(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】ビームプロファイルの判定方法およびイオンビーム照射装置
(51)【国際特許分類】
H01J 37/317 20060101AFI20220309BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
H01J37/317 C
H01L21/265 603Z
H01L21/265 603C
H01L21/265 T
(21)【出願番号】P 2019143149
(22)【出願日】2019-08-02
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】302054866
【氏名又は名称】日新イオン機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井内 裕
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-172927(JP,A)
【文献】特開2011-165421(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0078953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/317
H01L 21/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビームを横切って
外形が円形の基板を走査することで基板全面に前記イオンビームを照射するイオンビーム照射装置で用いられるビームプロファイルの判定方法で、
前記基板の走査方向と前記イオンビームの進行方向とに直交する方向で、前記イオンビームのビームプロファイルを測定し、
前記測定結果
と前記ビームプロファイルを測定した方向で連続的に変化する前記基板面への照射に利用される前記イオンビームの割合に基づいて
、前記基板面
内での前記イオンビームの照射量分布の均一性を算出し、
算出された前記照射量分布の均一性を基準値と比較して、前記ビームプロファイルの妥当性を判定するビームプロファイルの判定方法。
【請求項2】
前記照射量分布の均一性が前記基準値を上回る場合には、前記ビームプロファイルを再調整する、請求項1記載のビームプロファイルの判定方法。
【請求項3】
前記照射量分布の均一性が前記基準値を上回る場合には、
前記基板を前記基板面の法線周りに所定角度回転させることと、前記所定角度回転させた後に前記基板面へ前記イオンビームを照射することとを1または複数回実施する処理を行ったときの前記基板面内での前記イオンビームの当該処理時の照射量分布の均一性を算出し、
算出された前記処理時の照射量分布の均一性を前記基準値と比較する請求項1記載のビームプロファイルの判定方法。
【請求項4】
イオンビームを横切って
外形が円形の基板を走査することで基板全面に前記イオンビームを照射するイオンビーム照射装置において、
前記基板の走査方向と前記イオンビームの進行方向とに直交する方向で、前記イオンビームのビームプロファイルを測定するビームプロファイラと、
前記ビームプロファイラでの測定結果
と前記ビームプロファイルを測定した方向で連続的に変化する前記基板面への照射に利用される前記イオンビームの割合に基づいて
、前記基板面
内での前記イオンビームの照射量分布の均一性を算出し、
算出された前記照射量分布の均一性を基準値と比較して、前記ビームプロファイルの妥当性を判定する制御装置とを、具備したイオンビーム照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンビーム照射処理に用いられるイオンビームのビームプロファイルの妥当性を判定する方法と同方法が用いられるイオンビーム照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン注入装置やイオンビーム配向装置等に代表されるイオンビーム照射装置では、一方向において基板の寸法よりも長いイオンビームを横切って基板を機械的に走査することで基板全面へのイオンビーム照射処理が行われている。
【0003】
イオンビームを用いたイオンビーム照射処理において、イオンビームの進行方向と基板走査方向とに直交する方向でのビームプロファイルが基板への照射量分布に大きな影響を与える。
このことから、基板面内で均一なイオンビーム照射処理を実現するために、基板へのイオンビーム照射処理に先立ってイオンビームの進行方向と基板走査方向とに直交する方向でのビームプロファイルを均一に調整することが行われてきた。
なお、ここでいうビームプロファイルとは、ビーム電流あるいはビーム電流密度の分布のことである。
【0004】
ビームプロファイルの調整にあたっては、例えば特許文献1に開示されるような多極磁場を用いた調整手段が利用されている。また、磁場に代えて電場を用いた調整手段も利用されている。電場を用いる場合には、複数枚の電極を備えた調整手段が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数枚の電極や多極磁場を用いるビームプロファイルの調整は、調整に用いるパラメーターの数が多くなることから、調整が複雑となり時間を要する。
