(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】電子機器およびプロジェクタ
(51)【国際特許分類】
G03B 21/16 20060101AFI20220308BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/00 E
(21)【出願番号】P 2020520993
(86)(22)【出願日】2018-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2018020196
(87)【国際公開番号】W WO2019225013
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】シャープNECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 亮祐
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-218383(JP,A)
【文献】特開2015-194716(JP,A)
【文献】特開2016-200656(JP,A)
【文献】特開2011-215457(JP,A)
【文献】特開2008-26422(JP,A)
【文献】特開2011-76069(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0302463(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 , 21/16
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を投写レンズへ出力する照明光学系と、
前記照明光学系に搭載される3つの液晶パネルを冷却する複数の送風機と、
前記複数の送風機から吹き出される空気を前記3つの液晶パネルへ導く第1のダクトと、
前記液晶パネルを通過した空気を、前記送風機から吹き出される空気の向きと逆向きに導く第2のダクトと、
前記第2のダクトを通過してきた空気を除熱するヒートシンクと、
前記ヒートシンクで除熱された空気を前記送風機の吸気口へ導く第3のダクトと
、
前記複数の送風機を保持し、前記第3のダクトを形成する送風機保持部材とが防塵ケース内に具備され、
前記複数の送風機は、前記照明光学系の投写レンズが配置されている側と反対側に、前記3つの液晶パネルのうちの2つの液晶パネルが対向する第1の方向に沿って並べて配置され、
前記送風機の数は3つであり、前記3つの送風機それぞれは、前記3つの液晶パネルのそれぞれを冷却する電子機器。
【請求項2】
請求項
1に記載の電子機器において、
前記第2のダクトは、前記防塵ケースと前記照明光学系と前記送風機保持部材とに囲まれた空間内であって、前記防塵ケースの天面に沿って形成される電子機器。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載の電子機器において、
前記ヒートシンクは、前記防塵ケースの外部に設けられた放熱ヒートシンクと接続されている電子機器。
【請求項4】
請求項
3に記載の電子機器において、
前記ヒートシンクは、前記複数の送風機から吹き出される空気の向きと直交する方向で対向する前記防塵ケースの2つの面をそれぞれ貫通したヒートパイプを介して、2つの前記放熱ヒートシンクと接続されている電子機器。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記照明光学系は、照度の均一性を調整するインテグレータを含む電子機器。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記複数の送風機それぞれは、ブロアーファンである電子機器。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記複数の送風機それぞれの高さと前記ヒートシンクの高さとが同じである電子機器。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記複数の送風機は、その吹き出し口の高さが互いに同じである電子機器。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記複数の送風機のうち、前記3つの液晶パネルのうちの互いに対向する2つの液晶パネル以外の液晶パネルを冷却する送風機の吹き出し口から該送風機が冷却する液晶パネルまでの距離が、他の送風機の吹き出し口からそれぞれが冷却する液晶パネルまでの距離よりも短い電子機器。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記複数の送風機は、前記第1の方向と直交する方向における吹き出し口の位置が互い
