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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 3/00 20150101AFI20220308BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20220308BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20220308BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20220308BHJP
   F21V 23/04 20060101ALI20220308BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20220308BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20220308BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
F21V3/00 510
F21V29/503
F21V29/70
F21V23/00 150
F21V23/04 500
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V17/00 155
F21V3/02 200
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021034261
(22)【出願日】2021-03-04
(62)【分割の表示】P 2019153370の分割
【原出願日】2011-07-26
(65)【公開番号】P2021082611
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小田原 博志
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-129212(JP,A)
【文献】特開2008-294309(JP,A)
【文献】特開2009-016054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 3/00
F21V 29/503
F21V 29/70
F21V 23/00
F21V 23/04
F21V 19/00
F21V 17/00
F21V 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具取付部を有する本体ベースと、
セード取付具を有し、前記本体ベースに固定され、リモコン受光素子が臨むリモコン受光穴を有する放熱板と、
前記本体ベースと前記放熱板に囲まれた空間に収納された点灯回路基板と前記リモコン受光素子と、
前記点灯回路基板から給電される発光素子が配置され、前記放熱板に取り付けられた発光素子実装基板と、
前記発光素子と、前記発光素子実装基板と、前記リモコン受光穴を一体に覆う透光性カバーと、
天井面に対し固定された状態の前記セード取付具によって係合保持されている、前記透光性カバーを覆うセードと、を有し、
前記透光性カバーは、前記発光素子実装基板を押さえ、前記発光素子を覆う部分の形状は前記発光素子を略中心として断面が半円形状であることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記放熱板は、前記セード取付具や前記セードの外周を取り囲むように配設する飾り枠
の取付部を含む、一体成形部品であることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記透光性カバーにおいて、隣接する前記半円形状間は、平坦な形状であることを特徴とする請求項1または2記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子を光源とする照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明装置は、充電部や半導体発光素子(以下、発光素子と称する)の保護のために、発光素子を実装した基板を透光性のカバー部材で覆っている。このカバー部材は、複数並設した発光素子を並設方向に沿って溝状に覆う形状としているものがある。
