(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】患者の健康状態の診断用の血行動態パラメータ(HDP)監視システム
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20220308BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20220308BHJP
A61N 5/04 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
A61B10/00 T
A61B5/02 E
A61N5/04
(21)【出願番号】P 2018508612
(86)(22)【出願日】2016-04-22
(86)【国際出願番号】 US2016028880
(87)【国際公開番号】W WO2016176117
(87)【国際公開日】2016-11-03
【審査請求日】2019-04-22
(32)【優先日】2015-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517378142
【氏名又は名称】セラバイオニック インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】フェデリコ ペレゴ コスタ
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-539690(JP,A)
【文献】特表2010-522051(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0218021(US,A1)
【文献】特表2011-519704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0139678(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 5/02 - 5/0507
A61N 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の健康状態を診断するための血行動態パラメータ(Hdp)監視システムであって、
ベース又は非曝露期間において前記患者によって示されるHdp値と前記患者が低エネルギー電磁出力信号に曝露される曝露期間の最中又は後に前記患者によって示されるHdp値とを、検知及び計測し、そして、これらを記録する記録手段を含む、Hdpモニタ;
ここで、前記監視システムが、恐らくは相関したHdp値の観察のセットを、
圧力、
流量、及び
拍動を含む3つの群に分類される主成分と呼ばれる線形非相関変数の値のセットへと変換するための主成分分析手段を含み、そして当該主成分が、以下の:
収縮期血圧、
拡張期血圧、
中央血圧、
1回拍出量、
心拍出量、
全末梢抵抗、
RRインターバル、
心拍数、及び
脈圧を表し;
前記曝露期間において前記患者を前記低エネルギー電磁搬送波出力信号に曝露させる又は前記出力信号を前記患者に印加するべく、前記低エネルギー電磁搬送波出力信号を生成するように作動するべく適合された電動生成器;並びに、
不良な健康状態と予め診断された1又は複数の代用患者からのHdp値から決定された代用マーカーを含む記録された情報
を有し、ここでベース又は非曝露期間の、及び曝露期間の最中又は後の患者のHdp値に由来する主成分を、代用マーカーと比較することにより、患者の健康状態診断が可能になる、前記システム。
【請求項2】
前記Hdpモニタは、前記Hdp値のそれぞれを検知及び計測し、且つ、前記ベース及び非曝露期間の両方において前記患者によって示される前記Hdp値と、前記曝露期間の最中及び後に前記患者によって示される前記Hdp値と、を別個に記録するように、適合されている請求項1に記載のHdp監視システム。
【請求項3】
前記Hdpモニタは、少なくとも10回の心拍によって判定された期間において、反復的に、前記Hdp値を検知及び計測し、且つ、前記値を記録するように適合されている請求項1に記載のHdp監視システム。
【請求項4】
前記電動生成器は、前記低エネルギー電磁出力信号の振幅を制御する振幅変調制御手段と、AM変調された出力信号が生成される保存されたAM周波数値を有する振幅変調(AM)周波数ストレージ手段と、を含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載のHdp監視システム。
【請求項5】
前記AM周波数ストレージ手段は、不良な健康状態を有する患者に対して緩和又は治療効果を有する前記AM変調された出力信号を提供するように判定されたAM周波数値を有する請求項4に記載のHdp監視システム。
【請求項6】
前記規定された不良な健康状態は、癌のタイプ又は形態である請求項5に記載のHdp監視システム。
【請求項7】
前記癌のタイプ又は形態は、肝細胞癌(HCC)又は乳癌である請求項6に記載のHdp監視システム。
【請求項8】
Hdp監視システムのレコーダ手段によって記録された前記患者のHdp値との比較を目的としてHdpマーカー値又はHdp代用マーカー値を確立する血流パラメータ(Hdp)監視システムであって、
ベース又は非曝露期間において1人の又は複数の代用患者によって示されたHdp値と前記代用患者が低エネルギー電磁出力信号に曝露される曝露期間の最中又は後に前記代用患者によって示されるHdp値とを、検知及び計測し、そしてこれらを記録する記録手段を含む、Hdpモニタと;
ここで、前記監視システムが、恐らくは相関したHdp値の観察のセットを、
圧力、
流量、及び
拍動を含む3つの群に分類される主成分と呼ばれる線形非相関変数の値のセットへと変換するための主成分分析手段を含み、そして当該主成分が、以下の:
収縮期血圧、
拡張期血圧、
中央血圧、
1回拍出量、
心拍出量、
全末梢抵抗、
RRインターバル、
心拍数、及び
脈圧
を表し;そして
前記曝露期間において前記代用患者を前記低エネルギー電磁搬送波出力信号に曝露させる又は前記出力信号を前記代用患者に印加するべく、前記低エネルギー電磁搬送波出力信号を生成するように作動するべく適合された電動生成器と、
を有するシステム。
【請求項9】
前記Hdpモニタは、前記Hdp値のそれぞれを検知及び計測し、且つ、前記ベース又は非曝露期間の両方において代用患者によって示される前記Hdp値と、前記曝露期間の最中又は後に代用患者によって示される前記Hdp値と、を別個に記録するように適合されている請求項8に記載のHdp監視システム。
【請求項10】
前記Hdpモニタは、少なくとも10回の心拍によって判定された期間において、反復的に、前記Hdp値を検知及び計測し、且つ、前記値を記録するように適合されている請求項8に記載のHdp監視システム。
【請求項11】
前記電動生成器は、前記低エネルギー電磁出力信号の振幅を制御する振幅変調制御手段と、AM変調された出力信号が生成される保存されたAM周波数値を有する振幅変調(AM)周波数ストレージ手段と、を含む請求項8に記載のHdp監視システム。
【請求項12】
前記AM周波数ストレージ手段は、不良な健康状態を有する患者に対する緩和又は治療効果を有する前記AM変調された出力信号を提供するように判定されたAM周波数値を有する請求項11に記載のHdp監視システム。
【請求項13】
前記規定された不良な健康状態は、癌のタイプ又は形態である請求項12に記載のHdp監視システム。
【請求項14】
前記癌のタイプ又は形態は、肝細胞癌(HCC)又は乳癌である請求項13に記載のHdp監視システム。
【請求項15】
前記Hdp値の記録には、前記Hdpモニタ内に含まれている前記記録手段と統合された、又はこれに結合された、アナライザコンポーネントによる前記記録のリアルタイム分析が適用される請求項8に記載のHdp監視システム。
【請求項16】
前記Hdp値の記録には、前記Hdp値の記録に関係した情報が提供された分析センタによる前記記録の分析が適用される請求項8に記載のHdp監視システム。
【請求項17】
前記分析は、前記記録されたHdp値のそれぞれごとに代表値を算出するステップと、任意選択により、異なる代表Hdp値の間において比率の判定を実施するステップと、前記代表値又は比率のいずれか又は両方を、健康であることが判明している、或いは、識別された不良な健康状態を経験している又は経験する可能性が高いと既定された、患者において既定された、既定の代表値又は比率と比較するステップと、を含み、これにより、既定の代表Hdp値又は比率とマッチングする、記録されたHdp値又は比率の算出された代表値は、患者の健康状態の診断の通知を提供する請求項15に記載のHdp監視システム。
