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特許7036806外層又は外側部分に存在するテストステロン化合物を有する薬物送達システムの調製方法及びそのような薬物送達システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】外層又は外側部分に存在するテストステロン化合物を有する薬物送達システムの調製方法及びそのような薬物送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/568 20060101AFI20220308BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220308BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220308BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20220308BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20220308BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220308BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220308BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
A61K31/568
A61K31/519
A61K31/506
A61P15/10
A61K9/28
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/40
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019514701
(86)(22)【出願日】2017-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 NL2017050326
(87)【国際公開番号】W WO2017204632
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】16171320.1
(32)【優先日】2016-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518419002
【氏名又は名称】エーベー・イーペー・ハイブリタブス・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レオナルドゥス・ゲラルドゥス・ヨーゼフ・デ・レーデ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンデリク・ウィレム・フレイリンク
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ヨハン・アドリアーン・タイテン
(72)【発明者】
【氏名】アンコ・コルネルス・エイゼンス
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-513685(JP,A)
【文献】国際公開第2005/107810(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) コア及び前記コアを囲む第1のコーティングを含む時間制御即時放出性薬物送達システムを用意する工程であって、
- コアが、セルロース、有機及び/又は無機塩から選択されるフィラー、並びに、男性又は女性の性機能障害、性的欲求の低下/欠如、性的興奮の問題、又は勃起障害の治療のための活性成分である、第1の活性成分を含み、
- 前記第1のコーティングが、疎水性ポリマー及び親水性物質を含む
工程と;
(ii) スプレーコーティングした層中のテストステロンの量がその所望する医薬量から10%以内となるように、テストステロンを前記時間制御即時放出薬物送達システム上にスプレーコーティングする工程と
を含み、工程(ii)のスプレーコーティングが、その固有の乾燥工程を含めて、最高で55℃の温度で行われる、
第2及び第1の活性成分をそれを必要とする対象に経口投与するための二重薬物送達デバイスを調製する方法。
【請求項2】
工程(ii)のスプレーコーティングが、35~40℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(i)が、前記第1のコーティングをコアの周りに60℃以上の温度で適用する工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(i)が、第1のコーティング層の適用後かつ前記工程(ii)の前に、時間制御即時放出性薬物送達システムに加熱工程を施す工程を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の活性成分が、PDE5阻害剤、中性エンドペプチターゼ(NEP)の阻害剤、及び5-ヒドロキシトリプタミン1A受容体アゴニスト(5-HT1Ara)から成る群から選択される、男性の性的欲求低下障害又は女性の性的関心/興奮障害の治療のための活性成分である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
膜形成性ポリマー並びにエタノール及び水に基づく溶媒システムを含む溶液を使用して、前記のスプレーコーティングする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
膜形成性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
エタノール/水の質量比が6/4~8/2である、請求項2又は7に記載の方法。
【請求項9】
シクロデキストリン、又はその誘導体若しくはポリマーを更に含む溶液を使用して、テストステロンをスプレーコーティングする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
香味化合物及び/又は甘味料を更に含む溶液を使用して、テストステロンをスプレーコーティングする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(i)の第1のコーティングもスプレーコーティング工程を使用して適用される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
スプレーコーティング工程ii)、及び/又は請求項11の実施形態では工程(i)のスプレーコーティング工程が、その固有の乾燥工程を含めて、最高で55℃までの温度で行われる、請求項4から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
スプレーコーティング工程ii)、及び/又は請求項11の実施形態では工程(i)のスプレーコーティング工程が、その固有の乾燥工程を含めて、最高で50℃までの温度で行われる、請求項4から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
スプレーコーティング工程ii)、及び/又は請求項11の実施形態では工程(i)のスプレーコーティング工程が、その固有の乾燥工程を含めて、35℃~45℃の範囲内の温度で行われる、請求項4から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程i)におけるコアの周りの第1のコーティングがエチルセルロースを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
第1のコーティングが60℃位以上の温度で適用される;又は工程i)で用意される時間制御即時放出性薬物送達システムに硬化工程が施される、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
第1の活性成分がシルデナフィル又はブスピロンである、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
スプレーコーティング工程(1つ又は複数)が、有孔パンコーター又は流動床コーターで行われる、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
工程(ii)において、テストステロンが、個々の錠剤の少なくとも99%において、バッチ内のその化合物の平均量から4%以内の量でスプレーコートした層中に含まれる、二重薬物送達デバイスのバッチを調製するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製剤及び薬物送達の分野に関する。より具体的には、本発明は、時間制御即時放出性薬物送達システムに関する。本発明は、第1の活性成分の時間制御即時放出、及び好ましくは口腔内でのテストステロン(又はテストステロン類似物又は誘導体)の先行放出、より好ましくはテストステロンの舌下投与のための、時間制御即時放出性薬物送達システムを含む、二重薬物送達デバイス(dual drug delivery device)に更に関する。更により具体的には、本発明は、男性又は女性の性機能障害、例えば性的欲求の低下/欠如、性的興奮の問題、又は勃起障害等の治療のための、併用療法に関する。好ましくは、前記併用療法は、男性の性的欲求低下障害(HSDD)、及び/又は女性の性的関心/興奮障害(FSIAD)の治療のためのものである。実際に2013年より前は、当業者は男性及び女性の両方のHSDDに言及していたが、2013年に新しい診断分類が採用された。好ましくは、テストステロン又はその機能性類似物若しくは誘導体と第1の活性成分の組み合わせが使用され、それにより、第1の活性成分のピーク血漿レベルの約2~6時間前、より好ましくは3~4時間前にテストステロンのピーク血漿レベルが生じるように、テストステロン又はその機能性類似物若しくは誘導体が供給される。
