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▶ ヴィシャイ セミコンダクター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】光電子装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/12 20060101AFI20220308BHJP
   H01R 12/77 20110101ALI20220308BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H01L31/12 E
H01R12/77
H01L23/50 K
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018562717
(86)(22)【出願日】2017-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2017054075
(87)【国際公開番号】W WO2017144538
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-01-16
(31)【優先権主張番号】102016103136.4
(32)【優先日】2016-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399011911
【氏名又は名称】ヴィシャイ セミコンダクター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Vishay Semiconductor GmbH
【住所又は居所原語表記】Theresienstr.2 D-74025 Heilbronn B.R.Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ブルガー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】クーン,サッシャ
(72)【発明者】
【氏名】ミューレック,ペーター
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-248742(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0252848(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0297831(US,A1)
【文献】特開平08-130325(JP,A)
【文献】特開2003-179252(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0241039(US,A1)
【文献】特開2011-233892(JP,A)
【文献】特開2006-173359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/20
H01L 33/00-33/64
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の長さおよび横方向の幅を有する支持装置(12)を備えた光電子装置(10)であって、
前記支持装置(12)は、前記長手方向に平行に配列された複数の導電性接触トラック(92)を備え、
前記支持装置(12)は、その上側に、前記横方向に平行に配列された複数の接触チャンバ(38)を備え、
前記複数の接触トラック(92)の各々は、前記支持装置(12)の上側において前記長手方向に前記複数の接触チャンバ(38)全てを通して延在するとともに、前記各接触チャンバ(38)内において少なくとも一つの光電子トランスミッタ(40)および/または少なくとも一つの光電子レシーバ(42)と電気的に接触可能に配置され
少なくとも2つの互いに隣接する前記接触チャンバ(38)は、それぞれ、前記長手方向に沿った寸法と、前記長手方向に沿った寸法よりも大きい、前記横方向に沿った寸法と、を有しており、
それ以外の、少なくとも1つの前記接触チャンバ(38)は、前記少なくとも2つの互いに隣接する前記接触チャンバ(38)の各々の前記長手方向に沿った寸法よりも大きい、前記長手方向に沿った第2の寸法を有する、光電子装置(10)。
【請求項2】
前記支持装置(12)が、3個、4個、5個または6個の前記接触トラック(92)を有し、かつ/または、
前記支持装置(12)が、3個、4個、5個または6個の前記接触チャンバ(38)を有することを特徴とする請求項1に記載の光電子装置(10)。
【請求項3】
前記接触トラック(92)の数が、前記接触チャンバ(38)の数に対応する、またはせいぜい1つだけ異なることを特徴とする請求項1または2に記載の光電子装置(10)。
【請求項4】
前記接触チャンバ(38)が、前記横方向に平行に延在する分割ウェブ(104)により互いに分離されることを特徴とする請求項1~3のうち少なくとも一項に記載の光電子装置(10)。
【請求項5】
前記支持装置(12)は、プラスチックのフレームセクション(102)によって部分的に囲まれたセグメント化された金属のリードストリップ(93)を備えた、オーバーモールドされたリードフレームを有し、前記フレームセクションが、前記リードストリップ(93)の上側に前記複数の接触チャンバ(38)を画定することを特徴とする請求項1~4のうち少なくとも一項に記載の光電子装置(10)。
【請求項6】
前記リードストリップ(93)が、接触トラック(92)用の少なくとも一つの電気コネクタ(46,98)を形成することを特徴とする請求項5に記載の光電子装置(10)。
【請求項7】
前記少なくとも一つの電気コネクタ(46)が、弾性の接触舌部を形成することを特徴とする請求項6に記載の光電子装置(10)。
【請求項8】
前記リードストリップ(93)が、複数の電気コネクタ(46,98)を形成することを特徴とする請求項6または7に記載の光電子装置(10)。
【請求項9】
前記複数の電気コネクタ(46)が、共に、電気プラグイン式コネクタ用の接触領域を形成することを特徴とする請求項8に記載の光電子装置(10)。
【請求項10】
前記複数の電気コネクタ(46)のうち少なくとも一つが、複数の前記接触トラック(92)から電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項8または9に記載の光電子装置(10)。
【請求項11】
前記複数の電気コネクタ(46)のうち少なくとも一つが、複数の前記接触トラック(92)のうちの一つと一体化されていることを特徴とする請求項8~10のうち少なくとも一項に記載の光電子装置(10)。
