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特許7036937パッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】パッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバー
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/33 20180101AFI20220308BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20220308BHJP
   F21S 45/60 20180101ALI20220308BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20220308BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20220308BHJP
【FI】
F21S45/33
B01D53/26 230
F21S45/60
F21V31/00 100
F21W102:00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020549708
(86)(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 CN2018095344
(87)【国際公開番号】W WO2019232889
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-09-14
(31)【優先権主張番号】201810567162.1
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516017167
【氏名又は名称】パナシアン マイクロベント テック(ジアンスー)コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PANASIAN MICROVENT TECH(JIANGSU)CORPORATION
【住所又は居所原語表記】No.8, Qiancao Road, Lijia Town, Wujin District Changzhou City, Jiang Su Province, 213176, P.R.China.
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイホン
(72)【発明者】
【氏名】ワン チー
(72)【発明者】
【氏名】ディン ロンファ
(72)【発明者】
【氏名】ソン ハイミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ユーフォン
(72)【発明者】
【氏名】シュェ シァォジュン
(72)【発明者】
【氏名】ウー ヂーチャオ
(72)【発明者】
【氏名】チン チャンイン
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-334537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/33
B01D 53/26
F21S 45/60
F21V 31/00
F21W 102/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通気孔が設けられたエッジカバーと、
前照灯ケーシングに接続するための接続台と、
赤外線乾燥および排気のためのモジュールと、を含み、
前記エッジカバーは、接続台に装着され接続してヘッドランプバックカバーを形成し、
前記モジュールは、前記ヘッドランプバックカバーのキャビティ内に内蔵され、前記ヘッドランプバックカバーによって、前照灯ケーシング内外で空気が流れる経路上に、気圧差に押し動かされて自動的に開閉するパッキンが少なくとも一つ設けられており、
赤外線乾燥および排気のための前記モジュールは、筒体と、ミクロ多孔質膜と、を含み、前記筒体の両側端面にはいずれも前記ミクロ多孔質膜が接続されており、前記筒体内部は、ハニカム状にくり抜かれ仕切られた直通孔状を呈しており、可逆性吸湿微粒子物質と遠赤外線放射エネルギーを高効率で吸収するマイクロパウダー粒子との混合物が内部に充填されていることを特徴とするパッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバー。
【請求項2】
