(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】シクロアルキン誘導体化糖類
(51)【国際特許分類】
A61K 47/55 20170101AFI20220308BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20220308BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220308BHJP
A61K 39/09 20060101ALI20220308BHJP
C08B 37/00 20060101ALN20220308BHJP
【FI】
A61K47/55
A61K47/64
A61P37/04
A61K39/09
C08B37/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020050828
(22)【出願日】2020-03-23
(62)【分割の表示】P 2018246761の分割
【原出願日】2014-01-13
【審査請求日】2020-03-27
(32)【優先日】2013-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】305060279
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アダーモ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ベルティ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】フー,チー-イン
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/177701(WO,A2)
【文献】国際公開第2012/047663(WO,A2)
【文献】特表2008-532930(JP,A)
【文献】国際公開第2011/079315(WO,A1)
【文献】BEAL, D. M. et al.,Organic & Biomolecular Chemistry,2012年,Vol. 10,pp. 548-554,Electronic Supplementary Material pp. S7~8、10
【文献】DROUMAGUET, B. L. et al.,Macromolecular Rapid Communications,2008年,Vol. 29,pp. 1073-1089
【文献】LALLANA, E. et al.,Journal of the American Chemical Society,2009年,Vol. 131,pp. 5748-5750
【文献】CODELLI, J. A. et al.,Journal of the American Chemical Society,2008年,Vol. 130,pp. 11486-11493
【文献】WAN, Q. et al.,The Journal of Organic Chemistry,2006年,Vol. 71,pp. 8244-8249
【文献】HOTHA, S. et al.,The Journal of Organic Chemistry,2006年,Vol. 71,pp. 364-367
【文献】SHARMA, A. K. et al.,Analytical Chemistry,2012年,Vol. 84,pp. 6104-6109
【文献】BORRMANN, A. et al.,ChemBioChem,2012年,Vol. 13,pp. 2094-2099
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
A61K
A61P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンジュゲートを含む免疫原性組成物を作製する方法であって、
コンジュゲートを、糖類誘導体をアジド含有部分にコンジュゲーションする方法
により形成する工程を含み、
(a) 糖類誘導体は、8員シクロアルキン基を糖類に結合させることにより製造され、ここで、8員シクロアルキン基はシクロオクチン基であり
、糖類は細菌莢膜糖類であり
、及び8員シクロアルキン基が、スペーサーを介して糖類に結合され、
(b) アジド含有部分は担体分子であり、及び担体分子はタンパク質であり、
前記コンジュゲーションする方法が、8員シクロアルキン基をアジドと反応させてトリアゾール連結を形成することを含む、方法。
【請求項2】
糖類誘導体が、アジド含有部分に6:1~1:1の
重量比(例えば、4:1~1:1の比、2.7:1~1:1の比、1.8:1~1:1の比、又は1:1の比)でコンジュゲーションされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
糖類が、GBS莢膜糖類である、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
糖類が、血清型Ia、Ib、II、III、又はV由来のGBS糖類である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
タンパク質が、GBSタンパク質である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
GBSタンパク質が、GBS67又はGBS80である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
8員シクロアルキン基が、スペーサーの末端にある、請求項
1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
スペーサーの他方の末端が、糖類に結合するための官能基を有する、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
結合が、式X
1-L-X
2(式中、X
1は、8員シクロアルキン基であり、X
2-Lは、スペーサーであり、ここで、X
2は、
N-オキシスクシンイミドであり、Lは、
式-L
3
-L
2
-L
1
-(式中、L
1
は、カルボニルであり、L
2
は、1から10個の炭素原子を有する直鎖アルキルであり、又はL
2
は、存在せず、L
3
は、-NHC(O)-、カルボニル、又は-O(CH
2
)-である)を有する)を有する化合物を使用して実行される、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
式X
1-L-X
2を有する化合物が、
【化1】
である、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
式X
1-L-X
2を有する化合物が、
【化2】
である、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
金属触媒の非存在下で実行される、請求項1~
11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
コンジュゲーションが、[3+2]環化付加反応によって行われる、請求項1~
12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
アジド含有部分が、スペーサーを含む、請求項1~
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
アジド含有部分が、以下の構造:
【化3】
を有する少なくとも1個の誘導体化チロシン残基を含有する担体タンパク質であり、アジドが、3H-1,2,4-トリアゾール-3,5(4H)-ジオンを介して結合している、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
アジドが、アジド含有部分における末端基として存在する、請求項1~
15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
アジド含有部分が、以下の構造:
【化4】
を有する少なくとも1個の誘導体化チロシン残基を含有する担体タンパク質である、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
糖類誘導体及びアジド含有部分のコンジュゲート
を含む免疫原性組成物であって、
コンジュゲートが、式R-S-T(式中、Rは、糖類誘導体の残基を含み、
糖類が莢膜多糖であり、糖類誘導体が8員シクロアルキン基を含み、8員シクロアルキン基はシクロオクチン基であり、Sは、8員シクロアルキル基と縮合したトリアゾール基であり、Tは、アジド含有部分の残基を含む)を有する、
免疫原性組成物。
【請求項19】
コンジュゲートが、糖類とSの間の糖類誘導体の残基中にスペーサーを含む、請求項
18に記載の
免疫原性組成物。
【請求項20】
スペーサーが、式-NH-C(O)-(CH
2)
n-NH-C(O)-(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である)を有する、請求項
19に記載の
免疫原性組成物。
【請求項21】
nが、5である、請求項
20に記載の
免疫原性組成物。
【請求項22】
コンジュゲートが、アジド含有部分とSの間のアジド含有部分の残基中にスペーサーを含む、請求項
18~
21のいずれか1項に記載の
免疫原性組成物。
【請求項23】
スペーサーが、式-[(CH
2)
2O]
n-(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である)を有する、請求項
22に記載の
免疫原性組成物。
【請求項24】
nが、3である、請求項
23に記載の
免疫原性組成物。
【請求項25】
コンジュゲートが、糖類とSの間の糖類誘導体の残基中にスペーサーを含み、アジド含有部分とSの間のアジド含有部分の残基中にスペーサーを含む、請求項
18~
24のいずれか1項に記載の
免疫原性組成物。
【請求項26】
R-S-Tが、
【化5】
である、請求項
18~
25のいずれか1項に記載の
免疫原性組成物。
【請求項27】
R-S-Tが、
【化6】
である、請求項
18~
25のいずれか1項に記載の
免疫原性組成物。
【請求項28】
R-S-Tが、
【化7】
である、請求項
18~
25のいずれか1項に記載の
免疫原性組成物。
【請求項29】
薬学的に許容される担体
をさらに含む、
請求項18~28のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項30】
哺乳動物において免疫応答を高めるための
、請求項18~29のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖類誘導体、糖類を含むコンジュゲート、並びに糖類誘導体及びコンジュゲートを生成するための方法の分野にある。該コンジュゲートは、免疫付与に有用である。
【背景技術】
【0002】
細菌の莢膜糖類は、有莢膜細菌に対するワクチンにおいて長年にわたり使用されている。しかしながら、糖類は、T細胞非依存性抗原であることから、免疫原性に乏しい。担体へのコンジュゲーションは、T細胞非依存性抗原をT細胞依存性抗原に変換し、それによって記憶応答を向上させ、防御免疫を発達させることができる。
【0003】
コンジュゲーションのための古典的な手順(還元的アミノ化、アミド結合形成等)は、担体タンパク質のアミンに対する多糖のランダムな反応に依存するが、リガンドのタンパク質への部位特異的組み込みを可能にする新規なコンジュゲーション方法が出現しつつある[1]。部位特異的コンジュゲーションは、ワクチン候補物質としてのより均質な生体分子をもたらすことに加えて、タンパク質の免疫原性の保存に役立ち得る。
【0004】
クリック化学アプローチは、小さいサブユニットをモジュール式に繋ぎ合わせることによって複合物質を形成するための方法として記載されている[2、3]。様々な形態のクリック化学反応が当技術分野で公知であり、例えば、「クリック反応」と多くの場合称される、Huisgen 1,3-双極子環化付加銅触媒反応[4]である。他の代替法としては、Diels-Alderなどの環化付加反応、求核置換反応(とりわけ、エポキシ及びアジリジン化合物のような小さい歪んだ環への)、尿素化合物のカルボニル化学形成、及びチオール-イン反応におけるアルキンなど、炭素-炭素二重結合を伴う反応が挙げられる。
【0005】
アジド-アルキンHuisgen環化付加反応は、還元剤の存在下で銅触媒を使用して、第1の分子に結合した末端アルキン基の反応を触媒する。アジド部分を含む第2の分子の存在下で、アジドは、活性化アルキンと反応して、1,4-二置換1,2,3-トリアゾールを形成する。銅触媒反応は室温で起こり、十分に特異的であるため、多くの場合、反応生成物の精製は必要でない[5]。アジド及びアルキン官能基は、水性媒体中で生体分子に対してほとんど不活性であり、これにより、複合溶液中で反応が起こることが可能になる。形成されたトリアゾールは、化学的に安定であり、酵素的切断を受けず、これにより、クリック化学生成物は生体系中で非常に安定になる。しかしながら、銅触媒は、生細胞に対して毒性であり、これは、生物学的応用の妨げとなる。
【0006】
銅を用いないクリック反応が提案されており[6]、これは、銅触媒の代わりに環歪み(シクロオクチン環における)を使用して、[3+2]アジド-アルキン環化付加反応を促進する。閉環構造は、アジド基と非常に反応性でありトリアゾールを形成する、アセチレンの実質的な結合角変形を誘導する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一目的は、糖類を誘導体化するためのさらなる及び改善された方法を提供することである。本発明の別の目的は、糖類を様々な部分、例えば、担体タンパク質にコンジュゲーションするためのさらなる及び改善された方法を提供することである。また、本発明の一目的は、より均一な構造を有するコンジュゲートを生じるコンジュゲーション方法を提供することである。また、本発明の一目的は、改善された免疫原性特性を有するコンジュゲートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、糖類を誘導体化するため及びそのような糖類誘導体を他の部分にコンジュゲーションするための新たなプロセスを開発した。本発明者らはまた、当技術分野で公知の糖類誘導体及びコンジュゲートに対して改善された特性を有する、新規な糖類誘導体及びコンジュゲートを生成した。特に、本発明のコンジュゲートは、改善された免疫学的特性を有し得る。
【0009】
一態様では、本発明は、糖類に8員シクロアルキン基を結合させることを含む、糖類を誘導体化する方法を提供する。本発明はまた、8員シクロアルキン基を含む糖類誘導体を提供する。8員シクロアルキン基を含む糖類誘導体は、糖類を誘導体化する方法によって得られる又は得ることが可能であり得る。
【0010】
別の態様では、本発明は、8員シクロアルキン基とアジドとを反応させて、トリアゾール連結を形成することを含む、糖類誘導体をアジド含有部分にコンジュゲーションする方法を提供する。本発明はまた、糖類誘導体及びアジド含有部分のコンジュゲートであって、式R-S-T(式中、Rは、糖類誘導体の残基を含み、Sは、8員シクロアルキル基と縮合したトリアゾール基であり、Tは、アジド含有部分の残基を含む)を有する、コンジュゲートを提供する。
【0011】
コンジュゲートは、糖類誘導体を本発明のアジド含有部分にコンジュゲーションする方法によって得られる又は得ることが可能であり得る。
【0012】
本発明はまた、本発明のコンジュゲートを、薬学的に許容される担体と組み合わせて含む、医薬組成物に関する。
【0013】
本発明はさらに、本発明のコンジュゲート又は医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において免疫応答を高めるための方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】3種のシクロオクチン含有化合物を示す図である。
【
図2】GBS血清型II糖類にシクロオクチン基を結合させるための一般的な反応スキームを示す図である。
【
図3】シクロオクチン基が結合したGBS血清型V糖類(I)の構造を示す図である。
【
図4】シクロオクチン基が結合したGBS血清型II糖類(II)の構造を示す図である。
【
図5】糖類誘導体(II)をチロシン残基を介してGBS80担体タンパク質にコンジュゲーションするための一般的な反応スキームを示す図である。
【
図6】コンジュゲートAについてのSDS-PAGEによる特徴付けの結果(1=MW、2=GBS80-Y-N
3、3=精製後のGBS80-Y-N
3/PSV)を示す図である。
【
図7】コンジュゲートBについてのSDS-PAGEによる特徴付けの結果(1=MW、2=GBS80-Y-N
3、3=精製後のGBS80-Y-N
3/PSII)を示す図である。
【
図8】コンジュゲートCについてのSDS-PAGEによる特徴付けの結果(1=MW、2=GBS67-Y-N
3、3=精製後のGBS67-Y-N
3/PSII、4=精製後のGBS67-Y-N
3/PSII)を示す図である。
【
図9】コンジュゲートDについてのSDS-PAGEによる特徴付けの結果(1=MW、2=GBS67-Y-N
