(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】積層剥離容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/22 20060101AFI20220309BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
B29C49/22
B65D1/02 111
(21)【出願番号】P 2018132462
(22)【出願日】2018-07-12
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】江口 鉄明
(72)【発明者】
【氏名】樽野 真輔
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-102657(JP,A)
【文献】特開2017-193345(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073721(WO,A1)
【文献】特開2011-230817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/22
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層剥離容器の製造方法であって、
前記積層剥離容器は、外殻及び内袋を有する容器本体を備え、
前記外殻は、口部と、胴部とを有し、
容器本体成形工程と、予備剥離工程とを備え、
前記容器本体成形工程では、樹脂を成形することで前記容器本体を形成し、
前記予備剥離工程では、前記胴部の圧縮及び復元を複数回繰り返すことによって前記外殻から前記内袋を剥離
し、
前記予備剥離工程では、前記容器本体を搬送しながら前記剥離を行い、
前記胴部よりも幅が狭い幅狭隙間が、前記容器本体の搬送方向に並ぶように複数設けられ、
前記容器本体が前記幅狭隙間を通過する際に前記胴部が圧縮される、方法。
【請求項2】
請求項
1に記載の方法であって、
前記幅狭隙間は、一対の挟持部によって構成され、
前記一対の挟持部の少なくとも一方は、前記幅狭隙間に向かって凸となる湾曲面を有する、方法。
【請求項3】
請求項
2に記載の方法であって、
前記湾曲面は、ローラーの外周面である、方法。
【請求項4】
請求項
1~請求項
3の何れか1つに記載の方法であって、
前記容器本体は搬送手段によって搬送され、前記搬送手段は第1及び第2搬送部を有し、
第1及び第2搬送部は前記容器本体を前記幅狭隙間へ搬送するように移動可能に構成され、且つ、第1搬送部と第2搬送部とは上下方向に対向配置され、
前記容器本体の底部は第1搬送部上に載置され、前記口部の直上には第2搬送部が配置される、方法。
【請求項5】
請求項
1~請求項
4の何れか1つに記載の方法であって、
前記外殻は、扁平な前記胴部を有し、
前記予備剥離工程では、前記胴部の長軸を、前記胴部が前記幅狭隙間へ進入する方向に揃えた状態で、前記胴部を前記幅狭隙間に通す、方法。
【請求項6】
請求項1~請求項
5の何れか1つに記載の方法であって、
前記予備剥離工程は、前記容器本体内に内容物が収容される前に実施される、方法。
【請求項7】
請求項1~請求項
6の何れか1つに記載の方法であって、
前記予備剥離工程は、前記容器本体の軸を中心に前記容器本体を回転させないで、前記胴部の圧縮及び復元を複数回繰り返す、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層剥離容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層剥離容器の容器本体には、有底円筒状の胴部と、胴部に接続される円筒状の口部と、を備えるものが各種提案されている。積層剥離容器の容器本体はパリソンを金型で筒状に成形されることで製造され、容器本体には、外殻と、外殻の内側に設けられている内袋とが形成されている。この内袋内には内容物が収容され、ユーザーが積層剥離容器を圧縮して内袋の内容物を流出させると、外殻と内袋内には空気が入りこみ、内袋は外殻の内面から剥離される。
【0003】