前記パッキンが前記エッジカバーのみに設けられているか、または前記エッジカバーおよび前記接続台の両方に前記パッキンが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバー。
【請求項3】
前記パッキンの外側に、前記パッキンを清潔な状態に保護するためのミクロ多孔質膜が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のパッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバー。
【請求項4】
前記パッキンは、局所固定または周辺全固定の方式を採用して固定され、局所固定を採用する場合、未固定部位は圧力差の作用の下で前記パッキンを自動的に開閉し、周辺全固定を採用する場合、前記パッキン上に花弁状開口を設け、圧力差の作用の下で前記パッキンを自動的に開閉することを特徴とする請求項1に記載のパッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバー。
【請求項5】
前記パッキンは、シリコーンゴムシートまたはプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1に記載のパッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバー。
【請求項6】
前記ミクロ多孔質膜は、双方向対流能力のある水蒸気浸透穴を有する薄膜であることを特徴とする請求項に記載のパッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバー。
【請求項7】
前記筒体の両側端面にはいずれも双方向対流能力のある水蒸気浸透穴を有する薄膜が接続されており、前記前照灯ケーシング内の湿気は、水蒸気浸透穴から筒体内部に入り、前記可逆性吸湿微粒子物質および遠赤外線放射エネルギーを高効率で吸収する前記マイクロパウダー粒子の混合物を経て、水蒸気浸透穴から排出され、外部の空気は、前記モジュールで乾燥されろ過された後、前記前照灯ケーシング内部に入り、前記前照灯ケーシング内に入るのは乾燥した空気であり、前記前照灯ケーシング内外で空気が流れる経路上に、前記パッキンが少なくとも一つ設けられていることを特徴とする請求項に記載のパッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバー。
【請求項8】
前記可逆性吸湿微粒子物質は、可逆性乾燥剤、ベントナイト、シリカエアロゲル、分子篩炭、カーボンエアロゲル吸着剤および吸水性樹脂の一種または複数種であり、遠赤外線放射エネルギーを高効率で吸収する前記マイクロパウダー粒子は、カーボン製品、バイオ炭、電気石、遠赤外線セラミックス、炭化ジルコニウム、金属酸化物および炭化ケイ素の一種または複数種を含むことを特徴とする請求項に記載のパッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
中国における自動車の見た目に対する要求の高まりに伴い、自動車車種の多くは、外観が流線形の曲面を呈し、特に自動車前照灯は、自動車の目であり、外観形状がさらに丸みを帯び、躍動的な美しさをもつようになっている。前照灯として成熟した商品であるハロゲンバルブ、キセノンランプのほかに、LED前照灯の新しい技術が追加されている。現代的な前照灯は、美しさを追求するために、その形状は複雑化しており、形状が複雑になることによってハウジング内で温度差が生じるため、外部の空気(湿度)が入った後、曇りが生じやすくなり、走行の安全に影響を及ぼす。自動車前照灯の曲面化および追加されたLED前照灯の新技術によって、自動車前照灯の透明なハウジングの曲面や尖った角の遷移領域などのハウジング内表面の局所での結露が悪化し、国外の自動車業界で常用される水分拡散結露防止技術でも上述した走行の安全に影響を及ぼす前照灯の曇りや結露の問題を解決することができていない。
【発明の概要】
【0003】
本発明で主に解決しようとする技術的課題は、自動車前照灯および電気電子機器のケーシング内で曇りや結露の現象が生じないようにし、電気的性能が湿った空気環境の影響を受けないようにし、灰塵の侵入を阻止することができるパッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバーを提供することである。
【0004】
