(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-08
(45)【発行日】2022-03-16
(54)【発明の名称】ヘアピン状熱交換チューブ整列装置
(51)【国際特許分類】
B23P 15/26 20060101AFI20220309BHJP
B65G 47/08 20060101ALI20220309BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20220309BHJP
F28F 1/32 20060101ALI20220309BHJP
B21D 53/08 20060101ALN20220309BHJP
【FI】
B23P15/26
B65G47/08 C
F28D1/047 B
F28F1/32 E
B21D53/08 G
(21)【出願番号】P 2019204955
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2020-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390034809
【氏名又は名称】日高精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 博文
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-017222(JP,U)
【文献】特開平06-015393(JP,A)
【文献】特開2014-019539(JP,A)
【文献】国際公開第2007/145509(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/087924(WO,A1)
【文献】米国特許第05426847(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 47/00-55/00
B23P 5/00-17/06
B23Q 7/00-7/18
B65G 47/00-47/20
B65G 47/22-47/32
B65G 47/34-47/51
F28D 1/047
F28F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器用の積層フィンの透孔に挿入するヘアピン状熱交換チューブを整列させる整列装置であって、
挿入対象となる前記積層フィンにヘアピン状熱交換チューブを挿入する挿入位置側において、上端部にヘアピン状熱交換チューブの曲げ部が配置され且つ挿入位置側に向かって上面が下方に傾斜する傾斜部を有している第1配置板が、積層フィンの透孔のピッチの2倍の間隔をあけて水平方向に複数並べられた2倍ピッチ整列部が設けられ、
前記第1配置板の傾斜方向の上流側において、上端部にヘアピン状熱交換チューブの曲げ部が配置され且つ上面が水平の第2配置板が、積層フィンの透孔のピッチよりも少なくとも2倍よりも広い間隔の広ピッチで水平方向に複数並べられた広ピッチ整列部が設けられ、
該広ピッチ整列部は、複数の第2配置板の配置方向に沿って水平移動可能に設けられ、
前記広ピッチ整列部の上流側において、当該広ピッチ整列部の各前記第2配置板に配置されている複数のヘアピン状熱交換チューブの上流側端部を前記2倍ピッチ整列部方向に押圧する押圧部が設けられ、
前記2倍ピッチ整列部と前記広ピッチ整列部との間においては、前記広ピッチ整列部と同じピッチで複数の
第3配置板が配置され、複数の前記
第3配置板の配置方向に沿って水平移動可能な可動整列部が設けられ、
前記2倍ピッチ整列部の各第1配置板に配置されるヘアピン状熱交換チューブを停止させる第1ストッパー装置が設けられ、
製造する熱交換器の段数に合わせて使用する第1配置板の上流側に、挿入させるヘアピン状熱交換チューブが配置された第2配置板が位置するように前記広ピッチ整列部を移動させる
ように制御し、前記可動整列部の第3配置板を、前記2倍ピッチ整列部の偶数番目の第1配置板と一直線上に並ぶ位置と、奇数番目の第1配置板と一直線上に並ぶ位置との間で移動させるように制御する制御装置が設けられていることを特徴とするヘアピン状熱交換チューブの整列装置。
【請求項2】
前記広ピッチ整列部を水平方向に移動させる
第1駆動装置が設けられ、
前記制御装置は、
前記第1駆動装置による前記広ピッチ整列部の水平移動距離を制御
して、製造する熱交換器の段数に合わせて使用する第1配置板の上流側に、挿入させるヘアピン状熱交換チューブが配置された第2配置板が位置するように前記広ピッチ整列部を移動させることを特徴とする請求項1記載のヘアピン状熱交換チューブの整列装置。
【請求項3】
前記2倍ピッチ整列部における、複数並んだ第1配置板のうち前記広ピッチ整列部の移動方向の端部に位置する端部側第1配置板に対して、該当する第2配置板に配置されているヘアピン状熱交換チューブのみの上流側端部を前記2倍ピッチ整列部方向に押圧する端部側押圧部が、前記押圧部とは別個に駆動可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のヘアピン状熱交換チューブの整列装置。
【請求項4】
前記可動整列部の上流側には、前記広ピッチ整列部から移動してきたヘアピン状熱交換チューブが前記可動整列部に供給される前に停止させる第2ストッパー装置が設けられ、
該第2ストッパー装置は、
