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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】GERDを治療するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20220308BHJP
   A61B 17/04 20060101ALI20220308BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20220308BHJP
【FI】
A61B17/00
A61B17/04
A61M25/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019236162
(22)【出願日】2019-12-26
(62)【分割の表示】P 2018121892の分割
【原出願日】2009-01-29
(65)【公開番号】P2020044442
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2019-12-26
(31)【優先権主張番号】61/006,719
(32)【優先日】2008-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】0802138-8
(32)【優先日】2008-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】517409413
【氏名又は名称】インプランティカ・パテント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】フォーセル,ピーター
【審査官】安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0261712(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0044354(US,A1)
【文献】特表2007-508053(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0235448(US,A1)
【文献】特表2007-527735(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0251176(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00ー17/04
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆流症を治療するため、ヒト患者の胃底壁内に医療デバイスの陥入をもたらす胃内視鏡器具であって、前記器具は、
(i)近位端及び遠位端を有する細長部材(607)であって、前記細長部材は、患者の食道の直径よりも小さい直径を有し、可撓性であり、これによって、前記可撓性細長部材の遠位端により、前記可撓性細長部材を患者の咽喉、食道を通じて胃に導入し、胃底壁に至らせることを可能にする、細長部材(607);
(ii)胃底壁を貫通させて胃底壁内に穴を生成し、前記細長部材を前記穴を通じて導入可能にするための、前記細長部材内に設けた格納可能スリーブ上の遠位端に配置した刃先(615)を備える操作可能胃貫通デバイス;
(iii)前記穴を通じて導入した後、前記細長部材が前記穴を通じて近位方向に移動するのを防止するための、前記貫通デバイスに対して近位にある、前記細長部材上に設けたバルーン状拡張可能部材(611)であって、前記拡張可能部材(611)は、当該拡張可能部材(611)の外側を胃底壁に当接させるため、前記細長部材から少なくとも径方向に拡張可能である、バルーン状拡張可能部材(611)
(iv)前記拡張可能部材(611)に対して近位にある、前記細長部材上(609)に設けたバスケット状構造を備える形成デバイス(609)であって、前記形成デバイス(609)の内側を胃底壁に当接させる、形成デバイス(609);並びに
(v)前記医療デバイスを前記穴を通じて胃底壁に挿入して胃底壁の外側に至らせ、胃底壁に陥入させる挿入デバイス
を備える、胃内視鏡器具。
【請求項2】
前記バスケット状構造を備える形成デバイス(609)は、前記拡張可能部材(611)と共に、胃底壁をカップ状形状に形成するのに適合し、前記拡張可能部材(611)は、前記形成デバイス(609)に対して格納可能であり、前記形成デバイス(609)に対して胃壁を引っ張り、胃の前記カップ状形状部分を形成する、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
縫合デバイス(613)を更に備え、前記縫合デバイス(613)は、胃間縫合糸を用いて胃底壁のカップ状部分の開放端を縫合し、少なくとも一部が胃底壁の一部分によって封入される空間を生成するのに適合する、請求項1又は2に記載の器具。
【請求項4】
前記縫合デバイスは、2針以上同時に縫合する複数本の縫合糸を備える、請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記縫合デバイスは、前記医療デバイスを前記挿入デバイスによって胃底壁の前記穴を通じて挿入する前に胃底壁の前記カップ状部分の開放端を縫合するのに適合する、請求項3に記載の器具。
【請求項6】
患者の噴門切痕の移動を制限する、外科処置において使用するシステムであって、前記システムは、逆流症を治療するため、ヒト患者の胃底壁内に医療デバイスの陥入をもたらす胃内視鏡器具を備え、前記器具は、
(i)近位端及び遠位端を有する細長部材(607)であって、前記細長部材は、患者の食道の直径よりも小さい直径を有し、可撓性であり、これによって、前記可撓性細長部材の遠位端により、前記可撓性細長部材を患者の咽喉、食道を通じて胃に導入し、胃底壁に至らせることを可能にする、細長部材(607);
(ii)胃底壁を貫通させて胃底壁内に穴を生成し、前記細長部材を前記穴を通じて導入可能にするための、前記細長部材内に設けた格納可能スリーブ上の遠位端に配置した刃先(615)を備える操作可能胃貫通デバイス;
(iii)前記穴を通じて導入した後、前記細長部材が前記穴を通じて近位方向に移動するのを防止するための、前記貫通デバイスに対して近位にある、前記細長部材上に設けたバルーン状拡張可能部材(611)であって、前記拡張可能部材(611)は、当該拡張可能部材(611)の外側を胃底壁に当接させるため、前記細長部材から少なくとも径方向に拡張可能である、バルーン状拡張可能部材(611)
(iv)前記拡張可能部材(611)に対して近位にある、前記細長部材上に設けたバスケット状構造を備える形成デバイス(609)であって、前記形成デバイス(609)の内側を胃底壁に当接させる、形成デバイス(609);並びに
(v)前記医療デバイスを前記穴を通じて胃底壁に挿入して胃底壁の外側に至らせ、胃底壁に陥入させる挿入デバイス
を備え、前記システムは、
前記挿入デバイスによって挿入し、患者の体外から患者の胃底壁に陥入させる、医療デバイス
を更に備え、前記医療デバイスは、胃底壁に接して載置される生体適合体を備え、前記医療デバイスは、埋め込まれて機能する際、少なくとも15mmの外周、及び前記医療デバイスが外側から胃底壁によって完全に貫入し得るのに十分に小さい体積を有し、これにより、患者の噴門切痕が移動するのを制限する、システム。
【請求項7】
前記バスケット状構造を備える形成デバイス(609)は、前記拡張可能部材(611)と共に、胃底壁をカップ状形状に形成するのに適合し、前記拡張可能部材(611)は、前記形成デバイス(609)に対して格納可能であり、前記形成デバイス(609)に対して胃壁を引っ張り、胃の前記カップ状形状部分を形成する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
縫合デバイス(613)を更に備え、前記縫合デバイス(613)は、胃間縫合糸を用いて胃底壁のカップ状部分の開放端を縫合し、少なくとも一部が胃底壁の一部分によって封入される空間を生成するのに適合する、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記縫合デバイスは、2針以上を同時に縫合する複数本の縫合糸を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記縫合デバイスは、前記医療デバイスを前記挿入デバイスによって胃底壁の前記穴を通じて挿入する前に胃底壁の前記カップ状部分の開放端を縫合するのに適合する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記医療デバイスは、食物が食道を通るのを制限せずに、胃壁の外側に接して載置されるのに適合する、請求項6~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記医療デバイスは、食道を取り囲まずに、胃壁の外側に接して載置されるのに適合する、請求項6~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
患者の噴門切痕の移動を制限する、外科処置において使用し請求項1に記載の胃内視鏡器具によって陥入される医療デバイスであって、前記医療デバイスは、
器具の挿入デバイスによって患者の体内に挿入され、
患者の胃底壁によって貫入され、
埋め込まれて機能する際、主に食道の左側に配置される
のに適合し、前記医療デバイスは、
胃底壁に接して載置される生体適合体を備え、
埋め込まれて機能する際、少なくとも15mmの外周を有し、
少なくとも125mm3の体積を有し、
前記医療デバイスは、食道に間接的又は直接的に固着するのに適合し、これにより、患者の噴門切痕の移動を制限し、噴門が滑脱して患者の横隔膜開口を通り患者の胸腔に入るのを防止し、患者の腹部から加えられる患者の噴門括約筋に対する支持圧力を維持し、これによって逆流症を治療する、医療デバイス。
【請求項14】
前記医療デバイスは、食物が食道を通るのを制限せずに、胃壁の外側に接して載置されるのに適合する、請求項13に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記医療デバイスは、食道を取り囲まずに、胃壁の外側に接して載置されるのに適合する、請求項13又は14のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆流性食道炎(GERD)を治療するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
逆流性食道炎(GERD)、つまり、胃酸逆流疾病は、結果として、食道内に胃酸逆流が繰り返し再発することで食道の粘膜障害をもたらす慢性症状である。これは、一般に、食道と胃との間の関門に一時的または永久的な変化が生じることによるものである。これは、下部食道括約筋(LES)の不全、一時的LES緩和、食道からの胃液逆流放出障害、または裂孔ヘルニアによる場合もある。
【0003】
逆流性食道炎は、多くの異なる方法で治療することができる。治療には、限定はしないが、薬物治療と外科治療の両方がある。ときには薬物の長期使用よりも好まれる標準的な外科治療は、Nissen胃底皺襞形成外科手術であり、括約筋を強化して胃酸逆流を防ぎ、裂孔ヘルニアを修復するために胃の上側湾曲(底)がLESの周りに包み込まれる。手順は、腹腔鏡操作で行われることが多い。
【0004】
使用されたことのある他の外科治療としては、馬蹄状に形成されたデバイスを噴門の上の食道の周りに留置するAnglechik補綴がある。意図された効果は、噴門がたまあたま胸腔内に入り込むのを防ぐことである。しかし、このデバイスは、食道内を移動すること、および食道を損傷することを含む、多くの合併症を伴う。
【0005】
医療デバイスの埋め込みの経験から、埋め込まれたデバイスとヒト組織との間の縫合は長期間持続しないことが知られている。デバイスの長期間埋め込みのために、デバイスを適所に保持する可能な策は2つある。第1の解決策は、ヒト組織をヒト組織に縫合し、それにより、デバイスを適所に保持するものであった。第2のアプローチは、短期間にデバイスを適所に保持する縫合糸を用意し、ヒト組織をデバイス内に成長侵入させてデバイスを長期間にわたって適所に保持するものであった。
【0006】
食道に関連する埋め込み可能なデバイスを形成するうえでの問題点として、食道の外面が食道筋肉組織のみからなり、非常に傷つきやすい、あるいは移動しやすいことが挙げられる。これが、おそらく、上述のAnglechik補綴が結果として移動などの多くの合併症を引き起こした1つの理由である。
【0007】
その一方で、胃は、その外側に漿膜を有し、これにより、縫合に対しかなり強い膜をなす。したがって、デバイスを胃壁に直接縫合することは、埋め込まれたデバイスを食道に縫合するのと比べてよい結果をもたらす。
【0008】
今日では、従来の治療法に比べてより効果的であり、結果として重症合併症を引き起こさないGERDの長期治療が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一目的は、逆流性食道炎(GERD)の既存の外科治療に関連する問題のいくつかを克服するか、または少なくとも軽減することである。
【0010】
本発明の別の目的は、逆流性食道炎を治療するための装置を実現することである。
【0011】
これらの目的および他の目的は、添付の特許請求の範囲において説明されている装置によって達成される。したがって、生体適合性材料を含む外面を有する埋め込み可能な移動制限デバイスを含む胃酸逆流性疾患の治療用の装置を提供し、その際に、患者の横隔膜と胃底壁との間のある位置で、外面の少なくとも一部が患者の胃底壁に当たる形で置かれるように移動制限デバイスを構成し、患者の横隔膜に向かう患者の胃の噴門切痕の移動が制限されるようにすることによって、逆流性疾患を治療するための装置が得られる。移動制限デバイスは、少なくとも125mm3サイズ、および少なくとも15mmの外周長を有
し、患者の胃の噴門切痕が患者の横隔膜に向かって移動するのを制限し、それにより、噴門が滑脱(スライド)して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔内に入るのを防ぎ、患者の噴門括約筋に対する患者の腹部から加えられる支持圧力を維持する。固定デバイスは、移動制限デバイスを前記位置に固定するように構成される。
【0012】
胃底は食道に比べて傷つきやすいため、埋め込まれた移動制限デバイスの外面を胃底壁に当接するように構成することによって、組織への損傷の移動などの合併症のリスクを最小限度に抑えられる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の実施形態では、固定デバイスは、移動制限デバイスを前記位置に固定するために移動制限デバイスを取り囲む胃底壁の部分をつなぎ合わせる縫合糸またはステープラ(ホチキス針)を含む。つまり、移動制限デバイスは、少なくとも部分的には、陥入空間内に留置される。したがって、埋め込み可能な移動制限デバイスをこの方法で間接的に固定することによって、移動制限デバイスと組織との間の縫合は不要になり、延いては、合併症のリスクもさらに低減する。移動制限デバイスをこの方法で適所に保持する結果、長期間特性が改善された弾性支持が得られた。
【0014】
縫合糸またはステープラなどの固定デバイスは、移動制限デバイスを患者の胃壁の内側または外側から実質的にまたは完全に陥入するように胃底壁の部分をつなぎ合わせることができる。移動制限デバイスが、患者の胃壁の外側に留置される場合、移動制限デバイスは、移動制限デバイスの体積を実質的に超える体積だけ、胃腔が実質的に減少するように胃底壁によって陥入される。
【0015】
本発明の第2の実施形態では、固定デバイスは、前記位置にある移動制限デバイスを胃底壁に取り付ける埋め込み可能な第1の固定デバイス、間接的にまたは直接的に、移動制限デバイスを患者のHis角の近くで食道に固定する第2の固定デバイス、および間接的にまたは直接的に、移動制限デバイスを患者の横隔膜筋肉または関連する筋肉に固定する第3の固定デバイスを含む。第1、第2、および第3の固定デバイスのうちのいずれも、複数の縫合糸またはステープラで構成されうる。第1の固定デバイスは、移動制限デバイスを胃壁に長期間取り付けておくための組織成長促進構造を備えることができる。組織成長促進構造は、比較的広い接触表面が胃に向くようにして胃壁に縫合することができる。ネットなどの構造の比較的広い表面があれば、長期間にわたって移動制限デバイスを適所に保持するためにヒト組織の成長侵入を行わせることができる。組織成長促進構造は、ネット状構造を胃底壁に取り付ける縫合糸またはステープラを含むことができる。
【0016】
本発明の第1の実施形態に従って移動制限デバイスを陥入することに加えて、第2の固定デバイスは、間接的にまたは直接的に、移動制限デバイスを患者のHis角に近い食道に固定するために使用することができ、また第3の固定デバイスは、間接的にまたは直接的に、移動制限デバイスを患者の横隔膜筋肉または関連する筋肉に固定するために使用することができる。
【0017】
移動制限デバイスの少なくとも一部は、胃酸によって破壊可能である、または破壊可能
でない材料から作ることができる。
【0018】
移動制限デバイスは、ゲルまたは流体で膨張可能であり、また膨張するように構成されうる。移動制限デバイスを膨張させるために流体を収容するための流体またはゲル収容部材を備えることができる。
【0019】
移動制限デバイスは、均質材料を含むことができ、また固形体とすることもできる。
【0020】
移動制限デバイスは、室を画定する囲い壁を備えることができる。
【0021】
移動制限デバイスは、剛性のある、弾性的な、または柔軟な外壁を有することができる。外壁が剛体である場合、胃運動によって生じる力を受けても変形しない状態を保持する十分な剛性を有する。上述の第1の実施形態により、移動制限デバイスが陥入される場合、移動制限デバイスは、好ましくは、患者の胃底壁によって少なくとも部分的に陥入されるように構成され、生体適合性材料を含む外面を有する本体を備える。本体の外面の実質的部分は、患者の横隔膜と陥入胃底壁の下部の部分との間で前記位置において胃壁に当接するように構成される。適宜、本体は、ショア硬度25または15より柔らかい材料で作られる。
【0022】
本体の第1の全体的設計によれば、本体は、本体を通る軸に垂直な平面内で見たときに最大の外周長を持つ。前記軸に垂直な他の平面内で見たときの本体の外周長は、最大外周長に等しいか、または最大外周長からの方向で前記軸にそって見たときに減少する。例えば、本体は、実質的に卵形、球形、意図された中央部を持つ実質的に卵に似た形状、または曲がった卵に似た形状とすることができる。
【0023】
本体の第2の全体的設計によれば、本体を通る軸に垂直な平面内で見たときの本体の外周長は、平面が前記軸にそってずれたときに少なくとも2倍に増大し減少するか、または平面が前記軸にそってずれたときに少なくとも1倍に減少し増大する。例えば、本体は、実質的に腎臓に似た形状であってもよい。
【0024】
好ましくは、本体は、胃からの腸出口より大きなサイズで寸法が決められる。本体は、30または40mm以上の最小外径を有することができ、また150、110、90、70、50、または30mmの最小外周長を有することができる。
【0025】
適宜、本体は、患者の胃壁を傷つけてしまう鋭すぎる縁のない丸い輪郭を有し、また胃底壁に寄りかかるための概して滑らかな外面を有する。
【0026】
本体は、患者の胃の内側または外側に埋め込み可能であり、外科手術によって患者の胃壁に取り付けられるように構成される。本体は、腹腔鏡検査に使用するためのトロカールの直径と比べて小さい直径を有する細身の形態を取るように変更可能であり、これにより、本体は、前記細身の形態に変えたときに、トロカールに押し通すか、または引き通すことができる。本体は、ゲルなどの流体を充填される室を画定する柔軟な外壁を備えることができ、これにより、本体をそのようなトロカールに通すことができる。あるいは、本体は、弾性圧縮性材料で構成することができ、これにより、本体をトロカールに通すことができる。
【0027】
本体は、中空であってもよく、このような中空の本体内に挿入され得るように、且つつなぎ合わせて本体の内側で1つの一体ピースを形成するようにされた少なくとも2つの個別ピースを備えることができ、これにより、腹腔鏡検査に使用するため本体をトロカールに通すことができる。あるいは、本体は、患者の体内に挿入した後に流体またはゲルで充
填するための、外壁および中空圧縮内部を備えることができる。
【0028】
本体は、注入口を持つ室を備えることができ、本体の室は、その注入口を通して流体を充填される。
【0029】
本体は、腹腔鏡検査用にトロカールに本体を押し通すか、または引き通すために使用されるように構成された少なくとも1つの保持デバイスを備えることができる。保持デバイスは、手術器具によって保持されるように構成された本体の延長部を保持するように構成されている。より具体的には、保持デバイスは、保持デバイスに通して挿入された糸またはバンドを保持するように構成される。本体が外壁を備える場合、保持デバイスは、少なくとも部分的には本体の外壁の内側に留置される。
【0030】
有利な一実施形態では、本体は、サイズが調節可能であり、患者の胃底壁内に陥入される。その結果、本体は、そのサイズが大きくなったときに患者の胃底壁を引き伸ばし、これにより、肥満を患っている患者も満腹させる。患者の胃壁の異なる部分を引き伸ばすために少なくとも2つの埋め込み可能な調節可能引き伸ばしデバイスを備え、これにより、患者の食欲に効率的に影響を及ぼすことによって肥満を治療することができる。2つの引き伸ばしデバイスは、患者の体外から適切に調節され、これにより、第1の引き伸ばしデバイスは、患者の胃壁の第1の部分を引き伸ばすように初回に調節され、第2の引き伸ばしデバイスは、患者の胃壁の第2の部分を引き伸ばすように2回目に調節される。
