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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】曲管の製造装置、及び曲管の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 9/00 20060101AFI20220308BHJP
   B21D 9/04 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B21D9/00 A
B21D9/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020071656
(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公開番号】P2021167015
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 広夫
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-234723(JP,A)
【文献】実開昭52-27515(JP,U)
【文献】特開2007-319904(JP,A)
【文献】特開平10-71430(JP,A)
【文献】米国特許第5937686(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 9/00
B21D 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配管と、前記第1配管が内部に配置された第2配管とを備える二重管を曲げて曲管を得る曲管の製造装置であって、
前記第1配管の内部に配置されるように構成された内側芯金と、
前記第1配管と前記第2配管との間に配置されるように構成された中間芯金と、
前記内側芯金及び前記中間芯金が配置された前記二重管を曲げるように構成された曲げ型と、
を備え、
前記中間芯金は、
筒状の中間芯金本体と、
前記中間芯金本体の軸方向における端部に連結されると共に、前記中間芯金本体の中心軸と直交する第1中間揺動軸を中心に前記中間芯金本体に対して揺動する筒状の第1中間可動部と、
を有し、
前記中間芯金本体のうち前記曲げ型による前記二重管の曲げ時に前記第1中間可動部に近接する第1近接部の端縁は、前記第2配管のうち前記中間芯金と接触する部分における前記第2配管の中心軸と直交する仮想面と交差する、曲管の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の曲管の製造装置であって、
前記第1近接部は、前記第1中間可動部に向かって前記中間芯金本体の軸方向に突出する、曲管の製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の曲管の製造装置であって、
前記第1近接部は、突出端に向かって前記中間芯金本体の周方向における幅が小さくなる、曲管の製造装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の曲管の製造装置であって、
前記中間芯金は、前記第1中間可動部を挟んで前記中間芯金本体とは反対側において前記第1中間可動部に連結されると共に、前記第1中間可動部の中心軸と直交する第2中間揺動軸を中心に前記第1中間可動部に対して揺動する筒状の第2中間可動部をさらに有し、
前記第1中間可動部のうち前記曲げ型による前記二重管の曲げ時に前記第2中間可動部に近接する第2近接部の端縁は、前記第2配管のうち前記中間芯金と接触する部分における前記第2配管の中心軸と直交する仮想面と交差する、曲管の製造装置。
【請求項5】
第1配管と、前記第1配管が内部に配置された第2配管とを備える二重管を曲げて曲管を得る曲管の製造方法であって、
前記第1配管の内部に内側芯金を配置すると共に、前記第1配管と前記第2配管との間に中間芯金を配置する工程と、
前記内側芯金及び前記中間芯金が配置された前記二重管を曲げる工程と、
を備え、
前記中間芯金は、
筒状の中間芯金本体と、
前記中間芯金本体の軸方向における端部に連結されると共に、前記中間芯金本体の中心軸と直交する第1中間揺動軸を中心に前記中間芯金本体に対して揺動する筒状の第1中間可動部と、
を有し、
