(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】有機化合物
(51)【国際特許分類】
C11B 9/00 20060101AFI20220308BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20220308BHJP
C07C 49/67 20060101ALI20220308BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20220308BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
C11B9/00 P
C11D3/50
C07C49/67 CSP
A61L9/01 Q
A61Q13/00 101
(21)【出願番号】P 2019508188
(86)(22)【出願日】2017-08-14
(86)【国際出願番号】 EP2017070593
(87)【国際公開番号】W WO2017191331
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2016/095273
(32)【優先日】2016-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ツォウ,ユエ
(72)【発明者】
【氏名】チャイ,アン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,チエ
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,リージュン
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-025068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0125584(US,A1)
【文献】特開2000-212111(JP,A)
【文献】国際公開第2016/113151(WO,A1)
【文献】特開平07-330653(JP,A)
【文献】特表2005-519081(JP,A)
【文献】特開昭49-126857(JP,A)
【文献】特開平03-130246(JP,A)
【文献】特開2005-097198(JP,A)
【文献】PREMASAGAR, V. et al.,J, Org. Chem.,1981年,(1981), Vol.46,pp.2974-2976
【文献】LAMBOLEY, S. et al.,HELVETICA CHIMICA ACTA,2004年,(2004), vol.87, No.7,pp.1767-1793
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 9/00 - 9/02
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 -99/00
C07C49/67
C07C49/755
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
式中
R
1は
、メチルおよびエチルから選択され;
R
2は、水素、メチルおよびエチルから選択され、ならびにR
3は、水素であり、
R
4は、C
2~C
5アルキル、C
2~C
5アルケニル、C
1~C
4アルコキシ、C
3~C
5シクロアルキル、およびC
3~C
6シクロアルケニルから選択される、
で表される化合物の、フレグランスとしての使用。
【請求項2】
6-イソプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-(tert-ブチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
2-メチル-6-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-イソブチル-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-シクロプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-シクロペンチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
2-エチル-6-イソブチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-エチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-イソペンチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-エトキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-イソプロポキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
2-メチル-6-プロポキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-イソブトキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
2-メチル-6-(2-メチルアリル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;および
6-ブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
から選択される請求項1に記載の式(I)で表される化合物の、フレグランスとしての使用。
【請求項3】
請求項1または2で定義されるとおりの式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物を香り物質として、およびベース材料を含む、フレグランス組成物。
【請求項4】
請求項1または2に定義されるとおりの式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物を香り物質として、および消費者製品基材を含む、フレグランス品。
【請求項5】
消費者製品基材を改良し、増強し、または変更する方法であって、これに嗅覚的に許容し得る量の請求項1または2に定義されるとおりの式(I)で表される化合物、またはそれらの混合物を添加する手段による、前記方法。
【請求項6】
式(I)
【化2】
式中、
R
1は、メチルおよびエチルから選択され;
R
2は、水素であり、およびR
3は、水素であり;
R
4は、C
3~C
5アルキル、C
2~C
5アルケニル、C
3~C
4アルコキシ、C
3~C
5シクロアルキル、およびC
3~C
6シクロアルケニルから選択され、ただしR
4は、イソプロピルもしくはtert-ブチルではない、で表される化合物
、または、6-イソプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;6-(tert-ブチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;および6-イソブチル-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンからなる群から選択される化合物。
【請求項7】
2-メチル-6-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
;
6-シクロプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-シクロペンチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
2-エチル-6-イソブチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-イソペンチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-イソプロポキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
2-メチル-6-プロポキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-イソブトキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
2-メチル-6-(2-メチルアリル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;および
6-ブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
から選択される請求項6に記載の
式(I)で表される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高持続的かつ長続きする、フルーティーでフローラルな嗅覚的性質を有するインダノン誘導体に関する。本発明はさらに、それらの製造のための方法に関し、およびこれらを含有するフレグランス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フレグランスおよびフレーバー産業において、パフューマーおよびフレーバリストは、高インパクトの香りの、または新しい香りノートを与える新しい化合物を継続的に探求している。フルーティーな化合物は、大抵軽やかであり、およびフレグランス創作においてトップノートとして使用され、したがってフルーティーでフローラルな香り傾向の、力強く、および比較的低い揮発性化合物がとりわけ興味深く、それはとりわけ衣類ケア製品における使用に関して、それらを広く使用される長続きする香りノートとして極めて魅力的にする。
【0003】
置換されたインダノンおよびインダンは、文献において記載されている。いくつかは、フレグランス成分として好適であると記載されている。WO03072533 A1は、レザー調、ウッディおよびサフラン様の香りを保有する香水中の3,3-ジメチルインダノンの使用を記載している。US 3,944,679は、タバコ、食品および飲料フレーバーにクマリン様ノートを与える2-および3-アルキル置換されたインダノンを開示した。
驚くべきことに、我々は今日、グリーンな面をもつ、極めて力強く、かつ、長続きするフルーティー、フローラルノートを保有する置換されたインダノンの新しいクラスを見出した。とりわけ、驚くべきことに、本明細書中下記に定義されるとおりの式(I)で表されるC-6置換されたインダノン誘導体が、それらのC-4、C-5およびC-7置換された等価体と比較して顕著に低い香り閾値を保有することを見出した。
【0004】
本明細書中に使用されるとおり、「香り閾値」は、嗅覚によって検知され得る空気中の蒸気の最も低い濃度を意味する。一般的にいえば、低い香り閾値を有する化合物は、高い香り閾値を有する化合物よりもより力強く、およびしたがって、フレグランス組成物中の極めて低い濃度の使用により嗅覚的な効果を達成することを可能にする。
【発明の概要】
【0005】
第一の態様において、式(I)
【化1】
式中
R
1は、水素、メチルおよびエチルから選択され;
R
2は、水素、メチルおよびエチルから選択され、およびR
3は、水素およびメチルから選択されるか;または
R
2およびR
3は、それらが付着している炭素原子と一緒に、C
3~C
5シクロアルキルを形成する(例えば、シクロブチル);
R
4は、C
2~C
5アルキル(プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチルなどのC
3アルキルおよびC
4アルキルを包含する)、C
2~C
5アルケニル(アリル、メチルアリルなど)、C
1~C
4アルコキシ(C
2アルコキシおよびC
3アルコキシ、例えば、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシを包含する)、C
3~C
5シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル)およびC
3~C
6シクロアルケニル(例えば、シクロペンテニル、シクロブテニル)から選択される、
で表される化合物のフレグランスとしての使用が提供される。
【0006】
式(I)で表される化合物は、1つ以上のキラル中心を含み、そのため立体異性体の混合物として存在してもよく、またはそれらは異性体的に純粋な形態として分解されてもよい。
立体異性体を分解することは、これらの化合物の製造および精製の複雑さを増し、したがって単に経済的な理由のためにそれらの立体異性体の混合物として化合物を使用することが好ましい。しかしながら、個々の立体異性体を調製することが所望される場合、これは、当該技術分野において既知の方法、例えば、分取HPLCおよびGC、結晶化または立体選択的な合成に従って、達成され得る。
【0007】
式(I)で表される化合物の特定の例として、非限定例として、6-イソブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンを挙げることができ、それはクリーミーなラクトンネクタリル様の面をもつ、極めて力強く、フローラルでフルーティーでファッティ(fatty)、ならびに、ローズ花弁様およびグリーンローズオキシド様の面をもつ、ローズ調フローラルな特徴を保有する。6-イソブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンは、1つのキラル炭素中心を有する。双方の光学異性体は、極めて類似した香りプロファイルを有しているが、(S)-6-イソブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンは、(R)-6-イソブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンよりもより力強い。式(I)で表される化合物のさらなる特定の例として、非限定例として、6-(sec-ブチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンを挙げてもよく、それは強いグリーンなローズ調メタリックおよびグリーンなレザー調でゴム様の面、ならびに全体的にファッティでフルーティーでフローラルな特徴をもつ極めて力強い成分である。
【0008】
さらに、非限定例は、式(I)で表される化合物であり、ここでR2またはR3のいずれかは、水素である。
さらに、非限定例は、式(I)で表される化合物であり、ここでR2およびR3は、水素である。
さらに、非限定例は、式(I)で表される化合物であり、ここでR1、R2およびR3の少なくとも1つは、水素ではない。