【請求項12】
前記複数の接触トラック(92)における取り付け用接触トラック(92’)が、前記複数の接触トラック(92)におけるその他の接触トラックに比べて幅が広いことを特徴とする請求項1~11のうち少なくとも一項に記載の光電子装置(10)。
【請求項13】
前記取り付け用接触トラック(92’)が、特定用途向け集積回路(44)を収容するための拡大領域(96)を有することを特徴とする請求項12に記載の光電子装置(10)。
【請求項14】
前記支持装置(12)の下側が、前記複数の接触トラック(92)の各々が電気接触用に露出した少なくとも一つの接触領域(106)を備えることを特徴とする請求項1~13のうち少なくとも一項に記載の光電子装置(10)。
【請求項15】
前記光電子装置(10)が、レンズ要素(16)および保持装置をさらに備え、前記レンズ要素(16)が、前記支持装置(12)の上に設けられるとともに、前記少なくとも一つの光電子トランスミッタ(40)および/または前記少なくとも一つの光電子レシーバ(42)用の少なくとも一つのレンズセクション(68)を有し、前記保持装置が、前記支持装置(12)および前記レンズ要素(16)を互いに関して保持することを特徴とする請求項1~14のうち少なくとも一項に記載の光電子装置(10)。
【請求項16】
前記光電子装置(10)が、前記支持装置(12)の上に設けられるとともに前記少なくとも一つの光電子トランスミッタ(40)および/または前記少なくとも一つの光電子レシーバ(42)用の少なくとも一つの開口部(52)を有する、少なくとも一つの開口要素(14,20)をさらに備えることを特徴とする請求項1~15のうち少なくとも一項に記載の光電子装置(10)。
【請求項17】
前記支持装置(12)が、前記複数の接触チャンバ(38)全てを通して延在する少なくとも4個の前記接触トラック(92)を有することを特徴とする請求項1に記載の光電子装置(10)。
【請求項18】
前記保持装置が、上部(20)および下部(18)の2つの部品に分かれており、前記支持装置(12)および前記レンズ要素(16)が、前記保持装置の前記下部(18)と前記上部(20)との間に保持されることを特徴とする請求項15に記載の光電子装置(10)。
【請求項19】
請求項1~18のうちいずれか一項に記載の複数の光電子装置(10)を有するシステムであって、
前記複数の光電子装置(10)のうち少なくとも一部の接触チャンバ(38)が、少なくとも一つの光電子トランスミッタ(40)および/または少なくとも一つの光電子レシーバ(42)を、それぞれ異なる配置で搭載した、システム。
【請求項20】
前記複数の光電子装置(10)の各々が、支持装置(12)の上に設けられるとともに前記少なくとも一つの光電子トランスミッタ(40)および/または前記少なくとも一つの光電子レシーバ(42)用の少なくとも一つのレンズセクション(68)を有する、レンズ要素(16)を有し、前記複数の光電子装置(10)のうち少なくとも一部の前記レンズ要素(16)が、それらの形状に関して、前記複数の光電子装置(10)におけるその他の装置の前記レンズ要素(16)と異なることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持装置を有する光電子装置に関する。支持装置は、本発明の装置の動作に要求される電子部品または電子ユニット、特に光電子トランスミッタおよび/またはレシーバを収容し、それらと電気的に接触するように提供される。
【背景技術】
【0002】
光電子トランスミッタおよび/または光電子レシーバ用の少なくとも一つのレンズセクションを有するレンズ要素が支持装置の上、すなわち、光電子トランスミッタおよび/またはレシーバの垂直方向に関して上に設けられる。このため、各レンズセクションは、ビーム形および/またはビーム偏向特性を有する。
【0003】
こうした光電子装置は、特に物体の特性を光学的にスキャンし、かつ電気的に検出することが可能となるように光電子センサ装置として構成される。こうしたセンサ装置の用途は市販のプリンタ装置、すなわち周知のプリント技術、例えばレーザプリント技術やインクジェットプリント技術を用いた用紙のコンピュータ援用プリント用の装置の分野にある。できる限り全自動で、できる限りユーザフレンドリーなプリンタ(またはプリンタを備えた多機能装置)の動作を可能にするように、プリンタの収容トレイ内に配置される用紙の量や種類、供給される用紙フォーマット、用紙の端の相対的な位置などの、プリンタの異なる動作パラメータが必要に応じて決定、監視される。例えば、スキャンされる用紙の内容の種類(画像対テキスト)やプリント結果に関する正確な構成(例えば、プリンタのプリントユニットの機械的調整)をチェックするように、各プリント結果やスキャンされる用紙の自動的な分析がさらに必要とされる。
【0004】
個々に適用された光電子装置は、一般的に、測定される各動作パラメータ用に設けられており、放射した光信号と、検出したすなわち反射された光信号とを比較して、それらの光信号の差から各動作パラメータを測定することができるように構成される。光信号は、概して可視光線、または不可視光線、特に赤外線の電磁放射である。この装置は多くの場合、光電子トランスミッタと(少なくとも)一つの光電子レシーバとを備える。したがってこの装置は、例えば近接センサとして機能しうる。一方、光電子装置が、光電子トランスミッタのみを有する、または(受動検知用の)光電子レシーバのみを有する変形体も可能である。さらに複数のトランスミッタおよびレシーバを有する装置も可能であり、例えば、(拡散反射および反射率の高い反射を区別することにより)複数の動作パラメータを特に同時に測定することが可能である。
【0005】
測定される多数の動作パラメータに起因して、対応する様々な光電子装置が必要となり、それにより製造や保管に望ましくない費用努力を伴う。さらに、各動作パラメータを測定するための光電子装置は、各動作パラメータに基づいて大きく異なる特定の支持装置を有する必要があり、その点において高い開発努力を必要とする。支持装置は、例えば光電子コンポーネントに適用される必要がある。したがって、支持装置の幾何学的設計およびその接触面の分割は、例えば、支持装置の上に配置されたレンズ要素に関する各コンポーネントのそれぞれ要求される位置に基づいて行われる必要がある。設置されるコンポーネントだけでなく、特にそれらのコンポーネントの数はしばしば大きく異なり、支持装置に関する適合の労力をさらに増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、個々の用途に適用される光電子装置を製造することができるように、異なる光電子コンポーネントを単純かつ様々に搭載することが可能であるが、そのために変更する必要の無い、支持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する光電子装置、特に、長手方向範囲および横方向範囲を有する支持装置であって、長手方向範囲に平行に配列された複数の導電性接触トラックを有するとともに、その上側に、横方向範囲に平行に配列された複数の接触チャンバを有する支持装置を備えた光電子装置によって充足される。接触トラックの各々は、接触チャンバの各々において電気的に接触可能であり、少なくとも一つ光電子トランスミッタおよび/または少なくとも一つの光電子レシーバを、各接触チャンバ内に様々な取り付けによって実装することができる。
