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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】アレイ基板及びその製作方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20220308BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20220308BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220308BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220308BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220308BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220308BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H01L29/78 624
H01L29/78 616S
H01L29/78 612Z
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/00 338
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018501215
(86)(22)【出願日】2017-06-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 CN2017089717
(87)【国際公開番号】W WO2018054111
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-04-27
(31)【優先権主張番号】201610849162.1
(32)【優先日】2016-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】512282165
【氏名又は名称】合肥▲シン▼晟光▲電▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HEFEI XINSHENG OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Xinzhan Industrial Park,Hefei,Anhui,230012,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼ 同上
(72)【発明者】
【氏名】成 ▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 策
(72)【発明者】
【氏名】周 斌
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲東▼方
(72)【発明者】
【氏名】袁 ▲廣▼才
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0256185(US,A1)
【文献】特開2008-235876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0227878(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0098667(US,A1)
【文献】特開平05-267662(JP,A)
【文献】特開2009-004733(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106356378(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/786
G09F 9/30
G09F 9/00
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムトランジスタを含むアレイ基板であって、
前記アレイ基板は少なくとも第1の領域及び第2の領域を有し、
フィルムトランジスタの能動層の厚みに対するソース又はドレインと能動層との間の重なり面積の比率が、前記第1の領域及び第2の領域において均一に保持されるように、前記第1の領域におけるフィルムトランジスタの能動層の厚みは、前記第2の領域におけるフィルムトランジスタの能動層の厚みより大きく、且つ、前記第1の領域におけるフィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり面積は、前記第2の領域におけるフィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり面積より大きく、
前記第1の領域及び第2の領域の少なくとも一方の領域における各フィルムトランジスタの能動層の厚みが能動層の位置により変化する曲線はフィッティング関数により示され、且つ、前記少なくとも一方の領域における各フィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり面積は、前記フィッティング関数に関して比例して変化する
アレイ基板。
【請求項2】
フィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり部分の長さは能動層チャネル領域の幅であり、且つ、前記重なり部分の幅は固定値であり、
フィルムトランジスタの能動層チャネル領域の幅と能動層の厚みとの比率は、前記第1の領域及び第2の領域において均一に保持される、
