(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】天井点検蓋の落下防止構造
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20220309BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
E04F19/08 101E
E04F19/08 101G
E04B9/00 Z
(21)【出願番号】P 2018070670
(22)【出願日】2018-04-02
【審査請求日】2021-03-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年3月2日、株式会社ハウステックのパンフレット
(73)【特許権者】
【識別番号】000155207
【氏名又は名称】株式会社明工
(73)【特許権者】
【識別番号】301050924
【氏名又は名称】株式会社ハウステック
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】山元 則之
(72)【発明者】
【氏名】松井 俊憲
【審査官】津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-232454(JP,A)
【文献】特開平10-037447(JP,A)
【文献】特開2012-013338(JP,A)
【文献】特開平08-053930(JP,A)
【文献】特開2017-066823(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1751650(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
E04B 9/00
E04B 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井の点検口に設けられた点検蓋の落下を防止するため、一端部が天井裏に固定され、他端部が掛止金具によって前記点検蓋に掛止されるロープが備えられた天井点検蓋の落下防止構造であって、
前記掛止金具は、前記ロープが挿通されるロープ挿通孔を備えるとともに、前記点検蓋に係合可能な鉤部を備えた連結金具と、前記ロープ挿通孔に挿通した前記ロープの他端部の先端に固定され、前記鉤部に係合可能な開孔部を備えた端子とからなり、
前記連結金具の鉤部を前記点検蓋に形成された係合孔に挿通した状態で、前記端子の開孔部を前記鉤部に係合させることにより、前記ロープの他端部が前記点検蓋に掛止されていることを特徴とする天井点検蓋の落下防止構造。
【請求項2】
前記連結金具は、基板と、この基板の一方側位置に前記基板に対して垂直に配置され、前記ロープ挿通孔が形成されたロープ挿通板部と、前記基板の他方側に延出する前記鉤部とを備え、
前記鉤部は、前記基板の上方側に垂直に突出する基端側垂直部と、前記基端側垂直部の上端から連続して前記基板から離れる方向に延びる延出部と、前記延出部の先端から連続して下方側に垂直に延びる先端側垂直部とを備えている請求項1記載の天井点検蓋の落下防止構造。
【請求項3】
前記基板とロープ挿通板部とは、前記基板の側方に設けられた側板で連結され、前記基板とロープ挿通板部との間に、前記点検蓋を厚み方向に狭持可能な幅のスリットが前記基板の面方向に沿って形成されている請求項2記載の天井点検蓋の落下防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニット等の天井の点検口に設けられる点検蓋の落下を防止するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室ユニット等には、天井裏に設置された付帯設備の保守・点検等のため、天井パネルに点検口が設けられ、この点検口に点検蓋が装着されている。
【0003】
前記点検蓋は、周縁部に側方に張り出したフランジを備え、このフランジが点検口の縁部にパッキンを介して上側から係合することにより、天井パネルに保持される。
【0004】
天井裏の保守・点検等のため前記点検蓋を取り外した際、意図せずに点検蓋が落下するのを防止するため、一般に天井パネルと点検蓋とをロープで繋ぐ対策が施されており、これに関するいくつかの先行文献が開示されている。
