(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/70 20060101AFI20220308BHJP
B23Q 1/01 20060101ALI20220308BHJP
B23Q 1/48 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B23Q1/70
B23Q1/01 H
B23Q1/01 T
B23Q1/48 F
(21)【出願番号】P 2019571737
(86)(22)【出願日】2019-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2019052270
(87)【国際公開番号】W WO2019149761
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-05-15
(31)【優先権主張番号】102018201419.1
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508268090
【氏名又は名称】デッケル マホ プフロンテン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】DECKEL MAHO Pfronten GmbH
【住所又は居所原語表記】DECKEL-MAHO-Strasse 1, 87459 Pfronten, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ユング, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ガイスラー, アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】キプケ, シュテファン
【審査官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-150576(JP,A)
【文献】国際公開第2015/132638(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0193423(US,A1)
【文献】特開2004-299040(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19830391(DE,A1)
【文献】特開2005-324261(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0205800(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/70
B23Q 1/01
B23Q 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械であって、機械ベッド(1, 63, 82, 58, 98, 110)を備え、当該機械ベッドの上面又は前記機械ベッド(1, 63, 82, 58, 98, 110)の側面には機械スタンド(2, 62, 78)が配置されており、前記機械スタンドには、第1、第2及び/又は第3の移動方向に移動可能な、スピンドルスリーブ(9, 69, 74, 85, 99)を備えるワークスピンドル(25)が取り付けられており、
前記スピンドルスリーブ(9, 69, 74, 85, 99)は、スリーブハウジング(8, 70, 87, 95, 106)を含み、前記スリーブハウジングは、前記機械スタンド(2, 62, 78)に取り付けられたガイドレール(5, 68a, 68b)に沿って前記第1の方向において軸方向に移動され得ると共に、工具を支持する前記ワークスピンドル(25)は、
同一の移動方向において前記スリーブハウジング(8, 70, 87, 95, 106)の内部へ
の引き込み及びそこから外部へ
の繰り出しが可能であり、
前記機械スタンド(2)は、ブリッジ(4, 111)によって連結された2つの固定された機械スタンド本体(2a, 2b; 101a, 101b)を含み、前記スリーブハウジング(8)は、前記ブリッジ(4, 111)上において、前記機械ベッド(1)に対して水平に前記第1の移動方向に対して垂直な前記機械スタンド本体(2a, 2b; 101a, 101b)の間での移動の第2の方向に移動可能に配置されており、
2つの前記機械スタンド本体(2a, 2b)の側面にはガイドレール(7a, 7b)が取り付けられており、それぞれの前記機械スタンド本体(2a, 2b)の前記ガイドレール(7a, 7b)内を、それぞれ鉛直キャリッジ(3a, 3b)が案内され、前記鉛直キャリッジによって、前記ワークスピンドル(25)は、スピンドルスリーブ(9)を支持するブリッジ(4)と共に、前記第1及び第2の移動方向に対して垂直に前記第3の方向に移動され得ることを特徴とする、工作機械。
【請求項2】
前記スリーブハウジング(8)の上方で且つ前記ブリッジ(4)に対して平行に、連結要素が配置されており、前記連結要素は、2つの前記機械スタンド本体(2a, 2b; 101a, 101b)を連結することを特徴とする、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記機械スタンド(62, 78)は、前記機械ベッド(58)の上面の上に水平に且つ前記第1の方向に対して垂直な前記第2の方向に移動可能に配置されている、又は、前記機械ベッド(98)の側面に配置されていると共に、第1及び第2の機械スタンド本体(88a, 88b; 92a, 92b)と、2つの前記機械スタンド本体(88a, 88b; 92a, 92b)の間に配置された連結要素(84, 93)とを、前記スリーブハウジング(87, 95)が前記連結要素(84, 93)の上で前記第1の方向に移動可能に配置され、且つ、前記スリーブハウジング(87, 95)が前記連結要素(84, 93)によって前記第1及び第2の方向に対して垂直な前記第3の方向に鉛直に移動可能であるような態様で含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の工作機械。
【請求項4】
前記スリーブハウジング(70)は、前記機械スタンド(62, 78)の側面に配置された鉛直キャリッジによって、前記第1及び第2の方向に対して垂直な前記第3の方向に鉛直に移動可能であることを特徴とする、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記機械ベッド(82)と前記機械スタンド(78)との間に配置された水平キャリッジ(59)であって、前記水平キャリッジ(59)は、前記機械スタンド(78)と共に、水平に且つ前記第1の方向に対して垂直な前記第2の方向に移動可能に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の工作機械。
【請求項6】
