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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】半導体装置、及び光ラインセンサ
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/03 20060101AFI20220308BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20220308BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H04N1/03
H04N5/369 200
H01L27/146 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018091716
(22)【出願日】2018-05-10
(65)【公開番号】P2019198026
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390009667
【氏名又は名称】セイコーNPC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 早月
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-149461(JP,A)
【文献】特開平05-114844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00 - 1/207
H04N 5/335- 5/378
H01L 27/14 -27/148
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出素子と、出力トランジスタと、コンデンサと、リセットスイッチ素子と、定電流素子と、定電位差素子と、出力端子とを備え、
前記光検出素子は、一端が電源の正極配線に接続され、他端が第1接続部に接続されて、入射する光の強さに応じた光電流を前記正極配線から前記第1接続部に流し、
前記出力トランジスタは、ソース端子又はドレイン端子のうち、一方が前記正極配線に接続され、他方が第2接続部に接続され、
前記コンデンサは、一端が前記第1接続部に接続され、他端が前記第2接続部に接続され、
前記リセットスイッチ素子は、一端が前記第1接続部に接続され、他端が前記第2接続部に接続されて、前記コンデンサに蓄電されている電荷の保持と放電とを制御し、
前記定電流素子は、一端が前記第2接続部に接続され、他端が電源の負極配線に接続されて、前記第2接続部に流れる電流を制御し、
前記定電位差素子は、一端が前記正極配線に接続され、他端が前記第2接続部に接続されて、前記第2接続部の電位と前記正極配線の電位との電位差が所定の閾値に達しない場合には前記正極配線から前記第2接続部への電流の流れを阻止するとともに、前記電位差が所定の閾値に達する場合には前記正極配線から前記第2接続部に電流を流すことにより前記電位差を所定の値に保持し、
前記定電位差素子は、電界効果トランジスタを含み、
前記出力端子は、前記第2接続部に接続される
半導体装置。
【請求項2】
前記定電位差素子は、複数の電界効果トランジスタを含み、第1の電界効果トランジスタのソース端子と、第2の電界効果トランジスタのドレイン端子とが互いに接続されている
請求項に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記電界効果トランジスタは、ゲート端子が前記出力トランジスタのゲート端子に接続されている
請求項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電界効果トランジスタは、ゲート端子が所定の電位に維持されている
請求項に記載の半導体装置。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の半導体装置を、前記正極配線と前記負極配線との間に並列に複数備える
光ラインセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、及び光ラインセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、スキャナ、ファクシミリ、デジタル複合機などのイメージセンサでは、光の検出に半導体装置が用いられる。イメージセンサでは、読み取り対象の紙に光を照射し反射した光を読み込む。反射した光の強度は、半導体装置により電気信号に変換される。イメージセンサに用いられる半導体装置では、半導体センサと、半導体センサからの信号を処理する回路が同一基板上に形成されている(特許文献1)。
【0003】
従来の光ラインセンサLS0の回路の一例を図11に示す。光ラインセンサLS0の回路は、I/V変換回路C0と、オフセット補償回路CCと、サンプルホールド回路HCと、スイッチSW2、スイッチSW2を制御する読み出し制御回路RCと、スイッチSW2を介して出力をする出力回路OCとを有する。I/V変換回路C0は、複数のI/V変換回路C0-1~I/V変換回路C0-N(ただしNはI/V変換回路C0の個数)を備え、オフセット補償回路CCは、複数のオフセット補償回路CC-1~オフセット補償回路CC-Nを備え、サンプルホールド回路HCは、複数のサンプルホールド回路HC-1~サンプルホールド回路HC-Nからなる。複数のI/V変換回路C0-1~I/V変換回路C0-Nの電源の負極配線VSSは共通化されている。
以下では、複数のI/V変換回路C0-1~I/V変換回路C0-Nのうち、特定の一つをI/V変換回路C0-iなどと呼ぶことがある。
【0004】