3、3=精製後のGBS67-Y-N
3/PSII、4=精製後のGBS67-Y-N
3/PSII)を示す図である。
【
図10】シクロオクチン基が結合したMenY糖類(III)の構造を示す図である。
【
図11】コンジュゲートEについてのSDS-PAGEによる特徴付けの結果(1=MW、2=CRM
197-Y-N
3、3=CRM
197-Y-N
3/MenY)を示す図である。
【
図12】GBS血清型II糖類抗原に対するIgG力価を決定するためのELISAイムノアッセイの結果(1.0μgの炭水化物用量の場合)を示す図である。
【
図13】GBS血清型II糖類抗原に対するIgG力価を決定するためのELISAイムノアッセイの結果(0.5μgの炭水化物用量の場合)を示す図である。
【
図14】GBS血清型II糖類抗原に対するIgG力価を決定するためのELISAイムノアッセイの結果(1.0μgのタンパク質用量の場合)を示す図である。
【
図15】GBS株を使用したオプソニン化貪食作用アッセイの結果を示す図である。
【
図16】GBS血清型II糖類に対する様々な抗原の免疫応答を示す図である。
【
図17】GBS80に対する様々な抗原の免疫応答を示す図である。
【
図18】MenY二量体のCRM197へのチロシン選択的コンジュゲーションによって調製された構築物の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、糖類を誘導体化する方法及び糖類誘導体をアジド含有部分にコンジュゲーションする方法に関わる。本発明はまた、新規な糖類誘導体及びコンジュゲートに関わる。これらの方法、糖類誘導体、及びコンジュゲートの特徴を、下記に詳細に記載する。
【0016】
糖類を誘導体化する方法
本発明は、新規な糖類誘導体及びそのような糖類誘導体を生成する方法に基づく。
【0017】
糖類
本発明の方法において使用される糖類は、任意の糖類、特に、病原生物由来の糖類であり得る。本発明の方法において使用するための例示的な糖類は、下記に記載されている。特に、糖類は、細菌糖類、例えば、細菌莢膜糖類であり得る。
【0018】
糖類は、オリゴ糖の形態で使用され得る。これらは、好都合には、精製多糖の断片化(例えば、加水分解による)によって形成され、通常、それに続いて、所望のサイズの断片を精製する。糖類は、天然源から精製され得る。精製の代替法として、糖類を、全合成又は部分合成によって得ることもできる。
【0019】
S.アガラクチエ(S.agalactiae)莢膜糖類
好ましい細菌莢膜糖類としては、ストレプトコッカス・アガラクチエ(Streptococcus agalactiae)(「GBS」)由来のものが挙げられる。この莢膜糖類は、GBSのペプチドグリカン主鎖に共有結合により連結しており、ペプチドグリカン主鎖に結合している別の糖類であるB群抗原とは明白に異なる。
【0020】
GBSは、新生児における生後3ヶ月の重度の細菌感染症及び母親における敗血症罹患率の主要原因である[7]。GBSはまた、非妊娠成人における、特に、基礎となる医学的状態を有する高齢者及び成人における罹患率及び死亡率の重要な原因である。全てのGBS株は、その表面に莢膜多糖(CPS)を保有し、これは、主要な病原性因子である。10種の異なるCPS血清型が特徴付けされており(Ia、Ib、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、及びIX)、そのうち5種(Ia、Ib、II、III、V)が、北米及び欧州における新生児疾患の大部分の原因である。血清型Ia、Ib、II、III、IV、V、VI、VII、VIIIに対する一価のコンジュゲートワクチンが調製されており、動物モデルにおいて有効性が実証されている3。近年、GBSの線毛タンパク質は、細菌の付着及び侵入における重要な構造であることに加えて、他のグラム陽性細菌のものよりも保存されているようであることが実証されている[8]。
【0021】
GBS莢膜糖類は、化学的には関連しているが、抗原的には非常に異なる。全てのGBS莢膜糖類は、以下の三糖コアを共有する:
β-D-GlcpNAc(1→3)β-D-Galp(1→4)β-D-Glcp
様々なGBS血清型は、このコアが修飾される様式が異なる。
【0022】
GBS関連疾患は、主に血清型Ia、Ib、II、III、IV、V、VI、VII、及びVIIIに起因し、85%超は、5つの血清型:Ia、Ib、III、及びVによって引き起こされる。本発明は、任意の血清型、特に、血清型Ia、Ib、II、III、及びV由来の糖類を使用し得る。
【0023】
本発明の方法において使用される糖類は、その天然型であってもよく、又は修飾されていてもよい。例えば、糖類は、天然の莢膜糖類よりも短くてもよく、又は化学修飾されていてもよい。特に、本発明において使用される血清型V莢膜糖類は、参考文献9及び10に記載されているように修飾され得る。例えば、実質的に脱シアル化された血清型V莢膜糖類である。脱シアル化されたGBS血清型V莢膜糖類は、参考文献9に記載されているように、精製されたGBS血清型V莢膜糖類を弱酸性条件下で(例えば、0.1M硫酸、80℃で60分間)処理することによって、又はノイラミニダーゼによる処理によって調製され得る。本発明に従って使用される糖類は、天然に見出される実質的に完全長の莢膜多糖であってもよく、又は天然長よりも短くてもよい。完全長の多糖は、例えば、弱酸中での加水分解、加熱、サイジングクロマトグラフィー等によって、解重合されて、本発明で使用するためのより短い断片をもたらし得る。特に、本発明において使用される血清型II及び/又はIIIの莢膜糖類は、参考文献11及び12に記載されているように解重合され得る。
【0024】
糖類は、天然に見出される莢膜糖類に対して化学修飾されていてもよい。例えば、糖類は、脱O-アセチル化(部分的又は完全に)、脱N-アセチル化(部分的又は完全に)、N-プロピオン化(N-propionated)(部分的又は完全に)等されていてもよい。脱アセチル化は、コンジュゲーションの前、間、又は後に行われ得るが、好ましくは、コンジュゲーションの前に行われる。特定の糖類次第で、脱アセチル化は、免疫原性に影響を及ぼす場合もあり、又は影響を及ぼさない場合もある。様々な血清型のGBS糖類におけるO-アセチル化の関連性は、参考文献13において論じられており、いくつかの実施形態では、7位、8位、及び/又は9位におけるシアル酸残基のO-アセチル化は、コンジュゲーションの前、間、又は後に、例えば、保護/脱保護、再アセチル化等によって保持される。しかしながら、典型的には、本発明において使用されるGBS糖類は、7位、8位、及び/又は9位におけるシアル酸残基のO-アセチル化を実質的に有さない。特に、下記の塩基抽出によってGBS糖類が精製されている場合、O-アセチル化は、典型的には失われている。脱アセチル化等の効果は、慣用的アッセイによって評価することができる。
【0025】
莢膜糖類は、14に記載されているように、公知の技法によって精製することができる。典型的なプロセスは、塩基抽出、遠心分離、濾過、RNアーゼ/DNアーゼ処理、プロテアーゼ処理、濃縮、サイズ排除クロマトグラフィー、限外濾過、陰イオン交換クロマトグラフィー、及びさらなる限外濾過を伴う。細菌細胞壁を切断して細胞壁構成成分を遊離させる、酵素ムタノリシンによるGBS細胞の処理もまた有用である。
【0026】
代替法として、参考文献15に記載された精製プロセスを使用することができる。これは、塩基抽出、エタノール/CaCl2処理、CTAB沈殿、及び再可溶化を伴う。さらなる代替プロセスは、参考文献16に記載されている。
【0027】
髄膜炎菌(N.meningitidis)莢膜糖類
糖類は、細菌莢膜糖類であり得る。例示的な細菌莢膜糖類としては、髄膜炎菌由来のものが挙げられる。生物の莢膜多糖に基づき、髄膜炎菌の様々な血清群が同定されており、これには、A、B、C、H、I、K、L、29E、W135、X、Y、及びZが含まれる。本発明における糖類は、これらの血清群のいずれに由来するものであってもよい。典型的には、糖類は、以下の髄膜炎菌血清群:A、C、W135、及びYのうちの1つに由来する。
【0028】
莢膜糖類は、一般的には、オリゴ糖の形態で使用される。これらは、好都合には、精製莢膜多糖の断片化(例えば、加水分解による)によって形成され、通常、それに続いて、所望のサイズの断片を精製する。
【0029】
多糖の断片化は、典型的には、オリゴ糖における最終平均重合度(DP)が、30未満(例えば、血清群Aについては、10から20の間、好ましくはおよそ10、血清群W135及びYについては、15から25の間、好ましくはおよそ15~20、血清群Cについては、12から22の間等)となるように実施される。DPは、好都合には、イオン交換クロマトグラフィー又は比色アッセイによって測定することができる[17]。
【0030】
加水分解が実施される場合、加水分解物は、一般的には、長さの短いオリゴ糖を除去するためにサイズ分けされる[18]。これは、様々な手法、例えば、限外濾過と、それに続くイオン交換クロマトグラフィーで達成することができる。血清群Aについては、約6以下の重合度を有するオリゴ糖が好ましくは除去され、血清群W135及びYについては、およそ4未満のものが好ましくは除去される。
【0031】
糖類の化学的加水分解は、一般的には、当技術分野で標準的である条件下での酸又は塩基のいずれかによる処理を伴う。莢膜糖類からその構成単糖への解重合のための条件は、当技術分野で公知である。1つの解重合方法は、過酸化水素の使用を伴う[19]。過酸化水素を糖類に添加し(例えば、最終H2O2濃度が1%となるように)、次いで、所望の鎖長の減少が達成されるまで、混合物をインキュベートする(例えば、およそ55℃で)。経時的な減少は、混合物からサンプルを取り出し、次いで、サンプル中の糖類の(平均)分子サイズを測定することによって追跡することができる。次いで、所望の鎖長に達したら、急速冷却によって解重合を停止させることができる。
【0032】
血清群C、W135及びY
髄膜炎菌から莢膜多糖を調製するための技法は、長年にわたり公知であり、典型的には、多糖の沈殿工程(例えば、陽イオン性界面活性化剤を使用した)、エタノール分画工程、低温フェノール抽出工程(タンパク質を除去するための)、及び超遠心分離工程(LPSを除去するための)を含むプロセスを伴う[例えば、参考文献20を参照されたい]。
【0033】
より好ましいプロセス[21]は、多糖の沈殿と、それに続いて低級アルコールを使用して沈殿した多糖を可溶化することを伴う。沈殿は、陽イオン性界面活性化剤、例えば、テトラブチルアンモニウム及びセチルトリメチルアンモニウム塩(例えば、臭化物塩)、又は臭化ヘキサジメトリン及びミリスチルトリメチルアンモニウム塩を使用して達成することができる。臭化セチルトリメチルアンモニウム(「CTAB」)が、特に好ましい[22]。沈殿した材料の可溶化は、低級アルコール、例えば、メタノール、プロパン-1-オール、プロパン-2-オール、ブタン-1-オール、ブタン-2-オール、2-メチル-プロパン-1-オール、2-メチル-プロパン-2-オール、ジオール等を使用して達成できるが、CTAB多糖複合体を可溶化するには、エタノールが特に好適である。エタノールは、最終エタノール濃度が(エタノール及び水の総含量に対して)50%から95%の間となるように、沈殿した多糖に添加され得る。
【0034】
再可溶化の後、多糖を、夾雑物を除去するためにさらに処理してもよい。少しの夾雑でさえも許容されない状況において(例えば、ヒトワクチン生成の場合)、これは特に重要である。これは、典型的には、濾過、例えば、深層濾過、活性炭を通した濾過が使用され得る、サイズ濾過、及び/又は限外濾過のうちの1つ以上の工程を伴う。
【0035】
濾過して夾雑物を除去したら、多糖を、さらなる処理及び/又は加工のために沈殿させてもよい。これは、好都合には、陽イオンを交換することによって(例えば、カルシウム又はナトリウム塩の添加によって)達成することができる。
【0036】
髄膜炎菌糖類を精製するためのさらなる及び代替の方法は、参考文献19及び23に開示されている。
【0037】
精製の代替法として、本発明の莢膜糖類を、全合成又は部分合成によって得ることもでき、例えば、Hibの合成は、参考文献24に開示されており、MenAの合成は、参考文献25に開示されている。
【0038】
糖類は、化学修飾されていてもよく、例えば、O-アセチル化又は脱O-アセチル化されていてもよい。任意のそのような脱O-アセチル化又は過剰アセチル化は、糖類中の特定の位置に存在し得る。例えば、ほとんどの血清群C株は、シアル酸残基のC-7位及び/又はC-8位にO-アセチル基を有するが、臨床分離株の約15%は、これらのO-アセチル基を欠いている[26、27]。アセチル化は、防御効力に影響を及ぼさないようである(例えば、Menjugate(商標)製品とは異なり、NeisVac-C(商標)製品は、脱O-アセチル化された糖類を使用しているが、いずれのワクチンも有効である)。血清群W135糖類は、シアル酸-ガラクトース二糖単位のポリマーである。血清群Y糖類は、二糖繰り返し単位がガラクトースではなくグルコースを含むことを除いて、血清群W135糖類と同様である。血清群C糖類と同様に、MenW135及びMenY糖類は、可変性のO-アセチル化を有するが、シアル酸7位及び9位においてである[28]。
【0039】
血清群A
本方法は、血清群A莢膜糖類抗原を含み得る。この糖類は、血清群C、W135、及びYの場合と同じようにして精製及びコンジュゲーションすることができる(上記参照)が、構造的には異なる-血清群C、W135、及びYの莢膜は、シアル酸(N-アセチル-ノイラミン酸、NeuAc)に基づくのに対し、血清群Aの莢膜は、N-アセチル-マンノサミンに基づき、これは、シアル酸の天然の前駆体である。血清群A糖類は、特に加水分解を受けやすく、水性媒体中でのその不安定性は、(a)血清群Aに対する液体ワクチンの免疫原性が経時的に低下すること、及び(b)糖類加水分解生成物のワクチン中への放出に起因して、品質管理がより困難であることを意味する。
【0040】
天然のMenA莢膜糖類は、(α1→6)-連結N-アセチル-D-マンノサミン-1-ホスフェートのホモポリマーであり、C3及びC4において部分的にO-アセチル化されている。主要なグリコシド結合は、D-マンノサミンのC1のヘミアセタール基及びC6のアルコール基を伴う1-6ホスホジエステル結合である。平均鎖長は、93個の単量体である。これは、以下の式を有する:
【0041】
【0042】
天然の血清群A糖類の免疫原性活性を保持するが、水中ではるかに安定である、修飾糖類抗原が調製されている。単糖単位の炭素3及び4に結合したヒドロキシル基が、ブロッキング基で置き換えられる[参考文献29及び30]。
【0043】
ヒドロキシルの代わりにブロッキング基を有する単糖単位の数は変動し得る。例えば、全ての又は実質的に全ての単糖単位が、ブロッキング基を有していてもよい。あるいは、単糖単位の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%が、ブロッキング基を有していてもよい。少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個の単糖単位が、ブロッキング基を有していてもよい。
【0044】
同様に、単糖単位上のブロッキング基の数は変動し得る。例えば、任意の特定の単糖単位上のブロッキング基の数は、1個又は2個であり得る。
【0045】
ヒドロキシル基を置き換えるためのブロッキング基は、ヒドロキシル基の誘導化反応によって、即ち、ヒドロキシル基の水素原子を別の基で置き換えることによって直接入手可能であり得る。ブロッキング基として作用するヒドロキシル基の好適な誘導体は、例えば、カルバメート、スルホネート、カーボネート、エステル、エーテル(例えば、シリルエーテル又はアルキルエーテル)、及びアセタールである。そのようなブロッキング基のいくつかの具体例は、アリル、Aloc、ベンジル、BOM、t-ブチル、トリチル、TBS、TBDPS、TES、TMS、TIPS、PMB、MEM、MOM、MTM、THP等である。直接入手可能でなく、ヒドロキシル基を完全に置き換える他のブロッキング基としては、C1~12アルキル、C3~12アルキル、C5~12アリール、C5~12アリール-C1~6アルキル、NR1R2(R1及びR2は、次の段落に定義されている)、H、F、Cl、Br、CO2H、CO2(C1~6アルキル)、CN、CF3、CCl3等が挙げられる。
【0046】
