(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】ガードマンボックス
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
E04H1/12 305
(21)【出願番号】P 2018208950
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】宮瀬 文裕
(72)【発明者】
【氏名】宇野 昌利
(72)【発明者】
【氏名】谷川 将規
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敏明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 豊
(72)【発明者】
【氏名】岩井 一将
【審査官】新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3218501(JP,U)
【文献】登録実用新案第3035266(JP,U)
【文献】登録実用新案第3144488(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04B 1/343- 1/344
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外の所定位置で業務を行う者が入り、この者の防寒・防風雨対策を図るためのガードマンボックスであって、
段ボール製であるとともに、
筒状に形成されたボックス本体部と、
前記ボックス本体部の下端から外側に折り曲げて延設され、前記ボックス本体部を立設して保持するための複数の支持脚部とを備えており、
且つ、前記ボックス本体部が、前面となる側面に開口形成された開口部を備えるとともに、一部の側面部が上下方向に延びる回動軸部を中心に回動可能な扉状に形成されていることを特徴とするガードマンボックス。
【請求項2】
請求項1記載のガードマンボックスにおいて、
前記ボックス本体部の上端の開口を被覆して閉塞するように着脱可能に取り付けられる屋根部を備えることを特徴とするガードマンボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、工事現場のガードマンなどが入って防寒を図ったり、風雨などを凌ぐためのガードマンボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、建設工事現場などでは、歩行者、自動車(運転者)などの安全を確保するために出入口等にガードマン、交通誘導員等を配置して作業を行うようにしている。
【0003】
冬期の工事や寒冷地での工事では、ガードマンや交通誘導員が屋外での長時間にわたる業務を行うことになり、一般に、防寒服を着用して寒さ対策を講じている。
【0004】
一方、防寒服を着用しても十分な防寒効果を得られないケースもあり、ガードマンボックスを設置し、その中に入って業務を行うケースもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のガードマンボックスは、防寒効果が非常に高い反面、設置・撤去が容易でなく、必要な時に必要な場所で使うことが難しい。また、ガードマンボックスを設置する場所が十分確保できないケースもある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、設置、撤去が容易で、汎用性に優れたガードマンボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0009】
本発明に係るガードマンボックスは、屋外の所定位置で業務を行う者が入り、この者の防寒・防風雨対策を図るためのガードマンボックスであって、段ボール製であるとともに、筒状に形成されたボックス本体部と、前記ボックス本体部の下端から外側に折り曲げて延設され、前記ボックス本体部を立設して保持するための複数の支持脚部とを備えており、且つ、前記ボックス本体部が、前面となる側面に開口形成された開口部を備えるとともに、一部の側面部が上下方向に延びる回動軸部を中心に回動可能な扉状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るガードマンボックスにおいて、前記ボックス本体部の上端の開口を被覆して閉塞するように着脱可能に取り付けられる屋根部を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のガードマンボックスにおいては、断熱効果のある防寒ボックスを、軽量・携帯可能に製作することができる。そして、軽量、省スペースのため、設置が容易であり、使用範囲が広く、また、使用後は、再利用可能であり、環境にやさしく、廃棄費用も不要であり、汎用性に優れたガードマンボックスを実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るガードマンボックスを示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るガードマンボックスを示す背面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るガードマンボックスの屋根部を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るガードマンボックスの扉部を示す図であり、扉を閉じた状態を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るガードマンボックスの扉部を示す図であり、扉を開いた状態を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るガードマンボックスの扉部の回動軸の一例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るガードマンボックスを示す図であり、扉を開いた状態を示す平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るガードマンボックスの変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1から