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項3】
前記第1の領域及び第2の領域の少なくとも一方の領域における各フィルムトランジスタの能動層の厚みが能動層の位置により変化する曲線はフィッティング関数により示され、且つ、前記少なくとも一方の領域における各フィルムトランジスタの能動層チャネル領域の幅は、前記フィッティング関数に関して比例して変化する、
請求項2に記載のアレイ基板。
【請求項4】
前記第1の領域及び第2の領域は周期的に交互に配列される、
請求項1からのいずれか一項に記載のアレイ基板。
【請求項5】
前記フィルムトランジスタは、
有機発光ダイオードに駆動電流を印加するための駆動フィルムトランジスタと、
前記駆動フィルムトランジスタに駆動電圧を印加するためのスイッチングフィルムトランジスタと、
を含む、
請求項1からのいずれか一項に記載のアレイ基板。
【請求項6】
前記フィルムトランジスタは、液晶層にデータ電圧を印加するためのスイッチングフィルムトランジスタを含む、
請求項1からのいずれか一項に記載のアレイ基板。
【請求項7】
ベース基板において、少なくとも第1の厚みである第1の領域及び第1の厚みより小さい第2の厚みである第2の領域を有する能動層の厚みが位置により変化する状況を取得することと、
前記変化する状況により、フィルムトランジスタの能動層の厚みに対するソース又はドレインと能動層との間の重なり面積の比率が前記第1の領域及び第2の領域において均一に保持されるように、形成すべき前記重なり面積を特定することと、
前記ベース基板上に、形成されるフィルムトランジスタが前記特定された重なり面積を有するように、フィルムトランジスタを形成することと、
を含み、
前記第1の領域及び第2の領域の少なくとも一方の領域における各フィルムトランジスタの能動層の厚みが能動層の位置により変化する曲線はフィッティング関数により示され、且つ、前記少なくとも一方の領域における各フィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり面積は、前記フィッティング関数に関して比例して変化する
アレイ基板の製作方法。
【請求項8】
フィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり部分の長さは能動層チャネル領域の幅であり、且つ、前記重なり部分の幅は固定値であり、
前記重なり面積を特定することは、
能動層の厚みに対する能動層チャネル領域の幅の比率が前記第1の領域及び第2の領域において均一に保持されるように、形成すべき能動層チャネル領域の幅を特定すること、
を含む、
請求項に記載の製作方法。
【請求項9】
ベース基板において能動層の厚みが位置により変化する状況を取得することは、
前記ベース基板と同様のテスト用基板上に能動フィルムを形成することと、
前記第1の領域及び第2の領域における能動フィルムの第1の厚み及び第2の厚みを測定することと、
を含む、
請求項に記載の製作方法。
【請求項10】
前記重なり面積を特定することは、
測定された能動フィルムの第1の厚み及び第2の厚みにより、前記第1の領域及び第2の領域の少なくとも一方の領域における能動層の厚みが能動層の位置により変化する曲線のフィッティング関数を特定することと、
前記重なり面積が前記フィッティング関数に関して比例して変化するように、前記少なくとも一方の領域における前記重なり面積を特定することと、
を含む、
請求項に記載の製作方法。
【請求項11】
ベース基板において能動層の厚みが位置により変化する状況を取得することは、
前記ベース基板と同様のテスト用基板上に能動フィルムを形成することと、
前記第1の領域及び第2の領域における能動フィルムの第1の厚み及び第2の厚みを測定することと、
を含む、
請求項に記載の製作方法。
【請求項12】
形成すべき能動層チャネル領域の幅を特定することは、
測定された能動フィルムの第1の厚み及び第2の厚みにより、前記第1の領域及び第2の領域の少なくとも一方の領域における能動層の厚みが能動層の位置により変化する曲線のフィッティング関数を特定することと、
前記能動層チャネル領域の幅が前記フィッティング関数に関して比例して変化するように、前記少なくとも一方の領域における能動層チャネル領域の幅を特定することと、
を含む、
請求項11に記載の製作方法。
【請求項13】
ベース基板上にフィルムトランジスタを形成することは、
前記ベース基板上にゲートを形成することと、
前記ゲート上にゲート絶縁層を形成することと、
前記ゲート絶縁層上に能動フィルムを形成することと、
前記能動フィルムをパターニングして能動層を形成することと、
前記能動層上にソース及びドレインを形成することと、
を含む、
請求項から12のいずれか一項に記載の製作方法。
【請求項14】
能動フィルム又は能動層の形成後、前記変化する状況を取得し、前記重なり面積を特定する、
請求項13に記載の製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年9月26日に出願した中国特許出願第201610849162.1号に基づいて優先権を主張し、当該出願の開示内容を本願の一部として援用する。
【0002】
本開示の実施例は表示技術分野に関し、特に、アレイ基板及びその製作方法に関する。
【背景技術】
【0003】