【背景技術】
【0002】
そのような薬物送達システムは国際公開第2012/158030号に記載されている。本発明はそこに記載される特定の実施形態の改善を行う。
【0003】
二重薬物送達デバイスは、薬物を2通りの異なる速度で又は2通りの異なる時間にわたって放出する、又は2種類以上の異なる薬物を異なる時間にわたって異なる部分で放出するようにデザインされている。二重薬物送達デバイスは、1つ又は複数の薬物の放出速度を制御してこれらの薬物の治療効果を最大化する。第1の段階では、薬物が迅速に放出されて短時間のうちに最大の軽減又は効果をもたらす。これに第2の放出段階が続いて、繰り返しの頻回の投与の必要性を回避する。
【0004】
二段階放出システムとして使用するための適切なデバイスは、圧縮二層錠剤及び「コーティング内コア」システムであり、これは表面全体に崩壊製剤がコーティングされている圧縮コアとしての制御放出性錠剤の使用を伴う。コア錠剤と外側コーティングの両方が薬剤を含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2012/158030号
【文献】国際公開第96/26940号
【文献】国際公開第2006/027680号
【文献】国際公開第2007/056546号
【文献】国際公開第2007/106708号
【非特許文献】
【0006】
【文献】Van der Voort Maarschalkら,1997年,Int J Pharmaceutics 151: 27~34頁
【文献】Van der Voort Maarschalkら,1997年,Pharm Res 14: 415~419頁
【文献】Steendamら,2001年,J Control Rel 70: 71~82頁
【文献】Laity and Cameron,2010年,Eur J Pharm Biopharm 75: 263~276頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、薬物送達システムの投与に続いて所定の時間(タイムラグ)後に薬物を放出する、薬物送達システムを対象としている。
【0008】
一定時間後に放出される第1の活性成分は、男性又は女性の性機能障害、例えば性的欲求の低下/欠如、性的興奮の問題、又は勃起障害等の治療のため、好ましくは男性の性的欲求低下障害、又は女性の性的関心/興奮障害の治療のための活性成分であり、PDE5阻害剤、中性エンドペプチターゼ(NEP)の阻害剤、及び5-ヒドロキシトリプタミン1A受容体アゴニスト(5-HT1Ara)から成る群から選択される。PDE5阻害剤は、好ましくはバルデナフィル、シルデナフィル、及びタダラフィル、又は他の既知のPDE5-阻害剤のいずれかから選択される。PDE5阻害剤のさらなる非限定的な例は、E-4021、E-8010、E-4010、AWD-12-217(ザプリナスト)、AWD-12-210、UK-343,664、UK-369003、UK-357903、BMS-341400、BMS-223131、FR226807、FR-229934、EMR-6203、Sch-51866、IC485、TA-1790(アバナフィル)、DA-8159(ウデナフィル)、NCX-911、又はKS-505aである。他の例は、国際公開第96/26940号で見ることができる。バルデナフィルの経口投与の典型例は、化学的に1-[[3-(3,4-ジヒドロ-5-メチル-4-オキソ-7-プロピルイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-2-イル)-4-エトキシフェニル]スルホニル]-4-エチルピペラジン-一塩酸塩と表される、バルデナフィルHClにより示される。別の例は、化学的に1-[[3-(6,7-ジヒドロ-1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-1H-ピラゾロ[4,3-cr]ピリミジン-5-イル)-4-エトキシフェニル]スルホニル]-4-メチルピペラジンシトレートと表される、クエン酸シルデナフィルにおいて示される。
【0009】
本発明による好ましいPDE5-阻害剤は、好ましくはクエン酸シルデナフィル(1-[[3-(6,7-ジヒドロ-1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)-4-エトキシフェニル]スルホニル]-4-メチルピペラジンシトレート)として投与される、シルデナフィルである。
【0010】
男性又は女性の性機能障害、性的欲求の低下/欠如、性的興奮の問題、又は勃起障害の治療のため、好ましくは男性の性的欲求低下障害、又は女性の性的関心/興奮障害の治療のための、さらなる好ましい第1の活性成分は、中性エンドペプチターゼ(NEP)の阻害剤である。
【0011】
好ましいNEP-阻害剤は、カンドキサトリル; カンドキサトリラート; デキセカドトリル((+)-N-[2(R)-(アセチルチオメチル)-3-フェニルプロピオニル]グリシンベンジルエステル); CGS-24128 (3-[3-(ビフェニル-4-イル)-2-(ホスホノメチルアミノ)-プロピオンアミド]プロピオン酸); CGS-24592 ((S)-3-[3-(ビフェニル-4-イル)-2-(ホスホノメチルアミノ)プロピオンアミド]プロピオン酸); CGS-25155 (N-[9(R)-(アセチルチオメチル)-10-オキソ-1-アザシクロデカン-2(S)-イルカルボニル]-4(R)-ヒドロキシ-L-プロリンベンジルエステル); 国際公開第2006/027680号に記載される3-(1-カルバモイルシクロヘキシル)プロピオン酸誘導体; JMV-390-1 (2(R)-ベンジル-3-(N-ヒドロキシ-カルバモイル)プロピオニル-L-イソロイシル-L-ロイシン); エカドトリル; ホスホラミドン; レトロチオルファン; RU-42827 (2-(メルカプトメチル)-N-(4-ピリジニル)ベンゼンプロピオンアミド); RU-44004 (N-(4-モルホリニル)-3-フェニル-2-(スルファニルメチル)プロピオンアミド); SCH-32615 ((S)-N-[N-(1-カルボキシ-2-フェニルエチル)-L-フェニルアラニル]-(3-アラニン)、及びそのプロドラッグであるSCH-34826 ((S)-N-[N-[1-[[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メトキシ]カルボニル]-2-フェニルエチル]-L-フェニルアラニル]-(3-アラニン); シアロルフィン; SCH-42495 (N-[2(S)-(アセチルスルファニルメチル)-3-(2-メチルフェニル)プロピオニル]-L-メチオニンエチルエステル); スピノルフィン; SQ-28132 (N-[2-(メルカプトメチル)-1-オキソ-3-フェニルプロピル]ロイシン); SQ-28603 (N-[2-(メルカプトメチル)-1-オキソ-3-フェニルプロピル]-(3-アラニン); SQ-29072 (7-[[2-(メルカプトメチル)-1-オキソ-3-フェニルプロピル]アミノ]ヘプタン酸); チオルファン及びそのプロドラッグであるラセカドトリル; UK-69578 (cis-4-[[[1-[2-カルボキシ-3-(2-メトキシエトキシ)プロピル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]シクロヘキサンカルボン酸); UK-447,841 (2-{1-[3-(4-クロロフェニル)プロピルカルバモイル]-シクロペンチルメチル}-4-メトキシ酪酸); UK-505,749 ((R)-2-メチル-3-{1-[3-(2-メチルベンゾチアゾール-6-イル)プロピルカルバモイル]シクロペンチル}プロピオン酸); 5-ビフェニル-4-イル-4-(3-カルボキシプロピオニルアミノ)-2-メチルペンタン酸及び5-ビフェニル-4-イル-4-(3-カルボキシプロピオニルアミノ)-2-メチルペンタン酸エチルエステル(国際公開第2007/056546号); 国際公開第2007/106708号に記載されるダグルトリル[(3S,2'R)-3-{1-[2'-(エトキシカルボニル)-4'-フェニルブチル]-シクロペンタン-1-カルボニルアミノ}-2,3,4,5-テトラヒドロ-2-オキソ-1H-1-ベンザゼピン-1-酢酸]; 並びにそれらの組み合わせから選択される。
【0012】
本発明による好ましいNEP阻害剤は、可溶性分泌エンドペプチターゼ(SEP)よりもNEP(EC3.4.24.11)に対して選択的である。NEPは、膣への血流を促進する血管作用性腸管ペプチド(VIP)と呼ばれるホルモンを分解させる。血管作用性腸管ペプチド(VIP)等の神経ペプチドは、生殖器の血流の制御における主要な神経伝達物質である。VIP及び他の神経ペプチドは、NEPにより分解/代謝される。したがって、NEP阻害剤は、興奮の間に放出されるVIPの内因性の血管弛緩効果を強化することになる。これは生殖器の血流ひいては生殖器の充血の増進につながることになる。NEPの選択的阻害剤は、骨盤神経刺激性及びVIP起因性の膣及び陰核の血流の増加を増進させる。更に、選択的NEP阻害剤は、隔絶された膣壁のVIP及び神経仲介弛緩を増進する。したがって、NEP-阻害剤の効果はPDE5-阻害剤の効果と同様であり、すなわち膣及び陰核の血流の増加である。好ましいNEP阻害剤は、UK-447,841及びUK-505,749である。
【0013】
好ましくは男性又は女性の性機能障害、性的欲求の低下/欠如、性的興奮の問題、又は勃起障害の治療のため、好ましくは男性の性的欲求低下障害、又は女性の性的関心/興奮障害の治療のための、さらなる好ましい第1の活性成分は、5-ヒドロキシトリプタミン1A受容体アゴニスト(5-HT1Ara)である。好ましくは、5-HT1Araは、他の5-HT受容体及びα-アドレナリン受容体及びドーパミン受容体よりも5-HT1A受容体に対して選択的である。5-HT1Araの非限定的な例は、8-OH-DPAT、アルネスピロン、AP-521、ブスパル、ブスピロン、ジプロピル-5-CT、DU-125530、E6265、エバルゾタン、エプタピロン、フレシノキサン、フリバンセリン、ゲピロン、イプサピロン、レソピトロン、LY293284、LY301317、MKC242、R(+)-UH-301、レピノタン、SR57746A、スネピトロン、SUN-N4057、タンドスピロン、U-92016A、ウラピジル、VML-670、ザロスピロン、及びザプラシドンである。好ましい5HT1A受容体アゴニストは、ブスピロン、より具体的にはブスピロン塩酸塩(HCl)である。