図7を参照し、本発明の一実施形態に係るガードマンボックスについて説明する。
【0014】
本実施形態のガードマンボックスは、冬期の工事や寒冷地での工事におけるガードマンや交通誘導員の防寒対策や、風雨などを凌ぐための防風雨対策に用いて好適なボックスに関するものである。すなわち、本発明における「ガードマンボックス」は、カードマンや交通誘導員など、屋外の所定位置で長時間業務を行う者が入り、この者の防寒・防風雨対策を図るためのボックスを示すものであり、その適用対象をガードマンに限定する必要はない。
【0015】
具体的に、本実施形態のガードマンボックスAは、
図1から
図3に示すように、段ボールを用いて製作可能なものであり、筒状のボックス本体部1と、ボックス本体部1の下端から外側に折り曲げて延設され、ボックス本体部1を立設して保持するための複数の支持脚部2と、ボックス本体部1の上端の開口を被覆して閉塞するように着脱可能に取り付けられる屋根部3とを備えて構成されている。段ボールは、ライナーに耐水加工を施した耐水ライナーを用いることで、防湿効果をもたらすこともできる。
【0016】
本実施形態のボックス本体部1は、例えば、五角形、六角形などの多角筒状に形成されている。これにより、ガードマンボックス本体が倒れにくくなっている。また、ガードマンボックスAの前面となる一部の側面に上端から下端側に向けて凹み、中に入ったガードマンが外側を十分に臨めるように開口する開口部5が形成されている。
【0017】
さらに、
図1、
図4、
図5、
図7に示すように、一部の側面は、上下方向に延びる角部(回動軸部6)を中心に回動可能な扉部7を備えて形成され、マジックテープ(登録商標)などを用いて固定/回動可能に構成されている。これにより、この扉部7を開閉することで容易にガードマンがボックス内外に出入りすることができる。なお、本実施形態の回動軸部6は、
図6に示すように、段ボールを表面側から切り取って凹状(凹部8)にするなど、他の部分よりも段ボールを薄肉に形成して回動可能に形成されている。
【0018】
屋根部3は、
図1、
図2、
図3に示すように、ボックス本体部1の多角形状、その面積に合わせて多角状に形成され、ボックス本体部1の上端開口部を閉塞するように配設される多角平板状の天板部3aと、天板部3aの外周辺部にそれぞれ直角に下方に折り曲げられて設けられた嵌合固定部3bとを備えて形成されている。
【0019】
屋根部3は、嵌合固定部3bで囲まれた内部にボックス本体部1の上端部を嵌合させてボックス本体部1の上端部に取り付けられ、嵌合固定部3bでこの状態を保持するとともに天板部3aでボックス本体部1の上端開口を塞ぐように取り付けられる。
【0020】
また、ボックス本体部1の上端部側と屋根部3の嵌合固定部3bは、複数のメタルジョイント、ファスナーなどを用いて着脱可能に固定されている。
【0021】
上記構成からなる本実施形態のガードマンボックスAにおいては、ボックス本体部1(支持脚部2含む)、屋根部3が平板状の段ボールを折り曲げ、適宜箇所を固着することによって組立て形成することができる。また、ボックス本体部1、屋根部3となる所定の大きさ、所定の形状で形成された段ボールは、折り畳んで運搬することができる。
【0022】
そして、組立てたボックス本体部1に屋根部3を嵌合して立設し、所定位置に配置した状態でボックス本体部1の下端から外側に突出した支持脚部3に重しを載せるなどし、容易に設置することができる。
【0023】
したがって、本実施形態のガードマンボックスAにおいては、断熱効果のある防寒ボックスを、軽量・携帯可能に製作することができる。そして、軽量、省スペースのため、設置が容易であり、使用範囲が広く、また、使用後は、再利用可能であり、環境にやさしく、廃棄費用も不要である。
【0024】
よって、本実施形態のガードマンボックスAによれば、従来と比較し、設置、撤去が容易で、汎用性に優れたガードマンボックスAを実現することが可能になる。
【0025】
以上、本発明に係るガードマンボックスの一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0026】
例えば、本実施形態では、本発明に係るガードマンボックスAが屋根部3を備えるものとして説明を行ったが、
図8に示すように、屋根部を備えずに構成してもよい。
【0027】
また、
図7(及び
図1)に示すように、ボックス本体部1の背面側に段ボールを折り曲げて形成されるジョイント部1aを設け、開口部5を形成する背面側のボックス上部1bとボックス下部1cとを着脱可能/分離可能に形成してもよい。この場合には、現地でボックス下部1cにボックス上部1bを取り付けてボックス本体部1を形成できるため、本実施形態よりもさらに運搬性、取扱性、汎用性を向上させることができる。
【0028】
さらに、ボックス本体部1の側部の複数個所にロープなどの支持線材の一端を取り付けるための定着部を設けて構成してもよい。この場合には、例えば、ガードマンボックスAの外側の地面に打ち込んだペグなどに他端を、定着部に一端を結び付けるなどして支持線材を取り付けることにより、ガードマンボックスAを支持脚部2だけでなく支持線材によって支持でき、より安定した状態でガードマンボックスAを設置することが可能になる。これにより、ガードマンボックスAが段ボール製で軽量であっても強風などよって倒れることを確実に防止できる。
【符号の説明】
【0029】
1 ボックス本体部
1a ジョイント部
1b ボックス上部
1c ボックス下部
2 支持脚部
3 屋根部
3a 天板部
3b 嵌合固定部
5 開口部
6 回動軸部
7 扉部
8 凹部
A ガードマンボックス