(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】測位装置
(51)【国際特許分類】
G01S 5/14 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
G01S5/14
(21)【出願番号】P 2019011907
(22)【出願日】2019-01-28
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000204424
【氏名又は名称】大井電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 知己
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-292262(JP,A)
【文献】特開2011-099778(JP,A)
【文献】特開2011-214920(JP,A)
【文献】特開2018-072138(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0045840(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14
G01S 19/00-19/55
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末の位置を求める測位装置において、
前記無線端末は、複数の固定局との間で無線信号の送受信を行い、各前記固定局までの仮距離測定値を複数回に亘って求め、複数回に亘って求められた前記仮距離測定値に基づいて、各前記固定局までの距離測定値と、各前記固定局につき複数回に亘って求められた前記仮距離測定値のバラツキ度と、を求め、
前記測位装置は、
各前記固定局について求められた前記距離測定値と、前記距離測定値に対応して求められたバラツキ度とを、前記無線端末から取得し、
仮位置決定処理であって、
複数の前記固定局から3つを選択したときにおける、それら選択された3つの前記固定局に対する3つの前記距離測定値に基づいて、前記無線端末の仮位置を求める第1測定処理と、
前記仮位置に対してトータル重み付け係数を求める第2測定処理であって、前記トータル重み付け係数は、各前記距離測定値に対応するバラツキ度に基づく個別重み付け係数を、前記仮位置を求めるのに寄与した3つの前記固定局について合成して求られる値である、第2測定処理と、
を含む仮位置決定処理を、複数の前記固定局から3つの前記固定局を選択する複数の組み合わせのそれぞれについて実行し、
各前記組み合わせについて求められた前記トータル重み付け係数を用いて、各前記組み合わせについて求められた前記仮位置を重み付け合成して、前記無線端末の位置を求める位置決定処理を実行することを特徴とする測位装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測位装置において、
前記個別重み付け係数は、複数回に亘って求められた前記仮距離測定値のバラツキ度が大きい程小さい値であることを特徴とする測位装置。
【請求項3】
請求項2に記載の測位装置において、
前記トータル重み付け係数は、前記仮位置を求めるのに寄与した3つの前記固定局について、前記個別重み付け係数を加算合計または乗算合計した値であることを特徴とする測位装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の測位装置において、
前記重み付け合成は、
前記仮位置を表す座標値を、前記仮位置に対応する前記トータル重み付け係数に応じて調整した値を、複数の前記組み合わせについて加算合計する演算を含むことを特徴とする測位装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位装置に関し、特に、複数の固定局のそれぞれまでの距離を求めた無線端末から情報を取得し、無線端末の位置を測定する測位装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線端末の位置を測定する測位システムにつき研究開発が行われている。無線端末は、位置が既知である複数の固定局との間で無線信号を送受信することで、各固定局までの距離を測定する。情報処理装置は、無線端末から距離測定結果を取得し、無線端末と各固定局までの距離に基づいて無線端末の位置を求める。このような測位システムは、建造物内における人の居場所の確認や、工場における在庫管理等への応用が期待されている。