【0031】
引き伸ばしデバイスは、液圧で調節することもできる。この場合、液圧式調節引き伸ばしデバイスに接続された皮下埋め込み可能液圧タンクを備え、これにより、液圧式調節引き伸ばしデバイスは、液圧タンクを手で圧すことによって非侵襲的に調節される。さらに、移動制限デバイスは、適宜、膨張可能な本体を備え、ポンプおよび本体と流体接触している室が備えられ、ポンプは、本体から室へ流体または空気を送り込むことによって液圧タンクを調節する。
【0032】
装置は、刺激パルスを噴門筋に送出して噴門筋を刺激し、これにより噴門をさらに閉じて逆流疾病を付加的に予防する埋め込み可能刺激デバイスを備えることができる。刺激デバイスは、少なくとも1つの導体と、刺激パルスを受け取り、それらを噴門筋に印加し、それによって噴門筋を刺激する少なくとも1つの電極とで構成される。少なくとも1つの電極は、胃食道縫合または胃壁内の陥入によって適所に保持することもできる。刺激パルスは、パルス列として送出することができ、このパルス列は、間にタイムブレイクを入れて繰り返され、ブレイクはパルス列内のそれぞれのパルスの間のブレイクを延ばす。刺激デバイスは、電子回路およびエネルギー源、好ましくはそれらを一体的に組み込んだ構成としたものを備えることができる。一実施形態では、刺激デバイスによる噴門の刺激は、括約筋緊張を高めて噴門を完全に閉じるためにエネルギー・パルスを使用して行われ、刺激デバイスを制御するための制御デバイスは、刺激デバイスを動作させるために患者によって操作可能であり、その動作状態において、刺激デバイスは、噴門括約筋が前記エネルギー・パルスで刺激される運転モードと噴門が刺激されない静止モードとの間で患者が嚥下しないときに連続的に交互動作する。
【0033】
刺激デバイスは、好ましくは、患者の身体パラメータまたは移動制限デバイスの機能パラメータを感知するための少なくとも1つのセンサ、および刺激デバイスを制御するための内部制御ユニットを備える。
【0034】
通常は、内部制御ユニットは、センサからの情報に応答して刺激デバイスを制御する。
【0035】
食道の収縮波、または食物摂取に相関する任意の他のパラメータを感知するセンサは、
情報を内部制御ユニットに送信し、次いで、内部制御ユニットは、センサからのそのような情報に応答して刺激を停止する。
【0036】
刺激デバイスは、いつでも、患者によって制御することができる。
【0037】
本発明は、逆流疾病を治療する腹部外科治療法にさらに関する。
【0038】
第1の方法によれば、患者の逆流疾病は、患者に埋め込まれたときに、横隔膜筋肉に関する胃切痕の移動を制限し、噴門が上に滑脱して横隔膜裂孔開口部を通るのを防ぐ移動制限デバイスを埋め込むことによって治療される。この方法は、針またはチューブ状器具を患者の身体の腹部に挿入するステップと、針またはチューブ状器具を使用して患者の腹部にガスを充填するステップと、少なくとも2つの腹腔鏡検査トロカールを患者の体内に留置するステップと、カメラを腹腔鏡検査トロカールの1つに通して患者の腹部に挿入し、少なくとも1つの切開具を前記少なくとも2つの腹腔鏡検査トロカールのうちの1つに通して挿入するステップと、胃の一領域を切開するステップと、デバイスを腹腔内に導入するステップと、デバイスを胃底壁の外側に置くステップと、デバイス用に胃底壁内に袋を形成するステップと、胃底壁に縫合糸またはステープラを施すことによってデバイスをこの袋内に陥入し、これにより、噴門が滑脱して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔内に入るのを防ぎ、患者の噴門括約筋を支持する患者の腹部からの圧力支持を維持するステップとを含む。
【0039】
第1の方法と同じ目的のために逆流疾病を治療する第2の腹部治療法では、初期ステップを使用し、これは、胃底壁内に穴を形成することと、移動制限デバイスを腹腔内に導入することと、デバイスを穴に通し、胃内に導入することと、デバイスを胃底壁の内側に置くことと、胃底壁の内側に留置されているデバイス用に胃腔の外側に袋を形成することと、胃底壁に縫合糸またはステープラを施すことによってデバイスをこの袋内に陥入し、噴門が滑脱して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔内に入るのを防ぎ、患者の噴門括約筋を支持する患者の腹部からの支持圧力を維持することとを含む。
【0040】
患者の逆流疾病を治療する第3の腹部治療法は、すでに開示されている方法と同じ目的のために移動制限デバイスを埋め込むことを含み、また患者の腹壁を外科的に切開して開口部を形成するステップと、患者の胃の一領域を切開するステップと、移動制限デバイスを腹腔切開部に通して導入するステップと、胃底壁にデバイスを取り付け、これにより、噴門が滑脱して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔内に入るのを防ぎ、患者の噴門括約筋を支持する患者の腹部からの支持圧力を維持するステップとを含む。第1の代替形態によれば、この方法は、デバイスを胃底壁の外側に置くことと、デバイス用に胃底壁内に袋を形成することと、胃底壁に縫合糸またはステープラを施すことによってデバイスをこの袋内に陥入し、これにより、噴門が滑脱して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔内に入るのを防ぎ、患者の噴門括約筋を支持する患者の腹部からの支持圧力を維持することとを含む。第2の代替形態によれば、この方法は、胃底壁内に穴を形成することと、移動制限デバイスを穴に通し、胃内に導入することと、デバイスを胃底壁の内側に置くことと、デバイス用に胃底壁に袋を形成することと、胃底壁に縫合糸またはステープラを施すことによってデバイスをこの袋内に陥入し、噴門が滑脱して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔内に入るのを防ぎ、患者の噴門括約筋を支持する患者の腹部からの支持圧力を維持することとを含む。
【0041】
この方法は、縫合糸またはステープラを施すことによってデバイスを胃底壁に固定すること、および/または縫合糸またはステープラを施すことによって胃底壁を患者の食道の下部に固定すること、および/または胃底壁を患者の横隔膜筋または関連する筋肉に固定することをさらに含む。この方法は、患者の体外から逆流治療デバイスを調節するための
装置を備えることと、前記装置を動作させて逆流治療デバイスを調節することとをさらに含むことができる。逆流治療デバイスの調節は、埋め込まれたときに充填体の体積を変えることを含むことができる。この目的のために、これらの方法は、埋め込まれた充填体内に注入するための流体を入れた噴射型注射器を備えることと、一定体積の流体を充填体に注入することとを含むことができる。好ましくは、これらの方法は、デバイスを袋に封入することを含む。一実施形態では、この方法では、袋を少なくとも部分的に開いておき、これにより、袋が開口部を1つだけ示すか、袋が2つの開口部を示し、胃の周りに非円周的に延在するようにできる。一般的に、袋の容積は15ミリリットル超であることが好ましい。
【0042】
逆流疾病を治療する他の腹腔鏡検査腹部治療法は、針またはチューブ状器具を患者の身体の腹部に挿入することと、針またはチューブ状器具を使用して患者の腹部にガスを充填することと、少なくとも2つの腹腔鏡検査トロカールを患者の体内に留置することと、カメラを腹腔鏡検査トロカールの1つに通して患者の腹部に挿入することと、少なくとも1つの切開具を前記少なくとも2つの腹腔鏡検査トロカールのうちの1つに通して挿入することと、胃の一領域を切開することと、デバイス用に胃底壁から袋を形成することと、縫合糸およびステープラを施すことによって袋を閉じることと、注入可能充填材料を含む注入部材を導入することと、充填材料を袋の中に注入し、これにより、患者が立位にあるときに患者の噴門の近く、および上にある患者の腹部内の容積を充填する充填体を形成し、噴門が滑脱して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔内に入るのを防ぎ、患者の噴門括約筋を支持する患者の腹部内の圧力を維持することとを含む。
【0043】
逆流疾病を治療する他の外科腹部治療法は、患者の腹部内に入るように皮膚を切って開口部を形成し胃の一領域を切開することと、デバイス用に胃底壁から袋を形成することと、縫合糸およびステープラを施すことによって袋を閉じることと、注入可能充填材料を含む注入部材を導入することと、充填材料を袋の中に注入し、これにより、患者が立位にあるときに患者の噴門の近く、および上にある患者の腹部内の容積を充填する充填体を形成し、噴門が滑脱して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔内に入るのを防ぎ、患者の噴門括約筋を支持する患者の腹部内の圧力を維持することとを含む。
【0044】
説明されている他の方法は、胃底壁の外側に袋を形成し、充填体が胃底壁の内側に当たるように留置することを含むことができるか、あるいは、これらの方法は、胃底壁内に穴を形成することを含み、袋は、胃底壁の内側に形成され、充填体が胃底壁の外側に当たるように留置される。説明されている他の方法は、好ましくは、縫合糸またはステープラを施すことによって胃底壁を患者の食道の下部に固定すること、および/または胃底壁を患者の横隔膜筋または関連する筋肉に固定することも含む。また、一般的に、袋の容積は15ミリリットル超であることが好ましい。充填材料は、好ましくは、流体材料から半固体または固体材料への硬化プロセスを受けることができる。このような硬化プロセスは、好ましくは、周囲温度から体温までの温度上昇によって誘発される。当業者によく知られている、好適なこのような材料は、(架橋剤および触媒の存在下で)熱の影響の下で架橋反応を受けうる熱硬化性ポリシロキサンである。
【0045】
患者に埋め込まれたときに、横隔膜筋肉に関する胃切痕の移動を制限し、噴門が上に滑脱して横隔膜裂孔開口部を通るのを防ぐ移動制限デバイスを埋め込むことによって患者の逆流疾病を治療するさらに他の腹腔鏡検査腹部治療法は、針またはチューブ状器具を患者の身体の腹部に挿入するステップと、針またはチューブ状器具を使用して患者の腹部にガスを充填するステップと、少なくとも2つの腹腔鏡検査トロカールを患者の体内に留置するステップと、カメラを腹腔鏡検査トロカールの1つに通して患者の腹部に挿入するステップと、少なくとも1つの切開具を前記少なくとも2つの腹腔鏡検査トロカールのうちの1つに通して挿入するステップと、胃の一領域を切開するステップと、胃底壁内に穴を形
成するステップと、移動制限デバイスを腹腔内に導入するステップと、デバイスを穴に通し、胃内に導入するステップと、デバイスを胃底壁の外側に置くステップと、胃底壁の外側に留置されるデバイスを固定するステップと、噴門が滑脱して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔内に入るのを防ぎ、患者の噴門括約筋を支持する患者の腹部からの支持圧力を維持するステップとを含む。この方法は、縫合糸またはステープラを施すことによってデバイスを胃底壁に固定するステップをさらに含むことができる。
【0046】
本発明は、前述の腹腔鏡検査法のいずれかとともに使用するのに適している、逆流疾病を治療するためにヒト患者の胃底壁内に陥入すべき移動制限デバイスを備えるための腹腔鏡器具にも関係する。この腹腔鏡器具は、全体的に、腹腔鏡下手術時に患者の腹部内に導入される腹腔鏡検査トロカールの直径に比べて小さい直径を有する、近位端および遠位端を有する細長い部材と、胃底壁を押すための押しデバイスであって、胃底壁の、胃腔内へと突き出るチューブ形状部分を形成するためのものであり、且つそのチューブ形状部分内に陥入されるべき移動制限デバイスを含んでいる、押しデバイスとを備える。この胃押しデバイスには、それと一緒になって腹腔鏡器具が胃底壁のチューブ形状部分を形成するのを補助するために胃底を吸引する真空吸引デバイスをも備える。真空吸引デバイスは、腹腔鏡器具の近位端から遠位端に至り、腹腔鏡器具の端部のところにある真空通路を備え、その端部には押しデバイスがある。真空通路は、押しデバイスに付着するように胃壁部分を吸引しチューブ状胃壁部分をさらに形成するように構成された複数の小さな開口部に分けられる。腹腔鏡器具は、移動制限デバイスをチューブ状形状胃部分内に導入するように構成された挿入デバイスをさらに備える。腹腔鏡器具は、前記開口部内での胃間クランプによって、実質的に閉じられているチューブ状部分の開口部を保持するための少なくとも1つの締め付けデバイスをさらに備えることができ、この腹腔鏡器具は、開口部を後から縫合できるような形で少なくとも1つの締め付けデバイスを開口部のところに配置するように構成される。腹腔鏡器具は、縫合の前または後に移動制限デバイスを膨張させるための膨張デバイスをさらに備えることができる。腹腔鏡器具は、移動制限デバイスを取り囲む少なくとも部分的に閉じられた空間を形成するために胃間縫合糸でチューブ状部分の開口部を縫合するように構成された縫合デバイスをさらに備えることができ、この腹腔鏡器具は、胃底壁内に少なくとも部分的に陥入された移動制限デバイスを残して撤去されるように構成される。縫合デバイスは、その遠位端のところで胃内に配置される細長い部材上に設けられた第1および第2の縫合糸位置決め部材を備えることができる。腹腔鏡器具は、胃壁がカップ状部分の開放端の両側にある状態で第1および第2の縫合糸位置決め部材が互いの前にある位置において第1および第2の縫合部材を調整するように構成され、また一列の胃間縫合糸で胃底壁のカップ状部分の開放端を縫合するように構成された操作デバイスをさらに備える。縫合デバイスは、好ましくは、患者の身体の外側から縫合糸を再装填可能であり、前記一列の胃間縫合糸で胃底壁のカップ状部分の開放端を縫合するように構成されている、操作可能再装填可能多重縫合デバイスを備え、この一列の縫合糸は同時に縫合される2つまたはそれ以上の縫合糸またはステープラを含む。縫合デバイスは、2つまたはそれ以上の縫合糸を同時に縫合するために複数の縫合糸を備えることもできる。
【0047】
本発明は、患者に埋め込まれたときに、横隔膜筋に関する胃切痕の移動を制限し、噴門が上に滑脱して横隔膜裂孔開口部を通るのを防ぐ埋め込み可能移動制限デバイスを備えるデバイスを埋め込むことによって患者の逆流疾病を治療する腔内治療法にも関する。この方法は、患者の食道内に、また胃の中に胃内視鏡を導入するステップと、前記胃内視鏡内に組み込まれている、または前記胃内視鏡とは独立した、器具を患者の食道内に、また胃の中に導入するステップと、デバイスを収容するために、前記器具を使って、胃底壁から袋を形成するステップと、胃底壁に縫合糸またはステープラを施すことでデバイスを袋内に陥入し、これにより噴門が滑脱して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔内に入るのを防ぎ、患者の腹部から加えられる患者の噴門括約筋に対する支持圧力を維持するステップ
とを含む。第1の代替形態では、この方法は、器具を使ってデバイスを胃内に導入するステップと、前記器具を使用して、デバイスを胃底壁の内側に置くステップと、デバイスを胃底壁の内側に当たるように留置し、前記器具を使って胃腔の外側の胃底壁の一部の中に袋を形成するステップと、縫合糸またはステープラを胃底壁に施すことで袋の中にデバイスを陥入するステップとを含む。第2の代替形態では、この方法は、前記器具を使って、胃底壁の一部の袋を形成するステップと、器具を使ってデバイスを袋の中に導入するステップと、縫合糸またはステープラを胃底壁に施すことでデバイスを陥入するステップとを含む。この代替形態によれば、この方法は、好ましくは充填流体をデバイス内に注入して充填体積が得られるようにすることによってデバイスをその充填体積になるまで膨張させることを含む。したがって、充填流体は、前述の熱硬化性ポリシロキサンなどの、前のほうで説明されている特性を持つ硬化性流体とすることができる。第3の代替形態によれば、この方法は、胃底壁内に穴を形成するステップと、器具を使ってデバイスを胃の中に導入するステップと、デバイスを穴の中に通して、デバイスを胃底壁の外側に置くステップと、デバイスを胃底壁の外側に当たるように留置して、前記器具を使って胃腔の内側の胃底壁の一部の袋を形成するステップと、縫合糸またはステープラを胃底壁に施すことで袋の中にデバイスを陥入するステップと、縫合糸またはステープラで穴を封止するステップとを含む。第4の代替形態によれば、この方法は、胃底壁内に穴を形成するステップと、前記器具を使って、胃腔の内側の胃底壁の一部の袋を形成するステップと、器具を使ってデバイスを胃の中に導入するステップと、デバイスを穴の中に通して、デバイスを胃底壁の外側に置くステップと、器具を使ってデバイスを袋の中に導入するステップと、縫合糸またはステープラを胃底壁に施すことでデバイスを陥入するステップと、縫合糸またはステープラで穴を封止するステップとを含む。また、この方法は、好ましくは充填流体をデバイス内に注入して充填体積が得られるようにすることによってデバイスをその充填体積になるまで膨張させることを含むことができる。充填流体は、前述のすべての特性を持つことが可能である。この方法は、縫合糸またはステープラを施すことによってデバイスを胃底壁に固定すること、および/または縫合糸もしくはステープラを施すことによって胃底壁を患者の食道の下部に固定すること、および/または胃底壁を患者の横隔膜筋または関連する筋肉に固定することも含む。この方法は、患者の体外から逆流治療デバイスを調節するための装置を備えることと、前記装置を動作させて逆流治療デバイスを調節することとを含むこともできる。逆流治療デバイスの調節は、好ましくは、埋め込まれたときに充填体の体積を変えることを含む。この目的のために、この方法は、埋め込まれた充填体内に注入するための流体を入れた噴射型注射器を備えることと、一定体積の流体を充填体に注入することとを含むことができる。充填流体は、前の節で説明されているような性質を持つ硬化性流体とすることができる。この方法で形成された袋は、移動制限デバイスを取り囲みうるか、または少なくとも部分的に開いているものとしてもよく、一例では、開口部を1つだけ有し、他の例では、2つの開口部があり、胃の周りに非円周的に延在する。好ましくは、袋の容積は15ミリリットル超である。この方法では、一般的に、胃内視鏡および器具が一体化されているのが好ましい。この方法は、ガスで胃を膨張させることをさらに含むことができる。この方法の特別な一実施形態では、胃底壁から袋を形成したときに器具が真空状態を発生する。
【0048】
本発明は、逆流疾病を患っている患者の噴門および胃底の配置を復元する方法にも関し、これは、少なくとも1つの柔軟な部分を有する細長い器具を患者の食道内に導入することと、器具によって保持デバイスを活性化し、前記活性化された保持デバイスが前記器具より広い断面積を有することと、遠位にある食道または胃を前記保持デバイスで保持することと、器具を遠位方向に移動して押すことで、横隔膜の上に不正に配置されていた噴門および胃壁、または胃底の一部を滑脱させて横隔膜、またはその関連する筋肉の下の適切な位置に戻すこととを含む。第1の代替形態において、この方法は、保持デバイスを食道の噴門の上、半径方向に拡大することと、このデバイスを使用して、噴門および胃壁または胃底の一部を横隔膜またはその関連する筋肉の下に押し込むこととを含む。第2の代替
形態において、この方法は、胃の下部内の器具の近位端のところでバルーン部材を解放することと、この部材を使用して、噴門および胃底または胃底の一部が横隔膜またはその関連する筋肉の下に滑脱するように胃の下側壁部分に器具を押し当てることとを含む。第3の代替形態において、この方法は、器具の遠位端を横隔膜またはその関連する筋肉のレベルに配置することと、部材を半径方向に拡大することと、部材を胃壁に取り付けることと、噴門および胃壁または胃底の一部が横隔膜またはその関連する筋肉の下にスライドするように器具を遠位方向に押すこととを含む。すべての説明されている代替形態による方法は、食道および胃壁を器具に固定するために縫合糸またはステープラまたは他の侵襲的機械的部材を備えることができる器具の遠位部分で保持デバイスの一部として固定部材を使用することを含むことが可能であり、好ましくは、この方法は、前記噴門の上の食道の下部に胃底壁を縫合するために縫合糸またはステープラを備えることができる器具の遠位部分で縫合部材を使用することを含む。
【0049】