前記2倍ピッチ整列部における、複数並んだ第1配置板のうち前記広ピッチ整列部の移動方向の端部に位置する端部側第1配置板に該当する位置の端部側ストッパーが、前記第2ストッパーとは別個に駆動可能に設けられていることを特徴とする請求項3記載のヘアピン状熱交換チューブの整列装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層されたフィンに挿入されるヘアピン状熱交換チューブを、挿入装置へ送る前に整列させる整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図10に示すように、クーラー等の熱交換器は、透孔11が形成されたフィン9を複数枚積層してなる積層フィン10の透孔11に、熱媒体を流通させる熱交換用パイプが挿入されて構成される。熱交換用パイプとしては、銅管を中央部においてU字状に曲げて形成したヘアピン状熱交換チューブ20が用いられる。
【0003】
図11に示すように、ヘアピン状熱交換チューブ20を積層フィン10に挿入するには、挿入装置5が用いられる(特許文献1:特許第3315151号公報の
図5参照)。
ここで図示されている挿入装置5は、積層フィン10を上下方向に積層させておき、ヘアピン状熱交換チューブ20を上方から下降させて積層フィン10に挿入させる。
【0004】
挿入装置5の背面側には、パイプ曲げ装置であるベンダーから排出されたヘアピン状熱交換チューブ20が送られてきて、ヘアピン状熱交換チューブ20の中央の曲げ部21がロッド6に掛けて吊り下げられる。
ロッド6に吊り下げられたヘアピン状熱交換チューブ20は、挿入装置5の整列装置7に搬送される。整列装置7は、挿入位置側に向かって上面が下方に傾斜する傾斜板8を有している。傾斜板8の上面には、ヘアピン状熱交換チューブ20の中央の曲げ部21が配置されており、ヘアピン状熱交換チューブ20はその自重によって自動的に挿入位置側へ向けてスライド移動するようになっている。
【0005】
また、このような傾斜板8は
図11の紙面奥行き方向に向かって複数設けられており、ヘアピン状熱交換チューブ20はこれら複数の傾斜板8のそれぞれにストックされている。
傾斜板8の最下部に位置しているヘアピン状熱交換チューブ20は、把持装置4によって、曲げ部21を把持されて積層フィン(図示せず)に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3315151号公報
【文献】国際公開第2018/087924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ヘアピン状熱交換チューブは、脚部が広がっていたり、捻じれている場合があり、挿入対象の透孔のピッチと同じ幅になっていないことが多い。このため、従来の技術のような整列装置7にヘアピン状熱交換チューブ20を掛けておく構成では、隣接するヘアピン状熱交換チューブ20の脚部22どうしが接触してしまわないように、傾斜板8の間隔をなるべく広くしておかなくてはならない。
【0008】
しかし、傾斜板8の間隔を広げると、ストックされるヘアピン状熱交換チューブ20の間隔は、積層フィン10に形成されている透孔11のピッチ(正規ピッチ)よりも広くなってしまう。したがって、整列装置7に整列させた複数のヘアピン状熱交換チューブ20を取り出して積層フィン10の透孔11に挿入させる場合には、ヘアピン状熱交換チューブ20の脚部22を閉じさせ、且つ複数のヘアピン状熱交換チューブ20の間隔を透孔のピッチと同じ間隔となるように各ヘアピン状熱交換チューブを接近させる必要がある。
【0009】
そこで、特許文献2(国際公開第2018/087924号公報)に示すようなヘアピン状熱交換チューブ整列装置が提案されている。
特許文献2に示すヘアピン状熱交換チューブ整列装置は、ベンダーから送られてきたヘアピン状熱交換チューブを配置するための、上面が積層フィンへ挿入する挿入装置側に向かって下方に傾斜している配置板を、水平方向に複数並べて具備している。
【0010】
複数の配置板は、挿入装置側で挿入先である積層フィンの透孔のピッチの2倍の間隔の2倍ピッチ整列部として構成され、傾斜方向の上流側には積層フィンの透孔のピッチの4倍の間隔の広ピッチ整列部が構成されており、2倍ピッチ整列部の各配置板に配置されるヘアピン状熱交換チューブが同じ位置で隣り合わないように配置板ごとに上流側と下流側で異なる位置でヘアピン状熱交換チューブを停止させるストッパー装置が設けられている。
また、広ピッチ整列部に貯留させたヘアピン状熱交換チューブを1本ずつ2倍ピッチ整列部に移動させるために、広ピッチ整列部に貯留させたヘアピン状熱交換チューブを1本ずつ切り離すセパレータと、ヘアピン状熱交換チューブの最下流側を保持するストッパーとが設けられている。
【0011】
ところで、熱交換器は、ヘアピン状熱交換チューブの配置段数を何段にするか、最終製品に応じて様々な段数の熱交換器が存在する。
図12に特許文献2に開示されているような従来のヘアピン状熱交換チューブ整列装置の概略平面図を示す。なお、
図12のヘアピン状熱交換チューブは、特許文献2のように広ピッチ整列部から2倍ピッチ整列部36まで配置板32の上面が傾斜面となっており、ストッパーを解除することでヘアピン状熱交換チューブが自重で移動する構成となっている。
【0012】
例えば、10段製品の場合、5本のヘアピン状熱交換チューブ20を整列させるため、2倍ピッチ整列部36には配置板32は5列必要になってくる(1本のヘアピン状熱交換チューブは2本の熱交換チューブが積層フィンに挿入されるので、10段製品とは5本のヘアピン状熱交換チューブ20を挿入した積層フィンのことになる)。