【0003】
測位システムとして、以下の特許文献1には、ビーコン装置を保持する移動体の位置を探索するシステムが記載されている。このシステムでは、複数の携帯端末のそれぞれがビーコン装置から送信されたビーコン信号を受信して、ビーコン装置までの距離を求める。移動体探索サーバは、各携帯端末の位置と、ビーコン装置までの距離を表す情報を各携帯端末から取得し、ビーコン装置の位置を求める。
【0004】
また、特許文献2には、無線タグ距離測定装置が記載されている。無線タグ距離測定装置は、無線タグに距離測定信号を送信し、それに応じて無線タグから送信された到来信号を受信する。無線タグ距離測定装置は、距離測定信号を送信してから到来信号を受信するまでの時間に基づいて、無線タグ距離測定装置から無線タグまでの距離を測定する。この文献には、複数の無線タグ距離測定装置による距離測定結果に基づいて、無線タグの位置を求めることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-217931号公報
【文献】特開2009-174971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線端末の測位を行うシステムでは、無線信号を用いて無線端末の測位が行われる。したがって、無線信号の伝搬状況によっては、測位精度が充分でないことがある。
【0007】
本発明は、無線端末の位置を高精度で求めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、無線端末の位置を求める測位装置において、前記無線端末は、複数の固定局との間で無線信号の送受信を行い、各前記固定局までの仮距離測定値を複数回に亘って求め、複数回に亘って求められた前記仮距離測定値に基づいて、各前記固定局までの距離測定値と、各前記固定局につき複数回に亘って求められた前記仮距離測定値のバラツキ度と、を求め、前記測位装置は、各前記固定局について求められた前記距離測定値と、前記距離測定値に対応して求められたバラツキ度とを、前記無線端末から取得し、仮位置決定処理であって、複数の前記固定局から3つを選択したときにおける、それら選択された3つの前記固定局に対する3つの前記距離測定値に基づいて、前記無線端末の仮位置を求める第1測定処理と、前記仮位置に対してトータル重み付け係数を求める第2測定処理であって、前記トータル重み付け係数は、各前記距離測定値に対応するバラツキ度に基づく個別重み付け係数を、前記仮位置を求めるのに寄与した3つの前記固定局について合成して求られる値である、第2測定処理と、を含む仮位置決定処理を、複数の前記固定局から3つの前記固定局を選択する複数の組み合わせのそれぞれについて実行し、各前記組み合わせについて求められた前記トータル重み付け係数を用いて、各前記組み合わせについて求められた前記仮位置を重み付け合成して、前記無線端末の位置を求める位置決定処理を実行することを特徴とする。
【0009】
望ましくは、前記個別重み付け係数は、複数回に亘って求められた前記仮距離測定値のバラツキ度が大きい程小さい値である。
【0010】
望ましくは、前記トータル重み付け係数は、前記仮位置を求めるのに寄与した3つの前記固定局について、前記個別重み付け係数を加算合計または乗算合計した値である。
【0011】
望ましくは、前記重み付け合成は、前記仮位置を表す座標値を、前記仮位置に対応する前記トータル重み付け係数に応じて調整した値を、複数の前記組み合わせについて加算合計する演算を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無線端末の位置を高精度で求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】無線端末のハードウエアの例を示す図である。
【
図3】情報処理装置のハードウエアの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)測位システムの概要
図1には、本発明の実施形態に係る測位システム10が示されている。測位システム10は、無線端末12、複数(M個)の固定局14-1~14-M、ネットワーク無線装置16、通信回線18および情報処理装置20を備えている。
【0015】