フィルムトランジスタ(TFT)は、多層のフィルム(例えば、能動半導体層、誘電体層及び金属電極層)により形成された電解効果トランジスタである。TFTは、集積及び大量生産等に適する利点を有するので、表示制御ユニットとして、平面表示分野、例えば、液晶表示(LCD)、有機発光ダイオード表示(OLED)、電子ペーパ表示(EPD)等の分野において重要な作用を果たしている。したがって、TFTが集積されている表示パネルの表示性能の向上が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施例は、表示性能を改善できるアレイ基板及びその製作方法、表示パネル、並びに、表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の方面によると、フィルムトランジスタを含み、且つ、少なくとも第1の領域及び第2の領域を有するアレイ基板を提供する。フィルムトランジスタの能動層の厚みに対するソース又はドレインと能動層との間の重なり面積の比率が、前記第1の領域及び第2の領域において均一に保持されるように、前記第1の領域におけるフィルムトランジスタの能動層の厚みは、前記第2の領域におけるフィルムトランジスタの能動層の厚みより大きく、且つ、前記第1の領域におけるフィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり面積は、前記第2の領域におけるフィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり面積より大きい。
【0006】
上記配置によれば、フィルムトランジスタの能動層の厚みに対するソース又はドレインと能動層との間の重なり面積の比率が、前記第1の領域及び第2の領域において均一に保持されるので、第1の領域及び第2の領域におけるフィルムトランジスタの能動層の厚みの違いによるソース‐ドレイン間電流の違いを避けることができ、画素ユニットに対するアレイ基板の制御を第1の領域及び第2の領域において均一に保持して、表示効果を改善できる。
【0007】
本開示の一実施例において、フィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり部分の長さは能動層チャネル領域の幅であり、且つ、前記重なり部分の幅は固定値である。フィルムトランジスタの能動層チャネル領域の幅と能動層の厚みとの比率は、前記第1の領域及び第2の領域において均一に保持される。
【0008】
本開示の一実施例において、前記第1の領域及び第2の領域の少なくとも一方の領域における各フィルムトランジスタの能動層の厚みが能動層の位置により変化する曲線はフィッティング関数により示される。前記少なくとも一方の領域における各フィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり面積は、前記フィッティング関数に関して比例して変化する。
【0009】
本開示の一実施例において、前記第1の領域及び第2の領域の少なくとも一方の領域における各フィルムトランジスタの能動層の厚みが能動層の位置により変化する曲線はフィッティング関数により示される。前記少なくとも一方の領域における各フィルムトランジスタの能動層チャネル領域の幅は、前記フィッティング関数に関して比例して変化する。
【0010】
本開示の一実施例において、前記第1の領域及び第2の領域は周期的に交互に配列される。
【0011】
本開示の一実施例において、前記フィルムトランジスタは、有機発光ダイオードに駆動電流を印加するための駆動フィルムトランジスタと、前記駆動フィルムトランジスタに駆動電圧を印加するためのスイッチングフィルムトランジスタとを含む。
【0012】
上記の配置によれば、アレイ基板はOLED表示パネルに用いることができ、さらに、OLEDに印加する駆動電流は同じ駆動条件において第1の領域及び第2の領域において均一に保持できるとともに、駆動フィルムトランジスタに駆動電圧を印加するためのスイッチングフィルムトランジスタのソース‐ドレイン間電流も同じ駆動条件において第1の領域及び第2の領域において均一に保持できるので、OLED表示パネルの表示効果を改善できる。
【0013】
本開示の一実施例において、前記フィルムトランジスタは、液晶層にデータ電圧を印加するためのスイッチングフィルムトランジスタを含む。
【0014】
上記の配置によれば、アレイ基板はLCD表示パネルに用いることができ、且つ、液晶層にデータ電圧を印加するためのスイッチングフィルムトランジスタのソース‐ドレイン間電流は、同じ駆動条件において第1の領域及び第2の領域において均一に保持できるので、LCD表示パネルの表示効果を改善できる。
【0015】
本開示の第2の方面によると、アレイ基板の製作方法を提供する。当該製作方法は、ベース基板において能動層の厚みが位置により変化する状況を取得することを含む。前記能動層は、少なくとも厚みの大きい第1の領域及び厚みの小さい第2の領域を有する。前記製作方法は、前記変化する状況により、フィルムトランジスタの能動層の厚みに対するソース又はドレインと能動層との間の重なり面積の比率が前記第1の領域及び第2の領域において均一に保持されるように、形成すべき前記重なり面積を特定することをさらに含む。前記製作方法は、前記ベース基板上に、形成されるフィルムトランジスタが特定された重なり面積を有するように、フィルムトランジスタを形成することをさらに含む。
【0016】
上記の配置によれば、フィルムトランジスタの能動層の厚みに対するソース又はドレインと能動層との間の重なり面積の比率が第1の領域及び第2の領域において均一に保持されるので、第1の領域及び第2の領域において形成されたフィルムトランジスタの能動層の厚みの違いによるソース‐ドレイン間電流の違いを避けることができ、画素ユニットに対するアレイ基板の制御を第1の領域及び第2の領域において均一に保持して、表示効果を改善できる。
【0017】