近年ではより高精度にビームプロファイルを均一にすることが要求されており、ビームプロファイルの調整工程は、以前にも増して時間を要する工程とされている。
【0007】
半導体製造工程では生産能力が重視されている。生産能力を向上させる点では、装置を安定稼動させるだけでなく、短時間での装置立ち上げも要求されている。
装置を立ち上げて基板処理ができる状態にするには、いくつかの調整作業が必要となる。この調整作業の一つに、ビームプロファイルの均一化調整も含まれている。
前述のごとく、近年ビームプロファイルの均一化調整は調整の複雑さから時間を要する工程とされており、この工程をいかにして短時間で済ませ、装置の立ち上げに要する時間を短縮するかの試行錯誤がなされている。
【0008】
本発明では、新たなビームプロファイルの判定方法を用いて、装置立上時間の短縮を図ることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
イオンビームを横切って基板を走査することで基板全面にイオンビームを照射するイオンビーム照射装置で用いられるビームプロファイルの判定方法で、
前記基板の走査方向と前記イオンビームの進行方向とに直交する方向で、前記イオンビームのビームプロファイルを測定し、
測定結果に基づいて前記基板が走査されたときに基板面に照射されるイオンビームの照射量分布の均一性を算出し、
算出された照射量分布の均一性を基準値と比較して、前記イオンビームのビームプロファイルの妥当性を判定する。
【0010】
基板処理に使用されるイオンビームのビームプロファイルの全体をみたときには均一性が多少悪い場合でも、基板に照射されるイオンビームのビームプロファイルだけに着目すると、基板面内での照射量の均一性は目標とする範囲内に収まっていることもある。例えば、基板の外形が円形状である場合、イオンビームの長さ方向でイオンビームの中央と端部で基板面への照射に利用される割合が異なっている等、必ずしも基板処理に使用されるイオンビームの全域が同程度で使用されるとは限られない。
【0011】
また、ビームプロファイルがイオンビームの端部と中央で相違している場合とビームプロファイルが全体にわたって凸凹している場合とで、ビームプロファイルの均一性が同じ値を取ることもあるが、基板面内での照射量分布の均一性はそれぞれ異なっている場合もある。
【0012】
基板面内での照射量分布を均一にすることが最終目的であることを考えれば、イオンビーム全体のビームプロファイルの均一性が少々悪くても問題にすべきではない。
このことから、本発明では、イオンビームが基板に照射されたときの基板面内での照射量分布を算出し、算出結果を基準値と比較した上でビームプロファイルの妥当性を判定している。
このような判定方法を用いることで、ビームプロファイルの過度な調整が不要となり、装置を短時間で立ち上げることが可能となる。
【0013】
一方、前記照射量分布の均一性が前記基準値を上回る場合には、前記イオンビームのビームプロファイルを再調整してもよい。
【0014】
また、照射量分布の均一性が基準値を上回った場合であっても、できるだけビームプロファイルの調整を省略したいという理由から、次の方法を採用してもよい。
【0015】
前記照射量分布の均一性が前記基準値を上回る場合には、
前記基板を基板面の法線周りに所定角度回転させることと、所定角度回転させた後に前記基板へのイオンビーム照射処理を行うこととを1または複数回実施したときの前記基板面内での照射量分布の均一性を算出し、
算出された照射量分布の均一性を基準値と比較する。
【0016】
上述した方法を用いれば、基板のツイスト角度を変更して、イオンビーム照射処理が行われるので、ツイスト角度を全く変更しない場合に比べて照射量分布の不均一性が緩和できることもある。
【0017】
イオンビーム照射装置としては、
イオンビームを横切って基板を走査することで基板全面にイオンビームを照射するイオンビーム照射装置で、
前記基板の走査方向と前記イオンビームの進行方向とに直交する方向で、前記イオンビームのビームプロファイルを測定するビームプロファイラと、
前記ビームプロファイラでの測定結果に基づいて前記基板が走査されたときに基板面に照射されるイオンビームの照射量分布の均一性を算出し、
算出された照射量分布の均一性を基準値と比較して、前記イオンビームのビームプロファイルの妥当性を判定する制御装置とを、具備した構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0018】
イオンビームが基板に照射されたときの基板面内での照射量分布を算出し、算出結果を基準値と比較した上でビームプロファイルの妥当性を判定しているので、ビームプロファイルの過度な調整が不要となり、装置を短時間で立ち上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】ビームプロファイルと照射量分布についての説明図
【
図3】ビームプロファイルの判定方法に係るフローチャート
【
図4】チルト角度が調整された場合のビームプロファイルと照射量分布についての説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
イオンビームを用いて基板処理を行うイオンビーム照射装置の代表例としてイオン注入装置が知られている。
