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特許7037156連結紐体の連結解除装置及びその連結解除方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】連結紐体の連結解除装置及びその連結解除方法
(51)【国際特許分類】
   F16G 11/12 20060101AFI20220309BHJP
   E04G 23/08 20060101ALN20220309BHJP
【FI】
F16G11/12 A
E04G23/08 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019015662
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020122542
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】509185446
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ・メンテナンス新潟
(73)【特許権者】
【識別番号】514279149
【氏名又は名称】井川 寛之
(73)【特許権者】
【識別番号】595072664
【氏名又は名称】末陰産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(74)【代理人】
【識別番号】100201237
【氏名又は名称】吉井 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雄一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 司
(72)【発明者】
【氏名】井川 寛之
(72)【発明者】
【氏名】末陰 孝博
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-200325(JP,A)
【文献】特開平11-270028(JP,A)
【文献】特開平07-119799(JP,A)
【文献】実開平04-088545(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 11/12
E04G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の紐体を緊張状態で連結して成る連結紐体の前記連結を解除する連結解除装置であって、設置可能な基体を有し、この基体には支持体が設けられ、この支持体には、前記左右の紐体のうちの一方を保持する第一保持部が前記支持体に対して往復動自在に設けられ、また、前記支持体には、前記左右の紐体のうちの他方を保持する第二保持部が前記第一保持部の往復動方向に所定の間隔を置いて対設され、前記第一保持部は、前記第二保持部に対して油圧装置若しくはモータにより接近可能に設けられ、更に、前記第一保持部及び前記第二保持部夫々は、前記左右の紐体の先端部間に位置する両者の連結部を水平状態に保持する構成であり、前記第一保持部には、前記右の紐体に被嵌保持する紐体被嵌保持部と、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部とが対設され、また、前記第二保持部には、前記左の紐体に被嵌保持する紐体被嵌保持部と、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部とが対設されていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置。
【請求項2】
左右の紐体を緊張状態で螺着連結して成る連結紐体の前記螺着連結を解除する連結解除装置であって、設置可能な基体を有し、この基体には支持体が設けられ、この支持体には、前記左右の紐体のうちの一方を保持する第一保持部が前記支持体に対して往復動自在に設けられ、また、前記支持体には、前記左右の紐体のうちの他方を保持する第二保持部が前記第一保持部の往復動方向に所定の間隔を置いて対設され、前記第一保持部は、前記第二保持部に対して油圧装置若しくはモータにより接近可能に設けられ、更に、前記第一保持部及び前記第二保持部夫々は、前記左右の紐体の先端部間に位置する両者の連結部を水平状態に保持する構成であり、前記第一保持部には、前記右の紐体に被嵌保持する紐体被嵌保持部と、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部とが対設され、また、前記第二保持部には、前記左の紐体に被嵌保持する紐体被嵌保持部と、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部とが対設されていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置。