そして、5列の2倍ピッチ整列部36にヘアピン状熱交換チューブ20を送り込むためには、2倍ピッチ整列部36の上流側に設けられている広ピッチ整列部34の配置板32を3列使用する。
したがって、広ピッチ整列部34に整列しているヘアピン状熱交換チューブ20を、2倍ピッチ整列部36に移動させる場合、10段製品を製造する場合には、広ピッチ整列部の3列だけヘアピン状熱交換チューブを移動させるようなストッパー70を用いなくてはならない。
【0013】
また、例えば、20段製品の場合、10本のヘアピン状熱交換チューブ20を整列させるため、2倍ピッチ整列部36の配置板32は10列必要になってくる。そして、10列の2倍ピッチ整列部36にヘアピン状熱交換チューブ20を送り込むためには、2倍ピッチ整列部36の上流側に設けられている広ピッチ整列部34の配置板32を5列使用する。
また、30段製品の場合、15本のヘアピン状熱交換チューブ20を整列させるため、2倍ピッチ整列部36の配置板32は15列必要になってくる。そして、15列の2倍ピッチ整列部36にヘアピン状熱交換チューブ20を送り込むためには、2倍ピッチ整列部36の上流側に設けられている広ピッチ整列部の配置板32を8列使用する。
【0014】
このように、従来の整列装置によれば、製品の段数によって、広ピッチ整列部の各列に対してシリンダーを設けて、各列ごとにシリンダーによって動作するストッパー70を駆動するようにしなくてはならず、部品点数が多くなってしまい、また制御の煩雑さが課題となっていた。
なお、ストッパー70によって広ピッチ整列部34のヘアピン状熱交換チューブ20を2倍ピッチ整列部36に移動させるのではなく、上流側からヘアピン状熱交換チューブ20を押し出して2倍ピッチ整列部36に移動させる構成を採用したとしても、シリンダーやアクチュエータ等が配置板の各列ごとに必要になり、部品点数が多く、また制御の煩雑さの課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、製品段数が異なる場合においても、部品点数を減らして、制御が容易なヘアピン状熱交換チューブの整列装置を提供することにある。
【0016】
本発明にかかるヘアピン状熱交換チューブ整列装置によれば、熱交換器用の積層フィンの透孔に挿入するヘアピン状熱交換チューブを整列させる整列装置であって、挿入対象となる前記積層フィンにヘアピン状熱交換チューブを挿入する挿入位置側において、上端部にヘアピン状熱交換チューブの曲げ部が配置され且つ挿入位置側に向かって上面が下方に傾斜する傾斜部を有している第1配置板が、積層フィンの透孔のピッチの2倍の間隔をあけて水平方向に複数並べられた2倍ピッチ整列部が設けられ、前記第1配置板の傾斜方向の上流側において、上端部にヘアピン状熱交換チューブの曲げ部が配置され且つ上面が水平の第2配置板が、積層フィンの透孔のピッチよりも少なくとも2倍よりも広い間隔の広ピッチで水平方向に複数並べられた広ピッチ整列部が設けられ、該広ピッチ整列部は、複数の第2配置板の配置方向に沿って水平移動可能に設けられ、前記広ピッチ整列部の上流側において、当該広ピッチ整列部の各前記第2配置板に配置されている複数のヘアピン状熱交換チューブの上流側端部を前記2倍ピッチ整列部方向に押圧する押圧部が設けられ、前記2倍ピッチ整列部と前記広ピッチ整列部との間においては、前記広ピッチ整列部と同じピッチで複数の第3配置板が配置され、複数の前記第3配置板の配置方向に沿って水平移動可能な可動整列部が設けられ、前記2倍ピッチ整列部の各第1配置板に配置されるヘアピン状熱交換チューブを停止させる第1ストッパー装置が設けられ、製造する熱交換器の段数に合わせて使用する第1配置板の上流側に、挿入させるヘアピン状熱交換チューブが配置された第2配置板が位置するように前記広ピッチ整列部を移動させるように制御し、前記可動整列部の第3配置板を、前記2倍ピッチ整列部の偶数番目の第1配置板と一直線上に並ぶ位置と、奇数番目の第1配置板と一直線上に並ぶ位置との間で移動させるように制御する制御装置が設けられていることを特徴としている。
【0017】
この構成を採用することによる作用は次の通りである。製品としての熱交換器の大きさは段数で表されるが、一般的には32段製品、30段製品、26段製品、24段製品、・・・10段製品などが存在する。段数は、積層フィンに挿通されている熱交換チューブの本数と同義であり、32段製品ということは32本の熱交換チューブが積層フィンに挿入されているということである。なお、ヘアピン状熱交換チューブは、2本の熱交換チューブをU字状の部分で連結している形状であるため、32本の熱交換チューブが挿入されるということは、16本のヘアピン状熱交換チューブが必要になるということである。一方、20段製品の場合、20本の熱交換チューブが積層フィンに挿入されているということになるので、必要となるヘアピン状熱交換チューブは10本である。
そして、例えば第1配置板が16枚配置されている整列装置であれば、32段以下の製品に対応することができる。第1配置板が16枚配置されている整列装置において32段製品に対応する場合は、第1配置板16枚全て使用される。しかし、例えば20段製品に対応する場合は、16枚の第1配置板のうち10枚だけ使用される。