【0003】
例えば特許文献1(特開2010-278266号公報)には、基板上に複数並設して実装された発光素子と、基板と複数の発光素子を含めて覆うカバー部材において、並設方向に沿って形成された溝を一体に有する形状が提案されている。これは主に、基板の反りや変形を軽減できるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-278266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1における、透光性のカバー部材を基板上に複数並設した発光素子を並設方向に沿って溝状に覆う形状においては、発光素子から放射された光束のうち溝の長手方向に向かう光束の一部が全反射することで、光束の取り出し効率が悪くなる懸念があった。
【0006】
本発明の目的は、発光素子から放射された光束の取り出し効率の高い照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の特徴とするところは、器具取付部を有する本体ベースと、セード取付具を有し、本体ベースに固定され、リモコン受光素子が臨むリモコン受光穴を有する放熱板と、本体ベースと放熱板に囲まれた空間に収納された点灯回路基板とリモコン受光素子と、点灯回路基板から給電される発光素子が配置され、放熱板に取り付けられた発光素子実装基板と、発光素子と、発光素子実装基板と、リモコン受光穴を一体に覆う透光性カバーと、天井面に対し固定された状態のセード取付具によって係合保持されている、透光性カバーを覆うセードと、を有し、透光性カバーは、発光素子実装基板を押さえ、発光素子を覆う部分の形状は発光素子を略中心として断面が半円形状であることを特徴とする照明装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発光素子を、各々の発光素子を略中心とする半球形状の透光性カバーで覆うことにより、発光素子から出た光束が前記透光性カバーの面に対して略法線方向に入射することになり、前記透光性カバーを通った光束が外部に出る際の全反射を避けることができるため、光束の取り出し効率を向上させた照明装置を実現することができる。
【0009】
また、本発明によれば、半球形状を複数形成することにより、透光性カバーの剛性が向上するため、基板の反りや変形を軽減し、前記発光素子を前記透光性カバーに対して適正な位置に矯正すると共に、放熱板への発光素子実装基板の密着性が向上し、発光素子の発光効率が高い照明装置を実現することができる。
【0010】
さらに、本発明によれば、透光性カバーの全体形状を、前記透光性カバーの中心点に対して点対称としたことで、成形時のゆがみが少なく生産性の良いカバーを実現することができる。
【0011】
また、本発明によれば、前記半球形状部の肉厚が、前記半球形状部の天頂部付近で薄く、赤道部付近で厚くなるように滑らかに変化しているように構成したことにより、配光角が広い照明装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係る照明装置の外観図である。
図2】同上に係る照明装置のセードを外した状態の図である。
図3】同上に係る照明装置の透光性カバーを外した状態の図である。
図4図3に示す、発光素子実装基板の拡大図である。
図5】本発明の実施例に係る照明装置の発光素子実装基板を外した状態の図である。
図6】同上に係る照明装置の放熱板を外した状態の図である。
図7】同上に係る照明装置の分解斜視図である。
図8図7に示す、透光性カバーの拡大図である。
図9】本発明の実施例に係る照明装置の部分断面図である。
図10】同上に係る照明装置の部分断面図である。
図11】同上に係る照明装置の部分断面図である。
図12】同上に係る照明装置の半球形状部の拡大図である。
図13】同上に係る照明装置の半球形状部の拡大図である。
図14】同上に係る照明装置の半球形状部の拡大図である。
図15】同上に係る照明装置の半球形状部の拡大図である。
図16】同上に係る照明装置の他の実施例である。
図17】同上に係る照明装置の半球形状部の断面図である。
図18】同上に係る照明装置の半球形状部の断面図である。