上述した技術的課題を解決するため、本発明で採用する技術手法は、次の通りである。複数の通気孔が設けられたエッジカバーと、前照灯ケーシングに接続するための接続台と、赤外線乾燥および排気のためのモジュールと、を含み、前記エッジカバーは、前記接続台に装着され接続してヘッドランプバックカバーを形成し、前記モジュールは、前記ヘッドランプバックカバーのキャビティ内に内蔵され、前記ヘッドランプバックカバーによって、前照灯ケーシング内外で空気が流れる経路上に、気圧差に押し動かされて自動的に開閉するパッキンが少なくとも一つ設けられた、パッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバーを提供する。
【0005】
本発明の好ましい実施例において、前記パッキンが前記エッジカバーのみに設けられているか、または前記エッジカバーおよび前記接続台の両方に前記パッキンが設けられている。
【0006】
本発明の好ましい実施例において、前記パッキンの外側に、前記パッキンを清潔な状態に保護するためのミクロ多孔質膜が設けられている。
【0007】
本発明の好ましい実施例において、前記パッキンは、局所固定または周辺全固定の方式を採用して固定され、局所固定を採用する場合、未固定部位は圧力差の作用の下で前記パッキンを自動的に開閉し、周辺全固定を採用する場合、前記パッキン上に花弁状開口を設け、圧力差の作用の下で前記パッキンを自動的に開閉する。
【0008】
本発明の好ましい実施例において、前記パッキンは、シリコーンゴムシートまたはプラスチックフィルムである。
【0009】
本発明の好ましい実施例において、赤外線乾燥および排気のための前記モジュールは、筒体と、ミクロ多孔質膜と、を含み、前記筒体の両側端面にはいずれも前記ミクロ多孔質膜が接続されており、前記筒体内部は、ハニカム状にくり抜かれ仕切られた直通孔状を呈しており、可逆性吸湿微粒子物質および遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子の混合物が内部に充填されている。
【0010】
本発明の好ましい実施例において、前記ミクロ多孔質膜は、双方向対流能力のある水蒸気浸透穴を有する薄膜である。
【0011】
本発明の好ましい実施例において、前記筒体の両側端面にはいずれも双方向対流能力のある水蒸気浸透穴を有する薄膜が接続されており、前記前照灯ケーシング内の湿気は、水蒸気浸透穴から前記筒体内部に入り、前記可逆性吸湿微粒子物質および遠赤外線放射物質を高効率で吸収する前記マイクロパウダー粒子の混合物を経て、水蒸気浸透穴から排出され、外部の空気は、前記モジュールで乾燥されろ過された後、前記前照灯ケーシング内部に入り、前記前照灯ケーシング内に入るのは乾燥した空気であり、前記前照灯ケーシング内外で空気が流れる経路上に、前記パッキンが少なくとも一つ設けられている。
【0012】
本発明の好ましい実施例において、前記可逆性吸湿微粒子物質は、可逆性乾燥剤、ベントナイト、シリカエアロゲル、分子篩炭、カーボンエアロゲル吸着剤および吸水性樹脂の一種または複数種であり、遠赤外線放射物質を高効率で吸収する前記マイクロパウダー粒子は、カーボン製品、バイオ炭、トルマリン、遠赤外線セラミックス、炭化ジルコニウム、金属酸化物および炭化ケイ素の一種または複数種を含む。
【0013】
本発明の有益な効果は次の通りである。本発明は、自動車前照灯および電気電子機器のケーシング内で曇りや結露の現象が生じないようにし、電気的性能が湿った空気環境の影響を受けないようにすることができ、自動車の電気電子機器のケーシング内の鏡面上または滑らかな電子素子表面に結露現象が生じず、自動車の電気電子機器の性能を発揮させることができ、欧米や日本のケーシング内湿度制御調節の従来の方法を徹底的に覆し、また灰塵の浸入を阻止することができ、自動車の電気電子機器のケーシング内で無汚染の耐塵形を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施例における技術手法をより明確に説明するために、以下に、実施例の説明に必要な図面について簡単に紹介する。以下の記述における図面は、本発明の実施例の一部に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働を行わない前提の下で、これらの図面に基づきその他の図面をさらに得ることができることは自明のことである。
図1】本発明のパッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバーの好ましい実施例の構造模式図である。
図2】本発明のパッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバーの別の好ましい実施例の構造模式図である。
