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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】風呂装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/00 20060101AFI20220309BHJP
   F24H 15/196 20220101ALI20220309BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A61H33/00 C
F24H1/00 602Y
F24H1/00 602P
A47K3/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017029562
(22)【出願日】2017-02-21
(65)【公開番号】P2018134165
(43)【公開日】2018-08-30
【審査請求日】2019-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107445
【弁理士】
【氏名又は名称】小根田 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002088
【氏名又は名称】特許業務法人プロイスIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】片岡 寿人
(72)【発明者】
【氏名】野中 隆
(72)【発明者】
【氏名】古賀 弘子
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-081742(JP,A)
【文献】特開2001-330262(JP,A)
【文献】特開2012-017880(JP,A)
【文献】特開2003-310693(JP,A)
【文献】特開2001-104429(JP,A)
【文献】特開2002-034931(JP,A)
【文献】特開平10-165326(JP,A)
【文献】特開2002-243271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00
F24H 15/196
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが入浴を開始しようとする入浴意図の存在を判定する入浴意図判定手段と、報知部と、浴槽内にユーザーが入った入浴中であるか否かを判定する入浴判定手段と、入浴前注意喚起モード及び出浴時注意喚起モードを含む入浴サポート制御を実行するための入浴サポート手段とを備え、
前記入浴前注意喚起モードは、前記入浴意図判定手段により前記入浴意図が有ると判定されたとき前記報知部により入浴前の注意喚起を与えるための情報として入浴を避けるべき状況に係る例示情報であってユーザー自身の状況に起因したものに係る例示情報を報知するように構成され、
前記出浴時注意喚起モードは、前記入浴判定手段により浴槽内にユーザーが入った入浴中であると判定されたときその入浴状況に基づいて前記報知部により出浴時の注意喚起情報として出浴時に浴槽から急に立ち上がらないよう出浴時の動作をゆっくりと行旨を報知するように構成されている、
ことを特徴とする風呂装置。
【請求項2】
請求項1に記載の風呂装置であって、
前記入浴意図判定手段は、浴槽への湯張り運転を含む風呂使用に係る運転制御用の操作部を備え、この操作部に対し入浴開始準備のための操作が行われたことによって操作信号が出力されたとき入浴意図有りと判定するように構成されている、風呂装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の風呂装置であって、
前記入浴判定手段により浴槽内にユーザーが入った入浴中であると判定されると入浴の経過時間である入浴時間の計測を開始する入浴計測手段を備え、前記入浴サポート手段は、前記入浴サポート制御として出浴お知らせモードを含み、前記入浴計測手段により計測された入浴時間が設定時間に達したとき、前記出浴お知らせモードにより入浴者であるユーザーに対し出浴を促すための案内を前記報知部により報知し、併せて前記出浴時注意喚起モードによる出浴時の前記注意喚起情報を前記報知部により報知するように構成されている、風呂装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴者に対し安心かつ安全に入浴するためのお知らせ機能を有する風呂装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平成28年1月20日付け消費者庁News Release「冬場に多発する高齢者の入浴中の事故にご注意下さい!」