(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】軌道車両用の高速列車軌間可変台車
(51)【国際特許分類】
B61H 5/00 20060101AFI20220308BHJP
B61F 7/00 20060101ALI20220308BHJP
B61H 13/38 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B61H5/00
B61F7/00
B61H13/38
(21)【出願番号】P 2020546364
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2018107815
(87)【国際公開番号】W WO2019196353
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】201810332050.8
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518232342
【氏名又は名称】中車青島四方机車車輛股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲喬▼ 青峰
(72)【発明者】
【氏名】周 平宇
(72)【発明者】
【氏名】王 旭
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 利▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 振先
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-009051(JP,A)
【文献】特開2010-281458(JP,A)
【文献】特開2016-044791(JP,A)
【文献】特開2017-172728(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107757652(CN,A)
【文献】特開2001-270439(JP,A)
【文献】特表2021-516193(JP,A)
【文献】特開2017-172731(JP,A)
【文献】特開2016-164035(JP,A)
【文献】特開2016-109294(JP,A)
【文献】特開平11-091560(JP,A)
【文献】特開平08-226467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 7/00
B61H 5/00
B61H 13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを備え、前記フレームが平行に設置された1対のサイドビームと、1対の前記サイドビームの間に接続される、平行に設置された1対のクロスビームとを備える軌道車両用の高速列車軌間可変台車であって、1対の前記クロスビームの外側には軌間可変車輪セットがそれぞれ設けられ、前記軌間可変車輪セットの車輪には車輪埋め込み型のブレーキディスクが取り付けられ、前記サイドビーム又はクロスビームには取り付けシート及びブレーキキャリパーが取り付けられ、前記ブレーキキャリパーは支持ピンを介して前記取り付けシートに接続され、前記支持ピンは、前記取り付けシートの下方に水平に設けられ、その両端が前記取り付けシートに固定して接続され、前記ブレーキキャリパーの一端には接続スリーブが設けられ、前記接続スリーブ内には弾性減衰性を有する減衰インナースリーブが締結嵌設され、前記接続スリーブは前記減衰インナースリーブを介して前記支持ピンにロックされ、車輪の軌間を変更する時、前記車輪における車輪埋め込み型のブレーキディスクはブレーキキャリパーに押し力を加え、前記接続スリーブが受けた押し力は前記接続スリーブと前記支持ピンとの間の減衰力より大きくなると、前記接続スリーブは前記ブレーキキャリパーを連動させて前記支持ピンに沿って移動させ
、
前記軌間可変車輪セットは、車軸、車輪、及びロック機構を備え、1対の前記サイドビームの両端には軸箱体がそれぞれ設けられ、前記車軸の両端はそれぞれ前記軸箱体中に延び込み、前記車輪は、前記車軸に取り付けられ、且つスプラインを介して前記車軸に接続され、前記ロック機構は、それぞれ前記車輪の外側に設けられ、且つ前記軸箱体中に位置し、前記ロック機構は、前記車輪に接続されており、車輪の軌間の変更を実現するように車輪のロック及びロック解除に用いられ、
前記ロック機構は、内側スリーブ、転がり軸受、外側スリーブ、及びロックピンを備え、
前記内側スリーブ、転がり軸受、及び外側スリーブは、内から外に向かって順次にしっかり套接され、前記内側スリーブは前記車軸に隙間嵌めされ、前記内側スリーブの前記車輪に面する一端は前記軸箱体から延び出して、前記車輪に締結接続され、前記外側スリーブは前記軸箱体の内表面に隙間嵌めされ、前記外側スリーブの外側の対向する両側には、それぞれ、前記外側スリーブの軸方向に沿って延びるボスが設けられ、前記ボスの長手方向に沿って間隔を置いて複数の凹溝が設けられ、前記軸箱体の内壁には、前記凹溝と1対1対応する凹弧面が設けられ、前記ロックピンは、前記凹溝及び前記凹弧面で限定されたロック空間に挿入するためのものであり、車輪の軌間の変更を実現するように、外力の作用下で複数の前記ロック空間の間で切り替えることができることを特徴とする軌道車両用の高速列車軌間可変台車。
【請求項2】