前記中間芯金本体のうち前記二重管の曲げ時に前記第1中間可動部に近接する第1近接部の端縁は、前記第2配管のうち前記中間芯金と接触する部分における前記第2配管の中心軸と直交する仮想面と交差する、曲管の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、曲管の製造装置、及び曲管の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に芯金(つまりマンドレル)を入れた二重管に外側から曲げ型を押し当てることで曲管を得る方法が知られている(特許文献1参照)。内管と外管との間に配置される中間芯金は、芯金本体と、芯金本体に対し揺動可能に連結された可動部とから構成される。
【0003】
上記方法では、中間芯金の可動部が配管を曲げる際に配管に追従して動くことで、配管の曲げ形状が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭60-234723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の芯金を用いた曲げ加工では、曲げの内側において、中間芯金の芯金本体と可動部とによって内管が軸方向に圧縮される。そのため、内管に軸方向の圧縮による座屈(つまりシワ)が生じやすい。
【0006】
本開示の一局面は、二重管を曲げる際の座屈を抑制できる曲管の製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、第1配管と、第1配管が内部に配置された第2配管とを備える二重管を曲げて曲管を得る曲管の製造装置である。曲管の製造装置は、第1配管の内部に配置されるように構成された内側芯金と、第1配管と第2配管との間に配置されるように構成された中間芯金と、内側芯金及び中間芯金が配置された二重管を曲げるように構成された曲げ型と、を備える。
【0008】
中間芯金は、筒状の中間芯金本体と、中間芯金本体の軸方向における端部に連結されると共に、中間芯金本体の中心軸と直交する第1中間揺動軸を中心に中間芯金本体に対して揺動する筒状の第1中間可動部と、を有する。中間芯金本体のうち曲げ型による二重管の曲げ時に第1中間可動部に近接する第1近接部の端縁は、第2配管のうち中間芯金と接触する部分における第2配管の中心軸と直交する仮想面と交差する。
【0009】
このような構成によれば、中間芯金本体における第1近接部の端縁が二重管の周方向に対して非平行な形状となるため、第1配管の曲げの内側が中間芯金本体と第1中間可動部とに挟まれることで発生する軸方向の圧縮力が、第1配管の周方向に分散される。その結果、二重管を曲げる際の第1配管における座屈の発生が抑制される。
【0010】
本開示の一態様では、第1近接部は、第1中間可動部に向かって中間芯金本体の軸方向に突出してもよい。このような構成によれば、二重管の曲げ時に、中間芯金本体の第1近接部が第1配管の座屈発生部分を押圧するため、座屈の発生がより的確に抑制される。
【0011】
本開示の一態様では、第1近接部は、突出端に向かって中間芯金本体の周方向における幅が小さくなってもよい。このような構成によれば、第1近接部による圧縮力の分散効果が高められる。その結果、座屈の発生抑制効果が促進される。
【0012】
本開示の一態様では、中間芯金は、第1中間可動部を挟んで中間芯金本体とは反対側において第1中間可動部に連結されると共に、第1中間可動部の中心軸と直交する第2中間揺動軸を中心に第1中間可動部に対して揺動する筒状の第2中間可動部をさらに有してもよい。第1中間可動部のうち曲げ型による二重管の曲げ時に第2中間可動部に近接する第2近接部の端縁は、第2配管のうち中間芯金と接触する部分における第2配管の中心軸と直交する仮想面と交差してもよい。このような構成によれば、曲げ角度の大きい曲管を製造する場合の座屈の発生を的確に抑制できる。
【0013】
本開示の別の態様は、第1配管と、第1配管が内部に配置された第2配管とを備える二重管を曲げて曲管を得る曲管の製造方法である。曲管の製造方法は、第1配管の内部に内側芯金を配置すると共に、第1配管と第2配管との間に中間芯金を配置する工程と、内側芯金及び中間芯金が配置された二重管を曲げる工程と、を備える。
【0014】