にも記載されているように、入浴は、身体を清潔に保つだけでなくリラックス効果をも期待できる我が国の重要な生活習慣の一つである一方、入浴する際の身体状況や入浴の環境によっては、意識障害を起こし溺水する等重大な事故につながる危険性がある。入浴時間の目安として、41℃以下の湯に漬かる場合、10分までとされ、食後すぐの入浴は控えることや、浴槽から急に立ち上がらないようにすることが注意事項として案内されている。平成25年度の厚生労働省の研究班の調査では、救急車で運ばれた患者数から推計した入浴中の事故死の数は年間約1万9000人とされている。入浴中の事故死は冬季に多く、12月から2月にかけて全体の約5割が発生し、入浴中の事故死の数と気温に相関がみられるという報告もある。また、入浴中の事故死は、ほとんどが浴槽内で起きており、熱い湯に肩まで浸かるという日本固有の入浴スタイルが影響していると考えられている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1又は2において、浴槽から出る際の立ちくらみ等の症状を起こすことがあることが紹介されている(特許文献1の段落0003、特許文献2の段落0002参照)。そして、特許文献3には、望ましい入浴可能時間が経過したらブザーを鳴らすようにし、入浴可能時間として、浴槽湯温に基づいて設定した時間値を入浴者の年齢・身体状況によって変更することが記載されている(特許文献3の段落0020,0022参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-288559号公報
【文献】特許第3585402号公報
【文献】特開2002-686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、入浴者の安全かつ快適な入浴を図るために、入浴時間が設定時間に到達すれば、出浴を促すための案内を報知するという出浴お知らせ機能の他に、あるいは、出浴お知らせ機能に加えて、ユーザー(入浴者)の入浴前の状況や入浴中の状況事情に即してより良いものとする上で、検討すべき課題は多々あると考えられる。すなわち、入浴前~入浴中のユーザーの行動を検知して、適切なタイミングに必要な案内をユーザーに与えるようにするには、さらなる検討・改良を進める必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、より安全にかつ快適な入浴を図ることのできる風呂装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の風呂装置として、ユーザーが入浴を開始しようとする入浴意図の存在を判定する入浴意図判定手段と、報知部と、浴槽内にユーザーが入った入浴中であるか否かを判定する入浴判定手段と、入浴前注意喚起モード及び出浴時注意喚起モードを含む入浴サポート制御を実行するための入浴サポート手段とを備え、前記入浴前注意喚起モードは、前記入浴意図判定手段により前記入浴意図が有ると判定されたとき前記報知部により入浴前の注意喚起を与えるための情報として入浴を避けるべき状況に係る例示情報であってユーザー自身の状況に起因したものに係る例示情報を前記報知部により報知するように構成され、前記出浴時注意喚起モードは、前記入浴判定手段により浴槽内にユーザーが入った入浴中であると判定されたときその入浴状況に基づいて前記報知部により出浴時の注意喚起情報として出浴時に浴槽から急に立ち上がらないよう出浴時の動作をゆっくりと行旨を報知するように構成されていることを特徴とした(請求項1)。
【0008】
この発明の風呂装置によれば、入浴意図判定手段によりユーザーの入浴意図有りと判定されると、入浴前の注意喚起情報として入浴を避けるべき状況に係る例示情報であってユーザー自身の状況に起因したものに係る例示情報が入浴サポート手段の入浴前注意喚起モードによりユーザーに与えられるため、入浴を開始しようとするユーザーに対し、入浴前の注意喚起情報をタイムリーにかつ事前に与えることが可能となり、入浴に伴う不測の事態発生の未然防止に寄与し得ることになる。これにより、ユーザーの安心入浴・安全入浴をより確実に担保して快適な入浴を図り得る。入浴を避けるべき状況に係る例示情報であってユーザー自身の状況に起因したものに係る例示情報としては、例えば、飲酒直後の入浴は回避すべきであること、食後直ぐの入浴は控えるべきであること、あるいは、体調が悪ければ入浴は控えるべきであること等の情報とすることができる。このような状況であるにも拘わらず、習慣的に、ついうっかりと、又は、安易に入浴を開始しがちなユーザーに対し、タイムリーかつ適切に注意喚起を与えることが可能となり、入浴に伴う不測の事態発生の未然防止が図られる。