さらに、非限定例は、式(I)で表される化合物であり、ここでR1は、メチルである。 さらに、非限定例は、式(I)で表される化合物であり、ここでR1は、メチルであり、R2およびR3は、水素である。
【0009】
さらに、非限定例は、式(I)で表される化合物であり、ここでR1は、メチルであり、R4は、C2~C5アルキル(プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチルなどのC3アルキルおよびC4アルキルを包含する)、C2~C5アルケニル(アリル、メチルアリルなど)およびC1~C4アルコキシ(C2アルコキシおよびC3アルコキシ、例えば、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシを包含する)から選択される。
【0010】
さらに、非限定例は、式(I)で表される化合物であり、ここでR1は、メチルであり、R4は、C3~C5アルキル(プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどのC3アルキルおよびC4アルキルを包含する)およびC2~C4アルコキシ(C2アルコキシおよびC3アルコキシ、例えば、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシを包含する)から選択される。
【0011】
さらに、非限定例は、式(I)で表される化合物であり、ここでR1は、メチルであり、R2は、水素であり、およびR3は、水素またはメチルであり、ならびにR4は、C3~C5アルキル(プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどのC3アルキルおよびC4アルキルを包含する)およびC2~C4アルコキシ(C2アルコキシおよびC3アルコキシ、例えば、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシを包含する)から選択される。
【0012】
さらに、非限定例は、式(I)で表される化合物であり、ここでR1は、メチルであり、R2、R3の一方は、水素であり、および他方は、メチルであり、ならびにR4は、C3~C5アルキル(プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどのC3アルキルおよびC4アルキルを包含する)およびC2~C4アルコキシ(C2アルコキシおよびC3アルコキシ、例えば、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシを包含する)から選択される。
【0013】
さらに、非限定例は、式(I)で表される化合物であり、ここでR3は、メチルであり、R1およびR2は、水素であり、ならびにR4は、C3~C5アルキル(プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどのC3アルキルおよびC4アルキルを包含する)およびC2~C4アルコキシ(C2アルコキシおよびC3アルコキシ、例えば、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシを包含する)から選択される。
【0014】
さらに、非限定例は、式(I)で表される化合物であり、ここでR1は、メチルであり、R2およびR3は、水素であり、ならびにR4は、C2~C4アルコキシ(C2アルコキシおよびC3アルコキシ、例えば、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシを包含する)およびC3~C5シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、またはシクロペンチル)から選択される。
【0015】
さらに、非限定例は、式(I)で表される化合物であり、ここでR1は、メチルであり、R2およびR3は、水素であり、ならびにR4は、C3~C5アルキル(プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどのC3アルキルおよびC4アルキルを包含する)およびC3~C5シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、またはシクロペンチル)から選択される。
【0016】
さらに、非限定例は、式(I)で表される化合物であり、R1は、メチルであり、R2およびR3は、水素であり、ならびにR4は、C3~C5アルキル(プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチルなどのC3アルキルおよびC4アルキルを包含する)から選択される。
【0017】
さらに、非限定例は、
3-メチル-6-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-イソブチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-イソプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-(tert-ブチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
2,3-ジメチル-6-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
2-メチル-6-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-イソブチル-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
【0018】
6-イソブチル-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-(tert-ブチル)-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-シクロプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-シクロペンチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
2-エチル-6-イソブチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-エチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-イソペンチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
【0019】
6-エトキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-イソプロポキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
2-メチル-6-プロポキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
6-イソブトキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;
4-イソブチル-6a-メチル-1a,6a-ジヒドロシクロプロパ[a]インデン-6(1H)-オン;
2-メチル-6-(2-メチルアリル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン;および
6-ブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン、
から選択される、式(I)で表される化合物である。
【0020】
式(I)で表される化合物は、単独で、立体異性体混合物として、または、精油、アルコール類、アルデヒド類およびケトン類、エーテル類およびアセタール類、エステル類およびラクトン類、マクロ環およびヘテロ環などの、現在利用することができる広範囲にわたる天然物および合成分子から選択される、既知の香り物質分子との組み合わせにおいて、および/または、フレグランス組成物における香り物質と併せて慣用的に使用される1種以上の成分または賦形剤、例えば担体材料、および当該技術分野において普通に使用される他の助剤との混合剤において、使用することができる。
【0021】
本明細書中で使用されるとおり、「担体材料」は、香り物質の観点から事実上中立な材料、すなわち、香り物質の感覚刺激性を顕著に変更しない材料を意味する。
【0022】
用語「助剤」は、当該組成物の嗅覚的性能に具体的に関与しない理由によりフレグランス組成物において用いられ得る。例えば、助剤は、フレグランス成分もしくは成分、または当該成分を含有する組成物(単数または複数)を加工する補助として作用する成分となり得、あるいは、フレグランス成分または同様のものを含有する組成物の取り扱いまたは貯蔵を改善することができる。それはまた、色またはテクスチャを与えるなどの追加的な利点を与える成分であり得る。それはまた、フレグランス組成物に含有される1種以上の成分に耐光性または化学的安定性を与える成分であり得る。同様のものを含有するフレグランス組成物において普通に使用されるアジュバントの性質およびタイプの詳細な説明は包括的になり得ないが、当該成分は当業者に公知であることが言及されなければならない。
【0023】
本明細書中で使用されるとおり、「フレグランス組成物」は、式(I)で表される化合物および、ベース材料、例えば、ジエチルフタラート(DEP)、ジプロピレングリコール(DPG)、イソプロピルミリスタート(IPM)、トリエチルシトラート(TEC)およびアルコール(例えば、エタノール)などの、香り物質併せて慣用的に使用される希釈剤、を含むあらゆる組成物を意味する。任意に、組成物は、抗酸化剤アジュバントを含んでもよい。該抗酸化剤は、Tinogard(登録商標)TT(BASF)、Tinogard(登録商標)Q(BASF)、トコフェロール(その異性体、CAS 59-02-9;364-49-8;18920-62-2;121854-78-2を包含する)、2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール(BHT、CAS 128-37-0)および関連するフェノール、ヒドロキノン(CAS 121-31-9)から選択されてもよい。
【0024】
以下のリストは、本発明の化合物と組み合わせられていてもよい、既知の香り物質分子の例を含む:
-精油および抽出物、例えば、海狸香、コスツスルート油、オークモスアブソリュート、ゼラニウム油、トリーモスアブソリュート、バジル油、ベルガモット油およびマンダリン油などの果実油、ミルテ油、パルマローザ(palma rose)油、パチョリ油、プチグレン油、ジャスミン油、ローズ油、サンダルウッド油、ヨモギ油、ラベンダー油および/またはイランイラン油;
【0025】
-アルコール類、例えば、シンナミックアルコール((E)-3-フェニルプロパ-2-エン-1-オール);シス-3-ヘキセノール((Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール);シトロネロール(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール);ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール);Ebanol(商標)((E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-2-オール);オイゲノール(4-アリル-2-メトキシフェノール);エチルリナロール((E)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-オール);ファルネソール((2E,6Z)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-オール);ゲラニオール((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール);
【0026】
Super Muguet(商標)((E)-6-エチル-3-メチルオクタ-6-エン-1-オール);リナロール(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール);メントール(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノール);ネロール(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール);フェニルエチルアルコール(2-フェニルエタノール);ロジノール(商標)(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール);Sandalore(商標)(3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタン-2-オール);テルピネオール(2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール);またはTimberol(商標)(1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール);2,4,7-トリメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール、および/または[1-メチル-2(5-メチルヘキサ-4-エン-2-イル)シクロプロピル]-メタノール;
【0027】
-アルデヒド類およびケトン類、例えば、アニスアルデヒド(4-メトキシベンズアルデヒド);アルファアミルシンナミックアルデヒド(2-ベンジリデンヘプタナール);Georgywood(商標)(1-(1,2,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);ヒドロキシシトロネラール(7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール);Iso E Super(登録商標)(1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);Isoraldeine(登録商標)((E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン);Hedione(登録商標)(メチル3-オキソ-2-ペンチルシクロペンタンアセタート);3-(4-イソブチル-2-メチルフェニル)プロパナール;マルトール;メチルセドリルケトン;メチルイオノン;ベルベノン;および/またはバニリン;
【0028】