【0014】
本発明による時間制御即時放出性薬物送達システムにおける第1の活性成分は、2種類以上の活性成分の組み合わせ、例えば限定はされないが、2つ以上のPDE5阻害剤、2つ以上のNEP阻害剤、2つ以上の5-HT1A受容体アゴニスト、又は少なくとも1つのPDE5阻害剤と少なくとも1つのNEP阻害剤の組み合わせ、少なくとも1つのPDE5阻害剤と少なくとも1つの5-HT1A受容体アゴニストの組み合わせ、少なくとも1つのNEP阻害剤と少なくとも1つの5-HT1A受容体アゴニストの組み合わせ、並びに少なくとも1つのPDE5阻害剤、少なくとも1つのNEP阻害剤、及び少なくとも1つの5-HT1A受容体アゴニストの組み合わせ等であることが更に好ましい。この第1の活性成分は、国際公開第2012/158030号に記載されている時間制御即時放出性薬物送達デバイス中に存在し、テストステロン又はその機能性類似物を含む層又は他のコーティングによって囲まれている。
【0015】
好ましくは、テストステロン又は機能性類似物若しくは誘導体は、即時放出性配合物中に提供され、第1の活性成分は、時間制御即時放出性薬物送達システムのコア中に提供される。
【0016】
「テストステロン」という用語自体だけでなく、本発明の説明及び添付の特許請求の範囲で使用される「テストステロン又はその(機能性)類似物又は誘導体」という用語も、テストステロン、又はテストステロンと同じ又は同様の機能をもたらすテストステロンの前駆体若しくは代謝産物を指す。テストステロンの好ましい前駆体は、プレグネノロン、17α-ヒドロキシプレグネノロン、プロゲステロン、17a-ヒドロキシ-プロゲステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロステンジオン、及びアンドロステンジオールから選択される。テストステロンの好ましい代謝産物は、ヒドロキシアンドロステンジオン、並びに、2β-、6β-、7α-、12α-、及び16α-ヒドロキシテストステロンを含めたヒドロキシテストステロン、並びに、5α-及び5β-ジヒドロテストステロンを含めたジヒドロテストステロンから選択される。テストステロンの好ましい類似物は、アンドロゲン受容体に結合することが可能である。前記テストステロン又はその機能性類似物はテストステロンであることが最も好ましい。
【0017】
第2の部分における前記の「テストステロン又はその機能性類似物若しくは誘導体」は、好ましくはPDE5-阻害剤、NEP-阻害剤、及び/又は5-HT1A受容体アゴニストと組み合わされる。薬物送達システムの第1のコーティングがテストステロン又はその機能性類似物を含むスプレーコーティングによって囲まれている、PDE5-阻害剤、NEP-阻害剤、及び/又は5-HT1A受容体アゴニストを含む本発明による時間制御即時放出性薬物送達システムを含む二重薬物送達デバイスは、好ましくは、テストステロン又はその機能性類似物の供給の1.5~5時間、より好ましくは2~3時間、より好ましくは約2.5時間後に、PDE5-阻害剤、NEP-阻害剤、及び/又は5-HT1A受容体アゴニストを含む薬物送達システムの供給を提供する。
【0018】
本発明による二重薬物送達デバイスにおける第2の活性剤の別の例は、骨粗しょう症の治療のためのエストラジオール又はその類似物若しくは誘導体によって示される。前記エストラジオール又はその類似物は、骨粗しょう症の治療で第1の活性剤として使用されるさらなる薬剤の1つ又は複数と共に提供されてもよい。前記さらなる薬剤の例は、カルシウム調節剤、例えばアレンドロネート、クロドロネート、エチドロナート、パミドロネート、リセドロネート、チルドロネート、及び/又はイパンドロネート等; カルシウム塩、例えば、リン酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム等; 及び/又はビタミンD誘導体、例えば、コレカルシフェロール、カルシトリオール、及び/又はアルファ-カルシドール等である。前記エストラジオール又はその類似物若しくは誘導体は、第2の活性剤として、選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM)、例えばラロキシフェン、又は副甲状腺ホルモン、例えばテリパラチド等の組換え型副甲状腺ホルモンで置き換えられてもよい。SERM及び副甲状腺ホルモンは、本明細書において上記に示すように、骨粗しょう症の治療で第1の活性剤として使用されるさらなる薬物の1つ又は複数と共に提供されてもよい。
【0019】
本発明による二重薬物送達デバイスにおける第2の活性剤のさらなる例は、狭心症の治療のためのニトログリセリンによって示される。ニトログリセリンの経口投与、例えば舌下投与は、好ましくは、第1の活性剤としてのさらなる狭心症薬の1つ又は複数を含む時間制御即時放出性薬物送達システムと組み合わされる。前記さらなる狭心症薬は、好ましくはベータ遮断薬、例えば、アテノロール、ピンドロール、プロプラノロール、オクスプレノロール、メトプロロール、及び/又はビソプロロール等; カルシウム拮抗薬、例えば、アムロジピン、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベプリジル、バルニジピン、ニカルジピン、及びベラパミル等; 及び/又は選択的心拍数減少剤、例えば、イバブラジン等である。
【0020】
本明細書において上記で述べたように、本発明が関連するタイプの送達システムは、圧縮二層錠剤及び「コーティング内コア」システムを包含する。適切なシステムを調製しようと試みている本発明の発明者らは、特に、あらかじめ口内で、好ましくは舌下で迅速に放出される必要があるテストステロンが、確実かつ着実な量で直ちに送達されないという問題に直面した。すなわち、多数の錠剤又は他のシステム単位について決定する場合のテストステロンの量のばらつきが非常に小さく、明確に定義された医薬品規格にしたがっているような、所定の量のテストステロンを含有する外層又は外側部分を、第1の活性成分を含むコア上に設けるための工業的方法を見出すことが困難であることが分かった。
【0021】
例えばプレスコーティングを使用する場合、テストステロンがあらかじめ所望の量で口内で吸収されるようなシステムを作ることが不可能であることが分かった。プレスコーティングは、第1の成分を含むコア上で効果的にプレスされるかなりの材料を必要とする。この大きい薬物送達システムは、これらのシステムを使用する人に不利益をもたらすだけでなく、口内で粉っぽい味及び舌ざわりを生じさせる及び/又は不十分な量のテストステロンが口内で放出され吸収されて体循環へ入る。
【0022】
材料をプレスコーティングするための速崩壊性コーティング混合物の使用は、これらの欠点を軽減する場合があるが、これらを解決はしない。
【0023】
国際公開第2012/158030号の実施例の2つにおいて、1つのスプレーノズル及び小さいガラスのスプレー容器又は有孔ドラムフィルムコーターを使用して、実験室スケールで、錠剤がスプレーコーティング組成物を用いてコーティングされた。そのような実験室スケールの実験では、スプレーコーティングにおけるテストステロンの量を操作することが容易である。
【0024】
しかし、この方法をケールアップすることを試みると、本発明の発明者らは、スプレーコーティング工程後の最終的な錠剤において望ましくないテストステロンの量になるという問題に直面した。
【0025】
本発明の発明者らは、現在では、所定の時間後に短パルスで第1の活性成分を送達するのに効果的である薬物送達システムと、好ましくは口腔内での投与後の初期の段階でテストステロン又はその類似物の迅速で信頼性のある(量の)放出を実現する薬物送達システムとを兼ね備える、薬物送達デバイスを提供するための工業規模の方法を見出した。
【0026】
この方法は、国際公開第2012/158030号に記載されるタイプの薬物送達デバイス又はシステムを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
第1の態様において、本発明は、第2及び第1の活性成分を、それを必要とする対象に経口投与するための二重薬物送達デバイスを調製する工業的方法に関し、その方法は、
(i) セルロース、有機及び/又は無機塩から選択されるフィラー、並びに、男性又は女性の性機能障害、例えば性的欲求の低下/欠如、性的興奮の問題、又は勃起障害等の治療のため、及び好ましくは男性の性的欲求低下障害、又は女性の性的関心/興奮障害の治療のための活性成分である、第1の活性成分を含むコアと、前記コアを囲み、疎水性ポリマー及び親水性物質を含む第1のコーティングとを含む、時間制御即時放出性薬物送達システムを提供する工程と;
(ii) 所望の医薬品の量から10%以内、好ましくは7.5%、より好ましくは5%以内、最も好ましくは4%以内の量の、テストステロン又はその機能性類似物で、前記時間制御即時放出性薬物送達システムをスプレーコーティングする工程と
を含む。
【0028】
工程(ii)において、列挙した量は典型的にはスプレーコート層中に提供され、及び/又はこの量は二重薬物送達デバイス中で提供される。
【0029】
「工業的方法」という用語は、国際公開第2012/158030号に記載される実験室スケールにおけるよりも大幅に多いデバイス、例えば錠剤等を調製することを意味する。すなわち、スプレーコーティング法は、約2500個を超える錠剤の量を確実な方法で調製するように行われるべきである。
【0030】