本発明では、使用される第1配置板に対してだけ広ピッチ整列部が位置するように広ピッチ整列部を移動させる。そして、押圧部は、第2配置板全てに対してヘアピン状熱交換チューブを第1配置板方向に移動させるが、広ピッチ整列部は使用される第1配置板に対応する位置に移動しているので、使用される第1配置板に対応する位置に移動した第2配置板のヘアピン状熱交換チューブのみを押圧できる。
このため、複数の第2配置板それぞれにヘアピン状熱交換チューブを移動させる構造を設けなくてもよく、押圧部を一体化させて部品点数の削減に寄与し、またヘアピン状熱交換チューブを移動させる押圧部の制御を容易にすることができる。
【0018】
また、前記広ピッチ整列部を水平方向に移動させる第1駆動装置が設けられ、前記制御装置は、前記第1駆動装置による前記広ピッチ整列部の水平移動距離を制御して、製造する熱交換器の段数に合わせて使用する第1配置板の上流側に、挿入させるヘアピン状熱交換チューブが配置された第2配置板が位置するように前記広ピッチ整列部を移動させることを特徴としてもよい。
この構成によれば、制御装置の制御によって、使用される第1配置板に対してだけ広ピッチ整列部が位置するように広ピッチ整列部を移動させることができる。
【0019】
また、前記2倍ピッチ整列部における、複数並んだ第1配置板のうち前記広ピッチ整列部の移動方向の端部に位置する端部側第1配置板に対して、該当する第2配置板に配置されているヘアピン状熱交換チューブのみの上流側端部を前記2倍ピッチ整列部方向に押圧する端部側押圧部が、前記押圧部とは別個に駆動可能に設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、製品の段数が6+4n(n=0以上の整数)の場合においては、2倍ピッチ整列部に1列余分にヘアピン状熱交換チューブが配置されないよう、端部側押圧部を制御して2倍ピッチ整列部の1番目の配置板にはヘアピン状熱交換チューブが移動しないようにすることができる。
【0020】
また、前記可動整列部の上流側には、前記広ピッチ整列部から移動してきたヘアピン状熱交換チューブが前記可動整列部に供給される前に停止させる第2ストッパー装置が設けられ、該第2ストッパー装置は、前記2倍ピッチ整列部における、複数並んだ第1配置板のうち前記広ピッチ整列部の移動方向の端部に位置する端部側第1配置板に該当する位置の端部側ストッパーが、前記第2ストッパーとは別個に駆動可能に設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、製品の段数が6+4n(n=0以上の整数)の場合においては、上述した端部側押圧部の制御とともに、2倍ピッチ整列部に1列余分にヘアピン状熱交換チューブが配置されないよう、端部側ストッパーを制御して2倍ピッチ整列部の1番目の配置板にはヘアピン状熱交換チューブが移動しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のヘアピン状熱交換チューブ整列装置によれば、押圧部を一体化させて部品点数の削減に寄与し、またヘアピン状熱交換チューブを移動させる押圧部の制御を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】ヘアピン状熱交換チューブの整列装置の側面図である。
【
図3】ヘアピン状熱交換チューブの整列装置の平面図である。
【
図4】
図3において可動整列部を移動させたところを示す平面図である。
【
図5】6段製品製造時における可動整列部から2倍ピッチ整列部の偶数番目の配置版へヘアピン状熱交換チューブを移動させるところを示す説明図である。
【
図6】6段製品製造時における可動整列部を移動させて2倍ピッチ整列部の奇数番目の配置版へヘアピン状熱交換チューブを移動させるところを示す説明図である。
【
図7】6段製品製造時において端部側押圧部と端部側ストッパーを動作させずに、2倍ピッチ整列部の1番目のヘアピン状熱交換チューブを移動させないようにしたところを示す説明図である。
【
図8】20段製品製造時において、広ピッチ整列部を移動させたところを示す平面図である。
【
図9】
図8において可動整列部を移動させたところを示す平面図である。
【
図10】ヘアピン状熱交換チューブを積層フィンへ挿入するところを示す説明図である。
【
図11】従来のヘアピン状熱交換チューブ整列装置の側面図である。
【
図12】従来のヘアピン状熱交換チューブ整列装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態に係るヘアピン状熱交換チューブ整列装置(以下、単に整列装置と称する)を図面に基づいて説明する。
まず、
図1にヘアピン状熱交換チューブの平面図を示す。
ヘアピン状熱交換チューブ20は銅管等の熱伝導性の高い材質の金属管であり、中央の曲げ部21においてU字状に曲げたものである。
ヘアピン状熱交換チューブ20は、ベンダー(図示せず)によって、U字状に曲げたものであるため、その弾性力によって脚部22が広がっていることが多く、また曲がりや捻じれも発生していることがある。そこで、ベンダーから積層フィンへの挿入装置に移送される前に、本実施形態のような整列装置によって整列することが必要となる。
【0024】
図2に整列装置の側面図を示し、
図3に整列装置の概略平面図を示す。
整列装置30は、水平方向に並ぶ複数の配置板32を備えている。配置板32は、その上面が挿入装置側(図示せず)に向けて下降する傾斜部32aとして構成されている。なお、以下の説明において、傾斜部32aにおいて低くなっている側すなわち挿入装置側を下流側、高くなっている側すなわちベンダー側を上流側ということもある。