-エーテル類およびアセタール類、例えば、Ambrox(登録商標)((3a,6,6,9a-テトラメチル-2,4,5,5a,7,8,9,9b-オクタヒドロ-1H-ベンゾ[e][1]ベンゾフラン);ゲラニルメチルエーテル((2E)-1-メトキシ-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン);ローズオキシド(4-メチル-2-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン);および/またはSpirambrene(登録商標)((2’,2’,3,7,7-ペンタメチルスピロ[ビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2,5’-[1,3]ジオキサン]);
【0029】
-エステル類およびラクトン類、例えば、ベンジルアセタート;セドリルアセタート((1S,6R,8aR)-1,4,4,6-テトラメチルオクタヒドロ-1H-5,8a-メタノアズレン-6-イルアセタート);γ-デカラクトン(6-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン);Helvetolide(登録商標)(2-(1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エトキシ)-2-メチルプロピルプロピオナート);γ-ウンデカラクトン(5-ヘプチルオキソラン-2-オン);および/またはベチベリルアセタート((4,8-ジメチル-2-プロパン-2-イリデン-3,3a,4,5,6,8a-ヘキサヒドロ-1H-アズレン-6-イル)アセタート);
【0030】
-マクロ環、例えば、アンブレットリド((Z)-オキサシクロヘプタデカ-10-エン-2-オン);エチレンブラシラート(1,4-ジオキサシクロヘプタデカン-5,17-ジオン);および/またはExaltolide(登録商標)(16-オキサシクロヘキサデカン-1-オン);ならびに
-ヘテロ環、例えば、イソブチルキノリン(2-イソブチルキノリン)。
【0031】
式(I)による化合物は、広範なフレグランス品において、例えば、パフューム、空気ケア製品、家庭用品、洗濯製品、ボディケア製品および化粧品などの、上質なおよび機能的な香水のあらゆる分野において、使用されてもよい。化合物は、特定の物品に、ならびに、他の香り物質成分の性質および分量に依存して、多岐にわたる量において用いられ得る。割合は、典型的には、物品の0.0001~30重量パーセントである。一態様において、本発明の化合物は、衣類柔軟剤において、0.001~0.3重量パーセント(例えば、0.05重量%を包含する、0.01~0.1重量%)の量において、用いられてもよい。別の態様において、本発明の化合物は、上質な香水において、0.01~30重量パーセント(例えば、約10重量パーセントまでか、20重量パーセント(例えば、約10重量パーセントまでか、または約20重量パーセントまで)、より好ましくは、0.01重量パーセントと5重量パーセントとの間の量において、用いられてもよい。しかしながら、経験を積んだパフューマーは、より低い濃度またはより高い濃度で、効果を達成してもよく、または新規なアコードを作ってもよいため、これらの値は、例としてのみ与えられる。
【0032】
一態様において、許容し得る量の少なくとも1種の式(I)で表される化合物、またはその混合物を含むフレグランス品が提供される。例えば、フレグランス品は、物品の総量に基づき、0.000001重量%~90重量%(0.00001重量%;0.0001重量%、0.001重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.5重量%、1重量%、5重量%、8重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、50重量%、60重量%、65重量%包含する)含んでもよい。
【0033】
本明細書中上記に記載されるとおりの化合物は、消費者製品基材において、式(I)で表される化合物もしくは式(I)で表される化合物を含むフレグランス組成物またはそれらの混合物と消費者製品基材とを単に直接混合することにより用いられてもよく、あるいは、前段階において、封入材料、例えば、ポリマー、カプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセル、リポソーム、フィルム形成剤、炭素またはゼオライトなどの吸収剤、環状オリゴ糖、ならびにそれらの混合物で封入されていてもよく、あるいは、光、酵素、酸素などの外部刺激の適用時にフレグランス分子を放出するように適用された物質に化学的に結合し、次いで消費者製品基材と混合されてもよい。
【0034】
したがって、本発明は、フレグランス成分として、式(I)で表される化合物を、該化合物を消費者製品基材へ直接混和することによって、または式(I)で表される化合物を含むフレグランス組成物を混和し、次いで従来技術および方法を使用して消費者製品基材と混合されてもよいことのいずれかによって組込むことを含む、フレグランス品を製造する方法を付加的に提供する。本明細書中上記に記載されるとおりの本発明の嗅覚的に許容し得る量の化合物の添加を介して、消費者製品基材の香りノートは、改善され、強化され、または修正される。
【0035】
したがって、本発明はさらに、消費者製品基材を、これに嗅覚的に(olfactorily)許容し得る量の式(I)で表される化合物を添加する手段によって改善し、強化し、または修正する方法を提供する。
本発明はまた、以下:
a)香り物質として、式(I)で表される化合物、またはその混合物;および
b)消費者製品基材
を含む、フレグランス品を提供する。
【0036】
本明細書中で使用されるとおり、「消費者製品基材」は、洗浄、柔軟、およびケアなどの特定の作用を満たすための消費者製品として使用する組成物を意味する。かかる製品の例は、上質な香水、例えば、パフュームおよびオードトワレ;化粧品、洗濯ケア洗剤、リンスコンディショナー、パーソナルクレンジング組成物、食洗機用の洗剤、表面洗浄剤などの衣類ケア、家庭用品およびパーソナルケア製品;洗濯製品、例えば、柔軟剤、漂白剤、洗剤;ボディケア製品、例えば、シャンプー、シャワージェル;空気ケア製品(好ましくは揮発性かつ通常心地よい香りの化合物であって、有利には極めて少量でも不快な香りを顕著に隠すことができるものを含有する製品を包含する)を包含する。
【0037】
生活圏のための空気フレッシュナーは、とりわけ、松葉油、柑橘油、ユーカリ油、ラベンダー油、などのような天然および合成精油を、例えば50重量%までの量において、含有する。エアロゾルとして、それらは、より少ない量のかかる精油、例として、5重量%未満または2重量%未満を含有する傾向にあるが、付加的にアセトアルデヒド(とりわけ、<0.5重量%)、イソプロピルアルコール(とりわけ、<5重量%)、鉱油(とりわけ、<5重量%)、および推進剤などの化合物を包含する。
【0038】
化粧製品は、以下を包含する:
(a)化粧スキンケア製品、特に浴用製品、スキン洗浄およびクレンジング製品、スキンケア製品、アイメイク用品、リップケア製品、ネイルケア製品、私的な(intimate)ケア製品、フットケア製品;
(b)特定の効果を有する化粧製品、特に日焼け防止剤、日焼け製品、脱色製品、脱臭物質、制汗剤、脱毛剤、およびひげそり製品;
(c)化粧歯科ケア製品、特に歯科および口腔ケア製品、歯のケア製品、義歯用の洗浄剤、義歯用の接着剤;ならびに
(d)化粧ヘアケア製品、特にヘアシャンプー、ヘアケア製品、ヘアセット製品ヘア整形製品、およびヘアカラーリング製品。
【0039】
この製品のリストは、例示として与えられているが、決して限定するものとしてみなされるべきでない。
本明細書中上記に定義されるとおりの一般式(I)に該当するいくつかの化合物は文献に記載されているが、他の化合物には、CAS登録番号のみ割り当てられ、それを定義している刊行物はない。CAS登録番号のみ割り当てられている化学構造は、例えば、CAS1518118-62-1、またはCAS1337850-11-9である。文献に開示される化合物は中間体、例えば触媒の調製物として使用される。例えば、WO 2014/096282に記載される6-イソプロピル-2-メチルインダン-1-オン(すなわち、式(I)で表される化合物であり、式中R1がメチルであり、R2およびR3が水素であり、ならびにR4がイソプロピルである、前記化合物)、または6-tert.-ブチル-2-メチルインダン-1-オン(EP 0 582 194)。しかしながら、先行技術は、いずれの感覚刺激性の性質に関しても触れていない。我々の最上の知識によると、本明細書中上記に定義されるとおりの一般式(I)に該当するほとんどの化合物は文献中に記載されておらず、したがって、それら自体で新規である。
【0040】
したがって、本発明の別の側面において、式(I)
【化2】
式中
R
1は、メチルおよびエチルから選択され;
R
2は、水素であり、およびR
3は、水素であり;または
R
2およびR
3は、それらが付着している炭素原子と一緒に、C
3~C
5シクロアルキルを形成し(例えば、シクロブチル);ならびに、
R
4は、C
3~C
5アルキル(プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチルなどのC
4アルキルを包含する)、C
2~C
5アルケニル(アリル、メチルアリルなど)、C
3~C
4アルコキシ(例えば、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ)、C
3~C
5シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル)、およびC
3~C
6シクロアルケニル(例えば、シクロペンテニル、シクロブテニル)から選択され;
ただしR
4は、イソプロピルまたはtert-ブチルではない、
で表される化合物が提供される。
【0041】
さらに、非限定例は、3-メチル-6-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン、6-イソブチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン、2,3-ジメチル-6-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン、6-イソブチル-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン、6-イソブチル-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン、および4-イソブチル-6a-メチル-1a,6a-ジヒドロシクロプロパ[a]インデン-6(1H)-オンである。
【0042】
式(I)で表される化合物は、例えば、ブレンステッド酸によって補助された3-フェニルプロピオン酸のまたはルイス酸によって補助されたその酸クロリドのそれぞれの分子内フリーデルクラフツアシル化によって調製されてもよい。
代替的に、R4がアルキルである式(I)で表される化合物は、アルキルまたはシクロアルキルボロン酸と6-ブロモ-インダノンとのそれぞれのパラジウム触媒の鈴木カップリングによって調製されてもよい。R4がアルケニルである式(I)で表される化合物は、レトロアリル化を介したホモアリルアルコールと6-ブロモ-インダノンとのそれぞれのパラジウム触媒のアリル化によって調製されてもよい。また、R4がアルコキシである式(I)で表される化合物は、アルキルハライドと6-ヒドロキシ-インダノンとのそれぞれのアルキル化によって調製されてもよい。
【0043】
本発明は今や、以下の非限定例を参照して記載される。これらの例は、例示のみを目的とするものであり、当業者によって変形や変更がなされ得ることが理解される。
全ての製品は、Tsingdao Haiyang Chemical シリカゲル(200±300メッシュ)およびシリカゲルMerck grade (60Å)を使用するフラッシュクロマトグラフィー(FC)または蒸留のいずれかのワークアップ後に精製された。注記されない限り、イソヘキサン:MTBE(10:1)の混合物が溶離剤として使用された。NMRスペクトルをCDCl3中で測定し、TMS(1H NMRスペクトル)と比べて、またはCDCl3(13C NMRスペクトル)と比べて、次のとおり報告される:化学シフト(δppm)、Hzで表す結合定数J。GC-MS分析をMSD5975質量分析計で実行し、およびm/zリストとして報告される(相対強度)。香りの説明は、他に指し示されない限り、化合物の異性体混合物の香りに言及する。
【0044】
例1:6-イソブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
手順A:
アルゴン雰囲気下、マグネチックスターラー付きの100mL三つ口フラスコへ、リン酸を加えた(85%水溶液、31.6g、0.274mol)。五酸化リン(20.0g、0.141mol)を30minにわたって少量ずつ加えた。混合物を180℃まで加熱し、80℃まで冷却する前に30min撹拌した。次いで3-(4-イソブチルフェニル)-2-メチルプロピオン酸(8.00g、0.0363mol)を加え、次いで80℃にて30min撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、激しい撹拌を伴って500mL氷水中へ注いだ。反応物をMTBE(100mL×2)で抽出した。合わせた有機層を水(100mL×5)、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(30.0mL)およびブライン(30.0mL)で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレーションによって除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(イソ-ヘキサン/MTBE=20/1)によって精製し、続いてクーゲルロールを介した蒸留(140℃/0.1mbar)によって、無色の液体として6-イソブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(3.93g、19.4mmol、収率49%)。
【0045】
手順B:
アルゴン雰囲気下、マグネチックスターラー付きの500mL三つ口フラスコへ、ジクロロメタン(200mL)中3-(4-イソブチルフェニル)-2-メチルプロピオン酸(50.0g、0.227mol)を加えた。反応物を0℃まで冷却した。SOCl2(24.8mL、340mmol)を、20minにわたって滴加した。反応物を2h加熱し、還流した。反応混合物を室温まで冷却した。溶媒および過剰なSOCl2をロータリーエバポレーターを介して除去することで粗酸クロリドが得られ、それをジクロロメタン(50mL)中に溶解し、さらなる精製を行わずに次のステップで使用した。