【0008】
光電子装置の支持装置が、複数の導電性接触トラックに分割されるとともに複数の接触チャンバに相互に異なる方向に分割されて、支持装置が、個々に光電子コンポーネントまたはユニットを搭載し、かつ、光電子コンポーネントを個々に電気的に接触させることができる。接触トラックは互いに分離しており、したがって、支持装置の横方向に沿って互いに電気的に絶縁されている。接触トラックの各々は、接触チャンバの各々において少なくとも部分的に露出しており、それ以外であれば、電気的接触が可能となるようにアクセス可能である。
【0009】
複数の接触チャンバに分割することにより、光電子コンポーネントを光学的に隔離して光学的漏話を防止する。接触チャンバは、支持装置の長手方向範囲に沿って互いに分割すなわち線引きされており、好ましくはその周縁が画定されるがその上側は開放される。接触チャンバの各々は、支持装置の少なくとも機能的に均一な取付け領域を示しており、支持装置は、特に互いに独立して動作する複数の光電子コンポーネントを単純かつ柔軟に搭載することができる。指定された複数の接触トラックの各々が、指定された複数の接触チャンバの各々において電気的に接触可能であることは、本発明の特定の利点である。それにより取付けの柔軟性は特に高い。一方、各接触チャンバに取り付けられるコンポーネントは、一つまたは複数の接触トラックに局所的に柔軟に接続され、このため特に隣接する接触チャンバ間の長い距離をブリッジングする必要はない。原則的にコンポーネントは各接触チャンバ内に等しく簡単に取り付けることができるため、取り付けられるコンポーネントの位置はさらに柔軟に選択される。従って支持装置は、ほぼ所望の実装配置に適しており、全般的に使用することができる。この点に関し所望の搭載技術への適用は必ずしも必要ではない。したがって光電子装置を個々の様々な用途に適合するように同じ支持装置を使用することができる。
【0010】
本発明の文脈では、光電子コンポーネント又は光電子ユニットは特に光電子トランスミッタおよび/または光電子レシーバとして理解される。
【0011】
接触チャンバの数は、光電子装置に提供される使用状況に適合されうる。特に同じ種類の複数の接触チャンバが、好ましくは光電子装置の長手方向に互いに前後に配置される。一方、個々の接触チャンバまたは複数の接触チャンバを異なるように形成してもよい。例えば、複数のまたは大型の電子コンポーネントを拡大された接触チャンバに取り付けるように一つの接触チャンバがその他のチャンバより大きくてもよい。
【0012】
支持装置は、例えば、3個、4個、5個または6個の接触トラックを有する。従って、支持装置は、例えば、3個、4個、5個または6個の接触チャンバを有する。特定の使用状況では、支持装置当たり6個を上回る接触チャンバおよび/または接触トラックも可能である。この点に関し、接触トラックの数は接触チャンバの数に一致してもよく、せいぜい1個またはせいぜい2個だけ異なっても良い。これにより支持装置は、特に様々にすなわち柔軟に実装が可能であるため、接触トラックの数に対応する複数の接触チャンバが概ね有利である。例えば質量接触部として、あるいは各光学的コンポーネントの平行連結により、異なる接触チャンバ内で複数の光学的コンポーネントを接触させるのに同じ接触トラックが用いられる場合、一方では異なる数の接触トラックが、他方では異なる数の接触チャンバが合理的である。光電子コンポーネントでない電子コンポーネント用に接触トラックが必要であり、したがって、その電子コンポーネントが光電子コンポーネントの一つとして同じ接触チャンバ内に取り付けられうる場合、一方では異なる数の接触トラックが、他方では異なる数の接触チャンバが特に合理的である。
【0013】
接触チャンバは好ましくは互いに光学的に分離されており、各接触チャンバ内に取り付けられた光電子コンポーネントは、隣接する接触チャンバ内に取り付けられたコンポーネントとは無関係に少なくとも光学的に動作される。特に接触チャンバは、光電子装置の横方向範囲と平行に延在する分割ウェブによって互いに分離される。従って分割ウェブは隔壁とも称される。分割ウェブは、導電性接触トラックの範囲の平面に関して隆起部分を形成する。分割ウェブは、光不透過性材料から形成され、または光不透過性コーティングによって少なくとも部分的に被覆される。分割ウェブは、例えばプラスチックおよび/または射出成形により形成されうる。これにより隣り合うチャンバ間の光学的漏話が効果的に抑制される。
【0014】
接触チャンバは、キャスティング材料、特にエポキシ樹脂、シリコーンなどで充填される。これにより光学的屈折率が変更または適合され、分光フィルタリングが行われ、および/または各接触チャンバ内に設けられた光電子コンポーネントが環境の影響から保護される。異なる接触チャンバをキャスティング材料により異なる方式で充填してもよく、または充填しなくてもよい。
【0015】
一実施例によれば、支持装置はオーバーモールドされたリードフレームを有する。このようなリードフレームはまた「予成形(pre-molded)されたリードフレーム」とも称する。オーバーモールドされたリードフレームは、セグメント化された(すなわち、部分的に分断された)少なくとも部分的に導電性の金属のリードストリップを備える。このリードストリップは、セグメント化された、すなわち(特にプラスチックでオーバーモールドする前に)スタンピング処理により凹部が設けられた、プレス加工(stamped)部品またはプレス加工された屈曲部品であってもよい。これにより特に指定の接触トラックおよび/または追加の要素を備えた複数の分離部分が単一のリードストリップから形成され、それらの分離部分を共通の面内に配置することが可能であり、または互いに関してオフセットされた複数の範囲の面内に配置することが可能である。リードストリップの相互に分離された部分またはそれらの部分に取り付けられた電子コンポーネントを、例えば結合線によって互いに電気的に接続することができる。
【0016】
