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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】複層オープンテラス構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 3/02 20060101AFI20220308BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
E04H3/02 C
E04B1/00 501B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020150699
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2020-09-08
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518348919
【氏名又は名称】亀井 正通
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】亀井 正通
【審査官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210507765(CN,U)
【文献】BLUGRE CAFE(ブルグリカフェ)港町,こじゃれたレストラン.com vol.2,2020年06月09日,https://kojyareta.com/blugre-cafe/
【文献】BLUGRE CAFE(ブルグリカフェ),2021年04月07日,https://blugrecafe.owst.jp/seats
【文献】バルJimmy茅場町,2020年11月25日,https://hitosara.com/0020000340/
【文献】GEMS茅場町 2018年3月16日(金)開業!全テナント10店舗一覧,2020年11月25日,https://shutten-watch.com/kantou/1736
【文献】全席個室 楽蔵-RAKUZO- 御茶ノ水駅前店のご案内,2020年11月25日,https://rakuzo.dkdining.com/ochanomizu/
【文献】MPR御茶ノ水駅前ビル,2020年11月25日,https://of-tokyo.jp/building/MPR御茶ノ水駅前ビル/1003071/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 3/02
E04H 1/00-1/14
E04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層階建物の1階を含む低層階に、連続する複数階にまたがる店舗の各階にオープンテラスが形成された複層オープンテラス構造であって、前記多層階建物の1階部分は、前記店舗を構成する専用部と、前記店舗より上層の階とを連絡する共用部に分かれており、前記共用部の出入口とは別に、1階のオープンテラス部分に店舗専用の出入口が設けられており、前記複数階にまたがる店舗の各階の間には店舗内専用のエレベータが設けられており、前記オープンテラスが形成された階の壁面には外気に通じるテラス開口部が形成され、2階から上の階については、前記オープンテラスの全部または一部が、前記多層階建物を構成する建物架構の内側に形成されていることを特徴とする複層オープンテラス構造。
【請求項2】
請求項1記載の複層オープンテラス構造において、前記2階以上の階については、前記オープンテラスの一部は、前記建物架構の外側に張り出して形成されていることを特徴とする複層オープンテラス構造。
【請求項3】
請求項1または2記載の複層オープンテラス構造において、前記店舗は飲食店または喫茶店であることを特徴とする複層オープンテラス構造。
【請求項4】
請求項1記載の複層オープンテラス構造において、前記店舗の各階の室内空間と前記室内空間と同一階の前記オープンテラスとの境界部分には開閉可能な1または複数の出入口を備えた間仕切り壁が形成されていることを特徴とする複層オープンテラス構造。
【請求項5】
請求項1記載の複層オープンテラス構造において、前記2階以上の階のオープンテラスの外周部には腰壁または手摺が設けられていることを特徴とする複層オープンテラス構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層階建物の複数階にまたがる飲食店あるいは喫茶店などの店舗の各階にオープンテラスを設けた複層オープンテラス構造に関するものである。
【0002】