【請求項3】
先端部に雄螺子部が設けられた右の紐体と、先端部に雌螺子部が設けられた左の紐体とを緊張状態で連結して成る連結紐体の前記連結を解除する連結解除装置であって、設置可能な基体を有し、この基体には支持体が設けられ、この支持体には、前記左右の紐体のうちの一方を保持する第一保持部が前記支持体に対して往復動自在に設けられ、また、前記支持体には、前記左右の紐体のうちの他方を保持する第二保持部が前記第一保持部の往復動方向に所定の間隔を置いて対設され、前記第一保持部は、前記第二保持部に対して油圧装置若しくはモータにより接近可能に設けられ、更に、前記第一保持部及び前記第二保持部夫々は、前記左右の紐体の先端部間に位置する両者の連結部を水平状態に保持する構成であり、前記第一保持部には、前記右の紐体に被嵌保持する紐体被嵌保持部と、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部とが対設され、また、前記第二保持部には、前記左の紐体に被嵌保持する紐体被嵌保持部と、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部とが対設されていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置。
【請求項4】
先端部に雄螺子部が設けられた左右の紐体を両端部に雌螺子部を有する基部材を介して緊張状態で連結して成る連結紐体の前記連結を解除する連結解除装置であって、設置可能な基体を有し、この基体には支持体が設けられ、この支持体には、前記左右の紐体のうちの一方を保持する第一保持部が前記支持体に対して往復動自在に設けられ、また、前記支持体には、前記左右の紐体のうちの他方を保持する第二保持部が前記第一保持部の往復動方向に所定の間隔を置いて対設され、前記第一保持部は、前記第二保持部に対して油圧装置若しくはモータにより接近可能に設けられ、更に、前記第一保持部及び前記第二保持部夫々は、前記左右の紐体の先端部間に位置する両者の連結部を水平状態に保持する構成であり、前記第一保持部には、前記右の紐体に被嵌保持する紐体被嵌保持部と、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部とが対設され、また、前記第二保持部には、前記左の紐体に被嵌保持する紐体被嵌保持部と、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部とが対設されていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置。
【請求項5】
先端部に雌螺子部が設けられた左右の紐体を両端部に雄螺子部を有する基部材を介して緊張状態で連結して成る連結紐体の前記連結を解除する連結解除装置であって、設置可能な基体を有し、この基体には支持体が設けられ、この支持体には、前記左右の紐体のうちの一方を保持する第一保持部が前記支持体に対して往復動自在に設けられ、また、前記支持体には、前記左右の紐体のうちの他方を保持する第二保持部が前記第一保持部の往復動方向に所定の間隔を置いて対設され、前記第一保持部は、前記第二保持部に対して油圧装置若しくはモータにより接近可能に設けられ、更に、前記第一保持部及び前記第二保持部夫々は、前記左右の紐体の先端部間に位置する両者の連結部を水平状態に保持する構成であり、前記第一保持部には、前記右の紐体に被嵌保持する紐体被嵌保持部と、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部とが対設され、また、前記第二保持部には、前記左の紐体に被嵌保持する紐体被嵌保持部と、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部とが対設されていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載の連結紐体の連結解除装置において、前記基体及び前記支持体は所定の剛性を有するように構成されていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置。
【請求項7】
請求項1~いずれか1項に記載の連結紐体の連結解除装置において、前記基体には、前記第一保持部及び前記第二保持部を昇降する昇降機構が設けられていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置。
