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特許7036718滑膜組織への医薬活性成分の小分割化及び/又は標的化の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】滑膜組織への医薬活性成分の小分割化及び/又は標的化の方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/34 20170101AFI20220308BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220308BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220308BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20220308BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20220308BHJP
   A61L 27/40 20060101ALI20220308BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
A61K47/34
A61P19/02
A61K9/08
A61K9/10
A61L27/18
A61L27/40
A61L27/54
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2018525388
(86)(22)【出願日】2016-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 IB2016001815
(87)【国際公開番号】W WO2017085561
(87)【国際公開日】2017-05-26
【審査請求日】2019-11-15
(31)【優先権主張番号】62/255,778
(32)【優先日】2015-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513164473
【氏名又は名称】メドインセルル
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルゲス ガウドリアウルト
(72)【発明者】
【氏名】シルベストレ グリゾト
(72)【発明者】
【氏名】マルク フルチグ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー シヴェ
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-522001(JP,A)
【文献】特表2014-502613(JP,A)
【文献】特表2007-519756(JP,A)
【文献】PETIT, A. et al.,Biomaterials,2015年03月18日,Vol. 53,pp. 426-436
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00
A61K 9/00
A61L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分解性薬物送達組成物であって:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
mPEGy-PLAz
(式中、y及びzは、yが3~45の範囲であり、zが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該組成物中で、3:2~1:19である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分を含み
該組成物は、それが関節の関節包内に含まれ小分割化されるように、患者の少なくとも1つの関節へ投与される、前記生分解性薬物送達組成物。
【請求項2】
前記組成物が、投与のために注射器により取り込まれ且つ前記関節へ注射されるか、又は前記組成物の水性液体への曝露により固形ボーラスへ手作業で形成され且つ前記関節へ手作業で配置される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、力学的チャレンジに供される、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
前記力学的チャレンジが、前記関節の内部構造、骨の連接、体重負荷により、及び/又は滑膜組織圧により得られる、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、小片へ破壊される、請求項1~4のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の医薬活性成分が、前記組成物中に1%~85%(w%/w%)の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
前記トリブロック及びジブロック中のポリエチレングリコール鎖が、300Da~12kDaの範囲である、請求項1~6のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
前記トリブロック又はジブロック中のポリエチレングリコール鎖が、2kDaである、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
リ乳酸反復単位対エチレンオキシドのモル比が、前記トリブロックにおいて1.6~7.2であり、前記ジブロックにおいては1.9~4.8である、請求項1~8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
前記トリブロック中の重合度が、72~324であり、前記ジブロック中の重合度が、85.5~216である、請求項1~9のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
前記トリブロックが、6%~24%(wt%/wt%)の量で存在し、且つ前記ジブロックが、12%~40%(wt%/wt%)の量で存在する、請求項1~10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項記載の組成物の製造のための方法であって、前記トリブロックコポリマーを生体適合性の有機溶媒中で前記ジブロックコポリマーと混合し、トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーの混合物を形成することによって該組成物が製剤化される、前記方法。
【請求項13】
少なくとも1種の医薬活性成分が、前記トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーの混合物へ添加される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、蒸発除去される、請求項12又は13記載の方法。
【請求項15】
前記トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーの混合物が、水性液体へ更に曝露され、固形ボーラスを形成する、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記小片が、ますます小さい小片に破壊される、請求項5記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1種の医薬活性成分が、人工膝関節全置換術(TKR)、人工股関節全置換術(THR)、関節手術、関節鏡視下の関節手術、観血的関節手術である、術後適用、又は炎症疾患のための関節内注射などの非手術適用、モザイクプラスティ、マイクロフラクチュアー、自己軟骨細胞移植術、骨関節移植システム、靱帯及び腱修復、半月板修復もしくは単顆型人工膝関節置換術に適用され得る、請求項1~11のいずれか一項記載の組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1種の医薬活性成分が、人工膝関節全又は部分置換術、人工股関節全又は部分置換術、人工足関節全又は部分置換術、関節鏡視下又は観血的関節手術、マイクロフラクチュアー、自己軟骨細胞移植術、モザイクプラスティ、創面切除及び洗浄、靱帯修復、腱修復、腱板修復、半月板手術、滑膜切除術である、術後適用、又は炎症疾患もしくは関節痛のための関節内注射による、非手術適用に適用され得る、請求項1~11又は17のいずれか一項記載の組成物。
【請求項19】
前記患者への前記投与が、膝関節について0.1~6ml、股関節について0.1~6ml、足関節について0.1~4ml、肩関節について0.1~6ml、及び肘関節について0.1~2mlである、請求項1~11、17又は18のいずれか一項記載の組成物。
【請求項20】
分解性薬物送達組成物であって:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
mPEGy-PLAz
(式中、y及びzは、yが3~45の範囲であり、zが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該組成物中で、3:2~1:19である);並びに
(c)該組成物の小分割化のための、少なくとも1種の医薬活性成分を含み
該組成物は、それが小分割化のために関節の関節包内に含まれるように用いられる、前記生分解性薬物送達組成物。
【請求項21】
少なくとも1種の医薬活性成分を少なくとも1つの関節、任意に滑膜組織へ標的化するための生分解性薬物送達組成物であって、該組成物が以下を含有する、前記生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
mPEGy-PLAz
(式中、y及びzは、yが3~45の範囲であり、zが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該組成物中で、3:2~1:19である);並びに
(c)該少なくとも1種の医薬活性成分。
【請求項22】
前記トリブロックコポリマーにおいて、v及びxは、エステル反復単位、及びエチレンオキシド反復単位であり、並びに該ジブロックコポリマーにおいて、yは、エチレンオキシド反復単位の数であり、及びzは、エステル反復単位の数である、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
前記トリブロックコポリマーが、全組成物の2.0%~45%(w%/w%)の量で存在し、且つ前記ジブロックコポリマーが、全組成物の8.0%~50%(w%/w%)の量で存在する、請求項21~22のいずれか一項記載の組成物。
【請求項24】
前記活性成分が、全組成物の1%~20%(w%/w%)の量で存在する、請求項21~23のいずれか一項記載の組成物。
【請求項25】
ポリマー含量が、全組成物の20%~50%(w%/w%)の範囲であり、並びに前記少なくとも1種の医薬活性成分が、全組成物の10%~20%(w%/w%)の量で存在する、請求項21~24のいずれか一項記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、少なくとも1つの関節へ注射することができる液体であるか、又は少なくとも1つの関節に注射することができる小型固形粒子であるか、もしくはロッドインプラントもしくは空間的製剤である、請求項21~25のいずれか一項記載の組成物。
【請求項27】
前記トリブロックコポリマーのポリエチレングリコール鎖のサイズが、200Da~12kDa又は194Da~12kDaの範囲であり、及び前記ジブロックコポリマーのメトキシポリエチレングリコール鎖のサイズが、100Da~2kDa又は164Da~2kDaの範囲である、請求項21~26のいずれか一項記載の組成物。
【請求項28】
医薬として許容し得るビヒクルを更に含有する、請求項21~27のいずれか一項記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物中のポリエステル反復単位のエチレンオキシドに対するモル比が、前記トリブロックにおいて0.5~3.5又は0.5~22.3、及び前記ジブロックにおいて、2~6又は0.8~13である、請求項21~28のいずれか一項記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物中の前記乳酸のエチレンオキシドに対するモル比が、前記トリブロックコポリマーについて、0.5~22.3、及び前記ジブロックコポリマーについて0.8~13である、請求項21~29のいずれか一項記載の組成物。
【請求項31】
前記少なくとも1つの関節が、滑膜性関節であり、該滑膜性関節が、膝関節、足関節、肘関節、上腕関節、尺骨関節、車軸関節、球関節、蝶番関節、肩関節、肩甲骨関節、下肢関節、腓骨関節、鞍関節、手首関節、手指関節及び脛骨関節である、請求項21~30のいずれか一項記載の組成物。
【請求項32】
前記医薬活性成分が、人工膝関節全置換術(TKR)、人工股関節全置換術(THR)、関節手術、関節鏡視下の関節手術、観血的関節手術である、術後適用、又は、非手術適用、炎症疾患のための関節内注射、モザイクプラスティ、マイクロフラクチュアー、自己軟骨細胞移植術、骨関節移植システム、靱帯及び腱修復、半月板修復もしくは単顆型人工膝関節置換術、人工膝関節全もしくは部分置換術、人工股関節全もしくは部分置換術、人工足関節全もしくは部分置換術、関節鏡視下もしくは観血的関節手術、創面切除及び洗浄、腱板修復、滑膜切除術、又は炎症疾患もしくは関節痛のための関節内注射による非手術適用に適用され得る、請求項20~31のいずれか一項記載の組成物。
【請求項33】
前記少なくとも1種の医薬活性成分が、ペプチド薬、タンパク質薬、脱感作剤、抗原、非ステロイド性抗炎症薬、抗炎症薬、麻酔薬、抗酸化物質、抗感染症薬、化学療法薬、抗侵害受容作用薬、DMOAD、同化薬、抗異化作用薬、オートファジー調節薬、破骨細胞媒介性骨粗鬆症治療薬、栄養補助食品、鎮痛薬、生物製剤、及びそれらの混合物である、請求項21~32のいずれか一項記載の組成物。
【請求項34】