前記ブリッジ(111)は、前記スピンドルスリーブ(105)と同様に前記機械ベッド(110)に対して斜めに配向されるような態様で、前記機械ベッド(110)に対して所定の角度で斜めに配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の工作機械。
【請求項7】
前記機械ベッド(1)の上に配置された、スピンドルスリーブ(9)を有する前記ワークスピンドル(25)によるワークの5軸機械加工のための旋回テーブル(12)を含み、前記旋回テーブルの旋回軸は、前記スピンドルスリーブ軸に対して垂直に配置されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項8】
ワークの5軸機械加工のための工作機械であって、
機械ベッド(1)と、
前記機械ベッド(1)の上面又は側面に配置された機械スタンド(2)と、
前記機械スタンド(2)に水平の配置で取り付けられており、第1、第2及
び第3の移動方向に移動可能に配置され
、前記第1の移動方向において軸方向に移動可能なスピンドルスリーブ(9)として形成されたワークスピンドル(25)と、
前記機械ベッド(1)の上面に配置されており、その旋回軸が前記ワークスピンドル(25)の長手方向軸に対して垂直に延びる旋回テーブル(12)と、を含み、
前記機械スタンド(2)は、ブリッジ(4, 111)によって連結された2つの機械スタンド本体(2a, 2b; 101a, 101b)を含み、前記
スピンドルスリーブ(9)は、前記ブリッジ(4, 111)上において、水平に且つ前記第1の方向に対して垂直な前記機械スタンド本体(2a, 2b; 101a, 101b)の間での移動の第2の方向に移動可能に配置されていると共に、ガイドレール(7a, 7b)が前記2つの機械スタンド本体(2a, 2b; 101a, 101b)上に取り付けられており、両面上の前記ガイドレール(7a, 7b)内を鉛直キャリッジ(3a, 3b)が前記機械スタンド本体(2a, 2b)に接して案内され、前記ブリッジ(4
, 111)は、前記鉛直キャリッジ(3a, 3b)によって、前記第1
の移動方向に対して及び
前記第2の
移動方向に対して垂直な前記第3の移動方向に移動可能であることを特徴とする工作機械。
【請求項9】
前記機械スタンド
(2)の第1の機械スタンド本
体は、前記機械ベッドの上面又は側面で前記旋回テーブルの前記旋回軸に対して平行な方向に移動可能に配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の工作機械。
【請求項10】
前記スピンドルスリーブ(9)の上方で且つ前記ブリッジ(4)に対して平行に、連結要素が配置されており、前記連結要素は、2つの前記機械スタンド本体(2a, 2b; 101a, 101b)を連結することを特徴とする、請求項8又は9に記載の工作機械。
【請求項11】
前記機械ベッド(1)の内部にチップ収集スペースが形成されていると共に、前記旋回テーブル(12)は前記チップ収集スペースの上方に配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の工作機械。
【請求項12】
2つの前記機械スタンド本体(2a, 2b)及び前記機械スタンド本体(2a, 2b)の間に配置された前記ブリッジ(4)は、熱的に対称な構造が実現されるような態様で、互いに配置されていることを特徴とする、請求項1又は8に記載の工作機械。
【請求項13】
その軸が前記ワークスピンドル(25)に対して垂直に延びるホイールマガジン(11)と、前記ワークスピンドル(25)又は前記ホイールマガジン(11)の工具を交換するためのマニピュレータと、を含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項14】
前記機械ベッド(1)は、その下面に3点支持体(14a, 14b, 14c)を備えることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピンドルスリーブを有するワークスピンドルによってワークを機械加工するための工作機械、又は、機械スタンド上で3つの移動方向に、特にチップチャネルの上方で移動可能なワークスピンドルを備える工作機械の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術から種々のドリル、フライス盤及び/又は旋盤が知られており、それらのワークスピンドルはスピンドルスリーブを有している。基本的に、スピンドルスリーブは、軸方向の移動を行い得る固定工作機械における中空に穿孔されたワークスピンドルである。その際、ドリル、中ぐり盤又はフライス盤のような回転する工具を備える切削機械では、トルクを工具に伝達するために、及び、工具送りを伝達するために、中空シャフト、即ちワークスピンドルが使用される。それは、種々の工具を受容するために、一端において穿孔されている。スピンドルスリーブとして構成されたワークスピンドルの場合、サポート又はスピンドルキャリアに対するスピンドルの手動による又は自動的な軸方向の可動性が与えられる。このスピンドルスリーブ軸(大抵の場合、w軸と呼ばれる)は、位置決め軸として、即ち、後続の機械動作のために前もって位置が決定されるようにも、送り軸として、即ち、機械加工動作の間に送り動作として位置が変更されるようにも、構成され得る。この場合、クロススライドとは対照的に、サポート又は主軸台が静止している一方で、スピンドルの回転する部分のみが軸方向に移動される。このために、スピンドルスリーブは、径方向及び軸方向の力を受容するため、複数箇所において大抵の場合はローラベアリング内に支持されるが、調整移動を実現するために、ハウジングに対して軸方向に移動可能である。回転運動及びトルクを伝達するために、スピンドルスリーブは、大抵の場合、ギアホイール、プーリ、カップリングなど又は他の適切な要素を介して、伝動装置に接続されている。旋盤の場合、心押し台のスピンドルは、しばしばスピンドルスリーブとも呼ばれる。
【0003】
特許文献1からは、例えば、付加的な回転工具キャリッジを備えるフライスキャリッジを有するドリル及びフライス盤が知られている。このために、水平に移動する水平フライスキャリッジが、スタンドに取り付けられたフライスキャリッジキャリアに設けられている。水平フライスキャリッジ上では、更に、対応する回転工具受容部を支持する回転工具キャリッジが、水平に移動する。2つのキャリッジは、別々に移動し得るように構成されている。
【0004】
特許文献2は、中空のワークスピンドルを有する立型マシニングセンタ用のドリルスピンドルを示している。工具スピンドルは、鉛直キャリッジに対して水平に引き込み及び繰り出し移動可能なスピンドルキャリッジ内に受容されている。スピンドル自体も、スピンドルキャリッジに対して水平方向に移動可能である。スピンドルキャリッジ自体は、鉛直キャリッジ内で支持され、これを貫通している。その際、スピンドルキャリッジは、鉛直キャリッジを横切って水平方向に移動され得る。
【0005】
冒頭で述べたように、本発明は、チップ収集スペースに対して3つの方向に移動可能なワークスピンドルの基本構造及びこれに関連する機械構造コンセプトにも関する。
