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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】飛行制御装置及び飛行制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/10 20060101AFI20220308BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G05D1/10
B64C39/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021009866
(22)【出願日】2021-01-25
【審査請求日】2021-01-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】田中 卓弥
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097578(JP,A)
【文献】国際公開第2020/153372(WO,A1)
【文献】特開2018-052341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/10
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の電力で動作する飛行装置を制御するための飛行制御装置であって、
飛行経路を取得する飛行経路取得部と、
前記飛行装置を前記飛行経路に沿って飛行させる飛行制御部と、
前記電池の残量を取得する電池残量取得部と、
前記飛行装置の位置に対応する、前記電池を充電するための充電設備であって、前記飛行経路に沿って前方に位置する充電設備を特定する特定部と、
を有し、
前記特定部は、前記残量が閾値以下になったことを条件として、前記飛行経路上において前記残量が前記閾値以下になった位置から前記特定された充電設備に近付くように所定距離進んだ離脱位置から前記特定された充電設備までの経路と、前記特定された充電設備から前記離脱位置又は前記離脱位置とは異なる前記飛行経路上の帰還位置までの経路と、を含む充電経路を特定し、
前記飛行制御部は、前記飛行装置が前記飛行経路に沿って飛行している間に前記残量が前記閾値以下になったことを条件として、前記飛行装置を前記充電経路に沿って前記特定された充電設備に飛行させて前記電池を充電させた後、前記飛行装置を前記充電経路に沿って前記飛行経路に飛行させる、
飛行制御装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記残量が前記閾値以下になったことを条件として、前記飛行装置の位置に最も近い前記充電設備を特定する、
請求項1に記載の飛行制御装置。
【請求項3】
前記飛行装置は、前記飛行経路において、撮影又は監視の作業を行う、
請求項1又は2に記載の飛行制御装置。
【請求項4】
前記充電経路は、前記離脱位置から前記特定された充電設備までの経路と、前記特定された充電設備から前記離脱位置までの経路と、を含み、
前記飛行装置は、前記飛行経路の全体において、撮影又は監視の作業を行う、
請求項3に記載の飛行制御装置。
【請求項5】
前記充電経路は、前記離脱位置から前記特定された充電設備までの経路と、前記特定された充電設備から前記帰還位置までの経路と、を含み、
前記帰還位置は、前記離脱位置から前記飛行経路に沿って所定距離進んだ位置である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の飛行制御装置。
【請求項6】
前記充電設備は、前記飛行経路から離れた位置に予め設置されている
請求項1からのいずれか一項に記載の飛行制御装置。
【請求項7】
前記特定部は、前記飛行装置が前記飛行経路に沿って飛行している間に、前記飛行装置の位置と前記充電設備の位置との関係に基づいて前記閾値を特定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の飛行制御装置。
【請求項8】
前記特定部は、前記関係に加えて、前記飛行装置が前記飛行経路上で行う残りの作業に基づいて、前記閾値を特定する、
請求項7に記載の飛行制御装置。
【請求項9】
前記特定部は、前記関係に加えて、前記飛行経路の残りの長さに基づいて、前記閾値を特定する、
請求項7又は8に記載の飛行制御装置。
【請求項10】
前記特定部は、前記関係に加えて、前記飛行装置の特性に基づいて、前記閾値を特定する、
請求項7から9のいずれか一項に記載の飛行制御装置。
【請求項11】
前記特定部は、前記飛行装置の位置と複数の前記充電設備それぞれの位置との関係に対応する複数の前記閾値を特定し、
前記飛行制御部は、複数の前記充電設備の状況と複数の前記閾値とに基づいて、前記飛行装置を複数の前記充電設備のいずれかに飛行させる、
請求項7から10のいずれか一項に記載の飛行制御装置。
【請求項12】
前記特定部は、記憶部に予め記憶された、前記飛行経路の任意の位置と前記充電設備の位置との関係に対応する前記閾値を特定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の飛行制御装置。
【請求項13】
前記特定部は、前記記憶部に予め記憶された、前記飛行経路の任意の位置と前記充電設備の位置との関係と、前記飛行装置の特性と、に対応する前記閾値を特定する、
請求項12に記載の飛行制御装置。
【請求項14】
前記飛行制御部は、前記飛行装置が前記特定された充電設備において充電を開始した後、前記残量が前記飛行経路の残りの長さに対応する値以上になったことを条件として、前記飛行装置を前記飛行経路に飛行させる、
請求項1から13のいずれか一項に記載の飛行制御装置。