さらに、入浴判定手段により浴槽内にユーザーが入った入浴中であると判定されると、その入浴状況に基づいて入浴サポート手段の出浴時注意喚起モードにより出浴時の所定の注意喚起情報が報知部から報知されて入浴者に与えられるため、すなわち、出浴時の注意喚起情報として出浴時に浴槽から急に立ち上がらないよう出浴時の動作をゆっくりと行旨が報知部から報知されるため、ユーザーの安心入浴・安全入浴をより確実に担保して快適な入浴を図ることが可能となる。例えば浴槽内で静かに入浴継続することで血圧が低下しているにも拘わらず急に立ち上がって出浴しようという行動をしがちな入浴者(ユーザー)に対し、タイムリーかつ適切に注意喚起を与えることができる。
【0009】
かかる風呂装置の入浴意図判定手段として、浴槽への湯張り運転を含む風呂使用に係る運転制御用の操作部を備え、この操作部に対し入浴開始準備のための操作が行われたことによって操作信号が出力されたとき入浴意図有りと判定するように構成することができる。すなわち、リモコン等の操作部に対する入浴開始準備のための操作、例えば、ふろ自動スイッチや湯張りスイッチ等のON操作や、浴室以外の場所に設置された操作部を用いた追焚スイッチのON操作に係る信号出力があれば、入浴意図有りと的確に判定することができる。
【0010】
出浴時の注意喚起情報に係る報知を行う場合には、前記入浴判定手段により浴槽内にユーザーが入った入浴中であると判定されると入浴の経過時間である入浴時間の計測を開始する入浴計測手段をさらに備え、入浴サポート手段として、前記入浴サポート制御として出浴お知らせモードを含み、前記入浴計測手段により計測された入浴時間が設定時間に達したとき、前記出浴お知らせモードにより入浴者であるユーザーに対し出浴を促すための案内を前記報知部により報知し、併せて前記出浴時注意喚起モードによる出浴時の前記注意喚起情報を前記報知部により報知する構成とすることができる。例えば熱中症対策等の観点から出浴に適したタイミングに出浴を促すお知らせを報知することに併せて、その出浴の際に注意喚起情報を報知することで、ユーザーの安心入浴・安全入浴をより確実に担保し得るものとなる。
【0011】
さらに、その出浴お知らせに基づき慌てて出浴しようとしがちな入浴者に対しても、同様にタイムリーかつ適切に注意喚起を与えることができる。これにより、例えば立ちくらみ等の入浴に伴う不測の事態発生の未然防止に寄与することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の風呂装置によれば、入浴意図判定手段によりユーザーの入浴意図有りと判定されると、入浴前の注意喚起情報として、入浴を避けるべき状況に係る例示情報であってユーザー自身の状況に起因したものに係る例示情報が入浴サポート手段の入浴前注意喚起モードによりユーザーに報知されるため、そのような状況であるにも拘わらず、習慣的に、ついうっかりと、又は、安易に入浴を開始しがちなユーザーに対し、入浴前の注意喚起情報をタイムリーにかつ事前に与えることができる。これにより、入浴に伴う不測の事態発生の未然防止に寄与することができるとともに、ユーザーの安心入浴・安全入浴をより確実に担保して快適な入浴を図ることができる。さらに、入浴判定手段により浴槽内にユーザーが入った入浴中であると判定されると、その入浴状況に基づいて入浴サポート手段の出浴時注意喚起モードにより出浴時の注意喚起情報として出浴時に浴槽から急に立ち上がらないよう出浴時の動作をゆっくりと行旨が報知部から報知されるため、ユーザーの安心入浴・安全入浴をより確実に担保して快適な入浴を図ることが可能となる。例えば浴槽内で静かに入浴継続することで血圧が低下しているにも拘わらず急に立ち上がって出浴しようという行動をしがちな入浴者(ユーザー)に対し、タイムリーかつ適切に注意喚起を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る風呂装置の作動原理図である。
図2】同風呂装置の設置状況の例を示す説明図である。
図3】入浴サポート制御の入浴前注意喚起モードに係る基本制御を示すフローチャートである。
図4】ユーザーの入浴意図判定に係るフローチャートである。
図5】入浴サポート制御の出浴お知らせモード及び出浴時注意喚起モードに係る基本制御を示すフローチャートである。
