(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】原子力施設の解体方法
(51)【国際特許分類】
G21F 9/30 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
G21F9/30 535A
G21F9/30 531E
(21)【出願番号】P 2020557276
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(86)【国際出願番号】 KR2019004661
(87)【国際公開番号】W WO2019203578
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】10-2018-0045647
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518442000
【氏名又は名称】コリア ハイドロ アンド ニュークリアー パワー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ソク-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジュ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ヨン ファン
(72)【発明者】
【氏名】キム,チョン-ウ
【審査官】関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-114486(JP,A)
【文献】特開平02-307097(JP,A)
【文献】特開平04-158297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉圧力容器、前記原子炉圧力容器と直接連結された複数の配管、前記原子炉圧力容器および前記複数の配管を包み込むとともに前記原子炉圧力容器が位置するキャビティ、および、前記複数の配管と重なる複数の上部貫通口を含む生体保護コンクリート、および、前記複数の上部貫通口をカバーする複数のサンドボックスを含む原子力施設の解体方法において、
前記複数のサンドボックスを取り除くことで前記複数の上部貫通口を露出させる段階;
前記複数の上部貫通口の間、および、前記複数の上部貫通口と前記キャビティとの間に位置する、前記生体保護コンクリートの上部を切断することで前記キャビティの上側空間を拡大する段階;および
前記生体保護コンクリートから前記原子炉圧力容器を分離する段階
を含む原子力施設の解体方法。
【請求項2】
前記複数の上部貫通口を露出させる段階は、
前記複数のサンドボックスと、前記生体保護コンクリートの上部との間を密封する密封剤を取り除き、前記複数の上部貫通口から前記複数のサンドボックスを分離することで行う、請求項1に記載の原子力施設の解体方法。
【請求項3】
前記複数の上部貫通口は、前記生体保護コンクリートの上部にて互いに離隔されており、
前記キャビティの上側空間を拡大する段階は、
前記キャビティを基準に、前記複数の上部貫通口の外側を相互に連結する第1切断線、および、前記複数の上部貫通口の内側と、前記キャビティとの間を連結する第2切断線にそれぞれ沿って、前記生体保護コンクリートの上部を切断することで行う、請求項1に記載の原子力施設の解体方法。
【請求項4】
前記複数の上部貫通口は四角形の形態であり、
前記第1切断線は前記複数の上部貫通口の一の頂点を相互に連結し、
前記第2切断線は前記複数の上部貫通口の他の頂点と前記キャビティとの間を連結する、請求項3に記載の原子力施設の解体方法。
【請求項5】
前記キャビティの上側空間を拡大する段階は、
前記生体保護コンクリートの上部を、ワイヤソー(wire saw)を利用して切断して行う、請求項1に記載の原子力施設の解体方法。
【請求項6】
前記複数の配管を切断する段階をさらに含む、請求項1に記載の原子力施設の解体方法。
【請求項7】
前記原子炉圧力容器は、加圧軽水炉型である、請求項1に記載の原子力施設の解体方法。
【請求項8】
原子炉圧力容器、前記原子炉圧力容器と直接連結された複数の配管、前記原子炉圧力容器か
ら生体保護コンクリートの側へと突出した複数のサポータ、前記原子炉圧力容器および前記複数の配管を包み込むとともに、前記原子炉圧力容器が位置するキャビティ、前記複数の配管、および前記複数のサポータと重なる複数の上部貫通口を含む生体保護コンクリート、および、前記複数の上部貫通口をカバーする複数のサンドボックスを含む原子力施設の解体方法において、
前記複数のサンドボックスを取り除くことで前記複数の上部貫通口を露出させる段階;
前記複数の上部貫通口の相互間、および、前記複数の上部貫通口と、前記キャビティとの間に位置する前記生体保護コンクリートの上部を切断することで前記キャビティの上側空間を拡大する段階;および
前記生体保護コンクリートから前記原子炉圧力容器を分離する段階