なお、本発明でいう「テラス」あるいは「オープンテラス」は、一般的な建物の1階の外側に形成されるテラスあるいは屋上部分に形成されるルーフテラスの概念に拘束されず、建物の室内から外側に延びるオープンエアのスペースを構成するテラス機能を有するもの全てを含むものとする。
【背景技術】
【0003】
オープンテラスは、開放感が味わうことができ、また自然の風を感じることができ、人々がゆっくりくつろぐことができる空間として人気がある。欠点としては天候などによって使用できない場合もあるが、オープンテラスが普及した国々では冬季でも暖房器具を使うなどしてそのまま利用することも多い。
【0004】
また、新型コロナウイルスによる感染に対し、国や地域によっては閉鎖空間でのレストランの営業が一時的に禁止され、オープンテラスなどの開放されたスペースでないと営業できなかったという事例もある。
【0005】
オープンテラスあるいは多層階建物のバルコニーなどに関する技術としては、例えば特許文献1~5に記載される発明がある。
【0006】
特許文献1には、外気に対し開放されるバルコニーの腰壁の上方を適宜に遮蔽したり開放したりすることができるバルコニーとして、バルコニーを建物架構の内側に設け、バルコニーの腰壁上方開放部を遮蔽する1種または2種以上の遮蔽パネルが、腰壁に昇降可能に設けられたバルコニー構造が開示されている。
【0007】
特許文献2には、採光、眺望を良好に確保しつつ、空間利用性や施工性の面において有利な建物として、建物躯体の外周部を柱および梁からなるラーメン構造とするとともに、その外周部の梁の一部を偏平梁として、床スラブから下方への突出寸法を小さくし、その内側にバルコニーを形成した建物が開示されている。
【0008】
特許文献3には、高層あるいは超高層の集合住宅において、高層階の住戸の専有面積を大きく確保するため、高層階の住戸には外周柱および外周梁の外側に張り出したアウターバルコニーを設け、それよりも下層の階の住戸には外周柱および外周梁の内側に入り込んだインナーバルコニーを設けた集合住宅建物が開示されている。
【0009】
特許文献4には、屋内のキッチンに対応させて屋外にテラスを設け、これらを仕切る外壁に設けた幅広の開口部を介してキッチンとテラスを連通し、キッチンを明るく開放的にしたテラス付き住宅が開示されている。
【0010】
特許文献5には、各住戸に屋外ガーデンを備えた高層建物において、二階建ての高さを有する下層屋外ガーデンと上層屋外ガーデンの配置を工夫することにより、高層建物の各住戸への直接採光を達成できるようにした高層建物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開平11-324106号公報
【文献】特開2001-336214号公報
【文献】特開2005-060974号公報
【文献】特開2002-121907号公報
【文献】国際公開第2017/177918号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のオープンテラスは、基本的には建物の1階に入居するカフェやレストランなどの店舗について、建物の外側にオープンテラスとしてのスペースを設けるか、あるいは建物の屋上階に入居する店舗について、ルーフテラスとして設けられるものが一般的である。
【0013】
しかしながら、建物の外部や屋上にオープンテラスを設ける場合、立地条件その他の理由から必ずしも十分な広さのスペースを確保することは難しい場合が多い。また、店舗としてのスペースも建物の各階の床面積との関係で、1つの階だけでは大規模な店舗とすることができないといった制約がある。
【0014】
本発明は、多層階建物に設置されるカフェやレストランなどの店舗について、建物の各階の床面積や立地条件による制約を受けずに、オープンテラスとしてのゆったりとした広いスペースを確保することができる複層オープンテラス構造を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、多層階建物の1階を含む低層階に、連続する複数階にまたがる店舗の各階にオープンテラスが形成された複層オープンテラス構造であって、前記多層階建物の1階部分は、前記店舗を構成する専用部と、前記店舗より上層の階とを連絡する共用部に分かれており、前記共用部の出入口とは別に、1階のオープンテラス部分に店舗専用の出入口が設けられており、前記複数階にまたがる店舗の各階の間には店舗内専用のエレベータが設けられており、前記オープンテラスが形成された階の壁面には外気に通じるテラス開口部が形成され、2階から上の階については、前記オープンテラスの全部または一部が、前記多層階建物を構成する建物架構の内側に形成されていることを特徴とする。
【0016】