本発明は、裂孔ヘルニアを患っている患者を治療するための外科用胃内視鏡器具も対象とし、その場合、患者の胃の一部分が、患者の噴門が胸腔内の横隔膜筋の上に留置されている横隔膜筋の裂孔を通る。器具は、(i)近位端と遠位端とを有する細長い部材であって、前記細長い部材は患者の食道の直径よりも小さい直径を有し、柔軟であり、これにより、柔軟な細長い部材を、その遠位端を先頭にして、喉から食道内に導入することができる細長い部材と、(ii)保持デバイスであって、細長い部材に固定され、患者の食道または胃に係合し保持するように保持デバイスが構成されている、活性化状態と食道または胃から解放されるように保持デバイスが構成されている、非活性化状態との間で操作可能である保持デバイスと、(iii)患者の体外から前記活性化状態と非活性化状態とを切り換えるように保持デバイスを動作させるための操作デバイスと、(iv)細長い部材を遠位に移動するために手で押さえられるように細長い部材にその近位端のところで接続されているハンドルとを備え、保持デバイスは、その活性化状態で操作デバイスによって作動されたときに、細長い部材が、手で移動すると、噴門を遠位方向に移動して戻し横隔膜筋の下の適切な位置に再導入できる十分な強さで食道または胃と係合し、保持するように構成されている。器具の操作可能保持デバイスは、好ましくは、細長い部材に関して前記非活性化状態から前記活性化状態に半径方向に拡大し、前記保持デバイスが、半径方向に拡大されたときに、力と摩擦によって胃または食道と係合し、保持するように構成される。あるいは、操作可能保持デバイスは、保持デバイスがその活性化状態にあるときに、食道または胃に保持デバイスを固定するため胃または食道の壁の中に侵襲的に導入するように構成された少なくとも1つの導入部材を備える。両方の代替形態において、操作可能保持デバイスは、噴門の近位で、または噴門のところで食道と係合し保持するように、または噴門が横隔膜筋の上にあるときに、裂孔もしくはその遠位の位置で胃と係合し、保持するように構成される。他の代替形態によれば、保持デバイスが食道または胃を保持する活性化状態にある場合に食道内に留置されている第1の縫合糸位置決め部材と、細長い部材の遠位端にある第2の縫合糸位置決め部材とを備える。器具の操作デバイスは、胃切痕の周りの柔軟な細長い部材を曲げて、胃底壁および食道壁が第1および第2の縫合糸位置決め部材によって一緒に移動される、第1の縫合糸位置決め部材が噴門の上にあり、第1および第2の縫合糸位置決め部材が互いの前に来る位置に配置するように構成される。器具は、一列の縫合糸で噴門の近位にある患者の食道を胃底壁と一緒に縫合するための再装填可能多重縫合デバイスをさらに備え、胃底壁および食道壁は、第1および第2の縫合糸位置決め部材によって一緒に移動され、前記一列の縫合糸は多重縫合デバイスによって同時に縫合される2つまたはそれ以上の縫合糸を含む。
【0050】
本発明は、裂孔ヘルニアを患っているヒト患者を治療するための外科用胃内視鏡器具の他の実施形態をさらに含む。この器具は、(i)近位端と遠位端とを有する細長い部材であって、前記細長い部材は患者の食道の直径よりも小さい直径を有し、柔軟であり、これにより、柔軟な細長い部材を、その遠位端を先頭にして、患者の喉から食道内に導入する
ことができる細長い部材と、(ii)細長い部材の遠位端が胃内に留置される形で細長い部材が食道内に導入されたときに噴門の近位にある食道内に置かれるように細長い部材上に備えられた第1の縫合糸位置決め部材と、(iii)細長い部材上にその遠位端のところで設けられた第2の縫合糸位置決め部材と、(iv)胃切痕の周りの柔軟な細長い部材を曲げて、胃底壁および食道壁が第1および第2の縫合糸位置決め部材によって一緒に移動される第1および第2の縫合糸位置決め部材が互いの前に来る位置に配置するように構成された操作デバイスと、(v)一列の縫合糸によって噴門の近位にある患者の食道を胃底壁と一緒に縫合するための再装填可能多重縫合デバイスとを備え、胃底壁および食道壁は、第1および第2の縫合糸位置決め部材によって一緒に移動され、多重縫合デバイスは第1の列の縫合糸の前および後にさらに数列の縫合糸を施すために体外から縫合糸を再装填可能であり、前記一列の縫合糸は多重縫合デバイスによって同時に縫合される2つまたはそれ以上の縫合糸を含む。器具は、細長い部材に固定された保持デバイスをさらに備え、この保持デバイスは、患者の食道または胃と係合し保持するように保持デバイスが構成されている、活性化状態と食道または胃から解放されるように保持デバイスが構成されている、非活性化状態との間で操作可能である。保持デバイスは、患者の体外から前記活性化状態と非活性化状態とを切り換える操作デバイスと、細長い部材を遠位に移動するために手で押さえられるように細長い部材にその近位端のところで接続されるハンドルとによって操作可能であり、保持デバイスは、前記活性化状態で操作デバイスによって作動されたときに、細長い部材が、手で移動すると、噴門を遠位方向に移動して戻し横隔膜筋の下の適切な位置に再導入できる十分な強さで食道または胃と係合し、保持するように構成されている。一実施形態では、操作可能保持デバイスは、細長い部材に関して前記非活性化状態から前記活性化状態に半径方向に拡大し、保持デバイスが、半径方向に拡大されたときに、力と摩擦によって胃または食道と係合し、保持するように構成される。他の代替形態では、操作可能保持デバイスは、保持デバイスがその活性化状態にあるときに、食道または胃に保持デバイスを固定するため胃または食道の壁の中に侵襲的に導入するように構成された少なくとも1つの導入部材を備える。両方の代替形態において、操作可能保持デバイスは、噴門の近位で、または噴門のところで食道と係合し保持するように、または噴門が横隔膜筋の上にあるときに、裂孔もしくはその遠位の位置で胃と係合し、保持するように構成される。
【0051】
本発明は、逆流疾病を治療するためにヒト患者の胃底壁内に陥入すべき移動制限デバイスを備えるための外科用胃内視鏡器具のさらに他の実施形態をさらに備える。器具は、(i)近位端と遠位端とを有する細長い部材であって、細長い部材は患者の食道の直径よりも小さい直径を有し、柔軟であり、これにより、柔軟な細長い部材が、その遠位端を先頭にして、患者の喉、食道を通り、胃に入り、胃底壁に導入されるようにすることができる細長い部材と、(ii)細長い部材を穴に通して導入できるように、胃底壁を貫通して胃底壁に穴を形成するために細長い部材がその遠位端のところに備えられる操作可能胃貫通デバイスと、(iii)前記胃壁を貫通するときに、細長い部材を、その細長い部材が胃底壁を通って延在し、穴を通り近位方向に進むことが妨げられる位置に保持するために貫通デバイスの近位の細長い部材上に設けられた、細長い部材に対し実質的に垂直で少なくとも半径方向に拡大可能であり胃底壁にその外側で当接する拡大可能部材を備える操作可能な特殊保持デバイスと、(iv)胃底壁内に陥入されるように移動制限デバイスを胃底壁の穴に挿入してその外へ出すための挿入デバイスとを備える。器具は、胃底壁にその内側で当接するように特殊保持デバイスの近位の細長い部材に設けられた形成デバイスをさらに備えることができる。形成デバイスは、特殊保持デバイスと併せて、胃底壁をカップ状形状に形状するように構成され、これにより、特殊保持デバイスは、形成デバイスに関して引き込み可能であり、胃壁を引っ張って形成デバイスに当て、胃の前記カップ状形状部分を形成する。器具は、胃間縫合糸で胃底壁のカップ状部分の開放端を縫合し、胃底壁の一部分によって少なくとも部分的に囲まれている空間を形成するように構成された縫合デバイスをさらに備えることができる。縫合デバイスは、好ましくは、2つまたはそれ以
上の縫合糸を同時に縫合するために複数の縫合糸を備える。縫合デバイスは、移動制限デバイスが挿入デバイスによって胃底壁の穴に通して挿入される前に胃底壁のカップ状部分の開放端を縫合するように構成される。器具は、挿入デバイスによって胃底壁の穴に通して導入された後に移動制限デバイスを膨張させるか、または胃底壁の穴に通して導入された移動制限デバイスによって導入された後に移動制限デバイスを膨張させるための膨張デバイスをさらに備えることができる。縫合デバイスは、患者の身体の外側から縫合糸を再装填可能であり、一列の胃間縫合糸で胃底壁のカップ状部分の開放端を縫合するように構成されている、操作可能再装填可能多重縫合デバイスを備えることができ、この一列の縫合糸は同時に縫合される2つまたはそれ以上の縫合糸またはステープラを含む。他の代替形態では、器具は、膨張可能な移動制限デバイスを備え、貫通デバイスは、胃底壁の穴を通して導入され、少なくとも腹壁まで送られるか、またはそこに通されるように構成されたワイヤを備える。ワイヤは、移動制限デバイスが挿入デバイスによって胃底壁の穴に通して挿入されたときに、膨張可能な移動制限デバイスに接続され、膨張可能な移動制限デバイスに流体を充填し、またその量を調節するために皮下留置される注入口に接続可能である、液圧チューブ用のガイドとして機能する。
【0052】
本発明は、逆流疾病を治療するためにヒト患者の胃底壁内に陥入すべき膨張可能な移動制限デバイスを備えるための外科用胃内視鏡器具のさらに他の実施形態をさらに備える。器具は、(i)近位端と遠位端とを有する細長い部材であって、細長い部材は患者の食道の直径よりも小さい直径を有し、柔軟であり、これにより、柔軟な細長い部材が、その遠位端を先頭にして、患者の喉、食道を通り、胃に入り、胃底壁に導入されるようにすることができる細長い部材と、(ii)細長い部材を穴に通して導入できるように、胃底壁を貫通して胃底壁に穴を形成するために細長い部材がその遠位端のところに備えられる操作可能胃貫通デバイスとを備え、貫通デバイスは、胃底壁の穴を通して導入され、少なくとも腹壁まで送られるか、またはそこに通されるワイヤを備え、前記ワイヤは、膨張可能な移動制限デバイスに接続され、膨張可能な移動制限デバイスに流体を充填し、またその量を調節するために皮下留置される注入口に接続可能である、液圧チューブ用のガイドとして機能し、ワイヤおよびチューブの少なくとも一方を引っ張って、流体で膨張させられた移動制限デバイスが胃底壁の方へ移動し胃底壁の内側に留置され、そこで移動制限デバイスが胃底壁に陥入されるようにすることができる。好ましくは、ワイヤとチューブの少なくとも一方が、膨張した移動制限デバイスを胃底壁の方へ移動するように引っ張られたときに、胃底壁の一部が移動して通常の胃腔から突き出る胃のカップ状形状部分を形成するようにできる。器具は、胃のカップ状形状部分を形成するためにカップ状形状を有する操作可能形成デバイスをさらに備えることができる。器具は、胃間縫合糸で胃底壁のカップ状部分の開放端を縫合し、胃底壁の一部分によって少なくとも部分的に囲まれている空間を形成するように構成された縫合デバイスをさらに備えることができる。縫合デバイスは、2つまたはそれ以上の縫合糸を同時に縫合するために複数の縫合糸を備えることができる。縫合デバイスは、移動制限デバイスが胃底壁の穴に通して挿入される前に胃底壁のカップ状部分の開放端を縫合するように構成されうる。移動制限デバイスは、好ましくは、膨張可能であり、胃底壁の穴に通して導入された後に移動制限デバイスを膨張させるための膨張デバイスをさらに備える。器具は、胃内に留置された細長い部材上のその遠位端のところに設けられた第1および第2の縫合糸位置決め部材、および胃壁がカップ状部分の開放端の両側にある状態で第1および第2の縫合糸位置決め部材が互いの前にある位置において第1および第2の縫合部材を調整するように構成され、また一列の胃間縫合糸で胃底壁のカップ状部分の開放端を縫合するように構成された操作デバイスをさらに備えることができる。縫合デバイスは、患者の身体の外側から縫合糸を再装填可能であり、前記一列の胃間縫合糸で胃底壁のカップ状部分の開放端を縫合するように構成されている、操作可能再装填可能多重縫合デバイスを備えることができ、この一列の縫合糸は同時に縫合される2つまたはそれ以上の縫合糸またはステープラを含む。
本発明は、逆流疾病を治療するためにヒト患者の胃底壁内に陥入すべき移動制限デバイ
スを備える外科用胃内視鏡器具のさらに他の実施形態をさらに備える。器具は、(i)近位端と遠位端とを有する細長い部材であって、柔軟な細長い部材が、その遠位端を先頭にして、患者の喉、食道を通り、胃に入り、胃底壁に導入されることが許されるように、細長い部材は患者の食道の直径よりも小さい直径を有し、柔軟である細長い部材と、(ii)通常の胃腔から外へ突き出る胃底壁のカップ状形状部分を形成するように胃底壁を押すための、胃底壁によってそのカップ状形状部分内に陥入されるべき移動制限デバイスを含む、操作可能な胃押しデバイスと、(iii)胃間縫合糸で胃底壁のカップ状形状部分の開口部を縫合して移動制限デバイスを少なくとも一部は取り囲むように構成された縫合デバイスとを備える。器具は、胃底壁をその内側で引っ張るように押しデバイスの近位の細長い部材に設けられた形成デバイスをさらに備えることができる。形成デバイスは、押しデバイスと併せて、最適なカップ状形状に胃底壁を形成するように構成され、押しデバイスは、胃の前記カップ状形状部分を形成するように押される。器具は、胃内に留置された細長い部材上のその遠位端のところに設けられた第1および第2の縫合糸位置決め部材、および胃壁がカップ状部分の開放端の両側にある状態で前記第1および第2の縫合糸位置決め部材が互いの前にある位置において第1および第2の縫合部材を調整するように構成され、また一列の胃間縫合糸で胃底壁のカップ状部分の開放端を縫合するように構成された操作デバイスをさらに備えることができる。縫合デバイスは、患者の身体の外側から縫合糸を再装填可能であり、前記一列の胃間縫合糸で胃底壁のカップ状部分の開放端を縫合するように構成されている、操作可能再装填可能多重縫合デバイスを備えることができ、この一列の縫合糸は同時に縫合される2つまたはそれ以上の縫合糸またはステープラを含む。縫合デバイスは、2つまたはそれ以上の縫合糸を同時に縫合するために複数の縫合糸を備えることもできる。器具は、縫合の後に移動制限デバイスを膨張させるための膨張デバイスをさらに備えることができる。形成デバイスは、好ましくは、器具が押しデバイスと一緒になって胃底壁のカップ状形状部分を形成するのを補助するために胃底を吸引する真空吸引デバイスを備えることができる。前の節で説明されているように実現された胃内視鏡器具は、食道または胃の内側を調べるための光学デバイスを備えることができる。この目的のために、器具は、細長い部材にそって延伸する電線をさらに備えることができ、また光学デバイスは、細長い部材上の遠位に配置され、それらの電線に接続されたカメラを備え、これらの電線はカメラからの画像の外部露光のため患者の身体から外へ出ている。器具は、食道または胃の内側を照らすために細長い部材上の遠位に留置された光源をさらに備えることができる。光学デバイスは、細長い部材にそって敷設され、食道または胃の内側を外部から調べるために患者の身体から外へ出ている光ファイバを適宜備えることができる。
本発明は、逆流疾病および肥満を治療するための装置にさらに関する。この装置は、移動制限デバイスおよび固定デバイス、調整デバイス、無線遠隔制御機能、無線エネルギー伝送装置、および逆流疾病を治療するための装置とともに前の方で説明されているような他の機能を備える。それに加えて、逆流疾病の併用治療用の装置は、患者の体内に埋め込まれたときに、患者の胃壁の一部を引き伸ばし、それにより、患者の食欲に影響を及ぼして肥満を治療する少なくとも1つの操作可能な引き伸ばしデバイスと、埋め込まれたときに胃壁部分を引き伸ばして満腹させるように引き伸ばしデバイスを操作するための操作デバイスとを備える。引き伸ばしデバイスが胃壁を引き伸ばすことができる位置で、胃間縫合糸またはステープラによって引き伸ばしデバイスを胃壁と接触させたままにすることができる。特に、引き伸ばしデバイスは、胃間縫合糸またはステープラを使って胃壁により陥入されうる。引き伸ばしデバイスは、胃腔内に留置されるように構成することができる。この目的のために、引き伸ばしデバイスは、胃内視鏡または腔内器具を介して胃腔内に挿入されるように、また外科手術によって胃壁に取り付けられるように構成されうる。あるいは、引き伸ばしデバイスは、胃の外側に配置されるように構成することができる。一実施形態では、引き伸ばしデバイスは、胃壁の第1の部分と係合するように構成された第1の係合部材および第1の胃部分に近いが、間隔が開けられている胃壁の第2の部分と係合するように構成された第2の係合部材を備える。操作デバイスは、満腹するように胃の
第1の部分と第2の部分との間の胃壁部分を引き伸ばすために第1および第2の係合部材を操作して互いから離れるように構成される。第1および第2の係合部材の少なくとも一方は、係合部材を適所に保持する胃間縫合糸またはステープラによって胃壁により少なくとも一部は陥入されるように構成することができる。それに加えて、第1および第2の係合部材の少なくとも一方は、係合部材と胃壁との間で縫合糸またはステープラによって適所に保たれるように構成することができる。第1および第2の係合部材の少なくとも一方は、引き伸ばしデバイスを胃壁に確実に長期間取り付けたままにするため胃壁と接触するように構成された、組織成長促進構造、好ましくは、ネット状構造を備えるのが適している。他の実施形態では、引き伸ばしデバイスは、患者の胃壁の一部分によって陥入されるように構成された少なくとも1つの拡大可能な本体を備え、操作デバイスは、本体の室と流体的に連通する流体タンクを備える。操作デバイスは、流体タンクから流体を本体の室へ分配し、本体が陥入されたときに、本体を拡大して胃壁部分が引き伸ばされるようにする非侵襲的な動作が可能である。流体タンクは、手で圧すことによって操作することができる。操作デバイスは、逆転サーボを備えることができ、流体タンク内の少量の流体が大きな力で圧縮され、本体の室は、単位体積当たりの小さい力で大きな総体積の移動を生じさせる。流体タンクは、皮下留置または腹部内に留置することができ、例えば、モータによってタンクの壁を移動することで調節することができる。あるいは、タンクから本体の室へ流体または空気を送り込むためのポンプを備えることができる。「逆転サーボ手段」という用語は、より大きな力で制御されるデバイスの定義を包含しており、小さなストローク、つまり、例えば、大きな力で少量の流体を移動することにより、非常に小さな力を使って移動するより大きな量の流体を制御するが、代替として、またはそれに加えて、短いストロークを有する移動要素に作用する強い力を長いストロークを有する他の移動要素に作用する小さな力に転換するメカニズムの定義を包含することができる。逆転サーボ手段は、好ましくは、傷のない皮膚を通したデバイスの手動制御が可能な場合に使用される。他の実施形態では、逆流疾病および肥満を治療するための装置は、1つまたは複数のより小さな室と接触している大きな室を備える。これらの室は、室と室との間に分配される流体または空気と連通するように構成される。室と室との間に流体を分配するために逆転サーボを備えることができ、これにより、大きな室内の少量の流体が大きな力で圧縮され、より小さな室が、単位体積当たりの力を減らしてより大きな総体積の移動を引き起こす。大きな室は、患者の横隔膜筋に向かう噴門切痕の移動を制限することによって逆流疾病も治療するために、患者の胃底壁内に陥入されるように構成されうるが、小さな室は、肥満を治療するための引き伸ばしデバイスとして機能する。大きな室は、流体または空気を小さな室に分配して、小さな室を拡大し、胃底壁を引き伸ばすことができる。
他の実施形態では、引き伸ばしデバイスは、機械式引き伸ばしデバイスを備え、この引き伸ばしデバイスを機械的に調節するためにモータを備えることができる。機械的に調節される引き伸ばしデバイスは、胃壁の第1の部分および胃の第2の部分と係合するように構成することができ、機械的に調節される引き伸ばしデバイスは、操作デバイスによって移動されるように構成された継手メカニズムを備える。あるいは、引き伸ばしデバイスは、胃壁の第1の部分と係合するように構成された第1の係合部材および第1の胃部分に近いが、間隔が開けられている胃壁の第2の部分と係合するように構成された第2の係合部材を備えることができ、機械式引き伸ばしデバイスは、胃壁の第1の部分と第2の部分との間の距離を調節する。代替として、流体または空気の液圧分配によってそのような機械式引き伸ばしデバイスを調節するために上述の液圧式手段を使用することができる。引き伸ばしデバイスは、手術後に非侵襲的に調節可能であるものとしてもよい。引き伸ばしデバイスを操作するための操作デバイスは、その最も単純な形態において、引き伸ばしデバイスの操作のためスイッチを手で圧すことによって非侵襲的に操作されるように構成された皮下スイッチを備えることができる。胃壁の少なくとも2つの異なる部分を引き伸ばすように構成された少なくとも2つの操作可能な引き伸ばしデバイスを備えることができ、装置は手術後に、また非侵襲的に調節されるように構成されている。特に、装置は、初回に引き伸ばしデバイスの一方が胃壁の部分のうちの1つを引き伸ばし、2回目に引き伸ば
しデバイスの他方が胃壁の他の部分を引き伸ばすようにときどき調節してもよい。他の実施形態では、引き伸ばしデバイスは、胃の壁部分によって画定された容積を埋めるように構成された本体を備える。本体は、適宜、患者の胃壁を傷つけてしまう鋭すぎる縁のない丸い輪郭を有する。本体が陥入される場合、これは、うまく患者の胃壁部分によって適所に陥入されたままとなるように可変外周長を有することができる。本体は、卵形または腎臓に似た形状を持つものとしてもよい。一般に、任意の種類の機械的構造を使用できる。機械的にまたは液圧で駆動される任意の機械的構造または任意の空気圧式構造を使用することができる。任意のモータまたは任意のポンプまたは電力の供給を受けたときに形態を変える移動材料を使用して、胃壁の少なくとも2つの部分を互いから離すことによって胃壁の一部を引き伸ばすという単純な目標を達成することができる。任意の種類の液圧式操作を使用できる。液圧式操作の代わりに、空気圧式操作を使用することもでき、作動液の代わりに空気がタンクと引き伸ばしデバイスによって形成される室との間で移動することは理解されるであろう。好ましくは、タンクは、患者が取り扱う場合に所望の位置に保持するためのロッキング位置を有する。タンクを圧縮するために、これは、好ましくは、圧縮されたままであり、再び圧した後に解放される。引き伸ばしデバイスに対して、任意の種類の作動液を使用できる。作動液は、機械式に、任意のモータまたはポンプによる動力を用いて、さらには手動でも駆動できる。もちろん、胃の陥入部分を拡大するだけでも、胃壁は引き伸ばされ、この操作は、機械式、液圧式、空気圧式で、およびモータまたはポンプによる動力を用いて、または手の力で行うことができる。
【0053】