前記接続スリーブの長さは前記支持ピンの長さより短く、前記接続スリーブの両端と前記支持ピンの対応端はそれぞれコルゲートチューブで接続され、前記接続スリーブと前記取り付けシートの底面との間には隙間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の軌道車両用の高速列車軌間可変台車。
【請求項3】
前記減衰インナースリーブは、第1の減衰インナースリーブと、第2の減衰インナースリーブとを備え、前記第1の減衰インナースリーブと第2の減衰インナースリーブは間隔を置いて設置され、前記第1の減衰インナースリーブと第2の減衰インナースリーブとの間の前記支持ピンには球面軸受が固定して外嵌され、前記球面軸受と前記接続スリーブの間は軸受座によって位置決めされ、前記軸受座は前記接続スリーブの内表面に圧入して嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載の軌道車両用の高速列車軌間可変台車。
【請求項4】
前記取り付けシートの下方には、2本の前記支持ピンが平行に設けられ、それぞれ第1の支持ピン及び第2の支持ピンであり、前記第1の支持ピンは前記取り付けシートの外側に位置し、前記第2の支持ピンは前記取り付けシートの内側に位置し、それに対応し、前記ブレーキキャリパーの一端には、並列に接続された2つの前記接続スリーブが設けられ、それぞれ第1の接続スリーブ及び第2の接続スリーブであり、前記第1の接続スリーブは第1の支持ピンに接続され、前記第2の接続スリーブは第2の支持ピンに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の軌道車両用の高速列車軌間可変台車。
【請求項5】
前記取り付けシートの、前記軌間可変車輪セットの軸方向に沿う対向する両側には下向きに延びる接続端がそれぞれ設けられ、前記支持ピンは前記接続端に固定して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の軌道車両用の高速列車軌間可変台車。
【請求項6】
前記サイドビーム又はクロスビームにはブレーキハンガーが設けられ、前記取り付けシートは前記ブレーキハンガーに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の軌道車両用の高速列車軌間可変台車。
【請求項7】
前記ロックピンは、ピン本体を備え、前記ピン本体の一側には開口溝が設けられ、前記開口溝は前記ピン本体の径方向に沿って貫通し、前記開口溝内には、前記ピン本体の軸方向に沿って延びるラグが少なくとも1つ設けられ、前記ラグの上端は前記開口溝の溝頂に接続され、前記ラグの下端と前記開口溝の溝底との間に切り欠きが設けられ、前記ラグは前記開口溝に挿入するためのものであることを特徴とする
請求項1に記載の軌道車両用の高速列車軌間可変台車。
【請求項8】
前記ピン本体は、リターンスプリングにより前記軸箱体中に取り付けられ、前記ピン本体の上端は前記リターンスプリングに接続され、前記ピン本体の下端は前記軸箱体の底面から延び出していることを特徴とする
請求項7に記載の軌道車両用の高速列車軌間可変台車。
【請求項9】
前記軸箱体には改軌過程検出・早期警告ユニットが設けられていることを特徴とする
請求項1に記載の軌道車両用の高速列車軌間可変台車。
【請求項10】
前記車軸は、中間直径が両端直径より大きい段付き軸として設置され、前記車輪は、前記段付き軸の中間軸に設けられ、且つ前記中間軸の両端にそれぞれ設けられ、前記ロック機構は前記段付き軸の両端軸に設けられ、
前記車輪の内周には内スプラインが設けられ、前記段付き軸の中間軸の両端には外スプラインがそれぞれ設けられ、前記車輪と前記中間軸の両端は内スプライン及び外スプラインを介して嵌合して接続され、
前記中間軸の両端は、3段の段付き軸がそれぞれ構成され、前記3段の段付き軸は、外から内に向かって直径が拡径している第1のフランジ、第2のフランジ、及び第3のフランジを備え、前記外スプラインは前記第2のフランジの外周に設けられ、前記車輪の中心孔は3段の段付き孔として構成され、前記3段の段付き孔は、外から内に向かって直径が拡径している第1の接続孔、第2の接続孔、及び第3の接続孔を備え、前記内スプラインは前記第2の接続孔の内壁の周方向に設けられ、前記第1の接続孔は前記第1のフランジに嵌合され、前記内スプラインは外スプラインに嵌合して接続され、前記第3の接続孔は前記第3のフランジに嵌合されることを特徴とする
請求項1に記載の軌道車両用の高速列車軌間可変台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互参照]
本願は、2018年04月13日に提出された、発明の名称が「軌道車両用の高速列車軌間可変台車」であり、出願番号が2018103320508である中国特許出願を引用し、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施例は、軌道車両台車の技術分野に関し、特に、軌道車両用の高速列車軌間可変台車に関する。
【背景技術】
【0003】
隣接する国での軌間の異なる軌道間の輸送要件を満たすために、現在、国境で車輪セットの内側の距離が異なる台車を交換する方法がよく採用されている。当該解決策は、コストが高く、長い時間がかかる。スペインと日本は、軌間の異なる軌道間で連続に走行することができる軌間可変な台車をそれぞれ発明した。
【0004】