前記国際公開第2012/158030号の好ましい実施形態にしたがって、工程(i)で言及される第1のコーティングもスプレーコーティングの技術を使用して適用される。本明細書の以下において「第1のスプレーコーティング」に言及する場合、これは工程(i)のスプレーコーティングである。代わりに工程(ii)のスプレーコーティングを意図する場合、「第2のスプレーコーティング」又は「テストステロンスプレーコーティング」と言及される。
【0031】
国際公開第2012/158030号の図5及び実施例6で報告された1つの重要な知見は、テストステロンコートによるコーティングプロセスの終点を決定するために、錠剤の質量増加ではなくスプレーされたコーティング溶液の質量を指標として使用することが重要であることであった。
【0032】
この操作のメカニズムは本発明でも使用される。
【0033】
テストステロンスプレーコーティング工程において、テストステロン又はその機能性類似物は少なくとも1つの膜形成性ポリマーを含有する溶液中に存在する。スプレーコーティングに適した膜形成性ポリマーは、この分野で活動している当業者に良く知られており、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はポビドン、ヒドロキシエチルセルロース、当技術分野において既知の他の修飾セルロース、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びポリメチル/エチルメタクリレートであってもよい。試験では、発明者らは、ポリビニルピロリドンの使用が最終的な医薬システムの高い水分収着をもたらし、それにより例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースよりも好ましくないものとなることを見出した。本発明による膜形成性成分は、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、より好ましくは数平均分子量が20,000未満; より好ましくは10,000未満である低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
【0034】
テストステロンスプレーコーティング溶液のための溶媒として、本発明は、エタノール及び水の混合物;好ましくは60~80質量%のエタノール及び40~20質量%の水の混合物、例えば70質量%のエタノール及び30質量%の水の混合物等を必要とするか、又は少なくとも好ましくは使用する。
【0035】
好ましい実施形態において、使用されるスプレーコーティング溶液は、ポリビニルピロリドン(PVP)、好ましくはシクロデキストリン、又はその誘導体若しくはポリマー等の、可溶化剤を更に含む。ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリンを使用して非常に良好な結果が得られる。可溶化剤の量は、好ましくは膜形成性ポリマーの質量に対して0.5~3の範囲である。シクロデキストリンは可溶化剤として作用するだけでなく、保存中のテストステロンの結晶化を防止又は低減もする。
【0036】
さらなる好ましい実施形態において、テストステロンスプレーコーティング溶液は香味化合物及び/又は甘味料を含む。特に、口内のテストステロン又はその機能性類似物の吸収を促進するためにデバイスがどれだけ長く口内で維持されるべきであるかに関する操作を可能にする量で、香味料が前記スプレーコーティング層に導入される実施形態が好ましい。適切な香味化合物及び甘味料は、ペパーミント油、メントール、及びアスパルテームを包含する。
【0037】
国際公開第2012/158030号に記載される方法をスケールアップして、小さい実験室スケールの製造プロセスからより大きい製造スケールのプロセスへ移行しようとする場合、発明者らは、スプレーコーティング層中のテストステロン又はその機能性類似物の信頼性のある量を念頭において、国際公開第2012/158030号で使用される方法では60~80℃である、錠剤を乾燥させるのに使用される温度によって、個々の錠剤のスプレーコーティング層中のテストステロンの量が制御されないことにつながることを見出した。したがって、バッチ内の錠剤のスプレーコーティング層中のテストステロンの量のバッチ内変動は比較的大きかった。
【0038】
本発明の方法の好ましい実施形態において、テストステロンのスプレーコーティング工程(ii)は、その固有の乾燥工程を含めて、最高で55℃まで、好ましくは最高で50℃までの温度で、より好ましくは35℃~45℃の範囲内の温度で行われる。
【0039】
この実施形態において供給空気の温度は典型的には50~60℃である。
【0040】
この実施形態において、テストステロン、又はその機能性類似物若しくは誘導体は、各々の個々の錠剤のスプレーコーティング層中に平均量から10%未満、5.0%未満、又は4.0%未満の範囲内で、例えば実施例3に示すように例えば平均量から3.6%以内で、存在することが可能である。本明細書において、平均量は、あるバッチの錠剤におけるスプレーコーティング層中のその化合物の量の数平均である。
【0041】
したがって、工程(ii)において、テストステロン又はその機能性類似物若しくは誘導体である化合物が、個々の錠剤の実質的にすべてにおいて、例えば個々の錠剤の数の少なくとも95%又は少なくとも99%等において、バッチにおけるその層内のその化合物の平均量から4%以内の前記化合物の量で、及び/又は2.50%未満、2.20%未満、若しくは2.00%未満である工程(ii)のスプレーコート層中の化合物の量の相対標準偏差でスプレーコート層中に含まれる、二重薬物送達デバイスのバッチを調製する方法が提供される。
【0042】
好ましくは、工程(i)であれ又は工程(ii)であれ、有孔パンコーター又は流動床コーターを使用し、前の段落で述べた範囲内の錠剤床又は排気温度を使用して、スプレーコーティング工程を行う。7kgを超えるバッチサイズを作るために、直径が約50cmであるコーティングパンを使用する。このコーティングパンを第1のコーティングについては約14~15rpm、第2のコーティングについては約19rpmのパンスピードで回転させる。適切なコーティングノズルとして、1.2mmノズル; 例えばSchlick model 930/7-1 S35 (Dusen-Schlick GmbH社、ドイツ)を使用する。そのようなコーティングパンにおいて、スプレーする間に可視的に微細なミストを形成するのに十分な空気圧(気温約50~60℃)を使用した、第1のスプレーコーティングのコーティング時間は約4時間以上であり、錠剤が約40℃の錠剤温度及び排気温度を有することになる。この第1のスプレーコーティング工程における使用される目標スプレー速度は35~40g/分であり、噴霧空気圧力はおよそ1.0bar、及びパターン空気圧力はおよそ1.4barである。
【0043】
ちょうど国際公開第2012/158030号と同様に、工程i)におけるシステムのコアの周りの第1のコーティングは、好ましくはセルロース誘導体、特にエチルセルロースを疎水性ポリマーとして含む。
【0044】
特に、この好ましい実施形態において、スプレーコーティング工程における使用される最大温度は、完全には保存安定性ではないと考えられた錠剤等のデバイスをもたらす。したがって、より低温で、例えば35℃~45℃の範囲内で行われるスプレーコーティング工程により調製される錠剤等のデバイスが、保存安定性を改善するために望ましい。より具体的には、シルデナフィル又はブスピロン等の第1の活性成分の溶解特性が、長期及び加速条件下の両方で保存した後に遅くなることが分かった。エチルセルロースポリマーコーティングの性質が保存中に変化し、これが次に、その膨張特性を時間と共に変化させたことが明らかとなった。これは、第1のコーティング中、例えばデバイス又は錠剤の第1の活性成分の周囲にある、好ましいセルロース誘導体、特にエチルセルロースポリマーのポリマー鎖が再配列することに起因するという仮説が立てられる。言い換えれば、保存中、ポリマーコーティングはエージングすることがある。このエージングは水の吸収のスピードを低下させる。
【0045】
この問題を克服するために、錠剤を冷蔵庫に保存することが可能であるが、それは実用的ではなく; 又は可塑化特性を有する賦形剤を加えることが可能であるが、これらは恐らく望ましい放出プロファイルに影響を与えることになる。
【0046】
本発明の発明者らは、好ましくは、60℃以上の温度で、提供されるシステムi)のコアの周りに第1のコーティングを適用することにより、この不安定性の問題を解決した。
【0047】
代わりに及び好ましくは、工程i)の提供される時間制御即時放出性薬物送達システムに硬化工程を施す。この硬化工程は、第1のコーティング層、バリアコーティングの適用後、かつ例えば工程(ii)の前に、さらなる加熱工程を含んでいてもよい。これは、例えばスプレー前のスプレーコーティング容器中で、あるいはバリアコーティングの適用後に流動床で又はオーブン内で実現することができる。
【0048】
場合により、工程i)の提供される時間制御即時放出性薬物送達システムに、少なくとも40℃、少なくとも50℃、若しくは少なくとも60℃の温度等、又は少なくとも使用されるポリマーのガラス転移温度まで、例えば少なくとも1.0秒、少なくとも1分、少なくとも30分、少なくとも1時間、例えば30分~5時間、熱処理工程を施す。この熱処理工程は、例えば第1のコーティング層の適用後、かつ工程(ii)の前に行われる。
【0049】
場合により、この方法は、60℃以上の温度で第1のコーティングを適用する工程に加えて、そのような硬化又は熱処理工程を含む。
【0050】
使用される分散液として適用される疎水性ポリマーのガラス転移温度を超えるプロセス段階は、第1のコーティング組成物のポリマー粒子の癒着を促進することができ、工程(ii)の前に膜形成に寄与することもできる。
【0051】
第1のコーティング層は、ゆっくりと溶解するコーティングを形成することにより短時間持続する放出が得られるように、又は迅速に溶解するコーティングを形成することにより即時放出性が得られるように、配合することができる。膜形成性成分の量は、スプレーコーティングの総質量を基準として好ましくは0.05~40%(w/w)、より好ましくは1~30%(w/w)、例えば約20%(w/w)等である。