【0006】
このために、例えば、特許文献3は、1つのベッドの上に、ブリッジを介して互いに連結された2つの機械スタンドが配置される、機械コンセプトを開示している。2つの互いに連結された機械スタンド上には、鉛直方向において長方形のフレームが配置されており、当該フレームは、鉛直に及び水平に移動可能である。この第1のフレームの内部には、2つのフレームに対して鉛直方向に移動され得るワークスピンドルを有する第2のフレームが設けられている。フレーム構成の下方には、機械ベッド内にチップチャネルが配置されており、その長手方向軸は、スピンドル軸に対して平行に延びている。
【0007】
3つの空間方向に移動可能なワークスピンドルがチップチャネルの上方に配置されている、類似の機械コンセプトが、特許文献4に記載されている。このコンセプトでは、機械ベッドの両側に機械スタンドが取り付けられており、当該機械スタンドは、フォーク状のブリッジを介して互いに連結されている。このブリッジ上には、スピンドル台がガイド上に支持されており、当該スピンドル台は、水平方向に、及び付加的に、これに垂直なスピンドル軸の方向に移動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】独国特許出願公開第102009058649号明細書
【文献】独国特許出願公開第102006007737号明細書
【文献】欧州特許出願公開第176233号明細書
【文献】欧州特許第2865485号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、ワークスピンドルの移動経路、スピンドルキャリアの剛性、ワーク/機械テーブルに対する工具の位置決め性、並びに、チップ搬送に関して、上述した機械コンセプトを最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題又はその部分的な態様は、独立請求項1及び13に記載されているような機械コンセプトによって解決される。
【0011】
本発明による工作機械は、好ましくは、水平マシニングセンタとして形成されている。即ち、ワークスピンドルは機械テーブルの表面に対して平行に配置されており、水平方向に移動する。
【0012】
本発明による工作機械は、その上面の上に機械スタンドが配置された機械ベッドを備える。その際、機械スタンドは、機械ベッドの上に配置され得るが、機械ベッドの側面にも配置され得る。好ましくは、機械スタンドは、互いに対して移動可能な少なくとも2つの機械スタンド本体から形成されており、当該機械スタンド本体は、実用的にはブロック体として形成され得る。その際、第1の機械スタンド本体は、機械ベッドの上面の上に直接的に移動可能に取り付けられることができ、当該上面の上にはワークテーブルも取り付けられている。次に、第2の機械スタンド本体は、第1の機械スタンド本体に取り付けられ、第1の機械スタンド本体の移動方向に対して垂直な方向に機械ベッド上で移動可能に配置され得る。
【0013】
旋回回転テーブルを備える機械構成の実施形態では、第1の機械スタンド本体が、例えば機械ベッド上の水平キャリッジを介して、旋回回転テーブルの旋回軸に対して平行な方向に移動可能である場合に、特に実用的な構成が得られる。これにより、機械ベッドのサイズは、その面積及び同時に機械全体の高さに関して、制限され得る。更に、殆どのワークについて、特に荷重的に安定した構造の下で、ワークスピンドルの非常に効果的で短い移動経路が得られる。
【0014】
機械スタンドは、第1、第2及び第3の移動方向に移動可能な、スピンドルスリーブを有するワークスピンドルを支持することができる。換言すれば、本発明による工作機械では、機械スタンドに取り付けられたスピンドルスリーブを有するワークスピンドルが、3つの空間方向に移動され得る。
【0015】
本発明によれば、必要に応じて設けられるスピンドルスリーブはスリーブハウジングを含み、当該スリーブハウジングは、機械スタンドに取り付けられたガイドレールに沿って、ワークスピンドルに対して軸方向に第1の方向に移動され得る。その際、工具を支持するワークスピンドルは、付加的に、同様に第1の移動方向において、スリーブハウジング内に引き込み及び繰り出し移動可能である。
【0016】
換言すれば、本発明によれば、2つの異なる駆動装置によって同一の方向に、即ち、先ずスリーブハウジングの内部に及びそこから外部に移動するワークスピンドルによって、第二に機械スタンド上のガイドレールに沿って移動可能なスリーブハウジング自体によって移動され得る、スピンドルスリーブを備えたワークスピンドルが提供される。
【0017】
第1の移動方向におけるスピンドルスリーブのこの「二重の」可動性の特別な利点は、増大された移動経路に加えて、別個の駆動装置及びガイドからなる2つの機構によって実現される移動経路が、少なくとも部分的に互いに平行に延び、これにより、ワークスピンドルの剛性及び位置決め性の精度が向上することにある。
【0018】
例えば、上述した特許文献2に示された、水平スピンドルキャリッジが鉛直スピンドルキャリッジを通過する機械コンセプトと比較して、機械構造の剛性は、このようにして著しく高められ得る。より正確には、a)スピンドル台及びワークスピンドルを備えるスリーブハウジングのガイド上での可動性、及び、b)スリーブハウジングの内部への及びそこから外部へのワークスピンドルの移動、の合成された運動によって生じる第1の移動方向の方向における全移動範囲に亘って、高められた剛性が保証される。これは、特に、大きな寸法のワークの機械加工及びその際に加えられるトルクにおいて、中心的な意義を有する。
【0019】
本発明の特に有利な実施例において、機械スタンドは、機械ベッドの側面に又はその上に配置され、ブリッジを介して互いに連結される2つの固定された機械スタンド本体を含み、ブリッジ上のスリーブハウジングは、水平に且つ機械ベッドに対して平行に、機械スタンド本体の間で第2の移動方向に移動可能に配置されている。このために、実用的にはブリッジの上に2つの水平なガイドレールが設けられており、当該ガイドレールによって、スリーブハウジングは、ブリッジ全体に亘る比較的広い領域において、対応して高い剛性で水平方向に移動され得る。
【0020】
この構成の別の利点は、理想的なケースでは同一に形成された2つの機械スタンド本体の間にスピンドルスリーブを有するワークスピンドルを位置決めすることにより、機械コンセプトの実質的に熱的に対称な構造が得られる点に見ることができ、これはまた、大きな寸法のワークの機械加工のために、中心的な意義を有する。
【0021】
好ましくは、機械スタンド本体の2つの側面には、それぞれ1対の鉛直なガイドレールが取り付けられている。ガイドレール内で案内される鉛直キャリッジによって、スピンドルスリーブを有するワークスピンドルを支持するブリッジは、第3の方向において鉛直に移動され得る。ここでも、二重のガイドを設けることにより、高い剛性が保証される。
【0022】
したがって、本発明のこのような実施例は、互いに直角である3つの移動方向の全てが、二重レール内での案内を保証し、その結果、長い移動距離であっても、移動範囲全体に亘って高い剛性が保証され得る点において際立っている。