図3】本発明のパッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバーの別の好ましい実施例の構造模式図である。
図4】本発明のパッキン構造の好ましい実施例の構造模式図である。
図5】本発明のパッキン構造の別の好ましい実施例の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例における技術手法について、明確かつ完全に記述するが、記述する実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的労働を行わない前提の下で得たその他すべての実施例は、いずれも本発明の保護する範囲に属す。
【0016】
図1図3に示すように、本発明の実施例は、次のものを含む。
【0017】
複数の通気孔1-1が設けられたエッジカバー1と、前照灯ケーシングに接続するための接続台2と、赤外線乾燥・排気のためのモジュール3と、を含み、エッジカバー1は、接続台2に装着され接続してヘッドランプバックカバーを形成し、モジュール3は、ヘッドランプバックカバーのキャビティ内に内蔵され、ヘッドランプバックカバーによって、前照灯ケーシング内外で空気が流れる経路上に、気圧差に押し動かされて自動的に開閉するパッキン4が少なくとも一つ設けられた、パッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバー。
【0018】
前記パッキン4は、エッジカバー1のみに設けられており、すなわち、単一パッキン構造を有するバックカバーであり、図1に示すように、パッキンは、エッジカバーの通気孔上に設けられている。または、前記パッキン4は、エッジカバー1および接続台2の両方に設けられており、すなわち、二重パッキン構造を有するバックカバーであり、パッキンは、エッジカバーおよび接続台の通気孔上に設けられている。
【0019】
パッキン4は、シリコーンゴムシートまたはその他のプラスチックフィルムである。前記パッキンは、局所固定または周辺全固定の方式を採用して固定され、局所固定を採用する場合、未固定部位は圧力差の作用の下でパッキンを自動的に開閉し、周辺全固定を採用する場合、パッキン上に花弁状開口を設け、圧力差の作用の下でパッキンを自動的に開閉する。
【0020】
図2に示すように、2つのパッキン4は、上下の異なる位置に局所固定され、未固定部位は圧力差の作用の下でパッキンを自動的に開閉する。図3に示すように、2つのパッキン4は、同じ位置に局所固定され、未固定部位は圧力差の作用の下でパッキンを自動的に開閉する。
【0021】
円形パッキンは、円周固定または局所固定を採用することができ、円周固定を採用する場合、図4および図5に示すように、パッキンの中心に十字状の溝または米の字状の溝を設け、圧力差の作用の下でパッキンを自動的に開閉し、軽微な気圧の変化の下でも、湿気を排出する機能を起動することができる。局所固定する場合、未固定部位は圧力差の作用の下でパッキンを自動的に開閉する。
【0022】
前記パッキン4の外側に、パッキンを清潔な状態に保護するためのミクロ多孔質膜5が設けられており、ミクロ多孔質膜5は、好ましくは延伸ポリテトラフルオロエチレンミクロ多孔質膜である。バックカバーが単一パッキン構造である場合、延伸ポリテトラフルオロエチレンミクロ多孔質膜5は、パッキン4の外側のエッジカバー1上に固定され、バックカバーが二重パッキン構造である場合、パッキン4の外側のエッジカバー1および接続台2の両方に延伸ポリテトラフルオロエチレンミクロ多孔質膜5が接続される。延伸ポリテトラフルオロエチレンミクロ多孔質膜5とエッジカバー1、接続台2との接続方式は、好ましくは溶接の方式で接続され、延伸ポリテトラフルオロエチレンミクロ多孔質膜5は、バックカバー内のパッキン1が清潔な状態にあるよう保護するために用いられ、パッキンが気圧の差の変化により自動的に機敏に開閉することを実現する。
【0023】
ヘッドランプバックカバーのエッジカバー1と接続台2との間の接続は、溶接もしくは接着またはその他の形式の接続とすることができ、例えば、ネジ式、バックル式、締りばめ等の接続方式とすることができる。接続台2と前照灯ケーシングを接続する形式は、溶接もしくは接着またはその他の形式の接続することができ、例えば、ネジ式、バックル式、締りばめ等とすることができる。
【0024】
パッキン構造の赤外線乾燥および排気機能を有するヘッドランプバックカバーは、劣悪な気候環境での大量の実験の結果、いずれも前照灯の曇りや結露の現象を有効に除去して解決することができ、ユーザのためにコストを削減し製品の品質を高めることができる。
