(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】交換システム
(51)【国際特許分類】
B24B 45/00 20060101AFI20220308BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B24B45/00 A
B25J13/00 Z
(21)【出願番号】P 2018243237
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽瀬川 賢一
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-246560(JP,A)
【文献】特開平6-91524(JP,A)
【文献】特開2018-199200(JP,A)
【文献】実開昭61-78563(JP,U)
【文献】特開昭64-45570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 45/00
B25J 11/00 - 13/00
B23Q 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼片の研削に用いられるグラインダーの砥石の交換システムであって、前記交換システムが、
前記グラインダーの研削位置から、前記砥石を交換する際の交換位置まで移動可能な砥石軸と、
アーム部と、前記アーム部の先端に設けられたハンド部とを備え、前記交換位置にある前記砥石軸の前記砥石を交換可能な交換ロボットと、
前記交換ロボットを制御する制御部と
を備え、
前記砥石軸は、
砥石軸本体と、
前記砥石軸本体に設けられ、前記砥石の第1の端面に対向する第1フランジと、前記砥石を挿通して支持する挿通軸を有する第1フランジ部材と、
前記砥石の第2の端面に対向する第2フランジを有し、前記第1フランジ部材に複数の締結部材によって固定されて、前記第1フランジ部材とともに前記砥石を挟持する第2フランジ部材と
を備え、
前記交換ロボットの前記ハンド部は、
前記第2フランジ部材を前記第1フランジ部材に対して着脱する際に、前記第2フランジ部材と係合可能な係合部と、
前記第2フランジ部材の位置を検知可能なセンサ部と
を有し、
前記第2フランジ部材は、前記第2フランジの、前記砥石の前記第2の端面と対向する面とは反対側の面から突出して設けられ、前記ハンド部の前記係合部と前記挿通軸の軸方向で係合可能な少なくとも3つの被係合部を備え、
前記被係合部の外縁を前記センサ部が検知することによって前記第2フランジ部材の位置が検知され、検知された前記第2フランジ部材の位置情報に基づいて前記ハンド部が前記第2フランジ部材に向かって移動して、前記ハンド部の前記係合部と前記第2フランジ部材の前記被係合部とを係合させて、前記第2フランジ部材が前記第1フランジ部材から取り外される、交換システム。
【請求項2】
前記ハンド部は、前記締結部材を弛緩および/または締結する弛緩・締結機構を有し、
前記弛緩・締結機構は、前記締結部材と係合して前記締結部材を軸周りに回転させる回転部材を有し、
前記回転部材は、前記センサ部により検知された第2フランジ部材の位置情報に基づいて、前記締結部材の位置へと移動して前記締結部材を弛緩および/または締結する、請求項1に記載の交換システム。
【請求項3】
前記第2フランジ部材は中央に貫通孔を有し、前記貫通孔の周囲に、前記締結部材のそれぞれが挿入される複数の締結孔を有し、
前記制御部は、前記回転部材により前記複数の締結部材のそれぞれを弛緩させる際に、前記締結部材を所定の弛緩状態まで回転させた後、所定のトルクで当該1つの締結部材を締結方向に回転させ、前記複数の締結部材のそれぞれを徐々に弛緩させるように前記回転部材を制御する、請求項2に記載の交換システム。
【請求項4】
前記第2フランジ部材の前記被係合部が前記ハンド部の前記係合部に対して、前記挿通軸の軸周りに回転することにより、または、
前記ハンド部の前記係合部が前記第2フランジ部材の前記被係合部に対して、前記挿通軸の軸周りに回転することにより、
前記係合部と前記被係合部とが係合するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の交換システム。
【請求項5】
前記第2フランジ部材は中央に貫通孔を有し、前記貫通孔の周囲に、前記締結部材のそれぞれが挿入される複数の締結孔を有し、
前記ハンド部は、前記係合部が設けられた基部と、前記基部に対して所定の軸周りに回転可能な回転部とを有し、前記回転部は、前記回転部が前記挿通軸の軸周りに回転することにより、前記第2フランジ部材が前記挿通軸の軸周りに回転し、前記係合部と前記被係合部とが係合する、請求項4に記載の交換システム。
【請求項6】
前記センサ部は、接触により位置情報を取得するプローブを有するタッチセンサであり、
前記被係合部は、
前記第2の端面に対して垂直に延びる第1基準面と、
前記第2の端面に対して垂直、かつ、前記第1基準面に対して垂直に延びる第2基準面と、
前記第2の端面と平行に延びる第3基準面とを有し、
前記制御部は、
前記センサ部の前記プローブを、3つの前記被係合部それぞれの前記第3基準面に当接させて、前記第2フランジ部材の姿勢を検出し、
前記プローブを、少なくとも1つの前記被係合部の前記第1基準面、前記第2基準面および前記第3基準面に当接させて、前記第2フランジ部材の、前記挿通軸の軸方向に平行な方向となるX方向におけるX位置、水平方向のうち、前記X方向に垂直な方向であるY方向におけるY位置、鉛直方向であるZ方向におけるZ位置を検出するように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の交換システム。
【請求項7】
前記制御部が、前記プローブを、前記第1基準面のうちの異なる2点、前記第2基準面のうちの異なる2点、または、前記第3基準面のうちの異なる2点に接触するように制御して、前記挿通軸の軸周り方向での前記第2フランジ部材の回転角度を検出する、請求項6に記載の交換システム。
【請求項8】
前記ハンド部が、前記砥石軸から前記砥石を取り外すように構成された砥石取り外し機構を有し、
前記砥石取り外し機構は、
前記砥石を支持する支持部と、
前記砥石軸から前記支持部へと前記砥石を移動させる砥石移動部と
を有している、請求項1~7のいずれか1項に記載の交換システム。
【請求項9】
前記砥石移動部は、前記挿通軸の軸方向に平行な方向となるX方向に移動し、水平方向のうち前記X方向に垂直なY方向で互いに離間して配置された一対の砥石移動アームを有し、
前記一対の砥石移動アームは、前記砥石の前記第1の端面に当接可能な当接部を有し、前記砥石軸の前記第1フランジ部材から離れる方向に移動する際に前記砥石を前記支持部へと移動させる、請求項8に記載の交換システム。
【請求項10】
前記砥石移動部は、前記一対の砥石移動アームのそれぞれに荷重センサを有し、
前記制御部が、前記荷重センサにより検知された荷重に応じて、前記一対の砥石移動アームのそれぞれの移動量を制御するように構成されている、請求項9に記載の交換システム。
【請求項11】
前記砥石移動部は、前記荷重センサに加わる荷重を緩衝するために、前記荷重センサに接続されたバネ部材を有している、請求項10に記載の交換システム。
【請求項12】
前記ハンド部が、交換用の新品砥石を支持し、前記新品砥石を前記砥石軸へと移動可能な新品砥石取り付け機構を有し、
前記新品砥石取り付け機構は、
前記新品砥石を支持する新品砥石支持部と、
前記新品砥石支持部から前記砥石軸へと前記新品砥石を押し出す押圧部と
を備えている、請求項1~11のいずれか1項に記載の交換システム。
【請求項13】
前記ハンド部は、異なる機能を有する複数のハンドユニットを有し、
前記複数のハンドユニットのうちの1つが前記アーム部に対して着脱自在に取り付けられる、請求項1~12のいずれか1項に記載の交換システム。
【請求項14】
前記ハンド部が、
前記係合部と、前記センサ部と、前記締結部材を弛緩および/または締結する弛緩・締結機構とを備えた第1ハンドユニットと、
前記砥石を支持する支持部と、前記砥石軸から前記支持部へと前記砥石を移動させる砥石移動部とを有する、前記砥石軸から前記砥石を取り外すように構成された砥石取り外し機構を備えた第2ハンドユニットと、
新品砥石を支持する新品砥石支持部と、前記新品砥石支持部から前記砥石軸へと前記新品砥石を押し出す押圧部とを有する、交換用の新品砥石を支持し、前記新品砥石を前記砥石軸へと移動可能な新品砥石取り付け機構を備えた第3ハンドユニットと
を備え、