【請求項18】
前記患者の前記健康状態は、癌細胞成長の形態、或いは、前記癌細胞成長の形態が患者内において進行している尤度、を伴っているものと疑われている又は判明している請求項17に記載のHdp監視システム。
【請求項19】
前記患者の前記健康状態は、肝細胞癌(HCC)又は乳癌である癌細胞成長の形態を伴っているものと疑われている又は判明している請求項18に記載のHdp監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断用の、更に詳しくは、様々な規定された血行動態パラメータ(Hdp:Hemodynamic parameter)値を検知及び監視可能なモニタを伴うと共にその記録値を提供する、Hdp監視システムに関する。記録された規定のHdp値には、本発明の観点における診断の実行を目的として必要とされる値が含まれている。
【背景技術】
【0002】
当技術分野においては、様々なHdpモニタが入手可能である。このようなモニタは、一般に、通常は患者の心血管状態の診断を目的として、様々なHdp値を検知及び監視するべく利用されている。一般に、心電図(ECG:ElectroCardioGram)との関連において実行されているHdp計測は、1回拍出量(SV:Stroke Volume)、1回拍出係数(SI:Stroke index)、及び心拍出量(CO:Cardiac Output)の計測を含むことができよう。このような計測値は、心不全、高血圧、冠動脈疾患、心膜疾患、閉塞性肺、及び胸膜疾患などの心臓状態、並びに、更には腎不全を患っている患者の診断及び治療のために通知される。文献には、実際の患者の電流の計測を目的として、離隔した電極に対する(40kHzで約400マイクロアンペアの)固定電流の印加を伴う、所謂、インピーダンスカルジオグラフィ(ICG:Impedance CardioGraphy)について記述されている。この従来技術は、基本的に、1回拍出量(SV)に心拍数(HR:Heart Rate)を乗算することによってCOを計測又は計算するべく、CO計測値の取得と、周知の且つ一般に利用されている熱希釈(TD:ThermoDilution)手順との間における離隔電極ICG手順の比較と、に関係している。
【0003】
上述の従来技術は、このICG手順に伴う患者に対する電流の通過という観点において言及されたものであるが、この手順は、可能であるものの、患者のCO値の確実な計測値の取得の試みにのみ関係している。又、従来技術の観点においては、安定した電流供給源を保証するためのダイレクトデジタル合成(DDS:Direct Digital Synthesis)に関する記述も、ある程度の関心事であり、この技術も、本発明の血行動態監視システムのコンポーネントにおいて利用されうるが、必須ではない。更には、従来技術の観点においては、異なる計測手順によって提供されるCO計測値の間の差のBand-Altmanプロットによる統計分析の開示も、可能な関心事である。Bland-Altmanプロット(差分プロット)は、J. Martin Bland及びDouglas G.
【0004】
Altmanによる医療統計学において普及した、2つの分析物の間における合致を分析する際に使用されるデータプロット法である。
【0005】
以上において略述されている従来技術については、(非特許文献1)を参照されたい。この可能な関心は、様々な規定されたHdp値の計測値に関係した統計分析及び演算を伴う本発明に起因している。
【0006】
本発明は、基本的に患者の健康状態の診断と関係している一方で、(特許文献1)に含まれている開示によって表されている従来技術の記述は、温血哺乳動物被験体内の細胞機能に影響を及ぼす電子システムに関係したものであり、この場合には、「従って、本発明の電子システムは、腫瘍細胞成長又は癌のタイプの存在又は不存在及びアイデンティティを診断するための有用な診断ツールである」という表現において、診断に言及されている。但し、この開示は、癌のタイプの、或いは、実際に、患者の健康状態のなんらかのその他の形態の、診断用の手段として、計測されたHdp値を利用することを想定又は示唆してはいない。
【0007】
本発明の背景の観点において、上述の(特許文献1)において記述されている電子システムの支援によって実行される広範な臨床的試みは、実行された治療の効果に関係した更なる調査に結び付いている。これらの更なる調査は、患者内部の様々なHdp値の複数の計測を実行するステップと、このような値が、癌のタイプとは独立的に、異なっているという本発明の観点における判定と、を含んでいる。このような判定は、患者内に存在する特定の癌の形態を診断するべく、計測されたHdp値に基づいた診断手順を提供するための基礎を提供している。これらの判定は、実際に、ウイルス、寄生虫、又はその他の病原菌の侵入、患者の血液中に含まれる毒素などの望ましくない成分をもたらす臓器不全、薬剤乱用、毒物、高LDL(Low-Density Lipoprotein)コレステロールレベル、蛇咬傷からの毒液、及びこれらに類似したものなどの状態を含む、患者が経験する不良な健康状態のすべての形態が、患者の診断のために、特定の識別された計測Hdp値に基づいて診断されうることを更に示唆している。更には、(特許文献2)において記述されている中枢神経系(CNS:Central Nervous System)障害は、既定のAM周波数において変調された振幅変調(AM:Amplitude Modulation)搬送波信号の患者に対する印加によって成功裏に治療されうることが既に確認済みであることから、このような状態が、特定の計測Hdp値に基づいて、同様に診断されうる可能性が高い。又、正確な生理活性周波数の支援によって治療されうる状態の長いリストを開示している(特許文献3)も参照されたい。周波数シンセサイザが、特定の正確な周波数又はその連続体を生成するように制御されている。このような周波数を選択するべく、ユーザーによって操作されるキーボードが利用されており、その結果、これにより、判定された明確に定義された時間インターバルにおいて生成信号をオン又はオフゲート処理する回路が得られる。但し、この場合にも、Hdp値又はその判定にする影響は、考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許出願第08734777.9-1652号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0592851A2号明細書
【文献】米国特許第5,690,692号明細書
【非特許文献】
【0009】
【文献】J. Fortin et al./Computers in Biology and Medicine 36 (2006) 1185-1203
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の観点における診断は、更に詳細に後述するように、判定された時点において、且つ、判定された期間にわたって、識別された不良な健康状態を経験している又は健康な状態にあると事前診断された幾人かの患者において計測された、特定の計測及び記録されたHdpパラメータ値の支援により、実行することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
患者のHdp値との比較を目的として、Hdpマーカー値又はHdp代用マーカー値を確立するべく、患者の健康状態を診断する血行動態パラメータ(Hdp)監視システムが提供される。Hdpモニタは、ベース又は非曝露期間において患者によって示されるHdp値と、更には、患者が低エネルギー電磁出力信号に曝露される曝露期間の最中に又はその後に患者によって示されるHdp値と、を検知、計測、及び記録する。電動生成器は、前記曝露期間において、このような出力信号に患者を曝露させる又はこれを患者に印加するために、前記低エネルギー電磁搬送波出力信号を生成するべく作動するように適合されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による患者に対する電磁出力信号の印加用の可変Hdp変動手段として利用されうる回路を例示する、例示用の回路のブロックダイアグラムを示す。