に同じである電子機器。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記複数の送風機は、所定の吸気量が確保できる間隔で配置される電子機器。
【請求項12】
請求項1から1
1のいずれか1項に記載の電子機器と、
光源とを有し、
前記電子機器は、前記光源からの光を入射し、前記入射した光を光変調するプロジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器およびプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
映像を投写する投写型表示装置を構成する主なモジュールには、ランプ、レーザー、LED(Light Emitting Diode)などの光源、照明光学系、投写レンズ、電子基板や電源がある。照明光学系にはDMD(Digital Mirror Device)または液晶パネルなどの光変調素子を用いて画像を生成する光学電子部品が実装されている。外部からの映像信号に応じて、電子基板が光変調素子を駆動するための駆動信号を生成する。ランプまたはレーザー/LEDの光源から強い光が照明光学系に送り込まれ、各光学部品を経て光変調素子に照射する。投写レンズが光変調素子からの射出光を拡大してスクリーンへ投影する。
【0003】
これらの過程において、電子部品には電気抵抗による発熱、光学部品には光の吸収による温度上昇が発生する。各部品には所望の性能を発揮するために許容温度を超えないように動作させる必要がある。そこで、装置内に複数の冷却ファンが実装され、冷却ファンからの送風が各部品を冷却して、許容温度を超えないように温度上昇を抑えている。また、液晶パネルには温度に応じて寿命時間が決まるため、さらに温度を下げる必要がある。
例えば、一対のファンを投写レンズの両側にそれぞれ配置して、冷却を行う装置が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
表示装置の冷却では、冷却風と共に装置外部から粉塵が装置内に侵入して光学部品などに付着して輝度劣化が発生するのを防ぐ必要がある。そこで、一般的に光学部品はボックスに囲われており、ボックスの合わせ部にはクッションやゴムまたは銅等の柔らかい金属などのパッキンで密閉され、粉塵の流入を防ぐ構造となっている。密閉されたボックス内には強い光が送り込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような密閉構造において、照明光学系の冷却を行おうとすると、送風機から照明光学系までの冷却ダクトと照明光学系との隙間や、循環ダクトと照明光学系との隙間のシーリングが必要になり、循環経路全てにおいて密閉構造が必要となる。このように、シーリング箇所が多く複雑な形状でシーリングを行うと粉塵進入箇所が増えて性能が落ちてしまい、また、冷却構造を含む照明光学系の大きさが大きくなってしまうという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を解決する電子機器およびプロジェクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子機器は、
光を投写レンズへ出力する照明光学系と、
前記照明光学系に搭載される液晶パネルを冷却する送風機と、
前記送風機から吹き出される空気を前記液晶パネルへ導く第1のダクトと、
前記液晶パネルを通過した空気を、前記送風機から吹き出される空気の向きと逆向きに導く第2のダクトと、
前記第2のダクトを通過してきた空気を除熱するヒートシンクと、
前記送風機を保持し、前記ヒートシンクで除熱された空気を前記送風機の吸気口へ導く送風機保持部材とが防塵ケース内に具備されている。
【0009】
また、本発明のプロジェクタは、
光を投写レンズへ出力する照明光学系と、
前記照明光学系に搭載される液晶パネルを冷却する送風機と、
前記送風機から吹き出される空気を前記液晶パネルへ導く第1のダクトと、
前記液晶パネルを通過した空気を、前記送風機から吹き出される空気の向きと逆向きに導く第2のダクトと、
前記第2のダクトを通過してきた空気を除熱するヒートシンクと、
前記送風機を保持し、前記ヒートシンクで除熱された空気を前記送風機の吸気口へ導く送風機保持部材とが防塵ケース内に具備されている電子機器と、
光源とを有し、
前記電子機器は、前記光源からの光を入射し、前記入射した光を光変調する。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明においては、密閉された構造において効率的な冷却を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の電子機器の第1の実施の形態を示す図である。
【
図2】本発明の電子機器の第2の実施の形態を示す図である。
【
図3】本形態におけるプロジェクタ111の外観の一例を示す図である。
【
図4】
図2に示したファンの外観の一例を示す図である。
【
図5】
図4に示したファンをAの方向から見たファンの平面図である。