を含む原子力施設の解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は原子力施設の解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原子力発電に利用される原子力施設のうち、加圧軽水炉型原子力発電所は、原子炉圧力容器と、原子炉圧力容器が位置するキャビティ(cavity)を含むとともに原子炉圧力容器を包み込む生体保護コンクリート(コンクリート製生体遮蔽体)とを含む。
【0003】
原子力施設の解体時、原子炉圧力容器を生体保護コンクリートから容易に分離するためには、作業空間確保のためにキャビティの上側空間を拡大する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態は、原子炉圧力容器が位置するキャビティ上側空間を容易に拡大して、生体保護コンクリートから原子炉圧力容器を容易に分離する原子力施設の解体方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一側面は、(1)原子炉圧力容器、(2)前記原子炉圧力容器と直接連結された複数の配管、(3)前記原子炉圧力容器および前記複数の配管を包み込むとともに、前記原子炉圧力容器が位置するキャビティおよび前記複数の配管と重なる複数の上部貫通口を含む生体保護コンクリート、および、(4)前記複数の上部貫通口をカバーする複数のサンドボックスを含む原子力施設の解体方法において、(i)前記複数のサンドボックスを取り除くことで前記複数の上部貫通口を露出させる段階、(ii)前記複数の上部貫通口の間および前記複数の上部貫通口と前記キャビティの間に位置する前記生体保護コンクリートの上部を切断することで前記キャビティの上側空間を拡大する段階、および(iii)前記生体保護コンクリートから前記原子炉圧力容器を分離する段階を含む原子力施設の解体方法を提供する。
【0006】
前記複数の上部貫通口を露出させる段階は、前記複数のサンドボックスと前記生体保護コンクリートの上部との間を密封する密封剤を取り除き、前記複数の上部貫通口から前記複数のサンドボックスを分離することで行い得る。
【0007】
前記複数の上部貫通口は前記生体保護コンクリートの上部にて互いに離隔されており、前記キャビティの上側空間を拡大する段階は、前記キャビティを基準に、前記複数の上部貫通口の外側を相互に連結する第1切断線、および、前記複数の上部貫通口の内側と、前記キャビティとの間を連結する第2切断線にそれぞれ沿って前記生体保護コンクリートの上部を切断することで行い得る。
【0008】
前記複数の上部貫通口は四角形の形態であり、前記第1切断線は、前記複数の上部貫通口の一の頂点を相互に連結し、前記第2切断線は、前記複数の上部貫通口の他の頂点と前記キャビティとの間を連結し得る。
【0009】
前記キャビティの上側空間を拡大する段階は、前記生体保護コンクリートの上部を、ワイヤソー(wire saw)を利用して切断することで行い得る。
【0010】
前記複数の配管を切断する段階をさらに含み得る。
【0011】
前記原子炉圧力容器は加圧軽水炉型であり得る。
【0012】
また、一側面は、(1)原子炉圧力容器、(2)前記原子炉圧力容器と直接連結された複数の配管、(3)前記原子炉圧力容器から前記生体保護コンクリートの側へと突出した複数のサポータ、(4)前記原子炉圧力容器および前記複数の配管を包み込むとともに、前記原子炉圧力容器が位置するキャビティ、前記複数の配管、および前記複数のサポータと重なる複数の上部貫通口を含む生体保護コンクリート、および(5)前記複数の上部貫通口をカバーする複数のサンドボックスを含む原子力施設の解体方法において、(i)前記複数のサンドボックスを取り除くことで前記複数の上部貫通口を露出させる段階、(ii)前記複数の上部貫通口の相互間、および、前記複数の上部貫通口と前記キャビティとの間に位置する前記生体保護コンクリートの上部を切断することで前記キャビティの上側空間を拡大する段階、および(iii)前記生体保護コンクリートから前記原子炉圧力容器を分離する段階を含む原子力施設の解体方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
一実施形態によれば、原子炉圧力容器が位置するキャビティ上側空間を容易に拡大して生体保護コンクリートから原子炉圧力容器を容易に分離する原子力施設の解体方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態による原子力施設の解体方法を示すフローチャートである。
【
図2】一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図面である。
【
図3】一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図面である。
【
図4】一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図面である。
【
図5】一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図面である。
【