【請求項8】
請求項1~いずれか1項に記載の連結紐体の連結解除装置において、前記左右の紐体はワイヤーロープであることを特徴とする連結紐体の連結解除装置。
【請求項9】
請求項2~いずれか1項に記載の連結解除装置と、前記連結紐体の螺着連結部に被嵌連結する回動部,電動回動具の出力部が連設される回動力取入部及び前記回動力取入部の回動を前記回動部に伝達する歯車伝達機構とを有する回動装置とを用いて行う前記連結紐体の螺着連結を解除する方法であって、前記連結解除装置により前記左右の紐体を保持し、この状態で前記螺着連結部の螺着状態を緩和し、その後、前記回動装置を用いて前記連結紐体の前記螺着連結部を螺脱回動させて該連結紐体の螺着連結を解除することを特徴とする連結紐体の連結解除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結紐体の連結解除装置及びその連結解除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば道路の中央分離帯を構成するワイヤーロープ式の防護柵は、図10に図示したように間隔を介して並設される支柱53と、この支柱53により支承され上下に複数本並設されるロープ体51とから成り、この各ロープ体51は、隣接する支柱53で支承される左右のワイヤーロープ51a,51bの先端部同士をターンバックル50を介して緊張状態に連結したものである。
【0003】
このターンバックル50の左右両端部には、左右のワイヤーロープ51a,51bの先端部に設けられた雄螺子部52aが螺着する雌螺子部50aが設けられ、このターンバックル50と左右のワイヤーロープ51a,51bの先端部とにおける左右の螺着構造は逆ネジの関係に設けられており、よって、ターンバックル50を螺着回動させた場合には、左右のワイヤーロープ51a,51bを緊張状態に螺着連結することができ、また、螺脱回動させた場合には、左右のワイヤーロープ51a,51bの螺着連結を解除することができる。
【0004】
ところで、例えば車両衝突時の事故処理の際、一部区間において迂回路を形成すべく防護柵を構成するロープ体51の螺着連結を解除させて一時的に開放することがあるが、左右のワイヤーロープ51a,51bは緊張状態で螺着連結されている為、雄螺子部52aと雌螺子部50aとが圧接しており、よって、工具を使用してもターンバックル50は容易に螺脱回動できない。
【0005】
そこで、従来においては、チェーンブロック54を使用して雄螺子部52aと雌螺子部50aとの圧接を緩和させ、この状態で工具を使用してターンバックル50を螺脱回動させている。
【0006】
具体的には、このチェーンブロック54は、図13に図示したように固定チェーン54aと巻取りチェーン54bを備え、固定チェーン54aを左のワイヤーロープ51bに装着されるクランプ55aに連結し、巻取りチェーン54bを右のワイヤーロープ51aに装着されるクランプ55bに連結し、操作レバー54cを操作(往復動)して巻取りチェーン54bを巻き取ることでクランプ55a,55b同士を接近移動させると、このクランプ55a,55b同士間における左右のワイヤーロープ51a,51bの緊張状態が解放され、雄螺子部52aと雌螺子部50aとの圧接が緩和する。
【0007】
この雄螺子部52aと雌螺子部50aとの圧接が緩和すれば、ターンバックル50は工具を利用して容易に螺脱回動することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、事故処理には迅速性及び安全性が求められるところ、前述したようにチェーンブロック54を使用して雄螺子部52aと雌螺子部50aとの圧接を緩和しようとする際、ロープ体51(左右のワイヤーロープ51a,51b)やチェーン(固定チェーン54a及び巻取りチェーン54b)が揺れる不安定な状態で操作レバー54cを操作することになる為、バランスを崩し易くて作業が円滑に行えず、しかも、特に雨天時や降雪時などの足元の悪い状況だと、操作者が滑って転倒する場合があるなど危険である。
【0009】
本発明は、前述した問題点を解消する、従来にない非常に実用的な連結紐体の連結解除装置及びその連結解除方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0011】
