(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】ドレントラップ及びドレン配管
(51)【国際特許分類】
F24F 13/22 20060101AFI20220308BHJP
E03C 1/28 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
F24F1/0007 361B
E03C1/28 Z
F24F13/22 227
(21)【出願番号】P 2018039742
(22)【出願日】2018-03-06
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】花木 博章
(72)【発明者】
【氏名】宮道 智嗣
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-109194(JP,A)
【文献】実開平02-131122(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/22
E03C 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に沿って延びる筒状に形成されたトラップ本体と、
前記トラップ本体内に、前記トラップ本体の内周面から離間した状態で配置されたトラップ部と、
前記トラップ本体の上端部に設けられた縮径部と、
前記縮径部の上端部に設けられ、前記縮径部よりも外径が大きく、上下方向に沿って延びる断熱管が挿入される受け口と、
前記縮径部の外周面に配置された保温部と、
を備えるドレントラップ。
【請求項2】
前記保温部の熱伝導率は、前記縮径部の熱伝導率よりも小さい請求項1に記載のドレントラップ。
【請求項3】
前記保温部は、前記縮径部に対して着脱可能である請求項1又は2に記載のドレントラップ。
【請求項4】
前記保温部の外径と前記受け口の外径とは、互いに同等である請求項1から3のいずれか一項に記載のドレントラップ。
【請求項5】
前記トラップ本体の側面に形成された開口に着脱可能に取付けられて、前記開口を封止する蓋部と、
前記蓋部と前記トラップ部とを接続する連結部材と、
を備え、
前記縮径部の外径は、前記トラップ本体の上端部の外径よりも小さく、
前記トラップ部及び前記連結部材は、前記トラップ本体の前記開口を通して前記トラップ本体から取出し可能である請求項1から4のいずれか一項に記載のドレントラップ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のドレントラップと、
前記断熱管と、
を備えるドレン配管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレントラップ及びドレン配管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調装置で発生したドレン水(凝縮水)を排出するためのドレン配管の縦管路部に、ドレントラップが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
ドレントラップは、トラップ本体と、トラップ部と、上部受け口(受け口)と、を備えている。トラップ本体は、上下方向に沿って延びる円筒状に形成されている。トラップ部は、トラップ本体内に配置される。トラップ部は、ドレン水による結露防止のために、トラップ本体の内周面から離間した状態で配置されている。
上部受け口は、トラップ本体の上端部に設けられている。上部受け口内には、通常の排水管が挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように構成されたドレントラップにおいて、排水管に比べて熱伝導率が小さい断熱管を上部受け口に挿入可能にすることが検討されている。断熱管を用いることにより、断熱管の外周面にさらに断熱材を設ける必要がなくなり、配管作業を効率的に行うことができる。
断熱管は、排水管に比べて熱を径方向に伝達しにくくするために、内径を維持しつつ、外径を大きくしている。断熱管が挿入される上部受け口は、外径が大きくなる。
この場合、トラップ本体内に配置したトラップ部を上部受け口と液密に接続するため、及び、外径が大きいトラップ本体と上部受け口とを接続するために、上部受け口よりも外径が小さい縮径部を設ける場合がある。
【0005】