【0005】
例えば、下記特許文献1においては、点検口に臨む天井パネル裏に補強材を固定し、この補強材にロープの一端部を掛止し、ロープの他端部を弾性金具で蓋の縁のシール材の外側部分に掛止した構造が開示されている。前記弾性金具は、ロープを通すループと、前記ループから左右対称に下方に延出される第1の脚部及び第2の脚部と、前記第1の脚部及び第2の脚部の先端を連結する連結部とから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載の構造において、前記ロープの一端部に、ループが形成された金具が固定されるとともに、この金具のループにビスを通し天井パネル裏の補強材に固定することによって、前記ロープの一端部が天井裏に固定されている。一方、前記ロープの他端部は、前記弾性金具の連結部側から前記第1の脚部及び第2の脚部を、蓋のフランジのコーナー部に形成されたスリットに差し込んだ状態で、前記スリットを挿通した前記第1の脚部、第2の脚部及び連結部によって形成された広いループに前記ロープを挿通した後、前記弾性金具のループに挿通し、このループを挿通した先端部にかしめ金具を固定することによって、該ロープの他端部が前記ループから抜けないように取り付けられている。
【0008】
このように、上記特許文献1記載の構造では、予め、前記ロープの一端部を天井裏の補強材に固定しておき、点検口から垂下したロープの他端部に蓋を取り付ける際、前記ロープの他端部を前記弾性金具の広いループ及びループにそれぞれ挿通した後、工具を用いて先端部にかしめ金具を固定する必要があり、取付作業が非常に困難で時間がかかっていた。また、蓋の取り付けに際しては、蓋を手で持って保持しておく作業員と、ロープの先端部に工具でかしめ金具を固定する作業員の2人が必要となっていた。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、天井の点検口に点検蓋を取り付ける作業に際し、1人で簡単に取り付けることができるようにした天井点検蓋の落下防止構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、天井の点検口に設けられた点検蓋の落下を防止するため、一端部が天井裏に固定され、他端部が掛止金具によって前記点検蓋に掛止されるロープが備えられた天井点検蓋の落下防止構造であって、
前記掛止金具は、前記ロープが挿通されるロープ挿通孔を備えるとともに、前記点検蓋に係合可能な鉤部を備えた連結金具と、前記ロープ挿通孔に挿通した前記ロープの他端部の先端に固定され、前記鉤部に係合可能な開孔部を備えた端子とからなり、
前記連結金具の鉤部を前記点検蓋に形成された係合孔に挿通した状態で、前記端子の開孔部を前記鉤部に係合させることにより、前記ロープの他端部が前記点検蓋に掛止されていることを特徴とする天井点検蓋の落下防止構造が提供される。
【0011】
上記請求項1記載の発明では、ロープの他端部を点検蓋に掛止する際の掛止金具に特徴を有している。前記掛止金具は、前記ロープが挿通されるロープ挿通孔を備えるとともに、前記点検蓋に係合可能な鉤部を備えた連結金具と、前記ロープ挿通孔に挿通した前記ロープの他端部の先端に固定され、前記連結金具の鉤部に係合可能な開孔部を備えた端子とから構成されている。かかる掛止金具によってロープの他端部を点検蓋に掛止するには、前記連結金具の鉤部を前記点検蓋に形成された係合孔に挿通した状態で、前記端子の開孔部を前記鉤部に係合させることにより成すことができる。このように、前記連結金具の鉤部と前記端子の開孔部とを手で係合させるだけでロープの他端部を点検蓋に掛止できるので、この取付作業において一切の工具を必要とせず、1人の作業員で簡単に取り付けができるようになる。
【0012】
請求項2に係る本発明として、前記連結金具は、基板と、この基板の一方側位置に前記基板に対して垂直に配置され、前記ロープ挿通孔が形成されたロープ挿通板部と、前記基板の他方側に延出する前記鉤部とを備え、
前記鉤部は、前記基板の上方側に垂直に突出する基端側垂直部と、前記基端側垂直部の上端から連続して前記基板から離れる方向に延びる延出部と、前記延出部の先端から連続して下方側に垂直に延びる先端側垂直部とを備えている請求項1記載の天井点検蓋の落下防止構造が提供される。
【0013】