【請求項15】
前記飛行制御部は、前記飛行装置が前記特定された充電設備において充電を開始した後、前記残量が、前記長さと、前記飛行装置が前記飛行経路上で行う残りの作業と、に対応する値以上になったことを条件として、前記飛行装置を前記飛行経路に飛行させる、
請求項14に記載の飛行制御装置。
【請求項16】
電池の電力で動作する飛行装置を制御するための飛行制御方法であって、
プロセッサが実行する、
飛行経路を取得するステップと、
前記飛行装置を前記飛行経路に沿って飛行させるステップと、
前記電池の残量を取得するステップと、
前記飛行装置の位置に対応する、前記電池を充電するための充電設備であって、前記飛行経路に沿って前方に位置する充電設備を特定するステップと、
前記残量が閾値以下になったことを条件として、前記飛行経路上において前記残量が前記閾値以下になった位置から前記特定された充電設備に近付くように所定距離進んだ離脱位置から前記特定された充電設備までの経路と、前記特定された充電設備から前記離脱位置又は前記離脱位置とは異なる前記飛行経路上の帰還位置までの経路と、を含む充電経路を特定するステップと、
前記飛行装置が前記飛行経路に沿って飛行している間に前記残量が前記閾値以下になったことを条件として、前記飛行装置を前記充電経路に沿って前記特定された充電設備に飛行させて前記電池を充電させた後、前記飛行装置を前記充電経路に沿って前記飛行経路に飛行させるステップと、
を有する、飛行制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行装置の飛行を制御するための飛行制御装置及び飛行制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドローン等の飛行装置を飛行させるエリア及び飛行の目的の入力を受け付け、受け付けたエリア及び目的に応じて飛行経路を作成し、作成した飛行経路に従って飛行装置の飛行を制御するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/198313号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドローン等の飛行装置は、充電可能な電池を備えており、電池の電力を用いて飛行経路に沿って飛行する。従来、事前に飛行装置が飛行する際の電池の残量を予測し、電池の残量が不足しないように飛行経路の途中においてドローンポート等で電池の充電を行うように、飛行経路が予め計画される。
【0005】
しかしながら、飛行装置が実際に飛行する際には、上空の風や電池の劣化等の影響を受けるため、電池の残量が予測された通りにならない可能性がある。したがって、飛行装置は、事前に計画された飛行経路ではドローンポートに到達して電池の充電をすることができず、飛行経路に沿った飛行を継続できなくなるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、電池の電力を用いて飛行する飛行装置が、様々な状況下で電池を充電して飛行を継続できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様の飛行制御装置は、電池の電力で動作する飛行装置を制御するための飛行制御装置であって、飛行経路を取得する飛行経路取得部と、前記飛行装置を前記飛行経路に沿って飛行させる飛行制御部と、前記電池の残量を取得する電池残量取得部と、前記飛行装置の位置に対応する、前記電池を充電するための充電設備を特定する特定部と、を有し、前記飛行制御部は、前記飛行装置が前記飛行経路に沿って飛行している間に前記残量が閾値以下になったことを条件として、前記飛行装置を前記特定された充電設備に飛行させて前記電池を充電させた後、前記飛行装置を前記飛行経路に飛行させる。
【0008】
前記特定部は、前記残量が前記閾値以下になったことを条件として、前記飛行装置の位置に最も近い前記充電設備を特定してもよい。
【0009】
前記特定部は、前記残量が前記閾値以下になったことを条件として、前記飛行装置の位置から前記特定された充電設備までの経路と、前記特定された充電設備から前記飛行経路までの経路と、を含む充電経路を特定し、前記飛行制御部は、前記飛行装置が前記飛行経路に沿って飛行している間に前記残量が前記閾値以下になったことを条件として、前記飛行装置を前記充電経路に沿って飛行させてもよい。
【0010】
前記特定部は、前記飛行装置が前記充電経路に沿った飛行を開始する位置から前記特定された充電設備までの経路と、前記特定された充電設備から前記飛行装置が前記充電経路に沿った飛行を開始する位置までの経路と、を含む前記充電経路を特定してもよい。
【0011】
前記特定部は、前記残量が前記閾値以下になった位置から所定距離進んだ離脱位置から前記特定された充電設備までの経路と、前記特定された充電設備から前記離脱位置までの経路と、を含む前記充電経路を特定してもよい。
【0012】
前記特定部は、前記飛行装置が前記飛行経路に沿って飛行している間に、前記飛行装置の位置と前記充電設備の位置との関係に基づいて前記閾値を特定してもよい。
【0013】
前記特定部は、前記関係に加えて、前記飛行装置が前記飛行経路上で行う残りの作業に基づいて、前記閾値を特定してもよい。
【0014】
前記特定部は、前記関係に加えて、前記飛行経路の残りの長さに基づいて、前記閾値を特定してもよい。
【0015】
前記特定部は、前記関係に加えて、前記飛行装置の特性に基づいて、前記閾値を特定してもよい。
【0016】
前記特定部は、前記飛行装置の位置と複数の前記充電設備それぞれの位置との関係に対応する複数の前記閾値を特定し、前記飛行制御部は、複数の前記充電設備の状況と複数の前記閾値とに基づいて、前記飛行装置を複数の前記充電設備のいずれかに飛行させてもよい。
【0017】