ここで、内袋が、外殻の内面から周方向に均一に剥離されるとは限らないため、容器本体を製造する過程において、外殻の内面から内袋を予め剥離しておく場合がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の容器本体の製造方法では、2本のベルト状部材で胴部を挟み込んだ状態で容器本体を回転させることで、胴部の周面が2本のベルト状部材によって押圧され、その結果、胴部が圧縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の製造方法において、2本のベルト状部材の対向間隔は一定であるため、特許文献1の製造方法は胴部が圧縮された状態が継続しやすく、内袋が外殻の内面から剥離されにくくなる場合がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、外殻から内袋をより確実に剥離することができる、積層剥離容器の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、積層剥離容器の製造方法であって、積層剥離容器の製造方法であって、前記積層剥離容器は、外殻及び内袋を有する容器本体を備え、前記外殻は、口部と、胴部とを有し、容器本体成形工程と、予備剥離工程とを備え、前記容器本体成形工程では、樹脂を成形することで前記容器本体を形成し、前記予備剥離工程では、前記胴部の圧縮及び復元を複数回繰り返すことによって前記外殻から前記内袋を剥離する、方法が提供される。
【0008】
本発明に係る積層剥離容器の製造方法によれば、胴部の圧縮及び復元を複数回繰り返すことによって外殻から内袋を剥離するので、外殻から内袋がより確実に剥離される。
【0009】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記予備剥離工程では、前記容器本体を搬送しながら前記剥離を行い、前記胴部よりも幅が狭い幅狭隙間が、前記容器本体の搬送方向に並ぶように複数設けられ、前記容器本体が前記幅狭隙間を通過する際に前記胴部が圧縮される。
好ましくは、前記幅狭隙間は、一対の挟持部によって構成され、前記一対の挟持部の少なくとも一方は、前記幅狭隙間に向かって凸となる湾曲面を有する。
好ましくは、前記湾曲面は、ローラーの外周面である。
好ましくは、前記容器本体は搬送手段によって搬送され、前記搬送手段は第1及び第2搬送部を有し、第1及び第2搬送部は前記容器本体を前記幅狭隙間へ搬送するように移動可能に構成され、且つ、第1搬送部と第2搬送部とは上下方向に対向配置され、前記容器本体の底部は第1搬送部上に載置され、前記口部の直上には第2搬送部が配置される。
好ましくは、前記外殻は、扁平な前記胴部を有し、前記予備剥離工程では、前記胴部の長軸を、前記胴部が前記幅狭隙間へ進入する方向に揃えた状態で、前記胴部を前記幅狭隙間に通す。
好ましくは、前記予備剥離工程は、前記容器本体内に内容物が収容される前に実施される。
好ましくは、前記予備剥離工程は、前記容器本体の軸を中心に前記容器本体を回転させないで、前記胴部の圧縮及び復元を複数回繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1に示す積層剥離容器1の垂直断面である。
【
図3】実施形態に係る製造方法で用いる搬送手段30及び押圧手段40の斜視図である。
【
図4】
図4Aは押圧手段40の上面図であり、
図4Bは押圧手段40の右側面図であり、
図4Cは押圧手段40の正面図である。
【
図5】予備剥離工程を実施している様子を示す斜視図である。
【
図6】
図6Aは予備剥離工程を実施している様子を示す右側面図であり、
図6Bは予備剥離工程を実施している様子を示す上面図であって搬送手段30については図示を省略している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.積層剥離容器1の構成説明
図1A、
図1B及び
図2に示すように、積層剥離容器1は、容器本体3と、弁部材4と、を備える。容器本体3は、内容物を収容する胴部7と、胴部7から内容物を吐出する口部9と、を備える。口部9には図示省略のキャップが取り付けられる。
【0012】
容器本体3は、胴部7及び口部9において、外殻12と内袋14を備える。内容物の減少に伴って内袋14が外殻12の内面から剥離することによって、内袋14が外殻12の内面から離れて収縮する。
【0013】
図1A及び
図1Bに示すように、胴部7は有底筒状部材であり、胴部7は先細り部7Aと扁平状部7Bと底部7Cとを備える。胴部7の周面は扁平状部7B側から先細り部7A側にかけて滑らかな裾状の曲面となっている。先細り部7Aは、扁平状部7B側から口部9側へかけて先細るように形成されている。先細り部7Aは筒状部材であり、先細り部7Aの周面の断面形状は円形状又は楕円形状となっている。