【0052】
第2のスプレーコーティング(層)は、好ましくは薬物送達デバイスの総質量を基準として0.5~5%(w/w)の質量を構成する。好ましくは、前記コーティングは、薬物送達デバイスの総質量を基準として1%~3%、好ましくは1.5~2.5%(w/w)の質量を構成する。好ましい実施形態において、薬物送達システムの第2のスプレーコーティングは、1単位当たり約1~20mgの質量を構成する。好ましくは、前記スプレーコーティングは、1単位当たり約3~15mgの質量を構成する。特に好ましい実施形態において、本発明の薬物送達デバイスの前記スプレーコーティングは、1単位当たり約4~10mgの質量を構成する。
【0053】
テストステロン又はその機能性類似物の量は、好ましくは第2のスプレーコーティング層の総質量を基準として0.05~25%(w/w)、より好ましくは0.5~15%(w/w)である。これは好ましくは0.1~1.5mg/デバイスの量で存在する。
【0054】
本発明による二重薬物送達デバイスのスプレーコーティング層は、好ましくは口内でのテストステロンの即時の送達を実現する。「口」という用語は、唇と歯の間の空間、頬と歯の間の空間、口蓋及び舌によって境界を定められる口腔、並びに舌下の領域を含む。テストステロンは、好ましくは口内の舌下の空間で放出される
【0055】
「テストステロンの即時放出性」という表現は、テストステロンが口内で短時間のうちに完全に又は実質的に完全に放出されるように、口内でスプレーコーティングが急速に溶解することを指す。「第2の成分の即時放出性」という表現は、テストステロンの少なくとも50%が、二重薬物送達デバイスの経口投与後の5分以内、より好ましくは4分以内、より好ましくは3分以内、より好ましくは2分以内、最も好ましくは1分以内に放出されることを示す。テストステロンの少なくとも70%が、二重薬物送達デバイスの経口投与後の5分以内、より好ましくは4分以内、より好ましくは3分以内、より好ましくは2分以内、最も好ましくは1分以内に放出されることがより好ましい。
【0056】
前述のように、本発明は国際公開第2012/158030号を改善したものである。したがって、提供される工程i)の時間制御即時放出性薬物送達システムは、セルロース、有機及び/又は無機塩から選択されるフィラー、並びに、男性又は女性の性機能障害、性的欲求の低下/欠如、性的興奮の問題、又は勃起障害の治療のため、及び好ましくは男性の性的欲求低下障害、又は女性の性的関心/興奮障害の治療のための活性成分である、第1の活性成分を含むコアと、前記コアを囲み、疎水性ポリマー及び親水性物質を含む第1のコーティングとを含む。
【0057】
好ましくは、前記コアは、好ましくは0.1~60% (w/w; コアの総質量を基準とする)、より好ましくは0.1~30% (w/w; コアの総質量を基準とする)、より好ましくは1~25% (w/w; コアの総質量を基準とする)の相対量の前記第1の活性成分と、好ましくは10~60% (w/w; コアの総質量を基準とする)、より好ましくは10~50% (w/w; コアの総質量を基準とする)の相対量のセルロースと、好ましくは10~70% (w/w; コアの総質量を基準とする)の相対量、より好ましくは10~60% (w/w; コアの総質量を基準とする) の量の、有機及び/又は無機塩から選択されるフィラーとを含む。
【0058】
好ましくは、前記フィラーは無機塩であり; 好ましくは、前記セルロースは微結晶セルロースである。
【0059】
上記のように、第1の活性成分は、好ましくはシルデナフィル、特にクエン酸シルデナフィル、又はブスピロン、特にブスピロンHClである。ブスピロンを使用する場合、国際公開第2012/158030号において好ましいものと認められたリン酸カルシウムの代わりにフィラー硫酸カルシウムを用いた場合に、いっそう良好でより安定な結果が得られることが分かった。
【0060】
本発明によれば、好ましいシステムは好ましくは錠剤である。
【0061】
本発明のシステムのコアは、架橋されたナトリウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムデンプングリコレート、及び/又は架橋されたポリビニルピロリドンを含む、水不溶性ゲル形成性崩壊剤を更に含んでいてもよい。
【0062】
この明細書の全体を通して、「含む」という用語及びその文法的に等価な語は、記載される成分が存在すること、及び他の成分が存在していてもよく又は存在していなくてもよいことを示す。
【0063】
コアは、好ましくはプレス又は圧縮されて固体となる。好ましいコアは錠剤である。「錠剤」という用語は、「カプセル」及び「カプレット」を包含する。本発明による薬物送達システムのコアの好ましいサイズは、数ミリメートル~約1センチメートルの範囲である。さらなる賦形剤としては、希釈剤、バインダー、又は造粒成分、炭水化物、例えばデンプン等、デンプン誘導体、例えば酢酸デンプン、及び/又はマルトデキストリン等、ポリオール、例えばキシリトール、ソルビトール、及び/又はマンニトール等、ラクトース、例えばα-ラクトース一水和物、無水α-ラクトース、無水β-ラクトース、噴霧乾燥ラクトース、及び/又は凝集したラクトース等、糖、例えばデキストロース、マルトース、デキストレート、及び/又はイヌリン等、又はそれらの組み合わせ、効率的な錠剤化を確実にするための流動促進剤(流動助剤)及び潤滑剤、並びに味を向上させるための甘味料又は香味料を挙げることができる。
【0064】
前記第1の活性成分は、単独の活性成分、又は2種類以上の活性成分の混合物であってもよい。活性成分の混合物中の活性成分の各々は、0.1~30%(w/w)、より好ましくは1~25%(w/w)の相対量で存在することが好ましい。
【0065】
本発明による好ましい時間制御即時放出性薬物送達システムは、コーティングで囲まれた1つ又は複数の活性成分を含有する圧縮コアを含む即時放出性配合物を含み、コアからの活性成分の放出は、所定のタイムラグ後のコーティングの破壊によって引き起こされる。好ましくは、コアはコーティングの破壊又は溶解後に直ちに崩壊する。
【0066】
セルロースという用語は、粉末状セルロース、凝集セルロース、微結晶セルロース、及び/又はそれらの組み合わせを含む。セルロースという用語は、精製セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースを含む。粉末セルロースは、パルプを分解することにより得られるセルロースで主に構成されている。微結晶セルロースは、特級のアルファセルロースを含む。
【0067】
好ましいセルロースは微結晶セルロースである。好ましい微結晶セルロースは、公称粒径が30~250μm、好ましくは50~180μmである。更に好ましい微結晶セルロースは、0.1~7.5%、より好ましくは1~5.0%の水分を含む。好ましい微結晶セルロースは、公称粒径が50μmであり水分が3.0~5.0%である微結晶セルロース、例えばAvicel PH 101等; 公称粒径が100μmであり水分が3.0~5.0%である微結晶セルロース、例えばAvicel PH 102等; 及び公称粒径が180μmであり水分が1.5%未満である微結晶セルロース、例えばAvicel PH 200等から選択される。前記微結晶セルロースの量は、好ましくは10%を超え(w/w; コアの総質量を基準とする)、より好ましくは20%(w/w)を超え、より好ましくは30%を超え、最も好ましくは約35%を超える。微結晶セルロースの量は、60%未満、より好ましくは55%未満、より好ましくは50%未満(w/w; コアの総質量を基準とする)であることが更に好ましい。
【0068】
本発明による好ましいコアはフィラーを含む。前記フィラーは、好ましくは10~70%(w/w; コアの総質量を基準とする)、より好ましくは20%~60%(w/w)、より好ましくは30%~50%(w/w)、例えば35%(w/w)等の量で存在する。前記フィラーは、有機塩及び無機塩の群から選択される。有機塩は、好ましくはクエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸マグネシウム、フマル酸カルシウム、及びフマル酸マグネシウムから選択される。最も好ましいフィラーは無機塩である。本発明による無機塩は、好ましくは、硫酸カルシウム二水和物、ケイ酸カルシウム、リン酸ケイ素、炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム一水和物、第3リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、及び酸化マグネシウムから選択される。乳酸ナトリウム及び塩化ナトリウム等の可溶性フィラーの総量は、好ましくは50%未満(w/w; コアの総質量を基準とする)である。フィラーの選択は、当業者に既知であるように、フィラーと又はフィラーの組み合わせと併用されるコア中の活性成分の固有の安定性によって更に決定される。コアは、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の潤滑剤を更に含んでいてもよい。好ましいコアは、無水リン酸水素カルシウム又は硫酸カルシウム二水和物、及びステアリン酸マグネシウムを含む。前記無水リン酸水素カルシウムの量は、好ましくは10%を超え(w/w; コアの総質量を基準とする)、より好ましくは20%(w/w)を超え、より好ましくは25%を超え、最も好ましくは約30%を超える。無水リン酸水素カルシウムの量は、70%未満、より好ましくは60%未満、より好ましくは50%未満、より好ましくは45%未満(w/w; コアの総質量を基準とする)であることが更に好ましい。ステアリン酸マグネシウムの量は、好ましくは0.1%(w/w; コアの総質量を基準とする)~10%(w/w)、より好ましくは0.5~5%(w/w)である。別の好ましいコアは、硫酸カルシウム二水和物及びステアリン酸マグネシウムを含む。前記硫酸カルシウム二水和物の量は、好ましくは10%を超え(w/w; コアの総質量を基準とする)、より好ましくは20%(w/w)を超え、より好ましくは30%を超え、最も好ましくは約40%を超える。硫酸カルシウム二水和物の量は、70%未満、より好ましくは60%未満、より好ましくは55%未満、より好ましくは50%未満(w/w; コアの総質量を基準とする)であることが更に好ましい。ステアリン酸マグネシウムの量は、好ましくは0.1%(w/w; コアの総質量を基準とする)~10%(w/w)、より好ましくは0.5~5%(w/w)である。