前記特定部は、記憶部に予め記憶された、前記飛行経路の任意の位置と前記充電設備の位置との関係に対応する前記閾値を特定してもよい。
【0018】
前記特定部は、記憶部に予め記憶された、前記飛行経路の任意の位置と前記充電設備の位置との関係と、前記飛行装置の特性と、に対応する前記閾値を特定してもよい。
【0019】
前記飛行制御部は、前記飛行装置が前記特定された充電設備において充電を開始した後、前記残量が前記飛行経路の残りの長さに対応する値以上になったことを条件として、前記飛行装置を前記飛行経路に飛行させてもよい。
【0020】
前記飛行制御部は、前記飛行装置が前記特定された充電設備において充電を開始した後、前記残量が、前記長さと、前記飛行装置が前記飛行経路上で行う残りの作業と、に対応する値以上になったことを条件として、前記飛行装置を前記飛行経路に飛行させてもよい。
【0021】
本発明の第2の態様の飛行制御方法は、電池の電力で動作する飛行装置を制御するための飛行制御方法であって、プロセッサが実行する、飛行経路を取得するステップと、前記飛行装置を前記飛行経路に沿って飛行させるステップと、前記電池の残量を取得するステップと、前記飛行装置の位置に対応する、前記電池を充電するための充電設備を特定するステップと、前記飛行装置が前記飛行経路に沿って飛行している間に前記残量が閾値以下になったことを条件として、前記飛行装置を前記特定された充電設備に飛行させて前記電池を充電させた後、前記飛行装置を前記飛行経路に飛行させるステップと、を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電池の電力を用いて飛行する飛行装置が、様々な状況下で電池を充電して飛行を継続できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る飛行制御システムの模式図である。
図2】実施形態に係る飛行制御装置のブロック図である。
図3】ユーザ端末において飛行予定情報の入力を受け付けるための飛行予定画面の模式図である。
図4】飛行制御部による飛行装置を飛行させるための制御を説明するための模式図である。
図5】飛行装置の飛行中に特定部が逐次閾値を特定する方法を説明するための模式図である。
図6】飛行装置が飛行する前に特定部が予め閾値を特定する方法を説明するための模式図である。
図7】特定部が特定する充電経路を説明するための模式図である。
図8】飛行制御システムが実行する飛行制御方法のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[飛行制御システムの概要]
図1は、本実施形態に係る飛行制御システムの模式図である。飛行制御システムは、飛行制御装置1と、ユーザ端末2と、飛行装置3と、充電設備4と、を含む。飛行制御システムは、その他の端末、装置等を含んでもよい。
【0025】
飛行制御装置1は、飛行装置3が備える電池の残量が所定条件を満たした場合に充電設備4を特定し、特定した充電設備4に飛行装置3を飛行させるための制御を行うコンピュータである。飛行制御装置1は、単一の装置、又は複数の装置である。また、飛行制御装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウド上で動作する一又は複数の仮想的なサーバであってもよい。
【0026】
ユーザ端末2は、ユーザが使用するコンピュータである。ユーザ端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報端末である。ユーザは、例えば、飛行装置3を操縦し、管理し、又は所有する人である。ユーザ端末2は、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、ユーザによる操作を受け付けるためのタッチパネル等の操作部と、を有する。ユーザ端末2は、通信によって飛行制御装置1との間で情報を送受信する。
【0027】
飛行装置3は、ユーザによって指定された飛行経路を飛行し、所定の作業を行うドローン等の無人飛行装置である。また、飛行装置3は、航空機や飛行可能車両等の有人飛行装置であってもよい。飛行装置3は、充電可能な電池を備えており、電池の電力を用いて動作する。飛行装置3が行う作業は、例えば、飛行経路における物の輸送、飛行経路周辺の撮像、飛行経路における物(農薬等)の放出、飛行経路における情報(音声、光等)の出力等である。飛行装置3は、通信キャリア(通信事業者ともいう)が提供する通信サービスを用いて通信をする。また、飛行装置3は、飛行制御装置1が実行する機能の少なくとも一部を実行することにより、飛行制御装置1として機能してもよい。
【0028】
充電設備4は、飛行装置3が備える電池を充電するための設備である。充電設備4は、例えば、飛行装置3であるドローンが離着陸可能なドローンポートである。充電設備4は、例えば、充電設備4上に着陸した飛行装置3に接続され、飛行装置3に対して電力を供給することにより、飛行装置3の電池を充電する。
【0029】
本実施形態に係る飛行制御装置1が実行する処理の概要を以下に説明する。飛行制御装置1は、ユーザ端末2から、飛行装置3が飛行する予定の飛行経路を含む飛行予定情報を受信する(図1の(1))。
【0030】
飛行制御装置1は、飛行装置3を指定された飛行経路に沿って飛行させる制御情報を、飛行装置3に送信する(図1の(2))。飛行制御装置1は、飛行経路に沿って飛行している飛行装置3から、飛行装置3が備える電池の残量と、飛行装置3の位置と、を取得する(図1の(3))。
【0031】
飛行制御装置1は、飛行装置3の位置に対応する、飛行装置3が備える電池を充電するための充電設備4を特定する(図1の(4))。飛行制御装置1は、例えば、電池の残量が所定の閾値以下になったことを条件として、飛行装置3の位置に最も近い充電設備4を特定する。