【0025】
ヘアピン状熱交換チューブ20は、曲げ部21を配置板32の傾斜部32aに掛けることにより配置される。ヘアピン状熱交換チューブ20を配置板32に配置させると、それぞれの脚部22は、配置板32をはさんで左右両側に配置されることとなる。
【0026】
配置板32どうしの水平方向の間隔は、上流側においては、挿入対象となる積層フィンの透孔のピッチの4倍の間隔である。この上流側における複数の配置板32は広ピッチ整列部34に設けられている。
なお、広ピッチ整列部34における配置板32の上面は傾斜面ではなく水平面として形成されている。
【0027】
広ピッチ整列部34は、配置板32の配置方向、すなわちヘアピン状熱交換チューブ20の移送方向と直交する方向に水平移動可能となるように構成されている。具体的には、広ピッチ整列部34の底面に複数の車輪付きのキャスター35が設けられて移動可能となっている。ただし、移動手段としてはキャスターに限定するものではない。
広ピッチ整列部34には、広ピッチ整列部34をヘアピン状熱交換チューブ20の移送方向と直交する方向に移動させる移動装置37が設けられている。移動装置37としては、例えばボールねじとモータの組み合わせ、又はエアシリンダーなどの直動装置を採用することができる。
【0028】
広ピッチ整列部34の上方には、複数のヘアピン状熱交換チューブ20を下流側に押圧する押圧部40が設けられている。
押圧部40は、
図3の左側に図示しているように、配置板32の位置にスリット42が形成された板状の部材である。押圧部40は、広ピッチ整列部34に設けられている複数の配置板32のうち、幅方向(ヘアピン状熱交換チューブ20の移送方向と直交する方向)のいずれか一方の端部の配置板32を除き、他の複数の配置板32をスリット42に進入して、複数の配置板32に配置されている各ヘアピン状熱交換チューブ20を同時に押圧可能となっている。
【0029】
押圧部40には、押圧部40を上下動させる上下動装置48と、押圧部40をヘアピン状熱交換チューブの移送方向に沿って移動させる移動装置50とが設けられている。
上下動装置48及び移動装置50は、例えばボールねじとモータの組み合わせ、又はエアシリンダーなどの駆動装置によって構成されている。
上下動装置48及び移動装置50は、CPU及びメモリ等によって構成されている制御部52によって制御される。
【0030】
また、複数の配置板32のうち幅方向の一方の端部に位置する配置板32に対しては、当該一端部側の配置板32のみに対応する端部側押圧部44が設けられている。端部側押圧部44には、幅方向の一方の端部に位置する配置板32が進入するスリット46が形成されている。
端部側押圧部44は、上述した押圧部40とは別の上下動装置及び移動装置(図示せず)が接続されており、制御部52の制御によって押圧部40とは別々に駆動できる。
【0031】
下流側における配置板32どうしの水平方向の間隔は、積層フィンの透孔のピッチの2倍である。この下流側における複数の配置板32は2倍ピッチ整列部36に設けられている。
すなわち、2倍ピッチ整列部36においては、広ピッチ整列部34の配置板32の2倍の数の配置板32が水平方向に並んで配置されている。
また、特許請求の範囲では、2倍ピッチ整列部36に設けられた配置板を第1配置板、広ピッチ整列部34に設けられた配置板を第2配置板としたが、詳細な説明ではどちらも配置板32として説明している。
【0032】
2倍ピッチ整列部36と広ピッチ整列部34との間には、可動整列部38及び中間整列部39が設けられている。中間整列部39は、広ピッチ整列部34の下流側に連続して配置されており、各配置板32の間隔は広ピッチ整列部34の間隔と同一であって、広ピッチ整列部34と同じ数の配置板32が設けられている。
また、中間整列部39における各配置板32はその上面が挿入装置側に傾斜した傾斜面として形成されている。中間整列部39の各配置板32の傾斜面の上端部が広ピッチ整列部34の各配置板32の高さと一致し、中間整列部39の各配置板32の傾斜面の下端部が可動整列部38の各配置板32の上端部の高さと一致する。したがって、中間整列部39の各配置板32は広ピッチ整列部34と可動整列部38との間を、段差なく連続して繋げることができる。
【0033】
可動整列部38は、広ピッチ整列部34と配置板32の数が同じだけ設けられており、配置板32どうしの間隔も広ピッチ整列部34と同じである。
また、可動整列部38における各配置板32はその上面が挿入装置側に傾斜した傾斜面として形成されている。可動整列部38の各配置板32の傾斜面の上端部が中間整列部39の各配置板32の高さと一致し、可動整列部38の各配置板32の傾斜面の下端部が2倍ピッチ整列部36の各配置板32の上端部の高さと一致する。したがって、可動整列部38の各配置板32は中間整列部39と2倍ピッチ整列部36との間を、段差なく連続して繋げることができる。
可動整列部38は、複数の配置板32を同時に水平方向に移動可能に設けられている。可動整列部38は、例えばボールねじとモータの組み合わせ、又はエアシリンダーなどの移動装置54を採用して複数の配置板32を水平方向に移動させる。
【0034】