中間芯金は、筒状の中間芯金本体と、中間芯金本体の軸方向における端部に連結されると共に、中間芯金本体の中心軸と直交する第1中間揺動軸を中心に中間芯金本体に対して揺動する筒状の第1中間可動部とを有する。中間芯金本体のうち二重管の曲げ時に第1中間可動部に近接する第1近接部の端縁は、第2配管のうち中間芯金と接触する部分における第2配管の中心軸と直交する仮想面と交差する。
【0015】
このような構成によれば、第1配管の曲げの内側において発生する軸方向の圧縮力が周方向に分散されるため、二重管を曲げる際の第1配管における座屈の発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態における曲管の製造装置の模式図である。
図2図2Aは、図1の曲管の製造装置における内側芯金の模式的な側面図であり、図2Bは、図2Aの内側芯金の中央断面図である。
図3図3Aは、図2Aの曲管の製造装置における中間芯金の模式的な平面図であり、図3Bは、図3AのIIIB-IIIB線での模式的な断面図である。
図4図4Aは、図3Aの中間芯金の中間芯金本体の模式的な斜視図であり、図4Bは、図4Aの中間芯金本体の模式的な平面図である。
図5図5Aは、図3Aの中間芯金の第1中間可動部の模式的な斜視図であり、図5Bは、図5Aの第1中間可動部の模式的な平面図である。
図6図6Aは、図3Aの中間芯金の第2中間可動部の模式的な斜視図であり、図6Bは、図6Aの第2中間可動部の模式的な平面図である。
図7図7は、実施形態における曲管の製造方法のフロー図である。
図8図8Aは、図7の曲管の製造方法の手順を説明する模式図であり、図8Bは、図8Aの次の手順を説明する模式図である。
図9図9Aは、図8Bの次の手順を説明する模式図であり、図9Bは、図9Aの次の手順を説明する模式図である。
図10図10A-10Kは、図3Aとは異なる実施形態における近接部の形状のパターンを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す曲管の製造装置1(以下、単に「製造装置1」ともいう。)は、直管を曲げて曲管を得る装置である。
【0018】
本実施形態の製造装置1は、第1配管101と、第2配管102とを備える二重管110から曲管を製造する。第2配管102は、第1配管101の外周面を囲うように配置されている。つまり、第1配管101は、第2配管102の内部に配置されている。
【0019】
第1配管101と第2配管102とは、二重管110の第1端部111にて接合されている。一方、第1端部111と反対側の第2端部112では、第1配管101と第2配管102とは接合されていない。
【0020】
第1配管101及び第2配管102の中心軸と垂直な断面の外形は、それぞれ円形である。本実施形態では、第1配管101の中心軸と第2配管102の中心軸とは一致しているが、第1配管101の中心軸と第2配管102の中心軸とは一致しなくてもよい。
【0021】
製造装置1は、第1配管101と第2配管102との間の隙間を確保しつつ、第1配管101と第2配管102とを同時に曲げることで、湾曲した二重管110を得る。
製造装置1は、内側芯金2と、中間芯金3と、曲げ型5とを備える。
【0022】
<内側芯金>
図2Aに示すように、内側芯金2は、第1配管101の内部に配置されるように構成されている。図2Bに示すように、内側芯金2は、内側芯金本体21と、第1内側可動部22と、第2内側可動部23とを有する。
【0023】
(内側芯金本体)
内側芯金本体21は、円筒状又は円柱状の部材である。内側芯金本体21は、二重管110のストレート部(つまり曲げられない部分)に配置される。
【0024】
内側芯金本体21の外径は、軸方向に沿って一定である。内側芯金本体21の外径は、第1配管101の内径とおおむね等しい。内側芯金本体21の軸方向における長さは、第1内側可動部22及び第2内側可動部23の軸方向における長さよりも大きい。
【0025】
(第1内側可動部)
第1内側可動部22は、内側芯金本体21の軸方向における一方の端部に連結された円筒状又は円柱状の部材である。
【0026】
第1内側可動部22は、内側芯金本体21の中心軸と直交する第1内側揺動軸L11を中心に内側芯金本体21に対し揺動する。第1内側揺動軸L11は、内側芯金本体21の中心軸を含む直線と、第1内側可動部22の中心軸を含む直線との交点を通る。
【0027】
第1内側可動部22の一部は、内側芯金本体21の内部に保持されている。第1内側揺動軸L11は、内側芯金本体21の内部に位置する。
【0028】
(第2内側可動部)