【0023】
本発明の特に実用的に形成された実施例では、3つの指定された(第1、第2及び第3の)移動方向X、Y及びZにおいて、それぞれ4つのガイドキャリッジが、スピンドルを移動させるために設けられている。
【0024】
機械ベッドの上には、回転テーブルが、しかしながら旋回テーブルも配置されることができ、その旋回軸は、好ましくはスピンドルスリーブ軸に対して垂直に配置されている。このようにして、ワークの効率的な5軸機械加工を行うことができる。
【0025】
好ましくは、スリーブハウジングの上方において、上述したブリッジに対して平行に連結要素が配置されており、当該連結要素は、2つの機械スタンド本体を連結している。スリーブハウジングは、ブリッジとブリッジ上の連結要素との間で、水平に且つ機械ベッドに対して平行に、機械スタンド本体の間で第2の移動方向に移動可能である。連結要素による2つの機械スタンド本体の連結によって、工作機械の特に安定した構造がもたらされ、スリーブハウジングの移動中に生じる振動は、低減及び/又は回避され得る。
【0026】
特に実用的に形成された実施例では、上述したブリッジは、機械ベッドに対してある角度で斜めに配置されており、スピンドルスリーブも機械ベッドに対して斜めの角度で配向されている。特に、大きな及び/又は重いワークでは、ワーク上のスピンドルスリーブの機械加工領域が、機械ベッドに対するスピンドルスリーブの傾斜位置によって拡大され、大きく重いワークは、特に効率的に機械加工され得るという利点がもたらされる。なぜなら、これらのワークは、旋回テーブルによって限定的にのみ旋回可能であり、スピンドルスリーブの傾斜位置によって、小さな旋回可能性の下でも、ワークが大きな面積に亘って機械加工され得るからである。
【0027】
工作機械の有利な実施形態において、機械スタンドは、水平に且つ第1の方向に対して垂直な第2の方向に移動可能である。この実施形態では、機械スタンドの上に配置されたスピンドルスリーブは、特に正確に移動可能である。
【0028】
実用的な構成において、機械スタンドは、第1及び第2の機械スタンド本体と、2つの機械スタンド本体の間に配置された連結要素とを含み、2つの機械スタンド本体及び連結要素は、第1の方向に対して垂直な第2の方向に移動可能である。
【0029】
好ましくは、スリーブハウジングは、連結要素上で第1の方向に移動可能であり、スリーブハウジングは、2つの機械スタンド本体の間の連結要素によって、第1及び第2の方向に対して垂直な第3の方向に移動可能である。機械スタンドのこの構成は、工作機械の特に堅固で剛な構造を示す。
【0030】
好ましくは、機械スタンドは、機械ベッドの上面の上に配置されている。
【0031】
機械スタンドが機械ベッドの側面に配置され、水平に且つ第2の方向に移動可能であると、特に実用的である。この場合、工作機械の設置面積が小さい、特にコンパクトな構造が得られる。
【0032】
工作機械の簡単な構成では、機械スタンドは一体に形成されている。好ましくは、スリーブハウジングは、機械スタンドの側面に配置された鉛直キャリッジによって、第1及び第2の方向に対して垂直な第3の方向に鉛直に移動可能であり、それにより、スピンドルスリーブの特に短い移動経路が達成され得る。更に、当該構成によって、工作機械のコンパクトで特に剛な構造が実現される。
【0033】
特に有利な実施例では、機械ベッドの上面の上で移動可能な機械スタンドと機械ベッドとの間には、水平キャリッジが配置されており、当該水平キャリッジは、機械スタンドと共に、水平に且つ第1の方向に対して垂直な第2の方向に移動可能である。機械スタンドは水平キャリッジの上に配置されているので、機械スタンドは第2の方向において特に正確に移動可能であり、それにより、スピンドルスリーブは、この方向において正確に移動され得る。同時に、工作機械は、水平キャリッジ上の機械スタンドの構造によって、堅固である。
【0034】
特に有利な実施形態では、機械ベッドの内部又は下方にチップ収集スペースが延び、その軸は、スピンドルスリーブ軸に平行に配置され得る。旋回テーブルは、その幅方向においてチップチャネルを横断しており、その結果、旋回テーブルを旋回させることにより、チップ収集スペース内への直接的なチップの落下が保証される。
【0035】
機械の対称な構造に起因して、機械ベッドは、有利には3点支持体によって据え付けられている。
【0036】
本発明による工作機械は、好ましくは、ワークの5軸機械加工のために適合されている。機械ベッドの上には機械スタンドが配置されており、それに接して又はその上に、ワークスピンドルが、第1、第2又は第3の直線方向及び2つの回転軸において移動可能に取り付けられている。
【0037】
機械テーブルの上には、更に旋回テーブルが配置されることができ、その旋回軸は、ワークスピンドルの第1の移動方向に対して垂直に延びる。
【0038】
旋回軸を移動可能なワークスピンドルの長手方向軸に対して垂直に配置することにより、5軸機械加工において、ワークスピンドルにクランプされた工具に対するワークの最適な位置決め性が実現される。これは、旋回テーブルの旋回運動によって、旋回テーブル上にクランプされたワークが、場合によっては上述したスピンドルスリーブ構造に起因する二重の可動性を既に含み得る、この第1の(x-)方向におけるワークスピンドルの可動性に加えて、少なくともある限度内で、まさにこの第1の移動方向において更に位置決めされ得るという事実によって説明され得る。したがって、この第1の移動方向には合計3つの位置決め機構があり、これにより、ワーク及び工具の互いに対する著しく効率的な位置決めが可能となる。
【0039】
好ましくは、旋回テーブルは、機械ベッド内に設けられたチップ収集スペースの上方に配置されており、その結果、落下するチップは、搬送ウォームを備えるこのチップ収集スペースを介して除去され得る。
【0040】
有利な実施形態では、旋回テーブルは、その幅方向においてチップ収集スペースを横断している。これにより、旋回テーブルを旋回位置に位置付けた際、機械加工されたワークから直接的にチップ収集スペース内への落下による、チップの最適化された除去がもたらされる。
【0041】
有利な実施例では、ワークスピンドルの移動は、スピンドルスリーブを有するワークスピンドルによって、旋回軸の方向に対して垂直な第1の移動方向において行われる。これは、キャリッジ上のスピンドル台と共にスリーブハウジングが移動すること、及び付加的にワークスピンドルがスリーブハウジング内へ移動することによる、いわば「二重の」可動性が付与された、スピンドルスリーブを有する上述したワークスピンドル、あるいは、この第1の軸方向におけるワークスピンドルの「一重の」可動性を有する単純なスピンドルスリーブ構造であり得る。
【0042】
この機械コンセプトにおいても、実用的な実施例は、架け渡されたブリッジを有する2分割された機械スタンドを備えることができ、それにより、上述した利点が得られる。
【0043】