金属のリードストリップをプラスチックのフレームセクションによって部分的に包囲してもよく、フレームセクションは、複数の接触チャンバをそのリードストリップの上側に画定する。フレームセクションは指定の分離ウェブを備え、それらと同様に、光不透過性材料から形成され、または光不透過層によって少なくとも部分的に被覆される。フレームセクションはリードストリップの上側をその周縁部で部分的にまたは完全に包囲する外枠をさらに形成する。
【0017】
金属の導体ストリップは、光電子装置の外側から各接触トラックまたはそのトラックに電気的に接続されたコンポーネントに電気的に接触できるように、各接触トラック用の少なくとも一つの電気コネクタを形成することができる。電気コネクタは特にリードストリップのセグメント化された部分によって形成される。少なくとも一つの電気コネクタが、好ましくは各接触トラックに設けられる。複数の異なるように形成された、および/または相互に離間された電気コネクタが特に設けられる。接触トラックとしてだけでなく、電気コネクタとしてのリードフレーム部品の使用は、特にプリント回路基板(PCB)またはセラミック基体に準拠した支持装置と比較して、特に単純かつ小型の設計利点を有する。
【0018】
各電気コネクタは、弾性の接触舌部を形成して、接触舌部と協働するとともに外部から光電子装置に接続される電気的プラグイン式コネクタの信頼性の高い接触を保証する。接触舌部はアーチ形でもよい。この点に関し接触舌部は好ましくは支持装置の長手方向範囲と平行に配列される。各接触舌部は、特に支持装置の矩形の基本形状の短辺から離れる方向に延在する。電気コネクタの短辺における配置は、外側形状をできるたけ細くするという意味において支持装置および光電子装置を小型に形成するのに有利である。
【0019】
リードストリップ、特に金属コネクタまたはそのコーティングに用いられる金属は、ニッケル-パラジウム合金を備えうる。一方、このことは、接触チャンバに取り付けられる光電子コンポーネントを(従来の接合処理を用いることにより)リードストリップの接触トラックに簡単に電気的に接続することができるという利点を有する。特に指定の接触能力が、関連するプラグイン式コネクタによって簡単に保証され、かつ電気コネクタの破壊感受性が最小となるように、ニッケル-パラジウム合金を使用することにより、特に電気コネクタが接触舌部として形成されたときに、電気コネクタは理想的な可撓性を有する。各電気コネクタまたは接触トラックは、各接触トラックの信頼性を損なうことなく、さらに複数回接触/分離(decontacted)させることができる。
【0020】
当然のことながら、導体ストリップは複数の電気コネクタを形成し、複数のコネクタを同様にまたは異なるように形成することができる。特に説明したような複数の電気的接続舌部が設けられうる。
【0021】
一実施例によれば、リードストリップの複数の電気コネクタが、共に、外部から光電子装置に接続される電気的プラグイン式コネクタ用の接触領域を形成する。光電子装置は、例えば、接触領域の上に、電気的プラグイン式コネクタを挿入し固定するようにブッシングが形成された、自由空間を有しうる。複数の電気コネクタは、平坦な可撓性ケーブルのように接触が可能となるように、好ましくは互いに平行に配置される。分離されたブッシングは必ずしも必要ではない。従って、支持装置は、光電子装置を動作させることができるように、外部のマイクロコントローラに特に簡単かつコンパクトに接続することができる。
【0022】
一実施例によれば、複数の電気コネクタのうち少なくとも一つが複数の接触トラックから電気的に絶縁される。この絶縁は、特に電気コネクタと接触トラックとが、セグメント化されたリードストリップの分離された部分を形成するという点において実現される。一方、各電気コネクタは、(例えば結合線により)各接触トラックに選択的に直接接続されてもよく、支持装置の、例えば光電子トランスミッタおよび/またはレシーバなどの、柔軟な実装性能を更に向上させる。代替的にまたは付加的に、特に、支持装置の接触チャンバ内に取り付けられた特定用途向け集積回路(ASIC)などの電気コンポーネントを介して、間接的な電気接続が提供されうる。
【0023】
更なる実施例によれば、複数の電気コネクタの少なくとも一つが複数の接触トラックのうちの一つと一体的に(すなわち、一つの部品として)形成されるとともに、それによって電気的に接続される。複数の電気コネクタの一つが特に支持装置の取付け接触トラックに直接接続され、好ましくは一体的に形成される。
【0024】
この取付け接触トラックは、特に横方向範囲に沿って中央に配置された接触トラックである。取付け接触トラックは、例えば所定の電位、特に電気コネクタを介して接地(ゼロ電位)に接続される。支持装置に取り付けられた全ての電気コンポーネント(光電子トランスミッタおよび/またはレシーバおよび複数のASIC)は好ましくは取付け接触トラックに固定され、少なくとも一部の取り付けられたコンポーネントもまた、取付け接触トラックと電気的に接触することができる。さらに、各々の取り付けられたコンポーネントは、結合線によりその他の一つ以上の接触トラックに電気的に接続することができる。
【0025】
更なる実施例によれば、取付け接触トラックは、その他の接触トラックに比べて拡大されており、すなわち、支持装置の指定の横方向範囲に沿ってより大きな範囲を有する。したがって、より大きな電子ユニットを取付け接触トラックに高い信頼性で取り付けることも可能である。全ての電子ユニットを取付け接触トラックに取り付けた場合、光電子装置は全般的に小型となるようにその他の接触トラックは相対的に幅が狭くてもよい。
【0026】
接触トラックは、ぞれぞれ、特に長手方向範囲に亘って変化しない実質的に均一の幅を有する。一方、幾何構造は部分的に異なってもよい。好ましくは中央に配置された取付け接触トラックは、特にASICが例えば取り付けられる、増大された、特に拡大された領域を有する。その他の全ての接触トラックは、好ましくは取付け接触トラックの拡大領域において局所的に延びており、その領域に取り付けられたASICをその他の接触トラックの各々に僅かな配線労力で接触させることができる。この点に関し各結合線によってブリッジングされる距離は比較的小さく、各結合連絡部を確実かつ簡単に構築することができるとともに比較的耐久性が高く、電磁干渉の影響も簡単には連動しない。
【0027】
当然ながら、指定の電子コンポーネントに加えて、その他の電子コンポーネントも支持装置に取り付けられうる。例えば、光電子装置の過剰な加熱を検出可能なように、例えば温度センサを設けてもよい。温度センサは特に支持装置のASICに一体化してもよい。
【0028】