【
図6】
図2に示したファンから吹き出された冷却風を液晶パネルへ導く冷却ダクトの構成の一例を示す平面図である。
【
図7】
図6に示したファン、冷却ダクトおよび照明光学系を、プロジェクタの側面方向から見た側面図である。
【
図8】
図2に示したファンの配置を照明光学系側から見た図である。
【
図9】
図6に示した冷却ダクトの構造の一例を示す図である。
【
図10】
図6に示した冷却ダクトの構造の一例を示す図である。
【
図11】
図6に示した冷却ダクトの構造の一例を示す図である。
【
図12】
図2に示したプロジェクタに設けられたファンとヒートシンクとの位置関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0013】
図1は、本発明の電子機器の第1の実施の形態を示す図である。本形態における電子機器100は
図1に示すように、照明光学系101と、液晶パネル102と、送風機103と、第1のダクト104と、第2のダクト105と、ヒートシンク106と、送風機保持部107とを有する。照明光学系101は、光を投写する。送風機103は、照明光学系101に搭載される液晶パネル102を冷却する。第1のダクト104は、送風機103から吹き出される空気を液晶パネル102へ導く。第2のダクト105は、液晶パネル102を通過した空気を、送風機103から吹き出される空気の向きと逆向きに導く。ヒートシンク106は、第2のダクト105を通過してきた空気を除熱する。送風機保持部材である送風機保持部107は、送風機103を保持し、ヒートシンク106でされた空気を送風機103の吸気口へ導く。これらの各構成要素が、密閉構造を持つ防塵ケース108に収納される。
【0014】
このように、防塵ケース108内で、液晶パネル102を冷却する送風機103から吹き出された空気を第1のダクトおよび第2のダクトを用いてヒートシンク106へ導き、ヒートシンク106で除熱された空気を送風機103の吸気口へ循環させる。これにより、密閉された構造において効率的な冷却を行うことができる。
(第2の実施の形態)
【0015】
図2は、本発明の電子機器の第2の実施の形態を示す図である。本形態における電子機器であるプロジェクタ111は
図2に示すように、照明光学系112と、光源ユニット113とを有する。
光を投写レンズ121へ出力する照明光学系112は、クロスダイクロイックプリズムであるXDP122と、3つの液晶パネル123~125と、ミラー126と、フィールドレンズ127と、ミラー128と、リレーレンズ129と、ミラー130と、リレーレンズ131と、カラーフィルタ132と、フィールドレンズ133と、カラーフィルタ134と、フィールドレンズ135と、偏光ビームスプリッタであるPBS(Polarizing Beam Splitter)136と、照度の均一性を調整するインテグレータ137とを有する。光源ユニット113は、レンズ138と、DM139と、レンズ140と、蛍光体141と、レンズ142と、レンズ143と、レーザー144とを有する。照明光学系112および光源ユニット113が具備する各構成要素は、一般的なプロジェクタが具備する構成要素と同じである。
【0016】
レーザー144からの光が、光源ユニット113を構成する他の構成要素を用いて、出力される。また、本形態においては、インテグレータ137、PBS136およびフィールドレンズ135を通過した光のうち、青色光が、カラーフィルタ134で反射し、フィールドレンズ127を通過し、ミラー126で反射される。また、インテグレータ137、PBS136およびフィールドレンズ135を通過した光のうち、緑色光が、カラーフィルタ134およびフィールドレンズ133を通過し、カラーフィルタ132で反射される。また、インテグレータ137、PBS136およびフィールドレンズ135を通過した光のうち、赤色光が、カラーフィルタ134、フィールドレンズ133、カラーフィルタ132およびリレーレンズ131を通過し、ミラー130で反射し、リレーレンズ129を通過し、ミラー128で反射される。そのため、液晶パネル123は、青色光を変調する。また、液晶パネル124は、緑色光を変調する。また、液晶パネル125は、赤色光を変調する。
【0017】
このような3LCDの配置では、照明光学系112の平面形状が、液晶パネル123と液晶パネル125とが対向する方向を長辺とする長方形となる。
【0018】
送風機であるファン203~205が、液晶パネル123~125をそれぞれ冷却するために設けられている。ファン203~205は、液晶パネル123~125の投写レンズ121が配置されている側と反対側に、液晶パネル123~125のうちの液晶パネル123と液晶パネル125とが対向する第1の方向に沿って並べて配置される。なお、照明光学系112を構成する構成要素が、それらのレイアウト(