図6】一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付する図面を参照して本発明の一実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は様々な異なる形態に実現することができ、ここで説明する一実施形態に限定されない。
【0016】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0017】
以下、
図1ないし
図6を参照して一実施形態による原子力施設の解体方法を説明する。
【0018】
以下では、原子力施設として加圧軽水炉型(PWR)原子力発電所を一例として説明するが、これに限定されず原子力施設は沸騰軽水炉型(BWR)原子力発電所であり得る。
【0019】
加圧軽水炉型原子力発電所は、冷却材及び減速材として軽水を使用して、核燃料としてはウラニウム235を約2%ないし4%に濃縮して使用する。加圧軽水炉型原子力発電所は、原子炉内にて核分裂により発生する熱を蒸気発生器に送って熱交換させる原子炉系統に関連する施設と、蒸気発生器にて発生した蒸気でタービンを回し、その後に復水器を経て水に還元させてから、蒸気発生器へと戻して循環させる、タービンおよび発電機の系統に関連する施設とに区分されうる。
【0020】
一般的に、原子炉系統の熱伝達媒体である冷却材(軽水)は、原子炉にて約320℃まで加熱されるのであり、沸騰しないように約153気圧に加圧される。系統を構成する機器としては、一定のエンタルピーを維持するために圧力を調整する加圧器、及び、原子炉と蒸気発生器との間に冷却材を循環させる冷却材ポンプがある。蒸気発生器にて発生した蒸気がタービンを回して、タービン軸に連結された発電機にて電力を生産する系統は、一般火力発電所の原理と同一であり得る。
【0021】
図1は一実施形態による原子力施設の解体方法を示すフローチャートである。
【0022】
図2ないし
図6は一実施形態による原子力施設の解体方法を説明するための図面である。
【0023】
まず、
図1ないし
図3を参照すると、複数のサンドボックス500を除去して複数の上部貫通口420を露出させる(S100)。
【0024】
【0025】
具体的には、
図2を参照すると、原子力施設1000は、原子炉圧力容器100、原子炉圧力容器100と直接に連結された複数の配管200、配管200を通じて原子炉圧力容器100と連結された蒸気発生器300、原子炉圧力容器100および配管200を包み込んで原子炉圧力容器100を支持する生体保護コンクリート400、および複数のサンドボックス500を含む。
【0026】
原子炉圧力容器100は加圧軽水炉型であり得るが、これに限定されない。一例として、原子炉圧力容器100は沸騰軽水炉型であり得る。
【0027】
原子力施設1000は、原子炉圧力容器100、配管200、生体保護コンクリート400、及びサンドボックス500を含むものであれば、多様な形態であり得る。
【0028】
生体保護コンクリート400は、原子炉圧力容器100が位置するキャビティ410および配管200と重なって配管200を露出させる複数の上部貫通口420を含む。
【0029】
生体保護コンクリート400の上部貫通口420は、配管200と、原子炉圧力容器100のノズル(nozzle)との間の溶接の部分に対応しうるが、これに限定されない。
【0030】
サンドボックス500は上部貫通口420をカバーする。サンドボックス500は、内部にサンド(sand)が満たされたボックスの形態を有することができるが、これに限定されない。
【0031】
サンドボックス500が、生体保護コンクリート400の上部に支持されるための上部フランジ(flange)を含み得るのであり、上部フランジが、生体保護コンクリート400の上部に支持され得る。
【0032】
サンドボックス500は生体保護コンクリート400の上部に支持され、サンドボックス500と生体保護コンクリート400の上部との間には密封剤が位置し得る。
【0033】
サンドボックス500は、原子炉圧力容器100と直接連結された配管200の健全性を容易に確認するための構造物であり得る。
【0034】
一例として、原子力施設1000の運営が中断された場合、サンドボックス500を生体保護コンクリート400の上部貫通口420から分離し、上部貫通口420により露出された配管200についての健全性を確認することができる。
【0035】
上述した原子炉圧力容器100、配管200、蒸気発生器300、生体保護コンクリート400、およびサンドボックス500は、格納容器の内部に位置し得る。
【0036】
図3は原子力施設の生体保護コンクリートの上部を示す図である。
【0037】
図3を参照すると、原子力施設1000は、原子炉圧力容器100から生体保護コンクリート400の側へと突出した複数のサポータをさらに含む。サポータは第1サポータ205および第2サポータ206を含み、第1サポータ205および第2サポータ206は、原子炉圧力容器100から突出して生体保護コンクリート400に支持され得る。第1サポータ205および第2サポータ206により、原子炉圧力容器100が生体保護コンクリート400に支持され得る。第1サポータ205および第2サポータ206は、生体保護コンクリート400の高さ方向に配管200と同じ高さに位置し得る。
【0038】