列車のパーキングブレーキを実現するために、通常、車輪に車輪埋め込み型のブレーキディスクが取り付けられ、列車がブレーキをかけると、ブレーキキャリパーのブレーキパッドは車輪埋め込み型のブレーキディスクを挟み込んでブレーキを実現するが、列車軌間変更の過程では、同一の車輪セットの車輪が相対的に移動し、車輪埋め込み型のブレーキディスクとブレーキキャリパーとの間の位置が変化し、既存のブレーキキャリパーの取り付け方式は、軌間可変車輪セットのブレーキ要件を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例は、従来技術又は関連技術中に存在する技術課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。
【0006】
本発明の実施例の目的は、軌間可変車輪セットの異なる軌間でのパーキングブレーキを満たし、軌間可変車輪セットの異なる軌道での運行効率を向上させ、車両運行の安全性を確保することができる軌道車両用の高速列車軌間可変台車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術課題を解決するために、本発明の実施例は、軌道車両用の高速列車軌間可変台車を提供し、当該軌道車両用の高速列車軌間可変台車は、フレームを備え、前記フレームが平行に設置された1対のサイドビームと、1対の前記サイドビームの間に接続される、平行に設置された1対のクロスビームとを備え、1対の前記クロスビームの外側には軌間可変車輪セットがそれぞれ設けられ、前記軌間可変車輪セットの車輪には車輪埋め込み型のブレーキディスクが取り付けられ、前記サイドビーム又はクロスビームには取り付けシート及びブレーキキャリパーが取り付けられ、前記ブレーキキャリパーは支持ピンを介して前記取り付けシートに接続され、前記支持ピンは、前記取り付けシートの下方に水平に設けられ、その両端が前記取り付けシートに固定して接続され、前記ブレーキキャリパーの一端には接続スリーブが設けられ、前記接続スリーブ内には弾性減衰性を有する減衰インナースリーブが締結嵌設され、前記接続スリーブは前記減衰インナースリーブを介して前記支持ピンにロックされ、車輪の軌間を変更する時、前記車輪における車輪埋め込み型のブレーキディスクはブレーキキャリパーに押し力を加え、前記接続スリーブが受けた押し力は前記接続スリーブと前記支持ピンとの間の減衰力より大きくなると、前記接続スリーブは前記ブレーキキャリパーを連動させて前記支持ピンに沿って移動させる。
【0008】
そのうち、前記接続スリーブの長さは前記支持ピンの長さより短く、前記接続スリーブの両端と前記支持ピンの対応端はそれぞれコルゲートチューブで接続され、前記接続スリーブと前記取り付けシートの底面との間には隙間が設けられている。
【0009】
そのうち、前記減衰インナースリーブは、第1の減衰インナースリーブと、第2の減衰インナースリーブとを備え、前記第1の減衰インナースリーブと第2の減衰インナースリーブは間隔を置いて設置され、前記第1の減衰インナースリーブと第2の減衰インナースリーブとの間の前記支持ピンには球面軸受が固定して外嵌され、前記球面軸受と前記接続スリーブの間は軸受座によって位置決めされ、前記軸受座は前記接続スリーブの内表面に圧入して嵌合されている。
【0010】
そのうち、前記取り付けシートの下方には、2本の前記支持ピンが平行に設けられ、それぞれ第1の支持ピン及び第2の支持ピンであり、前記第1の支持ピンは前記取り付けシートの外側に位置し、前記第2の支持ピンは前記取り付けシートの内側に位置し、それに対応し、前記ブレーキキャリパーの一端には、並列に接続された2つの前記接続スリーブが設けられ、それぞれ第1の接続スリーブ及び第2の接続スリーブであり、前記第1の接続スリーブは第1の支持ピンに接続され、前記第2の接続スリーブは第2の支持ピンに接続されている。
【0011】
そのうち、前記取り付けシートの、前記軌間可変車輪セットの軸方向に沿う対向する両側には下向きに延びる接続端がそれぞれ設けられ、前記支持ピンは前記接続端に固定して接続されている。
【0012】
そのうち、前記サイドビーム又はクロスビームにはブレーキハンガーが設けられ、前記取り付けシートは前記ブレーキハンガーに取り付けられている。
【0013】
そのうち、前記軌間可変車輪セットは、車軸、車輪、及びロック機構を備え、1対の前記サイドビームの両端には軸箱体がそれぞれ設けられ、前記車軸の両端はそれぞれ前記軸箱体中に延び込み、前記車輪は、前記車軸に取り付けられ、且つスプラインを介して前記車軸に接続され、前記ロック機構は、それぞれ前記車輪の外側に設けられ、且つ前記軸箱体中に位置し、前記ロック機構は、前記車輪に接続されており、車輪の軌間の変更を実現するように車輪のロック及びロック解除に用いられる。
【0014】
そのうち、前記ロック機構は、内側スリーブ、転がり軸受、外側スリーブ、及びロックピンを備える。
【0015】
前記内側スリーブ、転がり軸受、及び外側スリーブは、内から外に向かって順次にしっかり套接され、前記内側スリーブは前記車軸に隙間嵌めされ、前記内側スリーブの前記車輪に面する一端は前記軸箱体から延び出して、前記車輪に締結接続され、前記外側スリーブは前記軸箱体の内表面に隙間嵌めされ、前記外側スリーブの外側の対向する両側には、それぞれ、前記外側スリーブの軸方向に沿って延びるボスが設けられ、前記ボスの長手方向に沿って間隔を置いて複数の凹溝が設けられ、前記軸箱体の内壁には、前記凹溝と1対1対応する凹弧面が設けられ、前記ロックピンは、前記凹溝及び前記凹弧面で限定されたロック空間に挿入するためのものであり、車輪の軌間の変更を実現するように、外力の作用下で複数の前記ロック空間の間で切り替えることができる。
【0016】