図2に示しているように、2倍ピッチ整列部36、可動整列部38、中間整列部39に配置されている配置板32は、側面から見て傾斜部32aが連続している。したがって、広ピッチ整列部34からヘアピン状熱交換チューブ20が移送された場合、自重によって滑り落ちないように、2倍ピッチ整列部36、可動整列部38、中間整列部39のそれぞれには、配置されているヘアピン状熱交換チューブ20の下流側端面に当接するストッパー60、58、56がそれぞれ設けられている。
【0035】
ストッパー60は、2倍ピッチ整列部36の各配置板32に配置されているヘアピン状熱交換チューブ20の下流側に位置し、この位置でヘアピン状熱交換チューブ20を支持して停止させる。
ストッパー58は、可動整列部38の各配置板32に配置されているヘアピン状熱交換チューブ20の下流側に位置し、この位置でヘアピン状熱交換チューブ20を支持して停止させる。
ストッパー56は、中間整列部39の各配置板32に配置されているヘアピン状熱交換チューブ20の下流側に位置し、この位置でヘアピン状熱交換チューブ20を支持して停止させる。
【0036】
なお、中間整列部39に設けられているストッパー56については、複数の配置板32のうち幅方向の一方の端部に位置する配置板32に対しては、当該一端部側の配置板32のみに対応する端部側ストッパー57が設けられている。
【0037】
各ストッパー60、58、56は、それぞれ上下動装置62、64、66によって上下動可能に設けられている。上下動装置62、64、66は、例えばボールねじとモータの組み合わせ、又はエアシリンダーなどによって構成されている。
上下動装置62、64、66は、制御部52によって制御される。なお、中間整列部39における端部側ストッパー57は、上述したストッパー56とは別の上下動装置(図示せず)が接続されており、制御部52の制御によってストッパー56とは別々に駆動できる。
【0038】
次に、整列装置の動作について説明する。
本実施形態における整列装置は、2倍ピッチ整列部36の配置板32の数が16枚であり、ヘアピン状熱交換チューブを16個整列可能な構成となっている。1個のヘアピン状熱交換チューブからは2本の熱交換チューブが挿入されるため、本実施形態の整列装置は、最大32段製品に対応するヘアピン状熱交換チューブ20の整列が可能な装置である。
【0039】
(32段製品製造時の実施形態)
図3では、32段製品製造時の場合について示している。
図3では、広ピッチ整列部34を移動させていない状態でヘアピン状熱交換チューブを整列させる。
ベンダーによって製造されたヘアピン状熱交換チューブ20は、広ピッチ整列部34の各配置板32に配置される。なお、ベンダーからヘアピン状熱交換チューブ20が送り込まれるときには、押圧部40、44は配置板32の上方に位置するように制御され、ヘアピン状熱交換チューブ20の配置板32への配置動作の邪魔にならないようにしている。
広ピッチ整列部34の各配置板32は、上面が水平面となっているので、ベンダーから送られてきたヘアピン状熱交換チューブ20はそのまま広ピッチ整列部34に貯留される。
【0040】
広ピッチ整列部34から下流側にヘアピン状熱交換チューブ20を移動させる場合、制御部52が上下動装置48を制御して押圧部40、44を下降させる。さらに制御部52は、移動装置50を制御して押圧部40、44を下流側に移動させることで、ヘアピン状熱交換チューブ20の上流側端部を押圧して、各配置板32に配置されたヘアピン状熱交換チューブ20を中間整列部39に移動させる。
【0041】
中間整列部39に移動してきたヘアピン状熱交換チューブ20は、ストッパー56、57によって下流側端部が支持されて停止する。
制御部52によって上下動装置66が駆動し、ストッパー56、57が上昇することによって、中間整列部39に配置されたヘアピン状熱交換チューブ20は自重によって可動整列部38に滑り落ちる。
【0042】
中間整列部39から移動してきたヘアピン状熱交換チューブ20は、ストッパー58によって下流側端部が支持されて停止する。
制御部52によって上下動装置64が駆動し、ストッパー58が上昇することによって、可動整列部38に配置されたヘアピン状熱交換チューブ20は自重によって2倍ピッチ整列部36に滑り落ちる。
【0043】
可動整列部38が
図3に示した位置のままストッパー58が上昇した場合、可動整列部38の配置板32は、2倍ピッチ整列部36の配置板32の偶数番目の配置板32と一直線上に並んでいるので、可動整列部38に配置されているヘアピン状熱交換チューブ20は、偶数番目の配置板32に移動する。
制御部52は、ストッパー58を上昇させて可動整列部38に配置したヘアピン状熱交換チューブ20を2倍ピッチ整列部36の偶数番目の配置板32に移動させたのち、上下動装置64を駆動してストッパー58を下降する。
【0044】
次に、制御部52は、移動装置54を駆動して可動整列部38を幅方向に2倍ピッチ分だけ移動させる。
図4に可動整列部38が2倍ピッチ分だけ移動した状態を示す。
図4に示した位置のストッパー58が上昇した場合、可動整列部38の配置板32は、2倍ピッチ整列部36の配置板32の奇数番目の配置板32と一直線上に並んでいるので、可動整列部38に配置されているヘアピン状熱交換チューブ20は、奇数番目の配置板32に移動する。
【0045】
そして、可動整列部38の配置板32が、2倍ピッチ整列部36の奇数番目の配置板32と一直線上に並んだ状態で、制御部52はストッパー58を上昇させて可動整列部38に配置したヘアピン状熱交換チューブ20を自重によって2倍ピッチ整列部36の奇数番目の配置板32に移動させる。