第2内側可動部23は、第1内側可動部22を挟んで内側芯金本体21とは反対側において第1内側可動部22に連結された円筒状又は円柱状の部材である。
【0029】
第2内側可動部23は、第1内側可動部22の第1内側揺動軸L11と平行な第2内側揺動軸L12を中心に第1内側可動部22に対し揺動する。第2内側揺動軸L12は、第1内側可動部22の中心軸を含む直線と、第2内側可動部23の中心軸を含む直線との交点を通る。
【0030】
第2内側可動部23の一部は、第1内側可動部22の内部に保持されている。第2内側揺動軸L12は、第1内側可動部22の内部に位置する。
【0031】
<中間芯金>
図1に示される中間芯金3は、第1配管101と第2配管102との間に配置されるように構成されている。
【0032】
中間芯金3は、二重管110の曲げ部分において、内側芯金本体21と共に第1配管101を径方向に挟むように配置される。また、中間芯金3は、第1配管101と第2配管102とによって第1配管101の径方向に挟まれる。
【0033】
図3A,3Bに示すように、中間芯金3は、中間芯金本体31と、第1中間可動部32と、第2中間可動部33とを有する。
【0034】
(中間芯金本体)
図4Aに示すように、中間芯金本体31は、円筒状の部材である。中間芯金本体31は、二重管110のストレート部に配置される。
【0035】
中間芯金本体31の内径及び外径は、軸方向に沿って一定である。中間芯金本体31の内径は、第1配管101の外径とおおむね等しい。中間芯金本体31の外径は、第2配管102の内径とおおむね等しい。中間芯金本体31の軸方向における長さは、第1中間可動部32及び第2中間可動部33の軸方向における長さよりも大きい。
【0036】
中間芯金本体31は、軸方向における一方の第1端部31Aに設けられた2つの被係合部31Bを有する。被係合部31Bは、中間芯金本体31の軸方向の内側に向かって凹んだ切欠きである。
【0037】
図4Bに示すように、中間芯金本体31のうち、曲げ型5による二重管110の曲げ時に第1中間可動部32に近接する第1近接部31Cの端縁は、第2配管102のうち第1近接部31Cと接触する部分における第2配管102の中心軸(つまり中間芯金本体31の中心軸C1)と直交する仮想面Sと交差する。
【0038】
具体的には、第1近接部31Cは、第1端部31Aの一部である。第1近接部31Cは、後述する第1中間揺動軸L21と中間芯金本体31の中心軸C1とに直交する方向から視て、中間芯金本体31の中心軸C1と重なっている。第1近接部31Cは、二重管110の曲げ時に曲げの内側に配置される。
【0039】
第1近接部31Cは、第1中間可動部32に向かって中間芯金本体31の軸方向に突出した舌片状の部位である。第1近接部31Cは、第1端部31Aの中で最も軸方向に突出している。また、第1近接部31Cは、突出端に向かって(つまり第1中間可動部32に近づくに連れて)中間芯金本体31の周方向における幅が滑らかに小さくなっている。第1近接部31Cの端縁は、円弧を繋いだ曲線で構成されている。
【0040】
(第1中間可動部)
図3Bに示す第1中間可動部32は、中間芯金本体31の第1端部31Aに直接連結された円筒状の部材である。
【0041】
第1中間可動部32は、中間芯金本体31の中心軸C1と直交する第1中間揺動軸L21を中心に中間芯金本体31に対し揺動する。第1中間揺動軸L21は、中間芯金本体31の中心軸C1を含む直線と、第1中間可動部32の中心軸C2を含む直線との交点を通る。
【0042】
図5Aに示すように、第1中間可動部32は、リング部32Aと、2つの係合部32Bと、2つの被係合部32Cとを有する。リング部32Aは、第1中間可動部32の軸方向において内径及び外径が一定である。
【0043】
2つの係合部32Bは、それぞれリング部32Aから中間芯金本体31に向かって突出している。2つの係合部32Bは、第1中間可動部32の径方向に対向している。2つの係合部32Bは、それぞれ、中間芯金本体31の被係合部31Bに揺動可能に係合している。
【0044】
2つの被係合部32Cは、それぞれ、リング部32Aの係合部32Bとは反対側の端部に設けられている。被係合部32Cは、第1中間可動部32の軸方向の内側に向かって凹んだ切欠きである。
【0045】
図5Bに示すように、第1中間可動部32のうち曲げ型5による二重管110の曲げ時に第2中間可動部33に近接する第2近接部32Dの端縁は、第2配管102のうち第2近接部32Dと接触する部分における第2配管102の中心軸(つまり第1中間可動部32の中心軸C2)と直交する仮想面Sと交差する。