前記第1ハンドユニット、前記第2ハンドユニットおよび前記第3ユニットのうちの1つが前記アーム部に対して着脱自在に取り付けられる、請求項1に記載の交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥石の交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鋼片の疵を研削するためのグラインダーに用いられる砥石は、表面が摩耗して径が小さくなると、新品の砥石に交換する必要がある。砥石の交換の際には、グラインダーの研削位置に位置する砥石軸を交換場所まで移動させる。砥石軸は、たとえば、2つのフランジ部材と、当該2つのフランジ部材に挟まれた砥石を有している。砥石を交換する際には、2つのフランジ部材のうち、1つのフランジ部材を砥石軸から取り外して、使用済みの砥石を新たな砥石に付け替えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した砥石の交換作業を人手で行うと作業者の負担が大きいため、砥石の交換作業を機械化することが望まれている。しかし、鋼片の疵を研削するグラインダーなど、大型の重研削機の場合、砥石軸をグラインダーでの研削位置から砥石を交換する交換位置まで移動させる際の移動距離が大きい。そのため、短距離を移動する場合のように位置精度を高めにくく、交換位置での砥石軸の実際の位置が設計した位置に対してずれたり、砥石軸の移動間で位置ズレが生じたりする可能性がある。そのため、砥石軸の位置ズレに起因して、砥石の交換作業を行うロボットが移動した設計上の位置が、砥石やフランジ部材の位置に対してズレが生じて、砥石の交換作業の機械化、自動化が困難となっている。
【0004】
そこで、本発明はかかる問題点に鑑みて、砥石軸の位置ズレが生じたとしても、ロボットによって砥石の交換を容易に行うことができる、砥石の交換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の交換システムは、鋼片の研削に用いられるグラインダーの砥石の交換システムであって、前記交換システムが、前記グラインダーの研削位置から、前記砥石を交換する際の交換位置まで移動可能な砥石軸と、アーム部と、前記アーム部の先端に設けられたハンド部とを備え、前記交換位置にある前記砥石軸の前記砥石を交換可能な交換ロボットと、前記交換ロボットを制御する制御部とを備え、前記砥石軸は、砥石軸本体と、前記砥石軸本体に設けられ、前記砥石の第1の端面に対向する第1フランジと、前記砥石を挿通して支持する挿通軸を有する第1フランジ部材と、前記砥石の第2の端面に対向する第2フランジを有し、前記第1フランジ部材に複数の締結部材によって固定されて、前記第1フランジ部材とともに前記砥石を挟持する第2フランジ部材とを備え、前記交換ロボットの前記ハンド部は、前記第2フランジ部材を前記第1フランジ部材に対して着脱する際に、前記第2フランジ部材と係合可能な係合部と、前記第2フランジ部材の位置を検知可能なセンサ部とを有し、前記第2フランジ部材は、前記第2フランジの、前記砥石の前記第2の端面と対向する面とは反対側の面から突出して設けられ、前記ハンド部の前記係合部と前記挿通軸の軸方向で係合可能な少なくとも3つの被係合部を備え、前記被係合部の外縁を前記センサ部が検知することによって前記第2フランジ部材の位置が検知され、検知された前記第2フランジ部材の位置情報に基づいて前記ハンド部が前記第2フランジ部材に向かって移動して、前記ハンド部の前記係合部と前記第2フランジ部材の前記被係合部とを係合させて、前記第2フランジ部材が前記第1フランジ部材から取り外されることを特徴とする。
【0006】
また、前記ハンド部は、前記締結部材を弛緩および/または締結する弛緩・締結機構を有し、前記弛緩・締結機構は、前記締結部材と係合して前記締結部材を軸周りに回転させる回転部材を有し、前記回転部材は、前記センサ部により検知された第2フランジ部材の位置情報に基づいて、前記締結部材の位置へと移動して前記締結部材を弛緩および/または締結することが好ましい。
【0007】
また、前記第2フランジ部材は中央に貫通孔を有し、前記貫通孔の周囲に、前記締結部材のそれぞれが挿入される複数の締結孔を有し、前記制御部は、前記回転部材により前記複数の締結部材のそれぞれを弛緩させる際に、前記締結部材を所定の弛緩状態まで回転させた後、所定のトルクで当該1つの締結部材を締結方向に回転させ、前記複数の締結部材のそれぞれを徐々に弛緩させるように前記回転部材を制御することが好ましい。
【0008】
また、前記第2フランジ部材の前記被係合部が前記ハンド部の前記係合部に対して、前記挿通軸の軸周りに回転することにより、または、前記ハンド部の前記係合部が前記第2フランジ部材の前記被係合部に対して、前記挿通軸の軸周りに回転することにより、前記係合部と前記被係合部とが係合するように構成されていることが好ましい。
【0009】
また、前記第2フランジ部材は中央に貫通孔を有し、前記貫通孔の周囲に、前記締結部材のそれぞれが挿入される複数の締結孔を有し、前記ハンド部は、前記係合部が設けられた基部と、前記基部に対して所定の軸周りに回転可能な回転部とを有し、前記回転部は、前記回転部が前記挿通軸の軸周りに回転することにより、前記第2フランジ部材が前記挿通軸の軸周りに回転し、前記係合部と前記被係合部とが係合することが好ましい。
【0010】
また、前記センサ部は、接触により位置情報を取得するプローブを有するタッチセンサであり、前記被係合部は、前記第2の端面に対して垂直に延びる第1基準面と、前記第2の端面に対して垂直、かつ、前記第1基準面に対して垂直に延びる第2基準面と、前記第2の端面と平行に延びる第3基準面とを有し、前記制御部は、前記センサ部の前記プローブを、3つの前記被係合部それぞれの前記第3基準面に当接させて、前記第2フランジ部材の姿勢を検出し、前記プローブを、少なくとも1つの前記被係合部の前記第1基準面、前記第2基準面および前記第3基準面に当接させて、前記第2フランジ部材の、前記挿通軸の軸方向に平行な方向となるX方向におけるX位置、水平方向のうち、前記X方向に垂直な方向であるY方向におけるY位置、鉛直方向であるZ方向におけるZ位置を検出するように構成されていることが好ましい。
【0011】
また、前記制御部が、前記プローブを、前記第1基準面のうちの異なる2点、前記第2基準面のうちの異なる2点、または、前記第3基準面のうちの異なる2点に接触するように制御して、前記挿通軸の軸周り方向での前記第2フランジ部材の回転角度を検出することが好ましい。
【0012】
また、前記ハンド部が、前記砥石軸から前記砥石を取り外すように構成された砥石取り外し機構を有し、前記砥石取り外し機構は、前記砥石を支持する支持部と、前記砥石軸から前記支持部へと前記砥石を移動させる砥石移動部とを有していることが好ましい。
【0013】
また、前記砥石移動部は、前記挿通軸の軸方向に平行な方向となるX方向に移動し、水平方向のうち前記X方向に垂直なY方向で互いに離間して配置された一対の砥石移動アームを有し、前記一対の砥石移動アームは、前記砥石の前記第1の端面に当接可能な当接部を有し、前記砥石軸の前記第1フランジ部材から離れる方向に移動する際に前記砥石を前記支持部へと移動させることが好ましい。
【0014】
また、前記砥石移動部は、前記一対の砥石移動アームのそれぞれに荷重センサを有し、前記制御部が、前記荷重センサにより検知された荷重に応じて、前記一対の砥石移動アームのそれぞれの移動量を制御するように構成されていることが好ましい。
【0015】
また、前記砥石移動部は、前記荷重センサに加わる荷重を緩衝するために、前記荷重センサに接続されたバネ部材を有していることが好ましい。
【0016】
また、前記ハンド部が、交換用の新品砥石を支持し、前記新品砥石を前記砥石軸へと移動可能な新品砥石取り付け機構を有し、前記新品砥石取り付け機構は、前記新品砥石を支持する新品砥石支持部と、前記新品砥石支持部から前記砥石軸へと前記新品砥石を押し出す押圧部とを備えていることが好ましい。
【0017】
また、前記ハンド部は、異なる機能を有する複数のハンドユニットを有し、前記複数のハンドユニットのうちの1つが前記アーム部に対して着脱自在に取り付けられることが好ましい。
【0018】
また、前記ハンド部が、前記係合部と、前記センサ部と、前記締結部材を弛緩および/または締結する弛緩・締結機構とを備えた第1ハンドユニットと、前記砥石を支持する支持部と、前記砥石軸から前記支持部へと前記砥石を移動させる砥石移動部とを有する、前記砥石軸から前記砥石を取り外すように構成された砥石取り外し機構を備えた第2ハンドユニットと、新品砥石を支持する新品砥石支持部と、前記新品砥石支持部から前記砥石軸へと前記新品砥石を押し出す押圧部とを有する、交換用の新品砥石を支持し、前記新品砥石を前記砥石軸へと移動可能な新品砥石取り付け機構を備えた第3ハンドユニットとを備え、前記第1ハンドユニット、前記第2ハンドユニットおよび前記第3ユニットのうちの1つが前記アーム部に対して着脱自在に取り付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の交換システムによれば、砥石軸の位置ズレが生じたとしても、ロボットによって砥石の交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態の交換システムの概略全体図である。