左右の紐体51a,51bを緊張状態で連結して成る連結紐体51の前記連結を解除する連結解除装置であって、設置可能な基体1を有し、この基体1には支持体1Bが設けられ、この支持体1Bには、前記左右の紐体51a,51bのうちの一方を保持する第一保持部2が前記支持体1Bに対して往復動自在に設けられ、また、前記支持体1Bには、前記左右の紐体51a,51bのうちの他方を保持する第二保持部3が前記第一保持部2の往復動方向に所定の間隔を置いて対設され、前記第一保持部2は、前記第二保持部3に対して油圧装置若しくはモータにより接近可能に設けられ、更に、前記第一保持部2及び前記第二保持部3夫々は、前記左右の紐体51a,51bの先端部間に位置する両者の連結部を水平状態に保持する構成であり、前記第一保持部2には、前記右の紐体51aに被嵌保持する紐体被嵌保持部2aと、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部2bとが対設され、また、前記第二保持部3には、前記左の紐体51bに被嵌保持する紐体被嵌保持部3aと、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部3bとが対設されていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置に係るものである。
【0012】
また、左右の紐体51a,51bを緊張状態で螺着連結して成る連結紐体51の前記螺着連結を解除する連結解除装置であって、設置可能な基体1を有し、この基体1には支持体1Bが設けられ、この支持体1Bには、前記左右の紐体51a,51bのうちの一方を保持する第一保持部2が前記支持体1Bに対して往復動自在に設けられ、また、前記支持体1Bには、前記左右の紐体51a,51bのうちの他方を保持する第二保持部3が前記第一保持部2の往復動方向に所定の間隔を置いて対設され、前記第一保持部2は、前記第二保持部3に対して油圧装置若しくはモータにより接近可能に設けられ、更に、前記第一保持部2及び前記第二保持部3夫々は、前記左右の紐体51a,51bの先端部間に位置する両者の連結部を水平状態に保持する構成であり、前記第一保持部2には、前記右の紐体51aに被嵌保持する紐体被嵌保持部2aと、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部2bとが対設され、また、前記第二保持部3には、前記左の紐体51bに被嵌保持する紐体被嵌保持部3aと、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部3bとが対設されていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置に係るものである。
【0013】
また、先端部に雄螺子部52aが設けられた右の紐体51aと、先端部に雌螺子部52bが設けられた左の紐体51bとを緊張状態で連結して成る連結紐体51の前記連結を解除する連結解除装置であって、設置可能な基体1を有し、この基体1には支持体1Bが設けられ、この支持体1Bには、前記左右の紐体51a,51bのうちの一方を保持する第一保持部2が前記支持体1Bに対して往復動自在に設けられ、また、前記支持体1Bには、前記左右の紐体51a,51bのうちの他方を保持する第二保持部3が前記第一保持部2の往復動方向に所定の間隔を置いて対設され、前記第一保持部2は、前記第二保持部3に対して油圧装置若しくはモータにより接近可能に設けられ、更に、前記第一保持部2及び前記第二保持部3夫々は、前記左右の紐体51a,51bの先端部間に位置する両者の連結部を水平状態に保持する構成であり、前記第一保持部2には、前記右の紐体51aに被嵌保持する紐体被嵌保持部2aと、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部2bとが対設され、また、前記第二保持部3には、前記左の紐体51bに被嵌保持する紐体被嵌保持部3aと、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部3bとが対設されていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置に係るものである。
【0014】
また、先端部に雄螺子部52aが設けられた左右の紐体51a,51bを両端部に雌螺子部50aを有する基部材50を介して緊張状態で連結して成る連結紐体51の前記連結を解除する連結解除装置であって、設置可能な基体1を有し、この基体1には支持体1Bが設けられ、この支持体1Bには、前記左右の紐体51a,51bのうちの一方を保持する第一保持部2が前記支持体1Bに対して往復動自在に設けられ、また、前記支持体1Bには、前記左右の紐体51a,51bのうちの他方を保持する第二保持部3が前記第一保持部2の往復動方向に所定の間隔を置いて対設され、前記第一保持部2は、前記第二保持部3に対して油圧装置若しくはモータにより接近可能に設けられ、更に、前記第一保持部2及び前記第二保持部3夫々は、前記左右の紐体51a,51bの先端部間に位置する両者の連結部を水平状態に保持する構成であり、前記第一保持部2には、前記右の紐体51aに被嵌保持する紐体被嵌保持部2aと、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部2bとが対設され、また、前記第二保持部3には、前記左の紐体51bに被嵌保持する紐体被嵌保持部3aと、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部3bとが対設されていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置に係るものである。
