(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】両面粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/26 20180101AFI20220308BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20220308BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20220308BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220308BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20220308BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
C09J7/26
C09J7/29
C09J201/00
B32B27/00 M
B32B5/18
C09J133/00
(21)【出願番号】P 2018519076
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2018012468
(87)【国際公開番号】W WO2018181336
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2017066007
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川本 友也
(72)【発明者】
【氏名】松木 繁季
(72)【発明者】
【氏名】内田 徳之
(72)【発明者】
【氏名】土居 智
(72)【発明者】
【氏名】石堂 泰志
(72)【発明者】
【氏名】片岡 寛幸
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-001261(JP,A)
【文献】特開平01-202433(JP,A)
【文献】特開平07-011200(JP,A)
【文献】特開2016-008290(JP,A)
【文献】特公昭47-025847(JP,B1)
【文献】特開昭56-115375(JP,A)
【文献】国際公開第2016/137793(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/00-7/50
C09J 201/00
B32B 27/00
B32B 5/18
C09J 153/00
C09J 133/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体基材と、前記発泡体基材の両面にそれぞれ第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層を有する両面粘着テープであって、
前記発泡体基材と前記第1の粘着剤層の間、及び、前記発泡体基材と前記第2の粘着剤層の間に、引張破断点応力が4MPa以上である第1の樹脂層及び第2の樹脂層をそれぞれ有し、
前記第1の樹脂層を構成する樹脂がポリエステル系樹脂であ
り、
前記第2樹脂層は、熱可塑性エラストマーからなり、
前記熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するブロック共重合体からなる
ことを特徴とする両面粘着テープ。
【請求項2】
前記第2樹脂層は、引張破断点伸びが200%以上であることを特徴とする請求項1記載の両面粘着テープ。
【請求項3】
前記第2樹脂層は、引張弾性率が200MPa以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の両面粘着テープ。
【請求項4】
前記第2樹脂層は、アクリル系共重合体からなることを特徴とする請求項1~
3のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項5】
前記第2樹脂層は、トリブロック共重合体からなることを特徴とする請求項
1~4のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項6】
前記第2樹脂層は、トリブロック共重合体とジブロック共重合体との混合物からなることを特徴とする請求項
5記載の両面粘着テープ。
【請求項7】
前記第2樹脂層は、前記トリブロック共重合体の割合が70重量%以上であることを特徴とする請求項
6記載の両面粘着テープ。
【請求項8】
前記ブロック共重合体におけるハードセグメントの割合が10重量%以上、70重量%以下であることを特徴とする請求項
1~7のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項9】
前記トリブロック共重合体がアクリル系トリブロック共重合体であり、前記アクリル系トリブロック共重合体は、メタクリル酸メチルに由来するハードセグメントと、n-アクリル酸ブチルに由来するソフトセグメントを有し、前記アクリル系トリブロック共重合体中における前記メタクリル酸メチルに由来するハードセグメントの割合が22重量%以上、50重量%以下であり、かつ、前記アクリル系トリブロック共重合体の重量平均分子量が3万以上であることを特徴とする請求項
5~
8のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項10】
前記発泡体基材は、ポリウレタン発泡体又はポリオレフィン発泡体からなることを特徴とする請求項1~
9のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた応力緩和性及び耐衝撃性を有し、かつ、両粘着面におけるリワーク性に優れた両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯情報端末(Personal Digital Assistants、PDA)等の携帯電子機器においては、組み立てのために両面粘着テープが用いられている(例えば、特許文献1、2)。また、車載用パネル等の車載用電子機器部品を車両本体に固定する用途にも両面粘着テープが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-242541号公報
【文献】特開2009-258274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電子機器部品、車載用電子機器部品等の固定に用いられる両面粘着テープには、高い粘着力が求められる。更に、近年、携帯電子機器、車載用電子機器等は、高機能化に伴って形状がより複雑化する傾向にあるため、段差、角、非平面部等に両面粘着テープを貼り付けて用いることがある。このような場合、両面粘着テープを変形させた状態で固定するため、元の形状に戻ろうとする力、即ち、復元力や反発力が働き、時間の経過とともに両面粘着テープが剥離することがあった。特に、部品を変形させた状態で固定する場合、部品自体が元の形状に戻ろうとすることで、両面粘着テープに復元力や反発力がかかり、固定が不充分であったり、両面粘着テープが剥離したりすることがあった。このような復元力や反発力による剥離を防止するためには、両面粘着テープに優れた応力緩和性が要求される。また、両面粘着テープには耐衝撃性が求められることもあった。
【0005】