図19】同上に係る照明装置の放熱板を外した状態の部分拡大図である。
図20】同上に係る照明装置の発光素子実装基板を放熱板に載置した状態で位置決めする方法を説明した図である。
図21】同上に係る照明装置の略半球形状部の断面図である。
図22】同上に係る照明装置のリモコン受光部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例に係る照明装置の構成を添付の図を用いて説明する。本照明装置は建築物、主に一般家庭の居室の天井面に設置され、建築物に付帯する引掛ローゼットや引掛シーリングなどの屋内配線器具に係合する取付アダプタを介することで外部電源と接続されると共に所定の位置に固定されて使用されるものである。図1は、図示しない天井面に設置された本照明装置を下方から見た外観図である。セード2は、透明または半透明または乳白色の透光性を有する、例えばアクリルやポリスチレンなどの樹脂材料で作られた部品である。これは、主に光源から放射された光束を拡散させて、使用者が照明装置を直視したときの眩しさを軽減したり、照明装置が設置された部屋の中の明るさを均一化する役割を持っている。
【0014】
次に、図7に照明装置1の分解斜視図を示すと共に、分解レベルに応じた図2図6を用いて構造を説明する。図2はセード2を外した状態である。セード2は放熱板3に固定されたセード取付具5によって係合保持されているが、例えばセード2を周方向反時計回りに回転させることによって、セード2に凸設した図示しない係合部が外れるようになっている。セード2を外すと、後述する例えば金属板などで成形された本体ベース9の中央に設けられた器具取付部14が見えるが、この部分には前述の取付アダプタが有する爪状の引掛け部が係合することで、例えば居室の天井面の所定の位置に固定されるようになっている。また、前記器具取付部14の近傍には、後述する点灯回路基板11につながっている給電コネクタ41が配設されており、前記給電コネクタ41と前述の取付アダプタに配設されたコネクタとを嵌合接続することにより、建築物の屋内配線からの給電ができるようになっている。
【0015】
透光性カバー4は、例えばポリカーボネートやアクリル、ポリスチレンなどの透明な樹脂材料で成形された部品で、図3、及び図4に示す発光素子8、発光素子実装基板6、コネクタ7、電源コネクタa16、電源コネクタb17、リモコン受光穴13を一体に覆っており、ねじ止め固定されている。本実施例においては、発光素子実装基板6は4枚に分割されていて、各々の発光素子実装基板6どうしはコネクタ7で電気的に接続されているが、例えば、本照明装置を作動・発光させたときにセード2を通して見える発光面の形状を考慮して設定される発光素子8の配列の仕方や、発光素子実装基板6の原板からの取り数といった生産性を考慮することによって、基板形状やその使用枚数などは任意に設定される得るものであり、本実施例に限定されるものではない。
【0016】
発光素子実装基板6には発光素子8が半田付けされている。発光素子8は作動時に光を放射すると共に発熱してそれ自体の温度が上昇するが、温度が高くなるにしたがって発光効率が低下するため、温度上昇に見合った適切な放熱手段を設ける必要がある。そのため発光素子実装基板6は、絶縁層を有したアルミ板や熱伝導性の高い樹脂板上に銅箔パターン及びソルダーレジストを形成したものが使われると共に、発光素子8の図示しない端子や、発光素子8の裏面に発光素子実装基板6に密着するように設けられた図示しない放熱パッド等を介した熱伝導によって、発光素子8が発する熱を発光素子実装基板6に伝熱及び放熱するようになっている。さらに、発光素子実装基板6の寸法で決まる放熱面積および熱容量だけでは十分な放熱効果を得ることが困難な場合には、発光素子実装基板6を例えば金属板などで成形された放熱板3に密着固定することで放熱性を確保する必要がある。本実施例では、放熱板3は可能な限り面積を大きく、かつ、熱伝導性の観点から一体で作ることが望ましいことから、図5に示すように、前述のセード取付具5やセード2の外周を取り囲むように配設する図示しない飾り枠の取付部38を含む、プレスで一体成形された金属製の大型部品としている。また、図5図7に示すように、放熱板3は本体ベース9に絶縁板10と共にねじ止め固定された点灯回路基板11を覆っており、点灯回路基板11は本体ベース9と放熱板3とで囲まれた空間内に収納されている。そのため、放熱板3に載置した発光素子実装基板6は、照明装置1の中央部付近まで面積を広げて発光素子8を配置することが可能であり、照明装置1の発光面中央部の明るさを均一にすることができる。