そのうち、前記ロックピンは、ピン本体を備え、前記ピン本体の一側には開口溝が設けられ、前記開口溝は前記ピン本体の径方向に沿って貫通し、前記開口溝内には、前記ピン本体の軸方向に沿って延びるラグが少なくとも1つ設けられ、前記ラグの上端は前記開口溝の溝頂に接続され、前記ラグの下端と前記開口溝の溝底との間に切り欠きが設けられ、前記ラグは前記凹溝に挿入するためのものである。
【0017】
そのうち、前記ピン本体は、リターンスプリングにより前記軸箱体中に取り付けられ、前記ピン本体の上端は前記リターンスプリングに接続され、前記ピン本体の下端は前記軸箱体の底面から延び出している。
【0018】
そのうち、前記軸箱体には改軌過程検出・早期警告ユニットが設けられている。
【0019】
そのうち、前記車軸は、中間直径が両端直径より大きい段付き軸として設置され、前記車輪は、前記段付き軸の中間軸に設けられ、且つ前記中間軸の両端にそれぞれ設けられ、前記ロック機構は前記段付き軸の両端軸に設けられている。
【0020】
前記車輪の内周には内スプラインが設けられ、前記段付き軸の中間軸の両端には外スプラインがそれぞれ設けられ、前記車輪と前記中間軸の両端は内スプライン及び外スプラインを介して嵌合して接続されている。
【0021】
前記中間軸の両端は、3段の段付き軸がそれぞれ構成され、前記3段の段付き軸は、外から内に向かって直径が拡径している第1のフランジ、第2のフランジ、及び第3のフランジを備え、前記外スプラインは前記第2のフランジの外周に設けられ、前記車輪の中心孔は3段の段付き孔として構成され、前記3段の段付き孔は、外から内に向かって直径が拡径している第1の接続孔、第2の接続孔、及び第3の接続孔を備え、前記内スプラインは前記第2の接続孔の内壁の周方向に設けられ、前記第1の接続孔は、前記第1のフランジに嵌合され、前記内スプラインは外スプラインに嵌合して接続され、前記第3の接続孔は前記第3のフランジに嵌合される。
【発明の効果】
【0022】
従来技術に比べて、本公開の技術案は以下の利点を有する。
【0023】
本発明の実施例は、軌道車両用の高速列車軌間可変台車を提供し、既存の台車に基づいて、ブレーキキャリパーのサスペンション方式を改善し、ブレーキキャリパーが支持ピンを介して取り付けシートに接続するという方式を採用している。前記支持ピンは、前記取り付けシートの下方に水平に設けられ、その両端が前記取り付けシートに固定して接続され、前記ブレーキキャリパーの一端には接続スリーブが設けられ、前記接続スリーブ内には弾性減衰性を有する減衰インナースリーブが締結嵌設され、前記接続スリーブは前記減衰インナースリーブを介して前記支持ピンにロックされ、車輪の軌間を変更する時、前記車輪における車輪埋め込み型のブレーキディスクはブレーキキャリパーに押し力を加え、前記接続スリーブが受けた押し力は前記接続スリーブと前記支持ピンとの間の減衰力より大きくなると、前記接続スリーブは前記ブレーキキャリパーを連動させて前記支持ピンに沿って移動させる。車輪セットの改軌が完了すると、ブレーキキャリパーも対応する位置に到達する。これにより、軌間可変台車の異なる軌間でのパーキングブレーキを満たし、軌間可変台車の異なる軌道での運行効率を向上させ、車両運行の安全性を確保することができる。なお、車輪埋め込み型のブレーキディスクと、それと対応するブレーキキャリパーを設けることにより、例えば伝動駆動装置と対応するトラクションモータ、カップリング、ギア箱体等の関連部材、又はそのトラスミッションケースなどの、高速列車台車に必要な駆動装置を設置するための十分な空間を確保することができる。
【0024】
なお、本発明の実施例では、ロック機構がそれぞれ車輪の外側に設けられ、車輪内側部分の車軸は従来の車軸と一致することで、一方で、車輪の内側の車軸に取り付けられるモータ、ギア箱体などの部材のための十分な設計スペースを持ち、他方で、既存の車のインターフェースとの一致性を維持し、既存の車に対するバッチ改造を容易にすることができる。また、車輪と車軸はスプラインを介して接続されることで、トルクが車輪の内周に均一に分布し、トルクが容易に伝達されるとともに、車輪が車軸に沿って摺動して軌間変更が実現されやすい。
【0025】
そして、車軸の中間軸の両端を3段の段付き軸としてそれぞれ設置し、外スプラインを3段の段付き軸の中間セクションに設置し、車輪の中心孔を更に3段の段付き孔として設置し、内スプラインを3段の段付き孔の中間セクションに設置することで、全体として「フランジ+スプライン+フランジ」の嵌合接続の形態が形成され、外スプラインの両端のフランジにより径方向の荷重を受け、内外スプラインの嵌合によりトルクを伝達することで、径方向の荷重の受けとトルク伝達の機能の分離を実現し、軌間可変車輪セットの構造の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施例に係る軌道車両用の高速列車軌間可変台車の斜視模式図である。
【
図2】
図1におけるブレーキ部分の斜視模式図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る軌道車両用の高速列車軌間可変台車における第1の支持ピンの軸方向断面図である。
【
図4】本発明の実施例2に係る軌道車両用の高速列車軌間可変台車における第2の支持ピンの軸方向断面図である。
【
図5】本発明の実施例に係る軌道車両用の高速列車軌間可変台車の部分模式図である。
【
図6】本発明の実施例に係る軌道車両用の高速列車軌間可変台車におけるブレーキキャリパーが軌間可変車輪セットに取り付けられた模式図である。
【
図7】