【
図2】
図1の交換システムに用いられる砥石軸の斜視図である。
【
図3】第1フランジ部材および第2フランジ部材が固定された状態を示す側面図である。
【
図6】砥石保管部の新品砥石保管部の動作を説明する概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態の交換システムに用いられる第1ハンドユニットのセンサ部および第2フランジ部材着脱機構を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示される第1ハンドユニットにおいて、センサ部、第2フランジ部材着脱機構および弛緩・締結機構を側方から見た側面図である。
【
図9】
図7に示される第1ハンドユニットにおいて、第2フランジ部材着脱機構を軸方向に見た正面図である。
【
図10】
図7に示される第1ハンドユニットにおいて、弛緩・締結機構を示す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態の交換システムに用いられる第2ハンドユニットの斜視図である。
【
図12】
図11に示される第2ハンドユニットの側面図である。
【
図13】
図11に示される第2ハンドユニットの正面図である。
【
図14】
図11に示される第2ハンドユニットに設けられた荷重センサを示す概略図である。
【
図15】本発明の一実施形態の交換システムに用いられる第3ハンドユニットの斜視図である。
【
図16】
図15に示される第3ハンドユニットの側面図である。
【
図17】
図15に示される第3ハンドユニットの正面図である。
【
図18】第1ハンドユニットのセンサ部が、第2フランジ部材の第3基準面に向かって移動して当接する状態を示す概略図である。
【
図19】第1ハンドユニットのセンサ部が、第2フランジ部材の第1基準面および第2基準面に向かって移動して当接する状態を示す概略図である。
【
図20】第1ハンドユニットの弛緩・締結機構の動作を示す概略図である。
【
図21】第1ハンドユニットによるボルトの弛緩動作の順序の一例を示す図である。
【
図22】第2フランジ部材の被係合部と第1ハンドユニットの係合部とが係合する前の状態を示す概略図である。
【
図23】第2フランジ部材の被係合部と第1ハンドユニットの係合部とが係合した状態を示す概略図である。
【
図24】第2フランジ部材の被係合部と第1ハンドユニットの係合部とが係合し、挿入ピンが第2フランジ部材の締結孔に挿入された状態を示す概略図である。
【
図25】第2ハンドユニットによる砥石の取り外し工程において、第2ハンドユニットの砥石移動アームが砥石の上方に位置する状態を示す概略図である。
【
図26】第2ハンドユニットによる砥石の取り外し工程において、第2ハンドユニットの砥石移動アームの当接部が砥石の端面に当接している状態を示す概略図である。
【
図27】
図26の状態からさらに、第2ハンドユニットの連結部が第1フランジ部材のドッキング部に連結された状態を示す概略図である。
【
図28】
図27の状態から、砥石が第2ハンドユニットの支持部に移動した状態を示す概略図である。
【
図29】第3ハンドユニットから第1フランジ部材に新品砥石が取り付けられる前の状態を示す概略図である。
【
図30】第3ハンドユニットから第1フランジ部材に新品砥石が移し変えられた状態を示す概略図である。
【
図31】新品砥石が取り付けられた第1フランジ部材に第2フランジ部材が取り付けられた状態において、被係合部と係合部とが係合した状態を示す概略図である。
【
図32】新品砥石が取り付けられた第1フランジ部材に第2フランジ部材が取り付けられた状態において、被係合部と係合部との間の係合が解除された状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の交換システムを説明する。なお、以下の実施形態で示す交換システムはあくまで一例であり、本発明の交換システムは、以下の例に限定されるものではない。
【0022】
図1に示されるように、本実施形態の交換システム1は、鋼片の研削に用いられるグラインダーGの砥石GS(
図2参照)を交換するシステムである。交換システム1は、
図1に示されるように、グラインダーGの研削位置P1から、砥石GSを交換する際の交換位置P2まで移動可能な砥石軸2と、交換位置P2にある砥石軸2の砥石GSを交換可能な交換ロボット3と、交換ロボット3を制御する制御部4とを備えている。また、本実施形態では、交換システム1はさらに、
図1に示されるように、後述する第2フランジ部材23を保管するフランジ保管部5と、砥石GSを保管する砥石保管部6と、後述するハンド部32を格納するハンド部格納装置7とを備えている。
【0023】
砥石GSは、グラインダーGの砥石軸2に回転可能に支持され、グラインダーGでの鋼片の研削時に回転するように構成されている。砥石GSは、グラインダーGでの鋼片の研削による磨耗によって径が小さくなった場合に新品の砥石GSに交換される。砥石GSの交換時には、グラインダーGの砥石軸2は、
図1に二点鎖線で示される研削位置P1から、砥石GSを交換する際の実線で示される交換位置P2まで移動する。
【0024】
砥石軸2は、本実施形態では、砥石GSを回転可能に支持する部材全体をいい、
図2および
図3に示されるように、砥石軸本体21(
図2参照)と、第1フランジ部材22(
図3参照)と、第2フランジ部材23とを備えている。
【0025】
第1フランジ部材22および第2フランジ部材23は、鋼片の研削時には、砥石GSを挟持した状態で、砥石軸本体21に対して回転するように構成されている。なお、砥石GSの交換時には、砥石軸本体21の裏側から砥石軸本体21および第1フランジ部材22に図示しない固定ピンが挿し込まれて、第1フランジ部材22が砥石軸本体21に対して回転しないようにされている。
【0026】
なお、本実施形態の交換システム1における砥石GSの交換作業の一例は以下のとおりである。
1)砥石軸2を研削位置P1から交換位置P2まで移動させる。
2)砥石軸2から第2フランジ部材23を交換ロボット3によって取り外す。
3)砥石軸2から砥石GSを交換ロボット3によって取り外す。
4)新品砥石GSを交換ロボット3によって砥石軸2に取り付ける。
5)第2フランジ部材23を交換ロボット3によって砥石軸2に取り付ける。
6)砥石軸2を交換位置P2から研削位置P1まで移動させる。
【0027】
本実施形態の交換システム1は、以上の工程を交換システム1によって自動化している。なお、上記工程のそれぞれは適宜変更が可能であり、工程の順序も適宜変更が可能である。また、上記各工程の間に他の工程が含まれていてもよい。また、少なくとも一部の工程を交換システム1以外によって行うようにしてもよく、必ずしも全ての工程が完全に自動化される必要はない。以下、本実施形態の交換システム1の各構成を説明する。
【0028】
第1フランジ部材22は、
図3に示されるように、砥石軸本体21に設けられ、砥石GSの第1の端面S1に対向する第1フランジ221と、砥石GSを挿通して支持する挿通軸222とを有している。第1フランジ221は中央部に開口を有する円盤状に形成されている。挿通軸222は、第1フランジ221の、砥石GSの第1の端面S1と対向する面221aの中央部から垂直方向に延びている。挿通軸222は、略円筒状に形成されている。挿通軸222の外側に、砥石GSの中央部に設けられた貫通孔GSaを介して砥石GSが挿通されて、砥石GSが第1フランジ部材22に支持される。
【0029】
図3に示されるように、挿通軸222の一端(第1フランジ221と繋がっている端部とは反対側の端部)222aにおいて、第2フランジ部材23が第1フランジ部材22に取り付けられる。第1フランジ部材22と第2フランジ部材23との間の接続方法は特に限定されないが、本実施形態では、第1フランジ部材22の挿通軸222の一端222aの外径が、第2フランジ部材23の中央部に形成された貫通孔232の内径とほぼ同じかわずかに小さくなるように形成され、第2フランジ部材23が貫通孔232を介して挿通軸222の一端222aの外側に嵌め込まれるように構成されている。第1フランジ部材22に第2フランジ部材23が取り付けられると、第2フランジ部材23は、第1フランジ部材22に締結部材Bにより固定される。締結部材Bはたとえば、ボルトとすることができるが、締結部材はボルトに限定されない。なお、以下の説明において、締結部材をボルトBと呼ぶ場合がある。本実施形態では、第1フランジ部材22の挿通軸222は、挿通軸222の軸X方向にボルトBを締結可能な締結孔H1を有している。締結孔H1は第2フランジ部材23の締結孔H2の数および位置に対応して形成されている。
【0030】