【0046】
アルゴン雰囲気下、マグネチックスターラー付きの別の500mL三つ口フラスコへ、ジクロロメタン(300mL)中のアルミニウムトリクロリド(33.3g、250mmol)を加えた。反応物を0℃まで冷却させた。上記のジクロロメタン中の酸クロリド溶液を、30minにわたって滴加した。添加の完了後、反応混合物を室温にて終夜撹拌した。反応物を、激しい撹拌を伴って500mL氷水中へ注いだ。反応物を、ジクロロメタン(100mL×2)で抽出した。合わせた有機層を水(150mL×2)、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(100mL)およびブライン(50mL)で連続的に洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒をロータリーエバボレーションによって除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(イソ-ヘキサン/MTBE=20/1)によって精製し、続いてクーゲルロールを介した蒸留(140℃/0.1mbar)によって、無色の液体として6-イソブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(39.0g、193mmol、収率85%)。
【0047】
手順C:
凝縮器および滴下漏斗を備えた100mL三つ口丸底フラスコ中に、アルゴン雰囲気下、6-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(0.300g、1.33mmol)、イソブチルボロン酸(0.272g、2.67mmol)、炭酸カリウム(0.553g、4.00mmol)およびトルエン(20mL)を加えた。その結果得られた溶液を撹拌し、トルエン(8mL)中パラジウム(II)アセタート(0.015g、0.067mmol)および1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp、0.033g、0.080mmol)の混合物を加えた。添加後、反応溶液を2h加熱することで、還流した。反応物の変換をGC分析によって観察した。反応の完了後、混合物を10℃まで冷却し、反応溶液を水(30mL)中へ注いだ。有機相を分離し、水層をMTBE(30mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中で蒸発させた。粗油をシリカゲルクロマトグラフィー(イソ-ヘキサン/MTBE=50/1)によって精製することで、無色の液体として6-イソブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(0.189g、収率70%)が得られた。
【0048】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.53 (s, 1H), 7.27-7.40 (m, 2H), 3.36 (dd, J = 18.0, 9.0 Hz, 1H), 2.65-2.74 (m, 2H), 2.52 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 1.83-1.92 (m, 1H), 1.31 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.90 (d, J = 6.6 Hz, 6H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.7 (s), 151.1 (s), 141.1 (s), 136.4 (s), 136.0 (d), 126.1 (d), 124.0 (d), 44.9 (t), 42.3 (d), 34.6 (t), 30.2 (q), 22.2×2 (q), 16.3 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 202 (55) [M+], 187 (11), 159 (100), 145 (29), 131 (23), 91 (14), 77 (6)。
香りの説明:フローラルでフルーティーでファッティ、クリーミーなラクトン様、ネクタリル様、ローズ調、ローズ花弁,グリーンなローズオキシド様。
【0049】
例2:3-メチル-6-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Aを続けた。3-(4-プロピルフェニル)ブタン酸(5.28g、25.6mmol)から開始し、続いてクーゲルロールを介した蒸留(140℃/0.10mbar)によって、無色の油として3-メチル-6-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(2.50g、収率51%)。
香りの説明:グリーン、フローラル、ミント調、ジャスモン、ジャスミン、カモナール(camonal)。
【0050】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.54 (s, 1H), 7.39-7.46 (m, 2H), 3.37-3.43 (m, 1H), 2.94 (dd, J = 18.9, 7.2 Hz, 1H), 2.64 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.27 (dd, J = 18.9, 3.3 Hz, 1H), 1.59-1.72 (m, 2H), 1.39 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.93 (t, J = 7.2 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 206.6 (s), 157.7 (s), 142.2 (s), 136.6 (s), 135.6 (d), 125.0 (d), 122.8 (d), 45.7 (t), 37.5 (t), 32.5 (d), 24.4 (t), 21.4 (q), 13.7 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 188 (70) [M+], 173 (73), 159 (100), 145 (20), 131 (31), 115 (28), 91 (12)。
【0051】
例3:6-イソブチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Aを続けた。3-(4-イソブチルフェニル)プロピオン酸(45.0g、218mmol)から開始し、続いてクーゲルロールを介した蒸留(140℃/0.14mbar)によって、無色の油として6-イソブチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(22.0g、収率54%)。
香りの説明:グリーンでフローラル、イソブチルベンゾアート。
【0052】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.53 (s, 1H), 7.35-7.41 (m, 2H), 3.10 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 2.70 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 2.53 (d, J =7.2 Hz, 2H), 1.80-1.92 (m, 1H), 0.90 (d, J = 6.6 Hz, 6H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 207.3 (s), 152.9 (s), 141.1 (s), 137.1 (s), 135.9 (d), 126.2 (d), 123.7 (d), 44.9 (t), 36.6 (t), 30.2 (d), 25.4 (t), 22.2×2 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 188 (60) [M+], 173 (1), 146 (100), 115 (34), 104 (26), 91 (16), 77 (5)。
【0053】
例4:6-イソプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Aを続けた。3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロピオン酸(10.0g、48.5mmol)から開始し、続いてクーゲルロールを介した蒸留(140℃/0.10mbar)によって、無色の油として6-イソプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(6.80g、収率74%)。
香りの説明:グリーン、ファッティ、ラクトン調フルーティー、ローズ調メタリック。
【0054】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.63 (s, 1H), 7.46-7.49 (m, 1H), 7.37 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.32-3.40 (m, 1H), 2.93-3.02 (m, 1H), 2.65-2.75 (m, 2H), 1.31 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.27 (d, J = 6.9 Hz, 6H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.7 (s), 151.3 (s), 148.5 (s), 136.5 (s), 133.8 (d), 126.4 (d), 121.2 (d), 42.4 (d), 34.6 (t), 33.9 (d), 24.0×2 (q), 16.4 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 188 (43) [M+], 173 (100), 145 (17), 117 (26), 91 (10), 77 (4)。
【0055】
例5:6-(tert-ブチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Aを続けた。3-(4-(tert-ブチル)フェニル)-2-メチルプロピオン酸(10.0g、45.4mmol)から開始し、続いてクーゲルロールを介した蒸留(140℃/0.14mbar)によって、無色の油として6-(tert-ブチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(7.50g、収率82%)。
香りの説明:グリーンでファッティ、ラクトン調フルーティー、わずかにファッティなシナモン調。
【0056】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.78 (s, 1H), 7.65-7.68 (m, 1H), 7.39 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.32-3.40 (m, 1H), 2.65-2.75 (m, 2H), 1.34 (s, 9H), 1.31 (d, J = 7.5 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.8 (s), 150.9 (s), 150.9 (s), 136.3 (s), 132.5 (d), 126.1 (d), 120.3 (d), 42.4 (d), 34.8 (s), 34.5 (t), 31.4×3 (q), 16.4 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 202 (23) [M+], 187 (100), 159 (15), 131 (19), 115 (10), 91 (6), 77 (2)。
【0057】
例6:2,3-ジメチル-6-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Aを続けた。2-メチル-3-(4-プロピルフェニル)ブタン酸(8.00g、36.3mmol)から開始し、続いてクーゲルロールを介した蒸留(140℃/0.10mbar)によって、無色の油として2,3-ジメチル-6-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(1.50g、収率20%)。
香りの説明:グリーンでファッティでオイリー(oily)、ファッティでフルーティーなラクトン調、メタリックローズ調。
【0058】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.54 (s, 1H), 7.28-7.486 (m, 2H), 2.85-2.94 (m, 1H), 2.64 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.19-2.74 (m, 1H), 1.59-1.71 (m, 2H), 1.44 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.31 (d, J = 7.5 Hz, 3H), 0.94 (t, J = 7.5 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 208.6 (s), 155.5 (s), 142.2 (s), 136.0 (s), 135.5 (d), 124.6 (d), 122.9 (d), 51.8 (d), 41.4 (d), 37.6 (t), 24.5 (t), 19.2 (q), 14.2 (q), 13.7 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 202 (40) [M+], 187 (100), 173 (24), 145 (14), 115 (15), 91 (6), 77 (3)。
【0059】
例7:2-メチル-6-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Aを続けた。2-メチル-3-(4-プロピルフェニル)プロピオン酸(6.00g、29.1mmol)から開始し、クーゲルロールを介した蒸留(160℃/0.20mbar)によって、無色の油として2-メチル-6-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデンが得られた(3.50g、収率64%)。