前記非ステロイド性抗炎症薬が、エトフェナマート、セレコキシブ、アプリコキシブ、ロフェコキシブ、ナブメトン、ベノリラート、エトリコキシブ、アンピロキシカム、アミノフェメゾン、バルデコキシブ、アセトアミノフェン、ブフェキサマク、ニメスリド、パレコキシブ、メフェナム酸、デクスイブプロフェン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、アスピリン、デクスケトプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フィロコキシブ、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ロキソマック、ルミラコキシブ、メクロフェナム酸、メロキシカム、ナプロキセン、ナプロシン、ニマロックス、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサラート、スリンダク、テノキシカム、トルフェナム酸、ロピバカイン及びそれらの混合物である、請求項33記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ポリエステルとポリエチレングリコールを含むトリブロックコポリマー及びポリエステルと1つのエンドキャップポリエチレングリコールを含むジブロックコポリマーを含有する生分解性薬物送達組成物を投与することにより、少なくとも1種の医薬活性成分を、滑膜組織及び/又は関節軟骨、靱帯、腱、半月板などの他の関節組織へ、小分割化及び/又は標的化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
関節炎は、関節及び周辺組織へ影響を及ぼす状態の全般的用語である。関節は、膝関節、手首関節、手指関節、足指関節、及び股関節などの、体内で骨が合流する場所である。ふたつの関節炎の最も一般的な型は、変形性関節症と関節リウマチである。
【0003】
変形性関節症は、米国だけでも2000万人超が罹患している、関節疾患の最も一般的な型である。これは、70歳より高齢の人々の慢性障害の主な原因であり、米国では毎年1850億ドル超の経費がかかっている。これは、股関節、膝関節、頸部関節、腰部関節、又は手の小関節に関与することが多い、痛みを伴う、変性関節部疾患である。変形性関節症は通常、特定の作業を実行もしくは好みのスポーツを行うことからくる、又は過剰な体重の移動からくる、繰り返しの酷使により損傷した関節において発症する。
【0004】
変形性関節症は、滑膜性関節中の関節(ヒアリン)軟骨の生化学的破壊から生じる変性疾患と考えることができる。しかし現時点での概論は、変形性関節症は、関節軟骨のみではなく、軟骨下骨及び滑膜を含む、関節器官全体に関与しているとしている。
【0005】
関節リウマチは、通常手指、親指、手首、肘、肩、膝、足及び足首の様々な関節が関与する、自己免疫性炎症疾患である。自己免疫疾患とは、体が、自分自身の健康な組織を攻撃する抗体及び酵素を放出する疾患である。関節リウマチにおいて、これらの酵素は、関節の内層を破壊する。このことは、疼痛、膨潤、硬直、奇形を引き起こし、且つ運動と機能を低下する。
【0006】
例えば関節リウマチにおいて、骨関節中の上方調節されたケモカイン蓄積は、浸潤性マクロファージ及びT細胞を誘引し且つ活性化する。これらの細胞の活性化は、滑膜細胞増殖を誘導し、これは少なくとも一部は、炎症並びに最終的な骨及び軟骨の喪失につながる(DeVries, M. E.らの文献、Semin Immunol 11(2): 95-104 (1999)参照)。
【0007】
痛風は、滑液及び他の組織中の尿酸一ナトリウム結晶の沈着又は腎臓内の尿酸結石の形成から生じる疾患である。痛風は典型的には、中年で発症し、30歳以前ではめったに見られない。女性は稀に、閉経前に痛風性関節炎発作を有することがある。
【0008】
更に、強直性脊椎炎、線維筋痛、感染性関節炎、若年性特発性関節炎、紅斑性狼瘡、リウマチ性多発性筋痛、乾癬性関節炎、反応性関節炎及び強皮症などの、100種を超える疾患が、リウマチ性疾患として分類され得る。これらのリウマチ性疾患は、摩損による関節炎、感染性自己免疫疾患、又は痛風などの結晶による疾患を引き起こすことにより、関節に関与している。
【0009】
一般に、関節炎及び他のリウマチ性疾患は、慢性筋骨格系疼痛により特徴付けられ、且つ急性疼痛の多様な形態は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)により治療される。NSAIDは、シクロオキシゲナーゼ(COX)としても知られる酵素PGG/H合成酵素の活性を阻害することにより、プロスタグランジンの生成を妨害することにより作用する。COXは、それらの調節及び組織分布が異なる、2種のアイソフォーム;すなわち、COX-1及びCOX-2を生じる。COX-1は、基本的状態で発現され、且つ恒常性維持機能に役立つPGの生合成に関与している。COX-2発現は、一部の病的状態及び炎症時に増大される(Croffordらの文献、Arthritis Rheum (2000), 43:4-13)。
【0010】
米国特許第8,557,865 B2号は、ベラパミル、ジルチアゼム、ニフェジピン、プロカインイミド、テトロドトキシン及びそれらの混合物のイオンチャネル調節物質による、変形性関節症の治療方法を開示している。この方法は、これらのイオンチャネル調節物質を、患者の関節の関節内空間へ注射することを含む。
【0011】
Thakkarらの文献(Drugs R D (2007):8 (5) 275-285)は、関節内投与後の放出-負荷された(issues-loaded)固形ナノ粒子の増強された保持を開示している。この注射後4時間の保持は、10.13%であることがわかっており、これは溶液中のセレコキシブよりも、ほぼ16倍高い。
【0012】
Morgenらの文献(Pharm Res (2013) 30:257-268)もまた、膝関節への関節内注射後の改善された局所保持のためにナノ粒子を使用した。これらのナノ粒子は、陽イオン性であり、且つこれらのナノ粒子からの共役ペプチドの放出は、1週間につき約20%で生じることを明らかにした。
【0013】
しかし当該技術分野において、薬物が長期間にわたり送達されるように、滑膜領域内に医薬活性成分を保持する哺乳動物の関節へ、医薬活性成分を送達することが、依然必要である。
【0014】
同じく当該技術分野において、少なくとも1種の医薬活性成分の放出速度が、製剤の小分割化により変更され得る製剤を提供することも必要であり、その製剤は、生分解性薬物送達組成物である。
【0015】
同じく当該技術分野において、医薬活性成分を、滑膜及び滑液を含む滑膜組織及び/又は他の関節組織へ直接標的化し、且つこの医薬活性成分は滑膜組織において保持されることも必要である。
【0016】
少なくとも1種の活性成分を滑膜組織及び/又は他の関節組織へ標的化し、且つ小分割化することにおいて、経時的な薬物の放出速度は、経時的に変更され得る。
【0017】
これら及び他の目的は、発明の概要、好ましい実施態様の説明、及び請求項を根拠として、本発明により達成される。
【発明の概要】
【0018】
(発明の概要)
本発明は、少なくとも1種の医薬活性成分を含有する生分解性薬物送達組成物を小分割化する方法であって:
(1)以下を含有する生分解性薬物組成物を製剤化する工程:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
mPEGy-PLAz
(式中、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、3:2~1:19である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分;
(2)患者の少なくとも1つの関節へ、該製剤化された生分解性薬物送達組成物を、それが関節の関節包内に含まれるように、投与する工程:を含む方法を、提供する。
【0019】
この小分割化する方法において、生分解性薬物送達製剤は、投与のための注射器により取り込まれ、且つ該少なくとも1つの関節へ注射されるか、又は製剤を水性液体へ曝露することにより固形ボーラスへ手作業で形成され且つ関節へ手作業で配置される。
【0020】
この小分割化する方法は、生分解性薬物送達製剤が、関節の内部構造、骨の連接、体重負荷により、及び/又は滑液圧により得られるもののような、力学的チャレンジに供されることを引き起こす。この小分割化する方法において、生分解性薬物送達製剤は、小片へ破壊される。
【0021】
この小分割化する方法において、少なくとも1種の医薬活性成分は、該生分解性薬物送達製剤中に1%~85%(w%/w%)の量で存在し、且つトリブロック及びジブロック中のポリエチレングリコール鎖は、300Da~12kDaの範囲である。
【0022】
別の態様において、トリブロック及びジブロック中のポリエチレングリコール鎖は、2kDaである。
【0023】
一実施態様において、このポリ乳酸反復単位対エチレンオキシドのモル比は、前記トリブロックにおいて1.6~7.2であり、前記ジブロックにおいては1.9~4.8であり、並びにトリブロック中の重合度は、72~324であり、ジブロック中の重合度は、85.5~216である。
【0024】
一態様において、トリブロックは、6%~24%(wt%/wt%)の量で存在し、且つジブロックは、12%~40%(wt%/wt%)の量で存在する。
【0025】
別の実施態様において、本生分解性薬物送達組成物は、トリブロックコポリマーを生体適合性の有機溶媒中でジブロックコポリマーと混合し、トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーの混合物を形成し、並びに該トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーの混合物へ、少なくとも1種の医薬活性成分を添加することを含む。
【0026】
この方法の別の態様において、前記溶媒は、蒸発除去され得る。
【0027】
また別の態様において、本トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーの混合物及び少なくとも1種の医薬活性成分は、水性液体へ更に曝露され、固形ボーラスを形成する。
【0028】
この小分割化する方法において、本明細書記載のように、本生分解性薬物組成物の小片は、ますます小さい小片に破壊される。これらの小片は、約1センチメーターから、1ミクロンまでの範囲であることができる。
【0029】
小分割化する方法における別の実施態様において、患者への投与は、膝関節について0.1~6ml、股関節について0.1~6ml、足関節について0.1~4ml、肩関節について0.1~6ml、及び肘関節について0.1~2mlである。
【0030】
別の態様において、少なくとも1種の医薬活性成分は、例えば、人工膝関節全又は部分置換術、人工股関節全又は部分置換術、人工足関節全又は部分置換術、関節鏡視下又は観血的関節手術、マイクロフラクチュアー、自己軟骨細胞移植術、モザイクプラスティ(mosaicplasty)、創面切除及び洗浄、靱帯修復、腱修復、腱板修復、半月板手術、滑膜切除術であることができる術後適用に、又は炎症疾患もしくは関節痛のための関節内注射による非手術適用に、適用され得る。
【0031】
また別の態様において、本発明は、少なくとも1種の医薬活性成分を含有する生分解性薬物送達組成物であって:
(1)以下を含有する生分解性薬物組成物を製剤化する工程:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
mPEGy-PLAz
(式中、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、3:2~1:19である);並びに
(c)該生分解性薬物送達組成物の小分割化のための、少なくとも1種の医薬活性成分:を含み、
ここで該製剤化された生分解性薬物送達が、小分割化のために関節の関節包内に含まれる、生分解性薬物送達組成物を提供する。
【0032】
本発明はまた、少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
Av-Bw-Ax
(式中、Aはポリエステルであり、Bはポリエチレングリコールであり、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
Cy-Az
(式中、Aはポリエステルであり、Cはエンドキャップポリエチレングリコールであり、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性CAジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で3:2~1:19である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む、方法を提供する。
【0033】
別の態様において、本発明は、少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
Av-Bw-Ax
(式中、Aはポリエステルであり、Bはポリエチレングリコールであり、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
Cy-Az
(式中、Aはポリエステルであり、Cはエンドキャップポリエチレングリコールであり、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性CAジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で1:3~1:9である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む、方法を提供する。
【0034】
本発明は、また別の態様において、少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
Av-Bw-Ax
(式中、Aはポリエステルであり、Bはポリエチレングリコールであり、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v及びxはエステル反復単位であり、並びにwはエチレンオキシド反復単位であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