図2に示した照明光学系112の破線)を収納可能な1つの直方体またはそれに相応する形状である筐体に収納されている場合、ファン203~205は、その筐体の投写レンズ121が配置されている面とは対向する面側に配置される。その場合、ファン203~205は、その筐体内に配置されるものであっても良いし、その筐体外に配置されるものであって良い。
【0019】
また、ファン203~205の照明光学系112と対向する側とは反対側には、ヒートシンク211が配置されている。ヒートシンク211は、ファン203~205が吸い込む吸気を除熱する。照明光学系112と、ファン203~205と、ヒートシンク211とが、密閉状態を保つ防塵ケース150に収納されている。さらに、ヒートシンク211は、防塵ケース150の外部に設けられた放熱用のヒートシンク212,213と接続されている。ヒートシンク211と放熱用のヒートシンク212,213とは、ファン203~205から吹き出される空気の向きと直交する方向で対向する防塵ケース150の2つの面をそれぞれ貫通したヒートパイプ214を介して接続されている。なお、ヒートパイプ214が貫通した防塵ケース150の面におけるその部分にはシーリングがなされていることは言うまでもない。この接続により、ヒートシンク211が吸収(除熱)した熱がヒートパイプ214を介してヒートシンク212,213へ伝わり、ヒートシンク212,213に伝わった熱が外部へ放出される。
【0020】
なお、
図2には、ファン203~205から吹き出された空気を液晶パネル123~125それぞれへ導く冷却ダクトと、液晶パネル123~125を通過した空気をヒートシンク211へ導く高温エアーダクトとを図示していない。これらは、後述する
図7を用いて説明する。
【0021】
図3は、本形態におけるプロジェクタ111の外観の一例を示す図である。
図3に示すように、プロジェクタ111内部に防塵ケース150が具備されている。この防塵ケース150内に照明光学系112と、ファン203~205と、ヒートシンク211とが収納されている。また、防塵ケース150は、上側筐体と下側筐体とが投写レンズ121を挟み込むように結合する構造となっている。また、上側筐体と下側筐体との結合部分は、平面部分はパッキン、凸部および凹部はクッション素材のものを用いて結合される。
【0022】
図4は、
図2に示したファン203の外観の一例を示す図である。
図5は、
図4に示したファン203をAの方向から見たファン203の平面図である。なお、
図2に示したファン204,205についても同じである。
図4および
図5に示すように、本形態におけるファン203は、ファン203の側面から吸気を行い、吸気方向と直交する方向に吹き出しを行うブロアーファンである。つまり、ファン203は、空気の吸気の方向と吹き出しの方向とが直交するブロアーファンであり、高静圧を特徴とする。なお、
図5に示した例では、ファン203の両方の側面から吸気を行うものを例に挙げて示しているが、一方の側面からのみ吸気を行うものであっても良い。
【0023】
なお、ファン203~205の回転は個々に制御され、互いに回転数が異なるものであっても良い。この回転数は、液晶パネル123~125における光変調の動作に基づいてあらかじめ設定されているものであっても良いし、液晶パネル123~125の温度を測定し、測定された温度に基づいて制御されるものであっても良いし、液晶パネル123~125の使用期間に基づいて制御されるものであっても良い。
【0024】
図6は、
図2に示したファン203~205から吹き出された冷却風を液晶パネル123~125へ導く冷却ダクトの構成の一例を示す平面図である。
図6に示すように、ヒートシンク211で除熱された空気を吸気とするファン203~205から吹き出された冷却風は、冷却ダクト304に設けられたそれぞれの空間を通過し、液晶パネル123~125をそれぞれ冷却するためのLCD冷却用開口301~303へ導かれる。なお、
図6には、液晶パネル123~125を通過した空気をヒートシンク211へ導く高温エアーダクトを図示していない。
【0025】
なお、ファン203~205は、所定の吸気量が確保できる間隔で配置される。また、ファン203~205の互いの間に仕切り板が設けられていても良い。さらに、ファン203~205が両方の側面から吸気を行うものである場合、一方の側面からの吸気能力と他方の側面からの吸気能力との比率に基づいて、その仕切り板の位置を決めるものであっても良い。具体的には、例えば、ファン203~205の左側面からの吸気能力が右側面からの吸気能力よりも大きな場合、ファン203~205の左側面から左側の仕切り板までの距離を、ファン203~205の右側面から右側の仕切り板までの距離よりも長くするものであっても良い。
【0026】
また、冷却ダクト304に対するファン203~205それぞれの吹き出し口の位置、つまり、ファン203~205それぞれの吹き出し口から冷却ダクト304の受け入れ口までの距離は互いに等しいものが好ましい。
【0027】
また、
図6に示すように、液晶パネル123~125が