【0015】
また、先端部に雌螺子部52bが設けられた左右の紐体51a,51bを両端部に雄螺子部50bを有する基部材50を介して緊張状態で連結して成る連結紐体51の前記連結を解除する連結解除装置であって、設置可能な基体1を有し、この基体1には支持体1Bが設けられ、この支持体1Bには、前記左右の紐体51a,51bのうちの一方を保持する第一保持部2が前記支持体1Bに対して往復動自在に設けられ、また、前記支持体1Bには、前記左右の紐体51a,51bのうちの他方を保持する第二保持部3が前記第一保持部2の往復動方向に所定の間隔を置いて対設され、前記第一保持部2は、前記第二保持部3に対して油圧装置若しくはモータにより接近可能に設けられ、更に、前記第一保持部2及び前記第二保持部3夫々は、前記左右の紐体51a,51bの先端部間に位置する両者の連結部を水平状態に保持する構成であり、前記第一保持部2には、前記右の紐体51aに被嵌保持する紐体被嵌保持部2aと、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部2bとが対設され、また、前記第二保持部3には、前記左の紐体51bに被嵌保持する紐体被嵌保持部3aと、前記両者の連結部に被嵌保持する被嵌保持部3bとが対設されていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置に係るものである。
【0016】
また、請求項1~5いずれか1項に記載の連結紐体の連結解除装置において、前記基体1及び前記支持体1Bは所定の剛性を有するように構成されていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置に係るものである。
【0017】
また、請求項1~いずれか1項に記載の連結紐体の連結解除装置において、前記基体1には、前記第一保持部2及び前記第二保持部3を昇降する昇降機構6が設けられていることを特徴とする連結紐体の連結解除装置に係るものである。
【0018】
また、請求項1~いずれか1項に記載の連結紐体の連結解除装置において、前記左右の紐体51a,51bはワイヤーロープであることを特徴とする連結紐体の連結解除装置に係るものである。
【0019】
また、請求項2~いずれか1項に記載の連結解除装置Xと、前記連結紐体51の螺着連結部に被嵌連結する回動部21,電動回動具40の出力部40aが連設される回動力取入部22及び前記回動力取入部22の回動を前記回動部21に伝達する歯車伝達機構とを有する回動装置Yとを用いて行う前記連結紐体51の螺着連結を解除する方法であって、前記連結解除装置Xにより前記左右の紐体51a,51bを保持し、この状態で前記螺着連結部の螺着状態を緩和し、その後、前記回動装置Yを用いて前記連結紐体51の前記螺着連結部を螺脱回動させて該連結紐体51の螺着連結を解除することを特徴とする連結紐体の連結解除方法に係るものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上述のように構成したから、例えば連結紐体の螺着連結における雄螺子と雌螺子との圧接を緩和する作業が迅速且つ安全に行え、ひいては連結紐体の螺着連結を良好に解除することができるなど、従来にない非常に実用的な連結紐体の連結解除装置及びその連結解除方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例の要部の説明図である。
図3】本実施例の要部の説明図である。
図4】本実施例の要部の説明図である。
図5】本実施例の使用状態説明図である。
図6】本実施例の使用状態説明図である。
図7】本実施例の使用状態説明図である。
図8】回動装置Yの説明図である。
図9】回動装置Yの説明図である。
図10】ワイヤーロープ式の防護柵の説明図である。
図11】連結紐体50の別例の説明図である。
図12】連結紐体50の別例の説明図である。
図13】チェーンブロック54を用いて左右のワイヤーロープ51a,51bの緊張状態を緩和させた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0023】