本発明は、逆流疾病の併用治療のためのシステムおよび上述のような肥満を治療するための装置を備える肥満治療システムも実現する。システムは、肥満を治療するための装置の機能を手動で、非侵襲的に制御するように構成された皮下電気スイッチを備えることができる。システムは、液圧タンクを有する液圧式デバイスを備えることができ、肥満を治療するための装置は、液圧タンクを手で圧すことによって非侵襲的に調節されるように構成されている。システムは、装置の機能を制御するための無線遠隔制御装置を備えることができる。無線遠隔制御装置は、少なくとも1つの外部信号送信機を備え、内部信号受信機を用意して患者の体内に埋め込むことができる。無線遠隔制御装置は、装置を制御するために少なくとも1つの無線制御信号を送信するように構成される。無線制御信号は、周波数変調信号、振幅変調信号、もしくは位相変調信号、またはこれらの組み合わせ、およびアナログ信号もしくはデジタル信号、またはアナログ信号とデジタル信号の組み合わせを含みうる。あるいは、無線制御信号は、電界もしくは磁界、または複合電磁界を含む。遠隔制御装置は、無線制御信号を搬送するための搬送波信号を送信することができる。搬送波信号は、デジタル信号、アナログ信号、またはデジタル信号とアナログ信号の組み合わせを含むことができる。遠隔制御装置は、デジタルまたはアナログ制御信号を搬送するための電磁搬送波信号を送信することができる。システムは、無線エネルギーを使って装置に非侵襲的に電力を供給するための無線エネルギー伝送装置を備えることができる。エネルギー伝送装置は、少なくとも1つの無線エネルギー信号によってエネルギーを伝送する。無線エネルギー信号は、音波信号、超音波信号、電磁波信号、赤外線信号、可視光信号、紫外光信号、レーザー光信号、マイクロ波信号、電波信号、X線信号、およびガンマ線信号のうちから選択される波信号を含むことができる。あるいは、無線エネルギー信号は、電界もしくは磁界、または複合電磁界を含む。無線エネルギー伝送装置は、無線エネルギー信号を搬送するための搬送波信号を送信することができる。搬送波信号は、デジタル信号、アナログ信号、またはデジタル信号とアナログ信号の組み合わせを含むことができる。システムは、第1の形態の無線エネルギーを第2の形態のエネルギーに変換するためのエネルギー変換デバイスを備えることができる。エネルギー変換デバイスは、直接的に、エネルギー伝達時に第2の形態のエネルギーで装置を動作させることができる。第2の形態のエネルギーは、直流もしくは脈動直流、または直流と脈動直流の組み合わせを含むことができる。第2の形態のエネルギーは、交流または直流と交流の組み合わせを含むことができる。アキュムレータが備えられる場合があり、第2の形態のエネルギーは、少
なくとも一部はアキュムレータを充電するために使用される。第1または第2の形態のエネルギーとしては、磁気エネルギー、運動エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、放射エネルギー、電磁エネルギー、光エネルギー、原子力エネルギー、または熱エネルギーが挙げられる。第1の形態のエネルギーと第2の形態のエネルギーのうちの一方は、非磁気エネルギー、非運動エネルギー、非化学エネルギー、非音響エネルギー、非原子力エネルギー、または非熱エネルギーとしてもよい。システムは、装置に電力を供給するように構成されたエネルギー源を備えることができる。エネルギー源は、無線モードでエネルギーを伝送する外部エネルギー源からエネルギーを受けるように構成された内部エネルギー源を含むことができる。内部エネルギー源は、無線モードでのエネルギーによってチャージされる。
【0054】
システムは、機能パラメータに関係するフィードバック情報を与えるために患者の体内から体外に情報を送信するためのフィードバック・デバイスを備えることができる。システムは、内部エネルギー源をチャージするためのエネルギー伝達に相関する、システムの機能パラメータなどの、パラメータを感知するセンサを備えることができる。機能パラメータを感知するセンサに対する応答として装置の操作デバイスを制御するために内部制御ユニットを備えることができる。あるいは、センサは、患者の身体パラメータを感知する。身体パラメータは、体温、血圧、血流、心拍、および呼吸のうちの1つとすることができる。身体パラメータ・センサには、圧力もしくは運動性センサ、または測定量、曲がり、伸び、もしくは食物摂取を感知するセンサがある。内部制御ユニットは、身体パラメータを感知するセンサに対する応答として操作デバイスを制御することができる。センサから情報を受け取るために、内部制御ユニットを備えることができる。装置の操作デバイスは、モータまたはポンプを備えることができる。特に、操作デバイスは、電気モータを備えることができる。操作デバイスは、電力の供給を受けるか、または液圧式操作デバイスであるか、または空気圧式操作デバイスであるものとしてよい。直接的に無線形態で伝送されるエネルギーは、操作デバイスに影響を及ぼし、エネルギー伝達時に装置の引き伸ばしデバイスを操作するための運動エネルギーを発生することができる。システムは、機能パラメータに関係するフィードバック情報を与えるために患者の体内から体外に情報を送信するためのフィードバック・デバイスを備えることができる。システムは、外部データ通信装置および外部データ通信装置と通信する埋め込み可能内部データ通信装置を備えることができ、内部通信装置は、肥満を治療するための装置または患者に関係するデータを外部データ通信装置にフィードバックするように構成されているか、または外部データ通信装置が内部データ通信装置にデータを供給する。システムは、少なくとも1つの電圧レベル保護装置および/または少なくとも1つの定電流保護装置を備える埋め込み可能電気コンポーネントを具備することができる。
【0055】
本発明は、逆流疾病および肥満の両方を患っている患者を治療する方法も提供する。これらの方法は、逆流疾病を治療する前の方で説明されている腹部または腔内治療法と併せて、または連携して実行されうる。本発明では、以下に示す方法を提示する。
【0056】
a)肥満患者を外科手術で治療するための方法であって、
患者の腹壁内に開口部を切開するステップと、
胃の周りに一領域を切開するステップと、
肥満を治療するための装置を上述のように留置し、患者の胃壁と係合するステップと、
胃壁を縫合するステップとを含む方法。
【0057】
この方法は、
手術後に引き伸ばしデバイスを調節し、患者の食欲に影響を及ぼすように胃壁の一部を引き伸ばす追加ステップをさらに含むことができ、引き伸ばしデバイスを調節するステップは、患者の体外から制御される。
【0058】
この方法は、
肥満を治療するための追加装置を上述のように留置し、患者の胃壁と係合する追加ステップと、
肥満を治療するための装置を使って胃壁の第1の部分を引き伸ばす追加ステップと、
肥満を治療するための追加装置を使って胃壁の第2の部分を引き伸ばす追加ステップとをさらに含むことができる。
【0059】
b)腹腔鏡検査腹部アプローチを介して患者の肥満を治療するための装置を外科的に留置するための方法であって、
針またはチューブ状器具を患者身体の腹部内に挿入し、針またはチューブ状器具を使用して患者の腹部にガスを充填し、それにより、患者の腹腔を拡大するステップと、
少なくとも2つの腹腔鏡検査トロカールを患者の体内に留置するステップと、
カメラを腹腔鏡検査トロカールの1つに通して患者の腹部に挿入するステップと、
少なくとも1つの切開具を少なくとも2つの腹腔鏡検査トロカールのうちの1つに通して挿入し、患者の意図された留置領域を切開するステップと、
肥満を治療するための装置を上述のように留置し、胃壁と係合するステップとを含む方法。
【0060】
c)上述のように肥満を治療するためのシステムを使用する方法であって、引き伸ばしデバイスを手術後に調節し、患者の食欲に影響を及ぼすように胃壁の一部を引き伸ばすステップであって、引き伸ばしデバイスを調節するステップが非侵襲的に実行される、ステップを含む方法。引き伸ばしデバイスは、機械式または液圧式引き伸ばしデバイスを備える。液圧式引き伸ばしデバイスは、ゲルまたはガスまたは流体を引き伸ばしデバイスに、または引き伸ばしデバイスから移動するために、タンクを備えることができる。タンクは、流体を手動で引き伸ばしデバイスに移動し、または引き伸ばしデバイスから移動するために、患者の手の届く形で皮下留置されうる。引き伸ばしデバイスは、引き伸ばしデバイスを引き伸ばしたり、または解放するために内部エネルギー源による動力を受けることができ、制御デバイスを使って、内部制御ユニットから、または患者の体外からの電力を制御する。無線エネルギー伝達用の無線エネルギー伝送装置が、操作デバイスに電力を供給し、これにより引き伸ばしデバイスがエネルギー伝達時に直接、引き伸ばしデバイスに胃壁を引き伸ばさせる。無線エネルギー伝達用の無線エネルギー伝送装置は、内部エネルギー源をチャージする。逆転サーボを備えることができ、閉じた液圧式システム内で少量の流体を移動すると、第2のより大きな閉じた液圧式システム内で生じる流体の移動が大きくなり、大きな体積に比べて単位面積当たりの高い力で少量の流体が移動される。患者の胃底壁内に陥入された引き伸ばしデバイスは、調節可能であるように構成され、胃底壁内に陥入留置された引き伸ばしデバイスは、調節され、胃底壁を引き伸ばしそれにより満腹させるように構成される。
【0061】
方法は、デバイスの機能パラメータに関係するフィードバックを与えるために体内から体外にフィードバック情報を送信することをさらに含むことができる。あるいは、この方法は、患者の身体パラメータに関係するフィードバックを与えるために体内から体外にフィードバック情報を送信することをさらに含むことができる。デバイスの機能パラメータは、内部エネルギー源をチャージするためのエネルギー伝達と相関するものとしてよい。デバイスは、患者の体外からプログラム可能である。
【0062】
この方法は、
患者の身体パラメータまたはデバイスの機能パラメータを感知するステップと、
引き伸ばしデバイスを調節するように構成された制御ユニットに感知情報を送信するステップとをさらに含むことができる。
【0063】
この方法は、
患者の身体パラメータまたはデバイスの機能パラメータを感知するステップと、
内部エネルギー源のチャージを調節するように構成された制御ユニットに感知情報を送信するステップとをさらに含むことができる。
【0064】
方法は、小さな制御タンクを有する逆転サーボを皮下留置することと、単位面積当たりより高い力で制御タンクから少量を移動し、単位面積当たりより小さい力で引き伸ばしデバイスのより大きな移動を発生させることとをさらに含むことができる。
【0065】
方法は、手で皮下スイッチを圧すことによって非侵襲的調節を実行することをさらに含むことができる。
【0066】
方法は、無線遠隔制御装置によって非侵襲的調節を実行することをさらに含むことができる。
【0067】
方法は、無線エネルギー伝送装置によって非侵襲的調節を実行することをさらに含むことができる。
【0068】
方法は、内部エネルギー源によって肥満を治療するための装置に電力を供給することをさらに含むことができる。
【0069】
方法は、無線エネルギーを伝送する外部エネルギー源によって肥満を治療するための装置に電力を供給することをさらに含むことができ、エネルギー源は、無線エネルギーを伝送する外部エネルギー源を備える。
【0070】
方法は、外部エネルギー源から無線エネルギーを伝送し、再充電可能内部エネルギー源をチャージすることをさらに含むことができる。
【0071】
d)上述のような装置を使用する方法であって、引き伸ばしデバイスは、胃壁を引き伸ばすように構成された1つまたは複数のより小さなタンク/室と接触する大きな室を備える本体を備え、これらの室は、室と室との間で移動される流体または空気と連通するように構成される方法。
【0072】
e)上述のような装置を使用する方法であって、大きな室は、その主体積とともに、引き伸ばしデバイスの最も重要な体積となるように構成され、小さな室は、肥満を治療するために胃壁を引き伸ばす引き伸ばしデバイスとしてのものであり、主室は、小さな室に流体またはゲルで連通し、胃底壁内に引き伸ばし効果をもたらして肥満を治療する方法。
【0073】
f)上述のような装置を使用する方法であって、大きな室をその主体積とともに胃底壁内に陥入し、患者の横隔膜筋に向かう胃切痕の移動を制限することによって逆流疾病を治療することと、小さな室を使用して胃底壁を引き伸ばし、大きな室から小さな室へ流体または空気で連通し、胃底壁内に引き伸ばし効果を引き起こして肥満を治療することとを含む方法。
【0074】
他の態様では、本発明は、食物腔を伴う胃を有する患者の逆流疾病および/または肥満を治療するための装置に関係する。装置は、全体的に、患者の胃壁部分によって少なくとも実質的に陥入されるように構成された少なくとも1つの容積充填デバイスを備え、容積充填デバイスは、胃壁の外側に留置されるように構成され、これにより、食物腔の容積が容積充填デバイスの容積を実質的に超える容積だけサイズが縮小され、容積充填デバイス
の表面は、生体適合性材料を含み、容積充填デバイスの表面の実質的部分は、胃壁の外側に当接するように構成され、容積充填デバイスは、少なくとも30ミリメートルの最大外周長を有する。装置は、好ましくは、拡大状態まで拡大可能な膨張可能デバイスを備える容積充填デバイスを備える。膨張可能デバイスは、好ましくは、流体またはゲル用の入口を有し、胃内視鏡器具に接続されるように構成される。入口は、好ましくは、容積充填デバイスおよび胃内視鏡器具を相互接続するように構成された流体接続部を備える。容積充填デバイスは、細長い形状を有する。あるいは、容積充填デバイスは、丸い形状、または曲がった、もしくは湾曲した形状を有する。容積充填デバイスは、好ましくは、弾性材料を含む。容積充填デバイスは、好ましくは、生体適合性材料を含む。好ましくは、容積充填デバイスは、シリコーンを含む。容積充填デバイスは、パリレン・コーティング、ポリテトラフルオロエチレン・コーティング、またはポリウレタン・コーティングなどの、1つまたは複数の層からなるコーティングを施すことができる。容積充填デバイスは、固体状態または固定形態に転換されるように構成される流体を含む。一実施例では、流体は、液体ポリウレタンである。他の実施例では、流体は、等張性を有する。他の実施例では、流体は、拡散を防ぐために巨大分子を含む。他の実施例では、流体は、ヨード分子を含む。容積充填デバイスは、均質材料を含む。容積充填デバイスは、固形物とすることができ、室を画定する囲い壁を備えることができ、堅い外面を備えることができ、弾性外面を備えることができ、柔軟な外面を備えることができる。容積充填デバイスは、好ましくは、少なくとも50ミリメートルの最大外周長を有し、より好ましくは、少なくとも80ミリメートルの外周長を有する。容積充填デバイスは、好ましくは、0.00001から0.001m3までの容積、より好ましくは、0.00001から0.0002m3の容積を有する。好ましくは、容積充填デバイスは、腹腔鏡検査トロカールに挿入するために、最大直径に合わせて変形可能である。容積充填デバイスは、胃間縫合糸またはステープラで適所に保持され、デバイスを胃壁に陥入するように構成される。胃間縫合糸またはステープラは、ヒト組織の成長侵入を促進するために胃壁と接触するように構成された構造を持つ固定部分を備え、胃壁に取り付けられた容積充填デバイスの長期間留置を確実なものとする。この構造は、好ましくは、ネット状構造を含む。容積充填デバイスは、手術後に非侵襲的に調節可能であるように構成される。一実施形態では、容積充填デバイスは、患者の胃壁内の適所に陥入されたままとなるようにうまく構成される可変外周長を有する。これによる装置は、胃壁の外側に留置され、胃壁の一部を引き伸ばすように構成された引き伸ばしデバイスをさらに備え、これにより、患者の食欲に影響を及ぼすことができ、装置は引き伸ばしデバイスおよび容積充填デバイスを相互接続する流体接続部をさらに備える。一実施形態では、容積充填デバイスは、胃内視鏡器具を介して胃壁の外側に留置されるように構成される。一実施形態では、容積充填デバイスは、少なくとも2つの相互接続可能部分を備え、容積充填デバイスは、別々の部分として胃壁の外側に留置されるように構成される。一実施形態では、容積充填デバイスの外面層は、ポリウレタン、Teflon(登録商標)、もしくはPTFE、またはこれらの組み合わせを含む。一実施形態では、容積充填デバイスは、酸、好ましくは、塩酸によって破壊されるように構成される。一実施形態では、容積充填デバイスは、ゲルを備え、好ましくは、ゲルは、15未満のショア値を有する。一実施形態では、容積充填デバイスは、把持器具と連携するように構成されたアタッチメント・デバイスを備える。一実施形態では、容積充填デバイスは、患者の胃壁によって完全に陥入されるように構成される。装置は、容積充填デバイスが埋め込まれたときに容積充填デバイスを適所に保持するために食物摂取低減デバイスを胃壁に固定するように構成された固定デバイスをさらに備えることができる。容積充填デバイスは、0.0002m3の容積を有し、好ましくは、0.0001から0.001m3までの容積を有する。一実施形態では、容積充填デバイスは、酸、好ましくは、塩酸によって破壊されないように構成される。好ましくは、容積充填デバイスは、少なくとも120mm、より好ましくは少なくとも150mm、さらに好ましくは少なくとも180mm、なおいっそう好ましくは少なくとも220mmの外周長を有する。容積充填デバイスは、好ましくは、柔軟な非弾性材料を含む。装置は、好ましくは、デバイスの胃壁への固定に関わるように
構成された固定デバイスを備える容積充填デバイスを具備する。一実施形態では、容積充填デバイスは、デバイスの胃壁への固定に関わるように構成された2つまたはそれ以上の固定デバイスを備える。一実施形態では、容積充填デバイスは、器具によって保持され、デバイスの埋め込みを簡素化することができるように構成された保持デバイスを備える。一実施形態では、容積充填デバイスは、器具によって保持され、デバイスの埋め込みを簡素化することができるように構成された2つまたはそれ以上の保持デバイスを備える。一実施形態では、容積充填デバイスは、デバイスに接続された少なくとも1つのチューブを備える。一実施形態では、容積充填デバイスは、前記チューブに接続するための注入口を備える。
【0075】
少なくとも1つの容積充填デバイスを備える患者の逆流デバイスおよび/または肥満を治療するためのこうして説明された装置は、限定はしないが、引き伸ばし噴門刺激デバイスなどの、前の節で開示されている機能と組み合わせることができる。少なくとも1つの容積充填デバイスを備える患者の逆流疾病および/または肥満を治療するためのこうして説明された装置は、本明細書の前の節で概要が述べられているような腹部または腔内治療法を一般的には使用することによって埋め込まれうること、および前の方で説明されている移動制限デバイスの好適な機能を容積充填デバイスとともに使用できることも考えられる。
【0076】
本明細書で説明されている任意の実施形態または実施形態の一部または機能または方法または関連するシステムまたはシステムの一部は、任意の組み合わせで組み合わせることができることに留意されたい。
【0077】
次に、本発明は、限定しない実施例により、また付属の図面を参照しつつさらに詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1A】ヒト患者の体内に埋め込まれた逆流性食道炎を治療するための装置のさまざまな実施形態を示す概略図である。
図1B】ヒト患者の体内に埋め込まれた逆流性食道炎を治療するための装置のさまざまな実施形態を示す概略図である。
図1C】ヒト患者の体内に埋め込まれた逆流性食道炎を治療するための装置のさまざまな実施形態を示す概略図である。
図2A】ヒト患者の体内に埋め込まれた逆流性食道炎を治療するための装置のさまざまな実施形態を示す概略図である。
図2B】ヒト患者の体内に埋め込まれた逆流性食道炎を治療するための装置のさまざまな実施形態を示す概略図である。
図3A】ヒト患者の体内に埋め込まれた逆流性食道炎を治療するための装置のさまざまな実施形態を示す概略図である。
図3B】ヒト患者の体内に埋め込まれた逆流性食道炎を治療するための装置のさまざまな実施形態を示す概略図である。
図4A】ヒト患者の体内に埋め込まれた逆流性食道炎および肥満を治療するための装置の実施形態を示す概略図である。
図4B】ヒト患者の体内に埋め込まれた逆流性食道炎および肥満を治療するための装置の実施形態を示す概略図である。
図4C】ヒト患者の体内に埋め込まれた逆流性食道炎および肥満を治療するための装置の実施形態を示す概略図である。
図4D】ヒト患者の体内に埋め込まれた逆流性食道炎および肥満を治療するための装置の実施形態を示す概略図である。
図5】ヒト患者の体内に埋め込まれた逆流性食道炎を治療するための装置の一実施形態を示す概略図である。
図6A】ヒト患者の体内に埋め込まれるように構成された逆流性食道炎を治療するための移動制限デバイスの代替形状を示す図である。
図6B】ヒト患者の体内に埋め込まれるように構成された逆流性食道炎を治療するための移動制限デバイスの代替形状を示す図である。
図6C】ヒト患者の体内に埋め込まれるように構成された逆流性食道炎を治療するための移動制限デバイスの代替形状を示す図である。
図6D】ヒト患者の体内に埋め込まれるように構成された逆流性食道炎を治療するための移動制限デバイスの代替形状を示す図である。
図7】ヒト患者の体内に埋め込まれるように構成された逆流性食道炎を治療するための移動制限デバイスの代替形状を示す図である。
図8】ヒト患者の体内に埋め込まれるように構成された逆流性食道炎を治療するための移動制限デバイスの代替形状を示す図である。
図9】ヒト患者の体内に埋め込まれるように構成された逆流性食道炎を治療するための移動制限デバイスの代替形状を示す図である。
図10】逆流性食道炎を治療するための埋め込まれた移動制限デバイスを使用する患者を示す全体図である。
図11】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図12】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図13】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図14】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図15】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図16】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す 概略図である。