例えば、オープンテラスが、多層階建物の1階から3階にまたがる場合、1階部分については建物の敷地内において、外部スペースに余裕があれば建物の外側に延びる形で設けることができ、その場合、2階、3階のオープンテラスは、全体が建物架構の内側となるように形成してもよいし、一部が建物架構の外側に張り出すように形成してもよい。
【0018】
店舗としては、主としてレストランあるいはカフェなどの飲食店あるいは喫茶店が想定されるが、飲食店や喫茶店以外の、例えば各種物品を販売する店舗でもよく、特に限定されない。また、複数階にまたがる1つの店舗内にレストランとしてのスペース、コーヒーショップとしてのスペース、物品を販売するためのスペースなどを複合的に設けてもよい。
【0019】
店舗の各階の室内空間と同一階のオープンテラスとの境界部分には開閉可能な1または複数の出入口を備えた間仕切り壁を設けることができる。常時は出入口から自由に出入りできるようにし、雨天や風が強い場合には、出入口を閉鎖することで、室内空間への風雨の侵入を防止することができる。
【0020】
出入口としての開口部はデザイン的にはできるだけ大きくとることが望ましい。自然光を室内空間にも取り込むことができ、また天気がよいときには出入口を開放することで室内空間の開放感も高めることができる。
【0021】
店舗の各階または一部の階のオープンテラスの外周部には腰壁または手摺を設けることができる。この場合も、採光や開放感を考慮して各種の設計が可能である。
【0022】
また、店舗の各階または一部の階のオープンテラスの外周部に、オープンテラスの内外を仕切る開閉可能な遮蔽部材を設けることもできる。その場合は、風雨が強いとき、あるいは台風時など天候が悪いときに、オープンテラスの内側を遮蔽部材で遮蔽することで、大量の風雨が吹き込むことを防止することができる。
【0023】
遮蔽部材としては、例えば、上下方向に開閉するシャッター式の雨戸や、蛇腹式あるいはスライド式に水平方向に開閉する横引きシャッターなどを用いることができる。
【0024】
一方、オープンテラス部分の防水機能や排水設備、機材の防護カバーなどを充実させることで、上述のような遮蔽部材を設けない設計とすることもできる。
【0025】
また、本発明においては、多層階建物の複数階にまたがる店舗の各階の間には店舗内専用の階段または店舗内専用のエレベータを設けることが望ましい。
【0026】
多層階建物においては、通常、共用部分に共用の出入口、共用のエレベータホールや階段室が設けられているが、レストランやカフェなどとしての店舗には、来店する客が利用するための専用の出入口を設け、店舗内の他の階には、店舗の内部の専用のエレベータまたは階段で行き来できるようにすることが好ましい。
【0027】
例えば、オープンテラスが、多層階建物の1階から3階にまたがる場合、1階のオープンテラス部分に店舗専用の出入口を設け、2階、3階には店舗内専用の階段または店舗内専用のエレベータで移動できるようにする。
【0028】
また、各階のエレベータや階段がある共用部との間にも従業員が利用したり、緊急時に客も利用できる出入口を設けることができる。
【発明の効果】
【0029】
従来のオープンテラスは、通常、建物の1階部分あるいは屋上部分に設けられており、オープンテラスの面積は1階部分の敷地の使用可能な範囲、あるいは屋上部分の使用可能な範囲に限定され、例えば道路に近い建物では、広いスペースを確保するのが困難であるのに対し、本発明の複層オープンテラス構造は、複数階にまたがる店舗の複数階にオープンテラスが形成され、各階のオープンテラスの全部または一部が建物架構の内側に形成されることで、建物の立地条件に関わらず、全体として広いオープンテラスのスペースを確保することができる。
【0030】
建物架構の内側に形成されるオープンテラス部分については、天井部があるため、雨天の場合でも店舗としての営業が可能である。
【0031】
また、建物架構の内側に形成されるオープンテラス部分については、外周部にオープンテラスの内外を仕切るためのシャッターなどの遮蔽部材を設けることも容易であり、遮蔽部材を設けることで店舗の営業をするしないに関わらず、オープンテラス部分への雨水の侵入を防止できるため、オープンテラス部分の維持管理も容易である。
【0032】
また、店舗が連続する複数階にまたがることで、各フロアの床面積が比較的小さい建物でも、全体として広い店舗面積を確保することができ、店舗内専用の階段やエレベータを設置することで、来店した客が各階を移動しながら、広いオープンテラスを利用し、くつろぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の複層オープンテラス構造の一実施形態を示したもので、(a)は建物全体の概略を示す斜視図、(b)は1階部分の平面プラン図、(c)は2階、3階部分の平面プラン図である。