例えば、連結紐体51の螺着連結を解除する際、左右の紐体51a,51bのうちの一方を第一保持部2で保持し、左右の紐体51a,51bのうちの他方を第二保持部3で保持し、この状態で駆動源4を作動させて第一保持部2を第二保持部3に対して接近移動させると、連結紐体51の螺着連結における雄螺子と雌螺子との圧接は緩和する。
【0024】
この第一保持部2は、支持体1Bに対して往復動自在に設けられ、第二保持部3は、支持体1Bにおける第一保持部2の対向位置に設けられている。即ち、第一保持部2及び第二保持部3は支持体1Bに設けられ、支持体1Bは設置可能な基体1に設けられているから、左右の紐体51a,51bは、安定した状態で保持されることになり、よって、連結紐体51の螺着連結における雄螺子と雌螺子との圧接を緩和する作業が迅速且つ安全に行われる。
【0025】
また、この雄螺子と雌螺子との圧接が緩和することで、連結紐体51の連結部は例えば工具などを使用して容易に螺脱回動することができ、よって、連結紐体51の連結を良好に解除することができる。
【0026】
尚、本発明に係る連結解除装置を使用することで、左右の紐体51a,51bを連結する作業(連結紐体51を形成する作業)も良好に行える。
【実施例
【0027】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0028】
本実施例は、先端部に雄螺子部52aが設けられた左右の紐体51a,51b(ワイヤーロープ)を両端部に雌螺子部50aを有する基部材50を介して緊張状態で連結して成る連結紐体51(ロープ体)の連結を解除する連結解除装置Xである。
【0029】
尚、基部材50はターンバックルであり、図10に図示したように所定長を有する金属製の棒状体であり、この基部材50の中央部には後述する回動装置Yが被嵌連結する断面多角形状(方形状)の被連結部50cが設けられ、また、基部材50の左右両端部には、左右の紐体51a,51bの端部に設けられた螺子連結部材52の先端部の雄螺子部52aが螺着する雌螺子部50aが設けられ、この基部材50と左右の紐体51a,51bの先端部とにおける左右の螺着構造は逆ネジの関係に設けられている。また、図11に図示したように基部材50の両端部に雄螺子部50bを設けて左右の紐体51a,51b夫々の先端部に雌螺子部52bを設けた構造でも良く、また、基部材50の一端部に雄螺子部を設けて他端部に雌螺子部を設け、これに対応する左右の紐体51夫々の先端部に雌螺子部と雄螺子部を設けた構造でも良い。その他、図12に図示したように先端部に雄螺子部52aが設けられた右の紐体51aと、先端部に空回り(螺回動)する雌螺子部52bが設けられた左の紐体51bとから成る構造でも良い。この場合、雌螺子部52bを固定とし雄螺子部52aを左の紐体51bに空回り(螺回動)するように設けても良い。
【0030】
以下、本実施例に係る連結解除装置Xについて詳細な説明をする。
【0031】
基体1は、図1に図示したように所定の剛性を有する適宜な金属製の部材で形成されたものであり、下部に移動用車輪5を備えた接地体1Aの上部に、昇降機構6を介して長方形状の支持体1Bが水平状態に設けられたものである。
【0032】
昇降機構6は、図1~5に図示したように接地体1A及び支持体1B夫々に枢着される複数のリンク棒6aをX字状に交叉枢着して上下方向に伸縮するパンタグラフ式の伸縮構造体であり、油圧装置7を介して上下方向に伸縮可動自在に構成されている。
【0033】
この油圧装置7は、図2,3に図示したようにリンク棒6aの所定箇所に連設されるシリンダー部7a(単動型シリンダー)を備え、このシリンダー部7aは接地体1Aに設けられたペダル7bを繰り返し踏み操作することにより、順次伸長することで昇降機構6は段階的に上昇するように構成されている。
【0034】
また、この油圧装置7は、操作レバー7cの操作により油圧解除すると、上昇した支持体1Bは自重により降下することになる(図4参照)。
【0035】
また、支持体1Bには、左右の紐体51a,51bのうちいずれか一方を保持する第一保持部2と、他方を保持する第二保持部3とが設けられている。
【0036】
この第一保持部2及び第二保持部3は、図1~7に図示したように適宜な金属製の部材で形成されたブロック体であり、支持体1Bの上面左右対向位置に設けられて左右の紐体51a,51bの先端部間に位置する両者の連結部(左右の紐体51a,51b夫々の端部に設けられる螺子連結部材52)を水平状態に保持するように構成されている。
【0037】