ヘアピン状熱交換チューブ20が可動整列部38から2倍ピッチ整列部36に移動した後、制御部52は、移動装置54を駆動して可動整列部38を元の位置(可動整列部38の配置板32が2倍ピッチ整列部36の偶数番目の配置板32の位置と一致する位置に戻すように制御する。
【0046】
(独立駆動する押圧部について)
なお、広ピッチ整列部34における押圧部について、2倍ピッチ整列部36の端部側の配置板に対応する位置の端部側押圧部44だけ独立して動作可能としていること、および中間整列部39のストッパー57だけ独立して動作可能としたのは、以下のような理由による。
本実施形態のように、可動整列部38によって、2倍ピッチ整列部36の偶数番目の配置板と奇数番目の配置板とにおいて、交互にヘアピン状熱交換チューブ20を整列させる場合、製品段数が6+4n(n=0以上の整数)のときには、2倍ピッチ整列部36の1番目の配置板にヘアピン状熱交換チューブ20を整列させないようにするためである。
【0047】
このことを
図5~
図7に基づいて説明する。
6段製品を製造する場合、6本の熱交換チューブがフィンに挿入されるのでヘアピン状熱交換チューブ20は3本必要である。したがって、3つの配置板を使って3つのヘアピン状熱交換チューブ20を整列させる。また
図3のように、可動整列部38の各配置板が2倍ピッチ整列部36の偶数番目の配置板と一致しているときが初期状態であるとする。
図5に示すように、可動整列部38の各配置板が2倍ピッチ整列部36の偶数番目の配置板と一致している初期状態のとき、可動整列部38の配置板(1)のヘアピン状熱交換チューブ20が2倍ピッチ整列部36の配置板2に移動する。また、可動整列部38の配置板(2)のヘアピン状熱交換チューブ20が2倍ピッチ整列部36の配置板4に移動する。
【0048】
そして
図6に示すように、可動整列部38が移動し、可動整列部38の各配置板が2倍ピッチ整列部36の奇数番目の配置板に一致すると、可動整列部38の配置板(1)のヘアピン状熱交換チューブ20が2倍ピッチ整列部36の配置板1に移動する。また、可動整列部38の配置板(2)のヘアピン状熱交換チューブ20が2倍ピッチ整列部36の配置板3に移動する。
【0049】
このようにヘアピン状熱交換チューブ20を3本使用した6段製品の製造のために、可動整列部38から2倍ピッチ整列部36へヘアピン状熱交換チューブ20を送り出すと、配置板が4列になってしまい、1列分のヘアピン状熱交換チューブ20が余分になる。
このため、6段製品を製造する場合には、可動整列部38の配置板(1)においては、2倍ピッチ整列部36の配置板2にはヘアピン状熱交換チューブ20を送り出し、2倍ピッチ整列部36の配置板1にはヘアピン状熱交換チューブ20を送り出さないように制御することが求められる。つまり、6段製品用にヘアピン状熱交換チューブ20を整列させるためには、2倍ピッチ整列部36の先頭の配置板を用いずに、配置板2~4を使用して3本のヘアピン状熱交換チューブ20を整列させる。
【0050】
以下、2倍ピッチ整列部36の配置板2~4を使用して3本のヘアピン状熱交換チューブ20を整列させる場合について説明する。
図3及び
図4に示したように、広ピッチ整列部34には、移動方向の先頭側端部に位置する配置板32に配置された端部側押圧部44が設けられている。そして中間整列部39には、端部側押圧部44に対応する位置に端部側ストッパー57が設けられている。
【0051】
制御部52は、可動整列部38が2倍ピッチ整列部36の偶数番目の配置板に位置する初期状態のときは、端部側押圧部44を押圧部40と同じタイミングで動作させ、広ピッチ整列部34のヘアピン状熱交換チューブ20を下流側の中間整列部39に移動させる。
そして、制御部52は、可動整列部38が2倍ピッチ整列部36の偶数番目の配置板に位置する初期状態のときは、端部側ストッパー57をストッパー56と同じタイミングで動作させ、中間整列部39のヘアピン状熱交換チューブ20を下流側の可動整列部38に移動させる。
このようにして可動整列部38から2倍ピッチ整列部36の偶数番目の配置板である配置板2及び4にヘアピン状熱交換チューブ20が移動する。
ここまでは
図5で説明した状態と同じである。
【0052】
次に、
図7に基づいて、制御部52は可動整列部38を端部方向に2倍ピッチ分移動させた状態を説明する。このとき、可動整列部38が2倍ピッチ整列部36の奇数番目の配置板に位置する状態である。
そして、制御部52は、この状態のときは端部側押圧部44を動作させず、押圧部40のみ動作させる。このため、広ピッチ整列部34の端部側の配置板のヘアピン状熱交換チューブ20は中間整列部39に移動しない。
さらに、制御部52は、この状態のときは端部側ストッパー57を動作させず、ストッパー56のみを動作させる。このため、中間整列部39の端部側の配置板におけるヘアピン状熱交換チューブ20は可動整列部38の端部側の配置板(1)に移動しない。
したがって、可動整列部38の端部側の配置板にはヘアピン状熱交換チューブ20は存在しない状態となり、2倍ピッチ整列部36の配置板1にはヘアピン状熱交換チューブ20が整列しないこととなり、配置板2~4にヘアピン状熱交換チューブ20が整列して6段製品の製造が可能となる。
【0053】
上述してきたように、6段製品を製造する場合において、2倍ピッチ整列部36の配置板1を使用せずに配置板2~4を使用して、1列余分なヘアピン状熱交換チューブ20を整列させないようにできる。
