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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】プレス
(51)【国際特許分類】
   B30B 1/18 20060101AFI20220308BHJP
   B30B 15/02 20060101ALI20220308BHJP
   B30B 15/04 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B30B1/18 B
B30B15/02 M
B30B15/04 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020552148
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2019064375
(87)【国際公開番号】W WO2019238459
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-06-16
(31)【優先権主張番号】102018114029.0
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399052327
【氏名又は名称】ゲブリューダー シュミット ファブリーク フュア ファインメカニーク ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイアー, アンドレアス レオ
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-009200(JP,A)
【文献】登録実用新案第3135269(JP,U)
【文献】特開平05-092300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 1/18
B30B 15/00 - 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ(16)プレスラム(20)、並びに、スピンドル(36)及びスピンドルナット(38)を含むスピンドルドライブ(18)を有する駆動トレイン(12)と、
第1ベースプレート(26)、第2ベースプレート(28)、及び、前記2つのベースプレートの間に配置された少なくとも3つの柱(30a、30b、30c)を有し、前記柱が前記ベースプレート(26、28)を離間させたまま互いに接続し、前記第1ベースプレート(26)には第1開口部(32)が配置され、前記第2ベースプレート(28)には第2開口部(34)が配置されているハウジング(14)と、備え、
前記柱(30a、30b、30c)と反対側に面する前記第1ベースプレート(26)の第1サイドには少なくとも前記モータ(16)の一部が配置され、前記柱(30a、30b、30c)と反対側に面する前記第2ベースプレート(28)の第2サイドには少なくとも前記プレスラム(20)の一部が配置され、前記モータ(16)及び前記プレスラム(20)が、前記第1開口部(32)及び前記第2開口部(34)を通過して相互に接続されており、
前記スピンドルドライブ(18)は、モータ(16)によって回転駆動される部材と、前記回転駆動される部材に連結され、ガイド(52)によって、前記少なくとも3つの柱(30a、30b、30c)のうちの少なくとも1つに並進案内されるとともに回転に対抗して保持される並進移動部材と、を有し、(i)前記スピンドル(36)が前記回転駆動される部材であり、前記スピンドルナット(38)が前記並進移動部材であるか、又は、(ii)前記スピンドル(36)が前記並進移動部材であり、前記スピンドルナット(38)が前記回転駆動される部材であり、
前記ガイド(52)がベアリングを有し、当該ベアリングは、前記少なくとも3つの柱(30a、30b、30c)のうちの少なくとも1つを転がるように構成された2つのローラ(54、56)を有しており、前記2つのローラ(54、56)は、それぞれ前記並進移動部材に連結されている、プレス(10)。
【請求項2】
前記少なくとも3つの柱(30a、30b、30c)は、それぞれ前記第1ベースプレート(26)及び前記第2ベースプレート(28)に対して直交する方向に向かう長手方向軸に沿って延びている、請求項1に記載のプレス。
【請求項3】