本開示の一実施例において、フィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり部分の長さは能動層チャネル領域の幅であり、且つ、前記重なり部分の幅は固定値である。前記重なり面積を特定することは、能動層の厚みに対する能動層チャネル領域の幅の比率が前記第1の領域及び第2の領域において均一に保持されるように、形成すべき能動層チャネル領域の幅を特定することを含む。
【0018】
本開示の一実施例において、上記製作方法では、ベース基板において能動層の厚みが位置により変化する状況を取得することは、前記ベース基板と同様のテスト用基板上に能動フィルムを形成することを含む。前記変化する状況を取得することは、前記第1の領域及び第2の領域における能動フィルムの厚みを測定することをさらに含む。
【0019】
本開示の一実施例において、上記製作方法では、前記重なり面積を特定することは、測定された能動フィルムの厚みにより、前記第1の領域及び第2の領域の少なくとも一方の領域における能動層の厚みが能動層の位置により変化する曲線のフィッティング関数を特定することを含む。前記重なり面積を特定することは、前記重なり面積が前記フィッティング関数に関して比例して変化するように、前記少なくとも一方の領域における前記重なり面積を特定することをさらに含む。
【0020】
上記の配置によれば、能動層の少数の位置における厚みを測定するだけで、特定されたフィッティング関数を利用して能動層の測定されていない位置における厚みを特定でき、さらに、各厚みに対応する重なり面積を特定でき、効率を向上できる。
【0021】
本開示の一実施例において、上記製作方法では、形成すべき能動層チャネル領域の幅を特定することは、測定された能動フィルムの厚みにより、前記第1の領域及び第2の領域の少なくとも一方の領域における能動層の厚みが能動層の位置により変化する曲線のフィッティング関数を特定することを含む。形成すべき能動層チャネル領域の幅を特定することは、前記能動層チャネル領域の幅が前記フィッティング関数に関して比例して変化するように、前記少なくとも一方の領域における能動層チャネル領域の幅を特定することをさらに含む。
【0022】
上記の配置によれば、能動層の少数の位置における厚みを測定するだけで、特定されたフィッティング関数を利用して能動層の測定されていない位置における厚みを特定でき、さらに、各厚みに対応する能動層チャネル領域の幅を特定でき、効率を向上できる。
【0023】
本開示の一実施例において、ベース基板上にフィルムトランジスタを形成することは、前記ベース基板上にゲートを形成することを含む。ベース基板上にフィルムトランジスタを形成することは、前記ゲート上にゲート絶縁層を形成することをさらに含む。ベース基板上にフィルムトランジスタを形成することは、前記ゲート絶縁層上に能動フィルムを形成することをさらに含む。ベース基板上にフィルムトランジスタを形成することは、前記能動フィルムをパターニングして能動層を形成することをさらに含む。ベース基板上にフィルムトランジスタを形成することは、前記能動層上にソース及びドレインを形成することをさらに含む。
【0024】
本開示の一実施例において、能動フィルム又は能動層の形成後、前記変化する状況を取得し、前記重なり面積を特定する。
【0025】
以下、本開示の実施例の技術案について、より明らかに説明するために、実施例の図面について簡単に説明する。以下の図面における構成模式図は、必ずしも比例に応じて描かれたものではなく、略図的に各特徴を表すものであることは、言うまでも無い。また、以下の記述において、図面は本開示の一部の実施例のみに関するものであり、本公開を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来技術によりアレイ基板のベース基板上に形成された能動フィルムの模式図である。
図2】本開示の原理を適用できるアレイ基板の回路模式図である。
図3】本開示の原理を適用できるフィルムトランジスタの構成模式図である。
図4】従来技術によりアレイ基板のベース基板上に形成された能動フィルムの厚みが位置により変化する曲線のフィッティング関数を示す図である。
図5】本開示の実施例によるアレイ基板の製作方法のフローチャートである。
図6図5の製作方法をさらに説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、以下に、本開示の実施例の図面を参照して、本開示の実施例の技術案について、明らかに詳述する。勿論、記載された実施例は本開示の一部の実施例のみであり、全部の実施例ではない。記載された本開示の実施例に基づいて、当業者が創造的労働なしで得られたすべての実施例は、本開示の範囲に含まれる。
【0028】
本開示の実施例は、表示性能を改善できたアレイ基板及びその製作方法、表示パネル、並びに、表示装置を提供する。以下の記載において、関連する実施例を用いて本開示のアレイ基板及びその製作方法、表示パネル、並びに、表示装置について具体的に説明する。
【0029】
I.アレイ基板