また、第1フランジ部材22の挿通軸222の一端222aには、後述する交換ロボット3のハンド部32とドッキング可能なドッキング部Dを有している。ドッキング部Dは、ハンド部32とドッキングすることにおり、各工程でのハンド部32の動作時にハンド部32と砥石軸2との間の動きを規制し、ハンド部32の各動作を行いやすくしている。ドッキング部Dは、本実施形態では、第1フランジ部材22と第2フランジ部材23とが取り付けられたときに、第2フランジ部材23の面231bから突出している。
【0031】
第2フランジ部材23は、第1フランジ部材22に取り付けられた砥石GSを第1フランジ部材22とともに挟持することにより、砥石GSを砥石軸2に支持する。第2フランジ部材23は、砥石GSの第2の端面S2に対向する第2フランジ231を有している。第2フランジ231は、第1フランジ221と略平行に配置され、第1フランジ221とともに砥石GSを軸X方向に挟持する。砥石GSは、第2フランジ部材23が第1フランジ部材22に複数のボルトBによって固定されることにより、第1フランジ221および第2フランジ231に挟持された状態で支持される。
【0032】
第2フランジ部材23は、本実施形態では、
図3および
図4に示されるように、第1フランジ部材22の挿通軸222の一端222aが貫通する貫通孔232を中央に有している円盤状の部材である。第2フランジ部材23は、貫通孔232の周囲に、ボルトBのそれぞれが挿入される複数の締結孔H2を有している。本実施形態では、第2フランジ部材23は、
図4に示されるように、貫通孔232の開口縁に沿って、軸X周り方向に8つの締結孔H2が等間隔で設けられている。この締結孔H2にボルトBが挿通される。第2フランジ部材23が第1フランジ部材22に取り付けられて、第1フランジ部材22の締結孔H1と第2フランジ部材23の締結孔H2とが軸X方向で並んだ状態で、ボルトBが締結孔H2および締結孔H1に挿通されて締結される。これにより、砥石GSが第1フランジ部材22および第2フランジ部材23に挟持された状態で固定される。
【0033】
第2フランジ部材23は、
図4に示されるように、さらに被係合部233を有している。被係合部233は、第2フランジ231の砥石GSの第2の端面S2と対向する面231aとは反対側の面(以下、正面という)231bから突出して設けられている。被係合部233は、後述するハンド部32の係合部Eと挿通軸222の軸X方向で係合可能である。被係合部233は、少なくとも3つの被係合部233を備えていることが好ましい。本実施形態では、第2フランジ231に3つの被係合部233が設けられているが、被係合部233の数は特に限定されず、4つ以上の被係合部233が設けられていてもよい。なお、被係合部233の詳細については後述する。
【0034】
図1に示されるフランジ保管部5は、砥石GSの交換に際して、第2フランジ部材23を保管する部位である。本実施形態では、砥石GSの交換の際に使用済みの第2フランジ部材23は廃棄され、砥石GSの交換後に新品の第2フランジ部材23が取り付けられる。そのため、図示は省略するが、フランジ保管部5は、使用済みの第2フランジ部材23を保管する廃棄フランジ保管部と、新品の第2フランジ部材23を保管する新品フランジ保管部とを有している。後述するように、砥石GSの交換の際に、砥石軸2から交換ロボット3によって取り外された使用済みの第2フランジ部材23は、廃棄フランジ保管部に保管される。また、新品の第2フランジ部材23は、砥石GSを交換した後に交換ロボット3によって新品フランジ保管部から取り出され、その後、砥石軸2に取り付けられて第1フランジ部材22とともに砥石GSを挟持する。なお、砥石GSの交換後に交換前と同じ第2フランジ部材23が再度第1フランジ部材22に取り付けられても構わない。なお、フランジ保管部5の第2フランジ部材23の保管の方法は特に限定されない。たとえば、フランジ保管部5は、第2フランジ部材23を吊り下げて支持することができる。
【0035】
砥石保管部6は、砥石GSを保管する部位である。砥石保管部6は、本実施形態では、
図5に示されるように、砥石軸2から外された使用済みの廃棄用砥石GSを保管する廃棄砥石保管部61と、砥石軸2から使用済みの砥石と交換して砥石軸2に取り付けられる新品砥石GSを保管する新品砥石保管部62とを有している。
【0036】
廃棄砥石保管部61は、本実施形態では、鉛直方向に立設した、砥石保管部6の基台6aから水平方向に突出する支持体6bを有している。支持体6bは、砥石GSを支持することができれば特に限定されないが、本実施形態では互いに平行に延びる一対の支持ロッド(以下、支持体6bを支持ロッド6bと呼ぶ)である。廃棄される砥石GSは、交換ロボット3によって砥石軸2から取り外された後、廃棄砥石保管部61まで交換ロボット3によって移動して、一対の支持ロッド6bに吊り下げられる。
【0037】
また、新品砥石保管部62は、基台6aから水平方向に突出する支持体(支持ロッド)6bを有しており、新品砥石GSが支持されている。また、新品砥石保管部62は、
図6に示されるように、新品砥石GSを取り出すために新品砥石保管部62の前へ移動した交換ロボット3に向かって、支持ロッド6bに支持された砥石GSを押し出すように構成されている。具体的には、新品砥石保管部62は、
図5および
図6に示されるように、新品砥石GSの第1の端面S1に当接して、新品砥石GSを交換ロボット3に向かって押し出す環状の押出部材6cを有している。押出部材6cは、
図6に示されるように、電動シリンダー等の駆動機構によって交換ロボット3に向かって移動して、新品砥石保管部62に保管された新品砥石GSを交換ロボット3に向かって押し出して交換ロボット3に移している。なお、砥石保管部6は制御部4と接続されており、押出部材6cの動作は、制御部4によって制御される。
【0038】
交換ロボット3は、砥石GSの交換を行うロボットである。交換ロボット3は、
図1に示されるように、交換システム1の各種動作を制御する制御部4に接続されており、制御部4の制御によって動作を行うように構成されている。なお、制御部4は、交換ロボット3以外に、グラインダーG、砥石保管部6およびハンド部格納装置7などに接続され、交換システム1の各種の動作を制御している。
【0039】
交換ロボット3は、
図1に示されるように、アーム部31と、アーム部31の先端に設けられたハンド部32とを備えている。アーム部31は、交換ロボット3が交換動作を行う際に、ハンド部32を所定の位置に移動させる。本実施形態では、アーム部31は、ハンド部32を、砥石軸2の交換位置P2、フランジ保管部5、砥石保管部6、ハンド部格納装置7へと移動させることができるように構成されている。アーム部31は、所定の自由度を有して移動するものであれば、特にその構造は限定されない。
【0040】
交換ロボット3のハンド部32は、本実施形態では、交換ロボット3による砥石GSの交換作業を行うために、複数の機能を備えている。なお、本実施形態では、ハンド部32は後述するように、異なる機能を有する複数のハンドユニット321、322、323(
図7~
図17参照)を有し、複数のハンドユニット321、322、323のうちの1つがアーム部31に対して着脱自在に取り付けられる。具体的には、本実施形態では、ハンド部32は、第1ハンドユニット321(
図7~
図10参照)、第2ハンドユニット322(
図11~
図14参照)および第3ハンドユニット323(
図15~
図17参照)を備えている。第1ハンドユニット321、第2ハンドユニット322および第3ハンドユニット323のうちの1つがアーム部31に取り付けられて所定の動作を行う。なお、アーム部31に取り付けられていないハンドユニットは、ハンド部格納装置7に格納される。ハンド部格納装置7は、アーム部31に取り付けるハンドユニットを変更する際に、制御部4によって制御されて、
図1に示されるように、ドロワを引き出して、付け替えられるハンドユニットを取り出す。付け替えられるハンドユニットは、ドロワに入った状態でアーム部31の先端とドッキングして、交換ロボット3によって使用される。本実施形態のように、アーム部31に取り付けられる複数のハンドユニットを取り替えて用いる場合、交換ロボット3のハンド部32が大型化せず、砥石GSの交換作業時の取扱いが容易となり、ハンド部32の制御が複雑化しない。
【0041】
なお、ハンド部32は1つのハンド部によって後述する全ての機能を実現しても構わない。なお、本明細書において単に「ハンド部」という場合、アーム部31に接続されて用いられるハンド部全般の総称であり、ハンド部の個数は限定されない。したがって、本実施形態のように、複数のハンドユニット321、322、323がアーム部31に付け替えられて用いられる場合、複数のハンドユニット321、322、323の全てが「ハンド部」となる。
【0042】