典型的なブロッキング基は、式:-O-X-Y又は-OR3(式中、Xは、C(O)、S(O)、又はSO2であり、Yは、C1~12アルキル、C1~12アルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~12アリール、又はC5~12アリール-C1~6アルキルであり、これらはそれぞれ、F、Cl、Br、CO2H、CO2(C1~6アルキル)、CN、CF3、又はCCl3から独立して選択される1個、2個、又は3個の基で場合により置換されていてもよく、又はYは、NR1R2であり、R1及びR2は、H、C1~12アルキル、C3~12シクロアルキル、C5~12アリール、C5~12アリール-C1~6アルキルから独立して選択され、又はR1及びR2は、一緒になってC3~12飽和複素環式基を形成してもよく、R3は、C1~12アルキル又はC3~12シクロアルキルであり、これらはそれぞれ、F、Cl、Br、CO2(C1~6アルキル)、CN、CF3、又はCCl3から独立して選択される1個、2個、又は3個の基で場合により置換されていてもよく、又はR3は、C5~12アリール又はC5~12アリール-C1~6アルキルであり、これらはそれぞれ、F、Cl、Br、CO2H、CO2(C1~6アルキル)、CN、CF3、又はCCl3から選択される1個、2個、3個、4個、又は5個の基で場合により置換されていてもよい)のものである。R3が、C1~12アルキル又はC3~12シクロアルキルである場合、これは、典型的には、上記に定義された1個、2個、又は3個の基で置換されている。R1及びR2が、一緒になってC3~12飽和複素環式基を形成する場合、R1及びR2が、窒素原子とともに、3から12個の間の任意の数の炭素原子(例えば、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12)を含有する飽和複素環式基を形成することが意味される。複素環式基は、その窒素原子以外に1個又は2個のヘテロ原子(例えば、N、O、又はS)を含有し得る。C3~12飽和複素環式基の例は、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、アゼチジニル、及びアジリジニルである。
【0047】
ブロッキング基-O-X-Y及び-OR3は、標準的な誘導体化手順、例えば、ヒドロキシル基とアシルハライド、アルキルハライド、スルホニルハライド等との反応によって、-OH基から調製することができる。ゆえに、-O-X-Y中の酸素原子は、通常、ヒドロキシル基の酸素原子であり、-O-X-Y中の-X-Y基は、通常、ヒドロキシル基の水素原子を置き換える。
【0048】
あるいは、ブロッキング基は、置換反応、例えば、光延(Mitsonobu)型置換によって入手可能であり得る。ヒドロキシル基からブロッキング基を調製するこれら及び他の方法は周知である。
【0049】
本発明において使用するための特定のブロッキング基は、-OC(O)CF3[31]及びカルバメート基OC(O)NR1R2(式中、R1及びR2は、C1~6アルキルから独立して選択される)である。典型的には、R1及びR2は、ともにメチルである、即ち、ブロッキング基は、-OC(O)NMe2である。カルバメートブロッキング基は、グリコシド結合に対する安定化効果を有し、穏やかな条件下で調製され得る。
【0050】
特に好ましいブロッキング基は、-OC(O)CH3である[30]。このブロッキング基を有する修飾髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群A糖類の4位及び/又は3位の割合は変動し得る。例えば、ブロッキング基を有する4位の割合は、約0%、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は約100%であってもよく、少なくとも80%及び約100%が好ましい。同様に、ブロッキング基を有する3位の割合は、約0%、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は約100%であってもよく、少なくとも80%及び約100%が好ましい。典型的には、ブロッキング基を有する4位及び3位の割合は、各位置においてほぼ同じである。換言すると、ブロッキング基を有する4位とブロッキング基を有する3位の比は、約1:1である。しかしながら、いくつかの実施形態では、ブロッキング基を有する4位の割合は、ブロッキング基を有する3位の割合に対して変動し得る。例えば、ブロッキング基を有する4位とブロッキング基を有する3位の比は、1:20、1:19、1:18、1:17、1:16、1:15、1:14、1:13、1:12、1:11、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、又は1:2であり得る。同様に、ブロッキング基を有する3位とブロッキング基を有する4位の比は、1:20、1:19、1:18、1:17、1:16、1:15、1:14、1:13、1:12、1:11、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、又は1:2であり得る。
【0051】
典型的な修飾MenA糖類は、n個の単糖単位を含有し、その単糖単位の少なくともh%は、3位及び4位の両方に-OH基を有さない。hの値は、24以上(例えば、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、98、99、又は100)であり、通常、50以上である。存在しない-OH基は、上記に定義されたブロッキング基である。
【0052】
他の典型的な修飾MenA糖類は、単糖単位を含み、その単糖単位のうちの少なくともs個は、3位に-OHを有さず、且つ4位に-OHを有さない。sの値は、少なくとも1(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90)である。存在しない-OH基は、上記に定義されたブロッキング基である。
【0053】
本発明で使用するための好適な修飾MenA糖類は、式:
【0054】
【化2】
(式中、
nは、1から100の整数(特に、5から25、通常15~25の整数)であり、
Tは、式(A)又は(B):
【0055】
【化3】
のものであり、
各Z基は、OH又は上記に定義されたブロッキング基から独立して選択され、及び
各Q基は、OH又は上記に定義されたブロッキング基から独立して選択され、
Yは、OH又は上記に定義されたブロッキング基から選択され、
Eは、H又は窒素保護基である)を有し、
ここで、Q基の約7%超(例えば、8%、9%、10%、又はそれ以上)は、ブロッキング基である。いくつかの実施形態では、式(A)中の炭素1に結合したヒドロキシル基は、上記に定義されたブロッキング基で置き換えられる。いくつかの実施形態では、式(B)中のEは、シクロオクチン基に対する結合点である。
【0056】
n+2個のZ基はそれぞれ、互いに同じであっても異なっていてもよい。同様に、n+2個のQ基はそれぞれ、互いに同じであっても異なっていてもよい。全てのZ基は、OHであってもよい。あるいは、Z基の少なくとも10%、20、30%、40%、50%、又は60%は、OAcであってもよい。典型的には、Z基の約70%は、OAcであり、Z基の残りは、OH又は上記に定義されたブロッキング基である。Q基の少なくとも約7%は、ブロッキング基である。典型的には、Q基の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はさらには100%は、ブロッキング基である。
【0057】
グルカン
糖類は、グルカンであり得る。グルカンは、とりわけ真菌細胞壁において見出されるグルコース含有多糖である。α-グルカンは、グルコースサブユニット間に1つ以上のα-連結を含むのに対し、β-グルカンは、グルコースサブユニット間に1つ以上のβ-連結を含む。本発明に従って使用されるグルカンは、β連結を含み、β連結のみを含有し得る(即ち、α連結を含まない)。
【0058】
グルカンは、1つ以上のβ-1,3-連結及び/又は1つ以上のβ-1,6-連結を含み得る。グルカンはまた、1つ以上のβ-1,2-連結及び/又はβ-1,4-連結を含み得るが、普通は、そのβ連結は、β-1,3-連結及び/又はβ-1,6-連結のみである。
【0059】
グルカンは、分岐状又は直鎖状であり得る。
【0060】
完全長の天然β-グルカンは不溶性であり、メガダルトン範囲の分子量を有する。本発明のコンジュゲートにおいては、可溶性グルカンを使用することが好ましい。可溶化は、長い不溶性グルカンを断片化することによって達成され得る。これは、加水分解によって、又はより好都合には、グルカナーゼによる(例えば、β-1,3-グルカナーゼ又はβ-1,6-グルカナーゼによる)消化によって達成され得る。代替法として、単糖構成単位を繋ぐことによって、短いグルカンを合成的に調製することもできる。
【0061】
低分子量グルカン、特に、100kDa未満(例えば、80、70、60、50、40、30、25、20、又は15kDa未満)の分子量を有するものが好ましい。また、例えば、60個以下(例えば、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4個)のグルコース単糖単位を含有する、オリゴ糖を使用することも可能である。この範囲内で、10から50個の間又は20から40個の間の単糖単位を有するオリゴ糖が好ましい。
【0062】
グルカンは、真菌グルカンであり得る。「真菌グルカン」は、一般的には真菌から得られるが、特定のグルカン構造が真菌及び非真菌(例えば、細菌、下等植物、又は藻類)の両方に見出される場合、非真菌生物を代替供給源として使用してもよい。したがって、グルカンは、カンジダ属(Candida)、例えば、C.アルビカンス(C.albicans)の細胞壁、又はコクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、トリコフィトン・ベルコースム(Trichophyton verrucosum)、ブラストミセス・デルマチジス(Blastomyces dermatidis)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、南アメリカ分芽菌(Paracoccidioides brasiliensis)、若しくはピシウム・インシジオスム(Pythiumn insidiosum)に由来し得る。
【0063】
様々な真菌β-グルカン源が存在する。例えば、純粋なβ-グルカンは市販されており、例えば、プスツラン(Calbiochem)は、ウンビリカリア・パプロサ(Umbilicaria papullosa)から精製されたβ-1,6-グルカンである。β-グルカンは、真菌細胞壁から様々な手法で精製することができる。例えば、参考文献32は、細胞壁マンナンを含まない、カンジダ属由来の水溶性β-グルカン抽出物を調製するための2工程の手順を開示しており、これは、NaClO酸化及びDMSO抽出を伴う。得られる生成物(「カンジダ可溶性β-D-グルカン」又は「CSBG」)は、主として、直鎖状β-1,6-グルカン部分を有する直鎖状β-1,3-グルカンから構成される。同様に、参考文献33は、Cアルビカンス由来のGG-zymの生成を開示している。C.アルビカンス由来のそのようなグルカンとしては、(a)β-1,3-グルカン側鎖を有し、平均重合度が約30であるβ-1,6-グルカン、及び(b)β-1,6-グルカン側鎖を有し、平均重合度が約4であるβ-1,3-グルカンが挙げられる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態では、グルカンは、例えば、ラミナリンに見られるように、いくらかのβ-1,6分岐を有するβ-1,3グルカンである。ラミナリンは、褐藻類及び海藻において見出される。ラミナリンのβ(1-3):β(1-6)比は、種々の供給源間で変動し、例えば、アラメ(Eisenia bicyclis)ラミナリンでは3:2程度と低いが、ラミナリア・ディギチタータ(Laminaria digititata)ラミナリンでは7:1程度と高い[34]。したがって、本発明で使用されるグルカンは、1.5:1から7.5:1の間、例えば、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、又は7:1のβ(1-3):β(1-6)比を有し得る。場合により、グルカンは、末端マンニトールサブユニット、例えば、1,1-α-連結マンニトール残基を有し得る[35]。グルカンはまた、マンノースサブユニットを含み得る。
【0065】
他の実施形態では、グルカンは、カードランに見られるように、専ら又は主としてβ-1,3連結を有する。これらのグルカンは、他の連結を含むグルカン、特に、β-1,3連結及びより大きい割合のβ-1,6連結を含むグルカンよりも、良好な防御を誘発し得る。したがって、グルカンは、β-1,3-連結グルコース残基のみからできていてもよい(例えば、専ら1,3連結を有する直鎖状β-D-グルコピラノース)。しかし、場合により、グルカンは、β-1,3-連結グルコース残基ではない単糖残基を含んでいてもよく、例えば、β-1,6-連結グルコース残基を含んでいてもよい。β-1,3-連結グルコース残基とこれらの他の残基の比は、少なくとも8:1(例えば、≧9:1、≧10:1、≧11:1、≧12:1、≧13:1、≧14:1、≧15:1、≧16:1、≧17:1、≧18:1、≧19:1、≧20:1、≧25:1、≧30:1、≧35:1、≧40:1、≧45:1、≧50:1、≧75:1、≧100:1等)であるべきであり、及び/又はβ-1,3連結のみによって他の残基に連結された少なくとも5個(例えば、≧5、≧6、≧7、≧8、≧9、≧10、≧11、≧12、≧13、≧14、≧15、≧16、≧17、≧18、≧19、≧20、≧30、≧40、≧50、≧60等)の隣接する非末端残基の配列が1つ以上(例えば、≧1、≧2、≧3、≧4、≧5、≧6、≧7、≧8、≧9、≧10、≧11、≧12等)存在する。「非末端」とは、その残基が、グルカンの遊離端に存在しないことを意味する。いくつかの実施形態では、隣接する非末端残基は、シクロオクチン基が結合した残基を全く含まない場合もある。β-1,3連結のみによって他の残基に連結された5個の隣接する非末端残基の存在は、例えばC.アルビカンスに対する、防御抗体応答をもたらし得る。
【0066】
さらなる実施形態では、コンジュゲートは、2種の異なるグルカン、例えば、1.5:1から7.5:1の間のβ(1-3):β(1-6)比を有する第1のグルカン、及び専ら又は主としてβ-1,3連結を有する第2のグルカンを含み得る。例えば、コンジュゲートは、ラミナリングルカン及びカードラングルカンの両方を含み得る。
【0067】
β-グルカンが、β-1,3連結及びβ-1,6連結の両方を所望の比及び/又は配列で含む場合、このグルカンは、天然に見出すこともでき(例えば、ラミナリン)、又は人工的に作製することもできる。例えば、これは、全部又は部分的に、化学合成によって作製され得る。β-1,3/β-1,6グルカンの化学合成のための方法は、例えば、参考文献36~46から公知である。β-1,3連結及びβ-1,6連結の両方を所望の比で含むβ-グルカンはまた、利用可能なグルカンから出発し、それをβ-1,6-グルカナーゼ(グルカンエンド-1,6-β-グルコシダーゼ、1,6-β-D-グルカングルカノヒドロラーゼ等としても知られている、EC3.2.1.75)又はβ-1,3-グルカナーゼ(例えば、エキソ-1,3-グルカナーゼ(EC3.2.1.58)若しくはエンド-1,3-グルカナーゼ(EC3.2.1.39)で所望の比及び/又は配列に達するまで処理して作製され得る。
【0068】
β-1,3-連結グルコースのみを含有するグルカンを所望する場合、β-1,6-グルカナーゼにより、純粋なβ-1,3グルカンが最終的に得られることから、β-1,6-グルカナーゼ処理を完遂してもよい。しかしながら、より好都合には、純粋なβ-1,3-グルカンが使用され得る。これらは、例えば、そのうちいくつかは多くの生物(細菌、酵母、植物、及び真菌を含めた)から公知である、(1→3)-β-D-グルカンシンターゼを使用して、化学的及び/又は酵素的合成によって、合成的に作製され得る。β-1,3グルカンの化学合成のための方法は、例えば、参考文献47~50から公知である。合成の有用な代替法として、天然のβ-1,3-グルカン、例えば、カードラン(以前はアルカリゲネス・フェカリス・バール・ミクソゲネス(Alcaligenes faecalis var. myxogenes)として知られていたアグロバクテリウム由来の直鎖状β-1,3-グルカン、例えば、Sigma-Aldrichから市販、カタログC7821)又はパラミロン(ミドリムシ属(Euglena)由来のβ-1,3-グルカン)を使用してもよい。高レベルのβ-1,3-グルカンを生成する生物は、当技術分野で公知であり、例えば、参考文献51及び52のアグロバクテリウム、又は参考文献53のユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis)である。
【0069】
ラミナリン及びカードランは、典型的には、例えば少なくとも100kDaの分子量を有する、高分子量ポリマーとして天然に見出される。これらは、多くの場合、水性媒体に不溶である。したがって、これらは、その天然形態では、免疫化にあまり適していない。したがって、本発明は、より短いグルカン、例えば、60個以下のグルコース単糖単位(例えば、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4個)を含有するものを使用し得る。2~60個の範囲のグルコース残基数、例えば、10~50個の間又は20~40個の間のグルコース単位を有するグルカンが使用され得る。25~30個のグルコース残基を有するグルカンが、特に有用である。好適なグルカンは、例えば、天然グルカンの酸加水分解によって、又は例えば、β-1,3-グルカナーゼなどのグルカナーゼによる酵素消化によって、形成され得る。11~19個、例えば13~19個、特に15個又は17個のグルコース単糖単位を有するグルカンもまた有用である。特に、以下の構造(A)又は(B)を有するグルカンが、本発明における使用のために具体的に想定される:
【0070】
【化4】
(式中、n+2は、2~60の範囲であり、例えば、10~50の間又は2~40の間である。好ましくは、n+2は、25~30又は6~19の範囲であり、例えば、6又は13~17である。本発明者らは、n+2=6が好適であることを見出した。n+2=15もまた好適であり得る。)
【0071】
【化5】
(式中、nは、0~9の範囲であり、例えば、1~7の間又は2~6の間である。好ましくは、nは、3~4又は1~3の範囲である。本発明者らは、n=2が好適であることを見出した。)
【0072】
いくつかの実施形態では、グルカンは、単一分子種である。これらの実施形態では、グルカン分子は全て、配列に関して同一である。したがって、グルカン分子は全て、分子量等を含めたその構造特性に関して同一である。典型的には、この形態のグルカンは、例えば上記の方法を使用して、化学合成によって得られる。例えば、参考文献48には、単一のβ-1,3連結種の合成が記載されている。あるいは、他の実施形態では、グルカンは、天然グルカン、例えば、上記のL.ディギタータ(L.digitata)、アグロバクテリウム、又はミドリムシ属由来のグルカンから得ることができ、グルカンは、必要な単一分子種が得られるまで精製される。このようにして精製された天然グルカンは市販されている。単一分子種であるグルカンは、グルカンサンプルの多分散性(Mw/Mn)を測定することによって同定され得る。このパラメーターは、好都合には、例えば、参考文献54に記載されているように、SEC-MALLSによって測定することができる。本発明のこの実施形態において使用するための好適なグルカンは、約1、例えば、1.01以下の多分散性を有する。
【0073】
天然グルカン、例えば、カードランの溶解度は、イオン基を導入することによって(例えば、特にカードランのO-6における、硫酸化によって)増大させることができる。そのような修飾は本発明で使用され得るが、グルカンの抗原性を変更し得ることから、理想的には回避される。
【0074】
糖類がグルカンである場合、これは、典型的には、ラミナリンである。
【0075】
肺炎レンサ球菌(S.pneumoniae)莢膜糖類
上記に論じたように、糖類はまた、細菌莢膜糖類であり得る。さらなる例示的な細菌莢膜糖類としては、肺炎レンサ球菌由来のものが挙げられる。糖類が肺炎レンサ球菌由来の莢膜糖類である場合、これは、典型的には、以下の肺炎球菌血清型:1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F、及び33Fのうちの1つに由来し、好ましくは、1、5、6B、14、19F、及び23Fに由来する。肺炎レンサ球菌由来の莢膜多糖は、最大8個の糖残基を含有し得る、繰り返しオリゴ糖単位を含む。主な肺炎レンサ球菌血清型についてのオリゴ糖単位は、参考文献55及び56に記載されている。
【0076】
黄色ブドウ球菌(S.aureus)莢膜糖類
さらなる例示的な細菌莢膜糖類としては、黄色ブドウ球菌由来のもの、特に、黄色ブドウ球菌5型及び8型の莢膜多糖が挙げられる。5型及び8型の莢膜多糖の構造は、参考文献57及び58に、
5型
→4)-β-D-ManNAcA(3OAc)-(1→4)-α-L-FucNAc(1→3)-β-D-FucNAc-(1→
8型
→3)-β-D-ManNAcA(4OAc)-(1→3)-α-L-FucNAc(1→3)-β-D-FucNAc-(1→
として記載された。
【0077】
近年のNMR分光法データ[59]により、これらの構造が、
5型
→4)-β-D-ManNAcA-(1→4)-α-L-FucNAc(3OAc)-(1→3)-β-D-FucNAc-(1→
8型
→3)-β-D-ManNAcA(4OAc)-(1→3)-α-L-FucNAc(1→3)-α-D-FucNAc(1→
に修正されている。
【0078】
多糖は、天然に見出される莢膜多糖に対して化学修飾されていてもよい。
【0079】
例えば、多糖は、脱O-アセチル化(部分的又は完全に)、脱N-アセチル化(部分的又は完全に)、N-プロピオン化(部分的又は完全に)等されていてもよい。脱アセチル化は、コンジュゲーションの前、間、又は後に行われ得るが、典型的には、コンジュゲーションの前に行われる。脱アセチル化等の効果は、慣用的アッセイによって評価することができる。例えば、黄色ブドウ球菌5型又は8型の莢膜多糖におけるO-アセチル化の関連性は、参考文献60において論じられている。天然多糖は、この文書において、75%のO-アセチル化を有すると言われている。これらの多糖は、多糖主鎖及びO-アセチル基の両方に対する抗体を誘導した。0%のO-アセチル化を有する多糖もなお、多糖主鎖に対する抗体を誘発した。いずれの型の抗体も、そのO-アセチル含量が異なる黄色ブドウ球菌株に対してオプソニン性であった。したがって、本発明において使用される5型又は8型の莢膜多糖は、0から100%の間のO-アセチル化を有し得る。
【0080】
多糖のO-アセチル化度は、当技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、プロトンNMRによって(例えば、参考文献61、62、63、又は64に記載されているように)決定することができる。さらなる方法は、参考文献65に記載されている。同様の方法を使用して、多糖のN-アセチル化度を決定することができる。O-アセチル基は、加水分解によって、例えば、無水ヒドラジン[66]又はNaOH[60]などの塩基による処理によって除去され得る。同様の方法を使用して、N-アセチル基を除去することができる。5型及び/又は8型の莢膜多糖における高レベルのO-アセチル化を維持するために、O-アセチル基の加水分解につながる処理、例えば、極端なpHでの処理は、最小限に抑えられる。
【0081】
莢膜多糖は、本明細書における参考文献に記載されているように、公知の技法によって精製することができる。典型的なプロセスは、黄色ブドウ球菌細胞のフェノール-エタノール不活化、遠心分離、リソスタフィン処理、RNアーゼ/DNアーゼ処理、遠心分離、透析、プロテアーゼ処理、さらなる透析、濾過、エタノール/CaCl2による沈殿、透析、フリーズドライ、陰イオン交換クロマトグラフィー、透析、フリーズドライ、サイズ排除クロマトグラフィー、透析、及びフリーズドライを伴う[67]。代替プロセスは、黄色ブドウ球菌細胞のオートクレーブ処理、多糖含有上清の限外濾過、濃縮、凍結乾燥、テイコ酸を除去するためのメタ過ヨウ素酸ナトリウムによる処理、さらなる限外濾過、ダイアフィルトレーション、高速サイズ排除液体クロマトグラフィー、透析、及びフリーズドライを伴う[68]。
【0082】
しかしながら、本発明は、天然源から精製された多糖に限定されるものではなく、多糖は、他の方法、例えば、全合成又は部分合成によって得ることができる。
【0083】
他の細菌莢膜糖類
さらなる例示的な細菌莢膜糖類としては、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型、チフス菌(Salmonella enterica Typhi)Vi、及びクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)由来のものが挙げられる。
【0084】
化膿レンサ球菌(S.pyogenes)(A群レンサ球菌又はGAS)炭水化物
本発明はまた、非莢膜細菌糖類を使用し得る。例示的な非莢膜細菌糖類は、化膿レンサ球菌GAS炭水化物(GAS細胞壁多糖又はGASPとしても知られている)である。この糖類は、交互のアルファ-(1→2)及びアルファ-(1→3)連結からなるL-ラムノピラノース(Rhap)主鎖、並びに交互のラムノース環にベータ-(1→3)結合したD-N-アセチルグルコサミン(GlcpNAc)残基を有する分岐構造を特徴とする([69])。
【0085】
GAS炭水化物は、一般的にはその天然型であるが、修飾されていてもよい。例えば、糖類は、天然のGAS炭水化物よりも短くてもよく、又は化学修飾されていてもよい。
【0086】
したがって、本発明に従って使用される糖類は、天然に見出される実質的に完全長のGAS炭水化物であってもよく、又は天然長よりも短くてもよい。完全長の多糖は、例えば、弱酸中での加水分解、加熱、サイジングクロマトグラフィー等によって、解重合されて、本発明で使用するためのより短い断片をもたらし得る。GAS炭水化物上の末端単位に対応すると考えられる短い断片が、ワクチンにおける使用のために提案されている[70]。したがって、短い断片は、本発明において想定される。しかしながら、実質的に完全長の糖類を使用することが好ましい。GAS炭水化物は、典型的には、約10、特に約7.5~8.5kDaの分子量を有する。分子質量は、HPLC、例えば、SEC-HPLCによって、TSK Gel G3000SWカラム(Sigma)を使用して、プルラン標準物質、例えば、Polymer Standard Serviceから入手可能なものに対して測定することができる[71]。
【0087】
糖類は、天然に見出されるGAS炭水化物に対して化学修飾されていてもよい。例えば、糖類は、脱N-アセチル化(部分的又は完全に)、N-プロピオン化(部分的又は完全に)等されていてもよい。例えば免疫原性に対する、脱アセチル化等の効果は、慣用的アッセイによって評価することができる。
【0088】
誘導体化
本発明は、1つには、糖類に8員シクロアルキン基を結合させることを含む、糖類を誘導体化する方法に関する。
【0089】
8員シクロアルキン基は、共有結合的連結によって糖類に結合される。典型的には、8員シクロアルキン基は、スペーサーを介して結合される。8員シクロアルキン基は、典型的には、スペーサーの末端にある。スペーサーの他方の末端は、糖類に結合するための官能基を有する。官能基の性質は、糖類によって、特に、糖類において結合のために利用可能な基によって決まる。8員シクロアルキン基の結合は、糖類の性質及びスペーサーが使用される場合、スペーサーの官能基の性質に応じて、任意の好適な方法を使用して実行することができる。
【0090】
例えば、糖類がアミンを含有する場合、スペーサーは、アミンへの結合を可能にする任意の官能基(例えば、スクシンイミジルエステル)を含むことができる。同様に、糖類がアルデヒドを含有する場合、スペーサーは、アルデヒドへの結合を可能にする任意の官能基(例えば、アミン)を含むことができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、8員シクロアルキン基は、1個以上の窒素原子、例えば、1個、2個、又は3個の窒素原子を含む。いくつかの実施形態では、8員シクロアルキン基は、1つ以上の他の環系、例えば、シクロプロパン又はベンゼンと縮合している。好ましい一実施形態では、8員シクロアルキン基は、シクロプロパン基と縮合している。別の好ましい実施形態では、8員シクロアルキン基は、2個のベンゼン基と縮合している。最も好ましい実施形態では、8員シクロアルキン基は、シクロオクチン基である。
【0092】
一実施形態では、結合は、式X1-L-X2(式中、X1は、8員シクロアルキン基であり、X2-Lは、スペーサーである)を有する化合物を使用して実行される。これらの実施形態では、X2は、糖類の官能基と反応できる任意の基であってよく、Lは、スペーサー中の連結部分である。
【0093】
いくつかの好ましい実施形態では、X2は、N-オキシスクシンイミドである。この基は、糖類のアミンに結合するのに好適である。他の実施形態では、X2は、アミン基であってもよく、これは、糖類のアルデヒドに結合するのに好適である。Lは、1から10個の炭素原子(例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10)を有する直鎖アルキル、例えば、-(CH2)4-又は-(CH2)3-であり得る。Lは、典型的には、式-L3-L2-L1-(式中、L1は、カルボニルであり、L2は、1から10個の炭素原子(例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10)を有する直鎖アルキル、例えば、-(CH2)4-又は-(CH2)5-であり、又はL2は、存在せず、L3は、-NHC(O)-、カルボニル、又は-O(CH3)-である)を有する。
【0094】
好ましい一実施形態では、L1は、カルボニルであり、L2は、-(CH2)5-であり、L3は、-NHC(O)-である。別の好ましい実施形態では、L1は、カルボニルであり、L2は、-(CH2)4-であり、L3は、カルボニルである。別の好ましい実施形態では、L1は、カルボニルであり、L2は、存在せず、L3は、-O(CH3)-である。
【0095】
一実施形態では、X1は、
【0096】
【0097】
別の実施形態では、X1は、
【0098】
【0099】
好ましくは、X1は、
【0100】
【0101】
式X1-L-X2を有する好ましい化合物は、
【0102】
【0103】
式X1-L-X2を有する別の好ましい化合物は、
【0104】
【0105】
式X1-L-X2を有する特に好ましい化合物は、
【0106】
【0107】
アミン及びアルデヒドなどの官能基を導入するには、糖類の誘導体化が必要であり得る。いくつかの実施形態では、糖類への8員シクロアルキン基の結合に先立って、糖類中の少なくとも1個の糖類残基にアルデヒド基を導入するために、糖類の酸化が行われる。この工程は、糖類に2個以上のアルデヒド基を導入することを伴い得る。
【0108】
例えば、GBS莢膜糖類は、その天然形態ではアルデヒド基を含まないため、それは、典型的には、シクロオクチン基の結合の前に、糖類のシアル酸残基の一部(例えば5から40%の間、特に10から30%の間、好ましくは約20%)を酸化(例えば、過ヨウ素酸塩酸化)することによって生成される[72]。あるいは、本方法が、脱シアル化された血清型V莢膜糖類を使用する場合、アルデヒド基は、8員シクロアルキン基の結合の前に、糖類のガラクトース残基の一部(例えば5から40%の間、特に10から30%の間、好ましくは約20%)を酸化(例えば、過ヨウ素酸塩酸化)することによって、この糖類中に生成され得る[10]。
【0109】
アルデヒドを生成するための典型的な反応は、過ヨウ素酸塩、特に、メタ過ヨウ素酸塩(例えば、メタ過ヨウ素酸ナトリウム又はカリウム、例えば、NaIO4)を使用して、ヒドロキシル基を酸化することを含む[73]。当業者であれば、酸化のための好適な条件を特定することが可能であろう。
【0110】
例えば、スペーサーへの結合のために糖類にアミンを付与することが望ましい場合、糖類の酸化に続いて、還元的アミノ化の工程が行われ得る。
【0111】
還元的アミノ化は、有機化学における標準的な技法である。一実施形態では、糖類残基中のアルデヒド基が、スペーサー中のアミン基と反応する。これは、好都合には、適切な還元剤(例えば、シアノ水素化ホウ素、例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムNaBH3CN、ボラン-ピリジン、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素交換樹脂等)の存在下で多糖をスペーサーと組み合わせることによって達成することができる。別の実施形態では、還元的アミノ化によってアルデヒド基をアミン基に変換して、スペーサーの結合のためのアミン基を得る。還元的アミノ化は、アンモニア又は第一級アミン(NH2R)のいずれかを伴う。これは、好都合には、アンモニウム塩(例えば、塩化アンモニウム)を適切な還元剤(例えば、上記に列挙したもの)と組み合わせて使用することによって達成することができる。当業者であれば、還元的アミノ化のための好適な条件を特定することが可能であろう。例えば、本発明者らは、10mg/mlの多糖を、4:1の多糖:タンパク質比(w/w)の担体タンパク質及び2:1の多糖:NaBH3CN比のNaBH3CNで処理することが好適であることを見出した。
【0112】
スペーサーが使用される場合、糖類誘導体は、スペーサー部分を含む。スペーサー部分は、炭素、水素、酸素、及び/又は窒素などの原子を含み得る。炭素及び水素を含むスペーサーが典型的であり、酸素及び/又は窒素をさらに含むスペーサーもまた、典型的に使用される。窒素原子を含むスペーサーは、窒素原子に結合された炭素原子を含むことができ、同じく、その窒素原子は、第2の炭素原子に結合される(-C-N-C-)。酸素原子を含むスペーサーは、典型的には、それをカルボニル基の一部として含む。30~500Daの間の分子量を有するスペーサー部分が典型的である。2個のカルボニル基を含有するスペーサーもまた典型的である。
【0113】
有用なスペーサー部分は、-NH-C(O)-(CH2)n-NH-C(O)-(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である)であり得る。nの値は、典型的には、5である。このスペーサー中の末端-NH-は、通常、多糖部分由来の炭素原子に結合される。このスペーサー中の末端-C(O)-は、通常、シクロオクチン基に結合される。好ましいスペーサー部分は、好都合には、酸化糖類残基中のアルデヒドの還元的アミノ化、得られる-NH2基と、二酸(例えば、アジピン酸、HOOC-(CH2)4-COOH)のジエステル(例えば、ジスクシンイミジルエステル)である二官能性スペーサーとの反応、及び生成物の還元的アミノ化を伴うプロセスによって導入することができる([74])。