図1は、従来の回転ターゲットマグネトロンスパッタリング装置によりアレイ基板のベース基板上に形成された能動フィルムの模式図である。マグネトロンスパッタリング装置は、ターゲット表面上に形成された直交する電磁界を利用して、電子をターゲット表面の特定の領域に閉じ込んでイオン化効率を向上させ、プラズマの密度及びエネルギーを増加させることにより、高速のスパッタリング成膜を実現する装置である。マグネトロンスパッタリング装置には、通常、平面ターゲットマグネトロンスパッタリング装置及び回転ターゲットマグネトロンスパッタリング装置がある。どちらのマグネトロンスパッタリング装置であっても、ターゲット材間に隙間があるので、また、マグネトロンスパッタリング装置における磁界の分布が不均一であるので、堆積されたフィルムは、ベース基板上の異なる位置において膜厚が違う。図1に示されたように、従来の回転ターゲットマグネトロンスパッタリング装置によりベース基板上に堆積されたフィルムの膜厚には周期的な違いがある。図1中のA領域(請求の範囲の“第1の領域”に相当する)で示したように、ターゲット材が対面する位置においては、フィルムの厚みが厚く、図1中のB領域(請求の範囲の“第2の領域”に相当する)で示したように、ターゲット材間の位置においては、フィルムの厚みは小さい。ここで、A領域及びB領域の幅は数cmのレベル(例えば、約8cm)である。このようなフィルムの周期的な厚み変化は、ベース基板のA領域及びB領域において形成されたフィルムトランジスタ(TFT)の動作性能の違いに繋がり、最終的には、いわゆるターゲットむら(即ち、表示ばらつき)を起こす。以下、有機発光ダイオード(OLED)アレイ基板を例に挙げて、A領域及びB領域の膜厚の違いによる問題点について説明する。
【0030】
図2は、本開示の原理を適用できるOLEDアレイ基板の回路模式図である。図2に示されたように、当該アレイ基板は、複数本の走査ライン及び複数本のデータラインを含み、これらにより複数の矩形状の画素ユニットが区切られる。画素ユニットのそれぞれは、スイッチングTFT(即ち、S‐TFT)と、電荷蓄積キャパシタCと、駆動TFT(即ち、D‐TFT)と、OLEDとを含む。当該アレイ基板を備えている表示パネルが正常的に動作する際に、例えばハイレベルVGHを持つ信号で走査ラインのそれぞれを順次に駆動して、当該走査ラインに接続されている全てのスイッチングTFTを導通させる。走査ラインの走査に同期して、各データラインはデータ信号電圧を導通されたスイッチングTFTを介して電荷蓄積キャパシタCに記録するとともに、当該データ信号電圧は駆動TFTを導通させることで、駆動電流、即ち、ソース‐ドレイン間電流(ここで、Vddは駆動TFTの動作電圧である)を出力して、OLEDに対応する色及び強度の光を発せる。当該走査ラインの走査が終了すると、スイッチングTFTはオフにされ、記録されたデータ信号電圧は保持され、続けて駆動TFTに対応する駆動電流を出力させ、次のフレムの走査が開始するまで、OLEDに対応する色及び強度の光を発し続けさせる。
【0031】
スイッチングTFT及び駆動TFTは、図3に示された例示的な構成を採用できる。図3はボトムゲートスタガ型TFT(staggered bottom‐gate TFT)の構成模式図である。図3に示されたように、ボトムゲートスタガ型TFTは、ベース基板上に形成された、例えば、金属、酸化インジウム等の材料からなり得るゲート302と、ゲート302上に形成された絶縁材料(例えば、SiO、Al、有機絶縁材料等)からなり得るゲート絶縁層304と、ゲート絶縁層304上に形成された無機及び有機半導体材料(例えば、IGZO、InSb、ポリチオフェン等)からなり得る能動層306と、能動層306上に形成された、例えば、金属、酸化インジウム等の材料からなり得るソース308及びドレイン310とを含む。
【0032】
図1に関して前述したように、従来の回転ターゲットマグネトロンスパッタリング装置によりベース基板上に堆積されたフィルムの膜厚には周期的な違いが存在する。図2に示されたOLEDアレイ基板の場合、A領域及びB領域の幅は数cmレベルであるが、画素ユニットの幅は数十μmレベル(例えば、約50μm)であるので、A領域及びB領域はいずれも複数の画素ユニットを含んでいるが、図2には1つの画素ユニットのみが模式的に示されている。また、A領域における能動フィルムの膜厚は大きく、B領域における能動フィルムの膜厚は小さいので、A領域及びB領域において形成された駆動TFTのソース‐ドレイン間電流(即ち、駆動電流)には違いがあり、これにより、同じ駆動電圧において、A領域及びB領域におけるOLEDの発する光の色及び強度に違いがあり、ターゲットむら現象を起こす。
【0033】
このターゲットむら現象を解消するために、本開示の発明者は、TFTが動作状態にある時、図3に示されたように、能動層における電流の流れは1つのU字型の回路となり、この回路中の抵抗R=2R1+R2であることを見出した。ここで、R1はソース‐ドレインの下の垂直方向の抵抗であり、R2はチャネル領域の水平方向の抵抗である。導電チャネル領域の抵抗R2<<R1であるので、回路抵抗は近似的にR=2R1と表すことができる。抵抗の算出式により、能動層の回路抵抗はR=2R1=2ρt/(Wd)=2ρt/Sと表すことができ、ここで、ρは能動フィルムの抵抗率であり、tは能動層の厚みであり、S=Wdはソース308又はドレイン310と能動層306との間の重なり面積であり、Wはこの重なり部分の長さ、即ち、TFTの横断面に垂直する方向における、ソース308又はドレイン310と能動層306との間の重なり部分のサイズ(即ち、能動層チャネル領域の幅)であり、dはこの重なり部分の幅、即ち、TFTの横断面に平行する方向における、ソース308又はドレイン310と能動層306との間の重なり部分のサイズであり、図面に示されたLはTFTの横断面に垂直する方向におけるソース308とドレイン310との間の距離(即ち、能動層チャネル領域の長さ)である。
【0034】
電流Iと電圧Uとの間の関係の数式I=U/Rにより、TFTを流すソース‐ドレイン間の電流IDSは以下のように表される。
DS=UDS/R=UDSS/(2ρt)=UDSWd/(2ρt)
【0035】