【
図2】本発明によるAM RF EMFの曝露の前の、且つ、その最中の、血行動態パラメータの連続的な監視のための実験設定における例示用の患者を示す。
【
図3】それぞれの心拍において同時計測された11個の血行動態パラメータの一例である。
【
図4】二重盲検方式によって非曝露及び曝露期間において連続的に実行される血行動態記録を表すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、患者の健康状態を診断する血行動態パラメータ(Hdp)監視システムを提供している。システムは、患者の様々な識別された検知されたHdp値を検知及び記録する血行動態パラメータHdpモニタを有する。システムは、一般に、身体の様々な判定された部分との間における局所的な接触状態おいて配置された電極を利用することにより、患者の様々な識別された検知されたHdp値を検知する。血行動態パラメータHdpモニタは、患者の様々な識別された検知されたHdp値を記録する記録手段を更に有する。記録手段は、患者の様々な識別された検知されたHdp値が記録されうる任意のストレージ装置を利用することができる。患者の健康状態の診断を目的として、
・RRインターバル(心電図(ECG)上において示されているRピークから次のRピークまでのインターバル(RRI))、
・心拍数(HR)、
・収縮期血圧(sBP:systolic Blood Pressure)、
・拡張期血圧(dBP:diastolic blood Pressure)、
・中央血圧(mBP:median Blood Pressure)、
・脈圧(PP:Pulse Pressure)、
・1回拍出量(SV)、
・心拍出量(CO)、及び、
・全末梢抵抗(TPR:Total Peripheral Resistance)という9個のHdpの値を含む様々なHdp値が、検知、計測、及び記録される必要があると本発明に従って実行される診断を目的として判定されている。
【0014】
上述の初期計測又はその値は、本明細書においては、ベース計測又はベースHdp値と呼称される。手順の観点においては、上述のパラメータの初期計測は、患者が仰向けの(顔面と、好ましくは、更に手のひらと、が、上方に対向している)位置において横になった状態における、例えば、約15分の、休養期間の後に、事前診断済みの被験体に対して実行される。
【0015】
上述の初期計測を実行した後に、事前診断済みの被験体は、選択された電磁界(EMF:ElectroMagnetic Field)出力信号に対する曝露又はこの印加を伴うHdpに影響に及ぼす手順に曝露されるか又はこれが印加される。このような出力信号の選択は、一般に、複数の被験体、或いは、むしろ、識別された不良な健康状態を有すると事前診断された患者、において有益な治療効果を提供すると既定された出力信号に基づいたものとなろう。
【0016】
上述のEMF出力信号は、特定の既定の振幅変調(AM)周波数においてEMF出力信号を生成するように適合された生成器装置によって提供することができる。被験体又は患者は、最も好ましくは、既定の期間にわたって、複数回の心拍の時間において、最も好ましくは、患者の少なくとも10回の心拍の時間にわたって、出力信号に曝露されるか、或いは、出力信号が患者に印加される。この手順は、一般に、Hdp値が曝露又は印加の期間において検知及び計測されうるように、患者が本発明のシステムのHdpモニタに接続又は再接続された状態に留まっている状態で、実行されることになろう。但し、Hdp値は、これに加えて又はこの代わりに、曝露又は患者に対する印加の、潜在的に継続する効果、一般的には、統計的に有意な治療的に有益な効果、の判定を目的として、曝露又は印加の期間の後に検知及び計測することもできる。
【0017】
事前診断された被験体又は患者に対する上述の曝露又は印加の最中又はその後に計測された上述のHdp値は、本明細書においては、曝露後又はHdp変動値と呼称される。
【0018】
一般には、不良な健康状態の識別された形態を経験していると事前診断された複数の患者に適用される、上述の手順は、不良な健康状態の識別された事前診断された形態と関係する、複数のベースHdp値及び複数の曝露後Hdp値の両方を提供する。例えば、先程列挙された9個のHdpパラメータの、すべてでない場合にも、大部分のものなどの、これらの複数のHdp値は、一般には、多少散乱した値となりうる。従って、代表的なマーカーHdp値を定義することを目的として、このような散乱した値は、通常、Hdpパラメータのそれぞれごとに代表的なHdp値を取得することを目的として、統計手順によって分析されることになろう。
【0019】
従来の統計手順は、例えば、異常値を識別及び拒絶するべく利用されるDixonのQ試験、2つの値グループの平均値が互いに統計的に異なっているかどうかを判定するためのT試験、Fisherの判別分析、標準偏差尺度、及び分散値、並びに、恐らくは相関した変数の観察の組を主成分と呼称される線形非相関変数の値の組に変換するべく直交変換を使用する統計手順である主成分分析(PCA:Principle Component Analysis)を含むことができよう。様々なHdpのHdp値について本明細書において報告されている値は、線形非相関変数(PC)に対する相関した変数のPCAを利用している。このような統計手順によって分析されたHdp値は、(健康な状態の値を含む)被験体の健康状態の診断のために利用される所謂代用マーカー用のマーカーとして機能する。マーカー値を提供する本発明における代用物は、健康であると、或いは、後述する識別された癌の形態などの、識別された不良な健康状態の形態を経験していると、事前診断された患者の数を含む。
【0020】
上述の内容に鑑み、本発明のHdp監視システムは、患者の健康状態の診断において使用されるマーカー値を確立及び識別する手段を提供している。マーカー値は、健康であるか又は不良な健康状態の既知の形態を経験していると事前診断された患者に対して実行された治療及びHdp値計測に続いて、マーカー値が監視システムによって判定されるという点において、代用マーカーと呼称されている。上述のHdpモニタは、先程列挙されたHdpのHdp値の少なくともいくつかに対して影響を及ぼすと判定された特定の既定の振幅変調(AM)周波数においてEM出力信号を生成するように適合された生成器装置との関連において、利用されている。従って、本発明のHdp監視システムは、患者のベースHdp値及び曝露後Hdp値の両方を検知、計測、及び記録する手段を含むことになろう。
【0021】
本発明の監視システムは、上述の代用マーカーを含む保存された情報と、診断を経験している患者の通知された診断を提供するべく、代表的な計測されたHdp値を後述する代表的な代用マーカーと比較する比較手段と、を更に有することができる。或いは、この代わりに、生成器装置は、検知されたベース及び曝露後Hdp値をHdpモニタから受け取り、且つ、このような保存された情報を保有するように適合されてもよく、この情報は、適宜、通知された診断に関する情報を担当の医療スタッフに提供するべく、Hdpモニタに伝達されてもよい。
【0022】
診断を目的として利用される代表的な代用マーカーは、本発明の観点においては、代表的なベースHdp計測値と代表的な曝露後又はHdp変動計測値の両方からの情報の演算的な組合せから導出されている。Hdp値に影響を及ぼすべく利用される既定のAM周波数は、それぞれの健康状態ごとに異なっており、且つ、曝露後Hdp値も、同様に、異なっていることから、規定された健康状態の代表的な代用マーカーを導出するための演算的な組合せは、例えば、PCAデュアルグループ分析において異なる癌の形態をアライメントすることを目的として、異なる演算を必要としている。
【0023】
マーカー値の信頼性は、当然のことながら、検査対象である不良な健康状態のそれぞれのタイプごとに含まれる事前診断された代用物の数に依存している。従って、母数の間における不良な健康状態の発生率、更に詳しくは、肝細胞癌(HCC:HepatoCellular Carcinoma)又は関係する肝臓疾患などの、診断が困難である不良な健康状態の高い発生率が顕著な関心を集めている。同様に、後述するように、乳癌の相対的に高い発生率も、これまで、顕著な関心を集めている。
【0024】