具体的には、第一保持部2には、水平方向に開口して右の紐体51aに被嵌保持するコ字状の紐体被嵌保持部2aと、水平方向に開口して両者の連結部(螺子連結部材52)に被嵌保持するコ字状の被嵌保持部2bとが左右位置に対設され、また、第二保持部3は、第一保持部2と同様、水平方向に開口して左の紐体51bに被嵌保持するコ字状の紐体被嵌保持部3aと、水平方向に開口して両者の連結部(螺子連結部材52)に被嵌保持するコ字状の被嵌保持部3bとが左右位置に対設されている。
【0038】
また、紐体被嵌保持部2a,3a夫々は、左右の紐体51a,51bに被嵌した際、螺子連結部材52の基端部52cに係止するように構成されている。
【0039】
従って、各螺子連結部材52は、先端側及び基端側の位置で紐体被嵌保持部2a,3aと被嵌保持部2b,3bとにより挟み込んだ状態で保持される。
【0040】
符号9は紐体被嵌保持部2a,3aを被嵌させた左右の紐体51a,51b及び被嵌保持部2b,3bを被嵌させた螺子連結部材52が外れるのを防止する取付部材(ピン)である。
【0041】
また、第一保持部2が支持体1Bに対して往復動自在に設けられている。
【0042】
具体的には、第二保持部3は支持体1Bの上面に固定状態に設けられ、第一保持部2は支持体1Bの上面に水平スライド移動機構を介してスライド移動自在に設けられ、よって、第一保持部2は第二保持部3に対して接離移動自在となる。尚、第二保持部3をスライド移動自在とし、第一保持部2を固定状態としても良いし、第一保持部2及び第二保持部3双方をスライド移動自在としても良い。
【0043】
また、第一保持部2は、第二保持部3に対して油圧装置やモータなどの駆動源4を介して接離移動自在に設けられている。
【0044】
この駆動源4は、図1~7に図示したように方向切換え弁部4dを備えたシリンダー部4a(複動型シリンダー)を備えた油圧装置であり、ハンドル4bの往復擺動操作により、シリンダー部4aが順次伸長することで第一保持部2は第二保持部3に対して接近したり、それとは反対に、シリンダー部4aの方向切換弁部4d(操作レバー4c)を操作してオイルの流れる方向を変えることで、シリンダー部4aが順次縮むことで第一保持部2は第二保持部3に対して離反するように構成されている。
【0045】
従って、第一保持部2は第二保持部3に対して接離移動自在であり、この第一保持部2と第二保持部3とで左右の紐体51a,51bを支持した状態において、駆動源4を作動させて第一保持部2と第二保持部3を接近方向に移動させることで、左右の紐体51を互いに接近方向に移動し得ることになる。尚、駆動源4の駆動力は第二保持部3に対して第一保持部2が接近移動するときのみ作用するようにしても良い。
【0046】
符号8は基体1を移動させる際に握持する握持部である。
【0047】
また、本実施例は、基部材50(ターンバックル)を回動させる為の回動装置Yを設けている。
【0048】
この回動装置Yは、図8に図示したように握柄20aを有する本体20に、左右の紐体51a,51bにおける螺着連結部に被嵌連結する回動部21と、電動回動具40の出力部40aが連設される回動力取入部22と、この回動力取入部22の回動を回動部21に伝達する歯車伝達機構とを有するものである。
【0049】
具体的には、回動部21は、本体20の先端部に設けられた開口部の内側に、周面に歯部が並設されたC字状の回動部材21aを回動自在に設けた構成であり、この回転部材21aは基部材50の被連結部50cに回り止め状態で被嵌連結し得るように構成されている。
【0050】
また、回動部材21aの先端開口部には、該先端開口部を開閉自在に閉塞するハンドル24a付きの閉塞部材24(C字状部材)が設けられている。
【0051】
回動力取入部22は、本体20に周面に歯部が並設された環状部材22aを回動自在に設けた構成であり、この環状部材22aの開口部22a’は、電動回動具40の出力部40a(四角柱)を回り止め状態で嵌挿し得る多角形状(方形状)である。
【0052】
本実施例では、この回動力取入部22の環状部材22aは、回動部材21aと直接歯合させておらず、径小ギア23を介在させて回動力取入部22の回動を回動部21に伝達するように構成されている。これが歯車伝達機構である。
【0053】
この径小ギア23は、本体20に回動自在に設けられ、周面には回動部材21a及び環状部材22a夫々に歯合する歯部が並設されており、回動部21の回動方向を電動回動具40の出力部40aの回動方向と同一方向にするためのものである。
【0054】
また、本実施例では、歯車伝達機構における安定的な回動伝達を行う為に径小ギア23を左右一対設けており、これらのうち一つの径小ギア23には電動回動具40の出力部40aを回り止め状態に嵌挿する凹部23a(貫通孔)が設けられている。
【0055】