好ましくは、スリーブハウジングの上方において、上述したブリッジに対して平行に連結要素が配置されており、当該連結要素は、2つの機械スタンド本体を連結している。スリーブハウジングは、ブリッジとブリッジ上の連結要素との間で、水平に且つ機械ベッドに対して平行に、機械スタンド本体の間で第2の移動方向に移動可能である。連結要素による2つの機械スタンド本体の連結によって、工作機械の特に安定した構造がもたらされ、スリーブハウジングの移動中に生じる振動は、低減及び/又は停止される。
【0044】
特に実用的に形成された実施例では、上述したブリッジは、機械ベッドに対してある角度で斜めに配置され、スピンドルスリーブも機械ベッドに対して斜めの角度で配向されている。特に、大きな及び/又は重いワークでは、ワーク上のスピンドルスリーブの機械加工領域が、機械ベッドに対するスピンドルスリーブの傾斜位置によって拡大され、大きく重いワークは、特に効率的に機械加工され得るという利点がもたらされる。なぜなら、これらのワークは、旋回テーブルによって限定的にのみ旋回可能であり、スピンドルスリーブの傾斜位置によって、小さな旋回可能性の下でも、ワークが大きな面積に亘って機械加工され得るからである。
【0045】
工作機械の有利な実施形態において、機械スタンドは、水平に且つ第1の方向に対して垂直な第2の方向に移動可能である。この実施形態では、機械スタンドの上に配置されたスピンドルスリーブは、特に正確に移動可能である。
【0046】
実用的な構成において、機械スタンドは、第1及び第2の機械スタンド本体と、2つの機械スタンド本体の間に配置された連結要素とを含み、2つの機械スタンド本体及び連結要素は、第1の方向に対して垂直な第2の方向に移動可能である。
【0047】
好ましくは、スリーブハウジングは、連結要素上で第1の方向に移動可能であり、スリーブハウジングは、2つの機械スタンド本体の間の連結要素によって、第1及び第2の方向に対して垂直な第3の方向に移動可能である。機械スタンドのこの構成は、工作機械の特に堅固で剛な構造を示す。
【0048】
好ましくは、機械スタンドは、機械ベッドの上面の上に配置されている。
【0049】
機械スタンドが機械ベッドの側面に配置され、水平に且つ第2の方向に移動可能であると、特に実用的である。この場合、工作機械の設置面積が小さい特にコンパクトな構造が得られる。
【0050】
工作機械の特に簡単な構成では、機械スタンドは一体に形成されている。好ましくは、スリーブハウジングは、機械スタンドの側面に配置された鉛直キャリッジによって、
第1及び第2の方向に対して垂直な第3の方向に鉛直に移動可能であり、それにより、スピンドルスリーブの特に短い移動経路が達成され得る。更に、当該構成によって、工作機械のコンパクトで特に剛な構造が実現される。
【0051】
特に有利な実施例では、機械ベッドの上面の上で移動可能な機械スタンドと機械ベッドとの間には、水平キャリッジが配置されており、当該水平キャリッジは、機械スタンドと共に、水平に且つ第1の方向に対して垂直な第2の方向に移動可能である。機械スタンドは水平キャリッジの上に配置されているので、機械スタンドは第2の方向において特に正確に移動可能であり、それにより、スピンドルスリーブは、この方向において正確に移動され得る。同時に、工作機械は、水平キャリッジの上の機械スタンドの構造によって、堅固である。
【0052】
ここに記載された全ての機械コンセプトにおいて、機械スタンドの側面に又は2つの機械スタンド本体のうちの一方に、ホイールマガジンを設けることができ、当該ホイールマガジンは、マニピュレータを介して、工具を交換してワークスピンドルに挿入することを可能とする。有利な構成では、ホイールマガジンのホイール軸は、ワークスピンドルの軸方向の移動の第1の方向に対して垂直に設けられており、その結果、工具は、マニピュレータを介して簡単な方法で、同一の方向において、ホイールマガジンから取り外され、ワークスピンドルに挿入して交換され得る。
【0053】
本発明の更なる詳細及び利点は、図面を参照した本発明による工作機械の実施例の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本発明による工作機械の第1の実施例を、正面斜視図で示している。
【
図2】本発明による工作機械の実施例を、背面斜視図で示している。
【
図3】本発明による工作機械の実施例を、平面図で示している。
【
図4】本発明による工作機械の実施例を、側面斜視図で示している。
【
図5a】本発明による工作機械の、頭上位置にある旋回回転テーブルの実施例を、側面図で示している。
【
図5b】本発明による工作機械の、起立位置にある旋回回転テーブルの実施例を、側面図で示している。
【
図6】本発明による工作機械の第2の実施例を、正面斜視図で示している。
【
図7】本発明による工作機械の第3の実施例を、正面斜視図で示している。
【
図8】本発明による工作機械の第4の実施例を、正面斜視図で示している。
【
図9】本発明による工作機械の第5の実施例を、正面斜視図で示している。
【
図10】本発明による工作機械の第6の実施例を、正面斜視図で示している。
【
図11】本発明による工作機械の第7の実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1には、工作機械の第1の実施例が斜視正面図で示されている。工作機械は、その下面において3つの点支持体14a、14b、14cによって据え付けられた機械ベッド1を含む。3つの点支持体14a、14b、14cによって、工作機械は、スペース内で特に安定して位置付けられ得る。機械ベッド1は、四角形の基本構造を有し、その辺は、幅方向よりも長手方向において長い。
【0056】
機械ベッド1の上には、互いに平行に対向して起立する2つの機械スタンド本体2a、2bとしての機械スタンド2が、台形状に形成されている。機械ベッド1の上の2つの機械スタンド本体2a、2bの構造は、特に高い剛性と、同時に工作機械のコンパクトな構造をもたらす。
【0057】
図2には、工作機械が、背面からの斜視図で示されている。機械スタンド本体2a、2b上には、それぞれ側面のうちの一方に、鉛直ガなイドレール7a、7bが配置されている。ガイドレール7a、7bのそれぞれの内部を、当該ガイドレール7a、7bに嵌め込まれたそれぞれ2つの台車を有する鉛直キャリッジ3a、3bが案内される。鉛直キャリッジ3a、3bは、ボールねじ17a、17bによって移動され、ボールねじ17a、17bは、機械スタンド本体2a、2bの側面を鉛直に上から下へ延び、下部ブラケット27、中央ブラケット28及び上部ブラケット26によって支持される。下部ブラケット27、中央ブラケット28及び上部ブラケット26は、機械スタンド本体2a、2bのれぞれの高さに位置している。上部ブラケット26上には、ボールねじ17a、17bのそれぞれの駆動モータ10a、10bが取り付けられている。ボールねじ17a、17bによって、鉛直キャリッジ3a、3bは鉛直方向において正確に位置付けられ得る。したがって、鉛直キャリッジ3a、3bは、互いに平行に鉛直方向に移動される。ボールねじ17a、17bの代わりに、例えばリニアモータのような鉛直キャリッジ3a、3b用の他の駆動装置も可能である。