上記請求項2記載の発明は、前記連結金具のより詳細な構造である。前記鉤部の基端側がクランク状に形成され、先端側がフック状に形成されることにより、この鉤部に前記端子の開孔部を係合させた状態で、端子が鉤部から外れにくく、連結金具と端子との掛止状態が維持できるとともに、前記開孔部が前記基端側垂直部と延出部とによって形成されるクランク状に形成された部分に掛止されることにより、点検蓋が落下したときでも端子が鉤部から外れにくく、点検蓋を確実にロープで懸架できるようになる。
【0014】
請求項3に係る本発明として、前記基板とロープ挿通板部とは、前記基板の側方に設けられた側板で連結され、前記基板とロープ挿通板部との間に、前記点検蓋を厚み方向に狭持可能な幅のスリットが前記基板の面方向に沿って形成されている請求項2記載の天井点検蓋の落下防止構造が提供される。
【0015】
上記請求項3記載の発明では、基板とロープ挿通板部とを基板の側方に設けた側板で連結することにより、前記基板とロープ挿通板部との間に、前記点検蓋を厚み方向に狭持可能なスリットが形成されている。これによって、前記掛止金具を点検蓋に装着した状態で、前記連結金具を回転させて前記スリットに点検蓋を挟持させることにより掛止金具の納まりが良好となる。
【発明の効果】
【0016】
以上詳説のとおり本発明によれば、天井の点検口に点検蓋を取り付ける作業に際して、1人で簡単に取り付けることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る天井点検蓋の落下防止構造を備えた浴室ユニット30を示す天井パネル31の裏面側の平面図である。
【
図2】点検蓋37の懸架状態における浴室ユニット30の縦断面図である。
【
図3】点検蓋37が装着された点検口36の断面図である。
【
図7】連結金具4を示す、(A)は正面図、(B)は上面図、(C)は側面図である。
【
図10】掛止金具1の取付要領図(その2)である。
【
図11】掛止金具1の取付要領図(その3)である。
【
図12】掛止金具1の取付要領図(その4)である。
【
図13】掛止金具1の取付要領図(その5)である。
【
図14】掛止金具1の取付要領図(その6)である。
【
図15】掛止金具1の取付要領図(その7)である。
【
図16】掛止金具1の取付状態を示す斜視図である。
【
図17】掛止金具1の納まり状態を示す斜視図である。
【
図18】掛止金具1の納まり状態における連結金具4を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0019】
本発明に係る天井点検蓋の落下防止構造の適用例として、
図1及び
図2に示されるように、浴室ユニット30を例に挙げて説明する。前記浴室ユニット30は、一般に、一方側に浴槽32が設置されるとともに他方側が洗い場として使用される防水パン31と、前記防水パン31の周縁部に起立して固定される壁パネル33、33…と、前記壁パネル33、33…の上端部に固定される天井パネル34とによって略矩形の箱体からなる外形で形成されている。
【0020】
前記天井パネル34は、
図3及び
図4に示されるように、薄い鋼板34aの裏面に補強用の石膏ボード34bが接着されて構成されている。前記天井パネル34の背部には、換気扇等の付帯設備35が設置され、この付帯設備35の保守・点検等のため、前記天井パネル34に点検口36が設けられている。前記点検口36は、浴室ユニット30の内側から着脱可能とされた点検蓋37によって覆われている。前記点検口36の周縁には、
図3に示されるように、天井パネル34から連続して裏面側に起立する起立片34cが形成されている。
【0021】
前記点検蓋37は、
図3及び
図4に示されるように、前記天井パネル34と同様に、薄い鋼板37aの裏面に補強用の石膏ボード37bが接着されて構成されている。前記点検蓋37の周縁には、裏面側に突出する段差部37cが設けられるとともに、その先端から外方側に延出して前記点検口36の周縁に形成された起立片34cと係合するフランジ37dが設けられている。
図4に示されるように、前記フランジ37dの表面側(前記起立片34cとの対向面側)には、全周に亘ってパッキン38が取り付けられ、前記点検蓋37を点検口36に装着した状態で、前記パッキン38が、前記点検口36の周縁に形成された起立片34cの先端に密着することにより、浴室ユニット30の内側の空気が天井裏に漏れないようになっている。