【0025】
このバックカバー内のパッキン4を開閉する動力は、自動車前照灯を点灯して運転および停車する際の前照灯内外の温度変化であり、前照灯内の気圧が上昇・低下すると、この内外の圧力差は最大数百KPaに達し、柔軟なパッキン薄膜を容易に開閉することができ、湿った空気を外に排出して内外圧力のバランスを調節することができる。点灯時に生じる赤外線放射熱は、赤外線乾燥および排気のためのモジュールの可逆性吸湿物質を乾燥した状態に保ち、強力で急速な吸湿能力をもたせることができ、これによって前照灯内の環境湿度を低く維持することにより、曇りや結露の現象を除去する能力をもたせる。
【0026】
赤外線乾燥および排気のためのモジュール3は、筒体と、ミクロ多孔質膜と、を含み、筒体の両側端面にはいずれもミクロ多孔質膜が接続されており、筒体内部は、ハニカム状にくり抜かれ仕切られた直通孔状を呈しており、可逆性吸湿微粒子物質および遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子の混合物3-1が内部に大量に充填されている。
【0027】
本発明において、筒体は、射出成形品の円筒であることが好ましい。ミクロ多孔質膜は、双方向対流能力のある水蒸気浸透穴を有する薄膜であり、好ましくは、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)ミクロ多孔質膜である。
【0028】
延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)ミクロ多孔質膜は、特殊な機能を有する高付加価値の高分子新材料薄膜であり、特殊な工程によって双方向に延伸して製造される。この薄膜のマイクロファイバは、内外を連絡する0.1μm~18μm孔径のマイクロ孔を構成し、真の意味での通気膜である。膜表面1平方インチあたり数十億個のマイクロ孔に達することができ、各マイクロ孔の直径は靄の水滴の最小値よりも小さい(20μm~100μm)。延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)ミクロ多孔質膜は、環境により劣化しにくく、電気電子防水通気等の面で重要な用途を有している。
【0029】
混合物中の可逆性吸湿微粒子物質は、小さな空間内の大量な水蒸気を迅速に吸収して一時的に溜め込み、湿気を放出して伝達することができ、可逆性吸湿微粒子物質は、塩化マグネシウムおよびその結晶水和物などの可逆性乾燥剤、ベントナイト、シリカエアロゲル、カーボンモレキュラーシーブ、カーボンエアロゲル吸着剤および吸水性樹脂などの親水性、吸水性が高い物質のうちの一種または複数種である。
【0030】
混合物における遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子が使用対象(例えば、前照灯点灯動作またはLED制御モジュール、ECUモジュール)の赤外線放射エネルギーを受け取った後、遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子自体の温度が上昇し、これに応じて可逆性吸湿物質の温度が高くなり、水蒸気を外に向けて放出する速度を速める。筒体内の可逆性吸湿物質が放出する湿気が延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)ミクロ多孔質膜に伝わり湿気の排出が継続され、可逆性吸湿微粒子物質が徐々に乾燥することにより持続的に吸湿し湿気を排出する能力を保ち、前照灯などの小さな空間内の湿気を低水準に保持する。
【0031】
遠赤外線放射とは、波長が可視光線とマイクロ波の間にある電磁放射をいい、熱放射とも呼ばれる。短波側の限界は、一般に0.75μmであり、長波側の限界は約1000μmである。遠赤外線を生成する主な方法は、熱交換能力が強く、熱放射源の熱エネルギーを高効率で吸収し貯蔵することができ、特定の波長の遠赤外線を放射可能な材料を選択することである。
【0032】
このモジュール内に混合された遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子は、放射伝熱吸収の強化に有利である。
【0033】
遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子は、以下の材料の一種または複数種を含む。
【0034】
カーボン製品:カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンエアロゲル、分子篩炭などの微粒子。
【0035】