I/V変換回路C0では、フォトダイオードPDのアノード端子と、PMOSトランジスタPM0のゲート端子と、コンデンサCFの一方の端子とは配線LDに接続される。I/V変換回路C0では、フォトダイオードPDのカソード端子と、PMOSトランジスタPM0のソース端子とは電源の正極配線VDDに接続される。I/V変換回路C0では、コンデンサCFのもう一方の端子と、PMOSトランジスタPM0のドレイン端子と、NMOSトランジスタMN0とは、配線LOに接続されている。
【0005】
上記のような回路において、スイッチSW1がオンされると、コンデンサCFに蓄積された電荷は放電(リセット)される。スイッチSW1がオフされると、配線LDを流れる電流により、コンデンサCFに電荷の蓄積が開始される。
光AがフォトダイオードPDに入射すると、光Aの強度に応じた光電流がフォトダイオードPDに流れる。スイッチSW1をオフにした状態で、光電流がフォトダイオードPDに流れると、配線LDを介してコンデンサCFに電荷が蓄積され、配線LDと配線LOとの間に電位差が生まれる。この一例では、コンデンサCFに電荷が蓄積されると、配線LDの電位に対して、配線LOの電位が相対的に低下する。
配線LDと配線LOとの間の電位差はコンデンサCFの容量によって決まるため、コンデンサCFの容量を調整することにより電流電圧変換の倍率をコントロールすることができる。
【0006】
配線LOの電位は、オフセット補償回路CCを通して、サンプルホールド回路HCにより保持される。
サンプルホールド回路HCに保持された電荷は、スイッチSW2をオンにすることにより出力回路OCに出力AMPとして送られ、結果として、入力された光Aの強度に応じたIC出力が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-67822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されるような従来回路では、I/V変換回路C0-iのフォトダイオードPDに所定の値以上の強度の光Aが入射すると、I/V変換回路C0-i以外のI/V変換回路C0の配線LOの電位の値を変化させてしまう。I/V変換回路C0-i以外のI/V変換回路C0の配線LOの電位の値を変化させてしまうことについて説明する。
【0009】
上述したように、フォトダイオードPDに光Aが入射すると、入射した光の強さに応じて、配線LOの電位が降下する。配線LOには、電源の負極配線VSSとの間に定電流素子であるNMOSトランジスタが接続されている。フォトダイオードPDに所定の値以上の強度の光Aが入射した場合、配線LOの電位の降下幅が比較的大きくなり、NMOSトランジスタMN0の電位V20は、負極配線VSSの電位Vss近くまで下降する。この場合、NMOSトランジスタMN0の動作領域が飽和領域から線形領域に入ってしまう。そのため、NMOSトランジスタMN0のソースとドレインとの間に流れる電流が、飽和領域で動作していた場合に比べて減少する。
なお、以下においては、負極配線VSSの電位Vssが0Vである場合を一例にして説明する。また、負極配線VSSの電位Vssのことをグランド電位とも称する。
【0010】
複数のI/V変換回路C0-1~I/V変換回路C0-Nの内、一部のI/V変換回路C0-iに所定の値以上の強度の光Aが入り、I/V変換回路C0-i以外のI/V変換回路C0のフォトダイオードPDには全く光が入っていなかった場合、所定の値以上の強度の光Aが入ったI/V変換回路C0-iの配線LOの電位V20がグランド電位(例えば、0V)まで降下しても、I/V変換回路C0-i以外のI/V変換回路C0の配線LOの電位V20は変化しないはずである。ところが、従来の光ラインセンサLS0の回路では、I/V変換回路C0-i以外のI/V変換回路C0の配線LOの電位V20が変わる現象が発生することがある。
フォトダイオードPDには全く光が入射していないにもかかわらずI/V変換回路C0-i以外のI/V変換回路C0の配線LOの電位V20が変わる現象は、I/V変換回路C0-iの配線LOの電位V20が0Vまで降下することにより、電源の負極配線VSSに接続されているNMOSトランジスタMN0の電流が変わるために発生する。
【0011】
複数のI/V変換回路C0-1~I/V変換回路C0-Nの電源の負極配線VSSは共通化されており、また電源の負極配線VSSには配線抵抗がある。I/V変換回路C0のうち一部の回路の消費電流が変わると、他のI/V変換回路C0の内部の電源の負極配線VSSの電位Vssも変化してしまう。ここで消費電流とは、I/V変換回路C0のNMOSトランジスタMN0のソースとドレインとの間に流れる電流である。そのため、フォトダイオードPDには全く光が合っていないにもかかわらずI/V変換回路C0-i以外のI/V変換回路C0の配線LOの電位V20が変わってしまう。つまり、従来の光ラインセンサLS0では、本来検出すべき光Aの強さとは異なる強さの光Aが入射しているように検出されてしまう。
【0012】
図12は、従来のI/V変換回路C0の電源の負極配線VSSの電位Vssの一例を示す図である。図12では、光ラインセンサLS0に含まれる、画素に対するI/V変換回路C0-1~I/V変換回路C0-Nそれぞれの内部の電源の負極配線VSSの電位Vssが示されている。ただし図12では、I/V変換回路C0-1~I/V変換回路C0-Nの数が100個である場合について説明する。
【0013】
リセット時電位グラフG1は、スイッチSW1がオンになりコンデンサCFに蓄積された電荷がリセットされた状態におけるI/V変換回路C0の内部の電源の負極配線VSSの電位Vssを示すグラフである。つまり、リセット時電位グラフG1は、フォトダイオードPDに光Aが入射していない状態におけるI/V変換回路C0の内部の電源の負極配線VSSの電位を示す。
