。なお、抵抗Rfef2とコンデンサC11の値の関係は、時刻t3~t4の期間に基準電圧値に達する時定数になる関係である。
【0069】
時刻t4のとき、制御部16は、主駆動パルスP1の出力を終了させ、それと同時に保持回路13をオフ状態に切り替え、基準電圧回路14をオフ状態に切り替え、電源回路15をオフ状態に切り替える。
具体的には、制御部16は、制御信号M01PをHレベルに制御し、スイッチング素子Q1に出力する制御信号M00PをHレベルに制御する。また、制御部16は、スイッチング素子Q2に出力する制御信号M00NをLレベルからHレベルに制御し、スイッチング素子Q5に出力する制御信号M01NをHレベルに制御する。これにより、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q5、スイッチング素子Q4、およびスイッチング素子Q2がオフ状態になる。
【0070】
続けて、制御部16は、回転検出を行うために、端子Tp21が出力する制御信号RS00ENを時刻t4から時刻t5までHレベルに制御する。また、制御部16は、時刻t4~t5の回転検出期間、制御信号M00Nのオン状態とオフ状態との切り替えを波形g3のように繰り返す。このように、制御部16は、スイッチング素子Q2を所定のタイミングでオン状態とオフ状態を切り替えてハイインピーダンスの状態になるように制御する。本実施形態では、このようにスイッチング素子をハイインピーダンスの状態にすることで、モータ30に発生する誘導起電圧を取得することができる。さらに、制御部16は、回転検出期間に比較回路11をオン状態にするように、制御信号CmpENのオン状態とオフ状態との切り替えを波形g8のように繰り返す。なお、制御信号M00NがLレベルの期間は、制御信号CmpENがHレベルの期間の少なくとも一部の期間である。
【0071】
また、時刻t4のとき、制御部16は、制御信号SH_ENをHレベルからLレベルに切り替えることで、保持回路13を保持状態に切り替える。また、制御部16は、制御信号Vref_ENをHレベルからLレベルに切り替えることで、基準電圧回路14をオフ状態にする。また、制御部16は、制御信号VddmENをHレベルからLレベルに切り替えることで、電源回路15をオフ状態にする。
【0072】
時刻t4~t5の回転検出期間、比較回路11の第1入力端子には、モータ30の回転状態によって発生する誘導起電圧が入力される(入力ステップ)。また、時刻t4~t5の回転検出期間、保持回路13は、コンデンサC11に充電された電圧を基準電圧(閾値電圧)として保持する(保持ステップ)。さらに、時刻t4~t5の回転検出期間、比較回路11の第3入力端子には、保持回路13によって保持された基準電圧が入力される。
時刻t4~t5の回転検出期間、比較回路11は、誘導起電圧と基準電圧との比較を行い、比較した結果に基づいて、比較信号Vrを生成する(比較ステップ)。具体的には、比較回路11は、誘導起電圧が基準電圧以上の場合にHレベルの比較信号Vrを制御部16に出力する。
【0073】
制御部16は、時刻t4~t5の回転検出期間、上述した区間T1~T3における比較回路11が出力する比較信号Vrに基づいて、モータ30の回転状態を検出する。
【0074】
時刻t5のとき、制御部16は、所定時間後に回転検出の動作を終了させる。具体的には、制御部16は、制御信号RS00ENをHレベルからLレベルに切り替え、制御信号M00Nのオン状態とオフ状態との切り替えを終了し、制御信号CmpENのオン状態とオフ状態との切り替えを終了する。
【0075】
モータ30が非回転であったと判定した場合、制御部16は、補正駆動パルスP2を出力する。このため、モータ30が回転した状態であったと判定した場合、制御部16は、補正駆動パルスP2を出力しない。
【0076】
時刻t6~t8の期間の動作は、モータ30が非回転であったと判定した場合の動作である。
時刻t6のとき、制御部16は、制御信号VddmENをLレベルからHレベルに切り替えることで、電源回路15をオン状態にする。なお、電源回路15をオン状態にするタイミングは、補正駆動パルスP2を発生開始する前である。また、電源回路15をオフ状態にするタイミングは、補正駆動パルスP2の発生を終了した時または終了した後である。
【0077】
時刻t7~t8の期間、制御部16は、補正駆動パルスP2を出力する。具体的には、制御部16は、時刻t7~t8の期間、制御信号M00NをLレベルに制御し、制御信号M01PをHレベルに制御し、制御信号M00PをLレベルに制御し、制御信号M01NをHレベルに制御する。