【0114】
糖類中の-NH2基にスペーサーを結合させるために使用できる他の化学反応としては、以下のものが挙げられる:
- アクリロイル化(acryloylation)(例えば、塩化アクリロイルとの反応による)と、それに続くε-NH2又は-SHのいずれかに対するMichael型付加[75]。得られるスペーサー部分は、-NH-C(O)-(CH2)2-(プロピオンアミド)である。
- ハロアシルハライドとの反応と、それに続くε-NH2又は-SHとの反応[76]。スペーサー部分は、-NH-C(O)-CH2-である。
【0115】
本発明による糖類を誘導体化する方法は、下記の糖類をもたらし得る。
【0116】
糖類誘導体
本発明は、8員シクロアルキン基を含む糖類誘導体を提供する。糖類誘導体は、任意の糖類と、適切な場合、上記に概説したスペーサーとを含み得る。本発明はまた、上記に概説した方法によって得られる又は得ることが可能な糖類誘導体を提供する。糖類誘導体は、天然に存在する糖類ではない。
【0117】
好ましい糖類誘導体としては、ストレプトコッカス・アガラクチエ(「GBS」)由来の莢膜糖類が挙げられる。特に好ましい実施形態では、糖類は、ストレプトコッカス・アガラクチエ(「GBS」)血清型II又はV由来の莢膜糖類である。一実施形態では、糖類誘導体は、以下の構造:
【0118】
【0119】
別の実施形態では、糖類誘導体は、以下の構造:
【0120】
【0121】
コンジュゲーション方法
本発明は、1つには、8員シクロアルキン基とアジドとを反応させて、トリアゾール連結を形成することを含む、上記に定義された糖類誘導体をアジド含有部分にコンジュゲーションする方法に関する。いくつかの実施形態では、コンジュゲーション方法において使用される糖類誘導体は、上記の方法に従って生成される。特に、糖類誘導体は、糖類に8員シクロアルキン基を結合させることによって生成され得る。コンジュゲーション方法は、典型的には、金属触媒、例えば、銅触媒の非存在下で実行される。
【0122】
本発明者らは、好適なコンジュゲーション方法は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のタンパク質(典型的には、5mg/mlの濃度)を、糖類(典型的には、約25~30mg/mlの濃度で水に可溶化した)と混合することを伴うことを見出した。典型的には、タンパク質及び糖類の混合物は、室温で約6~12時間撹拌される。
【0123】
糖類誘導体をアジド含有部分にコンジュゲーションする方法は、[3+2]環化付加反応によって行われる。この反応は、8員シクロアルキンにおける環歪みによって容易になり、これは、銅触媒の非存在下におけるアジド-アルキン環化付加反応を促進する。本発明者らは、本コンジュゲーション方法は、特に効率的であり、古典的なコンジュゲーション方法を使用して達成可能であったよりも高収率でコンジュゲートを生成することが可能であることを見出した。[3+2]環化付加反応を使用したコンジュゲーションのための一般的な方法は、当技術分野で公知であり、参考文献77に開示されている。
【0124】
糖類誘導体をアジド含有部分にコンジュゲーションする方法は、下記のコンジュゲートをもたらし得る。
【0125】
アジド含有部分
典型的には、アジド含有部分は、担体分子、例えば、タンパク質である。アジド含有部分は、当技術分野で公知の方法、例えば、参考文献78に開示された方法に従って作製することができる。
【0126】
有用な担体タンパク質としては、細菌性毒素又はトキソイド、例えば、ジフテリアトキソイド又は破傷風トキソイドが挙げられる。毒素又はトキソイドの断片、例えば、破傷風トキソイドのC断片もまた使用することができる[79]。例えば、ジフテリア毒素のCRM197変異体[80~82]は、本発明で有用である。他の好適な担体タンパク質としては、髄膜炎菌外膜タンパク質[83]、合成ペプチド[84、85]、熱ショックタンパク質[86、87]、百日咳タンパク質[88、89]、サイトカイン[90]、リンホカイン[90]、ホルモン[90]、成長因子[90]、ヒト血清アルブミン(好ましくは、組換え体)、様々な病原体由来抗原に由来する複数のヒトCD4+ T細胞エピトープを含む人工タンパク質[91]、例えば、N19[92]、インフルエンザ菌(H.influenzae)由来のプロテインD[93、94]、肺炎球菌表面タンパク質PspA[95]、ニューモリシン[96]、鉄取り込みタンパク質[97]、C.ディフィシル(C.difficile)由来の毒素A又はB[98]、組換え緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)エキソプロテインA(rEPA)[99]、GBSタンパク質[100]等が挙げられる。好ましい実施形態では、担体タンパク質は、GBSタンパク質、例えば、GBS67及びGBS80である[101]。
【0127】
典型的には、アジド含有部分は、スペーサーを含む。アジドは、典型的には、本明細書に記載されたコンジュゲーション反応に関与できるように、アジド含有部分における末端基として存在する。
【0128】
スペーサーは、該部分にアジド基を結合させるために使用される。担体分子、例えば、タンパク質にスペーサーを結合させるための方法は、当技術分野で公知である(例えば、参考文献78を参照されたい)。
【0129】
スペーサーは、1から10個の炭素原子(例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10)を有する直鎖アルキル、例えば、-(CH2)4-又は-(CH2)3-であり得る。いくつかの好ましい実施形態では、スペーサーは、式-[(CH2)2O]n-(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である)を有する。好適には、nは、3である。
【0130】
スペーサーが使用される場合、アジド含有部分は、スペーサー部分を含む。スペーサー部分は、炭素、水素、酸素、及び/又は窒素などの原子を含み得る。炭素及び水素を含むスペーサーが典型的であり、酸素及び/又は窒素をさらに含むスペーサーもまた、典型的に使用される。窒素原子を含むスペーサーは、窒素原子に結合された炭素原子を含むことができ、同じく、その窒素原子は、第2の炭素原子に結合される(-C-N-C-)。酸素原子を含むスペーサーは、典型的には、それをカルボニル基の一部として含む。30~500Daの間の分子量を有するスペーサー部分が典型的である。2個のカルボニル基を含有するスペーサーもまた典型的である。特に有用なスペーサー部分は、-[(CH2)2O]n-(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である)を含む。好適には、nは、3である。
【0131】
好ましい実施形態では、アジド含有部分は、1個以上の誘導体化アミノ酸、例えば、1個以上の誘導体化チロシン残基を含有する。チロシン残基を誘導体化するための好適な方法は、PCT/US2012/045549に記載されている。好ましい実施形態では、アジド含有部分は、アジドがスペーサーを介してタンパク質に結合している担体タンパク質である。アジド含有部分は、アジドがスペーサーを介してタンパク質の誘導体化チロシン残基に結合している担体タンパク質であり得る。本発明者らは、タンパク質のチロシン残基を介して担体タンパク質にアジドを結合させることが特に好ましいことを見出した。いくつかの実施形態では、アジド含有部分は、以下の構造を有する少なくとも1個の誘導体化チロシン残基を含有する担体タンパク質であり、アジドは、3H-1,2,4-トリアゾール-3,5(4H)-ジオンを介して結合している:
【0132】
【0133】
例えば、アジド含有部分は、以下の構造:
【0134】
【化15】
を有する少なくとも1個の誘導体化チロシン残基を含有する担体タンパク質であり得る。
【0135】
本発明はまた、本明細書に記載されたアジド含有部分を提供する。
【0136】
コンジュゲート
本発明は、1つには、上記に定義された糖類誘導体及び上記に定義されたアジド含有部分のコンジュゲートであって、式R-S-T(式中、Rは、糖類誘導体の残基を含み、Sは、8員シクロアルキル基と縮合したトリアゾール基であり、Tは、アジド含有部分の残基を含む)を有する、コンジュゲートに関する。
【0137】
いくつかの実施形態では、8員シクロアルキル基は、1個以上の窒素原子、例えば、1個、2個、又は3個の窒素原子を含む。いくつかの実施形態では、8員シクロアルキル基は、トリアゾール基に加えて、1つ以上の他の環系、例えば、シクロプロパン又はベンゼンと縮合している。好ましい一実施形態では、8員シクロアルキン基は、トリアゾール基に加えて、シクロプロパン基と縮合している。別の好ましい実施形態では、8員シクロアルキン基は、トリアゾール基に加えて、2個のベンゼン基と縮合している。
【0138】
好ましい実施形態では、R-S-Tは、
【0139】
【0140】
別の好ましい実施形態では、R-S-Tは、
【0141】
【0142】
最も好ましい実施形態では、R-S-Tは、
【0143】
【0144】
該部分は、典型的には、担体分子、例えば、タンパク質である。好適な担体タンパク質は、上記に記載されている。コンジュゲートは、糖類とSの間の糖類誘導体の残基中にスペーサーを含み得る。例えば、スペーサーは、糖類誘導体に関して上記に記載されたスペーサーであり得る。加えて又はあるいは、コンジュゲートは、アジド含有部分とSの間のアジド含有部分の残基中にスペーサーを含み得る。例えば、スペーサーは、アジド含有部分に関して上記に記載されたスペーサーであり得る。典型的には、コンジュゲートは、糖類とSの間の糖類誘導体の残基中にスペーサーを含み、アジド含有部分とSの間のアジド含有部分の残基中にスペーサーを含む。
【0145】
特に好ましい実施形態では、コンジュゲートは、GBS80タンパク質にコンジュゲーションされたGBS血清型V糖類を含む。別の特に好ましい実施形態では、コンジュゲートは、GBS80タンパク質にコンジュゲーションされたGBS血清型II糖類を含む。別の特に好ましい実施形態では、コンジュゲートは、GBS67タンパク質にコンジュゲーションされたGBS血清型V糖類を含む。別の特に好ましい実施形態では、コンジュゲートは、GBS67タンパク質にコンジュゲーションされたGBS血清型II糖類を含む。
【0146】
例えば、コンジュゲートは、以下の構造:
【0147】
【0148】
コンジュゲートは、糖類誘導体を上記のアジド含有部分にコンジュゲーションする方法によって得られる又は得ることが可能であり得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、過剰の担体タンパク質(w/w)又は過剰の糖類(w/w)を、例えば、1:5から5:1の範囲の比で有し得る。コンジュゲートは、少量の遊離(即ち、非コンジュゲート)担体タンパク質を含み得る。所与の担体タンパク質が、本発明の組成物中に遊離形態及びコンジュゲート形態の両方で存在する場合、非コンジュゲート形態は、好ましくは、全体としての組成物中の担体タンパク質の総量の5%以下であり、より好ましくは、2%(重量で)未満で存在する。コンジュゲートが本発明の医薬組成物中に含まれる場合、組成物はまた、免疫原としての遊離担体タンパク質を含み得る[102]。コンジュゲーションの後、遊離抗原とコンジュゲート抗原を分離することができる。多くの好適な方法が存在し、例えば、疎水性クロマトグラフィー、接線流限外濾過(tangential ultrafiltration)、ダイアフィルトレーション等である[参考文献103、104等も参照されたい]。
【0150】
コンジュゲート及び他の抗原の組合せ
本発明は、上記の個々のコンジュゲートを提供するだけでなく、本発明のコンジュゲートと、1種以上のさらなる抗原とを含む、組成物を提供する。組成物は、典型的には、免疫原性組成物である。
【0151】
本発明の組成物は、追加の細菌性、ウイルス性、又は寄生虫抗原を含めた、1種以上のさらなる抗原をさらに含み得る。これらは、以下のものから選択され得る:
- 髄膜炎菌血清群B由来のタンパク質抗原、例えば、参考文献105~111にあるもの、タンパク質「287」(下記参照)及び誘導体(例えば、「ΔG287」)が特に好ましい。
- 髄膜炎菌血清群B由来の外膜小胞(OMV)調製物、例えば、参考文献112、113、114、115等に開示されたもの。
- 髄膜炎菌血清群A、C、W135、及び/又はY由来の糖類抗原、例えば、血清群C由来の参考文献116に開示されたオリゴ糖又は参考文献117のオリゴ糖。
- 肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)由来の糖類抗原[例えば、参考文献118~120、参考文献127の第22及び23章]。
- A型肝炎ウイルス由来の抗原、例えば、不活化ウイルス[例えば、121、122、参考文献127の第15章]。
- B型肝炎ウイルス由来の抗原、例えば、表面及び/又はコア抗原[例えば、122、123、参考文献127の第16章]。
- C型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば、124]。
- 百日咳菌(Bordetella pertussis)由来の抗原、例えば、百日咳菌(B.pertussis)由来の百日咳ホロトキシン(PT)及び線維状赤血球凝集素(FHA)、場合により、さらにパータクチン並びに/又は凝集原2及び3との組合せ[例えば、参考文献125及び126、参考文献127の第21章]。
- ジフテリア抗原、例えば、ジフテリアトキソイド[例えば、参考文献127の第13章]。
- 破傷風抗原、例えば、破傷風トキソイド[例えば、参考文献127の第27章]。
- インフルエンザ菌B型由来の糖類抗原[例えば、参考文献127の第14章]。
- 淋菌(N.gonorrhoeae)由来の抗原[例えば、105、106、107]。
- クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)由来の抗原[例えば、128、129、130、131、132、133、134]。
- クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)由来の抗原[例えば、135]。
- ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)由来の抗原[例えば、136]。
- ポリオ抗原[例えば、137、138、参考文献127の第24章]、例えば、IPV。
- 狂犬病抗原[例えば、139]、例えば、凍結乾燥不活化ウイルス[例えば、140、RabAvert(商標)]。
- 麻疹、ムンプス、及び/又は風疹抗原[例えば、参考文献127の第19、20、及び26章]。- インフルエンザ抗原[例えば、参考文献127の第17及び18章]、例えば、血球凝集素及び/又はノイラミニダーゼ表面タンパク質。
- モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)由来の抗原[例えば、141]。
- 化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)(A群レンサ球菌)由来の抗原[例えば、142、143、144]。
- ストレプトコッカス・アガラクチエ(B群レンサ球菌)由来の抗原[例えば、145~147]。- 表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)由来の抗原[例えば、参考文献148、149、及び150に記載されているATCC-31432、SE-360、及びSE-10株から得ることが可能なI、II、及び/又はIII型糖類]。
【0152】
糖類又は炭水化物抗原が使用される場合、それは、好ましくは、免疫原性を向上させるために、担体にコンジュゲーションされる。インフルエンザ菌B型、髄膜炎菌、及び肺炎球菌の糖類抗原のコンジュゲーションは周知である。
【0153】
毒性タンパク質抗原は、必要に応じて無毒化され得る(例えば、化学的及び/又は遺伝学的手段による百日咳毒素の無毒化[126])。
【0154】
組成物がジフテリア抗原を含む場合、破傷風抗原及び百日咳抗原もまた含むことが好ましい。同様に、破傷風抗原を含む場合、ジフテリア及び百日咳抗原もまた含むことが好ましい。同様に、百日咳抗原を含む場合、ジフテリア及び破傷風抗原もまた含むことが好ましい。
【0155】
抗原は、アルミニウム塩に吸着させてもよい。組成物中に2種以上のコンジュゲートが存在する場合、必ずしも全てのコンジュゲートを吸着させる必要はない。
【0156】
組成物中の抗原は、典型的には、それぞれ少なくとも1μg/mlの濃度で存在する。一般的には、任意の所与の抗原のその濃度は、その抗原に対する免疫応答を誘発するのに十分である。
【0157】
本発明の組成物においてタンパク質抗原を使用することの代替法として、抗原をコードする核酸を使用してもよい[例えば、参考文献151から159]。したがって、本発明の組成物のタンパク質構成成分は、タンパク質をコードする核酸(好ましくは、例えばプラスミドの形態のDNA)で置き換えられ得る。実際面では、本発明の組成物が含む抗原の数には上限があり得る。本発明の組成物中の抗原の数は、20種未満、19種未満、18種未満、17種未満、16種未満、15種未満、14種未満、13種未満、12種未満、11種未満、10種未満、9種未満、8種未満、7種未満、6種未満、5種未満、4種未満、又は3種未満であり得る。本発明の組成物中の抗原の数は、6種未満、5種未満、又は4種未満であり得る。