【0022】
前記点検蓋37は、上方から前記点検口36に嵌合しただけの状態、すなわち点検蓋37のフランジ37dが前記点検口36周縁の起立片34cに前記パッキン38を介して載置されただけの状態としてもよいし、所定の固定手段を用いて天井パネル34に固定してもよい。前記点検蓋37の固定手段としては、例えば、
図4に示されるように、前記点検蓋37の前記フランジ37dに対して、各辺の中央部にそれぞれネジ孔37eを形成するととも、これに対応する天井パネル34の点検口36の周縁部に通孔(図示せず)を形成しておき、前記点検口36に点検蓋37を装着した状態で、天井パネル34の表面側(浴室内側)からのビス止めによって行うことができる。
【0023】
また、前記点検蓋37のフランジ37dには、後段で詳述する連結金具4が係合可能な係合孔37fが形成されている。前記係合孔37fの補強のため、前記フランジ37dの裏面側に、前記係合孔37fと連通する開孔を備えた補強部材37g(
図6参照。)を接合するのが好ましい。
【0024】
前記点検口36の近傍位置における前記天井パネル34の裏面側には、矩形断面の棒材又は板材からなる補強材39が固定されている。
【0025】
本発明に係る天井点検蓋の落下防止構造は、
図1、
図2及び
図5に示されるように、前記点検蓋37の落下を防止するため、一端部が天井側端子3によって天井裏に固定されるとともに、他端部が掛止金具1によって前記点検蓋37に掛止されるロープ2が備えられている。
【0026】
前記ロープ2は、前記点検蓋37が天井から落下した際、
図2に示されるように、床まで落ちることなく空中で懸架可能な長さで形成され、その際の衝撃力にも耐える強度を備えたナイロンなどの樹脂材やステンレスなどからなるワイヤーロープで構成されている。前記ロープ2の両端部にはそれぞれ、前記天井側端子3及び掛止金具1が備えられている。
【0027】
前記天井側端子3は、
図5に示されるように、基端側に前記ロープ2の一端部を挿入可能な通孔3aが形成されるとともに、この通孔3aの軸方向外方側に突出した部分の中央部にビスが挿通可能な開孔部3bが形成された金具である。前記通孔3aに前記ロープ2の一端部を挿入した状態で、前記通孔3aの外周側から、前記通孔3aを形成する金具部分及びロープ2を一体的に加圧して、前記通孔3aを形成する金具部分の外周部に窪み部3cを形成することにより、前記ロープ2の一端部に天井側端子3がカシメて固定されている。
【0028】
図1及び
図2に示されるように、前記ロープ2の一端部は、前記天井側端子3の開孔部3bにビスを通して補強材39に固定することにより、天井裏に固定されている。
【0029】
前記掛止金具1は、
図5及び
図6に示されるように、前記ロープ2が挿通されるロープ挿通孔5を備えるとともに、前記点検蓋37に係合可能な鉤部6を備えた連結金具4と、前記ロープ挿通孔5に挿通したロープ2の他端部の先端に固定され、前記鉤部6に係合可能な開孔部8を備えた蓋側端子7とから構成されている。
【0030】
前記連結金具4は、詳細には
図7及び
図8に示されるように、平面視略矩形に形成された基板10と、この基板10の一方側位置に前記基板10に対して垂直に配置され、ほぼ中央部に前記ロープ挿通孔5が形成されたロープ挿通板部11と、前記基板10の他方側に延出する前記鉤部6とを備えている。前記ロープ挿通板部11は、前記基板10より一方面側(上面側)に突出して配置されている。また、前記鉤部6も、前記基板10より一方面側(上面側)に突出する鉤状に形成されている。これによって、前記基板10の他方面側(下面側)は、ほぼ平坦に形成されている。
【0031】
前記ロープ挿通孔5の径は、前記ロープ2が簡単に挿通できるとともに、前記ロープ2を挿通した状態で連結金具4がロープ2を容易に移動できる大きさで形成されている。好ましくは、前記蓋側端子7の通孔7aを形成する金具部分の外周部が挿入可能な大きさで形成するのがよい。
【0032】
前記ロープ挿通板部11は、前記基板10に対して、側方に設けられた側板12によって連結するのが好ましく、前記基板10とロープ挿通板部11との間には、後段で詳述するように、所定のスリット13を形成するのが好ましい。
【0033】
前記鉤部6は、