優れた応力緩和性を有し、耐衝撃性にも優れる両面粘着テープとして、発泡体基材を用いた両面粘着テープが知られている。しかしながら、従来の発泡体基材を用いた両面粘着テープでは、仮固定の用途に用いた場合や、何らかの事情で貼合せ後に剥離したい場合に、剥離時に発泡体基材が割れてしまい、被着体に残渣が残ってしまうことがあり、リワーク性に劣るという問題があった。特に両面粘着テープにおいては、両粘着面におけるリワーク性が求められていた。
【0006】
本発明は、優れた応力緩和性及び耐衝撃性を有し、かつ、両粘着面におけるリワーク性に優れた両面粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、発泡体基材と、前記発泡体基材の両面にそれぞれ第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層を有する両面粘着テープであって、前記発泡体基材と前記第1の粘着剤層の間、及び、前記発泡体基材と前記第2の粘着剤層の間に、引張破断点応力が4MPa以上である第1の樹脂層及び第2の樹脂層をそれぞれ有する両面粘着テープである。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明者らは、発泡体基材と該発泡体基材の両面にそれぞれ第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層を有する両面粘着テープにおいて、発泡体基材と第1の粘着剤層の間、及び、発泡体基材と第2の粘着剤層の間に、引張破断点応力が一定以上の第1の樹脂層及び第2の樹脂層をそれぞれ配置した。本発明者らは、このような第1の樹脂層及び第2の樹脂層を配置することにより、優れた応力緩和性及び耐衝撃性を発揮できる発泡体基材を採用しながら、両粘着面に優れたリワーク性を発揮できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
図1に、本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの一例を示す模式図を示した。
図1の本発明の一実施態様に係る両面粘着テープ1は、発泡体基材2の両面に第1の粘着剤層31と第2の粘着剤層32とを有する。そして、発泡体基材2と第1の粘着剤層31の間に第1の樹脂層41が配置されており、発泡体基材2と第2の粘着剤層32の間に第2の樹脂層42が配置されている。
【0010】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、発泡体基材と該発泡体基材の両面にそれぞれ第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層を有する。
上記発泡体基材を用いることにより、本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは優れた応力緩和性及び耐衝撃性を発揮することができる。上記発泡体基材は、連続気泡構造を有していても独立気泡構造を有していてもよいが、連続気泡構造を有することが好ましい。連続気泡構造を有する発泡体基材を用いることで、より優れた応力緩和性及び耐衝撃性を発揮することができる。上記発泡体基材は、単層構造であっても多層構造であってもよい。
【0011】
上記発泡体基材は特に限定されず、例えば、ポリウレタン発泡体、ポリオレフィン発泡体、ゴム系樹脂発泡体、アクリル発泡体等が挙げられる。なかでも、連続気泡構造を形成しやすく、優れた応力緩和性及び耐衝撃性を発揮できることから、ポリウレタン発泡体又はポリオレフィン発泡体が好ましい。
【0012】
上記発泡体基材の密度は特に限定されないが、好ましい下限は0.03g/cm3、好ましい上限は0.8g/cm3である。上記発泡体基材の密度をこの範囲内とすることにより、両面粘着テープの強度を維持しながら、優れた応力緩和性及び耐衝撃性を発揮することができる。両面粘着テープの強度、応力緩和性及び耐衝撃性の観点から、上記基材のより好ましい下限は0.1g/cm3、より好ましい上限は0.7g/cm3であり、更に好ましい下限は0.15g/cm3、更に好ましい上限は0.5g/cm3であり、特に好ましい下限は0.2g/cm3、特に好ましい上限は0.4g/cm3である。
なお、密度は、JIS K 6767に準拠して電子比重計(例えば、ミラージュ社製、「ED120T」)を使用して測定できる。
【0013】
上記発泡体基材の25%圧縮強度は特に限定されないが、好ましい下限は1kPa、好ましい上限は100kPaである。上記発泡体基材の25%圧縮強度をこの範囲内とすることにより、両面粘着テープの強度を維持しながら、優れた応力緩和性及び耐衝撃性を発揮することができる。両面粘着テープの強度、応力緩和性及び耐衝撃性を更に向上させる観点から、上記基材の25%圧縮強度のより好ましい下限は3kPa、より好ましい上限は50kPaであり、更に好ましい下限は5kPa、更に好ましい上限は40kPaである。
なお、25%圧縮強度は、JIS K 6254に準拠し測定することで求めることができる。
【0014】
上記発泡体基材のせん断貯蔵弾性率は特に限定されないが、動的粘弾性装置により測定し基準温度23℃で合成されたマスターカーブにおける周波数1.0×10-4~1.0×10-5Hz領域でのせん断貯蔵弾性率の最大値が1.0×105Pa以下であることが好ましい。上記周波数領域は、両面粘着テープに復元力や反発力がかかったときに発生する低速での剥離応力に対応した周波数である。上記周波数領域でのせん断貯蔵弾性率の最大値が1.0×105Pa以下であれば、両面粘着テープに復元力や反発力がかかったときの応力を上記発泡体基材により緩和し、粘着剤層に伝え難くするため、両面粘着テープの応力緩和性及び耐衝撃性を向上させることができる。
なお、せん断貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(例えば、アイティー計測社製のDVA-200等)を使用して昇温速度を5℃/minとして-60℃~250℃の範囲で測定できる。せん断貯蔵弾性率を測定する際は、測定中に試料のズレを押さえるため、上記基材の両側に粘着剤を塗布して測定を行う。このような粘着剤は特に限定されないが、上記基材の両側に塗布された粘着剤の厚みが上記基材の厚みの15%以下になるよう調整し測定を行う。粘着剤の厚みを上記基材の厚みの15%以下にすることで、粘着剤の影響を極力排除し上記基材のせん断貯蔵弾性率を測定することができる。
【0015】
上記発泡体基材の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は0.2mm、好ましい上限は2.9mmである。上記発泡体基材の厚みをこの範囲内とすることにより、本発明の一実施態様に係る両面粘着テープを携帯電子機器部品、車載用電子機器部品等の固定に好適に用いることができる。上記部品等の固定により好適に用いることができる観点から、上記発泡体基材の厚みのより好ましい下限は0.3mm、より好ましい上限は2.5mmである。
【0016】
上記第1の粘着剤層と第2の粘着剤層(以下、両者をあわせて単に「粘着剤層」ともいう。)は同じ組成であってもよいし、それぞれ異なる組成であってもよい。上記粘着剤層は特に限定されず、例えば、アクリル粘着剤層、ゴム系粘着剤層、ウレタン粘着剤層、シリコーン系粘着剤層等が挙げられる。なかでも、光、熱、水分等に対し比較的安定で、種々の被着体に接着が可能である(被着体選択性が低い)ことから、アクリル共重合体を含有するアクリル粘着剤層が好ましい。
【0017】