電気接触用の複数の接触トラックをそれぞれ露出させる少なくとも一つの接触領域が、支持装置の下側に設けられる。これにより各接触トラックの単純な電気接触を、光電子装置の通常動作における電気接触のために設けられた指定の電気プラグイン式コネクタとは無関係に、支持装置または光電子装置の製造プロセスの一部として行うことができる。このことは支持装置または光電子装置を例えば検査し、較正し、または最終的にプログラムすることが望ましい。下側の接触領域の一つは特に、所定の高い電圧を印加することにより光電子装置内、および特にその装置に搭載されたASIC内の電気的接続を直接破壊する、所謂ヒューズパッド(fuse pad)を形成する。
【0029】
リードストリップはさらに、複数の接触トラックをそれぞれ電気的接続のために露出させる少なくとも一つの横方向接触領域を有する。特に接触トラックは、支持装置の2つの互いに離間された横方向セクションにおけるフレームセクションから導出される。接触トラックの各端部は、例えば横方向接触領域により形成されうる。従って接触トラックの導電性は例えば自動テストサイクルの枠組みの中で簡単にチェックすることができる。
【0030】
好ましい実施例によれば、光電子装置は、レンズ要素および保持装置を有し、レンズ要素は、支持装置の上に設けられるとともに少なくとも一つの光電子トランスミッタおよび/または少なくとも一つの光電子レシーバのための少なくとも一つのレンズセクションを有しており、保持装置は、支持装置およびレンズ要素を互いに関して保持する。レンズ要素は本発明に関連して特に、屈折特性を有するイメージング要素として理解されたい。各レンズセクションは、特にそれらの各レンズセクションが片側または両側に(例えば、収斂レンズ、発散レンズ、またはフレネルレンズとして)アーチ形を有する点で、ビーム整形特性を有しうる。この点に関して代替的にまたは付加的に、各レンズセクションは、ビームの偏向、すなわち放射または受信したビームの伝搬の方向の変化をもたらしうる。各レンズセクションは特に楔形(例えば、互いに関して鋭角に配置された2つの平面を有するウェッジレンズとしての設計)を有する。各レンズセクションは、支持装置の範囲の平面に対して平行または斜めに配置される。レンズ要素は各レンズセクションの他は板状であってもよい。各レンズセクションは光電子トランスミッタまたはレシーバと一体的に、かつ/またはその上に形成されうる。
【0031】
光電子装置は、異なる独立したコンポーネントからモジュールシステムのように組立てられるモジュール設計によって特徴付けられる。それらの独立したコンポーネントは、少なくとも支持装置と、レンズ要素と、保持装置と、を備える。個々のコンポーネントは、好ましくは互いに開放可能なように連結または保持される。それらのコンポーネントは特に力を伝達し、かつ/または形状が整合するように互いに保持される。それらのコンポーネントは実質的に垂直方向に沿って互いに上下に(例えば、サンドイッチ構造に)配置される。これにより任意選択的なコンポーネントのみならず支持装置およびレンズ要素の異なる変形体を、異なる光電子装置を形成するための汎用のモジュラープラットフォームに基づいて互いに組み合わせることが可能であり、異なる光電子装置の一部のコンポーネント(例えば、保持装置)を同じにすることができる。
【0032】
保持装置は、少なくとも支持装置とレンズ要素とを互いに関して保持する役割を果たすとともに、支持装置に対するレンズ要素の配列を維持し、支持装置は少なくとも一つの光電子トランスミッタおよび/またはレシーバを搭載する。この点に関し、保持装置はレンズ要素を支持装置に直接的または関節的に取付けおよび/または固定する。これを目的として保持装置は、例えば支持装置およびレンズ要素の周囲で少なくとも係合するまたはそれらの上下で係合するクリップまたは少なくともクリップ状の要素を有する。代替的にまたは付加的に、保持装置はハウジングまたはかごの形態に形成されてもよく、こうした保持装置は支持装置およびレンズ要素を完全に囲む必要はなく、特にそれらの装置の全表面や各側面も囲む必要はない。従って保持装置は、少なくとも機能的に装置のハウジングとしての役割を果たし、さらには実閉の、少なくとも大部分が閉鎖されたハウジングとしての役割を果たし、装置のコンポーネントの少なくとも機械的な封入を確実にする。
【0033】
保持装置は特に、複数の側壁を有し、かつ/または、二つ一組で互いに反対側に配置された複数の、特に2個、4個、または6個の保持アームまたは保持セクションを有する、ベースプレートを備える。ベースプレートは、例えば支持装置および/またはレンズ要素の形状おおび寸法に適合された、均一のプレートサイズを有しうる。これにより装置は堅牢かつ小型にでき、装置への汚れなどの付着または侵入を回避することができる。ベースプレートは好ましくは支持装置の下側に配置されるとともに底部を形成する。保持装置は少なくとも部分的に階段状および/またはU字状の断面、または複数の開口部を有しており、それにより、保持装置内に配置されるとともに保持装置と少なくとも部分的に相補的に形成される装置のコンポーネントを、独立した締結手段を必要とすることなく、保持装置内に横方向および/または垂直方向に捕捉する。
【0034】
支持装置の上に設けられるとともに少なくとも一つの光電子トランスミッタおよび/または少なくとも一つの光電子レシーバのための少なくとも一つの開口部を有する、少なくとも一つの開口要素を更に有する。開口要素は特に光電子レシーバによって検出されるビームの幾何学的制限をもたらす。
【0035】
保持装置は特に2つの部品に分かれており、保持装置は上部および下部を備える。この点に関し支持装置およびレンズ要素は、例えば保持装置の下部と上部との間に捕捉される。保持装置の下部および上部は特にラッチ接続により互いに締結される。
【0036】
保持装置の上部は、少なくとも一つの光電子センサおよび/または少なくとも一つの光電子レシーバのための少なくとも一つの開口部を形成しうる。
【0037】
2つの部品からなる保持装置の代わりに、保持装置を一つに形成し、開放された上側を有してもよく、レンズ要素または開口要素が保持装置の上側に配置される。
【0038】
本発明は更に、上記の実施例のいずれかによる複数の光電子装置を有するシステムに関し、複数の光電子装置のうち少なくとも一部の接触チャンバが、少なくとも一つの光電子トランスミッタおよび/または少なくとも一つの光電子レシーバを、それぞれ異なる配置で実装する。これにより指定のモジュラーシステムを実施することができる。
【0039】
複数の光電子装置の各々が、支持装置の上に設けられるとともに少なくとも一つの光電子トランスミッタおよび/または少なくとも一つの光電子レシーバ用の少なくとも一つのレンズセクションを有する、レンズ要素をそれぞれ有し、複数の光電子装置のうち少なくとも一部のレンズ要素は、それらの各形状に関して、複数の光電子装置におけるその他の装置のレンズ要素と異なる。