つぎに、ハンド部32の機能について説明する。なお、以下で説明する本実施形態のハンド部32の機能はあくまで一例であり、ハンド部32は以下の機能を全て有している必要はなく、また、以下の機能以外の他の機能を有していてもよい。
【0043】
ハンド部32は、本実施形態では、第2フランジ部材23の位置検知機能、締結部材Bの弛緩機能、第2フランジ部材23の取り外し機能、砥石GSの取り外し機能、砥石GSの取り付け機能、第2フランジ部材23の取り付け機能、締結部材Bの締結機能、砥石軸2の清掃機能等を有している。なお、以下では、締結部材Bの弛緩機能と締結機能とを合わせて、弛緩・締結機能と呼び、第2フランジ部材23の取り外し機能と取り付け機能とを合わせて第2フランジ部材23の着脱機能と呼び、砥石GSの取り外し機能と取り付け機能とを合わせて砥石GSの着脱機能と呼ぶ場合がある。
【0044】
以下、これらの機能について本実施形態の交換システム1を用いて説明する。なお、以下の実施形態では、3つの第1ハンドユニット321(
図7~
図10参照)、第2ハンドユニット322(
図11~
図14参照)および第3ハンドユニット323(
図15~
図17参照)がアーム部31に接続されて用いられる。本実施形態では、第1ハンドユニット321は、第2フランジ部材23の位置検知機能、締結部材Bの弛緩・締結機能、第2フランジ部材23の着脱機能、清掃機能を有している。また、第2ハンドユニット322は、砥石GSの取り外し機能を有し、第3ハンドユニット323は、砥石GSの取り付け機能を有している。なお、以下の説明はあくまで一例であり、本発明の交換システム1は以下の実施形態によって限定されない。
【0045】
<清掃機能>
本実施形態では、ハンド部32の第1ハンドユニット321は、清掃機能を有している。具体的には、第1ハンドユニット321は、
図8および
図9に示されるように、砥石軸2に向かってエアを吹きつけ、フラッシングするためのエアーノズルNを有している。このようにハンド部32が清掃機能を有していることにより、砥石GSの交換作業前に第2フランジ部材23などに付着した汚れを取り除くことができ、汚れに起因したセンシングの誤検知や、ハンド部32による交換作業の失敗を防ぐことができる。また、ハンド部32の清掃機能によって、砥石GSを取り外した後の挿通軸222周りの汚れを取り除くこともできる。なお、エアーノズルNを設ける位置は、エアーノズルNによって砥石軸2の汚れを除去することができれば、特に限定されない。本実施形態では、エアーノズルNは、第1ハンドユニット321の弛緩・締結機構の連結部M12に取り付けられている。
【0046】
<第2フランジ部材の位置検知機能>
図7および
図8に示されるように、ハンド部32は、第2フランジ部材23の位置を検知可能なセンサ部SSを有し、ハンド部32はセンサ部SSによって第2フランジ部材23の位置検知機能を奏する。
図7は、ハンド部32のうち、アーム部31に着脱自在に取り付けられる第1ハンドユニット321を示しており、センサ部SSは第1ハンドユニット321に設けられている。第1ハンドユニット321は、アーム部31と接続されるジョイント部321aと、第1ハンドユニット321の各要素が設けられる本体321bとを備えている。本体321bは略直方体状にフレームが組まれることにより形成されている。センサ部SSは、本体321bの1つの面からフレームを介して突出している。センサ部SSは、本体321bの複数の面のうち、後述する第2フランジ部材着脱機構M2と同じ面に設けられているが、センサ部SSを設ける位置は特に限定されない。なお、第2ハンドユニット322および第3ハンドユニット323も、第1ハンドユニット321と同様にジョイント部322a、323a、および、本体322b、323bを有している。
【0047】
センサ部SSは、第2フランジ部材23に設けられた被係合部233の外縁を検知することによって第2フランジ部材23の位置を検知するように構成されている(
図18および
図19参照)。具体的には、センサ部SSは、グラインダーGの研削位置P1から交換位置P2まで移動した砥石軸2の第2フランジ部材23の位置情報を取得するためにセンシングを行う。取得された位置情報は、制御部4によって所定の記憶部(図示せず)に記憶される。センサ部SSの構造や種類は特に限定されないが、本実施形態では、センサ部SSは、接触により位置情報を取得するプローブSS1を有するタッチセンサである。
【0048】
センサ部SSによってセンシングされる被係合部233は、本実施形態では、
図2および
図4に示されるように、第2フランジ部材23の第2フランジ231の周方向に等間隔で3か所設けられている。被係合部233は、本実施形態では、
図4、
図18および
図19に示されるように、少なくとも第1基準面233a、第2基準面233bおよび第3基準面233cを有している。
【0049】
第1基準面233aは、砥石GSの第2の端面S2(または第2フランジ231の面231b)に対して垂直に延びている面である。本実施形態では、第1基準面233aは、第2フランジ部材23が第1フランジ部材22に固定されているときに、鉛直方向に延び、かつ、第2フランジ231の面231bに垂直な方向(砥石GSの第2の端面S2に垂直な方向)に延びている面である。
【0050】
第2基準面233bは、砥石GSの第2の端面S2(または第2フランジ231の面231b)に対して垂直、かつ、第1基準面233aに対して垂直に延びている面である。本実施形態では、第2基準面233bは、第2フランジ部材23が第1フランジ部材22に固定されているときに、水平方向に延び、かつ、第2フランジ231の面231bに垂直な方向(砥石GSの第2の端面S2に垂直な方向)に延びている面である。
【0051】
また、第3基準面233cは、砥石GSの第2の端面S2(または第2フランジ231の面231b)と平行に延びている面である。第1基準面233a、第2基準面233bおよび第3基準面233cはいずれも平坦面であり、互いに対して垂直に設けられている。なお、被係合部233の形状は、ハンド部32の係合部Eと軸X方向で係合でき、センサ部SSによって第2フランジ部材23の位置情報を取得することができれば、図示する形状に限定されない。本実施形態では、被係合部233は、
図4に示されるように、略直方体状のブロックと、該ブロックから突出する板状部とを有し、板状部は第2フランジ231の面231bとの間に係合部Eが係合する隙間を有している。なお、被係合部233は、第2フランジ231に固定部材B2によって固定されている。
【0052】
つぎに、センサ部SSによる第2フランジ部材23の位置情報の取得方法の一例を説明する。本実施形態では、制御部4によって第1ハンドユニット321が駆動されて、
図18および
図19に示されるように、センサ部SSを第1基準面233a、第2基準面233b、第3基準面233cに当接させる。これによって、第2フランジ部材23の位置情報(たとえば、第2フランジ部材23の鉛直面に対する傾き、X方向におけるX位置、Y方向におけるY位置、Z方向におけるZ位置など)が取得される。具体的には、制御部4は、
図18に示されるように、センサ部SSのプローブSS1を、3つの被係合部233それぞれの第3基準面233cに当接させて、第2フランジ部材23の姿勢を検出する。
【0053】
また、プローブSS1を、少なくとも1つの被係合部233の第1基準面233a、第2基準面233bおよび第3基準面233cに当接させることによって、第2フランジ部材23の、挿通軸222の軸X方向に平行な方向となるX方向におけるX位置、水平方向のうち、X方向に垂直な方向であるY方向におけるY位置、鉛直方向であるZ方向におけるZ位置が検出される。
【0054】
以上のように、センサ部SSによって、第2フランジ部材23の姿勢、X位置、Y位置およびZ位置を把握することができ、図示しない記憶装置にこれらの位置情報が記憶される。そして、その位置情報に基づいて交換ロボット3を制御部4が動作させることによって、砥石GSの交換作業時に、ハンド部32が必要な場所に正確に移動することができ、砥石軸2に位置ズレが生じた場合であっても、砥石GSの交換作業を確実かつ正確に行うことができる。
【0055】
また、本実施形態では、制御部4は、
図19に示されるように、プローブSS1を、第2基準面233bのうちの異なる2点PT1、PT2に接触するように制御して、挿通軸Xの軸X周り方向での第2フランジ部材23の回転角度を検出する。これにより、第2フランジ部材23の姿勢、X位置、Y位置およびZ位置に加えて、第2フランジ部材23の軸X周りの回転角度も算出することができ、より精度良く砥石GSの交換作業を行うことができる。なお、本実施形態では、軸X周りの回転角度を算出するために、プローブSS1を第2基準面233bのうちの異なる2点に接触させているが、プローブSS1を第1基準面233aのうちの異なる2点、第3基準面233cのうちの異なる2点に接触させてもよい。また、第1基準面233aは、被係合部233のうち、第1基準面233aに平行で第1基準面233aに対向する面233d(