図17】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図18】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図19】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図20】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図21】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図22】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図23】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図24】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図25】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図26】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図27】逆流性食道炎を治療するための装置に動力を供給するさまざまな方法を示す概略図である。
図28】逆流性食道炎を治療するための本発明の装置に液圧または空気圧動力を備えるさまざまな方法を示す概略図である。
図29】逆流性食道炎を治療するための本発明の装置に液圧または空気圧動力を備えるさまざまな方法を示す概略図である。
図30】逆流性食道炎を治療するための本発明の装置に液圧または空気圧動力を備えるさまざまな方法を示す概略図である。
図31】逆流性食道炎を治療するための本発明の装置に液圧または空気圧動力を備えるさまざまな方法を示す概略図である。
図32】逆流性食道炎を治療するための本発明の装置に液圧または空気圧動力を備えるさまざまな方法を示す概略図である。
図33】逆流性食道炎を治療するための本発明の装置に液圧または空気圧動力を備えるさまざまな方法を示す概略図である。
図34】逆流性食道炎を治療するための本発明の装置に液圧または空気圧動力を備えるさまざまな方法を示す概略図である。
図35】逆流性食道炎を治療するための移動制限デバイスを埋め込むときに実行されるステップを示す流れ図である。
図36】逆流疾病を患っている患者の噴門および胃底の配置を復元する方法を示す図である。
図37】逆流疾病を患っている患者の噴門および胃底の配置を復元する方法を示す図である。
図38】逆流疾病を患っている患者の噴門および胃底の配置を復元する方法を示す図である。
図39】逆流疾病を患っている患者の噴門および胃底の配置を復元する方法を示す図である。
図40】逆流疾病を患っている患者の噴門および胃底の配置を復元する方法を示す図である。
図41】逆流疾病を患っている患者の噴門および胃底の配置を復元する方法を示す図である。
図42】本発明による装置に含まれる逆流治療デバイスの異なる形状および特徴を示す図である。
図43】本発明による装置に含まれる逆流治療デバイスの異なる形状および特徴を示す図である。
図44】本発明による装置に含まれる逆流治療デバイスの異なる形状および特徴を示す図である。
図45】本発明による装置に含まれる逆流治療デバイスの異なる形状および特徴を示す図である。
図46】本発明による装置に含まれる逆流治療デバイスの異なる形状および特徴を示す図である。
図47a】本発明による装置および逆流治療デバイスを患者の胃壁の外側に留置するための器具を含む収縮させた状態の膨張可能逆流治療デバイスを示す図である。
図47b】本発明による装置および逆流治療デバイスを患者の胃壁の外側に留置するための器具を含む収縮させた状態の膨張可能逆流治療デバイスを示す図である。
図47c】本発明による装置および逆流治療デバイスを患者の胃壁の外側に留置するための器具を含む収縮させた状態の膨張可能逆流治療デバイスを示す図である。
図47d】本発明による装置および逆流治療デバイスを患者の胃壁の外側に留置するための器具を含む収縮させた状態の膨張可能逆流治療デバイスを示す図である。
図48a図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の外側に陥入する異なるステップを示す図である。
図48b図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の外側に陥入する異なるステップを示す図である。
図48c図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の外側に陥入する異なるステップを示す図である。
図48d図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の外側に陥入する異なるステップを示す図である。
図48e図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の外側に陥入する異なるステップを示す図である。
図48f図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の外側に陥入する異なるステップを示す図である。
図48g図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の外側に陥入する異なるステップを示す図である。
図48h図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の外側に陥入する異なるステップを示す図である。
図48i図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の外側に陥入する異なるステップを示す図である。
図49】逆流治療装置が肥満を治療するようにも構成されている一実施形態を示す図である。
図50】逆流治療装置が肥満を治療するようにも構成されている一実施形態を示す図である。
図51】逆流治療装置が肥満を治療するようにも構成されている一実施形態を示す図である。
図52a図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の内側に陥入する異なるステップを示す図である。
図52b図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の内側に陥入する異なるステップを示す図である。
図52c図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の内側に陥入する異なるステップを示す図である。
図52d図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の内側に陥入する異なるステップを示す図である。
図52e図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の内側に陥入する異なるステップを示す図である。
図52f図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の内側に陥入する異なるステップを示す図である。
図52g図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の内側に陥入する異なるステップを示す図である。
図52h図47aの膨張可能デバイスを患者の胃壁の内側に陥入する異なるステップを示す図である。
図53a】胃の壁の陥入を形成するための器具を示す図である。
図53b】胃の壁の陥入を形成するための器具を示す図である。
図53c】胃の壁の陥入を形成するための器具を示す図である。
図54】逆流疾病を治療するための腹部治療法を示す図である。
図55】逆流疾病を治療するための腹部治療法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1Aは、ヒト患者の体内に埋め込まれた、本発明による、逆流疾病を治療するための、生体適合性材料の移動制限デバイス10を含む、装置11を示す概略図である。図1Aでは、デバイス10は、胃底内に陥入させられている。デバイス10は、患者の横隔膜18と陥入された胃底壁16の下部の少なくとも一部との間の位置で、胃底壁16の外壁16aの一部に当接するのに適している外面15を有する本体13を備える。したがって、デバイス10がこの方法で陥入された場合、患者の横隔膜に向かう患者の胃の噴門切痕の
移動が制限され、これにより、噴門が滑脱して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔20内に入るのが防止され、患者の噴門括約筋に対する患者の腹部から加えられる支持圧力が維持される。
【0080】
本体13は、ゲルまたは流体で膨張可能であり、また膨張するように構成される。前記移動制限デバイスを膨張させるために流体を収容するための流体またはゲル収容部材を備えることができる。あるいは、本体13は、均質材料を含み、また固形体とすることもできる。あるいは、本体13は、室を画定する囲い壁の形態の外壁を備える。外壁は、剛性、弾性、または柔軟性を持つものとすることができる。外壁が剛体である場合、胃運動によって生じる力を受けても変形しない状態を保持する十分な剛性を有する。
【0081】
移動制限デバイス10の本体13は、さまざまな多数の方法で胃底16の壁16aに固定することができる。図1Aに示されている実施形態では、デバイス10は、胃の外から胃底壁内に陥入される。陥入後、多数の胃間縫合糸またはステープラ22aからなる第1の固定デバイスを用いて、短時間の間、陥入部を無傷に保つ。これにより、ヒト組織を成長させて、長期間にわたって陥入部を無傷に保つことができる。
【0082】
適宜、デバイス10を患者の横隔膜18と陥入された胃底壁16aの下部の少なくとも一部との間の前記位置に保持するために胃底16の壁16aと食道24の壁24aとの間に設けられた多数の縫合糸またはステープラ22bからなる第2の固定デバイスがあるものとしてもよい。したがって、デバイス10は、この第2の固定装置によってこの位置に固定される。横隔膜筋18または関連する筋肉にデバイス10を直接的に、または間接的に固定することができる。代替として、食道Hisにデバイス10を直接的に、または間接的に固定することができる。あるいは、またはそれに加えて、デバイス10を前記位置に保持するために胃底16の壁16aと横隔膜18との間に設けられた縫合糸またはステープラ22cの形態の第3の固定デバイスがあってもよい。
【0083】
図1Bは、図1Aに示されているのと実質的に類似する一実施形態を示している。図1Bでは、本体13および陥入部は、固定部22に加えて、逆流本体13と横隔膜18との間で縫合糸および/またはステープラ22cを使って固定され、デバイスを噴門14の上の位置に保持している。
【0084】
図1Cは、図1Aに示されているのと実質的に類似する他の実施形態を示している。図1Cでは、逆流治療デバイスが、胃底16の壁16aを胃底16の壁16aに接続する胃間縫合糸またはステープラ22aによって適所に保持される。それに加えて、逆流治療デバイス10は、胃底16aの壁16から食道24aの壁に、縫合糸22bまたはステープラによって適所に保持され、また胃底16aの壁から横隔膜に、縫合糸またはステープラによって適所に保持される。
【0085】
本発明による逆流疾病の治療のための装置17の代替実施形態が図2Aに示されている。この実施形態は、多くの態様において、図1A~Cを参照しつつ上で説明されているものに類似している。したがって、移動制限デバイス10は、ヒト患者に埋め込まれ、また胃底に陥入させられている。しかし、図2Aに示されている実施形態では、デバイス10は、図1A~Cのように、胃の外側からではなく、胃の内側から陥入させられている。移動制限デバイス10は、患者の横隔膜18と陥入された胃底壁16の下部の少なくとも一部との間の位置で、胃底壁16の内壁の一部に当接するように構成されている本体13を備える。この実施形態では、本体13は、立位のヒトまたは哺乳類の動物の患者の噴門領域14の上に留置されている。デバイス10の本体13は、胃底16の壁16aに当接する形状を有し、さらに、この胃底壁に当接するのに適した外面15を有する。したがって、デバイス10が図1Aに関して上で説明されているようにこの方法で陥入された場合、
患者の横隔膜に向かう患者の胃の噴門切痕の移動が制限され、これにより、噴門が滑脱(スライド)して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔20内に入るのが防止され、患者の噴門括約筋に対する患者の腹部から加えられる支持圧力が維持される。
【0086】
陥入後、第1の固定デバイスを含む多数の胃間縫合糸またはステープラ33aが、短時間の間、陥入部を無傷に保つために胃16の内側から施される。これにより、ヒト組織を成長させて、長期間にわたって陥入部を無傷に保つことができる。デバイス10を前記位置に保持するために、第2の固定デバイスを含む追加の縫合糸またはステープラ22bを、デバイス10の陥入部の一部を形成する胃底16の壁部分16bと食道24の壁24aとの間に備えることができる。同様に、デバイス10を前記位置に保持するために、縫合糸またはステープラ22cの形態の第3の固定デバイスを、デバイス10の陥入部の一部を形成する胃底16の他の壁部分16cと横隔膜18との間に備えることができる。
【0087】
代替実施形態が、図2Bに示されている。この実施形態は、多くの態様において、図2Aを参照しつつ説明されているものに類似している。しかし、ここでは、縫合糸およびステープラ22b、33aは、すべて、逆流治療デバイス10の固定具に接続される。この実施形態は、胃-横隔膜間縫合糸またはステープラを欠いている。
【0088】
逆流疾病の治療のための装置19の代替形態が図3Aに示されている。この代替形態は、多くの態様において、図1A~Cおよび2A~Bを参照しつつ上で説明されているものに類似している。したがって、移動制限デバイス10は、ヒト患者に埋め込まれているように示されている。デバイス10は、患者の横隔膜18と胃底壁16との間の位置で、胃底壁16の一部に当接するように構成されている本体13を備える。しかし、この代替形態では、デバイス10は、胃16内に陥入されない。その代わりに、デバイス10の固定部は、胃壁に取り付けられた逆流治療デバイスの長期間留置を確実なものとするために胃底壁16aと接触しヒト組織の成長を促進するように構成されている、アタッチメント構造10a、好ましくは、ネット状構造を備える。アタッチメント構造10aを適所に保持するために、短時間の間だけ、縫合糸またはステープラ44aの形態の第1の固定デバイスを、アタッチメント構造10aと胃底壁16aとの間に設けることができる。
【0089】
アタッチメント構造10aは、デバイス10を患者の横隔膜18と胃底壁16との間の前記位置に保持するために胃底16の壁16aと食道24の壁24aとの間に設けられた縫合糸またはステープラ44bの形態の第2の固定デバイスに合わせて構成することができる。同様に、アタッチメント構造10aは、ここでもまたデバイス10を前記位置に保持するために、胃底16の壁16aと横隔膜18との間に設けられた縫合糸またはステープラ44cの形態の第3の固定デバイスに合わせて構成することができる。
【0090】
代替実施形態が、図3Bに示されている。この実施形態は、多くの態様において、図3Aを参照しつつ説明されているものに類似している。この実施形態では、逆流治療デバイス10は、図2A~Bのように、胃の内側から陥入される。アタッチメント構造10aは、逆流治療デバイス10によって形成される陥入部の上、および周りの胃底16の壁16a上に位置決めされる。
【0091】
本発明による逆流疾病の治療のための装置21の代替実施形態が図4Aに示されている。この実施形態は、多くの態様において、図1A~Cを参照しつつ上で説明されているものに類似している。図4Aでは、本発明による逆流疾病の治療のためのデバイス10の図面は、ヒト患者への埋め込みであるように示されている。図4Aでは、移動制限デバイス10は、ここでもまた、胃底16内に陥入される。デバイス10は、患者の横隔膜18と陥入された胃底壁16の下部の少なくとも一部との間の位置で胃底壁16の外壁16aの一部に当接するのに適している外面15を有する本体13を備える。本体13は、胃底1
6の外壁16aに当接するように整形されている。したがって、デバイス10がこの方法で陥入された場合、患者の横隔膜に向かう患者の胃の噴門切痕の移動が制限され、これにより、噴門が滑脱して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔20内に入るのが防止され、患者の噴門括約筋に対する患者の腹部から加えられる支持圧力が維持される。
【0092】
図4Aの実施形態では、図1Aの実施形態と同様に、デバイス10を胃底16内に陥入した後、多数の胃間縫合糸またはステープラ22aからなる第1の固定デバイスを用いて、短時間の間、陥入部を無傷に保つ。患者の横隔膜18と陥入された胃底壁16の下部の少なくとも一部との間の前記位置でデバイス10を前記位置に保持するために、多数の縫合糸またはステープラ22bからなる第2の固定デバイスが備えられる。それに加えて、ここでもまたデバイス10を前記位置に保持するために、胃底16の壁16aと横隔膜18との間に、縫合糸またはステープラ22cの形態の第3の固定デバイスを備えることができる。
【0093】
図4Aに示されている実施形態では、移動制限デバイス10のサイズは、埋め込まれている間に調節することができる。デバイス10は、リード52bによってデバイス10に接続されている液圧タンク52に結合され、これにより、タンク52を手で圧して非侵襲的調節を実行できる。次いで、デバイス10が、1つまたは複数のより小さな室10bに接続される。
【0094】
さらに、上記の実施形態は、代替として肥満を治療するためにも使用できる。装置は、この実施形態では、移動制限本体13の容積を使用して流体を収納し、さらに、流体が充填されるポンプとともに本体13に接続されている1つまたは複数のより小さな室10bを使用して胃底壁を引き伸ばして満腹させることによって、肥満を治療するように構成されうる。小さな室10bは、胃底壁内に陥入されるようにも構成され、流体を充填されたときに、拡大が生じ、その結果、満腹をもたらすヒトセンサのフィードバックが得られる。小さな液圧タンク/ポンプを患者に皮下留置することによって、患者は、要求後、作動液をポンプで送って小さな室を満たし満腹感を覚えるようにできる。
【0095】
代替実施形態が、図4Bに示されている。この実施形態は、図4Aに示されているものと実質的に類似しているが、逆流治療デバイス10と室10bの制御の仕方が異なる。ここでは、室10bは、皮下ポンプでは制御されず、動力を受けた内部制御ユニット56によって制御される。内部制御ユニット56は、逆流および/または肥満の治療に関してデバイス10をどのように使用するかを患者側で制御するための手段を備える。デバイスに動力を供給する手段も備えることができる。
【0096】
内部制御ユニット56は、電池70、電気スイッチ72、モータ/ポンプ44、タンク52、注入口1001を備えることができる。遠隔制御装置付きのエネルギー伝送デバイス34は、デバイスを制御し、デバイスに動力を伝えるように構成される。これらの項目は、状況に応じて、例えば、デバイスが電気式、液圧式、空気圧式、または機械式であるかどうかに応じて選択される。
【0097】
制御ユニットは、センサ76、特に圧力センサから入力を受け取ることができる。任意の種類のセンサをも備えることができる。内部制御ユニット56は、好ましくは、FPGAまたはMCUまたはASICまたは他の任意の回路、コンポーネントまたはメモリの形態の情報処理機能を備える(さらに詳細な説明については、以下の「システム」の節を参照のこと)。
【0098】
図4Cは、4Aのような2つの小さな室の代わりに1つの小さな室10bがあるという違いはあるが、図4Aと本質的に同じである。図4Cは、空の状態の小さな室10bを示
しているが、図4Dは、充填され、満腹するように拡大されたときの小さな室10bを示している。
【0099】
本発明による逆流疾病の治療のための装置23のさらに別の代替実施形態が、図5Aに示されている。この実施形態は、ここでもまた、多くの態様において、図1A~Cを参照しつつ上で説明されているものに類似している。したがって、図1Aの実施形態の場合のように、胃底内に陥入される、移動制限デバイス10は、患者の横隔膜18と陥入された胃底壁16の下部の少なくとも一部との間の位置で胃底壁16の外壁16aの一部に当接するのに適している外面15を有する本体13からなる。デバイス10の本体13は、胃底16の外壁16aに当接する形状を有し、この胃底壁に当接するのに適した全体的に滑らかな外面15を有する。および、デバイス10を胃底16内に陥入した後、多数の胃間縫合糸またはステープラ22aからなる第1の固定デバイスを用いて、短時間の間、陥入部を無傷に保つ。デバイス10を前記位置に保持するために、胃底16の壁16aと食道24の壁24aとの間に施される多数の縫合糸またはステープラ22bからなる第2の固定デバイスが備えられる。
【0100】
図5Aに示されている代替実施形態では、装置23は、噴門筋を刺激して噴門をさらに閉じて逆流疾病をさらに予防するように構成された刺激パルスを送出するための刺激デバイス26をさらに備える。装置23は、少なくとも1つの導線26aと、刺激パルスを受け取るように構成された少なくとも1つの電極26bとを備える。