トラップ本体において上下方向でドレン水が溜まるトラップ部に対応する部分は、トラップ本体の内周面から離間しているため、ドレン水が冷たくてもトラップ本体の外周面が結露しにくい。トラップ本体の上部受け口は、断熱管が挿入されるため外周面が結露しにくい。しかしながら、本願の発明者らは、縮径部の外周面が結露することを見出した。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、縮径部の外周面が結露するのを抑制したドレントラップ、及びこのドレントラップを備えるドレン配管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のドレントラップは、上下方向に沿って延びる筒状に形成されたトラップ本体と、前記トラップ本体内に、前記トラップ本体の内周面から離間した状態で配置されたトラップ部と、前記トラップ本体の上端部に設けられた縮径部と、前記縮径部の上端部に設けられ、前記縮径部よりも外径が大きく、上下方向に沿って延びる断熱管が挿入される受け口と、前記縮径部の外周面に配置された保温部と、を備える
この発明によれば、ドレン水よりも温度の高い外気が、縮径部の外周面に接触しにくくなるため、外気が冷却されて露点に達し、縮径部の外周面が結露するのを抑制することができる。
本発明のドレントラップを空調装置に適用した場合、空調装置で発生したドレン水の温度が比較的低いことが考えられるため、上記効果が顕著に奏功される。
【0008】
また、上記のドレントラップにおいて、前記保温部の熱伝導率は、前記縮径部の熱伝導率よりも小さくてもよい。
この発明によれば、保温部は縮径部よりも熱を伝達しにくいため、縮径部の外周面が結露するのを効果的に抑制することができる。
【0009】
また、上記のドレントラップにおいて、前記保温部は、前記縮径部に対して着脱可能であってもよい。
この発明によれば、保温部を備えないドレントラップに、保温部を後付けすることができる。
【0010】
また、上記のドレントラップにおいて、前記保温部の外径と前記受け口の外径とは、互いに同等であってもよい。
この発明によれば、保温部がドレントラップの周囲の部材に干渉するのを抑えることができる。
【0011】
また、上記のドレントラップにおいて、前記トラップ本体の側面に形成された開口に着脱可能に取付けられて、前記開口を封止する蓋部と、前記蓋部と前記トラップ部とを接続する連結部材と、を備え、前記縮径部の外径は、前記トラップ本体の上端部の外径よりも小さく、前記トラップ部及び前記連結部材は、前記トラップ本体の前記開口を通して前記トラップ本体から取出し可能であってもよい。
この発明によれば、ドレントラップを使用しているときには、トラップ本体の開口は蓋部により封止されていて、開口から外部にドレン水が漏れない。一方で、ドレントラップを使用していないときには、トラップ部をトラップ本体から外部に取出して、トラップ部を洗浄する等のメンテナンスを行うことができる。
【0012】
また、本発明のドレン配管は、上記のいずれかに記載のドレントラップと、前記断熱管と、を備えることを特徴としている。
この発明によれば、縮径部の外周面が結露するのを抑制したドレントラップを用いてドレン配管を構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のドレントラップ及びドレン配管によれば、縮径部の外周面が結露するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態のドレン配管における構成の概要を示す斜視図である。
【
図2】同ドレン配管のドレントラップを側面視した断面図である。
【
図4】同ドレントラップのトラップ部を側面視した断面図である。
【
図5】同トラップ部からドレンが流れ出る状態を説明する断面図である。
【
図7】同ドレントラップからトラップユニットを引き出した状態を説明する側面視した断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態の変形例におけるドレントラップを側面視した断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態の変形例におけるドレントラップを側面視した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るドレントラップの一実施形態が用いられる建築物を、
図1から
図9を参照しながら説明する。