また、2倍ピッチ整列部36の配置板1を使用せずにヘアピン状熱交換チューブ20を整列させる製品としては、6段製品のほか、10段製品、14段製品、18段製品、22段製品・・のように6+4n(n=0以上の整数)段製品の場合に適用される。
【0054】
もし、上述したような構成を採用しない場合、6+4n段製品の場合に、2倍ピッチ整列部36の配置板1から整列させようとすると、広ピッチ整列部34の押圧部を配置板ごとに別個に動作可能にしなくてはならず、結局部品点数を減らすことができなくなってしまう。
【0055】
(20段製品製造時の実施形態)
次に、20段製品製造時の実施形態について説明する。
まず、20段製品の場合、2倍ピッチ整列部36の配置板32は10枚必要である。そして、10枚の2倍ピッチ整列部36の配置板に対応するために、広ピッチ整列部34の配置板の数は5枚必要である。
そこで、
図8に示すように、制御部52は、移動装置37を駆動し、広ピッチ整列部34を2倍ピッチ整列部36の配置板の番号の小さい側に移動させる。広ピッチ整列部34の複数の配置板のうち、2倍ピッチ整列部36の配置板の番号が小さい側に対応する配置板は、中間整列部39から外れた位置に移動され、そして2倍ピッチ整列部36の11枚目以降の配置板32には広ピッチ整列部34が全く配置されていない状態となる。
【0056】
図8の例では、広ピッチ整列部34の配置板1~3が中間整列部39の接続から外れ、配置板4~8が中間整列部39を介して可動整列部38の配置板(1)~(5)に接続される。
図8の状態において、制御部52が押圧部40及び端部側押圧部44を駆動すると、広ピッチ整列部34の配置板4~8までのヘアピン状熱交換チューブ20が中間整列部39に移動する。
【0057】
そして、制御部52が中間整列部39の端部側ストッパー57及びストッパー56を上昇させることによって、中間整列部39のヘアピン状熱交換チューブ20が可動整列部38の配置板(1)~(5)に自重によって移動する。
さらに、制御部52が可動整列部38のストッパー58を上昇させることによって、可動整列部38の配置板(1)~(5)のヘアピン状熱交換チューブ20が2倍ピッチ整列部36の偶数番目の配置板2,4,6,8,10に自重によって移動する。
【0058】
そして次に、制御部52が押圧部40及び端部側押圧部44を駆動し、広ピッチ整列部34の配置板4~8までのヘアピン状熱交換チューブ20を中間整列部39に移動させる。
そして、制御部52が中間整列部39の端部側ストッパー57及びストッパー56を上昇させることによって、中間整列部39のヘアピン状熱交換チューブ20が可動整列部38の配置板(1)~(5)に自重によって移動する。
ここまでは、2倍ピッチ整列部36の偶数番目の配置板2、4、6、8、10にヘアピン状熱交換チューブ20を整列させる動作と同じである。
【0059】
図9に、可動整列部38が2倍ピッチ分だけ番号が小さい端部方向に移動したところを示す。
2倍ピッチ整列部36の偶数番目の配置板2,4,6,8,10にヘアピン状熱交換チューブ20が整列した後、次に可動整列部38の配置板(1)~(5)にヘアピン状熱交換チューブ20が供給された場合に、制御部52は移動装置54を駆動して可動整列部38を2倍ピッチ分だけ番号が小さい端部方向に移動させる。
これにより、可動整列部38の配置板(1)~(5)が2倍ピッチ整列部36の奇数番目の配置板1、3、5、7、9に接続する。
【0060】
制御部52は、可動整列部38を移動させたのち、ストッパー58を上昇させることによって、可動整列部38の配置板(1)~(5)のヘアピン状熱交換チューブ20が2倍ピッチ整列部36の奇数番目の配置板1,3,5,7,9に自重によって移動する。
【0061】
以上の動作によって2倍ピッチ整列部の配置板1~10にヘアピン状熱交換チューブ20が整列し、別個に設けられた挿入装置によって20段製品のフィンへのヘアピン状熱交換チューブ20が挿入できる。
【0062】
このように、製造対象となる熱交換器用フィンの段数に合わせて、広ピッチ整列部34の配置板の使用枚数を制限し、不要な本数のヘアピン状熱交換チューブ20を整列させないようにできる。またこのような構成について、備品点数(配置板ごとの押圧部と、これら押圧部をそれぞれ駆動する装置)を減らし且つ制御方法を煩雑化しないようにできる。
【0063】
なお、上述してきた実施形態では、制御部の制御によって移動装置37を駆動して広ピッチ整列部34を移動させる例を説明したが、広ピッチ整列部34の移動は作業者が手動で行ってもよい。
【0064】
以上本発明につき好適な実施形態を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【符号の説明】
【0065】
4 把持装置
5 挿入装置
6 ロッド
7 整列装置
8 傾斜板
9 フィン
10 積層フィン
11 透孔
20 ヘアピン状熱交換チューブ
21 曲げ部
22 脚部
30 ヘアピン状熱交換チューブ整列装置
32 配置板
32a 傾斜部
34 広ピッチ整列部
35 キャスター
36 2倍ピッチ整列部
37 移動装置
38 可動整列部
39 中間整列部
40 押圧部
42 スリット
44 端部側押圧部
46 スリット
48 上下動装置
50 移動装置
52 制御部
54 移動装置
56 ストッパー
57 端部側ストッパー
58 ストッパー
60 ストッパー
62 上下動装置
64 上下動装置
66 上下動装置
70 ストッパー