【0040】
複数の光電子装置は、それぞれ、各光電子装置の支持装置およびレンズ要素を互いに関して保持する保持装置をさらに有する。
【0041】
このシステムは、複数の光電子装置の各々が、支持装置の上に設けられるとともに少なくとも一つの光電子トランスミッタおよび/または少なくとも一つの光電子レシーバ用の少なくとも一つの開口部を有する、少なくとも一つの開口要素を有しており、複数の光電子装置のうち少なくとも一部の開口要素は、それらの各配置および/または形状に関して、複数の光電子装置におけるその他の装置の開口要素とは異なるように、構成されうる。
【0042】
ほんの一例として図面を参照しながら、以下に本発明を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】光電子装置の一実施例の分解組立図である。
図2図1の装置のコンポーネントの斜視図である。
図3図1の装置の組立てた状態の斜視図である。
図4図1の装置のレンズ要素の上から見た平面図である。
図5図1による装置の取付け位置の2つの斜視図を含み、(a)は、装置が取り付けられていない斜視図であり、(b)は、装置が取り付けられた斜視図である。
図6図1による装置の更なる取付け位置の2つの斜視図を含み、(a)は、装置が取り付けられていない斜視図であり、(b)は、装置が取り付けられた斜視図である。
図7図1の装置の支持装置の上から見た斜視図である。
図8図1の装置の支持装置の上から見た斜視図である。
図9図1図7図8の支持装置の下から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図中の同一または同様の要素には同じ参照番号が付される。
【0045】
光電子装置10が、実質的に板状の支持装置12と、第1の開口要素14と、レンズ要素16と、下部18および上部20を備えた保持装置と、を備える。保持装置の上部20は、ここに示される実施例では光電子装置10の第2の開口要素を同時に形成する。それらの全てのコンポーネントは図1では上から斜めに示されており、すなわち、斜視図がコンポーネントの各上側に斜めに指向されている。
【0046】
装置10がどのように組立てられるかを以下に記載し、光電子装置10の個々のコンポーネントをより詳細に説明する。
【0047】
まず支持装置12が下部18に配置される。支持装置12が挿入された下部18を図2に示し、図2の寸法は図1に関して拡大されている。下部18は、上側に突出した複数の接続セクションを有する底部22を有する。詳細には、下部18の長手方向範囲に関して鏡面対称性を有する2つの側部24’,24”が、底部22から離れる方向に上側に延在し、側部24’,24”は、底部22に対して実質的に垂直に揃えられる。底部22はさらに端面止め26ならびにかみ合い部28を有する。このようにU字形に形成された下部18は、支持装置12、第1の開口要素14、およびレンズ要素16を収容するように、完全に上方向に開放されるとともに部分的に横方向に開放された収容空間30を有する。収容空間30の寸法および形状は、支持装置12、開口要素14、およびレンズ要素16の寸法および形状と部分的に実質的に一致する。したがってコンポーネント12,14,16は、下部18に正確に適合するように配置される。
【0048】
側部24’,24”は、それぞれ、その外側に2つの矩形開口部32’,32”ならびに2つの相互に離間されたラッチングノーズ34を有する。側部24’,24”はさらに、ぞれぞれ、その外側の中心部に配置されたラッチ留め36を有する。収容空間30は、かみ合い部28の領域において、中心領域に対して拡大される。
【0049】
支持装置12は、プラスチックでオーバーモールドされた、セグメント化された金属のリードストリップ39を有するとともに、様々に実装されうる、リードフレーム(所謂予成形されたリードフレーム)として形成される。支持装置12の周縁部は下部18の収容空間30と相補的であり、支持装置12が図2に示されるように下部18に挿入されて、支持装置12が、底部22の平面に端面止め26と、かみ合い部28と、側部24’,24”との間で横方向に捕捉される。支持装置12の上側は長手方向に複数の接触チャンバ38に分割され、光電子トランスミッタまたは光電子レシーバが概ね各接触チャンバ38に取付けられ、かつ電気的に接触されるのを可能にする。図1に示す支持装置12は、光電子トランスミッタ40と、2つの光電子レシーバ42と、ASIC44(特定用途向け集積回路)と、を有する。支持装置12を外部のマイクロコントローラ(図示せず)に接続するように、それぞれ接触舌部(contact tongue)として均一な弓形に支持装置12から延在する複数の電気コネクタ46が、支持装置12の短辺に設けられる。支持装置12が下部18に配置されると、コネクタ46は下部18のかみ合い部28に弾性的に係合し、それにより装置10の自由空間に差し込まれる電気プラグイン式コネクタ、特に平坦な可撓ケーブル(図示せず)と接触させるための可撓性接触領域を形成する(図2)。
【0050】
ひとたび支持装置12が下部18に配置されると、第1の開口要素14が、下部18の収容空間30に配置される(図示せず)。この点に関し、第1の開口要素14の各横方向突出部48が、側部24’,24”の各開口部32’,32”と係合する(図1図2)。さらに、第1の開口要素14の拡大領域50がかみ合い部28の領域に広がる収容空間30と係合する。このように、第1の開口要素14は特に装置10の長手方向に位置ずれせず、この点に関して下部18に固定される。図1の第1の開口要素14は、3つの異なるように形成された開口部52a,52b,52cを更に有し、それらの開口部は、第1の開口要素14において長手方向に互いに前後に配置されるとともに、実質的に円錐台状に縁取られた孔によって形成される。
【0051】
次に、レンズ要素16が下部18の収容空間30に配置され、各横方向突出部54’,54”が側部24’,24”の各開口部32’,32”と係合する。さらに、レンズ要素16の拡大領域56がかみ合い部28の領域に広がる収容空間30の領域と係合する。このようにレンズ要素16は、下部18の、底部22に平行な平面に長手方向および横方向に固定される。
【0052】
最後に、保持装置の上部20がラッチ接続により下部18に固定され、そのため上部20は、それぞれ側部24’,24”のラッチングノーズ34のうちの一つにラッチ掛けされる、4つの下方に突出するラッチングタブ58を有する。ここで支持装置12、開口要素14、おおびレンズ要素16が、上部20と下部18との間で互いに完全に捕捉、固定される。したがって、保持装置の下部18、支持装置12、開口要素14、レンズ要素16、および保持装置の上部20が垂直方向に沿って互いに上下に配置される。