香りの説明:グリーン、フローラル、ファッティ、ローズ調シナモン調。
【0060】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.57 (s, 1H), 7.34-7.43 (m, 2H), 3.36 (dd, J = 18.0, 9.0 Hz, 1H), 2.61-2.74 (m, 4H), 1.59-1.71 (m, 2H), 1.30 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.93 (t, J = 7.2 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.7 (s), 151.1 (s), 142.1 (s), 136.5 (s), 135.5 (d), 126.2 (d), 123.3 (d), 42.3 (d), 37.6 (t), 34.6 (t), 24.5 (t), 16.3 (q), 13.7 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 188 (62) [M+], 173 (70), 159 (100), 145 (19), 131 (31), 91 (16), 77 (7)。
【0061】
例8:6-イソブチル-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Bを続けた。3-(4-イソブチルフェニル)ブタン酸(25.0g、113mmol)から開始し、続いてクーゲルロールを介した蒸留(150℃/0.10mbar)によって、無色の油として6-イソブチル-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(15.0g、収率65%)。
香りの説明:グリーンなローズ調、ファッティ、メタリックローズ調、ファッティでフルーティーでフローラル。
【0062】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.50 (s, 1H), 7.41 (s, 2H), 3.37-3.43 (m, 1H), 2.93 (dd, J = 19.2, 7.5 Hz, 1H), 2.53 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 2.27 (dd, J = 18.9, 2.7 Hz, 1H), 1.80-1.94 (m, 1H), 1.39 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.90 (d, J = 6.6 Hz, 6H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 206.7 (s), 157.7 (s), 141.2 (s), 136.4 (s), 136.1 (d), 124.9 (d), 123.4 (d), 45.7 (t), 44.9 (t), 32.5 (d), 30.2 (d), 22.2×2 (q), 21.4 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 202 (65) [M+], 187 (11), 159 (100), 145 (27), 131 (22), 115 (29), 91 (13), 77 (4)。
【0063】
例9:6-イソブチル-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Aを続けた。3-(4-イソブチルフェニル)-2,2-ジメチルプロピオン酸(5.36g、22.9mmol)から開始し、続いてクーゲルロールを介した蒸留(150℃/0.10mbar)によって、無色の油として6-イソブチル-2,2-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(3.50g、収率71%)。
香りの説明:フローラル、ファッティ、フルーティー、グリーン、ゴム様の、ミューゲ。
【0064】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.54 (s, 1H), 7.31-7.40 (m, 2H), 2.96 (s, 2H), 2.52 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 1.83-1.92 (m, 1H), 1.23 (s, 6H), 0.90 (d, J = 6.6 Hz, 6H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 211.6 (s), 149.8 (s), 141.2 (s), 136.2 (d), 135.3 (s), 126.2 (d), 124.4 (d), 45.8 (s), 45.0 (t), 42.5 (t), 30.2 (d), 25.3×2 (q), 22.3×2 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 216 (59) [M+], 201 (100), 173 (87), 159 (21), 115 (17)。
【0065】
例10:6-(tert-ブチル)-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Bを続けた。3-(4-(tert-ブチル)フェニル)ブタン酸(4.43g、20.1mmol)から開始し、続いてクーゲルロールを介した蒸留(150℃/0.10mbar)によって、無色の油として6-(tert-ブチル)-3-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(2.60g、収率64%)。
香りの説明:フルーティー、フローラル。
【0066】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.75 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 8.1, 1.8 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 3.36-3.42 (m, 1H), 2.93 (dd, J = 18.9, 7.5 Hz, 1H), 2.26 (dd, J = 18.9, 3.3 Hz, 1H), 1.39 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.34 (s, 9H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 206.6 (s), 157.4 (s), 150.8 (s), 136.3 (s), 132.5 (d), 124.9 (d), 119.6 (d), 45.7 (t), 34.7 (s), 32.3 (d), 31.3×3 (q), 21.3 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 202 (22) [M+], 187 (100), 159 (19), 145 (21), 91 (6), 77 (4)。
【0067】
例11:6-シクロプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Cを続けた。トルエン(20mL)中6-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(1.50g、6.66mmol)、炭酸カリウム(2.76g、20.0mmol)、パラジウム(II)アセタート(0.075g、0.333mmol)および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppfリガンド;0.222g、0.400mmol)を、2h、アルゴン雰囲気下の還流にて反応させて、続いてクーゲルロールを介した蒸留(135℃/0.10mbar)によって、無色の液体として6-シクロプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(1.00g、収率81%)。
香りの説明:グリーン、ファッティ、フローラル、ローズ調メタリック。
【0068】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.39 (s, 1H), 7.29-7.36 (m, 2H), 3.33 (dd, J = 17.7, 5.7 Hz, 1H), 2.61-2.71(m, 2H), 1.88-1.97 (m, 1H), 1.28 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.95-1.01 (m, 2H), 0.68-0.73 (m, 2H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.5 (s), 150.8 (s), 143.7 (s), 136.4 (s), 133.2 (d), 126.2 (d), 119.9 (d), 42.3 (d), 34.5 (t), 16.3 (q), 15.1 (d), 9.5×2 (t) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 186 (72) [M+], 171 (100), 158 (16), 143 (30), 128 (42), 115 (45), 91 (10)。
【0069】
例12:6-シクロペンチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Cを続けた。トルエン(20mL)中6-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(2.00g、8.89mmol)、シクロペンチルボロン酸(2.03g、17.8mmol)、炭酸カリウム(3.68g、26.7mmol)、パラジウム(II)アセタート(0.080g、0.355mmol)および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppfリガンド;0.246g、0.444mmol)を、2hアルゴン雰囲気下の還流にて反応させ、クーゲルロールを介した蒸留(140℃/0.15mbar)によって、無色の液体として6-シクロペンチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(0.50g、収率26%)。
香りの説明:フルーティーでファッティでフローラル、ピーチ調、グリーンローズ調。
【0070】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.63 (s, 1H), 7.48 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.35 (dd, J = 18.0, 9.0 Hz, 1H), 2.98-3.10 (m, 1H), 2.64-2.73 (m, 2H), 2.07-2.09 (m, 2H), 1.58-1.81 (m, 6H), 1.30 (d, J = 7.5 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.7 (s), 151.2 (s), 146.2 (s), 136.4 (s), 134.4 (d), 126.2 (d), 121.8 (d), 45.6 (d), 42.4 (d), 34.7×2 (t), 34.6 (t), 25.5×2 (t), 16.4 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 214 (100) [M+], 199 (55), 186 (39), 172 (61), 157 (47), 143 (32), 129 (59), 115 (40)。
【0071】
例13:2-エチル-6-イソブチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
トルエン(50mL)中(E)-2-(4-イソブチルベンジリデン)ブタナール(5.35g、24.7mmol)の溶液へ、メタンスルホンアミド(2.82g、29.7mmol)および塩化鉄(III)(0.80g、4.9mmol)を加えた。混合物を16h、撹拌し、65℃まで加熱した。アルデヒドを完全に消費した後(GCによって観察した)、反応物を室温まで冷却した。次いで、メタノール(30mL)および水(20mL)中水酸化ナトリウム(2.47g、61.8mmol)の溶液を加えた。混合物を、室温にて2h撹拌した。次いで、その結果得られた混合物をメタノール(30ml)で、および滴下での37%塩酸(6.25ml、74.2mmol)で処理し、70℃まで加熱し、終夜撹拌した。冷却後、水(200ml)を加え、溶液をMTBE(100*3mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮することで粗生成物が得られた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:MTBE=50:1)によって精製し、クーゲルロールを介した蒸留(160℃/0.15mbar)によって、無色油として2-エチル-6-イソブチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(2.60g、収率49%)。
香りの説明:フローラルでファッティでグリーン、オイリーなシナモン調、ネクタリル
【0072】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.52 (s, 1H), 7.34-7.40 (m, 2H), 3.28 (dd, J = 17.1, 7.8 Hz, 1H), 2.78 (dd, J = 17.1, 3.9 Hz, 1H), 2.58-2.65 (m, 1H), 2.52 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 1.80-2.04 (m, 2H), 1.46-1.60 (m, 1H), 1.01 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.90 (d, J = 6.6 Hz, 6H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.2 (s), 151.5 (s), 141.1 (s), 137.0 (s), 136.0 (d), 126.1 (d), 123.8 (d), 49.2 (d), 44.9 (t), 32.0 (t), 30.2 (d), 24.5 (t), 22.3×2 (q), 11.7 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 216 (7) [M+], 188 (100), 173 (33), 145 (36), 131 (20), 91 (7), 77 (7)。