【0017】
また、点灯回路基板11は作動時に発熱を伴うため、本体ベース9と放熱板3とで囲まれた空間の雰囲気温度が上昇する。このとき前記空間の体積が小さいと、放熱板3に取り付けられた発光素子実装基板6からの放熱効果が低下してしまうため、放熱板3は本体ベース9とのねじ止め固定部39よりも、本体ベース9から離反する方向、すなわち照明装置の天井面への取付状態では下方、に凸の形状として、点灯回路基板11の収納空間の体積を確保するようにしている。さらに、放熱板3は金属板をプレス成形して製作するため、前記凸形状は、発光素子実装基板6の取付け面と、ねじ止め固定部39、セード取付け具5、及び飾り枠取付部38を含む面とを、テーパ面40でつないだ形状としている。テーパ面40を設けることにより、前記点灯回路基板11の収納空間の体積及び、放熱板3の面積を大にできるため、発光素子8の発光効率が高く、かつ放熱板3の絞り成形性が良く生産性の良い照明装置を実現することができる。
【0018】
発光素子実装基板6は放熱板3に透光性カバー4と共に複数のねじで固定されるが、各々の発光素子実装基板6は、最低1つのねじによって透光性カバー4の取付前に放熱板3に直接ねじ止めされる。このねじ止め作業をするにあたっては、図4図5図5のX部の部分拡大図である図19(a)~(d)、及び図20を用いて説明する。まず発光素子実装基板6を放熱板3に設けた基板案内突起27に合わせて載置するが、前記案内突起27は、発光素子実装基板6どうしが隣り合った直線部分、すなわち、扇形状の半径方向にあたる直線部分35のすき間に合うように、断面が台形状30や半円状31の押し出し、または切り起こし32で形成されている。前記押し出し、または切り起こし形状の高さhは、発光素子実装基板6の厚さよりも小として、後から取付ける透光性カバー4と干渉しないようにしているが、透光性カバー4の当該部分に逃げ形状を設ければこの限りではない。これらの加工方法により、押し出しの場合はせん断部の直線状エッジ33、切り起こしの場合は切り起こした平面の直線部34が形成できる。そのため、図19(d)に例示するように、製作上、R形状が必要な絞り加工によって位置決め部36を形成する場合と比較して、a部に示すようなR部分への発光素子実装基板6の乗り上がりがなく、より正確な位置決めが可能となる。また、前記案内突起27は、発光素子実装基板6どうしが隣り合った直線部分、すなわち、扇形状の半径方向にあたる直線部分35のすき間に合うように配設されているため、放熱板3上に載置した発光素子実装基板6を放熱板3の中心方向に寄せることで位置決め作業が完了し、その後のねじ止め作業を円滑に行うことができる。また、放熱板3に対して各々の発光素子実装基板6につき最低1つのねじで直接ねじ止めする作業を行った後には、発光素子実装基板6どうしをつなぐコネクタ7や電源コネクタa16、及び電源コネクタb17を接続してから、透光性カバー4をねじ止め固定するが、前記複数のコネクタの配線材の剛性等に起因する発光素子実装基板6の位置ずれがないため、透光性カバー4のねじ止め作業を円滑に行うことができ、生産性を向上させることができる。
【0019】
本実施例において、発光素子実装基板6には、点灯回路基板11につながる電源コネクタa16、及び電源コネクタb17を有する1枚と、前記2つの電源コネクタを有しない3枚とがある。電源コネクタa16は、通常点灯時に作動する発光素子8への電源供給に用い、電源コネクタb17は、保安灯としてのみ作動する発光素子43への電源供給に用いているが、これらの構成に限定されるものではない。前記2つの電源コネクタからは図示しない配線が放熱板3に設けた配線穴15を通って点灯回路基板11に接続されている。図6は放熱板3を外して点灯回路基板11の設置状態を示した斜視図である。点灯回路基板11は、例えば難燃性を有するポリプロピレンなどの樹脂材料で成形された絶縁板10上に載置され、例えば金属板などで成形された本体ベース9にねじ止め固定されると共に、絶縁板10の外縁に突設された基板係止部a28及び基板係止部b42でその外縁を保持されている。