前記駆動トレイン(12)の少なくとも一部は、前記2つのベースプレート(26、28)の間に配置されるとともに、前記少なくとも3つの柱(30a、30b、30c)に囲まれている、請求項1又は2に記載のプレス。
【請求項4】
前記第1開口部(32)及び第2開口部(34)は互いに一直線上に配置されるとともに
中心軸(22)に沿って延びており、前記第1開口部(32)の第1側面(33)及び前記第2開口部(34)の第2側面(35)は、それぞれ前記中心軸(22)から第1距離離れて配置されており、前記少なくとも3つの柱(30a、30b、30c)は、それぞれ前記中心軸(22)から第2距離離れて配置されており、前記第1距離は前記第2距離よりも短い、請求項1乃至3のうちいずれか一の項に記載のプレス。
【請求項5】
前記2つのローラ(54、56)のうちの1つは偏心的に軸支されている、請求項1に記載のプレス。
【請求項6】
前記少なくとも3つの柱(30a、30b、30c)のうちの少なくとも1つは、円筒状の側面を有する、請求項1乃至5のうちいずれか一の項に記載のプレス。
【請求項7】
前記少なくとも3つの柱(30a、30b、30c)が、それぞれ前記第1ベースプレート(26)及び前記第2ベースプレート(28)に取り外し可能に連結されている、請求項1乃至6のうちいずれか一の項に記載のプレス。
【請求項8】
前記少なくとも3つの柱(30a、30b、30c)は、少なくとも4つの柱(30a、30b、30c、30d)を含んでいる、請求項1乃至7のうちいずれか一の項に記載のプレス。
【請求項9】
スペーサ(46)が、前記少なくとも3つの柱(30a、30b、30c)のうちの少なくとも1つの端面と、第1又は第2ベースプレート(26、28)との間に配置されている、請求項1乃至8のうちいずれか一の項に記載のプレス。
【請求項10】
前記ハウジング(14)が、前記少なくとも3つの柱(30a、30b、30c)を取り囲むケーシング(66)をさらに有している、請求項1乃至9のうちいずれか一の項に記載のプレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは接合プレスとして使用されるプレスに関する。
【背景技術】
【0002】
プレス工程及び接合工程は、現代の組立技術にとって重要な部分である。これらの用途で使用される、様々な既知のプレスシステムが存在する。空気圧プレスシステム及び油圧プレスシステムに加え、サーボプレスシステム(以下、「サーボプレス」と称する)のシェアが増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
サーボプレスでは、制御可能なモータを介して、トルク、速度、及び、経路情報が機械部品に伝わる。駆動トレイン内のこれらの機械部品は、例えば、ラック&ピニオンドライブ又はスピンドルドライブ(台形、ボール、ローラ、又は遊星ローラのスクリュドライブ)を有している。これにより、モータ(例えば電動モータ)の回転運動は直線運動に変換される。モータのトルクのレベルによって、直線運動の送り力(プレス力)が決まる。
【0004】
このプレス力を吸収できるようにするために、各プレスシステムではハウジングが必要となる。通常、ハウジングには、機械部品によって発生する軸力を吸収する軸受が挿入されている。ハウジングが高い剛性を有することは、プレス工程にとって有利である。正確で再現性のあるプレス工程を行うには、高いハウジング剛性は必須である。
【0005】
多くの場合、ハウジングとして押出アルミニウム形材が使用される。このような押出形材は、費用対効果が高く機能的な方法で構成することができる。しかしながら、押出アルミニウム形材は、弾性が比較的低いことが欠点である(弾性率は約70,000N/m2)。
【0006】
一方、スチール製のハウジング形材は、アルミニウムよりも高い弾性率(約210,000 N/m2)を有しているが、大部分は標準化された円管に限定される。これは積極的な設計の可能性をかなり制限する。スチール管のさらなる問題は、端部に通常配置される軸受板の取り付けである。ここで、接続は高い強度で行われなければならない。スチール管の端部にはスチール板が溶接されることが多いが、この場合は軸受板やスチール管が歪んでしまう危険性がある。さらなる仕上げは困難である場合があり、コストがかかる。
【0007】
さらにプレスハウジングでたびたび生じる欠点は、閉鎖されたハウジングが使用される場合、例えば駆動トレインの一部など内部部品へのアクセスがほとんど不可能なことである。