生体保護コンクリート400のキャビティ410の内部に位置する原子炉圧力容器100に連結された配管200は第1配管201、第2配管202、第3配管203、第4配管204を含む。第1配管201および第2配管202は一の蒸気発生器と連結され、第3配管203および第4配管204は他の蒸気発生器と連結される。第1配管201および第3配管203には温水が通され得るのであり、第2配管202および第4配管204には冷水が通され得るが、これに限定されない。
【0039】
生体保護コンクリート400の上部貫通口420は、生体保護コンクリート400の上部にて互いに離隔されている。上部貫通口420は、平面的に四角形の形態を有する。上部貫通口420は、第1上部貫通口421、第2上部貫通口422、第3上部貫通口423、第4上部貫通口424、第5上部貫通口425、及び第6上部貫通口426を含む。
【0040】
第1上部貫通口421は、第1配管201と重なって第1配管201を露出させる。第2上部貫通口422は、第2配管202と重なって第2配管202を露出させる。第3上部貫通口423は、第3配管203と重なって第3配管203を露出させる。第4上部貫通口424は、第4配管204と重なって第4配管204を露出させる。第5上部貫通口425は、第1サポータ205と重なって第1サポータ205を露出させる。第6上部貫通口426は、第2サポータ206と重なって第2サポータ206を露出させる。第5上部貫通口425および第6上部貫通口426は、第1上部貫通口421に比べて小さい面積を有しうるが、これに限定されない。
【0041】
第1上部貫通口421、第2上部貫通口422、第3上部貫通口423、及び第4上部貫通口424は、それぞれ、第1配管201、第2配管202、第3配管203、及び第4配管204を、各配管の幅方向に、完全に露出する。
【0042】
サンドボックス500は生体保護コンクリート400の上部にて互いに離隔されている。サンドボックス500は、平面的に四角形の形態を有する。サンドボックス500は、第1サンドボックス501、第2サンドボックス502、第3サンドボックス503、第4サンドボックス504、第5サンドボックス505、及び第6サンドボックス506を含む。
【0043】
第1サンドボックス501は、第1上部貫通口421の内部に位置して、第1上部貫通口421をカバーする。第2サンドボックス502は、第2上部貫通口422の内部に位置して、第2上部貫通口422をカバーする。第3サンドボックス503は、第3上部貫通口423の内部に位置して、第3上部貫通口423をカバーする。第4サンドボックス504は、第4上部貫通口424の内部に位置して、第4上部貫通口424をカバーする。第5サンドボックス505は、第5上部貫通口425の内部に位置して、第5上部貫通口425をカバーする。第6サンドボックス506は、第6上部貫通口426の内部に位置して、第6上部貫通口426をカバーする。第5サンドボックス505および第6サンドボックス506は、第1サンドボックス501に比べて小さい面積を有しうるが、これに限定されない。
【0044】
第1サンドボックス501、第2サンドボックス502、第3サンドボックス503、及び第4サンドボックス504は、それぞれ、第1配管201、第2配管202、第3配管203、及び第4配管204の健全性を確認するための構造物であり得るのであり、第5サンドボックス505および第6サンドボックス506は、それぞれ、第1サポータ205および第2サポータ206の健全性を確認するための構造物であり得る。
【0045】
一例として、原子力施設1000の運営が中断された場合、第1サンドボックス501、第2サンドボックス502、第3サンドボックス503、及び第4サンドボックス504を、それぞれ、生体保護コンクリート400の第1上部貫通口421、第2上部貫通口422、第3上部貫通口423、及び第4上部貫通口424から分離し、第1上部貫通口421、第2上部貫通口422、第3上部貫通口423、及び第4上部貫通口424によってそれぞれ露出された、第1配管201、第2配管202、第3配管203、及び第4配管204の健全性を確認することができる。
【0046】
また、原子力施設1000の運営が中断された場合、第5サンドボックス505および第6サンドボックス506を、それぞれ、生体保護コンクリート400の第5上部貫通口425および第6上部貫通口426から分離し、第5上部貫通口425および第6上部貫通口426によってそれぞれ露出された、第1サポータ205および第2サポータ206の健全性を確認することができる。
【0047】
まず、原子力施設1000の解体のために、複数のサンドボックス500である第1サンドボックス501、第2サンドボックス502、第3サンドボックス503、第4サンドボックス504、第5サンドボックス505、及び第6サンドボックス506を、それぞれ、複数の上部貫通口420の、第1上部貫通口421、第2上部貫通口422、第3上部貫通口423、第4上部貫通口424、第5上部貫通口425、及び第6上部貫通口426から分離する。この際、サンドボックス500と生体保護コンクリート400の上部との間に位置する密封剤を取り除く。
【0048】