図2に示すように配置されているため、液晶パネル123~125をそれぞれ冷却するためのLCD冷却用開口301~303が
図6に示すような、ファン203~205から互いに異なる距離に配置される。つまり、
図6に示すように、ファン203~205のうち、中央に配置されたファン204の吹き出し口からLCD冷却用開口302(液晶パネル124)までの距離が、ファン203,205の吹き出し口からLCD冷却用開口301,303(液晶パネル123,125)それぞれまでの距離よりも短い。
【0028】
図7は、
図6に示したファン204、冷却ダクト304および照明光学系112を、プロジェクタ111の側面方向から見た側面図である。
図7に示すように、冷却ダクト304は、照明光学系112の下部に配置される。ファン204から吹き出された冷却風が、冷却ダクト304を通ってLCD冷却用開口302から液晶パネル124を冷却する。第2のダクトである高温エアーダクト305は、液晶パネル124を通過した空気を、ファン204から吹き出される空気の向きと逆向きにヒートシンク211へ導く。ヒートシンク211は、高温エアーダクト305を通過してきた空気を除熱する。送風機保持部材である送風機保持部306は、ファン203を収納して保持し、ヒートシンク211で除熱された空気をファン203の吸気口へ導く。ここで、高温エアーダクト305は、防塵ケース150と照明光学系112と送風機保持部306とに囲まれた空間内であって、防塵ケース150の天面に沿って形成されている。照明光学系112、冷却ダクト304、ファン204、送風機保持部306およびヒートシンク211は、防塵ケース150に収納される。また、ヒートシンク211は、送風機保持部306に保持されるものであっても良い。また、ファン204の高さh3はヒートシンク211の高さh4と同じ高さのものであっても良い。
【0029】
また、防塵ケース150の底面から照明光学系112の天面までの高さh5が、防塵ケース150の底面から送風機保持部306の天面までの高さh6と同じ高さになるようにすることが好ましい。これにより、高温エアーダクト305の流路(高さ)を十分に確保することができ、循環冷却システムの小型化を実現する。また、高温エアーダクト305の底面が光学エンジン112の天面と送風機保持部306の天面とから構成されるため、高さh5とh6とを同じ高さとすることで、高温エアーダクト305の底面が平面となり、高温エアーの流れの損失を最小限とすることができる。
【0030】
図8は、
図2に示したファン203~205の配置を照明光学系112側から見た図である。
図8に示すように、ファン203~205は、その吹き出し口の高さh1が互いに同じであるものが好ましい。また、ファン203~205は、それ自体の高さh2が互いに同じであっても良い。
【0031】
図9~11は、
図6に示した冷却ダクト304の構造の一例を示す図である。
図9は、上側筐体と下側筐体とを組み立てる前の冷却ダクト304の斜視図である。
図10は、上側筐体と下側筐体とを組み立てる前の冷却ダクト304の平面図である。
図11は、上側筐体と下側筐体とを組み立てた後の冷却ダクト304の斜視図である。
図9に示した上側筐体と下側筐体とを破線に従って爪の部分を嵌合させて組み立てる。
図9~11に示すように、冷却ダクト304には、ファン203~205それぞれから吹き出された冷却風が通る空間が、別個に設けられている。
【0032】
図12は、
図2に示したプロジェクタ111に設けられたファンとヒートシンクとの位置関係の一例を示す図である。
図12に示すように、
図2に示したプロジェクタ111は、防塵ケース150の内部に設けられたファン203~205以外に、防塵ケース150の外部にファン215~217を具備する。ファン215は、放熱用のヒートシンク212を冷却するためのものであり、放熱用のヒートシンク212に対して冷却風を吹き出す。ファン216は、放熱用のヒートシンク213を冷却するためのものであり、放熱用のヒートシンク213から発せられる熱を吸気する。ファン217は、光源ユニット113を冷却するためのものであり、光源ユニット113から発せられる熱を吸気する。
【0033】
このように、本形態におけるプロジェクタ111は、インテグレータおよびPBSを通過する光軸方向と、投写される映像の投写方向とが垂直に配置された3LCDの光学照明系において、3つのLCD(液晶パネル)をそれぞれ冷却する複数のファンが、照明光学系112の長辺に沿って配置された構成を持った密閉構造を備える。プロジェクタ111は、密閉構造を持つ防塵ケース150内で空気を循環させる小型循環冷却構成を特徴とする。プロジェクタ111では、照明光学系112、照明光学系内に設けられた液晶パネル123~125を冷却するファン203~205、冷却ダクト304およびヒートシンク211が密閉構造の防塵ケース150内に配置される。プロジェクタ111では、照明光学系112の下部に冷却ダクト304が配置され、照明光学系112の投写レンズ121が配置されている側と反対側にファン203~205が設置され、ファン203~205の後方にヒートシンク211が設置される。また、プロジェクタ111では、防塵ケース150内にインテグレータ137までの照明光学系を設置する。