【0032】
飛行制御装置1は、飛行装置3が飛行経路に沿って飛行している間に電池の残量が所定の閾値以下になったことを条件として、飛行装置3を特定された充電設備4に飛行させ、電池の充電後に飛行装置3を飛行経路に飛行させる制御情報を、飛行装置3に送信する(図1の(5))。
【0033】
このように本実施形態に係る飛行制御装置1は、指定された飛行経路に沿って飛行している飛行装置3の位置及び電池の残量に応じて、動的に充電設備4を特定し、特定した充電設備4に飛行装置3を飛行させて電池を充電させる。したがって、飛行制御装置1によれば、飛行経路において電池の充電に利用する充電設備4を事前に決定しておく必要がないため、飛行装置3は、向かい風の影響で電池の残量が早く減った場合等、様々な状況下で電池を充電して飛行を継続できる。
【0034】
[飛行制御装置1の構成]
図2は、本実施形態に係る飛行制御装置1のブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0035】
飛行制御装置1は、記憶部11と、制御部12とを有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部11は、充電設備4の位置を含む充電設備情報を予め記憶している。
【0036】
制御部12は、飛行経路取得部121と、飛行制御部122と、電池残量取得部123と、特定部124と、を有する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、飛行経路取得部121、飛行制御部122、電池残量取得部123及び特定部124として機能する。制御部12の各部は、飛行制御装置1を構成する複数の装置に分かれて実装されてもよい。また、飛行装置3のプロセッサが、制御部12の各部として機能してもよい。
【0037】
飛行制御装置1が本実施形態に係る処理を実行するための構成を以下に説明する。飛行経路取得部121は、ユーザ端末2から、飛行装置3が飛行する予定の飛行経路を含む飛行予定情報を受信する。
【0038】
図3は、ユーザ端末2において飛行予定情報の入力を受け付けるための飛行予定画面の模式図である。ユーザ端末2は、例えば、飛行予定画面に表示された地図上で指定された面状の範囲(フライトエリア)を、飛行範囲Rとして受け付ける。また、ユーザ端末2は、飛行予定画面に表示された地図上の飛行範囲Rの中で指定された線状の経路を、飛行経路Fとして受け付ける。また、ユーザ端末2は、飛行範囲Rの指定を受け付けず、飛行経路Fの指定を受け付けてもよい。
【0039】
また、ユーザ端末2は、飛行装置3を飛行させる飛行予定期間の指定を受け付けてもよい。飛行予定期間は、例えば、開始日時及び終了日時によって指定される期間である。また、ユーザ端末2は、飛行装置3が飛行経路において行う作業内容の指定を受け付けてもよい。作業内容は、例えば、撮影、監視、配送等、飛行装置3が行う作業の種類である。作業内容は、飛行経路の全体に対して指定されてもよく、飛行経路内の各地点に対して指定されてもよい。ユーザ端末2は、その他の情報の入力を受け付けてもよい。
【0040】
飛行制御装置1において、飛行経路取得部121は、飛行予定画面において入力された各情報に基づいて、飛行経路を含む飛行予定情報を、ユーザ端末2から取得する。飛行経路取得部121は、ユーザ端末2から受信した飛行予定情報を、記憶部11に記憶させる。
【0041】
飛行制御部122は、飛行装置3を飛行経路取得部121が取得した飛行経路に沿って飛行させるための制御を行う。図4は、飛行制御部122による飛行装置3を飛行させるための制御を説明するための模式図である。
【0042】
飛行制御部122は、例えば、飛行経路取得部121が取得した飛行経路に沿って飛行させる制御情報を、飛行装置3に送信する。飛行装置3は、飛行制御装置1から受信した制御情報が含む飛行経路に沿って、電池の電力を用いて飛行する。
【0043】
飛行装置3が飛行制御装置1として機能する場合に、飛行装置3が有する飛行制御部122は、飛行経路取得部121が取得した飛行経路に沿って飛行させる制御情報(例えば、制御信号)を飛行装置3が備えるモータ等の駆動部に出力する。これにより、飛行装置3は、電池の電力を用いて飛行経路に沿って飛行する。
【0044】
電池残量取得部123は、飛行装置3が飛行経路に沿って飛行している間に、飛行装置3が備える電池の電量を取得する。飛行装置3は、例えば、電圧等に基づいて電池の残量を特定するとともに、GPS(Global Positioning System)の信号や飛行装置3が通信可能な基地局(セル)に基づいて位置を特定する。飛行装置3は、座標によって表された二次元の位置を特定してもよく、座標及び高度によって表された三次元の位置を特定してもよい。飛行装置3は、特定した電池の残量及び飛行装置3の位置を含む飛行情報を、飛行制御装置1に送信する。飛行制御装置において、電池残量取得部123は、飛行装置3から受信した飛行情報が含む電池の残量及び飛行装置3の位置を取得する。
【0045】
特定部124は、電池残量取得部123が取得した飛行情報に基づいて、飛行装置3の電池の残量が所定の閾値以下になった場合に、飛行装置3の位置に対応する、当該電池を充電するための充電設備4を特定する。まず特定部124は、電池の残量の判定に用いる閾値を特定する。特定部124は、飛行装置3が飛行している間に逐次閾値を特定し、又は飛行装置3が飛行する前に予め閾値を特定する。
【0046】
特定部124が逐次閾値を特定する場合に、特定部124は、飛行装置3が飛行経路に沿って飛行している間に、電池残量取得部123が取得した飛行情報に含まれている飛行装置3の位置と、記憶部11に予め記憶された充電設備情報に含まれている充電設備4の位置との関係に基づいて、閾値を特定する。