図6における外側スリーブの斜視模式図である。
【
図8】
図6におけるロックピンの斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面及び実施例を参照しながら、本公開の具体的な実施形態を詳細に説明する。以下の実施例は、本公開を説明するためのものに過ぎず、本公開の範囲を制限するためのものではない。
【0028】
本発明の実施例の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づく方位又は位置関係であり、本発明の実施を便利に又は簡単に説明するためのものに過ぎず、示された装置又は素子が必ず特定の方位にあり、特定の方位において構成されて操作されると明示又は暗示するものではないので、本発明の実施例に対する限定であると理解されるべきではない。なお、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は説明するためものであり、相対的な重要性を明示又は暗示すると理解されるべきではない。
【0029】
本発明の説明において、明確な規定と限定がない限り、「取り付け」、「互いに接続」、「接続」の用語の意味は広く理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、あるいは一体的な接続でも可能であり、機械的な接続や、電気的な接続でも可能であり、直接接続することや、中間媒体を介して互いに間接接続することや、2つの素子の内部の連通でも可能である。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本発明の実施例での具体的な意味を理解することができる。
【0030】
本発明の実施例の説明において、特に明記しない限り、「複数」、「複数本」、「複数組」とは、2つ又は2つ以上を意味する。
【0031】
以下、2つの実施例で本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明の具体的な内容を限定しない。
【0032】
[実施例1]
図1に示すように、本発明の実施例に係る軌道車両用の高速列車軌間可変台車は、フレームを備え、前記フレームが平行に設置された1対のサイドビーム20と、1対の前記サイドビーム20の間に接続される、平行に設置された1対のクロスビームとを備え、1対の前記クロスビームの外側には軌間可変車輪セットがそれぞれ設けられ、前記軌間可変車輪セットの車輪10には車輪埋め込み型のブレーキディスク100が取り付けられ、具体的には、
図6に示すように、車輪埋め込み型のブレーキディスク100は、それぞれ車輪10の内外の両側に取り付けられて、コネクタを介して一体として接続される。
図5に示すように、前記サイドビーム20には取り付けシート2及びブレーキキャリパー1が取り付けられ、もちろん、取り付けシート2はクロスビームに取り付けられてもよい。
図2-3に示すように、前記ブレーキキャリパー1は、支持ピン3を介して前記取り付けシート2に接続され、具体的には、前記支持ピン3は、前記取り付けシート2の下方に水平に設けられ、その両端が前記取り付けシート2に固定して接続され、前記ブレーキキャリパー1の一端には接続スリーブが設けられ、前記接続スリーブ内には弾性減衰性を有する減衰インナースリーブ4が締結嵌設されている。減衰インナースリーブ4は安定ゴムからなってもよい。軌間可変車輪セットが正常に運行する時、ブレーキキャリパー1と取り付けシート2の位置が変わらないように、前記接続スリーブは、前記減衰インナースリーブ4を介して前記支持ピン3にロックされている。なお、前記減衰インナースリーブ4の前記支持ピン3と接触する内側には凹溝32が設けられ、凹溝32のサイズは必要な減衰力の大きさに応じて設定されるので、減衰力は、実際の必要に応じて調整することができる。軌間変更時、車輪10は、内向き又は外向きの押し力を受けて移動する時、車輪10はブレーキキャリパー1に押し力を加え、前記接続スリーブが受けた押し力が前記接続スリーブと前記支持ピン3との間の減衰力より大きくなると、前記接続スリーブは、前記ブレーキキャリパー1を連動させて前記支持ピン3に沿って移動させる。車輪セットの改軌が完了すると、ブレーキキャリパー1も対応する位置に到達し、且つ減衰インナースリーブ4を介して支持ピン3に再びロックされ、位置決めが実現される。これにより、軌間可変台車の異なる軌間でのパーキングブレーキを満たし、軌間可変台車の異なる軌道での運行効率を向上させ、車両運行の安全性を確保することができる。また、安定ゴムの減衰は、車両の走行中の振動及び衝撃を減衰させ、ブレーキキャリパー1の横方向の位置決めを安定して、信頼性の高いものにすることができる。
【0033】
なお、車輪埋め込み型のブレーキディスク100と、それと対応するブレーキキャリパー1と、取り付けシート2とを設けることにより、例えば伝動駆動装置と対応するトラクションモータ、カップリング、ギア箱体等の関連部材、又はそのトラスミッションケースなどの、高速列車台車に必要な駆動装置を設置するための十分な空間を確保することができる。
【0034】
本発明の実施例では、接続スリーブが往復に移動する空間を確保するために、前記接続スリーブの長さは前記支持ピン3の長さより短く、前記接続スリーブの両端と前記支持ピン3の対応端はそれぞれコルゲートチューブ7により接続される。コルゲートチューブ7は十分な弾性及び伸縮性を有するため、接続スリーブの移動と伴い伸縮することができ、且つコルゲートチューブ7を設けることにより、接続スリーブへのほこりや異物の侵入を防ぐことができ、且つコルゲートチューブ7の配置は、接続スリーブの横方向の位置決めに対して一定の作用を有する。また、接続スリーブが支持ピン3に沿って移動する時、両者が干渉しないようにするために、前記接続スリーブと前記取り付けシート2の底面との間には隙間が設けられている。