上記アクリル粘着剤層を構成するアクリル共重合体は、ブチルアクリレートと2-エチルヘキシルアクリレートとを含むモノマー混合物を共重合して得られることが好ましい。全モノマー混合物に占める上記ブチルアクリレートの含有量の好ましい下限は40重量%、好ましい上限は80重量%である。上記ブチルアクリレートの含有量をこの範囲内とすることにより、高い粘着力とタック性とを両立することができる。全モノマー混合物に占める上記2-エチルヘキシルアクリレートの含有量の好ましい下限は10重量%、好ましい上限は40重量%である。上記2-エチルヘキシルアクリレートの含有量をこの範囲内とすることにより、高い粘着力を発揮することができる。
【0018】
上記モノマー混合物は、必要に応じてブチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレート以外の共重合可能な他の重合性モノマーを含んでいてもよい。上記共重合可能な他の重合性モノマーとして、例えば、アルキル基の炭素数が1~3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基の炭素数が13~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能性モノマー等が挙げられる。
上記アルキル基の炭素数が1~3の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル等が挙げられる。上記アルキル基の炭素数が13~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、メタクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。上記官能性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
【0019】
上記モノマー混合物を共重合して上記アクリル共重合体を得るには、上記モノマー混合物を、重合開始剤の存在下にてラジカル反応させればよい。上記モノマー混合物をラジカル反応させる方法、即ち、重合方法としては、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。
【0020】
上記アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましい下限が40万、好ましい上限が150万である。上記アクリル共重合体の重量平均分子量をこの範囲内とすることにより、高い粘着力を発揮することができる。上記重量平均分子量のより好ましい下限は50万、より好ましい上限は140万である。
なお、重量平均分子量(Mw)とは、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0021】
上記アクリル共重合体の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)は、好ましい上限が10.0である。Mw/Mnが10.0を超えると、低分子成分が多くなり、上記アクリル粘着剤層が高温下で軟化し、バルク強度が下がり接着強度が低下することがある。Mw/Mnのより好ましい上限は3.0である。
【0022】
上記粘着剤層は、粘着付与樹脂を含有してもよい。
上記粘着付与樹脂として、例えば、ロジンエステル系樹脂、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、脂環族飽和炭化水素系樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5-C9共重合系石油樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
上記粘着付与樹脂の含有量は特に限定されないが、上記粘着剤層の主成分となる樹脂(例えば、アクリル共重合体)100重量部に対する好ましい下限は10重量部、好ましい上限は60重量部である。上記粘着付与樹脂の含有量が10重量部未満であると、上記粘着剤層の粘着力が低下することがある。上記粘着付与樹脂の含有量が60重量部を超えると、上記粘着剤層が硬くなって粘着力又はタック性が低下することがある。
【0024】
上記粘着剤層は、架橋剤が添加されることにより上記粘着剤層を構成する樹脂(例えば、上記アクリル共重合体、上記粘着付与樹脂等)の主鎖間に架橋構造が形成されていることが好ましい。上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、イソシアネート系架橋剤が好ましい。上記粘着剤層にイソシアネート系架橋剤が添加されることで、イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基と上記粘着剤層を構成する樹脂(例えば、上記アクリル共重合体、上記粘着付与樹脂等)中のアルコール性水酸基とが反応して、上記粘着剤層の架橋が緩くなる。従って、上記粘着剤層は、断続的に加わる剥離応力を分散させることができ、両面粘着テープの粘着力がより向上する。
上記架橋剤の添加量は、上記粘着剤層の主成分となる樹脂(例えば、上記アクリル共重合体)100重量部に対して0.01~10重量部が好ましく、0.1~7重量部がより好ましい。
【0025】
上記粘着剤層は、粘着力を向上させる目的で、シランカップリング剤を含有してもよい。上記シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、エポキシシラン類、アクリルシラン類、メタクリルシラン類、アミノシラン類、イソシアネートシラン類等が挙げられる。
【0026】
上記粘着剤層は、遮光性を付与する目的で、着色材を含有してもよい。上記着色材は特に限定されず、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、酸化チタン等が挙げられる。なかでも、比較的安価で化学的に安定であることから、カーボンブラックが好ましい。
【0027】
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、片面の粘着剤層の厚みの好ましい下限は0.01mm、好ましい上限は0.1mmである。上記粘着剤層の厚みをこの範囲内とすることにより、本発明の一実施態様に係る両面粘着テープを携帯電子機器部品、車載用電子機器部品等の固定に好適に用いることができる。上記部品等の固定により好適に用いることができる観点から、上記粘着剤層の厚みのより好ましい下限は0.015mm、より好ましい上限は0.09mmである。
【0028】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、上記発泡体基材と第1の粘着剤層の間、及び、上記発泡体基材と第2の粘着剤層の間に、第1の樹脂層及び第2の樹脂層をそれぞれ有する(以下、両者をあわせて単に「樹脂層」ともいう。)。上記樹脂層を有することにより、本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、優れた応力緩和性及び耐衝撃性を発揮できる上記発泡体基材を採用しながら、剥離時には上記発泡体基材が割れたりせず、被着体に残渣を残すことなく剥離することができ、両粘着面に優れたリワーク性を発揮することができる。
【0029】
上記樹脂層は、引張破断点応力が4MPa以上である。引張破断点応力が4MPa以上である樹脂層を用いることにより、優れたリワーク性を発揮することができる。リワーク性を更に高める観点から、上記樹脂層の引張破断点応力は5MPa以上であることが好ましく、15MPa以上であることがより好ましい。上記樹脂層の引張破断点応力の上限は特に限定されないが、実質的には200MPa程度が上限である。