飽和時電位グラフG2は、スイッチSW1がオフになりコンデンサCFに電荷が蓄積される状態において、画素P2に対応するI/V変換回路C0-50~I/V変換回路C0-100のそれぞれに所定の値以上の強度の光Aが入射した場合のI/V変換回路C0の内部の電源の負極配線VSSの電位Vssを示すグラフである。ただし、光ラインセンサLS0に対応する画素のうち画素P2以外の画素P1に対応するI/V変換回路C0-1~I/V変換回路C0-49には光Aは入射していない。
【0014】
光ラインセンサLS0では、複数のI/V変換回路C0-1~I/V変換回路C0-Nの電源の負極配線VSSは共通化されているため、I/V変換回路C0-50~I/V変換回路C0-100の内部の電源の負極配線VSSの電位Vssの降下に伴い、I/V変換回路C0-1~I/V変換回路C0-49の内部の電源の負極配線VSSの電位Vssまで降下してしまう。
また、所定の値以上の強度の光Aが入射したI/V変換回路C0-50~I/V変換回路C0-100の内部の電源の負極配線VSSの電位Vssは、本来、入射した光Aの強度に応じて決まる値だけ下がるべきであるが、対応する画素毎にI/V変換回路C0-50~I/V変換回路C0-100の内部の電源の負極配線VSSの電位Vssの下がり方が異なってしまっている。
【0015】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、所定の値以上の強度の光が入射した場合においても、出力を安定化させることができる半導体装置、及び光ラインセンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、光検出素子と、出力トランジスタと、コンデンサと、リセットスイッチ素子と、定電流素子と、定電位差素子と、出力端子とを備え、前記光検出素子は、一端が電源の正極配線に接続され、他端が第1接続部に接続されて、入射する光の強さに応じた光電流を前記正極配線から前記第1接続部に流し、前記出力トランジスタは、ソース端子又はドレイン端子のうち、一方が前記正極配線に接続され、他方が第2接続部に接続され、前記コンデンサは、一端が前記第1接続部に接続され、他端が前記第2接続部に接続され、前記リセットスイッチ素子は、一端が前記第1接続部に接続され、他端が前記第2接続部に接続されて、前記コンデンサに蓄電されている電荷の保持と放電とを制御し、前記定電流素子は、一端が前記第2接続部に接続され、他端が電源の負極配線に接続されて、前記第2接続部に流れる電流を制御し、前記定電位差素子は、一端が前記正極配線に接続され、他端が前記第2接続部に接続されて、前記第2接続部の電位と前記正極配線の電位との電位差が所定の閾値に達しない場合には前記正極配線から前記第2接続部への電流の流れを阻止するとともに、前記電位差が所定の閾値に達する場合には前記正極配線から前記第2接続部に電流を流すことにより前記電位差を所定の値に保持し、前記定電位差素子は、電界効果トランジスタを含み、前記出力端子は、前記第2接続部に接続される半導体装置である。
【0019】
また、本発明の一態様は、上記の半導体装置において、前記定電位差素子は、複数の電界効果トランジスタを含み、第1の電界効果トランジスタのソース端子と、第2の電界効果トランジスタのドレイン端子とが互いに接続されている。
【0020】
また、本発明の一態様は、上記の半導体装置において、前記電界効果トランジスタは、ゲート端子が前記出力トランジスタのゲート端子に接続されている。
【0021】
また、本発明の一態様は、上記の半導体装置において、前記電界効果トランジスタは、ゲート端子が所定の電位に維持されている。
【0022】
また、本発明の一態様は、上記の半導体装置を、前記正極配線と前記負極配線との間に並列に複数備える光ラインセンサである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、所定の値以上の強度の光が入射した場合においても、出力を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光ラインセンサの回路の一例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るI/V変換回路の一例を示す図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る定電流素子のソース端子のドレイン端子に対する電位と定電流素子に流れる電流の関係の一例を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係るI/V変換回路の構成の一例を示す図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係るI/V変換回路の構成の一例を示す図である。
図6】本発明の第3の実施形態の変形例に係るI/V変換回路の構成の一例を示す図である。
図7】本発明の第4の実施形態に係るI/V変換回路の構成の一例を示す図である。
図8】本発明の第5の実施形態に係るI/V変換回路の構成の一例を示す図である。
図9】本発明の第6の実施形態に係るI/V変換回路の構成の一例を示す図である。
図10】本発明の第7の実施形態に係るI/V変換回路の構成の一例を示す図である。
図11】従来の光ラインセンサの回路の一例を示す図である。
図12】従来のI/V変換回路の電源の負極配線の電位の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態の概要)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る光ラインセンサLSの回路の一例を示す図である。図1の光ラインセンサLSの回路と、図11の光ラインセンサLS0の回路とを比較すると、I/V変換回路Cが異なる。ここで他の構成要素(オフセット補償回路CC、サンプルホールド回路HC、スイッチSW2、読み出し制御回路RC、出力回路OC、電源の正極配線VDD、及び電源の負極配線VSS)は、図1の光ラインセンサLSの回路と、図11の光ラインセンサLS0の回路とにおいて同じである。以下では、I/V変換回路Cについて、図11の半導体装置S0のI/V変換回路C0と異なる部分を中心に説明する。