無線端末12は、複数の固定局14-1~14-Mとの間で無線信号の送受信を行い、各固定局までの距離を測定する。ネットワーク無線装置16は、無線端末12との間で無線通信を行い、無線端末12による測定結果を示す測定情報を取得する。ネットワーク無線装置16は、無線端末12から取得した測定情報を、インターネット等の通信回線18を介して情報処理装置20に送信する。情報処理装置20は、測定情報に基づいて無線端末12の位置を測定する。
【0016】
(2)測位システムで実行される処理
本実施形態に係る測位システム10で実行される処理について具体的に説明する。無線端末12は、M個の固定局14-1~14-Mのうちの1つの固定局14-kにつきN回に亘って(Nは2以上の整数)、固定局14-kまでの距離を仮距離測定値として測定する。そして、固定局14-kに対して得られたN個の仮距離測定値に基づいて、最終的な距離測定値d(k)を求める。距離測定値d(k)は、N個の仮距離測定値の平均値や中央値等、N個の仮距離測定値の大きさの傾向を表す統計値であってよい。
【0017】
無線端末12は、さらに、固定局14-kに対して得られた距離測定値d(k)に寄与したN個の仮距離測定値についてバラツキ度σ(k)を求める。バラツキ度σ(k)は、N個の仮距離測定値についての標準偏差や分散であってもよい。また、N個の仮距離測定値のうちの最大値から最小値を減算した値であってもよい。バラツキ度σ(k)が小さい程、距離測定値d(k)が高精度で求められた可能性が高い。
【0018】
無線端末12は、他の固定局についても同様の処理を実行し、固定局14-1~14-Mのそれぞれについて、距離測定値d(k)(k=1~M)およびバラツキ度σ(k)を対応付けた測定情報D(k)を求める。
【0019】
無線端末12は、ネットワーク無線装置16との間で無線通信を行い、測定情報D(1)~D(M)をネットワーク無線装置16に送信する。ネットワーク無線装置16は、測定情報D(1)~D(M)を受信し、通信回線18を介して情報処理装置20に送信する。情報処理装置20は、ネットワーク無線装置16から通信回線18を介して測定情報D(1)~D(M)を受信する。
【0020】
情報処理装置20は、測定情報D(1)~D(M)から、距離測定値d(1)~d(M)を取得する。そして、距離測定値d(1)~d(M)から3つを選択するMC3通りの組合わせのそれぞれについて、無線端末12の仮位置Qvj(pj,qj,rj)を求める。ここで、pj、qj、およびrjは、整数1~Mから選択された3つの整数を示す。jは、組み合わせの種類を識別する番号(組み合わせ識別番号)であり、1~MC3のうちの1つの整数である。仮位置Qvj(pj,qj,rj)は、距離測定値d(1)~d(M)から選択された3つの距離測定値d(pj)、d(qj)およびd(rj)に基づいて求められた仮の位置であり、2次元ベクトル(2次元座標値)で表される。符号「Qvj(pj,qj,rj)」における符号「v」はベクトル量であることを示している。
【0021】
すなわち、情報処理装置20は、固定局14-1~14-Mのそれぞれの位置を予め記憶している。無線端末12は、固定局14-pjの位置を中心とし半径をd(pj)とする円、固定局14-qjの位置を中心とし半径をd(qj)とする円、および固定局14-rjの位置を中心とし、半径をd(rj)とする円の交点の座標値を仮位置Qvj(pj,qj,rj)として求める。
【0022】
情報処理装置20は、距離測定値d(1)~d(M)から3つを選択するMC3通りの組み合わせのそれぞれについて求められた仮位置Qvj(pj,qj,rj)のそれぞれについて、後述する重み付け決定処理に基づいてトータル重み付け係数Wjを決定する。情報処理装置20は、(数1)に従って無線端末12の位置Pvを求める。符号「Pv」における符号「v」はベクトル量であることを示している。
【0023】
(数1)は、距離測定値d(1)~d(M)から3つを選択するMC3通りの組み合わせについて、仮位置Qvjを重み付け合成するものである。この重み付け合成は、仮位置Qvjを表す座標値を仮位置Qvjに対応するトータル重み付け係数Wjに応じて調整し、MC3通りの組み合わせについて加算合計する演算である。
【0024】
(数1)
Pv=(ΣWj・Qvj)/(W1+W2+・・・・+WC)
【0025】
ただし、C=MC3である。Σはj=1からMC3までの加算合計値であることを示す。
【0026】
(3)重み付け決定処理