図6】出浴時注意喚起モードを単独で実行させる場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る風呂装置の模式図である。この風呂装置は、風呂追い焚き機能を有する給湯装置1と、該給湯装置1の各種運転制御用操作を行うためのコントローラ及び/又は操作部として機能する台所リモコン51及びふろリモコン52とを備えている。台所リモコン51は台所K(図2参照)に設置され、ふろリモコン52は浴槽6が設置された浴室Yに設置されている。これら各リモコン51,52は、これらとは別の場所に設置された給湯装置1の制御部5と通信可能に接続され、各リモコン51,52からの操作信号等や、逆に制御部5からの表示信号又は動作信号等が送出可能となっている。なお、本実施形態における台所リモコン51は、浴室Y以外の場所に設置されるリモコンの代表例である。
【0015】
給湯装置1は、給湯機能を実現する給湯回路2、追い焚き機能を実現する追焚回路3、給湯回路2から追焚回路3へ湯張り等のために湯又は水を供給する注水・注湯回路4、及び、これらの作動制御を行う制御部5を備えている。なお、図例のものは1缶2水タイプのものを図示しているが、これに限らず、2缶2水タイプのものでも本発明を実施することができる。又、図例のものは、熱交換器として、燃焼ガスの顕熱を吸熱する一次熱交換器に加え燃焼排ガスからの潜熱を回収する二次熱交換器を組み合わせた潜熱回収型に構成されたものを図示しているが、これに限らず、二次熱交換器を有しないものでも本発明を実施することができ、潜熱回収型であることは必須ではない。以下の説明では、一次熱交換器及び二次熱交換器を組み合わせたものを、単に給湯用熱交換器22又は追焚用熱交換器32と表示する。
【0016】
なお、後述の如く、湯張り用の注湯回路を備えるものの追い焚き機能を備えず、浴槽に対し専ら所定温度の湯を注湯して湯張りや足し湯を行うタイプ(以下、「注湯専用タイプ」と称する)の給湯装置を用いたものでも、本発明の風呂装置を構成することができる。又、追い焚き機能を備えるものの湯張り用の注湯回路を備えず、浴槽内に注がれた水を追い焚きしたり保温したりするタイプ(以下、「追い焚き専用タイプ」と称する)の給湯装置を用いたものでも、本発明の風呂装置を構成することができる。
【0017】
給湯回路2は、水道水等の給水を給水路21を介して給湯用熱交換器22に導き、給湯用熱交換器22において燃焼バーナ23で生じる燃焼熱との熱交換加熱により加熱した湯を給湯路24に出湯させ、この湯を台所や洗面所等の各所の給湯栓25まで給湯するようになっている。給水路21と給湯路24との間には、給湯用熱交換器22をバイパスして給水路21からの給水を給湯路24に流入させるバイパス路26が設けられ、バイパス弁26aを開にすれば連通するようになっている。給水路21には流量センサ27や給水温度を検出する給水温度センサ28が介装され、給湯路24には給湯用熱交換器22で加熱された直後の出湯の温度を検出する缶体出口温度センサ29が介装されている。
【0018】
追焚回路3は、追い焚き機能を実現するために、浴槽6の循環アダプタ61と追焚用熱交換器32との間に配管された戻り路30a及び往き路30bから主構成される循環回路により構成され、浴槽6内に湯張りされた浴槽湯水を所定温度まで追い焚き加熱し得るようになっている。すなわち、循環ポンプ31の作動により浴槽6から戻り路30aを通して追焚用熱交換器32に浴槽湯水が供給され、かかる浴槽湯水が燃焼バーナ33で発生する燃焼熱により追焚用熱交換器32で熱交換加熱されて追い焚きされ、追い焚き後の浴槽湯水が往き路30bを通して浴槽6に戻されるよう構成され、戻り路30aを通過する浴槽湯水の温度が所定の目標温度となるまで追い焚きされるようになっている。循環ポンプ31は戻り路30a及び往き路30bのいずれか一方(図例では戻り路30a)に介装されている。戻り路30aには流れを検知して後述の制御部5に出力する水流スイッチ34や戻り路30aにより戻される浴槽6内の浴槽湯水の温度(浴槽湯温)を検出する戻り温度センサ35が介装され、又、往き路30bには追い焚き後の浴槽湯水の温度を検出する往き温度センサ36が介装されている。なお、図1中の符号37は、前記の給湯用燃焼バーナ23や追焚用燃焼バーナ33に燃料ガスを供給するためのガス供給系である。
【0019】
注水・注湯回路4は、給湯路24の途中から分岐して追い焚き循環路30の戻り路30aに連通接続される注湯路41を備えており、この注湯路41を通して給湯路24の湯水が戻り路30aに流入され、これが両側に分流して戻り路30a及び往き路30bのそれぞれを通す両搬送形式で浴槽6に注湯(又は注水)されるようになっている。注湯路41には、給湯路24の側である上流側から順に流量センサ42,注湯電磁弁43,逆流防止用の一対の逆止弁44,上流側での負圧発生時に逆流発生を防止する縁切り弁45がそれぞれ介装され、加えて、追焚循環路30との合流点近傍には浴槽6内の水位を検出する圧力式の水位センサ46が介装されている。なお、浴槽6内の水位検出手段としては、例えば浴槽6に設置した水位センサや、天井壁に設置し浴槽6内の水面に対し上から真下に向けて超音波パルスを発し超音波反射パルス方式により水面位置を検出する超音波パルスの送受波器を用いて構成することができる。
