IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイチコーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許-高所作業車の乗降装置 図1
  • 特許-高所作業車の乗降装置 図2
  • 特許-高所作業車の乗降装置 図3
  • 特許-高所作業車の乗降装置 図4
  • 特許-高所作業車の乗降装置 図5
  • 特許-高所作業車の乗降装置 図6
  • 特許-高所作業車の乗降装置 図7
  • 特許-高所作業車の乗降装置 図8
  • 特許-高所作業車の乗降装置 図9
  • 特許-高所作業車の乗降装置 図10
  • 特許-高所作業車の乗降装置 図11
  • 特許-高所作業車の乗降装置 図12
  • 特許-高所作業車の乗降装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】高所作業車の乗降装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20220308BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B66F9/06 V
B66F9/06 K
B66F11/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018042517
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019156523
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 渉
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-012495(JP,U)
【文献】特開2015-000704(JP,A)
【文献】特開平09-039666(JP,A)
【文献】米国特許第04848821(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0089698(US,A1)
【文献】国際公開第2016/136535(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 1/00-11/04
B62D 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前部に運転キャブを有して走行可能な車両と、前記車体における前記運転キャブの後方の架装領域の前部に水平旋回自在に設けられた旋回台と、前記旋回台に起伏自在に取り付けられたブームと、前記ブームの先端部に前記ブームに対して首振り自在に取り付けられた作業台とを備え、前記ブームを後方に倒伏させて前記作業台を側方に首振りさせた状態で前記ブームおよび前記作業台が前記架装領域に格納されるように構成された高所作業車において、
前記車体の左右のうち格納された状態の作業台が位置する側に、前記作業台に乗降するときに利用される乗降ステップを設け、
前記乗降ステップは、前記車体に対して揺動自在に設けられた上ステップ部と、前記上ステップ部に対して揺動自在に設けられた下ステップ部とを備え、
前記上ステップ部は、上方に揺動して前記車体に格納される第1格納姿勢と、下方に揺動して前記車体の外方に張り出した第1展開姿勢との間で姿勢変化可能に構成され、
前記下ステップ部は、前記上ステップ部が前記第1展開姿勢にある状態において前記上ステップ部と近接する方向に揺動して前記上ステップ部と平行に重なるように格納される第2格納姿勢と、前記上ステップ部が前記第1展開姿勢にある状態において前記上ステップ部と離間する方向に揺動して前記上ステップ部から外方に張り出した第2展開姿勢との間で姿勢変化可能に構成され、
前記乗降ステップ全体が前記車体上に格納された状態において、前記上ステップ部を前記第2格納姿勢にある前記下ステップ部とともに下方に揺動させて前記上ステップ部を前記第1格納姿勢から前記第1展開姿勢に姿勢変化させた後、前記下ステップ部を前記上ステップ部に対して下方に揺動させて前記下ステップ部を前記第2格納姿勢から前記第2展開姿勢に姿勢変化させることで、前記乗降ステップ全体が展開された状態となるように構成したことを特徴とする高所作業車の乗降装置。
【請求項2】
前記上ステップ部は、前記車体上に設けられた枢結軸を中心として上下に揺動自在に構成され、
前記下ステップ部が前記上ステップ部に対して前記第2格納姿勢にあるとき、前記上ステップ部と前記下ステップ部とが前記枢結軸の周方向に重なり合うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車の乗降装置。
【請求項3】
前記上ステップ部と前記下ステップ部とを平行に連結する平行リンク機構を備え、
前記下ステップ部が前記上ステップ部に対して前記平行リンク機構により揺動可能に構成され、
前記乗降ステップ全体が展開された状態にあるとき、前記下ステップ部の踏面が前記上ステップ部に対して車幅方向の外方へオフセットした位置に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の高所作業車の乗降装置。
【請求項4】