図4参照)としてもよい。また、第2基準面233bは、被係合部233のうち、第2基準面233bに平行で第2基準面233bに対向する面233e(
図4参照)としてもよい。
【0056】
<締結部材の弛緩機能>
本実施形態では、ハンド部32は締結部材(ボルト)Bを弛緩させる弛緩機能を有し、センサ部SSによって第2フランジ部材23の位置情報が取得された後、その位置情報を利用して、第2フランジ部材23に締結されたボルトBを弛緩させる。
【0057】
本実施形態では、
図8および
図10に示されるように、第1ハンドユニット321は、ボルトBを弛緩および/または締結する弛緩・締結機構M1を有している。弛緩・締結機構M1は、ボルトBと係合してボルトBを軸周りに回転させる回転部材M11と、回転部材M11の回転時にドッキング部Dとドッキングする連結部M12とを有している。
【0058】
回転部材M11は、ボルトBにボルトBの軸周り方向で係合するように構成されており、モータの駆動力によって正逆回転して、ボルトBを弛緩および締結することができるように構成されている。また、回転部材M11は、
図20に示されるように、第2フランジ部材23に対して軸方向に移動することができ、ボルトBと係合する係合位置(
図20における二点鎖線参照)と非係合位置(
図20における実線参照)との間で移動することができる。なお、本実施形態では、回転部材M11は連結部M12に対して軸方向に移動するように構成されており、連結部M12がドッキング部Dにドッキングした後に(
図20における二点鎖線参照)、ボルトBに向かって前進してボルトBの頭部と係合する。
【0059】
回転部材M11は、センサ部SSにより検知された第2フランジ部材23の位置情報に基づいて、ボルトBの位置へと移動してボルトBを弛緩および/または締結する。具体的には、センサ部SSによって、第2フランジ部材23の位置情報が検出されることによって、予め記憶されたボルトBの位置データと合わせて、ボルトBそれぞれのX、Y、Z位置が算出される。このX、Y、Z位置に基づいて、交換ロボット3および回転部材M11が移動して、ボルトBを弛緩・締結することができる。
【0060】
具体的には、センサ部SSによってセンシングされた第2フランジ部材23の位置情報に基づいて把握された1つのボルトBの位置に、回転部材M11の軸X周りでの回転方向の位置を合わせる。回転部材M11の回転方向での位置を合わせた後、同様に第2フランジ部材23の位置情報を元に、回転部材M11をボルトBに向かって軸X方向に移動させる。回転部材M11が軸X方向に移動してボルトBと係合すると、回転部材M11を駆動してボルトBを緩めることができる。このように、センサ部SSの位置情報を用いて回転部材M11がボルトBと係合し、ボルトBを緩めることによって、砥石軸2に多少の位置ズレが生じたとしてもボルトBを自動で弛緩させることができ、砥石GSの交換の作業性を向上することができる。
【0061】
なお、ボルトBを回転部材M11によって弛緩させる際には、連結部M12は第1フランジ部材22のドッキング部Dとドッキングしており、ボルトBを緩める際に第1ハンドユニット321を砥石軸2に対して安定して保持することができる。
【0062】
回転部材M11によって1つのボルトBを緩め終わると、制御部4によって、回転部材M11は次のボルトBの位置へと移動される。このときにも、同様にセンサ部SSによってセンシングされた第2フランジ部材23の位置情報と、予め入力された第2フランジ部材の情報が用いられ、正確な位置へと回転部材M11が移動して、ボルトBを順次自動で弛緩させることができる。
【0063】
複数のボルトBを緩める場合、1つのボルトBを緩めた後は、その緩め終わったボルトBに対して、複数のボルトBを結ぶことによって得られる多角形の対角状に位置するボルトを次に緩めるように制御することが好ましい。対角状に位置するボルトBが既に緩められている場合は、緩め終わったボルトBと、緩め終わったボルトBの対角状に位置するボルトとの間の中央に位置するボルトBを緩めるようにする。たとえば、
図21において、ボルトBa、ボルトBb、ボルトBc、ボルトBd、ボルトBe、ボルトBf、ボルトBg、ボルトBhの順に緩めるようにする。このようにすることで、ボルトBを緩めやすく、ボルトBの破損を抑制して、ボルトBの破損に起因する作業性の低下を防ぐことができる。
【0064】
また、本実施形態では、回転部材M11によってボルトBを緩める際に、第2フランジ部材23が力の偏りによって変形してボルトBが外れにくくなることを抑制するために、上述したボルトBを緩める順序のほかに、ボルトBの締め付けトルクを制御している。具体的には、制御部4が、回転部材M11により複数のボルトBのそれぞれを弛緩させる際に、1つのボルトBを所定の弛緩状態まで回転させた後、所定のトルクで当該1つのボルトBを締結方向に回転させ、複数のボルトBのそれぞれを徐々に弛緩させるように回転部材M11を制御している。すなわち、ボルトBを緩める場合は各ボルトBの締め付けトルクの制御は困難であるが、ボルトBを一旦緩めた後、所定の締め付けトルクでボルトBを締め付けることにより、各ボルトBの締め付けトルクを均等にしながら緩めていくことができる。したがって、各ボルトBの締め付けトルクを制御してほぼ一定にすることによって、ボルトBの弛緩工程において第2フランジ部材23にボルトBから加わる力の偏りを低減することができ、力の偏りに起因する第2フランジ部材23の変形を抑制することができる。したがって、第2フランジ部材23の変形によるボルトBの外れにくさやボルトBの破損を抑制することができ、ボルトBの弛緩動作を容易かつ円滑に進めることができる。
【0065】
全てのボルトBを緩め終わると、ボルトBが第2フランジ部材23から取り外される。このボルトBを外す工程は、交換ロボット3により行われてもよいし、マニュアルで行われてもよい。ボルトBが第2フランジ部材23から全て取り外されると、第1フランジ部材22から第2フランジ部材23を取り外すことが可能になる。
【0066】
<第2フランジ部材の取り外し機能>
ハンド部32は、砥石軸2において第2フランジ部材23を第1フランジ部材22から取り外す、第2フランジ部材取り外し機能を有している。本実施形態では、第1ハンドユニット321が第2フランジ部材取り外し機能を有しており、第2フランジ部材23を着脱するための第2フランジ部材着脱機構M2を有している。第1ハンドユニット321の第2フランジ部材着脱機構M2は、
図7、
図22および
図23に示されるように、第2フランジ部材23を第1フランジ部材22に対して着脱する際に、第2フランジ部材23と係合可能な係合部Eを有している。
【0067】
本実施形態では、第1ハンドユニット321の第2フランジ部材着脱機構M2は、
図7~
図9に示されるように、第1ハンドユニット321の本体321bの一面側に設けられ、係合部Eが設けられた基部M21と、基部M21に対して所定の軸周りに回転可能な回転部M22とを有している。回転部M22は、ボルトBが取り外された複数の締結孔H2の少なくとも1つに挿通されて第2フランジ部材23と係合する挿入ピンM221を有している。
【0068】
本実施形態では、基部M21は、
図7に示されるように、板状の部材であり、本体321bに対して移動可能である。基部M21は、第1ハンドユニット321が第2フランジ部材23に対向する位置に位置付けられたときに、軸X方向に進退可能に構成されている。基部M21の表面には、本実施形態では、3つの係合部Eが設けられている。基部M21は、係合部Eが被係合部233と係合することができる位置まで軸X方向に前進できるように構成されている。
【0069】
係合部Eは、
図7に示されるように、被係合部233と軸X方向に係合可能な係合片E1を有している。本実施形態では、係合部Eは、略F字形状に形成されているが、係合部Eの形状は、被係合部233と係合して第2フランジ部材23を取り外すことができれば、特に限定されない。また、係合部Eの数は、被係合部233の数に対応した数で設けられていればよく、特に限定されない。
【0070】
回転部M22は、第1ハンドユニット321が第2フランジ部材23に対向する位置に位置付けられたときに、軸X周りに回転できるように構成されている。回転部M22は、基部M21に対して回転できるように構成されており、回転部M22の挿入ピンM221が軸X周りに回転したときに、基部M21および係合部Eは回転しないように構成されている(
図22および
図23参照)。回転部M22は、基部M21の中央部に基部M21に対して回転可能に設けられており、回転部M22の周囲に3つの係合部Eが等間隔に配置されている。回転部M22は、本実施形態では、回転部M22の回転中心に対して対称な位置に配置された一対の挿入ピンM221を有している。挿入ピンM221は、第2フランジ部材23の締結孔H2に挿入可能な大きさで形成されている。なお、挿入ピンM221の個数は1つであっても、3つ以上であってもよい。