【0053】
このように組立てられた装置10を図3に斜視図で示す。上部20(第2の開口要素)は2つの開口部52’,52”を有する(図1および図3参照)。上部20がレンズ要素16(図1参照)の相補的な係合部90と係合して、上部20がレンズ要素16と一直線になって終端し、装置10の実質的に平坦な上側を形成することがさらに認識される。レンズ要素16がさらに付加的に固定されて、装置10の寸法が小さく保たれる。
【0054】
光電子装置10の光学的性質が、第2の開口要素すなわち上部20の2つの開口部52’,52”と組み合わされた第1の開口要素14の3つの開口部52a,52b,52cによって固定され、放射または入射するビームの各断面の幾何学的制限が生じるという点で、望ましくない干渉の影響が抑制される。
【0055】
装置10は細い、実質的に平行六面体のベース本体を有し、その装置の外板は、実質的に互いに一直線状に終端する表面によって特徴付けられる。特にラッチングタブ58は側部24’,24”の外側と一直線状に終端する。
【0056】
実質的に板状のレンズ要素16は、一体的に形成された機械的符号化セクション(mechanical encoding section)60を有し、このセクションは、それ以外の板状のレンズ要素16から長手方向に延在する(図1)。リング状の符号化セクション60は、レンズ要素16の長手方向に互いに前後に配置された3つのレンズセクション68の範囲の平面から垂直に突出する中空シリンダ64を有する。レンズ要素16のレンズセクション68はビーム形特性を有しており、例えば、凸レンズ、両凸レンズ、またはフレネルレンズを備えうる。
【0057】
レンズ要素16の更なる詳細を図4に示し、レンズ要素16をその上側の平面図で示す。図4に示すレンズ要素16は、符号化セクション60に第1の符号化要素(coding element)62と、第2の符号化要素63と、を有する。第1の符号化要素62は、符号化セクション60の中空シリンダ64の外周に矩形の凹部として形成され、中空シリンダ64のシリンダジャケットに矩形の溝が形成されるように、第1の符号化要素62はシリンダ軸と平行に(図4の紙の平面に関して垂直に)延在する。リングディスク66が中空シリンダ64内でその長手方向軸に対して垂直に延在する。実質的に半円の凹部として構成され、かつシリンダ軸と平行に丸い溝として延在する第2の符号化要素63がリングディスク66の内周に設けられる。
【0058】
第1の符号化要素62は、一例として、潜在的な装置10をその装置の種類に関して識別する目的でのみ設けられている。装置の種類は、特に、レンズ要素16、上部、および/または第1の開口要素の各構成、および、光電子トランスミッタ40またはレシーバ42を有する支持装置12の装備によって特徴付けられる。この点に関し、レンズ要素16のレンズセクション68の位置および構成は特に異なりうる。第2の符号化要素63は、支持装置12をマイクロコンピュータに接続するために設けられるバスに関して装置10を識別するように設けられている。
【0059】
このリストはほんの一例である。原則として、符号化要素62,63は、自由に定義可能な特徴に関して光電子装置10を識別しうる。符号化要素62,63は、その形状に加えて、中空シリンダ64の長手方向軸を中心としたその角位置に基づいてのみ定義づけられ、各符号化要素62,63の角位置により、各符号化要素62,63に関連する特徴に関する装置10の明確な識別を可能にする。
【0060】
光電子装置10の取付け位置の2つの斜視図を図5に示し、取付け位置は、本発明に関連して光電子装置10の取付け環境とも称される。図5(a)では、取付け位置は、すなわち対応する装置10が取り付けられていない状態を示す。取付け位置は、2つの互いに向かい合って配置されたラッチングアーム74’,74”がその内側長手方向縁部に設けられた矩形の開口部72を有するベースプレート70の部位によって特徴づけられる。開口部72の短辺に隣接して、ベースプレート70の平面に対して垂直に延在するとともに中央開口部78が設けられたシリンダ76が形成される。開口部78は、図示しないねじの雌ねじを有してもよい。
【0061】
シリンダ76は第1の復号化要素(decoding element)80と第2の復号化要素81とを有する。第1の複合化要素80はT字形を有し、シリンダ76のジャケット面から径方向に離間されている。復号化要素80の高さはシリンダ76の高さ未満である。第2の復号化要素81はシリンダ76の端面に形成されるとともに、部分的に円筒形状を有する。シリンダ76および復号化要素80,81は共に、装置10の符号化セクション60に対する復号化セクション83を形成する。復号化セクション83は、ベースプレート70に一体的に形成される。シリンダ76および復号化要素80,81の縁部はそれぞれ装置10の設置を容易にする面取りを有する。
【0062】
図5(a)に示す取付け位置に取り付けられる装置10は、装置10の上部がベースプレート70の開口部72と向き合う図5(b)に示す位置を取るように、その上部を前方にして取り付けられる。復号化セクション83により、その復号化セクション83と相補的に形成されるとともに各取付け位置における装置10の取り付けを形状の整合によって明確に規定する、符号化セクション60を有する装置10のみが取り付けられることを確実にする。組立状態では、第1の符号化要素62は、第1の復号化要素80と係合する。第2の符号化要素63は、第2の復号化要素81とさらに部分的に係合する。
【0063】
ラッチングアーム74’,74”が下部18のラッチ留め36にさらにラッチ掛けされて、装置10をベースプレート70にしっかりと固定する。
【0064】
装置10の更なる取付け位置を図6に示し、図6(b)では、図5(b)の場合とは異なり、装置10が逆に取り付けられており、すなわち、ビームを放射するまたはビームを受信する装置10の上側がベースプレート70から離間されている。したがって装置10は、実質的に同様に形成された取付け位置に異なる状態で柔軟に設置することが可能であり、このため符号化要素62,63の位置および復号化要素80,81の位置のみを互いに連係して調整する必要がある(図5(a)、図6(a)参照)。
【0065】