【0020】
なお、図1中の符号7は外気温センサであり、この外気温センサ7はケース内の雰囲気温度を検出することにより外気温を検出するようになっている。又、符号8はドレン処理装置であり、このドレン処理装置8は、給湯用熱交換器22や追焚用熱交換器32に含まれる二次熱交換器において燃焼排ガスが潜熱回収のための熱交換により冷やされて凝縮することにより生じたドレンを集水路82を介して集水し、中和槽81で中和処理した上で排水路83から排水させるために設置されたものである。
【0021】
以上の給湯回路2,追焚回路3及び注水・注湯回路4等は、マイコンにより主構成される制御部5によって、給湯運転、追焚運転、注水・注湯による湯張り運転、又は、湯張り・追焚・保温までを自動制御するふろ自動運転等の各種の運転制御や、入浴前注意喚起モード,出浴お知らせモード及び出浴時注意喚起モード等の安心入浴をサポートするための入浴サポート制御が、台所リモコン51及びふろリモコン52等からの指令等並びに上記の各種センサの検出値等に基づいて行われるようになっている。
【0022】
台所リモコン51及びふろリモコン52は、従来公知の構成を有し、操作ボタン又はタッチパネルの操作によって、湯張り運転,追焚運転,ふろ自動運転等のオン・オフ切換操作の他に、湯張り運転制御時又はふろ自動運転制御時等の入浴時の浴槽湯温の設定温度を、例えば33℃~48℃の範囲内で1℃刻みで設定可能に構成されている。いずれか一方のリモコンにおける設定内容は他方のリモコン並びに給湯装置1の制御部5にも送信されて記憶保持される。又、浴室Y(図2参照)内に浴室乾燥機63が設置される場合には、各リモコン51,52を浴室乾燥機63の運転制御用の操作部として機能させることができる。この他、浴室乾燥機63の運転制御用の操作部として専用リモコン54を脱衣室D内に設置することができる。この場合には、専用リモコン54に加え、前記の各リモコン51,52のいずれによっても浴室乾燥機63の運転制御用の操作部、つまり風呂使用に係る運転制御用の操作部として機能させるようにすることができる。
【0023】
そして、本実施形態では、前記の台所リモコン51,ふろリモコン52及び/又は専用リモコン54からの操作信号を受けて各種運転制御を実行する給湯装置1の制御部5が入浴意図判定手段として機能するよう構成されている。すなわち、図3に例示するように、いずれかのリモコン51,52のふろ自動スイッチがオン操作された場合(ステップS1-1でYES)、後述の如く、浴槽6への湯張りが開始されて設定温度まで追い焚き等の運転制御が開始されることになるため、ユーザーがこれから入浴を開始しようとする意図、すなわち入浴意図があると判定し得る(ステップS1-2)。あるいは、特に台所リモコン51、つまり浴室Y以外に設置されたリモコンの追焚スイッチがオン操作された場合(ステップS1-1でYES)、浴室外において浴槽6内の残り湯又は残り水を加熱しようとする操作であるため、入浴意図があると判定し得る(ステップS1-2)。
【0024】
又、ふろ自動運転により湯張り及び追い焚きが実行されて入浴が行われた後、次の入浴者などのために所定時間にわたり保温運転が継続されている最中に、特に台所リモコン51で設定温度が高めに変更操作(例えば40℃の設定保温温度が42℃に変更操作)された場合には(ステップS1-1でYES)、次の入浴者がこれから入浴するためにやや熱めの湯温にしようとしていると考えられ、かかる場合も入浴意図があると判定し得る(ステップS1-2)。
【0025】
ふろ自動運転機能を備えていない場合、例えば前述の注湯専用タイプの場合には、いずれかのリモコン51,52の湯張りスイッチがオン操作された場合も(ステップS1-1でYES)、入浴意図があると判定し得る(ステップS1-2)。同様にふろ自動運転機能を備えていない場合であって、例えば前述の追い焚き専用タイプの場合には、いずれかのリモコン51,52の追焚スイッチ及び/又は保温スイッチがオン操作された場合も(ステップS1-1でYES)、入浴意図があると判定し得る(ステップS1-2)。
【0026】
さらに、浴室乾燥機63が浴室Y内に設置されている場合には、その運転操作スイッチ(暖房スイッチ,涼風スイッチ,換気スイッチ,乾燥スイッチ)の内の暖房スイッチがオン操作された場合には(ステップS1-1でYES)、浴室6内を予備暖房しようとする操作であるため、入浴意図があると判定し得る(ステップS1-2)。あるいは、脱衣室Dの壁面又は天井壁面に、赤外線センサーにより構成される人感センサー55が設けられている場合には、この人感センサ55により入浴意図判定手段を構成することができる。この場合、人感センサ55から脱衣室Dに人が入ったことの検出信号を制御部5が受けることで(ステップS1-1でYES)、入浴者が入浴のために脱衣室Dに入った、つまり入浴意図があると判定することができる(ステップS1-2)。専用リモコン54が脱衣室Dに設置されている場合には、その専用リモコン54に人感センサ55を併設することができる。