【0078】
時刻t8のとき、制御部16は、制御信号VddmENをHレベルからLレベルに切り替えることで、電源回路15をオフ状態にする。また、制御部16は、制御信号M00NをLレベルからHレベルに切り替える。さらに、制御部16は、制御信号M01PをHレベルに制御し、制御信号M00PをHレベルに制御し、制御信号M01NをHレベルに制御する。
【0079】
[比較例]
ここで、比較例における制御信号Vref_EN(比較例)の制御例を、
図4を用いて説明する。
比較例の場合、波形g7に示すように、回転検出を行う時刻t4~t5の期間、制御部16は、制御信号Vref_EN(比較例)をHレベルにする。すなわち、比較例では、回転検出期間に基準電圧回路14で電流が消費されていた。このような処理が従来の回転検出期間に行われていた。または、従来は、回転検出期間、制御信号M00Nと同様に、制御信号Vref_EN(比較例)もHレベルとLレベルを間欠的に動作させていた。この場合であっても、回転検出期間、基準電圧回路14で電流が消費されていた。
【0080】
一方、本実施形態では、
図4の波形g6のように、回転検出期間、制御信号Vref_ENがLレベルのままである。この結果、本実施形態では、回転検出期間、基準電圧回路14で電流が消費されない。すなわち、本実施形態では、主駆動パルスP1の出力中のみ基準電圧回路14が動作し、回転検出期間に基準電圧回路14が動作していないため、低消費化が可能となった。なお、本実施形態では、回転検出期間、上述したように、コンデンサC11に充電した電圧を用いて基準電圧を生成している。
【0081】
以上のように、本実施形態では、主駆動パルスP1を出力している間に保持回路13によって基準電圧を保持させる。そして、本実施形態では、主駆動パルスP1出力後に基準電圧回路14をオフ状態にして、保持回路13によって保持されている基準電圧と誘導起電圧とを比較回路11が比較してモータ30の回転検出を行うにした。
これにより、本実施形態によれば、モータ30の回転状態を検出する基準となる閾値電圧(基準電圧)を電源電圧から直接得ない場合であっても、消費電流の増加を抑制することができる。
【0082】
<第2実施形態>
第2実施形態では、モータを駆動する際、駆動回路に電源電圧を供給し、さらに、電源電圧より低い定電圧を保持し、モータの回転検出を行う際、保持した定電圧と誘導起電圧とを比較して回転検出を行う例を説明する。
【0083】
[時計1Aの構成]
図5は、本実施形態に係る時計1Aの概略構成例を示すブロック図である。時計1Aは、指針50を備えるアナログ時計である。
図5に示すように、時計1Aは、時計用モータの状態検出回路10A、電池20、発振回路25、操作部27、モータ30、輪列40、および指針50を備えている。なお、時計1は、不図示のケース、風防、ベルト等も備える。なお、時計1と同様の機能を有する機能部には、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0084】
時計用モータの状態検出回路10Aは、比較回路11A、検出回路12A、保持回路13A、電源回路15A、および制御部16Aを備える。また、電源回路15Aは、切替部151を備える。
【0085】
時計用モータの状態検出回路10Aは、発振回路25が出力する分周された信号を用いて、モータ30の回転制御を行う。また、時計用モータの状態検出回路10Aは、主駆動パルスの出力の期間に電源回路15Aが生成した電源電圧(例えば電池20の電圧値VDD)より低い電圧の定電圧を保持し、モータ30の回転検出期間、保持した定電圧と誘導起電圧とを比較してモータ30の回転状態の検出を行う。
【0086】
[時計用モータの状態検出回路10Aの構成例]
図6は、本実施形態に係る時計用モータの状態検出回路10Aの構成例を示すブロック図である。時計用モータの状態検出回路10と同様の機能を有する機能部には、同じ符号を用いて説明を省略する。
図6に示すように、時計用モータの状態検出回路10Aには、電池20、コンデンサC1、モータ30が接続されている。なお、
図6では、発振回路25(
図1)と操作部27(
図1)を省略して示している。また、時計用モータの状態検出回路10Aは、端子Tp1~Tp5を備える。
【0087】
時計用モータの状態検出回路10Aは、