図1Cに示す端面は、先細り部7Aの周面の端面であり、当該端面は、後述する予備剥離工程において押圧手段によって押圧される。扁平状部7Bも筒状部材であり、扁平状部7Bの周面の断面形状は略楕円形状となっている。先細り部7Aと扁平状部7Bとは接続されており、先細り部7Aは扁平状部7Bよりも上側に形成されている。また、扁平状部7Bと底部7Cとは接続されており、扁平状部7Bは底部7Cよりも上側に形成されている。口部9は胴部7の上部に接続されている。口部9は円筒状部材である。
【0014】
外殻12は、復元性が高くなるように、内袋14よりも肉厚に形成されている。外殻12は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外殻12は、複数層構成であってもよい。内袋14は、複数の層から構成することが好ましい。例えば、外殻12と接触する層にエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなるEVOH層を用い、内容物に接触する層に、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などのポリオレフィンからなる内面層を用いることができる。そして、上記EVOH層と内面層との間には、接着層を用いることが好ましい。
【0015】
図2に示すように、弁部材4は、胴部7に形成された外気導入孔15に装着され、外殻12と内袋14の間の中間空間21と外部空間Sとの間の空気の出入りを調節する。外気導入孔15は、外殻12にのみ設けられた貫通孔であり、内袋14には到達していない。弁部材4は、中間空間21と外部空間Sを連通させるように構成された筒体5と、筒体5内に移動可能に収容された移動体6とを備える。筒体5及び移動体6は、射出成形などによって形成されている。移動体6は、球状であることが好ましい。
【0016】
2.実施形態に係る製造方法で用いる構成説明
後述するように、本実施形態の製造方法は、容器本体成形工程と、予備剥離工程とを備える。予備剥離工程で用いる製造装置は、搬送手段30と、押圧手段40とを備えている。
【0017】
<搬送手段30>
搬送手段30は容器本体3を強制的に搬送する機能を有する。
図5、
図6A及び
図6Bに示す矢印Aは、搬送手段30の搬送方向(容器本体3の進行方向)に対応する。
図3に示すように、搬送手段30は第1搬送部31と第2搬送部32とを有する。第1搬送部31及び第2搬送部32はベルトコンベアーであり、第1搬送部31と第2搬送部32とは上下方向に対向配置されている。第1搬送部31はベルト31Aと駆動部31Bとを有し、第2搬送部32はベルト32Aと駆動部32Bとを有する。駆動部31Bはベルト31Aを移動させるように回転し、駆動部32Bはベルト32Aを移動させるように回転する。ベルト31Aの移動方向及びベルト32Aの移動方向は同じであり、また、ベルト31Aの移動速度及びベルト32Aの移動速度は同じである。第1搬送部31のベルト31A上には容器本体3の底部7Cが載置され、第2搬送部32のベルト32Aの直下には容器本体3の口部9が配置される。つまり、容器本体3の上下が、第1搬送部31のベルト31Aと第2搬送部32のベルト32Aとの間に挟まれる。これにより、容器本体3が押圧手段40を通過する過程で倒れることが防止される。
【0018】
<押圧手段40>
図4A~
図4Cに示すように、押圧手段40は、胴部7の周面を押圧するように構成される。押圧手段40は、第1及び第2挟持部42A、42Bと、回転軸43と、本体部44と、保持部45とを備えている。第1及び第2挟持部42A、42Bが一対の挟持部に対応している。第1及び第2挟持部42A、42Bの少なくとも一方は、幅狭隙間41に向かって凸となる湾曲面Sfを有する。
図4Aに示すように、実施形態では、第1及び第2挟持部42A、42Bが円柱状のローラーで構成されており、湾曲面Sfは第1及び第2挟持部42A、42Bのそれぞれに形成されている。つまり、湾曲面Sfはローラーの外周面である。湾曲面Sfが胴部7に当接することで、胴部7が押圧され、その結果、胴部7が圧縮される。また、第1及び第2挟持部42A、42Bは樹脂で構成することが好ましい。第1及び第2挟持部42A、42Bが胴部7を押圧したときに、胴部7が傷つくことが抑制されるためである。
【0019】
第1挟持部42Aは容器本体3の進行方向からみたときに右側に位置しており、第2挟持部42Bは容器本体3の進行方向からみたときに左側に位置している。押圧手段40は、7対の第1及び第2挟持部42A、42Bを備えているが、7対に限定さるものではない。押圧手段40には、複数の幅狭隙間41が配置されている。具体的には、第1挟持部42Aと第2挟持部42Bとの間には幅狭隙間41が形成されている。複数の幅狭隙間41は容器本体3の進行方向(搬送方向)に直線状に並んでおり、実施形態では、容器本体3が7つの幅狭隙間41を順次通過する。幅狭隙間41の幅は、胴部7の周面のうち押圧される部分の径よりも狭くなっている。このため、容器本体3が幅狭隙間41を通過すると、容器本体3は第1及び第2挟持部42A、42Bによって押圧されることで容器本体3は圧縮され、その結果、外殻12の内面から内袋14が剥離される。第1及び第2挟持部42A、42Bは、回転軸43に固定されている。回転軸43は、保持部45に回転自在に保持されている。保持部45の一端側は本体部44に固定され、保持部45の他端側は回転軸43を保持している。