符号化セクション60(特にリングディスク66を有する中空シリンダ64)の基本形状は、好ましくは垂直方向に対して垂直な光電子装置10の中心面に関して対称に形成される。光電子装置10を取付け環境に締結するための締結装置(特に、ベースプレート70のラッチングアーム74’,74”用の、保持装置のラッチ留め36)が、垂直方向に対して垂直な光電子装置10の中心面に関して対称に形成される場合は、さらに望ましい。これにより、図5,6を参照しながら説明したように、装置10を、その上側の2つの異なる位置合わせのうちの一つにより取付け環境に選択的に特に簡単に締結することができる。
【0066】
支持装置12に関する更なる詳細を以下に図7~9を参照しながら説明する。図7に示す支持装置12は、図1の支持装置に対応する。図8の上面図に示す支持装置12は、その図8の支持装置12がASIC44を有していない点で、図7に示す支持装置とは実質的に異なる。
【0067】
支持装置12は、概ねセグメント化されたリードストリップ93に形成された複数の導電性接触トラック92を有する。図示の支持装置12の変形体の実施例では、一例として支持装置12の上側において長手方向に5つの接触チャンバ38全てを通して延在するとともに、実質的に互いに平行な5つの各接触トラック92が設けられる。したがって各接触トラック92は各接触チャンバ38において電気的に接触可能である。このため各接触トラック92は、各接触チャンバ38を通して完全に延在する必要はないことを理解されたい。したがって各接触トラック92は接触チャンバ38を通して部分的にのみ延在してもよく、例えば、光電子レシーバ42はそれでもなお各接触チャンバ38内に取り付けることができる。
【0068】
中央に配置された接触トラック92’が(光)電子コンポーネント40,42,44の取り付けのために設けられており、コンポーネント40,42,44は種々の取り付けにより前記の接触トラックに締結され、その接触トラックは本発明に関連して取付け接触トラックとも称される。さらに、コンポーネント40,42,44は、中央接触トラック92’に(例えばその下部の直接接触により)電気的に接続されてもよく、中央接触トラック92’は所定の電位を負担することができる。コンポーネント40,42,44の各々は、好ましくは少なくとも一つの更なる接触トラック92と(それぞれ結合線100により)電気的に接続される。ひとたびコンポーネント40,42,44がそれぞれ接触チャンバ8に取り付けられると、各接触チャンバ38は個別にキャスティング材料、特にエポキシ樹脂、シリコーン等(図示せず)で充填される。それにより支持装置の耐久性や光電子装置の信頼性が向上し、光学的性質が適用される(屈折率、分光フィルタリング)。
【0069】
異なる寸法のコンポーネント40,42,44を中央接触トラック92’に取り付けることができるように、中央接触トラック92’は他の隣接する接触トラック92に比べて広い。中央接触トラック92’はさらに局所的に拡大された領域96を有し、それによりASIC44を領域96(図7)に簡単に取り付けることができる。その他の(中央ではない)接触トラック92は、領域96に沿って直接隣接して部分的に案内され、あるいは別の接触トラック92を介して間接的に隣接して部分的に案内されるとともに、それぞれ横方向電気コネクタ98を介して接触可能である。さらに、全ての接触トラック92,92’が各側面電気コネクタ98を介して接触可能であり、それらの側面電気コネクタ98は長手方向の電気コネクタ46,46’(接触舌部)と反対側に配置される。
【0070】
中央接触トラック92’は電気コネクタ46’と一体化される。その他の電気コネクタ46は対照的に接触トラック92から分離しており、支持装置12の上側の各接触場94を介してのみ接触可能であり、接触場94は接触トラック92から電気的に絶縁されている。横方向電気コネクタ98’と接続された接触場94’がさらに設けられる。中央接触トラック92’の拡大領域96は実質的に長手方向における、接触場94と接触トラック92との間に配置される。したがって各接触トラック92は、ASIC44を介して各電気コネクタ46に僅かな配線労力で電気的に接続される(図7)。代替的に、各接触トラック92はまた、結合線100により各接触場94または各電気コネクタ46に直接接続されうる(図8)。
【0071】
支持装置12は横方向の複数の分割ウェブ104を有するフレームセクション102を有する。フレームセクション102は接触チャンバ38を画定し、接触チャンバ38間の光学的漏話が水平方向に抑制される、すなわち、フレームセクション102は光に対して不透過性である。
【0072】
支持装置12を図9に下からの図で示す。各電気接触用の複数の実質的に丸い接触領域106が下側に配置される。接触領域106のうちの一つが特に所謂ヒューズパッドとしての役割を果たす。接触領域106’は上側の接触場94’と電気的に接続されうる。
【0073】
特に図7~9による支持装置12の利点は、個々の用途に適合される光電子装置10を製造することができるように、(光)電子コンポーネント40,42,44をその数および配置に関して様々な構成で備え付けることが可能な複数の接触チャンバ38を備えることであり、図7に示す以外の構成も可能である。
【符号の説明】
【0074】
10…光電子装置
12…支持装置(carrier device)
14…第1の開口要素
16…レンズ要素
18…下部
20…上部または第2の開口要素
22…底部
24…側部
26…端面止め(catch)
28…かみ合い部(meshing section)
30…収容空間(receiving space)
32…開口部
34…ラッチングノーズ
36…ラッチ留め(latching catch)
38…接触チャンバ(contact chamber)
40…トランスミッタ
42…レシーバ
44…ASIC(特定用途向け集積回路)
46…コネクタ
48…突出部
50…領域(region)
52…開口部
54…突出部
56…領域
58…ラッチングタブ
60…符号化セクション(coding section)
62…第1の符号化要素
63…第2の符号化要素
64…中空シリンダ
66…リングディスク
68…レンズセクション
70…ベースプレート
72…開口部
74…ラッチングアーム
76…シリンダ
78…開口部
80…第1の復号化要素
81…第2の復号化要素
83…復号化セクション(decoding section)
90…係合部
92…接触トラック
93…リードストリップ(lead strip)
94…接触場(contact field)
96…拡大領域(broadened region)
98…電気コネクタ
100…結合線
102…フレームセクション
104…分割ウェブ(partition web)
106…接触領域(contacting region)
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9