【0047】
特定部124は、例えば、飛行装置3が飛行経路上で所定の判定位置に到達したことを条件として、記憶部11に予め記憶された飛行装置3の電池の残量と飛行装置3が飛行可能な距離との関係を示す関係テーブル又は関係式を用いて、飛行装置3の位置から、飛行経路に沿って前方にある次の充電設備4の位置までの距離を飛行可能な電池の残量を算出し、算出した電池の残量を閾値として特定する。このように、飛行制御装置1は、飛行装置3及び充電設備4の位置関係に応じて動的に電池の残量の閾値を特定することによって、飛行装置3の位置ごとに充電設備4に到達できるか否かを判定でき、充電の回数を削減できる。
【0048】
図5は、飛行装置3の飛行中に特定部124が逐次閾値を特定する方法を説明するための模式図である。特定部124は、飛行装置3が飛行経路上で判定位置P1に到達したことを条件として、閾値を特定する。判定位置P1は、例えば、飛行経路上で第1の充電設備4aに最も近い位置(すなわち、飛行装置3が第1の充電設備4aに最短距離で到達できる地点)である。判定位置P1は、これに限られず、飛行経路上で一定間隔に設けられた地点等であってもよい。
【0049】
判定位置P1において、飛行経路に沿って前方には第2の充電設備4bがある。飛行装置3が判定位置P1から飛行経路に沿って飛行した後、所定の離脱位置P2から第2の充電設備4bに到達するまでの経路の長さを、長さLとする。離脱位置P2は、例えば、飛行経路上で第2の充電設備4bに最も近い位置(すなわち、飛行装置3が第2の充電設備4bに最短距離で到達できる地点)である。
【0050】
特定部124は、記憶部11に予め記憶された飛行装置3の電池の残量と飛行装置3が飛行可能な距離との関係を示す関係テーブル又は関係式を用いて、長さLに対応する閾値を算出する。特定部124は、算出した閾値を、飛行装置3の電池の残量の判定に用いる。電池の残量が閾値以下になった場合に、後述のように、飛行制御部122は、飛行装置3が位置する判定位置P1に最も近い第1充電設備4aに飛行装置3を飛行させる制御を行う。すなわち、電池の残量が長さLに対応する閾値以下になった場合に飛行装置3が第2の充電設備4bに到達できない可能性があるため、飛行制御部122は、最も近い第1の充電設備4aに飛行装置3を飛行させる制御を行う。
【0051】
また、特定部124は、飛行装置3の位置と充電設備4の位置との関係に加えて、飛行経路の残りの長さに基づいて、閾値を特定してもよい。この場合に、特定部124は、飛行経路と、飛行装置3の位置と、に基づいて、飛行装置3の位置から飛行経路の終点までの長さを、飛行装置3が飛行する飛行経路の残りの長さとして特定する。特定部124は、特定した残りの長さに基づいて、閾値を特定する。特定部124は、例えば、残りの長さが長いほど閾値を大きくし、残りの長さが短いほど閾値を小さくする。
【0052】
これにより、飛行制御装置1は、飛行経路の残りの長さが短い場合には充電を省略して飛行装置3を飛行経路の終点に飛行させ、飛行経路の残りの長さが長い場合には飛行装置3を充電設備4に飛行させることによって、飛行装置3が電池の充電を行わずに飛行経路の飛行を完了できるにも関わらず充電設備4に向かってしまうこと等の無駄を抑制できる。
【0053】
また、特定部124は、飛行装置3の位置と充電設備4の位置との関係に加えて、飛行装置3が飛行経路上で行う残りの作業に基づいて、閾値を特定してもよい。この場合に、特定部124は、飛行予定情報に含まれている作業内容と、飛行装置3の位置と、に基づいて、飛行装置3が飛行経路上で行う残りの作業を特定する。特定部124は、特定した残りの作業に基づいて、閾値を特定する。特定部124は、例えば、残りの作業の量が多いほど閾値を大きくし、残りの作業の量が少ないほど閾値を小さくする。また、特定部124は、例えば、残りの作業に所定作業(撮像等の電力消費の大きい作業)が含まれている場合に、含まれていない場合よりも閾値を大きくする。
【0054】
飛行装置3は、飛行中に撮像等の電力消費の大きい作業を行う場合に、電池の残量が急激に減少することにより充電設備4に到達できなくなる可能性がある。それに対して、飛行制御装置1は、上述のように残りの作業に応じて電池の残量の閾値を特定することによって、飛行装置3が充電設備4に到達できなくなる事態を抑制できる。
【0055】
また、特定部124は、飛行装置3の位置と充電設備4の位置との関係に加えて、飛行装置3の特性に基づいて、閾値を特定してもよい。この場合に、特定部124は、記憶部11に予め記憶された飛行装置3の機体情報に基づいて、飛行装置3の特性を特定する。飛行装置3の特定は、飛行速度、重量等、飛行に影響する飛行装置3の機体の性質である。特定部124は、例えば、飛行装置3の特性が所定条件を満たす場合(例えば、飛行速度が所定値以下である場合、重量が所定値以上である場合等)に、満たさない場合よりも閾値を大きくする。
【0056】
飛行装置3の飛行速度が遅い場合には、電池の残量が尽きるまでに飛行装置3が充電設備4に到達できなくなる可能性がある。また、飛行装置3が重い場合には、電池の残量が減少しやすいため飛行装置3が充電設備4に到達できなくなる可能性がある。それに対して、飛行制御装置1は、上述のように飛行装置3の特性に応じて電池の残量の閾値を特定することによって、飛行装置3が充電設備4に到達できなくなる事態を抑制できる。
【0057】
特定部124が予め閾値を特定する場合に、特定部124は、飛行装置3が飛行経路に沿って飛行する前に、飛行経路の任意の位置と充電設備4の位置との関係に対応する閾値を予め特定する。特定部124は、例えば、飛行経路の各地点から最も近い各充電設備4と、飛行経路の当該地点との間の距離を算出し、最も大きい距離を飛行経路から充電設備4までの最大距離とする。
【0058】