トータル重み付け係数Wjを決定する重み付け決定処理について説明する。情報処理装置20は、1つの固定局14-kに対応する測定情報D(k)に含まれているバラツキ度σ(k)に基づいて、個別重み付け係数w(k)を求める。ここで、個別重み付け係数w(k)は、バラツキ度σ(k)が大きい程小さい値となる正の数である。重み付け係数w(k)は、例えば、(数2)のように定義されてよい。
【0027】
(数2)
w(k)=S-σ(k)
ただし、Sは定数であり、S-σ(k)が1未満の値となるときは、w(k)を1とする。
【0028】
また、重み付け係数は(数3)のように定義されてよい。
【0029】
(数3)
w(k)=10-(|50-x(k)|)/2
ただし、バラツキ度σ(k)は標準偏差であり、距離測定値d(k)はN個の仮距離測定値の平均値であり、x(k)は標準偏差および平均値に基づいて求められる偏差値である。(数3)において右辺が1未満の値となるときは、w(k)を1とする。
【0030】
情報処理装置20は、重み付け係数w(1)~w(M)から3つを選択するMC3通りの組合わせのそれぞれについて、個別重み付け係数を合成したトータル重み付け係数Wjを求める。すなわち、トータル重み付け係数Wjは、重み付け係数w(1)~w(M)から選択された3つの重み付け係数w(pj)、w(qj)およびw(rj)に基づいて求められる値である。トータル重み付け係数Wjは、(数4)のように加算合計値として定義されてよい。
【0031】
(数4)
Wj=w(pj)+w(qj)+w(rj)
【0032】
また、トータル重み付け係数Wjは(数5)のように乗算合計値として定義されてもよい。
【0033】
(数5)
Wj=w(pj)・w(qj)・w(rj)
【0034】
(4)具体例
M=4の場合、すなわち、測位システム10が4つの固定局14-1~14-4を含む具体的な例について説明する。情報処理装置20は、通信回線18を介して、固定局14-1~14-4についての測定情報D(1)~D(4)を受信する。
【0035】
情報処理装置20は、測定情報D(1)~D(4)から、それぞれ、距離測定値d(1)~d(4)を取得する。そして、距離測定値d(1)~d(4)から3つを選択する組合わせのそれぞれについて、無線端末12の仮位置Qvjを求める。
【0036】
距離測定値d(1)~d(4)から3つを選択する組合わせには、次の4通りがある。(i)距離測定値d(1)、d(2)およびd(3)の組み合わせ(j=1)
(ii)距離測定値d(1)、d(2)およびd(4)の組み合わせ(j=2)
(iii)距離測定値d(1)、d(3)およびd(4)の組み合わせ(j=3)
(iv)距離測定値d(2)、d(3)およびd(4)の組合わせ(j=4)
情報処理装置20は、測定情報D(1)~D(4)から、それぞれ、バラツキ度σ(1)~σ(4)を取得する。そして、バラツキ度σ(1)~σ(4)に基づいて、それぞれ、個別重み付け係数w(1)~w(4)を求める。
【0037】
情報処理装置20は、組み合わせ識別番号j=1~4について、(数4)または(数5)に従い、トータル重み付け係数W1~W4を求める。(数4)に従った場合には、情報処理装置20は、(数6)のようにトータル重み付け係数を求める。
【0038】
(数6)
W1=w(1)+w(2)+w(3)
W2=w(1)+w(2)+w(4)
W3=w(1)+w(3)+w(4)
W4=w(2)+w(3)+w(4)
【0039】
あるいは、情報処理装置20は(数5)に従い、(数7)のようにトータル重み付け係数を求める。
【0040】
(数7)
W1=w(1)・w(2)・w(3)
W2=w(1)・w(2)・w(4)
W3=w(1)・w(3)・w(4)
W4=w(2)・w(3)・w(4)
【0041】
情報処理装置20は(数1)に従って、(数8)のように無線端末12の位置Pvを求める。
【0042】
(数8)
Pv=(W1・Qv1+W2・Qv2+W3・Qv3+W4・Qv4)
/(W1+W2+W3+W4)
【0043】
(5)効果
このような処理では、仮位置Qvjに対するトータル重み付け係数Wjが大きい程、仮位置Qvjが位置Pvに大きく寄与する。トータル重み付け係数Wjは、仮位置Qvjを求めるのに寄与した3つの距離測定値d(pj)、d(qj)およびd(rj)のそれぞれの個別重み付け係数w(pj)、w(qj)およびw(rj)が大きい程、大きい値を有する。そして、距離測定値d(pj)、d(qj)およびd(rj)が求められるに至ったバラツキ度が小さく、距離測定値d(pj)、d(qj)およびd(rj)が高精度で求められた可能性が高い程、個別重み付け係数w(pj)、w(qj)およびw(rj)が大きい。