従って、この凹部23aに電動回動具40の出力部40aを嵌挿して径小ギア23を回動することで、この径小ギア23に直接歯合する回動部21(回動部材21a)は、電動回動具40の出力部40aの回動方向と逆方向に回動することになる。つまり、電動回動具40の回動方向を切り替えなくても、電動回動具40の出力部40aを回動力取入部22か凹部23aに選択的に嵌挿させることで回動部21の回動方向を切り替えることができる。
【0056】
以上の構成から成る本実施例に係る連結解除装置X及び回動装置Yを用いた連結紐体の連結解除方法について説明する。
【0057】
連結紐体51の連結を解除する場合、右の紐体51aを第一保持部2で保持し、左の紐体51bを第二保持部3で保持し、この状態で駆動源4を作動させて第二保持部3に対して第一保持部2を接近移動させると、螺着連結部(雄螺子部52aと雌螺子部50a)における圧接状態は緩和する(図5,6参照)。
【0058】
続いて、基部材50の被連結部50cに回動装置Yの回動部21を被嵌連結して基部材50(ターンバックル)を螺脱回動する。この螺着連結部(雄螺子部52aと雌螺子部50a)における圧接状態を緩和させて基部材50を螺脱回動させる際、駆動源4を作動させて第二保持部3に対して第一保持部2を離反移動させることで、連結紐体51の連結が解除される。
【0059】
上記のようにして対象となる全ての連結紐体51の連結を解除する。この際、上下に並設される連結紐体51の高さ位置に合わせて基体1(支持体1B)を適宜昇降させる。
【0060】
尚、本実施例に係る連結解除装置X及び回動装置Yを使用すれば(連結紐体51の連結を解除する作業と逆の作業を行なえば)、左右の紐体51a,51bを連結する作業(連結紐体51を形成する作業)も良好に行える。
【0061】
よって、本実施例によれば、連結紐体51の連結における雄螺子部52aと雌螺子部50aとの圧接を緩和する作業が迅速且つ安全に行え、ひいては連結紐体51の連結を良好に解除することができる。
【0062】
また、本実施例は、第一保持部2は、支持体1Bに対して往復動自在に設けられ、第二保持部3は、支持体1Bにおける第一保持部2の対向位置に設けられている。即ち、第一保持部2及び第二保持部3は支持体1Bに設けられ、支持体1Bは設置可能な基体1に設けられているから、連結紐体51(左右の紐体51a,51b)は安定した状態で保持されることになり、よって、連結紐体51の螺着連結における雄螺子部52aと雌螺子部50aとの圧接を緩和する作業が迅速且つ安全に行え、ひいては連結紐体51の螺着連結を良好に解除することができる。
【0063】
また、本実施例は、第一保持部2及び第二保持部3夫々は、左右の紐体51a,51bの先端部間に位置する両者の連結部(螺子連結部材52)を水平状態に保持する構成であるから、この点においても連結紐体51(左右の紐体51a,51b)における極めて安定的な保持状態が得られ、これにより連結紐体51の連結における雄螺子部52aと雌螺子部50aとの圧接を緩和する作業が迅速且つ安全に行え、ひいては連結紐体51の連結を良好に解除することができる。
【0064】
また、本実施例は、第一保持部2には、右の紐体51aに被嵌保持する紐体被嵌保持部2aと、両者の連結部(螺子連結部材52)に被嵌保持する被嵌保持部2bとが対設され、また、第二保持部3は第一保持部2と同構造であるから、この点においても連結紐体51(左右の紐体51a,51b)における極めて安定的な保持状態が得られ、これにより連結紐体51の連結における雄螺子部52aと雌螺子部50aとの圧接を緩和する作業が迅速且つ安全に行え、ひいては連結紐体51の連結を良好に解除することができる。
【0065】
また、本実施例は、基体1には、第一保持部2及び第二保持部3を昇降する昇降機構6が設けられているから、作業したい連結紐体51に応じた高さ位置に第一保持部2及び第二保持部3を確実に配することができる。
【0066】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0067】
X 連結解除装置
Y 回動装置
1 基体
1B 支持体
2 第一保持部
2a 紐体被嵌保持部
2b 被嵌保持部
3 第二保持部
3a 紐体被嵌保持部
3b 被嵌保持部
6 昇降機構
21 回動具
22 回動力取入部
40 電動回動具
40a 出力部
50 基部材
50a 雌螺子部
50b 雄螺子部
51 連結紐体
51a 右の紐体
51b 左の紐体
52a 雄螺子部
52b 雌螺子部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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