【0008】
ハウジング上で回転しようとする駆動系部品を固定することもしばしば必要である。アルミニウム押出材又はスチール管のような閉じたハウジングの場合、プレスハウジングの内部に回転防止部材を設けることは非常に複雑な技術となる。このため、中心軸又は長手方向軸に平行なプレスハウジングの外殻にスロットが形成されることがある。このスロットは、回転ロックとして使用できるとともに、駆動系部品用のリニアガイドとしても使用することができる。しかしながら、このようなスロットをプレスハウジングの外殻に形成すると、ハウジングのねじり剛性が著しく低下するという欠点がある。
【0009】
このような背景から、本発明の目的は、上記の欠点を克服する改良されたハウジング構造を有するプレスを提供することにある。特に、ハウジングの内部へのアクセスを容易にすると同時に、高い剛性と高いねじり剛性を有するハウジング構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、この目的は以下の構成要素を備えたプレスによって解決される。つまり、当該プレスは、モータ及びプレスラムを有する駆動トレインと、第1ベースプレート、第2ベースプレート、及び、前記2つのベースプレートの間に配置された少なくとも3つの柱を有し、前記柱が前記ベースプレートを離間させたまま互いに接続し、前記第1ベースプレートには第1開口部が配置され、前記第2ベースプレートには第2開口部が配置されているハウジングと、備え、前記柱と反対側に面する前記第1ベースプレートの第1サイドには少なくとも前記モータの一部が配置され、前記柱と反対側に面する前記第2ベースプレートの第2サイドには少なくとも前記プレスラムの一部が配置され、前記モータ及び前記プレスラムが、前記第1開口部及び前記第2開口部を通過して相互に接続されている。
【0011】
柱の構造は、非常に高い剛性と同時に高いねじり剛性を有するハウジングの製造を可能にする。柱の間にスペースがあることで、少なくとも大部分が柱の間又は周囲に配置されている駆動トレインへのアクセスが容易になる。そのため、駆動トレインの部品の修理や交換を非常に簡単に行うことができる。また、ハウジングの剛性及びねじり強度が高くなることで、非常に精密で再現性のあるプレス工程が可能となる。
【0012】
本発明に係るハウジングの構造は、柱ガイド付きの成形プレスにおける従来のハウジングの構造と混同されるべきではない。柱ガイド付きの成形プレスでは、柱はプレスプランジャの軸方向のガイドに使用され、プレスプランジャは柱に沿って軸方向に移動する。したがって、そのような成形プレスにおいては、プレスプランジャによって及ぼされるプレス力は、柱ガイドを介して又は柱ガイドによって伝達される。
【0013】
しかしながら、本発明に係るプレスの場合、プレス力の力伝達は、好ましくは、ハウジングを介して実施されない。ハウジングは、好ましくは、モータの支持とプレスラムの軸方向の案内としてのみ使用される。軸方向の力伝達は、好ましくは、駆動トレイン自体を介してのみ行われる。2つのベースプレートは移動しない。これらのベースプレートは、柱によって互いに一定の距離をおいて恒久的に保持される。プレスラムは、2つのベースプレートに対して(好ましくは直交する方向に)動く。
【0014】
両ベースプレートにはそれぞれ1つの開口部がある(以下では、区別するために、第1ベースプレートの開口部を第1開口部と称し、第2ベースプレートの開口部を第2開口部と称する)。モータとプレスラムは、これら2つの開口部を通過して相互に連結されている。したがって、駆動トレインは両方の開口部を通過することになる。
【0015】
モータは、柱とは反対側に面する第1ベースプレートの上面であって第1開口部の上に少なくとも部分的に配置されている。一方、プレスラムは、柱とは反対側に面する第2ベースプレートの下側における第2開口部の下に少なくとも部分的に配置されている。したがって、プレスラムは、第2ベースプレートのうち第2開口部を通過して下方に突出しているため、プレス工程は下側(すなわち、第2ベースプレートの柱とは反対側に面する側)で行われる。一方、柱ガイドを有する成形プレスでは、通常、プレス工程はプレスプランジャとして機能する2つのベースプレートの間で行われる。
【0016】