Cy-Az
(式中、Aはポリエステルであり、Cはエンドキャップポリエチレングリコールであり、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数であり、yはエチレンオキシド反復単位の数であり、並びにzは、エステル反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性CAジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で3:2~1:19である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む、方法を提供する。
【0035】
別の態様において、本発明は、少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
Av-Bw-Ax
(式中、Aはポリエステルであり、Bはポリエチレングリコールであり、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v及びxはエステル反復単位であり、並びにwはエチレンオキシド反復単位であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
Cy-Az
(式中、Aはポリエステルであり、Cはエンドキャップポリエチレングリコールであり、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数であり、yはエチレンオキシド反復単位の数であり、並びにzは、ラクチル又はラクトイル反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性CAジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で1:3~1:9である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む、方法を提供する。
【0036】
別の実施態様において、少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法であって、該方法は、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
PEGy-PLAz
(式中、y及びzは、3~237、又は3~371の範囲の反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、3:2~1:19であり、並びにジブロック中のPEGは、エンドキャッピングされている);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む。
【0037】
少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
PEGy-PLAz
(式中、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、1:3~1:9であり、並びにジブロック中のPEGは、エンドキャッピングされている);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む方法は、また本発明の別の態様である。
【0038】
また別の態様において、少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法であって、該方法は、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する、全組成物の2.0%~45%(w%/w%)の量で存在する、生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
PEGy-PLAz
(式中、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する、全組成物の8.0%~50%(w%/w%)の量で存在する、生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、3:2~1:19であり、並びにジブロック中のPEGは、エンドキャッピングされている);並びに
(c)全組成物中1%~20%(w%/w%)の量で存在する、少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む方法が、提供される。
【0039】
また別の態様において、医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法であって、該方法は、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
PEGy-PLAz
(式中、y及びzは、7~371の範囲の反復単位の数である)を有するある量で存在する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、1:3~1:9であり、並びにジブロック中のPEGは、エンドキャッピングされており、ここで総ポリマー含量は、全組成物の20%~50%(w%/w%)の範囲である);並びに
(c)全組成物の10%~20%(w%/w%)の量で存在する、少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む方法が、提供される。
【0040】
少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法において、本発明の生分解性薬物送達組成物は、該組成物中、トリブロックコポリマーについては0.5~3.5又は0.5~22.3、及びジブロックコポリマーについては2~6又は0.8~13の乳酸対エチレンオキシドモル比を有することができる。
【0041】
滑膜組織へ医薬活性成分を標的化する方法のまた別の態様において、本発明の生分解性薬物送達組成物は、該組成物中、トリブロックコポリマーについては0.5~2.5、及びジブロックコポリマーについては3~5の乳酸対エチレンオキシドモル比を有することができる。
【0042】
一態様において、本生分解性薬物送達組成物は、関節内空間に挿入されると硬化インプラントになる注射液であり、これは、長期間にわたり少なくとも1種の医薬活性成分を送達する。
【0043】
また別の態様において、本生分解性送達薬物組成物は、それを哺乳動物の関節内空間の表面又は内部に適用することができるように空間的製剤として使用することができる。例えば、それを、手術中に関節内空間に配置し、滑膜組織を治療することができる。
【0044】
別の態様において、この標的化方法における少なくとも1種の医薬活性成分は、例えば、人工膝関節全又は部分置換術、人工股関節全又は部分置換術、人工足関節全又は部分置換術、関節鏡視下又は観血的関節手術、マイクロフラクチュアー、自己軟骨細胞移植術、モザイクプラスティ、創面切除及び洗浄、靱帯修復、腱修復、腱板修復、半月板手術、滑膜切除術であることができる術後適用に、又は炎症疾患もしくは関節痛のための関節内注射による非手術適用に、適用され得る。
【0045】
別の態様において、本生分解性薬物組成物は、関節へ挿入することができる、固形ロッドインプラントの形状である。固形ロッドに加え、他の形状に製剤化し、且つそれらの医学適用に従い体へ挿入することができる。
【0046】
本明細書記載のように、哺乳動物又は動物の滑膜組織への少なくとも1種の医薬活性成分の標的化のための、生分解性薬物組成物の使用は、また本発明の別の態様である。
【0047】
他の態様及び実施態様は、以下に示されているか、又は次の好ましい実施態様の説明から容易に生じる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
(図面の簡単な説明)
図1図1は、滑液、滑膜組織及び血清への、一定期間(日数)にわたるセレコキシブ送達のインビボ定量的薬物動態プロファイルを示すグラフである。
図2図2は、ヒツジ膝内のF14の分布を説明する、ヒツジにおけるF14の巨視的写真である。
図3図3は、ヒツジの血漿、滑液及び滑膜組織における一定期間にわたるセレコキシブの薬物動態を示すグラフである。滑膜組織は、14日の試験期間にわたり、極めて高レベルのセレコキシブを維持した。
図4図4は、個体ヒツジの滑膜組織における乳酸の定量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
(好ましい実施態様の説明)
本明細書で使用されるように、「生分解性」という用語は、トリブロック及びジブロックコポリマーが、一定期間後にインビボで侵食、分解、又は小分割化して、より小さい非毒性成分を形成することを意味する。
【0050】
「動物」という用語は、動物界の全てのメンバーを包含する。
【0051】
本明細書で使用されるように、哺乳動物は、ヒトを含む、乳分泌線を有する雌の脊椎動物の群を包含する。哺乳動物の例は、ネコ、イヌ、ヒト、ブタ、ウマ、畜牛、サル、チンパンジーなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0052】
「活性成分」は、関節の様々な医学的疾患を治療するための薬物又は薬剤を意味する。したがって、活性成分、薬物、及び薬剤は、互換的に使用される。本明細書で使用される、薬物又は活性成分という用語は、限定するものではないが、動物の体に局所的又は全身的に作用する生理活性物質又は薬理活性物質を含む。少なくとも1つの活性成分が、本発明の方法において使用される本発明の生分解性薬物組成物中に存在する。非ステロイド性抗炎症薬及び局所麻酔薬のような、2種以上の活性成分を、本発明の方法において使用することができる。
【0053】
本明細書で使用されるように、「疾患」は、感染、食事によるか、又はプロセスの不完全な機能によって引き起こされる、ヒト又は動物などの哺乳動物における任意の障害を意味する。
【0054】
「インプラント」という用語は、薬物送達組成物が、注射可能であり、その場で形成され、生分解性であり、関節内空間に注射されると固形インプラントになることを意味する。したがって、合成される製剤は、過度の力を加えなくても注射器で容易に注射することができるような液体である。
【0055】
「空間的製剤」という用語は、哺乳動物又は動物の体の表面又は内部に適用することができ、必ずしも注射器で投与する必要のない任意の製剤を包含する。
【0056】
本明細書で使用されるように、「反復単位」は、ポリマーの基本的な繰り返し単位である。
【0057】
「エンドキャップポリエチレングリコール」(cPEG)は、1つの末端ヒドロキシル基が反応させられるPEGを指し、アルコキシキャップPEG、ウレタンキャップPEG、エステルキャップPEG、及び同様の化合物を含む。キャッピング基は、ラクチド、グリコラクチド、及びカプロラクトンなどのような環状エステル、又は他のエステル、並びにこれらの混合物と反応しやすい化学的機能を含まない化学基である。エンドキャップPEGポリマーとラクチドとの反応により、ジブロックcPEG-PLAコポリマーが生成する。
【0058】
本明細書で使用されるように、本出願を通じてPEGと略記されるポリエチレングリコールは、時にはポリ(エチレンオキシド)又はポリ(オキシエチレン)とも呼ばれ、これらの用語は、本発明において互換的に使用される。
【0059】
「PLA」という略語は、ポリ(乳酸)を指す。
【0060】
「PLGA」という略語は、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)を指す。
【0061】
「T」又は「TB」という略語は、トリブロックコポリマー(複数可)を指し、「D」又は「DB」という略語は、ジブロックコポリマー(複数可)を指す。
【0062】
本明細書で使用される「ジブロック」という用語は、例えば、エンドキャップPEG-ポリエステルコポリマーを指す。「mPEG」は、メトキシポリエチレングリコールを指す。
【0063】
「トリブロック」という用語は、例えば、ポリエステル-PEG-ポリエステルコポリマーを指す。
【0064】
本明細書において使用されるように、用語「滑膜組織」は、全ての関節の内部を形成する、より具体的には裏打ちする、薄く軟らかい(loose)血管の結合組織、並びに手及び足におけるような、鞘で囲まれている腱を指す。滑膜組織は、滑液と称される粘稠な液体を分泌する、滑膜細胞を含み;この液体は、タンパク質とヒアルロン酸を含み、関節軟骨表面のための潤滑剤及び栄養分として働く。
【0065】
「滑膜組織状態」とは、滑膜組織又は滑液に影響を及ぼすいずれかの疾患を意味し、且つ変形性関節症、関節リウマチ、痛風を含む任意の型の関節炎、並びに強直性脊椎炎(sondylitis)、線維筋痛、感染性関節炎、若年性特発性関節炎、紅斑性狼瘡、リウマチ性多発性筋痛、乾癬性関節炎、反応性関節炎及び強皮症を含むリウマチ性疾患を含むことができる。
【0066】
本明細書において使用されるように、「滑膜」は、滑膜組織としても知られる、円滑に動かし、且つ組織へ栄養を提供する液体を分泌する、関節を取り囲む膜である。
【0067】
本明細書において使用されるように、「他の関節組織」は、関節軟骨、靱帯、半月板、腱、腱板などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0068】
本明細書において使用されるように、「関節内」とは、2本の骨の間の関節の内側の空間部、具体的には関節包により含まれた関節の部分を指す。「関節の内側」を意味する関節内は、空間それ自身を指し得るか、あるいは体の可動関節の場合は、滑膜の内側、関節包の内層に認められる、任意の組織もしくは液体を指し得る。滑膜内部には、滑液、関節の潤滑液、並びに関節軟骨があり、これは隣接する骨の表面の間にほぼ摩擦のない滑り面又はクッションを提供する。他の関節型は、2本の骨を一緒に保持するそれらの関節内空間内の靱帯を特徴とし得る。滑膜性関節又は可動関節において、これらの組織は、関節外又は関節包の外にある。
【0069】