そして特定部124は、記憶部11に予め記憶された飛行装置3の電池の残量と飛行装置3が飛行可能な距離との関係を示す関係テーブル又は関係式を用いて、最大距離に対応する電池の残量を算出し、算出した電池の残量を閾値として特定する。
【0059】
特定部124は、特定した閾値を、記憶部11に記憶させる。飛行装置3が飛行経路に沿って飛行をする際に、特定部124は、記憶部11に予め記憶された閾値を特定する。このように、飛行制御装置1は、飛行経路及び充電設備4の位置関係に応じて予め算出された電池の残量の閾値を用いることによって、飛行装置3の飛行中に逐次閾値の算出を行う必要がなく、計算量を低減できる。
【0060】
図6は、飛行装置3が飛行する前に特定部124が予め閾値を特定する方法を説明するための模式図である。図6の例では、複数の充電設備4a、4bのうち充電設備4bが飛行経路の任意の位置から最も遠くに位置しており、飛行経路と充電設備4bとの間の最大の距離が最大距離Dmaxである。特定部124は、記憶部11に予め記憶された飛行装置3の電池の残量と飛行装置3が飛行可能な距離との関係を示す関係テーブル又は関係式を用いて、最大距離Dmaxに対応する閾値を算出し、予め記憶部11に記憶させる。特定部124は、記憶部11に予め記憶された閾値を、飛行中の飛行装置3の電池の残量の判定に用いる。電池の残量が閾値以下になった場合に、後述のように、飛行制御部122は、その時点の飛行装置3の位置に最も近い充電設備4に飛行装置3を飛行させる制御を行う。
【0061】
図6の例では、特定部124は、最大距離Dmaxに対応する一律の閾値を予め特定しているが、飛行経路上の複数の測定基準位置(例えば、飛行経路上で各充電設備4から最も近い位置、人間によって指定された位置、又は一定間隔の複数の位置)から、それぞれ飛行経路に沿って前方にある次の充電設備4までの距離を算定し、算定した距離に対応する閾値を、当該測定基準位置に関連付けて予め記憶部11に記憶させてもよい。次の充電設備4までの距離は、図5と同様に、飛行装置3が測定基準位置から飛行経路に沿って飛行した後、所定の離脱位置から次の充電設備4bに到達するまでの経路の長さである。この場合に、特定部124は、飛行中の飛行装置3が測定基準位置に到達したことを条件として、当該測定基準位置に関連付けられた閾値を、電池の残量の判定に用いる。電池の残量が閾値以下になった場合に、飛行制御部122は、当該測定基準位置から最も近い充電設備4に飛行装置3を飛行させる制御を行う。
【0062】
また、特定部124は、飛行経路の任意の位置と充電設備4の位置との関係に加えて、飛行装置3の特性に基づいて、予め閾値を特定してもよい。この場合に、特定部124は、記憶部11に予め記憶された飛行装置3の機体情報に基づいて、飛行装置3の特性を特定する。飛行装置3の特定は、飛行速度、重量等、飛行に影響する飛行装置3の機体の性質である。特定部124は、例えば、飛行装置3の特性が所定条件を満たす場合(例えば、飛行速度が所定値以下である場合、重量が所定値以上である場合等)に、満たさない場合よりも閾値を大きくする。
【0063】
特定部124は、算出した閾値を、飛行装置3の特性と関連付けて記憶部11に記憶させる。飛行装置3が飛行経路に沿って飛行をする際に、特定部124は、記憶部11において飛行する飛行装置3の特性に関連付けられた閾値を特定する。飛行装置3の飛行速度が遅い場合には、電池の残量が尽きるまでに飛行装置3が充電設備4に到達できなくなる可能性がある。また、飛行装置3が重い場合には、電池の残量が減少しやすいため飛行装置3が充電設備4に到達できなくなる可能性がある。それに対して、飛行制御装置1は、上述のように飛行装置3の特性に応じて電池の残量の閾値を特定することによって、飛行装置3が充電設備4に到達できなくなる事態を抑制できる。
【0064】
特定部124は、ここに示した具体的な方法に限られず、その他の方法によって電池の残量の判定に用いる閾値を特定してもよい。特定部124は、例えば、電池の残量の消費に影響を与える風速、風向、温度等の外的要因(すなわち、飛行装置3を含む環境の情報)を特定し、特定した外的要因を用いて飛行装置3の飛行可能距離をシミュレーションしてもよい。そして特定部124は、シミュレーションの結果に基づいて、飛行装置3が充電設備4に到達できる電池の残量を、閾値として特定する。これにより、飛行制御装置1は、飛行装置3に対する外的要因の影響を考慮した電池の残量の閾値を特定できるため、飛行装置3が充電設備4に到達できる蓋然性を向上できる。
【0065】
特定部124は、電池の残量が特定した閾値以下になったことを条件として、飛行装置3の電池を充電するための充電設備4を特定する。特定部124は、例えば、電池の残量が特定した閾値以下になった場合に、飛行装置3の位置に最も近い充電設備4を、飛行装置3の電池を充電するための充電設備4として特定する。また、特定部124は、複数の充電設備4のうち、電池の残量の判定に用いられた閾値に対応する充電設備4を、飛行装置3の電池を充電するための充電設備4として特定してもよい。
【0066】
特定部124は、ここに示した具体的な条件に限られず、その他の条件で充電設備4を特定してもよい。特定部124は、電池の残量が特定した閾値より大きい場合に、所定の時間間隔で閾値の特定及び電位の残量の判定を繰り返す。
【0067】
特定部124は、飛行経路の近傍に複数の充電設備4が設置されている場合に、複数の充電設備4に対応する複数の閾値と、複数の充電設備4それぞれの状況と、に基づいて、複数の充電設備4のいずれかを飛行装置3の電池を充電するための充電設備4として選択してもよい。特定部124は、例えば、複数の充電設備4それぞれの状況を取得する。充電設備4の状況は、例えば、充電設備4に他の飛行装置3が現在着陸しているか否か、充電設備4周辺の気象等を含む。