本発明では、プレスプランジャは、プレス工程で加工されるワークピースを押圧するプレスラムの端面(下端)に配置される。このように、プレスラムは、各柱と2つのベースプレートで構成されたハウジングの外側に配置される。ただし、プレスラム自体の下端をプレスプランジャとして使用することもできる。
【0017】
本発明の好ましい態様によれば、少なくとも3つの柱は、それぞれ第1ベースプレート及び第2ベースプレートを横断する(好ましくは直交する)方向に向く長手方向軸に沿って延びている。
【0018】
上記の「横断する」は、平行ではない方向を意味する。したがって、「横断する」は、直交することを含むが、これに限定されるものではない。
【0019】
例えば、少なくとも3つの柱は、2つのベースプレートに対して鋭角に配置することができる。少なくとも3つの柱は、それぞれ第1ベースプレートに対して同一の方向に配向されているとともに、第2ベースプレートに対して同一の方向に配向されるのが好ましい。すなわち、すべての柱は第1ベースプレートに対して同じ第1角度に配向され、第2ベースプレートに対して同じ第2角度で配向されている。また、すべての柱が、2つのベースプレートに対して直交するように配向されているのが特に好ましい。
【0020】
別の態様によれば、駆動トレインの少なくとも一部は、2つのベースプレート間に配置されるとともに、少なくとも3つの柱に囲まれている。
【0021】
言い換えれば、駆動トレインの一部は、軸方向については2つのベースプレートに画され、半径方向については少なくとも3つの柱によって画された空間に配置されている。ここで、駆動トレインの一部とは、特に、モータとプレスラムとの間に位置し、モータからのプレスラムに力を伝達する部分を意味する。
【0022】
好ましくは、第1及び第2開口部は中心軸に沿って延びており、第1開口部の第1側面及び第2開口部の第2側面は、それぞれ中心軸からの距離が、中心軸から少なくとも3つの柱までの距離よりも短い。
【0023】
このようにして、柱はより半径方向外側に、いわば2つの開口部を取り囲むように配置されている。2つの開口部が一直線上に配置されていることが特に好ましい。この好ましい態様では、駆動トレインはハウジングの中心に配置され、柱に取り囲まれるように、中心軸に沿って延びている。少なくとも3つの柱は、それぞれ中心軸からの距離が同じであることが特に好ましい。
【0024】
別の態様によれば、駆動トレインは、スピンドル及びスピンドルナットを有するスピンドルドライブを備えている。
【0025】
スピンドルドライブは、例えば、台形、ボール、ローラ、又は、遊星ローラのスクリュドライブとして構成することができる。このようなドライブとは別に、スピンドル及びスピンドルナットが相対的に移動して、アクティブ部品(スピンドル及びスピンドルナット)の詳細な構造及び形態並びに幾何学的形状に関係なく、回転運動を直線的な並進運動に伝達する他のドライブ(その意味でスピンドルドライブとみなすことができる)もここで使用することができる。
【0026】
スピンドルドライブは、好ましくは、モータによって回転駆動される部材と、回転駆動される部材に連結され、ガイドによって、少なくとも3つの柱のうちの少なくとも1つに並進案内されるとともに回転に対抗して保持される並進移動部材と、を有し、(i)スピンドルが回転駆動される部材であり、スピンドルナットが並進移動部材であるか、又は、(ii)スピンドルが並進移動部材であり、スピンドルナットが回転駆動される部材である。
【0027】
異なる態様の(i)及び(ii)のいずれも、モータによって駆動されるスピンドルを有するスピンドルドライブの使用(態様(i))、又は、モータによって駆動されるスピンドルナットを有するスピンドルドライブの使用(態様(ii))に関連している。
【0028】
ドリブンスピンドルを有するスピンドルドライブが使用される場合、プレス工程において、スピンドルナットがプレスラムとともに軸方向(すなわち好ましくは2つのベースプレートに対して垂直な方向)に並進移動するように、スピンドルナットはプレスラムに結合又は連結される。
【0029】
ドリブンスピンドルナットを有するスピンドルドライブが使用される場合、プレス工程中において、プレスラムとともに軸方向に並進移動するように、スピンドルはプレスラムに結合又は連結される。
【0030】
いずれの場合も、回転ドリブン部材はモータによって駆動され、並進移動部材はプレスラムに結合され、プレスラムとともに(好ましくは同期して)移動する。このようにして、非常に高い軸力を発生させるとともに、比較的低いエネルギー消費で加工されるワークピースに伝達することができる。