本明細書において使用されるように、「標的化する」とは、滑膜組織における薬物(複数可)の濃度を体の他の部分に対し増大するよう、少なくとも1種の医薬活性成分を、哺乳動物又は動物へ送達する方法を意味する。この標的化は、滑膜組織による医薬活性成分の延長及び局在化を可能にする。
【0070】
「小分割化(morselization)」は、断片又は粒子へ破壊する作用;細分(subdivision);分散化(decentralization)を意味する。これは、細切(morcellation)と同じである。小分割化は、関節、軟骨、靱帯、腱、滑液、腱板、半月板の標的化、滑膜切除術、又は炎症疾患もしくは関節痛のための関節内注射による非手術適用などに使用することができる。
【0071】
したがって、一態様において、本発明は、少なくとも1種の医薬活性成分を含有する生分解性薬物送達組成物を小分割化する方法であって:
(1)以下を含有する生分解性薬物組成物を製剤化する工程:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
mPEGy-PLAz
(式中、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、3:2~1:19である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分;
(2)患者の少なくとも1つの関節へ、該製剤化された生分解性薬物送達組成物を、それが関節の関節包内に含まれるように、投与する工程:を含む方法に関する。
【0072】
前述の小分割化する方法において、製剤化された生分解性薬物送達組成物は、投与のための注射器により取り込み且つ該関節へ注射されるか、又は製剤化された生分解性薬物送達の水性液体への曝露により固形ボーラスへ手作業で形成され且つ一つ又は複数の関節へ手作業で配置されることができる。この後者の送達システムにおいて、生分解性薬物送達組成物は、それが配置される関節の領域に従い、形作られることができる。したがって、そのサイズ及び形状は、関節の種類に応じて異なってよい。
【0073】
関節へ投与される場合、本生分解性薬物組成物は、関節の内部構造、骨の連接、体重負荷を介して、及び/又は滑液圧により力学的チャレンジにさらされ得る。この力学的チャレンジは、生分解性薬物組成物の小分割化を補助すると考えられる。この小分割化するプロセスにおいて、本生分解性薬物送達組成物は、小片へ破壊される。これらの小片は、時間をかけて更に分解され、且つますます小さい小片に破壊され得る。これらのより小さい小片は、約1センチメーターから、1ミリメーターまでの範囲であることができ、更に1ミクロンまで小さくされる。これらの小片は、時間をかけて小さく破壊され得る。
【0074】
この少なくとも1種の医薬活性成分(API)は、生分解性薬物送達組成物中に1%~85%(w%/w%)の量で存在し得る。別の態様において、少なくとも1種のAPIは、生分解性薬物組成物中に、1%~40%(w%/w%)の量で存在することができる。別の態様において、少なくとも1種のAPIは、生分解性薬物組成物中に、5%~40%(w%/w%)の量で存在することができる。別の態様において、少なくとも1種のAPIは、生分解性薬物組成物中に、5%~15%(w%/w%)の量で存在することができる。また別の態様において、少なくとも1種のAPIは、生分解性薬物組成物中に、5%~30%(w%/w%)の量で存在することができる。
【0075】
本生分解性薬物送達組成物において使用することができる少なくとも1種の医薬活性成分は、抗酸化物質、例えば没食子酸アルキル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、α-トコフェロール、アスコルビン酸、ポリフェノール、フラボノイド、β-カロテン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、リポ酸、ジチオールエチオン、オボチオール、グルタチオン、セレン、ケルセチン、メラトニン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸、モノチオグリセロール、L-システイン又はそれらの組合せを含む。
【0076】
抗感染症薬は、感染症を阻害する物質であり、抗ウイルス薬、抗真菌薬及び抗生物質を含む。
【0077】
抗ウイルス薬は、ウイルスを阻害する物質であり、ビダラビン、アシクロビル及びトリフルオロチミジンを含む。
【0078】
抗真菌薬は、真菌の成長を阻害する物質である。抗真菌薬は、アムホテリシンB、ミコナゾール、テルコナゾール、エコナゾール、イソコナゾール、チオコナゾール、ビホナゾール、クロトリマゾール、ケトコナゾール、ブタコナゾール、イトラコナゾール、オキシコナゾール、フェンチコナゾール、ナイスタチン、ナフチフィン、ジノコナゾール、シクロピロキソラミン及びフルコナゾールを含む。
【0079】
抗生物質の主なクラスは、(1)ペニシリン、セファロスポリン及びモノバクタムを含む、β-ラクタム系;(2)アミノグリコシド系、例えばゲンタマイシン、トブラマイシン、ネチルマイシン、及びアミカシン;(3)テトラサイクリン系;(4)スルホンアミド及びトリメトプリム;(5)フルオロキノロン系、例えばシプロフロキサシン、ノルフロキサシン、及びオフロキサシン;(6)バンコマイシン;(7)例えば、エリスロマイシン、アジスロマイシン、及びクラリスロマイシンを含む、マクロライド系;並びに、(8)例えば、ポリミキシン、クロラムフェニコール及びリンコサミドなどの、他の抗生物質である。
【0080】
数多くの薬物が、新生物疾患の治療に有用な化学療法薬の範疇に収まる。かかる物質は、以下を含むことができる:代謝拮抗薬、例えばメトトレキセート(葉酸誘導体)、フルオロウラシル(fluoroaucil)、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペトスタチン(ピリミジン及びプリンのアナログ又はインヒビター)など;様々な天然生成物、例えばビンクリスチン及びビンブラスチン(ビンカアルカロイド)、エトポシド及びテニポシド、様々な抗生物質、例えばマイトマイシン(miotomycin)、プリカマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン(danorubicin)、ダクトマイシン;インターフェロン-αを含む、様々な生体反応修飾因子;様々な多岐にわたる物質及びホルモンモジュレーターで、シスプラチン、ヒドロキシ尿素、ミトキサントロン(mitoxantorne)、プロカルバジン(procarbozine)、アミノグルテチミド、プレドニソン、プロゲスチン、エストロゲン、タモキシフェンなどの抗エストロゲン薬、アンドロゲン性ステロイド、フルタミドなどの抗アンドロゲン薬、ロイプロリドなどのゴナドトロピン放出ホルモンアナログ;マトリックスメタロプロテアーゼ阻害薬(MMPI)、並びにタキソール(パクリタキセル)及びタキソイド、タキシンもしくはタキサンと集合的に称される関連分子を含む抗癌剤。
【0081】
抗侵害受容作用薬は、例えば抗-NGF、オートタキシン阻害薬/LPA受容体アンタゴニスト、TRPV1アンタゴニスト、Nav1.7アンタゴニスト及びレゾルビンが挙げられる。
【0082】
NSAID、非COX-2又はCOX-2特異性は、例えばCOX-2インヒビター、mPEGS-1インヒビター、EP4-受容体アンタゴニスト、エトフェナマート、セレコキシブ、アプリコキシブ、ロフェコキシブ、ナブメトン、ベノリラート、エトリコキシブ、アンピロキシカム、アミノフェメゾン、バルデコキシブ、アセトアミノフェン(acetominophen)、ブフェキサマク、ニメスリド、パレコキシブ、メフェナム酸、デクスイブプロフェン、イブプロフェン、アスピリン、デクスケトプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フィロコキシブ、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ロキソマック(loxomac)、ルミラコキシブ、メクロフェナム酸、メロキシカム、ナプロキセン、ナプロシン、ニマロックス、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサラート、スリンダク、テノキシカム、トルフェナム酸及びそれらの混合物が挙げられる。
【0083】
DMOADは、例えばHIF2αインヒビター、補体カスケード調節因子、TGFβシグナル伝達調節因子、亜鉛トランスポーター、アグレカナーゼインヒビター及びEP4-受容体アンタゴニストなどが挙げられる。
【0084】
同化薬は、FGF-18及びOP-1などが挙げられる。
【0085】
抗異化作用薬(anti-catabolics agents)は、例えばルブリシン、TIMP-3、OP-1、MMP-13インヒビター、カテプシンK、抗-サイトカイン薬(例えば、抗IL-1β及びTNFα遮断薬)が挙げられる。
【0086】
オートファジー調節薬は、例えばmTORインヒビター及びシノメニウムが挙げられる。
【0087】
破骨細胞媒介性骨粗鬆症治療薬(anti-osteoclast-mediated bone loss agents)は、例えば、エストロゲン(oestrogens)、選択的エストロゲン受容体修飾薬(SERM)、ビスホスホネート(例えば、ゾレドロネート)、ラネル酸ストロンチウム、カルシトニン及び副甲状腺ホルモンなどが挙げられる。
【0088】
栄養補助食品は、例えば、グルコサミン及び硫酸コンドロイチンが挙げられる。
【0089】
局所麻酔薬は、例えば、ブピバカイン、メピバカイン、アルチカイン、ロピバカイン、ジブカイン、エチドカイン、テトラカイン、リドカイン、キシロカイン、並びにそれらの混合物及び/又は塩及び/又は誘導体を含む同類のものが挙げられる。
【0090】
生物製剤は、例えば、抗-NGF(タネズマブ)及びFGF18(スプリフェルミン)などが挙げられる。
【0091】
本明細書記載のように、少なくとも1種のAPIの混合物もまた、投与することができる。この混合物は、治療されるべき少なくとも1つの関節における患者の症状によって決まる。
【0092】
本明細書記載の小分割化する方法において、トリブロック及びジブロック中のポリエチレングリコール鎖は、300Da~12kDaの範囲であることができる。別の態様において、トリブロック及びジブロック中のポリエチレングリコール鎖は、5kDa~8kDaの範囲であることができる。また別の態様において、トリブロック及びジブロック中のポリエチレングリコール鎖は、1kDa~5kDaの範囲であることができる。更にまた別の態様において、トリブロック及びジブロック中のポリエチレングリコール鎖は、1kDa~2kDaの範囲であることができる。また別の態様において、トリブロック中のポリエチレングリコール鎖は、2kDAであり、及びジブロック中のそれは、1kDaである。更にまた別の態様において、トリブロック中のポリエチレングリコール鎖は、1kDaであり、及びジブロック中のそれは、2kDaである。更にまた別の態様において、トリブロック中のポリエチレングリコール鎖は、2kDaであり、及びジブロックのそれは、2kDaである。
【0093】
本明細書記載の小分割化する方法において、ポリ乳酸反復単位のエチレンオキシドに対するモル比は、トリブロックにおいて1.6~7.2、及びジブロックにおいて1.9~4.8の範囲であることができる。別の態様において、ポリ乳酸反復単位のエチレンオキシドに対するモル比は、トリブロックにおいて2.0~6.0、及びジブロックにおいて2.0~3.0の範囲であることができる。また別の態様において、ポリ乳酸反復単位のエチレンオキシドに対するモル比は、トリブロックにおいて3.0~6.5、及びジブロックにおいて2.5~4.5の範囲であることができる。
【0094】
本明細書記載の小分割化する方法において、重合度は、トリブロックにおいて72~324の範囲であることができ、及びジブロックにおける重合度は85.5~216の範囲であることができる。別の態様において、本明細書記載の小分割化する方法において、重合度は、トリブロックにおいて92~135の範囲であることができ、及びジブロックにおける重合度は91~180の範囲であることができる。また別の態様において、本明細書記載の小分割化する方法において、重合度は、トリブロックにおいて95~130の範囲であることができ、及びジブロックにおける重合度は、95~175の範囲であることができる。別の態様において、本明細書記載の小分割化する方法において、重合度は、トリブロックにおいて98~132の範囲であることができ、及びジブロックにおける重合度は、95~175の範囲であることができる。
【0095】
本明細書記載の小分割化する方法において、生分解性薬物組成物中、トリブロックは、6%~24%(wt%/wt%)の量で存在し、及びジブロックは、12%~40%(wt%/wt%)の量で存在することができる。本明細書記載の小分割化する方法において、生分解性薬物組成物中、トリブロックは、5%~30%(wt%/wt%)の量で存在し、及びジブロックは、15%~25%(wt%/wt%)の量で存在することができる。本明細書記載の小分割化する方法において、生分解性薬物組成物中、トリブロックは、10%~40%(wt%/wt%)の量で存在し、及びジブロックは、10%~20%(wt%/wt%)の量で存在することができる。本明細書記載の小分割化する方法において、生分解性薬物組成物中、トリブロックは、15%~50%(wt%/wt%)の量で存在し、及びジブロックは、5%~35%(wt%/wt%)の量で存在することができる。
【0096】
本明細書記載の小分割化する方法において、該生分解性薬物組成物の製剤化は、生体適合性の有機溶媒中で、トリブロックコポリマーを、ジブロックコポリマーと混合し、トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーの混合物を形成することを含む。次に少なくとも1種の医薬活性成分が、該トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーの混合物へ添加される。この溶媒は、蒸発除去することができる。
【0097】
患者への投与において、使用される量は、膝関節について約0.1~6ml、股関節について約0.1~6ml、足関節について約0.1~4ml、肩関節について約0.1~6ml、及び肘関節について約0.1~2mlであることができる。