ここで、UDSはTFTのソース‐ドレイン間の電圧差である。したがって、電圧差UDSが一定する場合に、IDSは、ソース308又はドレイン310と能動層306との間の重なり面積Sに比例し、能動フィルムの厚みtに反比例する。なお、重なり部分の幅dは、大きすぎ(TFTのサイズ増大に繋がる)又は小さすぎ(TFTのオン電流の低下に繋がる)無いことが望ましいので、dは通常適当な値に固定される。したがって、本開示の一実施例においては、重なり部分の幅dは固定値であってもよく、且つ、このような場合、IDSは能動層チャネル領域の幅Wに比例し、能動フィルムの厚みtに反比例する。
【0036】
従って、本開示の実施例によれば、A領域の能動フィルムの膜厚tはB領域の能動フィルムの膜厚tより大きいので、能動フィルムの厚みtに対するソース308又はドレイン310と能動層306との間の重なり面積Sの比率S/tがA領域及びB領域において均一に保持されるように、A領域におけるソース308又はドレイン310と能動層306との間の重なり面積SをB領域におけるソース308又はドレイン310と能動層306との間の重なり面積Sより大きく設定する。このようにして、同じ駆動電圧において、A領域及びB領域におけるOLEDの発する光の色及び強度を均一に保持するように、A領域及びB領域におけるTFTのソース‐ドレイン間電流IDSを均一に保持することにより、ターゲットむら現象を解消する。これに対し、前述した重なり部分の幅dが固定値である実施例において、能動フィルムの厚みtに対する能動層チャネル領域の幅Wの比率W/tは、A領域及びB領域において均一に保持される。
【0037】
能動層のS/t又はW/tがA領域及びB領域において均一に保持されるようにするために、プロセス条件が安定した場合、アレイ基板のベース基板上に形成される能動フィルムの厚みは互いに異なる基板の状況によりほぼ変わらないことを考慮し、まず、能動フィルムの厚みがベース基板上において位置により変化する状況(例えば、ベース基板と同様なテスト用基板上に能動フィルムを形成し、能動フィルムの厚みが位置により変化する状況を測定する)を取得し、測定された各膜厚tより対応する能動層の重なり面積S又はチャネル領域の幅Wを特定した後、対応するマスクを設計することで、特定された重なり面積S又はチャネル領域の幅Wを実現できる。
【0038】
しかしながら、本開示は上記の例示に限られない。他の例示として、TFTの形成中に能動フィルムの厚みがベース基板において位置により変化する状況を取得し、測定された各膜厚により対応する能動層の重なり面積S又はチャネル領域の幅Wを特定してもよい。前述したように、図3では、能動層306を形成した後、ソース308及びドレイン310を形成する。このような場合、能動フィルム又は能動層306の形成後、A領域及びB領域における各能動層306の厚みを測定し、能動層のS/t又はW/tがA領域及びB領域において均一に保持されるように、測定された各厚みtにより対応する能動層の重なり面積S又はチャネル領域の幅Wを特定してもよい。その後、ソース308及びドレイン310を形成し、形成された能動層が特定された重なり面積S又はチャネル領域の幅Wを持つようにしてもよい。図3において、断面図に対応する平面図から分かるように、能動層の重なり面積S又はチャネル領域の幅Wはソース308及びドレイン310のパターンにより調節可能である。したがって、例えば、ソース308及び/又はドレイン310を形成するためのマスクを設計し、作製して、特定された重なり面積S又はチャネル領域の幅Wを実現してもよい。
【0039】
前述したように、A領域及びB領域の幅は数cmレベルであるが、TFTのサイズは約5~30μmであるので、膜厚が位置により曲線的に変化するA領域にとって、A領域における各TFTに対応する位置の厚みを測定しようとすると、非常に大量の位置における厚みを測定する必要がある。効率を向上させるために、図1に示されたA領域の膜厚が位置により変化する曲線が近似的に軸対象の曲線となることを考慮して、A領域の半周期において、相対的に大きいピッチ(例えば、300~500μm毎)毎に一度厚みを測定し、測定された厚み値により膜厚が位置により変化する曲線のフィッティング関数を特定してもよい。このようにして、A領域における任意の点の膜厚は、当該点の座標をこのフィッティング関数に代入することにより特定できる。
【0040】
図4は、従来の回転ターゲットマグネトロンスパッタリング装置によりアレイ基板のベース基板上に形成された能動フィルムの厚みが位置により変化する曲線のフィッティング関数を示し、ここで、TはA領域の周期であり、TはB領域の周期であり、x座標はA領域及びB領域の幅方向における座標を示す。フィッティングアルゴリズムにより、A領域の半周期[x,x]における複数の点の座標及び測定された膜厚を用いて特定されたフィッティング関数の式は、以下の通りであるとする。
f(x)=a+a(x-x)+a(x-x+a(x-x
【0041】
ここで、a、a、a及びaは、フィッティングアルゴリズムにより得られた係数である。こうすると、A領域の他の半周期[x,x]におけるフィッティング関数の数式は、以下のように表される。
f(x)=a+a(T+x-x)+a(T+x-x)+a(T+x-x)
【0042】
能動層のS/t又はW/t比率はA領域及びB領域において均一に保持されるので、A領域及びB領域からなる1つの周期[x,x]において、能動層の重なり面積Sが位置により変化する曲線の数式g(x)は、以下のように表される。
【0043】
【数1】
【0044】
ここで、(S/a)はB領域における能動層のS/tの比の値である。これに対し、能動層チャネル領域の幅Wが位置により変化する曲線の数式h(x)は、以下のように表される。
【0045】
【数2】
【0046】