点灯回路基板11上にはリモコン受光素子カバー12に覆われた、リモコン受光素子45を配設しており、使用者によって操作される図示しないリモコンユニットからの赤外線信号を受信して、信号に応じた点灯制御をするようになっている。また、前記リモコン受光素子カバー12の筒状になった先端開口部29は放熱板3に設けたリモコン受光穴13に臨んでおり、セード2及び、透光性カバー4を通過してきた赤外線リモコン信号が前記リモコン受光素子に到達するようになっている。また、図3、及び図4に示すように、リモコン受光穴13は、発光素子実装基板6を放熱板3に載置したときに、隣接する発光素子実装基板6の外形のC面部44で挟まれた部分に配置されている。
【0020】
リモコン受光穴13の配置については、例えば、発光素子実装基板6の任意の位置に穴を開けてもよいが、発光素子8の基板上の配置に制約が生ずるため、本実施例のように発光素子実装基板6の外に設けるほうが望ましい。また、発光素子実装基板6の外であっても、例えば、放熱板3のテーパ面40等に受光穴を設けることも可能であるが、その場合は、当該受光穴を覆うカバー部材が別途必要となる。このリモコン受光穴13は、発光素子8の上面すなわち発光面から、発光素子8の高さと発光素子実装基板6の厚さの和だけ下がった面に開口していて、発光素子8の放射角の外側に位置するため発光素子8からの光束の影響を受けにくく、リモコン信号の受信性能を向上させることができる。
【0021】
次に、図8に透光性カバー4の外観図を示す。本部品には、半球形状部18、電源コネクタカバー部19、コネクタカバー部20、リモコン受光部21が形成されている。本実施例では、リモコン受光部21には、放熱板3に形成されたリモコン受光穴13に嵌合する筒状の突起を形成しており、透光性カバー4のねじ止め作業時の位置決めを兼ねているが本形状に限定されるものではなく、例えば単なる平面であってもよい。さらに、リモコン受光部21の形状を半球形状として集光させることができるようにしたり、当該部分の表面に、例えばシボ加工を施して表面での信号の反射を抑えて受信性能をさらに向上させることも可能である。
【0022】
また、本実施例では、透光性カバー4の平面全体形状は円にしており、部品全体がその中心点22に対して点対称となるように構成されているが、正偶数角形でも同様の構成とすることができる。本実施例においては、取付作業時には4通りある透光性カバー4の取付方向を気にせずに載置できるため、作業時間を短縮でき、かつ部品の取付方向誤りといった不良要因をなくすことができるほか、点対称形状とすることで成形時のゆがみを少なくすることができ、生産性を向上させることができる。
【0023】
半球形状部18は、1つ、または複数の発光素子8を一組として覆っているが、図10に発光素子8が1つの場合の断面図、図13にその場合の半球形状部18の拡大図を示す。本実施例においては、半球形状部18の中心軸24は発光部の中心23bと一致するように配設されている。この場合の発光部の中心23bは、発光素子8の中心と一致する。
透光性カバー4の屈折率は空気の屈折率(約1.00)よりも大である一定の屈折率を有するため、発光素子8から放射された光束が半球形状部18の法線に対して角度θiで入射すると、半球形状部18から光束が出るときの角度θoは臨界角θcを持つことになるが、この臨界角θcは透光性カバー4の材質によって異なる。例えば代表値であるがポリカーボネートで1.59、アクリルで1.49程度の屈折率を持つため、臨界角θcは約39°~42°となる。半球形状部18の略中心に位置する発光素子8から放射された光束は、半球形状部18に対して略法線方向から入射することになり、θoが前記臨界角θcよりも十分小さな値となるため、透光性カバー4と空気との外側界面での全反射による光束の取り出し効率の低下を避けることができる。
【0024】
次に、図9に発光素子8が2つの場合の断面図、図12にその場合の半球形状部18の拡大図を示す。半球形状部18の中心軸24は発光部の中心23aと一致するように配設されている。本実施例における発光部の中心23aとは、2つの発光素子8の中心点を結ぶ直線の2等分点である。2つ以上の複数の発光素子8を一組として半球形状部18で覆う場合は、各々の発光素子8の中心間距離は、半球形状部18の径に対して十分小であることが望ましいが、半球形状部18を大きくしていく場合の寸法的制約や一組の発光素子8どうしの中心間距離を小さくしていくと放熱性が低下するといった制約がある。しかしながら、半球形状部18に覆われた各々の発光素子8から放射された光束の入射角θiに伴って変化するθoが前記臨界角θcを超えないように、前記2つの発光素子8の中心間距離や半球形状部18の径を適切に設定することで、発光素子8が1つの場合と同様の効果を得ることができる。