図2】比較例としての通常の建物を示したもので、(a)は建物全体の概略を示す斜視図、(b)は1階部分の平面プラン図、(c)は2階~8階部分の平面プラン図である。
図3】本発明におけるオープンテラスの3パターンの形態例を示した図である。
図4】本発明で用いる遮蔽部材の一形態における開閉状況を示したものであり、(a)は閉じた状態の平断面図、(b)は開けた状態の平断面図である。
図5】本発明で用いる遮蔽部材の他の形態における開閉状況を示したものであり、(a)は閉じた状態の平断面図、(b)は開けた状態の平断面図である。
図6】本発明で用いる遮蔽部材の配置に関する他の実施形態を示したもので、(a)は遮蔽部材を閉じた状態の平断面図、(b)は遮蔽部材を開けた状態の平断面図、(c)はオープンテラス部分の立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を添付した図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の複層オープンテラス構造について、8階建てのビルの1階から3階にまたがるレストランまたはカフェを想定した実施形態を示したもので、(a)は建物1全体の概略を示す斜視図、(b)は1階部分の平面プラン図、(c)は2階、3階部分の平面プラン図である。
【0035】
図2は比較例として、同様の8階建ての通常のビルを示したもので、(a)は建物21全体の概略を示す斜視図、(b)は1階部分の平面プラン図、(c)は2階~8階部分の平面プラン図である。
【0036】
図2の通常のビルにおける平面プランでは、例えば、1階の専用部23のフロアに対し専用の出入口25が設けられ、別途、共用部22のフロアに階段26やエレベータ27が設けられ、2階~8階については、1階共用部の共用の出入口24から1階の共用部22に入り、階段26またはエレベータ27で、各階の共用部22に上がり、専用部23の出入口28から専用部23のフロアに入る形態が一般的である。なお、1階部分についても専用部の出入口がなく、共用部の出入口24から入る構造の場合も多い。
【0037】
これに対し、本発明に係る図1の実施形態では、1階から3階の専用部3が、1階から3階にまたがるレストランまたはカフェとしての店舗となっており、図1(a)に示すように、各階の道路に面した側にオープンテラス11a、11b、11cが形成され、図1(b)に示すように、1階の専用部3のオープンテラス11aと室内12aを仕切る壁13aに店舗への出入口14aを設けている。
【0038】
このオープンテラス11aと室内12aを仕切る壁13aは間仕切り壁であってもよいし、構造壁であってもよい。また、壁13aには出入口14aの他、窓(図示省略)を設けることで、店舗の室内12a側への採光や換気を行うことができ、また窓を通してオープンテラス11a部分やさらに外の風景を眺めることができる。
【0039】
図1の例では、1階のオープンテラス11aも柱と梁、あるいは柱、梁と壁などによって構成される建物架構の内側に形成されているが、道路側の敷地に余裕があれば、建物架構の内側から外側に延びる形でオープンテラスを設けてもよい。あるいは、1階部分については、建物架構の外側にのみオープンテラスを設ける形態としてもよい。
【0040】
また、図1(c)に示すように、2階、3階については、1階に比べ、専用部3が広くなっており、専用部3の道路側に広めのオープンテラス11b、11cが形成されている。2階、3階のオープンテラス11b、11cも建物架構内に形成されており、オープンテラス11b、11cと室内を仕切る壁13b、13cにオープンテラス11b、11cに出るための出入口14b、14cを設けている。
【0041】
また、図1(a)に示すように、2階、3階のオープンテラス11b、11cの道路側の開口部には、腰壁15b、15cを設けているが、腰壁15b、15cによって視界が遮られないように、腰壁15b、15c部分に強化ガラスあるいは強化プラスチックなどの透明または色付き半透明の材料を用いてもよい。また、腰壁15b、15cの代わりに手摺を設けてもよい。
【0042】
なお、建物1から道路までの敷地のスペースに余裕があれば、オープンテラス11b、11cの一部を外側に張り出させることもできる。また、この例では、2階と3階の平面プランを同一としているが、2階と3階で異なる平面プランとすることもできる。
【0043】
1つの店舗を構成する1階~3階の専用部3内には、店舗内専用の階段16とエレベータ17が設置されており、この例では共用部2のエレベータ7は2階、3階を通過する形としている。なお、設計によっては、1階~3階についても共用部2との間に出入口を設け、共用部2の階段6あるいはエレベータ7も利用できるようにしてもよい。