光ラインセンサLSは、半導体装置Sを、電源の正極配線VDDと電源の負極配線VSSとの間に並列に複数備える。半導体装置Sのそれぞれは、I/V変換回路C-1~I/V変換回路C-N(ただしNはI/V変換回路Cの個数)をそれぞれ含む。
以下では、I/V変換回路C-1~I/V変換回路C-Nを代表してI/V変換回路C-1について説明する。I/V変換回路C-2~I/V変換回路C-Nの構成は、I/V変換回路C-1と同様であるため、説明を省略する。
【0026】
図2は、本実施形態に係るI/V変換回路C-1の一例を示す図である。I/V変換回路C-1は、光検出素子1と、出力トランジスタ2と、コンデンサ3と、リセットスイッチ素子4と、定電流素子5と、定電位差素子6と、出力端子7とを備える。
【0027】
光検出素子1は、一端が電源の正極配線VDDに接続され、他端が第1接続部8に接続されて、入射する光Aの強さに応じた光電流を電源の正極配線VDDから第1接続部8に流す。光検出素子1とは、例えば、フォトダイオードである。
出力トランジスタ2は、ソース端子が電源の正極配線VDDに接続され、ドレイン端子が第2接続部9に接続される。出力トランジスタ2は、一例として、PMOSトランジスタである。
【0028】
コンデンサ3は、一端が第1接続部8に接続され、他端が第2接続部9に接続される。
リセットスイッチ素子4は、一端が第1接続部8に接続され、他端が第2接続部9に接続される。リセットスイッチ素子4は、コンデンサ3に蓄電されている電荷の保持と放電とを制御する。
【0029】
定電流素子5は、一端が第2接続部9に接続され、他端が電源の負極配線VSSに接続される。定電流素子5は、第2接続部9に流れる電流を制御する。定電流素子5は、一例として、NMOSトランジスタである。図2に示す例では、NMOSトランジスタは、ドレイン端子が第2接続部9に接続され、ソース端子が電源の負極配線VSSに接続される。
【0030】
定電位差素子6は、一端が電源の正極配線VDDに接続され、他端が第2接続部9に接続される。定電位差素子6は、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差が所定の閾値に達しない場合には電源の正極配線VDDから第2接続部9への電流の流れを阻止する。ここで所定の閾値とは、例えば、0.5Vである。
一方、定電位差素子6は、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差が所定の閾値に達する場合には電源の正極配線VDDから第2接続部9に電流を流すことにより第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差を所定の値に保持する。
出力端子7は、第2接続部9に接続される。
【0031】
なお、本実施形態では、出力トランジスタ2において、ソース端子が電源の正極配線VDDに接続され、ドレイン端子が第2接続部9に接続される場合について説明したが、これに限らない。出力トランジスタ2は、ソース端子又はドレイン端子のうち、一方が電源の正極配線VDDに接続され、他方が第2接続部9に接続されればよい。例えば、出力トランジスタ2は、ドレイン端子が電源の正極配線VDDに接続され、ソース端子が第2接続部9に接続されてもよい。
また、本実施形態では、定電流素子5であるNMOSトランジスタは、ドレイン端子が第2接続部9に接続され、ソース端子が電源の負極配線VSSに接続される場合について説明したが、これに限らない。定電流素子5であるNMOSトランジスタは、ソース端子が第2接続部9に接続され、ドレイン端子が電源の負極配線VSSに接続されてもよい。
【0032】
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体装置Sは、光検出素子1と、出力トランジスタ2と、コンデンサ3と、リセットスイッチ素子4と、定電流素子5と、定電位差素子6と、出力端子7とを備える。
【0033】
ここで、定電位差素子6の動作について説明する。上述したように、定電位差素子6は一端が電源の正極配線VDDに接続され、他端が第2接続部9に接続されている。
上述したように、定電位差素子6は、第2接続部9の電位V2と正極配線VDDの電位Vddとの電位差が所定の閾値に達しない場合には、正極配線VDDから第2接続部9への電流の流れを阻止する。また、定電位差素子6は、第2接続部9の電位V2と正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6が所定の閾値に達する場合には、電源の正極配線VDDの電位Vddと第2接続部9の電位V2とが所定の電位差になるようにして、電源の正極配線VDDから第2接続部9へ電流を流す。
【0034】
例えば、定電位差素子6がダイオードである場合、第2接続部9の電位V2と正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6が所定の閾値(例えば、順電圧降下の降下幅)に達しない場合には順電流を流さず、電位差Vd6が所定の閾値(例えば、順電圧降下の降下幅)に達する場合には順電流を流す。定電位差素子6がダイオードである場合、順電流が流れると、電源の正極配線VDDの電位Vddと第2接続部9の電位V2とが所定の電位差(すなわち、順電圧降下の降下幅に応じた電位差)になる。
【0035】
ここで、第2接続部9の電位V2と正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6が所定の閾値に達しない場合とは、第1接続部8を流れる光電流が比較的少ない場合、すなわち光検出素子1に入射する光の強さが比較的弱い場合である。つまり、定電位差素子6は、光検出素子1に入射する光の強さが比較的弱い場合には、正極配線VDDから第2接続部9への電流の流れを阻止する。