【0030】
上記第1樹脂層及び第2樹脂層の少なくとも一方は、引張破断点伸びが200%以上であることが好ましい。引張破断点伸びが200%以上である樹脂層を用いることにより、より優れたリワーク性を発揮することができる。リワーク性をより高める観点から、上記樹脂層の引張破断点伸びは300%以上であることが好ましく、450%以上であることがより好ましい。上記樹脂層の引張破断点伸びの上限は特に限定されないが、実質的には1500%程度が上限である。
【0031】
上記第1樹脂層及び第2樹脂層の少なくとも一方は、引張弾性率が200MPa以下であることが好ましい。上記第1樹脂層及び第2樹脂層の少なくとも一方を引張弾性率が200MPa以下である柔軟な樹脂層とすることにより、両面粘着テープ全体の柔軟性を確保して、両面粘着テープをロール状に巻き取ることが容易となり、取り扱い性が格段に向上する。
【0032】
なお、本明細書において引張破断点応力、引張破断点伸び及び引張弾性率は、樹脂層の機械特性を意味し、JIS K 7161に準ずる方法により測定することができる。
具体的には例えば、高分子計器社製の打ち抜き刃「引張1号型ダンベル状」等を用いて、上記樹脂層をダンベル上に打ち抜いて試験片を作製する。得られた試験片を、例えば島津製作所社製「オートグラフAGS-X」等を用いて、引張速度100mm/minで測定し試験片を破断させる。試験片が破断した際の単位面積当たりの破断強度から引張破断応力を算出する。試験片が破断した際の伸びから、「(破断時掴み具間距離/初期掴み具間距離)×100」にて引張破断点伸びを算出する。1~3%の歪み間の引張強度の傾きから引張弾性率を算出する。
【0033】
上記樹脂層を構成する樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。なかでも、柔軟性に優れていることから、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂のなかでは、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0034】
上記第1樹脂層及び第2樹脂層の少なくとも一方を構成する樹脂は、応力緩和性、耐衝撃性及びリワーク性を更に高める観点から、熱可塑性エラストマーからなることが好ましい。
上記熱可塑性エラストマーは、スチレン系(共)重合体、オレフィン系(共)重合体、塩化ビニル系(共)重合体、ポリエーテルエステル系トリブロック系(共)重合体、ポリエステル系(共)重合体、ウレタン系(共)重合体、アミド系(共)重合体又はアクリル系(共)重合体であってよい。なかでも、弾性体としての強度、伸び、柔軟性、自己粘着性を発揮することができ、優れたリワーク性を発揮しながら、樹脂層と発泡体基材との密着性をより向上させることができる観点から、上記熱可塑性エラストマーがアクリル系(共)重合体、スチレン系(共)重合体又はオレフィン系(共)重合体であることが好ましい。更に、アクリル系(共)重合体又はスチレン系(共)重合体であることがより好ましく、アクリル系(共)重合体であることが更に好ましい。
上記第1樹脂層及び第2樹脂層の少なくとも一方を構成する樹脂における上記熱可塑性エラストマーの割合は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上であり、100重量%であってもよい。
【0035】
本発明の好適な実施態様において、上記熱可塑性エラストマーは、応力緩和性、耐衝撃性及びリワーク性を更に高める観点から、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するブロック共重合体からなることが好ましく、例えば、上述した熱可塑性エラストマーはハードセグメントとソフトセグメントとを有するブロック共重合体である。
本発明の更に好適な実施態様において、上記熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するトリブロック共重合体からなることがより好ましい。即ち、上記第1樹脂層及び第2樹脂層の少なくとも一方を構成する樹脂は、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するトリブロック共重合体からなること、又は、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するトリブロック共重合体であることがより好ましい。このようなトリブロック共重合体を用いることにより、弾性体としての強度、伸び、柔軟性、自己粘着性を発揮することができ、優れたリワーク性を発揮しながら、樹脂層と発泡体基材との密着性をより向上させることができる。
【0036】
上記トリブロック共重合体としては、例えば、アクリル系トリブロック共重合体、スチレン系トリブロック共重合体、ポリエーテルエステル系トリブロック系共重合体、ウレタン系共重合体、塩化ビニル系共重合体、アミド系共重合体等が挙げられる。
【0037】
上記ブロック共重合体又は上記トリブロック共重合体におけるハードセグメントの割合は、10重量%以上、70重量%以下であることが好ましく、12重量%以上、65重量%以下であることがより好ましく、14重量%以上、60重量%以下であることが更に好ましく、55重量%以下であることが特に好ましい。上記ハードセグメントの割合をこの範囲内とすることにより、上記樹脂層の上記発泡体基材、とりわけポリウレタン発泡体又はポリオレフィン発泡体からなる発泡体基材に対する密着性が向上する。
なかでも、上記樹脂層の上記発泡体基材、とりわけポリウレタン発泡体又はポリオレフィン発泡体からなる発泡体基材に対する密着性が向上する観点から、ハードセグメントの割合が10重量%以上、60重量%以下であるアクリル系トリブロック共重合体が更に好ましい。密着性に優れるアクリル系トリブロック共重合体を用いれば、上記樹脂層と発泡体基材とを密着させるために接着剤等を用いる必要がなく、得られる両面粘着テープの厚みを薄くすることができる。
【0038】
更に、上記熱可塑性エラストマーは、応力緩和性、耐衝撃性及びリワーク性を更に高める観点から、トリブロック共重合体及びジブロック共重合体からなる(トリブロック共重合体とジブロック共重合体との混合物からなる)ことも好ましい。
本発明の好適な実施態様においては、上記熱可塑性エラストマーにおけるトリブロック共重合体の割合は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上であり、100重量%であってもよい。
【0039】
上記アクリル系トリブロック共重合体のハードセグメントを構成する成分としては特に限定されないが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸アルキル、メタクリル酸トリデシル等が挙げられる。
上記アクリル系トリブロック共重合体のソフトセグメントを構成する成分としては特に限定されないが、n-アクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル等が挙げられる。
なかでも、メタクリル酸メチルに由来するハードセグメントと、n-アクリル酸ブチルに由来するソフトセグメントを有するアクリル系トリブロック共重合体が好適である。
【0040】