図1はこのイオン注入装置の構成例を示す平面図である。イオン注入装置IMは、処理室7に輸送されるイオンビームIBに対して、基板8(例えば、外形が円形あるいは矩形の基板)を図の矢印方向へ機械的に往復走査することで基板全面へのイオン注入処理を実現する装置である。
【0021】
図1に図示されるXYZ軸の方向は処理室7に輸送されるイオンビームIBを基準にして設定されている。
Z方向は処理室7に輸送されるイオンビームIBの進行方向である。
X方向は基板8の走査方向と平行な方向である。
Z方向に垂直な平面(XY平面)でイオンビームIBを切断したとき、イオンビームIBの切断面は略長方形をしている。このような断面を有するイオンビームはリボンビームやシートビームとも呼ばれている。
【0022】
イオンビームIBの切断面において、イオンビームはX方向の寸法に比べてX方向とZ方向とに直交するY方向の寸法が長いことから、この明細書ではY方向をイオンビームIBの長さ方向と呼んでいる。
Y方向でのイオンビームIBの寸法は、同方向における基板8の寸法よりも長いため、イオンビームIBを横切って基板8を走査することで基板全面へのイオンビーム照射処理が実現される。
【0023】
このイオン注入装置IMは、
プラズマが生成されるプラズマチェンバ1と、
プラズマチェンバ1からイオンビームIBを引き出す引出電極2と、
引き出されたイオンビームIBに含まれる不要なイオン種と所望のイオン種とを異なる旋回半径をもって偏向する質量分析電磁石3と、
質量分析電磁石3で分離された不要なイオン種の下流側への進行を妨げる分析スリット4と、
分析スリット4を通過した所望イオン種を含むイオンビームの長さ方向(Y方向)で、ビームプロファイルの調整に利用される均一化レンズ5と、
均一化レンズ5を通過したイオンビームIBが所定のエネルギーとなるように加減速させながら、加減速の過程で生じた不所望なエネルギー成分の除去を行う静電偏向加減速管6とを具備している。
【0024】
処理室7には、イオンビームIBの長さ方向でのビームプロファイル(以下、特に断りがない限り、これをビームプロファイルと呼ぶ)を測定するためのビームプロファイラ9が配置されている。
ビームプロファイラ9は、例えば、Y方向に複数のファラデーカップが配列された多点ファラデーカップや単一あるいは複数のファラデーカップをY方向に移動させながらビームプロファイルの測定を行う移動式のファラデーカップである。
【0025】
ビームプロファイラ9での測定結果は制御装置10へ送信される。制御装置10は受信した測定結果をもとに、必要に応じてビームプロファイルの調整を行うべく、均一化レンズ5に調整用の指令信号を送信する。均一化レンズ5は、例えば、特許文献1に示される多極磁場のレンズ要素である。
【0026】
図2は、ビームプロファイルと照射量分布に係る説明図である。
図2(A)と
図2(B)では、各図の左側に描かれているビームプロファイルが相違しているが、各図の中央に描かれているようにビームプロファイルの全体を平均化したときの平均値や均一性の値は概略同じ値となる。
【0027】
このようなイオンビームに対して、図の左右方向へ基板を走査したときの照射量分布が各図の右側に描かれている。基板面の濃淡はイオンビームの照射量に対応しており、濃い色ほどイオンビームの照射量が多い。
ここでは、説明を簡略化するために、基板走査速度が一定であることが想定されているため、基板面内での照射量分布において図の左右方向での照射量に変動はないものとしている。
【0028】
図2(A)の右側に描かれている照射量分布をみれば、上下端ではやや色が濃い部分があるが、この部分の基板全体に占める割合は少なく、基板全体では同程度の濃淡がついていることから、照射量分布についてはある程度の均一性が達成できていると言える。
一方、
図2(B)の右側に描かれている照射量分布をみれば、上下方向に縞状の濃淡がついており、
図2(A)の照射量分布に比べると明らかに均一であるとは言い難い。
このように、ビームプロファイルの均一性がほぼ同じだとしても、照射量分布の均一性が大きく異なっている場合もある。
【0029】
基板面内での照射量分布を均一にすることが最終目的であることを考えれば、ビームプロファイルの均一性が少々悪くても問題にすべきではなく、最終目的が達成できるのであれば、ビームプロファイルの均一性を過度に良くするための調整は必要ではない。
このことから、本発明では、最終目的である基板面内での照射量分布を考慮して、ビームプロファイルの調整要否を判定し、過度なビームプロファイルの均一性の調整を避けて、装置の立ち上げ時間の短縮を図っている。
【0030】
なお、ここで述べた照射量分布の均一性は、ビームプロファイラで測定されたビームプロファイルのデータを単純に平均化し、平均化されたビーム電流密度の値をもとに算出されたものではない。
本発明の照射量分布の均一性は、基板面内の各場所に対応するイオンビームを投影して、投影されたイオンビームのビーム電流密度の値を平均化して算出されている。以下に、この算出方法についての具体例を述べる。
【0031】
まず、イオンビームが照射される基板面を
図2の右側に描かれているような縞状に細分化する。細分化にあたっては、縞状は一例であって、格子状に領域分けを行ってもよく、その他の分け方を採用してもよい。