【0071】
本実施形態では、第2フランジ部材着脱機構M2は、検知された第2フランジ部材23の位置情報に基づいて第1ハンドユニット321が第2フランジ部材23に向かって移動する。そして、第1ハンドユニット321の係合部Eと第2フランジ部材23の被係合部233とを係合させて(
図23および
図24参照)、第2フランジ部材23が第1フランジ部材22から取り外される。このように、本実施形態では、センシングされた第2フランジ部材23の位置情報に基づいて第2フランジ部材23が第1フランジ部材22から取り外される。したがって、グラインダーGのように大型の重研削機において、砥石軸2を移動させた際に生じてしまう各方向での位置ズレがあったとしても、第2フランジ部材23の位置情報を把握して、第2フランジ部材23の取り外しを自動化することができる。したがって、砥石GSの交換作業の自動化が容易になる。さらに、本実施形態では、センシング対象は第2フランジ部材23の被係合部233であり、被係合部233がセンシングでの基準となるとともに、ハンド部32の係合部Eと係合する部位となる。そのため、センシング用に別の部位を第2フランジ部材23に設ける必要がないので、第2フランジ部材23の構造が複雑にならない。
【0072】
なお、係合部Eと被係合部233との係合方法は特に限定されない。本実施形態では、
図22および
図23に示されるように、第2フランジ部材23の被係合部233が第1ハンドユニット321の係合部Eに対して、挿通軸222の軸X周りに回転することにより、係合部Eと被係合部233とが係合するように構成されている。より具体的には、挿入ピンM221が締結孔H2に挿通された状態で、回転部M22が挿通軸222の軸X周りに回転することにより、第2フランジ部材23が挿通軸222の軸X周りに回転し、
図23および
図24に示されるように、係合部Eと被係合部233とが係合する。このように係合部Eと被係合部233とが係合した後に、第1ハンドユニット321を軸X方向で後退(
図24において右側に移動)させることによって、第2フランジ部材23が第1フランジ部材22から取り外される。
【0073】
なお、第1ハンドユニット321の係合部Eが第2フランジ部材23の被係合部233に対して、挿通軸222の軸X周りに回転することにより、係合部Eと被係合部233とが係合するように構成されていてもよい。
【0074】
<砥石取り外し機能>
第2フランジ部材23が第1フランジ部材22から取り外されると、砥石GSを第1フランジ部材22から取り外すことが可能になる。使用済みの砥石GSは、ハンド部32によって第1フランジ部材22から取り外される。本実施形態では、第2ハンドユニット322が、砥石軸2から砥石GSを取り外すように構成された砥石取り外し機構M3を有している。なお、第1フランジ部材22から第2フランジ部材23が取り外された後、交換ロボット3はフランジ保管部5まで移動して、第2フランジ部材23を保管する。その後、交換ロボット3はハンド部格納装置7まで移動して、第1ハンドユニット321を第2ハンドユニット322に取り替える。
【0075】
砥石取り外し機構M3は、砥石GSを砥石軸2から取り外すことができれば、特にその構造は限定されないが、本実施形態では、
図11~
図13に示されるように、砥石GSを支持する支持部M31と、砥石軸2から支持部M31へと砥石GSを移動させる砥石移動部M32とを有している。
【0076】
支持部M31は、砥石軸2から取り外された砥石GSを砥石保管部6に移動させるまで砥石GSを支持する部位である。本実施形態では、支持部M31は、
図11および
図13に示されるように、砥石GSの貫通孔GSaの形状に沿って湾曲した板状部材として形成されている。湾曲した板状の支持部M31の下方にはドッキング部Dとドッキング可能な連結部M33を有している。
【0077】
砥石移動部M32は、挿通軸222の軸Xに平行な方向となるX方向に移動し、水平方向のうちX方向に垂直なY方向で互いに離間して配置された一対の砥石移動アームA1、A2と、砥石移動アームA1、A2をX方向に移動させる駆動部DRを有している。一対の砥石移動アームA1、A2は、アーム本体A11、A21と、砥石GSの第1の端面S1に当接可能であり、アーム本体A11、A21の先端に設けられた当接部A12、A22を有している。
【0078】
アーム本体A11、A21は、第2ハンドユニット322の本体322bに対してX方向に移動可能に取り付けられている。アーム本体A11、A21の先端には略台形形状で板状に形成された当接部A12、A22を有し、アーム本体A11、A21の後端は、接続部Cを介して駆動部DRに接続されている。なお、当接部A12、A22の形状は、砥石GSの第1の端面S1と係合して、砥石GSを支持部M31へと移動させることができれば特に限定されない。
【0079】
駆動部DRは、本実施形態では電動シリンダーであり、シリンダー部材DR1から砥石GSから離れる方向となる後方側に向かってロッドDR2が突出可能に構成されている。駆動部DRは、砥石移動アームA1、A2と略平行に配置され、ロッドDR2が後方に突出したときに、砥石移動アームA1、A2をX方向で後方に移動させる。また、駆動部DRは、ロッドDR2がシリンダー部材DR1内に収容されるように駆動させることによって、砥石移動アームA1、A2をX方向で前方に移動させる。
【0080】
砥石GSを第2ハンドユニット322によって第1フランジ部材22から取り外す場合、まず、第2フランジ部材23が取り外された砥石軸2の前に、第2ハンドユニット322を移動させる。つぎに、
図25に示されるように、一対の砥石移動アームA1、A2の当接部A12、A22(
図25においてはアーム本体A21、当接部A22のみが図示されている。以下同様)を砥石GSの上方において、X方向で砥石GSの第1の端面S1の後方側に移動させる。つぎに、
図26に示されるように、第2ハンドユニット322を下方に移動させて、砥石移動アームA1、A2の当接部A12、A22が砥石GSの第1の端面S1とX方向で対向するように配置させる。さらに、
図27に示されるように、駆動部DRを駆動させて砥石移動アームA1、A2を本体322bに対して後方側に移動させるとともに、本体322bを第1フランジ部材22のドッキング部Dに向かって移動させる。これにより、
図27に示されるように、ドッキング部Dと連結部M33とを連結させるとともに、支持部M31の先端が砥石GSの貫通孔GSaに部分的に挿入される。
【0081】
つぎに、
図28に示されるように、駆動部DRを駆動させて、当接部A12、A22に係合した砥石GSを砥石軸2の第1フランジ部材22から離れる方向に移動させて、砥石GSを第1フランジ部材22の挿通軸222から第2ハンドユニット322の支持部M31へと移動させる。これにより、砥石GSが第2ハンドユニット322によって支持されて、砥石GSが砥石軸2から取り外される。取り外された砥石GSは、廃棄砥石保管部61まで、交換ロボット3によって移動され、廃棄砥石保管部61で支持部M31から取り外され、砥石GSの取り外し工程が完了する。
【0082】
なお、本実施形態では、砥石GSを第1フランジ部材22から円滑に取り外すことができるように、制御部4は砥石移動アームA1、A2を制御している。具体的には、
図14に示されるように、砥石移動部M32は、一対の砥石移動アームA1、A2のそれぞれに荷重センサLを有し、制御部4が、荷重センサLにより検知された荷重に応じて、一対の砥石移動アームA1、A2に加わる荷重のズレを抑制するように砥石移動アームA1、A2を制御するように構成されている。
【0083】
荷重センサLは、本実施形態では、駆動部DRと砥石移動アームA1、A2とを接続する接続部Cに設けられている。本実施形態では、荷重センサLはロードセルであり、シャフトSHによって固定された一対のプレートPL1、PL2の間に設けられている。荷重センサLは、駆動部DRのロッドDR2が動作したときの荷重を検知できるように構成されている。たとえば、ロッドDR2が所定量突出したときに、その突出量と砥石移動アームA1、A2の移動量とがほぼ一致している場合に比べて、ロッドDR2の突出量よりも砥石移動アームA1、A2の移動量が小さい場合に荷重センサLで検知される荷重が大きくなる。本実施形態では、砥石移動部M32は、荷重センサLに加わる荷重を緩衝するために、荷重センサLに接続されたバネ部材SPRを有している。バネ部材SPRは、荷重センサLに大きな負荷が加わった際など、荷重センサLに加わる力を変形することによって干渉して、荷重センサLを保護することができる。なお、バネ部材SPRは、一対のプレートPL1、PL2の間に、荷重センサLに直列的に接続されている。なお、荷重センサLが設けられる位置や接続部Cの構造は、図示するものに限定されない。