前記乗降ステップ全体が前記車体の外方に展開された状態と、前記乗降ステップ全体が前記車体上に格納された状態とで、前記乗降ステップ全体の上下が逆になるように構成して、
前記乗降ステップ全体が前記車体の外方に展開された状態において前記踏面が上方に向けて配置され、
前記乗降ステップ全体が前記車体上に格納された状態において前記踏面とは異なる踏面が上方に向けて配置されるように構成したことを特徴とする請求項3に記載の高所作業車の乗降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体上にブームと該ブームの先端部に取り付けられた作業台とを有する高所作業車の乗降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高所作業車は、一般的に、トラック車両をベースとした車体上に起伏動、伸縮動および旋回動可能に設けられた伸縮ブームの先端部に作業者搭乗用の作業台を有して構成され、該作業台に搭乗した作業者が該作業台に備えられた操作装置を操作することにより、伸縮ブームを作動させて作業台を所望の高所位置へ移動させて作業を行うことができるようになっており、電気設備の工事や道路工事等をはじめとして広く利用されている。
【0003】
このような高所作業車としては、旋回台が運転キャブ後方の車体上の前部に設けられて作業台が車体上の後方空間に格納される後方格納型の高所作業車(例えば、特許文献1を参照)が知られている。この高所作業車では、車両の構造規格を満足したうえで作業可能な範囲を拡大するため(すなわち、車両の規格寸法内にて最大のブーム長を確保するため)、作業台は車体上においてブームの側方に首振りした状態で格納されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平5‐12495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に記載の高所作業車では、車体の左側(後方格納姿勢の作業台が位置する側)に作業台へ乗降する際に作業者の足場となる乗降ステップが設けられており、この乗降ステップの上端部が車体に枢結されて揺動可能(格納及び展開可能)に構成されている。このとき、上記高所作業車では、作業台への搭乗に際して、乗降ステップを車体上に折り畳まれた格納状態から車体の外方へ展開するときに、車体の側方に該乗降ステップの長さ分だけの展開スペースが必要となる。しかしながら、高所作業車を他の交通の妨げとならないように道路の左側に幅寄せした状態で駐車した際、道路の側方にはガードレールや建物の側壁等が存在することが多く、そのような狭い場所において車体の側方に少なくとも乗降ステップの長さ分だけの展開スペースが確保されていないと、乗降ステップを展開することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、乗降ステップを省スペースで展開することのできる高所作業車の乗降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る高所作業車の乗降装置は、車体の前部に運転キャブを有して走行可能な車両と、前記車体における前記運転キャブの後方の架装領域の前部に水平旋回自在に設けられた旋回台と、前記旋回台に起伏自在に取り付けられたブームと、前記ブームの先端部に前記ブームに対して首振り自在に取り付けられた作業台とを備え、前記ブームを後方に倒伏させて前記作業台を側方に首振りさせた状態で前記ブームおよび前記作業台が前記架装領域に格納されるように構成された高所作業車において、前記車体の左右のうち格納された状態の作業台が位置する側に、前記作業台に乗降するときに利用される乗降ステップを設け、前記乗降ステップは、前記車体に対して揺動自在に設けられた上ステップ部と、前記上ステップ部に対して揺動自在に設けられた下ステップ部とを備え、前記上ステップ部は、上方に揺動して前記車体に格納される第1格納姿勢と、下方に揺動して前記車体の外方に張り出した第1展開姿勢との間で姿勢変化可能に構成され、前記下ステップ部は、前記上ステップ部が前記第1展開姿勢にある状態において前記上ステップ部と近接する方向に揺動して前記上ステップ部と平行に重なるように格納される第2格納姿勢と、前記上ステップ部が前記第1展開姿勢にある状態において前記上ステップ部と離間する方向に揺動して前記上ステップ部から外方に張り出した第2展開姿勢との間で姿勢変化可能に構成され、前記乗降ステップ全体が前記車体上に格納された状態において、前記上ステップ部を前記第2格納姿勢にある前記下ステップ部とともに下方に揺動させて前記上ステップ部を前記第1格納姿勢から前記第1展開姿勢に姿勢変化させた後、前記下ステップ部を前記上ステップ部に対して下方に揺動させて前記下ステップ部を前記第2格納姿勢から前記第2展開姿勢に姿勢変化させることで、前記乗降ステップ全体が展開された状態となるように構成したことを特徴とする。
【0008】
なお、上記構成の高所作業車の乗降装置において、前記上ステップ部は、前記車体上に設けられた枢結軸を中心として上下に揺動自在に構成され、前記下ステップ部が前記上ステップ部に対して前記第2格納姿勢にあるとき、前記上ステップ部と前記下ステップ部とが前記枢結軸の周方向に重なり合うように構成されていることが好ましい。