【0027】
以上、制御部5は、台所リモコン51,ふろリモコン52及び/又は専用リモコン54における前述のいずれか1又は2以上の操作信号が出力されたことで(ステップS1-1でYES)、入浴意図があると判定することができ(ステップS1-2)、そのような操作信号の出力がなければ入浴意図は無いか不明であると判定することができる(ステップS1-3)。
【0028】
そして、ふろリモコン52は、浴室Yの壁面に設置され、このふろリモコン52に対し赤外線センサーにより構成される人感センサー53が設けられて、人感センサー53の検出信号に基づいて入浴中であるか否かを判定する入浴判定手段として機能するよう構成されている。人感センサ53は、浴槽6内に人が入ったことを確実に検出し得るように向きや設置位置が設定されている。このため、浴室Yに浴室テレビ62(図2参照)が設置されている場合には、ふろリモコン52に代えて、又はふろリモコン52に加えて、人感センサを浴室テレビ62に設けることができる。なお、浴室Y内に人が入ったことを検出するように人感センサが設けられる場合、浴室内に人が入ることをもって「入浴中」と判定することとなるが、浴室Yへの入室後浴槽6に入るまでの間に入浴時間の積算が開始されてしまうことを回避するため、入室後所定時間の経過をもって「入浴中」であると判定させることが可能である。さらに、この場合には、後述の水位検出を併用することにより、入浴中か否かの判定を確実に行うことができる。
【0029】
なお、ふろリモコン52に例えば入湯スイッチを設け、入浴者が浴槽6内に入浴する際に入湯スイッチをオン操作させるようにしている場合、つまり、入浴者が入浴サポート制御の後述の出浴お知らせモードによる入浴サポートを積極的に受けることを希望している場合には、その入湯スイッチのオン信号の出力をもって「入浴中」(入浴開始)と判定することができる。
【0030】
また、前記のようにふろリモコン52(又は浴室テレビ62)を入浴判定手段として機能させるのではなく、水位センサ46の検出水位を監視する給湯装置1の制御部5を入浴判定手段として機能させることもできる。すなわち、水位センサ46の検出水位が急激に所定量増加した場合に、その後検出水位が急激に所定量低下するまでの間、「入浴中」であると判定し、検出水位が急激に所定量低下してから急激に所定量増加するまでの間は「入浴していない」と判定するよう制御部5を構成することができる。また、上記の人感センサー53によって「入室」を判定し、入室中であると判定されているときに水位センサ46の検出水位が急激に増加すると「入浴中」であると判定するよう構成することもできる。入浴中か否かの判定の基準及び方法はどのようなものであってもよく、適宜変更できる。
【0031】
制御部5によるふろ自動運転制御について詳細に説明すると、ふろ自動運転制御は、リモコン51,52のふろ自動スイッチをユーザーがオン操作することで開始され、まず、ふろ自動運転開始指令、並びに、湯はり量(又は湯張り水位)及び目標温度(予め記憶されている設定温度又はユーザーが入力設定した設定温度)に関する情報が、リモコン51,52から制御部5に送信される。これにより、制御部5は、注水・注湯回路4及び追焚循環路30を通して給湯回路2からの湯を浴槽6に注湯する。この際の注湯量は水位センサ46又は注湯流量センサ42の積分等により把握・特定されて、浴槽6内には所定水位まで湯張りされることになる。次に、追焚回路3の追焚用燃焼バーナ33及びガス供給系37からなる追焚燃焼系や循環ポンプ31が作動制御され、追焚用燃焼バーナ33の燃焼熱を受けて追焚用熱交換器32を通る浴槽6内の湯水が熱交換加熱され、リモコン51,52から指示された目標温度まで追焚加熱されることになる。追焚加熱が終了すれば、引き続いて、浴槽6内の湯水温度を目標温度に維持させるために間欠的に追焚制御を実行する保温運転を設定時間(例えばふろ自動スイッチのオンから4時間)が経過するまで、又は、ユーザーによりふろ自動スイッチがオフされるまで行う。
【0032】