【0031】
スピンドルドライブの並進移動部材が少なくとも3つの柱のうちの少なくとも1つに並進案内されるとともに、回転に対抗して保持されるガイドは、好ましくはベアリングを有している。
【0032】
好ましい態様では、ベアリングは、少なくとも3つの柱のうちの少なくとも1つを転がるように構成された2つのローラを有しており、2つのローラは、それぞれ並進移動部材に連結されている。
【0033】
好ましくは、2つのローラのうちの第1ローラは第1車輪を有し、第1車輪はスピンドルドライブの並進移動部材に固定された第1軸に軸支されている。同様に、2つのローラのうちの第2ローラは第2車輪を有し、第2車輪はスピンドルドライブの並進移動部材に固定された第2軸に軸支されている。
【0034】
第1及び第2軸は、スピンドルドライブの並進移動部材に別々に連結されているのが好ましい。さらに、2つの軸は組立状態において互いに鋭角を成すように配置され、2つのローラが異なるサイド又は反対サイドで転がるように柱に接触することが特に好ましい。
【0035】
上記の態様によれば、非常に摩耗の少ないアキシアル軸受が得られるとともに、中心軸の回転に対抗してスピンドルドライブの並進移動部材を効率よく保持することができる。2つのローラが転がる柱を空間的に配置することにより、2つのローラをスピンドルナットの並進移動部材に連結することで、比較的大きなレバーアームが形成される。これにより、高いトルクを柱に伝達することができる。
【0036】
別の好ましい態様では、2つのローラのうちの1つが偏心して軸支されている。
【0037】
これにより、比較的容易にかつバックラッシュがゼロの状態で、一対のローラを転がる柱に取り付けることができる。
【0038】
別の好ましい態様では、少なくとも3つの柱のうちの少なくとも1つは、円筒状の側面を有する。
【0039】
これにより、前述したローラは円形断面を有するガイド部材を転がる。その結果、ローラの車輪と対応する柱との間に線状の接触面が発生する。このような線状の接触面は、汚染にほとんど関係しない。
【0040】
本発明のさらなる態様では、少なくとも3つの柱が、それぞれ第1ベースプレート及び第2ベースプレートに着脱可能に連結されている。
【0041】
まずは、これにより、ハウジングの分解が比較的容易であるという利点がある。また、上述した態様のとおりスピンドルドライブの並進移動部材を案内する柱は、比較的容易に取り外すことができ、その長手方向軸を中心に回転させることができる。したがって、柱を転がるローラによって経時的に発生する柱の摩耗による溝は、柱全体を交換することなく、柱を回転させることによって数回分を解消することができる。このようにして、スピンドルドライブの並進移動部材における回転ロックのバックラッシュのない位置を、非常に簡単かつ経済的に復元することができる。
【0042】
スペース及び剛性の要件に応じて、ハウジングは、3つ以上の柱(例えば、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの柱)を有していてもよい。
【0043】
更なる態様では、スペーサが、少なくとも3つの柱のうちの少なくとも1つの端面と第1又は第2ベースプレートとの間に配置されている。
【0044】
このようにして、個々の柱の間での高さ又は長さの差を補うことができる。この単純な方法により、非常に正確に、コスト効率よく、そして何よりも再加工なしに、2つのベースプレートを平坦にすることができる。これは、3つ以上の柱を使用する場合に特に有利であり、その結果、ハウジングの構造を静的に重複設定することができる。スペーサとしては、例えば、ワッシャ又はシムを使用することができる。
【0045】
更なる態様では、ハウジングは、少なくとも3つの柱を取り囲むケーシングをさらに有している。
【0046】
これは、駆動トレインのすべての可動する力伝達部品が干渉から保護されなければならないことから、特にプレスの安全に関する要件を満たすことができる。この目的のために、クラッド(ここでは一般的に「ケーシング」と呼ばれる)は、技術的な取り組みをほとんどせずに柱の周囲に取り付けることができる。サービス及びメンテナンスを目的とする良好なアクセスが可能となるように、ケーシングが2つの部分に分かれた構造を有しているのが有効である。
【0047】