上記アクリル系トリブロック共重合体がメタクリル酸メチルに由来するハードセグメントと、n-アクリル酸ブチルに由来するソフトセグメントを有するアクリル系トリブロック共重合体である場合、該トリブロック共重合体中におけるメタクリル酸メチルに由来するハードセグメントの割合の好ましい下限は22重量%である。また、好ましい上限は50重量%である。更に、上記メタクリル酸メチルに由来するハードセグメントの割合のより好ましい下限は24重量%、より好ましい上限は48重量%である。上記メタクリル酸メチルに由来するハードセグメントの割合がこの範囲内であると、上記発泡体基材に対する特に優れた密着性を発揮することができ、上記発泡体基材と樹脂層との間に浮き等が発生するのを防止することができる。また、優れた耐熱性、耐熱収縮性を発揮することができ、例えば100~200℃、10~30分間程度の熱処理を行った場合でも、溶融してしまったり、シワが発生したりすることもない。更に、ロール状体にした後に展開しようとしたときに、ブロッキングにより展開できなくなることもない。
【0041】
上記アクリル系トリブロック共重合体がメタクリル酸メチルに由来するハードセグメントと、n-アクリル酸ブチルに由来するソフトセグメントを有するアクリル系トリブロック共重合体である場合、該トリブロック共重合体の重量平均分子量は3万以上であることが好ましい。上記トリブロック共重合体の重量平均分子量が3万以上であることにより、上記発泡体基材に対する特に優れた密着性を発揮することができ、かつ、両面粘着テープのリワーク性を発揮することができる。上記トリブロック共重合体の重量平均分子量は5万以上であることがより好ましい。上記トリブロック共重合体の重量平均分子量の上限は特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すれば20万程度が上限である。
【0042】
上記樹脂層は、着色されていてもよい。上記樹脂層を着色することにより、両面粘着テープに遮光性を付与することができる。
上記樹脂層を着色する方法は特に限定されず、例えば、上記樹脂層を構成する樹脂にカーボンブラック、酸化チタン等の粒子又は微細な気泡を練り込む方法、上記樹脂層の表面にインクを塗布する方法等が挙げられる。
【0043】
上記樹脂層は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機充填剤、無機充填剤等の従来公知の添加剤を含有してもよい。また、上記第1樹脂層及び第2樹脂層の少なくとも一方を構成する樹脂が熱可塑性エラストマーからなる場合、樹脂として上記熱可塑性エラストマー以外の樹脂を含んでもよい。
【0044】
上記樹脂層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は100μmである。上記樹脂層の厚みをこの範囲内とすることにより、本発明の一実施態様に係る両面粘着テープはより優れたリワーク性を発揮することができる。リワーク性をより高める観点から、上記樹脂層の厚みのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は70μmである。
【0045】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、必要に応じて、上記発泡体基材、上記粘着剤層及び上記樹脂層以外の他の層を有してもよい。
【0046】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの厚みは特に限定されないが、好ましい下限は0.3mm、好ましい上限は3mmである。本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの厚みをこの範囲内とすることにより、両面粘着テープが復元力や反発力に耐えられず剥がれるのを防止し、充分な接着や固定を実現しながら優れたリワーク性を発揮することができる。両面テープの剥離抑制及びリワーク性の更なる向上の観点から、本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの厚みのより好ましい下限は0.4mm、より好ましい上限は2.8mmである。
【0047】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの製造方法として、例えば、以下のような方法が挙げられる。まず、上記発泡体基材と第1の樹脂層の積層体を製造し、この積層体に第2の樹脂層を積層し、第1の樹脂層/発泡体基材/第2の樹脂層からなる積層体を形成する。
ここで樹脂層と発泡体基材とを積層させるためには、樹脂層に自己粘着性(タック性)があることが好ましい。また、加温させたラミネーターにより樹脂層と発泡体基材を圧着することで密着性を向上させることもできる。また、基材原料を発泡させて発泡体基材を得る工程時に樹脂層を差し込むことでより密着性を向上させることができる。また、樹脂層として用いる樹脂シートの表面、又は、発泡体基材に表面処理(例えば、プラズマ処理やコロナ処理等)を施すことでも、樹脂層と発泡体基材との密着性を向上させることができる。更に、樹脂層に自己粘着性がない場合には、粘着剤層を発泡体基材と樹脂層の間に設けて積層させてもよい。樹脂層のポリマー鎖を反応点となる水酸基や酸基で修飾することで、樹脂層と発泡体基材との密着性を向上させることもできる。
次いで、上記粘着剤層を形成する粘着剤溶液を調製して、該粘着剤溶液を離型フィルムの離型処理面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して第1の粘着剤層を形成する。この第1の粘着剤層を上記第1の樹脂層/発泡体基材/第2の樹脂層からなる積層体の第1の樹脂層側の表面に、第1の粘着剤層が第1の樹脂層側に対向した状態に重ね合わせる。一方、上記離型フィルムとは別の離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面に粘着剤溶液を塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面に第2の粘着剤層が形成された積層フィルムを作製する。得られた積層フィルムを上記第1の樹脂層/発泡体基材/第2の樹脂層からなる積層体の第2の樹脂層側の表面に、第2の粘着剤層が第2の樹脂層側に対向した状態に重ね合わせて、第1の粘着剤層/第1の樹脂層/発泡体基材/第2の樹脂層/第2の粘着剤層からなる積層体を得る。そして、得られた積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、第1の粘着剤層/第1の樹脂層/発泡体基材/第2の樹脂層/第2の粘着剤層を有し、かつ、両粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得ることができる。また、ロールに巻き取る際は第2の粘着剤層に接する離型フィルムを剥ぎ取り、第2の粘着剤層を内側に巻き取れる。この際、第1の粘着剤層に接する離型フィルムは両面離型処理されていることが必要となる。
【0048】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの用途は特に限定されず、例えば、携帯電子機器部品、車載用電子機器部品等の固定に用いられる。これらの用途における本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの形状は特に限定されないが、長方形、額縁状、円形、楕円形、ドーナツ型等が挙げられる。