【0058】
2つの機械スタンド本体2a、2bの間には、ブリッジ4が配置されており、当該ブリッジは、それぞれの機械スタンド本体2a、2bの鉛直キャリッジ3a、3bによって鉛直方向に移動される。ブリッジ4はコンパクトなブリッジ構造であり、ブリッジ4上には、2つの機械スタンド本体2a、2bの間に、水平方向に配置され互いに平行に配向された2つのガイドレール6が配置されている。ガイドレール6の上には水平キャリッジ18が取り付けられており、当該水平キャリッジは、2つの機械スタンド本体2a、2bの間を、ブリッジ4内のフリースペース内に存在するボールねじ17cによって案内される(
図3参照)。水平キャリッジ18は、ガイドレール6上を案内される4つの台車上のに配置されており、それにより水平キャリッジ18が移動される。駆動モータ10dが、ブリッジ4の外面に取り付けられており、当該駆動モータは、水平方向における水平キャリッジ18の移動のための動力を提供する。
【0059】
互いに平行に配向された機械スタンド本体2a、2b及びこれらの間で鉛直方向に移動可能なブリッジ4の構造から、熱的に対称な構造が得られる。ブリッジ4の構造は、工作機械に、コンパクトな構造でありながら大きな剛性をもたらす。工作機械のコンパクトな構造によって、例えば工作機械の用のスチールカバーも実現することができる。
【0060】
水平キャリッジ18の上には、2つのガイドレール5が、水平な平面内において機械ベッド1の長手方向に取り付けられている。ガイドレール5の上では、スリーブハウジング8が、機械ベッド1の長手方向に案内される。スリーブハウジング8は、空洞を有する箱形に構成されており、スピンドルスリーブ9が少なくとも部分的にスリーブハウジング8によって包囲されると共に、空洞を少なくとも部分的に充填している。スピンドルスリーブ9は、スピンドル台24及びワークスピンドル25から成り、ワークスピンドル25は、スピンドル台24から外へ及びその中へ、移動され得る。スリーブハウジング8は、水平キャリッジ18内に取り付けられたボールねじ17d(
図1~5には示されていない)によって、機械ベッド1の長手方向においてスピンドルスリーブ軸方向に移動され、スリーブハウジング8の下面には、ガイドレール5の上に載せられた4つの台車が配置されており、それにより、スリーブハウジング8は、ガイドレール5の上で移動され得る。駆動モータ10cが、水平キャリッジ18の構造及びスリーブハウジング8の背面に連結されている。スリーブハウジング8の移動並びにワークスピンドル25の引き込み及び繰り出し移動により、ワークスピンドル25はスピンドルスリーブ軸の方向に二重に移動され、それにより、ワークスピンドル25のスピンドルスリーブ軸方向における到達距離が延長される。スリーブハウジング8は、スピンドルスリーブ9の剛性を増大させ、スピンドルスリーブ9のスピンドルスリーブ軸方向における可動性は妨害されず、ワークスピンドル25の正確な作動が達成される。ブリッジ4上の水平キャリッジ18の上のスリーブハウジング8の内部にスピンドルスリーブ9を位置決めすることにより、工作機械は、ワークの機械加工中に特に安定であり、同時に、ワークスピンドルの到達距離は、可動性によって延長される。鉛直方向の機械スタンド本体2a、2b上の、機械スタンド本体2a、2bの間における水平方向のブリッジ4の上のガイドレール6上の、及び、機械ベッド1の長手方向におけるスピンドルスリーブ軸方向の水平キャリッジ18の上のガイドレール5上の、ガイドレール7a、7bによって、ワークスピンドル25は、3つの空間方向の全てにおいて移動可能である。ガイドレール5、6、7は、それぞれ2つあり、それにより、確実で正確な案内が達成される。水平キャリッジ18及びスリーブハウジング8の移動用の駆動装置として、例えばリニアモータのような、ボールねじ17c、17d以外の駆動装置が可能である。
【0061】
機械ベッド1の上には、旋回回転テーブル12が配置されている。旋回回転テーブルは、2つの旋回アーム13を介して機械ベッド1の上に強固に取付けられている。旋回回転テーブルモータ21が、旋回回転テーブル12の移動を実行する。旋回回転テーブル12によって、2つの回転軸による5軸機械加工が可能となる。旋回回転テーブルは、スピンドルスリーブ軸方向及び鉛直方向における旋回によって移動される。第2の回転軸によって、旋回回転テーブル12はそれ自体の軸の周りを回転することができ、その結果、旋回回転テーブル12上でのワークの可能な限り大きな移動が可能となる。旋回回転テーブル12の旋回運動は、2つの座標軸における運動によって記述され得る円形軌道を描く。したがって、旋回回転テーブル12の旋回は、機械ベッド1の長手方向及び鉛直方向における更なる移動の自由度を達成する。
【0062】
機械ベッド1の内側の内部空間19には、ワークの機械加工の際に生じたチップを偏向させるためのチップ偏向装置20が配置されているチップ偏向装置20から落下するチップは、チップチャネル15に導かれる。チップチャネル15内に配置されたチップウォーム16(
図3参照)によって、チップは工作機械のチップチャネル15から外部へ案内される。チップウォームの別の図が
図3に示されており、
図3の説明においてより詳細に説明される。
【0063】
機械スタンド本体2a、2bのうちの1つの外側表面上には、ワークスピンドル25の軸に対して垂直にホイールマガジン11が取り付けられている。ホイールマガジン11は、マニピュレータによってワークスピンドル25に挿入され得る工具を案内する。ワークスピンドル25に挿入された工具は、再びマニピュレータによって、ワークスピンドル25から取り外され、ホイールマガジン11に挿入され得る。ホイールマガジン11は、ワークスピンドル25からの及びワークスピンドル25への工具の迅速な交換を可能とし、これにより工作機械の効率が向上する。
【0064】
図3には、工作機械が平面図で示されており、当該平面図には、旋回回転テーブル12に対するスピンドルスリーブ9の位置が示されている。異なるガイドレール5、6、7a、7bによって、スピンドルスリーブ9が3つの空間方向の全てにおいて移動可能であることにより、スピンドルスリーブ9は、機械ベッド1の全領域内で移動することができる。ワークスピンドル25はスピンドルスリーブ軸方向に繰り出し移動可能であるため、到達距離は旋回回転テーブル12まで延長される。ワークスピンドル25の延長された到達距離及び旋回回転テーブル12の旋回によって、ワークの特に正確な機械加工が可能となる。スピンドルスリーブ軸方向におけるワークスピンドル25の延長された到達距離によって、特に幅が広く長いワークを、それらの位置を交換又は修正することなく、機械加工することができる。
【0065】
図3では、機械ベッド1の中央にチップウォーム16が示されており、当該チップウォーム16は、機械ベッド1の内部空間19内において、チップチャネル15の長手方向に取り付けられている。ワークの機械加工の際に生じるチップは、チップチャネル15内のにチップウォーム16によって機械ベッド1から外部へ搬送され、その結果、機械加工の際の大きな擾乱要因であるチップは、効率的且つ迅速に機械加工スペースから除去される。