【0073】
例14:6-エチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例13に記載されるとおりの一般的な手順を続け、(E)-3-(4-エチルフェニル)-2-メチルアクリルアルデヒド(5.0g、28.7mmol)、メタンスルホンアミド(4.09g、43.0mmol)および塩化鉄(III)(0.931g、5.74mmol)から開始し、続いてクーゲルロールを介した蒸留(150℃/0.12mbar)によって、無色の油として6-エチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(1.30g、収率26%)。
香りの説明:グリーンなミント調フローラル、カルボンジャスミンフルーティー。
【0074】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.58 (s, 1H), 7.34-7.44 (m, 2H), 3.35 (dd, J = 18.0, 8.7 Hz, 1H), 2.65-2.73 (m, 4H), 1.22-1.31 (m, 6H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.6 (s), 151.1 (s), 143.7 (s), 136.5 (s), 135.0 (d), 126.3 (d), 122.6 (d), 42.3 (d), 34.6 (t), 28.5 (t), 16.3 (q), 15.6 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 174 (60) [M+], 159 (100), 145 (23), 131 (32), 115 (22), 91 (13), 77 (7)。
【0075】
例15:6-(sec-ブチル)-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例13に記載されるとおりの一般的な手順Cを続けた。(E)-3-(4-(sec-ブチル)フェニル)-2-メチルアクリルアルデヒド(5.00g、14.8mmol)、メタンスルホンアミド(1.69g、17.8mmol)および塩化鉄(III)(0.481g、2.97mmol)から開始し、続いてクーゲルロールを介した蒸留(150℃/0.08mbar)によって、無色の油として6-エチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(1.00g、収率33%)。
香りの説明:グリーンなローズ調メタリック、グリーン、レザー調、ファッティでフローラル。
【0076】
(1:1の比率における2つの異性体の混合物)1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.59 (s, 1H), 7.38-7.44 (m, 2H), 3.32-3.41 (m, 1H), 2.66-2.73 (m, 3H), 1.58-1.63 (m, 2H), 1.31 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.25 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.81 (t, J = 7.2 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.8 (s), 151.3 (s), 147.2 (s), 136.5 (s), 134.4 (d), 134.3 (d), 126.3 (d), 121.9 (d), 121.9 (d), 42.4 (d), 41.4 (d), 34.6 (t), 31.1 (t), 21.9 (q), 16.3 (q), 12.2 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 202 (30) [M+], 187 (5), 173 (100), 159 (7), 117 (27), 91 (8), 77 (4)。
【0077】
例16:6-イソペンチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例13に記載されるとおりの一般的な手順を続けた。(E)-3-(4-イソペンチルフェニル)-2-メチルアクリルアルデヒド(5.00g、18.5mmol)、メタンスルホンアミド(2.11g、22.2mmol)および塩化鉄(III)(0.600g、3.70mmol)から開始し、クーゲルロールを介した蒸留(162℃/0.10mbar)によって、無色の油として6-イソペンチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(1.30g、収率33%)。
香りの説明:グリーンなローズ調、ファッティなラクトン調、ローズ調パウダリー(powdery)、シナマート様。
【0078】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.57 (s, 1H), 7.32-7.42 (m, 2H), 3.34 (dd, J = 18.0, 8.7 Hz, 1H), 2.62-2.70 (m, 4H), 1.46-1.62 (m, 3H), 1.29 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.93 (d, J = 6.9 Hz, 6H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.5 (s), 151.0 (s), 142.5 (s), 136.5 (s), 135.4 (d), 126.3 (d), 123.1 (d), 42.3 (d), 40.8 (t), 34.6 (t), 33.3 (t), 27.5 (d), 22.5×2 (q), 16.3 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 216 (80) [M+], 201 (30), 187 (1), 159 (98), 132 (100), 118 (55), 104 (55), 91 (23), 77 (8)。
【0079】
例17:6-エトキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
N,N-ジメチルホルムアミド(30mL)中6-ヒドロキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(2.00g、12.3mmol)の溶液へ、ヨードエタン(2.50g、16.0mmol)および炭酸カリウム(1.87g、13.5mmol)を室温にて加えた。混合物をアルゴン雰囲気下、55℃にて6h加熱した。反応物を室温まで冷却し、水(60mL)でクエンチし、MTBE(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィー(イソ-ヘキサン/MTBE=9/1)によって精製し、続いてクーゲルロールを介した蒸留(145℃/0.10mbar)によって、白色の粉末として6-エトキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(2.00g、収率85%)。
香りの説明:グリーン、ワックス調(waxy)フルーティー、ローズ調。
【0080】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.33 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.16-7.19 (m, 2H), 4.06 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 3.32 (dd, J = 16.5, 7.5 Hz, 1H), 2.70-2.76 (m, 1H), 2.64 (dd, J = 16.5, 3.6 Hz, 1H), 1.42 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.31 (d, J = 7.5 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.5 (s), 158.7 (s), 146.1 (s), 137.4 (s), 127.2 (d), 124.5 (d), 105.8 (d), 63.8 (t), 42.8 (d), 34.3 (t), 16.4 (q), 14.7 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 190 (80) [M+], 175 (35), 162 (16), 147 (100), 133 (35), 119 (11), 105 (10)。
【0081】
例18:6-イソプロポキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例17に記載されるとおりの一般的な手順を続けた。ジメチル-ホルムアミド(DMF;30mL)中6-ヒドロキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(1.00g、6.17mmol)、2-ブロモプロパン(3.41g、27.7mmol)および炭酸カリウム(2.81g、20.3mmol)を6h、アルゴン下、55℃にて反応させることで、無色の液体として6-イソプロポキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(0.90g、収率72%)。
香りの説明:グリーンなローズ調でファッティでフローラル、わずかにファッティ、フルーティー、メタリックローズ調
【0082】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.31-7.40 (m, 1H), 7.13-7.18 (m, 2H), 4.56-4.60 (m, 1H), 3.31 (dd, J = 16.5, 7.5 Hz, 1H), 2.60-2.76 (m, 2H), 1.34 (d, J = 6.0 Hz, 6H), 1.30 (d, J = 7.2 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.5 (s), 157.6 (s), 145.9 (s), 137.4 (s), 127.3 (d), 125.6 (d), 107.3 (d), 70.2 (d), 42.8 (d), 34.2 (t), 21.9 (q), 21.9 (q), 16.4 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 204 (33) [M+], 189 (1), 162 (50), 147 (100), 105 (7), 91 (5), 77 (8)。
【0083】
例19:2-メチル-6-プロポキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例17に記載されるとおりの一般的な手順を続けた。アセトン(30mL)中6-ヒドロキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(2.00g、12.3mmol)、1-ブロモ-2-メチルプロパン(7.60g、55.5mmol)および炭酸カリウム(2.38g、17.3mmol)を、6h、アルゴン雰囲気下で還流することで、白色粉末として2-メチル-6-プロポキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(1.30g、収率52%)。
香りの説明:ワックス調、ファッティでフルーティー、グリーンなフローラル。
【0084】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.32 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.17-7.20 (m, 2H), 3.94 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.32 (dd, J = 16.5, 7.5 Hz, 1H), 2.70-2.76 (m, 1H), 2.64 (dd, J = 16.5, 3.9 Hz, 1H), 1.76-1.87 (m, 2H), 1.30 (d, J = 7.5 Hz, 3H), 1.04 (t, J = 7.5 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.5 (s), 158.9 (s), 146.0 (s), 137.4 (s), 127.2 (d), 124.5 (d), 105.9 (d), 69.9 (t), 42.8 (d), 34.3 (t), 22.4 (t), 16.4 (q), 10.5 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 204 (52) [M+], 189 (1), 162 (42), 147 (100), 134 (25), 115 (10), 91 (10)。
【0085】
例20:6-イソブトキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例17に記載されるとおりの一般的な手順を続けた。DMF(30mL)中6-ヒドロキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(2.00g、12.3mmol)、1-ブロモ-2-メチルプロパン(7.60g、55.5mmol)および炭酸カリウム(5.62g、40.7mmol)を、6h、アルゴン雰囲気下、55℃にて反応させることで、無色の液体として6-イソブトキシ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(1.90g、収率71%)。
香りの説明:フローラルでフルーティーでファッティ、グリーンアニス調。