【0035】
ただし、前記減衰インナースリーブ4は、第1の減衰インナースリーブと、第2の減衰インナースリーブとを備え、前記第1の減衰インナースリーブと第2の減衰インナースリーブは間隔を置いて設置され、前記第1の減衰インナースリーブと第2の減衰インナースリーブとの間の前記支持ピン3には球面軸受5が固定して外嵌され、前記球面軸受5と前記接続スリーブは軸受座6によって位置決めされ、球面軸受5の外輪の外径表面は球面であり、軸受座6の対応する凹球面内に嵌合してセンタリングの役割を果たすことができ、前記軸受座6は前記接続スリーブの内表面に圧入し嵌合されて一体構造となる。球面軸受5を設置することにより、接続スリーブが移動する時の揺れの発生を防ぐことができる。なお、球面軸受5の両端は、第1の減衰インナースリーブと第2の減衰インナースリーブの移動に対して制限する機能があり、即ち、第1の減衰インナースリーブと第2の減衰インナースリーブの最大移動距離は球面軸受5と接触するまで移動する距離である。接続スリーブの移動時、軸受座6は球面軸受5の表面に沿って移動する。
【0036】
さらに、支持ピン3の取り付けを容易にするために、前記取り付けシート2の、前記軌間可変車輪セットの軸方向に沿って対向する両側には、下向きに延びる接続端がそれぞれ設けられ、前記支持ピン3は前記接続端に固定して接続されている。
【0037】
なお、接続の信頼性を確保するために、前記取り付けシート2の下方には、2本の前記支持ピン3が平行に設けられ、それぞれ、第1の支持ピン31及び第2の支持ピン32であり、前記第1の支持ピン31は前記取り付けシート2の外側に位置し、前記第2の支持ピン32は前記取り付けシート2の内側に位置し、それに対応し、前記ブレーキキャリパー1の一端には並列に接続された2つの前記接続スリーブが設けられ、2つの接続スリーブは、溶接により一体として形成されてもよく、それぞれ第1の接続スリーブ11及び第2の接続スリーブ12であり、前記第1の接続スリーブ11は第1の支持ピン31に接続され、前記第2の接続スリーブ12は第2の支持ピン32に接続される。これにより、接続スリーブが回転することなく安定的に支持ピンに接続されることを確保することができる。ブレーキキャリパー1が移動する必要がある場合、第1の接続スリーブ11と第1の支持ピン31との間の減衰力と、第2の接続スリーブ12と第2の支持ピン32との間の減衰力を同時に克服する必要があり、即ち、受けた減衰力が比較的に大きい。
【0038】
具体的には、本発明の実施例では、前記ブレーキキャリパー1は、対向して設置された1対のキャリパー本体13を備え、前記キャリパー本体13は、一方の端が前記接続スリーブに接続され、他方の端の内側にはブレーキパッド14がそれぞれ設けられ、前記ブレーキパッド14は粉末冶金のブレーキパッド14であり、耐摩耗性に優れた。
【0039】
なお、本発明の実施例では、1対の前記サイドビーム20の両端には軸箱体70がそれぞれ設けられ、軌間可変車輪セットの車軸80の両端はそれぞれ前記軸箱体70中に延び込み、軸箱体70により車軸80の両端の支持及び位置決めを行う。
図6に示すように、前記車輪10は、対向する2つの前記軸箱体70の間の前記車軸80に取り付けられ、且つスプラインを介して前記車軸80に接続され、具体的には、車輪10の接続孔には内スプラインが設けられ、車軸80には外スプラインが設けられ、車輪10と車軸80は内外スプラインにより嵌合して接続されることで、トルク均が車輪10の円周に均一に分布し、トルク及び車両全体の重量が容易に伝達されるとともに、車輪10が車軸80に沿って摺動して軌間変更が実現されやすい。前記ロック機構は、それぞれ前記車輪10の外側に設けられ、且つ前記軸箱体70中に位置し、車輪10の外側の車軸80のみに対して少しの改良を行う必要があるが、車輪10の内側部分の車軸80は従来の車軸80と一致する。これにより、一方で、車輪10の内側の車軸80に取り付けられたモータ、ギア箱体などの部材のための十分な設計スペースを持ち、他方で、既存の車のインターフェースとの一致性を維持し、既存の車に対するバッチ改造を容易にすることができ、前記ロック機構は、前記車輪10の外側に接続され、車輪10の軌間の変更を実現するように車輪10のロック及びロック解除に用いられ、構造が簡単で、操作が便利である。
【0040】
本発明の実施例では、ロック機構の取り付け及び位置決めを容易にするために、前記車軸80は、中間直径が両端直径より大きい段付き軸として設置され、前記車輪10は、前記段付き軸の中間軸に設けられ、且つ前記中間軸の両端にそれぞれ設けられ、前記ロック機構は前記段付き軸の両端軸に設けられている。
【0041】
本発明の実施例では、
図6に示すように、前記ロック機構は、具体的に、内側スリーブ60、転がり軸受50、外側スリーブ30、及びロックピン40を備える。
【0042】