【0098】
別の態様において、この少なくとも1種の医薬活性成分は、例えば、人工膝関節全又は部分置換術、人工股関節全又は部分置換術、人工足関節全又は部分置換術、関節鏡視下又は観血的関節手術、マイクロフラクチュアー、自己軟骨細胞移植術、モザイクプラスティ、創面切除及び洗浄、靱帯修復、腱修復、腱板修復、半月板手術、滑膜切除術であることができる術後適用に、又は炎症疾患もしくは関節痛のための関節内注射による非手術適用に、適用され得る。
【0099】
また別の実施態様において、少なくとも1種の医薬活性成分を含む生分解性薬物送達組成物であって:
(1)以下を含有する該生分解性薬物送達組成物の小分割化のための生分解性薬物組成物を製剤化する工程を含み:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
mPEGy-PLAz
(式中、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、3:2~1:19である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:
ここで該製剤化された生分解性薬物送達が、小分割化のために関節の関節包内に含まれる、生分解性薬物送達組成物が、説明される。
【0100】
本発明はまた、少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
Av-Bw-Ax
(式中、Aはポリエステルであり、Bはポリエチレングリコールであり、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
Cy-Az
(式中、Aはポリエステルであり、Cはエンドキャップポリエチレングリコールであり、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で3:2~1:19である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む、方法に関する。
【0101】
本トリブロック組成物中のv、w、及びxの反復単位の数は、活性成分の放出の目標時間及び活性成分自体の種類によって異なり得る。したがって、トリブロック中のv、w、及びxの反復単位の数を、8~1090、10~850、20~700、30~650の範囲として、v=x又はv≠xとすることができる。例えば、wを273としてx+vを682とし、v=xもしくはv≠xとするか、又はwを136としてx+vを273とし、v=xもしくはv≠xとするか、又はwを45.5としてx+vを546とするか、又はwを273としてx+vを136とすることができる。
【0102】
トリブロック中のPEGのサイズは、194Da~12,000Daの範囲であることができる。トリブロック及びジブロック中のPEGのサイズもまた、164Da~12kDaの範囲であることができる。
【0103】
トリブロック中のポリエステルは、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、又はポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であることができる。一実施態様において、使用されるポリエステルは、ポリ乳酸である。
【0104】
DP-PEGの重合度は、PEG分子量をEO単位分子量(44Da)で除することにより算出される。v+xは、PLAの重合度(反復単位の数)に等しい。DP-PLAは、DP-PEGにLA/EO比を乗じることにより算出される。
【0105】
次いで、トリブロックコポリマーを、式:Cy-Az(式中、Aはポリエステルであり、Cはエンドキャップポリエチレングリコールであり、y及びzは7~371又は3~327の範囲の反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマーと組み合わせる。この組合せは、3:2~1:19、又は1:3~1:9の範囲のトリブロックコポリマー対ジブロックコポリマーの比を有する。
【0106】
エンドキャップポリエチレングリコールの例としては、アルコキシキャップPEG、例えば、メトキシPEG又はエトキシPEG、ウレタンキャップPEG、エステルキャップPEG、アミンキャップPEG、及びアミドキャップPEGが挙げられる。エンドキャップPEGのこのリストは、網羅的なものではなく、当業者であれば、列記されていないさらなるエンドキャップPEGを認識しているであろう。
【0107】
しかしながら、ジブロック組成物中のy及びzの反復単位の数(重合度(DP))も異なり得る。したがって、yを、例えば、7~43又は3~45の範囲とし、zを、32~123又は7~327の範囲とすることができる。例えば、yを25としてzを123とするか、yを34.5としてzを123とするか、又はyを45としてzを32とすることができる。DP-PEGの重合度は、キャップPEGのPEG分子量をEO単位分子量(44Da)で除することにより算出される。DP-PLAは、DP-PEGにLA/EO比を乗じることにより算出される。
【0108】
ジブロック中のポリエステルは、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、又はポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であることができる。一実施態様において、使用されるポリエステルは、ポリ乳酸である。別の実施態様において、該ポリエステルは、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)である。
【0109】
LA/EO比は、生分解性薬物送達組成物中に存在する乳酸単位対エチレンオキシド単位のモル比を指す。これは、NMRにより実験的に決定される。組み合わせトリブロックコポリマーのLA/EOモル比は、0.5~3.5の範囲とすることができる。別の態様において、トリブロック中のLA/EOモル比は、本明細書に記載の生分解性薬物送達組成物中で、0.5~2.5の範囲とすることができる。また別の態様において、トリブロック中のLA/EO比は、0.5~22.3の範囲とすることができる。
【0110】
ジブロック中のLA/EO比は、2~6の範囲とすることができる。別の態様において、ジブロック中のLA/EO比は、生分解性薬物送達組成物中で、3~5の範囲とすることができる。別の態様において、ジブロック中のLA/EO比は、0.8~13の範囲とすることができる。
【0111】
重合度又はDPは、重合反応中の時間tにおける平均ポリマー鎖中の反復単位の数である。例えば、PEGの重合度を約45~170とするか、又は4~273もしくは3~45とすることができ、一方、PLAについては、重合度を約84~327の範囲とすることができるか、又は24~682もしくは7~327とすることができる。
【0112】
別の態様において、本発明は、少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
Av-Bw-Ax
(式中、Aはポリエステルであり、Bはポリエチレングリコールであり、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
Cy-Az
(式中、Aはポリエステルであり、Cはエンドキャップポリエチレングリコールであり、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で1:3~1:9である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む、方法を提供する。
【0113】
本発明は、また別の態様において、少なくとも1種の医薬活性成分の滑膜組織への標的化の方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
Av-Bw-Ax
(式中、Aはポリエステルであり、Bはポリエチレングリコールであり、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v及びxは、エステル反復単位であり、並びにwは、エチレンオキシド反復単位であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
Cy-Az
(式中、Aはポリエステルであり、Cはエンドキャップポリエチレングリコールであり、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数であり、yがエチレンオキシド反復単位の数であり、zがエステル反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性CAジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で3:2~1:19である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む、方法を提供する。
【0114】
別の態様において、本発明は、少なくとも1種の医薬活性成分の滑膜組織への標的化の方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
Av-Bw-Ax
(式中、Aはポリエステルであり、Bはポリエチレングリコールであり、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v及びxは、エステル反復単位であり、並びにwは、エチレンオキシド反復単位であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
Cy-Az
(式中、Aはポリエステルであり、Cはエンドキャップポリエチレングリコールであり、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数であり、yは、エチレンオキシド反復単位の数であり、並びにzは、エステル反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性CAジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で1:3~1:9である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む、方法を提供する。
【0115】
別の実施態様において、少なくとも1種の医薬活性成分の滑膜組織への標的化の方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
PEGy-PLAz
(式中、y及びzは、3~237又は3~371の範囲の反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、3:2~1:19であり、且つここでジブロック中のPEGは、エンドキャッピングされている);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む、方法である。
【0116】
少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
PEGy-PLAz
(式中、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、1:3~1:9であり、且つここでジブロック中のPEGは、エンドキャッピングされている);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む、方法もまた、別の本発明の態様である。
【0117】
また別の態様において、少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)全組成物の2.0%~45%(w%/w%)の量で存在する、式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)全組成物の8.0%~50%(w%/w%)の量で存在する、式:
PEGy-PLAz
(式中、y及びzは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、3:2~1:19であり、且つここでジブロック中のPEGは、エンドキャッピングされている);並びに
(c)全組成物の1%~20%(w%/w%)の量で存在する、少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む、方法が提供される。
【0118】
また別の態様において、少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
PLAv-PEGw-PLAx
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
PEGy-PLAz
(式中、y及びzは、7~371の範囲の反復単位の数である)を有するある量で存在する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、1:3~1:9であり、且つここで、ジブロック中のPEGは、エンドキャッピングされ、ここで全ポリマー含量は、全組成物の20%~50%(w%/w%)又は全組成物の30%~50%(w%/w%)の範囲である);並びに
(c)全組成物の10%~20%(w%/w%)の量で存在する、少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む、方法が提供される。
【0119】
少なくとも1種の医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法において、本発明の生分解性薬物送達組成物は、組成物中の乳酸とエチレンオキシドのモル比のトリブロックコポリマーについて0.5~3.5又は0.5~22.3、及びジブロックコポリマーについて2~6又は0.8~13を有することができる。
【0120】
医薬活性成分を滑膜組織へ標的化する方法のまた別の態様において、本発明の生分解性薬物送達組成物は、組成物中の乳酸とエチレンオキシドのモル比のトリブロックコポリマーについて0.5~2.5、及びジブロックコポリマーについて3~5を有することができる。