【0086】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.33 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.17-7.21 (m, 2H), 3.75 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 3.32 (dd, J = 16.5, 7.5 Hz, 1H), 2.70-2.79 (m, 1H), 2.64 (dd, J = 16.5, 3.6 Hz, 1H), 2.02-2.16 (m, 1H), 1.31 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.02 (d, J = 6.6 Hz, 6H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.5 (s), 159.0 (s), 146.0 (s), 137.4 (s), 127.2 (d), 124.5 (d), 105.9 (d), 74.8 (t), 42.8 (d), 34.3 (t), 28.1 (d), 19.2×2 (q), 16.4 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 218 (41) [M+], 203 (1), 162 (70), 147 (100), 134 (26), 115 (11), 91 (8)。
【0087】
例21:4-イソブチル-6a-メチル-1a,6a-ジヒドロシクロプロパ[a]インデン-6(1H)-オン
250mL三つ口丸底フラスコ中にジクロロメタン(50mL)中4-イソブチル-6a-メチル-1,1a,6,6a-テトラヒドロシクロプロパ[a]インデン-6-オール(0.40g、1.85mmol)を加えることで無色の液体が得られた。ピリジニウムクロロクロマート(1.00g、4.62mmol)を加えた。反応混合物を、転化の完了まで2h、室温にて撹拌した。反応物をイソ-ヘキサン(100mL)によって希釈し、次いでシリカゲルの小さなパッドを通してろ過した。シリカゲルをジクロロメタンおよびイソ-ヘキサンでリンスした。合わせたろ過物を濃縮することで、黄色い残渣が得られ、さらにそれをカラムクロマトグラフィー(イソ-ヘキサン/MTBE=20/1)によって精製することで、淡黄色の液体として4-イソブチル-6a-メチル-1a,6a-ジヒドロシクロプロパ[a]インデン-6(1H)-オンが得られた(60mg、収率15%)。
香りの説明:ファッティ、フルーティー、グリーン、フローラル、いくらかのゴム様の面を伴う。
【0088】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.34 (s, 1H), 7.12-7.21 (m, 2H), 2.58-2.61 (m, 1H), 2.38 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 1.70-1.79 (m, 1H), 1.44 (s, 3H), 1.29-1.31 (m, 2H), 0.79 (d, J = 6.9 Hz, 6H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 205.0 (s), 152.2 (s), 140.4 (s), 134.6 (d), 133.8 (s), 125.0 (d), 123.7 (d), 44.9 (t), 39.8 (t), 33.1 (s), 30.2 (d), 28.2 (d), 22.2×2 (q), 13.6 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 214 (37) [M+], 199 (2), 171 (100), 158 (18), 128 (40), 115 (13)。
【0089】
例22:2-メチル-6-(2-メチルアリル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
炭酸セシウム(3.26g、10.0mmol)を、凝縮器を備えた100mL三つ口反応フラスコ中に置いた。パラジウム(II)アセタート(0.075g、0.333mmol)およびトリフェニルホスフィン(0.35g、1.33mmol)を、反応フラスコ中に加えた。次いで、フラスコをアルゴンで満たした。トルエン(35mL)、3-イソプロピル-2,5-ジメチルヘキサ-5-エン-3-オール(1.36g、8.00mmol)および6-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(1.50g、6.66mmol)を室温にて連続的に加えた。その結果得られた混合物を、2h、還流にて加熱した。混合物を室温まで冷却した後、それを小さなシリカゲルパッドを通してろ過し、MTBE(100mL)で洗浄した。ロータリーエバポレートによって溶媒を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(イソ-ヘキサン/MTBE=50/1)によって精製することで、淡黄色の油として2-メチル-6-(2-メチルアリル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(1.20g、収率90%)。
香りの説明:ファッティ、フルーティー、グリーン、フローラル、シナモン調で桂皮酸様。
【0090】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.58 (s, 1H), 7.36-7.45 (m, 2H), 4.83 (s, 1H), 4.74 (s, 1H), 3.36 (s, 2H), 3.32-3.41 (m, 1H), 2.66-2.75 (m, 2H), 1.66 (s, 3H), 1.31 (d, J =7.2 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.6 (s), 151.6 (s), 144.4 (s), 139.3 (s), 136.6 (s), 135.7 (d), 126.3 (d), 124.0 (d), 112.5 (t), 44.2 (t), 42.4 (d), 34.7 (t), 22.0 (q), 16.3 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 200 (29) [M+], 185 (100), 172 (57), 157 (75), 144 (73), 129 (85), 115 (60)。
【0091】
例23:6-ブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Cを続けた。トルエン(30mL)中6-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(4.00g、17.8mmol)、ブチルボロン酸(3.62g、35.5mmol)、炭酸カリウム(3.68g、26.7mmol)、パラジウム(II)アセタート(0.160g、0.711mmol)および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppfリガンド;0.394g、0.711mmol)を、2h、アルゴン雰囲気下、還流にて反応させ、続いてクーゲルロールを介した蒸留(145℃/0.10mbar)によって、無色の液体として6-ブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(0.67g、収率18%)。
香りの説明:グリーンでファッティでフローラル、ローズ調、ピーチ、グリーンなゴム様でわずかにレザー調のイソブチルサリチラート
【0092】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.57 (s, 1H), 7.42 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 3.36 (dd, J = 18.0, 9.0 Hz, 1H), 2.64-2.74 (m, 4H), 1.56-1.66 (m, 2H), 1.26-1.38 (m, 5H), 0.92 (t, J = 7.5 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.7 (s), 151.1 (s), 142.4 (s), 136.5 (s), 135.5 (d), 126.2 (d), 123.3 (d), 42.3 (d), 35.2 (t), 34.6 (t), 33.6 (t), 22.2 (t), 16.4 (q), 13.9 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 202 (58) [M+], 187 (56), 159 (100), 145 (17), 131 (25), 115 (25), 104 (9)。
【0093】
比較例1:5-イソブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Cを続けた。トルエン(100mL)中7-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンおよび5-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(2つの異性体の混合物、比率=15:85、4.00g、17.77mmol)、イソブチルボロン酸(3.63g、35.5mmol)、炭酸カリウム(7.37g、53.3mmol)、パラジウム(II)アセタート(0.140g、0.533mmol)および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppfリガンド;0.369g、0.666mmol)を、2h、アルゴン雰囲気下、還流にて反応させることで、無色の液体として5-イソブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(2.67g、収率74%)および無色の液体として7-イソブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(0.54g、収率15%)が得られた。
香りの説明:フルーティーでファッティでシトラスでグリーン、フルーティーでシトラスでグリーン、ソーピー(soapy)
【0094】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.65 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.14 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.35 (dd, J = 18.0, 8.7 Hz, 1H), 2.65-2.71 (m, 2H), 2.54 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 1.86-1.95 (m, 1H), 1.29 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.92 (d, J = 6.6 Hz, 6H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 208.9 (s), 153.8 (s), 149.5 (s), 134.3 (s), 128.6 (d), 126.9 (d), 123.6 (d), 45.7 (t), 42.1 (d), 34.8 (t), 30.2 (d), 22.3×2 (q), 16.3 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 202 (75) [M+], 187 (55), 160 (100), 145 (65), 115 (31), 91 (17)。
【0095】
比較例2:2-メチル-5-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンおよび2-メチル-7-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Cを続けた。トルエン(100mL)中7-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンおよび5-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(2つの異性体の混合物、比率=15:85、4.00g、17.77mmol)、プロピルボロン酸(3.63g、35.5mmol)、炭酸カリウム(7.37g、53.3mmol)、パラジウム(II)アセタート(0.140g、0.533mmol)およびdppf(0.369g、0.666mmol)を、2h、アルゴン雰囲気下、還流にて反応させることで、無色の液体として2-メチル-5-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(2.30g、収率69%)および無色の液体として2-メチル-7-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(0.60g、収率18%)が得られた。
【0096】
2-メチル-7-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン:1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.40-7.45 (m, 1H), 7.24 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 3.28-3.37 (m, 1H), 2.99-3.05 (m, 2H), 2.62-2.72 (m, 2H), 1.58-1.67 (m, 2H), 1.29 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.97 (t, J = 7.2 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.9 (s), 154.3 (s), 143.9 (s), 133.9 (d), 133.3 (s), 128.3 (d), 123.9 (d), 42.3 (d), 34.6 (t), 33.6 (t), 24.1 (t), 16.3 (q), 14.0 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 188 (70) [M+], 173 (100), 160 (55), 145 (39), 128 (17), 115 (30), 91 (17).