ここで、(W/a)はB領域における能動層チャネル領域のW/tの値である。他の周期範囲にあるxについても、同様である。注意すべきことは、1つのTFTが占める空間範囲内において、座標xは一定の変化範囲を持つ。例えば、10μmのTFTについては、5μmのところの厚みを取ってTFT全体の厚みにしてもよく、0~10μm範囲の厚みの平均値を取ってTFT全体の厚みにしてもよい。また、本例示の回転ターゲットマグネトロンスパッタリング装置の場合、B領域における能動フィルムの厚みの位置による変化は非常に小さいので、B領域の膜厚が位置により変化する状況に対して関数フィッティングを行う必要はない。しかしながら、例えば、他のプロセスを採用して形成された能動フィルムの膜厚について、膜厚の大きい領域及び膜厚の小さい領域の少なくとも一つの領域において、位置による膜厚の変化が大きければ(例えば、予定位置変化量に対応する膜厚変化量が予定閾値より大きい)、当該少なくとも一つの領域に対して関数フィッティングを行ってもいい。
【0047】
注意すべきことは、本開示は前述した例示に限られない。まず、能動フィルムの膜厚の異なる位置においての違いを起こすプロセスはマグネトロンスパッタリングに限られなく、他のスパッタリング(例えば、マグネトロンを使用していない一般的なスパッタリング)であってもよく、又は他の成膜プロセス(例えば、蒸着)であってもよい。次に、本開示の原理を適用できるアレイ基板はOLEDアレイ基板に限られない。他の例示として、アレイ基板はLCD表示パネルに用いられるアレイ基板であってもよい。上記のOLEDアレイ基板と同様に、当該LCDアレイ基板は、複数本の走査ライン及び複数本のデータラインを含み、これらにより複数の矩形状の画素ユニットに区切られてもよい。画素ユニットのそれぞれは、スイッチングTFTと、保持キャパシタCと、液晶層とを含む。当該LCDアレイ基板を備える表示パネルが正常的に動作する際に、例えば、ハイレベルVGHを持つ信号で走査ラインのそれぞれを順次に駆動して、当該走査ラインに接続された全てのスイッチングTFTを導通させる。走査ラインの走査に同期して、各データラインはデータ信号電圧を導通されたスイッチングTFTを介して保持キャパシタに記録する。当該走査ラインの走査が終了すると、スイッチングTFTはオフにされ、記録されたデータ信号電圧は保持され、次のフレムの走査が開始するまで続けて液晶層を駆動する。本開示の実施例を当該LCDアレイ基板に適用することで、異なる膜厚を持つ領域において形成されたスイッチングTFTのソース‐ドレイン間電流は同じ駆動条件において均一に保持できるので、ソース‐ドレイン間電流により保持キャパシタに記録されたデータ信号電圧も均一に保持され、LCD表示パネルの表示効果が改善される。さらに他の例示として、アレイ基板は電気湿潤表示パネルのアレイ基板に用いられてもよい。
【0048】
また、OLEDアレイ基板は2T1C(2つのTFT、1つのキャパシタ)の配置に限られなく、3T1C(3つのTFT、1つのキャパシタ)の配置又はTFTを含む各種類の他の従来の配置であってもよい。そして、上記のOLEDアレイ基板の実施例において、駆動TFTのチャネル領域の幅Wのみを調節してもよく、または、駆動TFTのチャネル領域の幅WもスイッチングTFTのチャネル領域の幅Wも調節して、さらに表示効果を改善してもよい。また、アレイ基板上に設けられたTFTは画素ユニットを制御するための駆動TFT及びスイッチングTFTに限られなく,例えば、走査ライン及び/又はデータラインを制御するための駆動モジュール中のTFTであってもよい。要するに、TFTの製作時に形成された能動フィルムの厚みが、異なる位置において違いがあり、且つ、当該TFTの導通状態において、能動層中にU字型電流回路が存在すれば、本開示の原理はTFTが設けられた任意のタイプのアレイ基板に適用できることは、当業者にとって、明らかなことである。そして、チャネル領域の幅Wが膜厚tに従って調節されるTFTは、アレイ基板上のいずれか1つの機能を実行するTFT又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0049】
つまり、本開示の少なくとも一つの実施例は、フィルムトランジスタを含み、且つ、少なくとも第1の領域及び第2の領域を有するアレイ基板を提供する。フィルムトランジスタの能動層の厚みに対するソース又はドレインと能動層との間の重なり面積の比率が、前記第1の領域及び第2の領域において均一に保持されるように、前記第1の領域におけるフィルムトランジスタの能動層の厚みは、前記第2の領域におけるフィルムトランジスタの能動層の厚みより大きく、且つ、前記第1の領域におけるフィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり面積は、前記第2の領域におけるフィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり面積より大きい。
【0050】
II.表示パネル及び表示装置
本開示の実施例による表示パネルは、以上の第I部分において記述したアレイ基板を含む。これに対し、本開示の実施例による表示装置(例えば、OLED表示装置、LCD表示装置等)も以上の第I部分において記述したアレイ基板を含む。以上の第I部分において記述したアレイ基板を採用したので、当該表示パネル及び表示装置の表示効果を改善でき、ここでは、説明を繰り返さない。
【0051】
III.アレイ基板の製作方法
図5は本開示の実施例によるアレイ基板の製作方法のフローチャートである。図5に示されたように、アレイ基板の製作方法は、ステップ502、504及び506を含む。
【0052】