【0121】
一態様において、この標的化する方法における生分解性薬物送達組成物は、関節内空間へ挿入される場合に、硬化されたインプラントとなり始める注射可能な液体である。
【0122】
また別の態様において、生分解性送達薬物組成物は、これを哺乳動物又は動物の関節内空間の表面又は内部に適用することができるように、空間的製剤として標的化するために、本方法において使用することができる。例えばこれは、手術時に、関節内空間へ分注し、滑膜組織を治療することができる。
【0123】
別の態様において、この標的化する方法における生分解性薬物組成物は、ロッドインプラント又は体内に挿入することができる任意の形状の固形インプラントの形状である。
【0124】
(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性CAジブロックコポリマーの比は、標的化のための該生分解性薬物組成物において、3:2~1:19である。一実施態様において、生分解性トリブロックコポリマーと生分解性ジブロックコポリマーの比は、1:3~1:9の群から選択される。
【0125】
この標的化する方法におけるポリエステル鎖の長さは、そのポリエステル対エチレンオキシドモル比によって規定され、該モル比は、トリブロックコポリマーについては0.5~3.5又は0.5~2.5又は0.5~22.3、及びジブロックコポリマーについては3~5又は2~6又は0.8~13である。したがって例えば、ポリ乳酸が使用される場合、鎖長は、乳酸/エチレンオキシドモル比によって規定される。同様に、ポリグリコール酸が使用される場合、鎖長は、ポリグリコール酸/エチレンオキシドモル比又はポリカプロラクトン/エチレンオキシドモル比又はポリヒドロキシアルカノエート/エチレンオキシドモル比によって規定される。ポリ(乳酸-コ-グリコール)酸が使用される場合、鎖長は、LA+G/EOの比によって規定される。
【0126】
この標的化する方法におけるエンドキャップポリエチレングリコールの質量は、164Da~2kDa又は100Da~2kDaの範囲であることができる。該質量は、より小さい100~300Daの範囲又は1kDa~2kDaの範囲で変動することができる。
【0127】
この標的化する方法におけるポリエチレングリコール鎖のサイズは、生分解性薬物送達組成物中、200Da~12kDaの範囲であり、又は該サイズは、200Da~12kDaもしくは194Da~12kDAの範囲であることができる。
【0128】
この標的化する方法におけるポリマーは、該組成物の総重量の20%~50%(w%/w%)の量で存在する。別の態様において、生分解性薬物組成物中に存在するポリマーの総重量は、該組成物の総重量の30%~50%(w%/w%)である。また別の態様において、ポリマーは、生分解性薬物組成物中、該組成物の総重量の40%~50%(w%/w%)で存在する。
【0129】
したがって、トリブロックコポリマーは、この標的化する方法において、該組成物の総重量の3.0%~45%(w%/w%)の量で存在する。別の態様において、トリブロックコポリマーは、該組成物の総重量の6%~10%(w%/w%)の量で存在する。また別の態様において、トリブロックコポリマーは、該組成物の総重量の20%~40%(w%/w%)の量で存在する。
【0130】
同様に、ジブロックコポリマーは、この標的化する方法において、生分解性薬物組成物中に、該組成物の総重量の8%~50%(w%/w%)の量で存在することができる。別の態様において、ジブロックコポリマーは、該組成物の総重量の10%~20%(w%/w%)の量で存在する。また別の態様において、ジブロックコポリマーは、該組成物の総重量の20%~40%(w%/w%)の量で存在する。
【0131】
この標的化する方法において、少なくとも1種の医薬活性成分が、トリブロック:ジブロック生分解性薬物送達組成物中に封入されている。本発明で使用される代表的な薬物及び生体活性物質としては、限定するものではないが、ペプチド薬、タンパク質薬、脱感作剤、抗原、非ステロイド性抗炎症薬、抗炎症薬、麻酔薬、コルチコステロイド、鎮痛薬及び同類のものを含む、滑膜組織の病状を治療するために使用することができる任意の医薬活性成分がある。非ステロイド性抗炎症薬の例は、エトフェナマート、セレコキシブ、アプリコキシブ、ロフェコキシブ、ナブメトン、ベノリラート、エトリコキシブ、アンピロキシカム、アミノフェメゾン、バルデコキシブ、アセトアミノフェン(acetominophen)、ブフェキサマク、ニメスリド、パレコキシブ、メフェナム酸、デクスイブプロフェン、イブプロフェン、アスピリン、デクスケトプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フィロコキシブ、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ロキソマック(loxomac)、ルミラコキシブ、メクロフェナム酸、メロキシカム、ナプロキセン、ナプロシン、ニマロックス(nimalox)、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサラート、スリンダク、テノキシカム、トルフェナム酸及びそれらの混合物がある。
【0132】
したがって薬物の組合せも、滑膜組織を標的化するために、本発明の生分解性薬物送達組成物中で使用することができる。例えば、変形性関節症を治療する必要がある場合、本発明では、非ステロイド性抗炎症薬及びコルチコステロイドを一緒に投与することができる。
【0133】
動物の滑膜組織を標的化するための薬剤のような、獣医用医薬品も、本発明の一部を形成している。
【0134】
当業者にとって、水性環境で放出させることができる他の薬物又は生体活性物質は、記載された送達系で利用することができる。また、様々な形態の薬物又は生体活性物質も使用することができる。これらには、限定するものではないが、例えば、非荷電性分子、分子複合体、塩、エーテル、エステル、アミドなどの形態が含まれ、これらは、動物に注射されるか、あるいは動物の体の表面もしくは内部に適用されることができるような空間的製剤として、又はロッドインプラントとして使用されると、生物学的に活性化される。
【0135】
活性成分の医薬有効量は、活性成分、動物の病状の程度、及び活性成分の送達に必要な時間によって異なり得る。注射針から注射される許容し得る溶液粘度又は分散液粘度の上限を除き、及びそれが動物又は植物に過剰摂取させることなく病状を効果的に治療することができる上限を除き、ポリマー溶液に取り込まれる活性成分の量に決定的な上限はない。送達系に取り込まれる活性成分の下限は、単に該活性成分の活性及び治療に必要な時間の長さによって決まる。
【0136】
例えば、一部の活性成分は、生分解性薬物送達組成物中、10~200mg/gで存在し得る。別の態様において、薬物は、10~40μg/gの量で存在すべきである。小分子の場合、例えば、活性成分は、1g当たり100~200mgもの量で充填することができる。
【0137】
一般に、この標的化する方法における医薬活性成分は、該組成物の総重量の1%~20%(w%/w%)の量で存在する。別の態様において、該活性成分は、該組成物の総重量の1%~4%(w%/w%)で存在する。別の態様において、該活性成分は、該組成物の総重量の2%~4%(w%/w%)で存在する。また別の態様において、該活性成分は、小分子であり、該組成物の総重量の10%~20%(w%/w%)の量で、又は全組成物の21%~50%(w%/w%)の量で存在する。
【0138】
この標的化する方法における、本発明の生分解性薬物送達組成物において、医薬有効量を長期間にわたって徐々に放出させることができる。この徐放は、連続又は不連続、線形又は非線形であることができ、トリブロックコポリマー及びジブロックコポリマーの組成によって異なり得る。したがって、ポリエチレングリコール含量と比べたトリブロック及びジブロックコポリマーの乳酸含量、並びに生分解性薬物組成物中に存在するトリブロック及びジブロックコポリマーの量が多ければ多いほど、活性成分又は薬物の放出期間が長くなる。言い換えれば、LA/EOモル比が高ければ高いほど、そして、トリブロック及びジブロックコポリマーの重量百分率が大きければ大きいほど、該活性成分が該薬物組成物から放出されるのにかかる時間が長くなる。
【0139】
必要とされる治療の種類及び使用される生分解性薬物送達組成物に応じて、活性成分を、24時間~1年、7日~1年、又はそれより長い期間にわたって放出させることができる。一態様において、生分解性薬物送達組成物は、活性成分を、少なくとも7日間送達することができる。別の態様において、生分解性薬物送達組成物は、活性成分を、少なくとも30日間送達することができる。一態様において、生分解性薬物送達組成物は、活性成分を、少なくとも90日間送達することができる。また別の態様において、生分解性薬物送達組成物は、活性成分を、1年以上送達することができる。
【0140】
この標的化する方法における、生分解性薬物送達組成物は、室温で注射可能な液体であり、過度の力を加えなくても注射器で注射することができる。しかしながら、これらの生分解性薬物送達組成物はまた、その場で形成され、生分解性であり、動物又は植物に注射されると固形インプラント又はデポーになる。あるいは生分解性薬物組成物は、固形物として製造され、小粒子として調製され、損傷部位に振りかけられる粉末として使用される。別の態様において、該薬物送達組成物は、皮下又は体の別の区画に埋め込むことができるロッドインプラントである。別の態様において、該薬物送達組成物は、フィルムとして調製し、適用することができる。また別の態様において、生分解性送達薬物組成物は、動物の体の表面又は内部に適用することができるように、空間的製剤として使用することができる。
【0141】
本生分解性薬物送達組成物は、医薬として許容し得る担体、アジュバント、又はビヒクルをさらに含むことができる。許容し得る担体は、生理食塩水、緩衝生理食塩水などであることができる。これは、生分解性薬物送達組成物を薬物並びにジブロックコポリマー及びトリブロックコポリマーで製剤化した後に、該組成物に添加することができる。
【0142】
アジュバントは、薬物を混合するときに同時に製剤化することができる。これに関連して、使用することができるアジュバントは、ミョウバン、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、MPL(商標)、CpGモチーフ、修飾毒素、サポニン、内因性刺激アジュバント、例えばサイトカイン、フロイント完全及び不完全アジュバント、ISCOM型アジュバント、ムラミルペプチドなどである。
【0143】
ビヒクルは、必要なときに生分解性薬物送達組成物中で活性成分の送達を変化させ得る任意の希釈剤、追加の溶媒、充填剤、又は結合剤であることができる。例として、少量のトリグリセリド、例えば、トリアセチン又はトリプロピオニンが挙げられる。本方法において、本発明のこの生分解性薬物送達組成物に使用することができる量は、12%~20%(w%/w%)を変動することができる。一態様において、トリアセチンを、製剤に、17.0%(w%/w%)で添加することができる。別の態様において、トリプロピオニン(本明細書ではTriproと略記される)を16%(w%/w%)で添加することができる。
【0144】
トリブロックコポリマー又はジブロックコポリマーの可溶化のために本方法で使用することができる有機溶媒は:ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ジメチルイソソルビド(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、安息香酸エチル、乳酸エチル、グリセロールホルマール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-エチル-2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ピロリドン-2、テトラグリコール、トリアセチン、トリブチリン、トリプロピオニン(tripro)、及びこれらの混合物の群から選択される。一実施態様において、溶媒は、DMSO、tripo、NMP及びそれらの混合物である。これらの溶媒は、製剤の一部として生分解性薬物送達組成物中で維持することができるか、又は加工後蒸発除去することができる。
【0145】
この標的化する方法において、有機溶媒は、全組成物の40%~74%(w%/w%)の量で存在することができる。別の態様において、生分解性薬物送達組成物の調製に使用される有機溶媒は、全組成物の50%~60%(w%/w%)の量で存在する。また別の態様において、生分解性薬物送達組成物の調製に使用される溶媒は、全組成物の60%~70%(w%/w%)、又は全組成物の26%~90%(w%/w%)、又は全組成物の40%~79%(w%/w%))の量で存在する。
【0146】
一部のmPEG-OHには、少量のOH-PEG-OHが混入している。本発明の方法に従い、混入したmPEG-OHを用いると、最終生成物は、少量のPLA-PEG-PLAが混入したmPEG-PLAとなり、このmPEG-PLAは、本発明に包含される。
【0147】
滑膜組織状態を治療する方法であって、該方法は、本明細書に記載されている、少なくとも1つの生分解性薬物送達組成物を、そのような治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む。
【0148】
この滑膜組織状態は、変形性関節症、関節リウマチ、痛風を含む任意の型の関節炎、並びに強直性脊椎炎(sondylitis)、線維筋痛、感染性関節炎、若年性特発性関節炎、紅斑性狼瘡、リウマチ性多発性筋痛、乾癬性関節炎、反応性関節炎及び強皮症を含むリウマチ性疾患を含むことができる。
【0149】
この治療する方法は、膝関節、足関節、肘関節、上腕関節、尺骨関節、車軸(pivot)関節、球関節、蝶番関節、肩関節、肩甲骨関節、下肢関節、腓骨関節、鞍関節、手首関節、手指関節及び脛骨関節などの、全ての滑膜性関節にわたって適用される。
【0150】
本方法は、本明細書に記載されたように、人工膝関節全置換術(TKR)又は人工股関節全置換術(THR)などの術後適用、あるいは炎症疾患のための関節内注射、抗生物質による感染症の治療などの、非手術適用に適用され得る。