【0101】
刺激デバイス26は、好ましくは、電子回路およびエネルギー源を備え、これは、好ましい実施形態では、デバイス10内に備えられている。
【0102】
刺激デバイス26は、好ましくは、刺激パルスをパルス列として送出し、このパルス列は、間にタイムブレイクを入れて繰り返され、ブレイクがパルス列内のそれぞれのパルスの間のブレイクを延ばすように、構成されている。
【0103】
図5Bは、図5Aのものと本質的に同じ実施形態を示しているが、ただし、内部制御ユニット56、遠隔制御装置28、および外部エネルギー伝送デバイス34が加えられている。内部制御ユニット56は、電源リード56bで刺激デバイスに接続されている。内部制御ユニット57は、バッテリ70、電気スイッチ72、および以下の「システム」の節で説明されている他のコンポーネントを備えることができる。
【0104】
逆流疾病治療デバイス10は、本発明の一実施形態により、図6Aに示されているように、全体的に卵形の本体として形成されうる。逆流疾病治療デバイス10は、本発明の他の実施形態により、図6Bに示されているように、真ん中に凹みを持つ卵形または球形の本体として形成することもできる。逆流疾病治療デバイス10は、本発明のさらに他の実施形態により、図6Cに示されているように、わずかに曲がった卵形の本体としてさらに形成されうる。
【0105】
逆流疾病治療デバイス10は、本発明の他の実施形態により、図6Dに示されているように、全体的に球状の本体として形成されうる。
【0106】
上述のように、逆流治療デバイス10は、立位の患者の食道の上にある位置に固定される。これを可能にするために、図7に示されている逆流治療の一実施形態は、例えば、縫合糸またはステープラの取り付け点として使用される固定具10dを備える。固定具は、ループ、または穴のある、または穴のない畝であるか、または逆流治療デバイス10を固定するのに適するようにする他の形状を有することができる。
【0107】
図8は、液圧式手段によって調節可能である逆流治療デバイス10の一実施形態を示しており、10eは、デバイスを拡大するために作動液を入れることができる注入口である。あるいは、一実施形態では、逆流治療デバイス10は、デバイスが、例えば、腹腔鏡検査の最初に小さなサイズであることが有利な場合に、外科手術のときに小さなサイズから大きなサイズに膨張させることができる。このような一実施形態では、固体、液体、または気体の充填材料を注入口10eに注入し、逆流治療デバイス10がその最終形状を取るようにすることができる。
【0108】
図9は、逆流治療デバイス10が、手術道具で保持されるように構成された凹んだ畝10fを有する一実施形態を示している。これは、例えば、逆流治療デバイスが埋め込まれたときに外科手術の際に使用される。
【0109】
逆流疾病治療デバイス10が、全体的に球状である場合、これにより、食道を全体として、または部分的に包含するように形成することができ、逆流疾病治療デバイス10の内径Dは、好ましくは、デバイスが埋め込まれたときに食道の壁に直接当接しないように食道および胃底の少なくとも一部を包含する内径である。
【0110】
移動制限デバイス10は、患者の横隔膜に向かう患者の胃の噴門切痕の移動が制限され、これにより、噴門が滑脱して患者の横隔膜開口部を通り患者の胸腔内に入るのが防止され、患者の噴門括約筋に対する患者の腹部から加えられる支持圧力が維持される位置にデバイス10を留置させることができる形態を取りうる。
【0111】
システム 次に、本発明による装置に組み込まれる、全般的に28と指定されている、エネルギーおよび操作システムについて、図10~27を参照しつつ説明する。
【0112】
図10に示されているシステム28は、逆流疾病治療装置のエネルギー消費コンポーネントに電力サプライ・ライン32を介してエネルギーを供給するように構成された埋め込まれたエネルギー変換デバイス30の形態の内部エネルギー源を備える。外部エネルギー伝送デバイス34は、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30に組み込むことができる、または独立したものとすることができる信号受信機によって受信される、無線信号を伝送する無線遠隔制御装置を備える。埋め込まれたエネルギー変換デバイス30は、信号からのエネルギーを電気エネルギーに変換し、これを電力サプライ・ライン32を介して供給する。
【0113】
図10のシステム28は、図11のより全般化されたブロック図形態で示されており、そこでは、垂直線によって全般的に示されている、患者の皮膚36は、線の右にある患者29の内部を線の左にある外部から隔てている。
【0114】
図11は、移動制限デバイス10、電力サプライ・ライン32を介してデバイス10に動力を供給するエネルギー変換デバイス30、および外部エネルギー伝送デバイス34を示す簡素化されたブロック図を示している。
【0115】
図12は、分極エネルギー(polarized energy)によっても操作可能な電気スイッチ3
8の形態の逆転デバイスが、デバイス10を逆転するために患者29の体内に埋め込まれている点を除き、図11のものと同じ本発明の一実施形態を示している。外部エネルギー伝送デバイス34の無線遠隔制御装置は、分極エネルギーを伝送する無線信号を送信し、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30は、無線分極エネルギーを電気スイッチ38を操作するための分極電流に変換する。電流の極性が、埋め込まれているエネルギー変換デバイス30によって切り換えられた場合、電気スイッチ38は、デバイス10によって実行される機能を逆転する。
【0116】
図13は、逆流疾病治療デバイス10を調節するために患者の体内に埋め込まれている操作デバイス40が、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30とデバイス10との間に備えられている点を除き、図11のものと同じ本発明の一実施形態を示している。この操作デバイスは、電気サーボモータなどのモータ40の形態のものとすることができる。モータ40は、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30からエネルギーの供給を受けるが、その際に、外部エネルギー伝送デバイス34の遠隔制御装置が、無線信号を埋め込まれたエネルギー変換デバイス30の受信機に送信する。
【0117】
図14は、操作デバイスも備え、モータ/ポンプ・ユニット78を備えるアセンブリ42の形態を取り、流体タンク46が患者の体内に埋め込まれている点を除き、図11のものと同じ本発明の一実施形態を示している。この場合、デバイス10は、液圧式で動作する、つまり、モータ/ポンプ・ユニット44によって作動液が流体タンク46から導管48を通りデバイス10に送り込まれてデバイスが動作し、モータ/ポンプ・ユニット44によって作動液がデバイス10から流体タンク46に送られ、デバイス10が開始位置に戻る。埋め込まれたエネルギー変換デバイス30は、無線エネルギーを電流、例えば、分極電流に変換し、電力サプライ・ライン50を介してモータ/ポンプ・ユニット44に動力を供給する。
【0118】
液圧式で動作する移動制限デバイス10の代わりに、操作デバイスが空気圧式操作デバイスを備えることも企図される。この場合、調節のために圧縮空気が使用可能であり、流体タンクは空気室で置き換えられ、流体は空気で置き換えられる。
【0119】
これらの実施形態のすべてにおいて、エネルギー変換デバイス30は、無線エネルギーによってチャージされるバッテリまたはキャパシタのような再充電可能なアキュムレータを備えることができ、装置のエネルギー消費部分用のエネルギーを供給する。
【0120】
外部エネルギー伝送デバイス34は、好ましくは無線デバイスであり、ヒトの体外からデバイス10を制御するための遠隔制御式制御デバイスを備えることができる。
【0121】
このような制御デバイスは、無線遠隔制御装置だけでなく、患者の手によって、たぶん間接的に、例えば、皮膚の下に留置されたボタンと接触する任意の埋め込まれた部分の手動制御装置を備えることができる。
【0122】
図15は、無線遠隔制御装置を伴う外部エネルギー伝送デバイス34、この場合には液圧式で動作するデバイス10、および埋め込まれたエネルギー変換デバイス30を備え、また作動液タンク52、モータ/ポンプ・ユニット44、および液圧弁切り換えデバイス54の形態の逆転デバイスをさらに備え、これらはすべて患者の体内に埋め込まれる、本発明の一実施形態を示している。もちろん、液圧式操作は、ポンプ運転方向を変えるだけで容易に実行され、したがって、液圧弁は、省くことができる。遠隔制御装置は、外部エネルギー伝送とは独立したデバイスであるか、またはそれに組み込まれたデバイスとすることができる。モータ/ポンプ・ユニット44のモータは、電気モータである。外部エネルギー伝送デバイス34の無線遠隔制御装置からの制御信号に対する応答として、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30は、制御信号によって搬送されるエネルギーからのエネルギーを動力としてモータ/ポンプ・ユニット44に供給し、これにより、モータ/ポンプ・ユニット44は、作動液を作動液タンク52とデバイス10との間に分配する。外部エネルギー伝送デバイス34の遠隔制御装置は、液圧弁切り換えデバイス54を制御して、流体がデバイス10を操作するためにモータ/ポンプ・ユニット44によって作動液タンク52からデバイス10に送り込まれる一方の方向と流体がデバイス10を開始位置に戻すためにモータ/ポンプ・ユニット44によってデバイス10から作動液タンク52に
戻される別の反対方向との間で作動液の流れ方向を切り換える。
【0123】
図16は、外部エネルギー伝送デバイス34、アキュムレータ58、およびキャパシタ60の無線遠隔制御装置によって制御される内部制御ユニット56も患者の体内に埋め込まれている点を除き、図15のものと同じ本発明の一実施形態を示している。内部制御ユニット56は、エネルギーをデバイス10に供給する、アキュムレータ58内の埋め込まれたエネルギー変換デバイス30から受け取った電気エネルギーの貯蔵を処理する。外部エネルギー伝送デバイス34の無線遠隔制御装置からの制御信号に対する応答として、内部制御ユニット56は、アキュムレータ58から電気エネルギーを放出し、パワー・ライン62および64を介して放出されたエネルギーを変換するか、またはパワー・ライン66、電流を安定化するキャパシタ60、パワー・ライン68、およびパワー・ライン64を介して埋め込まれたエネルギー変換デバイス30からの電気エネルギーを直接変換して、デバイス10を操作する。
【0124】
内部制御ユニットは、好ましくは患者の体外からプログラム可能である。好ましい一実施形態では、事前プログラムされたタイム・スケジュールまたは患者の可能な身体パラメータもしくはデバイスの機能パラメータを感知する任意のセンサからの入力に従って胃を引き伸ばすようにデバイス10を調節するプログラミングが内部制御ユニットに行われる。
【0125】
代替形態によれば、図16の実施形態ではキャパシタ60を省くことができる。他の代替形態によれば、この実施形態ではアキュムレータ58を省くことができる。
【0126】
図17は、デバイス10の操作用にエネルギーを供給するためのバッテリ70およびデバイス10の動作をスイッチングするための電気スイッチ72も患者の体内に埋め込まれている点を除き、図10のものと同じ本発明の一実施形態を示している。電気スイッチ72は、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30によって供給されるエネルギーによって操作され、バッテリ70が使用中でない、オフ・モードから、デバイス10の操作のためバッテリ70がエネルギーを供給する、オン・モードに切り換えられる。
【0127】
図18は、外部エネルギー伝送デバイス34の無線遠隔制御装置によって制御可能な内部制御ユニット56も患者の体内に埋め込まれている点を除き、図16のものと同じ本発明の一実施形態を示している。この場合、電気スイッチ72は、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30によって供給されるエネルギーによって操作され、無線遠隔制御装置が内部制御ユニット56を制御することを妨げられている、バッテリが使用中でない、オフ・モードから、遠隔制御装置が内部制御ユニット56を制御してデバイス10の操作のためバッテリ70から電気エネルギーを放出することを許される、スタンバイ・モードに切り換えられる。
【0128】
図19は、アキュムレータ58がバッテリ70の代わりに使用され、埋め込まれたコンポーネントが異なる仕方で相互接続されている点を除き、図17のものと同じ本発明の一実施形態を示している。この場合、アキュムレータ58は、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30からのエネルギーを貯蔵する。外部エネルギー伝送デバイス34の無線遠隔制御装置からの制御信号に対する応答として、内部制御ユニット56は、電気スイッチ72を制御して、アキュムレータ58が使用中でない、オフ・モードから、アキュムレータ58がデバイス10の操作のためエネルギーを供給する、オン・モードに切り換える。
【0129】
図20は、バッテリ70も患者の体内に埋め込まれ、埋め込まれたコンポーネントが異なる仕方で相互接続されている点を除き、図18のものと同じ本発明の一実施形態を示している。外部エネルギー伝送デバイス34の無線遠隔制御装置からの制御信号に対する応
答として、内部制御ユニット56は、電気スイッチ72の操作用にエネルギーを送出するアキュムレータ58を制御して、バッテリ70が使用中でない、オフ・モードから、バッテリ70がデバイス10の操作のため電気エネルギーを供給する、オン・モードに切り換える。
【0130】
あるいは、電気スイッチ72は、アキュムレータ58によって供給されるエネルギーによって操作され、無線遠隔制御装置が電気エネルギーを供給するバッテリ70を制御することを妨げられており、使用中でない、オフ・モードから、無線遠隔制御装置がデバイス10の操作のため電気エネルギーを供給するバッテリ70を制御することを許される、スタンバイ・モードに切り換えることができる。
【0131】
スイッチは、最も範囲の広い実施形態において解釈されるべきであることは理解されるであろう。このことは、FPGAもしくはDAコンバータまたは他の電子コンポーネントもしくは回路が電源をオン/オフすることができ、好ましくはこれは患者の体外から、または内部制御ユニットによって制御されうることを意味する。
【0132】
図21は、モータ40、ギア・ボックス74の形態の機械式逆転デバイス、およびギア・ボックス74を制御するための内部制御ユニット56も患者の体内に埋め込まれるという点を除き、図17のものと同じ本発明の一実施形態を示している。内部制御ユニット56は、ギア・ボックス74を制御して、デバイス10によって実行される機能を逆転する(機械式操作)。モータの方向を電子的に切り換えるのがなおいっそう簡単である。
【0133】
図22は、埋め込まれたコンポーネントが異なる仕方で相互接続されている点を除き、図20のものと同じ本発明の一実施形態を示している。したがって、この場合、内部制御ユニット56は、アキュムレータ58、適宜、キャパシタが電気スイッチ72を作動させてオン・モードに切り換えるときにバッテリ70から電力を供給される。電気スイッチ72が、オン・モードにある場合、内部制御ユニット56は、デバイス10の操作のためにエネルギーを供給するよう、または供給しないようバッテリ70を制御することが許される。
【0134】
図23は、さまざまな通信オプションを実現するための装置の埋め込まれたコンポーネントの企図されうる組み合わせの概略を示している。基本的に、デバイス10、内部制御ユニット56、モータもしくはポンプ・ユニット44、および外部無線遠隔制御装置を含む外部エネルギー伝送デバイス34がある。上ですでに説明されているように、無線遠隔制御装置は制御信号を送信し、内部制御ユニット56はこの信号を受信して、装置のさまざまな埋め込まれたコンポーネントを制御する。
【0135】
患者が食事中であることを知らせる食道内の収縮波などの、患者の身体パラメータを感知するために、フィードバックデバイス、好ましくはセンサ76の形態のものを患者の体内に埋め込むことができる。内部制御ユニット56、あるいは外部エネルギー伝送デバイス34の外部無線遠隔制御装置は、センサ76からの信号に対する応答としてデバイス10を制御することができる。トランシーバをセンサ76と組み合わせることで、感知された身体パラメータに関する情報を外部無線遠隔制御装置に送信することができる。無線遠隔制御装置は、信号送信機またはトランシーバを備えることができ、内部制御ユニット56は、信号受信機またはトランシーバを備えることができる。あるいは、無線遠隔制御装置は、信号受信機またはトランシーバを備えることができ、内部制御ユニット56は、信号送信機またはトランシーバを備えることができる。上記のトランシーバ、送信機、および受信機は、患者の体内から患者の体外へデバイス10に関係する情報またはデータを送信するために使用されうる。
【0136】
あるいは、デバイス10の機能パラメータを感知するように、センサ76を配置することもできる。
【0137】
モータ/ポンプ・ユニット44およびモータ/ポンプ・ユニット44に電力を供給するためのバッテリ70が、埋め込まれる場合、バッテリ70は、バッテリ70の状態に関する情報を送信するためのトランシーバを装備することができる。より正確に言うと、バッテリまたはアキュムレータにエネルギーをチャージすると、前記チャージ・プロセスに関係するフィードバック情報が送信され、エネルギー供給がそれに応じて切り換えられる。
【0138】
図24は、デバイス10が、患者の体外から調節される代替実施形態を示している。システム28は、皮下スイッチ80を介してバッテリ70に接続された移動制限デバイス10を備える。したがって、デバイス10の調節は、皮下スイッチを手で圧すことによって非侵襲的に実行され、これにより、デバイス10の操作がオン、オフされる。示されている実施形態は、簡素化したものであること、および内部制御ユニットまたは本出願で開示されている他のパーツなどの追加のコンポーネントをシステムに追加することができることは理解されるであろう。
【0139】
図25は、システム28が、作動液タンク52と流体で連通する移動制限デバイス10を備える代替実施形態を示している。非侵襲的調節は、デバイス10に接続された液圧タンクを手で圧接することによって実行される。
【0140】
本発明による装置に組み込まれるシステムの他の実施形態は、患者の体内から情報を患者の体外に送信し、移動制限デバイスもしくは装置の少なくとも1つの機能パラメータまたは患者の身体パラメータに関係するフィードバック情報を供給し、これにより装置の性能を最適化するためのフィードバック・デバイスを備える。
【0141】
デバイスの1つの好ましい機能パラメータは、内部エネルギー源をチャージするためのエネルギー伝達と相関するものである。
【0142】
図26には、正確な量のエネルギーを、皮膚36が垂直線で示されている、患者の体内に埋め込まれているシステム28に供給するための配置構成の概略が示されている。移動制限デバイス10は、患者の体内に同様に配置される、好ましくは患者の皮膚36の真下に配置される、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30に接続される。一般的に言って、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30は、腹部内、胸腔内、筋膜内(例えば、腹壁内)、皮下、またはいずれかの他の好適な場所に留置することができる。埋め込まれたエネルギー変換デバイス30は、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30の付近の患者の皮膚36の外側に配置されている外部エネルギー伝送デバイス34内に備えられている外部エネルギー源34aから伝送される無線エネルギーEを受け取るように構成されている。
【0143】
当技術分野でよく知られているように、無線エネルギーEは、一般的に、外部エネルギー源34a内に配置された一次コイルおよび埋め込まれたエネルギー変換デバイス30内に配置された隣接する二次コイルを備えるデバイスなどの、任意の好適な経皮エネルギー伝達(TET)デバイスを使って伝達されうる。電流が一次コイルに送り込まれると、例えば、バッテリもしくはキャパシタなどのエネルギー貯蔵デバイスもしくはアキュムレータ内に入ってくるエネルギーを貯蔵した後、エネルギーが電圧の形態で、移動制限デバイスを操作するために使用されうる二次コイル内に誘導される。しかし、本発明は、全般的に、特定のエネルギー伝達技術に何ら限定されず、TETデバイスもしくはエネルギー貯蔵デバイス、および任意の種類の無線エネルギーが使用されうる。
【0144】
デバイスに対する本体の内側で受け取ったエネルギーの量をデバイスによって使用されるエネルギーと比較することができる。そこで、デバイスで使用される用語は、デバイスによって貯蔵されるエネルギーをも含むと理解される。伝達されたエネルギーの量は、上述のように、決定されたエネルギー収支に基づいて外部エネルギー源34aを制御する外部制御ユニット34bを使って調節されうる。適正量のエネルギーを伝達するために、逆流疾病治療デバイス10に接続されている内部制御ユニット56を使ってエネルギー収支および必要なエネルギー量を決定することができる。したがって、内部制御ユニット56は、r10のいくつかの特性を測定する、ともかくも、デバイス10の適切な操作に要求されるエネルギーの必要量を反映する、図示されていない、好適なセンサまたは同様のものによって得られるさまざまな測定結果を受け取るように構成されうる。さらに、患者の現在状態も、好適な測定デバイスまたはセンサを使って検知することができ、これにより、患者の症状を反映するパラメータが得られる。したがって、そのような特性および/またはパラメータは、消費電力、運転モード、および温度などの、デバイス10の現在状態、さらには例えば、体温、血圧、心拍、および呼吸によって反映される患者の容体に関係するものとすることができる。