ステップ502において、ベース基板において能動層の厚みが位置により変化する状況を取得する。前記能動層は、少なくとも厚みの大きい第1の領域及び厚みの小さい第2の領域を有する。例えば、前述したように、当該ステップ502は以下の2つのサブステップを含んでもよい。第1のサブステップにおいて、ベース基板と同様のテスト用基板上に能動フィルムを形成する。テスト用基板上に能動フィルムを直接形成してもよく、TFTの正常的な製作中の第1のステップから能動フィルムの形成が終了するまで実行してもよい。第2のサブステップにおいて、前記第1の領域及び第2の領域における能動フィルムの厚みを測定する。当該ステップは、任意の従来の膜厚を測定する技術により実現できる。
【0053】
次に、ステップ504において、前記変化する状況により、能動層の厚みに対する前記重なり面積の比率が第1の領域及び第2の領域において均一に保持されるように、形成すべきフィルムトランジスタのソース又はドレインと能動層との間の重なり面積を特定する。前述したように、本開示の一実施例において、重なり部分の幅dは固定値である。このような場合、前記変化する状況により、能動層の厚みに対する能動層チャネル領域の幅の比率が第1の領域及び第2の領域において均一に保持されるように、形成すべき能動層チャネル領域の幅を特定する。
【0054】
また、前述したように、第1及び第2の領域における各TFTに対応する位置の厚みを測定してもよいが、この場合、非常に大量の位置における厚みを測定する必要がある。効率を向上させるために、相対的に大きいピッチ(例えば、300~500μm毎)毎に一度厚みを測定し、測定された厚み値により膜厚が位置により変化する曲線のフィッティング関数を特定してもよい。フィッティング関数の詳細及びフィッティング関数により能動層の重なり面積又はチャネル領域の幅を特定する詳細については、以上の第I部分において既に詳細的に説明したので、ここでは説明を繰り返さない。
【0055】
ステップ506において、形成されたフィルムトランジスタが特定された重なり面積を有するように、ベース基板上にフィルムトランジスタを形成する。これに対し、上記重なり部分の幅dが固定値である実施例においては、形成された能動層チャネル領域が特定された幅を持つように、ベース基板上にフィルムトランジスタを形成する。例えば、フィルムトランジスタを形成するための1つ又は複数のマスクを設計し、作製して、特定された重なり面積S又はチャネル領域の幅Wを実現してもよい。
【0056】
一つの例示として、フィルムトランジスタの実現は図6に示されたようにしてもよく、これは図3に示されたボトムゲートスタガ型TFTに対応する。この場合、フィルムトランジスタの形成はステップ602~610を含む。ステップ602において、ベース基板上にゲートを形成する。これは堆積及びフォトリソグラフィプロセスにより実現できる。例えば、ゲート材料層の堆積、フォトレジストの塗布、マスクを用いた露光、現像液による現像、エッチング液によるエッチング、及びフォトレジストの剥離を順次に実行することにより、ベース基板上にゲートを形成することができる。ステップ604において、ゲート上にゲート絶縁層を形成する。これは堆積プロセスにより実現でき、又は堆積及びフォトリソグラフィプロセスにより実現できる。ステップ606において、ゲート絶縁層上に能動フィルムを形成する。これはスパッタリング又は蒸着等のプロセスにより実現できる。ステップ608において、能動フィルムをパターニングして能動層を形成する。これはフォトリソグラフィプロセスにより実現できる。ステップ610において、能動層上にソース及びドレインを形成する。これは堆積及びフォトリソグラフィプロセスにより実現できる。
【0057】
しかしながら、本開示は前述した例示に限られない。他の例示として、ステップ502及び504はステップ506の実行中に実行されてもよい。例えば、図6に示された例示において、まず、能動層を形成した後、ソース及びドレインを形成する。したがって、ステップ502及び504は能動フィルム又は能動層の形成後(即ち、図6のステップ606又は608の後)に実行されてもよい。このようにして、ステップ504において形成すべき能動層の重なり面積又はチャネル領域の幅を特定した後、ステップ610においてソース及びドレインを形成して、特定された重なり面積又はチャネル領域の幅を実現してもよい。前述したように、例えば、ソース及び/又はドレインを形成するためのマスクを設計し、作製して、特定された重なり面積又はチャネル領域の幅を実現してもよい。
【0058】
要するに、本開示の少なくとも一つの実施例は、ベース基板において能動層の厚みが位置により変化する状況を取得することを含む、アレイ基板の製作方法を提供する。前記能動層は、少なくとも厚みの大きい第1の領域及び厚みの小さい第2の領域を有する。前記製作方法は前記変化する状況により、フィルムトランジスタの能動層の厚みに対するソース又はドレインと能動層との間の重なり面積の比率が前記第1の領域及び第2の領域において均一に保持されるように、形成すべき前記重なり面積を特定することをさらに含む。前記製作方法は、形成されたフィルムトランジスタが特定された重なり面積を有するように、ベース基板上にフィルムトランジスタを形成することをさらに含む。
【0059】
このようにして、フィルムトランジスタの能動層の厚みに対するソース又はドレインと能動層との間の重なり面積の比率は第1の領域及び第2の領域において均一に保持されるので、第1の領域及び第2の領域において形成されたフィルムトランジスタの能動層の厚みの違いによるソース‐ドレイン間電流の違いを避けることができ、画素ユニットに対するアレイ基板の制御を第1の領域及び第2の領域において均一に保持して、表示効果を改善できる。
【0060】
注意すべきことは、以上は本開示の例示的な実施の形態であり、本開示の範囲を制限するものではなく、本開示の範囲は添付された請求の範囲のより示される。
【符号の説明】
【0061】
302 ゲート
304 ゲート絶縁層
306 能動層
308 ソース
310 ドレイン
図1
図2
図3
図4
図5
図6