これによって、複数の上部貫通口420である、第1上部貫通口421、第2上部貫通口422、第3上部貫通口423、第4上部貫通口424、第5上部貫通口425、及び第6上部貫通口426がそれぞれ露出される。
【0049】
複数の上部貫通口420は、平面的にキャビティ410を取り囲む方向へと互いに離隔されて配置されて露出されるのであり、配管200の一部は、複数の上部貫通口420を通じて露出される。
【0050】
次に、
図4および
図5を参照すると、複数の上部貫通口420同士の間、および、複数の上部貫通口420とキャビティ410との間に位置する、生体保護コンクリート400の上部を切断することで、キャビティ410の上側空間を拡大する(S200)。
【0051】
具体的には、キャビティ410を基準に、これら配管200を露出させる複数の上部貫通口420の外側を相互に連結する仮想の第1切断線CL1、および、複数の上部貫通口420の内側とキャビティ410との間を連結する仮想の第2切断線CL2のそれぞれに沿って、生体保護コンクリート400の上部を切断する。
【0052】
四角形の形態の複数の上部貫通口420と、円形のキャビティ410とが互いに連通するように、生体保護コンクリート400の上部を切断し得る。
【0053】
一例として、仮想の第1切断線CL1は、複数の上部貫通口420の一の頂点を、相互に連結し、仮想の第2切断線CL2は、複数の上部貫通口420の他の頂点と、キャビティ410との間を連結し得る。
【0054】
キャビティ410を基準に、第1上部貫通口421、第2上部貫通口422、第3上部貫通口423、第4上部貫通口424、第5上部貫通口425、及び第6上部貫通口426のそれぞれの、外側にある一頂点を、相互に連結する第1切断線CL1に沿って、生体保護コンクリート400の上部を切断するとともに、第1上部貫通口421、第2上部貫通口422、第3上部貫通口423、第4上部貫通口424、第5上部貫通口425、及び第6上部貫通口426のそれぞれの、内側にある他の頂点と、キャビティ410との間を連結する第2切断線CL2に沿って、生体保護コンクリート400の上部を切断する。
【0055】
生体保護コンクリート400の切断は、ワイヤソー(wire saw)を利用して切断することができるが、これに限定されず、円形ソーなどの他の切断手段を利用して生体保護コンクリート400を切断することができる。
【0056】
キャビティ410と上部貫通口420との間の生体保護コンクリート400が、第1切断線CL1および第2切断線CL2に沿って切断されることによって、キャビティ410の上側空間が拡大する。
【0057】
キャビティ410の拡大した上側空間を通じて配管200、第1サポータ205、および第2サポータ206が露出される。
【0058】
次に、複数の配管200を切断する(S300)。
【0059】
具体的には、キャビティ410の拡大した上側空間を通じて露出された複数の配管200を、ワイヤソーなどの切断手段を利用して切断する。キャビティ410の拡大した上側空間を通じて、容易に配管200を切断することができる。
【0060】
次に、
図6を参照すると、生体保護コンクリート400から原子炉圧力容器100を分離する(S400)。
【0061】
具体的には、生体保護コンクリート400のキャビティ410についての拡大した上側空間を通じて、原子炉圧力容器100を生体保護コンクリート400から分離する。
【0062】
原子炉圧力容器100が位置するキャビティ410の上側空間が拡大した状態であるため、生体保護コンクリート400の干渉なしに、生体保護コンクリート400から原子炉圧力容器100を容易に分離することができる。
【0063】
以上のように、一実施形態による原子力施設の解体方法は、原子炉圧力容器100を生体保護コンクリート400から分離する際、生体保護コンクリート400に別途の穴(hole)を形成する必要がなく、配管200の健全性を確認するためのサンドボックス500を生体保護コンクリート400の上部貫通口420から分離することで上部貫通口420を露出させることによって、生体保護コンクリート400を切断するための作業空間が確保されて、生体保護コンクリート400から原子炉圧力容器100を容易に分離することができる。
【0064】
また、一実施形態による原子力施設の解体方法は、サンドボックス500を分離して露出された複数の上部貫通口420の、相互間の生体保護コンクリート400を切断することで生体保護コンクリート400のキャビティ410の上側空間を拡大することによって、生体保護コンクリート400の解体のための別途の作業を行わずに、サンドボックス500を活用して解体工程時間を短縮することができる。
【0065】
すなわち、サンドボックス500を活用して原子炉圧力容器100が位置するキャビティ410の上側空間を容易に拡大して、生体保護コンクリート400から原子炉圧力容器100を容易に分離する原子力施設の解体方法が提供される。
【0066】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0067】
原子炉圧力容器100
生体保護コンクリート400
キャビティ410
上部貫通口420
サンドボックス500