【0151】
別の態様において、少なくとも1種の医薬活性成分は、例えば、人工膝関節全又は部分置換術、人工股関節全又は部分置換術、人工足関節全又は部分置換術、関節鏡視下又は観血的関節手術、マイクロフラクチュアー、自己軟骨細胞移植術、モザイクプラスティ、創面切除及び洗浄、靱帯修復、腱修復、腱板修復、半月板手術、滑膜切除術であることができる術後適用に、あるいは炎症疾患もしくは関節痛のための関節内注射による非手術適用に、適用することができる。
【0152】
本発明の別の態様で、本明細書記載のように、哺乳動物又は動物における滑膜組織への少なくとも1種の医薬活性成分の標的化のための、生分解性薬物組成物の使用は、また本発明の別の態様である。
【0153】
この使用又は治療方法において、ポリエステルは、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、又はポリヒドロキシアルカノエート(PHA)であることができる。一実施態様において、使用されるポリエステルは、ポリ(乳)酸である。
【0154】
(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性CAジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で1:3~1:9である。一実施態様において、生分解性トリブロックコポリマーと生分解性CAジブロックコポリマーの比は、この使用又は方法において3:2~1:19の群から選択される。
【0155】
この使用又は方法において、ポリエステル鎖の長さは、そのポリエステル対エチレンオキシドモル比によって規定され、これは、トリブロックについては0.5~3.5又は0.5~2.5又は0.5~22.3、及びジブロックについては3~5又は2~6又は0.8~13である。
【0156】
エンドキャップポリエチレングリコールの質量は、100Da~2kDa又は164Da~2kDaの範囲であることができる。これは、この使用又は方法において、100~300Daの範囲又は1kDa~2kDaの範囲で変動することができる。
【0157】
この使用又は方法において、該ポリエチレングリコール鎖のサイズは、生分解性薬物送達組成物中、200Da~12kDaの範囲であるか、又は該サイズは、400Da~12kDaもしくは194Da~12kDaの範囲であることができる。
【0158】
本発明のいくつかの実施態様及び/又は態様を説明してきた。それでもなお、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行ない得ることは理解されるであろう。
【実施例
【0159】
(実施例)
(実施例1-ポリマー合成)
コポリマーを、若干変更を加えて、引用により本明細書中に組み込まれている米国特許第6,350,812号に記載されている方法にしたがって合成した。典型的には、必要量のPEG(トリブロックコポリマー中)又はメトキシ-PEG(ジブロックコポリマー中)を80℃で加熱し、反応容器中、真空下で30分間乾燥させた。DL-ラクチド(目標のLA/EOモル比に相当)及び乳酸亜鉛(ラクチドの量の1/1000)を添加した。反応混合物を、最初に2回の短い真空/N2サイクルによって脱水した。該反応物を、一定の窒素流(0.2バール(20kPa))下、140℃で加熱した。反応を停止した後、コポリマーを、容器から出し、固化するまで室温で静置した。得られた生成物を、その乳酸含量について、1H NMRにより特徴付けた。本明細書に記載のトリブロックポリマーは、PxRyとして表され、ここで、xは、PEG鎖のサイズをkDaで表したものであり、yはLA/EOモル比である。本明細書に記載のジブロックmPEG-PLAポリマーは、dPxRyとして表され、ここで、xは、PEG鎖のサイズをkDaで表したものであり、yはLA/EOモル比である。
【0160】
(実施例2-セレコキシブに特有の製剤の調製)
ここに記載される製剤は、薬物としてセレコキシブを含有するポリマーの有機溶液をベースとした。典型的には、規定の質量比のジブロックコポリマーとトリブロックコポリマーの混合物に対応する0.4グラムのポリマーを、0.57グラムの生体適合性溶媒に、一定の磁気撹拌下、室温で一晩溶解させた。該溶媒は、単一溶媒又は溶媒の組合せのいずれかであった。翌日、セレコキシブ20mgを該ポリマー溶液に添加し、完全に溶解するまで撹拌した。薬物が溶媒に溶解しなかった場合は、ポリマー溶液中の薬物の懸濁液が得られた。あるいは、薬物を生体適合性溶媒に溶解又は懸濁させ、その後、ポリマー(複数可)を添加した。該製剤を使用前に注射器に充填した。
【0161】
(実施例3-他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)に特有の製剤の調製)
実施例1及び2に従い、様々な製剤を、以下の医薬活性成分について調製した:エトフェナマート、セレコキシブ、アプリコキシブ、ロフェコキシブ、ナブメトン、ベノリラート、エトリコキシブ、アンピロキシカム、アミノフェメゾン、バルデコキシブ、アセトアミノフェン(acetominophen)、ブフェキサマク、ニメスリド、パレコキシブ、メフェナム酸、デクスイブプロフェン、イブプロフェン、フルルビプロフェン及びロピバカイン(ropivicaine)。
【0162】
(実施例4-注射用に調製された製剤)
実施例1及び2にしたがって、下記表1に示される様々な製剤を調製した。
【0163】
表1
【表1】
【0164】
(実施例5-ヒツジ膝の関節内空間への注射)
1時点につき3頭のヒツジに、F14からの製剤を、関節内空間に注射した。血漿、滑液及び滑膜組織の試料を、各ヒツジから、0、1、7、14、28及び42日目に採取した。セレコキシブ(CXB)の量を、LC-MSにより測定し、標的化された各位置で決定した。結果を、下記の表に示している。
【0165】
表2、3及び4は、初回試験における、血漿、滑液及び滑膜組織中で測定したCXB濃度を示している。CXBは、本試験1日目の血漿中にのみ検出された。はるかに高いレベルを、全ての動物において1日目及び7日目の滑液中において検出したが、このレベルは一過性であり、且つ14日間減少していき、28日目に検出不可能となった。滑膜組織CXBレベルは、最初の7日間極めて高く、その後これは、42日かけてCXB組織レベルがゆっくり低下したが、90日間依然存在し続けた。
【0166】
血漿中セレコキシブ濃度
【0167】
表2:血漿中CXB濃度(ng/mL)
【表2】
BQL-定量限界以下<5.00ng/mL
a -定量限界以下、概算としてのみ報告
【0168】
滑液中セレコキシブ濃度
【0169】
表3:滑液中CXB濃度(ng/mL)
【表3】
BQL-定量限界以下<10.00ng/mL
【0170】
滑膜組織中セレコキシブ濃度
【0171】
表4:滑膜組織中CXB濃度(ng/mL)
【表4】
BQL-定量限界以下<10.00ng/mL
【0172】
第二のPK試験において、3頭のヒツジを使用し、下記表に示した時点を有した。表4、5及び6は、各々、血漿、滑液及び滑膜組織中で測定したCXB濃度を示す。CXBは、本試験1日目の血漿中にのみ確実に検出された。はるかに高いレベルを、1日目の滑液において検出したが、このレベルは、14日間かけて実質的に低下した。滑膜組織CXBレベルは、本試験の14日間全てにおいて、極めて高かった。CXBは、反対側の対照膝滑膜組織において検出した。生データに関して、14.2.7.5項を参照されたい。
【0173】
血漿中セレコキシブ濃度
【0174】
表5:血漿中CXB濃度(ng/mL)
【表5】
BQL-定量限界以下<5.00ng/mL
a -定量限界以下、よって濃度は概算としてのみ報告
【0175】
滑液中セレコキシブ濃度
【0176】
表6:滑液中CXB濃度(ng/mL)
【表6】
BQL-定量限界以下<10.00ng/mL
【0177】
滑膜組織中セレコキシブ濃度
【0178】
表7:滑膜組織中CXB濃度(ng/mL)
【表7】
【0179】
結果は、定量的薬物動態プロファイルを明らかにしている、図1及び3において、F14製剤について示している。
【0180】
製剤F14の、F15及びF16との比較は、F14は、滑膜組織及び滑液への優れた標的化の結果を有するのに対し、F15及びF16はこのような標的化を有さないことを示している。
【0181】
ヒツジにおける肉眼による分布を、1日目から40日目までのヒツジにおいて得た。セレコキシブの分布が、図2に図示したように、明らかに明示された。
【0182】
F14の3ヶ月製剤は、この全時間にわたり、セレコキシブ製剤を送達した。
【0183】
(実施例6-患者の膝の関節内空間への注射)
患者Xの膝の単純X線写真を撮影し、最小閉塞経路及び滑液腔への最大アクセスを評価した。このアクセスは、上外側、正中線上方又は前中央部/前外側であることができる。膝の注射部位は、患者Xの膝関節の骨解剖学的構造を基に選択した。患者Xの場合、上外側膝の注射部位を選択した。
【0184】
患者Xは、安静を促進するために、薄いパッドサポートで、膝を完全に伸ばして、仰臥位で横たわった。注射部位には、皮膚上に印が残るよう、ペンでマークし、その皮膚をアルコール綿で清浄化した。
【0185】
医師の親指を用い、膝蓋骨を優しく安定化させながら、セレコキシブ(celecobix)を含む分解可能な薬物送達組成物の入った25G 1.5”針を、膝蓋骨の中央に向けて、膝蓋骨の上外側表面の下側に挿入し、その後わずかに後方且つ下内側へと膝関節へ向けた。その後針の内容物を、注入し、針を膝から抜いた。
【0186】
(実施例7-滑膜組織中の乳酸の定量)
(背景)
この試験は、滑膜組織中の乳酸のレベルを定量するために、行った。
【0187】
(材料)
5頭のヒツジの膝関節からの滑膜組織を、使用した。左膝関節は処置しないのに対し、右膝関節は、F14製剤0.6ml注射により処置した。この製剤は、APIとしての15%セレコキシブ、トリブロックとしての8%P2R2.2、ジブロックとしての32%dP2R2.4、及び45%DMSOを含んだ。
【0188】
7日後、インビボにおいて組織を、ヒツジから回収し、更なる分析まで、-80℃の冷凍庫内で、冷凍用バイアル中で、保存した。
【0189】
滑膜組織試料は、最初に秤量し、その組織を、50mlファルコンチューブへ移した。5M NaOHの2mlを添加し、ファルコンチューブを、消化のために、40℃で、一晩放置した。
【0190】
その後試料を、スパチュラにより、手作業で破壊し、5N HClの2mlを添加し、この試料をボルテックスにかけ、溶液を均質化した。ファルコンチューブを、4,000rpmで10分間遠心分離し、透明な上清を入手し、これをアッセイに使用した。
【0191】
乳酸定量のために、Megazyme(商標)からのL-及びD-乳酸酵素キットを使用し、このキットからの使用説明書に従った。簡単には、96-ウェルプレート中に、上清20~100μL、緩衝液50μL、NAD+(ニコチンアミド-アデニンジヌクレオチド)10μL、及びGPT(グルタミン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ)酵素2μLを添加した。その後このプレートを混合し、3分間放置し、その後L-又はD-LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)酵素のいずれか2μLを添加した。次にプレートを、再度混合し、340nmでの吸光度を、Biotek(登録商標)マイクロプレートリーダー上で測定した。
【0192】
統計解析は、Statisticaソフトウェア(v10, StatSoft社)を用いて行った。
【0193】
(結果)
各希釈物に関する乳酸濃度を、他の希釈物と比較し、データのプール可能性(poolability)を決定した。統計学的有意性は、全ての希釈因子を通じて認められず(全てのp-値>0.7)、このことは各動物について認められた全ての乳酸値のプーリング(pooling)を裏付けている。
【0194】
生理食塩水処置した膝と比較した、F14-処置した膝に関する平均乳酸濃度は、高い統計学的有意性を示した(p=0.015)(表7)。
【0195】
表8. 処置後7日目にヒツジの滑膜組織中で測定*した乳酸
【表8】
*CORG試験 #7300
+データは、平均±SDで表す、n=4
^比較は、スチューデントt-検定を用いて行う
【0196】
滑膜組織中の乳酸のレベルを図示するために、図1は、生理食塩水-処置した対照で測定した乳酸を減算した後の、各ヒツジにおいて認められた外来性乳酸のみを明らかにしている。
【0197】
(結論)
この酵素的方法を用いて滑膜組織中で測定した統計学的に有意な外来性乳酸は、ヒツジの膝へ注射したポリマー製剤は、小分割化され且つ滑膜組織へ標的化され、そこに注射後7日目には存在し続けたことを、強固に示唆している。
【0198】
(実施例8-様々な組成物の製剤)
次に様々な組成物を、下記表9に示したように製剤化した。
【0199】
【表9】
【0200】
(実施例9-様々な生分解性薬物送達組成物による小分割化の確認)
様々な組成物が、小分割化され且つ滑膜組織へ標的化されたことを確認するために、様々な特徴及びAPIを有する8種の異なる製剤を、先の実施例1及び2と同様に調製した。製剤において使用した組成、トリブロック及びジブロックの詳細は、先の表9並びに以下の表10及び11に提示している。トリブロックのポリエチレングリコール及びジブロックのエンドキャップポリエチレングリコールの質量は、1~2kDaの範囲であった。乳酸のエチレンオキシドに対するモル比は、トリブロックポリマーについて2~6、及びジブロックポリマーについて2.4~4の範囲であった。トリブロック及びジブロックの両方について、この比の範囲は、ポリエステル鎖の長さは、重合度に関して90~182の、又はモル質量に関して6545g/mol~13091g/molの範囲であることを意味する。
【0201】
調製後、これらの製剤は濾過滅菌した。その後各製剤を、成体ヒツジの膝に関節内注射し、ここで各ヒツジは、両側に注射された1種の製剤を受け取った。
【0202】
表10-製剤のトリブロックの説明
【表10】
【0203】
表11-製剤のジブロックの説明
【表11】
【0204】