【0009】
また、上記構成の高所作業車の乗降装置において、前記上ステップ部と前記下ステップ部とを平行に連結する平行リンク機構を備え、前記下ステップ部が前記上ステップ部に対して前記平行リンク機構により揺動可能に構成され、前記乗降ステップ全体が展開された状態にあるとき、前記下ステップ部の踏面が前記上ステップ部に対して車幅方向の外方へオフセットした位置に配置されることが好ましい。
【0010】
さらに、上記構成の高所作業車の乗降装置において、前記乗降ステップ全体が前記車体の外方に展開された状態と、前記乗降ステップ全体が前記車体上に格納された状態とで、前記乗降ステップ全体の上下が逆になるように構成して、前記乗降ステップ全体が前記車体の外方に展開された状態において前記踏面が上方に向けて配置され、前記乗降ステップ全体が前記車体上に格納された状態において前記踏面とは異なる踏面が上方に向けて配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る高所作業車の乗降装置によれば、乗降ステップを車両の外方に向けて二段階で揺動展開する構成とすることで、車両の側方に当該ステップ全体の長さに応じた空きスペース(展開スペース)が残されていない場合であっても、上ステップ部及び下ステップ部を1段階ずつ順に揺動させて、乗降ステップを省スペースで展開させることができるため、車両を道路の端に極力幅寄せすることができるようになり、その結果、交通の流れを妨げることなく、地上から作業台へ安全に乗降することが可能となる。
【0012】
また、上記構成の高所作業車の乗降装置において、二段階の展開作業のうち第1の展開作業にて、上ステップ部及び下ステップ部を揺動軸回りに互いに重なり合った状態で揺動させることで、上ステップ部及び下ステップ部の揺動半径(展開半径)を最小限に抑えることが可能となる。
【0013】
さらに、上記構成の高所作業車の乗降装置において、乗降ステップ全体が展開された状態(最大展開状態)にあるとき、下ステップ部の踏面が上ステップ部に対して車幅方向の外方にオフセットした位置に配置されることで、車体の上方から当該踏面を視認し易く、車体上から地上に降りるときの目標となるため、作業者が乗降ステップに足を降ろす際に、当該踏面から足を踏み外すおそれもなく、乗降時の作業の安全性を一層向上させることが可能となる。
【0014】
また、上記構成の高所作業車の乗降装置において、当該車両を道路の左側いっぱいに幅寄せしたことで乗降ステップの展開スペースを確保できない状況であっても(乗降ステップを展開することができない状況であっても)、この乗降ステップには格納状態専用の踏面が設置されているため、当該車両の側方に作業者一人が入ることのできるスペースさえあれば、作業者はその踏面に足をかけて作業台に乗降することが可能となる。従って、車両の幅寄せ状況に応じて、乗降ステップの利用方法を変更することができ、作業者にとって非常に使い勝手の良い乗降ステップを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る乗降装置を備えた高所作業車の斜視図である。
図2】上記高所作業車の側面図である。
図3】上記高所作業車の平面図である。
図4】上記高所作業者の背面図である。
図5】上記高所作業車における作動機構を示すブロック図である。
図6】上記高所作業車に備えられた第1ステップ(乗降ステップ)の斜視図である。
図7】上記第1ステップの正面図である。
図8】上記第1ステップの側面図である。
図9】上記第1ステップの副ステップ部材を主ステップ部材に対して下方に張り出した状態の斜視図である。
図10】上記第1ステップの副ステップ部材を主ステップ部材に対して略水平に張り出した状態の斜視図である。
図11】上記第1ステップの格納状態を示す斜視図である。
図12】上記第1ステップの中途展開状態を示す斜視図である。
図13】上記第1ステップの最大展開状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態に係る乗降装置を備えた高所作業車1を図1図4に示しており、まず、これらの図を参照して高所作業車1の全体構成について説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、図1に付記する矢印方向を前後、左右、上下と定義する。
【0017】
高所作業車1は、車体2の前部に運転キャブ7を有し、車体2の前後に配された左右一対の前輪5f及び後輪5rにより走行可能なトラック式車両をベースに構成されている。車体2は、前輪5fおよび後輪5rが配設されたシャシフレーム3と、このシャシフレーム3上に取り付けられたサブフレーム4とからなる車体フレームを備えて構成されている。
【0018】
サブフレーム4の前後左右には、車体2を持ち上げ支持するジャッキ装置10が設けられている。ジャッキ装置10は、前輪5fの後方に配設された左右一対のフロントジャッキ10fと、後輪5rの後方に配設された左右一対のリアジャッキ10rとを有して構成される。各ジャッキ10f,10rは、その内部に設けられたジャッキシリンダ11(図5を参照)を駆動させて下方に伸長させることで車体2を持ち上げ支持し、これにより車両全体を安定させた状態とする。車体2には、各ジャッキ10f,10rの作動操作を行うためのジャッキ操作装置15(図5を参照)が設けられている。