図1に示すように、集合住宅やオフィスビルディング等の建築物1には、各階に複数の空調装置11が設置されている。これら複数の空調装置11で発生したドレン水Wを排出するために、本実施形態のドレン配管12が設置されている。ドレン配管12は、同一階に設置された単数又は複数の空調装置11からのドレン水Wを集めるための横管路部13と、各階の横管路部13からのドレン水Wを集めて下方に流すための縦管路部14と、を備えている。
【0016】
横管路部13は、水平面に沿って延びている。縦管路部14は、上下方向に沿って延びている。本実施形態では、例えば、横管路部13及び縦管路部14は、
図2に示す断熱管15を、図示しない連結管で接続して構成されている。例えば、断熱管15は、内層管15aと、発泡樹脂層15bと、スキン層15cと、を備えている。内層管15aは、硬質の塩化ビニル樹脂により形成されている。発泡樹脂層15bは、内層管15aの外周面に円筒状に設けられている。スキン層15cは、発泡樹脂層15bの外周面に設けられている。断熱管15は、発泡樹脂層15b内の気体により、発泡樹脂層15bを備えない通常の排水管に比べて、熱伝導率が小さい。
なお、
図1に示すように、横管路部13と縦管路部14とは、管継手18を用いて接続されている。
【0017】
縦管路部14には、本実施形態のドレントラップ21が設けられている。ドレントラップ21は、臭気の逆流や、外部からの虫等の侵入を防止するために設けられている。また、横管路部13の開放側の端部、及び縦管路部14の上端部には、必要に応じて通気弁20が設けられている。
次に、ドレントラップ21の構造の詳細について説明する。
【0018】
図2及び
図3に示すように、ドレントラップ21は、トラップ本体22と、蓋部23と、トラップ部24と、縮径部25と、上部受け口(受け口)26と、保温部27と、を備えている。なお、蓋部23、トラップ部24、及び後述する連結部材34で、トラップユニット28を構成する。上部受け口26、縮径部25、及びトラップ本体22は、上方から下方に向かって、上部受け口26、縮径部25、及びトラップ本体22の順で配置されている。
トラップ本体22は、上下方向に沿って延びる円筒状に形成されている。トラップ本体22の上端部には、トラップ本体22の他の部分の外径、内径よりも外径、内径がそれぞれ大きい拡径部22cが設けられている。
【0019】
トラップ本体22の側面には、トラップ本体22をトラップ本体22の径方向(以下、単に径方向と言う)に貫通する開口22aが形成されている。径方向は、水平面に沿う方向である。
例えば、開口22aは、開口22aに対向するように径方向に見たトラップ本体22の側面視で、円形状に形成されている。トラップ本体22における開口22aの周縁部には、雌ネジ22bが形成されている。雌ネジ22bの一部は、後述する上部連結片45にも形成されている。
なお、トラップ本体22は、角筒状等に形成されてもよい。
【0020】
蓋部23は、有底の円筒状に形成されている。蓋部23の周壁部の外周面には、雄ネジ23aが形成されている。蓋部23の底壁部には、蓋部23の径方向外側に突出した係合部23bが設けられている。蓋部23は、底壁部が径方向内側を向くように配置され、雄ネジ23aがトラップ本体22の雌ネジ22bに嵌め合っている。
蓋部23は、トラップ本体22の開口22aにネジ嵌合により着脱可能に取付けられて、トラップ本体22の開口22aを封止している。
【0021】
トラップ部24は、トラップ本体22内に、トラップ本体22の内周面から離間した状態で配置されている。
図2及び
図4に示すように、トラップ部24は、シリコーンゴム等の柔軟な材料で形成された漏斗状の受け容器である。トラップ部24は、トラップ本体22の開口22aを通過可能である。トラップ部24は、口部材31と、一対の弾性膜32,33と、を備えている。口部材31は、円環状に形成されている。口部材31の内周面には、溝である係合部31aが形成されている。
弾性膜32,33の上端部は、水平面に沿って互いに離間するように配置され、口部材31に連なっている。弾性膜32,33は、下方に向かうに従って互いに近づいている。弾性膜32,33の下端部は、互いに接触している。弾性膜32,33は、角部の無い滑らかに湾曲した形状に形成されている。弾性膜32,33は、外力が作用しない自然状態で互いに接触して閉じている、いわゆる自己閉鎖膜である。
【0022】
図4に示すように、弾性膜32,33上のドレン水Wの質量が所定の量以下の場合には、弾性膜32,33の下端部は互いに接触していて、弾性膜32,33よりも下方にドレン水Wが流れ出ない。
一方で、
図5に示すように、弾性膜32,33上のドレン水Wの質量が所定の量を超えると、ドレン水Wに作用する重力により弾性膜32,33の下端部が互いに離間するように弾性的に変形して、弾性膜32,33上のドレン水Wが下方に排水される。