【0066】
図4は工作機械の側面図を示しており、同図では、旋回回転テーブル12に対するスピンドルスリーブ9の位置及び機械ベッド1の内部空間19の位置決めが示されている。図において、旋回回転テーブルは90°回転されており、その結果、スピンドルスリーブ9のワークスピンドル25は、旋回回転テーブル12に対して垂直となっている。スピンドルスリーブ9の二重の可動性によって生じるワークスピンドル25の延長された到達距離によって、ワークスピンドル25が旋回回転テーブル12まで移動され得ることが明らかとなる。その際、工作機械の構造はコンパクトに維持されると共に、特に大きな剛性を達成する。
【0067】
図5は、旋回の際の旋回回転テーブル12の移動を明示している。旋回回転テーブル12は、テーブルを直立位置12aに保持することも、頭上位置12bに回転することもできる。旋回アームによって、旋回回転テーブル12は、回転軸の周りで円形軌道上で移動される。旋回回転テーブルは、別の回転軸の周りで、それ自体の軸の周りを回転する。
図5aに示されているように、スピンドルスリーブ9k、9l、9m、9nは、異なる高さ及び異なる幅で移動可能であり、その際、旋回回転テーブル12は頭上位置12bに位置付けられている。
図5bには、スピンドルスリーブ9f、9g、9h、9iの位置が、通常位置12aにある旋回回転テーブル12の位置と比較して示されている。スピンドルスリーブ9の到達距離及び旋回回転テーブル12の可動性によって、多数の機械加工モードが可能であり、当該多数の機械加工モードでは、ワークがフレキシブルに機械加工され得る。旋回回転テーブル12の頭上位置12bによって、発生するチップを直接的にチップチャネル15内に落下させる可能性が存在する。
【0068】
図6には、工作機械の第2の実施例が示されており、当該工作機械は、第1の実施例と比較して、機械ベッド63の上面の上で水平方向においてスピンドルスリーブ軸に対して垂直に移動可能な一体の機械スタンド62を含み、当該工作機械においては、スリーブハウジング70が、機械スタンド62の側面において、鉛直キャリッジによって鉛直方向に移動可能である。
【0069】
工作機械は、機械ベッド63と、機械スタンド62と、第1の方向において軸方向に移動可能なスピンドルスリーブ69とを含む。機械ベッド63は、2つの領域に分割されており、第1の領域66aにおいて、機械ベッド63の上方には、旋回回転テーブル61が取り付けられている。旋回回転テーブル61の第1及び第2の旋回アームは、それぞれ、旋回回転テーブルが機械ベッド63の第1の領域66aの中央に配置されるように、機械ベッドの第1及び第2の側壁に取り付けられている。旋回回転テーブル61の下方の機械ベッド63内には、ワークの機械加工の際に生じるチップを収集するためのチップ収集スペース64が形成されている。
【0070】
機械ベッド63の第2の領域66bは、第1の領域66aの第3の側壁において、機械ベッド63の第1の領域66aに隣接している。機械ベッド63の第2の領域66bの上面の上には、第1の方向に対して垂直な第2の方向に、互いに平行に配向された2つのガイドレール65a、65bが延びている。2つのガイドレール65a、65bの上には、モータ及びボールねじ67によって移動可能な単一の機械スタンド62が配置されている。機械スタンド62は、第1の方向において軸方向に移動可能なスピンドルスリーブ69に対して垂直な第2の方向に移動する。ボールねじ67は、機械ベッド63の第2の領域66b内で、機械スタンド62の移動可能な方向に配置されている。
【0071】
機械スタンド62上には互いに平行に延びる2つの鉛直なガイドレールが配置されており、その結果、鉛直キャリッジは、機械スタンド62の側面において鉛直方向に移動可能に配置されている。鉛直キャリッジ上には、2つの別のガイドレール68a、68bが配置されており、これらによって、機械スタンドの側面において案内されるスリーブハウジング70は、第1の方向に移動可能に配置されている。スリーブハウジング70は、第1の方向において軸方向にスリーブハウジング70の内部に及びスリーブハウジング70から外部に移動可能なスピンドルスリーブ69を含む。
【0072】
図7には、工作機械の第3の実施例が示されている。工作機械は、第2の実施例とは異なり、水平キャリッジ59上に配置された一体の機械スタンド78を含み、その結果、機械スタンド78は、機械ベッド82の上面の上の水平キャリッジ59上でスピンドルスリーブ軸に対して垂直な方向に、及び、更に水平キャリッジ59上でスピンドルスリーブ軸方向に、移動可能である。
【0073】
工作機械は、機械ベッド82と、機械スタンド78と、第1の方向において軸方向に移動可能なスピンドルスリーブ74とを含む。機械ベッド82の上面の上には、第1の領域に、
図6に示されているように、旋回回転テーブル73が配置されている。機械ベッド82の第2の領域には、水平方向において第1の方向に対して垂直な第2の方向に、互いに平行に配置された2つのガイドレール80a、80bが配置されている。
【0074】
ガイドレール80a、80bの上には、水平キャリッジ59が取り付けられている。水平キャリッジ59は、モータ及びボールねじによって、ガイドレール80a、80b上で第2の方向に移動される。水平キャリッジ59の上面の上には、互いに平行に配置された2つのガイドレール79a、79bが、第1の方向に配向されて取り付けられている。2つのガイドレール79a、79bの上において、機械スタンド78は、第1の方向に移動可能である。水平キャリッジ59の内部にはボールねじが取り付けられており、それによって、機械スタンド78は、モータ駆動により移動可能である。
【0075】
機械スタンド78の側面には、鉛直方向において互いに平行に配置された2つのガイドレール75a、75bが取り付けられている。2つの鉛直に配置されたガイドレール75a、75b上では、スリーブハウジング74が、一体化された鉛直キャリッジと共に、鉛直方向に移動可能である。機械スタンド78の内部にはボールねじ77が備え付けられており、それによって、主軸台が、一体化された鉛直キャリッジと共に、機械スタンド78の上面の上に配置されたモータ76によって移動される。
【0076】
図8は、第1の実施例と比較して、2つの機械スタンド本体88a、88bと、2つの機械スタンド本体88a、88bの間に配置された連結要素84とを備える可動の機械スタンド88a、88bを含む工作機械の第4の実施例を示しており、2つの機械スタンド本体88a、88b及び連結要素84は、機械ベッド58の上面の上で、一緒に、水平に且つスピンドルスリーブ軸に対して垂直に移動可能である。
【0077】