【0044】
図では示していないが、店舗の厨房やレジは1階~3階のいずれかの階あるいは複数の階の室内12a、12b、12c側に設けることができる。
【0045】
図3は本発明におけるオープンテラスの平面形状として、3つのパターンを示したものである。図3(a)はオープンテラス11の平面形状を長方形とした場合、図3(b)はオープンテラス11の平面形状において、一部が建物断面の中央部向かって延びている場合、図3(c)はオープンテラス11の平面形状を建物の2面に開口するL字形とした場合である。この他、種々の形態が考えられ、オープンテラスの平面形状は特に限定されるものではない。
【0046】
図4は店舗の各階または一部の階のオープンテラス11の外周部には、オープンテラス11の外周部を仕切る開閉可能な遮蔽部材を設ける場合の一形態として、蛇腹式に水平方向に開閉する横引きシャッター18を用いた場合を示したものであり、(a)は閉じた状態の平断面図、(b)は開けた状態の平断面図である。
【0047】
雨天の場合や、風が強い場合、冬期に雪が降ったり気温が極端に低い場合などに、シャッター18を閉じることで、風雨などを避けることができる。
【0048】
また、この例で、オープンテラス11と室内12との間には、サッシによる間仕切り用の引き戸8を設けている。
【0049】
図5は他の遮蔽部材の形態として、スライド式に水平方向に開閉する横引きシャッター19などを用いた場合を示したものであり、(a)は閉じた状態の平断面図、(b)は開けた状態の平断面図である。
【0050】
これら図4図5の横引きシャッター18、19としては、強化ガラスあるいは強化プラスチックなどの透明の材料を用いてもよい。透明なシャッターの場合、シャッターを通して外の風景を眺めることができるため、閉塞感を抑え、気分をリラックスさせることができる。
【0051】
図示しないが、この他、風雨の侵入を防ぐ目的では、一般的な上下方向に開閉するシャッターを用いることもできる。
【0052】
図6は本発明で用いる遮蔽部材の配置に関する他の実施形態を示したものであり、(a)は遮蔽部材を閉じた状態の平断面図、(b)は遮蔽部材を開けた状態の平断面図、(c)はオープンテラス部分の立断面図である。
【0053】
この例では、オープンテラス11の一番外側に手摺20を設け、その内側に遮蔽部材として、水平方向に開閉する横引きシャッター18aを設置している。この横引きシャッター18aは図6(c)に示すようにオープンテラス11の床から天井までのサッシとして取り付けることができる。
【0054】
また、この場合、横引きシャッター18aを構成する面材として、強化ガラスあるいは強化プラスチックなどの透明の部材を用いれば、図6(b)に示すように横引きシャッター18aを閉じた状態でも採光や眺望の機能が損なわれない。
【0055】
また、横引きシャッターを腰壁などの上部に設ける場合に比べ、取付け機構が簡単であり、気軽に開閉することができ、また横引きシャッター18aの外面のガラス面などの掃除もしやすいといったメリットがある。
【符号の説明】
【0056】
1…建物、
2…共用部、
3…専用部、
4…出入口(共用部)、
6…階段(共用部)、
7…エレベータ(共用部)、
8…引き戸、
11、11a、11b、11c…オープンテラス、
12、12a、12b、12c…室内、
13a、13b、13c…壁、
14a、14b、14c…出入口(専用部)、
15b、15c…腰壁、
16…階段(専用部)、
17…エレベータ(専用部)、
18、18a…横引きシャッター(蛇腹式)、
19…横引きシャッター(スライド式)、
20…手摺、
21…建物、
22…共用部、
23…専用部、
24…出入口(共用部)、
25…出入口(専用部)、
26…階段(共用部)、
27…エレベータ(共用部)、
28…出入口(専用部)
【要約】      (修正有)
【課題】多層階建物に設置されるカフェやレストランなどの店舗について、建物の各階の床面積や立地条件による制約を受けずに、オープンテラスとしてのゆったりとした広いスペースを確保することができる複層オープンテラス構造を提供する。
【解決手段】多層階建物を構成する建物1の1階から3階の専用部3を利用して、1階から3階にまたがるレストランまたはカフェなどの1つの店舗とする。各階の道路に面した側にオープンテラス11a、11b、11cを設ける。これら各階のオープンテラス11a、11b、11cの全部または一部を、建物1の柱や梁などで構成される建物架構の内側に設けることで、建物1の立地条件に関わらず、全体として広いオープンテラスのスペースを確保することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6