他の製剤の小分割化及び滑膜組織の標的化を確認するために、表9に示した製剤を使用し、製剤を実施例1及び2のように調製した。調製後、製剤は全て濾過滅菌した。合計6頭のヒツジを使用し、12の膝に両側で注射を行った。ヒツジ処置群は、下記表12に示している。
【0205】
【表12】


【0206】
7日目に屠殺した後、膝を外科的に開放し、肉眼で観察し、粒子サイズ及び配置を定性的に試験することにより、各製剤の小分割化挙動を決定した。小分割化又はそれらの欠如は、写真撮影し、製剤内の、組成物を、D&C GREEN #6色素の助けを借り、可視的に青色とした。
【0207】
結果は、下記表13にまとめている。
【0208】
表13
【表13】
【0209】
(結論)
トリブロック(F392)又はジブロック(F396)が2kDa PEGから構成された場合に、小分割化が認められた。それらのトリブロック及びジブロックの両方における2kDa PEGを含む製剤は、それらのPLA鎖の長さとは関わりなく(F390, F14)、小分割化を示すデポーにつながった。
【0210】
異なるAPI(例えば、セレコキシブ、ジクロフェナク又はブピバカイン)は、同様の小分割化及び関節の全体にわたる分布を生じることが示された。ジクロフェナク及びブピバカイン-ベースの製剤は、セレコキシブ-ベースの製剤よりもより早く、小分割化及び分布され、これは恐らくこれらのAPIで認められた、より低い製剤の粘性のためであろう。
【0211】
(実施例10-セレコキシブに特有の製剤の調製)
本明細書に記載した製剤は、薬物セレコキシブを含有するポリマーの有機溶液をベースにした。典型的には、規定された質量比のジブロックコポリマー及びトリブロックコポリマーの混合物に対応するポリマー0.4グラムを、生体適合性溶媒(例えばDMSO)0.4グラム中に、一定に磁気攪拌しながら、室温で一晩溶解した。この溶媒は、単独の溶媒又は溶媒の組合せのいずれかであった。翌日、セレコキシブ0.02グラムを、このポリマー溶液に添加し、完全に溶解するまで撹拌した。薬物が溶媒中に溶けない場合は、ポリマー溶液中の薬物の懸濁液を得た。あるいは、薬物は、生体適合性溶媒中に溶解又は懸濁させ、引き続きポリマー(複数可)を添加した。これらの製剤は、使用前に注射器に充填した。
【0212】
本発明は、様々な好ましい実施態様に関して記載されているが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正、置換、省略、及び変更を行ない得ることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、その等価物を含む、特許請求の範囲の範囲によって限定されることが意図される。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
少なくとも1種の医薬活性成分を含有する生分解性薬物送達組成物を小分割化する方法であって:
(1)以下を含有する生分解性薬物組成物を製剤化する工程:
(a)式:
PLA v -PEG w -PLA x
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
mPEG y -PLA z
(式中、yは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、3:2~1:19である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分;
(2)患者の少なくとも1つの関節へ、該製剤化された生分解性薬物送達組成物を、それが関節の関節包内に含まれるように、投与する工程:を含む、前記方法。
(構成2)
前記生分解性薬物送達組成物の該製剤が、投与のために注射器により取り込まれ且つ該関節へ注射されるか、又は製剤の水性液体への曝露により固形ボーラスへ手作業で形成され且つ関節へ手作業で配置される、構成1記載の小分割化する方法。
(構成3)
前記生分解性薬物送達組成物の該製剤が、力学的チャレンジに供される、構成1又は2記載の小分割化する方法。
(構成4)
前記力学的チャレンジが、関節の内部構造、骨の連接、体重負荷により、及び/又は滑膜組織圧により得られる、構成3記載の小分割化する方法。
(構成5)
前記生分解性薬物送達組成物の製剤が、小片へ破壊される、構成1~4のいずれか一項記載の小分割化する方法。
(構成6)
前記少なくとも1種の医薬活性成分が、該製剤中に1%~85%(w%/w%)の量で存在する、構成1~5のいずれか一項記載の小分割化する方法。
(構成7)
前記トリブロック及びジブロック中のポリエチレングリコール鎖が、300Da~12kDaの範囲である、構成1~6のいずれか一項記載の小分割化する方法。
(構成8)
前記トリブロック及びジブロック中のポリエチレングリコール鎖が、2kDaである、構成7記載の小分割化する方法。
(構成9)
前記ポリ乳酸反復単位対エチレンオキシドのモル比が、前記トリブロックにおいて1.6~7.2であり、前記ジブロックにおいては1.9~4.8である、構成1~8のいずれか一項記載の小分割化する方法。
(構成10)
前記トリブロック中の重合度が、72~324であり、前記ジブロック中の重合度が、85.5~216である、構成1~9のいずれか一項記載の小分割化する方法。
(構成11)
前記トリブロックが、6%~24%(wt%/wt%)の量で存在し、且つ前記ジブロックが、12%~40%(wt%/wt%)の量で存在する、構成1~10のいずれか一項記載の小分割化する方法。
(構成12)
前記生分解性薬物組成物の製剤が、トリブロックコポリマーを生体適合性の有機溶媒中でジブロックコポリマーと混合し、トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーの混合物を形成することを含む、構成1~11のいずれか一項記載の小分割化する方法。
(構成13)
前記トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーの混合物へ、少なくとも1種の医薬活性成分を添加することを更に含む、構成12記載の小分割化する方法。
(構成14)
前記溶媒が、蒸発除去される、構成12又は13記載の小分割化する方法。
(構成15)
前記トリブロックコポリマーとジブロックコポリマーの混合物が、水性液体へ更に曝露され、固形ボーラスを形成する、構成13記載の小分割化する方法。
(構成16)
前記小片が、ますます小さい小片に破壊される、構成1~5のいずれか一項記載の小分割化する方法。
(構成17)
前記少なくとも1種の医薬活性成分が、人工膝関節全置換術(TKR)、人工股関節全置換術(THR)、関節手術、関節鏡視下の関節手術、観血的関節手術である、術後適用、又は炎症疾患のための関節内注射などの非手術適用、モザイクプラスティ、マイクロフラクチュアー、自己軟骨細胞移植術、骨関節移植システム、靱帯及び腱修復、半月板修復もしくは単顆型人工膝関節置換術などに適用され得る、構成1~16のいずれか一項記載の方法。
(構成18)
前記少なくとも1種の医薬活性成分が、人工膝関節全又は部分置換術、人工股関節全又は部分置換術、人工足関節全又は部分置換術、関節鏡視下又は観血的関節手術、マイクロフラクチュアー、自己軟骨細胞移植術、モザイクプラスティ、創面切除及び洗浄、靱帯修復、腱修復、腱板修復、半月板手術、滑膜切除術である、術後適用、又は炎症疾患もしくは関節痛のための関節内注射による、非手術適用に適用され得る、構成1~17のいずれか一項記載の方法。
(構成19)
前述の患者への該投与が、膝関節について0.1~6ml、股関節について0.1~6ml、足関節について0.1~4ml、肩関節について0.1~6ml、及び肘関節について0.1~2mlである、構成1~18のいずれか一項記載の小分割化する方法。
(構成20)
少なくとも1種の医薬活性成分を含有する生分解性薬物送達組成物であって:
(1)以下を含有する生分解性薬物組成物を製剤化する工程を含み:
(a)式:
PLA v -PEG w -PLA x
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
mPEG y -PLA z
(式中、yは、yが3~45の範囲であり、並びにzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、3:2~1:19である);並びに
(c)該生分解性薬物送達組成物の小分割化のための、少なくとも1種の医薬活性成分:
ここで該製剤化された生分解性薬物送達が、小分割化のために関節の関節包内に含まれる、前記生分解性薬物送達組成物。
(構成21)
少なくとも1種の医薬活性成分を少なくとも1つの関節へ標的化する方法であって、該方法が、以下を含有する生分解性薬物送達組成物:
(a)式:
PLA v -PEG w -PLA x
(式中、v及びxは、24~682の範囲の反復単位の数であり、並びにwは、4~273の範囲の反復単位の数であり、v=x又はv≠xである)を有する生分解性トリブロックコポリマー;
(b)式:
mPEG y -PLA z
(式中、y及びzは、yが3~45の範囲であり、及びzが7~327の範囲である、反復単位の数である)を有する生分解性ジブロックコポリマー(ここで、(a)の生分解性トリブロックコポリマーと(b)の生分解性ジブロックコポリマーの比は、該生分解性薬物組成物中で、3:2~1:19である);並びに
(c)少なくとも1種の医薬活性成分:を、かかる治療を必要とする哺乳動物又は動物へ投与することを含む、前記方法。
(構成22)
前記トリブロックコポリマーにおいて、v及びxは、エステル反復単位、及びエチレンオキシド反復単位であり、並びに該ジブロックコポリマーにおいて、yは、エチレンオキシド反復単位の数であり、及びzは、エステル反復単位の数である、構成21記載の方法。
(構成23)
前記トリブロックコポリマーが、全組成物の2.0%~45%(w%/w%)の量で存在し、且つジブロックコポリマーが、全組成物の8.0%~50%(w%/w%)の量で存在する、構成21~22のいずれか一項記載の方法。
(構成24)
前記活性成分が、全組成物の1%~20%(w%/w%)の量で存在する、構成21~23のいずれか一項記載の方法。
(構成25)
前記総ポリマー含量が、全組成物の20%~50%(w%/w%)の範囲であり、並びに少なくとも1種の医薬活性成分が、全組成物の10%~20%(w%/w%)の量で存在する、構成21~24のいずれか一項記載の方法。
(構成26)
前記組成物が、少なくとも1つの関節へ注射することができる液体であるか、又は少なくとも1つの関節に注射することができる小型固形粒子であるか、もしくはロッドインプラントもしくは空間的製剤である、構成21~25のいずれか一項記載の方法。
(構成27)
前記ポリエチレングリコール鎖のサイズが、200Da~12kDa又は194Da~12kDaの範囲であり、及び該エンドキャップポリエチレングリコール鎖のサイズが、100Da~2kDa又は164Da~2kDaの範囲である、構成21~26のいずれか一項記載の方法。
(構成28)
医薬として許容し得るビヒクルを更に含有する、構成21~27のいずれか一項記載の方法。
(構成29)
前記組成物中のポリエステル反復単位のエチレンオキシドに対するモル比が、トリブロックにおいて0.5~3.5又は0.5~22.3、及びジブロックにおいて、2~6又は0.8~13である、構成21~28のいずれか一項記載の方法。
(構成30)
前記組成物中の乳酸のエチレンオキシドに対するモル比が、トリブロックコポリマーについて、0.5~22.3、及びジブロックコポリマーについて0.8~13である、生分解性薬物送達組成物を使用する滑膜組織への少なくとも1種の医薬活性成分の標的化の方法。
(構成31)
前記滑膜性関節が、膝関節、足関節、肘関節、上腕関節、尺骨関節、車軸関節、球関節、蝶番関節、肩関節、肩甲骨関節、下肢関節、腓骨関節、鞍関節、手首関節、手指関節及び脛骨関節である、構成21~30のいずれか一項記載の方法。
(構成32)
前記医薬活性成分が、人工膝関節全置換術(TKR)、人工股関節全置換術(THR)、関節手術、関節鏡視下の関節手術、観血的関節手術である、術後適用、又は炎症疾患のための関節内注射などの非手術適用、モザイクプラスティ、マイクロフラクチュアー、自己軟骨細胞移植術、骨関節移植システム、靱帯及び腱修復、半月板修復もしくは単顆型人工膝関節置換術、人工膝関節全又は部分置換術、人工股関節全又は部分置換術、人工足関節全又は部分置換術、関節鏡視下又は観血的関節手術、創面切除及び洗浄、腱板修復、滑膜切除術、又は炎症疾患もしくは関節痛のための関節内注射による非手術適用に適用され得る、構成20~31のいずれか一項記載の方法。
(構成33)
前記少なくとも1種の医薬活性成分が、ペプチド薬、タンパク質薬、脱感作剤、抗原、非ステロイド性抗炎症薬、抗炎症薬、麻酔薬、抗酸化物質、抗感染症薬、化学療法薬、抗侵害受容作用薬、DMOAD、同化薬、抗異化作用薬、オートファジー調節薬、破骨細胞媒介性骨粗鬆症治療薬、栄養補助食品、鎮痛薬、生物製剤、及びそれらの混合物である、構成21~32のいずれか一項記載の方法。
(構成34)
前記非ステロイド性抗炎症薬が、エトフェナマート、セレコキシブ、アプリコキシブ、ロフェコキシブ、ナブメトン、ベノリラート、エトリコキシブ、アンピロキシカム、アミノフェメゾン、バルデコキシブ、アセトアミノフェン(acetominophen)、ブフェキサマク、ニメスリド、パレコキシブ、メフェナム酸、デクスイブプロフェン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、アスピリン、デクスケトプロフェン(dexdetoprofen)、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フィロコキシブ、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ロキソマック、ルミラコキシブ、メクロフェナム酸、メロキシカム、ナプロキセン、ナプロシン、ニマロックス、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサラート、スリンダク、テノキシカム、トルフェナム酸、ロピバカイン(ropivicaine)及びそれらの混合物である、構成33記載の方法。
図1
図2
図3
図4