【0068】
特定部124は、例えば、複数の充電設備4のうち、飛行装置3に最も近い充電設備4の状況が所定条件を満たさない場合に、飛行装置3に次に近い充電設備4を飛行装置3の電池を充電するための充電設備4として選択する。状況の条件は、例えば、充電設備4に他の飛行装置3が着陸していないこと、充電設備4周辺の風速が所定値以下であること等である。これにより、飛行制御装置1は、複数の充電設備4それぞれの状況を考慮して、飛行装置3が充電に用いるのに適した充電設備4を選択できる。
【0069】
特定部124は、飛行装置3の電池を充電するための充電設備4を特定した後、飛行装置3の位置から特定された充電設備4までの経路と、特定された充電設備4から飛行経路までの経路と、を含む充電経路を特定する。
【0070】
充電経路は、例えば、飛行装置3が充電経路に沿った飛行を開始する離脱位置から特定された充電設備4までの経路と、特定された充電設備4から当該離脱位置までの経路と、を含む。離脱位置は、例えば、電池の残量が閾値以下になった時点の飛行装置3の位置、又は電池の残量が閾値以下になった時点の飛行装置3の位置から所定距離進んだ位置である。特定部124は、離脱位置から充電設備4までの直線状の経路を充電経路として特定してもよく、既知の経路決定処理を用いて決定した離脱位置から充電設備4までの経路を充電経路として特定してもよい。
【0071】
図7(a)、図7(b)は、特定部124が特定する充電経路を説明するための模式図である。図7(a)は、電池の残量が閾値以下になった時点の飛行装置3の位置を離脱位置P3とする例を表している。特定部124は、離脱位置P3から特定された充電設備4aに到達するまでの経路R1と、特定された充電設備4aから離脱位置P3に到達するまでの経路R2と、を含む充電経路を特定する。これにより、飛行制御装置1は、飛行装置3に対して、飛行装置3の位置に応じて適した充電経路を飛行装置3に指示することができる。
【0072】
図7(b)は、電池の残量が閾値以下になった時点の飛行装置3の位置から所定距離進んだ位置を離脱位置P4とする例を表している。特定部124は、飛行装置3の位置から離脱位置P4を経由して特定された充電設備4bに到達するまでの経路R3と、特定された充電設備4bから離脱位置P4に到達するまでの経路R4と、を含む充電経路を特定する。これにより、飛行制御装置1は、特定された充電設備4が飛行経路に沿って飛行装置3の前方に位置している場合等に、飛行装置3がある程度距離進んでから充電設備4への移動を開始させるため、飛行装置3から充電設備4への道のりを短くすることができ、飛行装置3の飛行を効率化することができる。
【0073】
また、図7(a)、図7(b)において、飛行経路から充電設備4に到達するまでの経路R1、R3と、充電設備4から飛行経路に到達するまでの経路R2、R4とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0074】
図7(a)、図7(b)の例では、飛行装置3は充電後に離脱位置に戻るが、飛行経路上の離脱位置とは別の位置に戻ってもよい。すなわち、充電経路は、例えば、飛行装置3が充電経路に沿った飛行を開始する離脱位置から特定された充電設備4までの経路と、特定された充電設備4から当該離脱位置とは異なる飛行経路上の帰還位置までの経路と、を含んでもよい。この場合に、帰還位置は、離脱位置から飛行経路に沿って所定距離進んだ位置であることが望ましい。これにより、飛行制御装置1は、飛行装置3が充電した後に飛行経路の飛行を早期に完了させることができる。
【0075】
飛行制御部122は、飛行装置3が飛行経路に沿って飛行している間に、電池残量取得部123が取得した電池の残量が、特定部124が特定した閾値以下になったことを条件として、飛行装置3を特定部124が特定した充電設備4に飛行させて電池を充電させた後、飛行装置3を飛行経路に飛行させる制御を行う。飛行制御部122は、例えば、特定部124が特定した充電経路に沿って飛行させる制御情報を、飛行装置3に送信する。飛行装置3は、飛行制御装置1から受信した制御情報が含む充電経路に沿って、充電設備4に飛行し、電池を充電した後に飛行経路に飛行する。
【0076】
飛行装置3が飛行制御装置1として機能する場合に、飛行装置3が有する飛行制御部122は、特定部124が特定した充電経路に沿って飛行させる制御情報(例えば、制御信号)を飛行装置3が備えるモータ等の駆動部に出力する。これにより、飛行装置3は、充電経路に沿って、充電設備4に飛行し、電池を充電した後に飛行経路に飛行する。
【0077】
このような構成により、飛行制御装置1は、指定された飛行経路に沿って飛行している飛行装置3を、飛行装置3の位置及び電池の残量に応じて特定された充電設備4に飛行させ、電池の充電をさせることができる。
【0078】
また、飛行制御部122は、飛行装置3を充電設備4に飛行させた後、充電された電池の残量に基づいて飛行装置3が飛行経路に戻るタイミングを調整してもよい。この場合に、電池残量取得部123は、飛行装置3が充電設備4において電池の充電を開始した後、充電設備4で充電されている電池の残量を取得する。飛行制御部122は、電池残量取得部123が取得した電池の残量が飛行経路の残りの長さに対応する値以上になったことを条件として、飛行装置3を飛行経路に飛行させる制御を行う。
【0079】
飛行経路の残りの長さに対応する電池の残量は、例えば、記憶部11に予め記憶された飛行装置3の電池の残量と飛行装置3が飛行可能な距離との関係を示す関係テーブル又は関係式を用いて算出された、飛行装置3が充電設備4から飛行経路に戻り、飛行経路の終点に到達するまでの距離を飛行可能な電池の残量である。これにより、飛行制御装置1は、飛行制御装置1は、飛行装置3が飛行経路の飛行を完遂するのに十分な電力を電池に充電させることができる。