そして、本実施形態では、入浴サポート制御として、入浴前注意喚起モード、出浴お知らせモード及び出浴時注意喚起モードが実行される。これらの入浴サポート制御を構成する各種モードは、その全てを制御部5が実行するように構成することができるし、制御部5に代えてリモコン51,52が実行するように構成することができ、あるいは前記各種モードの内、選択された1以上のモードをリモコン51,52が実行するように構成することができる。従って、制御部5及び/又はリモコン51,52が、入浴前注意喚起モード,出浴お知らせモード及び出浴時注意喚起モードを含む入浴サポート制御を実行するための入浴サポート手段として機能する。又、リモコン51,52に、入浴前注意喚起モード、出浴お知らせモード及び出浴時注意喚起モードの内のいずれか又は全てをオンにするかオフにするかを選択し得る安心入浴スイッチが設けられている場合には、かかる安心入浴スイッチがオン操作又はオフ操作されることで、該当するモードの実行又は停止を切換えることができる。
【0033】
入浴前注意喚起モードは、図4に示すように前記の入浴意図判定手段により入浴意図有りと判定されると開始され(ステップS1でYES)、報知部である台所リモコン51及び/又はふろリモコン52により入浴前の注意喚起を与えるための情報を報知させる(ステップS2)。入浴前の注意喚起を与えるための情報とは、入浴を避けるべき状況に係る例示情報のことである。具体的には、飲酒後又は食後すぐの入浴等は控えるべきである旨報知する。例えば、「飲酒後、アルコールが抜けるまでは入浴を控えましょう」、「食後すぐの入浴は避けましょう」、「体調の悪いときや睡眠薬等の服用後も入浴は避けましょう」等の注意喚起情報を報知する。報知は、音声案内によるアナウンス及び/又は表示部へのテキスト文字等による表示により行い、例えばアニメーション又はイラストを組み合わせて表示させるようにすることができる。又、注意喚起のために、かかる報知に併せて電子音やチャイム等による警告音等を吹鳴させることができる。
【0034】
前記の入浴前の注意喚起に係る報知は、入浴意図有りの判定後、直ちに1回実行させても、所定回数繰り返しても、いずれでもよく、あるいは所定の時間間隔を空けて再度繰り返すようにすることもできる。
【0035】
以上の入浴前注意喚起モードの実行により、入浴前の注意喚起に係る報知を入浴意図判定手段による判定結果に基づいてタイムリーに与えることができ、ユーザーの安心入浴・安全入浴をより確実に担保して快適な入浴を図ることができる。すなわち、飲酒直後又は食後直ぐに入浴しようとしたり、あるいは、体調が悪いにも拘わらず習慣的に入浴しようとしたりと、ついうっかりと又は安易に行動しがちなユーザーに対し、タイムリーにかつ事前に注意喚起を与えることができ、入浴に伴う不測の事態発生の未然防止に寄与することができる。
【0036】
一方、ふろ自動スイッチがオン操作されると、あるいは、湯張り又は追焚加熱が完了すると、出浴お知らせモード及び出浴時注意喚起モードが開始される。すなわち、後述の如く、入浴判定手段により入浴中か否かの判定が開始され、入浴中と判定されると制御部5で入浴計測手段としての入浴タイマーによる入浴時間の積算が開始されて、出浴お知らせモード及び出浴時注意喚起モードに係る入浴サポート制御が開始される。
【0037】
図5は、出浴お知らせモード及び出浴時注意喚起モードの基本制御内容を示すフローチャートである。まず、前記の入浴判定手段により入浴中と判定されると(ステップS11でYES)、入浴の経過時間である入浴時間の計測、すなわち、入浴タイマーによる入浴時間の積算を開始する(ステップS12)。そして、計測された入浴時間が設定時間に達すると(ステップS13でYES)、出浴お知らせを実行し(ステップS14)、併せて出浴時注意喚起に係る情報を報知する(ステップS15)。
【0038】
出浴お知らせは、入浴者に出浴を促すための報知であり、例えば「お風呂からそろそろ上がりましょう」又は「熱中症予防のためにお風呂からそろそろ上がりましょう」等という案内を報知することで、入浴者に出浴を促す。かかる報知は、ふろリモコン52を用いて、その表示部にその旨のテキスト文字等による案内の表示、音声案内によるその旨のアナウンス、又は、メロディー又は警報の吹鳴等から選択したいずれか又は組み合わせによって行うことができる。
【0039】
又、出浴時注意喚起に係る情報とは、出浴時における急動作を控えるよう案内するための情報である。例えば、「浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう」又は「立ちくらみに注意し、浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう」等という案内を報知することで、急な血圧低下のリスクを軽減させるようにする。報知の手段や手法は前記の出浴お知らせと同様に行うことができる。又、この出浴時注意喚起も、入浴前注意喚起の場合と同様に、アニメーション又はイラストを組み合わせて表示させたり、電子音やチャイム等による警告音等を併せて吹鳴させたりすることが効果的である。かかる出浴時注意喚起は、出浴お知らせのタイミングに併せて、出浴お知らせ毎に行うことができる。