上述した特徴及び以下に説明するまだ説明されていない特徴は、本発明の範囲から離れることなく、それぞれの場合に示された組み合わせだけでなく、他の組み合わせ又は単独でも使用することができることは言うまでもない。
【0048】
本発明の実施形態は、図面に示され、以下の説明においてより詳細に説明される。そこでは、以下が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、第1実施形態に係るプレスの斜視図である。
図2図2は、第2実施形態に係るプレスの斜視図である。
図3図3は、図2に示すプレスのハウジングの分解図である。
図4図4は、図2に示すプレスの第1の切り出し詳細図である。
図5図5は、図2に示すプレスの第2の切り出し詳細図である。
図6図6は、図5に示すプレスの上から見た上面図である。
図7図7は、本発明に係るプレスに使用可能なローラの分解図である。
図8図8は、図2に示すプレスの第1状態における第3の切り出し詳細図である。
図9図9は、図8に示すプレスの第2状態における平面図である。
図10図10は、本発明に係るプレスにおける一態様のハウジングケースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1及び図2は、本発明に係るプレスの2つの実施形態を示すそれぞれの斜視図である。プレス全体を参照符号10で表記している。
【0051】
プレス10は、駆動トレイン12とハウジング14とを備えている。ハウジング14は、駆動トレイン12の少なくとも一部を取り囲んでいる。駆動トレイン12の各構成部材は、ハウジング14によって支持されているか、又は、ハウジング14に直接もしくは間接的に取り付けられもしくは設けられている。
【0052】
駆動トレイン12は、モータ16と、(この実施形態では)スピンドルドライブ18とを有しており、スピンドルドライブ18を介してモータ16がプレスラム20と結合している。モータ16は、好ましくは電動モータである。
【0053】
作動中、モータ16は、プレス10の中心軸22の周りの回転運動を発生させる。この回転運動は、スピンドルドライブ18によって、中心軸22に沿ったプレスラム20の並進運動に変換される。モータ16の回転方向に応じて、プレスラム20は中心軸22に沿ってプレスするためにハウジング14の外(図面では下方)に移動し、また、ワークピースを解放するためにハウジング14の中(図面では上方)に移動することができる。
【0054】
プレスプランジャ24は、好ましくは、プレスラム20の下端面に配置されており、プレス工程で加工されるワークピースに接触する。このプレスプランジャ24は、プレスラム20と一体に形成されていてもよく、プレスラム20に取り外し可能に連結されていてもよい。
【0055】
ハウジング14は、2つのベースプレート26、28を有しており、これらは複数の柱30a、30b、30cによって恒久的に間隔をあけて保持されている。本実施形態では、ベースプレート26を第1ベースプレートと称し、ベースプレート28を第2ベースプレートと称する。
【0056】
2つのベースプレート26、28は、好ましくは互いに平行に配置されている。柱30a~30cは、好ましくは、2つのベースプレート26、28に直交して(すなわち中心軸22に対して平行に)延びている。しかし、これは必ずしもそうである必要はない。また、柱30a~30cは、ベースプレート26、28に対して鋭角に(すなわち中心軸22に対して横方向(非平行)に)整列していてもよい。柱30a~30cは、それぞれ中心軸22から同じ距離にあるのが好ましい。
【0057】
モータ16は、柱30a~30cと反対側に面する第1ベースプレート26の上面側に設けられている。一方、プレスラム20は、柱30a~30cと反対側に面する第2ベースプレート28の下面から下方に突出している。このようにして、駆動トレイン12は、第1ベースプレート26、第2ベースプレート28、及び、柱30a~30cからなるハウジング14内を通過する。そのために、第1ベースプレート26は第1開口部32を有し、第2ベースプレート28は第2開口部34を有している(図3参照)。モータ16及び/又はスピンドルドライブ18の一部は、第1開口部32を通過して突出している。したがって、モータ16は、第1開口部32を介して又は通過してスピンドルドライブ18に接続されている。ハウジング14の反対側では、スピンドルドライブ18及び/又はプレスラム20の一部が第2開口部34を通過して突出している。ここに示された実施形態では、プレスラム20のみが第2開口部34を通過している。しかしながら、スピンドルドライブ18の一部が第1開口部32を通過し、プレスラム20が第2ベースプレート28の下方でスピンドルドライブ18に取り付けられることも想定される。