【0036】
正極配線VDDから第2接続部9への電流の流れが阻止されることにより、第2接続部9の電位V2は、コンデンサ3への蓄積電荷に応じた電位、すなわち、光検出素子1に入射する光の強さに応じた電位になる。
また、第2接続部9の電位V2と正極配線VDDの電位Vddとの電位差が所定の閾値に達する場合とは、第1接続部8を流れる光電流が比較的多い場合、すなわち光検出素子1に入射する光の強さが比較的強い場合である。つまり、定電位差素子6は、光検出素子1に入射する光の強さが比較的強い場合には、電源の正極配線VDDの電位Vddと第2接続部9の電位V2とが所定の電位差になるようにして、正極配線VDDから第2接続部9へ電流を流す。
正極配線VDDから第2接続部9へ電流が流されることにより、第2接続部9の電位V2は、正極配線VDDの電位Vddから定電位差素子6による所定の電圧降下幅だけ降下した電位になる。
【0037】
この構成により、本実施形態に係る半導体装置Sでは、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6が所定の閾値に達する場合にはこの電位差Vd6を所定の値に保持することができる。このため、所定の値以上の強度の光が入射した場合においても、第2接続部9の電位V9が必要以上に低下してしまうことを抑止することができる。
【0038】
ここで、定電流素子5がNMOSトランジスタである場合、ソース端子とドレイン端子との間の電位差Vdsが、仮に図3に示す閾値電圧Vds0以下になると、定電流素子5は線形領域での動作を行う。上述したように定電流素子5は、飽和領域で動作すべきであるから、定電流素子5のソース端子とドレイン端子との間の電位差Vdsは、閾値電圧Vds0を超えていることが望ましい。ここで、電位差Vdsとは、第2接続部9の電位V2と、電源の負極配線VSSの電位Vss(すなわち、グランド電位)との差である。つまり、定電流素子5を飽和領域で動作させるためには、第2接続部9の電位V2が、閾値電圧Vds0を超えていることが望ましい。
【0039】
本実施形態に係る半導体装置Sは、定電位差素子6は、光検出素子1に所定の値以上の強度の光が入射した場合には、第2接続部9の電位V2を所定電位に保持する。ここで、定電位差素子6が保持する電位VDが閾値電圧Vds0を超える値に設定されていれば、光検出素子1に所定の値以上の強度の光が入射した場合に、定電流素子5が線形領域で動作することを抑止することができる。換言すれば、定電位差素子6が保持する電位VDが、第2接続部9の電位V2が閾値電圧Vds0を超えるように設定されていれば、光検出素子1に所定の値以上の強度の光が入射した場合であっても、定電流素子5を飽和領域で動作させることができる。したがって、本実施形態に係る半導体装置Sによれば、出力を安定化させることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る光ラインセンサLSは、半導体装置Sを、電源の正極配線VDDと電源の負極配線VSSとの間に並列に複数備える。
本実施形態に係る光ラインセンサLSは、上述した定電位差素子6を備えているため、光検出素子1所定の値以上の強度の光が入射した場合においても、定電流素子5を飽和領域で動作させることができる。したがって、本実施形態に係る光ラインセンサLSによれば、出力を安定化させることができる。
【0041】
上述した定電位差素子6のより具体的な構成例を以下の各実施形態において説明する。
【0042】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。
上記第1の実施形態では、I/V変換回路は、定電位差素子を備える場合について説明をした。本実施形態では、I/V変換回路が備える定電位差素子が、複数のダイオードを含む場合について説明をする。
本実施形態に係る半導体装置を、半導体装置Saといい、本実施形態に係るI/V変換回路をI/V変換回路Ca-1という。
【0043】
図4は、本実施形態に係るI/V変換回路Ca-1の構成の一例を示す図である。定電位差素子6aは、ダイオード6a-1及びダイオード6a-2を備える。ダイオード6a-1は、アノード端子が電源の正極配線VDDに接続され、カソード端子がダイオード6a-2のアノード端子に接続される。ダイオード6a-2は、アノード端子がダイオード6a-1のカソード端子に接続され、カソード端子が第2接続部9に接続される。つまり、ダイオード6a-1と、ダイオード6a-2とは直列に接続されている。このように、定電位差素子6aは、複数のダイオードを含み、ダイオード6a-1のカソード端子とダイオード6a-2のアノード端子とが互いに接続されている。
【0044】
定電位差素子6aでは、ダイオード6a-1及びダイオード6a-2の整流作用により、第2接続部9の電位と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6-1が、ダイオード6a-1及びダイオード6a-2の順電圧降下の降下幅に達した場合、ダイオード6a-1のアノード端子からダイオード6a-2のカソード端子の方向に電流が流れる。ここでダイオード6a-1及びダイオード6a-2の順電圧降下の降下幅は、例えば、それぞれ0.6Vである。つまり、ダイオード6a-1及びダイオード6a-2による順電圧降下の降下幅は、1.2Vである。
【0045】
なお、本実施形態では、定電位差素子6aが2つのダイオードを備える場合について説明したが、これに限らない。定電位差素子6aが備えるタイオードの数は、ダイオードの順電圧降下の降下幅と、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの所望の電位差とに応じて変更されてよい。