曝露後又はHdp変動計測値は、低エネルギーAM搬送波信号への曝露又はその印加の後に反映されうるという点において、本発明の観点において、患者の規定された不良な健康状態の原因を軽減するべく既定された既定のAM周波数値の患者に対する曝露又は印加に続いて発生するHdp値と比較されてもよい。マッチングするベース及び曝露後Hdp値は、それ自体で、前記既定のAM周波数値の印加による治療の効果をサポートしるうのみならず、患者の健康状態の診断の予備的通知を提供することもできる。更なる科学的な詳細事項に対する参照は、例えば、具体的には、後述する癌診断の2つの異なる形態に関係している。ここでは、ベースの非曝露期間に後続する患者の診断と、男性のHCCの6つのケースのうちの5つ(83.3%)、女性の乳癌の6つのケースのうちの5つ(83.3%)、及び6つの健康な比較標準のうちの6つ(100.0%)における血行動態パターンとの間における患者の診断の相関と、に言及しておく(表4)。同様に、曝露期間における腫瘍に固有の血行動態応答パターンについても言及しておく(表5)。
【0025】
特定のAM周波数を有するAM電磁出力信号の電動生成器は、既定のAM周波数値を保存するためのストレージ装置を有することができる。上述の欧州特許出願第08734777.9-1652号において記述されているように、このようなストレージ装置は、出力信号のAM周波数を制御するべく、利用することができる。
【0026】
上述のストレージ装置を有する代わりに又はこれに加えて、Hdp値の変動を誘発する手段の曝露又は印加は、下限値と上限値の間においてAM周波数を変化させるように適合された可変AM周波数チューニング装置を有することもできる。
【0027】
例えば、約0.01~約150MHzの範囲のAM周波数などの、広い周波数の範囲における可変周波数チューニング装置によるAM周波数出力信号の曝露又は印加の期間は、Hdp値が、任意の特定の周波数値において、短い期間において変化することを必要としうる。従って、Hdp値がHdpモニタによって検知、計測、及び記録される心拍時間において印加後Hdp値変動が実際に発生するAM周波数値を識別するべく、AM周波数の範囲の一部分の連続的な曝露又は印加が必要とされうる。
【0028】
本発明のシステムは、血行動態パラメータ値のうちの少なくともいくつかのパラメータの周波数Hdp変動が示される周波数値を計測及び記録する出力信号周波数計測及び記録手段を含む。同様に、識別されたHdpのそれぞれごとに計測された値のそれぞれを記録するHdp値記録手段は、好ましくは、患者に対する出力信号の曝露又は印加の期間の前に、最中に、又はその後に、互いに別個に、計測及び記録している。
【0029】
上述のものに加えて、本発明の血行動態パラメータ監視システムの更なるコンポーネントは、アナライザコンポーネントであり、このコンポーネントは、細胞励起手順に対する患者の適用又は曝露の前に、最中に、又はその後に、血行動態パラメータ値を記録する記録手段と統合されうる又はこれに結合することができる。アナライザコンポーネントは、異なる記録された血行動態値のそれぞれごとの代表的な値を取得し、これにより、任意選択により、異なる代表的な血行動態パラメータ値の間のおける比率の判定を実施し、且つ、このような代表的な値又は異なる値の間における比率のいずれか又は両方を、健康である、或いは、識別された不良な健康状態を経験しているか又はこれを経験することになる可能性が高いと判明した患者において既定された、既定の代表的な値又は比率と比較するべく、様々な記録された血行動態パラメータ値の統計分析を実行するプログラムによって制御された計算手段を含むことができる。既定の代表的な血行動態パラメータ値又は比率とマッチングする、記録された血行動態パラメータ値又は比率の算出された代表的な値の、更に詳しくは、所謂励起後血行動態パラメータ変動値の、比較は、患者の健康状態の診断の通知の提供をもたらす。
【0030】
アナライザコンポーネントは、上述のように、記録手段と統合される又はこれに結合される代わりに又はこれに加えて、センタにおいて受信された又はこれに伝達された記録済みの血行動態パラメータ情報に基づいて分析を実行しうる分析センタにおいて、配置されてもよい。
【0031】
例1
以下、16回の連続的な心拍において記録された9つの異なるHdp値の例について説明する。
【0032】
【0033】
9つの血行動態パラメータのそれぞれごとの上述の検知及び記録された値は、単一の患者によって示されるこれらの値の例である。
【0034】
例2
以下の表2は、幾人かの患者の9つの値のそれぞれごとの複数の検知及び記録された血行動態パラメータ値を表す、例示用の主成分(PC)値である。PC代表値は、HCC又は乳癌の診断を有する患者と健康な比較標準の間のPC Hdp値の比較を単純化するべく、それぞれ、肝細胞癌(HCC)を有する8つの患者、乳癌を有する8つの患者、及び8つの健康な比較標準という、それぞれが8つの患者からなる3つのグループについて、圧力、流量、及び拍動という3つのグループに分割されている。又、以下の表には、Fisherの判別分析によって取得されたX及びY標準座標、EMのAM信号の曝露又は印加の前に患者によって示されたHdpの代表的な圧力、流量、及び拍動のPC値に対する参照も含まれている。
【0035】
【0036】
以上の数値から興味深いのは、第1に、この例においては、HCCの診断を有する患者と乳癌の診断を有する患者の両方である、癌の診断を有するすべての患者が、P2のPC値を大幅に上回るP1のPC値を反映しているという点である。
【0037】
例3
以下の表3は、いくつかの患者の9つの値のそれぞれごとの複数の検知及び記録された血行動態パラメータ値を表す、PC値から得られた標準座標及びベクトルを使用した分析形状による例示用の判別である。PC代表値は、それぞれ、HCCを有する患者、乳癌を有する患者、及び健康な比較標準という3つのそれぞれのグループについて、圧力、流量、及び拍動という3つのグループに分割されている。幾何学的パラメータの線形弁別関数を使用して値のd_グループまでの一般化された二乗距離を判定するべく、その診断に基づいた患者の別個のグループが識別されている。
【0038】
【0039】
例示用の回路のブロックダイアグラムである
図1を参照すれば、患者に対する電磁出力信号の印加用の可変Hdp変動手段として利用されうる回路の例が示されている。このような例示用の回路には、本発明の血行動態パラメータ監視システムに対する接続ための接続手段が提供されてもよく、或いは、この例示用の回路は、このシステム内に含まれてもよく、或いは、このシステム内に統合されてもよい。ブロックダイアグラムのブロックのうちのそれぞれのブロック又はその機能の説明が、その理解を促進するべく、含まれる。
【0040】
印加システムの電気回路のブロックダイアグラムは、既定の選択されたAM周波数において、AMのRF出力信号を患者に印加する。既定の選択された周波数は、ストレージ装置52内において保存されているAM周波数値によって制御されている。保存されている既定のAM周波数値は、患者に対して実行されると共にストレージ装置52内において保存されるバイオフィードバック手順により、別個に判定される。患者に印加される様々な既定の選択されたAM周波数は、患者の不良な健康状態の1つの又はその他の形態を経験している患者の治療のために、通知される。
【0041】
上述の印加システムの支援によって実行された長期にわたる試みは、患者内における癌細胞成長又はその増殖が、特定の明確に定義された周波数におけるAM出力信号の患者に対する印加によって妨げられうるという発見をもたらした。更なる調査は、癌治療を目的としたAM周波数は、非常に正確に制御される必要があることを明らかにした。欧州特許出願第08734777.9号明細書又は国際特許出願第EP2008002379号である国際特許出願公開第2008/116640A2号パンフレットによって表されているものなどの、世界規模で出願された特許出願は、癌の識別された形態用の出力信号の非常に正確なAM周波数値のアイデンティティと、このような非常に正確に制御されたAM周波数出力信号の患者への印加を可能にする変更されたシステムと、を含む、この発見及び調査に関係している。欧州特許出願第EP08734777.9号明細書において含まれているシステムに対する変更は、図示のマイクロプロセッサ21と組み合わせられうる所謂デジタルダイレクトシンセサイザ(DDS:Digital Direct Synthesizer)を含む。