バイオ炭:例えば、高温竹炭、備長炭、竹炭パウダー、竹炭パウダー繊維および各種製品などの粒子。
【0036】
トルマリン:例えばトルマリン原鉱、トルマリン粒子、トルマリンパウダー、トルマリンマイクロパウダー紡織繊維および各種製品など。
【0037】
遠赤外線セラミックス:例えば、トルマリン、神山麦飯石、桂陽石、火山岩などの高マイナスイオンを用い、遠赤外材料を異なる割合で各種用途のセラミック材料に配合してから、粒子に焼成する。
【0038】
炭化ジルコニウム、金属酸化物および炭化ケイ素:炭化ジルコニウム、緻密な多孔質の金属酸化物(アルミナなど)、および粗略な多孔質の炭化ケイ素物質粒子等。炭化ジルコニウムは、可視光線を高効率で吸収し、赤外線を反射し、エネルギーを貯蔵する特性を有する。炭化ジルコニウムは、吸熱性、蓄熱性の赤外線放出特性を有するため、接触する物質の温度を上昇させる。
【0039】
筒体の両側端面にはいずれも双方向対流能力のある水蒸気浸透穴を有する薄膜が接続されており、前照灯ケーシング内の湿気は、水蒸気浸透穴から筒体内部に入り、可逆性吸湿微粒子物質および遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子の混合物を経て、水蒸気浸透穴から排出され、外部の空気は、このモジュールで乾燥されろ過された後、前照灯ケーシング内部に入り、前照灯ケーシング内に入るのは乾燥した空気であり、前照灯ケーシング内外で空気が流れる経路上に、パッキン4が少なくとも一つ設けられている。
【0040】
パッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバーの組み立て工程の流れは、パッキン4とエッジカバー1または接続台2を溶接して接続し、パッキン4の外側のエッジカバー1または接続台2上に赤外線乾燥および排気のためのモジュール3を溶接し、エッジカバー1と接続台2を合体させしっかりと接着または溶接し、パッキン4の状態を検査し、合格後にエッジカバー1の外側面に、防護のための延伸ポリテトラフルオロエチレン膜5を溶接し、ヘッドランプバックカバーの組み立てを完了することを含む。
【0041】
赤外線乾燥および排気のためのモジュールの製造方法は、まずアセンブリに必要な部品を準備し、ミクロ多孔質膜のダイカット製品と筒体の一方の側の端面を溶接して接続してから、筒体内に可逆性吸湿微粒子物質および遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子の混合物を充填し、最後に筒体の他方の側の端面にミクロ多孔質膜のダイカット製品を溶接し、アセンブリの製造を完了することを含む。
【0042】
筒体は、射出成形品であり、好ましくは射出成形した円筒であり、製造方法は、プラスチックペレットを乾燥させ、投入し、射出成形機で射出成形し、離型した後、バリを取り、検査後に次の工程に入れることを含む。
【0043】
可逆性吸湿物質および遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子の混合物の製造は、可逆性乾燥剤(塩化マグネシウムおよびその結晶水和物など)、ベントナイト、シリカエアロゲル、カーボンモレキュラーシーブ、カーボンエアロゲル吸着剤および吸水性樹脂などの親水性、吸水性が高い物質のうち複数種の有機的な組み合わせまたは単一成分を、遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子と均等に撹拌し、異なる価格および吸湿し湿気を排出する能力の混合物を形成し、検査後に次の工程に入れ充填を待つことを含む。
【0044】
ミクロ多孔質膜のダイカット製品は、双方向対流能力のある水蒸気浸透穴を有する薄膜のダイカット製品である。
【0045】
疎水性、疎油性の表面改質処理は、延伸ポリテトラフルオロエチレン膜表面に対する改質処理であり、フッ素原子を豊富に含む高分子鎖をグラフトし、改質処理された膜表面の張力を20ダイン/cm以下まで下げ、水滴および油滴を膜表面から迅速に落とすことができる。
【0046】
水蒸気浸透穴を有する薄膜的ダイカット製品の製造は、まず薄膜を円シートにダイカットし、検査後に次の工程に入れ、筒体との溶接を待つことを含む。本発明の好ましい薄膜は、延伸ポリテトラフルオロエチレン膜である。
【0047】
筒体の両側にはいずれも双方向対流能力のある水蒸気浸透穴を有する薄膜のダイカット製品が溶接されており、ケーシング内の湿気は、水蒸気浸透穴から筒体内部に入り、可逆性吸湿微粒子物質および遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子の混合物を経て、水蒸気浸透穴から排出され、外部の空気は、このモジュールで乾燥されろ過された後、ケーシング内部に入り、ケーシング内に入るのは乾燥した空気であるとともに、内外圧力平衡作用を奏することができる。