【0049】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、復元力や反発力のような低速での剥離応力がかかった状態での接着信頼性に優れることから、段差、角、非平面部等に貼り付けられたり、部品を変形させた状態で固定するために用いられたりすることが好ましい。一方、リワーク性に優れることから、仮固定の用途にも好適に用いることができる。更に、何らかの事情で貼合せ後に剥離したい場合にでも、剥離時に発泡体基材が割れて被着体に残渣が残ってしまうこともない。
【0050】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープが用いられる物品として、例えば、TV、モニター、携帯電子機器等に使用されるフラットパネルディスプレイ、携帯電子機器のカメラモジュール、携帯電子機器の内部部材、車輌用内装、家電(例えば、TV、エアコン、冷蔵庫等)の内外装等が挙げられる。本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの被着体として、例えば、携帯電子機器のサイドパネル、背面パネル、各種銘板、加飾フィルム、装飾フィルム等が挙げられる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、優れた応力緩和性及び耐衝撃性を有し、かつ、両粘着面におけるリワーク性に優れた両面粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
(1)第1の樹脂層の準備
第1の樹脂層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート(東レ社製、X30)を準備した。JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該PETシートは、引張破断点応力が180MPa、引張破断点伸びが138%、引張弾性率が4360MPaであった。
【0055】
(2)ポリウレタン(PU)発泡体基材の製造
ポリオール(ポリエーテルポリオール、重量平均分子量6000、水酸基数3、水酸基価48mgKOH/g)100重量部にアミン触媒(ダブコLV33、三共エアープロダクト社製)を0.7重量部、整泡剤(SZ5740M、東レ・ダウコーニング社製)を1重量部添加し、攪拌した。そこへポリイソシアネート(コスモネートTM-20、三井化学社製)をイソシアネートインデックス80になるよう調整し投入した。その後、0.2g/cm3になるように窒素ガスと混合攪拌し、微細な気泡が混入した溶液を得た。その溶液を第1の樹脂層である厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート(東レ社製、X30)上にアプリケーターを使用して所定の厚みに塗布し、発泡体原料を反応させ、厚み450μmのポリウレタン(PU)発泡体基材と第1の樹脂層からなる積層体を得た。
得られたPU発泡体基材の密度を、JISK-6767に準拠して電子比重計(ミラージュ社製、「ED120T」)を使用して測定した結果、0.3g/cm3であった。更に、得られたPU発泡体基材の25%圧縮強度を、JIS K 6254に準拠し測定することで求めた結果、15kPaであった。
【0056】
(3)第2の樹脂層の準備
第2の樹脂層として、厚み50μmのアクリル系トリブロック共重合体a(アクリルTPE-a)からなるシート(クラレ社製、LA2250)を準備した。
該アクリルTPE-aは、ポリメタクリル酸メチル樹脂に由来するハードセグメントの割合が30重量%、ポリアクリル酸ブチル樹脂に由来するソフトセグメントの割合が70重量%、重量平均分子量が59000である。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該アクリルTPE-aからなるシートは、引張破断点応力が8.0MPa、引張破断点伸びが493%、引張弾性率が10.1MPaであった。
【0057】
(4)粘着剤溶液の調製
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器に酢酸エチル52重量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。酢酸エチルが沸騰してから、30分後に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.08重量部を投入した。ここにブチルアクリレート70重量部、2-エチルヘキシルアクリレート27重量部、アクリル酸3重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.2重量部からなるモノマー混合物を1時間30分かけて、均等かつ徐々に滴下し反応させた。滴下終了30分後にアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加し、更に5時間重合反応させ、反応器内に酢酸エチルを加えて希釈しながら冷却することにより、固形分40重量%のアクリル共重合体の溶液を得た。
得られたアクリル共重合体について、カラムとしてWater社製「2690 Separations Model」を用いてGPC法により重量平均分子量を測定したところ、71万であった。数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)は5.5であった。
得られたアクリル共重合体の固形分100重量部に対して、軟化点150℃の重合ロジンエステル15重量部、軟化点145℃のテルペンフェノール10重量部、軟化点70℃のロジンエステル10重量部を添加した。更に、酢酸エチル(不二化学薬品社製)30重量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製 商品名「コロネートL45」)3.0重量部を添加し、攪拌して、粘着剤溶液を得た。
【0058】
(5)両面粘着テープの製造
得られたPU発泡体基材と第1の樹脂層からなる積層体のPU発泡体基材側に第2の樹脂層としてのアクリル系トリブロック共重合体aからなるシートを積層し、80℃で熱ラミネートして、第1の樹脂層/発泡体基材/第2の樹脂層からなる積層体を形成した。
上記粘着剤溶液を厚み100μmの離型処理を施したポリエチレン(PE)/上質紙/ポリエチレン(PE)からなる離型ライナーの離型処理面に塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより、厚み50μmの第1の粘着剤層を形成した。
【0059】
一方、上記粘着剤溶液を厚み100μmの離型処理を施したポリエチレン(PE)/上質紙/ポリエチレン(PE)からなる離型ライナーの離型処理面に塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより、厚み50μmの第2の粘着剤層を形成した。
第2の粘着剤層が形成された離型ライナーを、上記第1の樹脂層/発泡体基材/第2の樹脂層からなる積層体の第2の樹脂層側の表面に、第2の粘着剤層が第2の樹脂層側に対向した状態に重ね合わせて、第1の粘着剤層/第1の樹脂層/発泡体基材/第2の樹脂層/第2の粘着剤層からなる積層体を得た。そして、得られた積層体をゴムローラによって加圧することによって、第1の粘着剤層/第1の樹脂層/発泡体基材/第2の樹脂層/第2の粘着剤層を有し、かつ、各粘着剤層の表面が離型ライナーで覆われた両面粘着テープを得た。