図7(A)に示されるように、前記基板10の上方側に垂直に突出する基端側垂直部6aと、前記基端側垂直部6aの上端から連続して前記基板10から離れる方向に延びる延出部6bと、前記延出部6bの先端から連続して下方側に垂直に延びる先端側垂直部6cとを備えることにより、前記基板10から基端側垂直部6aを通って延出部6bに至る部分が、それぞれほぼ直角に折れ曲がったクランク状に形成されるとともに、前記延出部6bの先端から先端側垂直部6cにかけての部分が、ほぼ直角に折れ曲がったフック状に形成されている。
【0034】
前記鉤部6が延出する方向は、前記ロープ挿通孔5を挿通したロープ2が延びる方向と一致するように、前記ロープ挿通板部11の平面に対して垂直な方向とするのが好ましい。
【0035】
前記鉤部6は、前記基板10より幅狭に形成され、基端側垂直部6aまで挿入された前記点検蓋37の係合孔37f及び前記蓋側端子7の開孔部8がそれぞれ、基板10まで挿入できない構造となっている。また、前記鉤部6は、前記係合孔37f及び開孔部8にそれぞれ係合しやすいように、基端側より先端側の方が幅狭に形成するのが好ましい。
【0036】
前記蓋側端子7は、
図5に示されるように、前記天井側端子3と同様に、基端側に前記ロープ2の他端部を挿入可能な通孔7aが形成され、この通孔7aの軸方向外方側に突出した部分の中央部に前記鉤部6が挿通可能な開孔部8が形成された金具である。前記通孔7aに前記ロープ2の他端部を挿入した状態で、前記通孔7aの外周側から、前記通孔7aを形成する金具部分及びロープ2を一体的に加圧して、前記通孔7aを形成する金具部分の外周部に窪み部7bを形成することにより、前記ロープ2の他端部に蓋側端子7がカシメて固定されている。
【0037】
前記蓋側端子7は、前記開孔部8が形成された先端側の金具部分が前記ロープ挿通孔5に挿通不能な大きさ(幅)で形成するのが好ましい。これにより、
図5に示されるように、ロープ挿通孔5にロープ2を挿通してロープ2を移動自在に備えられた連結金具4が、前記ロープ2の他端部の先端に固定された蓋側端子7によって脱落するのが防止でき、点検蓋37の掛止作業において、予め、天井側端子3を天井裏に固定しておき、前記掛止金具1が備えられたロープ2の他端部を天井から吊り下げた状態とした場合でも、前記連結金具4がロープ2から抜け落ちるのが防止でき、作業性がより一層良好となる。
【0038】
次に、前記掛止金具1を点検蓋37に取り付ける手順について、
図9~
図15に基づいて説明する。前記点検蓋37の取り付けに際しては、前記ロープ2の両端にそれぞれ前記天井側端子3及び掛止金具1を取り付けた状態で、予め、前記天井側端子3を補強材39にビス止めすることによって前記ロープ2の一端部を天井裏に固定しておくとともに、前記掛止金具1が取り付けられたロープ2の他端部を天井から吊り下げた状態(
図5に示されるような状態)としておく。
図9~
図15では、点検蓋37のフランジ37dに接合されるパッキン38の図示が省略されているが、取付作業に当たっては、このパッキン38を係合孔37fの周辺だけめくりながら行うなどの処理が必要である。
【0039】
このような状態のロープ2に点検蓋37を持ち込み、
図9に示されるように、点検蓋37の係合孔37fに、点検蓋37の表面側から、連結金具4の鉤部6の先端を挿入する。フック状に形成された先端側垂直部6cと延出部6bとの接続部では、連結金具4をほぼ直角に回転させながら挿入する。
【0040】
図10に示されるように、鉤部6の延出部6bの基端側まで挿入したならば、
図11に示されるように、前記延出部6bの延出方向を回転軸として、連結金具4を180°回転させた後、クランク状に形成された部分のうち、延出部6bと基端側垂直部6aとの接続部において、連結金具4をほぼ直角に回転させながら、基端側垂直部6aの基端部まで挿入する(
図12)。これによって、連結金具4の基板10が点検蓋37の表面側に位置し、鉤部6が係合孔37fを通って点検蓋37の裏面側に位置するようになる。
【0041】
このようにして連結金具4の鉤部6の基端側まで係合孔37fに挿入し終えたならば、次いで、
図12に示されるように、前記鉤部6に蓋側端子7を係合させる。前記蓋側端子7の係合は、蓋側端子7の開孔部8を連結金具4の鉤部6の先端に挿入した後、鉤部6の折れ曲がりに合わせて蓋側端子7を回転させるとともに、