【0019】
サブフレーム4上の前部(車体2における運転キャブ7後方の架装領域の前部)には、旋回モータ24(図5を参照)により駆動されて上下軸回りに水平旋回動自在に構成された旋回台20が設けられている。旋回台20は、サブフレーム4上の左右方向の略中央部
に配設されている。この旋回台20の上部には、ブーム30の基端部がフートピン21を介して上下方向に揺動自在(起伏自在)に取り付けられている。また、サブフレーム4の左右には、作業工具や作業基材などを収納するための左右の工具箱26L,26Rが設けられている。
【0020】
ブーム30は、旋回台20側から順に、基端ブーム30a、中間ブーム30b及び先端ブーム30cが入れ子式に組み立てられた構成を有しており、その内部に設けられた伸縮シリンダ31(図5を参照)の伸縮駆動により、ブーム30を軸方向に伸縮動させることができる。また、基端ブーム30aと旋回台20との間には起伏シリンダ23が跨設されており、この起伏シリンダ23を伸縮駆動させることにより、ブーム30全体を上下面(垂直面)内で起伏動させることができる。
【0021】
先端ブーム30cの先端部には、垂直ポスト(図示せず)が上下方向に揺動自在に枢支されている。この垂直ポストは、先端ブーム30cとの間に配設されたレベリング装置(図示せず)により揺動制御が行われ、ブーム30の起伏の如何に拘らずこの垂直ポストが常時垂直姿勢に保持される構成となっている。また、この垂直ポストには、作業者搭乗用の作業台40が作業台ブラケット(図示せず)を介して取り付けられている。この作業台ブラケットの内部には首振りモータ41(図5を参照)が設けられており、この首振りモータ41を駆動させることにより、作業台40全体を垂直ポスト回りに首振り動(水平旋回動)させることができる。ここで、垂直ポストは、上述のように常時垂直姿勢が保たれるため、結果として作業台40の床面はブーム30の起伏角度によらず常時水平に保持される。
【0022】
作業台40には、これに搭乗した作業者が操作する操作レバーや操作スイッチ、操作ダイヤル等の各操作手段を備えた作業操作装置(上部操作装置)45が設けられている。そのため、作業台40に搭乗した作業者は、作業操作装置45を操作することにより、旋回台20の旋回作動(旋回モータ24の回転作動)、ブーム30の起伏作動(起伏シリンダ23の伸縮作動)、ブーム30の伸縮作動(伸縮シリンダ31の伸縮作動)、作業台40の首振り作動(首振りモータ41の回転作動)などの各作動操作を行うことができる。なお、図示省略するが、車体2にも作業操作装置(下部操作装置)が設けられており、地上もしくは車体2上に居る作業者が上記の作動操作を行うことができるようになっている。
【0023】
車体2に設けられたジャッキ装置10及び高所作業装置(上述の旋回台20、ブーム30、作業台40など)の作動機構は、図5に示すように、ジャッキ操作装置15及び作業操作装置45からの操作信号が入力されるコントローラ50と、ジャッキシリンダ11、旋回モータ24、起伏シリンダ23、伸縮シリンダ31、首振りモータ41(以下、まとめて「油圧アクチュエータ55」と称する)を作動させるための作動油を供給する油圧ユニット60と、直流電力を蓄電する作業用バッテリ70と、作業用バッテリ70からの直流電力を交流電力に変換して油圧ユニット60に供給するインバータ71とを備えて構成されている。
【0024】
油圧ユニット60は、作業用バッテリ70からインバータ71を介して供給される電力(交流電力)を受けて駆動するポンプ駆動モータ61と、このポンプ駆動モータ61により駆動されて作動油を吐出する油圧ポンプ62と、油圧アクチュエータ55のそれぞれに対応して設けられた制御バルブ63と、作動油を貯留する油タンクTとを有して構成されている。この油タンクTに貯留された作動油は、油圧ポンプ62により吸い上げられて制御バルブ63へ供給される。制御バルブ63は、コントローラ50からの制御信号(ジャッキ操作装置15及び作業操作装置45からの操作信号に応じた制御信号)に応じて油圧ポンプ62から各油圧アクチュエータ55に供給される作動油の供給方向及び供給量を制御し、各油圧アクチュエータ55の作動方向及び作動速度を制御する(ジャッキ装置10
及び高所作業装置の作動方向及び作動速度を制御する)。
【0025】
このように構成される高所作業車1では、図1図4に示すように、ブーム30を全縮状態に縮小作動させるとともに後方に倒伏作動させたうえで、作業台40をブーム30の左側方に首振り作動させることにより、ブーム30及び作業台40が車体2における運転キャブ7後方の架装領域上に格納された状態(後方格納姿勢)となる。ブーム30及び作業台40が格納状態(後方格納姿勢)となると、ブーム30の先端部が車体2上の後部右隅に位置し、このブーム30の先端部から左側方に首振り作動された作業台40が車体2上の後部左寄りに位置する。
【0026】
かかる構成の高所作業車1には、格納状態の作業台40と地上との間で作業者が乗降するための乗降経路80が設けられている。この乗降経路80は、作業者が車両の側方(左側)から車体2上に乗り込む、いわゆる側方乗り込み式の乗降経路として構成されている。
【0027】