【0060】
(実施例2)
第2の樹脂層として、厚み50μmのアクリル系トリブロック共重合体b(アクリルTPE-b)からなるシート(クラレ社製、LA2140e)を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
該アクリルTPE-bは、ポリメタクリル酸メチル樹脂に由来するハードセグメントの割合が21重量%、ポリアクリル酸ブチル樹脂に由来するソフトセグメントの割合が79重量%、重量平均分子量が73000である。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該アクリルTPE-bからなるシートは、引張破断点応力が5.0MPa、引張破断点伸びが602%、引張弾性率が1.0MPaであった。
【0061】
(実施例3)
第2の樹脂層として、厚み50μmのアクリル系トリブロック共重合体c(アクリルTPE-c)からなるシート(クラレ社製、LA2330)を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
該アクリルTPE-cは、ポリメタクリル酸メチル樹脂に由来するハードセグメントの割合が23重量%、ポリアクリル酸ブチル樹脂に由来するソフトセグメントの割合が77重量%、重量平均分子量が112000である。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該アクリルTPE-cからなるシートは、引張破断点応力が4.6MPa、引張破断点伸びが550%、引張弾性率が0.6MPaであった。
【0062】
(実施例4)
第2の樹脂層として、厚み50μmのアクリル系トリブロック共重合体d(アクリルTPE-d)からなるシート(クラレ社製、LA4285)を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
該アクリルTPE-dは、ポリメタクリル酸メチル樹脂に由来するハードセグメントの割合が55重量%、ポリアクリル酸ブチル樹脂に由来するソフトセグメントの割合が45重量%、重量平均分子量が60000である。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該アクリルTPE-dからなるシートは、引張破断点応力が18.1MPa、引張破断点伸びが232%、引張弾性率が275.1MPaであった。
【0063】
(実施例5)
第2の樹脂層として、厚み50μmのアクリル系トリブロック共重合体e(アクリルTPE-e)からなるシート(クラレ社製、LA2270)を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
該アクリルTPE-eは、ポリメタクリル酸メチル樹脂に由来するハードセグメントの割合が40重量%、ポリアクリル酸ブチル樹脂に由来するソフトセグメントの割合が60重量%、重量平均分子量が60000である。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該アクリルTPE-eからなるシートは、引張破断点応力が11.4MPa、引張破断点伸びが434%、引張弾性率が51.8MPaであった。
【0064】
(実施例6)
第2の樹脂層として、厚み50μmのアクリル系トリブロック共重合体e(アクリルTPE-e)(クラレ社製、LA2270)とアクリル系ジブロック共重合体f(アクリルTPE-f)(クラレ社製、LA1114)との重量比85/15の割合からなるシートを用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
該アクリルTPE-eは、ポリメタクリル酸メチル樹脂に由来するハードセグメントの割合が40重量%、ポリアクリル酸ブチル樹脂に由来するソフトセグメントの割合が60重量%、重量平均分子量が60000である。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該アクリルTPE-e及びアクリルTPE-fからなるシートは、引張破断点応力が4.3MPa、引張破断点伸びが660%、引張弾性率が0.8MPaであった。
【0065】
(実施例7)
第2の樹脂層として、厚み50μmのスチレン/アクリル系トリブロック共重合体(スチレン/アクリルTPE)からなるシートを用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
該スチレン/アクリルTPEは、ポリスチレン樹脂に由来するハードセグメントの割合が17重量%、ポリアクリル酸ブチル樹脂に由来するソフトセグメントの割合が83重量%、重量平均分子量が240000である。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該スチレン/アクリルTPEからなるシートは、引張破断点応力が7.6MPa、引張破断点伸びが650%、引張弾性率が1.9MPaであった。
【0066】
(実施例8)
第2の樹脂層として、厚み50μmのスチレン系トリブロック共重合体a(スチレンTPE-a)からなるシート(日本ゼオン社製、♯3620)を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
該スチレンTPE-aは、スチレンに由来するハードセグメントの割合が14重量%、イソプレンに由来するソフトセグメントの割合が86重量%である。また同組成のジブロック成分をGPC面積比で12%含む。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該スチレンTPE-aからなるシートは、引張破断点応力が24.0MPa、引張破断点伸びが1200%、引張弾性率が40.0MPaであった。
【0067】
(実施例9)
第2の樹脂層として、厚み50μmのスチレン系トリブロック共重合体b(スチレンTPE-b)からなるシート(日本ゼオン社製、♯3421)を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
該スチレンTPE-bは、スチレンに由来するハードセグメントの割合が14重量%、イソプレンに由来するソフトセグメントの割合が86重量%である。また同組成のジブロック成分をGPC面積比で26%含む。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該スチレンTPE-bからなるシートは、引張破断点応力が19.0MPa、引張破断点伸びが1300%、引張弾性率が38.0MPaであった。
【0068】
(実施例10)
第2の樹脂層として、厚み50μmのポリエーテルエステル系ブロック共重合体a(ポリエーテルエステルTPE-a)からなるシート(東レ・デュポン社製、♯5557)を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
該ポリエーテルエステルTPE-aは、PBTに由来するハードセグメントとポリエーテルに由来するソフトセグメントを有する。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該ポリエーテルエステルTPE-aからなるシートは、引張破断点応力が31.4MPa、引張破断点伸びが390%、引張弾性率が137.0MPaであった。
【0069】
(実施例11)
第2の樹脂層として、厚み50μmのポリエーテルエステル系ブロック共重合体b(ポリエーテルエステルTPE-b)からなるシート(東レ・デュポン社製、♯7247)を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