【0158】
医薬組成物及び方法
本発明は、本発明のコンジュゲートを、薬学的に許容される担体と混合する工程を含む、医薬組成物を調製するためのプロセスを提供する。典型的な「薬学的に許容される担体」としては、組成物を施される個体にとって有害な抗体の生成をそれ自体では誘導しない任意の担体が挙げられる。好適な担体は、典型的には、大型で代謝の遅い巨大分子、例えば、タンパク質、糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸コポリマー、ラクトース、及び脂質凝集体(例えば、油滴又はリポソーム)である。そのような担体は、当業者に周知である。ワクチンはまた、希釈剤、例えば、水、生理食塩水、グリセロール等を含有し得る。加えて、補助物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質などが存在し得る。滅菌されたパイロジェンフリーのリン酸緩衝生理食塩水は、典型的な担体である。薬学的に許容される賦形剤についての徹底的な議論は、参考文献160において利用可能である。
【0159】
本発明の組成物は、水性形態(即ち、溶液若しくは懸濁液)又は乾燥形態(例えば、凍結乾燥)であり得る。乾燥ワクチンが使用される場合、それは、注射の前に液体媒体中に再構成される。コンジュゲートワクチンの凍結乾燥は、当技術分野で公知であり、例えば、Menjugate(商標)製品は、凍結乾燥形態で提供されるのに対し、NeisVac-C(商標)及びMeningitec(商標)は、水性形態で提供される。凍結乾燥中にコンジュゲートを安定化するために、糖アルコール(例えば、マンニトール)又は二糖(例えば、スクロース若しくはトレハロース)を、例えば、1mg/mlから30mg/mlの間(例えば、約25mg/ml)で組成物中に含ませることが典型的であり得る。
【0160】
医薬組成物は、バイアル又は注射器に包装され得る。注射器は、針とともに又は針なしで供給され得る。注射器は、単回用量の組成物を含むのに対し、バイアルは、単回用量又は複数回用量を含み得る。
【0161】
本発明の糖類の水性組成物は、他のワクチンを凍結乾燥形態から再構成するのに好適である。本発明の組成物がそのような即時の再構成に使用される場合、本発明は、凍結乾燥材料を本発明の水性組成物と混合する工程を含む、そのような凍結乾燥ワクチンを再構成するためのプロセスを提供する。再構成された材料は、注射用に使用することができる。
【0162】
本発明の組成物は、単位用量形態又は複数回用量形態で包装され得る。複数回用量形態の場合、予め充填された注射器よりもバイアルが好ましい。有効投薬体積は、慣用的に確立することができるが、組成物の典型的なヒト用量は、例えば筋肉内注射の場合、0.5mlの体積を有する。
【0163】
組成物のpHは、典型的には、6から8の間、例えば、約7である。安定なpHは、緩衝液の使用によって維持され得る。組成物が水酸化アルミニウム塩を含む場合、ヒスチジン緩衝液を使用することが典型的である[161]。組成物は、滅菌及び/又はパイロジェンフリーであり得る。本発明の組成物は、ヒトに対して等張であり得る。
【0164】
本発明の組成物は、免疫原性であり、より好ましくは、ワクチン組成物である。本発明によるワクチンは、予防用(即ち、感染を予防するため)又は治療用(即ち、感染を処置するため)のいずれであってもよいが、典型的には、予防用である。ワクチンとして使用される免疫原性組成物は、免疫学的有効量の抗原、並びに必要に応じて任意の他の構成成分を含む。「免疫学的有効量」とは、単回用量又は一連の用量の一部としてのいずれかで、その量を個体に投与することが、処置又は予防のために有効であることを意味する。この量は、処置すべき個体の健康及び身体の状態、年齢、処置すべき個体の分類群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類等)、個体の免疫系が抗体を合成する能力、所望の防御の度合い、ワクチンの製剤化、処置医による医学的状況の評価、並びに他の関連する因子に応じて変動する。その量は、慣用的試行によって決定できる比較的広い範囲に入ると予想される。
【0165】
各用量内で、個々の糖類抗原の分量は、一般的には、1~50μgの間(糖類の質量として測定される)、例えば、約1μg、約2.5μg、約4μg、約5μg、又は約10μgである。
【0166】
本発明の組成物は、様々な形態で調製され得る。例えば、組成物は、注射物質として、溶液液剤又は懸濁液剤のいずれかとして調製され得る。組成物は、肺内投与用に、例えば、微細粉末又はスプレーを使用する吸入剤として調製され得る。組成物は、坐剤又はペッサリーとして調製され得る。組成物は、経鼻、耳内、又は眼内投与用に、例えば、スプレー剤、液滴剤、ゲル剤、又は散剤として調製され得る[例えば、参考文献162及び163]。肺炎球菌糖類[164、165]、Hib糖類[166]、MenC糖類[167]、並びにHib及びMenC糖類コンジュゲートの混合物[168]の経鼻投与の成功が報告されている。
【0167】
本発明の組成物は、特に複数回用量形式で包装される場合、抗菌剤を含み得る。
【0168】
本発明の組成物は、界面活性化剤、例えばTween(ポリソルベート)、例としてTween80を含み得る。界面活性化剤は、一般的には、低レベル、例えば<0.01%で存在する。
【0169】
本発明の組成物は、張性(tonicity)を付与するために、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を含み得る。10±2mg/mlの濃度のNaClが典型的である。
【0170】
本発明の組成物は、一般的には、緩衝液を含む。リン酸緩衝液が典型的である。
【0171】
本発明の組成物は、一般的には、他の免疫調節剤と併せて投与される。特に、組成物は、通常、1種以上のアジュバントを含む。そのようなアジュバントとしては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
無機質含有組成物
本発明におけるアジュバントとしての使用に好適な無機質含有組成物としては、無機塩、例えば、アルミニウム塩及びカルシウム塩が挙げられる。本発明は、水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩等の無機塩[例えば、参考文献169の第8及び9章]、又は異なる無機化合物の混合物(例えば、場合により過剰のリン酸塩を有する、リン酸塩及び水酸化物アジュバントの混合物)を含み、該化合物は、任意の好適な形態(例えば、ゲル、結晶質、非晶質等)をとり、塩への吸着が典型的である。無機質含有組成物はまた、金属塩の粒子として製剤化され得る[170]。
【0173】
アルミニウム塩は、Al3+の用量が、1用量当たり0.2から1.0mgの間であるように、本発明のワクチン中に含ませてもよい。
【0174】
典型的なリン酸アルミニウムアジュバントは、0.84から0.92の間のPO4/Alモル比を有する非晶質のヒドロキシリン酸アルミニウムであり、0.6mg Al3+/mlで含まれる。低用量のリン酸アルミニウムを用いた吸着を使用してもよく、例えば、1用量当たり1コンジュゲート当たり50から100μgの間のAl3+である。リン酸アルミニウムが使用され、抗原をアジュバントに吸着させないことを所望する場合、これには、遊離リン酸イオンを溶液中に含ませること(例えば、リン酸緩衝液の使用による)が好都合である。
【0175】
オイルエマルジョン
本発明におけるアジュバントとしての使用に好適なオイルエマルジョン組成物としては、スクアレン-水エマルジョン、例えば、MF59(マイクロフルイダイザーを使用してサブミクロン粒子に製剤化された、5%スクアレン、0.5% Tween 80、及び0.5% Span 85)が挙げられる[参考文献169の第10章、また参考文献171~173]。MF59は、FLUAD(商標)インフルエンザウイルス三価サブユニットワクチンにおけるアジュバントとして使用される。
【0176】
組成物において使用するための特に有用なアジュバントは、サブミクロンの水中油型エマルジョンである。本明細書における使用のための好ましいサブミクロンの水中油型エマルジョンは、場合により様々に異なる量のMTP-PEを含有するスクアレン/水エマルジョン、例えば、4~5%(w/v)スクアレン、0.25~1.0%(w/v) Tween 80(ポリオキシエチレンソルビタン(polyoxyelthylenesorbitan)モノオレエート)、及び/又は0.25~1.0% Span 85(ソルビタントリオレエート)と、場合により、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル(isogluatminyl)-L-アラニン-2-(1'-2'-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ(hydroxyphosphophoryloxy))-エチルアミン(MTP-PE)とを含有するサブミクロンの水中油型エマルジョンである。組成物において使用するための、サブミクロンの水中油型エマルジョン、それを作製する方法、及び免疫刺激剤、例えば、ムラミルペプチドは、参考文献171及び174~175に詳細に記載されている。
【0177】
完全フロイントアジュバント(CFA)及び不完全フロイントアジュバント(IFA)もまた、本発明におけるアジュバントとして使用され得る。
【0178】
サポニン製剤[参考文献169の第22章]
サポニン製剤もまた、本発明におけるアジュバントとして使用され得る。サポニンは、広範囲の植物種の樹皮、葉、茎、根、さらには花において見出される、ステロール配糖体及びトリテルペノイド配糖体の異種群である。シャボンノキ(Quillaia saponaria) モリナの木(Molina tree)の樹皮から単離されたサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。サポニンはまた、スミラックス・オルナタ(Smilax ornata)(サルサパリラ(sarsaprilla))、シュッコンカスミソウ(Gypsophilla paniculata)(ブライズベール)、及びサボンソウ(Saponaria officianalis)(ソープルート)から商業的に得ることができる。サポニンアジュバント製剤としては、精製された製剤、例えばQS21、並びに脂質製剤、例えばISCOMが挙げられる。
【0179】
サポニン組成物は、HPLC及びRP-HPLCを使用して精製されている。これらの技法を使用した特定の精製画分が同定されており、これには、QS7、QS17、QS18、QS21、QH-A、QH-B、及びQH-Cが含まれる。好ましくは、サポニンは、QS21である。QS21の生成方法は、参考文献176に開示されている。サポニン製剤はまた、ステロール、例えば、コレステロールを含み得る[177]。
【0180】
サポニン及びコレステロールの組合せを使用して、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる特有の粒子を形成することができる[参考文献169の第23章]。ISCOMはまた、典型的には、リン脂質、例えば、ホスファチジルエタノールアミン又はホスファチジルコリンを含む。任意の公知のサポニンを、ISCOMにおいて使用することができる。好ましくは、ISCOMは、QuilA、QHA、及びQHCのうちの1つ以上を含む。ISCOMは、参考文献177~179にさらに記載されている。場合により、ISCOMは、追加の界面活性化剤を含まなくてもよい[180]。
【0181】
サポニン系アジュバントの開発についての総説は、参考文献181及び182に見出すことができる。
【0182】
ビロソーム及びウイルス様粒子
ビロソーム及びウイルス様粒子(VLP)もまた、本発明におけるアジュバントとして使用することができる。これらの構造体は、一般的には、場合によりリン脂質と組み合わされた又は製剤化された、ウイルス由来の1種以上のタンパク質を含有する。それらは、一般的には、非病原性、非複製性であり、一般的には、天然ウイルスゲノムのいずれをも含有しない。ウイルスタンパク質は、組換えにより生成することもでき、又は全ウイルスから単離することもできる。ビロソーム又はVLPにおける使用に好適なこれらのウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス(例えば、HA又はNA)、B型肝炎ウイルス(例えば、コア又はキャプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIV、RNA-ファージ、Qβ-ファージ(例えば、コートタンパク質)、GA-ファージ、fr-ファージ、AP205ファージ、及びTy(例えば、レトロトランスポゾンTyタンパク質p1)に由来するタンパク質が挙げられる。VLPについては、参考文献183~188においてさらに論じられている。ビロソームについては、例えば、参考文献189においてさらに論じられている。
【0183】
細菌又は微生物誘導体
本発明における使用に好適なアジュバントとしては、細菌又は微生物誘導体、例えば、腸内細菌リポサッカリド(liposaccharide)(LPS)の非毒性誘導体、リピドA誘導体、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、並びにADP-リボシル化毒素及びその無毒化誘導体が挙げられる。
【0184】
LPSの非毒性誘導体としては、モノホスホリルリピドA(MPL)及び3-O-脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、4本、5本、又は6本のアシル化鎖を有する3脱-O-アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。3脱-O-アシル化モノホスホリルリピドAの好ましい「小粒子」形態は、参考文献190に開示されている。3dMPLのそのような「小粒子」は、0.22μm膜を通して滅菌濾過するのに十分に小さい[190]。他の非毒性LPS誘導体としては、モノホスホリルリピドA模倣体、例えば、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体、例えば、RC-529[191、192]が挙げられる。
【0185】
リピドA誘導体としては、大腸菌(Escherichia coli)由来のリピドAの誘導体、例えば、OM-174が挙げられる。OM-174は、例えば、参考文献193及び194に記載されている。
【0186】
本発明におけるアジュバントとしての使用に好適な免疫刺激性オリゴヌクレオチドとしては、CpGモチーフを含有するヌクレオチド配列(リン酸結合によってグアノシンに連結された非メチル化シトシンを含有するジヌクレオチド配列)が挙げられる。パリンドローム配列又はポリ(dG)配列を含有する二本鎖RNA及びオリゴヌクレオチドもまた、免疫刺激性であることが示されている。
【0187】
CpGは、ヌクレオチド修飾/アナログ、例えば、ホスホロチオエート修飾を含むことができ、二本鎖又は一本鎖であり得る。参考文献195、196、及び197は、可能なアナログ置換、例えば、2'-デオキシ-7-デアザグアノシンによるグアノシンの置き換えを開示している。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果については、参考文献198~203においてさらに論じられている。
【0188】
CpG配列は、モチーフGTCGTT又はTTCGTTなど、TLR9を対象としていてもよい[204]。CpG配列は、CpG-A ODNなど、Th1免疫応答を誘導するために特異的であってもよく、又はCpG-B ODNなど、B細胞応答を誘導するためにより特異的であってもよい。CpG-A及びCpG-B ODNについては、参考文献205~207において論じられている。好ましくは、CpGは、CpG-A ODNである。
【0189】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、5'末端が受容体認識のために利用可能であるように構築される。場合により、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列は、それらの3'末端で結合されて、「イムノマー(immunomer)」を形成し得る(例えば、参考文献204及び208~210)。
【0190】