【0084】
本実施形態では、荷重センサLによって一対の砥石移動アームA1、A2に加わる荷重を検知して、左右の砥石移動アームA1、A2に加わる荷重が異なると、制御部4が砥石移動アームA1、A2の駆動部DRを制御して、砥石GSを円滑に取り外すことができる。
【0085】
なお、砥石取り外し機構M3の構造は砥石GSを第1フランジ部材22から取り外すことが可能であれば、図示する構造に限定されない。たとえば、砥石取り外し機構M3は、砥石GSを外側から把持するものであってもよいし、内側から把持するものであってもよいし、砥石GSを下方から支持して取り外すものであってもよい。
【0086】
<新品砥石取り付け機能>
砥石GSが砥石軸2から取り外されると、次に、新品砥石GSを第1フランジ部材22に取り付ける。新品砥石GSは、上述したように、新品砥石保管部62から第3ハンドユニット323に移し替えられる。新品砥石GSが第3ハンドユニット323に移動すると、交換ロボット3は、第3ハンドユニット323を砥石軸2の第1フランジ部材22の前へと移動させる。
【0087】
ハンド部32は、新品砥石GSを砥石軸2の第1フランジ部材22に取り付ける新品砥石取り付け機能を有している。本実施形態では、第3ハンドユニット323が、
図15~
図17に示されるように、交換用の新品砥石GSを支持し、新品砥石GSを砥石軸2へと移動可能な新品砥石取り付け機構M4を有している。新品砥石取り付け機構M4は、新品砥石GSを支持する新品砥石支持部M41と、新品砥石支持部M41から砥石軸2へと新品砥石GSを押し出す押圧部M42とを備えている。
【0088】
新品砥石支持部M41は、本実施形態では、
図15に示されるように、第3ハンドユニット323の本体323bから延びる略円筒状の部材である。新品砥石GSは、廃棄用の砥石GSよりも径が大きいため重量が大きく、略円筒状とすることによって、安定して重量の大きい新品砥石GSを支持することができる。また、略円筒状の新品砥石支持部M41の内側には、ドッキング部Dと連結可能な連結部M411を有し、新品砥石GSを砥石軸2に移動させる際に連結部M411がドッキング部Dとドッキングする。
【0089】
押圧部M42は、押圧部駆動部M43によってX方向に進退移動できるように駆動され、第3ハンドユニット323が砥石軸2の前に位置するときに、押圧部M42を砥石軸2に向かって移動させる。本実施形態では、押圧部M42は新品砥石支持部M41の周囲に複数(3か所)設けられている。なお、押圧部M42の位置や個数は特に限定されない。押圧部駆動部M43は、第2ハンドユニット322の駆動部DRと同様の構成とすることができ、シリンダー部材とロッドとを有している。押圧部M42は、砥石GSの第2の端面S2に当接する当接部位を有しており、砥石GSの取り付け時の衝撃を吸収するための押圧部用バネ部材SPR2を有している。
【0090】
また、複数の押圧部M42のそれぞれは、
図15および
図16に示されるように、荷重センサL2を有している。荷重センサL2は、それぞれの押圧部M42に対応した位置に設けられ、それぞれの位置において加わる荷重を検知している。それぞれの荷重センサL2によって検知された荷重に応じて、複数の押圧部M42のそれぞれの移動量が制御部4によって制御される。荷重センサL2は、押圧部M42による砥石GSの押圧時に加わる荷重を検知することができれば、その位置や構造は特に限定されない。本実施形態では、荷重センサL2はロードセルである。本実施形態では、押圧部M42の先端側に一対のプレートPL3、PL4との間にバネ部材SPR2が配置され、バネ部材SPR2の後部側において、プレートPL4とプレートPL5の間に荷重センサL2が設けられている。荷重センサL2は、第2ハンドユニット322の荷重センサLと同様のものとすることができる。
【0091】
本実施形態では、荷重センサL2によって押圧部M42に加わる荷重を検知して、複数の押圧部M42間で加わる荷重が異なると、制御部4が押圧部駆動部M43を制御して、押圧部M42それぞれの移動量を変化させる。これにより、押圧部M42に加わる荷重に応じて、押圧部M42それぞれの移動量を調整して、円滑に砥石GSを第1フランジ部材22に移動させることができる。
【0092】
第3ハンドユニット323によって、新品砥石GSを第1フランジ部材22に取り付ける場合、
図29に示されるように、新品砥石GSを支持した第3ハンドユニット323を砥石軸2の第1フランジ部材22の前に移動させる。つぎに、第3ハンドユニット323を第1フランジ部材22に向かってX方向に移動させて、新品砥石支持部M41と第1フランジ部材22の挿通軸222とを連結する。さらに、
図30に示されるように、押圧部M42を押圧部駆動部M43によって駆動して、新品砥石GSをX方向に押圧して、挿通軸222へと移し変える。
【0093】
<第2フランジ部材取り付け機能>
新品砥石GSが第1フランジ部材22に取り付けられると、交換ロボット3のハンド部32によって第2フランジ部材23が第1フランジ部材22に取り付けられる。第2フランジ部材23を第1フランジ部材22に取り付ける際には、第1ハンドユニット321の第2フランジ部材着脱機構M2が用いられる。第2フランジ部材23を第1フランジ部材22に取り付ける動作は、第2フランジ部材23を取り外す動作と逆の動作によって行われる。具体的には、第1ハンドユニット321によってフランジ保管部5から新品の第2フランジ部材23を取り出した後、第1フランジ部材22の前まで移動した後、
図31に示される被係合部233と係合部Eとが係合した状態から、第2フランジ部材23を挿入ピンM221によって回転させる(
図32参照)。これにより、被係合部233と係合部Eとの間の係合が解除されて、第2フランジ部材23が第1フランジ部材22に仮固定される。
【0094】
<締結部材締結機能>
第2フランジ部材23が第1フランジ部材22に仮固定されると、ボルトBによって第2フランジ部材23を第1フランジ部材22に固定する。このボルトBの締結は、ボルトBの弛緩時に用いられた第1ハンドユニット321の弛緩・締結機構M1によって行われる。
【0095】
締結孔H1、H2に挿入されたボルトBの締結は、センサ部SSによって取得された第2フランジ部材23の位置情報に基づいて行われる。ボルトBの締結は、所定のトルクで弛緩動作と同様に、所定の順序で締結していく。これにより、第2フランジ部材23が第1フランジ部材22に固定され、砥石GSの交換作業が完了する。砥石GSの交換作業が完了すると、砥石軸2がグラインダーGに戻される。
【0096】
なお、上記実施形態では、交換ロボット3のハンド部32が3つのハンドユニットによって構成されているが、1つのハンド部32によって上述した全ての機能を実現してもよい。また、上述したハンド部32の機能は、本実施形態とは異なる組み合わせで実現されていてもよい。具体的には、本実施形態では、第2フランジ部材着脱機能と弛緩・締結機能とが第1ハンドユニット321によって実現されているが、変形例として、たとえば、1つのハンドユニットが、第2フランジ部材着脱機能と、砥石取り外し機能とを有するなど、複数の機能が複数のハンドユニットによって別の組み合わせで実現されていてもよい。
【0097】
また、本実施形態では、交換ロボット3は先端のハンド部32を取り替え可能な1つのロボットによって実現されているが、交換ロボットは、それぞれがアーム部とハンド部を有する複数のロボットによって構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 交換システム
2 砥石軸
22 第1フランジ部材
222 挿通軸
23 第2フランジ部材
233 被係合部
233a 第1基準面
233b 第2基準面
233c 第3基準面
3 交換ロボット
31 アーム部
32 ハンド部
321 第1ハンドユニット
322 第2ハンドユニット
323 第3ハンドユニット
4 制御部
5 フランジ保管部
6 砥石保管部
6a 基台
6b 支持部(支持ロッド)
6c 押出部材
61 廃棄砥石保管部
62 新品砥石保管部
7 ハンド部格納装置
A1、A2 砥石移動アーム
A11、A21 アーム本体
A12、A22 当接部
B 締結部材(ボルト)
D ドッキング部
DR 駆動部
DR1 シリンダー部材
DR2 ロッド
E 係合部
G グラインダー
GS 砥石
H1、H2 締結孔
L、L2 荷重センサ
M1 弛緩・締結機構
M11 回転部材
M12 連結部
M2 第2フランジ部材着脱機構
M21 基部
M22 回転部
M221 挿入ピン
M3 砥石取り外し機構
M31 支持部
M32 砥石移動部
M33 連結部
M4 新品砥石取り付け機構
M41 新品砥石支持部
M42 押圧部
M43 押圧部駆動部
N エアーノズル
S1 砥石の第1の端面
S2 砥石の第2の端面
SPR バネ部材
SPR2 押圧部用バネ部材
SS センサ部
SS1 プローブ