【0023】
図2に示すように、トラップ部24は、蓋部23とは連結部材34を介して接続されている。連結部材34は、トラップ本体22の開口22aを通過可能である。連結部材34は、第1支持部材35と、第2支持部材36と、連結片37と、を備えている。
第1支持部材35は、有底の円筒状に形成されている。第1支持部材35の周壁部の外周面に形成された溝には、シール部材39が嵌め込まれている。シール部材39は、トラップ本体22における開口22aの開口周縁部と第1支持部材35の周壁部との間を水密に封止する。第1支持部材35の底壁部には、蓋部23の係合部23bに係合する被係合部35aが形成されている。第1支持部材35は、蓋部23を水平面に沿う軸線周りに回転可能に支持している。
【0024】
第2支持部材36は、円筒状に形成され、軸線が上下方向に沿うように配置されている。第2支持部材36の下端部には、径方向外側に突出した被係合部36aが設けられている。被係合部36aは、口部材31の係合部31aに係合している。
第2支持部材36の上面は、蓋部23から離間するに従い漸次、下方に向かうように傾斜している。第2支持部材36の上面には、第2支持部材36と同軸に溝が形成されている。この溝には、シール部材41が嵌め込まれている。シール部材41は、第2支持部材36と後述する下部連結片44の下面との間を水密に封止する。
連結片37は、第1支持部材35の底壁部と第2支持部材36の外周面とを接続している。
【0025】
縮径部25は、トラップ本体22の上端部に設けられている。例えば、縮径部25は、上下方向に沿って延びる円筒状に形成されている。縮径部25は、トラップ本体22の上端部に設けられた拡径部22cよりも外径が小さい。例えば、縮径部25は、周方向においてトラップ本体22の開口22aが形成されている範囲には形成されていなくてもよい。本実施形態では、縮径部25の外径及び内径は上方に向かうに従い、漸次それぞれ大きくなる。
【0026】
縮径部25の下端部には、径方向外側に突出する下部連結片44が設けられている。下部連結片44は、縮径部25の全周にわたって形成されている。下部連結片44の下面は、蓋部23から離間するに従い漸次、下方に向かうように傾斜している。この下部連結片44の下面に、前述のシール部材41が接触している。
下部連結片44の径方向外側の端部は、トラップ本体22の拡径部22cの上端部に連なっている。
縮径部25の上端部には、径方向外側に突出する上部連結片45が設けられている。上部連結片45は、水平面に沿って突出している。上部連結片45は、縮径部25の全周にわたって形成されている。
【0027】
上部受け口26は、縮径部25の上端部に設けられている。上部受け口26は円筒状に形成され、上部連結片45の外縁部から上方に向かって延びている。上部受け口26は、縮径部25よりも外径が大きい。上部受け口26には、断熱管15が挿入される。上部連結片45と断熱管15との間には、リング状のシール部材51が配置されている。シール部材51は、発泡PE(ポリエチレン)樹脂等で形成されている。
シール部材51を配置することにより、上部連結片45と断熱管15との間でシール部材51が適宜変形し、上部連結片45と断熱管15との間の空間を埋める。このため、断熱管15の端面が断熱管15の軸線に対して直交していなくても、上部連結片45と断熱管15との間にドレン水Wが溜まるのが抑えられる。
【0028】
なお、下部連結片44の下面、及び第2支持部材36の上面は、上部受け口26とトラップ部24とを液密に接続する際の接続面となる。
後述するようにトラップ本体22に対して水平面に沿って移動するトラップ部24を上部受け口26と液密に接続するために、トラップ本体22と上部受け口26との接続面同士を水平面に対して傾斜させ、一方の接続面に設けたシール部材41を他方の接続面に、トラップ部24を水平面に沿って移動させる際の分力により押し付けている。
また、これらの接続面が水平面に対して傾斜していると、トラップ本体22と上部受け口26との間の少なくとも周方向の一部に、縮径部25が形成される。縮径部25は、主に蓋部23とは反対側に形成されている。
【0029】
図2に示すように、本実施形態では、トラップ本体22の下端部には、連結片53を介して下部受け口54が設けられている。連結片53は、トラップ本体22の下端部から径方向外側に突出している。連結片53は、トラップ本体22の全周にわたって形成されている。