この乗降経路80には、車体2の左側において後輪5rの近傍に設けられた揺動展開式の第1ステップ100と、第1ステップ100の右方に隣接して設けられた踏み台状の第2ステップ200と、第2ステップ200の前方に隣接して設けられて左側の工具箱26と兼用して構成された第3ステップ300と、第3ステップ300の右方に隣接して設けられた踏み台状の第4ステップ400とが配設されている。各ステップ100~400は、その上面側が作業者の足場となる踏面として形成されている。そして、これら第1~第4ステップ100~400は、第1ステップ100から第4ステップ400に向かって段階的に高くなる4段式の階段状に形成されている。
【0028】
ここで、高所作業車1の一般的な駐車状態としては、他の交通の流れを妨げないように、車両を道路の左側に幅寄せした状態で駐車する。しかしながら、道路の側方には、ガードレールや建物の側壁等の障害物が存在することが多く、車両の側方から車体2上に乗り込む仕様(いわゆる側方乗り込み)を採用する場合には、従来の技術では車両の側方に少なくともステップの長さ分だけの展開スペース(揺動スペース)がないと、該ステップを側方に張り出すことができないという課題があった。そこで、本実施形態において、側方乗り込み用の第1ステップ100は、その展開半径(揺動半径)を最小限に抑えるため、二段階の展開方式を採用している。
【0029】
それでは、以下において本実施形態の第1ステップ100の構造について、図6図10を参照しながら説明する。第1ステップ100は、該第1ステップ100の骨格の主体をなす上ステップ部材110及び下ステップ部材120と、上ステップ部材110及び下ステップ部材120を相対揺動自在に支持する平行リンク機構130とを備えて構成される。この第1ステップ100は、第2ステップ200の左側方に開口された開口部201内に収容可能(格納可能)に構成されている。
【0030】
上ステップ部材110は、略U字状に屈曲形成された上フレーム本体111と、上フレーム本体111の両端部間に架設された断面L字状のベース板112と、上フレーム本体111の中央部に接合された断面L字状の支持板113とを備えて構成される。
【0031】
上フレーム本体111は、一本の管材をU字状に屈曲して形成されており、一対の縦フレーム部111aと、一対の縦フレーム部111a同士を繋ぐ横フレーム部111bとを有して構成されている。各縦フレーム部111aには、平行リンク機構130に連結する一対の上連結板114が接合されている。支持板113の表面(図10中の上面)には、後述する下ステップ部材120の踏板122に当接して受け止める一対の受止部材115が取り付けられている。受止部材115は、例えば合成樹脂材を用いて略直方体状に形成
されており、支持板113における横フレーム部111bとの接合面内に複数本のボルトにて締結されている。また、この支持板113には、第1ステップ100の展開時に左側の後輪5rに当接する緩衝用(衝撃吸収用)のゴム部材116が取り付けられている。
【0032】
ベース板112は、一対の縦フレーム部111aの間に跨設された横長の基板部112aと、この基板部112aの端部から略垂直に折曲形成された横長の補助板部112bとからなる。基板部112aには、第2ステップ200の下端部に設けられた一対の外側ヒンジ202に連結する一対の内側ヒンジ117が複数本のボルトにて締結されており、このヒンジ117,202(以下、「ヒンジ軸」と呼称する)を中心として上ステップ部材110が上下方向に揺動可能に取り付けられている。ここで、上ステップ部材110は、先端側(支持板113側)がヒンジ軸を中心として上方に揺動して第2ステップ200の開口部201内に格納される上側格納姿勢と、先端側(支持板113側)がヒンジ軸を中心として下方に揺動して第2ステップ200の開口部201から車両外方に張り出した上側展開姿勢との間で姿勢変化可能である。なお、ベース板112における一対の内側ヒンジ117の間には、下ステップ部材120に設けられた被係止具(図示せず)と係脱自在に係合する係止具118が取り付けられている。
【0033】
下ステップ部材120は、略U字状に屈曲形成された下フレーム本体121と、下フレーム本体121の両端部間に架設された踏板122とを備えて構成される。この下ステップ部材120は、上ステップ部材110と略同じ大きさ(縦横寸法)に形成されている。
【0034】
下フレーム本体121は、一本の管材をU字状に屈曲して形成されており、一対の縦フレーム部121aと、一対の縦フレーム部121a同士を繋ぐ横フレーム部121bとを有して構成されている。各縦フレーム部121aには、平行リンク機構130に連結する一対の下連結板123が接合されている。横フレーム部121bには、第1ステップ100を展開又は格納する際に作業者が手指で把持する矩形環状の第1把持部124が接合されている。この第1把持部124は、横フレーム部121bに接合された固定側半体124aと、この固定側半体124aに一対のボルト及びナットにより固定された可動側半体124bとからなり、ボルト及びナットを緩めることで固定側半体124aに対する可動側半体124bの傾動姿勢を調節可能となっている。
【0035】