細菌ADP-リボシル化毒素及びその無毒化誘導体は、本発明におけるアジュバントとして使用され得る。好ましくは、このタンパク質は、大腸菌(E.coli)(大腸菌易熱性エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)、又は百日咳(「PT」)に由来する。無毒化されたADP-リボシル化毒素の粘膜アジュバントとしての使用は、参考文献211に記載されており、非経口アジュバントとしての使用は、参考文献212に記載されている。毒素又はトキソイドは、好ましくは、A及びBサブユニットの両方を含む、ホロトキシンの形態である。好ましくは、Aサブユニットは、無毒化変異を含有し、好ましくは、Bサブユニットは、変異していない。好ましくは、アジュバントは、無毒化LT変異体、例えば、LT-K63、LT-R72、及びLT-G192である。ADP-リボシル化毒素及びその無毒化誘導体、特に、LT-K63及びLT-R72のアジュバントとしての使用は、参考文献213~220に見出すことができる。アミノ酸置換についての数字の言及は、好ましくは、参考文献221に記載のADP-リボシル化毒素のA及びBサブユニットのアライメントに基づき、これは、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる。
【0191】
ヒト免疫モジュレーター
本発明におけるアジュバントとしての使用に好適なヒト免疫モジュレーターとしては、サイトカイン、例えば、インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12[222]等)[223]、インターフェロン(例えば、インターフェロン-γ)、マクロファージコロニー刺激因子、及び腫瘍壊死因子が挙げられる。
【0192】
生体接着剤及び粘膜接着剤
生体接着剤及び粘膜接着剤もまた、本発明におけるアジュバントとして使用され得る。好適な生体接着剤としては、エステル化ヒアルロン酸ミクロスフェア[224]又は粘膜接着剤、例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖、及びカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体が挙げられる。キトサン及びその誘導体もまた、本発明におけるアジュバントとして使用され得る[225]。
【0193】
微粒子
微粒子もまた、本発明におけるアジュバントとして使用され得る。生分解性及び非毒性である材料(例えば、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトン等)と、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)とから形成された微粒子(即ち、直径が約100nmから約150μm、より好ましくは直径が約200nmから約30μm、最も好ましくは直径が約500nmから約10μmの粒子)が好ましく、それは、場合により、負に荷電した表面(例えば、SDSによって)又は正に荷電した表面(例えば、陽イオン性界面活性化剤、例えば、CTABによって)を有するように処理される。
【0194】
リポソーム(参考文献169の第13及び14章)
アジュバントとしての使用に好適なリポソーム製剤の例は、参考文献226~228に記載されている。
【0195】
ポリオキシエチレンエーテル及びポリオキシエチレンエステル製剤
本発明における使用に好適なアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテル及びポリオキシエチレンエステルが挙げられる[229]。そのような製剤としては、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤[230]、並びに少なくとも1種の追加の非イオン性界面活性剤、例えば、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテル又はエステル界面活性剤[231]がさらに挙げられる。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル(ラウレス9)、ポリオキシエチレン-9-ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン(polyoxytheylene)-8-ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン-4-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-35-ラウリルエーテル、及びポリオキシエチレン-23-ラウリルエーテル。
【0196】
ポリホスファゼン(PCPP)
PCPP製剤は、例えば、参考文献232及び233に記載されている。
【0197】
ムラミルペプチド
本発明におけるアジュバントとしての使用に好適なムラミルペプチドの例としては、N-アセチル-ムラミル-L-スレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(nor-MDP)、及びN-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1'-2'-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミンMTP-PE)が挙げられる。
【0198】
イミダゾキノロン(imidazoquinolone)化合物。
本発明におけるアジュバントとしての使用に好適なイミダゾキノロン化合物の例としては、イミカモド(Imiquamod)及びそのホモログ(例えば、「Resiquimod 3M」)が挙げられ、これらは、参考文献234及び235にさらに記載されている。
【0199】
チオセミカルバゾン化合物。
チオセミカルバゾン化合物の例、並びに本発明におけるアジュバントとしての使用に全て好適な化合物を製剤化する、製造する、及びスクリーニングする方法としては、参考文献236に記載されたものが挙げられる。チオセミカルバゾンは、サイトカイン、例えば、TNF-αの生成のためのヒト末梢血単核細胞の刺激において特に有効である。
【0200】
トリプタントリン化合物。
トリプタントリン化合物の例、並びに本発明におけるアジュバントとしての使用に全て好適な化合物を製剤化する、製造する、及びスクリーニングする方法としては、参考文献237に記載されたものが挙げられる。トリプタントリン化合物は、サイトカイン、例えば、TNF-αの生成のためのヒト末梢血単核細胞の刺激において特に有効である。
【0201】
本発明はまた、上記に特定されたアジュバントの1種以上の態様の組合せを含み得る。例えば、以下の組合せが、本発明におけるアジュバント組成物として使用され得る:(1)サポニン及び水中油型エマルジョン[238]、(2)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)[239]、(3)サポニン(例えば、QS21)+非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール、(4)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL-12(場合により、+ステロール)[240]、(5)3dMPLと、例えば、QS21及び/又は水中油型エマルジョンとの組合せ[241]、(6)サブミクロンエマルジョンにマイクロフルイダイズされた又はより大きい粒子サイズのエマルジョンを生成するためにボルテックスされた、10%スクアラン、0.4% Tween 80(商標)、5% pluronicブロックポリマーL121、及びthr-MDPを含有するSAF、(7)2%スクアレン、0.2% Tween 80、並びにモノホスホリルリピド(monophosphorylipid)A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、及び細胞壁骨格(CWS)からなる群からの1種以上の細菌細胞壁構成成分、好ましくは、MPL+CWS(Detox(商標))を含有するRibi(商標)アジュバント系(RAS)、(Ribi Immunochem)、並びに(8)1種以上の無機塩(例えば、アルミニウム塩)+LPSの非毒性誘導体(例えば、3dMPL)。
【0202】
免疫刺激剤として作用する他の物質は、参考文献169の第7章に開示されている。
【0203】
アルミニウム塩アジュバントの使用が特に有用であり、抗原は、一般的には、そのような塩に吸着させる。Menjugate(商標)及びNeisVac(商標)コンジュゲートは、水酸化物アジュバントを使用するのに対し、Meningitec(商標)は、リン酸塩アジュバントを使用する。本発明の組成物においては、一部の抗原を水酸化アルミニウムに吸着させ、他の抗原をリン酸アルミニウムと会合させることが可能である。しかしながら、典型的には、単一の塩のみが使用され、例えば、水酸化物又はリン酸塩であり両方ではない。必ずしも全てのコンジュゲートを吸着させる必要はなく、即ち、一部又は全部が溶液中に遊離していてもよい。
【0204】
処置方法
本発明はまた、本発明の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において免疫応答を高めるための方法を提供する。免疫応答は、好ましくは、防御的であり、好ましくは、抗体に関わる。本方法は、ブースター応答を高め得る。
【0205】
哺乳動物は、好ましくは、ヒトである。ワクチンが予防的使用のためのものである場合、ヒトは、好ましくは、小児(例えば、幼児若しくは乳児)又は10代の子供であり、ワクチンが治療的使用のためのものである場合、ヒトは、好ましくは、成人である。小児向けのワクチンはまた、例えば、安全性、投薬量、免疫原性等を評価するために、成人に投与され得る。処置のための好ましいヒトのクラスは、院内感染のリスクのある患者、特に、末期腎疾患を有する患者及び/又は血液透析を受けている患者である。院内感染のリスクのある他の患者、例えば、免疫不全患者又は手術、とりわけ心臓手術、若しくは外傷を受けた患者もまた好ましい。処置のための別の好ましいヒトのクラスは、菌血症のリスクのある患者である。
【0206】
本発明はまた、医薬として使用するための本発明の組成物を提供する。医薬は、好ましくは、哺乳動物において免疫応答を高めることが可能であり(即ち、免疫原性組成物であり)、より好ましくは、ワクチンである。
【0207】
本発明はまた、哺乳動物において免疫応答を高めるための医薬の製造における、本発明のコンジュゲートの使用を提供する。
【0208】
これらの使用及び方法は、好ましくは、S.アガラクチエによって引き起こされる疾患、例えば、新生児敗血症又は菌血症、新生児肺炎、新生児髄膜炎、子宮内膜炎、骨髄炎、敗血症性関節炎等の予防及び/又は処置のためのものである。
【0209】
疾患が予防される対象は、本発明のコンジュゲートを施される対象と同じでない場合もある。例えば、コンジュゲートは、子孫を防御するために、女性(妊娠の前又は間の)に投与され得る(いわゆる、「母体免疫」[242~244])。
【0210】
治療的処置の効力を調べる一手法は、本発明の組成物の投与後に、GBS感染をモニタリングすることを伴う。予防的処置の効力を調べる一手法は、組成物の投与後に、GBS抗原に対する免疫応答をモニタリングすることを伴う。
【0211】
本発明の好ましい組成物は、許容されるパーセンテージのヒト対象に対して、各抗原構成成分に対する血清抗体保有(seroprotection)の基準を上回る、患者における抗体力価を与えることができる。それを超えると宿主が抗原に対してセロコンバージョンを起こすと考えられる関連抗体力価を有する抗原は周知であり、そのような力価は、WHOなどの機関によって公表されている。好ましくは、対象の統計学的に有意なサンプルの80%超、より好ましくは90%超、さらに好ましくは93%超、最も好ましくは96~100%がセロコンバージョンを起こす。
【0212】
本発明の組成物は、一般的には、患者に直接投与される。直接送達は、非経口注射(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、又は組織の間質腔への)によって、又は直腸、経口、膣内、局所、経皮、鼻内、眼内、耳内、肺内、若しくは他の粘膜投与によって達成され得る。大腿部又は上腕への筋肉内投与が好ましい。注射は、針(例えば、皮下注射針)による注射であってもよいが、無針注射を代わりに使用してもよい。典型的な筋肉内用量は、0.5mlである。
【0213】
本発明は、全身性及び/又は粘膜性免疫を誘発するために使用され得る。
【0214】
投薬処置は、単回用量スケジュール又は複数回用量スケジュールであり得る。複数回用量は、一次免疫スケジュール及び/又はブースター免疫スケジュールにおいて使用され得る。一次用量スケジュールに続いて、ブースター用量スケジュールが行われ得る。プライミング用量間(例えば、4~16週の間)、及びプライミングとブースティングの間の好適なタイミングは、慣用的に決定することができる。
【0215】
総論
本発明の実施には、別段の指示がない限り、当業者の技術の範囲内で、化学、生化学、分子生物学、免疫学、及び薬理学の従来の方法が用いられる。そのような技法は、文献において十分に説明されている(例えば、参考文献245~252等)。
【0216】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」並びに「なる(consisting)」を包含し、例えば、X「を含む(comprising)」組成物は、専らXからなっていてもよく、又はX+Yなど、何か追加のものを含んでいてもよい。いくつかの実施態様では、用語「含む(comprising)」は、示された活性薬剤、例えば、記載されたポリペプチドが含まれること、並びに製薬業界で公知であるように、他の活性薬剤及び薬学的に許容される担体、賦形剤、エモリエント、安定剤等が含まれることを指す。いくつかの実施態様では、用語「から本質的になる」は、その活性成分が示された活性成分のみである組成物を指すが、製剤を安定化、保存等するための化合物であるが示された活性成分の治療効果に直接関わらない他の化合物が含まれていてもよい。移行句「本質的になる」の使用は、ある請求項の範囲が、その請求項に記載の特定された材料又は工程、及び特許請求された発明の基本的且つ新規な特徴に著しい影響を及ぼさない材料又は工程を包含すると解釈されるべきことを意味する。In re Herz, 537 F.2d 549、551~52、190 USPQ 461、463(CCPA 1976)を参照されたい、また、MPEP §2111.03も参照されたい。したがって、本発明の請求項において使用される場合、用語「から本質的になる」は、「含む(comprising)」と等価であると解釈されることを意図したものではない。
【0217】
数値xに関する用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
【0218】
単語「実質的に」は、「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてもよい。必要に応じて、単語「実質的に」は、本発明の定義から省略され得る。
【0219】
本発明が複数の逐次的工程を伴うプロセスを提供する場合、本発明はまた、総数よりも少ない工程を伴うプロセスを提供することができる。異なる工程を、極めて異なる時間に、異なる人々によって、異なる場所で(例えば、異なる国で)、実施することができる。
【0220】
糖環が開環型及び閉環型で存在できること、並びに閉環型が本明細書の構造式に示されているが、開環型もまた本発明に包含されることは認識されよう。同様に、糖がピラノース型及びフラノース型で存在できること、及びピラノース型が本明細書の構造式に示されているが、フラノース型もまた包含されることは認識されよう。糖の種々のアノマー型もまた包含される。
【0221】
[実施例]
A.糖類の誘導体化
GBS血清型II及びVの糖類をNaIO
4と反応させて、シアル酸残基のアルデヒド基への酸化を生じさせた。使用するNaIO
4の量を変動させることによって、シアリル部分の酸化の程度を制御した。アルデヒドの還元的アミノ化により、糖類へのシクロオクチン基の結合を容易にする種々のスペーサーを挿入するためのアミン基を得た。
図1に示すように、様々なシクロオクチン含有化合物を試験して、スペーサーの最適な長さを確立した。
【0222】
NMR分光法によって反応をモニタリングし、シアル酸の比色定量を使用して炭水化物回収を定量化した。
図2は、GBS血清型II糖類にシクロオクチン基を結合させるための一般的な反応スキームを示す。
【0223】
この方法を使用して、
図3(シクロオクチン基が結合したGBS血清型V糖類(I))及び
図4(シクロオクチン基が結合したGBS血清型II糖類(II))に示すように、2種の糖類誘導体を生成した。
【0224】
シクロオクチン基が結合したGBS血清型V糖類(I)の合成において使用した各反応物の量は、以下の通りであった:
【0225】
【0226】
シクロオクチン基が結合したGBS血清型II糖類(II)の合成において使用した各反応物の量は、以下の通りであった:
【0227】
【0228】
図10(シクロオクチン基が結合したMenY糖類(III))に示すように、さらなる糖類誘導体を生成した。
【0229】
また、
図1に示したその他2つのシクロアルキン系を使用して、糖類誘導体を合成した。
【0230】
B.コンジュゲートの生成及び精製
PCT/US2012/045549に記載された手順を使用して、チロシンへの部位特異的Mannich型反応によって、タンパク質(GBS60又はGBS67)のコンジュゲーションを可能にするスペーサーを組み込み、末端アジド基に結合した担体タンパク質が得られた。担体タンパク質-アジドを糖類-シクロオクチンと反応させて、アジド-アルキン環化付加反応を生じさせ、担体タンパク質-糖類コンジュゲートが得られた。