【0048】
この赤外線乾燥および排気のためのモジュールは、ヘッドランプバックカバーにおける画期的な応用であり、前照灯から湿気を外に排出する能力を加速させ、前照灯の照射性能を有効に持続させて発揮させ、運転の安全性を高める。
【0049】
総合すると、本発明は、パッキン構造の赤外線乾燥機能および排気機能を有するヘッドランプバックカバーを提供し、自動車前照灯および電気電子機器のケーシング内で曇りや結露の現象が生じないようにし、電気的性能が湿った空気環境の影響を受けないようにすることができ、自動車の電気電子機器のケーシング内の鏡面上または滑らかな電子素子表面に結露現象が生じず、自動車の電気電子機器の性能を発揮させることができ、欧米や日本のケーシング内湿度制御調節の従来の方法を徹底的に覆し、また灰塵の浸入を阻止することができ、自動車の電気電子機器のケーシング内で無汚染の耐塵形を達成することができる。
【0050】
遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子を採用して可逆性吸湿物質を加熱し、可逆性吸湿物質から水蒸気を放出する速度および吸湿能力を回復する速度を加速し、このモジュールの性能をよりよく発揮するのに有利であり、ユーザのコストおよびエネルギー消費を増加させず、取り付けに便利であり、赤外線放射不接触加熱技術のこのモジュールにおける画期的な応用である。
【0051】
前照灯のバックカバー自体がランプの発熱源にある遠赤外線放射エネルギー付近の自動的な調節を充分に利用する。この位置のケーシング内の温度はケーシングも高く、前照灯点灯時に75℃の高温に達する。遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子が使用対象(例えば、前照灯点灯動作またはLED制御モジュール、ECUモジュールなど)の赤外線放射エネルギーを受け取った後、遠赤外線放射物質を高効率で吸収するマイクロパウダー粒子自体の温度が上昇し、可逆性吸湿物質が加熱され、これに応じて温度が高くなり、水蒸気を外に向けて放出する速度を速める。このモジュールは、小さい空間内の水蒸気を迅速に吸収して瞬間的に放出する持続能力を有し、可逆性吸湿微粒子物質に水蒸気を排出させ続けるとともに、前照灯ケーシング内の微小な水分を迅速に吸収して延伸ポリテトラフルオロエチレンミクロ多孔質膜に伝達し、水蒸気分子を外部環境に放出する。可逆性吸湿微粒子物質は、前照灯点灯動作時に持続的に乾燥し湿気を排出する状態にあり、可逆性吸湿微粒子物質を乾燥した状態に保ち、持続的な吸湿能力をもたせる。自動車のランプを消したときに、前照灯点灯によって乾燥した可逆性吸湿微粒子物質が前照灯ケーシング内の水蒸気分子を持続に吸収して排出し、前照灯ケーシング空間内を湿度が低い乾燥状態に維持することができる。持続的に小さい空間内の湿度を下げるこの重要な画期的技術によって、前照灯が曇り結露する前提条件がなくなる。
【0052】
本発明は、前照灯ケーシング内の湿度を、前照灯などの小さな空間の外部環境に持続的に排出する能力を高めることにより、前照灯ケーシングのような小さな空間内部の湿度を低く下げ、空間内部RH35%~40%を遥かに下回る湿度まで乾燥させ、前照灯ケーシングなどの小さな空間内部に曇りや結露が生じる主な原因であり高湿度な水蒸気の要因を取り除く。
【0053】
赤外線乾燥および排気のためのモジュールを採用するコストは低く、顧客は採用後に大量の投資を節約しコストを下げることができ、良好な効果が得られる。
【0054】
赤外線乾燥および排気のためのモジュールは、前照灯ケーシングなどの小さな空間のケーシング上の通気のバックカバーまたはキャップなどと有機的に結合させて一緒に用いることができ、前照灯ケーシングなどの小さな空間のケーシングのデザイン構造を変更する必要がなく、使用に便利であり、大量生産の組み立てに便利であり、顧客の要求を満たすことができる。
【0055】
上述したものは、本発明の実施例に過ぎず、これによって本発明の特許範囲を限定するものではなく、本発明の明細書および図面の内容を用いて行われたすべての同等の構造もしくは同等のフローの変更、またはその他の関連する技術分野に直接もしくは間接的に用いたものは、本発明の特許保護範囲内にいずれも含まれる。
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図5