【0042】
本発明は、先程参照した少なくとも9つの血行動態パラメータ値を検知及び計測することができる血行動態パラメータ監視システムとの組合せにおいて、上述の装置又は変更された装置、或いは、実際に、Regeneration Technology of Tijuana, Mexicoに対して譲渡された上述の米国特許第5,690,692号明細書などの、当技術分野において記述されているその他の装置を利用することを想定している。更に詳しくは、このような組合せは、従来の文献において記述されているAMのRF電磁信号又は患者に印加されうるその他のこのような信号の患者に対する印加の前の、最中の、又はその後の、患者の血行動態パラメータ値の検知を可能にしている。この観点において特に興味深いのは、検知、計測、及び記録された血行動態パラメータ(Hdp)値が、患者の状態とは独立的に、異なっているという点である。例えば、先程例示したように、検知及び記録された血行動態パラメータ値は、異なる癌の形態を経験している患者の間において異なっており、且つ、健康な患者の状態のこのような値とも異なっている。更には、このような血行動態パラメータ値は、同一の又は緊密に関係した不良な健康状態を経験している患者により、少なくともそれなりの程度にまで、共有されていることも判明した。従って、検知及び記録された血行動態パラメータ値は、上述のものなどの特性を有する様々な形態の不良な健康状態を診断するための、且つ、健康な患者の状態の診断の、診断機会を提供している。
【0043】
本発明の観点においては、上述の本発明の組合せに加えて、従来技術の開示において記述されている治療装置又はシステムに対する変更も想定される。更に詳しくは、これまでのシステムの支援によって治療される様々な患者において実施されている検知及び記録されたHdp値の判定によれば、特定の正確な周波数を生成する又は一連の正確なプログラムされた周波数を生成する要件は、患者が、記述されている特性の血行動態パラメータモニタに接続された時点において起動される、周波数の下限と上限の間において可変である、可変周波数チューニング装置により、置換又は補完されうるものと考えられる。
【0044】
このような可変周波数チューニング装置の可用性は、血行動態パラメータモニタとの組合せにおいて、様々な周波数値において本発明の観点において必要とされているHdp値の検知を可能にすることになろう。周波数値は、Hdp値又はその変動に対する効果を判定するべく従来の開示の観点において示唆されている周波数値から選択されてもよい。但し、Hdp値又はその変動が対象となるそのような周波数値は、記録することができる。記録された周波数値は、アイデンティティ又はその正確性をサポートするべく、患者の治療のためにこれまでの開示において提案されている既定の周波数値と比較されてもよく、或いは、不良な健康状態を経験している患者に対して有益な治療効果を提供しうる更なる周波数値に関係した情報を提供することもできる。
【0045】
患者に対するHdp変動手段の曝露又は印加の時点において低エネルギーAM出力信号の周波数を変化させるべく利用可能である、可変周波数チューニング装置の可用性は、実際的な重要性を有しうる考慮するべき変更である。即ち、従来の文献において開示されている治療装置とは対照的に、患者の様々な治療のために利用される周波数は、固定的に既定された保存された周波数である。この観点において、上述の米国特許5,690,692号明細書は、「...周波数信号は、既定のレートにおいて、ゼロからユーザーによって制御可能である既定のレベルまで、徐々に増大される」という開示により、周波数チューニング装置の可用性を示唆するものと見なしうるであろう。実際に、ここで参照されているものは、信号の可変振幅の漸進的な増大であり、且つ、振幅変調の周波数でもなく、単純に、記述されている方形波信号出力信号が発生する周波数でもない。その他の従来の文献と同様に、米国特許第5,690,692号明細書は、治療手順の実行のために、既定の周波数値に依存している。
【0046】
図1を再度参照すれば、マイクロプロセッサ21は、印加システム用のコントローラとして動作しており、且つ、アドレスバス22、データバス23、及び入出力(I/O)ライン25を通じてシステムの様々なコンポーネントを制御するべく接続されている。マイクロプロセッサ21は、好ましくは、動作コード、制御プログラム、及び一時的なデータ用の内部ストレージを含む。これに加えて、マイクロプロセッサ21は、入出力(I/O)ポート及び内部タイマをも含む。マイクロプロセッサ21は、例えば、Intel Corporation, 2200 Mission College Boulevard, Santa Clara, California 95054 U.S.から入手可能な8ビットのシングルチップマイクロコントローラ8048又は8051であってもよい。マイクロプロセッサ21用のタイミングは、コンデンサ28及び28と共にクロック水晶26を含むシステムクロック24によって提供されている。システムクロック24は、使用される特定のタイプのマイクロプロセッサに適した任意のクロック周波数において稼働することができる。一実施形態によれば、システムクロック24は、8.0MHzのクロック周波数において動作している。
【0047】
一般に、マイクロプロセッサ21は、プローブ13を通じた患者に対する印加のための変調された低エネルギー電磁放出の望ましい形態を生成するべく、制御可能な電磁エネルギー生成器回路29を制御するように、機能している。制御可能な生成器回路29は、変調周波数生成器回路31と、搬送波信号発振器32と、を含む。マイクロプロセッサ21は、発振器ディスエーブルライン33を通じて制御可能な生成器回路29を起動又は停止するように動作する。又、制御可能な生成器回路29は、変調信号が変調信号ライン37上において変調信号生成器回路31によって生成される状態で、搬送波信号ライン36上において搬送波発振器32によって生成された搬送波信号を振幅変調するように、動作するAM変調器及びパワー生成器34をも含む。変調器34は、変調された搬送波信号ライン38上において、振幅変調された搬送波信号を生成し、次いで、この信号は、フィルタ回路39に印加される。フィルタ回路39は、同軸ケーブル12及びインピーダンス変圧器14を介してプローブ13に接続されている。
【0048】
マイクロプロセッサ21は、アドレスバス22、データバス23、及びI/Oバス25を通じて、制御可能な生成器回路29の変調信号生成器回路31を制御している。具体的には、マイクロプロセッサ21は、I/Oライン25を介して、変調波形ストレージ装置43内に保存されている望ましい波形を選択する。又、マイクロプロセッサ21は、選択された変調信号を取得するべく、波形アドレスバス42上において、変調信号ストレージ装置43に印加されるアドレスのシーケンスを生成するように、波形アドレス生成器41をも制御している。望ましい変調信号は、波形ルックアップテーブル43から取得され、且つ、デジタル形態において変調信号バス44に印加される。変調信号バス44は、デジタル変調信号をアナログ形態に変換するデジタル-アナログコンバータ(DAC:Digital to Analog Converter)46に印加される。次いで、このアナログ変調信号は、変調信号ライン20上においてDAC46によって生成された波をスムージングするべく、マイクロプロセッサ21の制御下において、抵抗器48及びコンデンサ49及び51を含む可変フィルタネットワークを使用することにより、アナログ変調信号をフィルタリングする選択フィルタ47に印加されている。
【0049】
本実施形態においては、様々な変調信号波形は、ルックアップテーブル43内において保存されている。2キロバイトメモリの場合には、ルックアップテーブル43は、最大で8つの異なる変調信号波形を収容することができる。成功裏に利用された波形は、方形波形又は正弦波形を含む。その他の可能な変調信号波形は、整流済みの正弦波、三角波、及びこれらのすべての組合せを含む。
【0050】
本実施形態においては、それぞれの変調信号波形は、256バイトのメモリを使用しており、且つ、256個の連続的なアドレスを検索することにより、ルックアップテーブル43から取得される。変調信号の周波数は、波形がルックアップテーブル43から取得される速度により、制御されている。本実施形態によれば、これは、マイクロプロセッサ21から波形アドレス生成器41内において含まれているプログラムカウンダに制御コードをダウンロードすることにより、実現される。次いで、プログラムカウンタの出力は、波形アドレスバス42上において8ビットアドレスのシーケンスを生成するリップルカウンタを駆動している。