次に、ビームプロファイルの測定結果をもとに、各領域に照射されるイオンビームのビーム電流密度を算出し、算出されたビーム電流密度の平均値を計算する。この平均値と各領域に対応するビーム電流密度の値をもとに標準偏差を算出して、照射量分布の均一性を求めている。
【0032】
注入処理時の基板の走査速度、イオンビームを横切る基板の走査回数は、基板上の全照射領域での平均ビーム電流密度の値に基づいて設定してもよい。
【0033】
以下、
図3のフローチャートを用いて具体的な処理について説明する。
【0034】
まず、ビームプロファイラ9でビームプロファイルを測定する(S1)。つぎに、測定されたビームプロファイルをもとに、基板面内での照射量分布の均一性を計算する(S2)。算出された均一性を予め設定された基準値と比較し(S3)、基準値を下回った場合には基板面内での照射量分布の均一性が良好と判定して、現在のビームプロファイルを調整せずに、イオン注入処理を開始する(S4)。
【0035】
一方、算出された均一性が基準値以上であれば、現在のビームプロファイルが悪いと判定して、ビームプロファイルの調整を行うようにしてもよい。
【0036】
しかしながら、現在のビームプロファイルの調整を行う前に、ステップ注入を行うことで照射量分布の均一性が改善できることもある。
ステップ注入とは、従来から知られているイオン注入の手法であり、注入処理の途中で基板にイオンビームが照射されていない位置で基板のツイスト角度を変更して、イオン注入処理を再開する手法である。
【0037】
ツイスト角度の変更と角度変更後のイオン注入処理は所定回数繰り返し行われる。具体例を挙げて説明すると、基板を90°ずつ360°回転するまでステップ回転させてイオン注入処理を行う場合、ステップ注入は4回行われることになる。なお、ステップ回転するときに基板を回転させる回転軸は基板面の法線と平行な関係にあり、基板中心周りに基板の回転が行われる。
【0038】
このステップ注入を行うことで、イオンビームに対して走査される基板のツイスト角が変更されて、基板上の照射領域が重ね塗りされて平均化されるために、基板面内での照射量分布の均一性はいくらか改善される場合もある。
【0039】
図3のフローチャートのように、このステップ注入を用いたときの照射量分布の均一性を計算により求め、算出された均一性と基準値とを比較する(S5)、といった処理をS3処理の後に設けておいてもよい。ただし、この処理S5を設けることは本発明において必須ではなく、S3処理の後に照射量分布の均一性が基準値以上である場合には、ビームプロファイルの再調整を行うようにしてもよい。
【0040】
ステップ注入時の照射量分布の均一性と基準値とを比較し(S5)、基準値以上であると判定されたときにはステップ注入を用いてイオン注入処理を開始する(S7)。そうでない場合には、現在のビームプロファイルを調整する(S6)。
【0041】
上記した本発明の構成であれば、ビームプロファイルが最終的に妥当ではないと判定された場合に限り、ビームプロファイルの調整工程を実施するようにしているので、ビームプロファイルの余計な調整を極力省略することができる。
【0042】
図1に描かれるイオン注入装置IMの構成は一例であって、本発明が適用されるイオン注入装置としては、最低限、ビームプロファイラ9と均一化レンズ5とを備えていればよい。
また、上記実施形態では、イオン注入装置IMを例に説明したが、イオンビームを用いて基板へのイオンビーム照射処理を行うイオンビーム照射装置で、ビームプロファイルの調整手段を備えた装置であれば、本発明を適用することができる。
さらに、ステップ注入を用いた手法は、イオン注入装置にのみ適用されるものではなく、他のイオンビーム照射装置についても適用することができる。
【0043】
上記実施形態では、外形が円形の基板を例に挙げて説明したが、基板の形状は円形である必要はなく、矩形や他の形状であってもよい。
【0044】
上記実施形態において、現在のビームプロファイルが悪いと判定して、ビームプロファイルの調整を行う場合、イオンビーム全体のビームプロファイルを調整する必要はない。基板処理では基板に照射されるイオンビームの領域だけが必要となるため、基板処理に必要な領域だけを対象にして、イオンビームのビームプロファイル調整を行うようにしてもよい。
例えば、円形の基板が
図4のごとくX軸周りに回転されてチルト角度が設定されている場合、中央に描かれているビーム電流の領域ごとの平均値を表すグラフにおいて、ハッチングされている部分のイオンビームは基板に照射されない領域であるため、この領域でのビームプロファイルの調整を行わないようにしてもよい。
【0045】
また、通常取り扱う基板の寸法よりも小さな寸法の基板を取り扱う場合にも、上述したチルト角度を設定したときのように、基板に照射されないイオンビームの領域がイオンビーム全体の大部分を占めることが起こりえる。
このような場合には、チルト角度を設定したときの例と同じく、基板に照射されない領域のビームプロファイルの調整を省略し、ビームプロファイルの調整に用いるパラメーターの数を減らすようにしてもよい。
【0046】
照射量分布の均一性を求める際、
図2や
図4の実施形態では基板面を縞状に領域分けしているが、ステップ注入を行う場合にはより複雑な領域分けが行われる。
【0047】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
5 均一化レンズ
9 ビームプロファイラ
10 制御装置