図5の構成に加え、さらに、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q4、およびスイッチング素子Q5を備える。
制御部16Aは、端子Tp11~Tp19、Tp21、およびTp31を備える。
検出回路12Aは、比較回路11A、保持回路13A、抵抗Rs00、抵抗Rs01、スイッチング素子Q3、およびスイッチング素子Q6を備える。
保持回路13Aは、スイッチSW(第1スイッチ)およびコンデンサC11を備える。
電源回路15Aは、切替部151を備える。
【0088】
電源回路15Aは、入力端子が端子Tp1に接続され、第1の制御端子が制御部16Aの端子TP11に接続され、第2の制御端子が制御部16Aの端子TP31に接続され、出力端子が端子Tp2とスイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q4のソースとスイッチSWの入力端に接続されている。
【0089】
スイッチング素子Q1は、ゲートが制御部16Aの端子Tp13に接続され、ドレインが端子Tp3とスイッチング素子Q2のドレインと抵抗Rs00の一端と比較回路11Aの第1入力端子IN1(第1入力部)に接続されている。
【0090】
スイッチング素子Q2は、ゲートが制御部16Aの端子Tp14に接続され、ソースが接地されている。
【0091】
スイッチング素子Q4は、ゲートが制御部16Aの端子Tp12が接続され、ドレインが端子Tp4とスイッチング素子Q5のドレインと抵抗Rs01の一端と比較回路11Aの第2入力端子IN2(第1入力部)に接続されている。
【0092】
スイッチング素子Q5は、ゲートが制御部16Aの端子Tp15に接続され、ソースが接地されている。
【0093】
抵抗Rs00は、他端がスイッチング素子Q3のドレインに接続されている。
スイッチング素子Q3は、ゲートが制御部16Aの端子Tp21に接続され、ソースが接地されている。
【0094】
抵抗Rs01は、他端がスイッチング素子Q6のドレインに接続されている。
スイッチング素子Q6は、ゲートが制御部16Aの端子Tp19に接続され、ソースが接地されている。
【0095】
スイッチSWは、制御端子が制御部16Aの端子Tp18に接続され、出力端がコンデンサC11の一端と比較回路11Aの第3入力端子IN3(第2入力部)に接続されている。
コンデンサC11は、他端が接地されている。
【0096】
[時計用モータの状態検出回路10Aの動作]
制御部16Aの端子と制御部16と端子の差異は、制御部16Aが端子Tp20を備えていず、端子Tp31を備えている点である。
制御部16Aは、端子Tp31から電源回路15Aから出力する電圧を、電源回路15Aの電源電圧(例えば電池20の電圧値VDD)と、電源電圧より低い定電圧とを切り替える制御信号BU_SWを出力する。制御信号BU_SWは、例えばLレベルの期間に電源電圧を出力し、Hレベルの期間に定電圧を出力する指示である。
【0097】
電源回路15Aは、制御部16Aが出力する制御信号VddmENに応じて、オン状態とオフ状態が切り替わる。
切替部151は、制御部16Aが出力する制御信号BU_SWに応じて、出力する電圧値を電源電圧と、電源電圧より低い電圧の定電圧とに切り替える。これにより、電源回路15Aは、制御信号BU_SWが例えばLレベルのとき電源電圧を出力し、制御信号BU_SWが例えばHレベルのとき定電圧を出力する。
【0098】
[タイミングチャート]
次に、時計用モータの状態検出回路10の動作例を、
図6を参照しつつ
図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態に係る時計用モータの状態検出回路10Aの動作例を示すタイミングチャートである。
図7において、横軸は時刻、縦軸は各信号のレベルを表す。また、時刻t14~t15の期間が、回転検出期間である。
【0099】
波形g21は、制御部16Aの端子Tp31から電源回路15Aの第2制御端子に出力される制御信号BU_SWを表す。
波形g22は、時計用モータの状態検出回路10Aの端子Tp2に供給される電圧波形である。
【0100】