香りの説明(7-プロピル):フローラル、ローズ、メタリック
【0097】
2-メチル-5-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン:1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.66 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.24 (s, 1H), 7.17 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.31-3.40 (m, 1H), 2.63-2.72 (m, 4H), 1.61-1.73 (m, 2H), 1.30 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.96 (t, J = 7.2 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 208.9 (s), 153.9 (s), 150.5 (s), 134.3 (s), 128.1 (d), 126.3 (d), 123.8 (d), 42.1 (d), 38.4 (t), 34.9 (t), 24.4 (t), 16.4 (q), 13.8 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 188 (48) [M+], 173 (100), 159 (28), 145 (19), 131 (20), 115 (20), 91 (12)。
香りの説明(5-プロピル):グリーン、ワックス、ファッティ。
【0098】
比較例3:2-メチル-4-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Cを続けた。トルエン(30mL)中4-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(1.50g、6.66mmol)、プロピルボロン酸(1.17g、13.3mmol)、炭酸カリウム(2.76g、20.0mmol)、パラジウム(II)アセタート(0.075g、0.333mmol)およびdppf(0.222g、0.400mmol)を、2h、アルゴン雰囲気下、還流にて反応させることで、無色の液体として2-メチル-4-プロピル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(1.05g、収率84%)。
香りの説明:極めて弱い、フルーティー、フローラル。
【0099】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.59 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.39 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.27-7.32 (m, 1H), 3.34 (dd, J = 16.5, 7.2 Hz, 1H), 2.59-2.72 (m, 4H), 1.60-1.73 (m, 2H), 1.31 (d, J = 7.5 Hz, 3H), 0.99 (t, J = 7.2 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.7 (s), 151.9 (s), 140.2 (s), 136.2 (s), 134.3 (d), 127.6 (d), 121.4 (d), 41.8 (d), 34.0 (t), 33.5 (t), 23.0 (t), 16.3 (q), 14.0 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 188 (73) [M+], 173 (100), 159 (80), 145 (35), 131 (28), 115 (35), 91 (25)。
【0100】
比較例4:2-メチル-5-(2-メチルアリル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンおよび2-メチル-7-(2-メチルアリル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
例22に記載されるとおりの類似の手順を使用して、トルエン(80mL)中炭酸セシウム(7.60g、23.3mmol)、パラジウム(II)アセタート(0.175g、0.78mmol)、トリフェニルホスフィン(0.82g、3.11mmol)、3-イソプロピル-2,5-ジメチルヘキサ-5-エン-3-オール(3.18g、18.7mmol)ならびに7-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンおよび5-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(2つの異性体の混合物、比率=15:85、3.50g、15.6mmol)を、2h、アルゴン雰囲気下、還流にて反応させることで、2-メチル-5-(2-メチルアリル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(2.22g、収率71%、無色の液体)および2-メチル-7-(2-メチルアリル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(0.41g、収率13%、無色の液体)が得られた。
【0101】
2-メチル-5-(2-メチルアリル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン:1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.68 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.27 (s, 1H), 7.21 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.86 (s, 1H), 4.77 (s, 1H),, 3.39 (s, 2H), 3.33-3.41 (m, 1H), 2.67-2.73 (m, 2H), 1.69 (s, 3H), 1.31 (d, J = 7.2 Hz, 4H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.1 (s), 154.0 (s), 147.5(s), 144.2 (s), 134.7 (s), 128.5 (d), 126.7 (d), 123.9 (d), 112.8 (t), 45.0 (t), 42.2 (d), 34.9 (t), 22.1 (q), 16.4 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 200 (55) [M+], 185 (100), 172 (48), 157 (71), 143 (72), 129 (60), 115 (53), 91 (17)。
香りの説明:ファッティでフルーティーでシトラスでフローラル、シトラールミラジル様、ソーピー。
【0102】
2-メチル-7-(2-メチルアリル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン:1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.47 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 7.29 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.79 (s, 1H), 4.57 (s, 1H), 3.75-3.91 (m, 2H), 3.30-3.39 (m, 1H), 2.63-2.72 (m, 2H), 1.75 (s, 3H), 1.29 (d, J = 7.2 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.9 (s), 154.2 (s), 144.9 (s), 140.6 (s), 134.0 (d), 133.6 (s), 128.8 (d), 124.3 (d), 111.7 (t), 42.4 (d), 38.6 (t), 34.5 (t), 22.7 (q), 16.3 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 200 (30) [M+], 185 (100), 167 (11), 143 (10), 115 (22), 91 (7).
香りの説明:グリーン、ワックス、わずかにミント調。
【0103】
比較例5:2-メチル-4-(2-メチルアリル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例22に記載されるとおりの一般的な手順を続けた。トルエン(35mL)中炭酸セシウム(3.26g、10.0mmol)、パラジウム(II)アセタート(0.075g、0.33mmol)、トリフェニルホスフィン(0.35g、1.33mmol)、3-イソプロピル-2,5-ジメチルヘキサ-5-エン-3-オール(1.36g、8.00mmol)および4-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(1.50g、6.66mmol)を、2h、アルゴン雰囲気下、還流にて反応させることで、無色の液体として2-メチル-4-(2-メチルアリル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(1.12g、収率84%)。
【0104】
1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.65 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.34 (dd, J = 7.5, 7.5 Hz, 1H), 4.85 (s, 1H), 4.63 (s, 1H),, 3.38 (s, 2H), 3.30-3.38 (m, 1H), 2.68-2.74 (m, 1H), 2.62 (dd, J = 17.1, 3.9 Hz, 1H), 1.73 (s, 3H), 1.31 (d, J = 7.5 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ = 209.8 (s), 152.7 (s), 143.1 (s), 137.2 (s), 136.4 (s), 135.2 (d), 127.7 (d), 122.0 (d), 112.4 (t), 41.9 (d), 40.7 (t), 33.5 (t), 22.4 (q), 16.4 (q) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 200 (100) [M+], 185 (65), 157 (60), 143 (42), 115 (47), 91 (13)。
香りの説明:フルーティーでフローラルでメタリック、ミラジル様。
【0105】
比較例6:5-シクロプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン、および7-シクロプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Cを続けた。トルエン(100ml)中7-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンおよび5-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(2つの異性体の混合物、比率=15:85、3.00g、13.33mmol)、シクロプロピルボロン酸(2.29g、26.7mmol)、炭酸カリウム(5.53g、40.0mmol)、パラジウム(II)アセタート(0.120g、0.533mmol)および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppfリガンド、0.369g、0.666mmol)を、2h、アルゴン雰囲気下、還流にて反応させ、続いてクーゲルロールを介した蒸留によって、無色の液体として5-シクロプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(140℃/0.11mbar)(2.02g、収率81%)および無色の液体として7-シクロプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(130℃/0.11mbar)(0.300g、収率12%)が得られた。
【0106】
5-シクロプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン: 1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.61 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.08 (s, 1H), 7.02 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.27-3.36 (m, 1H), 2.60-2.70 (m, 2H), 1.92-1.97 (m, 1H), 1.28 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.03-1.10 (m, 2H), 1.77-1.80 (m, 2H) ppm; 13C NMR (75MHz, CDCl3): δ = 208.6 (s), 153.9 (s), 152.4 (s), 134.0 (s), 125.0 (d), 123.8 (d), 122.9 (d), 42.1 (d), 34.8 (t), 16.4 (q), 16.1 (d), 10.6 (t), 10.6 (t) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 186 (50) [M+], 171 (100), 158 (10), 143 (19), 128 (31), 115 (33)。
香りの説明:グリーン、クリーミー、ラクトン調。
【0107】
7-シクロプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン:1H NMR (300 MHz, CDCl3 ): δ = 7.36-7.41 (m, 1H), 7.15 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.71 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 3.25-3.34 (m, 2H), 2.60-2.70 (m, 2H), 1.30 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.05-1.10 (m, 2H), 0.72-0.76 (m, 2H) ppm; 13C NMR (75MHz, CDCl3): δ = 210.4 (s), 154.0 (s), 146.1 (s), 134.3 (d), 133.5 (s), 122.9 (d), 121.0 (d), 42.4 (d), 34.4 (t), 16.4 (q), 10.7 (t), 10.6 (t), 10.0 (d) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 186 (30) [M+], 171 (100), 153 (9), 141 (12), 128 (31), 115 (28)。
香りの説明:グリーン、フローラル、レザー調。
【0108】
比較例7:4-シクロプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン
表題の化合物を調製し、例1に記載されるとおりの一般的な手順Cを続けた。トルエン(30ml)中4-ブロモ-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(1.50g、6.66mmol)、シクロプロピルボロン酸(1.15g、13.33mmol)、炭酸カリウム(2.76g、19.99mmol)、パラジウム(II)アセタート(0.075g、0.333mmol)および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppfリガンド、0.222g、0.400mmol)を、2h、アルゴン雰囲気下、還流にて反応させ、続いてクーゲルロールを介した蒸留(125℃/0.08mbar)によって、無色の液体として4-シクロプロピル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンが得られた(1.11g、収率89%)。
【0109】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.54 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.24-7.29 (m, 1H), 7.09 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 3.45(dd, J = 17.7, 8.7Hz, 1H), 2.67-2.76 (m, 2H), 1.88-1.97 (m, 1H), 1.33 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.99-1.05 (m, 2H), 0.71-0.74 (m, 2H) ppm; 13C NMR (75MHz, CDCl3): δ = 209.7 (s), 152.9 (s), 141.3 (s), 135.9 (s), 129.5 (d), 127.7 (d), 120.9 (d), 41.8 (d), 33.6 (t), 16.4 (q), 11.7 (q), 7.9*2 (t) ppm; GC/MS (EI): m/z (%): 186 (100) [M+], 171 (71), 157 (29), 143 (85), 128 (91), 115 (65), 91 (11)。
香りの説明:弱いフローラル。
【0110】
例24:GC-香り閾値の決定
当業者に既知の標準的な手順に従って、揮発性香水化合物のための閾値を、訓練された評価者によってスニフポート(sniff port)を備えたガスクロマトグラフ上で決定する。各パネリストによって嗅がれた最も低い濃度を、ngで表される個別の閾値(スニフポートにて送達される化合物の絶対量)として記録する。
同一の条件下、個別の化合物のための香り閾値を測定した。その結果を下記に示す。
【0111】
【0112】
上記の結果からわかるとおり、本発明の化合物(C-6置換インダノン誘導体)は、C-4、C-5またはC-7位にて置換された化合物と比較して、少なくとも約10倍低い香り閾値を有する。これに基づき、より少ない量のクレームされた化合物が同じ香り強度を与えるために要求されることから、顕著な効果が達成される。
【0113】
例25:上質な香水のためのローズ調フレグランス組成物
【表2】
【0114】
わずかにフルーティー(リンゴ)な面をもつ、この自然なローズで、スパイシー(丁子)な、新鮮で、軽やか、かつ繊細なアコードは、アルコール(85°)中10重量%で評価されるのが最もよい。6-イソブチル-2-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンの添加は、より強いインパクトのアコードをもたらし、今や特徴はローズフローラルな新鮮さをもつフルーティーでピーチでクリーミーである。今やアコードは、式(1)で表される化合物がDPGによって置き換えられていないアコードと比較して、よりボディを有し、より長く続く。この上記のアコードは、例えば柔軟剤をフレグランスするのに好適である。