【0046】
具体的には、第2近接部32Dは、リング部32Aのうち被係合部32Cが設けられた端部の一部である。第2近接部32Dは、後述する第2中間揺動軸L22と第1中間可動部32の中心軸C2とに直交する方向から視て、第1中間可動部32の中心軸C2と重なっている。第2近接部32Dは、二重管110の曲げ時に曲げの内側に配置される。
【0047】
第2近接部32Dは、第2中間可動部33に向かって第1中間可動部32の軸方向に突出した舌片状の部位である。また、第2近接部32Dは、突出端に向かって(つまり第2中間可動部33に近づくに連れて)第1中間可動部32の周方向における幅が滑らかに小さくなっている。第2近接部32Dの端縁は、円弧を繋いだ曲線で構成されている。
【0048】
第1中間可動部32のうち曲げ型5による二重管110の曲げ時に中間芯金本体31の第1近接部31Cに近接する第3近接部32Eの端縁は、第2配管102のうち第3近接部32Eと接触する部分における第2配管102の中心軸と直交する仮想面Sと、交差する。
【0049】
具体的には、第3近接部32Eは、リング部32Aのうち係合部32Bが設けられた端部の一部である。第3近接部32Eは、第1中間揺動軸L21と第1中間可動部32の中心軸C2とに直交する方向から視て、第1中間可動部32の中心軸C2と重なっている。第3近接部32Eは、二重管110の曲げ時に曲げの内側に配置される。
【0050】
第3近接部32Eは、中間芯金本体31から離れるように第1中間可動部32の軸方向に凹んでいる。また、第3近接部32Eは、中間芯金本体31から離れるに連れて第1中間可動部32の周方向における凹部の幅が滑らかに小さくなっている。第3近接部32Eの端縁は、円弧を繋いだ曲線で構成されている。
【0051】
第3近接部32Eは、二重管110の曲げ時に第1近接部31Cと当接せず、かつ、第1近接部31Cとの隙間が大きくならない形状とされている。第3近接部32Eの端縁は、第1近接部31Cの端縁と略相似形である。
【0052】
(第2中間可動部)
図3Bに示す第2中間可動部33は、第1中間可動部32を挟んで中間芯金本体31とは反対側において第1中間可動部32に直接連結された円筒状の部材である。
【0053】
第2中間可動部33は、第1中間可動部32の第1中間揺動軸L21と平行な第2中間揺動軸L22を中心に第1中間可動部32に対し揺動する。第2中間揺動軸L22は、第1中間可動部32の中心軸C2を含む直線と、第2中間可動部33の中心軸C3を含む直線との交点を通る。
【0054】
図6Aに示すように、第2中間可動部33は、リング部33Aと、2つの係合部33Bとを有する。リング部33Aは、第2中間可動部33の軸方向において内径及び外径が一定である。
【0055】
2つの係合部33Bは、それぞれリング部33Aから第1中間可動部32に向かって突出している。2つの係合部33Bは、第2中間可動部33の径方向に対向している。2つの係合部33Bは、それぞれ、第1中間可動部32の端部に設けられた被係合部32Cに揺動可能に係合している。
【0056】
第2中間可動部33のうち曲げ型5による二重管110の曲げ時に第1中間可動部32の第2近接部32Dに近接する第4近接部33Cの端縁は、第2配管102のうち第4近接部33Cと接触する部分における第2配管102の中心軸(つまり第2中間可動部33の中心軸C3)と直交する仮想面Sと交差する。
【0057】
具体的には、第4近接部33Cは、リング部33Aのうち係合部33Bが設けられた端部の一部である。第4近接部33Cは、第2中間揺動軸L22と第2中間可動部33の中心軸C3とに直交する方向から視て、第2中間可動部33の中心軸C3と重なっている。第4近接部33Cは、二重管110の曲げ時に曲げの内側に配置される。
【0058】
第4近接部33Cは、第1中間可動部32から離れるように第2中間可動部33の軸方向に凹んでいる。また、第4近接部33Cは、第1中間可動部32から離れるに連れて第2中間可動部33の周方向における凹部の幅が滑らかに小さくなっている。第4近接部33Cの端縁は、円弧を繋いだ曲線で構成されている。
【0059】
第4近接部33Cは、二重管110の曲げ時に第2近接部32Dと当接せず、かつ、第2近接部32Dとの隙間が大きくならない形状とされている。第4近接部33Cの端縁は、第2近接部32Dの端縁と略相似形である。