【0069】
コアは、純粋な材料として水性液体にさらされるとゲルを形成する、1つ又は複数の崩壊剤を更に含んでいてもよい。好ましい崩壊剤は、水不溶性、ゲル形成性崩壊剤の1つ又は複数を含む。存在する場合、水不溶性、ゲル形成性崩壊剤等の前記崩壊剤は、好ましくは0.5~20%(w/w)の相対量で存在する。崩壊剤は、錠剤の分解又は崩壊を促進する物質又は物質の混合物である。錠剤の分解は、第1の活性成分を含めた成分が、錠剤全体と比較してより急速に吸収に利用できる、より小さい粒子を生じさせる。薬物の溶解は、崩壊性成分を配合物中に加えることにより大幅に改善することができる。好ましい崩壊剤は、ウィッキング、変形、及び/又は粒子間の電気的反発力の誘発により錠剤の崩壊を引き起こす。
【0070】
本発明による好ましい崩壊剤は、ナトリウムデンプングリコレート(Primojel(登録商標))、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えばACDISOL(登録商標)、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、及びヒドロキシプロポキシル含量が5.0~16.0質量%の範囲であり見かけの平均重合度が350~700の範囲である低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)から選択される。前記L-HPCは、好ましくは小さい粒径、好ましくは10ミクロン未満の平均粒径、より好ましくは5ミクロン未満の平均粒径を有し、例えばLH41等である。前記の水不溶性、ゲル形成性崩壊剤は、好ましくは0.0~6%(w/w)の相対量で存在する。前記水不溶性ゲル形成性崩壊剤の量は、好ましくは6%未満(w/w; コアの総質量を基準とする)、より好ましくは5%未満(w/w)、最も好ましくは4%未満である。
【0071】
本発明によるコアの好ましい組成物は、第1の活性成分、微結晶セルロース、例えばPHARMACEL(登録商標)pH102又はPHARMACEL(登録商標)pH200、無水リン酸二カルシウム、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えばクロスカルメロース、及びステアリン酸マグネシウムを含む。微結晶セルロース及び架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースは、好ましくは約6 : 1(w/w)~14 : 1(w/w)、好ましくは7.5(w/w)~12.5(w/w)の比で存在する。好ましい比は、約10 : 1(w/w)~約8 : 1(w/w)である。そのような比の効果は、コアが、ゲル形成する間、崩壊する前に実質的に膨張しないことである。無水リン酸水素カルシウムと微結晶セルロースの好ましい比は、3 : 1(w/w)~1 : 3(w/w)、より好ましくは2 : 1(w/w)~1 : 2(w/w)、最も好ましくは約1 : 1(w/w)である。
【0072】
本発明によるコアの別の好ましい組成物は、第1の活性成分、微結晶セルロース、例えばPHARMACEL(登録商標)pH102又はPHARMACEL(登録商標)pH200、硫酸カルシウム二水和物、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、例えばクロスカルメロース、及びステアリン酸マグネシウムを含む。微結晶セルロース及び架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースは、好ましくは約6 : 1(w/w)~14 :1 (w/w)、好ましくは7(w/w)~13(w/w)の比で存在する。好ましい比は、約12 : 1(w/w)及び約10 : 1(w/w)である。そのような比の効果は、コアが、ゲル形成する間、崩壊する前に実質的に膨張しないことである。脱水硫酸カルシウムと微結晶セルロースの好ましい比は、3 : 1(w/w)~1 : 3(w/w)、より好ましくは2 : 1(w/w)~1 : 2(w/w)、最も好ましくは約1 : 1(w/w)である。本発明によるコアの総質量は、好ましくは50~500ミリグラム、より好ましくは200~400ミリグラム、より好ましくは250~350ミリグラム、例えば約300ミリグラム等である。
【0073】
本発明によるコアは、第1のコーティングにより囲まれており、前記第1のコーティングは、外表面を含み、前記第1のコーティングは、疎水性ポリマー及び(水溶性及び/又は水不溶性)親水性物質を更に含む。第1のコーティングは、好ましくは薬物を含まない。存在する場合、可塑剤、例えばジブチルフタレート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、ジブチルセバケート、ジエチルフタレート、トリアセチン、及び/又はトリブチルシトレート等は、好ましくは最大で0.5% (w/w; 時間制御即時放出性薬物送達システムの総質量を基準として) の量で存在する。第1のコーティングは、好ましくは可塑剤を含まない。
【0074】
第1のコーティングは、好ましくは、例えばノズルでコア上にスプレーされる。このために、疎水性ポリマー及び水溶性及び/又は水不溶性親水性物質を、例えば及び好ましくは、水及びエタノールの混合物中に懸濁又は溶解させ、第1のコーティングにおける所定の量のテストステロンが得られるまでコア上にスプレーされる。第1のコーティングの量は、好ましくは時間制御即時放出性薬物送達システムの総質量の約0.5~30%(w/w)、より好ましくは約1~20%(w/w)である。
【0075】
本発明による疎水性コーティングポリマーは、好ましくは、水不溶性コーティング材料、例えばセルロース誘導体、及び例えば疎水性基を有するメタクリラートモノマーの共重合により得られるポリメタクリラート等から選択される。好ましいポリメタクリラート疎水性ポリマーは、EUDRAGIT(登録商標)RL、EUDRAGIT(登録商標)RS、EUDRAGIT(登録商標)NE、及びEUDRAGIT(登録商標)Sである。
【0076】
好ましいセルロース誘導体は、エチルセルロース及びその誘導体から選択される。本発明による薬物送達システムの第1のコーティングの最も好ましい疎水性ポリマーは、エチルセルロースを含む。エチルセルロースは、容易に破壊される機械的に弱い疎水性フィルムを形成する。コアは、水性媒体と接触すると崩壊する水不溶性、ゲル形成性崩壊剤と組み合わせた薬剤を含有する。疎水性フィルムにおける細孔の形成、及びコアへの水の流入は、エチルセルロースコーティングの破壊を引き起こす。コーティングが破壊されると、コアは数分で崩壊し、続いて薬剤が放出される。好ましいエチルセルロースはETHOCEL(登録商標)である。
【0077】
本発明による親水性物質は、好ましくは水不溶性親水性物質、好ましくは水不溶性親水性ポリマーである。前記第1のコーティングは、水性液体にさらされる前に細孔を含んでいることが更に好ましい。細孔は、水性液体のコアへの流入を制御するための、コアを内側コートの外表面と相互に連結させる流路として機能する。例えば水不溶性親水性物質が水不溶性親水性ポリマー、好ましくはセルロースである、又はそれを含む場合に、前記細孔が存在する。好ましいセルロースは、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、架橋ヒドロキシエチルセルロース、架橋ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び微結晶セルロース等である。セルロースは、薬物含有コアを錠剤の外側とつなぐ流路を形成する。それによりセルロースは水が流路を通ってコアへ輸送される速度を制御する。十分な水がコアに到達すると、コアはその構造的完全性を失う。コアは崩壊することになり、続いてコーティングが破壊され薬物が放出される。好ましいセルロースは、公称粒径が20~200ミクロンであり水分が5%未満である微結晶セルロースである。好ましい微結晶セルロースは、公称粒径が約150ミクロンであり水分が3.0~5.0%である微結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH-102 SCG等; 公称粒径が約100ミクロンであり水分が5.0%未満である微結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標)HFE-102等; 公称粒径が約20ミクロンであり水分が5.0%未満である微結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH-105等を含む。更に好ましい水不溶性親水性物質はリン酸二カルシウムを含む。
【0078】
50ミクロン未満のより小さい粒子、例えばAvicel(登録商標)PH-105を使用する利点は、コーティング懸濁液がより良好な流動特性を有し、これがフィルムコーティングプロセス全体を改善するということである。好ましい第1のコーティングは、Ethocel(登録商標)及び水不溶性親水性物質としてのAvicel PH-105を含む。Ethocel(登録商標)等の疎水性コーティングポリマーとAvicel等の水不溶性親水性物質の好ましい質量比は、1 : 5~5 : 1、より好ましくは1 : 4~3 : 1、より好ましくは1 : 3~2 : 1、最も好ましくは約1 : 2である。
【0079】