【0046】
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体装置Saでは、定電位差素子6aは、複数のダイオード(ダイオード6a-1及びダイオード6a-2)を含み、第1のダイオード(ダイオード6a-1)のカソード端子と第2のダイオード(ダイオード6a-2)のアノード端子とが互いに接続されている。
この構成により、本実施形態に係る半導体装置Saでは、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6-1が所定の閾値に達した場合に、1つのダイオードでは、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6-1を所望の電位差にできなくも、2つ以上のダイオードにより第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6-1を所望の電位差にできるため、所定の値以上の強度の光が入射した場合においても、出力を安定化させることができる。
【0047】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
上記第1の実施形態では、I/V変換回路が備える定電位差素子が、複数のダイオードを含む場合について説明をした。本実施形態では、I/V変換回路が備える定電位差素子が、複数の電界効果トランジスタを含む場合について説明をする。
本実施形態に係る半導体装置を、半導体装置Sbといい、本実施形態に係るI/V変換回路をI/V変換回路Cb-1という。
【0048】
図5は、本実施形態に係るI/V変換回路Cb-1の構成の一例を示す図である。定電位差素子6bは、電界効果トランジスタ6b-1及び電界効果トランジスタ6b-2を備える。電界効果トランジスタ6b-1及び電界効果トランジスタ6b-2は、一例として、PMOSトランジスタである。
電界効果トランジスタ6b-1は、ソース端子が電源の正極配線VDDに接続され、ゲート端子及びドレイン端子が電界効果トランジスタ6b-2のソース端子に接続される。電界効果トランジスタ6b-2は、ソース端子が電界効果トランジスタ6b-1のゲート端子及びドレイン端子に接続される。電界効果トランジスタ6b-2は、ゲート端子及びドレイン端子が第2接続部9に接続される。つまり、電界効果トランジスタ6b-1と、電界効果トランジスタ6b-2とは直列に接続されている。
【0049】
電界効果トランジスタ6b-1及び電界効果トランジスタ6b-2では、ゲートに閾値以上の電圧がかかる場合、ソースードレイン間に電流が流れる。そのため、定電位差素子6bでは、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6-2が所定の閾値に達する場合、電界効果トランジスタ6b-2のゲートに閾値以上の電圧がかかり、電界効果トランジスタ6b-2に電流が流れる。電界効果トランジスタ6b-1のゲート閾値以上の電圧がかかり、電界効果トランジスタ6b-1に電流が流れる。
つまり、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6-2が所定の閾値に達する場合、電界効果トランジスタ6b-1のソース端子から電界効果トランジスタ6b-2のドレイン端子の向きに電流が流れる。したがって、定電位差素子6bでは、電界効果トランジスタ6b-1及び電界効果トランジスタ6b-2は、定電位差素子ダイオードとして機能する。
【0050】
なお、本実施形態では、定電位差素子6bが2つの電界効果トランジスタを備える場合について説明したが、これに限らない。定電位差素子6bが備える電界効果トランジスタの数は、それら電界効果トランジスタが飽和領域に達する電圧の閾値と、第2接続部9の電位V2と電源の負極配線VSSの電位Vssとの所望の電位差とに応じて変更されてよい。
【0051】
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体装置Sbでは、定電位差素子6bは、電界効果トランジスタ(電界効果トランジスタ6b-1及び電界効果トランジスタ6b-2)を含む。
この構成により、本実施形態に係る半導体装置Sbでは、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6-2により、電界効果トランジスタ6b-1及び電界効果トランジスタ6b-2のゲート電圧に閾値以上の電圧がかかる場合、電界効果トランジスタ6b-1及び電界効果トランジスタ6b-2を流れる電流により、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6-2を一定の値に保持できるため、所定の値以上の強度の光が入射した場合における出力の安定化に電界効果トランジスタの定電位差素子ダイオードとしての特性を用いることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る半導体装置Sbでは、定電位差素子6bは、複数の電界効果トランジスタ(電界効果トランジスタ6b-1及び電界効果トランジスタ6b-2)を含み、第1の電界効果トランジスタ(電界効果トランジスタ6b-2)のソース端子と、第2の電界効果トランジスタ(電界効果トランジスタ6b-1)のドレイン端子とが互いに接続されている。
この構成により、本実施形態に係る半導体装置Sbでは、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6-2が所定の閾値に達した場合に、1つの電界効果トランジスタでは、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddと電位差Vd6-2を所望の電位差にできなくも、2つ以上の電界効果トランジスタにより第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddと電位差Vd6-2を所望の電位差にできるため、所定の値以上の強度の光が入射した場合においても、出力を安定化させることができる。