該ポリエーテルエステルTPE-bは、PBTに由来するハードセグメントとポリエーテルに由来するソフトセグメントを有する。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該ポリエーテルエステルTPE-bからなるシートは、引張破断点応力が36.3MPa、引張破断点伸びが260%、引張弾性率が422.0MPaであった。
【0070】
(実施例12)
第2の樹脂層として、厚み60μmのウレタン系ブロック共重合体(ウレタンTPE)からなるシート(BASF社製、1198ATR)を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該ウレタンTPEからなるシートは、引張破断点応力が57.1MPa、引張破断点伸びが406%、引張弾性率が108.0MPaであった。
【0071】
(実施例13)
第2の樹脂層として、厚み60μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)からなるシート(東洋紡社製、♯60)を用い、第2の樹脂層と発泡体基材との積層には粘着剤層を介して積層させたこと以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該OPPシートは、引張破断点応力が140.0MPa、引張破断点伸びが210%、引張弾性率が2100.0MPaであった。
【0072】
(実施例14)
第2の樹脂層として、厚み25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)からなるシート(東洋紡社製、♯25)を用い、第2の樹脂層と発泡体基材との積層には粘着剤層を介して積層させたこと以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該PETシートは、引張破断点応力が177.0MPa、引張破断点伸びが132%、引張弾性率が2376.0MPaであった。
【0073】
(比較例1)
第2の樹脂層として、厚み50μmのパルプ不織布シート(立東商会社製、SPC)を用い、第2の樹脂層と発泡体基材との積層には粘着剤層を介して積層させたこと以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該パルプ不織布シートは、引張破断点応力が3.7MPa、引張破断点伸びが102%、引張弾性率が160.0MPaであった。
【0074】
(比較例2)
第2の樹脂層として、厚み50μmのアクリル粘着剤を用いたこと以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該アクリル粘着剤からなる層は、引張破断点応力が0.5MPa、引張破断点伸びが825%、引張弾性率が0.2MPaであった。
なお、アクリル粘着剤は以下の方法で作成した。
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器に酢酸エチル52重量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。酢酸エチルが沸騰してから、30分後に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.08重量部を投入した。ここにモノマー混合物(アクリル酸ブチル(BA)60重量部、アクリル酸2-エチルへキシル(2EHA)36.9重量部、アクリル酸(AAc)3重量部、及び、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(2HEA)0.1重量部)を1時間30分かけて、均等かつ徐々に滴下し反応させた。滴下終了30分後にアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加し、更に5時間重合反応させ、反応器内に酢酸エチルを加えて希釈しながら冷却することにより、アクリル共重合体含有溶液を得た。
得られたアクリル共重合体含有溶液の不揮発分100重量部に対して酢酸エチルを加えて攪拌し、粘着付与樹脂を合計30重量部(水添ロジン系樹脂10部、ロジンエステル系樹脂10部、テルペンフェノール樹脂10部)添加して攪拌し、不揮発分30重量%の粘着剤を得た。
【0075】
(比較例3)
第2の樹脂層として、厚み50μmのアクリル系ジブロック共重合体f(アクリルTPE-f)(クラレ社製、LA1114)からなるシートを用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
JIS K 7161に準ずる方法により測定したところ、該アクリルTPE-fからなるシートは、引張破断点応力が1.2MPa、引張破断点伸びが990%、引張弾性率が0.3MPaであった。
【0076】
(評価)
実施例、比較例で得られた両面粘着テープについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0077】
(1)柔軟性の評価
得られた両面粘着テープ(離型ライナー/第1の粘着剤層/第1の樹脂層/発泡体基材/第2の樹脂層/第2の粘着剤層)を直径3インチの紙芯に、第2の粘着剤層側が内側になるように巻きつけてロール状体を得た。
得られたロール状体の側面と表層を目視にて観察した。更に、ロール状体から両面粘着テープを引き出した後、第2の粘着剤層側から目視にて観察して、以下の基準により評価した。
○:確認した全ての箇所にシワや折れが認められなかった。
△:確認した一部の箇所にシワや折れが認められた。
×:確認した全ての箇所にシワや折れが認められた。
【0078】
(2)リワーク性の評価
得られた両面粘着テープを幅5mm×長さ100mm、及び、幅10mm×長さ100mmの大きさにそれぞれ切り出して、5mm幅サンプル及び10mm幅サンプルを調製した。
得られた各サンプルの第1の粘着剤層側の離型ライナーを剥がし、厚み2mmのガラス板(幅50mm、長さ125mm)に第1の粘着剤層側を貼り合わせ、両面粘着テープ上に2kgのゴムローラを300mm/分の速度で一往復させた後、23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置した。次いで、発泡体基材の層間を裂きあげ、両面粘着テープから第2の粘着剤層と第2の樹脂層、及び、発泡体基材の一部を除去した後、両面粘着テープの残った部分を水平方向から30°の角度方向に300mm/分の速度にて引っ張り、ガラス板から両面粘着テープの残った部分を剥離した。第1の粘着剤層側のリワーク性について、以下の基準により評価した。第2の粘着剤層側についても、同様の評価を行った。
○:両面粘着テープの残った部分を除去できた。
△:剥離途中で両面粘着テープの一部が破断したものの、除去できた。
×:両面粘着テープの残った部分を除去できなかった。
【0079】
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によれば、優れた応力緩和性及び耐衝撃性を有し、かつ、両粘着面におけるリワーク性に優れた両面粘着テープを提供することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 両面粘着テープ
2 発泡体基材
31 第1の粘着剤層
32 第2の粘着剤層
41 第1の樹脂層
42 第2の樹脂層