踏板122は、断面略L字状に屈曲した曲板状に形成されており、各縦フレーム部121aの先端部に接合されている。この踏板122の一端面(図9の上面)には、後述の第1の乗降方法において、作業者が乗降するときの足場となる踏面S1が形成されている。なお、前述の上ステップ部材110には、後述の第2の乗降方法において、作業者が乗降するときの足場となる踏面S2,S3が形成されている。また、踏板122には、第1ステップ100を展開又は格納する際に作業者が手指で把持する矩形環状の第2把持部125が形成されている。この第2把持部125は、下フレーム本体121のU字状の開口内に突出形成されている。
【0036】
平行リンク機構130は、略同一の長さに形成されて互いに平行に配置された一対のリンク部材131,132から構成されている。各リンク部材131,132は、上ステップ部材110の上連結板114と下ステップ部材120の下連結板123との間に架設されている。第1リンク部材131は、一端部が上ステップ部材110の上連結板114の内面側に枢結され、他端部が下ステップ部材120の下連結板123の内面側に枢結されている。第2リンク部材132は、一端部が上ステップ部材110の上連結板114の外面側に枢結され、他端部が下ステップ部材120の下連結板123の外面側に枢結されている。各リンク部材131,132の枢結軸P1,P2,P3,P4は、各リンク部材131,132と各連結板114,123との間で形成される略四角形(略平行四辺形又は略長方形)の頂点位置に配置されている。ここで、各リンク部材131,132の長さは
、各ステップ部材110,120の縦寸法の略半分の長さに形成されている。また、上ステップ部材110及び下ステップ部材120は、図10に示すように、各リンク部材131,132が略水平に延びた状態において、該ステップ部材110,120の縦方向(図10の上下方向)に、各ステップ部材110,120の縦寸法の略半分の長さ分(各リンク部材131、132の長さ分)だけオフセットして配置されている。
【0037】
ここで、下ステップ部材120は、上ステップ部材110と一体的にヒンジ軸を中心として上下に揺動可能、且つ、上記一対のリンク部材131,132により構成される平行リンク機構130により上ステップ部材110に対して平行な位置関係を維持しつつ相対揺動可能に構成されている。このとき、下ステップ部材120は、上ステップ部材110に対する相対揺動位置として、上ステップ部材110に近接する方向に揺動して上ステップ部材110に格納される(上ステップ部材110とヒンジ軸回りに重なり合う)下側格納姿勢と、上ステップ部材110から離間する方向に揺動して上ステップ部材110の外方に張り出す下側展開姿勢との間で姿勢変化可能である。具体的には、上ステップ部材110が上側展開姿勢にある場合、下ステップ部材120を上方に揺動させることで、この下ステップ部材120が上ステップ部材110と左右に重なって格納される下側格納姿勢に変位する。一方、上ステップ部材110が上側展開姿勢にある場合、下ステップ部材120を下方に揺動させることで、この下ステップ部材120が上ステップ部材110から下方に張り出す下側展開姿勢に変位する。
【0038】
次に、本実施形態に係る高所作業車1の乗降装置の特徴的な作用として、作業者が搭乗経路80を通って作業台40に搭乗するまでの作業の流れについて、図11図13を追加参照して説明する。
【0039】
まず、作業現場に到着した作業者は、他の交通の妨げとならないように、高所作業車1を道路の左側に寄せて駐車する。次いで、当該車両の周囲にカラーコーン(登録商標)等を設置して交通の安全確保を実施した後、ジャッキ10f,10rを張り出して接地させることで、車体2を安定保持させる。続いて、作業者は、所望の高所作業を行うため、地上から車体2上の乗降経路80(第1~第4ステップ100~400)を通って作業台40に搭乗することになるが、このとき第1ステップ100(上ステップ部材110及び下ステップ部材120)は、図11に示すように、第2ステップ200の開口部201内に折り畳まれて格納された状態(「格納状態」と呼称する)となっている。この第1ステップ100の格納状態は、上ステップ部材110が上側格納姿勢にあり、下ステップ部材120が下側格納姿勢にある状態である。そのため、地上に居る作業者は、車体2上に乗り込む前に、第1ステップ100の付近に移動して、第1ステップ100を車両側方に張り出すための展開作業を行う。
【0040】
第1ステップ100の展開作業においては、上ステップ部材110及び下ステップ部材120を二段階にて展開させる。なお、図6に示すように、第1ステップ100が格納状態にあるとき、第1ステップ100(上ステップ部材110)側に設けられた係止突起119が、第2ステップ200側に設けられたロック機構203により係止されることで、第1ステップ100は第2ステップ200の開口部201内に固定された状態で保持されている。
【0041】
まず、作業者は、第1段階目の展開作業として、ロック機構203による第1ステップ100の係止を解除した後、図12に示すように、この第1ステップ100全体をヒンジ軸回りに下方に揺動させて、上ステップ部材110及び下ステップ部材120が第2ステップ200の開口部201から下方に張り出した状態(「中途展開状態」と呼称する)に変位させる。この第1ステップ100の中途展開状態は、上ステップ部材110が上側展開姿勢にあり、下ステップ部材120が下側格納姿勢にある状態である。この第1段階目