【0020】
3.積層剥離容器の製造方法
本実施形態の製造方法は、容器本体成形工程と、予備剥離工程とを備える。以下、これらの工程について説明する。なお、実施形態に係る製造方法は、扁平な胴部を有さない積層剥離容器、すなわち円筒状の胴部を有する積層剥離容器をはじめとして様々な形状の積層剥離容器にも適用することができるが、本実施形態では、扁平な胴部7を有する積層剥離容器1に当該製造方法を適用する。
【0021】
3-1.容器本体成形工程
容器本体成形工程では、樹脂を成形することで容器本体3を形成する。容器本体成形工程の図示は省略はするが、容器本体成形工程では、製造すべき容器本体3に対応する積層構造を備えた溶融状態の積層パリソンを押出装置から押出し、この溶融状態の積層パリソンをブロー成形用の分割金型にセットし、分割金型を閉じる。容器本体3の口部9側の開口部にブローノズルを挿入し、分割金型を閉じた状態で分割金型のキャビティー内にエアーを吹き込む。その後、分割金型を開いて、ブロー成形品(容器本体3に対応)を取り出す。
【0022】
3-2.予備剥離工程
図5、
図6A及び
図6Bに示すように、予備剥離工程では、胴部7の圧縮及び復元を複数回繰り返し、容器本体3の外殻12の内面から内袋14を剥離する。また、予備剥離工程は、容器本体3内に内容物を収容する前に実施される。つまり、予備剥離工程では、容器本体3内に内容物を収容する前に胴部7の圧縮及び復元を複数回繰り返すことで、容器本体3内に内容物を収容する前に容器本体3の外殻12の内面から内袋14を予め剥離しておく。これにより、使用者が積層剥離容器を使用して、空気が内袋14と外殻12との間に流入したときに、内袋14が外殻12の内面から外殻12の周方向に均一に剥離される。
【0023】
予備剥離工程では、胴部7の周面を押圧手段40で押圧することで、胴部7を圧縮する。実施形態の製造方法では、容器本体3に外気導入孔15が形成された後であって、外気導入孔15に弁部材4を装着する前に、予備剥離工程が行われる場合を一例として説明する。
【0024】
図5に示すように、予備剥離工程では、容器本体3を搬送手段30上に載置し、容器本体3を押圧手段40へ向かって強制的に移動させる。このように、容器本体3を押圧手段40へ向かって強制的に移動させるので、多数の容器本体3が連続的に剥離処理され、実施形態に係る製造方法は製造ラインへの組み込みに適している。容器本体3が押圧手段40の幅狭隙間41に進入すると、胴部7が第1及び第2挟持部42A、42Bによって押圧される。容器本体3が幅狭隙間41を通過する度に、胴部7が第1及び第2挟持部42A、42Bに押圧されて胴部7は圧縮され、胴部7が第1及び第2挟持部42A、42Bから離間すると胴部7は圧縮された状態から復元する。押圧手段40には複数の幅狭隙間41が設けられているので、容器本体3が押圧手段40を通過する際において、胴部7は、圧縮と、圧縮された状態からの復元と、を複数回繰り返す。これにより、外殻12の内面から内袋14が効果的に剥離される。
【0025】
図4A及び
図5に示すように、また、第1及び第2挟持部42A、42Bには湾曲面Sfが形成されているので、胴部7が幅狭隙間41を通過するときに、第1及び第2挟持部42A、42Bが胴部7を傷つけてしまうことが回避される。更に、第1及び第2挟持部42A、42Bは円柱状のローラーで構成されているので、胴部7が幅狭隙間41を通過するときに、第1及び第2挟持部42A、42Bが軸回転する。これにより、第1及び第2挟持部42A、42Bと胴部7との摩擦が抑制され、第1及び第2挟持部42A、42Bが胴部7を傷つけてしまうことがより確実に回避される。
【0026】
また、
図6Aに示すように、予備剥離工程では、容器本体3の上下が、第1搬送部31のベルト31Aと第2搬送部32のベルト32Aとの間に挟まれている。このため、容器本体3が第1及び第2挟持部42A、42Bに押圧されることで、容器本体3が倒れてしまうことが防止される。
【0027】
また、