前記内側スリーブ60、転がり軸受50、及び外側スリーブ30は、内から外に向かって順次にしっかり套接されてスライドユニットとして形成され、且つスライドユニットの両端がシールされ、転がり軸受50における潤滑油の漏れを防止することができるとともに、外部のほこりや雑物が当該スライドユニット内に侵入ることを避けることができる。列車が正常に運行している時、内側スリーブ60及び転がり軸受50の内輪は、車輪10とともに回転し、転がり軸受50の外輪及び外側スリーブ30は相対的固定に維持され、前記内側スリーブ60は前記車軸80に隙間嵌めされ、前記内側スリーブ60の前記車輪10に面する一端は前記軸箱体70から延び出して、ボルトなどの締結具で前記車輪10に締結接続され、前記外側スリーブ30が前記軸箱体70の内表面に隙間嵌めされ、スライドユニットは軸箱体70に対して水平にスライドすることができる。
図7に示すように、前記外側スリーブ30の外側の対向する両側には前記外側スリーブ30の軸方向に沿って延びるボス31がそれぞれ設けられ、前記ボス31の長手方向に沿って間隔を置いて複数の凹溝32が設けられ、前記軸箱体70の内壁には前記凹溝32と1対1対応する凹弧面が設けられ、前記ロックピン40は、前記凹溝32及び前記凹弧面で限定されたロック空間に挿入するためのものであり、車輪10の軌間の変更を実現するように、外力の作用下で複数の前記ロック空間の間で切り替えることができる。具体的には、ロックピン40がロック空間に挿入される時、ロックピン40は、一方の部分が凹溝32中に位置し、他方の部分が凹弧面と合わせられ、外側スリーブ30は軸箱体70に対して位置が固定され、ロックが実現され、この時、車輪10は車軸80に対して位置が固定される。軌間を変更する必要がある場合、ロックピン40は、外力の作用下で所在するロック空間から外れ、ロック解除が実現される。本実施例では、上向きの押し力でロックピン40をロック空間から外し、この時、車輪10が押されて車軸80に沿って外側又は内側へ移動し、それと伴い、スライドユニットを連動させて軸箱体70及びロックピン40に対して移動させ、変更された軌間と対応するロック空間がロックピン40の真下まで移動したとき、ロックピン40は、それ自体の重力及び下向きの力の作用下で当該ロック空間に挿入され、車輪10の軌間の変更が完了する。
【0043】
具体的には、前記内側スリーブ60は前記段付き軸の両端軸に外嵌され、両者は隙間嵌めされ、且つ前記内側スリーブ60と前記段付き軸のショルダとの間に軌間変更間隔が設けられ、このように、軌間を変更する時、内側スリーブ60は、車軸80と干渉することなく、車軸80に沿って移動するのに十分な距離を有するように確保され、隣接する2つの前記凹溝32間の距離は必要な変更の軌間の半分に等しく、軌間を変更する時、車軸80の両端の車輪10は同時に移動し、2つの車輪10は、それぞれ必要な変更の軌間の距離の半分だけ移動し、このように、総移動距離は必要な変更の軌間の距離であり、例えば、標準軌間から狭軌間又は広軌間に変更、あるいは狭軌間又は広軌間から標準軌間に変更する場合、必要に応じて変更の軌間を選択することができる。
【0044】
さらに、前記段付き軸の中間軸の両端には外スプラインがそれぞれ設けられ、前記車輪10と前記中間軸の両端は内スプライン及び外スプラインを介して嵌合して接続され、さらに、前記中間軸の両端には3段の段付き軸がそれぞれ構成され、前記3段の段付き軸は、外から内に向かって直径が拡径している第1のフランジ、第2のフランジ、及び第3のフランジを備え、前記外スプラインは前記第2のフランジの外周に設けられ、前記車輪10の中心孔は3段の段付き孔として構成され、前記3段の段付き孔は、外から内に向かって直径が拡径している第1の接続孔、第2の接続孔、及び第3の接続孔を備え、前記内スプラインは前記第2の接続孔の内壁の周方向に設けられ、前記第1の接続孔は、前記第1のフランジに嵌合され、前記内スプラインと外スプラインは嵌合して接続され、前記第3の接続孔は前記第3のフランジに嵌合され、全体として「フランジ+スプライン+フランジ」の嵌合接続の形態が形成され、外スプラインの両端のフランジにより径方向の荷重を受け、内外スプラインの嵌合によりトルクを伝達することで、径方向の荷重の受けとトルク伝達の機能の分離を実現し、軌間可変車輪セットの構造の信頼性を向上させることができる。
【0045】
具体的には、
図8に示すように、前記ロックピン40は、ピン本体41を備え、前記ピン本体41の一側には開口溝42が設けられ、前記開口溝42は前記ピン本体41の径方向に沿って貫通し、前記開口溝42内には、前記ピン本体41の軸方向に沿って延びるラグ43が少なくとも1つ設けられ、単一のラグ43の力受けの状況を改善し、信頼性を向上させるように、例えば、2つの平行なラグ43が設けられてもよい。前記ラグ43の上端は前記開口溝42の溝頂に接続され、前記ラグ43の下端と前記開口溝42の溝底との間に切り欠き44が設けられ、前記ラグ43は前記凹溝32に挿入するためのものである。軌間を変更する時、ロックピン40は、鉛直の上向きの外力の作用下で下から上へ凹溝32から外れる時、まず、ラグ43が下から上へ凹溝32から外れて、凹溝32の上方に移動し、この時、ラグ43の下方の切り欠き44は2つの凹溝32の間のボス31の位置と対向し、この時、左向き又は右向きの外力が加わると、外側スリーブ30は車輪10とともに移動し、ボス31は、切り欠き44に係入されて切り欠き44に沿って移動し、ラグ43の下端はボス31の面に支持され、別の凹溝32の位置まで移動すると、ピン本体41は、それ自体の重力以及下向き力の作用下で下へ移動し、ラグ43は、当該凹溝32中に挿入され、ロックが実現され、軌間の変更が完了する。
【0046】
さらに、前記ラグ43の幅は前記凹溝32の幅にマッチングすることで、ラグ43の凹溝32への挿入又は凹溝32からの外れを容易にし、且つラグ43が凹溝32に挿入された後、ロック機構全体の位置が安定して、揺れを避けるのを確保することができ、前記切り欠き44の幅は前記ボス31の厚み以上であるため、ボス31が切り欠き44に係入可能で、更に切り欠き44において摺動可能となる。