時刻t11のとき、制御部16Aは、電源回路15Aをオン状態に制御するように、制御信号VddmENをLレベルからHレベルに切り替える。これにより、時刻t11のとき電源回路15Aが起動する。なお、電源回路15Aをオン状態にするタイミングは、主駆動パルスP1を発生開始する前である。また、電源回路15Aをオフ状態にするタイミングは、主駆動パルスP1の発生を終了した時または終了した後、かつ制御信号BU_SWを含む期間である。また、時刻t11のとき、制御部16Aは、制御信号SH_ENをLレベルからHレベルに切り替える。この結果、波形g22に示すように、電圧VDDMが0(V)から電源電圧(VDD)に向かって増加していく。また、これに伴い比較回路11Aの第3入力端子の電圧も0(V)から電源電圧(VDD)に向かって増加していく。
【0101】
時刻t12のとき、制御部16Aは、主駆動パルスP1の出力を開始する。具体的には、制御部16Aは、制御信号M01PをHレベルに制御し、制御信号M00PをLレベルに制御し、制御信号M00NをHレベルからLレベルに制御し、制御信号M01NをHレベルに制御する。すなわち、制御部16Aは、主駆動パルスP1を電源電圧(VDD)を用いてモータ30を駆動する。
【0102】
時刻t13のとき、制御部16Aは、主駆動パルスP1の出力を終了させ、それと同時に制御信号BU_SWをLレベルからHレベルに切り替える。
具体的には、制御部16Aは、制御信号M00PをHレベルに制御し、制御信号M01PをHレベルに制御し、制御信号M00NをHレベルに制御し、制御信号M01NをHレベルに制御する。
また、時刻t13のとき、制御部16Aは、制御信号RS00ENをLレベルからHレベルに切り替え、制御信号M00Nのオン状態とオフ状態との切り替えを波形g3のように繰り返す。なお、制御部16Aは、回転検出期間の終了のタイミングである時刻t15まで制御信号RS00ENのHレベルを維持する。
【0103】
時刻t14のとき、制御部16Aは、制御信号BU_SWをHレベルからLレベルに切り替え、制御信号VddmENをHレベルからLレベルに切り替え、制御信号SH_ENをHレベルからLレベルに切り替える。時刻t11~t14の期間にコンデンサC11に充電される。
これにより、保持回路13Aには、時刻t11~t13の期間に電源電圧(VDD)が供給され、時刻t13~t14の期間に定電圧が供給される。この結果、コンデンサC11に充電された電圧値が電源電圧(VDD)から定電圧(VD1)に減少する。この結果、比較回路11Aの第3入力端子の電圧も、時刻t11~t12の期間に0(V)から電源電圧(VDD)に増加し、時刻t13~t14の期間に電源電圧(VDD)から電圧VD1(定電圧)に向かって減少していく。
【0104】
時刻t14~t15の回転検出期間、比較回路11Aの第1入力端子には、モータ30の回転状態によって発生する誘導起電圧が入力される(入力ステップ)。また、時刻t14~t15の回転検出期間、保持回路13Aは、コンデンサC11に充電された定電圧(閾値電圧)を保持する(保持ステップ)。さらに、時刻t14~t15の回転検出期間、比較回路11Aの第3入力端子には、保持回路13Aによって保持された基準電圧(閾値電圧;電圧VD1(定電圧))が入力される。
時刻t14~t15の回転検出期間、比較回路11Aは、誘導起電圧と定電圧との比較を行い、比較した結果に基づいて、比較信号Vrを生成する(比較ステップ)。具体的には、比較回路11Aは、誘導起電圧が定電圧以上の場合にHレベルの比較信号Vrを制御部16Aに出力する。
【0105】
制御部16Aは、時刻t14~t15の回転検出期間、上述した区間T1~T3における比較回路11Aが出力する比較信号Vrに基づいて、モータ30の回転状態を検出する。なお、回転検出期間である電源回路15がオフ状態の期間、波形g22に示すように、電源電圧(VDD)より低い定電力が供給される。なお、時刻t13~t14の期間を、電圧切替期間という。
【0106】
時刻t15のとき、制御部16Aは、所定時間後に回転検出の動作を終了させる。具体的には、制御部16Aは、制御信号RS00ENをHレベルからLレベルに切り替え、制御信号M00Nのオン状態とオフ状態との切り替えを終了し、制御信号CmpENのオン状態とオフ状態との切り替えを終了する。
【0107】
モータ30が非回転であったと判定した場合、制御部16Aは、補正駆動パルスP2を出力する。このため、モータ30が回転した状態であったと判定した場合、制御部16Aは、補正駆動パルスP2を出力しない。
【0108】
時刻t16~t18の期間の動作は、モータ30が非回転であったと判定した場合の動作である。