【0051】
波形アドレス生成器41は、例えば、uPD65042Cという、NECから入手可能であるプログラム可能なタイマ/カウンタであってもよい。変調信号ストレージ装置又はルックアップテーブル43は、例えば、望ましい波形テーブルによってプログラムされた28C16型の電気的消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM:Electrical Erasable Programmable Read Only Memory)であってもよい。デジタル-アナログコンバータ46は、例えば、AD557JNという、Analog Devicesから入手可能なDACポートであってもよく、且つ、選択フィルタ47は、National Semiconductor又はHarris Semiconductorから入手可能である4052型のマルチプレクサであってもよい。
【0052】
本発明に従って、制御可能な生成器回路29の動作を制御するべくマイクロプロセッサ21によって使用される特定の変調制御情報は、印加ストレージ装置52内において保存されており、或いは、本発明の観点においては、高周波数レベルと低周波数レベルの間のAM周波数をインターフェイス16に読み込むように適合された可変AM周波数チューニング装置であってもよい。印加ストレージ装置52は、後からの取得のために情報を保存する能力を有する任意のストレージ装置であってもよい。例えば、印加ストレージ装置52は、例えば、カード、テープ、ディスク、又はドラムなどの、磁気媒体に基づいたストレージ装置であってもよい。或いは、この代わりに、印加ストレージ装置52は、消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM:Erasable Programmable Read Only Memory)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM:Electrical Erasable Programmable Read Only Memory)、又は不揮発性のランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)などの半導体メモリに基づいたストレージ装置であってもよい。印加ストレージ装置52の別の代替肢は、穿孔カード、カム、又はこれらに類似したものなどの機械的な情報ストレージ装置である。印加ストレージ装置52の更に別の代替肢は、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学ストレージ装置である。
【0053】
図は、印加ストレージ装置52とは別個にマイクロプロセッサ21を示しているが、マイクロプロセッサ21及び印加ストレージ装置52は、いずれも、本明細書において記述されているように、システムの動作を制御するべくシステムに組み込まれる単一の装置に内蔵されうることを強調しておきたい。このケースにおいては、インターフェイス16は、マイクロプロセッサ21及び印加ストレージ装置52の組合せとシステムの残りの部分の間において存在することになろう。
【0054】
インターフェイス16は、使用の際に特定の印加ストレージ装置52に適するように構成されている。インターフェイス16は、望ましい変調された低エネルギー放出を生成するように、制御可能な生成器回路29をマイクロプロセッサ21が制御できるように、印加ストレージ装置51内において保存されている制御情報をマイクロプロセッサ21のメモリ内における保存用の使用可能な形態に変換している。インターフェイス16は、印加ストレージ装置52上において保存されている情報を直接的に読み取ってもよく、或いは、様々な既知の通信リンクを使用して情報を読み取ってもよい。インターフェイス16と印加ストレージ装置52の間において情報を転送するべく、例えば、高周波、マイクロ波、電話、又は光に基づいた通信リンクが使用されてもよい。印加ストレージ装置52及びマイクロプロセッサ21が同一の装置内において内蔵されている際には、インターフェイス16は、マイクロプロセッサ21をシステムの残りの部分に接続するように構成されている。
【0055】
印加ストレージ装置52内において保存されている制御情報は、プローブ13を通じて患者に印加される変調された低エネルギーRF電磁放出の様々な制御可能なパラメータを規定している。このような制御可能なパラメータは、例えば、搬送波の周波数及び振幅、搬送波の変調の振幅及び周波数、放出の持続時間、放出のパワーレベル、放出のデューティサイクル(即ち、印加の際に印加されるパルス化された放出のオフ時間に対するオン時間の比率)、特定の印加用の異なる変調周波数の印加のシーケンス、並びに、特定の患者に処方された治療の合計数及びそれぞれの治療の持続時間を含む。
【0056】
例えば、搬送波信号及び変調信号は、搬送波信号が、1GHz未満の、且つ、好ましくは、1MHz~900MHzの、スペクトル周波数成分を含み、且つ、変調信号が、0.1Mz~10KHzの、且つ、好ましくは、1Hz~150KHzの、スペクトル周波数成分を有する振幅変調された信号により、プローブ13を駆動するように選択されてもよい。本発明によれば、1つ又は複数の変調周波数は、変調信号を形成するように、シーケンシングされてもよい。
【0057】
更なる特徴として、搬送波発振器32の周波数における電磁放出の存在を検出するべく、電磁放出センサ53が提供されてもよい。放出センサ53は、望ましい周波数における電磁放出が存在しているかどうかの通知をマイクロプロセッサ21に提供する。その結果、マイクロプロセッサ21は、例えば、エラーメッセージを情報出力ディスプレイ17上において表示したり、制御可能な生成器回路29を無効化したり、或いは、これらに類似したことを実行するなどの、適切な動作を実行する。
【0058】
又、本発明は、患者から戻ってきた又は反射されたパワーの量との比較において、プローブ13を通じて患者に印加されたパワーの量を検出するパワーセンサ54をも含む。この比率は、治療セッションにおけるシステムの適切な使用を通知する。パワーセンサ54は、患者から反射されたパワー量との関係におけるプローブ13を通じて患者に印加されたパワー量の通知をパワー検知ライン56を通じてマイクロプロセッサ21に印加している。
【0059】
パワー検知ライン56上において提供される通知は、例えば、印加されたパワーのレベルを検出及び制御するべく、且つ、印加された実際の治療に関係した情報を印加ストレージ装置52上において記録するべく、マイクロプロセッサにより、デジタル化及び使用されてもよい。次いで、このような情報は、患者の治療順守状況及び効果を評価するべく、医師又はその他の臨床医学者によって使用されてもよい。このような治療情報は、例えば、所与の期間にわたって適用された治療の回数、それぞれの治療の実際の時刻及び日付、試みられた治療の回数、治療の順守状況(即ち、治療セッションにおいてプローブが定位置にあったのかどうか)、及び特定の変調周波数の累積投与量を含むことができる。
【0060】
印加されるパワーのレベルは、好ましくは、患者によって吸収されるエネルギーの比吸収率(SAR:Specific Absorption Rate)が、1マイクロワット/1キログラムの組織~50ワット/1キログラムの組織となるようにするべく、制御される。好ましくは、パワーレベルは、100マイクロワット/1キログラムの組織~10ワット/1キログラムの組織というSARを生成するように、制御される。最も好ましくは、パワーレベルは、150~350mW/kgの1gピーク空間SARと共に、わずかに0.2~1mW/kgの範囲の全身平均SARを供給するように、制御される。これらのSARは、患者のすべての組織内におけるものであってもよい。又、システムは、電池及び充電器回路57と、電池電圧変化検出器58と、を含む電力供給回路をも含む。
【0061】