下部受け口54は、円筒状に形成されている。下部受け口54は、連結片53の外縁部から下方に向かって延びている。下部受け口54は、トラップ本体22の下端部よりも外径が大きい。
トラップ本体22の拡径部22c、上部受け口26、及び下部受け口54は、角部が丸みを帯びた形状に形成されている。
トラップ本体22、縮径部25、連結片44,45、上部受け口26、連結片53、及び下部受け口54は、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂等で一体に形成されている。
下部受け口54には、断熱管15が挿入される。連結片53と断熱管15との間には、リング状のシール部材55が配置される。
【0030】
図6に示すように、保温部27は、上下方向に見た平面視でC字形に形成されている。保温部27がC字形に形成されているため、保温部27が蓋部23に干渉するのが抑えられる。保温部27は、本体57と、一対の腕部58,59と、を備えている。本体57は、平面視で円弧形に形成されている。本体57の径方向の長さは、本体57の周方向の位置によらず同等である。本体57の内周面(径方向内側の面)は、上方に向かうに従い漸次、径方向外側に向くように傾斜している。
本体57の周方向の中央部の内周面には、スリット57aが形成されていることが好ましい。スリット57aは、平面視で本体57の内周面から外周面の近傍まで径方向外側に延び、本体57を厚さ方向(上下方向)に貫通している。本体57にスリット57aが形成されているため、腕部58,59の後述する隙間を周方向に広げるように本体57を変形させやすくなる。このため、縮径部25に保温部27を着脱させやすくなる。
【0031】
腕部58は、本体57の周方向の第一端部から延びている。腕部58における径方向外側の面は、平坦に形成されている。腕部58の内周面は、上方に向かうに従い漸次、径方向外側に向くように傾斜している。腕部58の周方向の中間部における幅(径方向の長さ)は、腕部58の周方向の各端部の径方向における幅よりも短い。
腕部59は、腕部58と同様に構成されている。すなわち、腕部59は、本体57の周方向の第二端部から腕部58と略平行に延びている。腕部59における径方向外側の面は、平坦に形成されている。
腕部58,59における本体57とは反対側の端部は、互いに離間していて、これらの端部の間に隙間が形成されている。なお、腕部58,59のこの端部は、互いに接触していてもよい。
【0032】
保温部27は、縮径部25よりも熱伝導率の小さい、例えば発泡PE樹脂等の材料で形成されている。
図2に示すように、保温部27は、、連結片44,45の間であって縮径部25の外周面に配置されている。保温部27の外径と上部受け口26の外径とは、互いに同等である。保温部27の外径は、トラップ本体22の拡径部22cの外径よりも大きい。
保温部27は、本体57を変形させること等により、縮径部25に対して着脱可能である。
【0033】
このように構成されたドレントラップ21では、以下に説明するようにトラップ本体22に対してトラップユニット28が着脱可能である。
なお、保温部27が蓋部23に干渉しにくいため、トラップユニット28の着脱は縮径部25に保温部27を装着した状態で行ってもよい。
まず、トラップ本体22に対して蓋部23を回転させて、雌ネジ22bと雄ネジ23aとの嵌め合わせを解除する。このとき、第1支持部材35に対して蓋部23が回転するため、トラップ本体22に対してトラップ部24は回転しない。
図7に示すように、トラップ本体22に対してトラップユニット28を水平面に沿って引き出すと、トラップ部24及び連結部材34が、トラップ本体22の開口22aを通してトラップ本体22から外部に取出される。外部に取出されたトラップユニット28は、適宜トラップ部24を洗浄する等のメンテナンスが施される。
【0034】
一方で、トラップ本体22内にトラップユニット28を押し込むと、下部連結片44の下面及び第2支持部材36の上面が前述のように傾斜しているため、押し込む力の分力により、
図2に示すようにシール部材41が下部連結片44の下面と第2支持部材36の上面との間を水密に封止する。シール部材39が、トラップ本体22における開口22aの周縁部と第1支持部材35の周壁部との間を水密に封止する。
トラップ本体22に対して蓋部23を回転させ、雌ネジ22bと雄ネジ23aとの嵌め合わせる。トラップ本体22にトラップユニット28を取付ける。
このように、トラップユニット28は、トラップ本体22の開口22aに対して径方向に着脱可能である。
【0035】