図6Bに示すように、予備剥離工程では、胴部7の四方が第1及び第2挟持部42A、42Bによって囲まれた状態で、胴部7が第1及び第2挟持部42A、42Bによって押圧される。つまり、胴部7は同時に4方向から押圧されることになるので、その分、胴部7の広範囲が同時に押圧されることになる。このため、胴部7のうち圧縮される部分が偏ってしまうことが抑制されるとともに、胴部7の圧縮度合いが増大する。したがって、実施形態の予備剥離工程では、外殻12の内面から内袋14を剥離する効率が向上している。
【0028】
図1C及び
図6Bに示すように、予備剥離工程では、胴部7の長軸bxを、胴部7が幅狭隙間41へ進入する方向(矢印A参照)に揃えた状態で、胴部7を幅狭隙間41に通すことが好ましい。これにより、胴部7が、上流側の一対の第1及び第2挟持部42A、42Bだけでなく、下流側の一対の第1及び第2挟持部42A、42Bにも同時に当接しやすくなる。その結果、胴部7が同時に4方向からより確実に押圧され、外殻12の内面から内袋14を剥離する効率がより確実に向上する。また、幅狭隙間41の幅は胴部7の短軸径に基づいて設定しているため、仮に胴部7の短軸axを胴部7が幅狭隙間41へ進入する方向(矢印A参照)に揃えると、胴部7が幅狭隙間41に進入しにくくなる。このため、胴部7の長軸bxを、胴部7が幅狭隙間41へ進入する方向(矢印A参照)に揃えた状態で、胴部7を幅狭隙間41に通すことで、胴部7が幅狭隙間41にすみやかに進入し、実施形態に係る製造方法が適用された製造ラインが滞ることが抑制される。
【0029】
3-3.積層剥離容器の製造方法のその他の事項
予備剥離工程は、任意のタイミングで実施することができる。例えば、予備剥離工程は、外気導入孔15を形成する工程の前に実施してもよいし、後に実施してもよい。なお、外気導入孔15を形成した後に予備剥離工程を実施すると、外部空間Sの外気が外気導入孔15から外殻12と内袋14との間に流入するため、内袋14がより確実に外殻12の内面から剥離される。また、予備剥離工程は、弁部材4を形成する工程の前に実施してもよいし、後に実施してもよい。
【0030】
4.実施形態の効果
実施形態に係る製造方法の予備剥離工程では、胴部7の圧縮及び復元を複数回繰り返す。ここで、胴部7が復元するときにおいて、外殻12の弾性力(復元力)と内袋14の弾性力(復元力)とが異なるため、外殻12及び内袋14にはお互いが離間する作用が生じる。つまり、胴部7の圧縮及び復元が複数回繰り返されることで、この作用が複数回繰り返され、その結果、外殻12の内面から内袋14がより確実に剥離される。なお、実施形態に係る製造方法は、扁平な胴部7を有する積層剥離容器1への適用に限定されない。つまり、実施形態に係る製造方法は、積層剥離容器の胴部の形状を問わず、適用することができる。そして、当該適用がなされた場合においても、実施形態に係る製造方法を扁平な胴部7を有する積層剥離容器1へ適用したときに奏する効果と同様の効果を奏する。
【0031】
また、扁平な胴部を有する容器本体に特許文献1の製造方法を適用した場合について検討する。胴部の短径部がベルト状部材で挟み込まれている時は、胴部の長径部がベルト状部材で挟み込まれている時と比較すると、胴部がベルト状部材に押圧される力が弱まる。このため、扁平な胴部を有する容器本体に特許文献1の製造方法を適用すると、胴部がベルト状部材に保持されず、容器本体が倒れてしまう場合がある。実施形態に係る製造方法では、容器本体3の上下を第1搬送部31のベルト31Aと第2搬送部32のベルト32Aとの間に挟んだ状態で、押圧手段40によって胴部7を押圧する。このため、実施形態に係る製造方法は、予備剥離工程を実施しているときにおいて、容器本体3の形状に起因して容器本体3が倒れてしまうことが防止される。
【0032】
また、特許文献1の製造方法では、容器本体を回転させるために、一対のベルト状部材の対向間隔等の事項を細かく調整する必要がある。それに対し、実施形態に係る製造方法の予備剥離工程では、容器本体3の軸を中心に容器本体3を回転させないで、胴部7の圧縮及び復元を複数回繰り返す。このため、実施形態に係る製造方法では、製造装置の調整の煩雑さが抑制される。
【符号の説明】
【0033】
1 :積層剥離容器
3 :容器本体
4 :弁部材
5 :筒体
6 :移動体
7 :胴部
7A :先細り部
7B :扁平状部
7C :底部
9 :口部
12 :外殻
14 :内袋
15 :外気導入孔
21 :中間空間
30 :搬送手段
31 :第1搬送部
31A :ベルト
31B :駆動部
32 :第2搬送部
32A :ベルト
32B :駆動部
40 :押圧手段
41 :幅狭隙間
42A :第1挟持部
42B :第2挟持部
43 :回転軸
44 :本体部
45 :保持部
A :矢印
S :外部空間
Sf :湾曲面
ax :短軸
bx :長軸