Hdpに影響を及ぼす手段の曝露又は印加の前、最中、又は後における、上述の少なくとも9つのパラメータ値の検知、計測、及び記録を可能にする血行動態パラメータ監視装置との関連における、上述の特性を有する装置の関連付け、組合せ、又は使用が、患者の健康状態を診断する、これまで知られていない方法を提供したという点において、例えば、具体的には、癌診断の2つの異なる形態に関係した、更なる科学的な詳細事項が、以下におい提供される。
【0062】
はじめに
特定の周波数において振幅変調された27.12MHzの高周波電磁界の低く且つ安全なレベルに対して曝露された際の癌の診断を有する患者内におけるパルス振幅の変化の識別については、既に報告されている(Barbault, A. et al. Amplitude-modulated electromagnetic fields for the treatment of cancer: discovery of tumor- specific frequencies and assessment of a novel therapeutic approach. J. Exp. Clin. Cancer Res. 28, 51, doi:10.1186/1756-9966-28-51 (2009))。パルス振幅の変化が、同一のタイプの癌を有する患者内において、正確に同一の周波数において発生するという観察結果は、癌のそれぞれのタイプは、特定の周波数シグネチャ(Id)を保有している、という仮説に結び付いた。体外における実験は、腫瘍固有の周波数が、癌細胞に対する抗増殖効果を有し、細胞移動及び侵入に関与する遺伝子の発現を調節し、且つ、有糸分裂紡錘体を破壊する能力を有することを示している(Zimmerman, J. W. et al. Cancer cell proliferation is inhibited by specific modulation frequencies. British Journal of Cancer 106, 307-313 (2012))。これらの腫瘍固有の周波数の臨床活性は、腫瘍に固有の周波数において変調された、口腔投与のAM RF EMFによって患者が治療された2つの別個の研究において評価されている。抗腫瘍活性が、転移性乳癌(Barbault, A. et al. (2009))及び進行肝細胞癌(Costa, F. P. et al. Treatment of advanced hepatocellular carcinoma with very low levels of amplitude-modulated electromagnetic fields. British Journal of Cancer 105, 640-648 (2011))を有する患者において観察され、且つ、その他の腫瘍タイプを有する患者においては、安定(stable disease)が観察された。
この研究は、腫瘍固有の周波数に対する曝露の際の血行動態パラメータの変化の分析は、新しい非侵襲的な癌診断方式である、という仮説を試験するように設計されたものである。
【0063】
材料及び方法
以下に記述されている実験手順は、Hospital Sirio Libanes Institutional Review Board (IRB), Rua Dona Adma Jafet,50 Conj.41/43, Sao Paulo SP 01.308-050 Brazilによって検討及び承認されたものである。この研究に登録したすべての患者及び健康な人は、IRBによって承認されたインフォームドコンセントに署名している。プロトコルは、最初の患者の登録の前に登録されている(clinicaltrial.gov identified no. NCT 01686412)。87人がスクリーニングされ、且つ、82人が予め登録された。発見グループは、進行HCCの診断を有する8人の患者、進行乳癌の診断を有する6人の患者、及び6人の健康な比較標準から構成されていた。患者の診断及びAM RF EMFの曝露の特性(HCC固有の、乳癌固有の、及びランダムに選択された、周波数)が演算分析の前に開示された。検証グループは、生検で証明された癌を有する25人の患者(進行HCCを有する11人及び進行乳癌を有する14人)及び31人の健康な比較標準から構成されていた。最後のグループは、潜在的に切除可能なHCCを有する6人の患者から構成されていた。
【0064】
この研究においては、患者及び健康な比較標準の3つの別個のグループが分析されており、内訳は、1)発見グループが、進行肝細胞癌を有する8人の患者、進行乳癌を有する6人の患者、及び6人の健康な比較標準から構成され、2)検証グループが、癌の診断を有する25人の患者(進行乳癌を有する14人の女性患者及び進行HCCを有する11人の男性患者)及び31人の健康な比較標準(18人の女性及び13人の男性)から構成され、且つ、3)潜在的に切除可能な肝細胞癌を有する6人の患者(5人の男性及び1人の女性)というものであった。
【0065】
AM RF EMFの口腔投与
この研究のために使用されたAM RF EMF装置については、詳細に前述したとおりである(Costa, F. P. et al. British journal of cancer 105, 640-648 (2011))。AM RF EMFによる治療を受けている患者が毎日3回の一時間の治療に曝露されている状態において、3秒にわたってそれぞれが放出される、194個の腫瘍に固有の(HCC固有の、且つ、乳癌固有の)周波数のそれぞれに対して、一回だけ、すべての人を曝露させるべく、単一の10分の曝露において、AM RF EMF投与の診断実行可能性が試験された(Barbault, A. et al. J. Exp. Clin. Cancer Res. 28, 51, doi:10.1186/1756-9966-28-51 (2009); Zimmerman, J. W. et al. British Journal of Cancer 106, 307-313 (2012); Costa, F. P. et al. British Journal of Cancer 105, 640-648 (2011))。同様に、腫瘍に固有の周波数の数及び曝露持続時間にマッチングするように、予め報告された236個のランダムに選択された周波数のうちの194個が選択された(Zimmerman, J. W. et al. British Journal of Cancer 106, 307-313 (2012))。従って、それぞれの人は、治療プログラムのそれぞれに含まれたすべての周波数(HCC固有の、乳癌固有の、且つ、ランダムに選択された、周波数)に、即ち、上述のように、最小から最大周波数までの3秒にわたって放出されたそれぞれの変調周波数に、曝露された((Barbault, A. et al. J. Exp. Clin. Cancer Res.28, 51, doi:10.1186/1756-9966-28-51 (2009); Zimmerman, J. W. et al. British journal of cancer 106, 307-313 (2012); Costa, F. P. et al. British journal of cancer 105, 640-648 (2011))。
【0066】
血行動態パラメータの監視
図2を参照すれば、AM RF EMFの曝露の前及び後において血行動態パラメータを連続的に監視するための実験設定の際の例示用の患者が示されている。非侵襲的な血行動態計測は、Task Force(登録商標) Monitor (CNSystems Medizintechnik GmbH, version 2.2.12.0, Reininghausstraβe 13, 8020 Graz, Austria)を使用して実行された。心拍数、血圧、及び血流量の数値は、デジタルフォトプレチスモグラフィ、血圧測定用カフ、及びECGによって計測されている。血行動態パラメータは、AM RF
【0067】
EMFの曝露の前及び最中において、それぞれの連続的な心拍ごとに、絶対値に変換される。実験の全体にわたって、AM RF EMFの口腔投与のためのスプーン形状のアンテナが患者の口の内部に配置された。