【0025】
また、図14に3つの発光素子8を一直線上に配設した場合を示す。本実施例における発光部の中心23cは等間隔で配設した3つの発光素子8のうち、中央に位置する発光素子8の中心に一致するという条件の他は、前述の2つの発光素子8を一組とした場合と同様である。さらに、図15に3つの発光素子8を正三角形の頂点となるように配設した場合を示す。この場合の発光部の中心23dとは前記正三角形の重心である。本実施例によれば、発光素子8を一直線上に配設した場合に比べて、半球形状部18の径をより小さくすることができる。
【0026】
以上、1つの半球形状部18内に1~3個の発光素子8を配設した場合を例示したが、さらに数を増やす場合でも同様である。すなわち、複数の発光素子8を正多角形の頂点及びその内部に配設し、かつ、その多角形の重心と半球形状部18の中心軸24を一致させるように構成すると共に、半球形状部18に覆われた各々の発光素子8から放射された光の入射角θiに伴って変化するθoが透光性カバー4の材質によって異なる臨界角θcを超えないように、前記複数の発光素子8の中心間距離や半球形状部18の径を適切に設定することで同様の効果を得ることができる。
【0027】
さらに、図16に、複数の発光素子8を覆う部分18aが、両端に1/4球形状を有する半円筒形状である場合を例示する。本実施例は、一直線上に等間隔で配設された複数の発光素子8を一組として覆う場合であるが、半球形状の場合と同様、発光部の中心23cと発光素子8を覆う部分18aの対称軸25が一致するように構成するものである。しかしながら、円筒形状部37が長くなるに従って、発光部の中心23cから離れた両端に配設された発光素子8から放射される光束の円筒形状部37へ入射する角度θiが大きくなる。そのため、θoが臨界角θcを超えて全反射するようになり、光束の取り出し効率が低下することになる。したがって、本実施例においては、半円筒形状部37が可能な限り短くなるように、複数の発光素子8の中心間距離を短く、かつ、両端の1/4球形状部分の径を大にする等の設定をする必要がある。
【0028】
また、前記複数の発光素子8を一組として、半球形状部18や両端に1/4球形状を有する半円筒形状部18aで覆った場合、発光色が異なる発光素子8で構成することも可能である。
【0029】
次に、隣接する複数の半球形状部18どうしが干渉している場合の断面図を図17に示す。発光素子8から、発光素子8の特性に係る放射角αをもって放射された光束は、半球形状部18に入射する。本実施例のように隣接する半球形状部18どうしが干渉している場合は、半球形状部どうしが干渉する部分の外縁26が、各々の半球形状部18の中心軸24と発光部の中心23aとが略一致するように配設された、各々の発光素子8の放射角αの外側に位置するようにすることが望ましい。図18に、隣接する半球形状部どうしが干渉する部分の外縁26が、各々の発光素子8の放射角αの内側に位置する場合を例示する。この場合は、発光素子8から放射された光束が、半球形状部18どうしの干渉形状部分を通過して、隣接する半球形状部18に大きな角度で入射するため、θoが臨界角θcを越えて全反射することにより光束の取出し効率が低下することが考えられる。
【0030】
図21(b)に半球形状部18の断面の他の実施例を示す。本実施例は、半球形状部18の内側の曲率半径Riの中心と、外側の曲率半径Roの中心をずらすことで、半球形状の頂点部付近の肉厚tVよりも赤道部付近の肉厚tEを大とした例である。肉厚が均一である図21(a)の場合に比べて、発光素子8から放射された光束の半球形状部18の外側界面への入射角θoが大となるため光束をより広範囲に広げることができるが、この場合はθoが臨界角θcよりも小となるようにすることが必要である。図21(c)は逆に半球形状の頂点部付近の肉厚tVよりも赤道部付近の肉厚tEを小とした例である。ここで、赤道部とは半球形状部18における切断部付近のことを指すものとする。