(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-07
(45)【発行日】2022-03-15
(54)【発明の名称】結束具
(51)【国際特許分類】
A45D 8/36 20060101AFI20220308BHJP
B65D 63/10 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
A45D8/36 D
A45D8/36 A
A45D8/36 B
B65D63/10 P
(21)【出願番号】P 2021132515
(22)【出願日】2021-08-17
【審査請求日】2021-08-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520207295
【氏名又は名称】株式会社M.T.8
(74)【代理人】
【識別番号】100153268
【氏名又は名称】吉原 朋重
(72)【発明者】
【氏名】本屋 朋弘
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開実用新案第20-2018-0003079(KR,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0331240(KR,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0305571(US,A1)
【文献】米国特許第09938062(US,B1)
【文献】特開2001-019026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 8/36
B65D 63/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に引っ張ると伸びて細くなる弾性部材から成る紐状体と、
前記紐状体の一方端部に位置し、前記紐状体で形成される環状部位の周囲長を調整する部位であって、前記紐状体を貫通させ
、長手方向に引っ張られて伸びて細くなっていない通常の前記紐状体の周囲長よりも大きい孔構造を成す交差部と、を有し、
前記交差部が、前記孔構造の内側、かつ、前記環状部位の外側の部位に、前記紐状体を滑り難くする
ための材質から成る又は表面加工が施される部位であって、
U字形又はV字形の中空部位で前記孔構造内にある前記紐状体
の周方向の一部を挟持し、前記環状部位の周囲長を固定する滑り止め部を有する結束具であって、
前記環状部位に配置する結束対象物を締め付けるために引っ張られて細くなった前記紐状体を前記滑り止め部内に配置させ、前記結束対象物の締め付け動作を止めて通常の太さに戻った前記紐状体を前記滑り止め部が挟持し、前記環状部位の周囲長が固定されることを特徴とする結束具。
【請求項2】
前記交差部の前記孔構造から外に出る前記紐状体を前記環状部位の外側方向へ前記滑り止め部に押し付けるように引き、前記環状部位の周囲長を小さくすることによって、前記環状部位に配置する結束対象物を締め付け、前記結束対象物を結束することを特徴とする請求項1に記載の結束具。
【請求項3】
前記結束対象物を締め付けるとき、前記滑り止め部に押し付けるように前記環状部位の外側方向へ引かれる前記紐状体が、細くなった状態で前記滑り止め部内を滑り動き、
前記結束対象物の締め付けを止め、前記紐状体を引く動作を止めると、前記紐状体の太さが細い状態から通常状態に戻り、前記紐状体が、前記滑り止め部に挟持され、前記紐状体による前記結束対象物の結束状態が固定されることを特徴とする請求項2に記載の結束具。
【請求項4】
前記紐状体が、ゴム紐であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の結束具。
【請求項5】
前記交差部の外側に配置され、前記環状部位の外側方向へ引くことによって、前記滑り止め部による前記紐状体の挟持状態を解除する摘まみ部を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の結束具。
【請求項6】
前記結束対象物が、髪の毛であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の結束具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
毛髪(頭髪)等の結束対象物を結束するための道具の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
食事、洗面などの動作時に、髪の毛が顔前面の方へ移動してきて、動作の邪魔になる場合がある。
【0003】
そのようなことが起こるのを回避するために、予め髪の毛を束ねておく道具として髪留めがあるが、一般的なゴム紐の髪留めは、髪の毛を何回も止め直す作業が必要になり、結束動作に手間が掛かる。
【0004】
そういった背景下、従来、便利な髪留めの技術的提案が盛んに行われており、例えば、特許文献1では、伸縮性を有する紐体と、該紐体を通す孔を有する玉と、を備える髪留めが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術においては、当接する紐体どうしの摩擦力によって結束対象物の結束状態を保つ仕組みなので、その結束状態が緩み易いという問題点を有する。
そこで本発明では、上記問題点に鑑み、結束操作が容易である上に、結束対象物の結束状態をしっかり維持できる結束具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示する結束具の一形態は、長手方向に引っ張ると伸びて細くなる弾性部材から成る紐状体と、前記紐状体の一方端部に位置し、前記紐状体で形成される環状部位の周囲長を調整する部位であって、前記紐状体を貫通させ、長手方向に引っ張られて伸びて細くなっていない通常の前記紐状体の周囲長よりも大きい孔構造を成す交差部と、を有し、前記交差部が、前記孔構造の内側、かつ、前記環状部位の外側の部位に、前記紐状体を滑り難くするための材質から成る又は表面加工が施される部位であって、U字形又はV字形の中空部位で前記孔構造内にある前記紐状体の周方向の一部を挟持し、前記環状部位の周囲長を固定する滑り止め部を有する結束具であって、前記環状部位に配置する結束対象物を締め付けるために引っ張られて細くなった前記紐状体を前記滑り止め部内に配置させ、前記結束対象物の締め付け動作を止めて通常の太さに戻った前記紐状体を前記滑り止め部が挟持し、前記環状部位の周囲長が固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