【0058】
図2に示された第2実施形態は、ハウジング14内に配置された柱30の数において、図1に示された第1実施形態とは異なる。第2実施形態では、ハウジング14は、合計4つの柱30a~30dを有している。それ以外は、前述したプレス10と同じ構造を有している。
【0059】
両実施形態において、柱30a~30c及び30a~30dは、駆動トレイン12(特にスピンドルドライブ18の一部)を取り囲んでおり、中心軸22から第1開口部32の側方表面33及び第2開口部34の側方表面35までの距離は、中心軸22から3つ又は4つの柱30a~30c、30a~30dまでの距離よりも短い。2つの開口部32、34は、一直線上に並んで配置されているのが好ましい。2つの開口部32、34は、同じ大きさであってもよいが、必ずしも同じ大きさである必要はない。2つの開口部32、34は、それぞれ中心軸22に対して対称であることが望ましい。
【0060】
図1及び図2に示された両実施形態では、スピンドルドライブ18は、ドリブンスピンドルを有するように構成されている。スピンドルドライブ18は、モータ16によって回転駆動されるスピンドル36を有している。さらに、スピンドルドライブ18はスピンドルナット38を有しており、スピンドルナット38はスピンドル36に設けられ、スピンドル36が回転することで中心軸22に沿って並進移動する。以下に詳細に説明するように、並進移動を確保するために、スピンドルナット38は、中心軸22の周りの回転に対抗して保持される。スピンドルナット38とプレスラム20が中心軸22に沿って一緒に(同期的に)移動できるように、スピンドルナット38はプレスラム20に連結されている。
【0061】
ここに示された2つの実施形態では、スピンドル36がモータ16で回転駆動するスピンドルドライブ18の構成部材であり、スピンドルナット38が並進移動するスピンドルドライブ18の構成部材である。しかし、これとは異なり、スピンドルナット38がモータ16で回転駆動される構成部材であり、スピンドル36が並進移動する構成部材であってもよい。このような場合、スピンドル36は、中心軸22の周りの回転に対抗して保持されなければならない。さらに、スピンドルナット38がモータ16に接続され、スピンドル36がプレスラム20に接続されるように、配置を逆にしなければならない。このような場合には、スピンドル36自体もプレスラム20として設計されるか、又は少なくともプレスラム20と一体的に接続される。
【0062】
図3は、図2に示す第2実施形態に係るプレス10のハウジング14の分解図である。この分解図は、特に、ベースプレート26、28が柱30a~30dにどのように取り付けられているかを示している。
【0063】
柱30a~30dは、標準化された精密スチールシャフトであることが好ましい。柱30は、中実シャフトであってもよく、中空シャフトであってもよい。中空シャフトを使用する場合には、ケーブル、ホース等を、柱30内の中空孔を通して容易に配置することができる。柱30は、硬化され研磨されていることが好ましい。
【0064】
柱30a~30dは、好ましくは、それぞれがベースプレート26、28に着脱可能に連結されている。ここに示された実施形態では、柱30a~30dはそれぞれ、両側にセンタリングカラー40を有しており、このセンタリングカラーは、ベースプレート26、28に設けられた対応するボア42内に挿入される。ここに示された例では、柱30の内部に設けられた内ねじに係合する接続用のねじ44が使用される。
【0065】
個々の柱30a~30dの高さ又は長さの差は、スペーサ46によって補うのが好ましい。スペーサ46は柱30a~30dと第1ベースプレート26との間、及び/又は柱30a~30dと第2ベースプレート28との間に配置される。静的に重複設定することが知られているため、このような高さ又は長さの補償は、4つ以上の柱30を有する場合に特に有利である。例えば、シム又はワッシャをスペーサ46として使用することができる。
【0066】