の展開作業において、上ステップ部材110及び下ステップ部材120は、互いにヒンジ軸回り(ヒンジ軸の周方向)に重なり合った状態で下方に揺動する。そのため、上ステップ部材110及び下ステップ部材120の揺動半径(展開半径)を、各ステップ部材110,120の単体の長さに応じた揺動半径(第1ステップ100全体の長さの約半分の揺動半径)に抑えることができる。なお、このように上ステップ部材110及び下ステップ部材120を下方に揺動させた際、その背面側に配されたゴム部材116が後輪5rの側面に最初に当接することとなるため、その降下時の衝撃を吸収することができるとともに、その後に作業者が乗降する際の負荷荷重を緩和することが可能となる。また、このように第1ステップ100が中途展開状態となると、第2ステップ200の開口部201が左側方に開放されることで、第2ステップ200の下側の踏面204が露出され、上側の踏面205とともに作業者に利用可能となる。
【0042】
続いて、作業者は、第2段階目の展開作業として、図13に示すように、下ステップ部材120を上ステップ部材110に対して下方に揺動させて、下ステップ部材120を上ステップ部材110から下方に張り出した状態(「最大展開状態」と呼称する)に変位させる。この第1ステップの最大展開状態は、上ステップ部材110が上側展開姿勢にあり、下ステップ部材120が下側展開姿勢にある状態である。第1ステップ100が最大展開状態にあるとき、下ステップ部材120の踏板122の上面には、作業者が乗降するときの足場となる踏面S1が形成される。なお、この2段階目の展開作業において、下ステップ部材120は、上記1段階目の展開作業での揺動半径を越えて車両側方(左方外方)に飛び出すことがない。そのため、この第1ステップ100の展開作業においては、車両の側方に上記1段階目の揺動半径に応じたスペースさえあれば、第1ステップ100を最大展開状態に張り出すことができる。
【0043】
次いで、作業者は、第1ステップ100を最大展開状態とした後、第1ステップ100の踏面S1に足をかけて、第2ステップ200上に乗り込む。そして、作業者は第3ステップ300、第4ステップ400の順に足をかけて乗降経路80を進み、最終的には作業台40に搭乗する。
【0044】
なお、本実施形態の高所作業車1には、地上から作業台40への二通りの乗降方法がある。第1の乗降方法は、前述したように、第1ステップ100を展開させた状態で、第1ステップ100~第4ステップ400を使用して乗降する方法(図1及び図2に示す補助ステップ500を使用せずに乗降する方法)である。一方、第2の乗降方法は、第1ステップ100を格納させた状態で、第1ステップ100~第4ステップ400の他に、補助ステップ500を使用して乗降する方法である。この第2の乗降方法について以下において説明する。
【0045】
この第2の乗降方法においては、第1ステップ100(上ステップ部材110及び下ステップ部材120)が第2ステップ200の開口部210内に折り畳まれて格納された状態(格納状態)で使用される。この第1ステップ100の格納状態は、前述したように、上ステップ部材110が上側格納姿勢にあり、下ステップ部材120が下側格納姿勢にある状態である。この第2の乗降方法において、地上に居る作業者は、まず始めに、車両の左側方から補助ステップ500に足を乗せた後、その斜め上方にある格納状態の第1ステップ100へ移動する。この第1ステップ100が格納状態にあるとき、ベース板112には作業者が乗降するときの下段側の足場となる踏面S2が上方に向けて配置され、支持板113には作業者が乗降するときの上段側の足場となる踏面S3が上方を向けて配置される。そのため、作業者は補助ステップ500から第1ステップ100へ移動する際に、第1ステップ100の上下の踏面S2,S3に足をかけて車体2上に乗り込むことができる。なお、このとき、上側の踏面S3への乗り込みを阻害しないように、下ステップ部材120の第2把持部124を車両内方に傾倒させた水平姿勢に調節しておくことが望まし
い(図6図11等を参照)。そして、作業者は第3ステップ300、第4ステップ400の順に足をかけて乗降経路80を進み、最終的には作業台40に搭乗する。
【0046】
以上、本実施形態に係る高所作業車1によれば、第1ステップ100を車両の外方に向けて二段階で揺動展開する構成とすることで、車両の側方に当該ステップ全体の長さに応じた空きスペース(展開スペース)が残されていない場合であっても、上ステップ部材110及び下ステップ部材120を1段階ずつ順に揺動させて、第1ステップ100を省スペースで展開させることができるため、車両を道路の端に極力幅寄せすることができるようになり、その結果、交通の流れを妨げることなく、地上から作業台40へ安全に乗降することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態に係る高所作業車1では、二段階の展開作業のうち第1の展開作業において、上ステップ部材110及び下ステップ部材120をヒンジ軸回りに互いに重なり合った状態で揺動させることで、この上ステップ部材110及び下ステップ部材120の揺動半径(展開半径)を最小限に抑えることが可能となる。
【0048】