【0040】
以上のような出浴お知らせや出浴時注意喚起を実行したとしても出浴が確認されない場合には、出浴が確認されるまで所定の時間間隔毎に繰り返し出浴お知らせ及び出浴時注意喚起を実行する。その際、出浴お知らせを行っても出浴が確認されない旨又は入浴が継続している旨の入浴状況に係る情報を台所リモコン51により報知(表示、音声又は警報)する、等の入浴状況サポートモードを付加することができる。出浴の確認は、入浴判定手段による判定が入浴中から入浴中ではなくなったことで確認することができる他、水位センサ46による検出水位が急低下することでも確認することができる。又、安心入浴スイッチが設けられている場合には、その安心入浴スイッチのオフ操作に基づく信号出力をもって、出浴の確認とすることができる。
【0041】
前記の出浴お知らせや、出浴時注意喚起を実行するための設定時間の時間値の設定は、浴槽湯温(設定温度)に基づいて定めることができ、あるいは、浴槽湯温に基づき設定された設定時間の値を浴槽水位の如何により修正することができる。浴槽湯温と設定時間の時間値との関係としては、例えば、浴槽湯温(設定温度)が41℃でかつ浴槽水位が例えば40cmのときを標準ケースとして定め、これに対する基準の推奨時間値(設定時間値)として例えば10分間を定め、浴槽湯温がそれ以上に高温域であれば熱中症予防の観点から推奨時間値をより短く変更する一方、浴槽湯温がそれ未満の低温域であれば、ユーザーがクールダウン浴を意図していると判定して推奨時間値をより長く(長湯を許容)変更することができる。なお、設定時間の時間値は予め記憶設定した固定値としてもよく、又、リモコン51,52に対しユーザーが所望の時間値を入力設定可能としてもよい。
【0042】
以上の出浴時注意喚起モードの実行により、出浴時の動作をゆっくりと行う旨の注意喚起を入浴者に適切かつタイムリーに案内することができ、ユーザーの安心入浴・安全入浴をより確実に担保して快適な入浴を図ることができる。すなわち、出浴お知らせに基づき慌てて出浴しようとしたり、あるいは、浴槽6内で静かに入浴継続することで血圧が低下しているにも拘わらず普通の動作で出浴しようとしたり、という行動をしがちなユーザーに対し、タイムリーかつ適切に注意喚起を与えることができ、例えば立ちくらみ等の入浴に伴う不測の事態発生の未然防止に寄与することができる。
【0043】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。図5に示したフローチャートでは入浴時間が設定時間に達すると、出浴時注意喚起を出浴お知らせに併せて行うようにしているが、これに限らず、出浴お知らせとは関係なく出浴時注意喚起モードを単独で実行させるようにすることができる。例えば、図6に例示するように、入浴中であることの判定結果に基づき(ステップS11でYES)、入浴時間の積算を開始し(ステップS12)、その入浴時間が所定の設定時間に達すれば(ステップS13でYES)、前述の実施形態と同様の出浴時注意喚起を実行する(ステップS15)。この場合、出浴の頃合いと予想されるタイミングで前述と同様の出浴時の注意喚起に係る情報をユーザーに報知することができ、これにより、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、入浴時間の経過とは関係なく、入浴中との判定結果が得られれば、繰り返し連続して、又は、所定時間経過毎に、あるいは、入浴者の状況(例えば入浴者を継続的に撮像することで入浴者の状況を監視するための入浴者状況判定手段による入浴者の状況)に応じて、出浴時注意喚起に係る情報を報知するようにしてもよい。
【0044】
前記実施形態では給湯装置1としてガス燃焼加熱式に構成されたものを例示したが、これに代えて、石油燃焼加熱式や、電気ヒータ加熱式に構成されたものでも本発明を適用することができる。又、ガスエンジンや燃料電池からの排熱回収もしくは太陽熱を回収して貯湯タンクに蓄熱し、これを熱源として給湯、注湯もしくは追焚等の機能を備えて構成された給湯装置、あるいは、ヒートポンプ加熱式に構成された給湯装置を用いて本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
5 制御部(入浴サポート手段、入浴意図判定手段、入浴判定手段)、
51 台所リモコン(入浴サポート手段、入浴意図判定手段、報知部、操作部)、
52 ふろリモコン(入浴サポート手段、入浴意図判定手段、入浴判定手段、報知部、操作部)、
53 人感センサ(入浴判定手段)、
54 専用リモコン(操作部)、
55 人感センサ(入浴意図判定手段)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6