次に、以上のように構成されたドレン配管12の動作について説明する。
各階の空調装置11を運転すると、各空調装置11からドレン水Wが発生する。各階の空調装置11で発生したドレン水Wは、横管路部13により集められ、さらに管継手18を介して縦管路部14内を下方に向かって流れる。ドレントラップ21の弾性膜32,33上のドレン水Wの質量が前記所定の量以下の場合には、弾性膜32,33よりも下方にドレン水Wが流れ出ない。
【0036】
このとき、横管路部13及び縦管路部14は断熱管15を連結管で接続して構成されているため、ドレン水Wが冷たくても外周面が結露しにくい。ドレントラップ21のトラップ本体22において、上下方向でトラップ部24に対応する部分は、トラップ本体22から離間しているため、トラップ本体22の外周面が結露しにくい。縮径部25の外周面は保温部27により覆われているため、ドレン水Wよりも温度の高いドレントラップ21の外気が、縮径部25の外周面に接触しにくい。
弾性膜32,33上のドレン水Wの質量が所定の量を超えると、弾性膜32,33上のドレン水Wが下方に排水される。
【0037】
以上説明したように、本実施形態のドレントラップ21によれば、保温部27によりドレン水Wよりも温度の高いドレントラップ21の外気が、縮径部25の外周面に接触しにくくなるため、外気が冷却されて露点に達し、縮径部25の外周面が結露するのを抑制することができる。
本実施形態のドレントラップ21を空調装置11に適用した場合、空調装置11で発生したドレン水Wの温度が比較的低いことが考えられるため、上記効果が顕著に奏功される。
保温部27の熱伝導率は、縮径部25の熱伝導率よりも小さい。このため、縮径部25の外周面が結露するのを効果的に抑制することができる。
【0038】
保温部27は、縮径部25に対して着脱可能である。このため、保温部27を備えないドレントラップ21に、保温部27を後付けすることができる。
保温部27の外径と上部受け口26の外径とは、互いに同等である。これにより、保温部27がドレントラップ21の周囲の部材に干渉するのを抑えることができる。
【0039】
ドレントラップ21は、トラップ本体22に対して着脱式であるトラップユニット28を備える。ドレントラップ21を使用しているときには、トラップ本体22の開口22aは蓋部23により封止されていて、開口22aから外部にドレン水Wが漏れない。一方で、ドレントラップ21を使用していないときには、トラップ部24をトラップ本体22から外部に取出して、トラップ部24を洗浄する等のメンテナンスを行うことができる。
また、本実施形態のドレン配管12によれば、縮径部25の外周面が結露するのを抑制したドレントラップ21を用いてドレン配管12を構成することができる。
【0040】
なお、本実施形態のドレントラップ21は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図8に示すドレントラップ61は、本実施形態のドレントラップ21の連結部材34に代えて、連結部材62、操作レバー63、を備えている。なお、
図8及び
図9に示すドレントラップ61,101では、トラップ部24の弾性膜32,33の角部の無い滑らかに湾曲した形状、及び、トラップ本体22の拡径部22c、上部受け口26、下部受け口54等の角部の丸みを帯びた形状を省略して、角部を有する形状で示している。
図8において、蓋部23、トラップ部24、及び連結部材62で、トラップユニット64を構成する。
【0041】
トラップ本体22の開口22aには、第一フランジ部66と、円筒部67と、第二フランジ部68と、が設けられている。
第一フランジ部66は、円環状に形成され、第一フランジ部66の内縁部がトラップ本体22の開口22aに連なっている。円筒部67は、第一フランジ部66の外縁部から、径方向外側に延びている。第二フランジ部68は、円筒部67が延びる先端部から円筒部67の径方向外側に向かって突出している。第二フランジ部68は、円筒部67の全周にわたって形成されている。
【0042】
操作レバー63は、蓋部23の周壁部の外周面に、雄ネジ23aに代えて設けられている。操作レバー63は、支持片71と、揺動部材72と、爪部73と、を備えている。
支持片71は、蓋部23の周壁部の外周面から周壁部の径方向外側に向かって突出している。揺動部材72は、支持片71が突出する先端部から、周壁部の軸線方向に沿ってそれぞれ延びている。揺動部材72は、支持片71に対して揺動できる。