また、本実施形態に係る高所作業車では、第1ステップ100が最大展開状態にあるとき、下ステップ部材120の踏面S1が上ステップ部材110に対して左側方(車幅方向の外方)にオフセットした位置に配置されることで、車体2の上方から踏面S1を視認し易く、車体2上から地上に降りるときの目標となるため、作業者が第1ステップ100に足を降ろす際に、該踏面S1から足を踏み外すおそれもなく、乗降時の作業の安全性を一層向上させることが可能となる。
【0049】
また、本実施形態に係る高所作業車1では、当該車両を道路の左側いっぱいに幅寄せしたことで第1ステップ100の展開スペースを確保できない状況であっても(第1ステップ100を展開することができない状況であっても)、この第1ステップ100には格納状態専用の踏面S2,S3が設置されているため、当該車両の側方に作業者一人が入ることのできるスペースさえあれば、作業者はその踏面S2,S3に足をかけて作業台40に乗降することが可能となる。従って、車両の幅寄せ状況に応じて、第1ステップ100の利用方法を変更することができ、作業者にとって非常に使い勝手の良い乗降ステップを提供することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態に係る高所作業車1には、側方乗り込み専用のステップ100,500の他に、後方乗り込み専用のステップ600,700が設けられており(その他のステップ200~400は兼用タイプ)、地上から作業台40への乗降方法として、作業者は当該車両の駐車状態等に応じて後方乗り込み及び側方乗り込みのいずれか一方の乗降方法方を選択することが可能である。
【0051】
なお、本実施形態の高所作業車1において、図5に示すように、第1ステップ100の格納状態を検出する格納検出器140を備える構成を採用してもよい。格納検出器140の一例としては、ローラ形に形成された可動式の接触子を有するリミットスイッチであることが好適である。この格納検出器140は、第1ステップ100が未格納状態にあるときは、接触子が内蔵バネの弾性力によって外側に揺動することでリミットスイッチが検出オフ状態となり、コントローラ50へ向けてオフ信号(未格納検出信号)を出力する。一方、格納検出器140は、第1ステップ100が格納状態にあるときは、接触子が内蔵バネの弾性力に抗して上ステップ部材110又は下ステップ部材120によって内側に押し込まれることで検出オン状態となり、コントローラ50へ向けてオン信号(格納検出信号)を出力する。
【0052】
また、本実施形態の高所作業車1において、運転キャブ7内に、第1ステップ100が
格納状態にあるか否かを報知する格納表示装置(格納報知手段)150を備える構成を採用してもよい。この格納表示装置150は、例えばLEDランプや液晶ディスプレイなどから構成される。コントローラ50は、格納検出器140からオン信号(格納検出信号)を入力すると、運転キャブ7内に設けられた格納表示装置150に第1ステップ100が格納状態である旨を表示させる。一方、コントローラ50は、格納検出器140からオフ信号(未格納検出信号)を入力すると、運転キャブ7内に設けられた格納表示装置150に第1ステップ100が未格納状態である旨を表示させる。それにより、作業者は作業の終了に伴って高所作業車1の運転を開始する前に、この格納表示装置150の表示内容を確認することで、第1ステップ100を格納せずに側方に張り出した状態のままで、誤って高所作業車1を走行させてしまう事態を未然に防止することができる。なお、上記の格納報知手段として、格納表示装置150の代わりに、例えば警報ブザーや警報ランプ等の警報装置を適用してもよい。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜改良可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態では、本発明に係る高所作業車として、伸縮ブーム式の高所作業車を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、屈伸ブーム式の高所作業車、軌陸車等であってもよく、車体上にブームを後方格納姿勢で保持する構成を採用した高所作業車であれば、本発明を適用可能である。また、上述の実施形態では、電気駆動型(バッテリ駆動型)の高所作業車を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、エンジンの動力をPTO機構(パワーテイクオフ機構)によって取り出して油圧ポンプを駆動するPTO駆動型の高所作業車や、その両者を具備して動力源を選択的に切り替えるハイブリッド型の高所作業車であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 高所作業車
2 車体
7 運転キャブ
20 旋回台
30 ブーム
40 作業台
45 作業操作装置
80 乗降経路
100 第1ステップ(乗降ステップ)
110 上ステップ部材(上ステップ部)
120 下ステップ部材(下ステップ部)
130 平行リンク機構
131 第1リンク部材
132 第2リンク部材
202 外側ヒンジ(枢結軸)
S1 踏面
S2 踏面
S3 踏面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13