【0053】
なお、本実施形態では、定電位差素子が含む電界効果トランジスタがPMOSトランジスタである場合について説明したが、これに限らない。定電位差素子が含む電界効果トランジスタは、NMOSトランジスタであってもよい。定電位差素子が含む電界効果トランジスタがNMOSトランジスタである場合の半導体装置Scを図6に示す。
図6は、本実施形態の変形例に係るI/V変換回路Cc-1の構成の一例を示す図である。定電位差素子6cは、電界効果トランジスタ6c-1及び電界効果トランジスタ6c-2を備える。電界効果トランジスタ6c-1及び電界効果トランジスタ6c-2は、NMOSトランジスタである。定電位差素子6cが含む電界効果トランジスタがNMOSトランジスタであっても、半導体装置Scの動作は、定電位差素子が含む電界効果トランジスタがPMOSトランジスタである場合と同様である。
【0054】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第3の実施形態について詳しく説明する。
上記第2の実施形態では、I/V変換回路が備える定電位差素子が、複数の電界効果トランジスタを含む場合について説明をした。本実施形態では、I/V変換回路が備える定電位差素子が含む電界効果トランジスタのゲート端子が出力トランジスタのゲート端子に接続されている場合について説明する。
本実施形態に係る半導体装置を、半導体装置Sdといい、本実施形態に係るI/V変換回路をI/V変換回路Cd-1という。
【0055】
図7は、本実施形態に係るI/V変換回路Cd-1の構成の一例を示す図である。I/V変換回路Cd-1は、定電位差素子として電界効果トランジスタ6dを備える。電界効果トランジスタ6dは、一例として、NMOSトランジスタである。
【0056】
電界効果トランジスタ6dは、ゲート端子が出力トランジスタ2のゲート端子に接続されている。つまり、電界効果トランジスタ6dのゲート端子と、出力トランジスタ2のゲート端子とは、ともに第1接続部8に接続され共通化されている。
電界効果トランジスタ6dは、ソース端子又はドレイン端子のうち、一方が電源の正極配線VDDに接続され、他方が第2接続部9に接続されている。
【0057】
電界効果トランジスタ6dのゲート端子と、出力トランジスタ2のゲート端子とは、ともに第1接続部8に接続され共通化されているため、出力トランジスタ2のゲート端子の電位が上昇すると、電界効果トランジスタ6dのゲート端子の電位も上昇する。ここで電界効果トランジスタ6dが電圧の閾値は、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6-4の所定の閾値と同じ値が選ばれている。したがって、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6-4が所定の閾値に達すると、電界効果トランジスタ6dの電源の正極配線VDDに接続される端子から第2接続部9に接続される端子の向きに電流が流れる。
【0058】
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体装置Sdでは、電界効果トランジスタ6dは、ゲート端子が出力トランジスタ2のゲート端子に接続されている。
この構成により、本実施形態に係る半導体装置Sdでは、定電位差素子を複数の素子を直列に接続し構成する場合に比べ電界効果トランジスタ6dが保持する電位差Vd6-4の誤差を軽減することができる。
【0059】
ここで定電位差素子を複数の素子を直列に接続し構成する場合、製造時の個体差により複数の素子毎に特性にばらつきが生じることがある。複数の素子毎に特性にばらつきが生じると、第2接続部9の電位V2と電源の正極配線VDDの電位Vddとの電位差Vd6-4の所定の閾値に達した場合に、定電位差素子が保持する電位差Vd6-4に誤差が生じる場合がある。一方、本実施形態に係る半導体装置Sdでは、電界効果トランジスタ6dは1つの素子であるため、電界効果トランジスタ6dが保持する電位差Vd6-4は、複数の素子毎の特性のばらつきによる誤差の影響を受けない。
【0060】
(第4の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第4の実施形態について詳しく説明する。上記第3の実施形態では、I/V変換回路が備える定電位差素子が含む電界効果トランジスタのゲート端子が出力トランジスタのゲート端子に接続されている場合について説明した。本実施形態では、I/V変換回路が備える定電位差素子が含む電界効果トランジスタのゲート端子が所定の電位に維持されている場合について説明する。
本実施形態に係る半導体装置を、半導体装置Seといい、本実施形態に係るI/V変換回路をI/V変換回路Ce-1という。
【0061】
図8は、本実施形態に係るI/V変換回路Ce-1の構成の一例を示す図である。I/V変換回路Ce-1は、定電位差素子として電界効果トランジスタ6eを備える。電界効果トランジスタ6eは、一例として、NMOSトランジスタである。
電界効果トランジスタ6eは、ゲート端子が分圧比に基づくバイアスにより所定の電位に維持されている。
なお、分圧比に元づくバイアスには、抵抗分圧が用いられてもよい。また、電界効果トランジスタ6eのゲート端子は、分圧比に基づくバイアスの代わりに電池に接続されてもよい。
【0062】
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体装置Seでは、電界効果トランジスタ6eは、ゲート端子が所定の電位に維持されている。