爪部73は、揺動部材72における径方向内側の端部に設けられている。爪部73は、揺動部材72から蓋部23の周壁部の外周面に向かって突出している。爪部73及び支持片71は、トラップ本体22の第二フランジ部68を径方向に挟み込み、爪部73が第二フランジ部68に係合している。蓋部23は、トラップ本体22の開口22aに、いわゆるツメ嵌合により着脱可能に取付けられている。
【0043】
連結部材62は、前述の連結部材34において第1支持部材35を備えていなく、第2支持部材36及び連結片37を備えている。連結片37は、蓋部23の底壁部と第2支持部材36の外周面とを接続している。蓋部23は、連結部材62に対して固定されていて、水平面に沿う軸線周りに回転できない。
【0044】
このように構成された変形例のドレントラップ61では、以下に説明するようにトラップ本体22に対してトラップユニット64が着脱可能である。
まず、揺動部材72を操作して、第二フランジ部68と爪部73との係合を解除する。トラップ本体22に対してトラップユニット64を水平面に沿って引き出すと、トラップユニット64のトラップ部24及び連結部材62が、トラップ本体22の開口22aを通してトラップ本体22から外部に取出される。
一方で、トラップ本体22内にトラップユニット64を押し込むと、第二フランジ部68に支持片71が突き当たる。このとき、第二フランジ部68に爪部73が係合し、トラップ本体22にトラップユニット64が取付けられる。
【0045】
図9に示すドレントラップ101は、変形例のドレントラップ61のトラップ部24に代えて、トラップ部102を備えている。なお、蓋部23、トラップ部102、及び連結部材62で、トラップユニット103を構成する。
トラップ部102は、案内管92と、封止板106と、錘107と、を備えている。
案内管92は、第2支持部材36の内部空間の周縁部から下方に向かって延びている。案内管92の下面は、蓋部23から離間するに従い漸次、下方に向かうように傾斜している。案内管92は、トラップ本体22から径方向内側に離間して配置されている。
封止板106は、封止板106上に所定の量を超える質量のドレン水Wがない場合には、案内管92の下面に接触し、案内管92の下端部の開口を液密に封止している。封止板106は錘107と一体となって、案内管92の下端部に設けられたヒンジ等の軸部材109周りに回転可能に支持されている。
錘107は、封止板106に固定されている。封止板106上に所定の量を超える質量のドレン水Wがない場合に案内管92の下面に封止板106を接触させるように、錘107の質量が設定されている。
【0046】
このように構成された変形例のドレントラップ101では、封止板106上のドレン水Wの質量が所定の量以下の場合には、案内管92よりも下方にドレン水Wが流れ出ない。
一方で、封止板106上のドレン水Wの質量が所定の量を超える場合には、封止板106が案内管92の下面から離間し、案内管92内のドレン水Wが下方に排水される。
なお、トラップ本体22に対してトラップユニット103が着脱される手順は、変形例のドレントラップ61と同様である。
【0047】
以上、本発明の一実施形態及び変形例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、保温部27の熱伝導率は、縮径部25の熱伝導率と同等、又は大きくてもよい。
【0048】
保温部27は縮径部25と一体に形成され、縮径部25に対して着脱できなくてもよい。
トラップ本体22は、円筒状に限定されず、角筒状や、平面視で楕円の筒状に形成されてもよい。保温部27の外径は、上部受け口26の外径よりも大きくてもよいし、上部受け口26の外径よりも小さくてもよい。
ドレントラップ21は、連結片53及び下部受け口54を備えなくてもよい。ドレントラップ61,101についても、同様である。
【0049】
ドレントラップは、トラップ本体22からトラップユニット28が着脱式のトラップでなく、トラップ本体22にトラップ部24が固定されているトラップでもよい。この場合、ドレントラップは蓋部23を備えず、トラップ本体22に開口22aは形成されない。
本実施形態のドレントラップは、空調装置だけでなく、空気を圧縮させる圧縮機やボイラー等にも用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
12 ドレン配管
15 断熱管
21,61,101 ドレントラップ
22 トラップ本体
22a 開口
23 蓋部
24,102 トラップ部
25 縮径部
26 上部受け口(受け口)
27 保温部
34,62 連結部材
W ドレン