【0145】
さらに、エネルギー貯蔵デバイスまたはアキュムレータ58は、受け取ったエネルギーを蓄積しておきデバイス10において後から使用するために、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30に適宜接続することができる。代替として、またはそれに加えて、必要なエネルギー量を反映する、そのようなアキュムレータの特性も同様に測定することができる。アキュムレータは、バッテリで置き換えることができ、測定された特性は、電圧、温度などのバッテリの現在状態に関係するものとすることができる。十分な電圧および電流をデバイス10に供給するために、また過熱を避けるためにも、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30から適正量のエネルギーを受け取ることによって最適なチャージをすべきである、つまり、チャージ量は少なすぎたり多すぎたりしてはならないということははっきりと理解される。アキュムレータは、対応する特性を持つキャパシタであってもよい。
【0146】
例えば、バッテリ特性を定期的に測定して、バッテリの現在状態を調べ、次いでその結果を内部制御ユニット56内の適切な貯蔵手段に状態情報として格納してもよい。したがって、新しい測定が行われた場合には、必ず、それに応じて格納されているバッテリ状態情報を更新することができる。このようにして、バッテリの状態は、適正量のエネルギーを伝達することによって「較正する」ことができ、それにより、バッテリを最適な状態に保つ。
【0147】
こうして、内部制御ユニット56は、逆流疾病治療デバイス10上の上述のセンサまたは測定デバイス、または患者、または使用されている場合にはエネルギー貯蔵デバイス、またはこれらの任意の組み合わせによってなされた測定結果に基づいてエネルギー収支および/または現在必要とされているエネルギー量(単位時間当たりのエネルギーまたは蓄積されたエネルギー)を決定するように構成される。内部制御ユニット56は、内部信号送信機82にさらに接続され、決定された必要エネルギー量を反映する制御信号を、外部制御ユニット34bに接続されている外部信号受信機34cに送信するように構成されている。次いで、外部エネルギー源34aから伝送されるエネルギーの量が、受信された制御信号に対する応答として調節されうる。
【0148】
あるいは、センサ測定結果を外部制御ユニット34bに直接送信することができ、その場合、エネルギー収支および/または現在必要とされているエネルギー量は、外部制御ユニット34bによって決定することができ、したがって、内部制御ユニット56の上述の機能が外部制御ユニット34b内に統合されている。その場合、内部制御ユニット56は、省くことができ、センサ測定結果は、測定結果を外部信号受信機34cおよび外部制御
ユニット34bに送信する内部信号送信機82に直接供給される。次いで、エネルギー収支および現在必要とされているエネルギー量が、これらのセンサ測定結果に基づいて外部制御ユニット34bによって決定されうる。
【0149】
したがって、本発明の解決策は、例えば、エネルギー量、エネルギー差、またはデバイス10によって使用されるエネルギー比率と比較したエネルギー受け取り率に関して、受け取ったエネルギーと比較したエネルギーの実際の使用に基づいているため、以前の解決策に比べて効率がよい、必要なエネルギーを示す情報のフィードバックを採用している。デバイス10は、受け取ったエネルギーを消費に使用するか、またはエネルギー貯蔵デバイスまたは同様のものへのエネルギーの貯蔵に使用することができる。したがって、上述の異なるパラメータは、関連する場合、また必要な場合に使用され、次いで、実際のエネルギー収支を決定するための道具として使用される。
【0150】
しかし、このようなパラメータは、デバイスを特に操作するために内部的に実行されるアクションに対し本質的に必要になることもある。
【0151】
内部信号送信機82および外部信号受信機34cは、ラジオ信号、IR(赤外線)信号、または超音波信号などの好適な信号伝達手段を使用して独立したユニットとして実装されうる。あるいは、内部信号送信機82および外部信号受信機34cは、基本的に同じ伝送技術を使用して、エネルギー伝達に関して逆方向に制御信号を伝達するために、それぞれ、埋め込まれたエネルギー変換デバイス30および外部エネルギー源34a内に一体化することができる。制御信号は、周波数、位相、または振幅に関して変調されうる。
【0152】
結論を言うと、図26に示されているエネルギー供給配置構成は、基本的に以下のようにして動作しうる。エネルギー収支が、まず最初に、内部制御ユニット56によって決定される。必要エネルギー量を反映する制御信号も、内部制御ユニット56によって生成され、制御信号は、内部信号送信機82から外部信号受信機34cに送信される。あるいは、エネルギー収支は、上述のように、その代わりに実装に応じて外部制御ユニット34bによって決定されうる。その場合、制御信号は、さまざまなセンサから測定結果を搬送することができる。次いで、外部エネルギー源34aから放射されるエネルギーの量が、例えば、受信された制御信号に対する応答として、決定されたエネルギー収支に基づいて、外部制御ユニット34bによって調節されうる。このプロセスは、エネルギー伝達の進行中に特定の間隔で間歇的に繰り返されうるか、またはエネルギー伝達中に多少連続的に実行されうる。
【0153】
伝達されるエネルギーの量は、一般的には、電圧、電流、振幅、波の周波数、およびパルス特性などの外部エネルギー源34aにおけるさまざまな伝送パラメータを調整することによって調節することができる。
【0154】
そこで、患者の体内に埋め込まれた電気的に操作可能な逆流疾病治療デバイスに供給される無線エネルギーの伝送を制御するための方法が提供される。無線エネルギーEは、患者の体外に配置されている外部エネルギー源から伝送され、これを患者の体内に配置されている内部エネルギー受信機が受け取るが、外部エネルギー受信機は受け取ったエネルギーを直接的または間接的に供給するためにデバイス10に接続されている。内部エネルギー受信機が受け取ったエネルギーとデバイス10によって使用されるエネルギーとの間のエネルギー収支が決定される。次いで、外部エネルギー源からの無線エネルギーEの伝送が、決定されたエネルギー収支に基づいて制御される。
【0155】
患者の体内に埋め込まれた電気的に操作可能な移動制限デバイス10に供給される無線エネルギーの伝送を制御するためのシステムが提供される。システムは、患者の体外に配
置されている外部エネルギー源から、患者の体内に配置されている埋め込まれたエネルギー変換デバイスが受け取る無線エネルギーEを伝送するように構成され、埋め込まれたエネルギー変換デバイスは受け取ったエネルギーを直接的または間接的に供給するためにデバイス10に接続されている。システムは、埋め込まれたエネルギー変換デバイスが受け取るエネルギーとデバイス10に使用されるエネルギーとの間のエネルギー収支を決定し、決定されたエネルギー収支に基づいて、外部エネルギー源からの無線エネルギーEの伝送を制御するようにさらに構成される。
【0156】
デバイスの機能パラメータは、内部エネルギー源をチャージするためのエネルギー伝達と相関する。
【0157】
さらに他の代替実施形態では、外部エネルギー源は、患者の体外から制御され、電磁無線エネルギーを放出し、放出される電磁無線エネルギーは、デバイス10の操作に使用される。
【0158】
他の実施形態では、外部エネルギー源は、患者の体外から制御され、非磁気エネルギーを放出し、放出される非磁気無線エネルギーは、デバイス10の操作に使用される。
【0159】
当業者であれば、図14~26による上記のさまざまな実施形態は多くのさまざまな方法で組み合わせることが可能であることに気づくであろう。例えば、分極エネルギーで操作される電気スイッチ38は、図12、15~21の実施形態のどれかに組み込むことが可能であり、液圧弁切り換えデバイス54は、図24の実施形態に組み込むことが可能であり、ギア・ボックス74は、図33の実施形態に組み込むことが可能である。スイッチは、単に、電子回路もしくはコンポーネントを意味しうるだけであることに留意されたい。
【0160】
非侵襲的手術を可能にする、移動制限デバイス10を操作するための無線エネルギー伝達について説明してきた。デバイス10は、無線束縛エネルギーでも操作できることは理解されるであろう。このような一例が図26に示されているが、外部スイッチ84は、パワー・ライン86および88を使って、外部エネルギー源34aと、デバイス10を調節する電気モータなどの操作デバイスとの間に相互接続されている。外部制御ユニット34bは、外部スイッチの動作を制御しデバイス10の適切な操作を行う。
【0161】
液圧または空気圧動力 図28~31は、本発明による移動制限デバイスに液圧または空気圧動力を供給する4つの異なる方法のより詳細なブロック図を示している。
【0162】
図28は、上で説明したように逆流疾病を治療するためのシステムを示している。システムは、デバイス10を備え、独立した調節タンク46、一方通行ポンプ44、および代替弁54をさらに備える。
【0163】
図29は、デバイス10および流体タンク46を示す。調節タンクの壁を移動するか、または調節タンクのサイズを他の異なる方法で変更することによって、弁なしでデバイスの調節を実行することができ、タンク壁を移動することでいつでも流体を全く自由に通せる。
【0164】
図30は、デバイス10、双方向ポンプ44、および調節タンク46を示す。
【0165】
図31は、第2の閉鎖システムを制御する第1の閉鎖システムを備える逆転サーボ・システムのブロック図を示している。サーボ・システムは、調節タンク46およびサーボ・タンク90を備える。サーボ・タンク90は、機械的相互接続部94を介して移動制限デ
バイス10を機械式制御する。デバイス10は、拡大可能/接触可能な空洞を有する。この空洞は、好ましくは、デバイス10と流体で連通するより大きな調節可能なタンク92から作動液を供給することによって拡大または収縮する。あるいは、空洞に、サーボ・タンク90の制御の下で圧縮および拡大が可能な圧縮性ガスを詰める。
【0166】
サーボ・タンク90は、デバイスそれ自体の一部であってもよい。
【0167】
一実施形態では、調節タンクは、患者の皮膚の皮下に留置され、指を使ってその外面を圧接することによって操作される。この逆流疾病治療システムは、図32cに示されている。図31では、柔軟な皮下調節タンク46が、導管48を使って膨らんだ形状を有するサーボ・タンク90に接続されているように示されている。このベロウ形状のサーボ・タンク90は、柔軟な移動制限デバイス10内に含まれる。図32に示されている状態では、サーボ・タンク90は、最小限度の流体を収納し、大半の流体は調節タンク46内に入っている。サーボ・タンク90とデバイス10との間の機械的相互接続により、デバイス10の外面が収縮する、つまり、最大容積に満たない容積を占有する。この最大容積は、図中、破線で示されている。
【0168】
図32は、デバイスが埋め込まれている患者などの使用者が調節タンク46を圧接して中に入っている流体を導管48に通してサーボ・タンク90に流し込み、サーボ・タンク90がそのベロウ形状により長手方向に拡大する状態を示している。次いで、この拡大によりデバイス10が、最大容積を占有し、これによりデバイスが接触している胃壁(図示されていない)が引き伸ばされるように拡大する。
【0169】
調節タンク46は、好ましくは、圧縮後もその形状を保つための手段46aを備える。図に概略が示されている、この手段は、こうして、使用者が調節タンクを解放したときも引き伸ばされた位置にデバイス10を保持することになる。このようにして、調節タンクは、本質的に、逆流疾病治療システム用のオン/オフ・スイッチとして動作する。
【0170】
次に、液圧または空気圧式操作の代替実施形態について、図33および34を参照しつつ説明することにする。図33に示されているブロック図は、第2の閉鎖システムを制御する第1の閉鎖システムを含んでいる。第1のシステムは、調節タンク46およびサーボ・タンク90を備える。サーボ・タンク90は、機械的相互接続部94を介してより大きな調節可能なタンク92を機械式制御する。次に、拡大可能/収縮可能な空洞を有する移動制限デバイス10は、デバイス10と流体で連通するより大きな調節可能なタンク92から作動液を供給することによってより大きな調節可能なタンク92で制御される。
【0171】
次に、この実施形態の一例について、図34を参照しつつ説明することにする。前の実施形態のように、調節タンクは、患者の皮膚の皮下に留置され、指を使ってその外面を圧接することによって操作される。調節タンク46は、導管48を使って膨らんだ形状を有するサーボ・タンク90に流体で連通している。図32aに示されている第1の閉鎖システム46、48、90では、サーボ・タンク90が、最小限度の流体を収納し、大半の流体は調節タンク46内に入っている。
【0172】
サーボ・タンク90は、この例では、ベロウ形状を有するが、直径がサーボ・タンク90よりも大きくなっている、より大きな調節可能なタンク92に機械的に接続される。より大きな調節可能なタンク92は、デバイス10と流体で連通する。このことは、使用者が調節タンク46を圧接し、それにより、流体が調節タンク46からサーボ・タンク90に押し出されたときに、サーボ・タンク90の拡大によって、より大きな体積の流体がより大きな調節可能なタンク92からデバイス10に送り出されることを意味する。言い換えると、この逆転サーボでは、調節タンク内の少量がより大きな力で圧縮され、単位体積
当たりの力を減らしてより大きな総面積の移動を引き起こす。
【0173】
図32a~cを参照しつつ上で説明されている前の実施形態の場合のように、調節タンク46は、好ましくは、圧縮後もその形状を保つための手段46aを備える。図に概略が示されている、この手段は、こうして、使用者が調節タンクを解放したときも引き伸ばされた位置にデバイス10を保持することになる。このようにして、調節タンクは、本質的に、逆流疾病治療システム用のオン/オフ・スイッチとして動作する。
【0174】
図35は、本発明によるデバイスを埋め込むときに実行されるステップのフローチャートを示す。最初にステップ102で、腹壁を切開して開口部を形成する。次に、ステップ104で、胃の周りの一領域を切開する。その後、ステップ106で、本発明による少なくとも1つの移動制限デバイスが、胃壁、特に胃底壁と接触するように留置される。次いで、ステップ108で胃壁を縫合する。
【0175】
噴門および胃底の配置を復元するための方法 図36は、少なくとも1つの柔軟な部分201を有する器具200が裂孔ヘルニア202を患っている患者の食道24内にどのように導入されるかを示しており、この場合、横隔膜18の下に配置されることが想定されている食道24および胃底16の一部が裂孔18aを通って横隔膜18の上のある位置へ移動している。
【0176】
図37には、その後のステップにおいて、前記器具200より広い断面積を有する部材203が器具200からどのように解放されるかが示されている。部材203は、噴門14の開口部より大きな断面積を有するように構成される。これは、部材203を半径方向に拡大することによって行うことができる。次いで、器具200を遠位方向に押して、横隔膜18の上に正しく位置していない、噴門14および胃底16、または胃底16の一部が滑脱して裂孔18aを通り横隔膜18の下の正しい位置に戻るようにする。
【0177】
図38は、本発明の一実施形態である図37に示されている方法の代替の方法を示している。多くの態様において、この図は図37に類似している。図38では、器具200は、胃206の下部にある器具200の端部205のところでバルーン部材204を解放し、バルーン部材204を使用して器具200を胃207の下側壁部分に押し当てることで噴門14および胃底16または胃底16の一部が滑脱して裂孔18aを通り横隔膜18の下のある位置に来るように構成される。
【0178】
図39は、本発明の一実施形態であるさらに他の代替方法を示す。ここでもまた、この図は、多くの態様において、図37に類似している。しかし、図39では、この方法は、固定具208によって部材203を胃207の壁に取り付けることを伴う。次いで、上述のように、噴門14および胃壁16または胃底16の一部がスライドして横隔膜18の下に入るように器具を遠位方向に押す。
【0179】
図40は、胃底16および噴門14が、器具200によって裂孔18aに押し通された後に横隔膜18の下のある位置にどのように配置されるかを示している。
【0180】
図41は、この方法のその後のステップを示している。胃底16および噴門14が横隔膜18の下の正しい位置に押し込まれた後、胃底16aの壁が食道24の下部に固定される。これは、縫合糸またはステープラ210を備えることができる器具200の近位部分205で部材209を使用することによって実行される。固定具は、横隔膜18の上の位置への噴門14および胃底16の移動を妨げる。
【0181】
本発明の他の方法について以下で簡単に説明する。
【0182】
患者の逆流疾病を治療する方法は、患者の体内に本発明による逆流疾病治療システムを埋め込むステップを含む。
【0183】
本発明による逆流疾病を治療するためのシステムを使用する方法は、手術後に逆流を防止するようにデバイスを調節するステップを含む。
【0184】
本発明による移動制限デバイスを患者の体内に外科的に留置するための方法は、患者の腹壁を切開して開口部を形成するステップと、胃の周りの領域を切開するステップと、胃壁に取り付けられる移動制限デバイスを留置するステップと、胃壁を縫合するステップとを含む。
【0185】
手術後に体外から制御される逆流疾病治療システムを使用し、デバイスを調節する方法は、胃壁の一部に取り付けられている容積を充満するステップと、患者の体外からデバイスを調節して患者の逆流に影響を及ぼすステップとを含む。
【0186】
移動制限デバイスを使用する方法は、デバイスの第1の部分を留置することによって胃壁の第1の部分の容積を充満するステップと、デバイスの第2の部分を留置することによって胃壁の第2の部分の容積を充満するステップと、患者の体外からデバイスを調節して患者の逆流に影響を及ぼすステップとを含む。
【0187】
患者の逆流疾病を治療する方法は、針またはチューブ状器具を患者の身体の腹部に挿入するステップと、針またはチューブ状器具を使用して患者の腹部にガスを充填し、これにより腹腔を拡大するステップと、少なくとも2つの腹腔鏡検査トロカールを患者の体内に留置するステップと、カメラを腹腔鏡検査トロカールの1つに通して患者の腹部に挿入するステップと、少なくとも1つの切開具を前記少なくとも2つの腹腔鏡検査トロカールのうちの1つに通して挿入し、患者の胃の少なくとも一部の意図された留置領域を切開するステップと、本発明による移動制限デバイスを胃底壁上に留置するステップと、デバイスを胃底壁内に陥入するステップと、胃壁をそれ自身に縫合してデバイスを適所に保持するステップと、胃底を食道の下部に向かう方向に縫合するステップと、噴門が滑脱して横隔膜を通り胸腔内に入り込むのを防止するステップとを含む。本明細書で説明されているような方法およびデバイスを使用することで、非常に効果的であり、組織の損傷および非組織の組織内への望ましくない移動などの合併症を引き起こさない、逆流性食道炎の治療法が実現される。
【0188】
デバイスの充填体は、押すか、引いて腹腔鏡検査用途のトロカールに通すように構成することができ、そこでは、トロカールは、本体の緩められたときの直径より小さい直径を有する。充填体は、外壁と、トロカールに本体を通せる中空のガス充填内部とを備えることができる。あるいは、充填体は、外壁と、トロカールに本体を通せる中空の流体充填内部とを備えることができる。この後者の場合、流体はゲルであってもよい。充填体は、トロカール内に挿入することができ、また患者の体内で1つの一体ピースにまとめることができる複数の部分をさらに含むことができ、これにより、充填体をトロカールに通すことができる。充填体は、外壁と患者の体内に挿入した後に流体またはゲルで充填される中空圧縮内部を備えることができる。これは、注入口を通じて患者の体内に挿入した後に流体を充填体に充填するために使用できる注入口をさらに備えることができる。
【0189】
デバイスの充填体は、弾性圧縮性材料を含み、これにより、充填体をトロカールに通すことができる。充填体は、ショア硬度25より、さらにはショア硬度15アより柔らかい材料で作ることができる。
【0190】
充填体は、ボール状の形状を実質的に取る外壁を備えることもできる。充填体は、腹腔鏡検査用にトロカールに充填体を押し通すか、または引き通すために使用されるように構成された少なくとも1つの保持デバイスを備えることもできる。保持デバイスは、手術器具によって保持されるように構成されたデバイスの延長部を保持するように構成されうる。保持デバイスは、保持デバイスに通して挿入された糸またはバンドも保持することができる。保持デバイスは、充填体の外壁の内側に少なくとも部分的に配設されることもできる。デバイスの充填体は、好ましくは、ボールが合併症として胃の中に入る場合に腸閉塞を回避するために胃からの腸出口より大きいサイズを有することができる。好ましくは、本体は、30mmから40mm以上の間の最小外径を有する。好ましくは、本体は、30mmから150mmまでの間の最小外周長を有する。