通常、2つのベースプレート26、28が高い平坦性を有していることが非常に重要となる。2つのベースプレート26、28が位置ずれすると、駆動トレイン12(特にスピンドルドライブ18)とハウジング14又は柱30との間の位置合わせ誤差が生じる。この位置合せ誤差は、スピンドルドライブ18の走行特性に直接影響を与え、システムの耐用年数を大幅に減少させる。押出アルミニウム形材又は管状スチール構造で形成された従来のハウジングでは、ベースプレート26、28の平坦度に関するこれらの要求を満たすことは、技術的に非常に難しく、コストがかかる。しかしながら、ここで本発明に係るプレス10のハウジング概念の利点が明らかになる。ベースプレート26、28は、柱30a~30dに着脱可能に連結されているので、簡単な平坦度測定を行うことができる。そのために、組み立て済みのハウジング14は、例えば第2ベースプレート28とともに測定台の上に置かれる。高さ寸法は、高さ測定器を用いて、第1ベースプレート26のねじの位置で測定することができる。最大寸法に対する寸法誤差は、スペーサ46を利用して補正することができる。
【0067】
図4~6は、ハウジング14のさらに詳細を示すとともに、ハウジング14内の駆動トレイン12の構成を示している。図4において特に見られるように、スピンドル36は、ガイド部材48により第1ベースプレート26内で軸方向に案内される。ガイド部材48は、例えば、アキシアル軸受又はラジアル軸受であってもよい。プレスラム20は、ガイド部材50(図5参照)により第2ベースプレート28内で軸方向に案内される。第2ガイド部材50は、好ましくは、リニア軸受であってもよい。
【0068】
図5及び図6は、スピンドルナット38を並進的に案内し、中心軸22の回転に対抗して保持されるガイド52の態様を示している。ガイド52は、柱30bを転がる2つのローラ54、56を有している。柱30bは、並進案内のためのガイド部材として使用されるとともに、スピンドルナット38の回転ロックとしても使用される。
【0069】
2つのローラ54、56は、それぞれ軸58、60を介してスピンドルナット38に連結されている。2つのローラ54、56のうちの1つ(この場合、ローラ56)は、偏心して軸支されている。この偏心軸受の詳細を図7に示す。図7から分かるように、軸60は、ローラ56の車輪62がナット64によって取り付けられた偏心部を有している。ローラ56の車輪62の偏心軸受によって、柱30bに2つのローラ54、56を容易に取り付けることができる。偏心軸受により、ローラ56と柱30bとの間のバックラッシュがゼロである接続を比較的容易に実現することができる。柱30bの空間的配置により、比較的大きなレバーアームが得られる。これにより、高いトルクを伝達することができる。
【0070】
本実施形態では、示したようにローラ54、56はスピンドルナット38に連結されている。ただし、ドリブンスピンドルナットを有するスピンドルドライブを使用する場合、同様にして、スピンドルドライブのスピンドルは並進案内され、回転に対抗して保持されることが理解できる。
【0071】
柱30a~30dは、好ましくは円筒形である。したがって、2つのローラ54、56は、円筒状又は円形のガイド部材を転がる。これにより、ローラ54、56と柱30bとの間に、汚染にほとんど関係しない線状の接触面が形成される。
【0072】
しかしながら、これは時間が経過すると、柱30bに溝が形成されることがある。これらの溝は、例示的に図8及び図9に示されており、参照符号64で示されている。上述したように、柱30a~30dは、2つのベースプレート26、28から取り外すことができるため、柱30a~30dは、それらの長手方向に延びる軸周りで比較的容易に回転させることができる。このようにして、溝64をさらに時計回り又は反時計回りに回転させることができるので、その後は溝64が柱30bにおけるローラ54、56の案内を妨げることはない。この手順は、図9に例示的に示されている。
【0073】
このようなプレス10において安全要件を満たすには、駆動トレイン12の全ての可動する力伝達部品を干渉から保護する必要がある。そのためには、ハウジング14は、柱30a~30dを取り囲むクラッド/ケーシング66を有していてもよい。このクラッド/ケーシング66は、サービス及びメンテナンスを目的とする良好なアクセスが可能となるように、少なくとも2つの部分で構成するのが有効である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10