別の実施形態において、本発明による親水性物質は、好ましくは水溶性親水性物質である。このコーティングは好ましくは、水性液体にさらされる前に、細孔を含まないか又はわずかな細孔のみを含む。水溶性親水性物質は水性液体にさらされると疎水性ポリマー中で細孔を形成することが好ましい。好ましい水溶性親水性物質は、ラクトース、マンニトール、及び/又は塩化ナトリウムを含む。好ましいラクトースはPHARMATOSE(登録商標)である。
【0080】
好ましい第1のコーティングはEthocel(登録商標)及び水溶性親水性物質としてラクトースを含む。Ethocel(登録商標)等の疎水性コーティングポリマーとラクトース等の水溶性親水性物質の好ましい質量比は、1 : 5~5 : 1、より好ましくは1 : 3~3 : 1、より好ましくは1 : 2~2 : 1、最も好ましくは約1 : 1である。
【0081】
第1のコーティングの相対量は、好ましくは4~20%(w/w; 薬物送達システムの総質量を基準とする)、より好ましくは8~15%(w/w)、最も好ましくは約12%(w/w)である。したがって、好ましい第1のコーティングは、10~75ミリグラム、より好ましくは25~50ミリグラム、最も好ましくは約40ミリグラムの質量を有する。
【0082】
本発明による時間制御即時放出性薬物送達システムは、薬物送達システムの水和後に第1の活性成分の放出の制御を可能にする。前記時間制御即時放出性は、pHと本質的に無関係である。タイミングは部分的には、好ましくはコア上にスプレーされる第1のコーティングの厚さによって制御される。錠剤間の第1のコーティングの量の変動は、第1のコーティングの総質量を基準として好ましくは10%以下(90%~110%)である。より好ましくは、第1のコーティングの量の変動は、第1のコーティングの総質量を基準として5%以下(95%~105%)である。第1のコーティングの錠剤内及び錠剤間の均一性に影響を与える可能性がある要因(プロセス条件)としては、当業者に既知であるように、例えばパンスピード、スプレー速度、スプレーパターン、ノズルタイプ、粘度、乾燥温度、空気流量、及びコーティング時間が挙げられる。必要であれば、第1のコーティングの適用後、好ましくはスプレー後に、温度制御された硬化工程、例えば60~80℃で1~3時間の熱処理を第1のコーティングに施す。
【0083】
加えて、第1のコーティング中の水溶性及び/又は水不溶性親水性物質の量、並びに水溶性及び/又は水不溶性親水性物質が何であるかは、第1の活性成分の放出のタイミングを調整するための手段を更に提供する。例えば、プレスされたコアと、Ethocel 20及びラクトースを3 : 2の比で含む平均厚さが約35マイクロメートルである第1のコーティングとを含む錠剤は、錠剤が水和して約36分後に第1の活性成分の放出をもたらすが、一方平均厚さが約50マイクロメートルである第1のコーティングを有する同じ組成の錠剤は、錠剤が水和して約84分後に第1の活性成分の放出をもたらす。プレスされたコアと、Ethocel 20及びAvicel PH102を3 : 2の比で含む平均厚さが約90マイクロメートルである第1のコーティングとを含む錠剤は、錠剤が水和して約105分後に第1の活性成分の放出をもたらす。当業者は、この明細書で示される教示及び実施例に基づいて、本発明による時間制御即時放出性薬物送達システムを得ることができる。
【0084】
本発明による薬物送達デバイスの総質量は、好ましくは少なくとも50ミリグラム、より好ましくは少なくとも150ミリグラムであり、好ましくは50~500ミリグラム、より好ましくは150~400ミリグラム、より好ましくは300~400ミリグラム、例えば約301.5ミリグラム、325ミリグラム、又は約340ミリグラム等である。
【0085】
「時間制御」薬物送達システムという用語は、所定の時間後、例えば2.5時間後に第1の活性成分の放出をもたらし、それにより放出がpHと無関係である、薬物送達システムを指す。所定の時間は固定であり、胃腸管内でのpH履歴に依存しない。
【0086】
「即時放出性」薬物送達システムという用語は、所定の時間以内に相当量の第1の活性成分の放出をもたらす薬物送達システムを指す。即時放出性薬物送達システムは、例えば、60%を超える、より好ましくは70%を超える、より好ましくは80%を超える第1の活性成分の放出を、コーティングの破壊後の30分以内、より好ましくは20分以内、より好ましくはコーティングの破壊後の8分以内にもたらす。薬物送達システムから放出される第1の活性成分の量、及び成分が放出される時間枠を決定するための方法及び手段、例えば簡易溶解法等は、当業者に既知であり、例えば、装置2(パドル法)及び装置3(往復動シリンダー)に基づく米国薬局方(USP)溶解試験である。
【0087】
第1の活性成分の即時放出性は、水分誘発性の応力緩和によって生じると考えられる。この応力緩和の推進力は、ポリマーコーティングによって囲まれたコア内の貯蔵エネルギーの量である(Van der Voort Maarschalkら,1997年,Int J Pharmaceutics 151: 27~34頁; Van der Voort Maarschalkら,1997年,Pharm Res 14: 415~419頁; Steendamら,2001年,J Control Rel 70: 71~82頁; Laity and Cameron,2010年,Eur J Pharm Biopharm 75: 263~276頁)。応力緩和は、本発明によるコーティングされたコアの破壊を非線形的に起こさせる。コア、及び第1のコーティング中の親水性物質の水和は応力緩和を起こさせるので、所定の時間後にコーティングの即時の破裂が得られる。6%(w/w)を超える水不溶性、ゲル形成性崩壊剤の存在は、第1の活性成分の即時放出性を妨げ、より持続した放出特性をもたらすことが分かった。
【0088】
テストステロン又はその機能性類似物を含むスプレーコーティングは、好ましくはヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン、ポリ-ベータ-シクロデキストリン、ガンマ-シクロデキストリン、及びポリビニルピロリドンから選択される担体を含む。好ましいポリビニルピロリドンは、最大80000の分子量を有する低分子量ポリビニルピロリドンである。適切なポリビニルピロリドンは、好ましくはK10、K15、K25、K30、及びK50から選択される。最も好ましい担体は、ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンである。テストステロン等の可溶性の低いステロイド及びシクロデキストリン等の担体の存在は、テストステロンの粘膜への急速で効率的な送達をもたらし、それにより次いでステロイドは血液循環へ急速に吸収される。前記担体の量は、スプレーコーティングの総質量を基準として好ましくは0.5~70%(w/w)、より好ましくは2~60%(w/w)、より好ましくは5~50%(w/w)である。
【0089】
スプレーコーティングは、好ましくは香味化合物及び1つ又は複数の賦形剤、例えば着色剤等を含む。前記香味化合物は、任意の天然、人工、若しくは合成化合物、又は薬学的に許容可能である化合物の混合物であってもよい。医薬用途の香味料の例示的なリストとしては、環状アルコール、揮発性油、合成香味油、香味芳香族化合物、油、液体、オレオレジン、並びに植物、葉、花、果実、茎、根、及びそれらの組み合わせに由来する抽出物が挙げられる。環状アルコールの非限定的な例としては、メントール、イソメントール、ネオメントール、及びネオイソメントールが挙げられる。香味油の非限定的な例としては、スペアミント油、シナモン油、ウィンターグリーンの油(サリチル酸メチル)、ペパーミント油、チョウジ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグの油、オールスパイス、セージの油、メース、苦扁桃の油、カッシア油、及びそれらの組み合わせが挙げられる。適切な香味料としてはまた、例えば、人工、天然、及び合成果実香味料、例えば、かんきつ油 (例えばレモン、オレンジ、ライム、及びグレープフルーツ)、果実エッセンス (例えばレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、リンゴ、セイヨウナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコット、又は他の果実香味料) 等が挙げられる。他の有用な人工、天然、及び合成香味料としては、糖、ポリオール、例えば糖アルコール等、人工甘味料、例えばアスパルテーム、ステビア、スクラロース、ネオテーム、アセスルファムカリウム、及びサッカリン等、チョコレート、コーヒー、バニラ、ハチミツ粉末、及びそれらの組み合わせが挙げられる。他の有用な香味料としては、アルデヒド及びエステル、例えばベンズアルデヒド (チェリー、アーモンド)、シトラール (レモン、ライム)、ネラール (レモン、ライム)、デカナール (オレンジ、レモン)、アルデヒドC-8 (かんきつ果実)、アルデヒドC-9 (かんきつ果実)、アルデヒドC-12 (かんきつ果実)、トリルアルデヒド (チェリー、アーモンド)、2,6-ジメチルオクタナール (青玉果)、2-ドデナール (かんきつのマンダリン)、及びそれらの組み合わせ等が挙げられる。好ましい香味化合物は、環状アルコール、例えば、好ましくはアスパルテーム等
の人工甘味料と組み合わされた、メントール、イソメントール、ネオメントール、及びネオイソメントール等である。香味化合物の量は、スプレーコーティングの総質量を基準として好ましくは0.1~60%(w/w)、より好ましくは1~40%(w/w)である。
【0090】
本発明による二重薬物送達デバイスのスプレーコーティングにおける香味化合物の存在は、苦い又は不快な味の薬物又は賦形剤を遮蔽することができる。
【0091】
しかし本発明による二重薬物送達デバイスのスプレーコーティングにおける香味化合物は、口腔から急速に消えることが好ましい。口腔内で特定の香味を感知することは、スプレーコーティングが完全に溶解していないこと、及びスプレーコーティング内に包含されている時間制御即時放出性薬物送達システムが口内で維持されなければならないことを使用者に示す。使用中、テストステロンはスプレーコーティングから香味化合物と共に共送達(co-deliver)される。対象は香味(味)の存在によって、デバイスがテストステロンを送達していることを容易に認識できる。最終的に、テストステロンの全用量が送達される。この時点で、デバイスは風味の送達も停止する。香味(味)の消失は、時間制御即時放出性薬物送達システムを飲み込んでもよいことを示す。