【0047】
本発明の実施例では、ピン本体41の軸箱体70に挿入された部分が軸箱体70と確実に嵌合することを確保するために、前記軸箱体70に設置された凹弧面は、前記ピン本体41の開口溝42が設けられた側の反対側の外表面にマッチングする。
【0048】
なお、前記ピン本体41はリターンスプリングにより前記軸箱体70に取り付けられ、前記ピン本体41の上端は前記リターンスプリングに接続され、前記ピン本体41の下端は前記軸箱体70の底面から延び出している。具体的には、軸箱体70に支持座が設置されてもよく、前記ピン本体41の上端は前記リターンスプリングに接続され、リターンスプリングの上端は支持座に接続され、リターンスプリングは、ピン本体41がロック空間に位置する時、常にロック状態を維持するためのロック力を持たせ、且つロック解除後、再びロックする時、ピン本体41に反対の作用力を与え、迅速なロックを助けるためのものである。軸箱体70の底面にはピン本体41の直径より少し大きい貫通孔が設けられ、前記ピン本体41の下端は貫通孔を介して前記軸箱体70の底面から延び出しており、且つピン本体41の底面は、その中心軸線の両側においてそれぞれ上方に傾斜した案内斜面45として設置されていることで、地面改軌施設は容易にピン本体41に作用力を加えて、軌間変更を実現することができる。
【0049】
車軸80の横方向の位置決めを実現するために、前記車軸80の両端は、それぞれ位置決め軸受を介して前記軸箱体70に接続され、軸箱体70に対する車軸80の横方向の動きが防止され、位置決め軸受には深溝玉軸受を採用することができる。
【0050】
本発明の実施例では、改軌前後の車両運行の安全性を確保するように、前記軸箱体70には改軌過程検出・早期警告ユニットが設けられており、このように、軌間変更前後の台車の動力学応答特性とモーダルマッチングルールを研究し、列車の動力学指標を予測し、サスペンションパラメーターの変動限界を提案し、異なる軌間の適応性を分析することが容易になる。
【0051】
本発明の実施例の改軌過程は、改軌の時、軸箱体70の下部に設置されたロックピン40により、軸箱体70の下方においてトリガーされ、地面改軌施設を通過する時、まず、地面装置によって軸箱体70を持ち上げて、車体の重量を支え、車輪セットをアンロードすること->地上改軌施設により軌間可変車輪セットのロック機構をロック解除すること->地上補助軌道により車輪10のリムの内側/外側を押圧して、改軌動作を完了すること->ロック機構をロックすること->軸箱体70の負荷を卸し、車輪セットによる負荷受けを復元すること->改軌動作が完了し、車両が正常に運行することである。
【0052】
本発明の実施例の改軌過程検出について、台車軸箱体70内、地上改軌施設に改軌過程検出・早期警告ユニットが設置され、改軌変更後の安全的制動距離は、改軌過程の安全性と信頼性を確保するために設定され、軌道変更が失敗したとき、警報装置がトリガーされて車両に緊急ブレーキをかけさせる旨を通知する。
【0053】
[実施例2]
実施例2は、実施例1との区別が以下のとおりである。
図4に示すように、実施例2における前記第2の接続スリーブ12は、ブッシュ9を介して前記第2の支持ピン32に外嵌され、前記ブッシュ9には耐衝撃性ゴムスリーブ8が固定して設けられ、前記第2の接続スリーブ12は前記耐衝撃性ゴムスリーブ8に圧着され、接続スリーブ、耐衝撃性ゴムスリーブ8、及びブッシュ9は一体構造として形成され、接続スリーブはブッシュ9に連動されて支持ピンに沿って自在に往復移動することができる。実施例2で、第1の接続スリーブ11と第1の支持ピン31との間の減衰力を克服するだけで、移動することが実現でき、即ち、受けた減衰力が小さい。
【0054】
ただし、前記ブッシュ9は金属材料からなり、前記耐衝撃性ゴムスリーブ8は前記ブッシュ9の外周面に加硫して形成されている。
【0055】
上記の実施例から、本発明の実施例は、軌間可変台車の異なる軌間でのパーキングブレーキを満たし、軌間可変台車の異なる軌道での運行効率を向上させ、車両運行の安全性を確保することができ、且つブレーキキャリパーの横方向の位置決めを安定させて、信頼性を高くすることができることが分かる。
【0056】
そして、本発明の実施例の軌間変更構造は、既存の台車構造に対する変更が小さく、車輪内側部分の車軸が従来の車軸と一致し、車輪内側の車軸上に取り付けられたモータ、ギア箱体などの部材のための十分な設計スペースを持つ。
【0057】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の精神及び原則の範囲内で行われた変更、同等の交換、改善などは、本発明の保護の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1 ブレーキキャリパー
2 取り付けシート
3 支持ピン
4 減衰インナースリーブ
5 球面軸受
6 軸受座
7 コルゲートチューブ
8 耐衝撃性ゴムスリーブ
9 ブッシュ
10 車輪
11 第1の接続スリーブ
12 第2の接続スリーブ
13 キャリパー本体
14 ブレーキパッド
20 サイドビーム
30 外側スリーブ
31 第1の支持ピン/ボス
32 第2の支持ピン/凹溝
40 ロックピン
41 ピン本体
42 開口溝
43 ラグ
44 切り欠き
45 案内斜面
50 転がり軸受
60 内側スリーブ
70 軸箱体
80 車軸
100 車輪埋め込み型のブレーキディスク