時刻t16のとき、制御部16Aは、制御信号VddmENをLレベルからHレベルに切り替えることで、電源回路15Aをオン状態にする。これにより、時計用モータの状態検出回路10Aの端子Tp2の電圧が、定電圧から電源電圧(VDD)に増加する。すなわち、制御部16Aは、補正駆動パルスP2を電源電圧(VDD)を用いてモータ30を駆動する。なお、電源回路15Aをオン状態にするタイミングは、補正駆動パルスP2を発生開始する前である。また、電源回路15Aをオフ状態にするタイミングは、補正駆動パルスP2の発生を終了した時または終了した後である。
【0109】
時刻t17~t18の期間、制御部16Aは、補正駆動パルスP2を出力する。具体的には、制御部16Aは、時刻t17~t18の期間、制御信号M00NをLレベルに制御し、制御信号M00PをLレベルに制御し、制御信号M01PをHレベルに制御し、制御信号M01NをHレベルに制御する。
【0110】
時刻t18のとき、制御部16Aは、制御信号VddmENをHレベルからLレベルに切り替えることで、電源回路15Aをオフ状態にする。また、制御部16Aは、制御信号M01PをHレベルに制御し、制御信号M00PをHレベルに制御し、制御信号M00NをHレベルに制御し、制御信号M01NをHレベルに制御する。
【0111】
このように、本実施形態では、制御信号BU_SWにより電源回路15Aの出力電圧を電源電圧(VDD)または電源電圧(VDD)よりも低い定電圧の出力とに切り替え可能な電源回路で構成した。また、本実施形態では、モータ駆動パルス出力時に電源電圧(VDD)で駆動を行い、回転検出を行う時に電源電圧(VDD)よりも低い定電圧出力とすることにより、検出回路12A用の基準電圧回路を電源回路15Aが内蔵する基準電圧回路を兼用化するようにした。また、本実施形態では、主駆動パルスP1を出力後、電源回路15Aがオン状態のときに出力電圧を電源電圧(VDD)から定電圧に切り替え、回転検出期間において定電圧が比較回路11Aの第3入力端子に供給される。
【0112】
これにより、本実施形態によれば、時計用モータの状態検出回路10の回路構成と比較して、基準電圧回路14を省くことができる。これにより、構成部品の削減を行うことができ、主駆動パルスP1の出力期間における基準電圧回路14の消費電力を低減することができる。
【0113】
なお、第1実施形態、第2実施形態では、モータ30を正方向に回転(以下、正転という)させる場合を例に説明したが、モータ30を逆方向に回転(以下、逆転という)させる場合にも適用することができる。
第1実施形態においてモータ30を逆転させる場合、制御部16は、主駆動パルスを出力している期間に制御信号SH_ENと制御信号Vref_ENをHレベルにして、基準電圧回路14によって分圧された基準電圧(閾値電圧)を保持回路13のコンデンサC11に充電する。そして、保持回路13Aは、回転検出期間に基準電圧を保持する。この場合も、制御部16は、回転検出期間に保持回路13が保持している基準電圧と誘導起電圧とを比較して回転状態を検出する。
また、第2実施形態においてモータ30を逆転させる場合、制御部16Aは、主駆動パルスを出力している期間と制御信号BU_SWがHレベルの期間に制御信号SH_ENをHレベルにして、電源回路15Aが出力する電源電圧と定電圧を保持回路13AのコンデンサC11に充電する。そして、保持回路13Aは、回転検出期間に定電圧を保持する。この場合も、制御部16Aは、回転検出期間に保持回路13Aが保持している定電圧と誘導起電圧とを比較して回転状態を検出する。
【0114】
なお、本発明における制御部16(または16A)の機能の全てまたは一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより制御部16(または16A)が行う処理の全てまたは一部を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0115】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0116】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0117】
1,1A…時計、10,10A…時計用モータの状態検出回路、20…電池、25…発振回路、27…操作部、30…モータ、40…輪列、50…指針、11,11A…比較回路、12,12A…検出回路、13,13A…保持回路、14…基準電圧回路、15,15A…電源回路、16,16A…制御部、151…切替部、Q1~Q7…スイッチング素子、C1,C11…コンデンサ、SW…スイッチ、Rref1,Rref2,Rs00,Rs01…抵抗