開示する結束具の一形態は、結束操作が容易である上に、結束対象物の結束状態をしっかり維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る結束具の全体を示す図(その1)である。
【
図2】本実施の形態に係る結束具の全体を示す図(その2)である。
【
図3】本実施の形態に係る結束具の交差部及び滑り止め部の拡大図(その1)である。
【
図4】本実施の形態に係る結束具の交差部及び滑り止め部の拡大図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
(本実施の形態に係る結束具の構造)
【0011】
図1乃至4を用いて、本実施の形態に係る結束具1の構造について説明する。
図1及び2は、結束具1の全体を示す図であり、
図3及び4は、結束具1が備える交差部2及び滑り止め部4の構造・機能を分かり易く説明するための図である。
【0012】
結束具1は、例えば、髪の毛のように複数あって、かつ、バラバラになっている結束対象物16を1つに束ねるための道具である。
図1で示すように、結束具1は、細長い紐のような形状を成す。
【0013】
図1乃至4で示すように、結束具1は、紐状体8、交差部2、摘まみ部6を有する。
図1及び2で示すように、紐状体8は、長手方向に引っ張ると伸びて細くなる弾性部材から成る。紐状体8は、例えば、伸縮自在なゴム紐であることが好適である。
【0014】
図1及び2で示すように、交差部2は、紐状体8の一方端部に配置され、紐状体8で形成される環状部位10の周囲長を調整する部位であって、紐状体8を貫通させる孔構造12を成す。結束具1によって結束される結束対象物16は、環状部位10内に配置され、環状部位10の周囲長を小さくすることによって束ねられる。
【0015】
図1乃至4(特に、
図3及び4)で示すように、交差部2は、滑り止め部4を有する。滑り止め部4は、孔構造12の内側、かつ、環状部位10の外側に位置する、紐状体8を滑り難くする部位であって、孔構造12内にある紐状体8を挟持(咬持)し、環状部位10の周囲長を固定する。
【0016】
滑り止め部4は、U字形又はV字形に施され、その中空部位の幅(間隔)は、通常状態(引っ張らない状態)の紐状体8の太さよりも狭く、引っ張られて細くなった状態の紐状体8の太さよりも広い。従って、滑り止め部4は、引っ張られて細くなった状態の紐状体8をU字形又はV字形の中に通し、通常状態の太さに戻った紐状体8を挟持(咬持)することによって、環状部位10の周囲長を固定する。
【0017】
また、滑り止め部4の紐状体8を滑り難くする機能は、材質を紐状体8が滑り難いものにして実現しても良いし、研磨材のように滑り難くする加工を表面に施すことによって紐状体8が滑り難いものにして実現しても良い。
【0018】
図1乃至4で示すように、摘まみ部6は、交差部2の外側に配置され、摘まんで環状部位10の外側方向へ引くことによって、滑り止め部4による紐状体8の挟持状態(結束対象物16の結束状態)を解除するための部位である。結束具1は、摘まみ部6を摘まんで環状部位10の外側方向へ引くことによって、
図4で示す状態から
図3で示す状態へ移行する。
(本実施の形態に係る結束具の使用方法)
【0019】
図1乃至4を用いて、結束具1の使用方法について説明する。
図1及び2で示すように、結束具1の操作者は、交差部2の孔構造12に、紐状体8の端部(摘まみ部6の反対側端部)を挿通させ、環状部位10を形成する。そして、操作者は、環状部位10の中に結束対象物16を配置させる。
【0020】
次に操作者は、交差部2の孔構造12から外に出る紐状体8を、環状部位10の外側方向へ、滑り止め部4に押し付けるように引き、環状部位10の周囲長を小さくすることによって、環状部位10内に配置する結束対象物16を締め付け、結束する。
【0021】
ここで、操作者が、引っ張られて細くなった紐状体8を滑り止め部4内に配置させた後、結束対象物16の締め付け動作(紐状体8の引っ張り動作)を止めると、滑り止め部4が、通常の太さに戻った紐状体8を挟持(咬持)し、環状部位10の周囲長が固定される。
【0022】
また、結束対象物16の結束状態を解除させる場合、操作者は、摘まみ部6を摘まんで環状部位10の外側方向へ引き、滑り止め部4による紐状体8の挟持状態を解除する。
【0023】
結束具1は、上記構造及び使用方法に基づいて、結束対象物16の結束操作を容易に行うことができ、かつ、滑り止め部4が紐状体8を挟持(咬持)することによって、環状部位10の周囲長が固定されるので、結束対象物16の結束状態をしっかり維持できる。
【0024】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 結束具
2 交差部
4 滑り止め部
6 摘まみ部
8 紐状体
10 環状部位
12 孔構造
14 孔構造の内側
16 結束対象物(例えば、髪の毛)
【要約】 (修正有)
【課題】結束対象物の結束操作が容易である上に、結束対象物の結束状態をしっかり維持できる結束具を提供する。
【解決手段】長手方向に引っ張ると伸びて細くなる弾性部材から成る紐状体8と、前記紐状体の一方端部に位置し、前記紐状体で形成される環状部位10の周囲長を調整する部位であって、前記紐状体を貫通させる孔構造を成す交差部2と、を有し、前記交差部が、前記孔構造の内側、かつ、前記環状部位の外側の部位に、前記紐状体を滑り難くする部位であって、前記孔構造内にある前記紐状体を挟持し、前記環状部位の周囲長を固定する滑り止め部4を有する結束具であって、前記環状部位に配置する結束対象物を締め付けるために引っ張られて細くなった前記紐状体を前記滑り止め部内に配置させ、前記結束対象物の締め付け動作を止めて通常の太さに戻った前記紐状体を前記滑り止め部が挟持し、前記環状部位の周囲長が固定されることを特徴とする。
【選択図】
図4