【0060】
<曲げ型>
図1に示す曲げ型5は、内側芯金2と中間芯金3とが配置された領域において二重管110を曲げるように構成されている。
【0061】
具体的には、曲げ型5は、内側芯金2と中間芯金3と共に、第1配管101及び第2配管102を径方向に挟みながら回転及び移動することで、第1配管101及び第2配管102を曲げる。曲げ型5は、回転部51と、クランプ部52と、滑り部53と、送り部54とを有する。
【0062】
回転部51は、二重管110の曲げ部分の径方向外側に配置される。回転部51は、チャック部51Aを二重管110の外周面に押し当てた状態で回転軸Pを中心に回転するように構成されている。回転部51の回転軸Pは、第1内側可動部22の第1内側揺動軸L11と平行である。
【0063】
回転部51は、第1内側可動部22及び第2内側可動部23に第1配管101の内面を押し当てると共に、第1中間可動部32及び第2中間可動部33に第2配管102の内面を押し当てるように構成されている。
【0064】
クランプ部52は、二重管110を挟んで回転部51とは反対側に配置されている。クランプ部52は、回転部51のチャック部51Aと共に二重管110を挟持するように構成されている。クランプ部52は、回転部51の回転に伴って回転部51の回転軸Pを中心に揺動する。
【0065】
滑り部53は、回転部51に隣接して配置されている。滑り部53は、曲げ加工時に、二重管110のストレート部の外周面と摺動することで二重管110を回転部51の回転方向に沿って送るガイドの機能を奏する。
【0066】
送り部54は、二重管110を挟んで滑り部53とは反対側、かつクランプ部52に隣接する位置に配置されている。送り部54は、二重管110のストレート部を径方向に押圧しながら中心軸に沿って移動するように構成されている。送り部54は、二重管110を滑り部53に押し付けながら、二重管110を回転部51に向けて送り出す。
【0067】
[1-2.製造方法]
以下では、図1の曲管の製造装置1を用いた曲管の製造方法について説明する。図7に示すように、本実施形態の曲管の製造方法は、配置工程S10と、曲げ工程S20と、取り出し工程S30とを備える。
【0068】
<配置工程>
本工程では、第1配管101の内部に内側芯金2を配置すると共に、第1配管101と第2配管102との間に中間芯金3を配置する。具体的には、曲げ型5の回転部51とクランプ部52との間に保持された内側芯金2と中間芯金3に対し、二重管110を軸方向に挿入する。
【0069】
本工程では、内側芯金2は、内側芯金本体21、第1内側可動部22及び第2内側可動部23の中心軸が同一直線上になるように保持されている。同様に、中間芯金3は、中間芯金本体31、第1中間可動部32及び第2中間可動部33の中心軸が同一直線上になるように保持されている。
【0070】
また、第1内側可動部22は、第1配管101の径方向において中間芯金3と重なるように配置される。第2内側可動部23は、少なくとも一部が第1配管101の径方向において中間芯金3と重なるように配置される。
【0071】
<曲げ工程>
本工程では、二重管110のうち内側芯金2及び中間芯金3が配置された領域において、曲げ型5により第1配管101及び第2配管102を曲げる。
【0072】
具体的には、まず、図8Aに示すように、クランプ部52及び送り部54によって、内側芯金2及び中間芯金3が内部に配置された二重管110を径方向に加圧する。これにより、二重管110は、内側芯金2と中間芯金3と共に回転部51に向かって径方向にスライドする。二重管110は、クランプ部52によって回転部51のチャック部51Aに押し付けられると共に、送り部54によって滑り部53に押し付けられる。
【0073】
次に、図8Bに示すように、回転部51をチャック部51Aが滑り部53から離間する方向に(つまり第1端部111に向けて)回転させると共に、クランプ部52を追う方向に送り部54をスライドさせる。
【0074】
これにより、チャック部51Aとクランプ部52とが二重管110を挟みながら第1端部111に向かって二重管110の外周面上を摺動する。その結果、二重管110のチャック部51Aとクランプ部52とに挟まれた部分が、回転部51の回転軸Pを中心に湾曲するように塑性変形する。
【0075】
回転部51の回転による二重管110の曲げに合わせて、第1内側可動部22は、内側芯金本体21に対し揺動する。同様に、回転部51の回転による二重管110の曲げに合わせて、第2内側可動部23は、第1内側可動部22に対し揺動する。