【0034】
また、本形態におけるプロジェクタ111は、ファン203~205から吹き出された空気は冷却ダクト304を通り液晶パネル123~125や周辺の光学部品を冷却して防塵ケース150内に形成された高温エアーダクト305を流れ、ヒートシンク211内で除熱されファン203~205へ吸気される。このとき、除熱された空気と液晶パネル123~125や周辺の光学部品を冷却した後の高温エアーとが混ざらないように仕切りを設ける。例えば、
図7に示すように、送風機保持部306がヒートシンク211の高温エアーと接する面以外を覆うものであっても良い。また、送風機保持部306内のファン203~205の吸気と冷却ダクト304内を流れる除熱後の空気とが混ざらない仕切りを設ける。例えば、ファン203~205と送風機保持部306との隙間を埋める仕切りを設けても良い。防塵ケース150は、粉塵が入らないようにパッキンなどを使用してシーリングが必要であるが、冷却ダクト304や送風機保持部306の仕切りは防塵構造内にあるため、パッキンなどのシーリングは不要である。
【0035】
また、防塵ケース150内の底面および天面と送風機保持部306とで形成する高温エアーダクト305は、防塵ケース150全体がダクトの一部となっているため、重複する仕切りが無くなり小型化が可能となる。また、送風機保持部306は、ファン203~205を保持する機能と、液晶パネル123~125の冷却後に高温エアーダクト305を通る高温エアーとヒートシンク211を通って除熱された空気との断熱をする機能を持っている。また、インテグレータおよびPBSが通過する光軸方向と、投写される映像の投写方向とが垂直に配置された3LCDの光学照明系において、3つのLCD(液晶パネル)をそれぞれ冷却するファン203~205を、照明光学系112の長辺に沿って配置したことで、ファン203~205の吸気面積を大きく確保でき、吸気の損失が小さく、流路の長さそれぞれが短く圧力損失が小さい。また、冷却ダクト304の幅もそれぞれ広く確保でき、損失が小さい。そのため、吸気効率と冷却ダクト効率との双方が上がり冷却効率が向上する。
【0036】
さらに、防塵ケース150の両側に放熱用のヒートシンク212,213を設ける。これにより、防塵ケース150内に設けられた受熱用のヒートシンク211で、高温エアーの除熱を行い、ヒートパイプ214を通してヒートシンク212,213に熱が伝わり、ヒートシンク212,213が冷却されて熱が装置外に排出される。ヒートシンク211は、ヒートパイプ214を介してヒートシンク212,213と両端で接続され、熱的にも接続される。ヒートシンク212,213が、ヒートシンク211の両端に接続されることで、ヒートシンク211が受けた熱が両側に伝わるため、2倍のパイプ本数にした場合と同等の効果が得られる。熱は高い方から低い方へ伝わる性質を持つため、ヒートシンク211内の温度の斑を起因として高温となる箇所の温度よりも低い温度である箇所が上流側にあると効率が下がる。ヒートシンク212,213がヒートシンク211の両側に接続されることで、温度の斑を起因とした効率低下を防ぐことができる。
【0037】
また、防塵ケース150内にインテグレータ137までの部品を設けることで、PBS等の冷却が必要な部品を同一の冷却フロー内で冷却でき、部品点数を減らすことができる。また、光源ユニット113と照明光学系112との合わせが容易になり、構造部品が減り防塵性能を上げることができる。
【0038】
また、LCD用冷却ファンから吹き出された冷却風は、冷却ダクトを通ってLCD等光学部品を冷却する。一般的には、その際に発生する風きり音を抑制するために、冷却ダクトやファンホルダを防振性のある高価な材料を使用している。LCD用冷却ファンは、騒音値に大きな影響を持つ。本形態においては、ファン203~205、冷却ダクト304および送風機保持部306を防塵ケース150内に配置し、防塵ケース150が騒音を遮蔽することで、騒音値の低減を図ることができる。また、防塵ケース150が騒音を遮蔽することで、冷却ダクト304や送風機保持部306として安価な材料を採用でき、部品コストを下げることができる。
【0039】
上述したように、冷却効率が上がることで液晶パネル123~125の寿命が伸び、ファン203~205の回転数も下げることができ、耳障りな騒音値を下げることが可能になる。送風機保持部306および防塵ケース150が上述した2つの役割を持つことで構造が簡単になり、装置全体の小型化を図ることができる。また、防塵ケース150のシーリングを行うことで、内部部品のシーリングを必要としない。そのため、部品点数が減ることで、使用部品全体のコストの削減を実現することができる。加えて、製造コストも下げることができる。