この構成により、本実施形態に係る半導体装置Seでは、電界効果トランジスタ6eのゲート端子の電位を調整できるため、定電位差素子である電界効果トランジスタ6eが保持する電位差を容易に調整することができる。また、本実施形態に係る半導体装置Seでは、電界効果トランジスタ6eは1つの素子であるため、定電位差素子を複数の素子を直列に接続し構成する場合に比べ電界効果トランジスタ6eが保持する電位差の誤差を軽減することができる。
【0063】
(第5の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第5の実施形態について詳しく説明する。上記第3の実施形態では、I/V変換回路が備える定電位差素子が含む電界効果トランジスタのゲート端子が出力トランジスタのゲート端子に接続されている場合について説明した。本実施形態では、上記第4の実施形態のI/V変換回路において、電源の正極配線VDD及び電源の負極配線VSSに対してI/V変換回路が逆に接続される場合について説明する。
本実施形態に係る半導体装置を、半導体装置Sfといい、本実施形態に係るI/V変換回路をI/V変換回路Cf-1という。
【0064】
図9は、本実施形態に係るI/V変換回路Cf-1の構成の一例を示す図である。I/V変換回路Cf-1は、光検出素子1fと、出力トランジスタ2fと、コンデンサ3fと、リセットスイッチ素子4fと、定電流素子5fと、電界効果トランジスタ6fと、出力端子7fとを備える。I/V変換回路C-1は、半導体装置Sとして実現される。
【0065】
光検出素子1fは、一端が電源の負極配線VSSに接続され、他端が第1接続部8fに接続されて、入射する光Aの強さに応じた光電流を電源の負極配線VSSから第1接続部8fに流す。
定電流素子5fは、一端が第2接続部9fに接続され、他端が電源の正極配線VDDの正電極配線に接続される。定電流素子5fは、第2接続部9fに流れる電流を制御する。
電界効果トランジスタ6fは、一端が電源の負極配線VSSに接続され、他端が第2接続部9fに接続される。電界効果トランジスタ6fは、ゲート端子が出力トランジスタ2のゲート端子に接続されている。つまり、電界効果トランジスタ6dのゲート端子と、出力トランジスタ2fのゲート端子とは、ともに第1接続部8fに接続され共通化されている。
【0066】
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体装置Sfでは、電界効果トランジスタ6fは、ゲート端子が出力トランジスタ2fのゲート端子に接続されている。
この構成により、本実施形態に係る半導体装置Sfでは、定電位差素子を複数の素子を直列に接続し構成する場合に比べ電界効果トランジスタ6fが保持する電位差Vd6-6の誤差を軽減することができる。
【0067】
(第6の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第6の実施形態について詳しく説明する。上記第4の実施形態では、I/V変換回路が備える定電位差素子が含む電界効果トランジスタのゲート端子が所定の電位に維持されている場合について説明した。本実施形態では、上記第5の実施形態のI/V変換回路において、電源の正極配線VDD及び電源の負極配線VSSに対してI/V変換回路が逆に接続される場合について説明する。
本実施形態に係る半導体装置を、半導体装置Sgといい、本実施形態に係るI/V変換回路をI/V変換回路Cg-1という。
【0068】
図10は、本実施形態に係るI/V変換回路Cg-1の構成の一例を示す図である。I/V変換回路Cg-1は、定電位差素子として電界効果トランジスタ6gを備える。電界効果トランジスタ6gは、一例として、PMOSトランジスタである。なお、電界効果トランジスタ6gは、NMOSトランジスタであってもよい。
電界効果トランジスタ6gは、ゲート端子が分圧比に基づくバイアスにより所定の電位に維持されている。
なお、分圧比に元づくバイアスには、抵抗分圧が用いられてもよい。また、電界効果トランジスタ6gのゲート端子は、分圧比に基づくバイアスの代わりに電池に接続されてもよい。
【0069】
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体装置Sgでは、電界効果トランジスタ6gは、ゲート端子が所定の電位に維持されている。
この構成により、本実施形態に係る半導体装置Sgでは、電界効果トランジスタ6gのゲート端子の電位を調整できるため、定電位差素子である電界効果トランジスタ6gが保持する電位差を容易に調整することができる。また、本実施形態に係る半導体装置Sgでは、電界効果トランジスタ6gは1つの素子であるため、定電位差素子を複数の素子を直列に接続し構成する場合に比べ電界効果トランジスタ6g保持する電位差の誤差を軽減することができる。
【0070】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0071】
LS…光ラインセンサ、S、Sa、Sb、Sc、Sd、Se、Sf…半導体装置、C…I/V変換回路C、CC…オフセット補償回路、HC…サンプルホールド回路、SW1…スイッチ、SW2…スイッチ、RC…読み出し制御回路、OC…出力回路、VDD…正極配線、VSS…負極配線、PD…フォトダイオード、CF…コンデンサCF、LD、LO…配線、1、1f…光検出素子、2、2f…出力トランジスタ、3、3f…コンデンサ、4、4f…リセットスイッチ素子、5、5f…定電流素子、6、6a、6b、6c…定電位差素子、7、7f…出力端子、8…第1接続部、9…第2接続部、6a-1、6a-2…ダイオード、6b-1、6b-2、6c-1、6c-2、6d、6e、6f…電界効果トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12