【0076】
回転部51の回転による二重管110の曲げに合わせて、第1中間可動部32及び第2中間可動部33は、それぞれ、曲げの内側において軸方向の隙間がなくなるように揺動する。つまり、湾曲した第2配管102の内部において、第1中間可動部32及び第2中間可動部33は、曲げの内側にて第1配管101の外面と対向する領域に隙間が生じない位置に移動する。
【0077】
内側芯金本体21及び中間芯金本体31は、曲げ工程中移動しないように保持される。したがって、二重管110は、内側芯金2と中間芯金3とに摺動しつつ、クランプ部52の移動方向に伸びながら移動する。
【0078】
<取り出し工程>
本工程では、曲げ加工後の二重管110を内側芯金2、中間芯金3及び曲げ型5から取り出す。
【0079】
具体的には、まず、図9Aに示すように、内側芯金2及び中間芯金3を二重管110の曲げ部分と重ならない位置まで引き戻した後に、クランプ部52及び送り部54を二重管110から径方向に離間させると共に、二重管110を回転部51及び滑り部53からも離間させる。
【0080】
最後に、図9Bに示すように、内側芯金2、中間芯金3及び曲げ型5を初期位置(つまり二重管110が挿入可能な位置)に戻す。
【0081】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)中間芯金本体31における第1近接部31Cの端縁が二重管110の周方向に対して非平行な形状となるため、第1配管101の曲げの内側が中間芯金本体31と第1中間可動部32とに挟まれることで発生する軸方向の圧縮力が、第1配管101の周方向に分散される。その結果、二重管110を曲げる際の第1配管101における座屈の発生が抑制される。
【0082】
(1b)第1近接部31Cが第1中間可動部32に向かって突出することで、二重管110の曲げ時に、中間芯金本体31の第1近接部31Cが第1配管101の座屈発生部分を押圧するため、座屈の発生がより的確に抑制される。
【0083】
(1c)突出端に向かって中間芯金本体31の周方向における第1近接部31Cの幅が小さくなることで、第1近接部31Cによる圧縮力の分散効果が高められる。その結果、座屈の発生抑制効果が促進される。
【0084】
(1d)中間芯金3が第2中間可動部33を有すると共に、第2中間可動部33の第2近接部32Dが中間芯金3と接触する部分における第2配管102の中心軸と直交する仮想面と交差することで、曲げ角度の大きい曲管を製造する場合の座屈の発生を的確に抑制できる。
【0085】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0086】
(2a)上記実施形態の曲管の製造装置において、第1近接部は、必ずしも突出端に向かって幅が小さくならなくてもよい。また、第1近接部は、必ずしも第1中間可動部に向かって突出しなくてもよい。第2近接部についても同様である。
【0087】
例えば、図10A-10Kに示す近接部131の形状が第1近接部又は第2近接部として適用でき、図10A-10Kに示す近接部132の形状が第3近接部又は第4近接部として適用できる。
【0088】
(2b)上記実施形態の曲管の製造装置において、内側芯金は、1つ又は3つ以上の内側可動部を有してもよい。また、中間芯金は、1つ又は3つ以上の中間可動部を有してもよい。
【0089】
(2c)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0090】
1…曲管の製造装置、2…内側芯金、3…中間芯金、5…曲げ型、
21…内側芯金本体、22…第1内側可動部、23…第2内側可動部、
31…中間芯金本体、31A…第1端部、31B…被係合部、31C…第1近接部、
32…第1中間可動部、32A…リング部、32B…係合部、32C…被係合部、
32D…第2近接部、32E…第3近接部、33…第2中間可動部、
33A…リング部、33B…係合部、33C…第4近接部、51…回転部、
51A…チャック部、52…クランプ部、53…滑り部、54…送り部、
101…第1配管、102…第2配管、110…二重管、111…第1端部、
112…第2端部、131,132…近接部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10