【0080】
また、飛行制御部122は、電池残量取得部123が取得した電池の残量が、飛行経路の残りの長さと、飛行装置3が飛行経路上で行う残りの作業と、に対応する値以上になったことを条件として、飛行装置3を飛行経路に飛行させる制御を行ってもよい。これにより、飛行制御装置1は、飛行装置3が飛行経路上で行う作業を完遂するのに十分な電力を電池に充電させることができる。
【0081】
[飛行制御方法のシーケンス]
図8は、飛行制御システムが実行する飛行制御方法のシーケンスを示す図である。ユーザ端末2は、飛行予定画面において、飛行予定情報の入力を受け付ける(S11)。具体的には、ユーザ端末2は、例えば、飛行予定画面に表示された地図上で指定された面状の範囲(フライトエリア)を、飛行範囲として受け付ける。また、ユーザ端末2は、飛行予定画面に表示された地図上の飛行範囲の中で指定された線状の経路を、飛行経路として受け付ける。
【0082】
飛行制御装置1において、飛行経路取得部121は、飛行経路を含む飛行予定情報を、ユーザ端末2から取得する。飛行経路取得部121は、ユーザ端末2から受信した飛行予定情報を、記憶部11に記憶させる。
【0083】
飛行制御部122は、飛行装置3を飛行経路取得部121が取得した飛行経路に沿って飛行させるための制御を行う(S12)。飛行制御部122は、例えば、飛行経路取得部121が取得した飛行経路に沿って飛行させる制御情報を、飛行装置3に送信する。飛行装置3は、飛行制御装置1から受信した制御情報が含む飛行経路に沿って、電池の電力を用いて飛行する。
【0084】
飛行装置3は、例えば、飛行経路に沿って飛行している間に、電圧等に基づいて電池の残量を特定するとともに、GPSの信号や飛行装置3が通信可能な基地局(セル)に基づいて位置を特定する。飛行装置3は、特定した電池の残量及び飛行装置3の位置を含む飛行情報を、飛行制御装置1に送信する(S13)。
【0085】
特定部124は、電池の残量の判定に用いる閾値を特定する(S14)。特定部124は、飛行装置3が飛行している間に逐次閾値を特定してもよく、飛行装置3が飛行する前に予め閾値を特定してもよい。特定部124は、電池の残量が特定した閾値以下になったことを条件として、飛行装置3の電池を充電するための充電設備4を特定する(S15)。
【0086】
特定部124は、飛行装置3の電池を充電するための充電設備4を特定した後、飛行装置3の位置から特定された充電設備4までの経路と、特定された充電設備4から飛行経路までの経路と、を含む充電経路を特定する(S16)。
【0087】
飛行制御部122は、飛行装置3が飛行経路に沿って飛行している間に、電池残量取得部123が取得した電池の残量が、特定部124が特定した閾値以下になったことを条件として、飛行装置3を特定部124が特定した充電設備4に飛行させて電池を充電させた後、飛行装置3を飛行経路に飛行させる制御を行う(S17)。飛行制御部122は、例えば、特定部124が特定した充電経路に沿って飛行させる制御情報を、飛行装置3に送信する。
【0088】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る飛行制御装置1は、指定された飛行経路に沿って飛行している飛行装置3の位置及び電池の残量に応じて、動的に充電設備4を特定し、特定した充電設備4に飛行装置3を飛行させて電池を充電させる。したがって、飛行制御装置1によれば、飛行経路において電池の充電に利用する充電設備4を事前に決定しておく必要がないため、飛行装置3は、向かい風の影響で電池の残量が早く減った場合等、様々な状況下で電池を充電して飛行を継続できる。
【0089】
なお、これにより、例えば無線ネットワークがカバーする都市部や山間部等でもドローンが飛行できる環境が整うことから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」及び目標10「人や国の不平等をなくそう」に貢献することが可能となる。
【0090】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0091】
飛行制御装置1、ユーザ端末2及び飛行装置3のプロセッサは、図8に示す飛行制御方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、飛行制御装置1、ユーザ端末2及び飛行装置3のプロセッサは、図8に示す飛行制御方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行することによって、図8に示す飛行制御方法を実行する。図8に示す飛行制御方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 飛行制御装置
11 記憶部
12 制御部
121 飛行経路取得部
122 飛行制御部
123 電池残量取得部
124 特定部
2 ユーザ端末
3 飛行装置

【要約】
【課題】電池の電力を用いて飛行する飛行装置が、様々な状況下で電池を充電して飛行を継続できるようにする。
【解決手段】飛行制御装置1は、電池の電力で動作する飛行装置を制御するための飛行制御装置であって、飛行経路を取得する飛行経路取得部121と、飛行装置を飛行経路に沿って飛行させる飛行制御部122と、電池の残量を取得する電池残量取得部123と、飛行装置の位置に対応する、電池を充電するための充電設備を特定する特定部124と、を有し、飛行制御部122は、飛行装置が飛行経路に沿って飛行している間に残量が閾値以下になったことを条件として、飛行装置を特定された充電設備に飛行させて電池を充電させた後、飛行装置を飛行経路に飛行させる。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8