図5は、糖類誘導体(II)をチロシン残基を介してGBS80担体タンパク質にコンジュゲーションするための一般的な反応スキームを示す。
【0231】
以下の通り、GBSタンパク質を含有する8種の異なるコンジュゲートを合成した(ここで、「Y」は、チロシン残基を介した担体タンパク質GBS80又はGBS67への結合を表し、「N3」は、トリアゾール連結を表す):
A. GBS80-Y-N3-GBS血清型V糖類
B. GBS80-Y-N3-GBS血清型II糖類
C. GBS67-Y-N3-GBS血清型II糖類
D. GBS67-Y-N3-GBS血清型V糖類
【0232】
コンジュゲートA~Bについては、6:1(w/w)の糖類:タンパク質比で、コンジュゲートC~Dについては、4:1(w/w)の糖類:タンパク質比で、コンジュゲーションを実行した。5mg/mlの濃度のタンパク質(PBS中)を糖類に添加し、それに続いて室温で6~12時間撹拌することにより、コンジュゲートが得られた。ヒドロキシアパタイトカラムを使用してコンジュゲートを精製して、遊離タンパク質(2mM NaPi、pH7.2移動相緩衝液、続いて400mM NaPi、pH7.2移動相緩衝液を用いて)、及び遊離糖類(2mM NaPi、550mM NaCl、pH7.2移動相緩衝液、続いて10mM NaPi、pH7.2移動相緩衝液、続いて35mM NaPi、pH7.2移動相緩衝液、続いて400mM NaPi、pH7.2移動相緩衝液を用いて)を除去した。
【0233】
SDS-PAGE(3~8%)を使用して、コンジュゲートの形成を確認した。コンジュゲートA~DのそれぞれについてのSDS-PAGEによる特徴付けの結果を、それぞれ
図6~9に示す。
【0234】
HPAEC-PAD分析を使用して、コンジュゲートの糖類含量を決定した。コンジュゲートは、以下の特性を有していた:
【0235】
【0236】
CRM197タンパク質を含有するコンジュゲートもまた合成した。特に、糖類誘導体(III)を、以下の通り、CRM197タンパク質にコンジュゲーションした:
【0237】
E.CRM197-Y-N
3-MenY糖類
60当量の糖類誘導体(2.1mg)及び1.5mgのタンパク質を使用して、コンジュゲーションを実行した。SDS-PAGEを使用して、コンジュゲートの形成を確認した。コンジュゲートEについてのSDS-PAGEによる特徴付けの結果を、
図11に示す。
【0238】
C.コンジュゲートを使用した免疫付与研究
様々な抗原の免疫原性を、下記に概説するようにマウスにおいて試験した。
【0239】
V型株を使用したチャレンジモデル
8匹のCD1マウスの群を、AlumOHをアジュバントとして用いて、1.0μg用量の糖類を200μlの注射体積で腹腔内注射することによって免疫付与した。1、21、及び35日目に注射を実行し、1、35、及び49日目に採血を実施した。8匹のマウスの群において、以下の抗原を用いて免疫付与を実行した:(i)PBS、(ii)CRM197-GBS血清型V糖類、(iii)TT-GBS血清型V糖類、(iv)GBS80-GBS血清型V糖類、及び(v)GBS80-Y-N3-GBS血清型V糖類(コンジュゲートA)。コンジュゲート(i)から(iv)は、古典的なコンジュゲーション方法(例えば、参考文献[253]に開示されている)を使用して調製したのに対し、コンジュゲート(v)は、クリック化学を使用して調製した。新生仔を、V型株を用いてチャレンジした。結果を下記に示す:
【0240】
【0241】
II型株を使用したチャレンジモデル
8匹のCD1マウスの群を、AlumOHをアジュバントとして用いて、1.0μg用量の糖類を200μlの注射体積で腹腔内注射することによって免疫付与した。1、21、及び35日目に注射を実行し、1、35、及び49日目に採血を実施した。8匹のマウスの群において、以下の抗原を用いて免疫付与を実行した:(i)PBS、(ii)CRM197-GBS血清型II糖類、(iii)TT-GBS血清型II糖類、(iv)GBS80-GBS血清型II糖類、及び(v)GBS80-Y-N3-GBS血清型II糖類(コンジュゲートB)。コンジュゲート(i)から(iv)は、古典的なコンジュゲーション方法を使用して調製したのに対し、コンジュゲート(v)は、クリック化学を使用して調製した。新生仔を、II型株を用いてチャレンジした。結果を下記に示す:
【0242】
【0243】
これらの結果は、GBS80-Y-N3-GBS血清型II糖類Bにより、古典的なコンジュゲーション方法を使用して得られたCRM197及びGBS80コンジュゲートの場合よりも高いレベルの防御が達成されたことを示す。
【0244】
GBS血清型II糖類抗原に対するIgG力価を決定するためのELISAイムノアッセイ
免疫動物由来の血清中のGBS血清型II糖類に対するIgG力価を、以下のように測定した。マイクロタイタープレートを抗原(例えば、GBS80-Y-N3-GBS血清型II糖類B)で被覆し、プレートを室温で終夜インキュベートし、次いで、洗浄緩衝液(PBS中0.05% Tween 20)中で3回洗浄した。1ウェル当たり250μlのPBS、2% BSA、0.05% Tween 20を分注した後、プレートを37℃で90分インキュベートし、次いで、吸引して被覆後溶液を除去した。試験血清を、PBS、2% BSA、0.05% Tween 20で1:400に希釈した。過免疫血清をプールすることによって、標準血清を調製し、405nmで約2.000の光学密度(OD)が得られるよう標準プールの初期希釈を選択した。プレートを37℃で1時間インキュベートし、次いで、洗浄緩衝液で洗浄し、希釈緩衝液中1:1000のアルカリホスファターゼコンジュゲート抗マウスIgG 100μLを、各ウェルに分注した。プレートを37℃で90分インキュベートし、次いで、洗浄緩衝液で洗浄した。基質緩衝液中4.0mg/mLのp-ニトロフェニルリン酸(p-NPP)の溶液100μLを、各ウェルに分注した。プレートを室温で30分インキュベートし、次いで、EDTA 7%(w/v)二ナトリウム塩+Na2HPO4 3.5% pH8.0の溶液100μLを各ウェルに添加して、酵素反応を停止させた。405nmにおける光学密度(OD)を測定した。Reference Line Assay Methodを使用することによって、GBS血清型II糖類抗原に対する総IgG力価を算出し、結果を任意のELISA単位/mL(EU/mL)として表した。3種の抗原のそれぞれについて、標準血清のIgG力価に、1.0EU/mLの値を任意に割り当てた。標準プールの滴定曲線(偏り及び傾き)を用いて、得られたODを内挿することによって、各血清のIgG力価を推定した。
【0245】
結果を、
図12(1.0μgの炭水化物用量の場合)、
図13(0.5μgの炭水化物用量の場合)、及び
図14(1.0μgのタンパク質用量の場合)に示す。1.0μgの炭水化物用量では、GBS80-Y-N
3-GBS血清型II糖類BのIgG力価は、古典的なコンジュゲーション方法を使用して得られたCRM197及びGBS80コンジュゲートと統計的に差がない。0.5μgの炭水化物用量では、GBS80-Y-N
3-GBS血清型II糖類BのIgG力価は、全ての新たなコンジュゲート及び対照と統計的に差がない。
【0246】
オプソニン化貪食作用アッセイ
標的細胞としてのGBS株と、100mM N,Nジメチルホルムアミド(Sigma)を成長培地に4日間添加することによって顆粒球様細胞へと分化させた、HL-60細胞株(ATCC、CCL-240)とを使用して、オプソニン化貪食作用アッセイを実施した。中対数期の(mid-exponential)細菌細胞を、食細胞、10%幼若ウサギ補体(Cedarlane)、及び熱不活化マウス抗血清の存在下で、37℃で1時間インキュベートした。陰性対照は、免疫前血清を含む、又はHL-60を含まない、又は熱不活化補体を含むいずれかの反応からなっていた。ゼロ時点のCFU数の対数から、1時間のアッセイ後の生存コロニー数の対数を引くことによって、オプソニン化貪食作用による殺滅の量を決定した。実験の結果を、
図15及び下記に示す:
【0247】
【0248】
GBS80-Y-N3-GBS血清型II糖類BのOPKA及びIgG力価は、古典的なコンジュゲーション方法を使用して得られたCRM197及びGBS80コンジュゲートと統計的に同等である。OPKA及びIgG力価は、チャレンジ動物モデルにおける生存%と良好な相関を示す。
【0249】
種々の糖類:タンパク質比で調製されたコンジュゲートの免疫原性
種々の糖類:タンパク質比を有するコンジュゲートを用いて、GBS血清型II糖類(1.0μgのタンパク質用量を有する)に対する免疫応答を評価した。結果を、
図16及び下記に示す:
【0250】
【0251】
また、種々の糖類:タンパク質比を有するコンジュゲートを用いて、GBS80(1.0μgのタンパク質用量を有する)に対する免疫応答を評価した。結果を、
図17及び下記に示す:
【0252】
【0253】
抗リンカー抗体の存在の評価
MenY二量体のCRM197へのチロシン選択的コンジュゲーションによって、構築物を調製した(
図18)。リンカーに対する低レベルの抗体が見出された。
【0254】
本発明を単に例として記載してきたこと、並びに本発明の範囲及び趣旨の範囲内にとどまりながら改変を加え得ることは理解されよう。
【0255】
実施形態
本発明は、以下の番号を付した実施形態を含む。
【0256】
1. 糖類に8員シクロアルキン基を結合させることを含む、糖類を誘導体化する方法。
【0257】
2. 8員シクロアルキン基が、シクロプロパン基と縮合している、実施形態1に記載の方法。
【0258】
3. 8員シクロアルキン基が、2個のベンゼン基と縮合している、実施形態1に記載の方法。
【0259】
4. 8員シクロアルキン基が、シクロオクチン基である、実施形態1に記載の方法。
【0260】
5. 糖類が、莢膜糖類である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0261】
6. 糖類が、GBS莢膜糖類である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0262】
7. 糖類が、血清型Ia、Ib、II、III、又はV由来のGBS糖類である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0263】
8. 糖類が、血清型II又はV由来のGBS糖類である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0264】
9. 8員シクロアルキン基が、スペーサーを介して糖類に結合される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0265】
10. 8員シクロアルキン基が、スペーサーの末端にある、実施形態9に記載の方法。
【0266】
11. スペーサーの他方の末端が、糖類に結合するための官能基を有する、実施形態10に記載の方法。
【0267】
12. 結合が、式X1-L-X2(式中、X1は、8員シクロアルキン基であり、X2-Lは、スペーサーであり、ここで、X2は、糖類の官能基と反応できる任意の基であり、Lは、スペーサー中の連結部分である)を有する化合物を使用して実行される、実施形態11に記載の方法。
【0268】
13. X2が、N-オキシスクシンイミドである、実施形態12に記載の方法。
【0269】
14. Lが、式-L3-L2-L1-(式中、L1は、カルボニルであり、L2は、1から10個の炭素原子を有する直鎖アルキルであり、又はL2は、存在せず、L3は、-NHC(O)-、カルボニル、又は-O(CH3)-である)を有する、実施形態12又は13に記載の方法。
【0270】
15. 式X1-L-X2を有する化合物が、
【0271】
【化20】
である、実施形態12から14のいずれか1つに記載の方法。
【0272】
16. 式X1-L-X2を有する化合物が、
【0273】
【化21】
である、実施形態12から14のいずれか1つに記載の方法。
【0274】
17. 式X1-L-X2を有する化合物が、
【0275】
【化22】
である、実施形態12から14のいずれか1つに記載の方法。
【0276】
18. 8員シクロアルキン基を含む糖類誘導体。
【0277】
19. 8員シクロアルキン基が、シクロオクチン基である、実施形態18に記載の糖類誘導体。
【0278】
20. 実施形態1から17のいずれか1つに記載の方法によって得ることが可能な、実施形態18に記載の糖類誘導体。
【0279】
21. 8員シクロアルキン基とアジドとを反応させて、トリアゾール連結を形成することを含む、実施形態18から20のいずれか1つに記載の糖類誘導体をアジド含有部分にコンジュゲーションする方法。
【0280】
22. 糖類誘導体が、実施形態1から17のいずれか1つに記載の方法に従って生成される、実施形態21に記載の方法。
【0281】
23. 金属触媒の非存在下で実行される、実施形態21又は実施形態22に記載の方法。
【0282】
24. コンジュゲーションが、[3+2]環化付加反応によって行われる、実施形態21から23のいずれか1つに記載の方法。
【0283】
25. アジド含有部分が、担体分子である、実施形態21から25のいずれか1つに記載の方法。
【0284】
26. 担体分子が、タンパク質である、実施形態25に記載の方法。
【0285】
27. タンパク質が、GBSタンパク質である、実施形態26に記載の方法。
【0286】
28. GBSタンパク質が、GBS67又はGBS80である、実施形態27に記載の方法。
【0287】
29. アジド含有部分が、スペーサーを含む、実施形態21から28のいずれか1つに記載の方法。
【0288】
30. アジド含有部分が、以下の構造:
【0289】
【化23】
を有する少なくとも1個の誘導体化チロシン残基を含有する担体タンパク質であり、アジドが、3H-1,2,4-トリアゾール-3,5(4H)-ジオンを介して結合している、実施形態29に記載の方法。
【0290】
31. アジドが、アジド含有部分における末端基として存在する、実施形態21から30のいずれか1つに記載の方法。
【0291】
32. アジド含有部分が、以下の構造:
【0292】
【化24】
を有する少なくとも1個の誘導体化チロシン残基を含有する担体タンパク質である、実施形態31に記載の方法。
【0293】
33. 実施形態18から20のいずれか1つに記載の糖類誘導体及びアジド含有部分のコンジュゲートであって、式R-S-T(式中、Rは、糖類誘導体の残基を含み、Sは、8員シクロアルキル基と縮合したトリアゾール基であり、Tは、アジド含有部分の残基を含む)を有する、コンジュゲート。
【0294】
34. 糖類とSの間の糖類誘導体の残基中にスペーサーを含む、実施形態33に記載のコンジュゲート。
【0295】
35. スペーサーが、式-NH-C(O)-(CH2)n-NH-C(O)-(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である)を有する、実施形態34に記載のコンジュゲート。
【0296】
36. nが、5である、実施形態35に記載のコンジュゲート。
【0297】
37. アジド含有部分とSの間のアジド含有部分の残基中にスペーサーを含む、実施形態33から36のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0298】
38. スペーサーが、式-[(CH2)2O]n-(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である)を有する、実施形態37に記載のコンジュゲート。
【0299】
39. nが、3である、実施形態38に記載のコンジュゲート。
【0300】
40. 糖類とSの間の糖類誘導体の残基中にスペーサーを含み、アジド含有部分とSの間のアジド含有部分の残基中にスペーサーを含む、実施形態33から39のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0301】
41. R-S-Tが、
【0302】
【化25】
である、実施形態33から40のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0303】
42. R-S-Tが、
【0304】
【化26】
である、実施形態33から40のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0305】
43. R-S-Tが、
【0306】
【化27】
である、実施形態33から40のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0307】
44. 実施形態21から32のいずれか1つに記載の方法によって得ることが可能な、実施形態33から43のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0308】
45. 本発明のコンジュゲートを、薬学的に許容される担体と組み合わせて含む、医薬組成物。
【0309】
46. 実施形態33から43のいずれか1つに記載のコンジュゲート又は医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において免疫応答を高めるための方法。
【0310】