図2においては、Task Force(登録商標)モニタには、1というラベルが付与されている。AM RF EMF放出装置には、2というラベルが付与されている。AM RF EMF放出装置は、同軸ケーブルに接続され、同軸ケーブルは、スプーン形状のアンテナ3に接続されている。右腕のデジタル血圧測定用カフには、4というラベルが付与されている。デジタルフォトプレチスモグラフィには、5というラベルが付与されている。左腕のデジタル血圧測定用カフには、6というラベルが付与されている。ECG及びインピーダンスカルジオグラフィ用の電極ケーブルが提供されている。
【0068】
心拍数の可変性、血圧、圧受容器の感度、及び血圧の数値は、RRインターバル分析のための高分解能を目的として、3つの胸部接着電極を通じて取得されるデジタルフォトプレチスモグラフィ及びECGによって計測された。デジタル血圧測定用カフは、右腕上において、且つ、右の第3及び第4指の中節骨の周りにおいて、配置され、且つ、別のものが、肩と肘の間において、左腕上に配置された。血圧計測値は、それぞれの連続的な拍動ごとに、絶対値に変換された。
【0069】
図3を参照すれば、心拍数(HR)、収縮期血圧(sBP)、中央血圧(mBP)、拡張期血圧(dBP)、全末梢抵抗(TPR)、全末梢抵抗係数(TPRI)、心拍出量(CO)、心係数(CI:Cardiac Index)、RRインターバル(RRI)、1回拍出量(SV)、及び収縮期指数(SI:Systolic Index)という、それぞれの拍動において同時に計測された11個の血行動態パラメータの一例が示されている。血行動態記録は、AM RF EMFに対する曝露の前及び最中において仰臥位において連続的に実行された。この研究においては、合計で3百万個の血行動態パラメータが分析された。
【0070】
参加者は、実験の全体にわたって、スプーン形状のアンテナを自身の口の内部において保持した。治療プログラム(HCC固有の、乳癌固有の、及びランダムに選択された、周波数)のうちの1つによってそれぞれがプログラムされた3つの異なる装置が、AM RF EMF曝露期間のそれぞれの期間の開始の前に接続された。プロトコルは、二重盲検方式により、実施された。
【0071】
図4を参照すれば、血行動態記録は、二重盲検方式により、非曝露及び曝露期間において連続的に実行された。非曝露期間は、RF EMFの曝露の間における初期ベース及び5分休止インターバルであった。曝露期間においては、患者は、AF RF EMF(HCC固有の、乳癌固有の、ランダムに選択された、周波数)に曝露された。
【0072】
演算分析:
血行動態パラメータは、診断(HCC、乳癌、健康な比較標準)、性別、及び記録期間(ベースライン及びHCC固有の、乳癌固有の、及びランダムに選択された変調周波数に対する曝露)という3つの要因に従って分析された。
【0073】
記録された血行動態データの分析は、患者発生(patient accrual)の完了の後にのみ、実施された。データ分析は、発見グループ(6人の健康な比較標準、進行HCCを有する6人の患者、及び進行乳癌を有する6人の患者)から始まった。発見グループ分析の期待された結果は、肝細胞癌を有する患者、乳癌を有する患者、及び健康な比較標準に固有の演算法(computative)の生成であった。演算法が構築されたら、演算法を検証するべく、検証グループからのデータが盲検方式によって分析された。
【0074】
検証グループの分析の完了の後に、潜在的に切除可能なHCCを有するものと診断された6人の患者の分析が実施された。これらの患者は、HCCの外科的切除の前の24時間内において、且つ、術後の4~6週間内における完全な回復の後に、同一の非侵襲的な血行動態パラメータ計測を経験した。手術前及び後分析が実施された。
【0075】
結果
発見グループ
診断に基づいた血行動態パターンの識別
ベースライン計測の分析:
ベース非曝露期間における血行動態パラメータの分析は、「発見グループ」内における6人の男性の健康な比較標準、肝細胞癌を有する6人の患者、及び乳癌を有する6人の女性患者の間において大幅に異なっていた(p<0.0001)。男性及び女性参加者の間における血行動態パラメータの大きな差を観察したことにより、且つ、HCCを有する最初の6人の患者が男性であったという事実を考慮することにより、HCCを有する2人の女性患者は、検証グループの分析の前に、検証グループから発見グループに移動された。
【0076】
患者の血行動態パターンの発見
ベース非曝露期間における血行動態パラメータ分析は、発見グループにおける4つの異なる血行動態パターンを明らかにした。患者の診断は、表4に示されているように、男性HCCの6つのケースのうちの5(83.3%)、女性乳癌の6つのケースのうちの5(83.3%)、及び6人の健康な比較標準のうちの6(100.0%)において、血行動態パターンと相関した。
【0077】
【0078】
曝露期間における腫瘍に固有の血行動態応答パターンの発見
それぞれのAM RF EMF(HCC固有の、乳癌固有の、且つ、ランダムに選択された、変調周波数)の曝露は、演算法により、独立的に試験することができよう。HCCに固有の変調周波数に対する曝露においてのみ発生する、HCCを有する6人の患者のうちの6人(100.0%)における類似した血行動態応答パターンが、表5に示されているように、観察された。
【0079】
【0080】
乳癌を有する患者において、演算法の適用により、6つのケースのうちの5(83.3%)において類似した血行動態応答パターンが識別されており、これは、乳癌固有の変調周波数に対する曝露においてのみ発生している(表2)。従って、癌の診断を有する患者においては、対応する腫瘍に固有の変調周波数に対する12回の曝露のうちの11回(91.6%)において、腫瘍に固有の血行動態応答パターンが正しく識別された。ランダムに選択された変調周波数に対する曝露の場合には、腫瘍に固有の血行動態応答が観察されたのは、24回のうちの1回(4%)のみであった。
【0081】
検証グループ及び手術グループ
ベースライン血行動態パターン演算の検証:
ベースライン血行動態パターンに基づいた正しい診断は、表6に示されているように、HCCの11個のケースのうちの9個(91.8%)、乳癌の14個のケースの12個(85.7%)、及び31個の健康な比較標準のうちの21個(67.6%)において実施された。
【0082】
【0083】
AM RF EMFの曝露の際の腫瘍固有の血行動態パターンの検証:HCC固有の血行動態応答パターンは、HCC患者の11個のケースのうちの10個(90.0%)において識別された(表4)。乳癌固有の血行動態応答パターンは、表7に示されているように、乳癌を有する14人の女性患者のうちの12人(85.7%)において識別された。
【0084】
【0085】
女性HCC分析:HCCを有する女性患者は、表8に示されているように、HCCを有する男性と同一のAM RF EMFに対する血行動態パターン及び血行動態応答パターンを有することが判明した。
【0086】
【0087】
外科的切除の前及び後のHCC固有の血行動態応答パターン:
ベース非曝露期間、並びに、ランダムに選択された、且つ、乳癌固有の、変調周波数に対する曝露、においては、血行動態パターンの有意な変化は存在しなかった。逆に、6人の患者のうちの6人(100%)において、HCC固有の変調された周波数に対する曝露の際に、切除前及び切除後の血行動態応答パターンの間に有意な変化が存在していた。
【0088】
予め規定された事後分析:
すべての74人の人の組み合わせられた分析は、高度な血行動態パターン基準の識別に結び付いた。これらの高度な基準は、癌の診断を有する患者と健康な比較標準の間における相対的に良好な血行動態パターンの特徴判定を結果的にもたらす。血行動態パターンと患者診断の間における相関が、HCCを有する16人の患者のうちの16人(100.0%)、乳癌を有する20人の患者のうちの20人(100.0%)、並びに、37人の健康な比較標準のうちの32人(86.4%)において実現された。
【0089】
本発明によれば、腫瘍に固有の周波数において振幅変調された27.12MHzのRF EMFに対する曝露の前及び最中において計測された血行動態パラメータにのみ基づいた盲検方式における肝細胞癌及び乳癌の診断を許容する新しい方法の識別及び特徴判定が提供される。これらの発見は、癌の診断にとって、広範な臨床的意味を有しうる。
【0090】
以上、特定の実施形態との関連において、本発明について記述したが、その他の代替肢、変更、及び変形が当業者には明らかとなろう。従って、記述されているすべてのこのような代替肢、変更、及び変形は、添付の請求項の精神及び範囲に含まれるものと解釈されたい。