【0044】
したがって、本実施形態に係る測位システム10によれば、仮位置Qvjを求める元となった3つの距離測定値に対応するバラツキ度が小さい程、すなわち、これら3つの距離測定値が高精度で求められた可能性が高い程、その仮位置Qvjが位置Pvに大きく寄与する。これによって、位置Pvは、高精度で求められた距離測定値による寄与が大きいベクトル量となり、測定精度が向上する。
【0045】
(6)ハードウエアの例
図2には、無線端末12のハードウエアの例が示されている。無線端末12は、無線部32および情報処理部34を備えている。無線部32は、情報処理部34から取得した情報を各固定局14-kまたはネットワーク無線装置16に無線送信する。また、各固定局14-kまたはネットワーク無線装置16から送信された無線信号を受信し、無線信号に含まれる情報を情報処理部34に出力する。
【0046】
情報処理部34は、距離測定部36、バラツキ測定部38および測定情報生成部40を備えている。情報処理部34は、プログラムを実行するプロセッサを含んでもよい。この場合、情報処理部34は、プログラムを実行することによって、内部に各構成要素(距離測定部36、バラツキ測定部38および測定情報生成部40)を構成する。
【0047】
距離測定部36は、無線部32を介して、固定局14-1~14-Mのそれぞれと無線信号の送受信を行い、各固定局までの仮距離測定値をN回に亘って求める。距離測定部36は、N回に亘って求められた仮距離測定値に基づいて、各固定局までの距離測定値を求める。バラツキ測定部38は、各固定局、すなわち各距離測定値について、N回に亘って求められた仮距離測定値のバラツキ度を求める。測定情報生成部40は、固定局14-1~14-Mのそれぞれについての測定情報D(k)を生成し、無線部32を介してネットワーク無線装置16に測定情報D(1)~D(M)を無線送信する。
【0048】
図3には、情報処理装置20のハードウエアの例が示されている。情報処理装置20は、インターフェイス50および情報処理部52を備えている。情報処理装置20は、サーバとして機能するコンピュータであってよい。インターフェイス50は、情報処理部52を通信回線18に接続する。情報処理部52は、情報取得部54、仮位置決定部56および位置決定部58を備えている。情報処理部52は、プログラムを実行するプロセッサを含んでもよい。この場合、情報処理部52は、プログラムを実行することによって、内部に各構成要素(情報取得部54、仮位置決定部56および位置決定部58)を構成する。
【0049】
情報取得部54は、インターフェイス50を介して通信回線18から測定情報D(1)~D(M)を受信し、各固定局について求められた距離測定値d(k)と、距離測定値d(k)に対応して求められたバラツキ度σ(k)とを、測定情報D(k)から取得する。
【0050】
仮位置決定部56は、仮位置決定処理を、固定局14-1~14-Mから3つの固定局を選択する複数の組み合わせのそれぞれについて実行する。仮位置決定処理は、次の第1測定処理および第2測定処理を含む。第1測定処理は、固定局14-1~14-Mから3つを選択したときにおける、それら選択された3つの固定局14-pj,14-qj,および14-rjに対する3つの距離測定値d(pj),d(qj)およびd(rj)に基づいて、無線端末12の仮位置Qvjを求める処理である。第2測定処理は、仮位置Qvjに対してトータル重み付け係数Wjを求める処理である。トータル重み付け係数Wjは、各距離測定値に対応して求められたバラツキ度に基づく個別重み付け係数を、仮位置Qvjを求めるのに寄与した3つの固定局14-pj,14-qj,および14-rjについて合成して求られる値である。個別重み付け係数の合成には、加算合計や乗算合計がある。
【0051】
位置決定部58は、各組み合わせについて求められたトータル重み付け係数Wjを用いて、各組み合わせについて求められた仮位置Qvjを重み付け合成して、無線端末12の位置Pvを求める
【符号の説明】
【0052】
10 測位システム、12 無線端末、14-k 固定局、16 ネットワーク無線装置、18 通信回線、20 情報処理装置、32 無線部、34,52 情報処理部、36 仮距離測定部、38 バラツキ測定部、40 測定情報生成部、50 インターフェイス、54 情報取得部、56 仮位置決定部、58 位置決定部。