【0191】
逆流疾病を治療するためのデバイス、逆流疾病を治療するためのデバイスを備えるシステム、および本発明による方法の好ましい実施形態について説明した。当業者であれば、これらは添付の特許請求の範囲の範囲内で変えることが可能であることに気づく。そこで、特定の実施形態において異なる特徴が説明されているが、これらは、適宜異なる構成で組み合わせることができることは理解されるであろう。例えば、液圧式制御については図4A~Bのデバイス構成に関連して説明されているが、これは、図2A~Bおよび3A~Bのデバイス構成にも適用されうる。
【0192】
埋め込まれた逆流治療デバイスは、それが陥入される胃壁内の適所にしっかり保たれることが重要である。この目的のために、逆流治療デバイスは、陥入部の固定に使用される縫合糸またはステープラを受け入れるように構成された1つまたは複数のスルー・ホールを備えることができる。このような一実施形態は、図42に示されており、そこでは、逆流治療デバイス10が、逆流治療デバイス上の突き出ているフランジ状突起部に設けられた一列の穴10iを備えている。この実施形態では、一列の穴は、逆流治療デバイスの長手方向軸にそって延在する。
【0193】
図43は、胃壁12aと穴10iに通されるように縫合糸314がどのように備えられているかを示している。この方法で、逆流治療デバイスは、胃壁から形成された袋内の適所に固定され、したがって、滑脱しなくなる。
【0194】
図42では複数の穴が示されているが、逆流治療デバイス10の固定を改善するために穴が1つあれば十分であることは理解されるであろう。
【0195】
図44は、入口10hを備える逆流治療デバイスを示している。逆流治療デバイスは、胃壁内に陥入され、入口10hは、患者の腹部からチューブまたは同様のものに接続するために利用可能である。
【0196】
図45は、陥入された逆流治療デバイスを示しており、そこでは、入口の代わりに、固定されたチューブ10gが、患者の腹部内に延在する。
【0197】
図46は、図44に類似しているが、入口10hと逆流治療デバイス10との間の胃壁内に接続チューブ10gをトンネル状に形成することも示している。
【0198】
逆流治療デバイスの形状は、さまざまな形態を取りうることが示されている。逆流治療デバイスの材料も、いろいろなものを使用することができることは理解されるであろう。逆流治療デバイスは、パリレン・コーティング、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コーティング、ポリウレタン・コーティング、またはそのようなコーティングの組み合わせ、つまり、多層コーティングなどのコーティングを施されることが好ましい。コーティングまたは多層コーティングは、耐摩耗性などの逆流治療デバイスの特性を改善する。
【0199】
一実施形態では、逆流治療デバイスは、拡大状態まで拡大可能な膨張可能デバイスを備える。この場合、膨張可能デバイスは、流体用の入口を備え、胃内視鏡器具に接続されるように構成される。次に、図47a~47dを参照しつつ、この実施形態について詳しく説明する。
【0200】
非拡大状態の膨張可能逆流治療デバイスが図47aに示されている。これは、本質的にバルーン状の、入口10hを有する収縮したデバイス10である。この状態では、膨張可能デバイスは、高々数ミリメートルの直径を有し、したがって、このデバイスを、図47bに示されている、胃内視鏡チューブ状器具600を使って患者の食道を通して胃の中に挿入することができる。器具は、外側スリーブ600aおよび外側スリーブに関して縦方向にずらすことができる内側スリーブ600bを備える。内側スリーブは、その遠位端のところで刃先615の形態のカッターを備える。この刃先は、以下で詳しく説明するように、胃壁を切開して穴をあけるために使用することができる。
【0201】
器具が胃壁に到達したときに(図47cを参照)、内側スリーブは、外側スリーブ内の位置から前方に移動され、胃壁12aと接触する。次いで、内側スリーブの刃先615は、胃壁を切って穴をあけ、その後に逆流治療デバイス10をこの穴の中に挿入し通すことができる(図47dを参照)。逆流治療デバイスをこの穴に押し通すために、器具にピストン602を備えることができる。したがって、器具は、図47bに示されている内側スリーブの位置から図47dに示されている内側スリーブの外側の位置へ収縮した状態の逆流治療デバイス10を押し出すように構成されたピストン602をさらに備える。
【0202】
内側スリーブの刃先615から収縮した状態の逆流治療デバイス10を保護するために、逆流治療デバイスの周りにさらに保護スリーブ(図示されていない)を備えることができる。
【0203】
次に胃壁12aの外側に逆流治療デバイス10を陥入させる腔内法について、図48a~iを参照しつつ説明する。最初に、器具600、好ましくは胃内視鏡器具を患者の口の中に挿入する(図48aを参照)。器具は、流体またはデバイスのいずれかを患者の胃の中に注入するための注入デバイス601、602を備える。器具600は、器具の動作を制御するように構成された制御ユニット606をさらに備える。この目的のために、制御ユニット606は、1つまたは複数の操縦デバイスを備え、図に示されている実施形態では2つのジョイスティック603と2つの制御ボタン604の形態を取っている。細長い部材607の外側端部に配置されたカメラ(図示されていない)によって撮られた画像を表示するためのディスプレイ605が備えられる(図48e~iを参照)。カメラは、光源(図示されていない)によって補助されてもよい。
【0204】
器具は、患者の食道内に、また患者の胃の中にさらに挿入される(図48bを参照)。器具600を使って、胃12の壁に穴12bをあける。この目的のために、器具は、例えば、図47a~dを参照しつつ上で説明されている方法により、その遠位端のところに1つまたは複数のカッター615を備える。これらのカッターは、もちろん、チューブ状器具の中心軸を中心として回転する歯付きドラム・カッターなどさまざまな方法で設計されうる。器具600は中空であり、収縮した状態の逆流治療デバイス10用に空間をもたらす。
【0205】
胃壁を切って穴をあけた後、器具600の遠位端を、胃壁12aの外側で終わるように穴12b内に挿入して通す。これは、胃12の側面図を示す、図48cに示されており、また線Vd-Vdにそって切断された図48cの胃を通る断面図である図48dに示されている。次いで、収縮した逆流治療デバイス10を腹部に挿入する。
【0206】
器具600は、胃壁内の穴12bの周りの胃12の外側に「ポケット」または「袋」を形成するように構成される。次に、袋を形成するこのような器具および方法について説明する。
【0207】
図48e~iは、逆流治療デバイスが留置される胃壁12aの材料の袋を形成することによって患者の胃壁12a内に逆流治療デバイス10を陥入するための胃内視鏡または腹腔鏡器具を示している。全般的に600と示され、図47a~dを参照しつつ上で説明されている特徴を備えることができる器具は、近位端と遠位端とを有する細長い部材607を備え、この細長い部材607は患者の食道の直径よりも小さい直径を有し、柔軟であり、これにより、柔軟な細長い部材607が、その遠位端を先頭にして、患者の喉、食道を通り、胃12に入り、胃壁12aに導入されるようにすることができる。
【0208】
胃貫通デバイスまたはカッター615は、細長い部材607を穴に通して導入できるように、胃壁12aを貫通して胃壁12aに穴を形成するために細長い部材607上の遠位端のところに設けられる。胃貫通デバイス615は、体内で組織をさらに傷つけないために、胃底壁12aが貫通された後に、前記胃貫通デバイス615を引っ込める操作が可能であるように構成することが可能である。器具は、貫通デバイス615の近位側にある細長い部材607上に設けられた特殊保持デバイス609をさらに備える。
【0209】
細長い部材は、細長い部材が胃壁12aを貫通した後に拡大するように構成された拡大可能部材611をさらに備え、これにより、逆流治療デバイス610を保持するように構成された空洞または袋の形成が補助される。拡大可能部材611は、柔軟な細長い部材607の遠位端部分の周上に設けられた膨張可能円形バルーンを備えることができる。
【0210】
次に、逆流治療デバイスを陥入するときの方法ステップについて詳しく説明する。器具600を胃12に挿入した後、胃貫通デバイス615を胃壁12aに接触させる(図48eを参照)。次いで、胃貫通デバイスまたはカッター615を持ってきて、胃壁内に穴12bを形成し、この後、少なくとも拡大可能部材611を胃壁の穴12bに通す。特殊保持デバイス609は、このステップで、保持状態にされ、そこで、半径方向に拡大して、胃壁12aに対する本質的に円形当接表面を形成する(図48fを参照)。このようにして、胃貫通デバイス615および拡大可能部材611を胃壁の穴12aに挿入することは、図48fに示されている位置に限定される。
【0211】
その後、拡大可能部材611が拡大される。この場合、拡大可能部材は、バルーンまたは同様のものを含み、空気、または他の流体がその中に注入される。
【0212】
次いで、図48gにおいて矢印で示されているように、拡大可能部材611を備える細長い部材607の部分が近位方向に引っ込められると、特殊保持デバイス609によって形成されるバスケット状構造内に胃壁612を引き込む。
【0213】
縫合またはステープラ留めデバイス608が、細長い部材607に接続されるデバイスとして、または独立した器具としてさらに備えられる。縫合またはステープラ留め部材は、胃間縫合糸またはステープラ14を使って空洞または袋を閉じるように構成された縫合またはステープラ留め端部613を備える。
【0214】
図48hに示されている、他のステップでは、膨張可能逆流治療デバイス10が、バスケット状構造内に収縮状態で留置される。次いで、逆流治療デバイス10が、その膨張または拡大状態まで膨張する(図48iを参照)。逆流治療デバイス10のこのような膨張は、流体またはゲルを収縮した逆流治療デバイス内に注入することによって行うことがで
きる。これは、硬化させることができる材料を注入し、それにより堅いデバイス10を形成することでも行える。したがって、図48hおよび48iに示されている逆流治療デバイス10は、流体またはゲル、あるいは胃壁12aによって形成されるバスケット状構造に単に注入される材料をその後充填するバルーン状デバイスを示しうる。
【0215】
逆流治療デバイス10を充填するために使用される流体は、食塩水などの、膨張可能デバイス10を充填するのに適している適当な流体とすることが可能である。他の実施形態では、この流体が固体状態に転換されるようになされている流体である場合、流体は、液体ポリウレタンとすることも可能である。
【0216】
漏れを最小限に抑えるか、または完全になくすために、流体は等張性である、つまり、人間の体液と同じオスモル濃度を有する。拡散を防止する他の方法は、ヨウ素分子などの巨大分子を含む流体を用意することである。
【0217】
胃間縫合糸またはステープラは、好ましくは、ヒト組織の成長侵入を促進するために胃壁と接触するように構成された、ネット状構造などの構造を持つ固定部分を備え、胃壁に取り付けられた逆流治療デバイスの長期間留置を確実なものとする。
【0218】
膨張可能デバイス10が、部分的にまたは完全に、膨張した後、逆流治療デバイス10の入口10b(図48hと48iには示されていない)を封止し、器具600を穴12bから引っ込め、穴はその後器具600を使うなど、好適な方法で閉じられる。次いで、胃600から器具が取り出され、胃壁の外側の患者の胃壁部分によって膨張または拡大状態の膨張可能デバイス10が陥入される。上述のステップの1つまたは複数では、好ましくは胃内視鏡器具を使って、ガスで胃を膨張させることができる。
【0219】
図48a~iを参照しつつ上で説明されている逆流治療デバイス10は、膨張可能逆流治療デバイスとして説明されている。それは、胃内視鏡器具内に挿入できるように圧縮を行える弾性を持つ、器具から出た後に拡大状態にまで拡大する弾性逆流治療デバイスとすることもできることは理解されよう。
【0220】
逆流を治療するための装置は、肥満を治療する追加機能を備えることができる。このような一実施形態では、逆流治療デバイスは、胃の容積を充填し、それにより満腹させる容積充填デバイスとすることができる。この機能を持つ一実施形態が図49に示されており、そこでは、患者が立位にあるときに、組み合わされた逆流治療デバイスと肥満治療デバイス310が、患者の噴門14の近く、および少なくとも部分的にはその上のところで胃壁内に陥入され、また縫合糸またはステープラ22などの固定具によって噴門領域14cの上の位置に固定される。例えば、横隔膜筋または関連する筋肉に直接的に、または間接的に固定することもできる。代替として、His角の上および近くで食道に直接的に、または間接的に固定することもできる。この代替実施形態では、組み合わせデバイス310が、埋め込まれたときに胃底の胃壁に当たる位置に置かれ、また、噴門が滑って胸腔内に入り込まないように噴門と横隔膜筋との間の噴門領域14cの上の容積を満たし、これにより、逆流疾病が防止される。
【0221】
このような組み合わせデバイス310を、電子回路および/またはエネルギー源および/または作動液を保持するために使用することができる。デバイスからの作動液がいくつかのより小さな膨張可能なデバイス領域に分配され、これにより、ときどき引き伸ばし領域を変化させ、胃壁のより永久的な引き伸ばし効果が発生する可能性を回避することができる。機械的であってもいくつかの引き伸ばし領域を使用することができる。
【0222】
逆流治療デバイス-引き伸ばしデバイスの組み合わせ 図50に示されている、代替実
施形態では、膨張可能逆流治療デバイス310の容積は、1つまたは複数の好ましくはより小さな膨張可能なデバイスまたは室10bと流体で連通することができる。これらの室は、室と室との間で移動する流体または空気と連通するように構成される。
【0223】
したがって、大きな室310は、逆流治療デバイスとなるその主要容積とともに、食物腔のサイズを縮小し、逆流疾病を治療するように構成され、1つまたは複数の小さな室は、肥満を治療するための膨張可能なデバイスとして機能するように構成され、主室は、小さな室へ流体または空気と連通し、胃壁に引き伸ばし効果を引き起こし、それにより肥満をさらに治療するように構成される。
【0224】
図51は、胃の中央部または下部に陥入されている容積充填デバイスと患者の胃の上部または胃底内に陥入されている引き伸ばしデバイスとの組み合わせを使用する一実施形態を示している。これら2つのデバイスは、肥満を治療する働きがある。
【0225】
容積充填デバイス399は、胃の容積を充填して、満腹させる。引き伸ばしデバイスが、胃の壁を引き伸ばす。これは、組織を引き伸ばし、満腹を生じさせる内因性シグナル伝達を誘発する。これは、胃を食物で満たす引き伸ばし効果を模倣したものである。したがって、図51には、患者の胃312の胃壁内に陥入されている、調節可能な容積充填デバイス399が示されている。それに加えて、前述の機能を備える調節可能な引き伸ばしデバイス350は、患者の胃底壁内に陥入される。容積充填デバイス399は、引き伸ばしデバイス350よりも実質的に大きいことが好ましい。
【0226】
容積充填デバイス399および引き伸ばしデバイス350は、逆流を治療するように構成することができる。一実施形態では、容積充填デバイスおよび引き伸ばしデバイスは、噴門14が滑って上方に移動し裂孔18aの開口部を通って横隔膜18の上の位置に来るのを防ぐように位置決めされる。
【0227】
容積充填デバイス399および引き伸ばしデバイス350は、ポンプ354が備えられている、第1の流体チューブ352を介して互いに流体で連通する。ポンプ354は、電力サプライ・ライン356を介してポンプ350にエネルギーを供給するように構成されているエネルギー変換デバイス330からの制御下にある。エネルギー変換デバイス330は、食物摂取が検出できるように患者の食道内に設けられたセンサ319にも接続されている。
【0228】
逆流治療デバイス10および引き伸ばしデバイス350も、好ましくは、第1の流体チューブ352より小さな断面積を有する、第2の流体チューブ358を介して互いに流体で連通する。
【0229】
この装置構成の動作は、以下のとおりである。容積充填デバイス399が、上述の実施形態のように機能する、つまり、患者の胃12の食物腔のサイズを縮小する。それに加えて、引き伸ばしデバイス350が、ポンプ354を使って容積充填デバイス10から流体を引き伸ばしデバイス350に送ることによって拡大されると、胃底壁が引き伸ばされ、患者の満腹感が生じる。そこで、例えば、食物摂取がセンサ319を使って検知された場合、流体がポンプで引き伸ばしデバイス350に自動的に送り込まれて、満腹感を高め、それにより、食物摂取を制限する。
【0230】
流体が引き伸ばしデバイス350内に注入された場合、その中の内部圧力は、逆流治療デバイス399内の内部圧力よりも高い。この圧力差が、引き伸ばしデバイス350から逆流治療デバイス399への第2の、好ましくはより細いチューブ358内の流体の流れを引き起こす。流量は、とりわけ、圧力差と第2のチューブ358の断面積とによって決
定される。第2のチューブの寸法は、容積充填デバイス399と引き伸ばしデバイス350内の圧力が流体を引き伸ばしデバイス350内に注入してから3時間後に平衡状態に戻り満腹感を生じさせるように決められることが好ましい。
【0231】
この実施形態では、第2のチューブ358の機能は、引き伸ばしデバイス350から容積充填デバイス399に流体を戻すことである。この機能は、第1のチューブ352内のポンプ354でも実行できること、および次いで、第2のチューブ358を省くことができることは理解されるであろう。
【0232】
逆流治療デバイスを胃壁の内側に留置するための方法: 以下では、逆流治療デバイスを胃壁の内側に留置するための方法および器具について説明する。
【0233】
全般的に630と示されている、図52a~lで説明されている陥入器具は、図48a~iを参照しつつ上で説明されている細長い部材607に類似している細長いチューブ部材632を備える。そこで、これは、制御ユニット606に接続することができる(図48aを参照)。陥入器具630は、好ましくは細長い、穿孔された吸引部分634をさらに備える。吸引部分634は、複数の小さな孔636を備え、この中に、チューブ部材632内の吸引を行うことによって空気が吸い込まれる。この吸引効果は、全般的に12aと示されている、胃壁の一部の中に「ポケット」または「袋」を形成するために利用される。
【0234】
言い換えると、吸引部分634の先端を胃壁12aに圧接すると(図52aを参照)、その中に小さな陥凹部が形成される。吸引部分634を胃壁12aにさらに圧接すると(図52bを参照)、より大きな陥凹部が形成される。陥凹部を形成する胃壁12aの部分は、吸引効果のせいで、陥入器具630の吸引部分634に付着する。吸引部分634を胃壁12aにさらに圧接すると(図52cを参照)、より深い陥凹部が形成され、最後には吸引部分634全体が陥凹部内に埋まる(図18dを参照)。
【0235】
陥凹部のリムは、この段階で、固定要素638を使って固定され、吸引部分は、器具から外される(図52eを参照)。その後、圧縮された弾性逆流治療デバイス10は、例えば、図47dを参照しつつ上で説明されている方法により、陥凹部内に挿入される(図52fを参照)。次いで、この圧縮された逆流治療デバイスが最終形状になるまで拡大され(図52gを参照)、その後、固定要素を使って縫合またはステープラ留めによって袋が封止される(図52hを参照)。
【0236】
図1~51を参照しつつ上で説明されているすべての代替形態は、図52a~lを参照しつつ説明されている実施形態、つまり、逆流治療デバイスが胃壁の内側に陥入される実施形態にも適用可能である。
【0237】
図53a~cは、逆流治療デバイスが胃の壁の内側または外側に留置されるかどうかに応じて、胃の壁の外側に、または胃の壁の内側に留置できる胃の壁の陥入部を形成するための器具を示している。器具は、真空を利用して、胃の壁の一部を器具のカップ内に吸引する。
【0238】
胃内視鏡器具を使って逆流治療デバイス10が胃壁内にどのように陥入されるかが説明されている。胃内視鏡器具を使用して、逆流治療デバイスを図1Aに示されているように胃の壁の外側に、または図2Aに示されているように胃の内側に留置することができる。後者の場合、器具は、胃の内側から胃の壁を切開するために使用される。
【0239】
腹部手術法も使用できることは理解されるであろう。次に、図54~55を参照しつつ
、このような方法について説明する。図54には、患者の腹部に切開部380を形成することにより胃にどのように接近するかが示されている。図55には、患者の腹部に器具381をどのように挿入するかが示されている。説明されている器具および方法はどれも、この目的に合わせて選択し、構成することができる。したがって、例えば、逆流治療デバイスを図1Aに示されているように胃の外側に、または図2Aに示されているように胃の内側に留置することができる。後者の場合には、胃の壁を切開する。
【符号の説明】
【0240】
10 移動制限デバイス
13 本体
15 外面
16 胃底壁
16a 外壁
18 横隔膜
20 胸腔
22a、22b、22c 縫合糸またはステープラ。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47a
図47b
図47c
図47d
図48a
図48b
図48c
図48d
図48e
図48f
図48g
図48h
図48i
図49
図50
図51
図52a
図52b
図52c
図52d
図52e
図52f
図52g
図52h
図53a
図53b
図53c
図54
図55