【0092】
当業者は、香味化合物がスプレーコーティングの代わりに第1のコーティング中に存在していてもよいことを理解することになる。その場合、香味(味)の出現は、時間制御即時放出性薬物送達システムを飲み込んでもよいことを示す。当業者は、第1の香味化合物はスプレーコーティング中に存在していてもよいが、一方第2の香味化合物は第1のコーティング中に存在することを更に理解することになる。第1の香味(味)が消え、第2の香味(味)が感じられると、対象(subject)はデバイスがテストステロンの全用量を送達したことを知る。
【0093】
スプレーコーティングの外表面の粗さが、本発明によるデバイスにおける第1のコーティングの外表面の粗さと異なることが、更に好ましい。対象は、粗さの違いが明らかになったら時間制御即時放出性薬物送達システムを飲み込むように知らされることが可能である。これは口内での本発明によるデバイスの十分な保持時間を実現するので、テストステロンが十分に放出及び吸収される。
【0094】
記載した方法により得ることができる二重薬物送達デバイスも提供される。好ましくは、そのような二重薬物送達デバイスのバッチは、第1のコーティング層の周りのスプレーコーティング層におけるテストステロン又はその機能性類似物若しくは誘導体の量のバッチ内変動が、10%以内、好ましくは7.5%以内、より好ましくは5%以内、最も好ましくは4%以内である。このことは、そのような層におけるそのような化合物の量が、バッチの本質的にすべての個々の錠剤について、例えばバッチ内の錠剤の数の少なくとも95%、又は少なくとも99%、又は少なくとも99.9%において、そのような範囲内であることを意味する。
【0095】
本発明はここで、以下の非限定的な実施例を参照しながら更に説明する。特定の化合物についてパーセンテージに言及する場合、これらは別段の指定がない限り、前記化合物が存在する組成物又は層の質量に対して出される質量パーセントである。実施例で使用される材料は、国際公開第2012/158030号で記載されるのと同じ製造業者から入手される。
【実施例
【0096】
[例1]
4.6 kgのクエン酸シルデナフィル、6.7 kgのリン酸二カルシウム、6.7 kgの微結晶セルロース、及び0.8 kgのクロスカルメロースナトリウムを、混合容器中で600マイクロメートルのふるいに通し、均一になるまでブレンドした。次いで、0.8kgのステアリン酸マグネシウムを600マイクロメートルのふるいに通し、ブレンド物に加えた。混合容器を5分間回転させることによりブレンド物を潤滑化させた。ブレンド物を打錠機へ移し、圧縮して、コア質量が300 mgであり、1錠剤当たり50 mgシルデナフィルに相当する約70 mgのクエン酸シルデナフィルを含有する錠剤とした。
【0097】
14.4リットルのエタノール (96%、変性品) 中に、432 gのエチルセルロース (20 mPa.s) 及び864 gの微結晶セルロース (Avicel PH105) を分散させた。7.2 kgのシルデナフィルコア錠剤を有孔ドラムフィルムコーターに入れた。エチルセルロース及び微結晶セルロースの分散液をその後シルデナフィル錠剤上にスプレーし、加熱により溶媒を除去し、その間、排気温度を約40℃に維持した。
【0098】
コーティングした錠剤を徐々に冷却した。
【0099】
薬品安定性試験の間、保存すると、シルデナフィルコアを囲むポリマーバリアコーティングの特性が変化したことが特定された。これは当初の目標である2~3時間から3時間を超える時間までのシルデナフィルの遅延溶解プロファイルをもたらした。
【0100】
国際公開第2012/158030号の実施例で調製された錠剤ではこの効果は見られなかった。
【0101】
シルデナフィルの遅延放出が、エチルセルロース含有ポリマーコーティングのエージング現象に起因することが特定された。より具体的には、安定性に関して、シルデナフィルコア錠剤の破壊時間の遅れの原因を理解しようと努力する中で、エチルセルロースポリマーコーティングの性質が保存中に変化し、これが今度はその膨張特性を時間と共に変化させたことが明らかとなった。この変化は、エージング効果、すなわちポリマー鎖の再配列がコーティングの密度を増大させ、それにより水吸収のスピードを低下させることに起因していた。
【0102】
国際公開第2012/158030号においては、コート層は小規模の実験室装置で適用され、乾燥温度は制御されなかった (60℃~80℃であったと見積もられる) ことが認識された。
【0103】
したがって、初期破壊時間に対する追加の熱処理の効果を調べた。
【0104】
具体的には、例1で作られたタイプの50 mgのシルデナフィルを含有するコア錠剤を、エチルセルロース及び微結晶セルロースで構成される、錠剤当たりおよそ34 mgのバリアコーティングでコーティングした。バリアコーティング剤をスプレーした後、試料をコア破壊時間の分析のために採取した。熱を3時間加えることにより (供給空気70℃~80℃、>60℃の排気が生じる)、錠剤をフィルム-コーティング装置内で更に処理した。1、2、及び3時間の追加の熱処理後に試料を採取して、ポリマーコートの硬化の効果を調べた。
【0105】
本明細書の下の表1に示されるデータは、この追加の加熱工程がシルデナフィルコア錠剤の平均破壊時間を90分から約120分の平均へシフトさせたことを実証した。1、2、又は3時間の熱処理のあいだで破壊時間の明らかな違いは見られなかった。
【0106】
【表1】
【0107】
追加の熱処理を行った試験バッチの安定性
1時間及び3時間の追加の熱処理を行った例1のバッチからの試料を以下に記載される条件下で32日まで保存した。例1 (すなわち、追加の熱処理を行っていないコーティング) のバッチについての安定性データは、この実験の対照として役立った。
・ 追加で1時間熱処理した試料を開放した状態で40℃/75% RHにおいて32日間保存した。
・ 追加で3時間熱処理した試料を以下のように保存した:
・ 開放した状態で40℃/75% RHにおいて;
・ 高密度ポリエチレン (HDPE) のボトル中に詰め、40℃/75% RHにおいて保存した;及び
・ HDPEボトル中に詰め、4℃~8℃において保存した。
平均破壊時間の結果を表2に示す。
【0108】
【表2】
【0109】
結果は、錠剤の破壊時間における予期された固有の変動性にかかわらず、エチルセルロースポリマーコートに追加の熱処理を施すことにより硬化が得られたことを示す。硬化工程によって、ポリマーコーティングの膨張及び水浸透特性に影響を与える可能性があるエージングが見られなかった。
【0110】
この例1にしたがって調製されたこれらの錠剤を有孔ドラムフィルムコーター内で60分間、67~69℃の錠剤床温度で硬化させた場合、望ましくない製品安定性効果が生じなかった。
【0111】
[例2]
0.3 kgのブスピロンHCl、4.1 kgの硫酸カルシウム二水和物、4.1 kgの微結晶セルロース、及び0.36 kgのクロスカルメロースナトリウムを、混合容器中で600マイクロメートルのふるいに通し、均一になるまでブレンドした。次いで、0.12 kgのステアリン酸マグネシウムを600マイクロメートルのふるいに通し、ブレンド物に加えた。混合容器を5分間回転させることによりブレンド物を潤滑化させた。ブレンド物を打錠機へ移し、圧縮して、コア質量が300mgであり、1錠剤当たり約10 mgのブスピロン塩酸塩を含有する錠剤とした。14.4リットルのエタノール (96%、変性品) 中に、432 gエチルセルロース (20mPa.s) 及び864 gの微結晶セルロース (Avicel PH105) を分散させた。7.2 kgのブスピロンコア錠剤を有孔ドラムフィルムコーターに装入した。エチルセルロース及び微結晶セルロースの分散液をその後ブスピロン錠剤上にスプレーし、加熱により溶媒を除去し、その間排気温度を約40℃に維持した。
【0112】
コーティングされた錠剤を徐々に冷却した。
その後、錠剤を有孔ドラムフィルムコーター内で60分間、67~69℃の錠剤床温度で硬化させた。
【0113】
[例3]
10.1リットルのエタノール(96%、変性品):精製水の70:30混合物に、18 gのテストステロン、48 gのヒプロメロース(5mPa.s)、96 gのヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン、36 gのアスパルテーム、及び22 gのメントールを加えた。より具体的には、シクロデキストリンを一定分量の精製水中に分散させ; すべてのエタノールを加え; 撹拌しながらテストステロン及びメントールを溶解した。ヒプロメロースを残りの水へ加え、分散するまで撹拌した。両方の液体相を合わせた。その後、アスパルテームを加え、溶解するまで撹拌した。目視で透明な溶液を得た。
【0114】
例2で調製された7.2 kgのバリアコーティングされた錠剤を、50 cmのコーティングパンへ加え、Schlick model 930/7-1 S35 (1.2 mmノズル) を備えたコーティング機の中に置いた。19 rpmのパンスピード、スプレーガンから錠剤までのおよそ15 cmの距離、及び300 m3/hrの給気量、0.7 barの噴霧空気圧力、及び1.0 barのパターン空気圧力、及び40~42℃の排気温度を使用して、錠剤を18~22 g/minの目標スプレー速度でコーティングした。
【0115】
このようにして、テストステロンが各々の個々の錠剤のスプレーコーティング層中に平均量から3.6%以内で存在している工業規模の錠剤が得られたことが分かった。表3は、個々のデータ、平均、(相対)標準偏差、並びに含量均一性試験のUSP及びヨーロッパ薬局方規格としての合格判定値(AV)を記載している。
【0116】
【表3】