図13に示されるように、鉤部6の延出部6bに沿ってすべらせるようにして基端側まで移動させる。このとき、ロープ2を連結金具4のロープ挿通孔5から引き抜くようにして、前記蓋側端子7の回転や移動に伴ってロープ2が弛まないようにするのが好ましい。
【0042】
その後、
図14に示されるように、更に蓋側端子7を回転して、延出部6bと基端側垂直部6aとのほぼ直角に折れ曲がった接続部を通過させ、
図15に示されるように、蓋側端子7の開孔部8が鉤部6の基端側垂直部6aに係合するように、ロープ2を手で引っ張る。これにより、点検蓋37に掛止金具1を掛止する作業が完了する。
図16は、完了した状態を示す斜視図である。
【0043】
以上の手順によって、点検蓋37が掛止金具1を介してロープ2の他端部に懸架される。この取付作業において、工具は一切必要なく、連結金具4の鉤部6と蓋側端子7の開孔部8とを手で係合させるだけなので、1人の作業員で簡単に取り付けができるようになる。
【0044】
本発明に係る構造では、ロープ2の他端部に固定された蓋側端子7が、点検蓋37の係合孔37fに係合した連結金具4の鉤部6に係合することによって、ロープ2と点検蓋37とが連結されている。すなわち、前記連結金具4の鉤部6がクランク状の折れ曲がり部とフック状の折れ曲がり部とが連設された構造を成し、この鉤部6を点検蓋37の係合孔37fに係合させた後、更にその外側に蓋側端子7の開孔部8を係合させているため、連結金具4の鉤部6から点検蓋37の係合孔37fが脱落しにくく、掛止金具1によってロープ2と点検蓋37とが連結した状態が維持できるようになる。
【0045】
また、
図6に示されるように、ロープ2によって点検蓋37が吊り下げられた状態では、蓋側端子7が連結金具4の鉤部6の基端側垂直部6aに係合し、同じく基端側垂直部6aに係合した点検蓋37が、前記蓋側端子7、基端側垂直部6a及び連結金具4の基板10によって形成された略コの字形のフック部の内側に嵌合しているため、点検蓋37の脱落がより確実に防止できるようになっている。
【0046】
掛止金具1による連結状態において、
図15に示されるように、蓋側端子7の通孔7aの外周の金具部分が、連結金具4のロープ挿通孔5に挿入可能に形成するのが好ましい。これによって、蓋側端子7が遊動できる幅が小さくなり、蓋側端子7が連結金具4の鉤部6から更に脱落しにくくなるとともに、連結金具4のロープ挿通孔5の周縁部がロープ2に接触してロープ2が破断するのが防止できる。
【0047】
前記掛止金具1は、納まり状態において、
図17及び
図18に示されるように、連結金具4を前記側板12の設置側と反対方向に90°回転させ、連結金具4が点検蓋37から大きく突出しないようにするのが好ましい。このとき、連結金具4の基板10とロープ挿通板部11との間に、
図7及び
図8に示されるように、前記点検蓋37のフランジ37dを厚み方向に狭持可能な幅のスリット13が形成されるようにするのが好ましい。前記スリット13は、基板10の面方向に沿って、前記側板12の設置側と反対側の端縁から前記側板12にかけて連結金具4のほぼ全幅に亘って形成されている。前記連結金具4を90°回転させた納まり状態では、前記スリット13に点検蓋37のフランジ37dが挿入されるとともに、フランジ37dの周縁に側板12が当接している。このため、掛止金具1が点検蓋37のフランジ37dより平面方向の外側にほとんど突出せず、フランジ37dのほぼ幅内に配置されるようになる。
【0048】
また、前記連結金具4が前記基板10の下面側が平坦に形成されているため、前記掛止金具1を点検蓋37のフランジ37dに取り付けた状態で、前記点検蓋37の表面側には、連結金具4の基板10がフランジ37dの平面とほぼ平行に積層された状態で配置され、掛止金具1のその他の部位は点検蓋37の裏側に配置されるため、フランジ37dの表面側に取り付けられたパッキン38の邪魔にならずに納まりが良くなる。
【符号の説明】
【0049】
1…掛止金具、2…ロープ、3…天井側端子、4…連結金具、5…ロープ挿通孔、6…鉤部、7…蓋側端子、8…開孔部、10…基板、11…ロープ挿通板部、12…側板、13…スリット、30…浴室ユニット、31…防水パン、32…浴槽、33…壁パネル、34…天井パネル、35…付帯設備、36…点検口、37…点検蓋、38…パッキン