この場合は、前述とは逆にθoが小となり光束をより狭い範囲に集めることができる。さらに図21(d)は内側を半球、外側を放物面あるいは楕円の回転体で作られる面の一部などの3次曲面とした例である。この場合も、頂点付近の肉厚tVと赤道部付近の肉厚tEとの関係によって集光や拡散の制御ができる点において、先に述べた、半球形状部18の内側の曲率半径Riの中心と外側の曲率半径Roの中心をずらすことと同じである。また、内側を放物面あるいは楕円の回転体で作られる面の一部などの3次曲面、外側を半球とした場合も同様である。以上述べたように、半球形状部18の肉厚を変化させて、半球形状部18の外側界面への入射角θoを制御して、照明装置の目的に応じた配光特性を得ることもできる。
【0031】
次に、本実施例における透光性カバー4の寸法を例示すると、外径φ395mm、樹脂の肉厚1.5mm、半球形状部の高さ12mmである。また、図8に示すように、電源コネクタカバー部19、コネクタカバー部20、及び半球形状部18等が、透光性カバー4の全面に渡って合計100個あまり形成されている。そのため、透光性カバー4は単なる平坦な形状とした場合よりも高い剛性を持つようになり、発光素子実装基板6の上から透光性カバー4を放熱板3に対してねじ止め固定することにより、発光素子実装基板6の反りや変形を軽減できる。また、発光素子8を透光性カバー8に対して適正な位置に矯正すると共に、放熱板3への発光素子実装基板6の密着性が高くなり放熱性が向上するため、発光面が均一で発光素子8の発光効率が高い照明装置を実現することができる。
【0032】
以上説明したように、本実施例によれば、発光素子8を、各々の発光素子を略中心とする半球形状の透光性カバー4で覆うことにより、発光素子8ら出た光束が前記透光性カバー4の面に対して略法線方向に入射することになり、透光性カバー4を通って光束が外部に出る際の全反射を避けることができるため、光束の取り出し効率を向上させた照明装置を実現することができる。
【0033】
また、本実施例によれば、半球形状部18を複数形成することにより、透光性カバー4の剛性が向上するため、発光素子実装基板6の反りや変形を軽減できる。また、発光素子8を透光性カバー4に対して適正な位置に矯正すると共に、放熱板3への発光素子実装基板6の密着性が高くなり放熱性が向上するため、発光面が均一で発光素子8の発光効率が高い照明装置を実現することができる。
【0034】
さらに、本実施例によれば、透光性カバー4の全体形状を、前記透光性カバー4の中心点に対して点対称としたことで生産性の良いカバーを実現することができる。
【0035】
さらに、本実施例によれば、半球形状部18の肉厚が、半球形状部18の天頂部付近で薄く、赤道部付近で厚くなるように滑らかに変化しているように構成したことにより、配光角が広い照明装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 照明装置
2 セード
3 放熱板
4 透光性カバー
5 セード取付具
6 発光素子実装基板
7 コネクタ
8 半導体発光素子(発光素子)
9 本体ベース
10 絶縁板
11 点灯回路基板
12 リモコン受光素子カバー
13 リモコン受光穴
14 器具取付部
15 配線穴
16 電源コネクタa(配線材図示せず)
17 電源コネクタb(配線材図示せず)
18 半球形状部
18a 両端に1/4球形状を有する半円筒形状部
19 電源コネクタカバー部
20 コネクタカバー部
21 リモコン受光部
22 中心点
23a、23b、23c、23d 発光部の中心
24 半球形状の中心軸
25 対称軸
26 半球形状部どうしが干渉する部分の外縁
27 基板案内突起
28 基板係止部a
29 先端開口部
30 台形状押し出し
31 半円状押し出し
32 切り起こし
33 押し出しによるせん断部の直線状エッジ
34 切り起こしによる平面の直線部
35 発光素子実装基板6の扇形状の半径方向にあたる直線部分
36 絞り加工による位置決め部
37 円筒形状部
38 飾り枠取付部
39 ねじ止め固定部
40 テーパ面
41 給電コネクタ
42 基板係止部b
43 発光素子(保安灯用)
44 C面部
45 リモコン受光素子
図1
図2
図3
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