工作機械は、機械ベッド58と、旋回回転テーブル83と、機械ベッド58の上面の上に配置されたガイドレール89a、89bとを含む。機械ベッドの上に配置された2つのガイドレール89a、89bの上において、機械スタンド88a、88bは、第2の方向に移動可能である。機械スタンド88a、88bは、鋳造部品から製造されており、当該鋳造部品は、機械スタンド88a、88bが第1の機械スタンド本体88a及び第2の機械スタンド本体88bを含み、それらの幅広の面が互いに平行に配向されると共に連結要素84によって連結されるような態様で、成形されている。第1の機械スタンド本体88aの内面及び第2の機械スタンド本体88bの内面には、鉛直方向において互いに配置された2つのガイドレールが取り付けられている。第1及び第2の機械スタンド本体88a、88bの間の連結要素84は、第1及び第2の機械スタンド本体88a、88bの内面の間で、ガイドレールによって鉛直方向に移動可能である。
【0078】
連結要素84の上面の上には、互いに平行に配置された2つのガイドレールが、第1の方向に配向されて配置されている。ガイドレールの上には、スリーブハウジング87が、第1の方向に移動可能に取り付けられている。スリーブハウジング87の内部には、スピンドルスリーブ85が配置されており、当該スピンドルスリーブは、スリーブハウジング87の可動性に加えて、第1の方向において軸方向に、スリーブハウジング87から外部に及びスリーブハウジング87の内部に、移動可能に構成されている。
【0079】
図9は、工作機械の第5の実施例を示しており、この場合、機械ベッドの上面の上で移動可能な第4の実施例の機械スタンド88a、88bと比較して、第5の実施例における機械スタンド92a、92bは、機械ベッド98の外面に配置されており、その結果、当該機械スタンドは、機械ベッド98の外面上を水平に且つスピンドルスリーブ軸に対して垂直な方向に移動可能である。
【0080】
工作機械は、機械ベッド98と、機械スタンド92a、92bと、第1の方向において軸方向に移動可能なスピンドルスリーブ99とを含む。機械ベッド98は、
図6~8に示されたものと同一の構成の旋回回転テーブル90を含む。機械ベッド98の外面には、互いに平行に配置された2つのガイドレールが取り付けられており、当該ガイドレールは、第1の方向に対して垂直な第2の方向に配向されている。機械スタンド92a、92bは、ガイドレール上の第1及び第2のガイドシュー91a、91bによって、機械ベッド98の外面上で第2の方向に移動可能であり、2つのガイドシュー91a、91bは、第1の機械スタンド本体92a及び第2の機械スタンド本体92bに取り付けられている。機械スタンド92a、92bは、鋳造部品から製造され、第1の機械スタンド本体92a及び第2の機械スタンド本体92bを含むように形成されている。第1及び第2の機械スタンド本体92a、92bは、第1及び第2の機械スタンド本体92a、92bの間の連結要素93を介して連結されている。第1及び第2の機械スタンド本体92a、92bの内面には、鉛直方向にそれぞれガイドレールが取り付けられており、これらのガイドレールによって、連結要素93は、第1及び第2の機械スタンド本体92a、92bの間で鉛直方向に移動可能である。
【0081】
連結要素93の上面の上には、互いに平行に第1の方向に配向された2つのガイドレールが取り付けられている。2つのガイドレール上では、スリーブハウジング95が第1の方向に移動可能である。スリーブハウジング95は、付加的にスリーブハウジング内で第1の方向において軸方向に引き込み及び繰り出し移動可能なスピンドルスリーブ99を含む。
【0082】
図10は、工作機械の第6の実施例を示しており、当該実施例では、第1の実施例に匹敵する機械スタンドのブリッジ状の構造が実現されている。その際、ブリッジ111は、第1の実施例とは異なり、2つの固定された機械スタンド本体101a、101bの間で機械ベッド110に対してある角度で配置されており、その結果、スピンドルスリーブ105も同様に機械ベッド110に対して斜めの角度に配向されている。
【0083】
工作機械は、機械ベッド110と、機械スタンド101a、101bと、第1の方向において軸方向に移動可能なスピンドルスリーブ108とを含む。機械ベッド110の上面の上には、旋回回転テーブル100が配置されている。
【0084】
機械ベッド110の外面には、2つの機械スタンド本体101a、101bが配置されている。2つの機械スタンド本体101a、101bは、機械スタンド本体101a、101bの背面上で第1及び第2のキャリッジ107が鉛直方向に対して斜めの角度でガイドレール109上を移動可能であるように配置されている。機械スタンド本体101a、101bの背面と鉛直方向との間の角度は、約45°である。しかしながら、機械スタンド本体101a、101bの背面と鉛直方向との間の角度は、特定の角度に限定されず、好ましくは10°~80°である。
【0085】
2つの機械スタンド本体101a、101bの間には、第1及び第2のキャリッジ109に取り付けられたブリッジ111が配置されており、当該ブリッジは、2つのキャリッジ109によって、2つの機械スタンド本体101a、101bの背面上で、第2の方向に斜めに移動可能である。
【0086】
ブリッジ111の上面の上には、第3の方向に配向された2つのガイドレール102a、102bが互いに平行に配置されており、それらの上で、キャリッジ108が第3の方向に移動可能である。ブリッジ111の上に配置されたボールネジ104及びモータによって、キャリッジ108の第3の方向への移動が実行される。
【0087】
キャリッジ108の上面の上には、互いに平行に配置された2つのガイドレールが取り付けられており、それらは第1の方向に配向されている。2つのガイドレール上では、スリーブハウジング106が第1の方向に移動可能である。スリーブハウジング106は、付加的に第1の方向において軸方向に引き込み及び繰り出し移動可能なスピンドルスリーブ105を含む。
【0088】
要約すると、スピンドルスリーブ105は、スリーブハウジング106への引き込み及びそこからの繰り出し移動が可能であることにより、及び、スリーブハウジング106が移動可能であることにより、第1の方向において二重に移動可能である。更に、スピンドルスリーブ105は、キャリッジ3a、3b、59によって第2及び第3の方向に移動可能であり、その際、第1、第2及び第3の方向は互いに垂直である。スピンドルスリーブ105を有するスリーブハウジング106は、ブリッジ111上に移動可能に配置されており、ブリッジ111は鉛直方向に対して斜めの角度であるので、スピンドルスリーブ105も、旋回回転テーブル100及び機械ベッド110に対して斜めの角度で配置されている。
【0089】
図11は、工作機械の第7の実施例を示しており、当該工作機械では、
図1~4におけるもののような機械スタンドのブリッジ状の構造が実現されている。その際、スリーブハウジングの上方において、ブリッジに対して平行に配置された連結要素が、2つの機械スタンド本体を連結している。スリーブハウジングは更に、ブリッジ上において、ブリッジと連結要素との間の水平キャリッジによって、スピンドルスリーブ軸に対して垂直な第2の方向に移動可能である。
【0090】
本発明は、
図1~11に示された実施形態に限定されず、専門的な知識に基づいて創作され得る別の実施例を創作するために、明細書に示された個々の事物から成る別の組み合わせを含む。